説明

表示装置

【課題】単純な内部構造でポジショニング照明が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表面を表示部50とするフィルタ部100、表示部50に表示される各種操作等の内容を示す表示マークであるマーク1〜3(110A〜110C)に対応してタッチ操作等により入力可能な電極部200、光を光源からフィルタ部へ導くライトガイド300、及び、それぞれ対応する各表示マークへ発振波長の異なる光を照射する紫外LED1、紫外LED2、青LED(410A〜410C)が実装された基板400から表示装置を構成し、各LEDが対応するマーク、及び、隣接するマークをそれぞれ対応するカラーフィルタを介して蛍光体103を照明することで、ポジショニング照明を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のインジケータ表示マークが透光表示板に形成され、それぞれのインジケータ表示マークを照明するための複数の光源が配設された表示装置がある。例えば、運転席前方のインストルメントパネル又はセンタークラスタ等に形成された表示窓に有底筒状のケースの開口部が臨むようにケースを装着し、このケースの開口にインジケータ表示マークが形成された透光表示板を配設すると共に、ケースの底部に上記インジケータ表示マークに光を照射する光源を配設した自動車のインジケータ表示装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この表示装置は、各種のインジケータ表示マークを車両上下方向に隣接させて配列し、上記ケース内を各インジケータ表示マークごとに独立した照明室に区分けすると共に、各照明室の底部にそれぞれ光源を配置して各インジケータ表示マークを照明する。この表示装置によれば、それぞれのインジケータ表示マークを独立した照明室に区分けし、複数のインジケータ表示マークをそれぞれ対応した複数の光源で照射して表示するので、各インジケータ表示マークの視認性を確保できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−97075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の表示装置によれば、それぞれのインジケータ表示マークを独立に照明するために区分けするための仕切りが必要であった。また、隣接する各インジケータ表示マークの照明の演出にも限度があり、ポジショニング照明等の新しい意匠の提示が難しいという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、単純な内部構造でポジショニング照明が可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、上記目的を達成するため、複数のマークが形成され、前記複数のマークに対応してそれぞれ蛍光体が形成されると共に、前記複数のマークに対応してそれぞれ所定の波長領域で光を透過するカラーフィルタを備えたフィルタ部と、前記複数のマークに対応して設けられ、少なくとも対応するカラーフィルタを透過するスペクトル分布で発光する光源と、を有し、第1のマークのカラーフィルタの光を透過する波長の一部と、前記第1のマークに隣接する第2のマークに対応して備えられた光源のスペクトル分布の一部が、透過波長領域において重複して設定され、前記蛍光体は、前記光源からの光により発光することを特徴とする表示装置を提供する。
【0008】
[2]前記蛍光体は、前記マークに対応して同一の形状に形成されていることを特徴とする上記[1]に記載の表示装置であってもよい。
【0009】
[3]また、前記蛍光体は、白色で発光することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の表示装置であってもよい。
【0010】
[4]また、前記複数のマークに対応して設けられた複数のカラーフィルタの透過波長領域は、それぞれ異なる波長に設定されていることを特徴とする上記[1]から[3]のいずれかに記載の表示装置であってもよい。
【0011】
[5]また、前記複数のマークに対応して設けられた複数の光源のスペクトル分布は、それぞれ異なる波長に設定されていることを特徴とする上記[1]から[4]のいずれかに記載の表示装置であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単純な内部構造でポジショニング照明が可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、図1においてAから見た平面図である。
