表示装置及び表示制御方法
【課題】液晶を駆動させる要素の発熱に起因する表示画像の質の劣化を解消することができる表示装置及び表示制御方法を提供する。
【解決手段】フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネルと、前記フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、前記フレーム画像を表示するための画像データを生成する生成部と、前記画像データを前記液晶パネルに書き込み、前記液晶を駆動する駆動部と、該駆動部の温度を検出する検出部と、を備え、前記生成部は、前記駆動部の前記温度に応じて、前記駆動部による前記液晶パネルへの前記画像データの書込回数を調整することを特徴とする表示装置。
【解決手段】フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネルと、前記フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、前記フレーム画像を表示するための画像データを生成する生成部と、前記画像データを前記液晶パネルに書き込み、前記液晶を駆動する駆動部と、該駆動部の温度を検出する検出部と、を備え、前記生成部は、前記駆動部の前記温度に応じて、前記駆動部による前記液晶パネルへの前記画像データの書込回数を調整することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体的に知覚される映像を表示する表示装置は、左眼で視聴されるための左フレーム画像(以下、Lフレーム画像と称される)と、右眼で視聴されるための右フレーム画像(以下、Rフレーム画像と称される)とを所定周期(例えば、フィールド周期)で交互に表示する。表示されるLフレーム画像及びRフレーム画像は、視差の分だけ異なる内容を含む。視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像の表示周期に同期して駆動される液晶シャッタを備える眼鏡装置を通じて、Lフレーム画像及びRフレーム画像を視聴する(例えば、特許文献1参照)。この結果、視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像に表現されたオブジェクトを立体的に知覚する。
【0003】
Lフレーム画像及びRフレーム画像を、例えば、交互に表示し、視聴者に立体的に映像を知覚させるためには、これらのフレーム画像の画像データは、比較的短期間に書き込まれる必要がある。画像データの短い書込期間に起因して、液晶パネルを用いた表示装置は、しばしば、液晶への不十分な充電や液晶の応答遅れといった課題に直面する。
【0004】
本発明者は、1つのフレーム画像の表示に対して、画像データが、複数回、書き込まれることによって、上述の課題が解消されることを見出している。
【0005】
図34は、1つのフレーム画像に対する複数回の書込動作を示す概略的なタイミングチャートである。図34を用いて、複数回の書込動作が説明される。
【0006】
図34のセクション(a)は、Rフレーム画像及びLフレーム画像の表示に割り当てられた期間を示す。図34のセクション(a)に示される如く、立体映像の表示のために、典型的には、Rフレーム画像を表示するための期間及びLフレーム画像を表示するための期間が交互に設定される。
【0007】
Rフレーム画像を表示するための期間において、Rフレーム画像に対応する画像データが書き込まれる。Lフレーム画像を表示するための期間において、Lフレーム画像に対応する画像データが書き込まれる。
【0008】
図34のセクション(b)は、本発明者の表示装置が実行する書込動作を概略的に示す。図34のセクション(b)に示される如く、本発明者の表示装置は、1つのフレーム画像を表示するための期間において、第1書込動作及び第2書込動作を行う。
【0009】
第1書込動作は、液晶パネルの上側領域から開始される。画像データが液晶パネルの下側領域まで書き込まれた後、第2書込動作が開始される。第2書込動作は、第1書込動作と同様に、液晶パネルの上側領域から開始される。画像データが下側領域まで書き込まれると、後続のフレーム画像を表示するための期間が開始される。後続のフレーム画像を表示するための期間において、第1書込動作及び第2書込動作が実行される。
【0010】
液晶は、フレーム反転駆動方式に従って、駆動される。図34のセクション(b)において、Rフレーム画像に対応する第1書込動作及び第2書込動作によって、液晶は、正の極性(「+」)で駆動される。また、Lフレーム画像に対応する第1書込動作及び第2書込動作によって、液晶は、正の極性(「−」)で駆動される。
【0011】
図34のセクション(b)に示されるフレーム反転駆動方式に従うとき、第1書込動作による液晶への充電が不十分であっても、第2書込動作によって、液晶への充電が目標値に到達する。
【0012】
第1書込動作のみが行われるとき、Rフレーム画像及びLフレーム画像が同じ階調値であっても、画像データの短い書込期間に起因して、液晶の不十分な充電は潜在的に生ずる。例えば、Rフレーム画像及びLフレーム画像が全体的に白色の画像であるとき(Rフレーム画像及びLフレーム画像間の視差を考慮せずに)、Rフレーム画像からLフレーム画像の切替のために、例えば、「−10V」から「+10V」への駆動電圧の切替がなされる。第1書込動作が行われる期間のみでは、大幅な駆動電圧の変動に液晶の充電が間に合わず、目標の電位となるまで画像データの書込がなされない。かくして、Lフレーム画像には、「白」以外の色相で表示される領域が現れる。一方で、第1書込動作に続いて、第2書込動作が行われるならば、第1書込動作での画像データの不十分な書込は、第2書込動作によって補われることとなる。
【0013】
図34のセクション(c)は、眼鏡装置の液晶シャッタが開かれるタイミングを概略的に示す。図34のセクション(c)に示される如く、眼鏡装置の液晶シャッタは、Rフレーム画像の表示期間の終了時及びLフレーム画像の表示期間の終了時にそれぞれ開かれる。
【0014】
本発明者の表示装置は、第2書込動作のための期間を確保するために、第1書込動作は、比較的短期間で行われる。この結果、液晶パネルの下側領域の液晶の駆動は、比較的早期に開始される。このことは、液晶パネルの下側領域におけるRフレーム画像とLフレーム画像の混在(クロストーク)を低減させる。
【0015】
第1書込動作のみでフレーム画像が表示されるならば、典型的には、上述の書込不足を解消するために、第1書込動作の期間は比較的長く設定される。この結果、特に、液晶パネルの下側領域の液晶の応答が遅れ、液晶パネルの下側領域におけるクロストークが顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述の如く、本発明者の表示装置は、1つのフレーム画像を表示するための期間において、第1書込動作及び第2書込動作を行い、画像データの書込不足及びクロストークを好適に解消する。しかしながら、画像データの書込回数の増加は、液晶を駆動する駆動素子の発熱量を増大させ、結果として、駆動素子の性能の低下(例えば、中間電位の変動)をもたらす。中間電位の変動は、例えば、画像データの書込不足や液晶パネルの焼き付きを潜在的に生じさせる。更に、駆動素子の発熱量の増大は、駆動素子の信頼性を低下させる原因となる。
【0018】
本発明は、液晶を駆動させる要素の発熱に起因する表示画像の質の劣化を解消することができる表示装置及び表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一の局面に係る表示装置は、フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネルと、前記フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、前記フレーム画像を表示するための画像データを生成する生成部と、前記画像データを前記液晶パネルに書き込み、前記液晶を駆動する駆動部と、該駆動部の温度を検出する検出部と、を備え、前記生成部は、前記駆動部の前記温度に応じて、前記駆動部による前記液晶パネルへの前記画像データの書込回数を調整することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、生成部は、フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、フレーム画像を表示するための画像データを生成する。駆動部が、画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する結果、液晶パネルは、フレーム画像を表示する。
【0021】
検出部は、駆動部の温度を検出する。生成部は、駆動部の温度に応じて、駆動部による液晶パネルへの画像データの書込回数を調整するので、駆動部の過度の昇温が抑制される。かくして、駆動部の発熱に起因するフレーム画像の質の劣化が抑制される。
【0022】
上記構成において、前記フレーム画像は、第1フレーム画像と、該第1フレーム画像の後に表示される第2フレーム画像と、を含み、前記生成部は、前記液晶パネルに表示される前記フレーム画像の輝度レベルを調整するように前記フレーム画像信号を処理し、前記画像データを生成する輝度調整部を含み、前記駆動部の前記温度に対して定められた第1閾値より前記駆動部の前記温度が大きいとき、前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像に対して定められた第1輝度レベルよりも低い第2輝度レベルに前記第2フレーム画像の前記輝度レベルを設定することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、輝度調整部は、液晶パネルに表示されるフレーム画像の輝度レベルを調整するようにフレーム画像信号を処理し、画像データを生成する。駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、輝度調整部は、第1フレーム画像に対して定められた第1輝度レベルよりも低い第2輝度レベルに、第1フレーム画像の後に表示される第2フレーム画像の輝度レベルを設定する。したがって、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0024】
上記構成において、前記画像データは、第1画像データと、該第1画像データに後続して前記液晶パネルに書き込まれる第2画像データと、を含み、前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第1輝度レベルに設定し、前記第2フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、画像データは、第1画像データと、第1画像データに後続して液晶パネルに書き込まれる第2画像データと、を含む。輝度調整部は、第1フレーム画像を表示するための第2画像データに対する輝度レベルを第1輝度レベルに設定する。また、輝度調整部は、第2フレーム画像を表示するための第2画像データに対する輝度レベルを第2輝度レベルに設定する。したがって、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0026】
上記構成において、第2画像データに対する輝度レベルが、輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減されると、生成部は、第2画像データの出力を停止し、駆動部は、第1画像データに基づき、液晶を駆動し、液晶パネルにフレーム画像を表示することが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、第2画像データに対する輝度レベルが、輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減されると、生成部は、第2画像データの出力を停止する。上述の如く、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減されるので、視聴者は、第2画像データの出力停止をほとんど知覚することなく、駆動部が第1画像データに基づき液晶を駆動することによって液晶パネルに表示されたフレーム画像を視聴することができる。また、駆動部による画像データの書込回数が低減されるので、駆動部の降温が促される。
【0028】
上記構成において、前記液晶パネルは、前記画像データが書き込まれるゲート線を含み、前記第2画像データに対する前記輝度レベルが、該輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減された後、且つ、前記生成部が前記第2画像の出力を停止する前に、前記駆動部は、前記第2画像データに対する前記輝度レベルが前記目標レベルに到達する前に前記画像データが書き込まれた前記ゲート線の数よりも少ない数の前記ゲート線に前記第2画像データを書き込むことが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、第2画像データに対する輝度レベルが、輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減された後、且つ、生成部が第2画像の出力を停止する前に、駆動部は、第2画像データに対する輝度レベルが目標レベルに到達する前に画像データが書き込まれたゲート線の数よりも少ない数のゲート線に第2画像データを書き込む。この結果、視聴者は、第2画像データの出力停止をほとんど知覚することなく、駆動部が第1画像データに基づき液晶を駆動することによって液晶パネルに表示されたフレーム画像を視聴することができる。
【0030】
上記構成において、前記生成部が、前記第1画像データ及び前記第2画像データを出力しているとき、前記駆動部は、前記第1画像データを、第1時間長さで書き込み、前記生成部が、前記第2画像データの出力を停止すると、前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第1時間長さよりも長い第2時間長さで書き込むことが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、生成部が、第1画像データ及び第2画像データを出力しているとき、駆動部は、第1画像データを、第1時間長さで書き込む。生成部が、第2画像データの出力を停止すると、駆動部は、第1画像データを、第1時間長さよりも長い第2時間長さで書き込むので、第1画像データの不十分な書込が抑制される。
【0032】
上記構成において、前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像と、を含み、前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記左フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記右フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、前記第1極性とは反対の第2極性で前記液晶を駆動し、前記輝度調整部は、前記左フレーム画像に対応する前記第2画像データ及び前記右フレーム画像に対応する前記第2画像データそれぞれに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、液晶パネルは、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示する。フレーム反転方式で液晶を駆動する駆動部は、左フレーム画像を液晶パネルに表示させるために、第1極性で液晶を駆動する。また、駆動部は、右フレーム画像を液晶パネルに表示させるために、第1極性とは反対の第2極性で液晶を駆動する。輝度調整部は、左フレーム画像に対応する第2画像データ及び右フレーム画像に対応する第2画像データそれぞれに対する輝度レベルを第2輝度レベルに設定する。したがって、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0034】
上記構成において、前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように前記左フレーム画像とは視差の分だけ異なる内容を表す右フレーム画像と、を含む第1組のフレーム画像と、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを含み、前記第1組のフレーム画像に引き続き表示される第2組のフレーム画像と、を含み、前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記第1組のフレーム画像を表示するために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記第2組のフレーム画像を表示するために第2極性で前記液晶を駆動し、前記輝度調整部は、前記左フレーム画像及び前記右フレーム画像のうち一方に対応する前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように左フレーム画像とは視差の分だけ異なる内容を表す右フレーム画像と、を含む第1組のフレーム画像と、左フレーム画像と右フレーム画像とを含み、第1組のフレーム画像に引き続き表示される第2組のフレーム画像と、を含む。液晶パネルは、左フレーム画像と右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示する。フレーム反転方式で液晶を駆動する駆動部は、第1組のフレーム画像を表示するために、第1極性で液晶を駆動する。また、駆動部は、第2組のフレーム画像を表示するために第2極性で液晶を駆動する。輝度調整部は、左フレーム画像及び右フレーム画像のうち一方に対応する第2画像データに対する輝度レベルを第2輝度レベルに設定するので、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0036】
上記構成において、前記第2組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルは、前記第1組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルよりも小さいことが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、第2組のフレーム画像に対して設定された第2輝度レベルは、第1組のフレーム画像に対して設定された第2輝度レベルよりも小さいので、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0038】
上記構成において、前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域のうち所定の階調値より大きな階調領域に対するγ値を調整し、前記第2画像データを生成することが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、輝度調整部は、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号にγ補正を行い、画像データを生成する。輝度調整部は、階調信号が規定する階調領域のうち所定の階調値より大きな階調領域に対するγ値を調整し、第2画像データを生成するので、フレーム画像の輝度レベルの低減が知覚されやすい階調領域の輝度を順次低減するので、画像データの書込回数の変動に伴う画質の変化を知覚しにくくなる。
【0040】
上記構成において、前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域の全体に亘ってγ値を調整し、前記第2画像データを生成することが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、輝度調整部は、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号にγ補正を行い、画像データを生成する。輝度調整部は、階調信号が規定する階調領域の全体に亘ってγ値を調整し、第2画像データを生成するので、第2画像データの生成のための処理が簡素化される。
【0042】
上記構成において、前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第2画像データよりも高速に書き込むことが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、駆動部は、第1画像データを、第2画像データよりも高速に書き込むので、画像データの書込が比較的遅く行われる領域におけるクロストークが低減される。
【0044】
上記構成において、前記生成部は、前記第2画像データよりも低い解像度の前記第1画像データを生成する解像度調整部を含むことが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、解像度調整部は、第2画像データよりも低い解像度の第1画像データを生成するので、第1画像データは、第2画像データよりも高速に書き込まれる。したがって、画像データの書込が比較的遅く行われる領域におけるクロストークが低減される。
【0046】
上記構成において、前記生成部は、前記駆動部の前記温度が前記第1閾値より低い第2閾値を下回ったときに、前記第2画像データの出力を再開し、前記駆動部は、前記第1画像データに基づき、前記液晶を駆動する第1書込動作と、前記第2画像データに基づき、前記液晶を駆動する第2書込動作と、を実行することが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、生成部は、駆動部の温度が第1閾値より低い第2閾値を下回ったときに、第2画像データの出力を再開する。駆動部は、第1画像データに基づき、液晶を駆動する第1書込動作と、第2画像データに基づき、液晶を駆動する第2書込動作と、を実行するので、駆動部の温度が低減されると、より高品質の画像が再度表示される。
【0048】
本発明の一の局面に係る表示制御方法は、画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する駆動部の温度を測定する段階と、前記駆動部の前記温度に応じて、前記画像データの書込回数を決定する段階と、前記決定された書込回数だけ前記画像データを書き込み、フレーム画像を前記液晶パネルに表示させる段階と、を備えることを特徴とする。
【0049】
上記構成によれば、画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する駆動部の温度が測定される。駆動部の温度に応じて、画像データの書込回数が決定される。決定された書込回数だけ画像データが書き込まれ、フレーム画像が液晶パネルに表示されるので、駆動部の過度の昇温が抑制される。かくして、駆動部の発熱に起因するフレーム画像の質の劣化が抑制される。
【発明の効果】
【0050】
上述の如く、本発明に係る表示装置及び表示制御方法は、液晶を駆動させる要素の発熱に起因する表示画像の質の劣化を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示される映像システムの概略図である。
【図3】図1に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図4】図3に示される映像信号処理部のγ調整部213のγ補正によって変化する輝度レベルを示す概略的なチャートである。
【図5】図1に示される表示装置の液晶パネルの一部を示す概略図である。
【図6】図1に示される表示装置の駆動部による画像データの書込動作を示す概略図である。
【図7】図1に示される表示装置の検出部が第1温度閾値を超える駆動部の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図8】図1に示される表示装置による第1画像データに対する輝度調整の概念図である。
【図9】図7に示されるフローチャートのステップS100における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。
【図10】図7に示されるフローチャートのステップS100における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図11】図7に示されるフローチャートのステップS120における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。
【図12】図7に示されるフローチャートのステップS120における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図13】図7に示されるフローチャートのステップS120からステップS150までの工程における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図14】図1に示される表示装置の検出部が第2温度閾値を下回る駆動部の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図15】第2実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図16】図15に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図17】図16に示される映像信号処理部のγ調整部の出力特性の概略図である。
【図18】第3実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図19】図18に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図20】図7に示されるフローチャートのステップS100における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図21】図7に示されるフローチャートのステップS150における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図22】図7に示されるフローチャートのステップS120の実行に伴う輝度変化を示す概略的なチャートである。
【図23】第4実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図24】図23に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図25】図23に示される表示装置の液晶パネルの一部の概略図である。
【図26】図24に示される映像信号処理部の等価部が実行する等価処理として例示される平均化処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。
【図27】図23に示される表示装置の液晶パネルの一部の概略図である。
【図28】図24に示される映像信号処理部の等価部が実行する等価処理として例示される選択処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。
【図29】図23に示される表示装置の駆動部が行う書込動作を示す概略的なグラフである。
【図30】図23に示される表示装置の検出部が第1温度閾値を超える駆動部の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図31】図30に示されるフローチャートのステップS300における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図32】図30に示されるフローチャートのステップS320における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図33】図30に示されるフローチャートのステップS350からステップS355までの工程における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図34】1つのフレーム画像に対する複数回の書込動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、表示装置及び表示制御方法の様々な実施形態が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、表示装置及び映像制御方法の原理はこれらに何ら限定されるものではない。
【0053】
<第1実施形態>
(映像システムの構成)
図1は、第1実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図2は、図1に示される映像システムを概略的に示す模式図である。図1及び図2を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。
【0054】
映像システム100は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像(以下、Lフレーム画像と称される)と、右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像(以下、Rフレーム画像と称される)とを含むフレーム画像を表示する表示装置200と、表示装置200が表示するLフレーム画像及びRフレーム画像の視聴を補助する眼鏡装置300とを備える。眼鏡装置300は、視聴者が左眼でLフレーム画像を視聴し、右眼でRフレーム画像を視聴するように、表示装置200によるLフレーム画像及びRフレーム画像の表示に同期した立体視補助動作を行う。この結果、視聴者は、眼鏡装置300を通じて、表示装置200が表示するフレーム画像(Lフレーム画像及びRフレーム画像)を立体的に知覚する(視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像中で表現されたオブジェクトを、Lフレーム画像及びRフレーム画像が映し出される表示面に対して、飛び出たように或いは引っ込んだように知覚する)。
【0055】
