説明

表示装置

【課題】表示画像の画質低下を抑制しつつデーターを圧縮して伝送することが可能な再生装置の提供を目的とする。
【解決手段】取得した複数ビットのデーターをケーブルを通じて複数画素により構成されたディスプレイに送信する送信回路と、前記データーを受信して同ディスプレイに供給する受信回路とを有する表示装置において、送信回路は、連続して配置される複数画素に供給されるデーターの内、1つのデーターを基準データーとし、他のデーターのデーター量を圧縮する圧縮化手段と、基準データーの複数ビットを圧縮された各データーに配分するようビット数を組み替えて、ケーブルに送信させる配列組替手段と、を有し、受信回路は、圧縮された各データーに配分された基準データーの複数ビットを、同基準データーに再配分する第1復元手段と、圧縮された各データーのデーター量を復元する第2復元手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、取得したデーターのデーター量を圧縮して伝送する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の画素により表示画面を構成し、各画素を駆動させることで画像を表示する表示装置が知られている。このような表示装置は、表示画面を備えるディスプレイと、データーを取得し、このデーターを上記ディスプレイが取得可能な形式に変換する処理部とを備えて構成されており、処理部により変換されたデーターは、ケーブルを通じてディスプレイに送信され、画像が表示される(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
また、装置本体からディスプレイにデーター量が多いデーターを送信する際、バス幅を多くして対応している。例えば、1クロックで送信するデーター量を多くする場合、ケーブルの配線数を増やすことでバス幅を拡張し、データー量の増加に対応している。
【0004】
一方で、ケーブルを通じて送信するデーター量を元のデーター量より圧縮して伝送する方法が知られている。例えば、データーの階調表現を擬似的な階調(ディザ)に変換することでデーター量を圧縮し、ケーブルのバス幅を増加することなくデーターを送信する(例えば、特許文献3、4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−222942号公報
【特許文献2】特開2003−037845号公報
【特許文献3】特開2002−196716号公報
【特許文献4】特開2002−287709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のデーター圧縮による手法は、ディスプレイにデーターを表示する際、表示画像の画質の低下を避けることができなかった。例えば、ディザを用いた圧縮手法においては、元データーの階調数を低下させる変換を行うため表示画像の輪郭等が際立ち、画質の劣化が目立つ場合があった。
【0007】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、表示画像の画質低下を抑制しつつデーターを圧縮して伝送することが可能な再生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、取得した複数ビットのデーターをケーブルを通じて複数画素により構成されたディスプレイに送信する送信回路と、前記データーを受信して同ディスプレイに供給する受信回路とを有する表示装置において、前記送信回路は、連続して配置される複数画素に供給されるデーターの内、1つのデーターを基準データーとし、他のデーターのデーター量を圧縮する圧縮化手段と、前記基準データーの複数ビットを前記圧縮された各データーに配分するようビット数を組み替えて、前記ケーブルに送信させる配列組替手段と、を有し、前記受信回路は、圧縮された各データーに配分された前記基準データーの複数ビットを、同基準データーに再配分する第1復元手段と、圧縮された各データーのデーター量を復元する第2復元手段と、を有する構成としてある。
【0009】
上記のように構成された発明では、前記送信回路では、圧縮化手段が、連続して配置される複数画素に供給されるデーターの内、1つのデーターを基準データーとし、他のデーターのデーター量を圧縮し、配列組替手段が、前記基準データーの複数ビットを前記圧縮された各データーに配分し前記ケーブルに送信させる。そして、受信回路では、第1復元手段が、圧縮された各データーに配分された基準データーの複数ビットを同基準データーに再配分し、第2復元手段が、圧縮された各データーのデーター量を復元する。
【0010】
そのため、受信データーの内、基準データー以外の他のデーターのデーター量を圧縮化することにより、ケーブルを通過するデーター量を削減することが可能となり、ケーブルのバス幅を減らしてケーブルに要するコストを削減することができる。また、1画面を構成する映像データーの内、基準データーに対してはデーター量の削減を行わないため、他のデーターの圧縮による画像の劣化を見え難くすることができ、画質の低減を抑制することができる。