【図3】図3(a)は、フィルタ部の詳細断面図であり、(b)は、ベースとフィルタ部のマーク印刷部の層だけを詳細に示す斜視図である。
【図4】図4(a)は、異なる形態に係るフィルタ部の詳細断面図であり、(b)は、そのフィルタ部のベースとマーク印刷部の層だけを詳細に示す斜視図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、各マーク1〜3に対応して設けられるフィルタの波長特性を示すフィルタ特性図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、各マーク1〜3を照明する紫外LED1、紫外LED2、青LED(410A〜410C)のそれぞれのスペクトル分布を示す光源特性図である。
【図7】図7は、夜間照明時の照明状態を照明モードごとに示した一覧図である。
【図8】図8は、昼間照明時の照明状態を照明モードごとに示した一覧図である。
【図9】図9(a)は、紫外LED1点灯時における、波長と、フィルタ、LEDの透過率/相対光度の関係を示す関係図であり、(b)は、そのときの表示部のインジケータ表示マークの見え方を模式的に示した表示部の平面図である。
【図10】図10(a)は、紫外LED2点灯時における、波長と、フィルタ、LEDの透過率/相対光度の関係を示す関係図であり、(b)は、そのときの表示部のインジケータ表示マークの見え方を模式的に示した表示部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[表示装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置10の構成を示す概略斜視図である。図2は、図1においてAから見た平面図である。また、図3(a)は、フィルタ部の詳細断面図であり、(b)は、ベースとフィルタ部のマーク印刷部の層だけを詳細に示す斜視図である。図4(a)は、異なる形態に係るフィルタ部の詳細断面図であり、(b)は、そのフィルタ部のベースとマーク印刷部の層だけを詳細に示す斜視図である。以下、図1〜4に基づいて表示装置10の構成を説明する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る表示装置10は、表面を表示部50とするフィルタ部100、表示部50に表示される各種操作等の内容を示す表示マークであるマーク1〜3(110A〜110C)に対応してタッチ操作等により入力可能な電極部200、光を光源からフィルタ部へ導くライトガイド300、及び、それぞれ対応する各表示マークへ発振波長の異なる光を照射する紫外LED1、紫外LED2、青LED(410A〜410C)が実装された基板400から概略構成された照明構造を有する表示装置である。
【0016】
フィルタ部100は、図1、3に示すように、表示部50の側から、傷つき防止のためのハードコート105、外からの紫外線による蛍光発光を防止する紫外線カットフィルタ107、視覚的演出等のためのスモーク104、蛍光体103、各マーク1〜3(110A〜110C)を表示するためのマーク印刷部102、各マーク1〜3(110A〜110C)にそれぞれ対応して形成(印刷)されたカラーフィルタA、B、C(101A〜101C)、光を透過する樹脂等で形成された基材であるベース106、から概略構成される。尚、各マーク1〜3は、図形、記号、文字等からなる表示マークであり、表示対象の装置の動作状態や操作内容等を表示するものである。
【0017】
ベース106の片面には、図1、3で示すように、表示部50に表示するマーク1〜3(110A〜110C)を黒色の顔料インク等で白抜き印刷してマーク印刷部102を形成する。すなわち、図3(a)、(b)で示すように、表示したいマーク部分が光を透過するようにマーク部分以外の周囲に光を透過しないあるいは透過率の低いインク等で印刷を行なう。本実施の形態では、視認性をよくするために、黒色のインクで白抜き印刷してマーク印刷部102を形成したが、黒色以外の色を用いて印刷することができ、また、耐光性をあまり必要としない場合には染料系のインク等で印刷することもできる。
【0018】
ここで、カラーフィルタA、B、C(101A〜101C)は、上記の黒色のインクで白抜き印刷した白抜きの部分にカラーの透過性を有するインク等で印刷される。すなわち、カラーフィルタA、B、C(101A〜101C)は、各マーク1〜3に対応して各マークと同一の形状に形成されている。
【0019】
マーク印刷部103のマーク部分には、カラー表示のためのカラーフィルタ印刷が施され、マーク部分以外の領域は光を透過しない黒印刷が施されているので、光はカラーフィルタA、B、C(101A〜101C)の部分のみを透過する。
【0020】