視力矯正用の眼鏡と同様の形状をなす眼鏡装置300は、視聴者の左眼前に配設される左シャッタ311と、視聴者の右眼前に配設される右シャッタ312とを含む光学シャッタ部310を備える。左シャッタ311は、表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに開き、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに閉じる。右シャッタ312は、表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに閉じ、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに開く。表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに、Lフレーム画像から視聴者の左眼へ透過する光路が開かれる一方で、Lフレーム画像から視聴者の右眼へ透過する光路が閉じられるので、視聴者は左眼のみでLフレーム画像を視聴する。同様に、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに、Rフレーム画像から視聴者の右眼へ透過する光路が開かれる一方で、Rフレーム画像から視聴者の左眼へ透過する光路が閉じられるので、視聴者は右眼のみでRフレーム画像を視聴する。本実施形態において、左シャッタ311は、左フィルタとして例示される。また、右シャッタ312は、右フィルタとして例示される。左フィルタ及び右フィルタとして、表示装置200が表示する映像から視聴者の左眼へ到達する光の量(以下、左眼光量と称される)及び視聴者の右眼へ到達する光の量(以下、右眼光量と称される)を調整可能に形成された他の光学素子が用いられてもよい。例えば、左フィルタ及び右フィルタとして、視聴者の左眼及び右眼へ透過する光を偏光する偏光素子(例えば、液晶フィルタ)や光量を調整可能な他の光学素子が好適に用いられる。左フィルタは、Lフレーム画像の表示に同期して、左眼光量を増大させる一方で、Rフレーム画像の表示に同期して、左眼光量を低減させるように制御される。同様に、右フィルタは、Rフレーム画像の表示に同期して、右眼光量を増大させる一方で、Lフレーム画像の表示に同期して、右眼光量を低減させるように制御される。
【0056】
表示装置200は、映像信号を処理する映像信号処理部210と、映像を表示する表示部230と、を備える。
【0057】
映像信号処理部210には、基本となる垂直同期周波数を有する映像信号(左眼用映像信号(以下、L信号と称される)及び右眼用映像信号(以下、R信号と称される))が入力される。映像信号処理部210は、入力されたL信号とR信号とを、基本となる垂直同期周波数のK倍(Kは自然数)の周波数で、交互に出力する。本実施形態では、入力された60Hzの映像信号が、120HzのL信号及びR信号に変換される。変換を通じて得られたL信号及びR信号は、画像データとして、表示部230へ出力される。本実施形態において、画像データは、第1画像データと、第2画像データと、を含む。第1画像データ及び第2画像データの書込動作は後述される。表示部230は、第1画像データ及び第2画像データを用いて、1つのフレーム画像を表示する。代替的に、映像信号処理部210は、第1画像データ及び第2画像データだけでなく、画像データの書込回数に応じて、第N画像データ(Nは、3以上の自然数)を出力してもよい。表示部は、第1乃至第N画像データを用いて、1つのフレーム画像を表示してもよい。
【0058】
表示部230は、フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネル231と、液晶パネル231に向けて光を照射するバックライト光源232と、を備える。表示部230は、液晶パネル231に画像データを書き込み、液晶を駆動する駆動部220と、駆動部220の温度を検出する検出部221と、を更に備える。
【0059】
検出部221は、駆動部220の温度を測定し、測定された温度に関する情報を含む検出信号を映像信号処理部210に出力する。映像信号処理部210は、駆動部220の温度に基づき、第1画像データ及び第2画像データをともに出力する第1出力モードと第1画像データのみを出力する第2出力モードとの間で、画像データの出力モードを切り替える。
【0060】
映像信号処理部210が第1画像データ及び第2画像データをともに出力するとき(第1出力モード)、駆動部220は、第1画像データを液晶パネル231に書き込む。駆動部220は、第1画像データの書込に引き続き、第2画像データを液晶パネル231に書き込む。かくして、映像信号処理部210が第1出力モードで画像データの出力をしている間、駆動部220は、1つのフレーム画像の表示に対して、2回の書込動作を行う。以下の説明において、駆動部220による第1画像データの書込動作(駆動部220が第1画像データに基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する動作)は、「第1書込動作」として例示される。また、駆動部220による第2画像データの書込動作(駆動部220が第2画像データに基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する動作)は、「第2書込動作」として例示される。
【0061】
映像信号処理部210が第1画像データのみを出力するとき(第2出力モード)、駆動部220は、第1画像データを液晶パネル231に書き込む。この結果、液晶パネル231には、第1画像データに基づくフレーム画像が表示される。映像信号処理部210は、その後、後続のフレーム画像に対応する第1画像データを出力する。駆動部220は、後続の第1画像データを液晶パネル231に書き込む。液晶パネル231には、第1画像データに基づく後続のフレーム画像が表示される。
【0062】
映像信号処理部210は、上述の如く、駆動部220の温度に応じて、第1出力モードと第2出力モードとを切り替えて、駆動部220による液晶パネル231への画像データの書込回数を調整する。本実施形態において、映像信号処理部210は、生成部として例示される。駆動部220の温度に応じた出力モードの切替及び画像データの生成は、後述される。尚、映像信号処理部が、第1乃至第N画像データ(Nは、3以上の自然数)を生成するならば、映像信号処理部は、3以上の出力モードを切り替えて、画像データの書込回数を調整してもよい。
【0063】
表示部230は、バックライト光源232を制御する第1制御部250を更に備える。映像信号処理部210は、L信号及びR信号の出力に同期して、第1制御部250に制御信号を出力する。第1制御部250は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、表示部230のバックライト光源232を制御する。
【0064】
表示装置200は、眼鏡装置300を制御するための第2制御部240を更に備える。映像信号処理部210は、L信号及びR信号の出力に同期して、第2制御部240を制御するための制御信号を出力する。第2制御部240は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、光学シャッタ部310を制御する。第1制御部250及び/又は第2制御部240へ出力される制御信号は、映像信号処理部210による変換後のL信号及び/又はR信号自体であってもよい。代替的に、L信号及び/又はR信号の120Hzの垂直同期信号であってもよい。
【0065】
以下の説明において、L信号に含まれる一の垂直同期信号と、該一の垂直同期信号に続いて入力される後続の垂直同期信号との間の映像情報を含む映像信号は、Lフレーム画像信号と称される。また、R信号に含まれる一の垂直同期信号と、該一の垂直同期信号に続いて入力される後続の垂直同期信号との間の映像情報を含む映像信号は、以下の説明において、Rフレーム画像信号と称される。Lフレーム画像信号は、Lフレーム画像を表現するために用いられる。同様に、Rフレーム画像信号は、Rフレーム画像を表現するために用いられる。本実施形態において、Lフレーム画像信号及び/又はRフレーム画像信号は、フレーム画像信号として例示される。
【0066】
映像信号処理部210は、Lフレーム画像信号を処理し、Lフレーム画像を表示するためのL画像データを生成する。映像信号処理部210が第1出力モードで動作するとき、L画像データは、第1画像データ及び第2画像データとして駆動部220に出力される。本実施形態において、駆動部220の温度が比較的高いとき、第1画像データとして出力されるL画像データの輝度レベルと第2画像データとして出力されるL画像データの輝度レベルとの間には差異が設けられる。
【0067】
映像信号処理部210は、Rフレーム画像信号を処理し、Rフレーム画像を表示するためのR画像データを生成する。映像信号処理部210が第1出力モードで動作するとき、R画像データは、第1画像データ及び第2画像データとして駆動部220に出力される。本実施形態において、駆動部220の温度が比較的高いとき、第1画像データとして出力されるR画像データの輝度レベルと第2画像データとして出力されるR画像データの輝度レベルとの間には差異が設けられる。第1画像データと第2画像データとの間で設けられる輝度レベルの差異の設定は、後述される。
【0068】
映像信号処理部210は、入力されたL信号及びR信号に基づき、L画像データ及びR画像データをそれぞれ生成する。映像信号処理部210は、L画像データ及びR画像データを交互に駆動部220に出力する。駆動部220は、映像信号処理部210の出力に従って、L画像データ及びR画像データを交互に液晶パネル231に書き込む。この結果、液晶パネル231は、Lフレーム画像とRフレーム画像とを時間的に交互に切り替えて表示する。バックライト光源232は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、液晶パネル231に光を照射する。駆動部220は、水平方向及び垂直方向にフレーム画像信号(L画像データ又はR画像データ)を書き込み、液晶パネル231の液晶を駆動する。
【0069】
駆動部220は、映像信号処理部210からの入力信号(第1画像データ及び/又は第2画像データ)に含まれる垂直同期信号及び水平同期信号にしたがって、第1画像データ及び第2画像データを、液晶パネル231が表示可能な形式に変換する。駆動部220は、液晶パネル231上のフレーム画像の表示ごとに変換された第1画像データ及び第2画像データを用いて、液晶パネル231に書き込む。
【0070】
本実施形態において、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データに対し、γ補正を行い、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231が表示可能な形式に変換する。駆動部220の温度が比較的高いとき、映像信号処理部210は、駆動部220のγ補正を用いた信号処理とは別に、フレーム画像信号に対して、γ補正を行い、第1画像データと第2画像データとの間に輝度レベルの差異を設定する。映像信号処理部210によるγ補正並びに駆動部220によるγ補正を通じた信号処理は、後述される。
【0071】
上述の駆動部220による液晶の駆動によって、液晶パネル231は、入力された第1画像データ及び/又は第2画像データに応じて、背面から入射する光を変調する。この結果、液晶パネル231は、Lフレーム画像とRフレーム画像とを交互に表示する。液晶パネル231には、例えば、IPS(In Plane Switching)方式や、VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式といった様々な駆動方式が好適に適用される。
【0072】
バックライト光源232は、液晶パネル231の背面から液晶パネル231の表示面に向けて光を照射する。本実施形態において、バックライト光源232として、面発光するように二次元配列された複数の発光ダイオード(LED)(図示せず)が用いられている。代替的に、バックライト光源232として、面発光するように配列された複数の蛍光管が用いられてもよい。バックライト光源232として用いられる発光ダイオードや蛍光管は、液晶パネル231の縁部に配設され、面発光を生じさせてもよい(エッジタイプ)。
【0073】
第1制御部250は、映像信号処理部210から出力された120Hzの制御信号を基準に発光制御信号を出力する。バックライト光源232は、発光制御信号に基づき明滅可能である。
【0074】
第2制御部240は、眼鏡装置300の光学シャッタ部310を、Lフレーム画像及びRフレーム画像の表示周期に合わせて制御する。第2制御部240は、左シャッタ311を制御するための左眼用のフィルタ制御部241(以下、Lフィルタ制御部241と称される)と、右シャッタ312を制御するための右眼用のフィルタ制御部242(以下、Rフィルタ制御部242と称される)とを備える。液晶パネル231がLフレーム画像及びRフレーム画像を、例えば、120Hzで交互に表示するとき、Lフィルタ制御部241は、左シャッタ311が60Hzの周期で左眼光量を調整する(増減させる)ように眼鏡装置300を制御する。同様に、Rフィルタ制御部242は、右シャッタ312が60Hzの周期で右眼光量を調整する(増減させる)ように眼鏡装置300を制御する。
【0075】
図2に示される如く、本実施形態において、表示装置200は、Lフレーム画像の表示に同期する第1同期信号を送信する第1送信部243と、Rフレーム画像の表示に同期する第2同期信号を送信する第2送信部244とを備える。また、眼鏡装置300は、左シャッタ311と右シャッタ312との間に配設される受信部320を備える。受信部320は、第1同期信号及び第2同期信号を受信する。第1同期信号の波形は、好ましくは、第2同期信号の波形と異なる。受信部320は、受信された同期信号の波形に基づき、第1同期信号と第2同期信号とを識別する。かくして、眼鏡装置300は、第1同期信号に基づき、左シャッタ311を動作させる。また、眼鏡装置300は、第2同期信号に基づき、右シャッタ312を動作させる。表示装置200と眼鏡装置300との間の同期信号の無線通信並びに眼鏡装置300による同期信号(第1同期信号及び第2同期信号)の内部処理に対して、既知の他の通信技術並びに既知の他の信号処理技術が用いられてもよい。代替的に、表示装置と眼鏡装置との間の同期信号(第1同期信号及び第2同期信号)の通信が、有線式に行われてもよい。また、Lフレーム画像の表示に同期する第1同期信号を送信する第1送信部と、Rフレーム画像の表示に同期する第2同期信号を送信する第2送信部とが共通化された1つの送信部が表示装置に組み込まれてもよい。この場合、Lフレーム画像の表示及びRフレーム画像の表示は、共通化された同期信号の立ち上がりに交互に同期されてもよい。
【0076】
Lフィルタ制御部241及びRフィルタ制御部242は、映像信号処理部210からの制御信号を基準とし、左シャッタ311による左眼光量の増減周期の位相及び右シャッタ312による右眼光量の増減周期の位相を決定する。Lフィルタ制御部241及びRフィルタ制御部242は、決定された位相に従い、第1同期信号及び第2同期信号を出力する。左シャッタ311及び右シャッタ312それぞれは、第1同期信号及び第2同期信号に基づき、Lフレーム画像の表示及びRフレーム画像の表示に同期して、左眼光量及び右眼光量を増減させる。
【0077】
第2制御部240は、液晶パネル231の応答特性並びに表示されるLフレーム画像とRフレーム画像との間のクロストーク(相互干渉)を考慮して、左シャッタ311及び右シャッタ312それぞれが左眼光量及び右眼光量を増大させている期間(以下、光量増大期間と称される)の長さと、光量増大期間のタイミング(位相)を決定する。Lフィルタ制御部241は、左眼光量に対する光量増大期間の長さ及びタイミングを制御する。Rフィルタ制御部242は、右眼光量に対する光量増大期間の長さ及びタイミングを制御する。
【0078】
映像信号処理部210の120Hzの制御信号に基づき動作する第1制御部250は、左シャッタ311及び右シャッタ312による光量調整の動作に同期してバックライト光源232を発光させる発光制御信号を出力する。バックライト光源232は、発光制御信号に基づき、明滅することができる。尚、本実施形態において、バックライト光源232は、第1制御部250の制御下で、常時点灯している。したがって、視聴者がフレーム画像を視聴することができる視聴期間のタイミング及び長さは、眼鏡装置300の光学シャッタ部310の動作によって定められる。
【0079】
代替的に、第1制御部は、第2制御部によって調整される光量増大期間中の一部の期間或いは光量増大期間と略一致する期間において、バックライトを点灯させ、他の期間においてバックライトを消灯させてもよい。このような第1制御部によるバックライトの明滅制御下において、視聴者がフレーム画像を視聴することができる視聴期間のタイミング及び長さは、バックライトの明滅動作によって定められる。
【0080】
(映像信号処理部)
図3は、本実施形態に従う表示装置200の映像信号処理部210の機能構成を概略的に示すブロック図である。図1及び図3を用いて、映像信号処理部210が説明される。
【0081】
映像信号処理部210は、選択部212、γ調整部213、出力部214及び判定部215を備える。
【0082】
映像信号(L信号及びR信号)は、選択部212及びγ調整部213に入力される。上述の如く、検出部221は、駆動部220の温度を測定する。検出部221は、その後、検出された温度の情報を含む検出信号を判定部215に出力する。判定部215は、駆動部220の温度に対して定められた第1温度閾値のデータを記憶する。判定部215は、検出信号が、第1温度閾値を超える温度を示しているならば、γ調整部213に映像信号に対して、γ補正を実行させるための制御信号を出力する。判定部215が出力する制御信号がγ補正の実行を指示しているならば、γ調整部213は、映像信号に対して、γ補正を実行する。判定部215が制御信号を出力していないとき、或いは、判定部215が出力する制御信号がγ補正の実行を指示していないとき、γ調整部213は、入力された映像信号を選択部212に出力する。本実施形態において、判定部215が記憶する第1温度閾値は、第1閾値として例示される。
【0083】
選択部212は、第1画像データの書込に割り当てられた期間において、選択部212に直接的に入力された映像信号を出力部214に出力する。また、選択部212は、第2画像データの書込に割り当てられた期間において、γ調整部213から入力された映像信号を出力部214に出力する。
【0084】
出力部214は、第1画像データの書込に割り当てられた期間に選択部212から入力された映像信号を第1画像データとして、駆動部220に出力する。また、出力部214は、第2画像データの書込に割り当てられた期間に選択部212から入力された映像信号を第2画像データとして、駆動部220に出力する。
【0085】
駆動部220は、第1画像データの書込に割り当てられた期間に、液晶パネル231に第1画像データを書き込む。また、駆動部220は、第2画像データの書込に割り当てられた期間に、液晶パネル231に第2画像データを書き込む。
【0086】
図4は、γ調整部213のγ補正によって変化する輝度レベルを示す概略的なチャートである。図1、図3及び図4を用いて、映像信号処理部210が更に説明される。
【0087】
図4のセクション(a)には、X番目に表示されるRフレーム画像(Rフレーム画像(XR))、X番目に表示されるLフレーム画像(Lフレーム画像(XL))、(X+1)番目に表示されるRフレーム画像(Rフレーム画像(XR+1))、(X+1)番目に表示されるLフレーム画像(Lフレーム画像(XL+1))、(X+2)番目に表示されるRフレーム画像(Rフレーム画像(XR+2))及び(X+2)番目に表示されるLフレーム画像(Lフレーム画像(XL+2))が示されている。Rフレーム画像(XR)、Lフレーム画像(XL)、Rフレーム画像(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)及びLフレーム画像(XL+2)は、順次、液晶パネル231に表示される。本実施形態において、Rフレーム画像(XR)は、第1フレーム画像として例示される。また、Rフレーム画像(XR)の後に表示されるLフレーム画像(XL)、Rフレーム画像(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)又はLフレーム画像(XL+2)は、第2フレーム画像として例示される。
【0088】
γ調整部213は、映像信号が含む垂直同期信号に規定されるフレーム画像信号ごとにγ補正を実行し、フレーム画像それぞれの輝度レベルを調整する。この結果、輝度レベルが調整された第2画像データが生成される。本実施形態において、γ調整部213は、輝度調整部として例示される。
【0089】
図4のセクション(b)には、Rフレーム画像(XR)の輝度レベルBLv(XR)、Lフレーム画像(XL)の輝度レベルBLv(XL)、Rフレーム画像(XR+1)の輝度レベルBLv(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)の輝度レベルBLv(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)の輝度レベルBLv(XR+2)及びLフレーム画像(XL+2)の輝度レベルBLv(XL+2)が示される。図4に示される不等式は、これらの輝度レベルの関係を示す。
【0090】
図4の不等式で表される如く、γ調整部213は、表示されるタイミングが遅いフレーム画像ほど輝度レベルが低くなるようにγ補正を行う。γ調整部213によって設定された輝度レベルが高いほど、液晶パネル231は、明るいフレーム画像を表示する。γ調整部213によって設定された輝度レベルが低いほど、液晶パネル231は、暗いフレーム画像を表示する。したがって、液晶パネル231は、γ調整部213がγ補正を開始すると、徐々に暗くなる映像を表示する。本実施形態において、Rフレーム画像(XR)の輝度レベルBLv(XR)は、第1輝度レベルとして例示される。Lフレーム画像(XL)の輝度レベルBLv(XL)、Rフレーム画像(XR+1)の輝度レベルBLv(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)の輝度レベルBLv(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)の輝度レベルBLv(XR+2)及びLフレーム画像(XL+2)の輝度レベルBLv(XL+2)は、第2輝度レベルとして例示される。
【0091】
図3に示される如く、駆動部220の温度が第1温度閾値を超えると、γ調整部213がγ補正処理を開始し、輝度レベルが低減された映像信号を出力するのに対し、選択部212に直接的に入力される映像信号には、輝度レベルを低減させるための信号処理は実行されない。したがって、駆動部220の温度が第1温度閾値を超えると、第1画像データに対して設定された輝度レベルは、第2画像データに対して設定された輝度レベルよりも大きくなる。
【0092】
図3に示される如く、γ調整部213は、γ補正が施与された映像信号の出力(選択部212への出力)と同時に、γ調整部213が設定した輝度レベルに関する情報を通知するための通知信号を判定部215に出力する。判定部215は、輝度レベルに対して定められた目標輝度に関するデータを記憶する。判定部215は、通知信号が含む輝度レベルの情報と目標輝度に関するデータとを比較する。通知信号によって通知された輝度レベルが目標輝度を下回っているならば、判定部215は、出力部214に、第2画像データの出力を停止させるための制御信号を出力する。
【0093】
図5は、液晶パネル231の一部を示す概略図である。図1、図3及び図5を用いて、映像信号処理部210及び駆動部220が説明される。
【0094】
液晶パネル231は、水平方向に延びる複数のゲート線と、垂直方向に延びる複数のデータ線と、を含む。図5には、副走査方向に整列したゲート線L1乃至L16及び主走査方向に整列したデータ線M1乃至M32が示されている。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点には、画素P及び画素Pに対応する液晶(図示せず)がそれぞれ割り当てられる。駆動部220は、出力部214から出力された画像データに応じて、各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32とに電圧を印加し、液晶を駆動させる。本実施形態において、駆動部220は、フレーム反転方式で液晶を駆動する。フレーム反転方式の液晶の駆動は後述される。
【0095】
判定部215が、出力部214に、第2画像データの出力を停止させるための制御信号を出力すると、第2画像データが書き込まれるゲート線の数を低減させるように選択部212から出力された映像信号を処理する。例えば、出力部214は、判定部215から制御信号を受けた直後に、奇数番号のゲート線(L1、L3、L5・・・L2n−1)にのみ書込がなされるように第2画像データを出力する。その後、出力部214は、例えば、「3」の倍数のゲート線(L3、L6、L9・・・・)にのみ書込がなされるように後続の第2画像データを出力する。出力部214は、第2画像データの出力ごとに、第2画像データが書き込まれるゲート線の数が低減されるように選択部212から出力された映像信号を処理する。出力部214は、判定部215からの制御信号を受信し、所定回数、第2画像データを出力すると、第2画像データの出力を停止する。
【0096】
判定部215は、出力部214による第2画像データの出力に同期して、γ調整部213に、γ補正に用いられているγ値を保持するための制御信号を出力する。制御信号を受けたγ調整部213は、γ補正に用いたγ値を保持し、保持されたγ値を用いて映像信号を処理する。選択部212は、第1画像データの書込に割り当てられた期間に、選択部212に直接的に入力された映像信号を出力部214に出力する。また、選択部212は、第2画像データの書込に割り当てられた期間に、γ調整部213を介して入力された映像信号を出力する。第2画像データの出力を停止させるための制御信号が入力された出力部214は、上述のゲート線を低減させる処理を行った後、第2画像データを出力せず、第1画像データのみを出力する。この結果、駆動部220は、第1画像データに基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する。かくして、液晶パネル231には、第1画像データに基づき生成されたフレーム画像が表示される。
【0097】
図6は、駆動部220の画像データの書込動作を示す概略図である。図1、図3及び図5を用いて、駆動部220の書込動作が説明される。
【0098】
上述の如く、検出部221によって検出された駆動部220の温度が、判定部215が記憶する第1温度閾値よりも低い間、出力部214は、第1画像データ及び第2画像データを出力する。駆動部220は、第1画像データを液晶パネル231に書き込み、その後、第2画像データを液晶パネル231に書き込む。検出部221によって検出された駆動部220の温度が、判定部215が記憶する第1温度閾値よりも低い間において、第1書込動作が実行されている時間長さは、第2書込動作が実行されている時間長さに略等しくてもよい。図6において、第1書込動作及び第2書込動作が行われている期間は、「TO」の記号によってそれぞれ示されている。
【0099】
上述の如く、検出部221によって検出された駆動部220の温度が、判定部215が記憶する第1温度閾値よりも大きくなると、出力部214は、第2画像データの出力を停止する。駆動部220は、時間長さ「TO」で、第1画像データを書き込む。時間長さ「TO」での第1書込動作は、所定数のフレーム画像の描画に対して実行されてもよい。
【0100】
時間長さ「TO」での第1書込動作によって、所定数のフレーム画像の描画がなされた後、駆動部220は、第1書込動作の実行期間を長くする。第1書込動作の実行期間は、第1書込動作の書込回数に応じて、徐々に増加されることが好ましい。この結果、駆動部220の温度の低下が更に促されることとなる。図6において、延長された第1書込動作の実行期間は、「TE1」,「TE2」の記号によって、それぞれ表されている。本実施形態において、図6に示される第1書込動作の実行期間「TO」は、第1時間長さとして例示される。また、第2書込動作の実行期間「TE1」,「TE2」は、第2時間長さとして、それぞれ例示される。
【0101】
図6に示される如く、駆動部220の画像データの書込回数が低減されるので、駆動部220の温度は、徐々に低下する。判定部215は、駆動部220の温度に対して定められた第2温度閾値のデータを記憶する。第2温度閾値は、第1温度閾値よりも低く設定される。判定部215は、検出信号が、第2温度閾値を下回る温度を示しているならば、出力部214に第2画像データの出力の再開を指示する制御信号を出力する。出力部214は、その後、第1画像データとともに、第2画像データが出力されることを通知するための通知信号を駆動部220に出力する。この結果、駆動部220は、出力部214から出力された第1画像データを時間長さ「TO」で書き込む。また、後続の第2画像データを時間長さ「TO」で書き込む。尚、出力部214は、第2画像データが書き込まれるゲート線の数が、第2書込動作の実行回数に応じて、徐々に増加するように選択部212から出力された映像信号を処理してもよい。本実施形態において、第2温度閾値は、第2閾値として例示される。
【0102】
液晶パネル231の全てのゲート線に第2画像データが書き込まれる第2画像データが出力部214から出力されるのと同時に、判定部215はγ調整部213にγ値の調整の再開を指示する制御信号を出力する。この結果、γ調整部213は、映像信号の処理に用いられたγ値を元の値に徐々に戻す。
【0103】
(書込回数を低減させるための表示制御方法)
図7は、検出部221が第1温度閾値を超える駆動部220の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。図1、図3及び図7を用いて、表示制御方法が説明される。
【0104】
(ステップS100)
上述の如く、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。検出部221は、駆動部220の温度を測定し、検出信号を判定部215に出力する。本実施形態において、ステップS100は、駆動部の温度を測定する段階として例示される。
【0105】
(ステップS110)
ステップS110において、判定部215は、駆動部220の温度が第1温度閾値を超えているか否かを判定する。駆動部220の温度が、第1温度閾値を超えていないならば、ステップS110が繰り返される。ステップS110が繰り返されている間、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。駆動部220の温度が、第1温度閾値を超えているならば、ステップS120が実行される。ステップS110の判定処理によって、2回の書込動作がなされるか、1回の書込動作がなされるかが決定される。したがって、本実施形態において、ステップS110は、画像データの書込回数を決定する段階として例示される。
【0106】
(ステップS120)
ステップS120において、γ調整部213は、γ値を調整し、第2画像データの輝度レベルを、低減する。その後、ステップS130が実行される。
【0107】
(ステップS130)
ステップS130において、判定部215は、輝度レベルが目標輝度レベルに到達したか否かを判定する。輝度レベルが目標輝度レベルに到達していないならば、ステップS120が再度実行され、輝度レベルが更に低減される。輝度レベルが目標輝度レベルに到達すると、ステップS140が実行される。
【0108】
(ステップS140)
ステップS140において、出力部214は、第2画像データが書き込まれるゲート線の数を低減するように選択部212からの映像信号を処理する。この結果、駆動部220は、少ない数のゲート線に第2画像データを書き込む。ステップS140は、数フレーム画像の表示期間に亘って実行され、第2画像データが書き込まれるゲート線の数は、徐々に低減される。ステップS140において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示した後、ステップS150が実行される。
