説明

表示装置

【課題】挿入板を挿抜可能な表示装置であって、挿入板の挿入状態に応じて表示部の表示状態を変更することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の表示装置は、画像を表示する表示部を備えている。また、表示部の内部に対して挿抜自在な挿抜部材の挿抜状態を検知する挿抜検知部を備えている。また、挿抜検知部により挿入が検知された挿抜部材の種別を判別する判別部を備えている。また、判別部による判別結果に基づいて、輝度または表示画像の色調を変更するよう表示部を制御する表示制御部を備えている。また、表示部に含まれるバックライトの調光を行うバックライト制御部を備えている。表示制御部は、判別部による判別結果に基づいて、バックライトの調光を行うようバックライト制御部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示装置に関するものであり、特に小型の液晶パネルを用いて電子書籍情報を表示する携帯用の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の多機能化、多様化により、液晶パネルや有機EL等を用いた比較的小型の表示装置の実用化が進められている。このような小型の表示装置の一つに、電子ブックが存在する。
【0003】
電子ブックは、紙媒体である書籍に記録されている文字情報や画像情報を、HDD(Hard disk drive)やフラッシュメモリ等の記録媒体に、書籍ファイルとして記録している。ユーザは所望する書籍ファイルを実行することにより、書籍ファイルに含まれる文字画像や絵画像を液晶パネル等に表示し、閲覧することが可能である。
【0004】
電子ブックの中には、カラー液晶パネルを備えるもの、モノクロの透明液晶パネルを備えるもの、その両方を備えるものがある。カラー液晶表パネルは、ユーザがバックライトの透過光を見るため、ユーザの目が疲れやすいという問題があった。また透明液晶パネルは、下地が白色でないため、ユーザが視認しづらいという問題があった。
【0005】
上記に関連して特許文献1においては、低消費電力を考慮し、透明液晶パネル及びカラー液晶パネルの切り換えを可能とした液晶表示装置が開示されている。
【0006】
この液晶表示装置は、透明液晶パネルの背後にカラー液晶パネルを相互に離間して配置し、透明液晶パネル及びカラー液晶パネル間に、少なくとも反射板部を有する移動可能なシート状部材を配置している。シート状部材は、反射板部及び透過部を有し、両端のローラーに巻き取り式に構成される。
【0007】
また上記に関連して特許文献2においては、周囲の明るさに応じて表示装置の明るさを制御し、バックライト、フロントライト、または階調電圧発生回路の消費電力を低減することが可能な通信端末装置が開示されている。
【0008】
この通信端末装置は、周囲の明るさを検出する環境照度検出回路を設け、周囲の明るさが予め定められた明るさ以下になった場合は、照明装置の明るさを制限する。また、透過式の液晶表示装置を使用する場合はバックライトの明るさを周囲の明るさの増加と共に単調増加するよう制御する。
【0009】
また上記に関連して特許文献3においては、透明液晶パネルとカラー液晶パネルとを備えた液晶表示装置であり、屋外で使用するときに消費電力を少なくすることができ、長時間使用することが可能な液晶表示装置が開示されている。
【0010】
この液晶表示装置は、透明液晶パネルの裏面側に反射板を配設している。また、透明液晶パネルは、カラー液晶パネルの前面側に配置されており、これらの液晶パネルの間に反射板を抜き差し可能に配設している。これにより、白黒画面を明確なものとするとともに、消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−35900号公報
【特許文献2】特開2004−96593号公報
【特許文献3】特開2000−171791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記の特許文献においては、透明液晶パネルとカラー液晶パネルとの間に板状部材を配置したり、環境照度等に基づいて各液晶パネルの発光量を調整したりする技術については開示されているが、板状部材の挿抜状態に応じて各液晶パネルの表示制御を行う技術については開示も示唆もなされていない。従ってユーザは、板状部材の挿抜を行うたびに、各液晶パネルの表示状態、例えば色調や輝度等を手動で調整する必要があった。