また、図3(a)に示すように、蛍光体103がカラーフィルタA、B、C(101A〜101C)の上に重ねて同一形状で形成(印刷)されている。これにより、不要な部分での発光が抑制されて、各マーク1〜3の形状のみが蛍光色で発光することになる。
【0021】
蛍光体103は、青色を発光する3Sr(PO・SrCl:Eu2+、緑色を発光するYSiO:Ce,Tb、赤色を発光するY:Euを混合して白色を発光するように形成されている。尚、蛍光体103は、図3(a)に示すように、本実施の形態では、すべてのマークに同じ蛍光体材料を使用したが、マークごとに異なる蛍光体材料を使用することもできる。また、混合比を変えて白色以外の色、例えば、赤色等の色を発光するようにしてもよい。
【0022】
図4(a)は、異なる形態に係るフィルタ部の詳細断面図であり、(b)は、そのフィルタ部のベースとマーク印刷部の層だけを詳細に示す斜視図である。すなわち、この別実施例では、黒印刷が2度施される。ベース106の片面に、図4で示すように、まず、表示部50に表示するマーク1〜3(110A〜110C)を黒色の顔料インク等で白抜き印刷してマーク印刷部102Aを形成(印刷)し、その白抜きの部分にカラーの透過性を有するインク等でカラーフィルタA、B、C(101A〜101C)を形成(印刷)する。次に、マーク印刷部102Aに重ねて同一の形状にマーク印刷部102Bを形成(印刷)し、その白抜きの部分に蛍光体103を形成(印刷)する。
【0023】
これにより、蛍光体103の周囲にも黒印刷が施されるので、マークの形状以外の部分での光の透過が完全に防止でき、各マーク1〜3の形状のみが、よりくっきりと蛍光色で発光することになる。
【0024】
図5(a)〜(c)は、各マーク1〜3に対応して設けられるフィルタの波長特性を示すフィルタ特性図である。図5(a)は、紫外Aのフィルタ色のカラーフィルタ(バンドパスフィルタ)の波長特性である。横軸に波長(nm)、縦軸に透過率(%)として最大光度を100%に規格化してグラフ化したものである。紫外Aの色領域を透過させるように、390nmを中心とし、バンド幅約60nmの波長領域で相対光度が約100となるインク等を使用してマーク1(110A)部分のカラーフィルタA(101A)を形成する。尚、上記の紫外Aの色に対応する波長領域は一例であり、波長の下限、上限がシフトし、また、相対光度が図示したプロファイルと異なるものであっても、使用することができる。
【0025】
図5(b)は、紫外Bのフィルタ色のカラーフィルタ(バンドパスフィルタ)の波長特性である。横軸に波長(nm)、縦軸に透過率(%)として最大光度を100%に規格化してグラフ化したものである。紫外Aの色領域を透過させるように、430nmを中心とし、バンド幅約60nmの波長領域で相対光度が約100となるインク等を使用してマーク2(110B)部分のカラーフィルタB(101B)を形成する。尚、上記の紫外Bの色に対応する波長領域は一例であり、波長の下限、上限がシフトし、また、相対光度が図示したプロファイルと異なるものであっても、使用することができる。
【0026】
図5(c)は、青色Cのフィルタ色のカラーフィルタ(バンドパスフィルタ)の波長特性である。横軸に波長(nm)、縦軸に透過率(%)として最大光度を100%に規格化してグラフ化したものである。青の色領域を透過させるように、470nmを中心とし、バンド幅約60nmの波長領域で相対光度が約100となるインク等を使用してマーク3(110C)部分のカラーフィルタC(101C)を形成する。尚、上記の青色に対応する波長領域は一例であり、波長の下限、上限がシフトし、また、相対光度が図示したプロファイルと異なるものであっても、視覚で青色を感じる波長特性のものであれば使用することができる。
【0027】
電極部200は、図1、2に示すように、フィルタ部100の裏面に、各表示マークに対応した位置にそれぞれタッチセンサが配置されて構成されている。このタッチセンサは、静電容量式のタッチセンサからなり、操作者の手指の接近又は接触を検出する静電容量検出用の透明電極が印刷された透明なフィルムシートにより形成されている。その透明電極は、例えば可視光に対して透明なITO(インジウム錫酸化物)などの金属酸化物の薄膜によりパターン状に形成されている。尚、電極部200を設けずに、入力機能のない表示機能だけを有する表示装置10とすることもできる。
【0028】
ライトガイド300は、例えば、アクリル(PMMA)等の光を透過する樹脂等で形成され、紫外LED1、紫外LED2、青LED(410A〜410C)から照射される各光源の光をフィルタ部100へ導く導光部材である。このライトガイド300を用いることにより、光路を安定化でき、また、短い距離で光路長を設定できるので、安定で小型化した表示装置10とすることができる。尚、このライトガイド300は必須ではなく、紫外LED1、紫外LED2、青LED(410A〜410C)からライトガイドを介さずに、各光源の光を直接フィルタ部100へ照射する構成としてもよい。