【0109】
(ステップS150)
ステップS150において、出力部214は、第2画像データの出力を停止する。尚、出力部214は、第1画像データの出力を継続する。ステップS150において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示すると、ステップS160が実行される。
【0110】
(ステップS160)
ステップS160において、駆動部220は、第1書込動作の期間を延長する。ステップS160は、数フレーム画像の表示期間に亘って実行され、第1書込動作の実行期間は、徐々に延長される。ステップS160において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示した後、ステップS170が実行される。
【0111】
(ステップS170)
ステップS170において、駆動部220は、ステップS160において延長された期間において、第1画像データを書き込む。ステップS170及び上述のステップS100は、ステップS110の判定結果によって決定された書込回数だけ画像データを書き込み、フレーム画像を液晶パネル231に表示させる工程である。したがって、ステップS170及びステップS100は、フレーム画像を液晶パネルに表示させる段階として例示される。
【0112】
(輝度調整)
図8は、第1画像データに対する輝度調整の概念図である。図1、図3及び図8を用いて、第1画像データに対する輝度調整が説明される。
【0113】
図3に関連して説明された如く、第1画像データは、選択部212に直接的に入力された映像信号に基づき生成される。γ調整部213を介さない信号処理ルートにおいて、映像システム100は、例えば、「γ値=2.2」のγ補正を用いて、映像信号が含む階調信号を液晶パネル231の輝度に変換する。
【0114】
第1画像データに基づくフレーム画像の表示において、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号から液晶パネル231の画素の輝度を決定する主な要素は、駆動部220及び液晶パネル231である。
【0115】
出力部214は、階調信号を含む第1画像データを出力する。駆動部220は、階調信号に示される「K値」を電圧値「V値」に変換する。駆動部220は、「V値」に相当する電圧を液晶パネル231に印加する。液晶パネル231の画素は、印加された電圧に応じた輝度で発光する。
【0116】
図9は、図7に関連して説明されたステップS100における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。図1、図3、図7乃至図9を用いて、第2画像データに対する輝度調整が説明される。
【0117】
図3に関連して説明された如く、第2画像データは、γ調整部213を介して選択部212に入力された映像信号に基づき生成される。したがって、ステップS100における第2画像データに基づくフレーム画像の表示において、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号から液晶パネル231の画素の輝度を決定する主な要素は、駆動部220及び液晶パネル231に加えて、γ調整部213を含む。
【0118】
ステップS100において、γ調整部213は、階調信号に示される「K値」に等しい「K’値」を出力する。したがって、映像システム100全体では、図8に関連して説明された第1画像データのγ補正と同様に、「γ値=2.2」のγ補正が実行される。
【0119】
図10は、図7に関連して説明されたステップS100における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。図1、図3、図7乃至図10を用いて、ステップS100における映像システム100の動作が説明される。
【0120】
図10のセクション(a)は、表示されるフレーム画像を示す。図10のセクション(a)に示される如く、液晶パネル231には、Rフレーム画像及びLフレーム画像が交互に表示される。
【0121】
輝度調整の原理を明瞭に説明するために、図10に関連する説明では、映像システム100は、Rフレーム画像及びLフレーム画像ともに白色の映像を表示する。
【0122】
図10のセクション(c)は、駆動部220による液晶パネル231への画像データの書込動作を概略的に示す。上述の如く、Rフレーム画像又はLフレーム画像を表示するために、駆動部220は、第1書込動作(第1画像データの書込)及び第2書込動作(第2画像データの書込)を行う。書込動作は、液晶パネル231の上側領域から開始され、下側領域で終了する。
【0123】
図10のセクション(b)は、光学シャッタ部310の動作を示す。光学シャッタ部310は、第2書込動作が終了するときに右シャッタ312又は左シャッタ311を開く。右シャッタ312が開かれている間、視聴者は、Rフレーム画像を視聴する。左シャッタ311が開かれている間、Lフレーム画像を視聴する。
【0124】
図10のセクション(d)は、第1書込動作及び第2書込動作が実行されている間に印加される電圧の極性を示す。Rフレーム画像を表示するとき、正の極性の電圧が印加される。Lフレーム画像を表示するとき、負の極性の電圧が印加される。この結果、中間電位が維持されやすくなる。本実施形態において、正の極性及び負の極性のうち一方は、第1極性として例示され、他方は第2極性として例示される。
【0125】
図10のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。図10のセクション(e)には、「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値が示される。「+」及び「−」は、図10のセクション(d)に関連して説明された電圧の極性を意味する。「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値は、画素の充電電位を意味する。図10のセクション(e)に関連する説明において、「±100」の数値は、「白色」を表現する電位を意味する。「±95」の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0126】
図10のセクション(e)に示される如く、第1書込動作の期間は短いため、最初のRフレーム画像の表示において、充電電位は、目標とする「+100」の値に到達しない。引き続き実行される第2書込動作によって、充電電位は、「+100」の値に到達する。
【0127】
その後に表示されるLフレーム画像の表示のために、駆動部220は、印加する電圧の極性を「正」から「負」に変更する。Rフレーム画像と同様の白色のLフレーム画像を表示するためには、充電電位は、「+100」の値から「−100」の値に変化する必要があるが、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の期間は、当該充電電位の変動を生じさせるには短すぎる。結果として、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の終了時において、充電電位は、「−95」の値となっている。その後に実行される第2書込動作によって、充電電位は、「−100」の値に到達する。
【0128】
図10のセクション(f)は、眼鏡装置300を通じて、視聴者が視聴する輝度を示す。図10のセクション(f)に示される「100」の数値は、「白色」のフレーム画像を視聴していることを意味する。尚、「100」以下の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0129】
図7に関連して説明されたステップS150(第2画像データの出力停止)が、ステップS110において、第1温度閾値を超える駆動部220の温度の検出の直後になされるならば、視聴者は、突如、第1書込動作で達成された「±95」の充電電位に対応する色相で表現されたフレーム画像を視聴する(即ち、視聴者は、突如、「白色」よりも暗く表現された色相のフレーム画像を視聴する)。このような突然の輝度変化は、視聴者に映像に対する違和感を与えるので、図7に関連して説明されたステップS120及びステップS130の処理を通じて、視聴者に知覚される輝度が、第1書込動作で達成される輝度に近づけられる。
【0130】
図11は、図7に関連して説明されたステップS120における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。図1、図3、図7、図9及び図11を用いて、第2画像データに対する輝度調整が説明される。
【0131】
ステップS120が開始されると、γ調整部213は、階調信号の「K値」が、「KT」を超える階調領域において、入力された階調信号が示す「K値」(輝度値)よりも小さくなる「K’値」を出力する。図9に示される階調信号の処理では、γ調整部213は、入力された階調信号の「K値」と等しい「K’値」を出力するので、映像システム100全体のγ補正(入力された階調信号から液晶パネル231の輝度を決定する処理)には実質的に寄与しないが、ステップS120が開始されると、「KT」を超える階調領域において、「K’値<K値」の関係が満たされるように、γ調整部213が入力信号を処理するので、「KT」を超える領域に対応する輝度で表現されるフレーム画像の領域は、暗く表現される。したがって、γ調整部213は、自己の出力特性を変更し、「KT」を超える領域において、映像システム100のγ補正に用いられるγ値を調整する。「KT」を超えない階調領域でのγ調整部213の出力特性は、ステップS100とステップS120との間で一定である。したがって、「KT」を超えない領域に対応する輝度で表現されるフレーム画像の領域は、γ調整部213に入力された階調信号の入力値と等しい階調値が出力される(K値=K’値)。
【0132】
輝度の変化は、一般的に、高輝度領域において知覚されやすく、低輝度領域において知覚されにくい。したがって、高輝度領域におけるγ調整部213の出力特性が変更されることにより、視聴者に輝度変化を知覚されやすい画像領域の輝度が、映像信号処理部210に入力される映像信号が規定する輝度よりも低く設定される。一方で、視聴者に輝度変化を知覚されにくい画像領域の輝度は、映像信号処理部210に入力される映像信号によって規定される輝度と等しく設定される。
【0133】
図12は、図7に関連して説明されたステップS120における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。図1、図3、図7、図10乃至12を用いて、ステップS120における映像システム100の動作が説明される。
【0134】
図12のセクション(a)乃至セクション(d)は、図10のセクション(a)乃至セクション(d)にそれぞれ対応する。
【0135】
図12のセクション(e)と図10のセクション(e)とを比較すると、第2書込動作によって達成される充電電位が、徐々に低減されていることが分かる。図11に関連して説明された如く、γ調整部213は、ステップS120が開始されると、出力特性を変更し、充電電位を低減させる。したがって、後続のLフレーム画像及びRフレーム画像は、先行するLフレーム画像及びRフレーム画像の輝度レベルと比べて低くなる。この結果、視聴者が視聴するフレーム画像の輝度は、徐々に低減する。
【0136】
図13は、図7に関連して説明されたステップS120からステップS150までの工程における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。図1、図3、図7、図11乃至図13を用いて、ステップS120からステップS150までの工程における映像システム100の動作が説明される。
【0137】
図13のセクション(a)乃至セクション(d)は、図12のセクション(a)乃至セクション(d)にそれぞれ対応する。
【0138】
図7に関連して説明された如く、ステップS120において、輝度が低減された後に、ステップS140及びステップS150が実行される。ステップS140が開始されると、γ調整部213は、出力特性を保持する。ステップS140が開始されると、ステップS120の終了時に第2書込動作によって書き込まれた第2画像データの生成に用いられた出力特性と同様の出力特性を用いて、γ調整部213は、階調信号を出力する。したがって、ステップS140が実行されている間、第2書込動作によって充電電位「±95」の値が達成される。したがって、視聴者は、ステップS120とステップS140との間で、輝度変化をほとんど知覚しない。
【0139】
上述の如く、ステップS140において、第2書込動作によって第2画像データが書き込まれるゲート線の数が徐々に低減される。したがって、ステップS150において、第2書込動作が停止されても、視聴者は、駆動部220の動作変化(第2書込動作の停止)をほとんど知覚しない。
【0140】
(書込回数を増大させるための表示制御方法)
図14は、検出部221が第2温度閾値を下回る駆動部220の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。図1、図3、図5、図7、図9及び図14を用いて、表示制御方法が説明される。
【0141】
(ステップS200)
ステップ200は、図7に関連して説明されたステップ170に対応する。駆動部220は、液晶パネル231に第1画像データのみを書き込む。検出部221は、駆動部220の温度を測定し、検出信号を判定部215に出力する。
【0142】
(ステップS210)
ステップS210において、判定部215は、駆動部220の温度が第2温度閾値を下回っているか否かを判定する。駆動部220の温度が、第2温度閾値を下回っていないならば、ステップS210が繰り返される。ステップS210が繰り返されている間、駆動部220は、第1画像データのみを液晶パネル231に書き込む。駆動部220の温度が、第2温度閾値を下回っているならば、ステップS220が実行される。
【0143】
(ステップS220)
ステップS220において、駆動部220は、図7に関連して説明されたステップS160が実行される前の書込期間(書込期間「TO」(図5参照))で、第1画像データを書き込む。この結果、後続する第2画像データが書き込まれる時間が確保される。駆動部220が元の書込時間長さで第1画像データを書き込むと、ステップS230が実行される。
【0144】
(ステップS230)
上述のステップS220において、第2画像データが書き込まれるための期間が確保される。ステップS230において、確保された期間に第2画像データを書き込む。尚、ステップS230では、比較的少ない本数のゲート線に第2画像データが書き込まれる。第2画像データが書き込まれた後、ステップS240が実行される。
【0145】
(ステップS240)
ステップS240において、出力部214は、第2画像データを調整し、駆動部220が第2画像データを書き込むゲート線の数を徐々に増大させる。全てのゲート線に対して、駆動部220が第2画像データを書き込むことができる第2画像データが出力されると、ステップS250が実行される。
【0146】
(ステップS250)
ステップS250において、γ調整部213は出力特性を、図9に関連して説明された出力特性に近づけるように調整する。この結果、液晶パネル231に描かれるフレーム画像の輝度は、高くなる。γ調整部213が出力特性を調整すると、ステップS260が実行される。
【0147】
(ステップS260)
ステップS260において、判定部215は、γ調整部213の出力特性が、図9に関連して説明された出力特性に復帰したか否かを判定する。γ調整部213の出力特性が、図9に関連して説明された出力特性に回復していないならば、ステップS250が再度行われる。この結果、液晶パネルに描かれるフレーム画像の輝度は、徐々に増大する。γ調整部213の出力特性が、図9に関連して説明された出力特性に回復しているならば、ステップS270が実行される。
【0148】
(ステップS270)
ステップS270は、図7に関連して説明されたステップS100に相当する。駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。
【0149】
<第2実施形態>
図15は、第2実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図15を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対しては、同様の符号が付されている。以下の説明において、第1実施形態との相違点が主に説明される。第1実施形態と同様の特徴に対して、第1実施形態に関連する説明が援用される。
【0150】
映像システム100Aは、第1実施形態に関連して説明された眼鏡装置300に加えて、表示装置200Aを備える。表示装置200Aは、第1実施形態に関連して説明された表示部230及び第2制御部240に加えて、映像信号処理部210Aを備える。
【0151】
図16は、表示装置200Aの映像信号処理部210Aの機能構成を概略的に示すブロック図である。図7、図14乃至図16を用いて、映像信号処理部210Aが説明される。
【0152】
映像信号処理部210Aは、第1実施形態に関連して説明された選択部212、出力部214及び判定部215に加えて、γ調整部213Aを備える。第2実施形態は、γ調整部213Aの出力特性において、第1実施形態と相違する。尚、表示装置200Aは、γ調整部213Aを用いて、図7及び図14に関連して説明された書込回数の増減制御を実行する。
【0153】
図17は、γ調整部213Aの出力特性を概略的に示す。図3、図7、図11、図15及び図17を用いて、第1実施形態に従うγ調整部213と第2実施形態に従うγ調整部213Aとの間の差異が説明される。
【0154】
図7に関連して説明されたステップS120が開始されると、γ調整部213Aは、出力特性を変更する。第1実施形態のγ調整部213と異なり、γ調整部213Aは、階調信号が規定する階調領域全体に亘って、入力された階調信号の「K値」よりも低い「K’値」を出力する。この結果、映像システム100A全体のγ値が階調信号が規定する階調領域全体に亘って低減される。したがって、第2実施形態によれば、ステップS120の実行によって、第2画像データに基づき描かれるフレーム画像の高輝度の画像領域だけでなく、低輝度の画像領域の輝度も変化する。しかしながら、γ調整部213Aの出力調整は、輝度領域に対して設けられた閾値「KT」(図11参照)に関連する処理を伴わないので、ステップS120における演算処理が簡素化される。
【0155】
<第3実施形態>
図18は、第3実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図18を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対しては、同様の符号が付されている。以下の説明において、第1実施形態との相違点が主に説明される。第1実施形態と同様の特徴に対して、第1実施形態に関連する説明が援用される。
【0156】
映像システム100Bは、第1実施形態に関連して説明された眼鏡装置300に加えて、表示装置200Bを備える。表示装置200Bは、第1実施形態に関連して説明された第2制御部240に加えて、表示部230B及び映像信号処理部210Bを備える。
【0157】
表示部230Bは、第1実施形態に関連して説明された第1制御部250、バックライト光源232、液晶パネル231及び検出部221に加えて、駆動部220Bを備える。駆動部220Bは、第1実施形態に関連して説明された駆動部220と、フレーム反転駆動のパターンにおいて相違する。フレーム反転駆動のパターンの相違は後述される。
【0158】
図19は、表示装置200Bの映像信号処理部210Bの機能構成を概略的に示すブロック図である。図18及び図19を用いて、映像信号処理部210Bが説明される。
【0159】
映像信号処理部210Bは、第1実施形態に関連して説明された出力部214及び判定部215に加えて、選択部212B及びγ調整部213Bを備える。第1実施形態と異なり、Lフレーム画像を表示するためのL信号は、γ調整部213Bを介さず、選択部212Bに入力される。一方、Rフレーム画像を表示するためのR信号に対しては、第1実施形態と同様に、選択部212Bに直接的に入力される経路及びγ調整部213Bを介して選択部212Bに入力される経路が用意される。尚、γ調整部213Bによる信号処理の原理は、第1実施形態に関連して説明されたγ調整部213が実行する信号処理と同様である。代替的に、γ調整部213Bは、第2実施形態に関連して説明されたγ調整部213Aが実行する信号処理を行ってもよい。
【0160】
選択部212Bは、Lフレーム画像が表示されるための期間において、第1書込動作に用いられるL信号と、第2書込動作に用いられるL信号とを、出力部214に出力する。また、選択部212Bは、Rフレーム画像が表示されるための期間において、第1書込動作に用いられるR信号と、第2書込動作に用いられるR信号とを、出力部214に出力する。第1書込動作に用いられるR信号は、選択部212Bに直接的に入力された信号である。また、第2書込動作に用いられるR信号は、γ調整部213Bを介して、選択部212Bに入力された信号である。本実施形態において、R信号に対してのみ、γ調整部213Bによる処理が実行される。代替的に、L信号に対してのみ、γ調整部による処理が実行されてもよい。
【0161】
出力部214は、第1書込動作に用いられるL信号及びR信号に基づき生成された第1画像データを駆動部220Bに出力する。また、出力部214は、第2書込動作に用いられるL信号及びR信号に基づき生成された第2画像データを駆動部220Bに出力する。尚、表示装置200Bは、γ調整部213Bを用いて、図7及び図14に関連して説明された書込回数の増減制御を実行する。
【0162】
図20は、図7に関連して説明されたステップS100における映像システム100Bの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図7、図10、図18乃至図20を用いて、図10に関連して説明された映像システム100の動作と、本実施形態の映像システム100Bの動作との差異が説明される。
【0163】
図20のセクション(a)乃至セクション(c)並びにセクション(f)は、図10のセクション(a)乃至セクション(c)並びにセクション(f)にそれぞれ対応する。
【0164】
図20のセクション(d)は、第1書込動作及び第2書込動作が実行されている間に印加される電圧の極性を示す。第1実施形態の駆動部220は、フレーム画像ごとに電圧の極性を変更しているが、第3実施形態の駆動部220Bは、Rフレーム画像及びLフレーム画像の組ごとに電圧の極性を変更する。輝度調整の原理を明瞭化するために、図20に関連する説明では、表示装置200Bは、Rフレーム画像及びLフレーム画像ともに白色の映像を表示する。しかしながら、表示装置200Bが立体映像を表示するならば、1つの組に含まれるRフレーム画像及びLフレーム画像は、視差の分だけ異なる内容を表してもよい。図20のセクション(a)には、先行するフレーム画像の組及び後続のフレーム画像の組の一部が示されている。本実施形態において、先行するフレーム画像の組は、第1組のフレーム画像として例示される。また、後続のフレーム画像の組は、第2組のフレーム画像として例示される。
【0165】
図20のセクション(d)に示される如く、駆動部220Bは、先行するフレーム画像の組を表示するために、正の極性の電圧を印加し、第1書込動作及び第2書込動作を実行する。その後、駆動部220Bは、後続するフレーム画像の組を表示するために、負の極性の電圧を印加し、第1書込動作及び第2書込動作を実行する。更にその後、駆動部220Bは、正の極性の電圧を印加する。かくして、駆動部220Bは、印加電圧の極性を交互に切り替える。
【0166】
図20のセクション(a)に示される如く、本実施形態において、Rフレーム画像がLフレーム画像に先行して表示される。代替的に、Lフレーム画像がRフレーム画像に先行して表示されてもよい。
【0167】
図20のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。図20のセクション(e)には、「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値が示されている。「+」及び「−」は、電圧の極性を意味する。「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値は、画素の充電電位を意味する。図20のセクション(e)に関連する説明において、「±100」の数値は、「白色」を表現する電位を意味する。「±95」の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0168】
先行するフレーム画像の組のRフレーム画像に対する第1書込動作の開始時に、駆動部220Bは、印加電圧の極性を、「負」から「正」に切り替え、Rフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む。第1書込動作の結果得られる充電電位は、目標とする「100」の充電電位に到達しない。駆動部220Bは、その後、Rフレーム画像に対応する第2画像データを液晶パネル231に書き込む(第2書込動作)。第2書込動作は、第1書込動作での充電不足を補うので、Rフレーム画像の表示期間の終了時には、充電電位は、目標とする「100」に到達する。
【0169】
Rフレーム画像の表示期間の後、Lフレーム画像の表示期間が開始する。Rフレーム画像の表示期間とLフレーム画像の表示期間との間では、駆動部220Bは、印加電圧の極性を切り替えない。したがって、第1実施形態と異なり、駆動部220Bは、Rフレーム画像の表示と同様に、「正」の電圧を印加して、後続のLフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に印加する。Rフレーム画像とは異なり、印加電圧の極性の切替に起因する充電不足は生じないので、Lフレーム画像のための第1書込動作の終了時において、充電電位は、目標とする「100」の値に到達する。その後、Lフレーム画像のための第2書込動作が実行される。第1書込動作によって、充電電位は、目標とする「100」の値に到達しているので、第2書込動作の後も、「100」の充電電位が維持される。
【0170】
後続のフレーム画像の組のRフレーム画像に対する第1書込動作の開始時に、駆動部220Bは、印加電圧の極性を、「正」から「負」に切り替え、Rフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む。第1書込動作の結果得られる充電電位は、目標とする「−100」の充電電位に到達しない。駆動部220Bは、その後、Rフレーム画像に対応する第2画像データを液晶パネル231に書き込む(第2書込動作)。第2書込動作は、第1書込動作での充電不足を補うので、Rフレーム画像の表示期間の終了時には、充電電位は、目標とする「−100」に到達する。
【0171】
Rフレーム画像の表示期間の後、Lフレーム画像の表示期間が開始する。Rフレーム画像の表示期間とLフレーム画像の表示期間との間では、駆動部220Bは、印加電圧の極性を切り替えない。したがって、第1実施形態と異なり、駆動部220Bは、Rフレーム画像の表示と同様に、「負」の電圧を印加して、後続のLフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に印加する。Rフレーム画像とは異なり、印加電圧の極性の切替に起因する充電不足は生じないので、Lフレーム画像のための第1書込動作の終了時において、充電電位は、目標とする「−100」の値に到達する。その後、Lフレーム画像のための第2書込動作が実行される。第1書込動作によって、充電電位は、目標とする「−100」の値に到達しているので、第2書込動作の後も、「−100」の充電電位が維持される。
【0172】
図21は、図7に関連して説明されたステップS150における映像システム100Bの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図7、図18乃至図21を用いて、映像システム100Bの動作が説明される。
【0173】
図21のセクション(a)乃至セクション(c)は、図20のセクション(a)乃至セクション(c)にそれぞれ対応する。
【0174】
図7に関連して説明された如く、ステップS150の間、映像信号処理部210Bは、第2画像データの出力を停止する。したがって、駆動部220Bは、第2書込動作を実行せず、第1書込動作のみを行う。
【0175】
図21のセクション(d)は、駆動部220Bが印加する電圧の極性を示す。第1書込動作を行う駆動部220Bは、先行するフレーム画像の組の表示のために、正の極性の電圧を印加し、後続のフレーム画像の組の表示のために、負の電極を印加する。
【0176】
図21のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。先行するフレーム画像の組のRフレーム画像に対する第1書込動作の開始時に、駆動部220Bは、印加電圧の極性を、「負」から「正」に切り替え、Rフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む。第1書込動作の結果得られる充電電位は、目標とする「100」の充電電位に到達しない。駆動部220Bは、その後、Lフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む(第1書込動作)。Lフレーム画像に対する第1書込動作は、Rフレーム画像に対する第1書込動作での充電不足を補うので、充電電位は、目標とする「100」に到達する。
【0177】
後続するフレーム画像の組の表示期間においても、Rフレーム画像は、不十分な充電電位の下で表示される一方で、Lフレーム画像は、目標とする充電電位の下で表示される。
【0178】
図21のセクション(f)は、眼鏡装置300を通じて、視聴者が視聴する輝度を示す。図21のセクション(f)に示される「100」の数値は、「白色」のフレーム画像を視聴していることを意味する。尚、「100」以下の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0179】
図21のセクション(b)に示される如く、光学シャッタ部310の右シャッタ312及び左シャッタ311は、Rフレーム画像の表示期間及びLフレーム画像の表示期間の終了時にそれぞれ開かれる。
【0180】
先行するフレーム画像の組のRフレーム画像に対応する第1書込動作によって達成された充電電位は、右シャッタ312が開かれる期間においても維持される。したがって、視聴者は、「+95」の充電電位に対応する色相で表現されたフレーム画像を視聴する(即ち、視聴者は、「白色」よりも暗く表現された色相のフレーム画像を視聴する)。
【0181】
先行するフレーム画像の組のLフレーム画像に対応する第1書込動作によって達成された充電電位は、左シャッタ311が開かれる期間においても維持される。したがって、視聴者は、「+100」の充電電位に対応する色相で表現されたフレーム画像を視聴する(即ち、視聴者は、「白色」のフレーム画像を視聴する)。
