説明

表示駆動装置及びその駆動方法、並びに、表示装置及びその駆動方法

【課題】表示データに応じた適切な輝度階調で発光素子を発光動作させることができる表示駆動装置及びその駆動方法を提供し、以て、表示画質が良好かつ均質な表示装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】各列のデータラインLdごとに階調電圧生成部142、オフセット電圧生成部143及び電圧調整部144を備えたデータドライバ140と、各表示画素PIXに共通して接続された電源電圧ラインLvに唯一設けられ、データラインLdと電源電圧ラインLv間の電位差を検出する比較判定回路部150(電圧比較回路150A)を有し、比較判定回路部150から出力される比較判定結果に基づいて、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられた発光駆動用のトランジスタTr13の素子特性の変化量に対応する補正データを抽出し、フレームメモリ145に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示駆動装置及びその駆動方法、並びに、表示装置及びその駆動方法に関し、特に、表示データに応じた電流を供給することにより所定の輝度階調で発光する電流駆動型(又は、電流制御型)の発光素子を、複数配列してなる表示パネル(表示画素アレイ)を備えた表示駆動装置及びその駆動方法、並びに、表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)や無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)、あるいは、発光ダイオード(LED)等のような電流駆動型の発光素子を、マトリクス状に配列した表示パネルを備えた発光素子型の表示装置(発光素子型ディスプレイ)の研究開発が盛んに行われている。
【0003】
特に、アクティブマトリックス駆動方式を適用した発光素子型ディスプレイにおいては、周知の液晶表示装置に比較して、表示応答速度が速く、また、視野角依存性も小さく、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化等が可能であるとともに、液晶表示装置のようにバックライトや導光板を必要としないので、一層の薄型軽量化が可能であるという極めて優位な特徴を有している。そのため、今後様々な電子機器への適用が期待されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された有機ELディスプレイ装置は、電圧信号によって電流制御されたアクティブマトリクス駆動表示装置であって、画像データに応じた電圧信号がゲートに印加されて有機EL素子に電流を流す電流制御用薄膜トランジスタと、この電流制御用薄膜トランジスタのゲートに画像データに応じた電圧信号を供給するためのスイッチングを行うスイッチ用薄膜トランジスタとが、画素ごとに設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−330600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような電圧信号によって階調を制御する有機ELディスプレイ装置においては、電流制御用薄膜トランジスタ等の経時的なしきい値変動によって、有機EL素子に流れる電流の電流値が変動してしまうといった問題を生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、表示データに応じた適切な輝度階調で発光素子を発光動作させることができる表示駆動装置及びその駆動方法を提供し、以て、表示画質が良好かつ均質な表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路と、を備えた複数の表示画素を駆動する表示駆動装置において、少なくとも、前記複数の表示画素の各々に設けられた前記画素駆動回路に共通に接続された電源電圧ラインに設けられ、前記電源電圧ラインに生じる特定値を検出し、予め設定された参照値と比較する比較判定部と、前記複数の表示画素の各々に接続された複数のデータラインの各々を介して、所定の調整電圧を印加した場合の前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを取得する補正データ取得部と、前記補正データ取得部により取得された前記補正データを前記各表示画素ごとに記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記補正データに基づいて、前記各画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成する補償電圧生成部と、前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成する階調電圧生成部と、前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して前記各データラインを介して前記複数の表示画素に供給する電圧補正部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の表示駆動装置において、前記比較判定部は、前記データラインと前記電源電圧ライン間に生じる電位差を測定する電圧計と、前記電源電圧ラインに参照電流を供給する電流源と、前記電源電圧ラインと前記電流源又は所定の電源電圧を印加する電圧源との接続を切り換えるスイッチと、前記電源電圧ラインに前記参照電流を供給した場合に前記電圧計により測定された参照電圧の値と、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電圧計により測定された検出電圧の値とを比較する電圧比較器と、を具備することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の表示駆動装置において、前記比較判定部は、前記電源電圧ラインに流れる電流値を測定する電流計と、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電流計により測定された検出電流の値と、予め設定された参照電流の値とを比較する電流比較器と、具備することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の表示駆動装置において、前記補正データ取得部は、前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定する調整電圧設定部と、前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出する補正データ抽出部と、を具備することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の表示駆動装置において、前記調整電圧設定部は、前記比較判定部における比較結果に基づいて、順次増加処理される前記変数と所定の単位電圧とを乗算して、前記調整電圧の電圧値を設定することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の表示駆動装置において、前記単位電圧は、前記階調電圧の隣接する階調間の電位差に対応した電圧であり、前記参照電流は、前記隣接する階調における低階調側の階調電圧を、前記画素駆動回路に固有の特性の初期状態において、前記表示画素に印加したときの当該画素駆動回路に流れる電流値であることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の表示駆動装置において、前記電圧補正部は、前記発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるための前記階調電圧の電圧値に、前記変数と前記単位電圧とを乗算して得られる電圧成分の電圧値を加算して前記調整電圧を生成し、前記データラインに印加することを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の表示駆動装置において、前記補償電圧生成部は、前記記憶部に記憶された前記補正データと前記単位電圧とを乗算して前記補償電圧を生成し、前記電圧補正部は、前記階調電圧生成部により生成された前記階調電圧の電圧値に、前記補償電圧の電圧値を加算して前記階調電圧を補正し、前記階調信号を前記データラインに印加することを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路と、を備えた複数の表示画素を駆動する表示駆動装置の駆動方法において、少なくとも、前記複数の表示画素に接続された複数のデータラインの各々を介して、所定の調整電圧を印加することにより、前記複数の表示画素に共通に接続された電源電圧ラインに生じる特定値と、予め設定された参照値との比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを取得し、前記各表示画素ごとに記憶するステップと、前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成するステップと、前記補正データに基づいて、前記各画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成するステップと、前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して前記各データラインを介して前記複数の表示画素に供給するステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の表示駆動装置の駆動方法において、前記補正データを取得し、記憶するステップは、前記電源電圧ラインに参照電流を供給した場合に前記電源電圧ラインに生じる参照電圧の値を測定するステップと、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電圧の値を測定するステップと、前記参照電圧と前記検出電圧の値を比較するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項9記載の表示駆動装置の駆動方法において、前記補正データを取得し、記憶するステップは、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電流の値を測定するステップと、前記検出電圧の値と予め設定された参照電流の値を比較するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
請求項12記載の発明は、請求項9乃至11のいずれかに記載の表示駆動装置の駆動方法において、前記補正データを取得し、記憶するステップは、少なくとも前記補正データを取得する処理が各表示画素ごとに異なるタイミングで順次実行されることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項9乃至12のいずれかに記載の表示駆動装置の駆動方法において、前記補正データを取得し、記憶するステップは、他のステップに先立つ任意のタイミングで実行されることを特徴とする。
【0019】
請求項14記載の発明は、表示データに応じた画像情報を表示する表示装置において、行方向及び列方向に配設された複数の選択ライン及びデータラインの各交点近傍に発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路とを有する複数の表示画素が配列された表示パネルと、所定のタイミングで各行の前記選択ラインに選択信号を順次印加して、各行の前記表示画素を選択状態に設定する選択駆動部と、前記表示データに応じた階調信号を生成し、前記データラインを介して前記選択状態に設定された前記各表示画素に供給するデータ駆動部と、前記複数の表示画素に共通に接続された電源電圧ラインを介して前記各表示画素に所定の電圧レベルの電源電圧を印加する電源駆動部と、前記電源電圧ラインに生じる特定値を検出し、予め設定された参照値と比較する比較判定部と、を備え、前記データ駆動部は、少なくとも、前記複数の表示画素に接続された前記複数のデータラインの各々を介して、所定の調整電圧を印加した場合の前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを取得する補正データ取得部と、前記補正データ取得部により取得された前記補正データを前記各表示画素ごとに記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記補正データに基づいて、前記各表示画素ごとの前記画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成する補償電圧生成部と、前記表示画素ごとの前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成する階調電圧生成部と、前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して、前記各データラインを介して前記複数の表示画素に供給する電圧補正部と、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、請求項14記載の表示装置において、前記補正データ取得部と、前記補償電圧生成部と、前記階調電圧生成部と、前記電圧補正部は、各列の前記データラインごとに設けられ、前記比較判定部は、前記電源電圧ラインに唯一設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項16記載の発明は、請求項14又は15記載の表示装置において、前記比較判定部は、前記各データラインと前記電源電圧ライン間に生じる電位差を測定する電圧計と、前記電源電圧ラインに参照電流を供給する電流源と、前記電源電圧ラインと前記電流源又は前記電圧駆動部との接続を切り換えるスイッチと、前記電源電圧ラインに前記参照電流を供給した場合に前記電圧計により測定された参照電圧の値と、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電圧計により測定された検出電圧の値とを比較する電圧比較器と、を具備することを特徴とする。
【0022】
請求項17記載の発明は、請求項14又は15記載の表示装置において、前記比較判定部は、前記電源電圧ラインに流れる電流値を測定する電流計と、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電流計により測定された検出電流の値と、予め設定された参照電流の値とを比較する電流比較器と、を具備することを特徴とする。
【0023】
請求項18記載の発明は、請求項14乃至17のいずれかに記載の表示装置において、前記補正データ取得部は、前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定する調整電圧設定部と、前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出する補正データ抽出部と、を具備することを特徴とする。
【0024】
請求項19記載の発明は、請求項18記載の表示装置において、前記調整電圧設定部は、前記比較判定部における比較結果に基づいて、順次増加処理される前記変数と所定の単位電圧とを乗算して、前記調整電圧の電圧値を設定することを特徴とする。
請求項20記載の発明は、請求項19記載の表示装置において、前記単位電圧は、前記階調電圧の隣接する階調間の電位差に対応した電圧であり、前記参照電流は、前記隣接する階調における低階調側の階調電圧を、前記画素駆動回路に固有の特性の初期状態において、前記表示画素に印加したときの当該画素駆動回路に流れる電流値であることを特徴とする。
【0025】
請求項21記載の発明は、請求項19記載の表示装置において、前記電圧補正部は、前記発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるための前記階調電圧の電圧値に、前記変数と前記単位電圧とを乗算して得られる電圧成分の電圧値を加算して前記調整電圧を生成し、前記データラインに印加することを特徴とする。
【0026】
請求項22記載の発明は、請求項21記載の表示装置において、前記補償電圧生成部は、前記記憶部に記憶された前記補正データと前記単位電圧とを乗算して前記補償電圧を生成し、前記電圧補正部は、前記階調電圧生成部により生成された前記階調電圧の電圧値に、前記補償電圧の電圧値を加算して前記階調電圧を補正し、前記階調信号を前記データラインに印加することを特徴とする。
【0027】
請求項23記載の発明は、請求項14乃至22のいずれかに記載の表示装置において、前記電源駆動部は、前記表示パネルに配列された前記複数の表示画素に共通に接続された前記電源電圧ラインに対して、少なくとも前記補正データ取得部により前記各表示画素の前記補正データを取得する動作期間においては、前記発光素子を非発光状態とする電位を有する第1の電源電圧を印加し、前記補正データに基づいて生成された前記補償電圧により補正された前記階調信号を前記各表示画素に供給する動作の後においては、前記発光素子を発光状態とする電位を有する第2の電源電圧を印加して、前記表示画素を非発光状態又は発光状態に設定することを特徴とする。
【0028】
請求項24記載の発明は、請求項23記載の表示装置において、前記表示パネルは、前記複数の表示画素が複数行ごとにグループ分けされ、該各グループの前記表示画素に共通に接続された前記電源電圧ラインごとに前記比較判定部が設けられているとともに、前記電源電圧ラインごとに前記電源駆動部から前記第1の電源電圧又は前記第2の電源電圧が印加されることを特徴とする。
【0029】
請求項25記載の発明は、請求項23又は24記載の表示装置において、前記表示パネルに配列された前記各表示画素は、赤、緑、青の各色画素を一組として構成され、前記各色画素に共通に接続された前記電源電圧ラインごとに前記比較判定部が設けられているとともに、前記電源電圧ラインごとに前記電源駆動部から前記第1の電源電圧又は前記第2の電源電圧が印加されることを特徴とする。
【0030】
請求項26記載の発明は、請求項14乃至25のいずれかに記載の表示装置において、前記各表示画素に設けられる前記画素駆動回路は、少なくとも、電流路の一端に前記電源電圧が印加され、該電流路の他端に前記発光素子が接続された第1のスイッチ手段と、制御端子が前記選択ラインに接続され、電流路の一端に前記電源電圧が印加され、該電流路の他端に前記第1のスイッチ手段の制御端子が接続された第2のスイッチ手段と、前記第1のスイッチ手段の前記制御端子と前記電流路の他端との間に接続された電圧保持素子と、を有することを特徴とする。
【0031】
請求項27記載の発明は、請求項26記載の表示装置において、前記第1及び第2のスイッチ手段は、アモルファスシリコンからなる半導体層を備えた電界効果型トランジスタであることを特徴とする。
請求項28記載の発明は、請求項14乃至27のいずれかに記載の表示装置において、前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする。
【0032】
請求項29記載の発明は、表示データに応じた画像情報を表示する表示装置の駆動方法において、前記表示装置は、行方向及び列方向に配設された複数の選択ライン及びデータラインの各交点近傍に発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路と、を備えた複数の表示画素が配列された表示パネルを有し、少なくとも、各行の前記選択ラインに選択信号を順次印加して、各行の前記表示画素を選択状態に設定するステップと、前記選択された行の前記複数の表示画素に接続された前記複数のデータラインの各々を介して所定の調整電圧を印加することにより、前記複数の表示画素に共通に接続された電源電圧ラインに生じる特定値と、予め設定された参照値との比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを順次取得し、前記各表示画素ごとに記憶するステップと、前記各表示画素ごとの前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成するステップと、前記補正データに基づいて、前記各表示画素ごとの画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成するステップと、前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して前記各データラインを介して前記複数の表示画素に個別に供給するステップと、を含むことを特徴とする。