【0029】
紫外LED1、紫外LED2、青LED(410A〜410C)は、それぞれ異なる波長特性をもつ光源である。図6(a)〜(c)は、各マーク1〜3を照明する紫外LED1、紫外LED2、青LED(410A〜410C)のそれぞれのスペクトル分布を示す光源特性図である。
【0030】
図6(a)は、図1に示すマーク1(110A)及びそれに隣接するマークを紫外で照明するための紫外LED1(410A)のスペクトル分布を示す。紫外LED1(410A)は、ピーク発振波長390nmで紫外に発光する発光ダイオードである。図6(a)に示すスペクトル分布は一例であるが、スペクトル分布の両側の波長領域が、図5(b)で示したマーク2(110B)部分のカラーフィルタB(101B)の透過領域(バンドパス領域)にクロスオーバーしている。これにより隣接するマーク2(110B)に減光表示が可能となる。
【0031】
図6(b)は、図1に示すマーク2(110B)及びそれに隣接するマークを紫外で照明するための紫外LED2(410B)のスペクトル分布を示す。紫外LED2(410B)は、ピーク発振波長430nmで紫外に発光する発光ダイオードである。図6(b)に示すスペクトル分布は一例であるが、スペクトル分布の両側の波長領域が、図5(a)、(c)で示したマーク1(110A)とマーク3(110C)部分のカラーフィルタA(101A)、カラーフィルタC(101C)の透過領域(バンドパス領域)にクロスオーバーしている。これにより隣接するマーク1(110A)及びマーク3(110C)に減光表示が可能となる。
【0032】
図6(c)は、図1に示すマーク3(110C)及びそれに隣接するマークを青色で照明するための青LED(410C)のスペクトル分布を示す。青LED(410C)は、ピーク発振波長470nmで青色に発光する発光ダイオードである。図6(c)に示すスペクトル分布は一例であるが、スペクトル分布の両側の波長領域が、図5(b)で示したマーク2(110B)部分のカラーフィルタB(101B)の透過領域(バンドパス領域)にクロスオーバーしている。これにより隣接するマーク2(110B)に減光表示が可能となる。
【0033】
[本発明の実施の形態の動作]
図7は、夜間照明時の照明状態を照明モードごとに示した一覧図である。また、図8は、昼間照明時の照明状態を照明モードごとに示した一覧図である。両図において、図1に示したマーク1〜マーク3の3種類のマークを空調モード(MODE)として最上段に横に並べて配置した。各列には、これらの空調モード時に照明されるフィルタ色、照明時の状態が欄内に記号(○△―)により記載されている。
【0034】
(夜間照明状態)
スモールランプ、ヘッドランプ点灯等による夜間照明状態の場合、空調装置の操作表示部は図7の一覧に示すようなモードでマーク照明(マーク表示)がされる。例えば、一番左の「FACE」モードを選択するために図1で示すマーク1(110A)をタッチすると、電極部200によるタッチ検出により、紫外LED1(410A)が点灯する。このとき紫外LED1(410A)は、図2に示すように、所定の放射角特性でフィルタ部を照射、照明する。図1、図3(b)、図4(b)に示すマーク1(110A)に対応するカラーフィルタA(101A)及び蛍光体103は主光線により強く照明され、隣接するマーク2(110B)に対応するカラーフィルタB(101B)及び蛍光体103も拡散した光線により照明される。
【0035】
マーク1(110A)が電極部200によるタッチ検出により選択されると、紫外LED1(410A)が点灯してカラーフィルタA(101A)及び蛍光体103が照明され、表示部50には、照明輝度・強(10cd/m)で白の蛍光色でマーク1(110A)が表示される。また、隣接するマークが照明(表示)された場合、すなわち、紫外LED2(410B)が点灯した場合は、この紫外LED2(410B)の照明によってカラーフィルタB(101B)及び蛍光体103が減光照明され、照明輝度・弱(5cd/m)で白の蛍光色でマーク1(110A)が減光表示される。その他のマークが照明(表示)された場合は、常時照明として1cd/mの輝度で白の蛍光色でマーク1(110A)が表示される。夜間照明状態で各マークの視認性を確保するためである。
【0036】