【0011】
また、圧縮化手段が行う他のデーターの圧縮化の手法は、様々なものが想定される。その一例として、前記圧縮化手段は、前記他のデーターに対して前記基準データーとの差分値化を行い、前記差分値化された各データーを非線形圧縮する構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、基準データーとの差分値化を行った後、非線形圧縮を行うため、データー量の圧縮による劣化を低減させることが可能となる。
【0012】
また、圧縮化手段により行われる非線形圧縮の手法としては、様々なものが想定される。その一例として、前記圧縮化手段は、圧縮対象データーにおける変化率が大きい区分ほどエッジを保持するよう非線形圧縮を行い、変化率が小さい区分ほど変換の前後で階調差が小さくなるよう非線形圧縮を行う構成としてもよい。
通常、表示装置が扱うデーターは、階調差が極端に変化する(いわゆるエッジを伴った)データーであることが多く、中間階調は見た目に影響を与えることは少ない。また、変換後の映像データーにより表現される階調値は元データーの階調差が大きいものほど人の目にはその変化を感じ取り難く、階調差が小さいものほど人の目にはその変化を感じ取りやすい。そのため、変化率(階調差)に応じて非線形圧縮の手法を調整する構成とすれば、解凍後のデーターにおいてその変化を感じにくくすることが可能となる。
【0013】
そして、配列組替手段がビット数を配分する構成の一例として、前記配列組替手段は、基準データーのビット数と、他のデーターのビット数とが同数となるよう各データーのビット数を配分する構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、各データーのビット数が同一になるため、受信回路側の処理を簡易にすることができる。
【0014】
さらに、本発明の他の局面として、前記ケーブルは、バス幅が3本の配線により構成され、前記圧縮化手段は、連続して配置される3箇所の画素に供給されるデーターの内、基準データー以外の他の2つのデーターを前記基準データーとの差分を取ることで差分値し、前記差分値化された各データーのR,G,B各4ビットを非線形圧縮し、前記配列組替手段は、前記基準データーのR,G,B各2ビットを前記圧縮後の他のデーターにそれぞれ配分する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、基準データー以外の他のデーターを圧縮化することにより、ケーブルを通過するデーター量を削減することが可能となり、ケーブルのバス幅を減らしてケーブルに要するコストを削減することができる。また、1画面を構成する映像データーの内、基準データーに対してはデーター量の削減を行わないため、圧縮後の画像の劣化を見え難くすることができ、画質の低減を抑制することができる。
また請求項2にかかる発明によれば、画質の劣化を抑制することができる。
そして請求項3にかかる発明によれば、解凍後のデーターにおいてその変化を感じにくくすることができる。
さらに請求項4にかかる発明によれば、受信回路側の処理を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】表示装置100の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】送信回路60により変換される8ビットのデーターを示す図である。
【図3】送信回路60及び受信回路50の構成を示すブロック図である。
【図4】入力データー:Dinと圧縮後の出力データー:Doutとの関係を示す図である。
【図5】送信回路60による処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】受信回路50による処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
1.第1の実施形態:
2.第2の実施形態:
3.その他の実施形態:
【0018】
1.第1の実施形態:
以下、図1を参照して、この発明に係る表示装置を具体化した第1の実施の形態について説明する。図1は、表示装置100の構成を説明するためのブロック図である。表示装置100は、画像を表示するディスプレイ80と、取得したデーターをディスプレイ80が表示可能な形式に変換するメイン基板90とを備えて構成されている。また、ディスプレイ80とメイン基板90とは、LVDSケーブル70を介して接続され、このLVDSケーブル70を通じてメイン基板90からディスプレイ80にデーターが送信される。
【0019】