【0033】
請求項30記載の発明は、請求項29記載の表示装置の駆動方法において、前記各表示画素における前記補正データを取得し、記憶するステップは、前記電源電圧ラインに参照電流を供給した場合に前記電源電圧ラインに生じる参照電圧の値を測定するステップと、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電圧の値を測定するステップと、前記参照電圧と前記検出電圧の値を比較するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、を含むことを特徴とする。
【0034】
請求項31記載の発明は、請求項29記載の表示装置の駆動方法において、前記各表示画素における前記補正データを取得し、記憶するステップは、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電流の値を測定するステップと、前記検出電圧の値と予め設定された参照電流の値を比較するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、を含むことを特徴とする。
【0035】
請求項32記載の発明は、請求項29乃至31のいずれかに記載の表示装置の駆動方法において、前記各表示画素における前記補正データを取得し、記憶するステップは、少なくとも前記補正データを取得する処理が前記選択された行の各列の前記表示画素ごとに異なるタイミングで順次実行されることを特徴とする。
請求項33記載の発明は、請求項29乃至32のいずれかに記載の表示装置の駆動方法において、前記各表示画素における補正データを取得し、記憶するステップは、他のステップに先立つ任意のタイミングで実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る表示駆動装置及びその駆動方法、並びに、表示装置及びその駆動方法によれば、表示データに応じた適切な輝度階調で発光素子を発光動作させることができ、良好かつ均質な表示画質を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明に係る表示駆動装置及びその駆動方法、並びに、表示装置及びその駆動方法について、以下に実施の形態を示して詳しく説明する。
<表示画素の要部構成>
まず、本発明に係る表示装置に適用される表示画素の要部構成及びその制御動作について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る表示装置に適用される表示画素の要部構成を示す等価回路図である。ここでは、表示画素に設けられる電流駆動型の発光素子として、便宜的に有機EL素子を適用した場合について説明する。
【0038】
本発明に係る表示装置に適用される表示画素は、図1に示すように、画素回路部(後述する画素駆動回路DCに相当する)DCxと、電流駆動型の発光素子である有機EL素子OLEDと、を備えた回路構成を有している。画素回路部DCxは、例えば、ドレイン端子及びソース端子が、電源電圧Vccが印加される電源端子TMv及び接点N2に、ゲート端子が接点N1に、各々接続された駆動トランジスタ(第1のスイッチ手段)T1と、ドレイン端子及びソース端子が、電源端子TMv(駆動トランジスタT1のドレイン端子)及び接点N1に、ゲート端子が制御端子TMhに、各々接続された保持トランジスタ(第2のスイッチ手段)T2と、駆動トランジスタT1のゲート−ソース端子間(接点N1と接点N2との間)に接続されたキャパシタ(電圧保持素子)Cxと、を有している。また、有機EL素子OLEDは、アノード端子に上記接点N2が接続され、カソード端子TMcに一定電圧Vssが印加されている。
【0039】
ここで、後述する制御動作において説明するように、表示画素(画素回路部DCx)の動作状態に応じて、電源端子TMvには、動作状態に応じて異なる電圧値を有する電源電圧Vccが印加され、有機EL素子OLEDのカソード端子TMcには電源電圧Vssが印加され、制御端子TMhには、保持制御信号Shldが印加され、接点N2に接続されたデータ端子TMdには、表示データの階調値に対応するデータ電圧Vdataが印加される。
【0040】
また、キャパシタCxは、駆動トランジスタT1のゲート−ソース端子間に形成される寄生容量であってもよいし、該寄生容量に加えて接点N1及び接点N2間にさらに容量素子を並列に接続したものであってもよい。また、駆動トランジスタT1及び保持トランジスタT2の素子構造や特性等については、特に限定するものではないが、ここでは、nチャネル型の薄膜トランジスタを適用した場合を示す。
【0041】
<表示画素の制御動作>
次いで、上述したような回路構成を有する表示画素(画素回路部DCx及び有機EL素子OLED)における制御動作(制御方法)について説明する。
図2は、本発明に係る表示装置に適用される表示画素の制御動作を示す信号波形図である。
【0042】
図2に示すように、図1に示したような回路構成を有する表示画素(画素回路部DCx)における動作状態は、表示データの階調値に応じた電圧成分をキャパシタCxに書き込む書込動作と、該書込動作において書き込まれた電圧成分をキャパシタCxに保持する保持動作と、該保持動作により保持された電圧成分に基づいて有機EL素子OLEDに表示データの階調値に応じた階調電流を流して、表示データに応じた輝度階調で有機EL素子OLEDを発光させる発光動作と、に大別することができる。以下、各動作状態について図2に示したタイミングチャートを参照しながら具体的に説明する。
【0043】
(書込動作)
書込動作では、有機EL素子OLEDを発光させない消灯状態において、キャパシタCxに表示データの階調値に応じた電圧成分を書き込む動作を行なう。
図3は、表示画素の書込動作時における動作状態を示す概略説明図であり、図4(a)は表示画素の書込動作時における駆動トランジスタの動作特性を示す特性図であり、図4(b)は有機EL素子の駆動電流と駆動電圧の関係を示す特性図である。図4(a)に示す実線SPwは、駆動トランジスタT1としてnチャネル型の薄膜トランジスタを適用し、ダイオード接続した場合の、ドレイン・ソース間電圧Vdsとドレイン・ソース間電流Idsの、初期状態における関係を示す特性線である。また、破線SPw2は、駆動トランジスタT1の、駆動履歴に伴って特性変化が生じたときの特性線の一例を示す。詳しくは後述する。特性線SPw上の点PMwは駆動トランジスタT1の動作点を示す。
【0044】
特性線SPwはドレイン・ソース間電流Idsに対するしきい値電圧Vthを有し、ドレイン・ソース間電圧Vdsがしきい値電圧Vthを超えると、ドレイン・ソース間電流Idsはドレイン・ソース間電圧Vdsの増加に伴い非線形的に増加する。すなわち図中で、Veff_gsで示される値が実効的にドレイン・ソース間電流Idsを形成する電圧成分であり、ドレイン・ソース間電圧Vdsは、(1)式に示すように、しきい値電圧Vthと電圧成分Veff_gsの和となる。
Vds=Vth+Veff_gs・・・(1)
【0045】
図4(b)に示す実線SPeは、有機EL素子OLEDの、初期状態における駆動電圧Voledと駆動電流Ioledの関係を示す特性線である。また、一点鎖線SPe2は、有機EL素子OLEDの、駆動履歴に伴って特性変化が生じたときの特性線の一例を示す。詳しくは後述する。特性線SPeは駆動電圧Voledに対するしきい値電圧Vth_oledを有し、駆動電圧Voledがしきい値電圧Vth_oledを超えると、駆動電流Ioledは駆動電圧Voledの増加に伴い非線形的に増加する。
【0046】
書込動作においては、まず、図2、図3(a)に示すように、保持トランジスタT2の制御端子TMhにオンレベル(ハイレベル)の保持制御信号Shldを印加して保持トランジスタT2をオン動作させる。これにより、駆動トランジスタT1のゲート−ドレイン間を接続(短絡)して駆動トランジスタT1をダイオード接続状態に設定する。
【0047】
続いて、電源端子TMv端子に書込動作の為の第1の電源電圧Vccwを印加し、データ端子TMdに表示データの階調値に対応したデータ電圧Vdataを印加する。このとき、駆動トランジスタT1のドレイン−ソース間にはドレイン−ソース間の電位差(Vccw−Vdata)に応じた電流Idsが流れる。このデータ電圧Vdataは、ドレイン−ソース間に流れる電流Idsが、有機EL素子OLEDが表示データの階調値に応じた輝度階調で発光するために必要な電流値となるための電圧値に設定される。
【0048】
このとき、駆動トランジスタT1がダイオード接続されているため、図3(b)に示す様に、駆動トランジスタT1のドレイン・ソース間電圧Vdsはゲート・ソース間電圧Vgsに等しく、(2)式に示すようになる。
Vds=Vgs=Vccw−Vdata・・・(2)
そして、このゲート・ソース間電圧VgsがキャパシタCxに書き込まれる(充電される)。
【0049】
ここで、第1の電源電圧Vccwの値に必要な条件について説明する。駆動トランジスタT1はnチャネル型であるため、ドレイン・ソース間電流Idsが流れるためには、駆動トランジスタT1のゲート電位はソース電位に対し正でなければならず、ゲート電位はドレイン電位に等しく、第1の電源電圧Vccwであり、ソース電位はデータ電圧Vdataであるから、(3)式の関係が成立しなければならない。
Vdata<Vccw・・・(3)
【0050】
また、接点N2はデータ端子TMdに接続されていると共に有機EL素子OLEDのアノード端子に接続されており、書込時には有機EL素子OLEDを消灯状態とするために、接点N2の電位Vdataは、有機EL素子OLEDのカソード側端子TMcの電圧Vssに有機EL素子OLEDのしきい値電圧Vth_oledを加えた値以下でなければならないから、接点N2の電位Vdataは(4)式を満たさなければならない。
Vdata≦Vss+Vth_oled・・・(4)
ここでVssを接地電位0Vとすると、(5)式となる。
Vdata≦Vth_oled・・・(5)
【0051】
次に、(2)式と(5)式より(6)式が得られ、
Vccw−Vgs≦Vth_oled・・・(6)
更に(1)式より、Vgs=Vds=Vth+Veff_gsであるから、(7)式が得られる。
Vccw≦Vth_oled+Vth+Veff_gs・・・(7)
ここで、(7)式はVeff_gs=0でも成り立つことが必要であるから、Veff_gs=0とすると、(8)式が得られる。
Vdata<Vccw≦Vth_oled+Vth・・・(8)
【0052】
すなわち、書込動作時において、第1の電源電圧Vccwの値は、ダイオード接続の状態において、(8)式の関係を満たす値に設定されなければならない。次に、駆動履歴に伴う駆動トランジスタT1及び有機EL素子OLEDの特性変化の影響について説明する。駆動トランジスタT1のしきい値電圧Vthは駆動履歴に従って増大することが知られている。図4(a)に示す破線SPw2は、駆動履歴により特性変化が生じたときの特性線の一例を示し、ΔVthはしきい値電圧Vthの変化量を示す。図に示すように、駆動トランジスタT1の駆動履歴に従う特性変動は、初期の特性線をほぼ平行移動した形に変化する。このため、表示データの階調値に応じた階調電流(ドレイン・ソース間電流Ids)を得るために必要なデータ電圧Vdataの値は、しきい値電圧Vthの変化量ΔVth分だけ増加させなければならない。
【0053】
また、有機EL素子OLEDは駆動履歴に従い高抵抗化することが知られている。図4(b)に示す1点鎖線SPe2は、駆動履歴に伴って特性変化が生じたときの特性線の一例を示し、有機EL素子OLEDの駆動履歴に従う高抵抗化による特性変動は、初期の特性線に対して、概ね、駆動電圧Voledに対する駆動電流Ioledの増加率が減少する方向に変化する。すなわち、有機EL素子OLEDが表示データの階調値に応じた輝度階調で発光するために必要な駆動電流Ioledを流すため駆動電圧Voledは、特性線SPe2−特性線SPe分だけ増加する。この増加分は、図4(b)中のΔVoled maxに示す様に、駆動電流Ioledが最大値Ioled(max)となる最高階調時において最大となる。
【0054】
(保持動作)
図5は、表示画素の保持動作時における動作状態を示す概略説明図であり、図6は、表示画素の保持動作時における駆動トランジスタの動作特性を示す特性図である。保持動作では、図2、図5(a)に示すように、制御端子TMhにオフレベル(ローレベル)の保持制御信号Shldを印加して保持トランジスタT2をオフ動作させることにより、駆動トランジスタT1のゲート−ドレイン間を遮断(非接続状態に)してダイオード接続を解除する。これにより、図5(b)に示すように、上記書込動作においてキャパシタCxに充電された駆動トランジスタT1のドレイン−ソース間の電圧Vds(=ゲート・ソース間電圧Vgs)が保持される。
【0055】
図6中に示す実線SPhは、駆動トランジスタT1のダイオード接続を解除し、ゲート・ソース間電圧Vgsを一定電圧としたときの特性線である。また、図6中に示す破線SPwは駆動トランジスタT1をダイオード接続したときの特性線である。保持時の動作点PMhはダイオード接続したときの特性線SPwとダイオード接続を解除したときの特性線SPhの交点となる。
【0056】
図6中に示す一点鎖線SPoは特性線SPw−Vthとして導かれたものであり、一点鎖線SPoと特性線SPhとの交点Poはピンチオフ電圧Vpoを示す。ここで、図6に示すように、特性線SPhにおいて、ドレイン・ソース間電圧Vdsが0Vからピンチオフ電圧Vpoまでの領域は不飽和領域となり、ドレイン・ソース間電圧Vdsがピンチオフ電圧Vpo以上の領域は飽和領域となる。
【0057】
(発光動作)
図7は、表示画素の発光動作時における動作状態を示す概略説明図であり、図8は表示画素の発光動作時における駆動トランジスタの動作特性、及び、有機EL素子の負荷特性を示す特性図である。
【0058】
図2、図7(a)に示すように、制御端子TMhにオフレベル(ローレベル)の保持制御信号Shldを印加した状態(ダイオード接続状態を解除した状態)を維持し、電源端子TMvの端子電圧Vccを書込のための第1の電源電圧Vccwから発光の為の第2の電源電圧Vcceに切り替える。この結果、駆動トランジスタT1のドレイン−ソース間にはキャパシタCxに保持された電圧成分Vgsに応じた電流Idsが流れ、この電流が有機EL素子OLEDに供給され、有機EL素子OLEDは、供給された電流の値に応じた輝度で発光動作をする。
【0059】
図8(a)に示す実線SPhは、ゲート・ソース間電圧Vgsを一定電圧としたときの駆動トランジスタのT1の特性線である。また、実線SPeは有機EL素子OLEDの負荷線を示し、電源端子TMvと有機EL素子OLEDのカソード端子TMc間の電位差、すなわちVcce−Vssの値を基準として有機EL素子OLEDの駆動電圧Voled−駆動電流Ioled特性が逆向きにプロットされたものである。
【0060】
発光動作時の駆動トランジスタT1の動作点は、保持動作時のPMhから駆動トランジスタのT1の特性線SPhと有機EL素子OLEDの負荷線SPeの交点であるPMeに移動する。ここで、動作点PMeは、図8(a)に示すように、電源端子TMvと有機EL素子OLEDのカソード端子TMc間にVcce−Vssの電圧が印加された状態で、この電圧が駆動トランジスタのT1のソース−ドレイン間と有機EL素子OLEDのアノード・カソード間で分配されるポイントを表している。すなわち、動作点PMeにおいて、駆動トランジスタのT1のソース−ドレイン間に電圧Vdsが印加され、有機EL素子OLEDのアノード・カソード間には駆動電圧Voledが印加される。
【0061】
ここで、書込動作時の駆動トランジスタT1のドレイン−ソース間に流す電流Ids(期待値電流)と発光動作時に有機EL素子OLEDに供給される駆動電流Ioledが変わらないようにするために、動作点PMeは特性線上の飽和領域内に維持されていなければならない。Voledは最高階調時に最大Voled(max)となる。よって前述したPMeを飽和領域内に維持する為には、第2の電源電圧Vcceの値は(9)式の条件を満たさなければならない。
Vcce−Vss≧Vpo+Voled(max)・・・(9)
ここでVssを接地電位0Vとすると(10)式となる。
Vcce≧Vpo+Voled(max)・・・(10)
【0062】
<有機素子特性の変動と電圧−電流特性との関係>
図4(b)に示したように、有機EL素子OLEDは駆動履歴に従って高抵抗化し、駆動電圧Voledに対する駆動電流Ioledの増加率が減少する方向に変化する。すなわち、図8(a)に示す有機EL素子OLEDの負荷線SPeの傾きが減少する方向に変化する。図8(b)はこの有機EL素子OLEDの負荷線SPeの駆動履歴に従った変化を記入したものであり、負荷線はSPe→SPe2→SPe3の変化を生じる。結果としてそのため、駆動トランジスタT1の動作点は、駆動履歴に伴い駆動トランジスタのT1の特性線SPh上をPMe→PMe2→PMe3方向に移動する。
【0063】
このとき、動作点が特性線上の飽和領域内にある間(PMe→PMe2)は、駆動電流Ioledは書込動作時の期待値電流の値を維持するが、不飽和領域に入ってしまうと(PMe3)駆動電流Ioledは書込動作時の期待値電流より減少してしまい、表示不良が発生してしまう。図8(b)においてピンチオフ点Poは不飽和領域と飽和領域の境界にあり、すなわち発光時の動作点PMeとPo間の電位差は、有機ELの高抵抗化に対し発光時のOLED駆動電流を維持するための補償マージンとなる。言い換えると、各Ioledレベルにおいてピンチオフ点の軌跡SPoと有機EL素子の負荷線SPeに挟まれた、駆動トランジスタの特性線SPh上電位差が補償マージンとなる。図8(b)に示すように、この補償マージンは駆動電流Ioledの値の増大に伴って減少し、電源端子TMvと有機EL素子OLEDのカソード端子TMc間に印加された電圧Vcce−Vssの増加に伴い増大する。
【0064】
<TFT素子特性の変動と電圧−電流特性との関係>
ところで、上述した表示画素(画素回路部)に適用されるトランジスタを用いた電圧階調制御においては、予め初期に設定されたトランジスタのドレイン・ソース間電圧Vds−ドレイン・ソース間電流Ids特性によりデータ電圧Vdataを設定しているが、図4(a)に示すように、駆動履歴に応じてしきい値電圧:Vthが増大し、発光素子(有機EL素子OLED)に供給される発光駆動電流の電流値が表示データ(データ電圧)に対応しなくなり、適切な輝度階調で発光動作することができなくなる。特に、トランジスタとしてアモルファスシリコントランジスタを適用した場合、素子特性の変動が顕著に生じることが知られている。
【0065】
ここでは、表1に示すような設計値を有するアモルファスシリコントランジスタにおいて、256階調の表示動作を行う場合における、ドレイン・ソース間電圧Vdsとドレイン・ソース間電流Idsの初期特性(電圧−電流特性)の一例を示す。
【0066】
【表1】

【0067】
nチャネル型アモルファスシリコントランジスタにおける電圧−電流特性、すなわち図4(a)に示すドレイン・ソース間電圧Vdsとドレイン・ソース間電流Idsとの関係には、駆動履歴や経時変化に伴うゲート絶縁膜へのキャリヤトラップによるゲート電界の相殺に起因したVthの増大(初期状態:SPwから高電圧側:SPw2へのシフト)が生じる。これによりアモルファスシリコントランジスタに印加したドレイン・ソース間電圧Vdsを一定とした場合に、ドレイン・ソース間電流Idsは減少し、発光素子の輝度階調が低下する。
【0068】
この素子特性の変動においては主にしきい値電圧Vthが増大し、アモルファスシリコントランジスタの電圧−電流特性線(V−I特性線)は初期状態における特性線をほぼ平行移動した形となるため、シフト後のV−I特性線SPw2は、初期状態におけるV−I特性線SPwのドレイン・ソース間電圧Vdsに対して、しきい値電圧Vthの変化量ΔVth(図中では、約2V)に対応する一定の電圧(後述するオフセット電圧Vofstに相当する)を一義的加算した場合(すなわち、V−I特性線SPwをΔVthだけ平行移動させた場合)の電圧−電流特性に略一致することができる。
【0069】
