説明

表示装置

【課題】光加飾がなされる表示装置において、光加飾するための光源の設置場所を容易に確保できるようにすること。
【解決手段】表示内容に関する文字印刷が施された印刷面101を有する文字板10は、側面視において、その一部が、印刷面101に対して突出された突出部15を有する。文字板10には、光が当てられることで当該部分が照明される立体加飾部32が設けられる。立体加飾部32を照明するためのLED60は、文字板10の裏側に配置され、裏側から突出部15に向けて光を発する。LED60からの光LL1を突出部15まで導く導光材70が、その端面71が突出部15の内側に位置するように設けられる。また、端面71は、その向きが調節されて、LED60からの光LL1を直角に反射する反射部として機能させる。端面71で反射された反射光LL2を印刷面101上に走らせて、立体加飾部32に当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用計器として使用される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用計器としての表示装置は、スピードメータやエンジン回転数メータ等の各種メータが表示される。具体的には、この種の表示装置は、メータの目盛り等、表示内容に関する印刷が施された文字板を備える。そして、その文字板にメータの指針が取り付けられて、その指針が車速等の計測値を示した目盛りを指示するようになっている。つまり、その文字板の面上にメータが構成されて表示される。
【0003】
ところで、従来のこの種の表示装置には、表示内容の視認性を向上させ、又は意匠性を向上させる等のために、光加飾がなされるものがある(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1の表示装置では、文字板のメータの外周に沿うようにリング状の導光板が設けられる。また、その導光板の端には光源としてのLEDが設けられる。そして、そのLEDが点灯することで、LEDからの光が導光板の側面に反射しながら導光板内を進行していき、導光板を照明させることができる。つまり、導光板が光加飾部となって、その導光板が照明されることで、メータの視認性を向上させ、又は意匠性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−2074082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、光加飾するために、光加飾部としての導光板にLEDを設ける必要があるので、その設置場所を確保するのが困難な場合があった。また、LEDの設置場所を確保したとしても、そのLEDの設置に伴う表示装置のデザインの自由度を阻害してしまうこともあった。さらに、光加飾部が複数ある場合には、光加飾部ごとにLEDを設ける必要があるので、上記問題がさらに大きくなる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、光加飾がなされる表示装置において、光加飾するための光源の設置場所を容易に確保できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、表示内容に関する印刷が施された文字板と、
その文字板の周辺に配置された前記文字板に対して光加飾をするものであって、光が当てられることで当該部分が照明される光加飾部と、
光源と、
前記光源からの光の進行方向に配置され、その光を前記光加飾部の方向に反射させる反射部と、を備え、
前記光加飾部は、前記反射部で反射された反射光が当てられて照明されることを特徴とする。
【0008】
これによれば、光源からの光を反射部で反射して、その反射光を光加飾部に当てることで、光加飾部を照明させるので、光加飾部を照明させるための光源を光加飾部に設ける必要がない。よって、光源の設置場所を容易に確保できる。また、広範囲に渡って光加飾部がある場合や複数の光加飾部がある場合であっても、反射部による光の反射方向を調節することで、光源からの光を複数方向に反射させることができる。よって、光源の個数を抑えつつ、広範囲の光加飾部や複数の光加飾部を照明させることができる。
【0009】
また、本発明において、前記光加飾部は、前記文字板の面上に配置され、
前記文字板は、その一部が、周囲の面に対して突出された突出部を有し、
前記光源は、前記文字板の裏側に配置され、裏側から前記文字板の前記突出部に向けて光を発し、
前記反射部は、前記突出部の内側に配置され、前記光源からの光を前記突出部の側面部から出射するように反射し、
前記反射部で反射された反射光を前記文字板の面上に走らせて、前記光加飾部を照明させることを特徴とする。
【0010】
このように、光源を文字板の内側に配置することで、光源の設置場所を容易に確保できる。そして、光源からの光が、文字板の突出部に配置された反射部で反射されて突出部の側面部から出射されるので、その光を文字板の面上に走らせることができる。よって、文字板の面上に配置された光加飾部を照明させることができる。
