説明

表示装置

【課題】画素開口の開口率の向上を図りつつも、補助配線との接続によって有機電界発光素子の上部電極の電圧降下を十分に防止できるレイアウトの表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】略矩形の表示領域3aが設定された基板3と、下部電極と上部電極との間に有機層を挟持してなり表示領域3a内に配列された複数の有機電界発光素子と、下部電極と同一層からなると共に前記上部電極に接続された状態で、当該下部電極間に配線された補助配線とを備えた表示装置1において、各有機電界発光素子が配置される略矩形の画素開口aの長辺方向が、表示領域3aの長辺方向xと一致していることを特徴としている。また、補助配線のうち、表示領域3aの短辺方向yに延設された配線部分の配線幅が、当該表示領域3aの長辺方向xに延設された配線部分の配線幅よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特には有機電界発光素子を備えたアクティブマトリックス駆動の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14には、有機電界発光素子を用いた表示装置(有機EL表示装置)のレイアウト図を示す。この図に示すように、有機EL表示装置は、基板3上に略矩形の表示領域3aが設定され、この表示領域3a内に複数の画素開口aが配列形成されている。各画素開口aは略矩形形状であって、その長辺方向を表示領域3aの短辺方向に一致させて配列されている。有機EL表示装置においては、画素開口aの形状が、そのまま有機電界発光素子ELの発光面の形状と一致している。
【0003】
図15に示すように、各画素開口aに一致して設けられる有機電界発光素子ELは、画素開口aに対応してパターニングされた下部電極(例えばアノード)5を備えている。このような下部電極5の周縁は絶縁膜7で覆われ、この絶縁膜7に設けられた開口が画素開口aとなる。そして、画素開口aから露出させた下部電極5上に、有機層9、および上部電極(カソード)11をこの順に積層した部分で有機電界発光素子ELが構成されている。
【0004】
アクティブマトリックス駆動の表示装置においては、下部電極5よりも下層に設けられた駆動回路(図示省略)が、各下部電極5に接続された構成となっている。また上部電極11は、複数の有機電界発光素子ELで共有されたベタ膜として構成されている。
【0005】
以上のようなアクティブマトリックス駆動の表示装置においては、有機電界発光素子ELの開口率を確保するために、上部電極11側から光を取り出す、いわゆる上面光取り出し構造(以下、上面発光型と記す)として構成することが有効になる。このため、上部電極11に対しては、光透過性を確保するためにナノオーダーの薄膜化が要求され、これにより抵抗値が上昇して電圧降下が生じ、パネルの高精細、大型化を図るうえで表示領域3aの中央が暗くなってしまう様なクロストークが発生する。
【0006】
そこで、上部電極11に対しては、表示領域3aの四隅に設けた電源供給TCP(Tape Carrier Packag)13から電源が供給されるようにしている。またさらに、下部電極5と同一層からなる補助配線5aを表示領域3a内に格子状に設け、この補助配線5aを上部電極11に接続させることにより、クロストークの発生を抑える構成が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−318556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、上述したレイアウト構成の表示装置においては、表示領域3a内に格子状に設けた補助配線5aのうち、表示領域3aの短辺方向に集中して電流が流れることが分かった。しかしながら、上述したレイアウト構成の表示装置においては、表示領域3aの長辺方向に配列された3つの画素開口aをそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の表示に対応させたサブ画素とし、これらのR,G,Bのサブ画素を1組として1つの画素Pを構成している。そして、このような画素P内においては、各色に対応する画素開口aの開口率を最大限に確保してレイアウトするために、画素開口a間(すなわちサブ画素間)に配置される補助配線5aは、ほぼ最小線幅となるように設計される。
【0009】
このため、上述したレイアウトでは、表示領域3aの短辺方向に延設される補助配線5aに電流が集中して流れるにもかかわらず、この部分の補助配線5aの線幅Wが細いために配線抵抗が高く、電圧降下によるクロストークを抑える効果を十分に得ることができなかった。
【0010】