これは、換言すると、表示画素(画素回路部DCx)への表示データの書込動作に際し、当該表示画素に設けられた駆動トランジスタT1の素子特性(しきい値電圧)の変化量ΔVthに対応する一定の電圧(オフセット電圧Vofst)を加算して補正したデータ電圧(後述する補正階調電圧Vpixに相当する)を、駆動トランジスタT1のソース端子(接点N2)に印加することにより、当該駆動トランジスタT1のしきい値電圧Vthの変動に起因する電圧−電流特性のシフトを補償して、表示データに応じた電流値を有する駆動電流Iemを有機EL素子OLEDに流すことができ、所望の輝度階調で発光動作させることができることを意味する。
なお、保持制御信号Shldをオンレベルからオフレベルに切り換える保持動作と、電源電圧Vccを電圧Vccwから電圧Vcceに切り換える発光動作とを、同期して行ってもよい。
【0070】
以下、上述したような画素回路部の要部構成を含む複数の表示画素が2次元配列された表示パネルを備えた表示装置の全体構成を示して具体的に説明する。
<第1の実施形態>
<表示装置>
図9は、本発明に係る表示装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。図10は、第1の実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバ、比較判定回路部及び表示画素(画素駆動回路及び発光素子)の一例を示す要部構成図である。なお、図10においては、上述した画素回路部DCx(図1参照)に対応する回路構成の符号を併記して示す。また、図10においては、説明の都合上、データドライバの各構成間で送出される各種の信号やデータ、及び、印加される電流や電圧のすべてについて便宜的に矢印で示すが、後述するように、これらの信号やデータ、電流や電圧が同時に送出又は印加されるとは限らない。
【0071】
図9に示すように、本実施形態に係る表示装置100は、例えば、行方向(図面左右方向)に配設された複数の選択ラインLsと列方向(図面上下方向)に配設された複数のデータラインLdとの各交点近傍に、上述した画素回路部DCxの要部構成(図1参照)を含む複数の表示画素PIXがn行×m列(n、mは、任意の正の整数)からなるマトリクス状に配列された表示領域110と、各選択ラインLsに所定のタイミングで選択信号Sselを印加する選択ドライバ(選択駆動部)120と、選択ラインLsに並行して行方向に配設された複数の電源電圧ラインLvに所定のタイミングで所定の電圧レベルの電源電圧Vccを印加する電源ドライバ(電源駆動部)130と、各データラインLdに所定のタイミングで階調信号(補正階調電圧Vpix)を供給するデータドライバ(表示駆動装置、データ駆動部)140と、後述する補正データ取得動作において、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられた駆動トランジスタの素子特性の変動を検出する比較判定回路部(比較判定部)150と、後述する表示信号生成回路170から供給されるタイミング信号に基づいて、少なくとも選択ドライバ120、電源ドライバ130、データドライバ140及び比較判定回路部150の動作状態を制御する選択制御信号、電源制御信号、データ制御信号及び比較制御信号を生成して出力するシステムコントローラ160と、例えば表示装置100の外部から供給される映像信号に基づいて、デジタル信号からなる表示データ(輝度階調データ)を生成してデータドライバ140に供給するとともに、該表示データに基づいて表示領域110に所定の画像情報を表示するためのタイミング信号(システムクロック等)を抽出、又は、生成して上記システムコントローラ160に供給する表示信号生成回路170と、表示領域110、選択ドライバ120、データドライバ140及び比較判定回路部150が設けられている基板からなる表示パネル180と、を備えている。
【0072】
なお、電源ドライバ130は、例えば表示パネル180外でフィルム基板を介して接続されるが、表示パネル180上に配置されてもよい。データドライバ140及び比較判定回路部150は一部が、表示パネル180に設けられ、残りの一部が表示パネル180外でフィルム基板を介して接続されている構造であってもよい。このとき、表示パネル180内のデータドライバ140及び比較判定回路部150の一部は、ICチップであってもよいし、後述する画素回路部DCの各トランジスタと一括して製造されるトランジスタによって構成されていてもよい。また、選択ドライバ120は、ICチップであってもよいし、後述する画素回路部DCの各トランジスタと一括して製造されるトランジスタによって構成されていてもよい。
【0073】
以下、上記各構成について説明する。
(表示パネル)
本実施形態に係る表示装置100においては、表示パネル180の中央に位置する表示領域110にマトリクス状に配列される複数の表示画素PIXが設けられている。複数の表示画素PIXは、例えば図9に示すように、表示領域110の上方領域(図中上方に位置)と下方領域(図中下方に位置)とにグループ分けされ、各グループに含まれる表示画素PIXが、各々、分岐した個別の電源電圧ラインLvに接続されている。そして、上方領域のグループの各電源電圧ラインLvは、第1電源電圧ラインLv1に接続されており、下方領域のグループの各電源電圧ラインLvは、第2電源電圧ラインLv2に接続され、第1電源電圧ラインLv1及び第2電源電圧ラインLv2は、互いに電気的に独立して後述する比較判定回路150を介して電源ドライバ130に接続されている。すなわち、表示領域110の上方領域の1〜n/2行目(ここではnは偶数)の表示画素PIXに対して第1電源電圧ラインLv1を介して共通に印加される電源電圧Vccと、下方領域の1+n/2〜n行目の表示画素PIXに対して第2電源電圧ラインLv2を介して共通に印加される電源電圧Vccは、電源ドライバ130により異なるタイミングで独立して出力される。
【0074】
(表示画素)
本実施形態に適用される表示画素PIXは、選択ドライバ120に接続された選択ラインLsとデータドライバ140に接続されたデータラインLdとの交点近傍に配置され、例えば図10に示すように、電流駆動型の発光素子である有機EL素子OLEDと、上述した画素回路部DCxの要部構成(図1参照)を含み、有機EL素子OLEDを発光駆動するための発光駆動電流を生成する画素駆動回路DCと、を備えている。
【0075】
画素駆動回路DCは、例えば、ゲート端子が選択ラインLsに、ドレイン端子が電源電圧ラインLvに、ソース端子が接点N11に各々接続されたトランジスタTr11(ダイオード接続用トランジスタ)と、ゲート端子が選択ラインLsに、ソース端子がデータラインLdに、ドレイン端子が接点N12に各々接続されたトランジスタTr12(選択トランジスタ)と、ゲート端子が接点N11に、ドレイン端子が電源電圧ラインLvに、ソース端子が接点N12に各々接続されたトランジスタTr13(駆動トランジスタ)と、接点N11及び接点N12間(トランジスタTr13のゲート−ソース端子間)に接続されたキャパシタ(電圧保持素子)Csと、を備えている。
【0076】
ここで、トランジスタTr13は上述した画素回路部DCxの要部構成(図1)に示した駆動トランジスタT1に対応し、また、トランジスタTr11は保持トランジスタT2に対応し、キャパシタCsはキャパシタCxに対応し、接点N11及びN12は各々接点N1及び接点N2に対応する。また、選択ドライバ120から選択ラインLsに印加される選択信号Sselは、上述した保持制御信号Shldに対応し、データドライバ140からデータラインLdに印加される階調信号(補正階調電圧Vpix)は、上述したデータ電圧Vdataに対応する。
【0077】
また、有機EL素子OLEDは、アノード端子が上記画素駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード端子TMcには一定の低電圧である基準電圧Vssが印加されている。ここで後述する表示装置の駆動制御動作において、表示データに応じた階調信号(補正階調電圧Vpix)が画素駆動回路DCに供給される書込動作期間においては、データドライバ140から印加される補正階調電圧Vpix、基準電圧Vss、発光動作期間に電源電圧ラインLvに印加される高電位の電源電圧Vcc(=Vcce)は、上述した(3)〜(10)式の関係を満たしており、故に書込動作時に有機EL素子OLEDが点灯することはない。
また、キャパシタCsは、トランジスタTr13のゲート−ソース間に形成される寄生容量であってもよいし、該寄生容量に加えて接点N11及び接点N12間にトランジスタTr13以外の容量素子を接続したものであってもよく、これら両方であってもよい。
【0078】
なお、トランジスタTr11〜Tr13については、特に限定するものではないが、例えば全てnチャネル型の電界効果型トランジスタにより構成することにより、nチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタを適用することができる。この場合、すでに確立されたアモルファスシリコン製造技術を用いて、素子特性(電子移動度等)の安定したアモルファスシリコン薄膜トランジスタからなる画素駆動回路DCを比較的簡易な製造プロセスで製造することができる。以下の説明においては、トランジスタTr11〜Tr13として全てnチャネル型の薄膜トランジスタを適用した場合について説明する。
【0079】
また、表示画素PIX(画素駆動回路DC)の回路構成については、図10に示したものに限定されるものではなく、少なくとも図1に示したような駆動トランジスタT1、保持トランジスタT2及びキャパシタCxに対応する素子を備え、駆動トランジスタT1の電流路が電流駆動型の発光素子(有機EL素子OLED)に直列に接続されたものであれば、他の回路構成を有するものであってもよい。また、画素駆動回路DCにより発光駆動される発光素子についても、有機EL素子OLEDに限定されるものではなく、発光ダイオード等の他の電流駆動型の発光素子であってもよい。
【0080】
(選択ドライバ)
選択ドライバ120は、システムコントローラ160から供給される選択制御信号に基づいて、各選択ラインLsに選択レベル(図10に示した表示画素PIXにおいては、ハイレベル)の選択信号Sselを印加することにより、各行ごとの表示画素PIXを選択状態及び非選択状態のいずれかに設定する。具体的には、各行の表示画素PIXについて、少なくとも、後述する補正データ取得動作期間及び書込動作期間中、オンレベル(ハイレベル)の選択信号Sselを当該行の選択ラインLsに印加する動作を、各行ごとに所定のタイミングで順次実行することにより、各行の表示画素PIXを順次選択状態に設定する。
【0081】
なお、選択ドライバ120は、例えば、後述するシステムコントローラ160から供給される選択制御信号に基づいて、各行の選択ラインLsに対応するシフト信号を順次出力するシフトレジスタと、該シフト信号を所定の信号レベル(選択レベル)に変換して、各行の選択ラインLsに選択信号Sselとして順次出力する出力回路部(出力バッファ)と、を備えたものを適用することができる。ここで、選択ドライバ120の駆動周波数がアモルファスシリコントランジスタでの動作が可能な範囲であれば、選択ドライバ120に含まれるトランジスタの一部又は全部を、画素駆動回路DC内のトランジスタTr11〜Tr13とともに一括してアモルファスシリコントランジスタにより製造してもよい。
【0082】
(電源ドライバ)
電源ドライバ130は、システムコントローラ160から供給される電源制御信号に基づいて、各電源電圧ラインLvに、少なくとも、後述する補正データ取得動作期間及び書込動作期間においては、低電位の電源電圧Vcc(=Vccw:第1の電源電圧)を印加し、発光動作期間においては、低電位の電源電圧Vccwより高電位の電源電圧Vcc(=Vcce:第2の電源電圧)を印加する。
【0083】
ここで、本実施形態においては、図9に示すように、表示画素PIXが例えば表示領域110の上方領域と下方領域とにグループ分けされ、グループごとに分岐した個別の電源電圧ラインが配設されているので、電源ドライバ130は、上方領域のグループの動作期間においては、第1電源電圧ラインLv1を介して、上方領域に配列された表示画素PIXに対して電源電圧Vccを出力し、下方領域のグループの動作期間においては、第2電源電圧ラインLv2を介して、下方領域に配列された表示画素PIXに対して電源電圧Vccを出力する。
【0084】
なお、電源ドライバ130は、例えば、システムコントローラ160から供給される電源制御信号に基づいて、各領域(グループ)の電源電圧ラインLvに対応するタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ(例えばシフト信号を順次出力するシフトレジスタ等)と、タイミング信号を所定の電圧レベル(電圧値Vccw、Vcce)に変換して、各領域の電源電圧ラインLvに電源電圧Vccとして出力する出力回路部と、を備えたものを適用することができる。ここで、第1電源電圧ラインLv1及び第2電源電圧ラインLv2のように電源電圧ラインの本数が少なければ、電源ドライバ130を表示パネル180に配置せずに、システムコントローラ160の一部に配置してもよい。
【0085】
(データドライバ)
データドライバ140は、後述する比較判定回路150から出力される比較判定結果(比較結果)に基づいて、表示領域110に配列された各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられた発光駆動用のトランジスタTr13(駆動トランジスタT1に相当する)及びトランジスタTr12の素子特性(しきい値電圧)の変化量に対応するオフセット電圧Vofst(詳しくは後述する)を検出して、表示画素PIXごとに補正データとして記憶し、後述する表示信号生成回路170から供給される表示画素PIXごとの表示データ(輝度階調データ)に応じた信号電圧(原階調電圧Vorg)を上記補正データに基づいて補正して、トランジスタTr13及びトランジスタTr12の素子特性に対応したデータ電圧(補正階調電圧Vpix)を生成し、データラインLdを介して各表示画素PIXに供給する。
【0086】
データドライバ140は、例えば図10に示すように、シフトレジスタ・データレジスタ部141と、階調電圧生成部(階調電圧生成部)142と、オフセット電圧生成部(補正データ取得部、調整電圧設定部、補正データ抽出部、補償電圧生成部)143と、電圧調整部(電圧補正部)144と、フレームメモリ(記憶部)145と、を備えている。ここで、階調電圧生成部142、オフセット電圧生成部143及び電圧調整部144は、各列のデータラインLdごとに設けられ、本実施形態に係る表示装置100においては、m組設けられている。また、シフトレジスタ・データレジスタ部141及びフレームメモリ145は、各列のデータラインLdに共通して設けられている。
【0087】
なお、本実施形態においては、図10に示すように、フレームメモリ145をデータドライバ140に内蔵する場合について説明するが、これに限定されず、データドライバ140の外部に独立して設けるものであってもよい。また、表示パネル180がカラー画像の表示に対応した画素構成を有する場合(すなわち、各表示画素PIXが赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色画素を一組として構成されている場合)には、各列ごとに赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色画素に対応した個別のデータラインが設けられ、各列の各色ごとに共通のシフトレジスタ・データレジスタ部が設けられている(すなわち、RGBの各色に対応して3組のシフトレジスタ・データレジスタ部が設けられている)。
【0088】
シフトレジスタ・データレジスタ部141は、例えば、システムコントローラ160から供給されるデータ制御信号に基づいて、シフト信号を順次出力するシフトレジスタと、該シフト信号に基づいて、表示信号生成回路170から供給される表示データ(輝度階調データ)を取り込み、列ごとに設けられた階調電圧生成部142に転送し、そして、補正データ取得動作時に、列ごとに設けられたオフセット電圧生成部143から出力される補正データを取り込みフレームメモリ145に出力し、さらに、書込動作時や補正データ取得動作時に、フレームメモリ145から出力される補正データを取り込んでオフセット電圧生成部143に転送するデータレジスタと、を備えている。
【0089】
シフトレジスタ・データレジスタ部141は、少なくとも、後述する表示信号生成回路170からシリアルデータとして順次供給される、表示領域110の1行分の表示画素PIXに対応した表示データ(輝度階調データ)を順次取り込み、列ごとに設けられた階調電圧生成部142に転送する動作、及び、後述する電流比較回路部150における比較判定結果に基づいて、各列ごとに設けられたオフセット電圧生成部143から順次出力される、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13及びトランジスタTr12の素子特性(しきい値電圧)の変化量に対応する補正データを取り込み、フレームメモリ145に順次転送する動作、さらに、フレームメモリ145から特定の1行分の表示画素PIXの上記補正データを順次取り込み、各列ごとに設けられたオフセット電圧生成部143に転送する動作のいずれかを選択的に実行する。これらの各動作については、詳しく後述する。
【0090】
階調電圧生成部142は、上記シフトレジスタ・データレジスタ部141を介して取り込まれた各表示画素PIXの表示データに基づいた輝度階調で有機EL素子OLEDを発光動作、又は、無発光動作(黒表示動作)させるための電圧値を有する原階調電圧(原階調信号)Vorgを生成して出力する。
【0091】
ここで、階調電圧生成部142により生成される原階調電圧Vorgは、有機EL素子OLEDを表示データに応じた輝度階調で発光動作或いは無発光動作させることができる電圧値であって、且つ有機EL素子OLEDのアノード−カソード間に印加される電圧であって、トランジスタTr13のしきい値電圧分が加わっていない。すなわち、後述するように、トランジスタTr13が上述したV−I特性線SPwの状態(しきい値変動や各トランジスタTr13のしきい値のばらつき)において、トランジスタTr13に表示データに応じた輝度階調の電流が流れるような電源電圧ラインLvとデータラインLdとの間の電位差が生じるように、原階調電圧VorgにトランジスタTr13のしきい値電圧Vthを加算した電圧をデータラインLdに出力する。
【0092】
なお、階調電圧生成部142は、例えば、図示を省略した電源供給部から供給される階調基準電圧(表示データに含まれる階調数に応じた基準電圧)に基づいて、上記表示データのデジタル信号電圧を、アナログ信号電圧に変換するデジタル−アナログ変換器(D/Aコンバータ)と、所定のタイミングで当該アナログ信号電圧を上記原階調電圧Vorgとして出力する出力回路と、を備えたものを適用することができる。
【0093】
オフセット電圧生成部143は、フレームメモリ145から取り出された補正データに基づいて、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13のしきい値電圧の変化量(図4(a)に示したΔVthに相当する)に応じたオフセット電圧(補償電圧)Vofstを生成して出力する。ここで、画素駆動回路DCが図10に示す回路構成を有する場合においては、書込動作時にデータラインLdに流す電流が、データラインLdからデータドライバ140側に電流を引き込む方向に設定されるため、生成されるオフセット電圧(補償電圧)Vofstも、電源電圧ラインLvから、トランジスタTr13のドレイン−ソース間、トランジスタTr12のドレイン−ソース間、データラインLdを介して電流が流れるように設定される。
【0094】
具体的には、書込動作においては、オフセット電圧Vofstは下記(11)式を満たす値となる。
Vofst=Vunit×Minc・・・(11)
ここで、Vunitは単位電圧であり、予め設定された電圧最小単位で且つ負の電位である。Mincはオフセット設定値であり、フレームメモリ145から読み出されたデジタル補正データである。詳しくは後述する。
【0095】