【0011】
また、本発明において、前記光加飾部は、前記文字板の面上に配置された立体加飾部であり、
前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部であって、その端面が前記突出部の内側に位置し、且つ、前記端面の向きが角度調節されることで、前記端面が前記反射部とされた導光部を備え、
前記導光部の端面で反射された反射光を前記文字板の面上に走らせて、前記立体加飾部を照明させることを特徴とする。
【0012】
これによれば、光加飾部は立体加飾部であるので、3次元的に照明させることができる。また、導光部によって、光源からの光を突出部まで効率良く導くことができる。そして、突出部に位置する導光部の端面が、その向きが角度調節されて反射部とされているので、光源からの光をその端面にて効率良く立体加飾部に向けて反射させることができる。よって、立体加飾部を明るく照明させることができる。
【0013】
また、本発明において、前記立体加飾部は、透明樹脂から形成されたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、立体加飾部が透明樹脂から形成されているので、反射部で反射された反射光を、立体加飾部の内部に伝搬させることができる。これにより、反射光が直接当たらない立体加飾部の部分においても、立体加飾部を照明させることができる。
【0015】
また、この場合、前記立体加飾部は、前記反射光が当たる面の面粗さの度合いが調節されたとしてもよい。
【0016】
このように、立体加飾部の面の面粗さの度合いを調節することで、反射光が立体加飾部に当たったときの乱反射の様子や反射方向を変えることができる。よって、立体加飾部が照明されたときの様子を、立体加飾部の面の面粗さの度合いに応じて調節することができる。
【0017】
また、本発明において、前記立体加飾部は、光を透過しない不透過樹脂から形成してもよい。
【0018】
これによれば、立体加飾部が不透過樹脂から形成されているので、立体加飾部の表面において照明させることができる。そして、照明させたときに不透過樹脂の色に応じた雰囲気を出すことができる。
【0019】
また、この場合、前記立体加飾部は、前記反射光が当たる面の光沢の度合いが調節されたとしてもよい。
【0020】
このように、立体加飾部の面の光沢の度合いを調節することで、照明されたときの様子を調節することができる。
【0021】
また、本発明において、前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部であって、その端面が前記突出部の内側に位置し、且つ、前記端面の向きが角度調節されることで、前記端面が前記反射部とされた導光部と、
前記文字板に対して前側に差し出るように設けられ、前記文字板への異物の侵入を防止する見返しと、を備え、
前記導光部の端面で反射された反射光を前記文字板の面上に走らせて前記見返しに当てて、前記見返しを前記光加飾部として照明させるとしてもよい。
【0022】
このように、既存の見返しを光加飾部として利用してもよく、この場合は、上述の立体加飾部を照明させたときと違った雰囲気を出すことができる。
【0023】
また、本発明において、前記文字板は、前記突出部の上面部に表示内容を示すマークが記されており、前記突出部の周囲の所定領域が前記突出部の上面部を含む前記文字板の面に対して窪んでおり、
前記反射部は、前記光源からの光を、窪んだ前記所定領域である窪み領域の方向に反射し、
前記反射部で反射された反射光を前記窪み領域に当てて、前記窪み領域を前記光加飾部として照明させるとしてもよい。
【0024】
このように、突出部の周囲に窪み領域を形成することで、反射光をその窪み領域に当てて照明させることができる。つまり、マークの周囲を光加飾することができる。また、突出部の周囲を窪ませることで、突出部の文字板の面に対する突出を抑えることができる。
【0025】
また、この場合、前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部であって、その端面が前記突出部の内側に位置し、且つ、前記端面の向きが角度調節されることで、前記端面が前記反射部とされた導光部を備えたとしてもよい。
【0026】
これにより、光源からの光を効率良く反射させて窪み領域に当てることができるので、窪み領域の照明を明るくすることができる。
【0027】
また、前記光源からの光は、前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部を介さないで直接前記突出部に当てられ、
前記突出部自体を前記反射部としてもよい。
【0028】