そこで本発明は、画素開口の開口率の向上を図りつつも、補助配線との接続によって有機電界発光素子の上部電極の電圧降下を十分に防止できるレイアウトの表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本発明の表示装置は、略矩形の表示領域が設定された基板と、下部電極と上部電極との間に有機層を挟持してなり前記表示領域内に配列された複数の有機電界発光素子と、下部電極と同一層からなると共に上部電極に接続された状態で下部電極間に配線された補助配線とを備えている。そして特に、各有機電界発光素子が配置される略矩形の画素開口の長辺方向が、表示領域の長辺方向と一致していることを特徴としている。
【0012】
このような構成の表示装置においては、画素開口を広げるために略矩形形状の画素開口の長辺(すなわち下部電極の長辺)を外側に広げた場合であっても、略矩形の表示画面の短辺方向に延設される補助配線の線幅が確保される。つまり、画素開口を広げるためには、略矩形の画素開口の短辺を外側に広げるよりも、長辺を外側に広げることが最も効果的なのである。上述した本発明の構成では、このように画素開口を広げた場合であっても、略矩形の表示画面の短辺方向に延設される補助配線、すなわち補助配線のうち電流が集中して流れる部分の線幅が確保されるため、補助配線による上部電極の電圧降下を防止する効果も高い。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、画素開口の開口率の向上を図りつつも、補助配線との接続によって有機電界発光素子の上部電極の電圧降下を十分に防止できるレイアウトの表示装置を得ることが可能になり、高精細な表示を実現しつつもクロストークの発生を効果的に防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の表示装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
<表示部の構成>
図1は、実施形態の表示装置1の概略構成を示すレイアウト図であり、図2は要部を拡大した平面図である。これらの図に示す表示装置1は、有機電界発光素子ELを配列してなる有機EL表示装置であって、各有機電界発光素子ELに駆動回路が接続されたアクティブマトリックス駆動の表示装置である。
【0016】
これらの図に示すように、表示装置1を構成する基板3上には、平面形状が略矩形の表示領域3aが設定されている。そして、この表示領域3a内に複数の画素開口aが配列されている。各画素開口aは、平面形状が略矩形であり、その長辺方向が表示領域3aの長辺方向xに一致して配置されているところが特徴的である。
【0017】
この画素開口aには、画素開口aの形状に一致して有機電界発光素子ELが設けられている。各有機電界発光素子ELは、画素開口a毎に分離してパターン形成された下部電極5を備えている。各下部電極5の周縁は絶縁膜7で覆われ、この絶縁膜7から下部電極5を露出させた部分が画素開口aとなる。このため、下部電極5は、画素開口aよりも一回り大きな略矩形にパターニングされ、その長辺方向が表示領域3aの長辺方向xに一致して配置されることになる。そして、絶縁膜7から露出している下部電極5上には、画素開口aを完全に覆う有機層9と、各画素開口aに共通したベタ膜状の上部電極11とがこの順に積層されている。下部電極5は例えばカソードとして用いられ、上部電極11は例えばアノードとして用いられる。そしてこれらの下部電極5と上部電極11とで有機層9を挟持した画素開口aの部分が有機電界発光素子ELとなる。したがって、有機電界発光素子ELは画素開口aと同一の略矩形の平面形状となり、その長辺方向が、表示領域3aの長辺方向xに一致して配置されることになる。
【0018】
尚、以上のような各有機電界発光素子ELに接続される駆動回路は、下部電極5に対して接続された状態で、当該下部電極5のさらに下層に設けられている。この駆動回路の構成については、以降に詳細に説明する。
【0019】
そして、有機電界発光素子ELの下層に駆動回路が設けられたアクティブマトリックス駆動の表示装置1においては、有機電界発光素子ELの開口率を確保するために、上部電極11側から光を取り出す、いわゆる上面光取り出し構造(以下、上面発光型と記す)として構成することが有効になる。このため、下部電極5は光反射性材料で構成され、上部電極11は光透過性材料で構成されていることとする。また有機電界発光素子ELが共振構造として構成される場合、上部電極11は半透過半反射性材料で構成されることとする。
【0020】
ここで、表示装置1がカラー表示用の表示装置の場合は、表示領域3aの短辺方向に配列された3つの画素開口aをそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の表示に対応させたサブ画素とし、これらのR,G,Bのサブ画素を1組として1つの画素Pを構成している。1つの画素Pは、略正方形で構成されたいわゆる正方画素であり、この略正方形を一方向に3分割した各部分に画素開口aが配置されているのである。図2には、RGBの3原色のサブ画素(画素開口a)を組み合わせた1つの画素P部分を拡大して図示している。
