説明

表示装置

【課題】操作性の向上を図る。
【解決手段】操作を行うための操作面に対する検出対象の位置を、操作面における座標位置および操作面との距離として検出し、検出対象の位置を示す検出対象位置情報として出力するタッチパネル20を備え、表示画面に設定値の調整が可能な設定項目を表す表示体を表示させ(S104)、タッチパネル20により検出された検出対象と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値を更新する(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ操作に応じて表示画面に表示される設定項目に対する操作を行うことが可能な表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リモートコントロール装置に設けられた平板状タッチスイッチに触れると、テレビジョン受信機のCRTにメニュー画面が表示され、この状態でタッチスイッチに触れた指をタッチスイッチの中の操作エリアに移動させると、メニュー画面上で対応している項目の表示色がその他の項目と異なるように変化する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−78381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような構成では、タッチスイッチを触れることにより表示部に表示されるメニュー画面に従って操作する必要がある。このため、表示画面の輝度調整や音量調整など、設定値の調整が可能な設定項目の設定値を変更する場合、例えば、タッチスイッチを触れて表示部にメニュー画面を表示させ、指を移動させて表示画面の輝度調整や音量調整などの設定項目を選択した後、別のスイッチを操作して設定項目を確定し、その後、設定項目に対して調整のための操作を行う必要があり、操作が複雑であるといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、操作性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、操作を行うための操作面に対する検出対象の位置を、操作面における座標位置および操作面との距離として検出し、検出対象の位置を示す検出対象位置情報として出力する操作検出手段と、表示画面に設定値の調整が可能な設定項目を表す表示体を表示させる設定項目表示手段と、操作検出手段により検出された検出対象と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値を更新する設定値更新手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、操作を行うための操作面に対する検出対象の位置を、操作面における座標位置および操作面との距離として検出し、検出対象の位置を示す検出対象位置情報として出力する操作検出手段を備え、表示画面に設定値の調整が可能な設定項目を表す表示体を表示させ、検出対象と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値が更新される。すなわち、表示画面に設定値の調整が可能な設定項目を表す表示体を表示させ、ユーザの指と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値が更新されるので、ユーザは指を操作面に近づけたり遠ざけたりするだけで、設定項目の設定値の調整操作を行うことができ、操作性の向上を図ることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、設定項目表示手段は、検出対象位置情報に基づいて検出対象が検出されたことを判定したときに、検出対象が検出された座標位置に対応する表示画面上の位置に、設定項目を表す表示体を表示させることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、検出対象位置情報に基づいて検出対象が検出されたことを判定したときに、検出対象が検出された座標位置に対応する表示画面上の位置に、設定項目を表す表示体が表示されるので、検出対象が検出されたことをユーザに認識させることができるとともに、常時、設定項目を表す表示体を表示させる必要がなく、表示画面を有効に利用することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、設定値更新手段は、操作面に対する検出対象の位置が予め定められた基準期間以上変更されないことに基づいて、設定項目の設定値を確定することを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、操作面に対する検出対象の位置が予め定められた基準期間以上変更されないことに基づいて、設定項目の設定値を確定するので、ユーザは設定項目の設定値が所望の値となった位置で、指を基準期間以上動かさないようにするだけで設定項目の設定値を確定させることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、設定項目表示手段は、検出対象位置情報に基づいて検出対象が非検出となったことを判定したときに、設定項目を表す表示体を非表示とすることを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、検出対象位置情報に基づいて検出対象が非検出となったことを判定したときに、設定項目を表す表示体が非表示となるので、検出対象が非検出となったことをユーザに認識させることができるとともに、常時、設定項目を表す表示体を表示させる必要がなく、表示画面を有効に利用することができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、設定項目表示手段は、設定項目を表す表示体を擬似立体的に描画するようになっており、設定値更新手段による設定項目の設定値の更新に応じて擬似立体的に描画した表示体が浮かび上がって見えるように描画形態を変更する描画形態変更手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、設定項目の設定値の更新に応じて擬似立体的に描画した表示体が浮かび上がって見えるように描画形態が変更されるので、ユーザは設定項目の設定値の増減を擬似立体的に認識することができる。