このように、窪み領域は突出部の周囲に形成されているので、突出部自体を反射部としたとしも、突出部に当たって反射された反射光によって、窪み領域で照明させることができる。よって、別に反射部を設ける必要がないので、部品点数を減らすことができる。
【0029】
また、本発明において、前記文字板は透明樹脂から形成され、
前記光加飾部及び前記反射部は、前記文字板の裏側に配置され、
前記反射部で反射された反射光を前記文字板の裏側で走らせて、前記光加飾部を前記文字板の裏側で照明させ、その照明を前記文字板の前側から視認できるようにしたとしてもよい。
【0030】
これによれば、上述の突出部を設ける必要がないので、見た目を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】車両用計器1の正面図である。
【図2】図1中のA−A断面図である。
【図3】導光材70を示した図である。
【図4】図2の破線領域B内の拡大図である。
【図5】立体加飾部31〜35が照明された状態を示した図である。
【図6】変形例1におけるA−A断面図である。
【図7】立体加飾部30の変形例の一覧表を示した図である。
【図8】第二実施形態の車両用計器1の正面図である。
【図9】図8中の突出部15付近におけるA−A断面図である。
【図10】マーク16及びその周囲の窪み領域17が照明された状態を示した図である。
【図11】変形例3を説明するための図である。
【図12】第三実施形態の車両用計器1の正面図である。
【図13】図12中のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第一実施形態)
以下、本発明に係る表示装置を車両用計器に適用した実施形態について説明する。先ず、第一実施形態を説明する。図1は、本実施形態の車両用計器1の正面図、図2は、図1中のA−A断面図である。この車両用計器1は、例えば車室内運転席前方のインストルメントパネル内に配置され、車両の運転に有益な情報や車両各部の作動状態に関する情報を表示するものである。
【0033】
車両用計器1は、文字板10、指針21〜24、立体加飾部31〜35、ケース40、基板50、LED60、導光材70及びリフレクター80を備える。文字板10は、車両用計器1の正面に配置され、光透過性を有する無色透明のポリカーボネイト樹脂あるいはアクリル樹脂等から形成される。その文字板10は、その表面が表示内容に関する文字印刷が施される印刷面101とされる。具体的には、その印刷面101には、車両の運転の際に有益な各種メータの目盛り等が印刷されている。より具体的には、エンジン回転数メータの文字印刷11、スピードメータの文字印刷12、エンジン水温計の文字印刷13及び燃料残量計の文字印刷14が施されている。なお、以下の説明において、文字板10に対して視認者側を前側とし、その反対側を裏側とする。
【0034】
また、文字板10には、各文字印刷11〜14に対応させて指針21〜24が取り付けられている。それら指針21〜24は、文字板10の裏側に設けられたモータ(図示外)と接続されている、そして、各メータが対象とする物理量(エンジン回転数、車速、エンジン水温、燃料残量)を計測するセンサ(図示外)で計測された計測値に応じてモータが駆動されて、各指針21〜24がその計測値を示した目盛りを指示するようになっている。このように、文字板10には、各文字印刷11〜14及び各指針21〜24から構成された各メータが表示される。
【0035】
また、文字板10は、図1の正面視における文字板10の中心付近において、その一部が、周囲の印刷面101に対して突出された(図2参照)突出部15が形成されている。その突出部15は、図1に示すように、正面視円状とされる。また、突出部15は、図2に示すように、A−A断面視凸状とされる。つまり、突出部15は、内部に空間153を有する円筒状とされ、文字板10の印刷面101と平行な上面部151と、印刷面101と垂直な側面部152とから構成される。
【0036】
また、突出部15は、文字板10と同じ光透過性を有する無色透明な樹脂から形成され、その側面部152には印刷が施されていない。つまり、側面部152を介して、突出部15の外側(文字板10の前側)と内側(文字板10の裏側)との間で、光が透過できるようになっている。
【0037】
また、文字板10の印刷面101には、その外周部を囲むように、光加飾部としての立体加飾部31〜35が設けられる。それら立体加飾部31〜35は、例えば無色透明のアクリル樹脂とされ、外部から光が当てられることで当該立体加飾部31〜35が照明されるものである。立体加飾部31〜35は、断面が半円状で(図2参照)、文字板10の外周部に合った細長い棒状(図1参照)の形状とされる。そして、図1の正面視における文字板10の上部、下部のそれぞれに、立体加飾部31〜35が設けられる。具体的には、文字板10の下端に、立体加飾部31が、文字板10の下端に沿って設けられる。また、その立体加飾部31の上隣りには、別の立体加飾部32が設けられる。また、文字板10の上端に、立体加飾部33が、文字板10の上端に沿って湾曲するように設けられる。また、その立体加飾部33の下隣りには別の立体加飾部34が設けられ、その立体加飾部34の下隣りにはまた別の立体加飾部35が設けられる。