【0021】
ただし、1つの画素Pとしては、RGBの3原色のサブ画素の組み合わせに限られるものではなく、3原色の副画素にさらに1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素Pを構成することも可能である。より具体的には、輝度向上のために白色光(W)を発光するサブ画素を加えて1つの画素Pを構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光を発光する少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0022】
以上のようなR,G,Bの各サブ画素に配置される有機電界発光素子ELにおいては、それぞれの積層構成の有機層9が設けられていて良く、これらの有機層9は隣接する有機層9と端縁を重ねて配置されていても良い。
【0023】
また表示領域3a内には、下部電極5と同一層からなる補助配線5aが、上部電極11に接続された状態で配線されている。この補助配線5aは、下部電極5に対して絶縁性を保った状態で下部電極5間に格子状に配線されている。このような補助配線5aのうち、表示領域3aの長辺方向xに隣接して配置される画素開口a間に配線される部分、すなわち表示領域3aの短辺方向yに延設された配線部分(以下、第1補助配線部分5a-1と称する)の線幅W1は、長辺方向xに延設された配線部分(以下、第2補助配線部分5a-2と称する)の線幅W2よりも大きく構成されている。
【0024】
これらの線幅W1,W2の比は、表示領域3aの長辺方向xの大きさをLx、短辺方向yの大きさをLyとした場合、[W1/W2]>[Lx/Ly]で有ることが好ましい。
【0025】
そして以上のような第1補助配線部分5a-1は、各画素開口a間に全て配線されていて良いが、必要に応じた部分のみに配線されていても良い。一方、第2補助配線部分5a-2は、3つのサブ画素(画素開口a)を1組とした画素(正方画素)P間のみに配置されていて良い。尚、図3に示すように、第2補助配線部分5a-2は、第1補助配線部分5a-1の線幅W1よりも細い線幅W2であれば、短辺方向yに隣接して配置される各画素開口a間の全ての部分に配線されていても良く、さらには必要な画素開口a間のみに配置されていても良い。また、補助配線5aは、第1補助配線部分5a-1のみで構成されていても良い。
【0026】
以上のような構成の補助配線5aは、絶縁膜7に設けられた接続孔7aにおいて上部電極11と接続されている。このような接続孔7aは、線幅が太い第1補助配線部分5a-1上に設けられることが好ましく、第1補助配線部分5a-1と第2補助配線部分5a-2との交点上に設けられても良い。尚、接続孔7aは、各第1補助配線部分5a-1に設けられていることとし、1つの第1補助配線部分5a-1に対しては必要に応じた配置間隔で設けられれば良い。
【0027】
また、図1に示すように、補助配線5aおよび上部電極11には、表示領域3aの四隅において上部電極11に対して接続させた電源供給TCP(Tape Carrier Packag)13から電源電圧が供給されることは従来と同様である。尚、この電源供給TCP13は、表示領域3aの四隅において上部電極11に接続させた構成に限定されることはなく、適宜の位置で上部電極11に接続させた構成であっても良い。
【0028】
<駆動部の構成>
図4は、以上のような構成の表示装置1における駆動回路の構成を示す図である。また図5は、要部を拡大した平面レイアウト図であり、1画素Pに対応して配置される3つの駆動回路Cを拡大した図である。
【0029】
これらの図に示す駆動回路Cは、上述した有機電界発光素子ELの下層に層間絶縁膜を介して配置され、各有機電界発光素子ELの下部電極(5)に接続されている。これらの図に示すように、表示装置1における基板3上の表示領域3a内には、表示領域3aの長辺に沿って複数の走査線21が配線され、短辺方向に沿って複数の信号線23が配線されている。そして、各走査線21と信号線23との交差部に対応して1つの駆動回路Cが設けられた構成となっている。
【0030】
各駆動回路Cは、例えばスイッチング用の薄膜トランジスタTr1、駆動用の薄膜トランジスタTr2、保持容量Csとで構成されている。そして、保持容量Csと駆動用の薄膜トランジスタTr2とに、有機電界発光素子ELのカソードである下部電極(5)が接続された構成となっている。また、駆動用の薄膜トランジスタTr2と保持容量Csとは、共通の電源供給線(Vcc)25に接続されている。このような構成の駆動回路は、図5に示されるように、基板3上に設けられた第1導電層31と、ここでの図示は省略した半導体層と、これらを覆う絶縁膜(図示省略)上に設けた第2導電層32とで構成されている。
