表面を殺菌する装置とその方法
表面、特に、人および動物の創傷を殺菌する装置は、高濃度のオゾン化水を蓄積する接触器(12)と、オゾン化水を貯留槽からノズル(3a)まで送る手段(34,37)と、を含み、前記ノズル(3a)は、治療する表面にオゾン化水の噴霧を吹き付ける1つ以上の噴射口を持つ。ノズルは、全周囲い(40)を備え、ノズルにおいて遊離するオゾン化ガスをノズルの周囲から回収する手段(32)が設けられる。表面/治療する創傷の下に配置される回収トレイ(43)を設けて、治療領域から流れるオゾン化水を受け、存在する残留オゾンを分解する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面の消毒や殺菌に用いる装置とその方法に関し、特に、高濃度のオゾン水を用いた創傷の殺菌と、オゾンの高濃度水溶液を製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷は基本的に急性と慢性の2つのカテゴリに分類される。急性創傷は、外側の傷ついていない皮膚組織が損傷したときに生じるもので、外科的創傷と、かみ傷と、火傷と、切り傷と、擦傷と、裂傷と、より外傷的な挫傷や銃創とを含む。慢性創傷は、罹患しやすい健康状態に関連した内因性メカニズムに関するもので、最終的には皮膚組織を損壊するものである。慢性創傷は、組織への酸素と栄養素の供給(灌流)が減じたときに生じることが多い。動脈からの供給や静脈からの排出の減少、または代謝疾患は慢性創傷を引き起こす可能性がある。下肢の潰瘍、足部の潰瘍、および床ずれは、いずれも慢性創傷の例である。
【0003】
ハント(Hunt)らが述べるところによると、急性創傷は、血液の灌流が最大限に強化され、感染を防ぐのに必要な酸素と栄養素が免疫系の細胞に供給されれば急速に癒合する(ハント(Hunt,T.K.)およびホプト(Hopt,H.W.)、1997年、Wound healing and infection−what surgeons and anaesthesiologists can do(創傷の回復と感染症−外科医と麻酔医にできること) Surg. Clin. North America. Vol 77,p587−606)。酸素は、細胞の成長と分裂および創傷の治癒に不可欠の要素であるとグリーフ(Grief)他が述べている。(グリーフ(Grief,R.)、アッカ(Akca,O.)、ホーン(Horn,E.)、クルツ(Kurz,A.)、およびセスラー(Sessler,D.J.)、2000年、Supplemental perioperative oxygen to reduce the incidence of surgical wound infection(外科的創傷感染の発生を削減する手術中の補足的酸素)、The New England Journal of Medicine、Vol 342,p161−167)。また、酸素は、効果の高い抗菌性化合物を生成する多形核白血球(PMN)のレスピラトリーバースト(respiratory burst)にも極めて重要である。代謝反応のエネルギを供給し、それ故に感染に対する防衛メカニズムを提供することに加え、酸素は、細胞の酸化還元電位の決定においても重要な役割を担う。ベイカー(Bakker)は、低い酸化還元反応電位が嫌気性細菌に有利に働くことをつきとめた(ベイカー(Bakker,D.J.)、1998年、Severe trauma and infections(深刻な外傷と感染症)、Anaesthesia(麻酔治療)、Vol 53,p65−67)。創傷微生物学とその関連手法によって、低い酸化還元反応電位は、共力性の好気性/嫌気性個体群の発生を促進することが判明した。(ボウラー(Bowler,P.G.)、ダーデン(Duerden,D.I.)、およびアームストロング(Armstrong,D.G.)、2001年、Wound microbiology and associated approaches to wound management(創傷微生物学とその関連手法)、Clinical Microbiology Reviews、Vol 14,No 2,p244−269)。
【0004】