このようにオフセット電圧Vofstは、書込動作において電圧調整部144から出力される補正階調電圧Vpixによって、正常な階調における電流値に近似された補正階調電流がトランジスタTr13のドレイン−ソース間に流れるように各表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13のしきい値電圧の変化量及びトランジスタTr12のしきい値電圧の変化量を補正した電圧となっている。
【0096】
一方、上記書込動作に先立って実行される補正データ取得動作においては、オフセット設定値(変数)Mincが適合する値になるまで、上記単位電圧Vunitに、乗算するオフセット設定値(変数)Mincの値を適宜変えることにより最適化を図る。具体的には、初期のオフセット設定値Mincの値にしたがったオフセット電圧Vofstを生成し、比較判定回路部150から出力される比較判定結果に基づいて、当該オフセット設定値Mincを上記補正データとしてシフトレジスタ・データレジスタ部141に出力する。
【0097】
このようなオフセット設定値Mincは、例えば、オフセット電圧生成部143の内部に、所定のクロック周波数で動作し、クロック周波数CKのタイミングで取り込まれた所定の電圧値の信号が入力されるとカウンタ値を1つ上げるカウンタを備え、上記比較判定結果に基づいて、当該カウンタのカウント値を順次変調して(例えば増加させて)設定するものであってもよいし、上記比較判定結果に基づいて、システムコントローラ160等から適宜変調処理された設定値を供給するものであってもよい。
【0098】
また、単位電圧Vunitは、任意の一定電圧に設定することができるが、この単位電圧Vunitの電圧の絶対値を小さく設定するほど、オフセット電圧Vofst相互の電圧差を小さくすることができるので、書込動作において各表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13のしきい値電圧の変化量により近似したオフセット電圧Vofstを生成することができ、階調信号をより細かくかつ適切に補正することができる。
【0099】
なお、この単位電圧Vunitに設定される電圧値としては、例えば、トランジスタの電圧−電流特性(例えば図4(a)に示した動作特性図)において、隣接する階調におけるドレイン・ソース間電圧Vds相互の電圧差を適用することができる。このような単位電圧Vunitは、例えばオフセット電圧生成部143内やデータドライバ140内に設けられたメモリ等(図示を省略)に記憶されているものであってもよいし、例えばシステムコントローラ160等から供給されて、データドライバ140内に設けられたレジスタに一時保存されるものであってもよい。
【0100】
この場合、単位電圧Vunitは、トランジスタTr13における第k階調(kは整数であって、大きいほど高輝度階調。)でのドレイン・ソース間電圧Vds_k(正の電圧値)から第(k+1)階調でのドレイン・ソース間電圧Vds_k+1(>Vds_k)を差し引いた電位差のうち、最も小さい電位差に設定することが好ましい。トランジスタTr13のような薄膜トランジスタでは、特にアモルファスシリコンTFTでは、流れる電流の電流密度に対し、ほぼ線形に発光輝度が増大する有機EL素子OLEDと組み合わせると、一般的に、階調が高くなるほど、つまりドレイン・ソース間電圧Vdsが高いほど(換言すれば、ドレイン・ソース間電流Idsが大きいほど)、隣接する階調間での電位差が小さくなる傾向がある。つまり、256階調の電圧階調制御を行う場合(第0階調を無発光とする)、最高輝度階調(例えば第255階調)での電圧Vdsと第254階調での電圧Vdsとの間の電位差が隣接する階調間の電位差の中で最も小さい部類に属する。このため、単位電圧Vunitは、最高輝度階調(もしくはその近傍の階調)より一つ下の輝度階調のドレイン・ソース間電圧Vdsから、当該最高輝度階調(もしくはその近傍の階調)のドレイン・ソース間電圧Vdsを減算した値であることが好ましい。
【0101】
電圧調整部144は、階調電圧生成部142から出力される原階調電圧Vorgと、オフセット電圧生成部143から出力されるオフセット電圧Vofstとを加算して、表示領域110の列方向に配設されたデータラインLdに出力する。具体的には、後述する補正データ取得動作においては、階調電圧生成部142から出力される所定の階調(x階調)に対応した原階調電圧Vorg_xに、上記適宜変調することにより最適化されるオフセット設定値Mincに基づいて生成されるオフセット電圧Vofstをアナログ的(階調電圧生成部142がD/Aコンバータを備えている場合)に加算して、その総和となる電圧成分を調整電圧Vadjとして電圧比較部145に出力する。
【0102】
また、書込動作においては、電圧調整部144により生成される補正階調電圧Vpixは、下記(12)式を満たす値となる。
Vpix=Vorg+Vofst・・・(12)
つまり、階調電圧生成部142から出力される表示データに応じた原階調電圧Vorgに、フレームメモリ145から取り出された補正データに基づいてオフセット電圧生成部143により生成されるオフセット電圧Vofstをアナログ的に加算して、その総和となる電圧成分を補正階調電圧Vpixとして書込動作時にデータラインLdに出力する。
【0103】
フレームメモリ145は、表示領域110に配列された各表示画素PIXへの表示データ(補正階調電圧Vpix)の書込動作に先立って実行される補正データ取得動作において、各列に対応して設けられたオフセット電圧生成部143から、各列の表示画素PIXごとに設定されたオフセット設定値Mincを補正データとしてシフトレジスタ・データレジスタ部141を介して、1行分の表示画素PIXごとに順次取り込み、一画面(1フレーム)分の各表示画素PIXごとに個別の領域に記憶するとともに、書込動作時において、1行分の表示画素PIXごとの補正データを、シフトレジスタ・データレジスタ部141を介して順次読み出し、各列に対応して設けられたオフセット電圧生成部143に出力(転送)する。
【0104】
(比較判定回路部)
本実施形態に係る表示装置100(図9)に適用される比較判定回路部150は、例えば図10に示すように、少なくとも内部に電圧計151、定電流源152及び接続経路切換スイッチ153を備えた電圧比較回路150Aであって、システムコントローラ160から供給される比較制御信号に基づいて接続経路切換スイッチ153を切換制御して、電源電圧ラインLvを定電流源152又は電源ドライバ130に接続する。
【0105】
詳しくは後述するが、電圧比較回路150Aは、補正データ取得動作期間においては、まず、接続経路切換スイッチ153を制御して電源電圧ラインLvを定電流源152に接続し、定電流源152を用いて、予め設定された所定階調(例えばx階調)における期待値と一致する電流(参照電流)Iref_xを、電圧比較回路150Aから電源電圧ラインLv、特定の表示画素PIX(画素駆動回路DC)、データラインLdを介してデータドライバ140方向へ流し込むように供給し、電圧計151により電源電圧ラインLv(又は、電圧比較回路150Aの出力接点)と上記特定の表示画素PIXに接続されたデータラインLd(又は、データドライバ140の出力接点)との間に生じる電位差(参照電圧)Vref_xを測定する。
【0106】
次いで、接続経路切換スイッチ153を制御して電源電圧ラインLvを電源ドライバ130に接続し、上記電圧調整部144により電圧値を変化(変調)させて生成される調整電圧Vadjを、データラインLdを介して特定の表示画素PIX(画素駆動回路DC)に順次印加し、電圧計151により電源電圧ラインLv(又は、電圧比較回路150Aの出力接点)と上記特定の表示画素PIXに接続されたデータラインLd(又は、データドライバ140の出力接点)との間に生じる電位差(検出電圧;特定値)Vdetを測定する。
【0107】
そして、上記参照電圧Vref_xと検出電圧Vdetとを図示を省略したコンパレータ(電圧比較器)等により比較してその大小関係(比較判定結果)を上記特定の表示画素PIXにデータラインLdを介して接続されたデータドライバ140のオフセット電圧生成部143に出力する。なお、書込動作時においては、接続経路切換スイッチ153は電源電圧ラインLvと電源ドライバ130が接続されるように制御され、上述した電源電圧ラインLvとデータラインLd間の電位差の測定や電圧比較処理は行われない。
【0108】
(システムコントローラ)
システムコントローラ160は、選択ドライバ120、電源ドライバ130、データドライバ140及び比較判定回路部150(図10では電圧比較回路150A)の各々に対して、動作状態を制御する選択制御信号、電源制御信号、データ制御信号及び比較制御信号を生成して出力することにより、各ドライバを所定のタイミングで動作させて、所定の電圧レベルを有する選択信号Ssel、電源電圧Vcc、調整電圧Vadj及び補正階調電圧Vpixを生成して出力させ、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に対する一連の駆動制御動作(補正データ取得動作、書込動作、保持動作及び発光動作)を実行させて、映像信号に基づく画像情報を表示領域110に表示させる制御を行う。
【0109】
(表示信号生成回路)
表示信号生成回路170は、例えば表示装置100の外部から供給される映像信号から輝度階調信号成分を抽出し、表示領域110の1行分ごとに、該輝度階調信号成分をデジタル信号からなる表示データ(輝度階調データ)としてデータドライバ140に供給する。ここで、上記映像信号が、テレビ放送信号(コンポジット映像信号)のように、画像情報の表示タイミングを規定するタイミング信号成分を含む場合には、表示信号生成回路170は、上記輝度階調信号成分を抽出する機能のほかに、タイミング信号成分を抽出してシステムコントローラ160に供給する機能を有するものであってもよい。この場合においては、上記システムコントローラ160は、表示信号生成回路170から供給されるタイミング信号に基づいて、選択ドライバ120や電源ドライバ130、データドライバ140、比較判定回路部150に対して個別に供給する各制御信号を生成する。
【0110】
<表示装置の駆動方法>
次に、本実施形態に係る表示装置における駆動方法について説明する。
本実施形態に係る表示装置100の駆動制御動作は、大別して、表示領域110に配列された各表示画素PIX(画素駆動回路DC)の発光駆動用のトランジスタTr13(駆動トランジスタ)の素子特性(しきい値電圧)の変動に対応するオフセット電圧Vofst(厳密には、検出電圧Vdet)を検出して、当該オフセット電圧Vofstを生成するためのオフセット設定値Mincを、表示画素PIXごとに補正データとしてフレームメモリ145に記憶する補正データ取得動作と、表示データに応じた原階調電圧Vorgを、表示画素PIXごとに取得した上記補正データに基づいて補正して、補正階調電圧Vpixとして各表示画素PIXに書き込んで電圧成分として保持させ、当該電圧成分に基づいてトランジスタTr13の素子特性の変動の影響を補償した表示データに応じた電流値を有する発光駆動電流Iemを有機EL素子OLEDに供給して所定の輝度階調で発光させる表示駆動動作と、を有している。これらの補正データ取得動作及び表示駆動動作は、システムコントローラ160から供給される各種制御信号に基づいて実行される。
【0111】
以下、各動作について具体的に説明する。
(補正データ取得動作)
まず、本実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作について説明する。
図11は、本実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作の一例を示すフローチャートであり、図12は、本実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作(参照電圧測定動作)を示す概念図であり、図13は、本実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作(検出電圧測定動作、及び、補正データ記憶動作)を示す概念図である。
【0112】
本実施形態に係る補正データ取得動作は、図11に示すように、まず、例えばフレームメモリ145からシフトレジスタ・データレジスタ部141を介して、各列(データラインLd)に対応して設けられた各オフセット電圧生成部143にi行目(1≦i≦nとなる正の整数)の表示画素PIX分のオフセット設定値Minc(初期時ではMinc=0)を読み込ませた後(ステップS111)、選択ドライバ120からi行目の選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択信号Sselを印加して、i行目の表示画素PIXを選択状態に設定する(ステップS112)。
【0113】
次いで、図12に示すように、上記選択状態に設定されたi行目の表示画素PIXのうち、j列目(1≦j≦mとなる正の整数)の表示画素PIXにデータラインLdを介して接続された電圧調整部144により、後述するステップS114において電圧比較回路150Aから流し込まれる電流が当該j列目の表示画素PIXを介して流れるようにj列目のデータラインLdの電位を電源電圧ラインLvよりも低くなるように設定する。このとき、電圧比較回路150Aから流し込まれる電流が、j列目以外のデータラインLdには流れないようにする。このために、例えば、j列目以外のデータラインLdに設けられた電圧調整部144において、各データラインLdがフローティング状態となるようにする。
【0114】
これにより、i行j列目の表示画素PIXが選択状態に設定されて、当該表示画素PIXの画素駆動回路DCに設けられたトランジスタTr11がオン動作して、トランジスタTr13(駆動トランジスタ)がダイオード接続状態に設定され、電源電圧ラインLvの電位がトランジスタTr13のドレイン端子及びゲート端子(接点N11;キャパシタCsの一端側)に印加されるとともに、トランジスタTr12もオン状態となってトランジスタTr13のソース端子(接点N12;キャパシタCsの他端側)がデータラインLdに電気的に接続され、後述する参照電流Iref_xが流れる。
【0115】
次いで、電源電圧ラインLv(本実施形態においては、i行目が含まれるグループの全表示画素PIXに共通に接続された第1の電源電圧ラインLv1又は第2の電源電圧ラインLv2)に唯一設けられた電圧比較回路150Aにおいて、電源電圧ラインLvが定電流源152に接続されるように接続経路切換スイッチ153を制御して、所定階調(例えばx階調)の表示データを表示画素PIXに書き込む際の電圧により目的とされるEL駆動電流(期待値電流)と一致する(又は同等となる)ように設定された参照電流Iref_xを、定電流源152から電源電圧ラインLvを介して上記選択状態に設定された表示画素PIXへ強制的に流し込む(ステップS114)。
【0116】
したがって、このときのi行j列目の表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられたトランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Ids_xの電流値は、トランジスタTr12及びトランジスタTr13が、ともに図4(a)に示すように、初期状態におけるV−I特性線SPwであっても、或いは、しきい値電圧Vthシフト後のV−I特性線SPw2であっても関係なく、参照電流Iref_xの電流値に一致する。また、このとき、参照電流Iref_xは目標とする電流値に高速で定常化することが好ましく、最高輝度階調もしくはその近傍の階調のより大きな電流値であることが望ましい。
【0117】
そして、この状態で、電源電圧ラインLv(或いは定電流源152)とj列目のデータラインLd(すなわち、i行j列目の表示画素PIXに接続されたデータラインLd、或いは電圧調整部144の出力端子)との間の電位差(参照電圧)Vref_xを、電圧比較回路150Aに設けられた電圧計151により測定する(ステップS115)。ここで測定される参照電圧Vref_xは、ドレイン−ソース間に参照電流Iref_xがそれぞれ流れるトランジスタTr12及びトランジスタTr13の高抵抗化にしたがって異なってくる。なお、オフセット電圧生成部143へのオフセット設定値Mincの読み込みステップS111は、ステップS112〜ステップS115のいずれかの後であってもよい。

【0118】
特に参照電圧Vref_xは、ダイオード接続されたトランジスタTr13のゲート・ソース間(又はドレイン−ソース間)電圧Vgsでの図4(a)に示すしきい値電圧VthがシフトしたV−I特性線SPw2の進行の程度と、トランジスタTr12のゲート・ソース間電圧Vgsでのしきい値電圧VthがシフトしたV−I特性線SPw2の進行の程度と、に影響される。換言すれば、トランジスタTr13及びトランジスタTr12でのしきい値電圧Vthシフトが進行すれば(ΔVthが大きくなれば)、参照電圧Vref_xはより低くなる。なお、測定された参照電圧Vref_xは、例えば電圧比較回路150A内に設けられたレジスタ等に一時保存されてもよい。
【0119】
次いで、i行目の表示画素PIXに接続された電源電圧ラインLv(本実施形態においては、i行目が含まれるグループの全表示画素PIXに共通に接続された電源電圧ラインLv)に対して、電源ドライバ130から書込動作レベルである低電位の電源電圧(第1の電源電圧)Vcc(=Vccw≦基準電圧Vss)を印加する。そして、この状態で、j列目のデータラインに対応して設けられたオフセット電圧生成部143に入力されたオフセット設定値Mincに基づいて、上記(11)式の通り、オフセット電圧Vofstを設定する(ステップS116)。
【0120】
ここで、オフセット電圧生成部143において生成されるオフセット電圧Vofstは、単位電圧Vunitにオフセット設定値Mincを乗算することにより算出されるので(Vofst=Vunit×Minc)、初期時において、しきい値シフトがない場合、フレームメモリ145から出力されるオフセット設定値Minc=0であるので、オフセット電圧Vofstの初期値は0Vとなる。
【0121】
電圧調整部144は、オフセット電圧生成部143から出力されるオフセット電圧Vofstと、表示データに基づいて階調電圧生成部142から出力される上記所定の階調(x階調)に対応した原階調電圧Vorg_xとを下記(13)式のように加算して調整電圧Vadj(p)を生成して、j列目のデータラインLdに印加する(ステップS117)。
Vadj(p)=Vofst(p)+Vorg_x・・・(13)
【0122】
ここで、Vadj(p)及びVofst(p)のpは、補正データ取得動作におけるオフセット設定の回数であり、且つ自然数であり、後述するオフセット設定値の変更にしたがって順次、数が増えていく。したがって、Vofst(p)は、pが大きくなるにしたがい絶対値が大きくなる負の値となる変数であり、Vadj(p)は、Vofst(p)の値にしたがって、つまりpが大きくなるにしたがい絶対値が大きくなる負の値となる変数である。
【0123】
そして、この状態で、電源電圧ラインLv(或いは電源ドライバ130の出力端子)とj列目のデータラインLd(或いは電圧調整部144の出力端子)との間の電位差(検出電圧)Vdet、すなわち、低電位の電源電圧Vcc(=Vccw)と調整電圧Vadj(p)との差分電圧(Vccw−Vadj(p))を、電圧比較回路150Aに設けられた電圧計151により測定する(ステップS118)。
【0124】
電圧比較回路150Aにおいては、図示を省略したコンパレータ等により上記ステップS115において測定された参照電圧Vref_xと、上記ステップS118において測定された検出電圧Vdetとの大小関係を比較する。例えば、検出電圧Vdetが参照電圧Vref_xより低いか否かを比較する(ステップS119)。
【0125】
この比較処理において、検出電圧Vdetが参照電圧Vref_xより低い場合、このときの調整電圧Vadj(p)をそのまま補正階調電圧Vpixとして書込動作時にデータラインLdに印加すると、トランジスタTr12及びトランジスタTr13のV−I特性線SPw2によるしきい値シフトの影響によって、本来の表示したい階調での電流を、トランジスタTr13のドレイン−ソース間に流すことができず、本来表示したい階調よりも低い階調での電流がトランジスタTr13のドレイン−ソース間に流れる可能性がある。
【0126】
このため、検出電圧Vdetが参照電圧Vref_xより低い場合、電圧比較回路150A(コンパレータ等)は、オフセット電圧生成部143のカウンタのカウンタ値を1つ上げる比較判定結果(例えば正電圧信号)をオフセット電圧生成部143のカウンタに出力する。