【0013】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、挿入板を挿抜可能な表示装置であって、挿入板の挿入状態に応じて表示部の表示状態を変更することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の表示装置は、画像を表示する表示部を備えた表示装置において、前記表示部の内部に対して挿抜自在な挿抜部材の挿抜状態を検知する挿抜検知部と、前記挿抜検知部により挿入が検知された前記挿抜部材の種別を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づいて、輝度または表示画像の色調を変更するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備えることを特徴としている。
【0015】
この構成によると、本発明の表示装置は、画像を表示する表示部を備えている。また、表示部の内部に対して挿抜自在な挿抜部材の挿抜状態を検知する挿抜検知部を備えている。また、挿抜検知部により挿入が検知された挿抜部材の種別を判別する判別部を備えている。また、判別部による判別結果に基づいて、輝度または表示画像の色調を変更するよう表示部を制御する表示制御部を備えている。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の表示装置は、前記表示部に含まれるバックライトの調光を行うバックライト制御部を備え、前記表示制御部は、前記判別部による判別結果に基づいて、前記バックライトの調光を行うよう前記バックライト制御部を制御することを特徴としている。
【0017】
この構成によると、表示装置は、表示部に含まれるバックライトの調光を行うバックライト制御部を備えている。また表示制御部は、判別部による判別結果に基づいて、バックライトの調光を行うようバックライト制御部を制御する。
【0018】
また、上記目的を達成するために本発明の表示装置が備える前記表示制御部は、前記挿抜部材が透明部材であることが前記判別部により判別された場合に、前記バックライトの発光量を予め定められた値だけ低減するよう前記バックライト制御部を制御することを特徴としている。
【0019】
この構成によると、表示制御部は、挿抜部材が透明部材であることが判別部により判別された場合に、バックライトの発光量を所定値だけ低減するよう、バックライト制御部を制御する。
【0020】
また、上記目的を達成するために本発明の表示装置が備える前記表示制御部は、前記挿抜部材の判別に前記判別部が失敗した場合に、予め定められた発光量となるよう前記バックライト制御部を制御するとともに、予め定められた色調で画像を表示するよう前記表示部を制御することを特徴としている。
【0021】
この構成によると、表示制御部は、挿抜部材の判別に失敗した場合に、バックライトが予め定められている発光量、つまり固定値の発光量となるよう、バックライト制御部を制御する。また、予め定められている固定値の色調で画像を表示するよう、表示部を制御する。
【0022】
また、上記目的を達成するために本発明の表示装置が備える前記表示部は、カラー液晶部と、前記カラー液晶部の上面に設けられた透明液晶部とを含み、前記挿抜検知部は、前記カラー液晶部の上面且つ前記透明液晶部の下面に挿抜される前記挿抜部材を検知し、前記表示制御部は、前記判別部による判別結果に基づいて、前記カラー液晶部及び前記透明液晶部のいずれに画像を表示するかを決定することを特徴としている。
【0023】
この構成によると、表示部は、カラー液晶部と、カラー液晶部の上面に設けられた透明液晶部とを含む多層構造をしている。挿抜検知部は、カラー液晶部の上面且つ透明液晶部の下面に挿抜される挿抜部材を検知可能な位置に設けられている。また表示制御部は、判別部による判別結果に基づいて、カラー液晶部及び透明液晶部のいずれに画像を表示するかを決定する。
【0024】
また、上記目的を達成するために本発明の表示装置は、前記表示部に絵画像を表示するよう前記表示制御部を制御する絵画表示制御部を備え、前記絵画表示制御部は、前記判別部による判別結果に基づいて、前記表示部に表示する絵画像を前記カラー液晶部及び前記透明液晶部のいずれに表示するか決定するとともに、前記判別部による判別結果に基づいて、前記バックライトの調光を行うよう前記バックライト制御部を制御することを特徴としている。
【0025】