図9(a)は、紫外LED1(410A)点灯時における、波長と、フィルタ、LEDの透過率/相対光度の関係を示す関係図であり、(b)は、そのときの表示部のインジケータ表示マークの見え方を模式的に示した表示部の平面図である。図9(a)は、図5(a)、(b)で示したカラーフィルタA(101A)とカラーフィルタB(101B)のそれぞれ紫外A、紫外Bのカラーフィルタ(バンドパスフィルタ)の波長特性、及び、図6(a)で示した紫外を発光する紫外LED1(410A)のスペクトル分布(波長特性)を重ねて表示したものである。
【0037】
これによれば、紫外LED1(410A)が点灯して紫外Aの色が照射された場合は、図9(a)に示すように紫外LED1(410A)のスペクトル分布とカラーフィルタA(101A)の紫外Aのバンドパス領域が略一致しているので、カラーフィルタA(101A)及び蛍光体103が照射されることによりマーク1(110A)は白の蛍光色で照明輝度・強(10cd/m)で照明(表示)される。また、紫外LED1(410A)のスペクトル分布の波長領域と隣接するカラーフィルタB(101B)の紫外Bのバンドパス領域がその一部領域でクロスオーバーしているので、マーク2(110B)は、照明輝度・弱(5cd/m)で白の蛍光色で減光照明(表示)される。また、マーク3(110C)は、カラーフィルタC(101C)を紫外LED1(410A)の光が透過しないが、青LED(410C)を微弱に発光させることで、1cd/mの輝度で白の蛍光色で照明(表示)される。
【0038】
図10(a)は、紫外LED2(410B)点灯時における、波長と、フィルタ、LEDの透過率/相対光度の関係を示す関係図であり、(b)は、そのときの表示部のインジケータ表示マークの見え方を模式的に示した表示部の平面図である。青LED(410C)点灯時も同様であるので、図示は省略するが、それぞれ、上記説明した紫外LED1(410A)の点灯時における動作と同様である。すなわち、マークに対応したLEDが点灯する場合は、そのマークは照明輝度・強(10cd/m)で白の蛍光色で照明(表示)される。また、そのマークに隣接したLEDが点灯した場合は、そのマークは照明輝度・弱(5cd/m)で白の蛍光色で減光照明(表示)される。また、その他のマークが照明(表示)された場合は、夜間照明状態で各マークの視認性を確保するために、常時照明として1cd/mの輝度で白の蛍光色で照明(表示)される。
【0039】
以上のように、マーク1〜3(110A〜110C)は、図1、3、4で示したそのマークに対応して設けられた蛍光体103がそれぞれ白の蛍光色で発光することにより、それぞれ照明(表示)される。そのマークが選択された場合は、白の蛍光色で照明輝度・強で照明(表示)され、隣接したマークが選択された場合は、白の蛍光色でで照明輝度・弱で減光照明(表示)され、その他のマークが選択された場合は、白の蛍光色でさらに弱い輝度の常時照明がされる。従って、マーク1(110A)〜マーク3(110C)の照明効果により、選択されたマークの位置が容易に視認でき、いわゆる、ポジショニング照明が可能となる。
【0040】
(昼間照明状態)
スモールランプ、ヘッドランプ等が点灯されない昼間照明状態の場合、空調装置の操作表示部は図8の一覧に示すようなモードでマーク照明(マーク表示)がされる。例えば、一番左の「FACE」モードを選択するために図1で示すマーク1(110A)をタッチすると、電極部200によるタッチ検出により、紫外LED1(410A)が点灯する。このとき紫外LED1(410A)は、図2に示すように、所定の放射角特性でフィルタ部を照射、照明する。図1、図3(b)、図4(b)に示すマーク1(110A)に対応するカラーフィルタA(101A)及び蛍光体103は主光線により強く照明され、隣接するマーク2(110B)に対応するカラーフィルタB(101B)及び蛍光体103も拡散した光線により照明される。
【0041】
マーク1(110A)が電極部200によるタッチ検出により選択されると、紫外LED1(410A)が点灯してカラーフィルタA(101A)及び蛍光体103が照明され、表示部50には、照明輝度・強(400cd/m)で白の蛍光色でマーク1(110A)が表示される。また、隣接するマークが照明(表示)された場合、すなわち、紫外LED2(410B)が点灯した場合は、この紫外LED2(410B)の照明によってカラーフィルタB(101B)及び蛍光体103が減光照明され、照明輝度・弱(200cd/m)で白の蛍光色でマーク1(110A)が減光表示される。その他のマークが照明(表示)された場合は、常時照明として50cd/mの輝度で白の蛍光色でマーク1(110A)が表示される。各マークの視認性を確保するためである。その他のマークの照明(表示)についても、夜間照明時と同様の動作によるので、重複する説明を省略する。
【0042】