【0182】
視聴者は、Rフレーム画像及びLフレーム画像の平均輝度を先行するフレーム画像の組(同様に、後続のフレーム画像の組)に対して知覚する。したがって、視聴者が知覚する輝度は、「97.5」(「白色」よりも暗く表現された色相のフレーム画像)となる。
【0183】
図7に関連して説明されたステップS120における処理は、第2書込動作の停止に伴う輝度変化を視聴者に知覚されにくくするために実行される。
【0184】
図22は、ステップS120の実行に伴う輝度変化を示す概略的なチャートである。図7、図11、図17乃至図19並びに図21及び図22を用いて、液晶パネル231の輝度変化が説明される。
【0185】
図22に示されるように、γ調整部213Bは、第2画像データを生成するためのR信号に対してのみ、図11又は図17に関連して説明された信号処理を実行するので、Rフレーム画像に対する第2書込動作に対応する輝度の絶対値のみが、順次、低減する。図22は、Rフレーム画像に対する輝度が「±95」になるまでステップS120が実行されていることを示す。
【0186】
視聴者は、第2書込動作が終了したときの輝度を知覚する。したがって、ステップS120の実行の結果、視聴者は、Rフレーム画像とLフレーム画像とを含むフレーム画像の組に対して、「97.5」の輝度を知覚する。かくして、視聴者は、第2書込動作の停止に伴う輝度変化をほとんど知覚しない。
【0187】
<第4実施形態>
図23は、第4実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図23を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対しては、同様の符号が付されている。以下の説明において、第1実施形態との相違点が主に説明される。第1実施形態と同様の特徴に対して、第1実施形態に関連する説明が援用される。
【0188】
(映像システムの構成)
映像システム100Cは、第1実施形態に関連して説明された眼鏡装置300に加えて、表示装置200Cを備える。表示装置200Cは、第1実施形態に関連して説明された第2制御部240に加えて、表示部230C及び映像信号処理部210Cを備える。表示部は、第1実施形態に関連して説明された、第1制御部250、バックライト光源232、液晶パネル231及び検出部221に加えて、駆動部220Cを備える。駆動部220Cが、第1書込動作を第2書込動作よりも高速に行う点で、第1実施形態の駆動部220と相違する。
【0189】
図24は、表示装置200Cの映像信号処理部210Cの機能構成を概略的に示すブロック図である。図23及び図24を用いて、映像信号処理部210Cが説明される。
【0190】
映像信号処理部210Cは、第1実施形態に関連して説明されたγ調整部213に加えて、出力部214C、判定部215C、選択部212C及び等価部211を備える。等価部211は、第1画像データの解像度を低減するための信号処理を実行する。第1画像データの解像度の低減によって、駆動部220Cは、第2画像データを書き込むための時間長さより短い期間で第1画像データを書き込むことができる。本実施形態において、等価部211は、解像度調整部として例示される。等価部211は、後述される等価処理(平均化処理又は選択処理)を映像信号に対して実行する。
【0191】
(等価処理(平均化処理))
図25は、液晶パネル231の一部を概略的に示す模式図である。図26は、等価処理として例示される平均化処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。図23乃至図26を用いて、平均化処理が説明される。
【0192】
液晶パネル231は、水平方向に延びる複数のゲート線と、垂直方向に延びる複数のデータ線と、を含む。図25には、垂直方向に整列したゲート線L1乃至L16及び水平方向に整列したデータ線M1乃至M32が示されている。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点には、画素P及び画素Pに対応する液晶(図示せず)がそれぞれ割り当てられる。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32とに印加される電圧に応じて、液晶の駆動量が定められる。
【0193】
図26には、ゲート線L1乃至L4とデータ線M1及びM2とのそれぞれの交点に対応する画素P1乃至P8が示されている。図24に示される如く、等価部211にはフレーム映像信号(Lフレーム画像信号及びRフレーム画像信号)が直接的に入力される。等価部211は、垂直方向に整列した複数の画素を含む画素グループ(図26中、点線で囲まれる画素の組)を設定する。図26には、データ線M1上に整列した画素P1,P2の組を含む画素グループG1,データ線M1上に整列した画素P3,P4の組を含む画素グループG2,データ線M2上に整列した画素P5,P6の組を含む画素グループG3及びデータ線M2上に整列した画素P7,P8の組を含む画素グループG4が示されている。
【0194】
図26中の各画素内に示された数値は、画素に対して割り当てられた輝度を示す。フレーム画像信号は、例えば、画素P1,P3に対して、「40」の輝度を規定し、画素P2,P4,P6,P8に対して、「60」の輝度を規定し、画素P5,P7に対して、「80」の輝度を規定している。等価部211は、各画素グループG1,G2,G3,G4内で輝度を平均化する。等価部211は、画素グループG1中の画素P1,P2に対して規定された「40」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「50」の輝度を画素P1,P2に設定する。等価部211は、画素グループG2中の画素P3,P4に対して規定された「40」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「50」の輝度を画素P3,P4に設定する。等価部211は、画素グループG3中の画素P5,P6に対して規定された「80」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「70」の輝度を画素P5,P6に設定する。等価部211は、画素グループG4中の画素P7,P8に対して規定された「80」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「70」の輝度を画素P7,P8に設定する。図25に示される如く、上述の平均化処理は、各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点に対応する全ての画素Pに対して実行される。
【0195】
(等価処理(選択処理))
図27は、液晶パネル231の一部を概略的に示す模式図である。図28は、等価処理として例示される選択処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。図23、図24、図27及び図28を用いて、選択処理が説明される。
【0196】
液晶パネル231は、水平方向に延びる複数のゲート線と、垂直方向に延びる複数のデータ線と、を含む。図27には、垂直方向に整列したゲート線L1乃至L16及び水平方向に整列したデータ線M1乃至M32が示されている。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点には、画素P及び画素Pに対応する液晶(図示せず)がそれぞれ割り当てられる。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32とに印加される電圧に応じて、液晶の駆動量が定められる。
【0197】
図28には、ゲート線L1乃至L4とデータ線M1及びM2とのそれぞれの交点に対応する画素P1乃至P8が示されている。等価部211は、垂直方向に整列した複数の画素を含む画素グループ(図28中、点線で囲まれる画素の組)を設定する。図28には、データ線M1上に整列した画素P1,P2の組を含む画素グループG1,データ線M1上に整列した画素P3,P4の組を含む画素グループG2,データ線M2上に整列した画素P5,P6の組を含む画素グループG3及びデータ線M2上に整列した画素P7,P8の組を含む画素グループG4が示されている。
【0198】
図28中の各画素P1乃至P8内に示された数値は、画素P1乃至P8それぞれに対して割り当てられた輝度を示す。フレーム画像信号は、例えば、画素P1,P3に対して、「40」の輝度を規定し、画素P2,P4,P6,P8に対して、「60」の輝度を規定し、画素P5,P7に対して、「80」の輝度を規定している。等価部211は、各画素グループG1,G2,G3,G4内で輝度を選択する。等価部211は、奇数番号のゲート線上の画素P1,P3,P5,P7に対して規定された輝度を選択し、画素グループG1,G2,G3,G4内の他の画素P2,P4,P6,P8に選択された輝度をそれぞれ割り当てる。したがって、画素グループG1内の画素P1,P2並びに画素グループG2内の画素P3,P4内の画素P3,P4の輝度は、「40」に設定される。また、画素グループG3内の画素P5,P6並びに画素グループG4内の画素P7,P8の輝度は、「80」に設定される。代替的に、等価部211は、フレーム画像信号が画素グループ内の画素に対して定めた輝度のうち、大きい方或いは小さい方を選択してもよい。更に代替的に、等価部211は、他の適切な基準に基づき、第1画像データを生成するための輝度を選択してもよい。図27に示される如く、上述の選択処理は、ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点に対応する全ての画素Pに対して実行される。
【0199】
(第1書込動作及び第2書込動作)
第1画像データを書き込むための第1書込動作及び第2画像データを書き込むための第2書込動作が以下に説明される。
【0200】
等価部211は、フレーム画像信号に対して、上述の平均化処理を行い、平均化信号を出力する。或いは、等価部211は、フレーム画像信号に対して、上述の選択処理を行い、選択信号を出力する。
【0201】
図24に示される如く、平均化信号又は選択信号は、選択部212Cに入力される。したがって、選択部212Cは、第1画像データを生成するための信号として、等価部211によって処理された信号を受け、第2画像データを生成するための信号として、γ調整部213によって処理された信号を受ける。選択部212Cは、第1画像データが書き込まれる期間に、等価部211によって処理された信号を出力部214Cに出力する。また、選択部212Cは、第2画像データが書き込まれる期間に、γ調整部213によって処理された信号を出力部214Cに出力する。
【0202】
図29は、駆動部220Cが行う書込動作を示す概略的なグラフである。図29(a)は、第1画像データを書き込むための第1書込動作を示す。図29(b)は、第2画像データを書き込むための第2書込動作を示す。図29は、ゲート線L1乃至L12までの書込動作を示す。図29(a)及び図29(b)の横軸は、ゲート線L1乃至L12までの書込動作を行っている時間軸である。図29(a)及び図29(b)の縦軸は、液晶パネル231の垂直方向に位置を表す。図23、図24、図26、図28及び図29を用いて、第1書込動作及び第2書込動作が説明される。
【0203】
等価部211は、図26及び図28に関連して説明された如く、垂直方向に整列した画素を含む画素グループG1,G2,G3,G4内の画素に対して、等しい輝度を規定する。したがって、駆動部220Cは、ゲート線L2t−1,L2t(tは自然数)上に第1画像データを同時に書き込むことができる。この結果、ゲート線L2t−1,L2t(tは自然数)上の画素に対応する液晶は、同時に駆動される。
【0204】
第2画像データは、γ調整部213によって処理された映像信号に基づき生成されるので、画素ごとに異なる輝度を潜在的に規定する。したがって、駆動部220Cは、ゲート線L1から下端のゲート線に向けて、順次、第2画像データを書き込む。
【0205】
本実施形態において、第1書込動作を行う駆動部220Cは、2つのゲート線L2t−1,L2tの組に同時に第1画像データの書き込みを行うので、ゲート線L12までの書き込みを完了するまでの第1書込動作の期間T1は、ゲート線L12までの書き込みを完了するまでの第2書込動作の期間T2の半分となる。比較的短期間で行われる第1書込動作によって、液晶パネル231の液晶の駆動が表示面全体に亘って早期に開始されるので、特に表示面下部領域におけるクロストークが低減される。
【0206】
(書込回数を低減させるための表示制御方法)
図30は、検出部221が第1温度閾値を超える駆動部220Cの温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。図11、図17、図23、図24、図29及び図30を用いて、表示制御方法が説明される。
【0207】
(ステップS300)
図24に示される如く、検出部221は、駆動部220Cの温度を測定し、測定された温度の情報を含む検出信号を判定部215Cに出力する。駆動部220Cは、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。尚、図29に関連して説明された如く、第1画像データの液晶パネル231への書込は、第2画像データの書込よりも高速に行われる。本実施形態において、ステップS300は、駆動部の温度を測定する段階として例示される。
【0208】
(ステップS310)
ステップS310において、判定部215Cは、駆動部220Cの温度が第1温度閾値を超えているか否かを判定する。駆動部220Cの温度が、第1温度閾値を超えていないならば、ステップS310が繰り返される。ステップS310が繰り返されている間、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。駆動部220の温度が、第1温度閾値を超えているならば、ステップS320が実行される。ステップS310の判定処理によって、2回の書込動作がなされるか、1回の書込動作がなされるかが決定される。したがって、本実施形態において、ステップS310は、画像データの書込回数を決定する段階として例示される。
【0209】
(ステップS320)
ステップS320において、γ調整部213は、γ値を調整し、第2画像データの輝度レベルを、低減する。その後、ステップS330が実行される。尚、本実施形態において、γ調整部213の輝度調整に関する処理は、第1実施形態又は第2実施形態の処理と同様である。
【0210】
(ステップS330)
ステップS330において、判定部215Cは、輝度レベルが目標輝度レベルに到達したか否かを判定する。輝度レベルが目標輝度レベルに到達していないならば、ステップS320が再度実行され、輝度レベルが更に低減される。図11又は図17に関連して説明されたγ調整部213の出力特性が、書込動作の回数の低減に伴う輝度変化を視聴者に知覚させない程度まで変更されると、γ調整部213は、通知信号を判定部215Cに出力する。判定部215Cがγ調整部213から通知信号を受けると、ステップS340が実行される。
【0211】
(ステップS350)
ステップS350において、判定部215Cは、選択部212Cに第1画像データの出力を停止させる制御信号を出力する。選択部212Cが第1画像データの出力を停止すると、ステップS355が実行される。
【0212】
(ステップS355)
ステップS355において、選択部212Cは、第1画像データの代わりに、第2画像データを出力部214Cに出力する。この結果、第2画像データの書込タイミングが調整される。書込タイミングの調整は、後述される。
【0213】
(ステップS360)
ステップS360において、駆動部220Cは、第2画像データの書込期間を徐々に延長してもよい。ステップS355において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示した後、或いは、駆動部220Cの温度低下が十分でないとき、ステップS360が実行されてもよい。
【0214】
(ステップS370)
ステップS370は、ステップS360において、第2画像データの書込期間が十分に長くなったとき、或いは、ステップS355が実行された後に行われる。ステップS370において、駆動部220は、第2画像データのみを液晶パネル231に書き込む。ステップS370及び上述のステップS300は、ステップS310の判定結果によって決定された書込回数だけ画像データを書き込み、フレーム画像を液晶パネル231に表示させる工程である。したがって、ステップS370及びステップS300は、フレーム画像を液晶パネルに表示させる段階として例示される。
【0215】
図31は、図30に関連して説明されたステップS300における映像システム100Cの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図23、図24、図30及び図31を用いて、ステップS300における映像システム100Cの動作が説明される。
【0216】
図31のセクション(a)は、表示されるフレーム画像を示す。図31のセクション(a)に示される如く、液晶パネル231には、Rフレーム画像及びLフレーム画像が交互に表示される。
【0217】
輝度調整の原理を明瞭に説明するために、図31に関連する説明では、映像システム100Cは、Rフレーム画像及びLフレーム画像ともに白色の映像を表示する。
【0218】
図31のセクション(c)は、駆動部220Cによる液晶パネル231への画像データの書込動作を概略的に示す。上述の如く、Rフレーム画像又はLフレーム画像を表示するために、駆動部220は、第1書込動作(第1画像データの書込)及び第2書込動作(第2画像データの書込)を行う。書込動作は、液晶パネル231の上側領域から開始され、下側領域で終了する。また、第1書込動作は、第2書込動作よりも高速に行われる。
【0219】
図31のセクション(b)は、光学シャッタ部310の動作を示す。光学シャッタ部310は、Rフレーム画像又はLフレーム画像の表示時間の終了時(第2書込動作が終了してから後続のフレーム画像の表示期間が開始するまでの期間)に右シャッタ312又は左シャッタ311を開く。右シャッタ312が開かれている間、視聴者は、Rフレーム画像を視聴する。左シャッタ311が開かれている間、Lフレーム画像を視聴する。
【0220】
図31のセクション(d)は、第1書込動作及び第2書込動作が実行されている間に印加される電圧の極性を示す。Rフレーム画像を表示するとき、正の極性の電圧が印加される。Lフレーム画像を表示するとき、負の極性の電圧が印加される。この結果、中間電位が維持されやすくなる。本実施形態において、正の極性及び負の極性のうち一方は、第1極性として例示され、他方は第2極性として例示される。
【0221】
図31のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。図31のセクション(e)には、「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値が示される。「+」及び「−」は、図31のセクション(d)に関連して説明された電圧の極性を意味する。「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値は、画素の充電電位を意味する。図31のセクション(e)に関連する説明において、「±100」の数値は、「白色」を表現する電位を意味する。「±95」の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0222】
図31のセクション(e)に示される如く、第1書込動作の期間は短いため、最初のRフレーム画像の表示において、充電電位は、目標とする「+100」の値に到達しない。引き続き実行される第2書込動作によって、充電電位は、「+100」の値に到達する。
【0223】
その後に表示されるLフレーム画像の表示のために、駆動部220は、印加する電圧の極性を「正」から「負」に変更する。Rフレーム画像と同様の白色のLフレーム画像を表示するためには、充電電位は、「+100」の値から「−100」の値に変化する必要があるが、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の期間は、当該充電電位の変動を生じさせるには短すぎる。結果として、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の終了時において、充電電位は、「−95」の値となっている。その後に実行される第2書込動作によって、充電電位は、「−100」の値に到達する。
【0224】
図31のセクション(f)は、眼鏡装置300を通じて、視聴者が視聴する輝度を示す。図31のセクション(f)に示される「100」の数値は、「白色」のフレーム画像を視聴していることを意味する。尚、「100」以下の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0225】
図32は、図30に関連して説明されたステップS320における映像システム100Cの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図11、図17、図23、図24、図30乃至32を用いて、ステップS320における映像システム100Cの動作が説明される。
【0226】
図32のセクション(a)乃至セクション(d)並びにセクション(f)は、図31のセクション(a)乃至セクション(d)並びにセクション(f)にそれぞれ対応する。
【0227】
図32のセクション(e)と図31のセクション(e)とを比較すると、第2書込動作によって達成される充電電位が、徐々に低減されていることが分かる。図11及び図17に関連して説明された如く、γ調整部213は、ステップS320が開始されると、出力特性を変更し、充電電位を低減させる。したがって、後続のLフレーム画像及びRフレーム画像は、先行するLフレーム画像及びRフレーム画像の輝度レベルと比べて低くなる。この結果、視聴者が視聴するフレーム画像の輝度は、徐々に低減する。
【0228】
図33は、図31に関連して説明されたステップS350からステップS355までの工程における映像システム100Cの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図23、図24、図30、図31及び図33を用いて、ステップS350からステップS355までの工程における映像システム100Cの動作が説明される。
【0229】
図33のセクション(a)、セクション(b)並びにセクション(d)乃至セクション(f)は、図31のセクション(a)及びセクション(b)並びにセクション(d)乃至セクション(f)にそれぞれ対応する。
【0230】
図30に関連して説明された如く、ステップS350において、選択部212Cは、第1画像データとして用いられる信号の出力を停止する。ステップS355において、選択部212Cは、第2画像データとして用いられる信号の出力タイミングを調整する。この結果、第2画像データとして用いられる信号は、Rフレーム画像又はLフレーム画像の開始と同期して出力される。
【0231】
図33のセクション(c)は、ステップS370における駆動部220Cの第2画像データの書込動作を示す。図33(c)に示される如く、ステップS350及びステップS355の処理の結果、第2画像データを書き込むための第2書込動作は、Rフレーム画像及びLフレーム画像の表示期間の開始時に同期して開始される。ステップS320における輝度低減の処理の結果、ステップS350及びステップS355の実行に伴う輝度変化は、視聴者に検知されにくくなる。
【0232】
(書込回数を増大させるための表示制御方法)
判定部215Cは、第1実施形態と同様に、駆動部220Cの温度が第2温度閾値を下回っているか否かを判定する。駆動部220の温度が、第2温度閾値を下回っているならば、図30に示される工程と逆の工程を経て、書込回数が増加される。
【0233】
本実施形態の原理は、様々な電子素子を用いて、実現される。例えば、上述の一連の制御は、集積回路及びこれに組み込まれたプログラムを用いて実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0234】
本発明は、フレーム画像の表示に対して複数回の書込動作を実行する表示装置及び表示システムに好適に適用される。
【符号の説明】
【0235】
200,200A,200B,200C・・・表示装置
210,210A,210B,210C・・・映像信号処理部
213,213A,212B・・・・・・・・γ調整部
220,220B,220C・・・・・・・・駆動部
221・・・・・・・・・・・・・・・・・・検出部
231・・・・・・・・・・・・・・・・・・液晶パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体的に知覚される映像を表示する表示装置は、左眼で視聴されるための左フレーム画像(以下、Lフレーム画像と称される)と、右眼で視聴されるための右フレーム画像(以下、Rフレーム画像と称される)とを所定周期(例えば、フィールド周期)で交互に表示する。表示されるLフレーム画像及びRフレーム画像は、視差の分だけ異なる内容を含む。視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像の表示周期に同期して駆動される液晶シャッタを備える眼鏡装置を通じて、Lフレーム画像及びRフレーム画像を視聴する(例えば、特許文献1参照)。この結果、視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像に表現されたオブジェクトを立体的に知覚する。
【0003】
Lフレーム画像及びRフレーム画像を、例えば、交互に表示し、視聴者に立体的に映像を知覚させるためには、これらのフレーム画像の画像データは、比較的短期間に書き込まれる必要がある。画像データの短い書込期間に起因して、液晶パネルを用いた表示装置は、しばしば、液晶への不十分な充電や液晶の応答遅れといった課題に直面する。
【0004】
本発明者は、1つのフレーム画像の表示に対して、画像データが、複数回、書き込まれることによって、上述の課題が解消されることを見出している。
【0005】
図34は、1つのフレーム画像に対する複数回の書込動作を示す概略的なタイミングチャートである。図34を用いて、複数回の書込動作が説明される。
【0006】
図34のセクション(a)は、Rフレーム画像及びLフレーム画像の表示に割り当てられた期間を示す。図34のセクション(a)に示される如く、立体映像の表示のために、典型的には、Rフレーム画像を表示するための期間及びLフレーム画像を表示するための期間が交互に設定される。
【0007】
Rフレーム画像を表示するための期間において、Rフレーム画像に対応する画像データが書き込まれる。Lフレーム画像を表示するための期間において、Lフレーム画像に対応する画像データが書き込まれる。
【0008】
図34のセクション(b)は、本発明者の表示装置が実行する書込動作を概略的に示す。図34のセクション(b)に示される如く、本発明者の表示装置は、1つのフレーム画像を表示するための期間において、第1書込動作及び第2書込動作を行う。
【0009】
第1書込動作は、液晶パネルの上側領域から開始される。画像データが液晶パネルの下側領域まで書き込まれた後、第2書込動作が開始される。第2書込動作は、第1書込動作と同様に、液晶パネルの上側領域から開始される。画像データが下側領域まで書き込まれると、後続のフレーム画像を表示するための期間が開始される。後続のフレーム画像を表示するための期間において、第1書込動作及び第2書込動作が実行される。
【0010】
液晶は、フレーム反転駆動方式に従って、駆動される。図34のセクション(b)において、Rフレーム画像に対応する第1書込動作及び第2書込動作によって、液晶は、正の極性(「+」)で駆動される。また、Lフレーム画像に対応する第1書込動作及び第2書込動作によって、液晶は、正の極性(「−」)で駆動される。
【0011】
図34のセクション(b)に示されるフレーム反転駆動方式に従うとき、第1書込動作による液晶への充電が不十分であっても、第2書込動作によって、液晶への充電が目標値に到達する。
【0012】
第1書込動作のみが行われるとき、Rフレーム画像及びLフレーム画像が同じ階調値であっても、画像データの短い書込期間に起因して、液晶の不十分な充電は潜在的に生ずる。例えば、Rフレーム画像及びLフレーム画像が全体的に白色の画像であるとき(Rフレーム画像及びLフレーム画像間の視差を考慮せずに)、Rフレーム画像からLフレーム画像の切替のために、例えば、「−10V」から「+10V」への駆動電圧の切替がなされる。第1書込動作が行われる期間のみでは、大幅な駆動電圧の変動に液晶の充電が間に合わず、目標の電位となるまで画像データの書込がなされない。かくして、Lフレーム画像には、「白」以外の色相で表示される領域が現れる。一方で、第1書込動作に続いて、第2書込動作が行われるならば、第1書込動作での画像データの不十分な書込は、第2書込動作によって補われることとなる。
【0013】
図34のセクション(c)は、眼鏡装置の液晶シャッタが開かれるタイミングを概略的に示す。図34のセクション(c)に示される如く、眼鏡装置の液晶シャッタは、Rフレーム画像の表示期間の終了時及びLフレーム画像の表示期間の終了時にそれぞれ開かれる。
【0014】
本発明者の表示装置は、第2書込動作のための期間を確保するために、第1書込動作は、比較的短期間で行われる。この結果、液晶パネルの下側領域の液晶の駆動は、比較的早期に開始される。このことは、液晶パネルの下側領域におけるRフレーム画像とLフレーム画像の混在(クロストーク)を低減させる。
【0015】
第1書込動作のみでフレーム画像が表示されるならば、典型的には、上述の書込不足を解消するために、第1書込動作の期間は比較的長く設定される。この結果、特に、液晶パネルの下側領域の液晶の応答が遅れ、液晶パネルの下側領域におけるクロストークが顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述の如く、本発明者の表示装置は、1つのフレーム画像を表示するための期間において、第1書込動作及び第2書込動作を行い、画像データの書込不足及びクロストークを好適に解消する。しかしながら、画像データの書込回数の増加は、液晶を駆動する駆動素子の発熱量を増大させ、結果として、駆動素子の性能の低下(例えば、中間電位の変動)をもたらす。中間電位の変動は、例えば、画像データの書込不足や液晶パネルの焼き付きを潜在的に生じさせる。更に、駆動素子の発熱量の増大は、駆動素子の信頼性を低下させる原因となる。
【0018】
