説明

表示装置

【課題】映像信号によらず情報を送信可能な表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、表示装置は、インジケータと、情報抽出部と、インジケータ制御部とを備えている。インジケータは、表示装置の動作状態を示す第1の可視光を発する。情報抽出部は、入力信号から少なくとも映像信号および付加情報を抽出する。インジケータ制御部は、前記付加情報に応じて、前記第1の可視光を前記映像信号のフレームレートより高い周波数で変調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一対のガラス基板の間に液晶材料を配置して構成される液晶パネルと、液晶パネルの背面から液晶パネルに光を照射するバックライトとを備えている。バックライトから照射された光のうち、液晶材料の配向に応じた強度の光が液晶材料を透過して、液晶パネル上に表示される。
【0003】
従来は、常にバックライトから液晶パネルへ光を照射していた。しかしながら、近年では低消費電力化のために、映像信号に応じてバックライトの明るさを調整する技術が用いられている。例えば、映像信号が黒を示す場合、バックライトが消灯されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第06/011515号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映像信号によらず情報を送信可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、表示装置は、インジケータと、情報抽出部と、インジケータ制御部とを備えている。インジケータは、表示装置の動作状態を示す第1の可視光を発する。情報抽出部は、入力信号から少なくとも映像信号および付加情報を抽出する。インジケータ制御部は、前記付加情報に応じて、前記第1の可視光を前記映像信号のフレームレートより高い周波数で変調する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る情報通信システムの概略ブロック図。
【図2】付加情報の通信に関する処理動作の一例を示すフローチャート。
【図3】第2の実施形態に係る情報通信システムの概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る情報通信システムの概略ブロック図である。情報通信システムは、情報を送信する表示装置100と、送信された情報を受信する受信装置200とを備えている。
【0010】
表示装置100は、情報抽出部1と、音声制御部2と、スピーカ3と、液晶制御部4と、バックライト制御部5と、バックライト6と、液晶パネル7と、キャリア信号生成部8と、インジケータ制御部9と、インジケータ10とを有する。
【0011】
情報抽出部1は、外部、すなわち、放送局や光ディスク再生装置などから入力される入力信号から、音声信号と映像信号とを抽出する。音声制御部2は音声信号に応じてスピーカ3を駆動し、スピーカ3から音声信号が再生される。また、バックライト制御部5は映像信号に応じてバックライト6を制御する。例えば、映像信号が暗い映像を示す場合、バックライト6の輝度を低くする。液晶制御部4は映像信号に応じて液晶パネル7内に配置される液晶材料の配向を制御する。これにより、バックライト6が照射する可視光(第2の可視光)のうち、映像信号に応じた量の光が液晶材料を透過して、映像が液晶パネル7に表示される。
【0012】
映像信号のフレームレートは例えば60Hzである。液晶制御部4およびバックライト制御部5は60Hzでバックライト6および液晶パネル7をそれぞれ制御してもよいし、動画解像度向上のため、フレーム間補間を行って120Hzあるいは240Hzで制御してもよい。また、バックライト6の光源は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。
【0013】
情報抽出部1はさらに付加情報を抽出する。付加情報は入力信号に関連する情報であり、例えば映像信号に関連するホームページを示すURL(Uniform Resource Locator)や、情報抽出部1で抽出される音声信号とは異なる言語の音声信号である。ここでは、付加情報が音声信号である例を示す。
【0014】
キャリア信号生成部8はフレームレートより十分高い周波数、例えば1MHzのキャリア信号を生成する。キャリア信号の周波数は人間が認識できない周波数、例えば240Hz以上であればよいが、より多くの情報を通信するためにはできるだけ周波数が高い方がよい。インジケータ制御部9は、キャリア信号を付加情報に応じて強度変調して、インジケータ10の発光パターンを生成する。
【0015】
インジケータ10は、少なくとも1つの光源を有し、この光源が発する可視光(第1の可視光)により表示装置100の動作状態を示す。インジケータ10は複数の光源を有し、色に応じて複数の状態を示すものであってもよい。例えば、インジケータ10が緑色に点灯していれば表示装置の電源が入っている状態を示し、橙色に点灯していれば電源は入っていないが通電している状態を示し、消灯していれば通電していない状態を示す。