【0127】
オフセット電圧生成部143のカウンタがカウントを1つ上げると、オフセット電圧生成部143は、オフセット設定値Mincの値に1を加算し(ステップS120)、加算されたオフセット設定値Mincに基づいて再びステップS116を繰り返してVofst(p+1)を生成する。したがって、Vofst(p+1)は下記(14)式を満たす負の値となる。
Vofst(p+1)=Vofst(p)+Vunit・・・(14)
【0128】
その後、ステップS117以降のステップに続き、ステップS119で検出電圧Vdetが参照電圧Vref_xより高くなるまで繰り返される。
ステップS119において、検出電圧Vdetが参照電圧Vref_xより高い場合、電圧比較回路150A(コンパレータ等)は、オフセット電圧生成部143のカウンタのカウンタ値を上げない比較判定結果(例えば負電圧信号)をオフセット電圧生成部143のカウンタに出力する。所定の周波数で正電圧信号又は負電圧信号を取り込んでいるカウンタに上記比較判定結果(負電圧信号)が取り込まれると、オフセット電圧生成部143は、調整電圧Vadj(p)がトランジスタTr12及びトランジスタTr13のV−I特性線SPw2によるしきい値シフト電位分を補正したとみなし、そのときの調整電圧Vadj(p)をデータラインLdに印加する補正階調電圧Vpixとするように、そのときのオフセット設定値Mincを補正データとしてシフトレジスタ・データレジスタ部141に出力する(ステップS121)。
【0129】
上述したi行j列目の表示画素PIXに対して補正データを取得後(シフトレジスタ・データレジスタ部141への出力後)、上述する一連の処理動作を、次の列(j+1列目)の表示画素PIXに対しても実行するために、列を指定するための変数“j”をインクリメントする処理(j=j+1)を実行する(ステップS122)。ここで、インクリメント処理された変数“j”が表示領域110に設定された総列数mよりも小さい(j<m)か否かを比較判定する(ステップS123)。
【0130】
ステップS123における列を指定するための変数の比較において、変数“j”が列数mよりも小さいと判定された場合(j<m)には、上述したステップS113からS123までの処理が再度実行され、ステップS123において、変数“j”が列数mと一致(j=m)すると判定されるまで同様の処理が繰り返し実行される。
【0131】
ステップS123において、変数“j”が列数mと一致(j=m)すると判定された場合には、i行目の全ての表示画素PIXについて、補正データとなるオフセット設定値Mincがシフトレジスタ・データレジスタ部141に出力されたことになり、当該シフトレジスタ・データレジスタ部141によりこれらの補正データがフレームメモリ145に順次転送されて、所定の記憶領域に個別に格納される。
【0132】
次いで、上述したi行目の全ての表示画素PIXについて補正データを取得後、上述した一連の処理動作を、次の行(i+1行目)の表示画素PIXに対しても実行するために、行を指定するための変数“i”をインクリメントする処理(i=i+1)を実行する(ステップS124)。ここで、インクリメント処理された変数“i”が表示領域110に設定された総行数nよりも小さい(i<n)か否かを比較判定する(ステップS125)。
【0133】
ステップS125における行を指定するための変数の比較において、変数“i”が行数nよりも小さいと判定された場合(i<n)には、上述したステップS112からS125までの処理が再度実行され、ステップS125において、変数“i”が行数nと一致(i=n)すると判定されるまで同様の処理が繰り返し実行される。
【0134】
ステップS125において、変数“i”が行数nと一致(i=n)すると判定された場合には、各行の表示画素PIXに対する補正データ取得動作が表示領域110の全行について実行され、各表示画素PIXの補正データがフレームメモリ145の所定の記憶領域に個別に格納されたものとして、上述した一連の補正データ取得動作を終了する。
【0135】
なお、フレームメモリ145は、上述した補正データ取得動作及び後述する書込動作のいずれの際にも、蓄積されているオフセット設定値Mincを、シフトレジスタ・データレジスタ部141を介して各列に設けられたオフセット電圧生成部143に出力する。
また、上述した一連の補正データ取得動作の期間においては、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)の各端子の電位は、上述した(3)〜(10)式の関係を満たしており、故に有機EL素子OLEDには電流が流れず発光動作しない。
【0136】
このように、補正データ取得動作の場合、図12に示すように、定電流源152を電源電圧ラインLvに接続し、当該電源電圧ラインLvとデータラインLd間の電圧(参照電圧Vref_x)を測定し、図13に示すように、電源ドライバ130を電源電圧ラインLvに接続して、当該電源電圧ラインLvとデータラインLd間の電圧(検出電圧Vdet)と上記参照電圧Vref_xとを比較し、その比較判定結果に基づいて、初期状態におけるV−I特性線SPwにしたがったx階調でのトランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Ids_xを期待値としたときに、書込動作時にこの期待値に近似したトランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Idsを流すための調整電圧Vadjを設定し、このときのオフセット電圧Vofstにおけるオフセット設定値Mincを補正データとしてフレームメモリ145に保存する。
【0137】
つまり、オフセット電圧生成部143からのオフセット設定値Mincにしたがった負電位のオフセット電圧Vofst(p)と、階調電圧生成部142からのx階調の負電位の原階調電圧Vorg_とを、電圧調整部144が上記(13)式のように加算してなされる調整電圧Vadj(p)を生成し、調整電圧Vadj(p)が書込動作時にトランジスタTr13の期待値のドレイン・ソース間電流Ids_xに近似するよう補正されると、当該調整電圧Vadj(p)の電位をデータラインLdに印加する補正階調電圧Vpixとして扱えるように、この調整電圧Vadj(p)を生成するためのオフセット設定値Mincをフレームメモリ145に保存する。
【0138】
したがって、このような一連の補正データ取得動作によれば、表示領域110(図9では上方領域又は下方領域)に配列されている表示画素PIXに対して共通に接続された電源電圧ラインLvに唯一の電圧比較回路150Aを設け、各行各列の表示画素PIXごとに定電流源152から参照電流Iref_xを流した場合と調整電圧Vadjを印加した場合における、データラインLdと電源電圧ラインLVとの間の電位差(参照電圧Vref_x、検出電圧Vdet)を測定して相互に比較することにより、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられたトランジスタTr13(駆動トランジスタ)のしきい値電圧の変化量に応じたオフセット設定値Mincを補正データとして順次取得して(点順次動作)、フレームメモリ145に各表示画素PIXごとに格納することができる。
【0139】
なお、上述した補正データ取得動作においては、原階調電圧Vorg_xを、表示信号生成回路160から供給される各表示画素PIXごとの表示データに基づいて階調電圧生成部142により生成したが、調整用の原階調電圧Vorg_xを固定値として、表示信号生成回路160から表示データを供給されること無しに階調電圧生成部142が出力するように設定してもよい。このときの調整用の原階調電圧Vorg_xは前述したように、参照電流Iref_xが、発光動作期間に有機EL素子OLEDが最高輝度階調(もしくはその近傍の階調)で発光するような電流となるような電位であることが好ましい。
【0140】
また、本実施形態においては、トランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Idsが、表示トランジスタTr13からデータドライバ140に流れる電流引き込み型の表示装置であるため、単位電圧Vunitが負の値となったが、データドライバから、有機EL素子OLEDに直列に接続されるトランジスタに向けて当該トランジスタのドレイン・ソース間電流Idsが流れる電流押し込み型の表示装置の場合には、単位電圧Vunitを正の値に設定し、また、電圧比較回路150Aに設けられる定電流源152により参照電流Iref_xを引き込むように設定する。
【0141】
(表示駆動動作)
次に、本実施形態に係る表示装置における表示駆動動作について説明する。
図14は、本実施形態に係る表示装置における表示駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、説明の都合上、表示領域110にマトリクス状に配列された表示画素PIXのうち、i行j列目、及び、(i+1)行j列目の表示画素PIXを、表示データに応じた輝度階調で発光動作させる場合のタイミングチャートを示す。
【0142】
本実施形態に係る表示装置100の表示駆動動作は、例えば図14に示すように、i行及び(i+1)行を含む表示領域110の上方領域又は下方領域いずれかのグループの表示画素PIXにおいて、所定の表示駆動期間(1処理サイクル期間)Tcyc内に、少なくとも、表示信号生成回路160から供給される各表示画素PIXごとの表示データに応じた原階調電圧Vorgに、フレームメモリ145に格納された上記補正データをオフセット設定値Mincとして設定して生成されるオフセット電圧Vofstを加算して補正階調電圧Vpixを生成し、各データラインLdを介して例えばi行目の各表示画素PIXに印加することにより、当該補正階調電圧Vpixに基づいた書込電流(トランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Ids)を流す書込動作(書込動作期間Twrt)と、該書込動作により表示画素PIXの画素駆動回路DCに設けられたトランジスタTr13のゲート−ソース間に書き込み設定された、上記補正階調電圧Vpixに応じた電圧成分、つまりトランジスタTr13が書込電流を流す程度の電荷をキャパシタCsに充電して保持する保持動作(保持動作期間Thld)と、該保持動作によりキャパシタCsに保持された電圧成分に基づいて、トランジスタTr13の素子特性の変動の影響が補償され、表示データに応じた電流値を有する発光駆動電流Iemを有機EL素子OLEDに流して、所定の輝度階調で発光させる発光動作(発光動作期間Tem)と、を実行するように設定されている(Tcyc≧Twrt+Thld+Tem)。
【0143】
ここで、本実施形態に係る表示駆動期間Tcycに適用される1処理サイクル期間は、例えば、1つの表示画素PIXが1フレームの画像のうちの1画素分の画像情報を表示するのに要する期間に設定される。すなわち、複数の表示画素PIXを行方向及び列方向にマトリクスに配列した表示領域110において、1フレームの画像を表示する場合、上記1処理サイクル期間Tcycは、1行分の表示画素PIXが1フレームの画像のうちの1行分の画像を表示するのに要する期間に設定される。
【0144】
(書込動作)
図15は、本実施形態に係る表示装置における書込動作の一例を示すフローチャートであり、図16は、本実施形態に係る表示装置における書込動作を示す概念図である。
書込動作(書込動作期間Twrt)においては、図14に示すように、まず、i行目の表示画素PIXに接続された電源電圧ラインLvに対して、上述した画素回路部DCxの書込動作と同様に、書込動作レベルである低電位の電源電圧(第1の電源電圧)Vcc(=Vccw≦基準電圧Vss)を印加した状態で、i行目の選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択信号Sselを印加して、i行目の各表示画素PIXを選択状態に設定する。これにより、画素駆動回路DCに設けられたトランジスタTr11(保持トランジスタ)及びトランジスタTr12がオン動作して、トランジスタTr13(駆動トランジスタ)がダイオード接続状態に設定されて、電源電圧VccがトランジスタTr13のドレイン端子及びゲート端子に印加されるとともに、同ソース端子がデータラインLdに接続される。
【0145】
このタイミングに同期して、データラインLdに表示データに応じた補正階調電圧Vpixが印加される。ここで、補正階調信号Vpixは、例えば図15に示すような一連の処理動作(階調電圧補正動作)に基づいて生成される。
すなわち、図15に示すように、まず、表示信号生成回路160から供給された表示データを、シフトレジスタ・データレジスタ部141を介して取り込んで各列(各データラインLd)に対応して設けられた階調電圧生成部142に転送し、当該表示データから書込動作の対象となっている(選択状態に設定されている)表示画素PIXの輝度階調値(輝度階調データ)を取得し(ステップS311)、当該輝度階調値が“0”か否かを判定する(ステップS312)。
【0146】
ステップS312における階調値判定動作において、輝度階調値が”0”の場合には、階調電圧生成部142から無発光動作(又は黒表示動作)を行うための所定の階調電圧(黒階調電圧)Vzeroを出力し、電圧調整部144においてオフセット電圧Vofstを加算することなく(つまり、トランジスタTr12、トランジスタTr13のしきい値電圧の変動に対する補償処理を行うことなく)、そのままデータラインLdに印加する(ステップS313)。
【0147】
ここで、データラインLdに印加される無発光動作のための階調電圧Vzeroは、ダイオード接続されたトランジスタTr13のゲート−ソース間に印加される電圧Vgs(≒Vccw−Vzero)が当該トランジスタTr13のしきい値電圧Vth、又は、変動後のしきい値電圧(Vth0+ΔVth;Vth0はトランジスタTr13の初期時のしきい値電圧)よりも低くなる関係(Vgs<Vth)を有する電圧値(−Vzero<Vth−Vccw)に設定されている。ここで、階調電圧Vzeroは、トランジスタTr12、Tr13のしきい値電圧Vthの変動を抑制するため、Vzero=Vccwであることが好ましい。
【0148】
一方、ステップS312において、輝度階調値が”0”ではない場合には、階調電圧生成部142から当該輝度階調値に応じた電圧値を有する原階調電圧Vorgが生成されて出力されるとともに、上述した補正データ取得動作により取得され、フレームメモリ145に各表示画素PIXごとに対応して格納された補正データを、シフトレジスタ・データレジスタ部141を介して順次読み出し(ステップS314)、各列のデータラインLdごとに設けられたオフセット電圧生成部143に出力し、当該補正データをオフセット設定値Mincとして単位電圧Vunitに乗算して、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13のしきい値電圧の変化量に応じたオフセット電圧Vofst(=Vunit×Minc)を生成する(ステップS315)。
【0149】
そして、図16に示すように、電圧調整部144において上記階調電圧生成部142から出力される負電位の原階調電圧Vorgと、オフセット電圧生成部143から出力される負電位のオフセット電圧Vofstとを(12)式を満たすように加算して負電位の補正階調電圧Vpixを生成した後(ステップS316)、データラインLdに印加する。ここで、電圧調整部144において生成される補正階調電圧Vpixは、電源ドライバ130から電源電圧ラインLvに印加される書込動作レベルの低電位の電源電圧Vcc(=Vccw)を基準として、相対的に負電位の電圧振幅を有するように設定されている。すなわち、補正階調電圧Vpixは、階調が高くなるにしたがって負電位側により低く(電圧振幅の絶対値は大きく)なる。
【0150】
これにより、図16に示すように、選択状態に設定された表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13のソース端子(接点N12)に、当該トランジスタTr13のしきい値電圧Vth、又は、変動後のしきい値電圧(Vth0+ΔVth)に応じたオフセット電圧Vofstを加算して補正した補正階調電圧Vpixが印加されるので、トランジスタTr13のゲート−ソース間(キャパシタCsの両端)に、当該補正階調電圧Vpixに応じた電圧Vgs(=Vccw−Vpix)が書き込み設定される(ステップS317)。このような書込動作においては、トランジスタTr13のゲート端子及びソース端子に対して、表示データに応じた電流を流して電圧成分を設定するのではなく、直接所望の電圧を印加しているので、各端子や接点の電位を速やかに所望の状態に設定することができる。
【0151】
なお、この書込動作期間Twrtにおいても、有機EL素子OLEDのアノード端子側の接点N12に印加される補正階調電圧Vpixの電圧値が、カソード端子TMcに印加される基準電圧Vssよりも低くなるように設定されている(つまり、有機EL素子OLEDが逆バイアス状態に設定されている)ので、有機EL素子OLEDには電流が流れず発光動作しない。
【0152】
(保持動作)
図17は、本実施形態に係る表示装置における保持動作を示す概念図である。
次いで、上述したような書込動作期間Twrtの終了後の保持動作(保持動作期間Thld)においては、図14に示すように、i行目の選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択信号Sselを印加することにより、図17に示すように、トランジスタTr11及びTr12をオフ動作させて、トランジスタTr13のダイオード接続状態を解除するとともに、トランジスタTr13のソース端子(接点N12)への補正階調電圧Vpixの印加を遮断して、トランジスタTr13のゲート−ソース間(キャパシタCsの両端)に印加されていた電圧成分、すなわち、しきい値電圧Vth、又は、変動後のしきい値電圧(Vth0+ΔVth)が補償された電圧成分を充電して保持する。
【0153】
なお、本実施形態に係る表示装置の駆動方法においては、図14に示すように、i行目の表示画素PIXに対して上述したような書込動作が終了した後の保持動作期間Thldにおいて、選択ドライバ120から(i+1)行目以降の選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択信号Sselが異なるタイミングで順次印加されることにより、(i+1)行目以降の表示画素PIXに対して各行ごとに、上記と同様に、表示データに応じた補正階調電圧Vpixを書き込む書込動作が順次実行される。したがって、i行目の表示画素PIXの保持動作期間Thldにおいては、当該i行目が含まれるグループの他の全ての行の表示画素PIXに対して表示データに応じた電圧成分(補正階調電圧Vpix)が順次書き込まれるまで保持動作が継続される。
【0154】
(発光動作)
図18は、本実施形態に係る表示装置における発光動作を示す概念図である。
次いで、書込動作及び保持動作終了後の発光動作(発光動作期間Tem)においては、図14に示すように、i行目を含むグループの各行の選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択信号Sselを印加した状態で、当該グループの各行の表示画素PIXに共通に接続された電源電圧ラインLvに発光動作レベルである、基準電圧Vssより高電位(正の電圧)の電源電圧(第2の電源電圧)Vcc(=Vcce>Vss)を印加する。
【0155】
ここで、電源電圧ラインLvに印加される高電位の電源電圧Vcc(=Vcce)は、図7、図8に示した場合と同様に、電位差Vcce−Vssが、トランジスタTr13の飽和電圧(ピンチオフ電圧Vpo)と有機EL素子OLEDの駆動電圧(Voled)との和よりも大きくなるように設定されているので、トランジスタTr13が飽和領域で動作する。また、有機EL素子OLEDのアノード側(接点N12)には上記書込動作によりトランジスタTr13のゲート−ソース間に書き込み設定された電圧成分(|Vpix−Vccw|)に応じた正の電圧が印加され、一方、カソード端子TMcには基準電圧Vss(例えば接地電位)が印加されることにより、有機EL素子OLEDは順バイアス状態に設定されるので、図18に示すように、電源電圧ラインLvからトランジスタTr13を介して有機EL素子OLEDに、表示データに応じた階調となるように、すなわち、トランジスタTr13のしきい値電圧Vth、又は、変動後のしきい値電圧(Vth0+ΔVth)に合わせて補正した階調電圧である補正階調電圧Vpixに応じた電流値を有する発光駆動電流Iem(トランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Ids)が流れ、所定の輝度階調で発光動作する。