本発明は、液晶を駆動させる要素の発熱に起因する表示画像の質の劣化を解消することができる表示装置及び表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一の局面に係る表示装置は、フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネルと、前記フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、前記フレーム画像を表示するための画像データを生成する生成部と、前記画像データを前記液晶パネルに書き込み、前記液晶を駆動する駆動部と、該駆動部の温度を検出する検出部と、を備え、前記生成部は、前記駆動部の前記温度に応じて、前記駆動部による前記液晶パネルへの前記画像データの書込回数を調整することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、生成部は、フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、フレーム画像を表示するための画像データを生成する。駆動部が、画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する結果、液晶パネルは、フレーム画像を表示する。
【0021】
検出部は、駆動部の温度を検出する。生成部は、駆動部の温度に応じて、駆動部による液晶パネルへの画像データの書込回数を調整するので、駆動部の過度の昇温が抑制される。かくして、駆動部の発熱に起因するフレーム画像の質の劣化が抑制される。
【0022】
上記構成において、前記フレーム画像は、第1フレーム画像と、該第1フレーム画像の後に表示される第2フレーム画像と、を含み、前記生成部は、前記液晶パネルに表示される前記フレーム画像の輝度レベルを調整するように前記フレーム画像信号を処理し、前記画像データを生成する輝度調整部を含み、前記駆動部の前記温度に対して定められた第1閾値より前記駆動部の前記温度が大きいとき、前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像に対して定められた第1輝度レベルよりも低い第2輝度レベルに前記第2フレーム画像の前記輝度レベルを設定することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、輝度調整部は、液晶パネルに表示されるフレーム画像の輝度レベルを調整するようにフレーム画像信号を処理し、画像データを生成する。駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、輝度調整部は、第1フレーム画像に対して定められた第1輝度レベルよりも低い第2輝度レベルに、第1フレーム画像の後に表示される第2フレーム画像の輝度レベルを設定する。したがって、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0024】
上記構成において、前記画像データは、第1画像データと、該第1画像データに後続して前記液晶パネルに書き込まれる第2画像データと、を含み、前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第1輝度レベルに設定し、前記第2フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、画像データは、第1画像データと、第1画像データに後続して液晶パネルに書き込まれる第2画像データと、を含む。輝度調整部は、第1フレーム画像を表示するための第2画像データに対する輝度レベルを第1輝度レベルに設定する。また、輝度調整部は、第2フレーム画像を表示するための第2画像データに対する輝度レベルを第2輝度レベルに設定する。したがって、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0026】
上記構成において、第2画像データに対する輝度レベルが、輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減されると、生成部は、第2画像データの出力を停止し、駆動部は、第1画像データに基づき、液晶を駆動し、液晶パネルにフレーム画像を表示することが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、第2画像データに対する輝度レベルが、輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減されると、生成部は、第2画像データの出力を停止する。上述の如く、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減されるので、視聴者は、第2画像データの出力停止をほとんど知覚することなく、駆動部が第1画像データに基づき液晶を駆動することによって液晶パネルに表示されたフレーム画像を視聴することができる。また、駆動部による画像データの書込回数が低減されるので、駆動部の降温が促される。
【0028】
上記構成において、前記液晶パネルは、前記画像データが書き込まれるゲート線を含み、前記第2画像データに対する前記輝度レベルが、該輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減された後、且つ、前記生成部が前記第2画像の出力を停止する前に、前記駆動部は、前記第2画像データに対する前記輝度レベルが前記目標レベルに到達する前に前記画像データが書き込まれた前記ゲート線の数よりも少ない数の前記ゲート線に前記第2画像データを書き込むことが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、第2画像データに対する輝度レベルが、輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減された後、且つ、生成部が第2画像の出力を停止する前に、駆動部は、第2画像データに対する輝度レベルが目標レベルに到達する前に画像データが書き込まれたゲート線の数よりも少ない数のゲート線に第2画像データを書き込む。この結果、視聴者は、第2画像データの出力停止をほとんど知覚することなく、駆動部が第1画像データに基づき液晶を駆動することによって液晶パネルに表示されたフレーム画像を視聴することができる。
【0030】
上記構成において、前記生成部が、前記第1画像データ及び前記第2画像データを出力しているとき、前記駆動部は、前記第1画像データを、第1時間長さで書き込み、前記生成部が、前記第2画像データの出力を停止すると、前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第1時間長さよりも長い第2時間長さで書き込むことが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、生成部が、第1画像データ及び第2画像データを出力しているとき、駆動部は、第1画像データを、第1時間長さで書き込む。生成部が、第2画像データの出力を停止すると、駆動部は、第1画像データを、第1時間長さよりも長い第2時間長さで書き込むので、第1画像データの不十分な書込が抑制される。
【0032】
上記構成において、前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像と、を含み、前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記左フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記右フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、前記第1極性とは反対の第2極性で前記液晶を駆動し、前記輝度調整部は、前記左フレーム画像に対応する前記第2画像データ及び前記右フレーム画像に対応する前記第2画像データそれぞれに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、液晶パネルは、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示する。フレーム反転方式で液晶を駆動する駆動部は、左フレーム画像を液晶パネルに表示させるために、第1極性で液晶を駆動する。また、駆動部は、右フレーム画像を液晶パネルに表示させるために、第1極性とは反対の第2極性で液晶を駆動する。輝度調整部は、左フレーム画像に対応する第2画像データ及び右フレーム画像に対応する第2画像データそれぞれに対する輝度レベルを第2輝度レベルに設定する。したがって、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0034】
上記構成において、前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように前記左フレーム画像とは視差の分だけ異なる内容を表す右フレーム画像と、を含む第1組のフレーム画像と、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを含み、前記第1組のフレーム画像に引き続き表示される第2組のフレーム画像と、を含み、前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記第1組のフレーム画像を表示するために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記第2組のフレーム画像を表示するために第2極性で前記液晶を駆動し、前記輝度調整部は、前記左フレーム画像及び前記右フレーム画像のうち一方に対応する前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように左フレーム画像とは視差の分だけ異なる内容を表す右フレーム画像と、を含む第1組のフレーム画像と、左フレーム画像と右フレーム画像とを含み、第1組のフレーム画像に引き続き表示される第2組のフレーム画像と、を含む。液晶パネルは、左フレーム画像と右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示する。フレーム反転方式で液晶を駆動する駆動部は、第1組のフレーム画像を表示するために、第1極性で液晶を駆動する。また、駆動部は、第2組のフレーム画像を表示するために第2極性で液晶を駆動する。輝度調整部は、左フレーム画像及び右フレーム画像のうち一方に対応する第2画像データに対する輝度レベルを第2輝度レベルに設定するので、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0036】
上記構成において、前記第2組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルは、前記第1組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルよりも小さいことが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、第2組のフレーム画像に対して設定された第2輝度レベルは、第1組のフレーム画像に対して設定された第2輝度レベルよりも小さいので、駆動部の温度に対して定められた第1閾値より駆動部の温度が大きいとき、フレーム画像の輝度レベルが順次低減される。
【0038】
上記構成において、前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域のうち所定の階調値より大きな階調領域に対するγ値を調整し、前記第2画像データを生成することが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、輝度調整部は、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号にγ補正を行い、画像データを生成する。輝度調整部は、階調信号が規定する階調領域のうち所定の階調値より大きな階調領域に対するγ値を調整し、第2画像データを生成するので、フレーム画像の輝度レベルの低減が知覚されやすい階調領域の輝度を順次低減するので、画像データの書込回数の変動に伴う画質の変化を知覚しにくくなる。
【0040】
上記構成において、前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域の全体に亘ってγ値を調整し、前記第2画像データを生成することが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、輝度調整部は、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号にγ補正を行い、画像データを生成する。輝度調整部は、階調信号が規定する階調領域の全体に亘ってγ値を調整し、第2画像データを生成するので、第2画像データの生成のための処理が簡素化される。
【0042】
上記構成において、前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第2画像データよりも高速に書き込むことが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、駆動部は、第1画像データを、第2画像データよりも高速に書き込むので、画像データの書込が比較的遅く行われる領域におけるクロストークが低減される。
【0044】
上記構成において、前記生成部は、前記第2画像データよりも低い解像度の前記第1画像データを生成する解像度調整部を含むことが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、解像度調整部は、第2画像データよりも低い解像度の第1画像データを生成するので、第1画像データは、第2画像データよりも高速に書き込まれる。したがって、画像データの書込が比較的遅く行われる領域におけるクロストークが低減される。
【0046】
上記構成において、前記生成部は、前記駆動部の前記温度が前記第1閾値より低い第2閾値を下回ったときに、前記第2画像データの出力を再開し、前記駆動部は、前記第1画像データに基づき、前記液晶を駆動する第1書込動作と、前記第2画像データに基づき、前記液晶を駆動する第2書込動作と、を実行することが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、生成部は、駆動部の温度が第1閾値より低い第2閾値を下回ったときに、第2画像データの出力を再開する。駆動部は、第1画像データに基づき、液晶を駆動する第1書込動作と、第2画像データに基づき、液晶を駆動する第2書込動作と、を実行するので、駆動部の温度が低減されると、より高品質の画像が再度表示される。
【0048】
本発明の一の局面に係る表示制御方法は、画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する駆動部の温度を測定する段階と、前記駆動部の前記温度に応じて、前記画像データの書込回数を決定する段階と、前記決定された書込回数だけ前記画像データを書き込み、フレーム画像を前記液晶パネルに表示させる段階と、を備えることを特徴とする。
【0049】
上記構成によれば、画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する駆動部の温度が測定される。駆動部の温度に応じて、画像データの書込回数が決定される。決定された書込回数だけ画像データが書き込まれ、フレーム画像が液晶パネルに表示されるので、駆動部の過度の昇温が抑制される。かくして、駆動部の発熱に起因するフレーム画像の質の劣化が抑制される。
【発明の効果】
【0050】
上述の如く、本発明に係る表示装置及び表示制御方法は、液晶を駆動させる要素の発熱に起因する表示画像の質の劣化を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示される映像システムの概略図である。
【図3】図1に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図4】図3に示される映像信号処理部のγ調整部213のγ補正によって変化する輝度レベルを示す概略的なチャートである。
【図5】図1に示される表示装置の液晶パネルの一部を示す概略図である。
【図6】図1に示される表示装置の駆動部による画像データの書込動作を示す概略図である。
【図7】図1に示される表示装置の検出部が第1温度閾値を超える駆動部の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図8】図1に示される表示装置による第1画像データに対する輝度調整の概念図である。
【図9】図7に示されるフローチャートのステップS100における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。
【図10】図7に示されるフローチャートのステップS100における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図11】図7に示されるフローチャートのステップS120における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。
【図12】図7に示されるフローチャートのステップS120における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図13】図7に示されるフローチャートのステップS120からステップS150までの工程における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図14】図1に示される表示装置の検出部が第2温度閾値を下回る駆動部の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図15】第2実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図16】図15に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図17】図16に示される映像信号処理部のγ調整部の出力特性の概略図である。
【図18】第3実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図19】図18に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図20】図7に示されるフローチャートのステップS100における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図21】図7に示されるフローチャートのステップS150における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図22】図7に示されるフローチャートのステップS120の実行に伴う輝度変化を示す概略的なチャートである。
【図23】第4実施形態に係る表示装置を備える映像システムを概略的に示すブロック図である。
【図24】図23に示される表示装置の映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図25】図23に示される表示装置の液晶パネルの一部の概略図である。
【図26】図24に示される映像信号処理部の等価部が実行する等価処理として例示される平均化処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。
【図27】図23に示される表示装置の液晶パネルの一部の概略図である。
【図28】図24に示される映像信号処理部の等価部が実行する等価処理として例示される選択処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。
【図29】図23に示される表示装置の駆動部が行う書込動作を示す概略的なグラフである。
【図30】図23に示される表示装置の検出部が第1温度閾値を超える駆動部の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図31】図30に示されるフローチャートのステップS300における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図32】図30に示されるフローチャートのステップS320における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図33】図30に示されるフローチャートのステップS350からステップS355までの工程における映像システムの動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【図34】1つのフレーム画像に対する複数回の書込動作を示す概略的なタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、表示装置及び表示制御方法の様々な実施形態が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、表示装置及び映像制御方法の原理はこれらに何ら限定されるものではない。
【0053】
<第1実施形態>
(映像システムの構成)
図1は、第1実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図2は、図1に示される映像システムを概略的に示す模式図である。図1及び図2を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。
【0054】
映像システム100は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像(以下、Lフレーム画像と称される)と、右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像(以下、Rフレーム画像と称される)とを含むフレーム画像を表示する表示装置200と、表示装置200が表示するLフレーム画像及びRフレーム画像の視聴を補助する眼鏡装置300とを備える。眼鏡装置300は、視聴者が左眼でLフレーム画像を視聴し、右眼でRフレーム画像を視聴するように、表示装置200によるLフレーム画像及びRフレーム画像の表示に同期した立体視補助動作を行う。この結果、視聴者は、眼鏡装置300を通じて、表示装置200が表示するフレーム画像(Lフレーム画像及びRフレーム画像)を立体的に知覚する(視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像中で表現されたオブジェクトを、Lフレーム画像及びRフレーム画像が映し出される表示面に対して、飛び出たように或いは引っ込んだように知覚する)。
【0055】
視力矯正用の眼鏡と同様の形状をなす眼鏡装置300は、視聴者の左眼前に配設される左シャッタ311と、視聴者の右眼前に配設される右シャッタ312とを含む光学シャッタ部310を備える。左シャッタ311は、表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに開き、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに閉じる。右シャッタ312は、表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに閉じ、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに開く。表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに、Lフレーム画像から視聴者の左眼へ透過する光路が開かれる一方で、Lフレーム画像から視聴者の右眼へ透過する光路が閉じられるので、視聴者は左眼のみでLフレーム画像を視聴する。同様に、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに、Rフレーム画像から視聴者の右眼へ透過する光路が開かれる一方で、Rフレーム画像から視聴者の左眼へ透過する光路が閉じられるので、視聴者は右眼のみでRフレーム画像を視聴する。本実施形態において、左シャッタ311は、左フィルタとして例示される。また、右シャッタ312は、右フィルタとして例示される。左フィルタ及び右フィルタとして、表示装置200が表示する映像から視聴者の左眼へ到達する光の量(以下、左眼光量と称される)及び視聴者の右眼へ到達する光の量(以下、右眼光量と称される)を調整可能に形成された他の光学素子が用いられてもよい。例えば、左フィルタ及び右フィルタとして、視聴者の左眼及び右眼へ透過する光を偏光する偏光素子(例えば、液晶フィルタ)や光量を調整可能な他の光学素子が好適に用いられる。左フィルタは、Lフレーム画像の表示に同期して、左眼光量を増大させる一方で、Rフレーム画像の表示に同期して、左眼光量を低減させるように制御される。同様に、右フィルタは、Rフレーム画像の表示に同期して、右眼光量を増大させる一方で、Lフレーム画像の表示に同期して、右眼光量を低減させるように制御される。
【0056】
表示装置200は、映像信号を処理する映像信号処理部210と、映像を表示する表示部230と、を備える。
【0057】
映像信号処理部210には、基本となる垂直同期周波数を有する映像信号(左眼用映像信号(以下、L信号と称される)及び右眼用映像信号(以下、R信号と称される))が入力される。映像信号処理部210は、入力されたL信号とR信号とを、基本となる垂直同期周波数のK倍(Kは自然数)の周波数で、交互に出力する。本実施形態では、入力された60Hzの映像信号が、120HzのL信号及びR信号に変換される。変換を通じて得られたL信号及びR信号は、画像データとして、表示部230へ出力される。本実施形態において、画像データは、第1画像データと、第2画像データと、を含む。第1画像データ及び第2画像データの書込動作は後述される。表示部230は、第1画像データ及び第2画像データを用いて、1つのフレーム画像を表示する。代替的に、映像信号処理部210は、第1画像データ及び第2画像データだけでなく、画像データの書込回数に応じて、第N画像データ(Nは、3以上の自然数)を出力してもよい。表示部は、第1乃至第N画像データを用いて、1つのフレーム画像を表示してもよい。
【0058】
表示部230は、フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネル231と、液晶パネル231に向けて光を照射するバックライト光源232と、を備える。表示部230は、液晶パネル231に画像データを書き込み、液晶を駆動する駆動部220と、駆動部220の温度を検出する検出部221と、を更に備える。
【0059】
検出部221は、駆動部220の温度を測定し、測定された温度に関する情報を含む検出信号を映像信号処理部210に出力する。映像信号処理部210は、駆動部220の温度に基づき、第1画像データ及び第2画像データをともに出力する第1出力モードと第1画像データのみを出力する第2出力モードとの間で、画像データの出力モードを切り替える。
【0060】
映像信号処理部210が第1画像データ及び第2画像データをともに出力するとき(第1出力モード)、駆動部220は、第1画像データを液晶パネル231に書き込む。駆動部220は、第1画像データの書込に引き続き、第2画像データを液晶パネル231に書き込む。かくして、映像信号処理部210が第1出力モードで画像データの出力をしている間、駆動部220は、1つのフレーム画像の表示に対して、2回の書込動作を行う。以下の説明において、駆動部220による第1画像データの書込動作(駆動部220が第1画像データに基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する動作)は、「第1書込動作」として例示される。また、駆動部220による第2画像データの書込動作(駆動部220が第2画像データに基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する動作)は、「第2書込動作」として例示される。
【0061】
映像信号処理部210が第1画像データのみを出力するとき(第2出力モード)、駆動部220は、第1画像データを液晶パネル231に書き込む。この結果、液晶パネル231には、第1画像データに基づくフレーム画像が表示される。映像信号処理部210は、その後、後続のフレーム画像に対応する第1画像データを出力する。駆動部220は、後続の第1画像データを液晶パネル231に書き込む。液晶パネル231には、第1画像データに基づく後続のフレーム画像が表示される。
【0062】
映像信号処理部210は、上述の如く、駆動部220の温度に応じて、第1出力モードと第2出力モードとを切り替えて、駆動部220による液晶パネル231への画像データの書込回数を調整する。本実施形態において、映像信号処理部210は、生成部として例示される。駆動部220の温度に応じた出力モードの切替及び画像データの生成は、後述される。尚、映像信号処理部が、第1乃至第N画像データ(Nは、3以上の自然数)を生成するならば、映像信号処理部は、3以上の出力モードを切り替えて、画像データの書込回数を調整してもよい。
【0063】
表示部230は、バックライト光源232を制御する第1制御部250を更に備える。映像信号処理部210は、L信号及びR信号の出力に同期して、第1制御部250に制御信号を出力する。第1制御部250は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、表示部230のバックライト光源232を制御する。
【0064】
表示装置200は、眼鏡装置300を制御するための第2制御部240を更に備える。映像信号処理部210は、L信号及びR信号の出力に同期して、第2制御部240を制御するための制御信号を出力する。第2制御部240は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、光学シャッタ部310を制御する。第1制御部250及び/又は第2制御部240へ出力される制御信号は、映像信号処理部210による変換後のL信号及び/又はR信号自体であってもよい。代替的に、L信号及び/又はR信号の120Hzの垂直同期信号であってもよい。
【0065】
以下の説明において、L信号に含まれる一の垂直同期信号と、該一の垂直同期信号に続いて入力される後続の垂直同期信号との間の映像情報を含む映像信号は、Lフレーム画像信号と称される。また、R信号に含まれる一の垂直同期信号と、該一の垂直同期信号に続いて入力される後続の垂直同期信号との間の映像情報を含む映像信号は、以下の説明において、Rフレーム画像信号と称される。Lフレーム画像信号は、Lフレーム画像を表現するために用いられる。同様に、Rフレーム画像信号は、Rフレーム画像を表現するために用いられる。本実施形態において、Lフレーム画像信号及び/又はRフレーム画像信号は、フレーム画像信号として例示される。
【0066】
映像信号処理部210は、Lフレーム画像信号を処理し、Lフレーム画像を表示するためのL画像データを生成する。映像信号処理部210が第1出力モードで動作するとき、L画像データは、第1画像データ及び第2画像データとして駆動部220に出力される。本実施形態において、駆動部220の温度が比較的高いとき、第1画像データとして出力されるL画像データの輝度レベルと第2画像データとして出力されるL画像データの輝度レベルとの間には差異が設けられる。
【0067】
映像信号処理部210は、Rフレーム画像信号を処理し、Rフレーム画像を表示するためのR画像データを生成する。映像信号処理部210が第1出力モードで動作するとき、R画像データは、第1画像データ及び第2画像データとして駆動部220に出力される。本実施形態において、駆動部220の温度が比較的高いとき、第1画像データとして出力されるR画像データの輝度レベルと第2画像データとして出力されるR画像データの輝度レベルとの間には差異が設けられる。第1画像データと第2画像データとの間で設けられる輝度レベルの差異の設定は、後述される。