すなわち、3次元的な指の動きに合わせて設定項目を表す表示体も三次元的に変化して見えるように表示することができる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、検出対象位置情報に基づいて検出対象が操作面に接近する速度を特定するとともに、当該検出対象が操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したか否かを判定する接近速度判定手段と、接近速度判定手段により検出対象が操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したと判定した場合、表示画面を有する表示部の電源のオンまたはオフを切り替える切替手段と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、検出対象が操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したと判定した場合、表示画面を有する表示部の電源のオンまたはオフが切り替えられるので、ユーザは操作面を接触操作することなく表示部の電源のオンまたはオフの切り替え操作を行うことができる。また、操作面に指の汚れ等が付着することもなくなる。
【0018】
また、上記目的を達成するため、請求項7に記載の発明は、操作を行うための操作面に対する検出対象の位置を、操作面における座標位置および操作面との距離として検出し、検出対象の位置を示す検出対象位置情報として出力する操作検出手段と、検出対象位置情報に基づいて検出対象が操作面に接近する速度を特定するとともに、当該検出対象が操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したか否かを判定する接近速度判定手段と、接近速度判定手段により検出対象が操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したと判定した場合、表示画面を有する表示部の電源のオンまたはオフを切り替える切替手段と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、検出対象が操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したと判定した場合、表示画面を有する表示部の電源のオンまたはオフが切り替えられるので、ユーザは指を操作面に接触させることなく、指を操作面に基準速度以上で接近させるだけで表示部の電源のオンまたはオフの切り替え操作を行うことができ、操作性を向上することができる。また、ユーザは指を操作面に接触させる必要がないので、操作面に指の汚れ等が付着することもなくなる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明のように、操作検出手段は、操作面に対する検出対象の接近に応じて変化する静電容量を検出する静電容量式タッチパネルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
【図2】静電容量式タッチパネルの構成を示す図である。
【図3】静電容量式タッチパネルの構成について説明するための図である。
【図4】表示画面に表示される操作スイッチについて説明するための図である。
【図5】制御部のフローチャートである。
【図6】表示画面に表示される操作スイッチの表示について説明するための図である。
【図7】表示画面に表示される操作スイッチについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を図1に示す。本表示装置は、車両に搭載されるナビゲーション装置として構成されている。本表示装置は、表示部10、タッチパネル20、電源回路30、描画回路40、地図データ入力装置50、DVDプレーヤ51、TVチューナ52、スピーカ60および制御部70を備えている。
【0023】
表示部10は、液晶等のディスプレイを有し、描画回路40より入力される画像をディスプレイに表示させる。
【0024】
タッチパネル20は、表示部10の表示画面の前面に重ねて設けられ、ユーザの操作面に対する操作に応じた信号を制御部70へ出力する。本タッチパネル20により、表示部10の表示画面に表示される設定項目に対する操作を行うことが可能となっている。
【0025】
電源回路30は、表示部10に一定電圧を供給するものであり、制御部70より入力される信号に応じて表示部10に供給する電源のオンまたはオフを切り替える。
【0026】
地図データ入力装置50は、CD、DVD、HDDなどの記憶媒体に記憶された地図データを読み出す装置である。地図データには、道路データ、背景データ、施設データ等が含まれる。
【0027】
DVDプレーヤ51は、CD、DVD等の記憶媒体に記憶された楽曲データを読み出して再生し、音声信号および映像信号を描画回路40へ出力する。