【0038】
図2に示すように、文字板10の外周縁部から、文字板10に対して裏側に立設するようにケース40が設けられる。そのケース40は、後述する基板50、LED60等の車両用計器1を構成する各部品を収容するものである。そして、そのケース40の文字板10と接続されていない側の端部と接続されて、基板50が設けられる。その基板10は、車両用計器1の制御を司るCPU(図示外)や後述するLED60等が実装されたものである。
【0039】
光源としてのLED60は、図2に示すように、基板50の、文字板10の突出部15と対向する位置に設けられる。そして、そのLED60は、基板50に設けられたCPU(図示外)からの点灯信号に基づいて、突出部15に向けて光を発するものである。また、基板50と文字板10の間において、光を反射する筒状のリフレクター80がLED60を囲むように設けられ、LED60からの光が外部に漏れないようにされている。
【0040】
また、図2に示すように、LED60と文字板10の突出部15の間において、アクリル樹脂等から形成された導光材70(導光部)が設けられる。その導光材70は、入射された光を、自身の内部に沿って出射口まで効率良く伝達させるものである。ここで、図3は、導光材70を示した図であり、(a)導光材70の斜視図、(b)導光材70の側面視における断面図を示している。図3に示すように、導光材70は、円柱状の形状とされ、その一方の先端が、逆三角錐形状となるように、内側に凹まれている。具体的には、図3(b)に示すように、逆三角錐の頂点角度が90°となっており、その頂点から導光材70の先端外周部に渡って放射するように端面71が形成されている。また、その端面71は、導光材70の先端外周部との成す角度が45°とされている。
【0041】
このように、導光材70の一方の端面71は、その向きが角度調節されている。そして、このように角度調節することにより、端面71を光の反射面(反射部)として機能させることができる。具体的には、図3(b)に示すように、端面71に対して45°の入射角で入射された光LLを、直角に曲げて反射させることができる。
【0042】
そして、その導光材70は、図2に示すように、角度調節された端面71が突出部15の空間部153に位置し、他方の端面がLED60の直ぐ上に位置するように、設けられる。
【0043】
以上のように構成された車両用計器1において、次に、立体加飾部31〜35を照明させるときの車両用計器1の動作について説明する。ここで、図4は、図2の破線領域B内の拡大図であり、LED60からの光の進行を説明するための図である。LED60は、CPU(図示外)からの点灯信号に基づいて、点灯して光を発する。そして、そのLED60からの光LL1は、図4に示すように、導光材70に入射して、その導光材70の内部を、導光材70の側面と反射しながら突出部15に向かって進行していく。つまり、光LL1は、導光材70の外にできるだけ漏れないように進行する。
【0044】
そして、その光LL1が導光材70の端面71に達すると、端面71において反射される。この際、端面71は、上述したように、逆三角錐形状となるように角度調節されているので(図3参照)、入射された光LL1を、直角に曲げて反射させる。反射された反射光LL2は、突出部15の印刷が施されていない側面部152から、文字板10の前側に出射されて、文字板10の印刷面101上を、文字板10の外周部に向かって進行する。文字板10の外周部には、立体加飾部31〜35が設けられているので、反射光LL2は、その立体加飾部31〜35に当たる。より具体的には、それら立体加飾部31〜35のうち、突出部15に近い側に設けられている下側の立体加飾部32及び上側の立体加飾部35に、反射光LL2が直接当たる。
【0045】
立体加飾部32、35に当たった反射光LL2は、その立体加飾部32、35において乱反射される。この際、立体加飾部32、35は光を透過する透明樹脂から形成されているので、当たった反射光LL2の一部が立体加飾部32、35の内部を進行する。そして、反射光LL2が当たった部分以外の部分においても反射光LL2が乱反射される。
【0046】