創傷には、各種多様な植物性微生物群が存在する。慢性と急性の創傷に関わる原発性病原体は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、およびβ溶血性連鎖状球菌であると考えられる。これらの病原体は、好気性または通性である。ただし、嫌気性病原体は皮膚組織内の深い場所に住み着くため、嫌気性病原体は創傷感染の検査でしばしば見落とされる。嫌気性微生物の分離、特定、および採集は、長い時間と多大な労力を要する作業である。ボウラー(Bowler)らの調査では、嫌気性病原体の発生率と感染症の罹患率の間には相関性があると結論付けている(前述の文献を参照)。バスコム(Bascom)は、嫌気性バクテリアが創傷感染の原因微生物であることと、感染を最小限に抑えるためには、創傷への酸素供給を強化する必要があることを報告している(バスコム(Bascom,J.U.)、1996年、Pilonidal care:anerobes as visible villans(毛巣嚢腫に対する配慮:目に見える悪玉としての嫌気性菌)、European Journal of Surgery、Vol 162,p351)。
【0005】
創傷の多体微生物(polymicrobial)の性質は広く知られているが、黄色ブドウ球菌は、外傷性創傷、外科的創傷、および熱傷性創傷の感染症においてもっとも問題になる細菌であると考えられる(ボウラー(Bowler)他、前述の文献を参照)。テングローブ(Tengrove)らは、下肢の潰瘍内に4種以上の細菌群が存在すると、治癒の確率が大幅に減ることを報告している(テングローブ(Tengrove,N.J.)、ステーシー(Stacey,M.C.)、マクジェシー(McGechie,D.F.)、およびマータ(Mata,S.)、1996年、Qualitative bacteriology and leg ulcer healing(質的微生物学と下肢潰瘍治療)、Journal of wound care、Vol 5,p277−280)。この発見は、微生物の共力作用が創傷内で発生すると、純病原性作用と感染の重症度が増すという仮説を裏付ける。好気性細菌による酸素の消費は、組織の低酸素症を誘発して酸化還元反応電位を下げ、嫌気性生物体に更に好ましい生息環境を提供する。1つの微生物によって生成される栄養素は、潜在的に病原性を持つ、他の共存微生物の成長を助長する可能性がある。一部の嫌気性菌は、宿主の免疫細胞の機能を阻害できるため、該嫌気性菌自身と他の共存微生物に好都合な状況を提供する。ボウラー(Bowler)は、微生物は創傷内で互いに助け合うことができると述べる(ボウラー(Bowler,P.G.)、2002年、Microbiology of acute and chronic wounds(急性および慢性創傷の微生物学)、Facing the challenge of wound management in the 21st Century(21世紀における創傷治療の試み)、Master Misericordiae University Hospital)。微生物(特に、生物膜内の微生物)は、定数検知と呼ばれる情報伝達メカニズムを使用する。これは、新たな過酷な環境内での生き残りを促進する細胞密度に依存した情報伝達形態である。微生物は、信号伝達分子を放出して「生存のヒント」を互いに連絡しあう(すなわち、特定の組織変化や特定の防衛的化学物質を生成する)。
【0006】
壊死組織切除は創傷治療に不可欠な要素である。死滅した組織および不健康な組織の除去は、微生物のコロニー形成に利用できる生息地を最小限に抑え、新たな組織の形成を可能にするために不可欠な処置である。壊死組織の除去は、鋭利な器具を用いて細胞を物理的に除去するか、あるいは、生理食塩水や滅菌水を塗布することによって行う。咬傷の処理は、微生物の負荷量を削減する高圧洗浄を伴う。
【0007】
歴史的には、創傷を殺菌するのに、ガス状またはオイル内に溶解したオゾンを用いている。オゾンガスの直接塗布、静脈注射、肛門吸入法や、自己血液−オゾン療法は、すべて周知の医学的オゾン利用法である。このような治療の詳細については、下記の特許文献を参照のこと。ロシア特許第2178699号明細書、フランス特許第2784388号明細書、米国特許第6073627号明細書。