【0028】
TVチューナ52は、テレビ放送波を受信して、音声信号および映像信号を描画回路40へ出力する。
【0029】
描画回路40は、地図データ入力装置50、DVDプレーヤ51、TVチューナ52および制御部70より入力される各種情報から表示部10に表示させる画像を合成し、この合成した画像を表示部10へ出力する。
【0030】
スピーカ60は、制御マイコン70より入力される音声信号に応じた音声を出力する。
【0031】
制御部70は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUは、ROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。制御部70の処理としては、図示しない位置検出装置から入力される現在位置を特定するための情報に基づいて自車位置を特定するとともに、地図データ入力装置50より自車位置周辺の地図データを読み出して、自車位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねた画像を描画回路40へ出力させる地図表示処理、ユーザ操作により指定された楽曲をDVDプレーヤ51に再生させる処理、ユーザ操作により指定されたTV放送をTVチューナ52に受信させる処理等がある。
【0032】
図2に、タッチパネル20の構成を示す。本実施形態に係るタッチパネル20は、操作面に対する検出対象の接近に応じて変化する静電容量を検出する静電容量式タッチパネルとして構成されている。
【0033】
本タッチパネル20は、複数の縦方向の透明電極Taおよび複数の横方向の透明電極Tbが形成された透明基板(図示せず)と、各透明電極Ta、Tbに接続された検出回路20aを備えている。
【0034】
図3に示すように、検出対象としてのユーザの指Fがタッチパネル20の操作面Sに近づくと、その近くの各透明電極Ta、Tbに静電容量の変化が生じる。検出回路20aは、この静電容量の変化から操作面Sに対する検出対象の位置を三次元的に検出する。すなわち、検出回路20aは、各透明電極Ta、Tbより入力される信号に基づいて操作面Sに対する検出対象の位置を、操作面Sにおける座標位置および操作面Sとの距離として検出し、検出対象の位置を示す検出対象位置情報として制御部70へ出力する。なお、本タッチパネル20は、操作面Sから20〜30ミリメートル(mm)程度の範囲を反応領域として、検出対象の位置を検出することが可能となっている。
【0035】
車両のイグニッションスイッチがオン状態となると、本ナビゲーション装置は動作状態となり、タッチパネル20の検出回路20aは、検出対象の位置を示す検出対象位置情報を制御部70へ出力する。また、制御部70は、タッチパネル20の検出回路20aから定期的(例えば、50ミリ秒毎)に検出対象位置情報を取得して、検出対象の位置を特定する処理を開始する。
【0036】
本ナビゲーション装置は、図5に示すように、ユーザの指がタッチパネル20の操作面Sの右上の領域に近づくと、表示画面の輝度調整を行うための操作スイッチ(図中、コントラストと示す)を表示し、ユーザの指がタッチパネル20の操作面Sの右下の領域に近づくと、地図表示の拡大または縮小を行うための操作スイッチ(図中、地図縮尺と示す)を表示し、ユーザの指がタッチパネル20の操作面Sの左上の領域に近づくと、表示画面の明るさを行うための操作スイッチ(図中、明るさと示す)を表示し、ユーザの指がタッチパネル20の操作面Sの左下の領域に近づくと、音量調整を行うための操作スイッチ(図中、音量と示す)を表示するようになっている。そして、各操作スイッチに対する操作に応じて設定値の調整等を行うことが可能となっている。
【0037】
次に、表示画面の輝度調整を行うための操作スイッチ(図中、コントラストと示す)に対するユーザ操作に応じて表示画面の輝度調整を行う場合の処理について説明する。
【0038】
図5に、この処理のフローチャートを示す。運転者の操作に応じて車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、本ナビゲーション装置は動作状態となり、制御部70は、ユーザ操作に応じて地図表示画面、楽曲再生画面、テレビ受信画面等を表示装置の表示画面に表示させる処理を開始する。また、制御部70は、これらの処理と並行して図5に示す処理を実施する。
【0039】
まず、タッチパネル20より定期的に検出対象位置情報を取得し、この検出対象位置情報に基づいて検出対象が検出されたか否かを判定する(S100)。
【0040】
ここで、タッチパネル20により検出対象が検出されない場合、S100の判定はNOとなり、S100の判定を繰り返す。
【0041】
また、ユーザが指をタッチパネル20の操作面Sに接近させ、タッチパネル20によりユーザの指が検出対象として検出され、検出対象位置情報に基づいて検出対象が検出されたと判定すると、S100の判定はYESとなり、次に、検出対象位置情報に基づいて検出対象が操作面Sに接近する速度を特定するとともに、当該検出対象が操作面Sに接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したか否かを判定する(S101)。なお、検出対象が操作面Sに接近する速度は、前回取得した検出対象位置情報より特定される検出対象と操作面Sとの距離と、今回取得した検出対象位置情報より特定される検出対象と操作面Sとの距離との差分を、検出対象位置情報の収集周期で除算することにより求めることができる。
【0042】