さらに、立体加飾部32、35で乱反射された反射光LL2は、隣りに設けられた他の立体加飾部31、33、34とも、同じように乱反射される。なお、導光材70の端面71は逆三角錐形状とされているので、LED60からの光LL1は、端面71において、文字板10の外周部に向けて、突出部15を中心とした360°の全方向に反射される。よって、図5に示すように、文字板10の外周部に設けられた立体加飾部31〜35の全範囲を照明させることができる。また、この際、立体加飾部31〜35は、断面半円状とされているので、立体加飾部31〜35を中心として放射状に照明させることができる。さらに、立体加飾部31〜35は、立体の透明樹脂から形成されているので、3次元的に照明させることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の車両用計器1では、LED60からの光を導光材70の端面71で反射させることにより、立体加飾部31〜35ごとにLEDを設けなくても、それら立体加飾部31〜35を照明させることができる。よって、LEDの個数を抑えることができるとともに、LEDの設置場所を容易に確保できる。また、LED60は、文字板10の裏側に設けられており、視認者に視認できないようになっているので、見た目を良くすることができる。また、文字板10に突出部15を設けることで、LED60からの光を、文字板10の印刷面101上に走らせて、立体加飾部31〜35を照明させることができる。そして、立体加飾部31〜35を照明させることで、車両用計器1にクリスタル感を出したり、豪華な印象を与えたりすることができる。また、文字板10に表示される各メータの視認性を向上できる。
【0048】
(変形例1)
次に、上記第一実施形態の変形例について説明する。ここで、図6は、この変形例を説明するための図であり、図4のA−A断面図を変形した図である。具体的には、図4の立体加飾部32に代えて、他の立体加飾部30が記されており、また、文字板10に対して前側に差し出るように設けられた、文字板10への異物の侵入を防止する見返し(ひさし)90が記されている。なお、その他図4と同じ機能を有する部品には同じ符号を付している。
【0049】
図6に示すように、立体加飾部30は、第一実施形態の立体加飾部32に限定されるわけではなく、必要に応じて形状等を変形することができる。ここで、図7は、立体加飾部30の変形例の一覧表を示した図である。なお、図7は、各立体加飾部の断面図を示しており、入射された反射光LL21の反射の様子も示している。
【0050】
図7に示すように、立体加飾部30は、第一実施形態と同じように透明樹脂で形成する場合が考えられる。この場合、図7の透明樹脂で形成された立体加飾部301〜306は、図6の反射光LL21を、立体加飾部301〜306の内部に伝搬させることができるので、立体加飾部301〜306を全体的に照明させることができる。
【0051】
また、立体加飾部30を透明樹脂で形成する場合において、反射光LL21が当たる面の面粗さの度合いを調節するようにしてもよい。図7に示すように、反射光LL21が当たる面にシボ加工を施した立体加飾部301、303、305は、シボ加工を施してない立体加飾部302、304、306に比べて面が粗くなっている。そのため、立体加飾部301、303、305は、反射光LL21が当たったときに、反射光LL21が乱反射する度合いが大きくなって、ぼんやりした感じ、やわらかい感じで照明させることができる。
【0052】
これに対して、シボ加工が施されていない立体加飾部302、304、306は、反射光LL21が当たったときに、反射光LL21が乱反射する度合いが小さくなって、強い感じで照明させることができる。
【0053】
また、立体加飾部30を透明樹脂で形成する場合において、立体加飾部30の断面形状を必要に応じて変形することができる。図7に示す立体加飾部301、302は、反射光LL21が当たる面が平面となっており、かつその面が反射光LL21に対して斜めに傾いた断面形状をしている。これにより、反射光LL21を立体加飾部301、302において視認者側の一定方向に反射させることができる。よって、特定方向から立体加飾部301、302を見たときに、強く光っているように視認させることができる。
【0054】
また、立体加飾部303、304は、半円状の断面形状をしている。この場合は、半円の円弧から放射するように照明させることができる。また、立体加飾部305、306は、反射光LL21が当たる面が湾曲した断面形状をしている。この場合は、湾曲面の円弧から放射するように照明させることができる。
【0055】
このように、断面形状を変えることで、反射光LL21が当たったときの反射の様子を変えることができ、それによって、照明の様子を異ならせることができる。
【0056】
また、立体加飾部30を、ABS樹脂等、光を透過しない不透過樹脂で形成してもよい。この場合、図7の不透過樹脂で形成された立体加飾部307〜312は、反射光LL21が当たる表面において照明させることができる。そして、照明させたときに、不透過樹脂の色に応じて照明の様子を異ならせることができる。例えば、不透過樹脂の色として、赤色、銀色等の明るい色を採用することができる。
【0057】
また、立体加飾部30を不透過樹脂で形成した場合において、その表面の光沢の度合いを調節するようにしてもよい。図7に示す表面が光沢処理が施された立体加飾部307、309、311は、強い感じで照明させることができる。これに対し、表面が光沢処理が施されていない立体加飾部308、310、312は、やわらかい感じ、ぼんやりした感じで照明させることができる。