この構成によると、表示装置は、表示部に絵画像を表示するよう表示制御部を制御する絵画表示制御部を備えている。絵画表示制御部は、判別部による判別結果に基づいて、絵画像をカラー液晶部及び透明液晶部のいずれに表示するか決定する。また絵画表示制御部は、判別部による判別結果に基づいて、バックライトの調光を行うようバックライト制御部を制御する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、表示部の内部に挿抜される挿抜部材の種別に基づいて、バックライトの調光と、表示部に含まれる各液晶部の色調調整とを行う。これによりユーザは、手動で表示部の調整を行う必要がなく、利便性が向上する。
【0027】
また本発明によれば、カラー液晶部と透明液晶部との間に挿抜部材、例えば挿入板や白紙を挿入することにより、ユーザは従来の紙メディアと同様の反射光で表示部を閲覧することができる。このため、カラー液晶部を用いて画像を閲覧する場合と比較して、バックライトの透過光によるユーザの目の疲れを低減するとともに、画像を視認しやすい状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る機能部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の表示装置の液晶パネルの構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る表示制御処理を示すフロー図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る機能部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る表示制御処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る表示制御処理を示すフロー図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る表示制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1−1.内部構成について〉
【0030】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る電子ブック1(=表示装置)の内部構成を示すブロック図である。なお、図2における矢印線は画像データの流れを示している。また、矢印のない直線は、制御部11が各装置に対する制御信号等を送受信するための通信バスを示している。
【0031】
電子ブック1は少なくとも、制御部11、メモリ12、操作部13、フラッシュメモリ14、ディスプレイ15(=表示部)、HDD16、電源部17、外部接続端子18、及び板検知部19(=挿抜検知部)を含むように構成されている。なお外部接続端子18により接続される装置として、PC(Personal Computer)2等の情報処理装置が存在する。
【0032】
制御部11は、電子ブック1の各部材の駆動を制御することにより、画像情報の再生処理、記録処理、出力処理等を統括制御するためのものである。制御部11は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、後述する板判別部11a〜バックライト制御部11c(図1)を備えている。
【0033】
メモリ12は、電子ブック1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書き込み可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0034】
操作部13は、ユーザが電子ブック1に対して各種指示を行うためのものである。操作部13は、例えば電子ブック1のハウジングに設けられた複数のボタンや、後述するディスプレイ15に含まれるタッチパネル部材等を含む。操作部13はこれらの装置により、ユーザ操作を受け付ける。ユーザ操作が受け付けられると、制御部11は操作内容に基づいて、書籍ファイルに含まれる画像の表示処理や、書籍ファイルの転送処理等を行う。
【0035】
フラッシュメモリ14は、EEPROMの一種で、デバイスの利用者が書き込み/消去可能なROMである。フラッシュメモリ14は回路基板に実装したままで書き込み、消去ができるため、利用時に書き換えが必要な用途、例えば装置の動作設定データや、利用者固有の情報等を保存するのに用いられる。
【0036】
ディスプレイ15は、液晶パネル及びドライバ等からなるLCD(Liquid Crystal Display)モジュールであり、その背後にバックライト(不図示)を備えている。バックライトは液晶パネルの裏側に配置されている発光装置である。バックライトは、例えば光源に冷陰極管を用いるエッジライト方式や、蛍光ランプを液晶パネルの背面に並べる直下型方式のものを用いる。なおディスプレイ15は複数の液晶パネルを含んでいるが、この構成の詳細については後述する。