ここで、ユーザが指を比較的ゆっくりと操作面Sに接近させ、接近した速度が基準速度未満となった場合、S101の判定はNOとなり、次に、再度、検出対象位置情報を取得する(S102)。
【0043】
次に、座標に応じた操作スイッチ(コントラスト調整)を表示するように描画回路40へ指示する(S104)。具体的には、検出対象位置情報より検出対象の位置を、操作面Sにおける座標位置および操作面Sとの距離として特定し、座標に応じて予め定められた設定項目の操作スイッチを表示するように描画回路40へ指示する。また、更に、コントラスト調整を表す操作スイッチを表示したことを音声で案内する。なお、ここでは、表示部10の表示画面に地図画面が表示されており、タッチパネル20の操作面Sの右上の領域に検出対象が検出されたものとし、コントラスト調整を表す操作スイッチを地図画面の右上の領域に重ねて表示するものとする。
【0044】
また、本実施形態では、コントラスト調整を表す操作スイッチSWを擬似立体的に描画した画像を地図表示画面等に重ねて表示させるようになっている。具体的には、図6に示すように、半径を異ならせた複数の円形の操作スイッチSWを、半径の小さいものから順に、その中心を少しずつずらしながら重ねるようにして操作スイッチSWを擬似立体的に描画して表示させるようになっている。
【0045】
次に、検出対象が動いているか否かを判定する(S106)。ここでは、前回取得した検出対象位置情報と今回取得した検出対象位置情報より特定される各検出対象の位置を一定時間比較することにより検出対象が動いているか否かを判定する。
【0046】
ここで、ユーザが指を操作面Sから遠ざけたり近づけたりしている状況では、S106の判定はYESとなり、次に、検出対象と操作面との距離に応じてコントラストの設定値を更新する(S108)。本実施形態では、ユーザが指を操作面Sの近づけるに連れてコントラストの設定値が大きくなり、ユーザが指を操作面Sから遠ざけるに連れてコントラストの設定値が小さくなるようになっている。なお、反対に、ユーザが指を操作面Sの近づけるに連れてコントラストの設定値が小さくなり、ユーザが指を操作面Sから遠ざけるに連れてコントラストの設定値が大きくなるようにしてもよい。
【0047】
次に、コントラストの設定値の更新に応じて操作スイッチの描画形態を変更する(S110)。具体的には、S108にてコントラストの設定値の更新に応じて、コントラスト調整の設定値の増減が変化するようにコントラスト調整を表す操作スイッチSWの描画形態を変更する。本実施形態では、図7に示すように、ユーザが操作面Sの右上の領域から指を遠ざけると、コントラスト調整を表す操作スイッチSWの数が減少し、ユーザが操作面Sの右上の領域に指を近づけると、表示画面の右上の領域にコントラスト調整を表す操作スイッチSWの数が多くなり、操作スイッチSWを表す画像が浮かび上がって見えるように表示形態を変更するようにしている。また、更に、コントラストの設定値を示す値(図中、10と示す)を表示させるようにして描画形態を変更する。
【0048】
次に、検出対象が一定時間停止したか否かを判定する(S112)。具体的には、前回取得した検出対象位置情報と今回取得した検出対象位置情報より特定される各検出対象の位置を一定時間監視して、検出対象の位置が一定時間以上、予め定められた範囲内にあるか否かを判定する。
【0049】
ここで、検出対象の位置が一定時間以上、予め定められた範囲内にない場合、S112の判定はNOとなり、S108へ戻る。
【0050】
したがって、検出対象と操作面との距離に応じてコントラストの設定値が更新されるとともに、コントラストの増減が変化するようにコントラスト調整を表す操作スイッチSWの描画形態が変化する。
【0051】
また、表示画面の輝度が所望の設定状態となった状態で、ユーザが指の動きを一定時間止めると、S112の判定はYESとなり、次に、コントラストの設定値を確定するとともに、コントラスト調整を表す操作スイッチの表示を非表示とする(S114)。更に、コントラスト調整を表す操作スイッチの表示を非表示としたことを音声で案内し、本処理を終了する。
【0052】
このようにコントラストの設定値が確定され、コントラスト調整を表す操作スイッチの表示を非表示となると、ユーザが指を動かせてもコントラストの設定値は変更されなくなる。
【0053】
なお、S104にて、コントラスト調整を表す操作スイッチが表示された後、ユーザが指の動きを一定時間停止させると、S106の判定はNOとなり、S114へ進む。すなわち、コントラストの設定値の更新および操作スイッチの描画形態を変更することなく、コントラスト調整を表す操作スイッチは非表示となる。
【0054】
また、ユーザが指を急に操作面Sに接近させ、接近した速度が基準速度以上となった場合、S101の判定はYESとなり、次に、描画回路40および電源回路30に出力停止を指示する(S116)。これにより、描画回路40は表示部10への画像出力を停止し、電源回路30は表示部10への電源供給を停止する。したがって、表示部10は電源オフの状態となる。
【0055】
次に、再度、S101と同様に、検出対象が操作面Sに接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したか否かを判定する(S118)。
【0056】
ここで、ユーザが指を比較的ゆっくりと操作面Sに接近させ、接近した速度が基準速度未満である場合、S118の判定はNOとなり、S118の判定を繰り返す。
【0057】
また、ユーザが指を急に操作面Sに接近させ、接近した速度が基準速度以上となった場合、S118の判定はYESとなり、次に、描画回路40および電源回路30に出力開始を指示する(S120)。これにより、描画回路40は表示部10への画像出力を開始し、電源回路30は表示部10への電源供給を再開させる。したがって、表示部10は電源オンの状態となる。