【0058】
また、立体加飾部30を不透過樹脂で形成する場合においても、立体加飾部30の断面形状を必要に応じて変形することができる。図7に示す立体加飾部307、308は、反射光LL21が当たる面が平面となっており、かつその面が反射光LL21に対して斜めに傾いた断面形状をしている。また、立体加飾部309、310は、半円状の断面形状をしている。また、立体加飾部311、312は、反射光LL21が当たる面が、断面視円弧状をしており、かつ、その面が2段に分かれた断面形状をしている。このように、断面形状を変えることで、反射光LL21が当たったときの反射の様子を変えることができ、それによって、照明の様子を異ならせることができる。
【0059】
(変形例2)
上記実施形態では、文字板10に立体加飾部31〜35を設けて、それらを照明させていたが、図6に示すように、見返し90に反射光LL22を当てて、見返し90を光加飾部として照明させてもよい。この場合、反射光LL22が見返し90に当たるように、導光材70の反射面71の向きを適宜調節すればよい。これによって、立体加飾部を照明させたときと違った雰囲気を出すことができる。
【0060】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態を説明する。図8は、第二実施形態の車両用計器1の正面図、図9は、図8中の突出部15付近におけるA−A断面図である。なお、図8、図9において、第一実施形態と同じ機能を有する部品には同じ符号を付している。以下、第一実施形態と異なる部分を中心にして説明する。
【0061】
図8に示すように、突出部15が設けられる位置が第一実施形態と異なっており、具体的には、第一実施形態のときよりも図8における下の方に設けられている。また、図9に示すように、突出部15の周囲の一定の領域において、突出部15の上面部151及び文字板10の印刷面101に対して窪んだ窪み領域17が形成されている。その窪み領域17は、光加飾部として機能し、図8に示すように、中心に突出部15が位置するように形成された、外周形状が円状とされる領域である。また、窪み領域17は、図9に示すように、側面視において、突出部15と接続された内周側から印刷面101と接続された外周側に向かって傾斜して形成されている。
【0062】
突出部15は、その周囲の窪み領域17が窪んで形成されているために、窪み領域17に対しては突出しているが、文字板10の印刷面101に対しては突出していない。すなわち、突出部15の上面部151と印刷面101とは、同じ高さとされる。
【0063】
また、図8に示すように、突出部15の上面部151には、マーク16(「ECO」マーク)が記されている。そのマーク16は、点灯されることで、そのマーク16に応じた意味内容を示すマークとされ、具体的には、車両が現在環境に配慮した走行をしていることを示すECOモードを示すものである。なお、マーク16としては、ECOマークに限定されるわけではない。
【0064】
基板50、LED60、導光材70及びリフレクター80等の他の部品は、第一実施形態と同じである。
【0065】
以上のように構成された車両用計器1において、次に、窪み領域17を照明させるときの車両用計器1の動作について図9を参照して説明する。LED60からの光LL1は、第一実施形態と同様に、導光材70の内部を突出部15に向かって進行していき、導光材70の端面71に達すると、端面71において直角に反射される。そして、窪み領域17が傾斜して形成されているので、その反射光LL2は窪み領域17に当たる。この際、反射光LL2が窪み領域17の全部に当たるように、端面71の大きさや窪み領域17の大きさが調節されている。
【0066】
さらに、LED60からの光LL1が端面71に当たった際、その光LL1の一部が突出部15において乱反射され、突出部15の上面部151からも光が出射される。よって、図10に示すように、マーク16が点灯されるとともに、その周囲の窪み領域17が照明されて、マーク16に対して光加飾がなされる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、マーク16を光加飾できるとともに、突出部15が文字板10の印刷面101に対して突出していないので、見た目を良くすることができる。
【0068】
(変形例3)
次に、第二実施形態の変形例について説明する。図11は、この変形例を説明するための図であり、図9において導光材70が取り除かれた図である。すなわち、この変形例では、導光材を用いないで、LED60からの光LL1を直接突出部15に当てる。そして、突出部15自体を反射部として機能させるものである。
【0069】
