説明

表示装置

【課題】表示装置の光学特性が良好で、低コスト、高生産性を有するタッチパネル付き表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】LCD表示パネルの観察側にタッチパネルを搭載した表示装置であって、LCD表示パネルとタッチパネルの間に、少なくとも透明導電膜層を有する多層構成からなるシールド層を設けることを特徴とし、さらに、前記シールド層が、透明基材に少なくともUV硬化性樹脂層と透明導電膜層を順次塗工してなる積層体であることを特徴とするタッチパネル付き表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タッチパネルを搭載した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルにはその入力原理によって光学式、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導式等がある。最近では中でもマルチタッチができる静電容量方式が増えてきている。静電容量方式のタッチパネルを搭載した表示装置の構成としては、LCD等の表示パネル、その観察側にLCD表示パネルからのノイズを防ぐためのシールド層があり、さらにその観察側にタッチパネルが設置され、タッチパネルよりも前面に接着層等を介して指が触れる部分としてカバーレンズ等が搭載されている。静電容量方式タッチパネルの動作原理としては、指が最表面層に触れることにより、タッチパネル内の電極の静電容量の変化を検知し、変化の大きさ、変化した場所、指の触れられた状態、指の動きについてデーター化し、動作するものである。
【0003】
静電容量方式のタッチパネルはX方向とそれと直交するY方向の2方向の電極が必要とされ、指が触れた時の静電容量の変化を検出することでその座標を検出し、タッチ位置やタッチ動作を認識する。X電極層とY電極層同士は接することはなく、絶縁膜を介して積層される。X電極とY電極には透明導電材料が主に使われており、各々基材上に導電材料を成膜、パターニングして電極層を形成する。電極のパターニング形状には線状やダイヤモンド型などがある。また、X電極層とY電極層はそれぞれ基材に成膜、パターニングして接着層を介して貼り合わせる場合と一つの基材の両面側に導電材料を成膜してパターニングする場合がある。電極材料としては透明導電材料であるITO(酸化インジウムスズ)が用いられていることがほとんどである。
【0004】
上記のような静電容量方式のタッチパネルは、精密な静電容量の変化を検出する必要があるために、周辺部品からのノイズに非常に敏感である。従って、タッチパネルを搭載した表示装置には、タッチパネルとLCD表示パネルの間にLCD表示パネルからの電気的ノイズを遮断するためのシールド層が備えられている。このシールド層は透明かつ導電性のある材料が求められており、その材料としてはタッチパネルの電極と同一材料であるITOが用いられていることがほとんどである。シールド層のITO膜はパターニングの必要はなく基材全面に成膜される。
【0005】
しかしながら、ITO膜はL*a*b*表色系での透過b*値が比較的高く透過色での黄色味を帯びやすいため、シールド層にもITO膜を使用すると、静電容量方式タッチパネルを搭載した表示装置ではITO層がタッチパネル部分のITO層も含めると3層積層されていることになり、色味がより黄色味がかり、光学特性が悪化してしまうという問題がある。また、ITOを成膜するには高価な真空スパッタ装置が必要でありコストや生産性の上でもより良い改善が求められている。上記の問題に対して、静電容量のタッチパネル内の電極構造を工夫してシールド層をタッチパネル内部に組み込む構造を用いている事例もある(特許文献1参照)。しかしながら、シールド用の導電膜を従来の3層から2層に減らしてはいるが、電極と同じ透明導電材料層で構成するため、高価な真空スパッタ装置が必要でありコストや生産性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−44453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光学特性の良好で、低コスト、高生産性のタッチパネル付き表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、本発明の請求項1に係る発明としては、
LCD表示パネルの観察側にタッチパネルを搭載した表示装置であって、LCD表示パネルとタッチパネルの間に、少なくとも導電膜層を有する多層構成からなるシールド層を設けることを特徴とするタッチパネル付き表示装置である。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る発明としては、前記シールド層が、透明基材に少なくともUV硬化性樹脂層と導電膜層を順次塗工してなる積層体であることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル付き表示装置である。
【0010】
また、請求項3に係る発明としては、前記導電膜層が導電性ポリマーからなることを特徴とする請求項1または2記載のタッチパネル付き表示装置である。
【0011】