【0058】
上記した構成によれば、操作を行うための操作面に対する検出対象の位置を、操作面における座標位置および操作面との距離として検出し、検出対象の位置を示す検出対象位置情報として出力するタッチパネル20を備え、表示画面に設定値の調整が可能な設定項目を表す表示体を表示させ、検出対象と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値が更新される。すなわち、表示画面に設定値の調整が可能な設定項目を表す表示体を表示させ、ユーザの指と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値が更新されるので、ユーザは指を操作面に近づけたり遠ざけたりするだけで、設定項目の設定値の調整操作を行うことができ、操作性の向上を図ることができる。
【0059】
また、検出対象位置情報に基づいて検出対象が検出されたことを判定したときに、検出対象が検出された座標位置に対応する表示画面上の位置に、設定項目を表す表示体が表示されるので、検出対象が検出されたことをユーザに認識させることができるとともに、常時、設定項目を表す表示体を表示させる必要がなく、表示画面を有効に利用することができる。
【0060】
また、操作面に対する検出対象の位置が予め定められた基準期間以上変更されないことに基づいて、設定項目の設定値を確定するので、ユーザは設定項目の設定値が所望の値となった位置で、指を基準期間以上動かさないようにするだけで設定項目の設定値を確定させることができる。
【0061】
また、検出対象位置情報に基づいて検出対象が非検出となったことを判定したときに、設定項目を表す表示体が非表示となるので、検出対象が非検出となったことをユーザに認識させることができるとともに、常時、設定項目を表す表示体を表示させる必要がなく、表示画面を有効に利用することができる。
【0062】
また、設定項目の設定値の更新に応じて擬似立体的に描画した表示体が浮かび上がって見えるように描画形態が変更されるので、ユーザは設定項目の設定値の増減を擬似立体的に認識することができる。
【0063】
また、検出対象が操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したと判定した場合、表示画面を有する表示装置の電源のオンまたはオフが切り替えられるので、ユーザは指を操作面に接触させることなく、指を操作面に基準速度以上で接近させるだけで表示装置の電源のオンまたはオフの切り替え操作を行うことができ、操作性を向上することができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0065】
例えば、上記実施形態では、検出対象が検出された場合に、表示画面における検出対象が検出された座標位置に、調整可能な設定項目を表示させたが、検出対象の検出の有無と関係なく、常時、調整可能な設定項目を表示させるようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、表示画面に対する検出対象の位置が予め定められた基準期間以上変更されないことに基づいて設定項目の設定値を確定したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、別に設けられたスイッチを操作することで設定項目の設定値を確定するようにしてもよい。この場合、例えば、人差し指で設定項目の設定値の調整操作を行い、人差し指以外の指で別に設けられたスイッチを操作することができる。また、検出対象位置情報に基づいて検出対象が予め定められた基準速度以上で遠ざかることを判定したことに基づいて設定項目の設定値を確定するようにしてもよい。この場合、例えば、検出対象が非検出となる直前に更新された設定値として確定することができる。
【0067】
また、上記実施形態では、表示部10の表示画面の前面に重ねて設けられたタッチパネル20を操作して、表示部10の表示画面に表示された設定項目の操作を行う構成を示したが、表示部10とタッチパネル20を別体で構成するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、タッチパネル20の操作面Sに検出対象が接近したと判定され、かつ、検出対象が操作面Sに基準速度以上で接近したことを判定した場合に、検出対象と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値を更新するようにしたが、誤検出を防止するため、例えば、検出対象が操作面に接触した場合に、設定項目の設定値を更新が有効となり、検出対象と操作面との距離に応じて表示画面に表示された設定項目の設定値を更新するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、設定項目を表す表示体として、コントラスト調整を表す操作スイッチを表示する構成を示したが、操作スイッチに限定されるものではなく、アイコン、文字、数字等を用いて設定項目を表す表示体を表示するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ユーザが操作面Sの右上の領域から指を遠ざけると、コントラスト調整を表す操作スイッチSWの数が減少し、ユーザが操作面Sの右上の領域に指を近づけると、表示画面の右上の領域にコントラスト調整を表す操作スイッチSWの数が増加する構成を示したが、反対に、ユーザが操作面Sの右上の領域から指を遠ざけると、コントラスト調整を表す操作スイッチSWの数が増加し、ユーザが操作面Sの右上の領域に指を近づけると、表示画面の右上の領域にコントラスト調整を表す操作スイッチSWの数が減少するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、半径を異ならせた複数の円形の操作スイッチSWを、半径の小さいものから順に、その中心を少しずつずらしながら重ねるようにして操作スイッチSWを擬似立体的に描画して表示させたが、このような表示形態に限定されるものではない。
