説明

表面をコーティングするための高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用方法

【課題】本発明は、様々な支持体のためのコーティングであって、そのコーティングは特定のポリエーテルアミンポリオールに基づいており、そのポリエーテルアミンポリオールは技術的に単純且つ安価な工程の方法により製造することができ、そのポリエーテルアミンポリオールは高官能性且つ多分岐のポリマーの形状であり、そのポリエーテルアミンポリオールの構造は問題のコーティングの要求にすぐに適応可能であるコーティングを提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的は、コーティング材料として特定の高官能性及び多分岐ポリエーテルアミンポリオールを使用することにより達成される。また、本発明は、支持体をコーティングするための高官能性の多分岐ポリエーテルアミンポリオールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体をコーティングするための、より詳細には、プラスチック、木材、ガラス、セラミック材、繊維材料、又は金属で作られる表面をコーティングするための、多数の官能基を有する多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用方法に関し、より詳細には、ジアルカノールアミン及び/又はトリアルカノールアミンに基づく上記多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールは、接着促進剤(プライマー)、揺変剤、又は流動改良剤として、又は付加重合ポリマー又は重縮合ポリマー、例えば、塗料、被覆、粘着剤、密封材、エラストマー、又はフォームのような技術的な利点を有するポリマーの製造のための構成要素として使用することができる。更に、それらは、付加重合反応に基づいて得られるポリマーに基づく、技術的な利点を有する接着促進剤(プライマー)、塗料を製造するための流動改良材又は揺変剤、被覆、粘着剤、密封剤、又はフォームとして使用することができる。
【0003】
様々な接着促進剤(プライマー)がWO2005/089480に記載されており、そこでは、10,000を下まわる分子量の直鎖又は分岐鎖ポリエチレンイミンが溶媒とともに表面に適用される。
【0004】
ポリエーテルアミンポリオールは、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのようなトリアルカノールアミンから得られることが知られており、また、もし適切であれば、モノ−又はジアルカノールアミンの混合物中で触媒作用、例えば、酸性又は塩基性触媒作用を伴うこれらのモノマーのエーテル化により、及び水の除去を伴うこれらのモノマーのエーテル化により得られることが知られている。
【0005】
これらのポリマーの製造は、例えば、US2,178,173、US2,290,415、US2,407,895、及びDE4003243の特許中に記載されている。その重合反応は、ランダムに行われてもよく、又は更なる反応の中でお互いに連結される個々のアルカノールアミンを含むブロック構造を製造することもできる(US4,404,362参照)。
【0006】
文献中に記載されているポリエーテルアミンポリオールは、遊離の状態で、又は四級化された形状で、例えば、油/水混合物のための解乳化剤、染色した革のための後処理剤(DE4104834参照)、又は金属加工のための潤滑剤(CS265929参照)として用いられる。
【0007】
更に、文献中には、様々な支持体に保護被覆を適用する様々な方法の記載がある。より早い優先日(earlier priority date)を伴う未公開の特許出願であるEP06113119.9には、例えば、コイルコーティングによる金属表面へのポリマー材料を含む耐食性被覆の適用方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2005/089480
【特許文献2】US2,178,173
【特許文献3】US2,290,415
【特許文献4】US2,407,895
【特許文献5】DE4003243
【特許文献6】US4,404,362
【特許文献7】DE4104834
【特許文献8】CS265929
【特許文献9】EP06113119.9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
様々な(金属の及び非金属の)支持体のためのコーティングであって、そのコーティングは特定のポリエーテルアミンポリオールに基づいており、そのポリエーテルアミンポリオールは技術的に単純且つ安価な工程の方法により製造することができ、そのポリエーテルアミンポリオールは高官能性且つ多分岐のポリマーの形状であり、そのポリエーテルアミンポリオールの構造は問題のコーティングの要求にすぐに適応可能であるコーティングを提供することが本発明の目的の一つである。
【0010】
それらの定義された構造に基づき、そのコーティングは、高い官能性、高い反応性、低い粘性、及び良好な溶解性のような有利な特性を結合することを意図している。また、それらが、例えば、塗料、被覆、粘着剤、密封材、エラストマー、又はフォームのような付加重合ポリマー又は重縮合ポリマーの製造における接着促進材(プライマー)としてとして使用されることを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、コーティング材料として特定の高官能性及び多分岐ポリエーテルアミンポリオールを使用することにより、本発明に従って達成することができる。それゆえに、本発明は、支持体をコーティングするための高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用方法を提供する。
【0012】
支持体は、例えば、プラスチック、木材、ガラス、セラミック材又は金属、又はこれらの材料から作られた表面であっても良い。また、支持体は、天然材料(例えば、羊毛又は綿)及び/又は合成材料(例えば、ポリエステル、ポリアミド)を含む繊維材料(例えば、織り物の又は編み物の)であっても良い。
【0013】
また、本発明は、トリアルカノールアミンモノマー、及び、もし適切であれば、さらなるモノマータイプから得られる高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用方法を提供する。
【0014】
高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールは、好ましくは、トリエタノールアミンモノマー、トリイソプロパノールアミンモノマー、及び/又はトリプロパノールアミンモノマーから得られるポリマーであっても良い。