また、請求項4に係る発明としては、タッチパネルは投影型静電容量方式のタッチパネルであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のタッチパネル付き表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、前記シールド層が、基材以外は全てコーティング可能な材料から形成される為に、ITO成膜時に必要な高価な真空装置などを必要とせず、コーティングによりシールド層が形成できることで、光学特性の良好で、低コスト、高生産性のタッチパネル付き表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例であるタッチパネル付き表示装置の構成の断面図。
【図2】本発明の一実施例であるタッチパネルの電極パターン形成前の断面図。
【図3】本発明の一実施例であるタッチパネルを構成している電極付フィルムの断面図。
【図4】本発明の一実施例であるシールド層に電極のパターニングした平面図。
【図5】本発明の一実施例であるタッチパネルの構成の断面図。
【図6】本発明の一実施例であるタッチパネル電極の平面図。
【図7】本発明の一実施例であるタッチパネルの別構成の断面図。
【図8】本発明の一実施例であるシールド層の構成の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明のタッチパネル付き表示装置60の構成の断面図を示す。図1はLCD表示パネル30と観察側に構成されるタッチパネル10と、タッチパネル10のさらに観察側の面に接着剤層50を介して積層されるフロントパネル層40と、LCD表示パネルとタッチパネル10の間に介在するシールド層20から成る。シールド層20は図1のように、タッチパネル10に粘着層16を介して貼り合わせてあってもよいし、タッチパネル10と離れていてもよい。
【0016】
図2は、本発に係るタッチパネル10を構成する一部材の、電極パターン形成前の積層
体10aの断面図を示す。まず基材11上にUV硬化樹脂層12を設ける。図2では、UV硬化樹脂層が基材11の片面側に設けているが、両面でもよい。該UV硬化樹脂層12の上に光学機能層13を設け、さらに電極となる導電膜層14を設けて積層体10aを形成する。但し、前記光学機能層13は必ずしも必要ではない。
【0017】
図3は、前記積層体10aの導電膜層14をパターニングして得られる電極パターン14bを含む積層体10bの断面図を示す。前記導電膜層14のパターニングは、例えば、レジスト塗布、マスク露光、現像、エッチング、レジスト剥離という工程から形成される。パターニング方法としてはフォトリソ、スクリーン印刷、レーザーによるパターニングなどどの方法を用いても構わない。図4に、電極パターン14bの一実施例として、導電膜層14を菱形状にパターニングした平面図を示す。
【0018】
図5は、電極パターン14bを形成した積層体10bを、粘着層16を介して2つ積層したものを示す。これが2つの電極層を持つタッチパネル10となる。たとえば、導電膜層14を菱形状にパターニングした場合は、一方の電極パターン14bと、もう一方の電極パターン14b´が重なり合わないように積層する。すなわち、図6の平面図に示すように、前記積層体10bの電極パターン14bと、それと90℃回転させた位置に、積層体10b´の電極パターン14b´が位置するように積層する。これによりどちらか一方がX方向の静電容量変化を検知し、もう一方がY方向の変化を検知することが可能となる。
【0019】
次に、タッチパネル部の別の構成10´について記述する。タッチパネル10´の断面図を図7に示す。基材11の両側にUV硬化樹脂層12および12´を積層する。UV硬化樹脂層12および12´の上にはそれぞれに導電膜層14および14´が積層される。硬化樹脂層12および12´と導電膜層14および14´の間に光学機能層13および13´を設けることも好ましく行われる。続いて導電膜層14および14´のパターニングを行い電極パターン14bおよび14b´を形成する。電極パターン14bおよび14b´は、例えばレジスト塗布、マスク露光、現像、エッチング、レジスト剥離という工程から形成される。図6に示すような菱形状にパターニングする場合はエッチング後の電極パターン14bおよび14b´が重ならないようにする。
【0020】
本発明に係わる基材11としては、透明なガラスおよびプラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、成膜工程および後工程において十分な強度があり、表面が平滑なものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。これらの基材には酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤、易接着剤などの添加剤が含まれていても構わない。また、密着性を良くする為にコロナ処理、低温プラズマ処理を施しても構わない。
【0021】
また、本発明に係るUV硬化樹脂層12および12´としては、透明性と適度な硬度および強度があれば特に限定されるものではない。望ましくは基材11と屈折率が同等もしくは近似しているものを選択する。また樹脂層12および12´としてはUV硬化樹脂だけでなく、熱硬化樹脂等も使用することが可能である。
【0022】
また、本発明に係る光学機能層13としては、無機化合物を用いる場合、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物などが挙げられる。具体的には酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タンタルなどが挙げられる
。これら無機化合物はその材料および膜厚により屈折率が異なるため、目的に合わせた材料を特定の膜厚で形成することにより光学特性を調整することが可能となる。光学機能層13は1層だけに留まらず、複数層あってもよい。
【0023】