この発光動作は、次の表示駆動期間(1処理サイクル期間)Tcycにおいて、電源ドライバ130から書込動作レベル(負の電圧)の電源電圧Vcc(=Vccw)の印加が開始されるタイミングまで継続して実行される。
【0156】
このような一連の表示駆動動作によれば、図14に示すように、表示領域110に配列されている各行の表示画素PIXに対して、書込動作レベルの電源電圧Vcc(=Vccw)を印加した状態で、各行ごとに補正階調電圧Vpixを書き込み、所定の電圧成分(|Vpix−Vccw|)を保持する動作を順次行い、書込動作及び保持動作が終了した行の表示画素PIXに対して、発光動作レベルの電源電圧Vcc(=Vcce)を印加することにより、当該行の表示画素PIXを発光動作させることができる。
【0157】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置の第2の実施形態について具体的に説明する。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成及び駆動方法については、その説明を省略又は簡略化する。
【0158】
<表示装置>
図19は、第2の実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバ、比較判定回路部及び表示画素(画素駆動回路及び発光素子)の一例を示す要部構成図である。なお、本実施形態に係る表示領域110(表示画素DCを含む)、選択ドライバ120、電源ドライバ130、データドライバ140、システムコントローラ160及び表示信号生成回路170は、上述した第1の実施形態と同等であるので、その説明を省略又は簡略化する。
【0159】
上述した第1の実施形態においては、発光駆動用のトランジスタTr13のしきい値電圧の変動を補償するための補正データ(オフセット設定値)を取得する手法として、電圧比較回路150Aに設けられた定電流源152から電源電圧ラインLvを介して表示画素PIX(画素駆動回路DC)に所定の参照電流Iref_xを流し込んだ状態と、データドライバ140からデータラインLvを介して表示画素PIXに所定の調整電圧Vadjを印加した状態における、トランジスタTr13のゲート・ソース間電圧Vgs_xに相当する電圧成分、すなわち電源電圧ラインLvとデータラインLd間の電位差(参照電圧Vref_x、検出電圧Vdet)を測定して比較する場合について説明したが、本実施形態においては、データドライバ140からデータラインLvを介して表示画素PIXに所定の調整電圧Vadjを印加した状態において当該表示画素PIX(電源電圧ラインLv)に流れる検出電流Idetと所定の参照電流Irefとを図示を省略した電流比較器により比較することにより、補正データを取得する手法を有している。
【0160】
本実施形態に係る表示装置100に適用されるデータドライバ140は、上述した第1の実施形態と同様に、シフトレジスタ・データレジスタ部141と、階調電圧生成部142と、オフセット電圧生成部143と、電圧調整部144と、を備えている。ここで、オフセット電圧生成部143は、補正データ取得動作においては、後述する比較判定回路部150(本実施形態においては、電流比較回路150B)から出力される比較判定結果に基づいて、オフセット設定値(変数)Mincを順次増加させ、単位電圧Vunit分ずつ増加設定されたオフセット電圧(補償電圧)Vofstを生成し、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられた駆動トランジスタの素子特性(トランジスタTr13のしきい値電圧Vth)の変化量(図4(a)に示したΔVthに相当する)に応じたオフセット電圧Vofstとなる場合のオフセット設定値Mincを補正データとして抽出する。一方、表示データの書込動作においては、単位電圧Vunitに上記抽出された補正データ(オフセット設定値Minc)を乗算してオフセット電圧Vofstを生成して電圧調整部144に出力する。
【0161】
また、本実施形態に係る表示装置100に適用される電圧比較回路部150は、例えば図19に示すように、少なくとも内部に電流計156及び定電流源157を備えた電流比較回路150Bであって、システムコントローラ160から供給される比較制御信号に基づいて、所定のタイミングで電流計156により測定される検出電流Idetと定電流源157における参照電流Irefとを比較することにより、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13のしきい値電圧Vthの変動を検出する。
【0162】
詳しくは後述するが、電流比較回路150Bは、補正データ取得動作において、上記電圧調整部144により電圧値を変化(変調)させて生成される調整電圧Vadjを、データラインLdを介して特定の表示画素PIX(画素駆動回路DC)に順次印加し、当該データラインLdに印加された調整電圧Vadjと電源電圧ラインLvに印加される電源電圧Vcc(=Vccw)との間に生じる電位差により、電源ドライバ130から電源電圧ラインLv、当該表示画素PIX(画素駆動回路DC)及びデータラインLdを介してデータドライバ140に流れる電流(検出電流Idet:特定値)の電流値を、電源電圧ラインLvに設けられた電流計156により測定する。
【0163】
そして、当該電流値と、定電流源157により予め設定された所定階調(例えば最高輝度階調)における所定の電流値となる参照電流Iref(例えば有機EL素子OLEDを最高輝度階調で発光するために要する電流値)とを比較してその大小関係(比較判定結果)を、上記特定の表示画素PIXにデータラインLdを介して接続されたデータドライバ140のオフセット電圧生成部143に出力する。なお、書込動作時においては、上記電圧調整部144により生成された補正階調電圧VpixがデータラインLdを介して各表示画素PIXに印加されるが、電源電圧ラインLvに流れる電流の測定や電流比較処理は行われない。このため、例えば、書込動作時において電流比較回路150Bを迂回する構成を更に備えるものであってもよい。
【0164】
この参照電流Irefの電流値は、画素駆動回路DCのトランジスタTr13が初期状態にあって駆動履歴による素子特性の変動が殆ど生じていない初期特性を維持している状態であるときに、調整電圧Vadjから単位電圧Vunitを引いた電圧をデータラインLdに印加したときの、画素駆動回路DCのトランジスタTr13のドレイン−ソース間に流れる電流Idsの電流値に対応するものである。上述した第1の実施形態において説明したよう、単位電圧Vunitとして、隣接する階調におけるドレイン・ソース間電圧Vds相互の電圧差を適用した場合には、調整電圧Vadjから1階調下の階調電圧をデータラインLdに印加したときの、初期特性を維持している状態のトランジスタTr13のドレイン−ソース間に流れる電流Idsの電流値が参照電流Irefの電流値となる。
【0165】
<表示装置の駆動制御方法>
次に、本実施形態に係る表示装置における駆動方法について説明する。
本実施形態に係る表示装置100の駆動制御動作は、表示領域110に配列された各表示画素PIX(画素駆動回路DC)の発光駆動用のトランジスタTr13の素子特性の変動に対応するオフセット電圧Vofst(厳密には、検出電流Idet)を検出して、当該オフセット電圧Vofstを生成するためのオフセット設定値を、表示画素PIXごとに補正データとしてフレームメモリ145に記憶する補正データ取得動作と、上述した第1の実施形態と同様に、上記補正データに基づいて生成された補正階調電圧Vpixを各表示画素PIXに書き込んで、当該表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられたトランジスタTr13の素子特性の変動の影響を補償した発光駆動電流Iemを供給して、有機EL素子OLEDを表示データに応じた輝度階調で発光させる表示駆動動作と、を有している。
【0166】
(補正データ取得動作)
図20は、本実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作の一例を示すフローチャートであり、図21は、本実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作を示す概念図である。
【0167】
本実施形態に係る補正データ取得動作は、図20に示すように、まず、例えばフレームメモリ145からシフトレジスタ・データレジスタ部141を介して、各列(データラインLd)に対応して設けられた各オフセット電圧生成部143にi行目の表示画素PIX分のオフセット設定値Minc(初期時ではMinc=0)を読み込ませた後(ステップS211)、i行目の表示画素PIXに接続された電源電圧ラインLv(本実施形態においては、i行目が含まれるグループの全表示画素PIXに共通に接続された電源電圧ラインLv)に対して、電源ドライバ130から書込動作レベルである低電位の電源電圧Vcc(=Vccw≦基準電圧Vss;第1の電源電圧)を印加した状態で、選択ドライバ120からi行目の選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択信号Sselを印加して、i行目の表示画素PIXを選択状態に設定する(ステップS212)。
【0168】
これにより、i行目の表示画素PIXが選択状態に設定されて、トランジスタTr13がダイオード接続状態に設定され、電源電圧Vcc(=Vccw)がトランジスタTr13のドレイン端子及びゲート端子(接点N11;キャパシタCsの一端側)に印加されるとともに、トランジスタTr13のソース端子(接点N12;キャパシタCsの他端側)がデータラインLdに電気的に接続される。
【0169】
次いで、図21に示すように、上記選択状態に設定されたi行目の表示画素PIXのうち、j列目のデータラインLdに対応して設けられたオフセット電圧生成部143に入力されたオフセット設定値Mincに基づいて、上記(11)式の通り、オフセット電圧Vofstを設定する。これにより、i行j列目の表示画素PIXが選択状態に設定されたことになる(ステップS213、S214)。
ここで、上述した第1の実施形態と同様に、オフセット電圧生成部143において生成されるオフセット電圧Vofstは、単位電圧Vunitにオフセット設定値Mincを乗算することにより算出されるので(Vofst=Vunit×Minc)、初期時において、しきい値シフトがない場合、オフセット設定値Minc=0であり、オフセット電圧Vofstの初期値は0Vとなる。
【0170】
そして、電圧調整部144は、オフセット電圧生成部143から出力されるオフセット電圧Vofstと、表示データに基づいて調電圧生成部142から出力される所定の階調(x階調)の原階調電圧Vorg_xとを上記(13)式のように加算して調整電圧Vadj(p)を生成し(ステップS215)、j列目のデータラインLdに印加する(ステップS216)。
【0171】
これにより、トランジスタTr12を介して、トランジスタTr13のソース端子(接点N12)に上記調整電圧Vadj(p)(=Vofst(p)+Vorg_x)が印加されるとともに、トランジスタTr13のゲート端子(接点N11)及びドレイン端子に低電位の電源電圧Vccwが印加されるので、トランジスタTr13のゲート−ソース間(キャパシタCsの両端)に、調整電圧Vadj(p)と電源電圧Vccwとの差分に相当する電圧成分(|Vadj(p)−Vccw|)が印加されてトランジスタTr13がオン動作する。
【0172】
次いで、上記電圧調整部144からj列目のデータラインLdに調整電圧Vadjを印加した状態において、電源電圧ラインLvに唯一設けられた電流比較回路150Bの電流計156により電源電圧ラインLvに流れる電流(検出電流)Idetの値を測定する(ステップS217)。ここで、表示画素PIXにおける電圧関係は、電源電圧ラインLvに印加される電源電圧Vccwよりも低電位の調整電圧VadjがデータラインLdに印加されるので、上記検出電流Idetは電源ドライバ130から電源電圧ラインLv、表示画素PIX、データラインLdを介してデータドライバ140(電圧調整部144)方向に流れる。このとき、電源ドライバ130から流れる検出電流Idetが、j列目以外のデータラインLdには流れないようにする。このために、例えば、j列目以外のデータラインLdに設けられた電圧調整部144において、各データラインLdがフローティング状態となるようにする。
【0173】
次いで、電流比較回路150Bにおいて、電流計156により測定された検出電流Idetの電流値と、表示画素PIX(有機EL素子OLED)を上記任意の輝度階調(例えば最高輝度階調)で発光動作させる場合に電源電圧ラインLvに流れる電流の設計上の数値(参照電流Irefの電流値)とを比較する。例えば、検出電流Idetが参照電流Irefより小さいか否かを比較する(ステップS218)。
【0174】
この比較処理において、検出電流Idetが参照電流Irefよりも小さい場合、このときの調整電圧Vadj(p)をそのまま補正階調電圧Vpixとして書込動作時にデータラインLdに印加すると、トランジスタTr12及びトランジスタTr13のV−I特性線SPw2によるしきい値シフトの影響によって、本来の表示したい階調での電流を、トランジスタTr13のドレイン−ソース間に流すことができず、本来表示したい階調よりも低い階調での電流がトランジスタTr13のドレイン−ソース間に流れる可能性がある。
【0175】
このため、検出電流Idetが参照電流Irefよりも小さい場合、電流比較回路150Bは、オフセット電圧生成部143のカウンタのカウンタ値を1つ上げる比較判定結果(例えば正電圧信号)をオフセット電圧生成部143のカウンタに出力する。オフセット電圧生成部143のカウンタがカウントを1つ上げるとオフセット電圧生成部143は、オフセット設定値Mincの値に1を加算し(ステップS219)、加算されたオフセット設定値Mincに基づいて再びステップS214を繰り返して上記(14)式を満たすVofst(p+1)を生成する。
【0176】
その後、ステップS214以降のステップに続き、ステップS218で検出電流Idetが参照電流Irefより大きくなるまで繰り返される。
ステップS218において、検出電流Idetが参照電流Irefより大きい場合、電流比較回路150Bは、オフセット電圧生成部143のカウンタのカウンタ値を上げない比較判定結果(例えば負電圧信号)をオフセット電圧生成部143のカウンタに出力する。
【0177】
カウンタに上記比較判定結果(負電圧信号)が取り込まれると、オフセット電圧生成部143は、調整電圧Vadj(p)がトランジスタTr12及びトランジスタTr13のV−I特性線SPw2によるしきい値シフト電位分を補正したとみなし、そのときの調整電圧Vadj(p)をデータラインLdに印加する補正階調電圧Vpixとするように、そのときのオフセット設定値Mincを補正データとしてシフトレジスタ・データレジスタ部141に出力する(ステップS220)。
【0178】
以下、上述した第1の実施形態と同様に、上述したi行j列目の表示画素PIXに対して補正データを取得後(シフトレジスタ・データレジスタ部141への出力後)、列を指定するための変数“j”をインクリメントする処理(j=j+1)を実行し(ステップS221)、当該変数“j”と表示領域110に設定された総列数mとを比較判定する(ステップS222)。
【0179】
ステップS222において、変数“j”が列数mよりも小さいと判定された場合(j<m)には、上述したステップS213からS222までの処理が再度実行され、ステップS222において、変数“j”が列数mと一致(j=m)すると判定されるまで同様の処理が繰り返し実行される。
【0180】
そして、ステップS222において、変数“j”が列数mと一致(j=m)すると判定された場合には、i行目の全ての表示画素PIXについて、補正データとなるオフセット設定値Mincがシフトレジスタ・データレジスタ部141に出力されたことになり、当該シフトレジスタ・データレジスタ部141によりこれらの補正データがフレームメモリ145に順次転送されて、所定の記憶領域に個別に格納される。
【0181】
次いで、上述したi行目の表示画素PIXに対して補正データを取得後、行を指定するための変数“i”をインクリメントする処理(i=i+1)を実行し(ステップS223)、当該変数“i”と表示領域110に設定された総行数nとを比較判定する(ステップS224)。
【0182】
ステップS224において、変数“i”が行数nよりも小さいと判定された場合(i<n)には、上述したステップS212からS224までの処理が再度実行され、ステップS224において、変数“i”が行数nと一致(i=n)すると判定されるまで同様の処理が繰り返し実行される。
【0183】
そして、ステップS224において、変数“i”が行数nと一致(i=n)すると判定された場合には、各行の表示画素PIXに対する補正データ取得動作が表示領域110の全行について実行され、各表示画素PIXの補正データがフレームメモリ145の所定の記憶領域に個別に格納されたものとして、上述した一連の補正データ取得動作を終了する。
なお、上述した一連の補正データ取得動作の期間においては、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)の各端子の電位は、上述した(3)〜(10)式の関係を満たしており、故に有機EL素子OLEDには電流が流れず発光動作しない。
【0184】
このように、補正データ取得動作の場合、図21に示すように、電源電圧ラインLvに所定の電源電圧Vcc(=Vccw)を印加し、データラインLdに調整電圧Vadjを印加した場合に、データドライバ140から表示画素PIX、電源電圧ラインLvを介して電源ドライバ130に流れる電流(検出電流Idet)を、電源電圧ラインLVに設けられた電流比較回路150B(電流計156)により測定し、当該検出電流Idetと所定の参照電流Irefとを比較し、その比較判定結果に基づいて、初期状態におけるV−I特性線SPwにしたがったx階調でのトランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Ids_xを期待値としたときに、書込動作時にこの期待値に近似したトランジスタTr13のドレイン・ソース間電流Idsを流すための調整電圧Vadjを設定し、このときのオフセット電圧Vofstにおけるオフセット設定値Mincを補正データとしてフレームメモリ145に保存する。
【0185】
したがって、このような一連の補正データ取得動作によれば、表示領域110(図9では上方領域又は下方領域)に配列されている表示画素PIXに対して共通に接続された電源電圧ラインLvに唯一の電流比較回路150Bを設け、各行各列の表示画素PIXごとに調整電圧Vadjを印加した場合に電源電圧ラインLVに流れる電流(検出電流Idet)の値と、定電流源1572より生成される参照電流Irefの値とを比較することにより、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられたトランジスタTr13(駆動トランジスタ)のしきい値電圧の変化量に応じたオフセット設定値Mincを補正データとして順次取得して(点順次動作)、フレームメモリ145に各表示画素PIXごとに格納することができる。
【0186】
(表示駆動動作)
次に、本実施形態に係る表示装置における表示駆動動作について説明する。
図22は、本実施形態に係る表示装置における書込動作を示す概念図であり、図23は、本実施形態に係る表示装置における保持動作を示す概念図であり、図24は、本実施形態に係る表示装置における発光動作を示す概念図である。ここで、表示駆動動作におけるタイミングチャート及びフローチャートは、上述した第1の実施形態と同等であるので、図14及び図15を参照し、その説明を簡略化する。
【0187】