【0015】
また、本発明は、150〜300℃の温度で酸性又は塩基性の触媒反応を伴うトリアルカノールアミンの縮合により製造されるポリマー(もし適切であれば、これらの縮合生成物がさらなる誘導体化を受けることも可能である)であることを特徴とするそのポリマーの使用方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが2000〜300000g/モルの重量平均分子量を有するポリマーを含むことを特徴とする高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用方法を提供する。
【0017】
トリエタノールアミンモノマー、及び/又はトリイソプロパノールアミンモノマー、より詳細にはトリエタノールアミンモノマーを用いることが好都合である。
【0018】
また、本発明は、少なくとも1種の高官能性の多分岐ポリエーテルアミンポリオールを含む組成物が、支持体に、もし適切であれば、(1以上の工程にて)事前洗浄された支持体に適用されることを特徴とする高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールで支持体をコーティングする方法を提供する。
【0019】
本方法の場合において、支持体1mあたりの高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの量は、1mg〜1000g、好ましくは10mg〜200g、より詳細には50mg〜150gである。この量は、使用される支持体に依存し、組成物(例えば、プライマーとしての)の性質に依存し、及び最終用途に依存する。
【0020】
また、本発明は、高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、使用される組成物中に0.1質量%〜90質量%の量で、好ましくは0.5質量%〜80質量%の量で、より詳細には1質量%〜70質量%の量で存在する方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、高官能性の多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、金属表面、より好ましくは、鉄、鋼、亜鉛又は亜鉛合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金から作られる1種の金属表面に耐食性被覆を設ける目的で適用されることを特徴とする方法に関する。
【0022】
更に、本発明は、少なくとも1種の溶媒及び高官能性多分岐ポリエタノールアミンポリオールが使用される組成中に0.5質量%〜80質量%で存在することを特徴とする方法に関する。
【0023】
また、コーティングにより支持体に適用される被覆層の厚さが、1nm〜200μm、好ましくは3nm〜200μm、及びより好ましくは10nm〜100μmであることを特徴とする方法が提供される。
【0024】
また、本発明は、上述の方法により得られるコーティングを有する支持体を提供する。
【0025】
また、支持体は、金属表面、例えば、鉄、鋼、亜鉛又は亜鉛合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金から作られる1種の金属表面であって良い。あるいは、繊維材料であっても良い。また、支持体は、プラスチック、木材、セラミック材料、又はガラスから作られる表面を有しても良い。
【0026】
また、本発明は、2以上の被覆、例えば、2〜20の被覆、より好ましくは2〜8の被覆でコーティングされた支持体を提供する。これらのポリマー被覆は、似ていても異なっていても良い。
【0027】
例えば、支持体は、成形された金属物品、金属片、自動車の車体、車体部品であってもよい。また、支持体は、(例えば、ABS又はポリアミドの)プラスチック成形品、(例えば、ポリエステルの)フィルム、又は細粒でも良い。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的のための高官能性ポリエーテルアミンポリオールは、エーテル基及びアミノ基に加えて、高分子骨格を形成し、また、末端に及び/又は垂下した(pendently)少なくとも3の、好ましくは少なくとも6の、より好ましくは少なくとも10の官能基を有するポリマー生成物である。官能基は、例えば、ヒドロキシル基又はアミノ基である。
【0029】
官能基は、しばしば、OH基である。非常に多数の官能基を有する生成物は、例えば、高い粘度又は不十分な溶解性のような好ましくない特性を示すことが多いけれども、基本的に末端又はペンダント官能基(pendent functional groups)の数に上限は無い。通常、本発明の高官能性ポリエーテルアミンポリオールは、多くて500の末端又はペンダント官能基、好ましくは多くて100の末端又はペンダント官能基を有する。
【0030】
使用される出発物質は、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、又はトリブタノールアミンでよく、もし適切であれば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、N,N’−ジヒドロキシアルキルピペリジン(アルキル基=C1−C8)のようなジアルカノールアミンと組み合わせられても良く、又は2以上の官能性を有し、且つエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに基づくポリエーテルオールと組み合わせて反応されても良い。しかしながら、出発物質として、好ましくはトリエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミン、又はそれらの混合物が使用される。
【0031】
本方法により形成された高官能性多分岐ポリエーテルアミンはその反応後にヒドロキシル基により終結される。換言すると、さらなる変性を受けないのである。“多分岐”という言葉は、高度につながったポリマー鎖が、お互いに連結され、そして立体的な骨格を形成することを意味する。
【0032】
ポリエーテルアミンポリオールは、メタノール、エタノール、ブタノール、アルコール/水の混合物、アセトン、2−ブタノン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシエチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート、又はプロピレンカーボネートのようなアルコール、又は水のような種々の溶媒に容易に溶解する。