またさらに、本発明に係る導電膜層14および14´としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズのいずれか、またはこれらの混合酸化物、さらにはその他添加剤が加えられた物等が挙げられ、目的・用途によって選択可能で特に限定されるものではない。タッチパネルにおいて最もよく用いられているのは酸化インジウムスズ(ITO)である。
【0024】
図1に示すように、タッチパネル10または10´とLCD表示パネル30は、シールド層20を介して組み立てられる。シールド層20は、LCD表示パネルからの電気的なノイズをタッチパネル部10または10´に与えないために組み込まれる層であり、透明かつ導電性を備えている必要がある。
【0025】
本発明におけるシールド層20の構成を図8に示す。基材21上に導電膜層22が積層される。基材21と導電膜層22の間にUV硬化樹脂層23を積層する。
【0026】
基材21としては、透明なガラスおよびプラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、成膜工程および後工程において十分な強度があり、表面が平滑なものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。これらの基材には酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤、易接着剤などの添加剤が含まれていても構わない。また、密着性を良くする為にコロナ処理、低温プラズマ処理を施しても構わない。
【0027】
本発明のシールド層に係る導電膜層22としては、導電性材料としてコーティング可能な導電性ポリマーを用いる。前記導電性ポリマーとしてはπ共役系高分子が用いられる。例えば、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリフェニレンスルフィド、ポリピリジルビニレン、及びポリアジン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、目的に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもポリエチレンジオキシチオフェンは、表面抵抗値が数百Ω/□程度で透明性が比較的良好であり、b*値がマイナスで若干青味を帯びていることから、シールド層として用いた場合に表示パネル全体の色味を悪化させないものとして好適に用いることが可能である。
【0028】
上記の導電性ポリマーは、適性な溶剤を選定することで可溶化または分散化などの溶液化(塗液化)が可能で、その結果コーティングによる塗膜形成が可能である。用いられる溶剤としては、水、または有機溶媒、例えばアルコール、エーテル、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミドなどに溶解または分散させて用いることが好ましい。中でも水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールといった溶媒がコスト的にも容易に用いることが可能である。この時、ポリマーの分散性をよくするために分散剤や界面活性剤等の添加剤を加えても構わないし、導電膜の膜強度を強くするために添加剤を加えたり、膜硬化を促進するための硬化剤を加えても構わない。
【0029】
前記導電性ポリマーからなる導電膜層22を基材21に形成する方法としては、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法等の塗布法や、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法
、凹版印刷法、平版印刷法等の印刷法コート等が可能である。
【0030】
前記導電膜層22の硬化方法としては、用いるπ共役系高分子の種類や添加している硬化剤の種類によって、熱硬化もしくはUV硬化等が適用できる。
【0031】
前記記載のπ共役系高分子の中には、それ単独では導電性が発現せず、ドーパントを添加することによりプラスまたはマイナスの電荷がπ共役系高分子に付与されて導電性を持つ場合もある。従ってドーパントを加えることも好ましく行われる。例えばポリジオキシチオフェンの場合はポリスチレンスルホン酸がドーパントとして添加されることが一般的である。
【0032】
導電膜層22の透過b*値はマイナス方向に値が大きいほど透過色の青味が強いものとなり、黄色味を抑制する効果がある。このb*値は導電性ポリマー膜の膜厚を変化させることで、制御可能であり、タッチパネルの透過色の黄色味の程度によって、最も適切な膜厚の導電性ポリマー膜を塗工することが可能である。
【0033】
また、本発明のシールド層20に係るUV硬化樹脂層23は、前記基材21からのオリゴマー析出を防止するために設ける層である。このUV硬化樹脂層23は前記導電膜層22の材料組成により大きな影響を受けるので、適切な組成、膜厚、硬化方法を選ぶことで、オリゴマー析出を防止しつつ、高い透過率を保ったシールド層を形成することができる。例えば上記ポリエチレンジオキシチオフェンを導電膜層として用いる場合は、アクリル系のUV硬化材料を塗工し、3μmの層を形成することで達成することができる。
【0034】
上記UV硬化樹脂層の形成方法としては、前記導電膜層22の形成と同様に、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法等の塗布法や、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法等の印刷法コート等によるコーティングで行うことが出来る。いずれかの方法でコーティングを行った後、適正な条件下での紫外線照射により硬化させ、UV硬化樹脂層の形成を完了する。