【0037】
HDD16は、デジタルデータを記録する磁気記録媒体である。本実施形態では主に、ディスプレイ15に文字画像や挿絵画像等を表示するために用いられる書籍ファイルを記録するのに用いられる。
【0038】
電源部17は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、電子ブック1の各部に対して電源電圧を与える。電源部17は、外部電源より電力供給を受けるための電源コードを接続する接続端子を備えている。或いは電源部17は、電源として乾電池或いは二次電池を使用することにより、外部電源から切り離された状態で電子ブック1の駆動を可能とする形態であってもよい。二次電池としては例えば、充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等を用いることが可能である。
【0039】
外部接続端子18は、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子等を含む、複数の入出力端子からなるインタフェースである。外部接続端子18はこれらの入出力端子を用いて、電子ブック1と外部の装置、例えばPC2を接続し、デジタル信号またアナログ信号の入出力を行う。
【0040】
板検知部19は、後述する挿入板32(=挿抜部材)を検知するための部材であり、例えばリーフスイッチや赤外線センサ等を含む。例えばリーフスイッチを用いる場合、挿入された挿入板32がこのリーフスイッチを加圧することにより、挿入板32を検知する。
〈1−2.液晶パネルの構成について〉
【0041】
図3は、ディスプレイ15に含まれる複数の液晶パネルの構成を示している。液晶パネルは少なくとも、カラー液晶パネル31(=カラー液晶部)、挿入板32、及び透明液晶パネル33(=透明液晶部)を含むように構成されている。
【0042】
カラー液晶パネル31は、電子ブック1を電子手帳やPDA(Personal Digital Assistant)として使用する場合に用いられる液晶パネルである。カラー液晶パネル31は、その背後に設けられたバックライト(不図示)が発する透過光により、ユーザが視認可能となっている。
【0043】
挿入板32は、電子ブック1を書籍閲覧の目的で使用する場合に用いられる部材であり、透明液晶の下に敷いて用いられる。挿入板32は挿抜が可能な板状部材であり、例えば光を透過させない(=不透明な)乳白色のアクリル板や白紙等を用いる。或いは、所定の透明度を持つ専用板やプラスチック板等を、挿入板32として用いることも可能である。
【0044】
なお図示していないが、電子ブック1のハウジングには専用板32を挿抜するためのスロット機構が設けられている。スロット機構の近傍には、挿入板32を検知するための板検知部19が設けられている。なおスロット機構の構造については、従来技術と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
透明液晶パネル33は、ユーザが電子ブック1を書籍閲覧モードで使用する場合に、書籍ファイルに含まれる画像を白黒表示するための透明な液晶パネルである。透明液晶パネル33は、それ自体が発光する機能を備えていない。このためユーザは、バックライトが発する透過光、または挿入板32により反射された反射光により、透明液晶パネル33に表示される画像を視認する。
〈1−3.機能部の構成について〉
【0046】
ここで、本発明の第一の実施形態に係る電子ブック1が表示制御処理を実施するための各機能部の関係を、図1のブロック図を用いながら説明する。
【0047】
図1に示すように本発明の表示制御処理は、制御部11が備える板判別部11a(=判別部)、表示制御部11b、及びバックライト制御部11cにより実施される。
【0048】
板判別部11aは、板検知部19が検知した挿入板32が専用板であるか否かの判定を行う。具体的な判定方法としては例えば、専用板は予め、複数のリーフスイッチのうち一部のみを加圧し、その他のリーフスイッチを加圧しない形状で製造されている。板検知部19は予め、この専用板の形状に関する情報を保持している。
【0049】
このため板判別部11aは、各リーフスイッチの押下/非押下状態に基づいて、挿入板32が専用板であるか否かを判定する。或いは、予め専用板に設けられたICチップに記録されている識別情報を、板検知部19に含まれるICリーダ(不図示)により読み出して判定を行う形態でもよい。