【0033】
記載されるポリマーを含む組成物を製造するために使用することができる溶媒の更なる例は、芳香族及び/又は(脂環式の)脂肪族炭化水素、及びそれらの混合物、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、及びエーテルである。好ましくは、芳香族炭化水素、(脂環式の)脂肪族炭化水素、カルボン酸のアルキルエステル、ケトン、カルボン酸のアルコキシル化アルキルエステル、及びそれらの混合物である。特に好ましくは、モノアルキル化又はポリアルキル化ベンゼン、モノアルキル化又はポリアルキル化ナフタレン、ケトン、カルボン酸のアルキルエステル、カルボン酸のアルコキシル化アルキルエステル、及びそれらの混合物である。
【0034】
好ましい芳香族炭化水素の混合物は、それらの大部分がC−C14の炭化水素を含み、及び或いは110〜300℃の沸騰域を有する。好ましい芳香族炭化水素の混合物は、特に好ましくは、トルエン、o−、m−、又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン、及びそれらを含む混合物である。それらの例は、Exxon Mobil Chemicalの、特に、Solvesso(登録商標)100(CAS No.64742−95−6,主にC及びC10芳香族、沸騰域は約154−178℃)、150(沸騰域は約182−207℃)、及び200(CAS No.64742−94−5)のSolvesso(登録商標)等級のもの、及びまた、ShellのShellsol(登録商標)等級のものである。また、パラフィン、シクロパラフィン、及び芳香族を含む炭化水素混合物は、市販のものを使用できる。それらは、Kristalloel(例えば、Kristalloel 30、沸騰域約158−198℃、又はKristalloel 60:CAS No.64742−82−1)、white spirit(同様に、例えば、CAS No.64742−82−1)、又はSolvent naphtha(ライト(light):沸騰域約155−180℃、ヘビー(heavy):沸騰域225−300℃)という名称で市販されている。
【0035】
ハロゲン化炭化水素は、例えば、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン、又はその異性体の混合物である。そのエステルは、例えば、n−ブチルアセテート、エチルアセテート、メトキシプロピルアセテート(1-methoxyprop-2-yl acetate)、及び2−メトキシエチルアセテートである。そのエステルは、例えば、THF、ジオキサン、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、又はトリプロピレングリコールのジメチル、ジエチル、又はジ−n−ブチルエーテルである。
【0036】
ケトンは、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ヘキサノン、イソブチルメチルケトン、ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、又はシクロヘプタノンを含む。
【0037】
(脂環式の)脂肪族炭化水素は、例えば、デカリン、アルキル化デカリン、及び直鎖又は分岐鎖アルカン及び/又はシクロアルカンの異性体混合物である。
【0038】
ポリエーテルアミンポリオールは、原末中(in bulk)又は溶液中のどちらかで、基本的に公知の方法により製造される。好適な溶液はすでに上述した溶液を含む。その反応の好ましい一実施の形態は、溶媒なしに実施される。
【0039】
製造の間の温度は、アミノアルコールの反応のために十分に高くするべきである。一般的に、その反応は100〜350℃、好ましくは150〜300℃、より好ましくは180〜280℃、及び特には220〜240℃の温度を要求する。
【0040】
その反応の後に、好ましくは単量体の除去又は吹き出しが実施される。
【0041】
好ましい一実施の形態では、縮合反応はトリエタノールアミン又はトリイソプロパノールアミンと共に原末中で実施される。低分子量の反応生成物又はその反応の間に放出された水分を、その反応を加速させるために反応平衡から除去することができる。この除去は蒸留により成し遂げられ、また、例えば、もし適切であれば、減圧下での蒸留により成し遂げられる。反応混合物を、例えば窒素のような、又は、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンの希ガスのような、反応条件下で実質的に不活性のガスの流れを通過させること(ストリッピング)により、水又は低分子量の反応生成物の分離を援助することができる。
【0042】
また、その反応を加速させるために、触媒又は触媒混合物を添加することもできる。好適な触媒は、エーテル化反応又はエーテル交換反応を触媒する化合物であり、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、好ましくはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、又はセシウム塩、並びに塩化鉄、塩化亜鉛、ギ酸、シュウ酸のような酸性化合物、又はリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸のような酸性リン酸化合物である。好ましくは、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸が、もし適切であれば、水性希釈物中で使用される。
【0043】
一般的に、その触媒は、使用されるアルカノールアミン又はアルカノールアミン混合物の量に基づいて、0.001〜10モル%、好ましくは0.005〜7モル%、より好ましくは0.01〜5モル%の量で添加される。
【0044】
また、更に、好適な触媒の添加によってだけではなく、好適な温度の選択によっても、分子間の重縮合反応を調整することができる。さらに、そのポリマーの平均分子量は、出発物質の組成、及び滞留時間を介して調節することができる。
【0045】
上昇された温度下で製造されるポリマーは、長期間、少なくとも6週間、例えば、混濁、沈殿、及び/又は粘度の大きな上昇の例を示すことなく、一般的に室温で安定である。
【0046】