【0035】
前記UV硬化樹脂層に用いられるUV硬化型材料としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーなどがある。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることにより、十分な表面硬度を有し、且つ、柔軟性やゴム弾性といったウレタン樹脂の特徴を有し、フィルム基材への追随性が良好で屈曲性に優れるコーティング層を得ることができる。
【0036】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、単官能のウレタン(メタ)アクリレート、2官能のウレタン(メタ)アクリレート、3官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられるが、中でも、2官能のウレタン(メタ)アクリレートおよび/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、末端に(メタ)アクリロイル基を有する2官能のウレタン(メタ)アクリレートおよび/または末端に(メタ)アクリロイル基を有する3官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
【0037】
前記2官能のウレタン(メタ)アクリレートおよび/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリオールと、ジイソシアネート化合物と、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物とを反応して得られるもの等が挙げられる。
【0038】
また、前記UV硬化樹脂層に用いられる材料としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの他にラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。
また、ウレタンアクリレートオリゴマーに上記の範囲内でラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物を含有させ、コーティング層形成材料とすることもできる。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0039】
前記(メタ)アクリレートとしては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート、2官能の(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられるが、単官能の(メタ)アクリレートおよび2官能の(メタ)アクリレートを用いた場合、得られるコーティング層のプラスチックフィルムへの追随性が良好で屈曲性に優れるため特に好ましい。
【0040】
前記単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート。
【0041】
フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
前記2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートや、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
また、塗工液に必要により光重合開始剤を添加することができる。本発明に用いることができる光重合開始剤としては各種のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントンまたはアントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。これらの化合物は、メチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンと併用するのが一般的である。
【0045】
また、別のタイプの光重合開始剤としては、例えば、分子内開裂によってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等が挙げられる。
【0046】
また、必要により、光重合開始剤と併用して、ハイドロキノン、ベンゾキノン、トルハイドノキノンまたは、パラターシャリーブチルカテコールの如き重合禁止剤類などを添加することもできる。
【0047】
また、本発明にあっては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、界面活性剤、スリップ剤、消泡剤等の添加剤も必要に応じて塗工液に添加しても良い。
【0048】
また、本発明に用いる塗工液としては、必要に応じてコーディング形成材料を溶媒に溶解または分散させることができる。溶媒としては、トルエン、シクロヘキサノン、アセトン、ケトン、エチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ニトロメタン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、N−メチルピロリドン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トリクロロエチレン、エチレンクロライド、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどを使用でき、またこれらの混合溶媒を使用することができる。また溶剤の量はとくに限定されない。