【0008】
オゾン水仮説
1.殺菌
1.1.オゾンは反応性が高く、また、遊離基の形成を通じて分解して分子酸素を形成する。遊離基は、その外側軌道に不対電子を持つため、極めて不安定で非常に反応しやすい。これらの遊離基は、水酸基、超酸化物、またはオゾニド基を含む。オゾンの微生物破壊作用は、まず、細胞膜上で進行し、次いで他の細胞部位も順次破壊していくものである。提案されている作用機序は、その概要において、微生物細胞膜内のオレフィンボンドが関与し、この微生物細胞膜がオゾンによって破壊され、オゾニドまたは他の分解生成物を形成すると考えられている。オゾニドは、酵素、SH基とアルデヒド、離型ペルオキシ化合物と反応する。ペルオキシ化合物は、さらに、蛋白質、DNA、および他の構造を破壊する。細胞が分離して、細胞質が分散する。オゾン水は、本質的には、創傷内の微生物を減らすために用いられる。
【0009】
1.2.オゾン水は、特に、嫌気性細菌に有効に作用するが、これは、嫌気性細菌には抗酸化物質および他の酸化防衛システムが欠如しているためである。好気性細菌は、スーパーオキサシドジスムターゼなどの抗酸化物質を生成して、酸素を用いる呼吸によって生じる細胞破壊を防ぐ。嫌気性細菌は呼吸に酸素を用いないため、進歩した抗酸化物質を放出しない。嫌気性細菌の排除は、感染の確率を低くする。(前記ボウラー(Bowler)を参照)。
【0010】
1.3.遊離基を基盤とした酸化は不規則であるため、オゾン水に対する耐性を培うことは微生物にとって極めて困難である。遊離基を基盤とした殺菌は、目標部位の特異性に影響されない。遊離基はすべての微生物に対して有効に作用するが、その殺生率は、とりわけ、異なる細菌種内の抗酸化物質の蔓延度によって異なる。
【0011】
1.4.十分に長い接触期間は、創傷床からすべての微生物を排除して、滅菌環境を形成する。
【0012】
2.壊死組織除去
2.1.オゾン水は、細胞に固有なものではないので、創傷組織と同様に微生物にも破壊作用を与える。不健康な組織または死滅した組織は、健康な組織ほど十分には灌流されないため、抗酸化物質または酵素作用物質(スーパーオキシド、ジスムターゼ、グルタチオン、マクロファージなど)をそれほど多くは含まない。不健康な組織は、遊離基の破壊作用に対して健康な組織よりもはるかに脆弱な防衛機制しか備えていないため、健康な組織よりも損傷/破壊/排除されやすい。このため、オゾン水は、擬似選択的な化学的壊死組織除去システムを提供して、改良された治癒環境を形成する。
【0013】
3.湿性治癒環境
3.1.オゾン水の塗布は、(1.4に記載の事項と共に)湿性の治癒環境を提供する。湿性治癒環境は、創傷の治癒にとって欠かせないものである。(ウィンター(Winter,G.D.)、1962年、Formation of scab and the rate of epithelization of superficial wounds in the skin(皮膚の浅在性創傷における痂皮の形成と外皮化の発生率)、Nature、Vol 193,p293−294)
【0014】
4.活性酸素種(ROS)
4.1.オゾン水は、分解媒介物として活性酸素種(ROS)を生成する。生成されたROSは身体固有の自然の防衛システムを補完するもので、前記防衛システムでは、多形核原形質(PMN)がROSを生成して微生物を除去する。オゾン水治療システムは生体模倣的なものであり、身体固有のPMNが感染に圧倒されているときに「ブースター」を提供する。
【0015】
4.2.オゾン水は、灌流が不十分な虚血組織においてROS生成器として機能する。灌流が欠如すると、栄養素/酸素/エネルギの欠乏によって身体固有のROS生成が阻害される。オゾン水は、身体の自然の感染体排除メカニズムを人工的に構築する。
【0016】
4.3.ROSは血管の形成(脈管形成)を助け、膠原生成を擬態する(セン(Sen,C.K.)、カンナ(Khanna,S.)、バービア(Babiar,B.M.)、ハント(Hunt,T.K.)、エリソン(Ellison,E.C.)、およびロイ(Roy,S.)。2002年。Redox control of wound repair(創傷治療の酸化還元反応制御)、JCB(paper in press)、Manuscript M203391200)。