分子間の重縮合反応を終結させるためには、様々な選択がある。例えば、温度を、その反応が休止状態となり、且つ重縮合生成物が貯蔵安定である範囲に低くすることができる。通常、これは60℃を下まわる、好ましくは50℃を下まわる、より好ましくは40℃を下まわる温度範囲であり、特に好ましくは室温である。他の選択は、例えば、塩基性触媒の場合、例えば、ルイス酸、又は有機又は無機のプロトン酸の酸性成分を添加することにより、そして、酸性触媒の場合、例えば、ルイス塩基、又は有機又は無機の塩基の塩基成分を添加することにより、触媒を不活性化することである。更なる選択は、冷却された溶媒での希釈により反応を停止させることである。特に、これは、反応混合物の粘度を溶媒の添加により適合させなければならないときに好ましい。
【0047】
通常、本発明の高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールは、50℃より低い、好ましくは30℃より低い、そしてより好ましくは10℃より低いガラス転移温度を有する。
【0048】
通常、OH基の数は、100mg KOH/g以上であり、好ましくは150mg KOH/g以上である。
【0049】
通常、重量平均分子量、Mwは1000〜500000g/モル、好ましくは2000〜300000g/モル、より詳細には5000〜300000g/モルである。
【0050】
数平均分子量、Mnは標準としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用い移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、500g/モルと50000g/モルの間、好ましくは1000g/モルと40000g/モルの間である。
【0051】
本発明の高官能性ポリエーテルアミンポリオールの製造は、しばしば0.1mbar〜20barの、好ましくは1mbar〜5barの圧力範囲で、バッチ式で操作される反応器又は反応器カスケード中で、セミバッチ方式で又は連続的に行われる。
【0052】
上述の反応条件の設定を通して、及び、もし適切であれば適切な溶媒の選択を通して、本発明の生成物が生成された後に、その生成物をさらなる付加的な精製なしに加工処理することができる。
【0053】
もし必要であれば、反応混合物を、例えば、0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜25質量%、より好ましくは1〜10質量%の量の、例えば、活性炭と共に、又は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ほう素、又はこれらの混合物のような金属酸化物と共に、例えば、10〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは30〜60℃の温度で処理することにより脱色することができる。
【0054】
また、もし適切であれば、反応混合物を、存在するどんな沈殿物をも除去する目的で濾過することも可能である。しばしば、その生成物はストリッピング、すなわち、低分子量の揮発性化合物を除去する操作が行われる。その目的のために、望ましい程度の転換が達成された後、その触媒を任意に不活性化することができ、そして、例えば、供給原料として使用されるアミノアルコール、又は揮発性オリゴマー、又は環式化合物の低分子量の揮発性成分及び水を、もし適切であれば、ガス(好ましくは窒素又は希ガス)の導入と共に、もし適切であれば、減圧下において、蒸留により除去することができる。
【0055】
明記されたその方法に従って得られる高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールをいろいろな支持体上へのコーティングに使用することができる。
【0056】
また、それらは、接着促進剤(プライマー)、揺変剤、又は流動改良剤として有利に使用することができ、又は例えば塗料、被覆、粘着剤、密封材、注型エラストマー(casting elastomres)、又はフォームのような付加重合ポリマー又は重縮合ポリマーの製造のための構成要素として有利に使用することができる。そのうえ、それらは、付加重合に基づいて得ることができるポリマーに基づく塗料、被覆、粘着剤、密封材、又はフォームの製造のための接着促進剤(プライマー)、流動改良剤、又は揺変剤として技術的な利点を伴って使用することができる。
【0057】
本発明のさらなる実施の形態では、ポリエーテルアミンポリオールはコーティング材料の流動性を高めるための、例えば、クリアコート及びトップコート材料のような流動補助剤として使用することができる。
【0058】
ポリエーテルアミンポリオールはバインダー成分、例えば、もし適切であれば、ヒドロキシ(メト)アクリレート、ヒドロキシスチリル(メト)アクリレート、直鎖又は分岐鎖ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、メラミン樹脂、又は尿素ホルムアルデヒド樹脂のようなヒドロキシル基又はアミノ基を含む他のバインダーと一緒にコーティング組成物中で使用することができ、例えば、イソシアネート、マスクされたイソシアネート(masked isocyanates)、エポキシド、及び/又はアミノ樹脂、好ましくはイソシアネート、エポキシド、又はアミノ樹脂、より好ましくはイソシアネート、又はエポキシド、特に好ましくはイソシアネートのようなカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基に対して反応性の化合物と一緒にコーティング組成物中で使用することができる。
【0059】
イソシアネートは、例えば、少なくとも1.8の、好ましくは1.8〜5の、より好ましくは2〜4の平均NCO官能価を有する脂肪族の、芳香族の、及び脂環式のジイソシアネート及びポリイソシアネートであり、及びまたそれらのイソシアヌレート、オキサジアジントリオン、イミノオキサジアジンジオン、尿素、ビウレット、アミド、ウレタン、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、及びウレトジオンである。ジイソシアネートは、好ましくは4〜20の炭素原子を有するイソシアネートである。また、ジイソシアネートの混合物が存在しても良い。
【0060】
適切なポリイソシアネートは、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート、ウレトジオンジイソシアネート、ビウレット基を含むポリイソシアネート、アミド基を含むポリイソシアネート、ウレタン又はアロファネート基を含むポリイソシアネート、オキサジアジントリオン基又はイミノオキサジアジンジオン基を含むポリイソシアネート、直鎖又は分岐鎖C−C20アルキレンジイソシアネートのカルボジイミド変性又はウレトンイミン変性ポリイソシアネート、合計6〜20の炭素原子を有する脂環式ジイソシアネート、合計8〜20の炭素原子を有する芳香族ジイソシアネート、又はそれらの混合物を含む。好ましく使用することができるジイソシアネート及びポリイソシアネートは、ジイソシアネート及びポリイソシアネート(の混合物)に基いて、1〜60質量%、好ましくは2〜60質量%、そしてより好ましくは10〜55質量%のイソシアネート基含量(分子量=42の、NCOとして計算)を有する。脂肪族の及び/又は脂環式のジイソシアネート、及び脂肪族の及び/又は脂環式のポリイソシアネート、又はそれらの混合物が好ましく用いられる。特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートが、イソシアネート構成要素として用いられる。