この場合、図11に示すように、LED60からの光LL1は、突出部15に向かって進行する。この際、導光材を用いていないので、用いたときよりも効率が落ちるかもしれないが、光LL1が突出部15に到達する。突出部15に到達した光LL1は、突出部15の上面部151や側面部152に当たって乱反射する。その乱反射された光の一部が、反射光LL2として、突出部15の側面部152から出射して、窪み領域17に当たる。また、上記と同様に、突出部15の上面部151からも光が出射する。
【0070】
よって、導光材を用いたときよりも強度が弱いかもしれないが、図10に示すように、マーク16が点灯されるとともに、その周囲の窪み領域17が照明されて、マーク16に対して光加飾がなされる。また、導光材を用いていないので、部品点数の削減を図ることができる。
【0071】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態を説明する。図12は、第三実施形態の車両用計器1の正面図、図13は、図12中のA−A断面図である。なお、図12、図13において、第一、第二実施形態と同じ機能を有する部品には同じ符号を付している。以下、第一、第二実施形態と異なる部分を中心にして説明する。
【0072】
本実施形態の文字板10は、突出部が形成されておらず、全体が平面とされる。また、文字板10には立体加飾部が設けられていない。さらに、文字板10は、その表面が印刷面101とされているが、文字板10の外周部(図1の立体加飾部31〜35が設けられた部分)においては印刷面101とされておらず、文字板10の前側と裏側の間を光が透過できるようになっている。
【0073】
立体加飾部36は、図12に示すように、文字板10の裏側に設けられている。具他的には、その立体加飾部36は、文字板10の裏側に設けられた他の板部材200(例えば拡散材)の上に設けられる。また、立体加飾部36は、文字板10の外周部(図1の立体加飾部31〜35が設けられた部分)の下に位置するように設けられる。なお、立体加飾部36の材質や形状は、第一実施形態で示した種々の態様が考えられる。
【0074】
また、図12に示すように、LED60と文字板10の間において、導光材75が設けられる。具体的には、導光材75は、文字板10の中心付近(図1の突出部15が形成された位置)の下に位置するように設けられる。その導光材75は、第一実施形態と同様に、円柱状の形状とされ、その一方の先端が、逆三角錐形状となるように内側に凹まれて、反射部としての端面76を形成している。また、導光材75は、端面76が、他の板部材200と文字板10との間において、立体加飾部36と同程度の高さとなるように設けられる。その端面76は、第一実施形態と同様に角度調節されており、端面76に対して45°の入射角で入射された光を、直角に曲げて反射させるものである。
【0075】
また、リフレクター80は、導光材75を一部囲むように設けられる。具体的には、リフレクター80は、導光材75の端面76以外の部分に対しては囲み、端面76に対しては囲まないように設けられる。端面76で反射された反射光を出射するためである。なお、基板50及びLED60等のその他の部品は、第一、第二実施形態と同じである。
【0076】
以上のように構成された車両用計器1において、LED60からの光LL1は、導光材75の内部を端面76に向かって進行していき、端面76に達すると、端面76において直角に反射される。反射された反射光LL2は、他の板部材200の上を、板部材200の外周部に向かって進行し、立体加飾部36に当たる。よって、立体加飾部36が照明される。そして、その立体加飾部36に当たった反射光LL2は、立体加飾部36において乱反射して、文字板10の外周部を介して文字板10の前側に出射される。よって、照明された立体加飾部36を、文字板10を前側から視認させることができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態では、立体加飾部36を文字板10の裏側で照明させるようにしたので、文字板10に突出部を設ける必要がない。よって、見た目を良くすることができる。
【0078】
なお、本発明の表示装置は上記実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて変形することができる。例えば、上記第一実施形態では、文字板10の外周全部を囲むように立体加飾部31〜35を設けていたが、立体加飾部はどの位置に設けてもよい。この場合、導光材70の端面71は、立体加飾部の位置に応じて、その向きを調節すればよい。また、車両用計器以外に、光加飾がなされる他の表示装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 車両用計器
10 文字板
101 印刷面
15 突出部
16 マーク
17 窪み領域
151 突出部の上面部
152 突出部の側面部
30、31〜35、36、301〜312 立体加飾部(光加飾部)
60 LED(光源)
70、75 導光材(導光部)
71、76 導光材の端面(反射部)