【0031】
また表示領域3aの周辺には、走査線21に対して走査線駆動回路(図示省略)を接続するためのTAB(Tape Automated Bonding)27、および信号線23に対して信号線駆動回路を接続するためのTAB29が配置されている。
【0032】
そして、走査線21の駆動により、スイッチング用の薄膜トランジスタTr1を介して信号線23から書き込まれた映像信号が保持容量Csに保持され、保持された信号量に応じた電流が駆動用の薄膜トランジスタTr2から有機電界発光素子ELに供給され、この電流値に応じた輝度で有機電界発光素子ELが発光する構成となっている。
【0033】
尚、以上のような画素回路の構成は、あくまでも一例であり、必要に応じて画素回路内に容量素子を設けたり、さらに複数の薄膜トランジスタを設けて画素回路を構成しても良い。
【0034】
ここで特に本実施形態に特徴的な構成は、表示部分において表示領域3aの短辺方向yに配列された3つのサブ画素(画素開口a)に対して、表示領域3aの長辺方向xに配列された3つの駆動回路Cが対応して接続されているところにある。つまり、画素P内においての3つの駆動回路Cの配線状態は、従来構成と同様にRGB縦ストライプとして配線されていて良い。しかしながら、これらの駆動回路Cに接続される有機電界発光素子ELの画素P内における配置状態は、従来構成に対して90°回転したRGB横ストライプとなっているのである。
【0035】
このような構成を実現するために、図5に示したように、1画素P内に配置される各駆動回路C間で、容量素子Csと駆動用の薄膜トランジスタTr2とに対する有機電界発光素子ELのコンタクト部33が、表示領域3aの短辺方向yにずらした位置に配置されるところが特徴的である。
【0036】
図6には、図5におけるA−A’断面に対応する断面図を示す。尚この図6は、図2のA−A’断面にも対応する図である。この図に示すように、基板3上の長辺方向xには、薄膜トランジスタTr2および容量素子Csを備えた1画素P分の3つの駆動回路Cが配列されている。これらの画素回路Cは、上述したように第1導電層31と第2導電層32とを用いて構成されている。そして、これらの駆動回路Cを覆う状態で平坦化絶縁膜34が設けられ、この平坦化絶縁膜34上に有機電界発光素子ELが設けられている。この有機電界発光素子ELは、平坦化絶縁膜34に設けた接続孔内にコンタクト部33を設け、このコンタクト部33を介して1つの画素回路Cに接続されている。
【0037】
この有機電界発光素子ELは、先に説明したように、絶縁膜7で周縁が覆われた下部電極5の露出面上に有機層9と上部電極11とをこの順に積層させた構成であり、絶縁膜7に設けた開口部分が画素開口aとなり、有機電界発光素子ELの表面形状に一致している。また下部電極5と同一層で構成された補助配線5aが、下部電極5の脇に配置されている。絶縁膜7にはこの補助配線5aに達する接続孔7aが設けられ、各有機電界発光素子ELに共通の上部電極11が、接続孔7aを介して補助配線5aに接続されていることは、上述したとおりである。
【0038】
このような1画素Pを構成する3つの画素回路C上に設けられた各有機電界発光素子ELは、図1,2を用いて説明したように、画素開口aと一致する略矩形の平面形状であって、その長辺方向を表示領域3aの長辺方向xに一致させている。このため、1つの有機電界発光素子EL(画素開口a)が、1画素Pを構成する長辺方向xに配列された3つの画素回路C上にわたって配置されることになる。一方、1つの駆動回路Cが、1画素Pを構成する短辺方向yに配列された3つの有機電界発光素子EL(画素開口a)にわたって配置されることになる。
【0039】
またこのような積層構成において、駆動回路を構成する薄膜トランジスタTr1、Tr2のチャネル部chは、光反射性材料からなる下部電極5または補助配線5aと重なる位置に配置されることが好ましい。このような位置関係とすることにより、反射材料からなる下部電極5および補助配線5aがチャネル部chの遮光膜となり、光照射による薄膜トランジスタTr1,Tr2特性の変動を抑えることができる。
【0040】
図7は、以上の駆動回路に設けられる薄膜トランジスタTr1,Tr2の構成例を示す図であり、(1)は平面図、(2)は平面図のA−A’断面図である。これらの図に示すように、薄膜トランジスタTr1,Tr2は、基板3上に設けられた第1導電層31からなるゲート電極31gを備えている。このゲート電極31gはゲート絶縁膜301(断面図のみに図示)で覆われ、このゲート絶縁膜301上にチャネル部半導体層302が設けられている。またチャネル部半導体層302上には、ゲート電極31gに積層される位置に絶縁性のストッパ層303が設けられており、さらにこのストッパ層303上で分離されたn型半導体層からなるソース/ドレイン304(断面図のみに図示)が設けられている。そしてさらに、これらのソース/ドレイン304に接続された状態で、第2導電層32からなるソース/ドレイン電極32sdが設けられた構成となっている。このような構成の薄膜トランジスタTr1,Tr2は、パッシベーション膜305(断面図のみに図示)で覆われている。