【0061】
適切な共同構成成分は、好ましくは、
a)芳香族の、脂肪族の、及び/又は脂環式のジイソシアネートのイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
b)芳香族的に、脂肪族的に、及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するウレトジオンジイソシアネートである。
c)芳香族的に、脂環式的に、又は脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するビウレット基含有ポリイソシアネートである。
d)芳香族的に、脂肪族的に、又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するウレタン−及び/又はアロファネート基−含有ポリイソシアネートである。
e)オキサジアジントリオン基含有ポリイソシアネートである。
f)イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネートである。
g)カルボジイミド変性及び/又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートである。
【0062】
a)〜g)のポリイソシアネートは、ポリエーテルアミンポリオールと共に混合物中で、もし適切であれば、ジイソシアネートと共に混合物中で使用することができる。
【0063】
また、ジイソシアネート又はポリイソシアネートのイソシアネート基は、マスクされた形状で存在することができる。NCO基のための適切なマスキング剤の例は、オキシム、フェノール、イミダゾール、ピラゾール、ピラゾリノン、トリアゾール、ジケトピペラジン、カプロラクタム、又はマロン酸エステルを含む。マスキング剤又はブロッキング剤によって、いわゆる脱ブロック化温度を下まわる温度で、イソシアネート基が遊離のイソシアネート基に典型的な反応を示さないブロック(マスク、又は保護)されたイソシアネート基に転換する化合物は生じる。ブロック化イソシアネート基を有するこの類の化合物は、典型的に、イソシアネート基硬化を介して硬化が完了される二段硬化コーティング材料又は粉体コーティング材料に使用されている。
【0064】
エポキシド化合物は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは2〜10のエポキシド基を分子中に有する化合物である。好適な例は、エポキシ化オレフィン、飽和又は不飽和カルボン酸のグリシジルエステル(例えば、グリシジル(メト)アクリレート)、又は脂肪族又は芳香族ポリオールのグリシジルエーテルを含む。この類の生成物は、数多く市販されている。ビスフェノールA、F、又はBタイプのポリグリシジル化合物、及び、例えば、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、及びペンタエリスリトールのような高官能性アルコールのグリシジルエーテルが特に好ましい。そのようなポリエポキシド化合物の例は、ResolutionのEpikote(登録商標)812(エポキシド価:約0.67モル/100g)、Epikote(登録商標)828(エポキシド価:約0.53モル/100g)、Epikote(登録商標)1001、Epikote(登録商標)1007、Epikote(登録商標)162(エポキシド価:約0.61モル/100g)、Bakelite AGのRuetapox(登録商標)0162(エポキシド価:約0.58モル/100g)、Ruetapox(登録商標)0164(エポキシド価:約0.53モル/100g)、及びRuetapox(登録商標)0165(エポキシド価:約0.48モル/100g)、並びにVantico AGのAraldit(登録商標)DY0397(エポキシド価:約0.83モル/100g)である。
【0065】
さらなる適切な共同構成成分は、活性メチロール基又はアルキルアルコシル基を含む化合物、より詳細には、メラミン、尿素等、フェノール/ホルムアルデヒド付加生成物、シロキサン又はシラン基、及びUS5,770,650に記載される類の無水物のようなアミンとホルムアルデヒドのエーテル化反応生成物のようなメチルアルコキシ基を含む化合物である。
【0066】
技術的に広く行き渡り、且つ知られている好ましいアミノ樹脂の中で、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、又はメラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂のような尿素樹脂及びメラミン樹脂を特に好ましく使用することができる。適切な尿素樹脂は、アルデヒドと尿素を反応させることにより得ることができる尿素樹脂であり、その尿素樹脂は、もし適切であれば、変性されてもよい。適切な尿素は、例えば、N−メチルウレア、N−フェニルウレア、又はN,N’−ジメチルウレアのような、尿素、N−置換尿素、又はN,N’−二置換尿素である。
【0067】
尿素樹脂は、もし適切であれば、例えば、単官能性又は多官能性アルコール、アンモニア、及び/又はアミン(カチオン変性尿素樹脂)との反応により、又は、特に好適には、(アニオン変性尿素樹脂の)亜硫酸(水素)塩、アルコール変性尿素樹脂を獲得する反応により部分的に又は完全に変性されても良い。
【0068】
変性のための好適なアルコールはC−Cアルコールであり、好ましくはC−Cアルコールであり、そしてより詳細にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、及び第二ブタノールである。
【0069】
ポリエーテルアミンポリオールと共に使用することができる好適なメラミン樹脂は、アルデヒドとメラミンの反応により得ることができ、もし適切であれば、部分的又は完全に変性されるメラミン樹脂である。この場合の好適なアルデヒドは、より詳細には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及びグリオキサルである。