【0050】
専用板には複数の種別が存在し、種別毎に異なる形状をしている。従って、専用板の種別が異なれば、押下されるリーフスイッチも異なるものとなる。電子ブック1が備える記録媒体、例えばフラッシュメモリ14等には、予め専用板の種別と、押下されるリーフスイッチとの関係を示した、関連情報が記録されている。
【0051】
また、種別毎の専用板の特性、例えば透明度等も、この関連情報に含まれている。板判別部11aはこの関連情報を参照することにより、挿入された専用板の特性を判別する。
【0052】
表示制御部11bは、板判別部11aによる判別結果に基づき、書籍ファイルに含まれる文字画像や挿絵画像(=絵画像)の表示制御を行う。なお表示制御部11bは、専用板ではない挿入板32の挿入が検知された場合、予め定められたデフォルトの制御方法、例えば白板が挿入されたことを前提とした制御方法で表示制御を行う。
【0053】
例えば、挿入板32として透明度ゼロ、つまり完全に光を遮断する専用板が検知された場合、表示制御部11bは、バックライトの発光が停止するよう、次のバックライト制御部11cに指示する。これにより、反射光のみによって透明液晶パネル33が視認される状態となる。
【0054】
また例えば、挿入板32として所定の透明度を持った専用板が検知された場合、表示制御部11bはカラー液晶パネル31の色調や輝度を、予めユーザより受け付けたカスタマイズ設定内容に基づいて決定する。これにより例えば、夜間の閲覧等に適した色調や輝度となるよう調整を行う。
【0055】
バックライト制御部11cは、ユーザ操作、ユーザ設定、または上記の表示制御部11bからの指示に基づき、ディスプレイ15に含まれるバックライトの調光を行う。
〈1−4.表示制御処理について〉
【0056】
ここで、本発明の第一の実施形態に係る電子ブック1が実施する表示制御処理を、図4のフロー図を用いながら説明する。
【0057】
図4に示す処理は、電子ブック1の電源が駆動しており、且つ操作部13によるユーザ操作により、HDD16等に記録されている書籍ファイルの選択及び実行が行われた場合に開始される。
【0058】
本処理の開始後、表示制御部11bはステップS110において、書籍閲覧モードがON、つまり有効に設定されているいか否かを判定する。なお書籍閲覧モードのON/OFF切り換えは、操作部13を用いてユーザが任意のタイミングで実施することが可能である。
【0059】
書籍閲覧モードがONではない場合、表示制御部11bはステップS121において、通常モードでの文章表示を行う。なお通常モードとは、電子ブック1を電子手帳やPDAとして使用する場合に用いられるモードである。通常モードにおいては、カラー液晶パネル31及びバックライトを用いて画像が表示される。なお、通常モードにおける表示制御処理は従来技術と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0060】
書籍閲覧モードがONである場合、表示制御部11bはステップS120において、透明液晶パネル33を用いて文字画像を表示するよう、ディスプレイ15を制御する。この際、カラー液晶パネル31には文字画像が表示されない。なお表示する文字画像は、実行された書籍ファイルに含まれている文字列データや表示制御用のメタデータ(例えばフォント指定データ)等に基づいて生成される。
【0061】
次に表示制御部11bはステップS130において、挿入板32の挿入要求メッセージを透明液晶パネル33に表示するよう、ディスプレイ15を制御する。なおこのメッセージ画像は、図示しないOSD(On-Screen Display)処理部によって生成する。
【0062】
次に板判別部11aはステップS140において、挿入された挿入板32が専用板であるか否かを判定する。専用板ではない場合、表示制御部11bはステップS151において、非専用板用の動作モード、つまりデフォルトの制御方法で表示制御を行う動作モードに移行する。
【0063】
非専用板用の動作モードは例えば、挿入された挿入板32が非透明であると仮定して、カラー液晶パネル31による表示を停止するとともに、バックライトの発光を停止する。或いは、非専用板用の動作モードを予め複数用意しておき、非専用板用が検知された時点でユーザに提示する形態でもよい。この場合、動作モードの選択操作を操作部13により受け付け、動作モードを決定する。
【0064】