【0016】
なお、表示装置100は、電源状態を示すインジケータの他、音声信号がモノラル信号であるかステレオ信号であるかを示すインジケータや、データ放送受信中であることを示すインジケータ等、複数のインジケータを有する場合もあるが、映像信号に関わらず常時点灯しているインジケータであれば、そのいずれを用いてもよい。
【0017】
そして、インジケータ10は表示装置100の動作状態と、インジケータ制御部9により生成された、付加情報が重畳された発光パターンとに基づいて発光する。インジケータ10の光源は上記キャリア信号の周波数で点灯および消灯を繰り返すことができる光源であり、例えばLEDである。LEDを用いると、指向性が強いため限られた範囲にのみ付加情報を送信でき、不必要に広い範囲まで付加情報が送信されてしまうことはない。また、可視光は非透明の物体を透過しないため、壁を隔てた隣接する部屋等にまで到達してしまう恐れもない。
【0018】
インジケータ10はキャリア信号の周波数で点灯および消灯を繰り返すが、この周波数は高いため、点灯および消灯を繰り返していることを人間が認識することはなく、インジケータ10は点灯し続けているように見える。すなわち、視聴者にとっては表示装置100の動作状態のみが認識される。
【0019】
一方、受信装置200はインジケータ10からの可視光を受光できる位置に配置される。受信装置200は、受光部31と、イヤホン(付加情報生成部)32とを有する。受光部31はインジケータ10からの可視光を受光し、付加情報を復調する。そして、復調された付加情報に基づいてイヤホン32から音声信号が再生される。
【0020】
図2は、図1の情報通信システムにおける、付加情報の通信に関する処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0021】
まず、表示装置100の情報抽出部1は入力信号から付加情報(本実施形態ではスピーカ3から再生される音声信号とは異なる言語の音声信号)を抽出する(ステップS1)。そして、インジケータ制御部9は、キャリア信号生成部8により生成されるキャリア信号を、付加情報に応じて変調した発光パターンを、これに応じてインジケータ10は付加情報が重畳された可視光を発する(ステップS2)。例えばキャリア信号の周波数が1MHzである場合、この周波数でインジケータ10は点灯と消灯とを繰り返すが、これを人間が認識することはできない。以上のようにして、表示装置100から付加情報が送信される。
【0022】
受信装置200側では、受光部31がインジケータ10からの可視光を受光し(ステップS3)、これを復調して音声信号を得る(ステップS4)。さらに、イヤホン32からこの音声信号が再生される(ステップS5)。以上のようにして、スピーカ3から再生される言語とは異なる言語の音声信号をイヤホン32を用いて視聴できる。
【0023】
上記の例では付加情報が音声信号である例を示したが、付加情報が例えば映像信号に関連するURLである場合、イヤホン32に代えてインターネットに接続されたパーソナルコンピュータを付加情報生成部として設け、そのURLで指定されたホームページを自動的に表示するようにしてもよい。
【0024】
このように、第1の実施形態では、表示装置100に設けられたインジケータ10が発する可視光に付加情報を重畳して送信する。バックライト6は映像信号によっては消灯される場合もあるが、インジケータ10は常時点灯しているため、映像信号によらず付加情報を外部に送信できる。また、光源としてLEDを有するインジケータ10を用いると、高周波数で点灯と消灯とを繰り返すことができるため、インジケータに付加情報が重畳されていることが視聴者に認識されることはない。また、LEDは指向性が強いため、限られた範囲にのみ付加情報を送信することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態はインジケータ10が発する可視光を付加信号に応じて変調したが、以下に説明する第2の実施形態ではさらにバックライト6も付加信号に応じて変調するものである。
【0026】
図3は、第2の実施形態に係る情報通信システムの概略ブロック図である。図3では、図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0027】
情報抽出部1は、入力信号から2つの付加情報を抽出し、一方をバックライト制御部(光源制御部)5へ、他方をインジケータ制御部9へそれぞれ供給する。例えば、バックライト制御部5に供給される付加情報は英語の音声信号であり、インジケータ制御部9へ供給される付加情報は中国語の音声信号であるとする。バックライト制御部5は、キャリア信号を付加情報に応じて強度変調し、バックライト(光源)6の発光パターンを生成する。
【0028】