【0070】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、例えば、上述のアルデヒド、より詳細には、ホルムアルデヒドであるアルデヒドとメラミンの反応からの反応生成物である。もし適切であれば、結果として生じるメチロール基は上述の一価又は多価アルコールとのエーテル化により変性される。そのうえ、また、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、アミン、アミノカルボン酸、又は亜硫酸塩との反応により上述のように変性されても良い。メラミンと尿素の混合物における、又はメラミンとフェノールの混合物におけるホルムアルデヒドの作用は、それぞれ、同様に、本発明に従って使用することができるメラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を生成する。
【0071】
記載したアミノ樹脂は、慣用される方法により生成される。
【0072】
特に挙げられる例は、モノマー又はポリマーのメラミン樹脂、及び、例えば、ホルムアルデヒド−尿素樹脂のようなメチロールウレア、ブチル化ホルムアルデヒド−尿素樹脂のようなアルコキシウレアである部分的又は完全にアルキル化されたメラミン樹脂、尿素樹脂を含むメラミンホルムアルデヒド樹脂であり、しかしまた、N−メチロールアクリルアミドエマルジョン、イソブトキシメチルアクリルアミドエマルジョン、例えば、ポリコハク酸アンヒドリドのようなポリアンヒドリド、及び、例えば、ジメチルジメトキシシランのようなシロキサン又はシランを含むメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0073】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂又はホルムアルデヒド−尿素樹脂のようなアミノ樹脂を使用することが特に好ましい。
【0074】
本発明のポリエーテルアミンポリオールが中でバインダーとして使用されるコーティング材料は、従来のベースコート、水性のベースコート、実質的に溶媒がなく且つ水のない液体のベースコート(100%系)、実質的に溶媒がなく且つ水のない固体のベースコート(着色された粉体コーティング材料を含む粉体コーティング材料)、又は着色/非着色の実質的に溶媒のない粉体コーティング分散系(粉末スラリーベースコート)であることが多い。それらは熱的に硬化し、放射により硬化し、又は二重の硬化系であってもよく、そして自己架橋性又は外部的架橋(externally crosslinking)性であってもよい。
【0075】
高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールは、プラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、PET)、金属(例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛)、木材(天然の、又は加工された(例えば、圧密化木材))、紙、繊維(天然の、又は合成の)、革、不織布、ガラス、セラミック、セメント成形物及び繊維セメント厚板のような無機の建築材料、より詳細には、プラスチック、木材、及びコーティングされた又はコーティングされていない金属のような支持体をコーティングするために使用することができる。
【0076】
高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールでのコーティングは、従来の方法で実施してよい。その後、もし適切であれば、存在する溶媒除去のために、乾燥が実施され、そして硬化が実施される。
【0077】
様々な支持体が、基本的に当業者に公知である典型的な方法(例えば、ブラッシング法、スプレー、ナイフコート、ディッピング)によりコーティングされ、高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが調整され、もし適切であれば、コーティングを受ける支持体に要求される厚さで適用され、且つ揮発性成分が除去される組成物(コーティング組成物)として調整される。もし要求されれば、この操作は1回以上繰り返すことができる。
【0078】
支持体への適用は、例えば、スプレー、充填、ナイフコート、ブラッシング、ローリング、ローラーコーティング、又は注ぎこみのような公知の方法で行われてよい。この方法の場合のコーティングの厚さは、通常、約3〜1000g/m、好ましくは10〜200g/mの範囲にある。
【実施例】
【0079】
本発明は、以下の実施例に関してより詳細に説明される。
【0080】
例A
多分岐ポリエーテルアミンポリオール製造のための一般的な操作の説明
攪拌子、蒸留橋(distillation bridge)、ガス入口管、及び内部の温度計を備えた四口フラスコに2000gのトリエタノールアミン(TEA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、又はそれらの混合物(質量%で1:1)、及び13.5gの50%強度の水溶液の形のホスフィン酸塩を満たし、そしてそれらの混合物を230℃で加熱する。縮合物の形成は、約220℃でゆっくりと開始する。反応混合物を230℃で0.2〜8時間(また、表1中に記載された時間を参照)攪拌し、その間に、その反応で形成される縮合物をNの穏やかな流れによりストリッピングガスとして蒸留橋を介して除去する。表示した反応時間の最後近くで、残留する縮合物を500mbarの大気中より低い圧力下で除去する。
【0081】
要求される程度の転換が達成されたとき、残留する揮発性成分を除去するために、そのバッチを140℃に冷却し、圧力をゆっくりと段階的に100mbarへと低下させる。その後、生成物混合物を室温に冷却し、分析する。
【0082】
本発明の生成物の分析:
ポリエーテルアミンポリオールは検出器として屈折率測定器を用いてゲル浸透クロマトグラフィーにより分析される。この場合に使用される移動相は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)であり、分子量を決定するための標準にはポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用する。OH基の数は、DIN53240、パート2に従って決定する。
【0083】
【表1】

【0084】
例B
ワニス(varnishes)への多分岐ポリエーテルアミンポリオールの添加
すべてのワニス混合物を、室温で、アルコール基(インデックス100)に対して化学量論比のイソシアネート基と共に製造する。粘度をブチルアセテートで、DIN4cupで、ISO2431及びEN535に従って20秒の流動時間に調整する。