挿入された挿入板32が専用板である場合、板判別部11aはステップS150において、専用板が透明板であるか否かを判定する。透明板ではない場合、後述するステップS170へ移行する。透明板である場合、表示制御部11bはステップS160において、予め透明板用にカスタマイズされた動作モードで動作するよう、カラー液晶パネル31の表示制御を行う。
【0065】
透明板用にカスタマイズされた動作モードとしては例えば、所定の壁紙画像や白地の画像等をカラー液晶パネル31に表示する。併せて、バックライトの発光量を通常モードよりも低減する。これにより、透過光によるユーザの目の疲れを低減する。
【0066】
次に表示制御部11bはステップS170において、書籍ファイルに含まれるデータを用いた文字画像の表示処理を開始する。次に表示制御部11bはステップS180において、ユーザによる閲覧操作、例えば頁送り動作が検知され、且つ書籍ファイルの終端が検知されたか否かを判定する。なお終端の判定は、書籍ファイルに含まれるデータの末尾に存在するEOF(End Of File)データ等を検出することにより行う。
【0067】
次に表示制御部11bはステップS190において、挿入板32の抜出要求メッセージを透明液晶パネル33に表示するよう、ディスプレイ15を制御する。さらにステップS200において、書籍閲覧モードを終了して通常モードに移行した後、本処理を終了する。
【0068】
以上に説明した本実施形態によれば、挿入板32の挿入状態に応じて、ディスプレイ15に含まれる液晶パネルの表示状態を変更することができる。例えば、挿入板32として白紙を挿入された場合に、ユーザは従来の紙メディアと同様の反射光で電子ブック1を閲覧することができる。
【0069】
また例えば、挿入板32として透過性の専用板が挿入された場合に、カラー液晶パネル31及び透明液晶パネル33の両方を用いて画像を表示することができる。これによりユーザは、挿入板32の種別に応じた表示調整を手動で行う必要がない。また。カラー液晶パネル31のみを用いて書籍ファイルを閲覧する場合と比較して、バックライトの透過光によるユーザの目の疲れを低減することができる。
[実施の形態2]
【0070】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
〈2−1.内部構成について〉
【0071】
第一の実施形態と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.液晶パネルの構成について〉
【0072】
第一の実施形態と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−3.機能部の構成について〉
【0073】
第一の実施形態の構成に加えて、挿絵表示制御部11d(=絵画表示制御部)を備えている。また、表示制御部11bの機能が、第一の実施形態と一部異なる。
【0074】
挿絵表示制御部11dは、挿絵(=絵画像)を表示する挿絵モードのON/OFFに関する指定をユーザより受け付ける。挿絵モードがONであり、且つ検知された挿入板32が透明度を持った専用板である場合、カラー液晶パネル31に挿絵を表示する。また挿絵表示制御部11dは、挿絵が含まれていない頁が表示された場合に、バックライトの輝度を所定値まで低下させるよう、バックライト制御部11cに指示する。或いは、カラー液晶パネル31にカスタマイズされた下地画像(例えば白色画像)を表示する下地表示モードにする形態でもよい。
【0075】
挿絵モードがONであり、且つ検知された挿入板32が透明度を持っていない専用板である場合、挿絵画像を透明液晶パネル33に白黒で表示する。或いは、透明液晶パネル33に白黒表示するか否かの指定をユーザより受け付ける形態でもよい。
【0076】
また挿絵表示制御部11dは、挿絵維持モードのON/OFFに関する指定をユーザより受け付ける。挿絵維持モードがONの場合、一旦挿絵が表示されると、次の挿絵が表示されるまでその挿絵の表示を維持するよう、表示制御部11bに指示する。従って、改頁が行われても挿絵が非表示とならない。
【0077】
また本実施形態の表示制御部11bは、上記の挿絵表示制御部11dから与えられる指示と、板判別部11aによる挿入板32の検知状態とに基づき、挿絵画像の表示制御を行う。具体的には、挿絵画像を表示する液晶パネルを切り換えたり、挿絵画像のカラー/白黒を切り換えたり、挿絵画像の色調、サイズ、表示位置等を変更したりする。
〈2−4.表示制御処理について〉
【0078】
ここで、本発明の第二の実施形態に係る電子ブック1が実施する表示制御処理を、図6〜図8のフロー図を用いながら説明する。なお、第一の実施形態の図3と同内容の処理については、同じステップ番号を付加することにより説明を省略するものとする。