本実施形態にかかる表示装置100では、メイン基板90は取得したデーターを圧縮した後、LVDSケーブル70の伝送可能なデーター形式に変換することで、LVDSケーブル70のバス幅を少なくすることができる。例えば、メイン基板90が伝送しようとするデーターのビット数がR(レッド)G(グリーン)B(ブルー)各8ビットである場合、通常は、4本の配線で構成されたLVDSケーブルを使用するが、本発明では、6ビット用の3本の配線で構成されたLVDSケーブル70を用いての8ビットのデーターを送信することが可能となる。
【0020】
<メイン基板の構成>
メイン基板90は、少なくとも、入力I/F91、信号処理部92、送信回路60、を備えて構成されている。入力I/F91を通じて取得した映像データーは、信号処理部92により所定の信号処理を施された後、送信回路60に出力される。送信回路60は、LVDSケーブル70に接続されており、受信した映像データーのデーター量を削減し、LVDSケーブル70を通じてディスプレイ80に出力する。
【0021】
入力I/F91は、外部から供給された映像データーをメイン基板90内部に入力するための回路である。例えば、表示装置100がテレビジョン受像機としての機能を備える場合は、入力I/F91は、テレビジョン放送を受信するアンテナや、このアンテナが受信したテレビジョン放送から所望のチャンネルに対応したデジタルデーターを抽出するチューナー部により構成される。また、メディアプレーヤー等の外部機器と接続して、映像データーの入力を受け付ける場合、入力I/F91は、メディアプレーヤーと接続する外部端子を備える。
【0022】
信号処理部92は、入力I/F91を通じて取得された映像データーに、信号処理を施し、送信回路60に出力する。信号処理部92が行う信号処理の一例としては、画像のコントラストを調整する処理や、ホワイトバランスの調整を行う処理である。
【0023】
送信回路60は、信号処理部92が変換した映像データーのデーター量を圧縮し、LVDSケーブル70が送信可能なデーター配置に変換して出力する。また、このとき送信回路60は、走査方向に連続して配列された画素間でデーターを共有するようデーター配列を並び代える。図2は、送信回路60により変換される8ビットのデーターを示す図である。以下、便宜上、走査方向に連続して配列される3ピクセル(n,n+1,n+2)に供給されるデーターをそれぞれ第1データー、第2データー、第3データーと記載する。送信回路60は、図2に示すように、走査方向に連続して配置される3つのピクセル(画素)に供給される映像データーの内、n+1ピクセルとn+2ピクセルに供給されるデーターを圧縮し、LVDSケーブル70のバス幅に適合するよう、各データーの並べ替えを行う。このとき、nピクセルに供給されるデーターはデーター量を圧縮しない。
【0024】
図3は、送信回路60及び受信回路50の構成を示すブロック図である。送信回路60は、少なくとも、データー受信・分離部61、差分データー生成部62,63、非線形圧縮部64,65、マッピング部66、データー送信部67を備えて構成されている。
【0025】
データー受信・分離部61は、信号処理部92から出力された映像データーを受信し、この映像データーから3ピクセル分のデーターを分離する。通常、映像データーは、走査方向に連続して配置されるピクセルに供給されるデーターが連続して連らなっており、データー受信・分離部61は、映像データーを受信すると、各データーをピクセル毎に分離する。上記構成により、データー受信・分離部61は、本発明の配列組替手段を実現する。
【0026】
差分データー生成部62,63は、分離された各データーから、基準となるデーター(以下、基準データーと記載する。)との差分を抽出し、この差分を除算し、差分データーを生成する。本実施形態では、基準データーを第1データーとし、第2及び第3の各データーから差分データーを算出する。また、差分データー生成部62,63は、生成した差分データーに対して極性を示す極性データーを付与する。
【0027】
非線形圧縮部64,65は、差分が除算されたデーターのデーター量を圧縮する。非線形圧縮部64,65は、入力データーと変換後のデーターとの対応関係を規定した非線形圧縮用テーブルを備えており、このテーブルを用いて入力データーを非線形変換し、更にデーター量を削減する。
【0028】
図4は、入力データー:Dinと圧縮後の出力データー:Doutとの関係を示す図である。図4に示すように、通常、映像データーは、階調値が極端に変化しない区分と、階調値が極端に変化する区分とで構成され、いわゆるエッジを備えた波形となっている。また、映像データーにより表現される階調値は階調差が大きいものほど人の目にはその変化を感じ取り難く、階調差が小さいものほど人の目にはその変化を感じ取りやすい。そのため、非線形圧縮部64,65は、入力データー:Dinにおけるその階調差(傾き)が少ない高階調域又は低階調域に対しては、変化後の階調差が少なくなるよう変換を行い、階調差(傾き)が大きい中間階調域に対しては、階調差よりもエッジを保持するよう変換を行っている。また、階調数(量子化Bit幅)を減らすことにより、データ量の圧縮を行うが、エッジも微小な変化も保持することで、画質劣化を目に付きにくく処理することが可能となる。