本実施形態に係る表示装置100の表示駆動動作は、上述した第1の実施形態(図14参照)と同様に、所定の表示駆動期間(1処理サイクル期間)Tcyc内に、少なくとも書込動作(書込動作期間Twrt)と、保持動作(保持動作期間Thld)と、発光動作(発光動作期間Tem)と、を実行するように設定されている(Tcyc≧Twrt+Thld+Tem)。
【0188】
本実施形態に係る書込動作(書込動作期間Twrt)においては、図14及び図22に示すように、まず、i行目の表示画素PIXに接続された電源電圧ラインLvに対して、書込動作レベルである低電位の電源電圧(第1の電源電圧)Vcc(=Vccw≦基準電圧Vss)を印加した状態で、i行目の選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択信号Sselを印加して、i行目の各表示画素PIXを選択状態に設定することにより、トランジスタTr13(駆動トランジスタ)をダイオード接続状態に設定するとともに、当該トランジスタTr13のドレイン端子及びゲート端子に電源電圧Vccを印加するとともに、同ソース端子をデータラインLdに接続する。
【0189】
このタイミングに同期して、図15に示すような一連の処理動作(階調電圧補正動作)に基づいて、データラインLdに表示データに応じた補正階調電圧Vpixが印加される。
すなわち、表示信号生成回路160からシフトレジスタ・データレジスタ部141を介して取り込まれた各表示画素PIXごとの表示データが各列に対応して設けられた階調電圧生成部142に転送され、当該表示データに含まれる輝度階調値に応じた電圧値を有する原階調電圧Vorgが生成されて電圧調整部144に出力される。
【0190】
一方、上記表示データの取り込み動作の前又は後のタイミングで、上述した補正データ取得動作により取得され、フレームメモリ145に各表示画素PIXごとに格納された補正データが、シフトレジスタ・データレジスタ部141を介して、各列に対応して設けられたオフセット電圧生成部143に転送され、当該補正データ(オフセット設定値Minc)に所定の単位電圧Vunitを乗算して生成されたオフセット電圧Vofstが電圧調整部144に出力される。
【0191】
そして、電圧調整部144において上記原階調電圧Vorgとオフセット電圧Vofstとを加算して負電位の補正階調電圧Vpixを生成してデータラインLdに印加する。
なお、表示データに含まれる輝度階調値が”0”の場合には、無発光動作(又は黒表示動作)を行うための所定の階調電圧(黒階調電圧)Vzeroが階調電圧生成部142により出力され、電圧調整部144においてオフセット電圧Vofstを加算することなく、そのままデータラインLdに印加される。
【0192】
これにより、図22に示すように、選択状態に設定された表示画素PIX(画素駆動回路DC)のトランジスタTr13のソース端子(接点N12)に、当該トランジスタTr13のしきい値電圧Vth、又は、変動後のしきい値電圧(Vth0+ΔVth)に応じて補正された補正階調電圧Vpixが印加されるので、トランジスタTr13のゲート−ソース間(キャパシタCsの両端)に、当該補正階調電圧Vpixに応じた電圧Vgs(=Vccw−Vpix)が書き込み設定されるこのような書込動作においては、トランジスタTr13のゲート端子及びソース端子に対して、直接所望の電圧を印加しているので、各端子や接点の電位を速やかに所望の状態に設定することができる。
【0193】
次いで、保持動作(保持動作期間Thld)においては、図14及び図23に示すように、i行目の選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択信号Sselを印加することにより、i行目の各表示画素PIXを非選択状態に設定し、トランジスタTr13のダイオード接続状態を解除するとともに、トランジスタTr13のソース端子(接点N12)とデータラインLdとの接続を遮断して、トランジスタTr13のゲート−ソース間(キャパシタCsの両端)に印加されていた電圧成分をキャパシタCsに充電して保持する。
【0194】
なお、この書込動作期間Twrt及び保持動作期間Thldにおいても、有機EL素子OLEDのアノード端子側の接点N12に印加される補正階調電圧Vpixの電圧値が、カソード端子TMcに印加される基準電圧Vssよりも低くなるように設定されているので、有機EL素子OLEDには電流が流れず発光動作しない。
【0195】
次いで、発光動作(発光動作期間Tem)においては、図14及び図24に示すように、各行の選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択信号Sselを印加して、各行の表示画素PIXを非選択状態に設定した状態で、各行の表示画素PIXに共通に接続された電源電圧ラインLvに対して、発光動作レベルである高電位の電源電圧(第2の電源電圧)Vcc(=Vcce>基準電圧Vss)を印加することにより、トランジスタTr13が飽和領域で動作する。
【0196】
このとき、有機EL素子OLEDのアノード側(接点N12)には上記書込動作によりトランジスタTr13のゲート−ソース間に書き込み設定された電圧成分に応じた正の電圧が印加され、一方、カソード端子TMcには基準電圧Vss(例えば接地電位)が印加されることにより、有機EL素子OLEDは順バイアス状態に設定され、電源電圧ラインLvからトランジスタTr13を介して有機EL素子OLEDに補正階調電圧Vpixに応じた電流値を有する発光駆動電流Iemが流れ、所定の輝度階調で発光動作する。
【0197】
したがって、このような一連の表示駆動動作によれば、上述した第1の実施形態と同様に、表示領域110に配列されている各行の表示画素PIXに対して、書込動作レベルの電源電圧Vcc(=Vccw)を印加した状態で、各行ごとに補正階調電圧Vpixを書き込み、所定の電圧成分(|Vpix−Vccw|)を保持する動作を順次行い、書込動作及び保持動作が終了した行の表示画素PIXに対して、発光動作レベルの電源電圧Vcc(=Vcce)を印加することにより、当該行の表示画素PIXを発光動作させることができる。
【0198】
なお、上述した各実施形態においては、補正データ取得動作において用いられる参照電流Iref_x、Irefを比較判定回路部150(電圧比較回路150A、電流比較回路150B)に設けられた定電流源152、157により供給する構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば比較判定回路部150内に設けられたメモリに記憶されているものであってもよいし、例えばシステムコントローラ160等から供給されて、比較判定回路部150内に設けられたレジスタに一時保存されるものであってもよい。
【0199】
<駆動方法の具体例>
次に、図9に示したような表示領域110を備えた表示装置100に特有の駆動方法について具体的に説明する。
上述した各実施形態に係る表示装置(図9)においては、表示領域110に配列された表示画素PIXを、表示領域110の上方領域と下方領域からなる2組にグループ分けして、各グループごとに分岐した個別の電源電圧ラインLv(第1電源電圧ラインLv1又は第2電源電圧ラインLv2)を介して独立した電源電圧Vccを印加するようにしているので、上述した発光動作において、図14に示すように、各グループに含まれる複数行の表示画素PIXを一斉に発光動作させることができる。以下に、この場合の具体的な駆動制御動作について説明する。
【0200】
図25は、各実施形態に係る表示領域を備えた表示装置における駆動方法の具体例を模式的に示した動作タイミング図である。なお、図25においては、説明の都合上、便宜的に表示領域に12行(n=12;第1行〜第12行)の表示画素が配列され、1〜6行目(上述した上方領域に対応する)及び7〜12行目(上述した下方領域に対応する)の表示画素を各々一組として2組にグループ分けされている場合の動作タイミング図を示す。
【0201】
図9に示した表示領域110を有する表示装置100における駆動制御動作は、例えば図25に示すように、表示領域110に配列された全ての表示画素PIXについて、上述した補正データ取得動作を各行の各列の一画素ごとに所定のタイミングで順次実行し、全ての表示画素PIXについての補正データ取得動作の終了後(すなわち、補正データ取得動作期間Tdetの終了後)、1フレーム期間Tfr内に、表示領域110の各行ごとの表示画素PIX(画素駆動回路DC)に対して、表示データに応じた原階調電圧Vorgに、各表示画素PIXの駆動トランジスタ(トランジスタTr13)の素子特性の変動に対応したオフセット電圧Vofstを加算した補正階調電圧Vpixを書き込み、所定の電圧成分(|Vpix−Vccw|)を保持する動作を全行について順次繰り返しつつ、予めグループ分けした1〜6行目又は7〜12行目の表示画素PIX(有機EL素子OLED)に対して上記書込動作が終了したタイミングで、当該グループに含まれる全表示画素PIXを表示データ(補正階調電圧Vpix)に応じた輝度階調で一斉に発光動作させる表示駆動動作(図14に示した表示駆動期間Tcyc)を繰り返し実行することにより、表示領域110一画面分の画像情報が表示される。
【0202】
具体的には、表示領域110に配列された前記表示画素PIXに対して、1〜6行目及び7〜12行目の表示画素PIXからなるグループにおいて、各グループごとに表示画素PIXに共通に接続された電源電圧ラインLv(第1の電源電圧ラインLv1、第2の電源電圧ラインLv2)を介して低電位の電源電圧Vcc(=Vccw)を印加した状態で、1行目の各列の表示画素PIXに対して、上記補正データ取得動作(補正データ取得動作期間Tdet)が順次実行され、表示領域110に配列された全表示画素PIXについて、画素駆動回路DCに設けられたトランジスタTr13(駆動トランジスタ)のしきい値電圧の変動に対応した補正データ(オフセット設定値Minc)が、各表示画素PIXごとにフレームメモリ145の所定の領域に個別に格納(記憶)される。
【0203】
次いで、上記補正データ取得動作期間Tdetの終了後、1〜6行目の表示画素PIXからなるグループにおいて、当該グループの表示画素PIXに共通に接続された電源電圧ラインLv(第1の電源電圧ラインLv1)を介して低電位の電源電圧Vcc(=Vccw)を印加した状態で、1行目の表示画素PIXから順に、上記書込動作(書込動作期間Twrt)及び保持動作(保持動作期間Thld)を実行し、6行目の表示画素PIXについて書込動作が終了したタイミングで、当該グループの電源電圧ラインLv(第1の電源電圧ラインLv1)を介して高電位の電源電圧Vcc(=Vcce)を印加するように切り替えることにより、各表示画素PIXに書き込まれた表示データ(補正階調電圧Vpix)に基づく輝度階調で、当該グループの6行分の表示画素PIXを一斉に発光動作させる。この発光動作は、1行目の表示画素PIXに対して、次の書込動作が開始されるタイミングまで継続される(1〜6行目の発光動作期間Tem)。
【0204】
また、上記1〜6行目の表示画素PIXについて書込動作が終了したタイミングで、7〜12行目の表示画素PIXからなるグループにおいて、当該グループの表示画素PIXに共通に接続された電源電圧ラインLv(第2の電源電圧ラインLv2)を介して低電位の電源電圧Vcc(=Vccw)を印加し、7行目の表示画素PIXから順に、上記書込動作(書込動作期間Twrt)及び保持動作(保持動作期間Thld)を実行し、12行目の表示画素PIXについて書込動作が終了したタイミングで、当該グループの電源電圧ラインLv(第2の電源電圧ラインLv2)を介して高電位の電源電圧Vcc(=Vcce)を印加するように切り替えることにより、各表示画素PIXに書き込まれた表示データ(補正階調電圧Vpix)に基づく輝度階調で、当該グループの6行分の表示画素PIXを一斉に発光動作させる(7〜12行目の発光動作期間Tem)。この7〜12行目の表示画素PIXに対して書込動作及び保持動作が実行されている期間においては、上述したように、1〜6行目の表示画素PIXに対して電源電圧ラインLvを介して高電位の電源電圧Vcc(=Vcce)が印加されて、一斉に発光する動作が継続されている。
【0205】
このように、表示領域110に配列された全表示画素PIXについて点順次動作により補正データ取得動作を実行した後、各行の表示画素PIXごとに所定のタイミングで書込動作及び保持動作を順次実行し、予め設定された各グループについて、当該グループに含まれる全ての行の表示画素PIXへの書込動作が終了した時点で、当該グループの全ての表示画素PIXを一斉に発光動作させるように駆動制御される。
【0206】
したがって、このような表示装置の駆動方法(表示駆動動作)によれば、1フレーム期間Tfrのうち、同一グループ内の各行の表示画素に書込動作を実行する期間中、当該グループ内の全ての表示画素(発光素子)の発光動作が行われず、無発光状態(黒表示状態)に設定される。
【0207】
例えば図25に示した動作タイミング図においては、表示領域110を構成する12行の表示画素PIXを、2組にグループ分けして、各グループごとに異なるタイミングで一斉に発光動作を実行するように制御されるので、1フレーム期間Tfrにおける上記無発光動作による黒表示期間の比率(黒挿入率)を50%に設定することができる。ここで、人間の視覚において、動画像をボケやにじみがなく鮮明に視認するためには、一般に、概ね30%以上の黒挿入率を有していることが目安になるので、本駆動制御方法によれば、比較的良好な表示画質を有する表示装置を実現することができる。
【0208】
なお、図9に示した表示装置100においては、表示領域110に配列された複数の表示画素PIXを、連続する行ごとに2組にグループ分けした場合について示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3組や4組等、任意の組数にグループ分けするものであってもよく、また、偶数行と奇数行のように連続しない行同士でグループ分けするものであってもよい。これによれば、グループ分けされた組数に応じて発光時間と黒表示期間(黒表示状態)の割合、すなわち、1フレーム期間Tfrにおける無発光動作による黒表示期間の比率(黒挿入率)を任意に設定することができ、表示画質の改善を図ることができる。
【0209】
また、表示領域110に配列された複数の表示画素PIXを、上記のようにグループ分けすることなく、各行ごとに個別に電源電圧ラインを配設(接続)し、各電源電圧ラインに異なるタイミングで電源電圧Vccを独立して印加することにより、表示画素PIXを各行ごとに発光動作させるものであってもよいし、表示領域110に配列された一画面分の全ての表示画素PIXに対して、一斉に共通の電源電圧Vccを印加することにより、表示領域110一画面分の全ての表示画素を一斉に発光動作させるものであってもよい。
【0210】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置及びその駆動制御方法によれば、表示データの書込動作期間に駆動トランジスタ(トランジスタTr13)のゲート−ソース間に、表示データ及び駆動トランジスタの素子特性(しきい値電圧)の変動に応じた電圧値を指定した補正階調電圧Vpixを直接印加することにより、所定の電圧成分をキャパシタ(キャパシタCs)に保持させ、当該電圧成分に基づいて、発光素子(有機EL素子OLED)に流す発光駆動電流Iemを制御し、所望の輝度階調で発光動作させる電圧指定型(又は、電圧印加型)の階調制御方法を適用することができる。
【0211】
したがって、表示データに応じた電流を供給して書込動作を行う(表示データに応じた電圧成分を保持させる)電流指定型の階調制御方法に比較して、表示パネルを大型化や高精細化した場合や、低階調表示を行う場合であっても、表示データに応じた階調信号(補正階調電圧)を各表示画素に迅速かつ確実に書き込むことができるので、表示データの書込不足の発生を抑制して表示データに応じた適切な輝度階調で発光素子(有機EL素子)を発光動作させることができ、良好な表示画質を実現することができる。
【0212】
また、表示画素(画素駆動回路)への表示データの書込動作に先立って(又は、書込動作に先立つ任意のタイミングで)、各表示画素に設けられた駆動トランジスタのしきい値電圧の変動に対応する補正データを取得し、書込動作の際に、当該補正データに基づいて各表示画素ごとに補正された階調信号(補正階調電圧)を生成して印加することができるので、上記しきい値電圧の変動の影響(駆動トランジスタの電圧−電流特性のシフト)を補償して、表示データに応じた適切な輝度階調で各表示画素(発光素子)を発光動作させることができ、表示画素ごとの発光特性のバラツキを抑制して表示画質を改善することができる。
【0213】
さらに、表示領域に配列された複数の表示画素に共通して接続された電源電圧ラインに唯一設けられた比較判定回路部(電圧比較回路、電流比較回路)により、データラインと電源電圧ライン間の電位差、又は、電源電圧ラインに流れる電流値を測定し、所定の参照値(参照電圧、参照電流)と比較判定結果に基づいて、各表示画素に設けられた駆動トランジスタのしきい値電圧の変動に対応する補正データを取得することができるので、駆動トランジスタの素子特性の変動補償のための回路規模や部品コストを抑制しつつ、良好な表示画質を有する表示装置を実現することができる。
【0214】
なお、上述したように、表示領域110に配列される表示画素PIXがカラー画像表示に対応した画素構成を有し、一表示画素PIXが赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色画素を一組として構成されている場合にあっては、各色画素ごとに共通に接続された3本の電源電圧ラインを設け、本発明に係る比較判定回路部150を3本の電源電圧ラインの各々に唯一設ける(すなわち、3組設ける)ようにしてもよい。この場合、上述した補正データ取得動作を各色画素ごとに独立して実行するようにしてもよい。これらの補正データ取得動作を同時並行して実行するようにした場合、補正データ取得動作期間Tdetを、上述した各実施形態に示した場合に比較して、実質的に1/3の時間に短縮することができる。
【0215】
また、上述した各実施形態においては、表示データの書込動作の開始前に、補正データ取得動作を表示領域に配列された全表示画素について実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、表示装置の電源投入直後のシステム立ち上げ時や、電源遮断直前のシステム立ち下げ時等に補正データ取得動作を実行するものであってもよいし、任意のタイミングで実行するものであってもよい。さらに、補正データ取得動作を全表示画素について一度に実行するものに限らず、複数回に分けて(例えば、上述した上方領域と下方領域に属する表示画素を異なるタイミングで)補正データ取得動作を実行するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】本発明に係る表示装置に適用される表示画素の要部構成を示す等価回路図である。
【図2】本発明に係る表示装置に適用される表示画素の制御動作を示す信号波形図である。
【図3】表示画素の書込動作時における動作状態を示す概略説明図である。
【図4】表示画素の書込動作時における駆動トランジスタの動作特性を示す図である。
【図5】表示画素の保持動作時における動作状態を示す概略説明図である。
【図6】表示画素の保持動作時における駆動トランジスタの動作特性を示す図である。
【図7】表示画素の発光動作時における動作状態を示す概略説明図である。
【図8】表示画素の発光動作時における駆動トランジスタの動作特性及び有機EL素子の負荷特性を示す図である。
【図9】本発明に係る表示装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】第1の実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバ、比較判定回路部及び表示画素(画素駆動回路及び発光素子)の一例を示す要部構成図である。
【図11】第1の実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】第1の実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作(参照電圧測定動作)を示す概念図である。
【図13】第1の実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作(検出電圧測定動作、及び、補正データ記憶動作)を示す概念図である。