【0079】
なお、図6〜図8における丸記号は処理の接続子を示している。例えば図6における接続子A1に処理が移行した場合、図7に示す接続子A1へ処理が移行し、結果としてステップS210が実行される。接続子A2、接続子B1、及び接続子B2についても同様に、同じ符号番号の接続子へ処理が移行することを示している。
【0080】
ステップS110〜ステップS140については、実施の形態1と同内容である。ステップS150において、専用板が透明板である場合、ステップS160を実施した後、図7に示すステップS210に移行する。専用板が透明板ではない図8に示すステップS310へ移行する。
【0081】
まず図7について説明を行うと、挿絵表示制御部11dはステップS210において、挿絵モードがONに設定されているか否かを判定する。なお挿絵モードのON/OFFに関する設定は、予めユーザより受け付けているものとする。
【0082】
挿絵モードがONではない場合、挿絵表示制御部11dはステップS221において、挿絵を非表示とするよう表示制御部11bに指示する。そして非表示の状態でステップS170へ移行し、表示制御部11bが文章表示処理を開始する。
【0083】
挿絵モードがONである場合、挿絵表示制御部11dはステップS220において、挿絵をカラー液晶パネル31によりカラー表示するよう、予めユーザ設定がなされているか否かを判定する。カラー液晶パネル31による挿絵表示が指示されていない場合、挿絵表示制御部11dはステップS220において、白黒の挿絵を透明液晶パネル33に表示するよう、表示制御部11bに指示する。その後、ステップS170へ移行する。
【0084】
カラー液晶パネル31による挿絵表示が指示されている場合、挿絵表示制御部11dはステップS230において、所定の輝度で挿絵を表示するよう、表示制御部11b及びバックライト制御部11cに指示する。
【0085】
さらに挿絵表示制御部11dはステップS240において、挿絵維持モードがONに設定されているか否かを判定する。なお挿絵維持モードのON/OFFに関する設定は、予めユーザより受け付けているものとする。
【0086】
挿絵維持モードがONである場合、挿絵表示制御部11dはステップS250において、他の挿絵画像の表示指示が検知されるまで該当挿絵画像の表示を維持するよう、表示制御部11bに指示する。挿絵維持モードがOFFである場合、挿絵表示制御部11dはステップS251において、改頁指示が検知された時点で挿絵を消去して下地画像を表示するよう、表示制御部11bに指示する。以上のステップS250またはステップS251が実施されると、ステップS170へ移行する。
【0087】
次に図8について説明を行うと、挿絵表示制御部11dはステップS310において、挿絵モードがONに設定されているか否かを判定する。挿絵モードがONである場合、挿絵表示制御部11dはステップS320において、白黒の挿絵画像を透明液晶パネルに表示するよう、表示制御部11bに指示する。なお白黒の挿絵画像は、書籍ファイルの文字画像と重複しない位置に表示するものとする。
【0088】
挿絵モードがONではない場合、挿絵表示制御部11dはステップS321において、挿絵を非表示とするよう表示制御部11bに指示する。以上のステップS320またはステップS321が実施されると、ステップS170へ移行する。
【0089】
以上に説明した本実施形態によれば、書籍ファイルに挿絵データが含まれている場合において、挿入板32の挿入状態に応じて、より好適な方法で挿絵画像を表示することが可能である。
[その他の実施の形態]
【0090】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0091】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0092】
(A)上記実施形態では、表示装置の一例として電子ブック1を例に挙げているが、これ以外の表示装置を用いて本発明を実施する形態でもよい。例えば、携帯電話、ポータブルカーナビ、ポータブルテレビ、ノートパソコン、PDA等を用いる形態であってもよい。
【0093】
(B)上記実施形態では、本発明の表示制御処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0094】
(C)上記実施形態では、表示制御処理が開始されるタイミングとして、書籍ファイルの読み込みが実施されたタイミングを例に説明を行っているが、これ以外のタイミングにおいて本発明の表示制御処理を実施する形態でもよい。例えば、挿入板32の挿入が検知された時点で開始する形態でもよい。