以上により、差分データー生成部62,63及び非線形圧縮部64,65は、本発明の圧縮化手段を実現する。
【0029】
マッピング部66は、データー配列をLVDSケーブル70のバス幅に合わせて再配置する。本実施形態にかかるマッピング部66は、各データーのビット数が同数となるよう、基準データーを構成するR,G,Bの各データーの上位又は下位複数ビットを第2データー及び第3データーに再配分し、LVDSケーブル70のバス幅(D0E,D1E,D2E)に合わせる。上記構成とすることで、受信回路50では、受信データーのビット数が同数となるため、処理を行い易くすることが可能となる。
【0030】
データー送信部67は、組み替えられた映像データーを、クロックに同期させつつLVDSケーブル70に伝送する。データー送信部67は、図示しないクロック供給部から供給されるクロックに同期させて、圧縮後の映像データーを1ピクセル毎にLVDSケーブル70に出力する。
【0031】
<ディスプレイの構成>
ディスプレイ80は、少なくとも、受信回路50、ドライバー回路81、パネル部82、を備えて構成され、LVDSケーブル70を通じて供給された映像データーを受信回路50で復元し、復元された映像データーをもとにドライバー回路81がパネル部82を駆動して映像を表示する。
【0032】
ドライバー回路81は、受信回路50により復元された映像データーをデジタル・アナログ変換してパネル部82を駆動するための駆動信号を生成し、垂直同期信号VS、水平同期信号HS、データーイネーブル信号DEをもとにこの駆動信号をパネル部82に供給する。
【0033】
パネル部82は、縦横に連続して配置される画素により構成され、各ピクセルは、走査方向にR,G,Bのカラーフィルムが塗布された画素により構成されている。そのため、R,G,Bの各画素の階調を変化させることにより、各ピクセルは、加法混色の原理により任意の色を表現する。
【0034】
受信回路50は、LVDSケーブル70を通じて供給された映像データーの入力を受け付け、受信した映像データーをドライバー回路81が受信可能なよう復元する。受信回路50は、少なくとも、データー受信・分離部51、逆非線形圧縮部52,53、復元部54,55、再マッピング部56、出力部57と、を備えて構成されている。
【0035】
データー受信・分離部51は、LVDSケーブル70を通じて入力されたデーターを、ピクセル毎に再度分離する。このとき、データー受信・分離部51は、第2及び第3データーに合成された基準データーの複数ビットを抽出し、基準データーに合成することで、同基準データーを復元する。上記構成により、データー受信・分離部51は、本発明にかかる第1復元手段を実現する。
【0036】
逆非線形圧縮部52,53は、非線形圧縮部64,65により変換された映像データーを復元する。逆非線形圧縮部52,53は、入力データーを復元するための逆非線形変換用テーブルを記録しており、この逆非線形変換用テーブルを用いて映像データーを元のビット数に復元する。ここで、上記した逆非線形変換用テーブルは、非線形変換用テーブルにより変換されたデーターを可逆的に変換するものである。
【0037】
復元部54,55は、基準データーをもとに、他のデーターを復元する。即ち、復元部54,55は、基準データー(第1データー)と、他のデーター(第2及び第3データー)とを比較し、除算された差分値を算出する。そして、算出された差分値をもとに他のデーターのデーター量を復元する。上記構成により、逆非線形圧縮部52,53、及び復元部54,55は、本発明の第2復元手段を実現する。
【0038】
再マッピング部56は、復元された映像データーを、ドライバー回路81が入力可能なデーター配列に変換する。そして、出力部57は、配列が変換された映像データーをクロックに同期させてドライバー回路81に入力する。
【0039】
<送信回路における処理について>
図5は、送信回路60による処理を説明するためのフローチャートである。以下図5を参照しつつ受信回路50による処理を説明する。なお、ここでは、メイン基板90がR,G,B各8ビットの映像データー(1クロック当たりの転送量は27ビット)を6ビット対応のLVDSケーブル70(バス幅:D0E,D1E,D2E)を用いてディスプレイ80に送信する場合を例に説明を行う。
【0040】
入力I/F91を介してメイン基板90に映像データーが取得されると、信号処理部92は、映像データーに対して所定の処理を施した後、映像データーを受信回路50に出力する。そのため、ステップS1では、データー受信・分離部61は、映像データーを受信し、この映像データーに含まれる、3ピクセルに相当するデーター(第1データー、第2データー、第3データー)をそれぞれ分離する。
【0041】
ステップS2では、差分データー生成部62は、分離された第1データーを基準データーとして、基準データーと第2及び第3データーの差分を抽出する。そして、差分データー生成部62は、抽出された差分を第2及び第3データーから除算し差分データーを生成する。