【0017】
4.4.微生物は定数検知によって情報伝達を行うが、この情報伝達は、情報伝達分子の放出によって促進される。ROSは、これらの情報伝達分子を積極的に酸化でき、共力性の生存効果を抑制する。この機構は、生体膜形成を抑制するという点で重要なものになる。
【0018】
5.酸化作用
5.1.オゾン水は分解して水と酸素になる。この分解反応が創傷内に生じると、細胞に酸素の表面塗布を提供して高酸素環境を作り出す。嫌気性細菌は高酸素環境では生存できず、感染は減少する。
【0019】
5.2.オゾン水の添加によって形成された高酸素環境は、灌流が不十分な組織(虚血)に酸素源を供給でき、創傷治癒を促進できる。
【0020】
5.3.サイトカインと成長因子は、高酸素環境において改善された機械的活動を行う。このことは、オゾン水塗布器材を用いることで促進できる。
【0021】
5.4.オゾン水塗布器材は酸素濃縮装置を含み、この酸素濃縮装置は創傷に高圧無菌酸素を供給するために利用できる。酸素は、創傷の治療プロセスにおいて非常に重要である。前記器材は、高圧噴射によって、あるいは創傷領域の周囲に高圧酸素室を設けることによって、創傷への酸素の塗布を可能にする。
【0022】
6.急性創傷反応
6.1.慢性創傷内に急性創傷を与えることで、創傷治癒反応を誘導できることが調査によって判明した。オゾン水の塗布によって引き起こされる細胞の酸化は、治癒しない慢性創傷内に急性創傷型の反応を誘起する。
【0023】
オゾン化水
オゾン化水は、細菌および他の微生物を殺生するために幅広く利用される。ただし、水の中にオゾンを生成して溶解させる場合は、通常、1ppmより低いレベルが期待される。
【0024】
国際公開第A−0020343号明細書は、オゾン水溶液を製造して動物小屋の給水を殺菌する装置を開示する。このプロセスは、オゾン化を促進するために、接触器の与圧を必要とする。
【0025】
米国特許第A−5834031号明細書は、オゾン水を利用した足部菌腫の治療装置を開示する。単一の「インライン」オゾン化プロセスを用い、治療する外肢を完全に浸水させた状態でオゾン水を製造する。
【0026】
米国特許第A−5098415号明細書は、オゾン水溶液内への外肢の浸漬を利用したオゾン水による足部疾患の治療装置を開示する。
【0027】
国際公開第A−0172432号明細書は、オゾン水の液流を供給する携帯型の噴霧器を開示する。オゾン水の製造プロセスでは、脱ガスユニットと、「インライン」製造方法を用いる。
【0028】
米国特許第A−6455017号明細書は、オゾン水を利用して洗い流しおよび殺菌を行う携帯型の装置を開示する。オゾン水の製造プロセスには、「インライン」の製造方法が用いられる。
【0029】
米国特許第A−2002139755号明細書は、液体内への気体の溶解を増進する方法を開示する。この方法では、極微小気泡を作製して回転流れを誘導するようにサイズおよび配置が設定された複数のノズルを使用する。
【0030】
ロシア特許第A−2175539号明細書は、オゾンガスを用いた創傷の治療方法を開示する。この治療は、創傷へのガスの印加を基準としたものである。
【0031】
米国特許第A−4375812号明細書は、オゾン水を用いた火傷損傷の治療方法を開示するもので、この治療方法には、患者の身体全体をオゾン水の槽に沈めることが含まれる。
【0032】
本発明は、高速殺菌が可能な高濃度オゾン溶液を作製すること、および殺菌する表面、特に、人または動物の創傷に高濃度オゾン水溶液を塗布する方法および装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、表面、特に、人と動物の創傷を殺菌する装置を開示する。創傷面に関連して説明するが、本発明の範囲はあらゆる種類の表面を含むものである。前記装置は、オゾン化水を溜める貯留槽と、貯留槽からノズルまでオゾン化水を送る手段と、を含み、ノズルは、治療する表面にオゾン化水の噴霧を吹き付ける1つ以上の噴出口を持つ。前記ノズルは全周囲いを備え、ノズルにおいて遊離するオゾン化ガスをノズルの周囲から回収する手段が設けられる。表面/治療する創傷の下には回収トレイが配設され、治療領域から流れるオゾン化水を受け取る。集水トレイの底面は多数の穴を含むことができ、この穴を通ってポンプによって使用済み溶液がトレイから抜き取られる。このポンプは前記溶液を溶媒に通し、溶液に含まれる残留オゾンを分解させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、添付の図面を参照しながら本発明のいくつかの具体的な実施形態について説明する。