【0068】
映像信号処理部210は、入力されたL信号及びR信号に基づき、L画像データ及びR画像データをそれぞれ生成する。映像信号処理部210は、L画像データ及びR画像データを交互に駆動部220に出力する。駆動部220は、映像信号処理部210の出力に従って、L画像データ及びR画像データを交互に液晶パネル231に書き込む。この結果、液晶パネル231は、Lフレーム画像とRフレーム画像とを時間的に交互に切り替えて表示する。バックライト光源232は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、液晶パネル231に光を照射する。駆動部220は、水平方向及び垂直方向にフレーム画像信号(L画像データ又はR画像データ)を書き込み、液晶パネル231の液晶を駆動する。
【0069】
駆動部220は、映像信号処理部210からの入力信号(第1画像データ及び/又は第2画像データ)に含まれる垂直同期信号及び水平同期信号にしたがって、第1画像データ及び第2画像データを、液晶パネル231が表示可能な形式に変換する。駆動部220は、液晶パネル231上のフレーム画像の表示ごとに変換された第1画像データ及び第2画像データを用いて、液晶パネル231に書き込む。
【0070】
本実施形態において、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データに対し、γ補正を行い、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231が表示可能な形式に変換する。駆動部220の温度が比較的高いとき、映像信号処理部210は、駆動部220のγ補正を用いた信号処理とは別に、フレーム画像信号に対して、γ補正を行い、第1画像データと第2画像データとの間に輝度レベルの差異を設定する。映像信号処理部210によるγ補正並びに駆動部220によるγ補正を通じた信号処理は、後述される。
【0071】
上述の駆動部220による液晶の駆動によって、液晶パネル231は、入力された第1画像データ及び/又は第2画像データに応じて、背面から入射する光を変調する。この結果、液晶パネル231は、Lフレーム画像とRフレーム画像とを交互に表示する。液晶パネル231には、例えば、IPS(In Plane Switching)方式や、VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式といった様々な駆動方式が好適に適用される。
【0072】
バックライト光源232は、液晶パネル231の背面から液晶パネル231の表示面に向けて光を照射する。本実施形態において、バックライト光源232として、面発光するように二次元配列された複数の発光ダイオード(LED)(図示せず)が用いられている。代替的に、バックライト光源232として、面発光するように配列された複数の蛍光管が用いられてもよい。バックライト光源232として用いられる発光ダイオードや蛍光管は、液晶パネル231の縁部に配設され、面発光を生じさせてもよい(エッジタイプ)。
【0073】
第1制御部250は、映像信号処理部210から出力された120Hzの制御信号を基準に発光制御信号を出力する。バックライト光源232は、発光制御信号に基づき明滅可能である。
【0074】
第2制御部240は、眼鏡装置300の光学シャッタ部310を、Lフレーム画像及びRフレーム画像の表示周期に合わせて制御する。第2制御部240は、左シャッタ311を制御するための左眼用のフィルタ制御部241(以下、Lフィルタ制御部241と称される)と、右シャッタ312を制御するための右眼用のフィルタ制御部242(以下、Rフィルタ制御部242と称される)とを備える。液晶パネル231がLフレーム画像及びRフレーム画像を、例えば、120Hzで交互に表示するとき、Lフィルタ制御部241は、左シャッタ311が60Hzの周期で左眼光量を調整する(増減させる)ように眼鏡装置300を制御する。同様に、Rフィルタ制御部242は、右シャッタ312が60Hzの周期で右眼光量を調整する(増減させる)ように眼鏡装置300を制御する。
【0075】
図2に示される如く、本実施形態において、表示装置200は、Lフレーム画像の表示に同期する第1同期信号を送信する第1送信部243と、Rフレーム画像の表示に同期する第2同期信号を送信する第2送信部244とを備える。また、眼鏡装置300は、左シャッタ311と右シャッタ312との間に配設される受信部320を備える。受信部320は、第1同期信号及び第2同期信号を受信する。第1同期信号の波形は、好ましくは、第2同期信号の波形と異なる。受信部320は、受信された同期信号の波形に基づき、第1同期信号と第2同期信号とを識別する。かくして、眼鏡装置300は、第1同期信号に基づき、左シャッタ311を動作させる。また、眼鏡装置300は、第2同期信号に基づき、右シャッタ312を動作させる。表示装置200と眼鏡装置300との間の同期信号の無線通信並びに眼鏡装置300による同期信号(第1同期信号及び第2同期信号)の内部処理に対して、既知の他の通信技術並びに既知の他の信号処理技術が用いられてもよい。代替的に、表示装置と眼鏡装置との間の同期信号(第1同期信号及び第2同期信号)の通信が、有線式に行われてもよい。また、Lフレーム画像の表示に同期する第1同期信号を送信する第1送信部と、Rフレーム画像の表示に同期する第2同期信号を送信する第2送信部とが共通化された1つの送信部が表示装置に組み込まれてもよい。この場合、Lフレーム画像の表示及びRフレーム画像の表示は、共通化された同期信号の立ち上がりに交互に同期されてもよい。
【0076】
Lフィルタ制御部241及びRフィルタ制御部242は、映像信号処理部210からの制御信号を基準とし、左シャッタ311による左眼光量の増減周期の位相及び右シャッタ312による右眼光量の増減周期の位相を決定する。Lフィルタ制御部241及びRフィルタ制御部242は、決定された位相に従い、第1同期信号及び第2同期信号を出力する。左シャッタ311及び右シャッタ312それぞれは、第1同期信号及び第2同期信号に基づき、Lフレーム画像の表示及びRフレーム画像の表示に同期して、左眼光量及び右眼光量を増減させる。
【0077】
第2制御部240は、液晶パネル231の応答特性並びに表示されるLフレーム画像とRフレーム画像との間のクロストーク(相互干渉)を考慮して、左シャッタ311及び右シャッタ312それぞれが左眼光量及び右眼光量を増大させている期間(以下、光量増大期間と称される)の長さと、光量増大期間のタイミング(位相)を決定する。Lフィルタ制御部241は、左眼光量に対する光量増大期間の長さ及びタイミングを制御する。Rフィルタ制御部242は、右眼光量に対する光量増大期間の長さ及びタイミングを制御する。
【0078】
映像信号処理部210の120Hzの制御信号に基づき動作する第1制御部250は、左シャッタ311及び右シャッタ312による光量調整の動作に同期してバックライト光源232を発光させる発光制御信号を出力する。バックライト光源232は、発光制御信号に基づき、明滅することができる。尚、本実施形態において、バックライト光源232は、第1制御部250の制御下で、常時点灯している。したがって、視聴者がフレーム画像を視聴することができる視聴期間のタイミング及び長さは、眼鏡装置300の光学シャッタ部310の動作によって定められる。
【0079】
代替的に、第1制御部は、第2制御部によって調整される光量増大期間中の一部の期間或いは光量増大期間と略一致する期間において、バックライトを点灯させ、他の期間においてバックライトを消灯させてもよい。このような第1制御部によるバックライトの明滅制御下において、視聴者がフレーム画像を視聴することができる視聴期間のタイミング及び長さは、バックライトの明滅動作によって定められる。
【0080】
(映像信号処理部)
図3は、本実施形態に従う表示装置200の映像信号処理部210の機能構成を概略的に示すブロック図である。図1及び図3を用いて、映像信号処理部210が説明される。
【0081】
映像信号処理部210は、選択部212、γ調整部213、出力部214及び判定部215を備える。
【0082】
映像信号(L信号及びR信号)は、選択部212及びγ調整部213に入力される。上述の如く、検出部221は、駆動部220の温度を測定する。検出部221は、その後、検出された温度の情報を含む検出信号を判定部215に出力する。判定部215は、駆動部220の温度に対して定められた第1温度閾値のデータを記憶する。判定部215は、検出信号が、第1温度閾値を超える温度を示しているならば、γ調整部213に映像信号に対して、γ補正を実行させるための制御信号を出力する。判定部215が出力する制御信号がγ補正の実行を指示しているならば、γ調整部213は、映像信号に対して、γ補正を実行する。判定部215が制御信号を出力していないとき、或いは、判定部215が出力する制御信号がγ補正の実行を指示していないとき、γ調整部213は、入力された映像信号を選択部212に出力する。本実施形態において、判定部215が記憶する第1温度閾値は、第1閾値として例示される。
【0083】
選択部212は、第1画像データの書込に割り当てられた期間において、選択部212に直接的に入力された映像信号を出力部214に出力する。また、選択部212は、第2画像データの書込に割り当てられた期間において、γ調整部213から入力された映像信号を出力部214に出力する。
【0084】
出力部214は、第1画像データの書込に割り当てられた期間に選択部212から入力された映像信号を第1画像データとして、駆動部220に出力する。また、出力部214は、第2画像データの書込に割り当てられた期間に選択部212から入力された映像信号を第2画像データとして、駆動部220に出力する。
【0085】
駆動部220は、第1画像データの書込に割り当てられた期間に、液晶パネル231に第1画像データを書き込む。また、駆動部220は、第2画像データの書込に割り当てられた期間に、液晶パネル231に第2画像データを書き込む。
【0086】
図4は、γ調整部213のγ補正によって変化する輝度レベルを示す概略的なチャートである。図1、図3及び図4を用いて、映像信号処理部210が更に説明される。
【0087】
図4のセクション(a)には、X番目に表示されるRフレーム画像(Rフレーム画像(XR))、X番目に表示されるLフレーム画像(Lフレーム画像(XL))、(X+1)番目に表示されるRフレーム画像(Rフレーム画像(XR+1))、(X+1)番目に表示されるLフレーム画像(Lフレーム画像(XL+1))、(X+2)番目に表示されるRフレーム画像(Rフレーム画像(XR+2))及び(X+2)番目に表示されるLフレーム画像(Lフレーム画像(XL+2))が示されている。Rフレーム画像(XR)、Lフレーム画像(XL)、Rフレーム画像(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)及びLフレーム画像(XL+2)は、順次、液晶パネル231に表示される。本実施形態において、Rフレーム画像(XR)は、第1フレーム画像として例示される。また、Rフレーム画像(XR)の後に表示されるLフレーム画像(XL)、Rフレーム画像(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)又はLフレーム画像(XL+2)は、第2フレーム画像として例示される。
【0088】
γ調整部213は、映像信号が含む垂直同期信号に規定されるフレーム画像信号ごとにγ補正を実行し、フレーム画像それぞれの輝度レベルを調整する。この結果、輝度レベルが調整された第2画像データが生成される。本実施形態において、γ調整部213は、輝度調整部として例示される。
【0089】
図4のセクション(b)には、Rフレーム画像(XR)の輝度レベルBLv(XR)、Lフレーム画像(XL)の輝度レベルBLv(XL)、Rフレーム画像(XR+1)の輝度レベルBLv(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)の輝度レベルBLv(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)の輝度レベルBLv(XR+2)及びLフレーム画像(XL+2)の輝度レベルBLv(XL+2)が示される。図4に示される不等式は、これらの輝度レベルの関係を示す。
【0090】
図4の不等式で表される如く、γ調整部213は、表示されるタイミングが遅いフレーム画像ほど輝度レベルが低くなるようにγ補正を行う。γ調整部213によって設定された輝度レベルが高いほど、液晶パネル231は、明るいフレーム画像を表示する。γ調整部213によって設定された輝度レベルが低いほど、液晶パネル231は、暗いフレーム画像を表示する。したがって、液晶パネル231は、γ調整部213がγ補正を開始すると、徐々に暗くなる映像を表示する。本実施形態において、Rフレーム画像(XR)の輝度レベルBLv(XR)は、第1輝度レベルとして例示される。Lフレーム画像(XL)の輝度レベルBLv(XL)、Rフレーム画像(XR+1)の輝度レベルBLv(XR+1)、Lフレーム画像(XL+1)の輝度レベルBLv(XL+1)、Rフレーム画像(XR+2)の輝度レベルBLv(XR+2)及びLフレーム画像(XL+2)の輝度レベルBLv(XL+2)は、第2輝度レベルとして例示される。
【0091】
図3に示される如く、駆動部220の温度が第1温度閾値を超えると、γ調整部213がγ補正処理を開始し、輝度レベルが低減された映像信号を出力するのに対し、選択部212に直接的に入力される映像信号には、輝度レベルを低減させるための信号処理は実行されない。したがって、駆動部220の温度が第1温度閾値を超えると、第1画像データに対して設定された輝度レベルは、第2画像データに対して設定された輝度レベルよりも大きくなる。
【0092】
図3に示される如く、γ調整部213は、γ補正が施与された映像信号の出力(選択部212への出力)と同時に、γ調整部213が設定した輝度レベルに関する情報を通知するための通知信号を判定部215に出力する。判定部215は、輝度レベルに対して定められた目標輝度に関するデータを記憶する。判定部215は、通知信号が含む輝度レベルの情報と目標輝度に関するデータとを比較する。通知信号によって通知された輝度レベルが目標輝度を下回っているならば、判定部215は、出力部214に、第2画像データの出力を停止させるための制御信号を出力する。
【0093】
図5は、液晶パネル231の一部を示す概略図である。図1、図3及び図5を用いて、映像信号処理部210及び駆動部220が説明される。
【0094】
液晶パネル231は、水平方向に延びる複数のゲート線と、垂直方向に延びる複数のデータ線と、を含む。図5には、副走査方向に整列したゲート線L1乃至L16及び主走査方向に整列したデータ線M1乃至M32が示されている。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点には、画素P及び画素Pに対応する液晶(図示せず)がそれぞれ割り当てられる。駆動部220は、出力部214から出力された画像データに応じて、各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32とに電圧を印加し、液晶を駆動させる。本実施形態において、駆動部220は、フレーム反転方式で液晶を駆動する。フレーム反転方式の液晶の駆動は後述される。
【0095】
判定部215が、出力部214に、第2画像データの出力を停止させるための制御信号を出力すると、第2画像データが書き込まれるゲート線の数を低減させるように選択部212から出力された映像信号を処理する。例えば、出力部214は、判定部215から制御信号を受けた直後に、奇数番号のゲート線(L1、L3、L5・・・L2n−1)にのみ書込がなされるように第2画像データを出力する。その後、出力部214は、例えば、「3」の倍数のゲート線(L3、L6、L9・・・・)にのみ書込がなされるように後続の第2画像データを出力する。出力部214は、第2画像データの出力ごとに、第2画像データが書き込まれるゲート線の数が低減されるように選択部212から出力された映像信号を処理する。出力部214は、判定部215からの制御信号を受信し、所定回数、第2画像データを出力すると、第2画像データの出力を停止する。
【0096】
判定部215は、出力部214による第2画像データの出力に同期して、γ調整部213に、γ補正に用いられているγ値を保持するための制御信号を出力する。制御信号を受けたγ調整部213は、γ補正に用いたγ値を保持し、保持されたγ値を用いて映像信号を処理する。選択部212は、第1画像データの書込に割り当てられた期間に、選択部212に直接的に入力された映像信号を出力部214に出力する。また、選択部212は、第2画像データの書込に割り当てられた期間に、γ調整部213を介して入力された映像信号を出力する。第2画像データの出力を停止させるための制御信号が入力された出力部214は、上述のゲート線を低減させる処理を行った後、第2画像データを出力せず、第1画像データのみを出力する。この結果、駆動部220は、第1画像データに基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する。かくして、液晶パネル231には、第1画像データに基づき生成されたフレーム画像が表示される。
【0097】
図6は、駆動部220の画像データの書込動作を示す概略図である。図1、図3及び図5を用いて、駆動部220の書込動作が説明される。
【0098】
上述の如く、検出部221によって検出された駆動部220の温度が、判定部215が記憶する第1温度閾値よりも低い間、出力部214は、第1画像データ及び第2画像データを出力する。駆動部220は、第1画像データを液晶パネル231に書き込み、その後、第2画像データを液晶パネル231に書き込む。検出部221によって検出された駆動部220の温度が、判定部215が記憶する第1温度閾値よりも低い間において、第1書込動作が実行されている時間長さは、第2書込動作が実行されている時間長さに略等しくてもよい。図6において、第1書込動作及び第2書込動作が行われている期間は、「TO」の記号によってそれぞれ示されている。
【0099】
上述の如く、検出部221によって検出された駆動部220の温度が、判定部215が記憶する第1温度閾値よりも大きくなると、出力部214は、第2画像データの出力を停止する。駆動部220は、時間長さ「TO」で、第1画像データを書き込む。時間長さ「TO」での第1書込動作は、所定数のフレーム画像の描画に対して実行されてもよい。
【0100】
時間長さ「TO」での第1書込動作によって、所定数のフレーム画像の描画がなされた後、駆動部220は、第1書込動作の実行期間を長くする。第1書込動作の実行期間は、第1書込動作の書込回数に応じて、徐々に増加されることが好ましい。この結果、駆動部220の温度の低下が更に促されることとなる。図6において、延長された第1書込動作の実行期間は、「TE1」,「TE2」の記号によって、それぞれ表されている。本実施形態において、図6に示される第1書込動作の実行期間「TO」は、第1時間長さとして例示される。また、第2書込動作の実行期間「TE1」,「TE2」は、第2時間長さとして、それぞれ例示される。
【0101】
図6に示される如く、駆動部220の画像データの書込回数が低減されるので、駆動部220の温度は、徐々に低下する。判定部215は、駆動部220の温度に対して定められた第2温度閾値のデータを記憶する。第2温度閾値は、第1温度閾値よりも低く設定される。判定部215は、検出信号が、第2温度閾値を下回る温度を示しているならば、出力部214に第2画像データの出力の再開を指示する制御信号を出力する。出力部214は、その後、第1画像データとともに、第2画像データが出力されることを通知するための通知信号を駆動部220に出力する。この結果、駆動部220は、出力部214から出力された第1画像データを時間長さ「TO」で書き込む。また、後続の第2画像データを時間長さ「TO」で書き込む。尚、出力部214は、第2画像データが書き込まれるゲート線の数が、第2書込動作の実行回数に応じて、徐々に増加するように選択部212から出力された映像信号を処理してもよい。本実施形態において、第2温度閾値は、第2閾値として例示される。
【0102】
液晶パネル231の全てのゲート線に第2画像データが書き込まれる第2画像データが出力部214から出力されるのと同時に、判定部215はγ調整部213にγ値の調整の再開を指示する制御信号を出力する。この結果、γ調整部213は、映像信号の処理に用いられたγ値を元の値に徐々に戻す。
【0103】
(書込回数を低減させるための表示制御方法)
図7は、検出部221が第1温度閾値を超える駆動部220の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。図1、図3及び図7を用いて、表示制御方法が説明される。
【0104】
(ステップS100)
上述の如く、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。検出部221は、駆動部220の温度を測定し、検出信号を判定部215に出力する。本実施形態において、ステップS100は、駆動部の温度を測定する段階として例示される。
【0105】
(ステップS110)
ステップS110において、判定部215は、駆動部220の温度が第1温度閾値を超えているか否かを判定する。駆動部220の温度が、第1温度閾値を超えていないならば、ステップS110が繰り返される。ステップS110が繰り返されている間、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。駆動部220の温度が、第1温度閾値を超えているならば、ステップS120が実行される。ステップS110の判定処理によって、2回の書込動作がなされるか、1回の書込動作がなされるかが決定される。したがって、本実施形態において、ステップS110は、画像データの書込回数を決定する段階として例示される。
【0106】
(ステップS120)
ステップS120において、γ調整部213は、γ値を調整し、第2画像データの輝度レベルを、低減する。その後、ステップS130が実行される。
【0107】
(ステップS130)
ステップS130において、判定部215は、輝度レベルが目標輝度レベルに到達したか否かを判定する。輝度レベルが目標輝度レベルに到達していないならば、ステップS120が再度実行され、輝度レベルが更に低減される。輝度レベルが目標輝度レベルに到達すると、ステップS140が実行される。
【0108】
(ステップS140)
ステップS140において、出力部214は、第2画像データが書き込まれるゲート線の数を低減するように選択部212からの映像信号を処理する。この結果、駆動部220は、少ない数のゲート線に第2画像データを書き込む。ステップS140は、数フレーム画像の表示期間に亘って実行され、第2画像データが書き込まれるゲート線の数は、徐々に低減される。ステップS140において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示した後、ステップS150が実行される。
【0109】
(ステップS150)
ステップS150において、出力部214は、第2画像データの出力を停止する。尚、出力部214は、第1画像データの出力を継続する。ステップS150において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示すると、ステップS160が実行される。
【0110】
(ステップS160)
ステップS160において、駆動部220は、第1書込動作の期間を延長する。ステップS160は、数フレーム画像の表示期間に亘って実行され、第1書込動作の実行期間は、徐々に延長される。ステップS160において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示した後、ステップS170が実行される。
【0111】
(ステップS170)
ステップS170において、駆動部220は、ステップS160において延長された期間において、第1画像データを書き込む。ステップS170及び上述のステップS100は、ステップS110の判定結果によって決定された書込回数だけ画像データを書き込み、フレーム画像を液晶パネル231に表示させる工程である。したがって、ステップS170及びステップS100は、フレーム画像を液晶パネルに表示させる段階として例示される。
【0112】
(輝度調整)
図8は、第1画像データに対する輝度調整の概念図である。図1、図3及び図8を用いて、第1画像データに対する輝度調整が説明される。
【0113】
図3に関連して説明された如く、第1画像データは、選択部212に直接的に入力された映像信号に基づき生成される。γ調整部213を介さない信号処理ルートにおいて、映像システム100は、例えば、「γ値=2.2」のγ補正を用いて、映像信号が含む階調信号を液晶パネル231の輝度に変換する。
【0114】
第1画像データに基づくフレーム画像の表示において、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号から液晶パネル231の画素の輝度を決定する主な要素は、駆動部220及び液晶パネル231である。
【0115】
出力部214は、階調信号を含む第1画像データを出力する。駆動部220は、階調信号に示される「K値」を電圧値「V値」に変換する。駆動部220は、「V値」に相当する電圧を液晶パネル231に印加する。液晶パネル231の画素は、印加された電圧に応じた輝度で発光する。
【0116】
図9は、図7に関連して説明されたステップS100における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。図1、図3、図7乃至図9を用いて、第2画像データに対する輝度調整が説明される。
【0117】
図3に関連して説明された如く、第2画像データは、γ調整部213を介して選択部212に入力された映像信号に基づき生成される。したがって、ステップS100における第2画像データに基づくフレーム画像の表示において、液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号から液晶パネル231の画素の輝度を決定する主な要素は、駆動部220及び液晶パネル231に加えて、γ調整部213を含む。
【0118】
ステップS100において、γ調整部213は、階調信号に示される「K値」に等しい「K’値」を出力する。したがって、映像システム100全体では、図8に関連して説明された第1画像データのγ補正と同様に、「γ値=2.2」のγ補正が実行される。
【0119】
図10は、図7に関連して説明されたステップS100における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。図1、図3、図7乃至図10を用いて、ステップS100における映像システム100の動作が説明される。
【0120】
図10のセクション(a)は、表示されるフレーム画像を示す。図10のセクション(a)に示される如く、液晶パネル231には、Rフレーム画像及びLフレーム画像が交互に表示される。
【0121】
輝度調整の原理を明瞭に説明するために、図10に関連する説明では、映像システム100は、Rフレーム画像及びLフレーム画像ともに白色の映像を表示する。
【0122】
図10のセクション(c)は、駆動部220による液晶パネル231への画像データの書込動作を概略的に示す。上述の如く、Rフレーム画像又はLフレーム画像を表示するために、駆動部220は、第1書込動作(第1画像データの書込)及び第2書込動作(第2画像データの書込)を行う。書込動作は、液晶パネル231の上側領域から開始され、下側領域で終了する。
【0123】
図10のセクション(b)は、光学シャッタ部310の動作を示す。光学シャッタ部310は、第2書込動作が終了するときに右シャッタ312又は左シャッタ311を開く。右シャッタ312が開かれている間、視聴者は、Rフレーム画像を視聴する。左シャッタ311が開かれている間、Lフレーム画像を視聴する。
【0124】
図10のセクション(d)は、第1書込動作及び第2書込動作が実行されている間に印加される電圧の極性を示す。Rフレーム画像を表示するとき、正の極性の電圧が印加される。Lフレーム画像を表示するとき、負の極性の電圧が印加される。この結果、中間電位が維持されやすくなる。本実施形態において、正の極性及び負の極性のうち一方は、第1極性として例示され、他方は第2極性として例示される。
【0125】
図10のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。図10のセクション(e)には、「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値が示される。「+」及び「−」は、図10のセクション(d)に関連して説明された電圧の極性を意味する。「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値は、画素の充電電位を意味する。図10のセクション(e)に関連する説明において、「±100」の数値は、「白色」を表現する電位を意味する。「±95」の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0126】
図10のセクション(e)に示される如く、第1書込動作の期間は短いため、最初のRフレーム画像の表示において、充電電位は、目標とする「+100」の値に到達しない。引き続き実行される第2書込動作によって、充電電位は、「+100」の値に到達する。
【0127】
その後に表示されるLフレーム画像の表示のために、駆動部220は、印加する電圧の極性を「正」から「負」に変更する。Rフレーム画像と同様の白色のLフレーム画像を表示するためには、充電電位は、「+100」の値から「−100」の値に変化する必要があるが、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の期間は、当該充電電位の変動を生じさせるには短すぎる。結果として、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の終了時において、充電電位は、「−95」の値となっている。その後に実行される第2書込動作によって、充電電位は、「−100」の値に到達する。
【0128】
図10のセクション(f)は、眼鏡装置300を通じて、視聴者が視聴する輝度を示す。図10のセクション(f)に示される「100」の数値は、「白色」のフレーム画像を視聴していることを意味する。尚、「100」以下の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0129】
図7に関連して説明されたステップS150(第2画像データの出力停止)が、ステップS110において、第1温度閾値を超える駆動部220の温度の検出の直後になされるならば、視聴者は、突如、第1書込動作で達成された「±95」の充電電位に対応する色相で表現されたフレーム画像を視聴する(即ち、視聴者は、突如、「白色」よりも暗く表現された色相のフレーム画像を視聴する)。このような突然の輝度変化は、視聴者に映像に対する違和感を与えるので、図7に関連して説明されたステップS120及びステップS130の処理を通じて、視聴者に知覚される輝度が、第1書込動作で達成される輝度に近づけられる。