バックライト6は映像信号と付加情報が重畳された発光パターンとに応じて液晶パネル(表示部)7に光を照射する。バックライト6は、キャリア信号の周波数で点灯および消灯を繰り返すことができる光源であり、例えばLEDである。キャリア信号の周波数はフレームレートより十分高いため、付加情報に応じたパターンが視聴者に認識されることはなく、液晶パネル7に表示される映像が乱れて見えるようなことはない。
【0029】
受信装置200aは、第1の実施形態と同様に、インジケータ10からの可視光を受信し、中国語の音声信号を再生する。また、受信装置200bは液晶パネル7からの可視光を受信する。受光部31bは可視光を受光し、英語の音声信号である付加情報を復調する。そして、復調された付加情報に基づいてイヤホン32bから英語の音声信号が再生される。
【0030】
なお、受信装置200a,200bがそれぞれ、液晶パネル7からの可視光とインジケータ10からの可視光の両方を受光してしまうことがある。そこで、付加情報は固有のID(識別情報)を含むようにしてもよい。例えば、バックライト制御部5に供給される付加情報のIDを「1」とし、インジケータ制御部9に供給される付加情報のIDを「2」とする。そして、バックライト制御部5およびインジケータ制御部9はそれぞれ、付加情報のIDを含む発光パターンを生成して、バックライト6が発する可視光およびインジケータ10が発する可視光を変調する。受光部31a,31bには予め復調すべき付加信号のIDが設定され、該当するIDが重畳された可視光のみを復調する。
【0031】
また、バックライト6を複数の領域に分割し、各領域に1つの付加情報を重畳して、送信可能な付加情報の数を多くしてもよい。この場合も付加情報ごとにIDを定めるのが望ましい。なお、バックライト制御部5に供給される付加情報と、インジケータ制御部9に供給される付加情報とが同じ情報であってもよい。
【0032】
このように、第2の実施形態では、バックライト6にも付加情報を重畳するため、より多くの付加情報を送信できる。
【0033】
本実施形態の他の例として、5.1チャンネルサラウンド音声をワイヤレスで伝送することもできる。すなわち、一方のリアスピーカを受信装置200a、もう一方のリアスピーカを受信装置200bとし、2つのリアスピーカからそれぞれ再生される音声信号をインジケータ5およびバックライト6から出力してもよい。
【0034】
なお、インジケータ10の光源や第2の実施形態のバックライト6はLEDでなくてもよく、有機ELや無機ELなど、フレームレートより高い周波数で制御できる光源であればよい。
【0035】
上述した実施形態で説明した情報通信システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報通信システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0036】
また、情報通信システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0038】
1 情報抽出部
5 バックライト制御部
6 バックライト
7 液晶パネル
9 インジケータ制御部
10 インジケータ
100 表示装置
31,31a,31b 受光部
32,32a,32b イヤホン
200,200a,200b 受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の動作状態を示す第1の可視光を発するインジケータと、
入力信号から少なくとも映像信号および付加情報を抽出する情報抽出部と、
前記付加情報に応じて、前記第1の可視光を前記映像信号のフレームレートより高い周波数で変調するインジケータ制御部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記インジケータは、前記入力信号の受信中は前記第1の可視光を発していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第2の可視光を照射する光源と、
前記入力信号から抽出された付加情報に応じて、前記第2の可視光を前記映像信号のフレームレートより高い周波数で変調する光源制御部と、
前記変調された第2の可視光の少なくとも一部により前記映像信号を表示する表示部と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記情報抽出部は、それぞれが固有の識別情報を含む複数の付加情報を抽出し、
前記インジケータ制御部は、前記識別情報も考慮して、前記第1の可視光を変調することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記インジケータ制御部は、前記第1の可視光を人間が認識できない周波数で変調することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−195739(P2012−195739A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57782(P2011−57782)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】