【0095】
(D)上記実施形態では、ディスプレイ15がカラー液晶パネル31、挿入板32及び透明液晶パネル33を備えた三層構造をしているが、必ずしもカラー液晶パネル31を備える必要はない。つまり挿入板32及び透明液晶パネル33のみを備える二層構造の構成において、上記の表示制御処理の一部を実施する形態でもよい。
【0096】
(E)上記実施形態では、板検知部19がリーフスイッチを含み、リーフスイッチの押下状態に用いて専用板の種別を検知しているが、これ以外の手法により専用板を検知する形態でもよい。例えば、予め専用板にICチップ等の識別用部材が取り付けられており、ICリーダを用いて専用板の種別を検知する形態でもよい。
【0097】
(F)上記実施形態では、ディスプレイ15に含まれる表示部材としてカラー液晶パネル31及び透明液晶パネル33を例に説明を行っているが、これ以外の装置により画像を表示する形態でもよい。例えば透明液晶パネル33の代わりに有機ELを用いる形態でもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 電子ブック(表示装置)
11 制御部
11a 板判別部(判別部)
11b 表示制御部
11c バックライト制御部
11d 挿絵表示制御部(絵画表示制御部)
13 操作部
14 フラッシュメモリ
15 ディスプレイ(表示部)
16 HDD
19 板検知部(挿抜検知部)
31 カラー液晶パネル(カラー液晶部)
32 挿入板(挿抜部材)
33 透明液晶パネル(透明液晶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部を備えた表示装置において、
前記表示部の内部に対して挿抜自在な挿抜部材の挿抜状態を検知する挿抜検知部と、
前記挿抜検知部により挿入が検知された前記挿抜部材の種別を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づいて、輝度または表示画像の色調を変更するよう前記表示部を制御する表示制御部を備えること
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示部に含まれるバックライトの調光を行うバックライト制御部を備え、
前記表示制御部は、前記判別部による判別結果に基づいて、前記バックライトの調光を行うよう前記バックライト制御部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記挿抜部材が透明部材であることが前記判別部により判別された場合に、前記バックライトの発光量を予め定められた値だけ低減するよう前記バックライト制御部を制御すること
を特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記挿抜部材の判別に前記判別部が失敗した場合に、予め定められた発光量となるよう前記バックライト制御部を制御するとともに、予め定められた色調で画像を表示するよう前記表示部を制御すること
を特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、カラー液晶部と、前記カラー液晶部の上面に設けられた透明液晶部とを含み、
前記挿抜検知部は、前記カラー液晶部の上面且つ前記透明液晶部の下面に挿抜される前記挿抜部材を検知し、
前記表示制御部は、前記判別部による判別結果に基づいて、前記カラー液晶部及び前記透明液晶部のいずれに画像を表示するかを決定すること
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示部に絵画像を表示するよう前記表示制御部を制御する絵画表示制御部を備え、
前記絵画表示制御部は、前記判別部による判別結果に基づいて、前記表示部に表示する絵画像を前記カラー液晶部及び前記透明液晶部のいずれに表示するか決定するとともに、前記判別部による判別結果に基づいて、前記バックライトの調光を行うよう前記バックライト制御部を制御すること
を特徴とする請求項5に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−22126(P2012−22126A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159577(P2010−159577)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】