90 見返し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示内容に関する印刷が施された文字板と、
その文字板の周辺に配置された、前記文字板に対して光加飾をするものであって、光が当てられることで当該部分が照明される光加飾部と、
光源と、
前記光源からの光の進行方向に配置され、その光を前記光加飾部の方向に反射させる反射部と、を備え、
前記光加飾部は、前記反射部で反射された反射光が当てられて照明されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光加飾部は、前記文字板の面上に配置され、
前記文字板は、その一部が、周囲の面に対して突出された突出部を有し、
前記光源は、前記文字板の裏側に配置され、裏側から前記文字板の前記突出部に向けて光を発し、
前記反射部は、前記突出部の内側に配置され、前記光源からの光を前記突出部の側面部から出射するように反射し、
前記反射部で反射された反射光を前記文字板の面上に走らせて、前記光加飾部を照明させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光加飾部は、前記文字板の面上に配置された立体加飾部であり、
前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部であって、その端面が前記突出部の内側に位置し、且つ、前記端面の向きが角度調節されることで、前記端面が前記反射部とされた導光部を備え、
前記導光部の端面で反射された反射光を前記文字板の面上に走らせて、前記立体加飾部を照明させることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記立体加飾部は、透明樹脂から形成されたことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記立体加飾部は、前記反射光が当たる面の面粗さの度合いが調節されたことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記立体加飾部は、光を透過しない不透過樹脂から形成されたことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記立体加飾部は、前記反射光が当たる面の光沢の度合いが調節されたことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部であって、その端面が前記突出部の内側に位置し、且つ、前記端面の向きが角度調節されることで、前記端面が前記反射部とされた導光部と、
前記文字板に対して前側に差し出るように設けられ、前記文字板への異物の侵入を防止する見返しと、を備え、
前記導光部の端面で反射された反射光を前記文字板の面上に走らせて前記見返しに当てて、前記見返しを前記光加飾部として照明させることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項9】
前記文字板は、前記突出部の上面部に表示内容を示すマークが記されており、前記突出部の周囲の所定領域が前記突出部の上面部を含む前記文字板の面に対して窪んでおり、
前記反射部は、前記光源からの光を、窪んだ前記所定領域である窪み領域の方向に反射し、
前記反射部で反射された反射光を前記窪み領域に当てて、前記窪み領域を前記光加飾部として照明させることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項10】
前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部であって、その端面が前記突出部の内側に位置し、且つ、前記端面の向きが角度調節されることで、前記端面が前記反射部とされた導光部を備えることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記光源からの光は、前記光源からの光を前記突出部まで導く導光部を介さないで直接前記突出部に当てられ、
前記突出部自体を前記反射部としたことを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記文字板は透明樹脂から形成され、
前記光加飾部及び前記反射部は、前記文字板の裏側に配置され、
前記反射部で反射された反射光を前記文字板の裏側で走らせて、前記光加飾部を前記文字板の裏側で照明させ、その照明を前記文字板の前側から視認できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−186281(P2011−186281A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52802(P2010−52802)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】