【0049】
LCD表示パネル30の構造としては、液晶を駆動させるためのスイッチング素子が配置され電極層が設けられた基板(アレイ基板)と、対向する電極層が形成されたカラーフィルター基板とが液晶層を挟んで構成されており、アレイ基板とカラーフィルター基板にはそれぞれ偏光板が取付けられているような極一般的なLCD表示パネルを用いる。またLCD表示パネル30の駆動方式としては特に限定されるものではなく、IPS方式、TN方式、VA方式等のLCD表示器が用いられる。
【実施例】
【0050】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限られるものではない。
【0051】
<実施例1>
厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を基材として、その片面にUV硬化樹脂(荒川化学社製、商品名「575CB」)を乾燥、硬化後の膜厚3μmとなるように塗布し、その上にNb(膜厚10nm)、SiO(膜厚50nm)を真空成膜し、さらにITO(膜厚40nm)を成膜した。次に、ITO層にレジスト(互応化学工業社製、商品名「PER−200」)を塗布し、UV照射による硬化後、塩酸(0.1%)によるエッチング、水酸化ナトリウム溶液(1%)によりレジスト剥離を行い、導電膜層にパターニングを行った。このパターニングした導電パターン形成基材を、粘着剤を介して2枚貼り合わせてタッチパネルとした。
【0052】
次に、別途、PET基材(125μm)上に、ウレタンアクリレート(荒川化学社製「575CB」)をマイクログラビアコーターで塗布し、80℃で60秒乾燥させた後、積算光量50mJ/cmでUV硬化させた。次に、同じ面にポリスチレンスルホン酸を含むポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)分散液をマイクログラビアコーターで塗布し、100℃のオーブンに通して溶剤の乾燥および硬化を行い、膜厚100nmの導電膜層を形成してシールド層を作製した。
【0053】
<比較例1>
PET基材(125μm)上にドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含むポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)分散液をマイクログラビアコーターで塗布し、100℃のオーブンに通して乾燥させ膜厚100nmの導電膜層を形成しシールド層を作製した。
【0054】
<評価>
実施例1と比較例1で作製したそれぞれのシールド層を、実施例1で作製したタッチパネルの観察側とは反対側に設置し、150℃×60分加熱したのち、タッチパネルの観察側から濁度を測定した。濁度は、基材からのオリゴマーの析出による白濁の代用特性として測定するものであり、日本電色社製「NDH−2000」で測定した。その結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
<比較結果>
シールド層にUV硬化層を用いない比較例では、150℃加熱後、基材からオリゴマーが析出することで白濁を生じ、濁度が1.7%から4.0%と大幅に上昇した。一方、本発明の実施例で得られたものは、150℃に加熱しても濁度の上昇は0.1%にとどまり、シールド層が基材からのオリゴマー析出を防止する良好な結果が得られた。
【符号の説明】
【0057】
10、10´ : タッチパネル
10a : 電極パターン形成前の積層体
10b、10b´ : 電極パターン形成後の積層体
11 : 基材
12、12´ : UV硬化樹脂層
13、13´ : 光学機能層
14、14´ : 導電膜層
14b、14b´ : 電極パターン
16 : 粘着層
20 : シールド層
21 : 基材
22 : 導電膜層
23 : UV硬化樹脂層
30 : LCD表示パネル
40 : フロントパネル
50 : 接着剤層
60 : タッチパネル付き表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LCD表示パネルの観察側にタッチパネルを搭載した表示装置であって、LCD表示パネルとタッチパネルの間に、少なくとも導電膜層を有する多層構成からなるシールド層を設けることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
【請求項2】
前記シールド層が、透明基材に少なくともUV硬化性樹脂層と導電膜層を順次塗工してなる積層体であることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項3】
前記導電膜層が導電性ポリマーからなることを特徴とする請求項1または2記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項4】
タッチパネルは投影型静電容量方式のタッチパネルであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のタッチパネル付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−177978(P2012−177978A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39435(P2011−39435)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】