昼間照明状態において、マーク1〜3(110A〜110C)は、図1、3、4で示したそのマークに対応して設けられた蛍光体103がそれぞれ白の蛍光色で発光することにより、それぞれ照明(表示)される。そのマークが選択された場合は、白の蛍光色で照明輝度・強で照明(表示)され、隣接したマークが選択された場合は、白の蛍光色でで照明輝度・弱で減光照明(表示)され、その他のマークが選択された場合は、白の蛍光色でさらに弱い輝度の常時照明がされる。従って、マーク1(110A)〜マーク3(110C)の照明効果により、選択されたマークの位置が容易に視認でき、いわゆる、ポジショニング照明が可能となる。
【0043】
[本発明の実施の形態による効果]
(1)本発明の実施の形態によれば、それぞれのマークに対応してカラーフィルタ、蛍光体、及び、光源を備えることにより、単純な内部構造で、選択中のモードとその前後のモードをユーザに知らせるポジショニング照明が可能な表示装置を提供することができる。
(2)マークの形状に形成された蛍光体の発光により表示するので、斜め方向への輝度が向上し、視認性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)上記のように、カラーフィルタと特定のスペクトル分布を持つ光源の組合せにより、隣接するマーク間で、減光照明が可能となるので、減光回路等を必要としない単純な内部構造でポジショニング照明が可能な表示装置を提供することができる。
(4)本実施の形態による減光照明により新しい照明の演出が可能となる。
(5)現在の操作状況がマークの輝度により明らかとなるので、マーク自体にポジショニング機能が追加され、従来必要とされていたONインジケータ等が不要となる。
(6)蛍光体の周囲にも黒印刷を施す構成にすれば、マークの形状以外の部分での光の透過が完全に防止でき、各マークの形状のみが、よりくっきりと蛍光色で発光する表示装置を提供することができる。
【0044】
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、マークに対応して設けられた蛍光体103がすべて白の蛍光色を発光するものとしたが、マークごとに蛍光色を変化させて配置することにより、ポジショニング照明と共に、色の変化によるグラデーション照明も可能である。
【符号の説明】
【0045】
10…表示装置
50…表示部
100…フィルタ部
101A〜101C…カラーフィルタA〜カラーフィルタC
102、102A、102B…マーク印刷部
103…蛍光体
104…スモーク
105…ハードコート
106…ベース
107…紫外線カットフィルタ
110A〜110C…マーク1〜マーク3
200…電極部
300…ライトガイド
400…基板
410A〜410C…紫外LED1、紫外LED2、青LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマークが形成され、前記複数のマークに対応してそれぞれ蛍光体が形成されると共に、前記複数のマークに対応してそれぞれ所定の波長領域で光を透過するカラーフィルタを備えたフィルタ部と、
前記複数のマークに対応して設けられ、少なくとも対応するカラーフィルタを透過するスペクトル分布で発光する光源と、を有し、
第1のマークのカラーフィルタの光を透過する波長の一部と、前記第1のマークに隣接する第2のマークに対応して備えられた光源のスペクトル分布の一部が、透過波長領域において重複して設定され、前記蛍光体は、前記光源からの光により発光することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記蛍光体は、前記マークに対応して同一の形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記蛍光体は、白色で発光することを特徴とする請求項1又2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数のマークに対応して設けられた複数のカラーフィルタの透過波長領域は、それぞれ異なる波長に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数のマークに対応して設けられた複数の光源のスペクトル分布は、それぞれ異なる波長に設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−150304(P2012−150304A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9424(P2011−9424)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】