【0041】
図8は、以上の構成の薄膜トランジスタTr1,Tr2の作製手順を示す製造工程図であり、以下に薄膜トランジスタTr1,Tr2の製造方法を説明する。
【0042】
先ず、図8(1)に示すように、基板3上に第1導電層31をパターニングしてなるゲート電極31gを形成する。次に、図8(2)に示すように、ゲート電極31gを覆う状態でゲート絶縁膜301を形成する。その後、図8(3)に示すように、ゲート絶縁膜301上においてゲート電極31を覆う位置に、チャネル部半導体層302を形成する。次いで、図8(4)に示すように、チャネル部半導体層302上におけるゲート電極31に重なる位置に、絶縁性のストッパ層303をパターン形成する。その後、図8(5)に示すように、n型半導体層をパターニングすることにより、チャネル部半導体層302上に重ねる状態で、ストッパ層303上で分離させたソース/ドレイン304を形成する。しかる後、図8(5)に示すように、第2導電層32をパターニングしてなるソース/ドレイン電極32sdを、ソース/ドレイン304に接続させた状態に形成し、薄膜トランジスタTr1,Tr2を得る。また以上の後には、図7に示すように薄膜トランジスタTr1,Tr2を覆う状態でパッシベーション膜を形成305を形成する。
【0043】
以上説明した構成の表示装置1によれば、画素開口aを広げるために略矩形形状の画素開口aの長辺(すなわち下部電極5の長辺)を外側に広げた場合であっても、略矩形の表示画面3aの短辺方向に延設される第1補助配線部分5a-1の線幅W1を確保することができる。つまり、画素開口aを広げるためには、略矩形の画素開口a(下部電極5)の短辺を外側に広げるよりも、長辺を外側に広げることが最も効果的である。このため、表示領域3aの長辺方向xに対して画素開口aの長辺方向を一致させた本実施形態の構成では、このように効果的に画素開口aを広げた場合であっても、略矩形の表示画面3aの短辺方向yに延設される第1補助配線部分5a-1、すなわち補助配線5aのうち電流が集中して流れる部分の線幅W1を確保することができる。このため、補助配線5aによる上部電極11の電圧降下を防止する効果も高く得ることが可能である。尚、表示領域3a内においては、表示領域3aの短辺方向yに延設された第1補助配線部分5a-1に電流が集中して流れることは、本願の発明者らによって明らかである。
【0044】
また、このような構成において、補助配線線幅W1,W2の比を、表示領域3aの長辺方向xの大きさをLx、短辺方向yの大きさをLyとした場合、[W1/W2]>[Lx/Ly]とすることにより、上述したように補助配線5aのうちの電流が集中して流れる方向の線幅W1より太く、電流が殆ど流れない方向の線幅を細く配線して開口率をさらに向上させることが可能である。
【0045】
しかも、補助配線5aのうち電流が集中して流れる第1補助配線部分5a-1の線幅W1を確保したことにより、表示領域3aの長辺方向xに延設される第2補助配線部分5a-2の配置本数を削減することができる。そして、第2補助配線部分5a-2の配置本数を可能な限り削減する構成とすることで、さらに画素開口aの長辺を外側に広げて開口率を向上させることが可能になる。
【0046】
この結果、画素開口aの開口率の向上を図りつつも、補助配線5aとの接続によって有機電界発光素子ELの上部電極11の電圧降下を十分に防止することが可能であり、高精細な表示を実現しつつもクロストークの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0047】
また、各画素開口aに対応して配置される駆動回路Cの配線状態は、従来構成と同様にRGB縦ストライプとして配線されるため、駆動回路Cを含む表示装置1全体の回路設計を変更する必要はなく、設計変更に伴う特別な手間およびコストが掛かることもない。
【0048】
<適用例>
以上説明した本発明に係る製造方法によって得られる表示装置は、図9〜図13に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下に、本発明が適用される電子機器の一例について説明する。
【0049】
図9は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0050】
図10は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0051】