【0130】
図11は、図7に関連して説明されたステップS120における第2画像データに対する輝度調整の概念図である。図1、図3、図7、図9及び図11を用いて、第2画像データに対する輝度調整が説明される。
【0131】
ステップS120が開始されると、γ調整部213は、階調信号の「K値」が、「KT」を超える階調領域において、入力された階調信号が示す「K値」(輝度値)よりも小さくなる「K’値」を出力する。図9に示される階調信号の処理では、γ調整部213は、入力された階調信号の「K値」と等しい「K’値」を出力するので、映像システム100全体のγ補正(入力された階調信号から液晶パネル231の輝度を決定する処理)には実質的に寄与しないが、ステップS120が開始されると、「KT」を超える階調領域において、「K’値<K値」の関係が満たされるように、γ調整部213が入力信号を処理するので、「KT」を超える領域に対応する輝度で表現されるフレーム画像の領域は、暗く表現される。したがって、γ調整部213は、自己の出力特性を変更し、「KT」を超える領域において、映像システム100のγ補正に用いられるγ値を調整する。「KT」を超えない階調領域でのγ調整部213の出力特性は、ステップS100とステップS120との間で一定である。したがって、「KT」を超えない領域に対応する輝度で表現されるフレーム画像の領域は、γ調整部213に入力された階調信号の入力値と等しい階調値が出力される(K値=K’値)。
【0132】
輝度の変化は、一般的に、高輝度領域において知覚されやすく、低輝度領域において知覚されにくい。したがって、高輝度領域におけるγ調整部213の出力特性が変更されることにより、視聴者に輝度変化を知覚されやすい画像領域の輝度が、映像信号処理部210に入力される映像信号が規定する輝度よりも低く設定される。一方で、視聴者に輝度変化を知覚されにくい画像領域の輝度は、映像信号処理部210に入力される映像信号によって規定される輝度と等しく設定される。
【0133】
図12は、図7に関連して説明されたステップS120における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。図1、図3、図7、図10乃至12を用いて、ステップS120における映像システム100の動作が説明される。
【0134】
図12のセクション(a)乃至セクション(d)は、図10のセクション(a)乃至セクション(d)にそれぞれ対応する。
【0135】
図12のセクション(e)と図10のセクション(e)とを比較すると、第2書込動作によって達成される充電電位が、徐々に低減されていることが分かる。図11に関連して説明された如く、γ調整部213は、ステップS120が開始されると、出力特性を変更し、充電電位を低減させる。したがって、後続のLフレーム画像及びRフレーム画像は、先行するLフレーム画像及びRフレーム画像の輝度レベルと比べて低くなる。この結果、視聴者が視聴するフレーム画像の輝度は、徐々に低減する。
【0136】
図13は、図7に関連して説明されたステップS120からステップS150までの工程における映像システム100の動作を示す概略的なタイミングチャートである。図1、図3、図7、図11乃至図13を用いて、ステップS120からステップS150までの工程における映像システム100の動作が説明される。
【0137】
図13のセクション(a)乃至セクション(d)は、図12のセクション(a)乃至セクション(d)にそれぞれ対応する。
【0138】
図7に関連して説明された如く、ステップS120において、輝度が低減された後に、ステップS140及びステップS150が実行される。ステップS140が開始されると、γ調整部213は、出力特性を保持する。ステップS140が開始されると、ステップS120の終了時に第2書込動作によって書き込まれた第2画像データの生成に用いられた出力特性と同様の出力特性を用いて、γ調整部213は、階調信号を出力する。したがって、ステップS140が実行されている間、第2書込動作によって充電電位「±95」の値が達成される。したがって、視聴者は、ステップS120とステップS140との間で、輝度変化をほとんど知覚しない。
【0139】
上述の如く、ステップS140において、第2書込動作によって第2画像データが書き込まれるゲート線の数が徐々に低減される。したがって、ステップS150において、第2書込動作が停止されても、視聴者は、駆動部220の動作変化(第2書込動作の停止)をほとんど知覚しない。
【0140】
(書込回数を増大させるための表示制御方法)
図14は、検出部221が第2温度閾値を下回る駆動部220の温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。図1、図3、図5、図7、図9及び図14を用いて、表示制御方法が説明される。
【0141】
(ステップS200)
ステップ200は、図7に関連して説明されたステップ170に対応する。駆動部220は、液晶パネル231に第1画像データのみを書き込む。検出部221は、駆動部220の温度を測定し、検出信号を判定部215に出力する。
【0142】
(ステップS210)
ステップS210において、判定部215は、駆動部220の温度が第2温度閾値を下回っているか否かを判定する。駆動部220の温度が、第2温度閾値を下回っていないならば、ステップS210が繰り返される。ステップS210が繰り返されている間、駆動部220は、第1画像データのみを液晶パネル231に書き込む。駆動部220の温度が、第2温度閾値を下回っているならば、ステップS220が実行される。
【0143】
(ステップS220)
ステップS220において、駆動部220は、図7に関連して説明されたステップS160が実行される前の書込期間(書込期間「TO」(図5参照))で、第1画像データを書き込む。この結果、後続する第2画像データが書き込まれる時間が確保される。駆動部220が元の書込時間長さで第1画像データを書き込むと、ステップS230が実行される。
【0144】
(ステップS230)
上述のステップS220において、第2画像データが書き込まれるための期間が確保される。ステップS230において、確保された期間に第2画像データを書き込む。尚、ステップS230では、比較的少ない本数のゲート線に第2画像データが書き込まれる。第2画像データが書き込まれた後、ステップS240が実行される。
【0145】
(ステップS240)
ステップS240において、出力部214は、第2画像データを調整し、駆動部220が第2画像データを書き込むゲート線の数を徐々に増大させる。全てのゲート線に対して、駆動部220が第2画像データを書き込むことができる第2画像データが出力されると、ステップS250が実行される。
【0146】
(ステップS250)
ステップS250において、γ調整部213は出力特性を、図9に関連して説明された出力特性に近づけるように調整する。この結果、液晶パネル231に描かれるフレーム画像の輝度は、高くなる。γ調整部213が出力特性を調整すると、ステップS260が実行される。
【0147】
(ステップS260)
ステップS260において、判定部215は、γ調整部213の出力特性が、図9に関連して説明された出力特性に復帰したか否かを判定する。γ調整部213の出力特性が、図9に関連して説明された出力特性に回復していないならば、ステップS250が再度行われる。この結果、液晶パネルに描かれるフレーム画像の輝度は、徐々に増大する。γ調整部213の出力特性が、図9に関連して説明された出力特性に回復しているならば、ステップS270が実行される。
【0148】
(ステップS270)
ステップS270は、図7に関連して説明されたステップS100に相当する。駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。
【0149】
<第2実施形態>
図15は、第2実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図15を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対しては、同様の符号が付されている。以下の説明において、第1実施形態との相違点が主に説明される。第1実施形態と同様の特徴に対して、第1実施形態に関連する説明が援用される。
【0150】
映像システム100Aは、第1実施形態に関連して説明された眼鏡装置300に加えて、表示装置200Aを備える。表示装置200Aは、第1実施形態に関連して説明された表示部230及び第2制御部240に加えて、映像信号処理部210Aを備える。
【0151】
図16は、表示装置200Aの映像信号処理部210Aの機能構成を概略的に示すブロック図である。図7、図14乃至図16を用いて、映像信号処理部210Aが説明される。
【0152】
映像信号処理部210Aは、第1実施形態に関連して説明された選択部212、出力部214及び判定部215に加えて、γ調整部213Aを備える。第2実施形態は、γ調整部213Aの出力特性において、第1実施形態と相違する。尚、表示装置200Aは、γ調整部213Aを用いて、図7及び図14に関連して説明された書込回数の増減制御を実行する。
【0153】
図17は、γ調整部213Aの出力特性を概略的に示す。図3、図7、図11、図15及び図17を用いて、第1実施形態に従うγ調整部213と第2実施形態に従うγ調整部213Aとの間の差異が説明される。
【0154】
図7に関連して説明されたステップS120が開始されると、γ調整部213Aは、出力特性を変更する。第1実施形態のγ調整部213と異なり、γ調整部213Aは、階調信号が規定する階調領域全体に亘って、入力された階調信号の「K値」よりも低い「K’値」を出力する。この結果、映像システム100A全体のγ値が階調信号が規定する階調領域全体に亘って低減される。したがって、第2実施形態によれば、ステップS120の実行によって、第2画像データに基づき描かれるフレーム画像の高輝度の画像領域だけでなく、低輝度の画像領域の輝度も変化する。しかしながら、γ調整部213Aの出力調整は、輝度領域に対して設けられた閾値「KT」(図11参照)に関連する処理を伴わないので、ステップS120における演算処理が簡素化される。
【0155】
<第3実施形態>
図18は、第3実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図18を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対しては、同様の符号が付されている。以下の説明において、第1実施形態との相違点が主に説明される。第1実施形態と同様の特徴に対して、第1実施形態に関連する説明が援用される。
【0156】
映像システム100Bは、第1実施形態に関連して説明された眼鏡装置300に加えて、表示装置200Bを備える。表示装置200Bは、第1実施形態に関連して説明された第2制御部240に加えて、表示部230B及び映像信号処理部210Bを備える。
【0157】
表示部230Bは、第1実施形態に関連して説明された第1制御部250、バックライト光源232、液晶パネル231及び検出部221に加えて、駆動部220Bを備える。駆動部220Bは、第1実施形態に関連して説明された駆動部220と、フレーム反転駆動のパターンにおいて相違する。フレーム反転駆動のパターンの相違は後述される。
【0158】
図19は、表示装置200Bの映像信号処理部210Bの機能構成を概略的に示すブロック図である。図18及び図19を用いて、映像信号処理部210Bが説明される。
【0159】
映像信号処理部210Bは、第1実施形態に関連して説明された出力部214及び判定部215に加えて、選択部212B及びγ調整部213Bを備える。第1実施形態と異なり、Lフレーム画像を表示するためのL信号は、γ調整部213Bを介さず、選択部212Bに入力される。一方、Rフレーム画像を表示するためのR信号に対しては、第1実施形態と同様に、選択部212Bに直接的に入力される経路及びγ調整部213Bを介して選択部212Bに入力される経路が用意される。尚、γ調整部213Bによる信号処理の原理は、第1実施形態に関連して説明されたγ調整部213が実行する信号処理と同様である。代替的に、γ調整部213Bは、第2実施形態に関連して説明されたγ調整部213Aが実行する信号処理を行ってもよい。
【0160】
選択部212Bは、Lフレーム画像が表示されるための期間において、第1書込動作に用いられるL信号と、第2書込動作に用いられるL信号とを、出力部214に出力する。また、選択部212Bは、Rフレーム画像が表示されるための期間において、第1書込動作に用いられるR信号と、第2書込動作に用いられるR信号とを、出力部214に出力する。第1書込動作に用いられるR信号は、選択部212Bに直接的に入力された信号である。また、第2書込動作に用いられるR信号は、γ調整部213Bを介して、選択部212Bに入力された信号である。本実施形態において、R信号に対してのみ、γ調整部213Bによる処理が実行される。代替的に、L信号に対してのみ、γ調整部による処理が実行されてもよい。
【0161】
出力部214は、第1書込動作に用いられるL信号及びR信号に基づき生成された第1画像データを駆動部220Bに出力する。また、出力部214は、第2書込動作に用いられるL信号及びR信号に基づき生成された第2画像データを駆動部220Bに出力する。尚、表示装置200Bは、γ調整部213Bを用いて、図7及び図14に関連して説明された書込回数の増減制御を実行する。
【0162】
図20は、図7に関連して説明されたステップS100における映像システム100Bの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図7、図10、図18乃至図20を用いて、図10に関連して説明された映像システム100の動作と、本実施形態の映像システム100Bの動作との差異が説明される。
【0163】
図20のセクション(a)乃至セクション(c)並びにセクション(f)は、図10のセクション(a)乃至セクション(c)並びにセクション(f)にそれぞれ対応する。
【0164】
図20のセクション(d)は、第1書込動作及び第2書込動作が実行されている間に印加される電圧の極性を示す。第1実施形態の駆動部220は、フレーム画像ごとに電圧の極性を変更しているが、第3実施形態の駆動部220Bは、Rフレーム画像及びLフレーム画像の組ごとに電圧の極性を変更する。輝度調整の原理を明瞭化するために、図20に関連する説明では、表示装置200Bは、Rフレーム画像及びLフレーム画像ともに白色の映像を表示する。しかしながら、表示装置200Bが立体映像を表示するならば、1つの組に含まれるRフレーム画像及びLフレーム画像は、視差の分だけ異なる内容を表してもよい。図20のセクション(a)には、先行するフレーム画像の組及び後続のフレーム画像の組の一部が示されている。本実施形態において、先行するフレーム画像の組は、第1組のフレーム画像として例示される。また、後続のフレーム画像の組は、第2組のフレーム画像として例示される。
【0165】
図20のセクション(d)に示される如く、駆動部220Bは、先行するフレーム画像の組を表示するために、正の極性の電圧を印加し、第1書込動作及び第2書込動作を実行する。その後、駆動部220Bは、後続するフレーム画像の組を表示するために、負の極性の電圧を印加し、第1書込動作及び第2書込動作を実行する。更にその後、駆動部220Bは、正の極性の電圧を印加する。かくして、駆動部220Bは、印加電圧の極性を交互に切り替える。
【0166】
図20のセクション(a)に示される如く、本実施形態において、Rフレーム画像がLフレーム画像に先行して表示される。代替的に、Lフレーム画像がRフレーム画像に先行して表示されてもよい。
【0167】
図20のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。図20のセクション(e)には、「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値が示されている。「+」及び「−」は、電圧の極性を意味する。「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値は、画素の充電電位を意味する。図20のセクション(e)に関連する説明において、「±100」の数値は、「白色」を表現する電位を意味する。「±95」の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0168】
先行するフレーム画像の組のRフレーム画像に対する第1書込動作の開始時に、駆動部220Bは、印加電圧の極性を、「負」から「正」に切り替え、Rフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む。第1書込動作の結果得られる充電電位は、目標とする「100」の充電電位に到達しない。駆動部220Bは、その後、Rフレーム画像に対応する第2画像データを液晶パネル231に書き込む(第2書込動作)。第2書込動作は、第1書込動作での充電不足を補うので、Rフレーム画像の表示期間の終了時には、充電電位は、目標とする「100」に到達する。
【0169】
Rフレーム画像の表示期間の後、Lフレーム画像の表示期間が開始する。Rフレーム画像の表示期間とLフレーム画像の表示期間との間では、駆動部220Bは、印加電圧の極性を切り替えない。したがって、第1実施形態と異なり、駆動部220Bは、Rフレーム画像の表示と同様に、「正」の電圧を印加して、後続のLフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に印加する。Rフレーム画像とは異なり、印加電圧の極性の切替に起因する充電不足は生じないので、Lフレーム画像のための第1書込動作の終了時において、充電電位は、目標とする「100」の値に到達する。その後、Lフレーム画像のための第2書込動作が実行される。第1書込動作によって、充電電位は、目標とする「100」の値に到達しているので、第2書込動作の後も、「100」の充電電位が維持される。
【0170】
後続のフレーム画像の組のRフレーム画像に対する第1書込動作の開始時に、駆動部220Bは、印加電圧の極性を、「正」から「負」に切り替え、Rフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む。第1書込動作の結果得られる充電電位は、目標とする「−100」の充電電位に到達しない。駆動部220Bは、その後、Rフレーム画像に対応する第2画像データを液晶パネル231に書き込む(第2書込動作)。第2書込動作は、第1書込動作での充電不足を補うので、Rフレーム画像の表示期間の終了時には、充電電位は、目標とする「−100」に到達する。
【0171】
Rフレーム画像の表示期間の後、Lフレーム画像の表示期間が開始する。Rフレーム画像の表示期間とLフレーム画像の表示期間との間では、駆動部220Bは、印加電圧の極性を切り替えない。したがって、第1実施形態と異なり、駆動部220Bは、Rフレーム画像の表示と同様に、「負」の電圧を印加して、後続のLフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に印加する。Rフレーム画像とは異なり、印加電圧の極性の切替に起因する充電不足は生じないので、Lフレーム画像のための第1書込動作の終了時において、充電電位は、目標とする「−100」の値に到達する。その後、Lフレーム画像のための第2書込動作が実行される。第1書込動作によって、充電電位は、目標とする「−100」の値に到達しているので、第2書込動作の後も、「−100」の充電電位が維持される。
【0172】
図21は、図7に関連して説明されたステップS150における映像システム100Bの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図7、図18乃至図21を用いて、映像システム100Bの動作が説明される。
【0173】
図21のセクション(a)乃至セクション(c)は、図20のセクション(a)乃至セクション(c)にそれぞれ対応する。
【0174】
図7に関連して説明された如く、ステップS150の間、映像信号処理部210Bは、第2画像データの出力を停止する。したがって、駆動部220Bは、第2書込動作を実行せず、第1書込動作のみを行う。
【0175】
図21のセクション(d)は、駆動部220Bが印加する電圧の極性を示す。第1書込動作を行う駆動部220Bは、先行するフレーム画像の組の表示のために、正の極性の電圧を印加し、後続のフレーム画像の組の表示のために、負の電極を印加する。
【0176】
図21のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。先行するフレーム画像の組のRフレーム画像に対する第1書込動作の開始時に、駆動部220Bは、印加電圧の極性を、「負」から「正」に切り替え、Rフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む。第1書込動作の結果得られる充電電位は、目標とする「100」の充電電位に到達しない。駆動部220Bは、その後、Lフレーム画像に対応する第1画像データを液晶パネル231に書き込む(第1書込動作)。Lフレーム画像に対する第1書込動作は、Rフレーム画像に対する第1書込動作での充電不足を補うので、充電電位は、目標とする「100」に到達する。
【0177】
後続するフレーム画像の組の表示期間においても、Rフレーム画像は、不十分な充電電位の下で表示される一方で、Lフレーム画像は、目標とする充電電位の下で表示される。
【0178】
図21のセクション(f)は、眼鏡装置300を通じて、視聴者が視聴する輝度を示す。図21のセクション(f)に示される「100」の数値は、「白色」のフレーム画像を視聴していることを意味する。尚、「100」以下の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0179】
図21のセクション(b)に示される如く、光学シャッタ部310の右シャッタ312及び左シャッタ311は、Rフレーム画像の表示期間及びLフレーム画像の表示期間の終了時にそれぞれ開かれる。
【0180】
先行するフレーム画像の組のRフレーム画像に対応する第1書込動作によって達成された充電電位は、右シャッタ312が開かれる期間においても維持される。したがって、視聴者は、「+95」の充電電位に対応する色相で表現されたフレーム画像を視聴する(即ち、視聴者は、「白色」よりも暗く表現された色相のフレーム画像を視聴する)。
【0181】
先行するフレーム画像の組のLフレーム画像に対応する第1書込動作によって達成された充電電位は、左シャッタ311が開かれる期間においても維持される。したがって、視聴者は、「+100」の充電電位に対応する色相で表現されたフレーム画像を視聴する(即ち、視聴者は、「白色」のフレーム画像を視聴する)。
【0182】
視聴者は、Rフレーム画像及びLフレーム画像の平均輝度を先行するフレーム画像の組(同様に、後続のフレーム画像の組)に対して知覚する。したがって、視聴者が知覚する輝度は、「97.5」(「白色」よりも暗く表現された色相のフレーム画像)となる。
【0183】
図7に関連して説明されたステップS120における処理は、第2書込動作の停止に伴う輝度変化を視聴者に知覚されにくくするために実行される。
【0184】
図22は、ステップS120の実行に伴う輝度変化を示す概略的なチャートである。図7、図11、図17乃至図19並びに図21及び図22を用いて、液晶パネル231の輝度変化が説明される。
【0185】
図22に示されるように、γ調整部213Bは、第2画像データを生成するためのR信号に対してのみ、図11又は図17に関連して説明された信号処理を実行するので、Rフレーム画像に対する第2書込動作に対応する輝度の絶対値のみが、順次、低減する。図22は、Rフレーム画像に対する輝度が「±95」になるまでステップS120が実行されていることを示す。
【0186】
視聴者は、第2書込動作が終了したときの輝度を知覚する。したがって、ステップS120の実行の結果、視聴者は、Rフレーム画像とLフレーム画像とを含むフレーム画像の組に対して、「97.5」の輝度を知覚する。かくして、視聴者は、第2書込動作の停止に伴う輝度変化をほとんど知覚しない。
【0187】
<第4実施形態>
図23は、第4実施形態に係る表示装置を含む映像システムの構成を概略的に示すブロック図である。図23を用いて、映像システムの概略的な構成が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対しては、同様の符号が付されている。以下の説明において、第1実施形態との相違点が主に説明される。第1実施形態と同様の特徴に対して、第1実施形態に関連する説明が援用される。
【0188】
(映像システムの構成)
映像システム100Cは、第1実施形態に関連して説明された眼鏡装置300に加えて、表示装置200Cを備える。表示装置200Cは、第1実施形態に関連して説明された第2制御部240に加えて、表示部230C及び映像信号処理部210Cを備える。表示部は、第1実施形態に関連して説明された、第1制御部250、バックライト光源232、液晶パネル231及び検出部221に加えて、駆動部220Cを備える。駆動部220Cが、第1書込動作を第2書込動作よりも高速に行う点で、第1実施形態の駆動部220と相違する。
【0189】
図24は、表示装置200Cの映像信号処理部210Cの機能構成を概略的に示すブロック図である。図23及び図24を用いて、映像信号処理部210Cが説明される。
【0190】
映像信号処理部210Cは、第1実施形態に関連して説明されたγ調整部213に加えて、出力部214C、判定部215C、選択部212C及び等価部211を備える。等価部211は、第1画像データの解像度を低減するための信号処理を実行する。第1画像データの解像度の低減によって、駆動部220Cは、第2画像データを書き込むための時間長さより短い期間で第1画像データを書き込むことができる。本実施形態において、等価部211は、解像度調整部として例示される。等価部211は、後述される等価処理(平均化処理又は選択処理)を映像信号に対して実行する。
【0191】
(等価処理(平均化処理))
図25は、液晶パネル231の一部を概略的に示す模式図である。図26は、等価処理として例示される平均化処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。図23乃至図26を用いて、平均化処理が説明される。
【0192】
液晶パネル231は、水平方向に延びる複数のゲート線と、垂直方向に延びる複数のデータ線と、を含む。図25には、垂直方向に整列したゲート線L1乃至L16及び水平方向に整列したデータ線M1乃至M32が示されている。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点には、画素P及び画素Pに対応する液晶(図示せず)がそれぞれ割り当てられる。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32とに印加される電圧に応じて、液晶の駆動量が定められる。
【0193】
図26には、ゲート線L1乃至L4とデータ線M1及びM2とのそれぞれの交点に対応する画素P1乃至P8が示されている。図24に示される如く、等価部211にはフレーム映像信号(Lフレーム画像信号及びRフレーム画像信号)が直接的に入力される。等価部211は、垂直方向に整列した複数の画素を含む画素グループ(図26中、点線で囲まれる画素の組)を設定する。図26には、データ線M1上に整列した画素P1,P2の組を含む画素グループG1,データ線M1上に整列した画素P3,P4の組を含む画素グループG2,データ線M2上に整列した画素P5,P6の組を含む画素グループG3及びデータ線M2上に整列した画素P7,P8の組を含む画素グループG4が示されている。
【0194】
図26中の各画素内に示された数値は、画素に対して割り当てられた輝度を示す。フレーム画像信号は、例えば、画素P1,P3に対して、「40」の輝度を規定し、画素P2,P4,P6,P8に対して、「60」の輝度を規定し、画素P5,P7に対して、「80」の輝度を規定している。等価部211は、各画素グループG1,G2,G3,G4内で輝度を平均化する。等価部211は、画素グループG1中の画素P1,P2に対して規定された「40」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「50」の輝度を画素P1,P2に設定する。等価部211は、画素グループG2中の画素P3,P4に対して規定された「40」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「50」の輝度を画素P3,P4に設定する。等価部211は、画素グループG3中の画素P5,P6に対して規定された「80」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「70」の輝度を画素P5,P6に設定する。等価部211は、画素グループG4中の画素P7,P8に対して規定された「80」の輝度と「60」の輝度とを平均化し、「70」の輝度を画素P7,P8に設定する。図25に示される如く、上述の平均化処理は、各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点に対応する全ての画素Pに対して実行される。
【0195】
(等価処理(選択処理))
図27は、液晶パネル231の一部を概略的に示す模式図である。図28は、等価処理として例示される選択処理を通じて設定される画素の輝度変化を示す。図23、図24、図27及び図28を用いて、選択処理が説明される。
【0196】
液晶パネル231は、水平方向に延びる複数のゲート線と、垂直方向に延びる複数のデータ線と、を含む。図27には、垂直方向に整列したゲート線L1乃至L16及び水平方向に整列したデータ線M1乃至M32が示されている。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点には、画素P及び画素Pに対応する液晶(図示せず)がそれぞれ割り当てられる。各ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32とに印加される電圧に応じて、液晶の駆動量が定められる。
【0197】
図28には、ゲート線L1乃至L4とデータ線M1及びM2とのそれぞれの交点に対応する画素P1乃至P8が示されている。等価部211は、垂直方向に整列した複数の画素を含む画素グループ(図28中、点線で囲まれる画素の組)を設定する。図28には、データ線M1上に整列した画素P1,P2の組を含む画素グループG1,データ線M1上に整列した画素P3,P4の組を含む画素グループG2,データ線M2上に整列した画素P5,P6の組を含む画素グループG3及びデータ線M2上に整列した画素P7,P8の組を含む画素グループG4が示されている。
【0198】