【0085】
室温下で、ワニスを金属板の支持体に、箱型のコーティング棒を用い、湿った状態で180μmでナイフコート法により塗布する。乾燥後のワニスフィルムの厚さは平均して約40μmである。比較例として、市販の未加工の材料から得られたワニスを調査する。
【0086】
採用された調査方法:
ワニスの特性は、室温23℃及び相対湿度50%に調整された気候中にワニスを塗布した金属板を24時間貯蔵した後に調査する。
【0087】
130℃での硬化後に、調査されたワニスをすべて取り除き、透明にする。
a)不揮発性成分量(NVC):1gのワニス混合物を125℃で1時間、空気吹き込み型の(forced-air)オーブン中で乾燥させ、残留物の質量を初期値(=100%)と比較して決定する。
b)流動時間:DIN4cup中で、室温でISO2431及びEN535に基づいて測定する。報告される値は、流出の開始から一続きの液体が中断するまでの秒単位の時間である。
c)振動の回数での、DIN EN ISO1522に基づくケーニッヒねじれ減衰。
d)エリクセン試験(Erichsen cupping):DIN EN ISO1520のためのmm単位でカップ状にへこませる圧入試験。
e)DIN53151のためのクロスカットでの粘着性:ランク0を最も良いスコアと鑑定し、ランク5を最も悪いスコアと鑑定する。また、この点に関しては、Goldberg and Streitberger, BASF Handbuch Lackiertechnik, Vincentz−Verlag Hannover,2002年、395ページを参照。
f)アセトンダブルラブ試験(double rub test):金属板上のワニスフィルムをアセトンを浸したコットンパッドで、手により(後ろ及び前の)二重のストロークで、ワニスフィルムがその板上ですりへらされるまでこする。これを達成するために要求される二重のこすりの回数を報告する。100回のこすりで、その試験は中断する。
g)硫酸エッチングテスト:ピペットを用い25滴を、温度勾配炉中で30−75℃で35分間加熱される温度勾配炉のパネルに適用する。その板をその後洗い落し、乾燥する。報告される値は、最初のエッチングが視認される最も低い温度である。
【0088】
130℃の硬化温度でのワニス調査の結果
一般的に、多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用は不揮発性成分含量の増大、同等の硬さのための可撓性の改良、及びクロスカットにおける粘着性の改良を導く(表3、6、及び7を参照)。さらに、表面のひっかき耐性、及び化学物質及び酸へのワニスの耐性を改良する(表3参照)。
【0089】
【表2】

【0090】
Macrynal(登録商標)SM636(製造業者:UCB,ベルギー)、ポリアクリレートポリオール、ブチルアセテート中に70%、OH基数は約135mgKOH/g
Vestanat(登録商標)T1890L:イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートに基づくポリイソシアネート(製造業者:Degussa、ドイツ)、官能価は3及び4の間、n−ブチルアセテート/Solvesso100の1:2中に70%強度溶液
Basonat(登録商標)HI 100:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートに基づくポリイソシアネート(製造業者:BASF、ルートヴィヒスハーフェン)、官能価は3及び4の間
ポリエーテルアミンポリオールの使用を通して、同等の粘度で、揮発性成分(溶媒)の画分を減少させることができることは明らかである。
【0091】
【表3】

【0092】
ポリエーテルアミンポリオールの使用を通して、−ある場合には無視できないほどの−うわぐすりの可撓性の改良及びまた耐酸性の増大を達成することができることが明らかである。
【0093】
【表4】

【0094】
ポリエーテルアミンポリオールの使用を通して、同じ粘度で、構成成分の揮発性成分の画分を減少させることができることは明らかである。
【0095】
【表5】

【0096】
【表6】

【0097】
ポリエーテルアミンポリオールの使用を通して、ワニスの粘着性を改良することができることは明らかである。
【0098】
【表7】

【0099】
ポリエーテルアミンポリオールの使用を通して、同等のワニスの硬さで、ワニスの可撓性及び粘着性を改良することができることは明らかである。
【0100】
例C
ポリエチレンイミンと比較した粘度の調査
調査はポリエチレンイミンの70%強度溶液の場合に生じる粘度について実施する。更に、同等の分子量で、これに関して多分岐ポリエーテルアミンにより獲得される粘度を調査する。使用される試験物質は、2種の市販されているポリエチレンイミン(製造業者:BASF、ルートヴィヒスハーフェン):
Lupasol WF(製造業者:BASF、ルートヴィヒスハーフェン)分子量約25000を有するポリエチレンイミン、
Lupasol FG(製造業者:BASF、ルートヴィヒスハーフェン)分子量約800を有するポリエチレンイミン
である。
【0101】
試験方法:
ブルックフィールド粘度計スピンドル31(0.3−60rpm)は、偏差は総測定範囲の1%であり、10℃間隔で0−70℃へ温度変化する。
【0102】
低い温度範囲では、Lupasol WFは非常に粘性が強く測定できない。多分岐ポリエーテルアミンは驚くべきことに標準のポリエチレンイミンと比較して低い粘度を示す。
【0103】
【表8】

【0104】
【表9】

【0105】
例D
つきまわり性(throwing power)及びぬれ挙動の調査
調査は、異なる添加物を含む試験分散物の金属板上へのつきまわり性及びぬれ挙動がどのくらい良好であるかを決定するために実施する。
【0106】
試験物質:
a)試験分散物(pH8であって、46質量%のスチレン、49質量%のブチルアセテート、2.5質量%のアクリル酸、1.7質量%のアクリルアミドを含む50%強度のターポリマー水溶液)
b)例4からのポリエーテルアミン、Lupsol WF
【0107】
支持体:
バーグホファー板(ST1.0038、ASTM A570、Gr36)
バーグホファー板を15%HClで事前洗浄し、そして室温で60分間乾燥する。クリーニングした試験片(7×10cm)を5秒間、対応する溶液に浸す。
【0108】
a)試験分散物を、(水中に、1〜15質量%の)異なる濃度で製造する。
b)まず、バーグホファー板を5%強度のLupasol WF溶液に浸し、そして一晩乾燥し、その後試験分散物を適用する。
c)実施例4のポリマーを、添加物として試験分散物中に導入する(50/50の固体含量で)。全てのその板を室温で一晩乾燥する。