【図14】第1の実施形態に係る表示装置における表示駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図15】第1の実施形態に係る表示装置における書込動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】第1の実施形態に係る表示装置における書込動作を示す概念図である。
【図17】第1の実施形態に係る表示装置における保持動作を示す概念図である。
【図18】第1の実施形態に係る表示装置における発光動作を示す概念図である。
【図19】第2の実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバ、比較判定回路部及び表示画素(画素駆動回路及び発光素子)の一例を示す要部構成図である。
【図20】第2の実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】第2の実施形態に係る表示装置における補正データ取得動作を示す概念図である。
【図22】第2の実施形態に係る表示装置における書込動作を示す概念図である。
【図23】第2の実施形態に係る表示装置における保持動作を示す概念図である。
【図24】第2の実施形態に係る表示装置における発光動作を示す概念図である。
【図25】各実施形態に係る表示領域を備えた表示装置における駆動方法の具体例を模式的に示した動作タイミング図である。
【符号の説明】
【0217】
DCx 画素回路部
OLED 有機EL素子
T1 駆動トランジスタ
T2 保持トランジスタ
Cx、Cs キャパシタ
Ls 選択ライン
Lv 電源電圧ライン
Ld データライン
PIX 表示画素
DC 画素駆動回路
100 表示装置
110 表示パネル
120 選択ドライバ
130 電源ドライバ
140 データドライバ
141 シフトレジスタ・データレジスタ部
142 階調電圧生成部
143 オフセット電圧生成部
144 電圧調整部
150 比較判定回路部
150A 電圧比較回路
150B 電流比較回路
160 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路と、を備えた複数の表示画素を駆動する表示駆動装置において、
少なくとも、
前記複数の表示画素の各々に設けられた前記画素駆動回路に共通に接続された電源電圧ラインに設けられ、前記電源電圧ラインに生じる特定値を検出し、予め設定された参照値と比較する比較判定部と、
前記複数の表示画素の各々に接続された複数のデータラインの各々を介して、所定の調整電圧を印加した場合の前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを取得する補正データ取得部と、
前記補正データ取得部により取得された前記補正データを前記各表示画素ごとに記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記補正データに基づいて、前記各画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成する補償電圧生成部と、
前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して前記各データラインを介して前記複数の表示画素に供給する電圧補正部と、
を備えていることを特徴とする表示駆動装置。
【請求項2】
前記比較判定部は、
前記データラインと前記電源電圧ライン間に生じる電位差を測定する電圧計と、
前記電源電圧ラインに参照電流を供給する電流源と、
前記電源電圧ラインと前記電流源又は所定の電源電圧を印加する電圧源との接続を切り換えるスイッチと、
前記電源電圧ラインに前記参照電流を供給した場合に前記電圧計により測定された参照電圧の値と、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電圧計により測定された検出電圧の値とを比較する電圧比較器と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の表示駆動装置。
【請求項3】
前記比較判定部は、
前記電源電圧ラインに流れる電流値を測定する電流計と、
前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電流計により測定された検出電流の値と、予め設定された参照電流の値とを比較する電流比較器と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の表示駆動装置。
【請求項4】
前記補正データ取得部は、
前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定する調整電圧設定部と、
前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出する補正データ抽出部と、
を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示駆動装置。
【請求項5】
前記調整電圧設定部は、前記比較判定部における比較結果に基づいて、順次増加処理される前記変数と所定の単位電圧とを乗算して、前記調整電圧の電圧値を設定することを特徴とする請求項4記載の表示駆動装置。
【請求項6】
前記単位電圧は、前記階調電圧の隣接する階調間の電位差に対応した電圧であり、前記参照電流は、前記隣接する階調における低階調側の階調電圧を、前記画素駆動回路に固有の特性の初期状態において、前記表示画素に印加したときの当該画素駆動回路に流れる電流値であることを特徴とする請求項5記載の表示駆動装置。
【請求項7】
前記電圧補正部は、前記発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるための前記階調電圧の電圧値に、前記変数と前記単位電圧とを乗算して得られる電圧成分の電圧値を加算して前記調整電圧を生成し、前記データラインに印加することを特徴とする請求項5記載の表示駆動装置。
【請求項8】
前記補償電圧生成部は、前記記憶部に記憶された前記補正データと前記単位電圧とを乗算して前記補償電圧を生成し、
前記電圧補正部は、前記階調電圧生成部により生成された前記階調電圧の電圧値に、前記補償電圧の電圧値を加算して前記階調電圧を補正し、前記階調信号を前記データラインに印加することを特徴とする請求項7記載の表示駆動装置。
【請求項9】
発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路と、を備えた複数の表示画素を駆動する表示駆動装置の駆動方法において、
少なくとも、
前記複数の表示画素に接続された複数のデータラインの各々を介して、所定の調整電圧を印加することにより、前記複数の表示画素に共通に接続された電源電圧ラインに生じる特定値と、予め設定された参照値との比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを取得し、前記各表示画素ごとに記憶するステップと、
前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成するステップと、
前記補正データに基づいて、前記各画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成するステップと、
前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して前記各データラインを介して前記複数の表示画素に供給するステップと、
を含むことを特徴とする表示駆動装置の駆動制御方法。
【請求項10】
前記補正データを取得し、記憶するステップは、
前記電源電圧ラインに参照電流を供給した場合に前記電源電圧ラインに生じる参照電圧の値を測定するステップと、
前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電圧の値を測定するステップと、
前記参照電圧と前記検出電圧の値を比較するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、
を含むことを特徴とする請求項9記載の表示駆動装置の駆動方法。
【請求項11】
前記補正データを取得し、記憶するステップは、
前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電流の値を測定するステップと、
前記検出電圧の値と予め設定された参照電流の値を比較するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、
を含むことを特徴とする請求項9記載の表示駆動装置の駆動方法。
【請求項12】
前記補正データを取得し、記憶するステップは、少なくとも前記補正データを取得する処理が各表示画素ごとに異なるタイミングで順次実行されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の表示駆動装置の駆動方法。
【請求項13】
前記補正データを取得し、記憶するステップは、他のステップに先立つ任意のタイミングで実行されることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の表示駆動装置の駆動方法。
【請求項14】
表示データに応じた画像情報を表示する表示装置において、
行方向及び列方向に配設された複数の選択ライン及びデータラインの各交点近傍に発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路とを有する複数の表示画素が配列された表示パネルと、
所定のタイミングで各行の前記選択ラインに選択信号を順次印加して、各行の前記表示画素を選択状態に設定する選択駆動部と、
前記表示データに応じた階調信号を生成し、前記データラインを介して前記選択状態に設定された前記各表示画素に供給するデータ駆動部と、
前記複数の表示画素に共通に接続された電源電圧ラインを介して前記各表示画素に所定の電圧レベルの電源電圧を印加する電源駆動部と、
前記電源電圧ラインに生じる特定値を検出し、予め設定された参照値と比較する比較判定部と、
を備え、
前記データ駆動部は、少なくとも、
前記複数の表示画素に接続された前記複数のデータラインの各々を介して、所定の調整電圧を印加した場合の前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを取得する補正データ取得部と、
前記補正データ取得部により取得された前記補正データを前記各表示画素ごとに記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記補正データに基づいて、前記各表示画素ごとの前記画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成する補償電圧生成部と、
前記表示画素ごとの前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して、前記各データラインを介して前記複数の表示画素に供給する電圧補正部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記補正データ取得部と、前記補償電圧生成部と、前記階調電圧生成部と、前記電圧補正部は、各列の前記データラインごとに設けられ、前記比較判定部は、前記電源電圧ラインに唯一設けられていることを特徴とする請求項14記載の表示装置。
【請求項16】
前記比較判定部は、
前記各データラインと前記電源電圧ライン間に生じる電位差を測定する電圧計と、
前記電源電圧ラインに参照電流を供給する電流源と、
前記電源電圧ラインと前記電流源又は前記電圧駆動部との接続を切り換えるスイッチと、
前記電源電圧ラインに前記参照電流を供給した場合に前記電圧計により測定された参照電圧の値と、前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電圧計により測定された検出電圧の値とを比較する電圧比較器と、
を具備することを特徴とする請求項14又は15記載の表示装置。
【請求項17】
前記比較判定部は、
前記電源電圧ラインに流れる電流値を測定する電流計と、
前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電流計により測定された検出電流の値と、予め設定された参照電流の値とを比較する電流比較器と、
を具備することを特徴とする請求項14又は15記載の表示装置。
【請求項18】
前記補正データ取得部は、
前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定する調整電圧設定部と、
前記比較判定部における比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出する補正データ抽出部と、
を具備することを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項19】
前記調整電圧設定部は、前記比較判定部における比較結果に基づいて、順次増加処理される前記変数と所定の単位電圧とを乗算して、前記調整電圧の電圧値を設定することを特徴とする請求項18記載の表示装置。
【請求項20】
前記単位電圧は、前記階調電圧の隣接する階調間の電位差に対応した電圧であり、前記参照電流は、前記隣接する階調における低階調側の階調電圧を、前記画素駆動回路に固有の特性の初期状態において、前記表示画素に印加したときの当該画素駆動回路に流れる電流値であることを特徴とする請求項19記載の表示装置。
【請求項21】
前記電圧補正部は、前記発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるための前記階調電圧の電圧値に、前記変数と前記単位電圧とを乗算して得られる電圧成分の電圧値を加算して前記調整電圧を生成し、前記データラインに印加することを特徴とする請求項19記載の表示装置。
【請求項22】
前記補償電圧生成部は、前記記憶部に記憶された前記補正データと前記単位電圧とを乗算して前記補償電圧を生成し、
前記電圧補正部は、前記階調電圧生成部により生成された前記階調電圧の電圧値に、前記補償電圧の電圧値を加算して前記階調電圧を補正し、前記階調信号を前記データラインに印加することを特徴とする請求項21記載の表示装置。
【請求項23】
前記電源駆動部は、前記表示パネルに配列された前記複数の表示画素に共通に接続された前記電源電圧ラインに対して、少なくとも前記補正データ取得部により前記各表示画素の前記補正データを取得する動作期間においては、前記発光素子を非発光状態とする電位を有する第1の電源電圧を印加し、前記補正データに基づいて生成された前記補償電圧により補正された前記階調信号を前記各表示画素に供給する動作の後においては、前記発光素子を発光状態とする電位を有する第2の電源電圧を印加して、前記表示画素を非発光状態又は発光状態に設定することを特徴とする請求項14乃至22のいずれかに記載の表示装置。
【請求項24】
前記表示パネルは、前記複数の表示画素が複数行ごとにグループ分けされ、該各グループの前記表示画素に共通に接続された前記電源電圧ラインごとに前記比較判定部が設けられているとともに、前記電源電圧ラインごとに前記電源駆動部から前記第1の電源電圧又は前記第2の電源電圧が印加されることを特徴とする請求項23記載の表示装置。
【請求項25】
前記表示パネルに配列された前記各表示画素は、赤、緑、青の各色画素を一組として構成され、前記各色画素に共通に接続された前記電源電圧ラインごとに前記比較判定部が設けられているとともに、前記電源電圧ラインごとに前記電源駆動部から前記第1の電源電圧又は前記第2の電源電圧が印加されることを特徴とする請求項23又は24記載の表示装置。
【請求項26】
前記各表示画素に設けられる前記画素駆動回路は、少なくとも、
電流路の一端に前記電源電圧が印加され、該電流路の他端に前記発光素子が接続された第1のスイッチ手段と、
制御端子が前記選択ラインに接続され、電流路の一端に前記電源電圧が印加され、該電流路の他端に前記第1のスイッチ手段の制御端子が接続された第2のスイッチ手段と、
前記第1のスイッチ手段の前記制御端子と前記電流路の他端との間に接続された電圧保持素子と、
を有することを特徴とする請求項14乃至25のいずれかに記載の表示装置。
【請求項27】
前記第1及び第2のスイッチ手段は、アモルファスシリコンからなる半導体層を備えた電界効果型トランジスタであることを特徴とする請求項26記載の表示装置。
【請求項28】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項14乃至27のいずれかに記載の表示装置。
【請求項29】
表示データに応じた画像情報を表示する表示装置の駆動方法において、
前記表示装置は、行方向及び列方向に配設された複数の選択ライン及びデータラインの各交点近傍に発光素子と、該発光素子に接続された画素駆動回路と、を備えた複数の表示画素が配列された表示パネルを有し、
少なくとも、
各行の前記選択ラインに選択信号を順次印加して、各行の前記表示画素を選択状態に設定するステップと、
前記選択された行の前記複数の表示画素に接続された前記複数のデータラインの各々を介して所定の調整電圧を印加することにより、前記複数の表示画素に共通に接続された電源電圧ラインに生じる特定値と、予め設定された参照値との比較結果に基づいて、前記複数の表示画素における前記画素駆動回路の各々に固有の特性の変動量に対応する補正データを順次取得し、前記各表示画素ごとに記憶するステップと、
前記各表示画素ごとの前記発光素子を表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための電圧値を有する階調電圧を生成するステップと、
前記補正データに基づいて、前記各表示画素ごとの画素駆動回路に固有の特性を補償する補償電圧を生成するステップと、
前記補償電圧に基づいて前記階調電圧を補正した階調信号を生成して前記各データラインを介して前記複数の表示画素に個別に供給するステップと、
を含むことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項30】
前記各表示画素における前記補正データを取得し、記憶するステップは、
前記電源電圧ラインに参照電流を供給した場合に前記電源電圧ラインに生じる参照電圧の値を測定するステップと、
前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電圧の値を測定するステップと、
前記参照電圧と前記検出電圧の値を比較するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、
を含むことを特徴とする請求項29記載の表示装置の駆動方法。
【請求項31】
前記各表示画素における前記補正データを取得し、記憶するステップは、
前記データラインに前記調整電圧を印加した場合に前記電源電圧ラインに生じる検出電流の値を測定するステップと、
前記検出電圧の値と予め設定された参照電流の値を比較するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を順次変更設定するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記調整電圧の電圧値を変更設定するための変数を前記補正データとして抽出し、記憶するステップと、
を含むことを特徴とする請求項29記載の表示装置の駆動方法。
【請求項32】
前記各表示画素における前記補正データを取得し、記憶するステップは、少なくとも前記補正データを取得する処理が前記選択された行の各列の前記表示画素ごとに異なるタイミングで順次実行されることを特徴とする請求項29乃至31のいずれかに記載の表示装置の駆動方法。
【請求項33】
前記各表示画素における補正データを取得し、記憶するステップは、他のステップに先立つ任意のタイミングで実行されることを特徴とする請求項29乃至32のいずれかに記載の表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−122848(P2008−122848A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309150(P2006−309150)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】