【0072】
また、上記実施形態では、コントラスト、地図縮尺、明るさ、音量の各設定項目を例に、設定項目の設定値の調整を行う構成を示したが、これらの設定項目に限定されるものではなく、例えば、エアコンの温度調整、エアコンの風量調整等の調整をようにしてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、タッチパネル20が操作検出手段に相当し、S104が設定項目表示手段に相当し、S108が設定値更新手段に相当し、S110が描画形態変更手段に相当し、S101が接近速度判定手段に相当し、S116、S120が切替手段に相当する。
【符号の説明】
【0074】
10 表示部
20 タッチパネル
30 電源回路
40 描画回路
50 地図データ入力装置
51 DVDプレーヤ
52 TVチューナ
60 スピーカ
70 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作に応じて表示画面に表示される設定項目に対する操作を行うことが可能な表示装置であって、
前記操作を行うための操作面に対する検出対象の位置を、前記操作面における座標位置および前記操作面との距離として検出し、前記検出対象の位置を示す検出対象位置情報として出力する操作検出手段と、
前記表示画面に設定値の調整が可能な設定項目を表す表示体を表示させる設定項目表示手段と、
前記操作検出手段により検出された前記検出対象と前記操作面との距離に応じて前記表示画面に表示された前記設定項目の設定値を更新する設定値更新手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記設定項目表示手段は、前記検出対象位置情報に基づいて前記検出対象が検出されたことを判定したときに、前記検出対象が検出された座標位置に対応する前記表示画面上の位置に、前記設定項目を表す表示体を表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記設定値更新手段は、前記操作面に対する前記検出対象の位置が予め定められた基準期間以上変更されないことに基づいて、前記設定項目の設定値を確定することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記設定項目表示手段は、前記検出対象位置情報に基づいて前記検出対象が非検出となったことを判定したときに、前記設定項目を表す表示体を非表示とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記設定項目表示手段は、前記設定項目を表す表示体を擬似立体的に描画するようになっており、
前記設定値更新手段による前記設定項目の設定値の更新に応じて前記擬似立体的に描画した前記表示体が浮かび上がって見えるように描画形態を変更する描画形態変更手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
前記検出対象位置情報に基づいて前記検出対象が前記操作面に接近する速度を特定するとともに、当該検出対象が前記操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したか否かを判定する接近速度判定手段と、
前記接近速度判定手段により検出対象が前記操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したと判定した場合、前記表示画面を有する表示部の電源のオンまたはオフを切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
ユーザ操作に応じて表示画面に表示される設定項目に対する操作を行うことが可能な表示装置であって、
前記操作を行うための操作面に対する検出対象の位置を、前記操作面における座標位置および前記操作面との距離として検出し、前記検出対象の位置を示す検出対象位置情報として出力する操作検出手段と、
前記検出対象位置情報に基づいて前記検出対象が前記操作面に接近する速度を特定するとともに、当該検出対象が前記操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したか否かを判定する接近速度判定手段と、
前記接近速度判定手段により検出対象が前記操作面に接近する速度が予め定められた基準速度以上で接近したと判定した場合、前記表示画面を有する表示部の電源のオンまたはオフを切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記操作検出手段は、前記操作面に対する前記検出対象の接近に応じて変化する静電容量を検出する静電容量式タッチパネルであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−118511(P2011−118511A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273369(P2009−273369)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】