図11は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0052】
図12は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0053】
図13は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態の表示装置のレイアウト図である。
【図2】実施形態の表示装置を説明する要部拡大平面図である。
【図3】実施形態の表示装置の他の例を説明する要部拡大平面図である。
【図4】実施形態の表示装置の駆動回路の構成を示す図である。
【図5】実施形態の表示装置における駆動回路のレイアウト図である。
【図6】図2および図5のA−A’断面に対応する断面図である。
【図7】駆動回路に設けられる薄膜トランジスタの構成例を示す図である。
【図8】薄膜トランジスタの作製手順を示す製造工程図である。を、305を
【図9】本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図10】本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図11】本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図12】本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図13】本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図14】従来の表示装置のレイアウト図である。
【図15】従来の表示装置を説明する要部拡大平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1…表示装置、3…基板、3a…表示領域、5…下部電極、5a…補助配線、5a-1…第1補助配線部分、5a-2…第2補助配線部分、9…有機層、21…走査線、23…信号線、11…上部電極、a…画素開口、C…駆動回路、EL…有機電界発光素子、W1…配線幅(第1補助配線部分)、W2…配線幅(第2補助配線部分)、x…長辺方向(表示領域の)、y…短辺方向(表示領域の)、P…画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の表示領域を有する基板と、
前記表示領域内に配列され、下部電極と上部電極との間に有機層を有する複数の有機電界発光素子と、
前記下部電極と同一層からなると共に前記上部電極に接続された補助配線とを備えた表示装置において、
前記各有機電界発光素子が配置される略矩形の画素開口の長辺方向が、前記表示領域の長辺方向と一致している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記補助配線のうち、前記表示領域の短辺方向に延設された配線部分の配線幅が、当該表示領域の長辺方向に延設された配線部分の配線幅よりも大きい
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の表示装置において、
前記補助配線のうち、前記表示領域の長辺方向に延設された配線部分は、当該表示領域の短辺方向に配列された複数の画素開口を1組とした各画素毎に配置されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の表示装置において、
前記補助配線は、前記表示領域内において当該表示領域の短辺方向のみに延設されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の表示装置において、
前記補助配線のうち、前記表示領域の短辺方向に延設された配線部分は、前記各画素開口間に配置されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の表示装置において、
前記各有機電界発光素子にそれぞれ接続された駆動回路を備え、
前記表示領域の長辺方向に配列された複数の画素回路が、当該表示領域の短辺方向に配列された複数の有機電界発光素子にそれぞれ接続されて1画素を構成している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の表示装置において、
前記1画素を構成する複数の駆動回路は、前記表示領域の長辺方向に配線された1つの走査線に接続されている
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−176457(P2009−176457A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11229(P2008−11229)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】