【0109】
フィルム厚さの決定前及び決定後にそれぞれの板の重さを測定する。ぬれ挙動を決定するために、縁端距離を測定し、最小値及び最大値として記録する。表面被覆率を決定するために、その板を検査する。
【0110】
得られる結果は次のとおりである:
a)添加物無しの試験分散物で処理した板は10%を下回る固体濃度で明瞭な縁の後退を示す。
b)実施例4のポリマーを含む試験分散物で処理した板は、有意なつきまわり性及び表面被覆率の改良を示す。そうでなければ、その改良は非常に多くの固体濃度でなければ得られない。
【0111】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体をコーティングするための高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの使用方法。
【請求項2】
前記支持体が、プラスチック、木材、ガラス、セラミック材料、又は金属であることを特徴とする請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
前記支持体が、繊維材料であることを特徴とする請求項1に記載の使用方法。
【請求項4】
前記高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、トリアルカノールアミンモノマー、又は該トリアルカノールアミンモノマー及び更なるモノマータイプから得られるポリマーであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の使用方法。
【請求項5】
前記高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、トリエタノールアミンモノマー、トリイソプロパノールアミンモノマー、及び/又はトリプロパノールモノマーから得られるポリマーであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の使用方法。
【請求項6】
前記高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、150〜300℃の温度での酸性又は塩基性触媒存在下におけるトリアルカノールモノマーの縮合により製造されるポリマーであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の使用方法。
【請求項7】
前記高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、重量平均分子量2000〜300000g/モルのポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の使用方法。
【請求項8】
前記高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、トリエタノールアミンモノマー及び/又はトリイソプロパノールアミンモノマーの縮合生成物であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の使用方法。
【請求項9】
高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールで支持体をコーティングする方法であって、
少なくとも1種の高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールを含む組成物が、支持体又は事前洗浄された支持体に適用されることを特徴とする方法。
【請求項10】
支持体1平方メートルあたりの高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの量が、1mg〜1000gであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
支持体1平方メートルあたりの高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールの量が、10mg〜200gであることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、使用される前記組成中に0.1〜90質量%の量で存在することを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種の溶媒及び前記高官能性多分岐ポリエーテルアミンポリオールが、使用される前記組成中に0.5〜80質量%の量で存在することを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
金属表面に耐食性被覆を設けることを目的として実施される請求項9〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
被覆によって支持体に適用される被覆層の厚さが1nm〜200μmであることを特徴とする請求項9〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項9〜15の何れか1項に記載の方法に従って得られる少なくとも1種の被覆を有する支持体。
【請求項17】
鉄、鋼、亜鉛又は亜鉛合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金で作られる金属表面である請求項16に記載の支持体。
【請求項18】
繊維材料である請求項16に記載の支持体。
【請求項19】
プラスチック、木材、セラミック材料、又はガラスで作られる表面である請求項16に記載の支持体。
【請求項20】
前記支持体が、2種以上の前記被覆でコーティングされることを特徴とする請求項16〜19の何れか1項に記載の支持体。
【請求項21】
前記支持体が、成形された金属製品、金属片、自動車車体、又は車体部品であることを特徴とする請求項16、17、又は20の何れか1項に記載の支持体。
【請求項22】
前記支持体が、プラスチックの成形品、フィルム、又は細粒であることを特徴とする請求項16、19、又は20の何れか1項に記載の支持体。

【公表番号】特表2010−540764(P2010−540764A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528387(P2010−528387)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063476
【国際公開番号】WO2009/047269
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】