図28中の各画素P1乃至P8内に示された数値は、画素P1乃至P8それぞれに対して割り当てられた輝度を示す。フレーム画像信号は、例えば、画素P1,P3に対して、「40」の輝度を規定し、画素P2,P4,P6,P8に対して、「60」の輝度を規定し、画素P5,P7に対して、「80」の輝度を規定している。等価部211は、各画素グループG1,G2,G3,G4内で輝度を選択する。等価部211は、奇数番号のゲート線上の画素P1,P3,P5,P7に対して規定された輝度を選択し、画素グループG1,G2,G3,G4内の他の画素P2,P4,P6,P8に選択された輝度をそれぞれ割り当てる。したがって、画素グループG1内の画素P1,P2並びに画素グループG2内の画素P3,P4内の画素P3,P4の輝度は、「40」に設定される。また、画素グループG3内の画素P5,P6並びに画素グループG4内の画素P7,P8の輝度は、「80」に設定される。代替的に、等価部211は、フレーム画像信号が画素グループ内の画素に対して定めた輝度のうち、大きい方或いは小さい方を選択してもよい。更に代替的に、等価部211は、他の適切な基準に基づき、第1画像データを生成するための輝度を選択してもよい。図27に示される如く、上述の選択処理は、ゲート線L1乃至L16と各データ線M1乃至M32との交点に対応する全ての画素Pに対して実行される。
【0199】
(第1書込動作及び第2書込動作)
第1画像データを書き込むための第1書込動作及び第2画像データを書き込むための第2書込動作が以下に説明される。
【0200】
等価部211は、フレーム画像信号に対して、上述の平均化処理を行い、平均化信号を出力する。或いは、等価部211は、フレーム画像信号に対して、上述の選択処理を行い、選択信号を出力する。
【0201】
図24に示される如く、平均化信号又は選択信号は、選択部212Cに入力される。したがって、選択部212Cは、第1画像データを生成するための信号として、等価部211によって処理された信号を受け、第2画像データを生成するための信号として、γ調整部213によって処理された信号を受ける。選択部212Cは、第1画像データが書き込まれる期間に、等価部211によって処理された信号を出力部214Cに出力する。また、選択部212Cは、第2画像データが書き込まれる期間に、γ調整部213によって処理された信号を出力部214Cに出力する。
【0202】
図29は、駆動部220Cが行う書込動作を示す概略的なグラフである。図29(a)は、第1画像データを書き込むための第1書込動作を示す。図29(b)は、第2画像データを書き込むための第2書込動作を示す。図29は、ゲート線L1乃至L12までの書込動作を示す。図29(a)及び図29(b)の横軸は、ゲート線L1乃至L12までの書込動作を行っている時間軸である。図29(a)及び図29(b)の縦軸は、液晶パネル231の垂直方向に位置を表す。図23、図24、図26、図28及び図29を用いて、第1書込動作及び第2書込動作が説明される。
【0203】
等価部211は、図26及び図28に関連して説明された如く、垂直方向に整列した画素を含む画素グループG1,G2,G3,G4内の画素に対して、等しい輝度を規定する。したがって、駆動部220Cは、ゲート線L2t−1,L2t(tは自然数)上に第1画像データを同時に書き込むことができる。この結果、ゲート線L2t−1,L2t(tは自然数)上の画素に対応する液晶は、同時に駆動される。
【0204】
第2画像データは、γ調整部213によって処理された映像信号に基づき生成されるので、画素ごとに異なる輝度を潜在的に規定する。したがって、駆動部220Cは、ゲート線L1から下端のゲート線に向けて、順次、第2画像データを書き込む。
【0205】
本実施形態において、第1書込動作を行う駆動部220Cは、2つのゲート線L2t−1,L2tの組に同時に第1画像データの書き込みを行うので、ゲート線L12までの書き込みを完了するまでの第1書込動作の期間T1は、ゲート線L12までの書き込みを完了するまでの第2書込動作の期間T2の半分となる。比較的短期間で行われる第1書込動作によって、液晶パネル231の液晶の駆動が表示面全体に亘って早期に開始されるので、特に表示面下部領域におけるクロストークが低減される。
【0206】
(書込回数を低減させるための表示制御方法)
図30は、検出部221が第1温度閾値を超える駆動部220Cの温度を検出したときの表示制御方法を概略的に示すフローチャートである。図11、図17、図23、図24、図29及び図30を用いて、表示制御方法が説明される。
【0207】
(ステップS300)
図24に示される如く、検出部221は、駆動部220Cの温度を測定し、測定された温度の情報を含む検出信号を判定部215Cに出力する。駆動部220Cは、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。尚、図29に関連して説明された如く、第1画像データの液晶パネル231への書込は、第2画像データの書込よりも高速に行われる。本実施形態において、ステップS300は、駆動部の温度を測定する段階として例示される。
【0208】
(ステップS310)
ステップS310において、判定部215Cは、駆動部220Cの温度が第1温度閾値を超えているか否かを判定する。駆動部220Cの温度が、第1温度閾値を超えていないならば、ステップS310が繰り返される。ステップS310が繰り返されている間、駆動部220は、第1画像データ及び第2画像データを液晶パネル231に書き込む。駆動部220の温度が、第1温度閾値を超えているならば、ステップS320が実行される。ステップS310の判定処理によって、2回の書込動作がなされるか、1回の書込動作がなされるかが決定される。したがって、本実施形態において、ステップS310は、画像データの書込回数を決定する段階として例示される。
【0209】
(ステップS320)
ステップS320において、γ調整部213は、γ値を調整し、第2画像データの輝度レベルを、低減する。その後、ステップS330が実行される。尚、本実施形態において、γ調整部213の輝度調整に関する処理は、第1実施形態又は第2実施形態の処理と同様である。
【0210】
(ステップS330)
ステップS330において、判定部215Cは、輝度レベルが目標輝度レベルに到達したか否かを判定する。輝度レベルが目標輝度レベルに到達していないならば、ステップS320が再度実行され、輝度レベルが更に低減される。図11又は図17に関連して説明されたγ調整部213の出力特性が、書込動作の回数の低減に伴う輝度変化を視聴者に知覚させない程度まで変更されると、γ調整部213は、通知信号を判定部215Cに出力する。判定部215Cがγ調整部213から通知信号を受けると、ステップS340が実行される。
【0211】
(ステップS350)
ステップS350において、判定部215Cは、選択部212Cに第1画像データの出力を停止させる制御信号を出力する。選択部212Cが第1画像データの出力を停止すると、ステップS355が実行される。
【0212】
(ステップS355)
ステップS355において、選択部212Cは、第1画像データの代わりに、第2画像データを出力部214Cに出力する。この結果、第2画像データの書込タイミングが調整される。書込タイミングの調整は、後述される。
【0213】
(ステップS360)
ステップS360において、駆動部220Cは、第2画像データの書込期間を徐々に延長してもよい。ステップS355において、液晶パネル231が所定数のフレーム画像を表示した後、或いは、駆動部220Cの温度低下が十分でないとき、ステップS360が実行されてもよい。
【0214】
(ステップS370)
ステップS370は、ステップS360において、第2画像データの書込期間が十分に長くなったとき、或いは、ステップS355が実行された後に行われる。ステップS370において、駆動部220は、第2画像データのみを液晶パネル231に書き込む。ステップS370及び上述のステップS300は、ステップS310の判定結果によって決定された書込回数だけ画像データを書き込み、フレーム画像を液晶パネル231に表示させる工程である。したがって、ステップS370及びステップS300は、フレーム画像を液晶パネルに表示させる段階として例示される。
【0215】
図31は、図30に関連して説明されたステップS300における映像システム100Cの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図23、図24、図30及び図31を用いて、ステップS300における映像システム100Cの動作が説明される。
【0216】
図31のセクション(a)は、表示されるフレーム画像を示す。図31のセクション(a)に示される如く、液晶パネル231には、Rフレーム画像及びLフレーム画像が交互に表示される。
【0217】
輝度調整の原理を明瞭に説明するために、図31に関連する説明では、映像システム100Cは、Rフレーム画像及びLフレーム画像ともに白色の映像を表示する。
【0218】
図31のセクション(c)は、駆動部220Cによる液晶パネル231への画像データの書込動作を概略的に示す。上述の如く、Rフレーム画像又はLフレーム画像を表示するために、駆動部220は、第1書込動作(第1画像データの書込)及び第2書込動作(第2画像データの書込)を行う。書込動作は、液晶パネル231の上側領域から開始され、下側領域で終了する。また、第1書込動作は、第2書込動作よりも高速に行われる。
【0219】
図31のセクション(b)は、光学シャッタ部310の動作を示す。光学シャッタ部310は、Rフレーム画像又はLフレーム画像の表示時間の終了時(第2書込動作が終了してから後続のフレーム画像の表示期間が開始するまでの期間)に右シャッタ312又は左シャッタ311を開く。右シャッタ312が開かれている間、視聴者は、Rフレーム画像を視聴する。左シャッタ311が開かれている間、Lフレーム画像を視聴する。
【0220】
図31のセクション(d)は、第1書込動作及び第2書込動作が実行されている間に印加される電圧の極性を示す。Rフレーム画像を表示するとき、正の極性の電圧が印加される。Lフレーム画像を表示するとき、負の極性の電圧が印加される。この結果、中間電位が維持されやすくなる。本実施形態において、正の極性及び負の極性のうち一方は、第1極性として例示され、他方は第2極性として例示される。
【0221】
図31のセクション(e)は、画素に充電される電位を示す。図31のセクション(e)には、「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値が示される。「+」及び「−」は、図31のセクション(d)に関連して説明された電圧の極性を意味する。「+95」、「+100」、「−95」及び「−100」といった数値は、画素の充電電位を意味する。図31のセクション(e)に関連する説明において、「±100」の数値は、「白色」を表現する電位を意味する。「±95」の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0222】
図31のセクション(e)に示される如く、第1書込動作の期間は短いため、最初のRフレーム画像の表示において、充電電位は、目標とする「+100」の値に到達しない。引き続き実行される第2書込動作によって、充電電位は、「+100」の値に到達する。
【0223】
その後に表示されるLフレーム画像の表示のために、駆動部220は、印加する電圧の極性を「正」から「負」に変更する。Rフレーム画像と同様の白色のLフレーム画像を表示するためには、充電電位は、「+100」の値から「−100」の値に変化する必要があるが、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の期間は、当該充電電位の変動を生じさせるには短すぎる。結果として、Lフレーム画像の表示のために実行される第1書込動作の終了時において、充電電位は、「−95」の値となっている。その後に実行される第2書込動作によって、充電電位は、「−100」の値に到達する。
【0224】
図31のセクション(f)は、眼鏡装置300を通じて、視聴者が視聴する輝度を示す。図31のセクション(f)に示される「100」の数値は、「白色」のフレーム画像を視聴していることを意味する。尚、「100」以下の数値は、「白色」よりも暗く表現される色相(例えば、灰色)を意味する。
【0225】
図32は、図30に関連して説明されたステップS320における映像システム100Cの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図11、図17、図23、図24、図30乃至32を用いて、ステップS320における映像システム100Cの動作が説明される。
【0226】
図32のセクション(a)乃至セクション(d)並びにセクション(f)は、図31のセクション(a)乃至セクション(d)並びにセクション(f)にそれぞれ対応する。
【0227】
図32のセクション(e)と図31のセクション(e)とを比較すると、第2書込動作によって達成される充電電位が、徐々に低減されていることが分かる。図11及び図17に関連して説明された如く、γ調整部213は、ステップS320が開始されると、出力特性を変更し、充電電位を低減させる。したがって、後続のLフレーム画像及びRフレーム画像は、先行するLフレーム画像及びRフレーム画像の輝度レベルと比べて低くなる。この結果、視聴者が視聴するフレーム画像の輝度は、徐々に低減する。
【0228】
図33は、図31に関連して説明されたステップS350からステップS355までの工程における映像システム100Cの動作を示す概略的なタイミングチャートである。図23、図24、図30、図31及び図33を用いて、ステップS350からステップS355までの工程における映像システム100Cの動作が説明される。
【0229】
図33のセクション(a)、セクション(b)並びにセクション(d)乃至セクション(f)は、図31のセクション(a)及びセクション(b)並びにセクション(d)乃至セクション(f)にそれぞれ対応する。
【0230】
図30に関連して説明された如く、ステップS350において、選択部212Cは、第1画像データとして用いられる信号の出力を停止する。ステップS355において、選択部212Cは、第2画像データとして用いられる信号の出力タイミングを調整する。この結果、第2画像データとして用いられる信号は、Rフレーム画像又はLフレーム画像の開始と同期して出力される。
【0231】
図33のセクション(c)は、ステップS370における駆動部220Cの第2画像データの書込動作を示す。図33(c)に示される如く、ステップS350及びステップS355の処理の結果、第2画像データを書き込むための第2書込動作は、Rフレーム画像及びLフレーム画像の表示期間の開始時に同期して開始される。ステップS320における輝度低減の処理の結果、ステップS350及びステップS355の実行に伴う輝度変化は、視聴者に検知されにくくなる。
【0232】
(書込回数を増大させるための表示制御方法)
判定部215Cは、第1実施形態と同様に、駆動部220Cの温度が第2温度閾値を下回っているか否かを判定する。駆動部220の温度が、第2温度閾値を下回っているならば、図30に示される工程と逆の工程を経て、書込回数が増加される。
【0233】
本実施形態の原理は、様々な電子素子を用いて、実現される。例えば、上述の一連の制御は、集積回路及びこれに組み込まれたプログラムを用いて実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0234】
本発明は、フレーム画像の表示に対して複数回の書込動作を実行する表示装置及び表示システムに好適に適用される。
【符号の説明】
【0235】
200,200A,200B,200C・・・表示装置
210,210A,210B,210C・・・映像信号処理部
213,213A,212B・・・・・・・・γ調整部
220,220B,220C・・・・・・・・駆動部
221・・・・・・・・・・・・・・・・・・検出部
231・・・・・・・・・・・・・・・・・・液晶パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネルと、
前記フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、前記フレーム画像を表示するための画像データを生成する生成部と、
前記画像データを前記液晶パネルに書き込み、前記液晶を駆動する駆動部と、
該駆動部の温度を検出する検出部と、を備え、
前記生成部は、前記駆動部の前記温度に応じて、前記駆動部による前記液晶パネルへの前記画像データの書込回数を調整することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フレーム画像は、第1フレーム画像と、該第1フレーム画像の後に表示される第2フレーム画像と、を含み、
前記生成部は、前記液晶パネルに表示される前記フレーム画像の輝度レベルを調整するように前記フレーム画像信号を処理し、前記画像データを生成する輝度調整部を含み、
前記駆動部の前記温度に対して定められた第1閾値より前記駆動部の前記温度が大きいとき、前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像に対して定められた第1輝度レベルよりも低い第2輝度レベルに前記第2フレーム画像の前記輝度レベルを設定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画像データは、第1画像データと、該第1画像データに後続して前記液晶パネルに書き込まれる第2画像データと、を含み、
前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第1輝度レベルに設定し、前記第2フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2画像データに対する前記輝度レベルが、該輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減されると、
前記生成部は、前記第2画像データの出力を停止し、
前記駆動部は、前記第1画像データに基づき、前記液晶を駆動し、前記液晶パネルに前記フレーム画像を表示することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記液晶パネルは、前記画像データが書き込まれるゲート線を含み、
前記第2画像データに対する前記輝度レベルが、該輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減された後、且つ、前記生成部が前記第2画像の出力を停止する前に、
前記駆動部は、前記第2画像データに対する前記輝度レベルが前記目標レベルに到達する前に前記画像データが書き込まれた前記ゲート線の数よりも少ない数の前記ゲート線に前記第2画像データを書き込むことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記生成部が、前記第1画像データ及び前記第2画像データを出力しているとき、前記駆動部は、前記第1画像データを、第1時間長さで書き込み、
前記生成部が、前記第2画像データの出力を停止すると、前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第1時間長さよりも長い第2時間長さで書き込むことを特徴とする請求項4又は5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像と、を含み、
前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、
フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記左フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記右フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、前記第1極性とは反対の第2極性で前記液晶を駆動し、
前記輝度調整部は、前記左フレーム画像に対応する前記第2画像データ及び前記右フレーム画像に対応する前記第2画像データそれぞれに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように前記左フレーム画像とは視差の分だけ異なる内容を表す右フレーム画像と、を含む第1組のフレーム画像と、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを含み、前記第1組のフレーム画像に引き続き表示される第2組のフレーム画像と、を含み、
前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、
フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記第1組のフレーム画像を表示するために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記第2組のフレーム画像を表示するために第2極性で前記液晶を駆動し、
前記輝度調整部は、前記左フレーム画像及び前記右フレーム画像のうち一方に対応する前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルは、前記第1組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルよりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、
該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域のうち所定の階調値より大きな階調領域に対するγ値を調整し、前記第2画像データを生成することを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、
該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域の全体に亘ってγ値を調整し、前記第2画像データを生成することを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第2画像データよりも高速に書き込むことを特徴とする請求項3乃至11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記生成部は、前記第2画像データよりも低い解像度の前記第1画像データを生成する解像度調整部を含むことを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記生成部は、前記駆動部の前記温度が前記第1閾値より低い第2閾値を下回ったときに、前記第2画像データの出力を再開し、
前記駆動部は、前記第1画像データに基づき、前記液晶を駆動する第1書込動作と、前記第2画像データに基づき、前記液晶を駆動する第2書込動作と、を実行することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項15】
画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する駆動部の温度を測定する段階と、
前記駆動部の前記温度に応じて、前記画像データの書込回数を決定する段階と、
前記決定された書込回数だけ前記画像データを書き込み、フレーム画像を前記液晶パネルに表示させる段階と、を備えることを特徴とする表示制御方法。
【請求項1】
フレーム画像を表示するように駆動される液晶を含む液晶パネルと、
前記フレーム画像に対応するフレーム画像信号に基づき、前記フレーム画像を表示するための画像データを生成する生成部と、
前記画像データを前記液晶パネルに書き込み、前記液晶を駆動する駆動部と、
該駆動部の温度を検出する検出部と、を備え、
前記生成部は、前記駆動部の前記温度に応じて、前記駆動部による前記液晶パネルへの前記画像データの書込回数を調整することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フレーム画像は、第1フレーム画像と、該第1フレーム画像の後に表示される第2フレーム画像と、を含み、
前記生成部は、前記液晶パネルに表示される前記フレーム画像の輝度レベルを調整するように前記フレーム画像信号を処理し、前記画像データを生成する輝度調整部を含み、
前記駆動部の前記温度に対して定められた第1閾値より前記駆動部の前記温度が大きいとき、前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像に対して定められた第1輝度レベルよりも低い第2輝度レベルに前記第2フレーム画像の前記輝度レベルを設定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画像データは、第1画像データと、該第1画像データに後続して前記液晶パネルに書き込まれる第2画像データと、を含み、
前記輝度調整部は、前記第1フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第1輝度レベルに設定し、前記第2フレーム画像を表示するための前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2画像データに対する前記輝度レベルが、該輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減されると、
前記生成部は、前記第2画像データの出力を停止し、
前記駆動部は、前記第1画像データに基づき、前記液晶を駆動し、前記液晶パネルに前記フレーム画像を表示することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記液晶パネルは、前記画像データが書き込まれるゲート線を含み、
前記第2画像データに対する前記輝度レベルが、該輝度レベルに対して定められた目標レベルまで低減された後、且つ、前記生成部が前記第2画像の出力を停止する前に、
前記駆動部は、前記第2画像データに対する前記輝度レベルが前記目標レベルに到達する前に前記画像データが書き込まれた前記ゲート線の数よりも少ない数の前記ゲート線に前記第2画像データを書き込むことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記生成部が、前記第1画像データ及び前記第2画像データを出力しているとき、前記駆動部は、前記第1画像データを、第1時間長さで書き込み、
前記生成部が、前記第2画像データの出力を停止すると、前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第1時間長さよりも長い第2時間長さで書き込むことを特徴とする請求項4又は5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように作成された右フレーム画像と、を含み、
前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、
フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記左フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記右フレーム画像を前記液晶パネルに表示させるために、前記第1極性とは反対の第2極性で前記液晶を駆動し、
前記輝度調整部は、前記左フレーム画像に対応する前記第2画像データ及び前記右フレーム画像に対応する前記第2画像データそれぞれに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左フレーム画像と、右眼で視聴されるように前記左フレーム画像とは視差の分だけ異なる内容を表す右フレーム画像と、を含む第1組のフレーム画像と、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを含み、前記第1組のフレーム画像に引き続き表示される第2組のフレーム画像と、を含み、
前記液晶パネルは、前記左フレーム画像と前記右フレーム画像とを時間的に切り替えて交互に表示し、
フレーム反転方式で前記液晶を駆動する前記駆動部は、前記第1組のフレーム画像を表示するために、第1極性で前記液晶を駆動し、前記第2組のフレーム画像を表示するために第2極性で前記液晶を駆動し、
前記輝度調整部は、前記左フレーム画像及び前記右フレーム画像のうち一方に対応する前記第2画像データに対する前記輝度レベルを前記第2輝度レベルに設定することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルは、前記第1組のフレーム画像に対して設定された前記第2輝度レベルよりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、
該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域のうち所定の階調値より大きな階調領域に対するγ値を調整し、前記第2画像データを生成することを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記フレーム画像信号は、前記液晶に対応する画素の輝度を規定する階調信号を含み、
該階調信号にγ補正を行い、前記画像データを生成する前記輝度調整部は、前記階調信号が規定する階調領域の全体に亘ってγ値を調整し、前記第2画像データを生成することを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記第1画像データを、前記第2画像データよりも高速に書き込むことを特徴とする請求項3乃至11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記生成部は、前記第2画像データよりも低い解像度の前記第1画像データを生成する解像度調整部を含むことを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記生成部は、前記駆動部の前記温度が前記第1閾値より低い第2閾値を下回ったときに、前記第2画像データの出力を再開し、
前記駆動部は、前記第1画像データに基づき、前記液晶を駆動する第1書込動作と、前記第2画像データに基づき、前記液晶を駆動する第2書込動作と、を実行することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項15】
画像データを液晶パネルに書き込み、液晶を駆動する駆動部の温度を測定する段階と、
前記駆動部の前記温度に応じて、前記画像データの書込回数を決定する段階と、
前記決定された書込回数だけ前記画像データを書き込み、フレーム画像を前記液晶パネルに表示させる段階と、を備えることを特徴とする表示制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−189629(P2012−189629A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50642(P2011−50642)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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