【0042】
ステップS3では、差分データー生成部62,63は、差分データーを構成するRデーター、Gデーター、Bデーターのそれぞれの間に極性データーを付与する。
【0043】
ステップS4では、非線形圧縮部64は、第2データーに対応する非線形変換用テーブルを参照して差分データーを非線形変換し、下位4ビットを切り捨てる。同様に、非線形圧縮部65は、第3データーに対応する非線形変換用テーブルを参照して差分データーを非線形変換し、下位4ビットを切り捨てる。そのため、変化後の各データーはそのビット数が9ビット(階調データー:8ビット、極性データー1ビット)から5ビット(階調データー:4ビット、極性データー:1ビット)に圧縮される。
【0044】
ステップS5では、マッピング部66は、基準データーのR,G,Bのデーターの下位2ビットを、第2データー及び第3データーに配分する。具体的には、マッピング部66は、基準データーのR,G,Bのそれぞれ7ビット目(R(6))を第2データーのR,G,Bの極性データーの後に合成し、基準データーのR,G,Bのそれぞれ8ビット目(R(7))を第3データーのR,G,Bの極性データーの後に合成する(図2)。
そのため、基準データー(第1データー)のR,G,Bの各データー量、及びデーターイネーブル信号DE、垂直同期信号VS及び水平同期信号HSを合わせた全体のデーター配列は、LVDSケーブル70の全体のバス幅に適合するよう配列される。同様に第2及び第3データーのデーター配列は、LVDSケーブル70の全体のバス幅に適合するよう配列される。
【0045】
ステップS6では、データー送信部67は、外部クロックから供給されるクロックに同期させて、1クロック当たり21ビットで映像データーをLVDSケーブル70に出力する。以下、ステップS1〜S6までの処理は、映像データーを構成する全てのデーターに対して実行されるまで繰返される(ステップS7)。以上、送信回路60における処理を説明した。
【0046】
<受信回路における処理について>
図6は、受信回路50による処理を説明するためのフローチャートである。以下、図6を参照しつつ受信回路50における処理を説明する。
【0047】
LVDSケーブル70から映像信号が入力すると、ステップS11では、データー受信・分離部51は、各データーをそれぞれ分離する。さらに、ステップS12では、データー受信・分離部51は、第2データー及び第3データーに配分された基準データーのR,G,B各データーの2ビットを抽出し、基準データーを8ビットに復元する。
【0048】
ステップS13では、逆非線形圧縮部52は,第2データーに対応する逆非線形変換用テーブルを参照して、R,G,B各4ビットで構成された第2データーにもとづく差分データーを、R,G,B各8ビットで構成されたデーターに復元する。同様に、逆非線形圧縮部53は,第3データーに対応する逆非線形変換用テーブルを参照して、R,G,B各4ビットで構成された第3データーにもとづく差分データーを、R,G,B各8ビットで構成されたデーターに復元する。
【0049】
ステップS14では、復元部54は、基準データーを参照して、基準データーと第2データー(差分データー)の差分を算出し、この差分を第2データーに乗算してデーター量を復元する。同様に、復元部55は、基準データーを参照して、基準データーと第3データーの差分を算出し、この差分を第3データーに乗算してデーター量を復元する。
【0050】
ステップS15では、再マッピング部56は、復元後の各データーをドライバー回路81が受信可能な配列に並び換える。そして、ステップS16では、出力部57は、配列を並び替えた各データーをドライバー回路81に出力する。以下、ステップS11〜S16までの処理は、映像データーを構成する全てのデーターに対して行われるまで繰返される(ステップS17)。
以後、ドライバー回路81は、供給された各データーをデジタル・アナログ変換し、変換後のデーターを対応する画素に供給することで、各画素を駆動させる。以上、受信回路50の処理を説明した。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置100では、基準データー以外のデーターを圧縮することにより、LVDSケーブル70を通過するデーター量を削減することが可能となり、LVDSケーブル70のバス幅を減らしてケーブルに要するコストを削減することができる。また、1画面を構成する映像データーの内、基準データーに対してはデーター量の削減を行わないため、他のデーターの圧縮化による画像の劣化を見え難くすることができ、画質の低減を抑制することができる。
【0052】
2.第2の実施形態:
非線形圧縮部64,65が映像データーの圧縮を行う手法としては、テーブルを参照する以外にも、変換式を用いて圧縮を行うものであってもよい。即ち、非線形圧縮部64,65は、入力データー:Dinのべき乗の式を使用することにより非線形圧縮を行う構成としてもよい。その一例として、非線形圧縮部64,65は、入力データーDinの1.6のべき乗をもとに入力データーを非線形変換した後、下位ビットを切り捨てる構成としてもよい。
【0053】
3.その他の実施形態:
LVDSケーブル70により送信する映像データーのビット数は8ビットに限定されない。例えば、10ビットの映像データーでは、通常5ペアで構成されるLVDSケーブルを用いて伝送されるが、本発明を使用することで4ペア(DOE,D1E,D2E,D3E)で構成されるLVDSケーブルにより伝送することができる。10ビットの映像データーをバス幅がD0E,D1E,D2E,D3Eで構成されたLVDSケーブルで送信する場合、第2〜第4データー(それぞれ連続して配置されるピクセルに供給されるデーター)の4ビットをそれぞれ圧縮し(階調ビット:6ビット、極性データー:1ビット)、基準データーの3ビットを第2〜第4データーにそれぞれ1ビットずつ分配することで、4ペアのLVDSケーブルのバス幅に対応することが可能となる。
同様に、通常バス幅が6ペアで構成されるLVDSケーブルを用いて伝送される12ビットの映像データは、バス幅が5ペア(D0E,D1E,D2E,D3E,D4E)で構成されたLVDSケーブル70を用いて送信することができる。この場合、第2〜第5データーの5ビットをそれぞれ圧縮し(階調ビット:7ビット、極性データー:1ビット)、基準データーの4ビットを第2〜第5データーにそれぞれ1ビットずつ分配することで、5ペアのLVDSケーブル70のバス幅に対応することが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。

【符号の説明】
【0055】
50…受信回路、51…データー受信・分離部、52,53…逆非線形圧縮部、54,55…復元部、56…再マッピング部、57…出力部、60…送信回路、61…データー受信・分離部、62,63…差分データー生成部、64,65…非線形圧縮部、66…マッピング部、67…データー送信部、70…LVDSケーブル、80…ディスプレイ、81…ドライバー回路、82…パネル部、90…メイン基板、91…入力I/F、92…信号処理部、100…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した複数ビットのデーターをケーブルを通じて複数画素により構成されたディスプレイに送信する送信回路と、前記データーを受信して同ディスプレイに供給する受信回路とを有する表示装置において、
前記送信回路は、
連続して配置される複数画素に供給されるデーターの内、1つのデーターを基準データーとし、他のデーターのデーター量を圧縮する圧縮化手段と、
前記基準データーの複数ビットを前記圧縮された各データーに配分するよう各データーのビット数を組み替えて、前記ケーブルに送信させる配列組替手段と、を有し、
前記受信回路は、
圧縮された各データーに配分された前記基準データーの複数ビットを、同基準データーに再配分する第1復元手段と、
圧縮された各データーのデーター量を復元する第2復元手段と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記圧縮化手段は、前記他のデーターに対して前記基準データーとの差分値化を行い、
前記差分値化された各データーを非線形圧縮することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記圧縮化手段は、圧縮対象データーにおける変化率が大きい区分ほどエッジを保持するよう非線形圧縮を行い、変化率が小さい区分ほど変換の前後で階調差が小さくなるよう非線形圧縮を行うことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記配列組替手段は、基準データーのビット数と、他のデーターのビット数とが同数となるよう各データーのビット数を配分することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ケーブルは、バス幅が3本の配線により構成され、
前記圧縮化手段は、連続して配置される3箇所の画素に供給されるデーターの内、基準データー以外の他の2つのデーターを前記基準データーとの差分を取ることで差分値し、前記差分値化された各データーのR,G,B各4ビットを非線形圧縮し、
前記配列組替手段は、前記基準データーのR,G,B各2ビットを前記圧縮後の他のデーターにそれぞれ配分することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−186173(P2011−186173A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50996(P2010−50996)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】