【0035】
まず、図1の図を参照しながら説明すると、本発明を実行する装置は、次の3つの主要構成部品、10に示す濃縮オゾン水溶液の生成装置と、11に示す治療する手足の表面にオゾン溶液を噴霧する装置と、11aに示す、治療される手足を支持すると共に、治療される手足から流れる溶液を廃棄のために回収する装置と、を含む。装置全体のために、プログラマブル論理コンピュータを含む制御システム(図示せず)が設けられており、前記プログラマブル論理コンピュータは、装置の制御可能な部品のインターフェースとなって装置の動作を制御する。
【0036】
オゾン水の生成装置10は、ポンプ14とソレノイド制御バルブ15とを介して水の貯留槽13と接続された接触器12を含む。図2に代替の配置を示す。図において、本管からの水は圧力絞り弁を介して供給される。ポンプ14を起動し、かつソレノイドバルブ15を開いて、水位センサ16を作動させる十分なレベルに達するまで貯留槽から接触器12に水を送る。前記センサが信号をPLCに戻すリレイを起動すると、ポンプ14の電源が切られ、ソレノイドバルブ15が閉じられる。
【0037】
接続器は、接触器の上面に隣接した上向きの導入口18からポンプ19と作動圧力噴射部20(たとえば、米国特許第A−5863128号明細書に開示されるマゼイインジェクタ(Mazzei injector)など)とを通り、そこから接触器の底面近傍に位置する接触器への排出口21まで延びる導管17を備える。ポンプ19は、始動すると、導入口18から水を取り入れ、その水を差動圧力噴射器20に通し、さらにノズル排出口21から接触器に戻す。このノズルは、2つの機能を兼ねており、第1に、差動噴射器に必要な背圧を提供し、第2に、接触器内の気体と液体の混合を増進させる。
【0038】
好ましくは、酸素濃縮装置を使用する酸素供給部22は、絞り弁23と圧力調整器24を介してオゾン発生器25に乾燥した酸素ガスを供給する。この弁と調整器は、オゾン発生器25の前と後のいずれに設けてもよい。オゾン発生器は、紫外線、プロトン交換法、またはコロナ放電に基づく製造方法を利用できるが、好ましくは、コロナを基準とした空冷式オゾン発生器である。
【0039】
オゾン発生器を起動して、ソレノイドバルブ26を開ける。オゾンは、差動圧力噴射器20から引き出されて水と接触する。気体と流体の混合流は、排出口ノズル21から接触器12内に送られる。オゾン気泡は、接触器を通って上に移動し、排出口27においてパイプ28の中に出てゆく。
【0040】
パイプ28は、前記排出口に向けて下向きに傾斜しているため、パイプ内で生じる凝縮体はすべて前記排出口から接触器12の中に戻る。
【0041】
パイプ28に到達したオゾンガスはすべて分解装置30を通り、その中で酸素に分解される。加熱素子30aを駆動して、オゾン分解ユニット30を加熱する。温度センサ30bは、プログラマブル論理コンピュータ(PLC)に連結されており、プログラマブル論理コンピュータが、加熱プロセスを制御し、40〜80℃の間の一定温度、好ましくは60℃に分解ユニット30を維持する。分解部30を加熱することで、分解部自身の内部での水分形成を防止する。分解部30から出た酸素ガスは、マニホルド31に入る。この酸素ガスは、ファン32によってマニホルドから引き出されて、第2オゾン分解装置32aに送られ、そこから更に前述したオゾン発生器25に送られて、前記ユニットの冷却を助ける。
【0042】
接触器内のオゾン化プロセスに戻る。再循環システムへの導入口18は、上向きの端部を持ち、オゾン気泡が再循環システム内に吸い込まれるのを防ぐように形成される。オゾン水の濃度は、PLCに連結された溶解オゾンセンサ33によって監視される。溶解オゾン濃度が、オペレータによって設定された所望のレベルに達したら、PLCは、酸素濃縮装置とオゾン発生器をオフに切り換え、ソレノイド制御バルブ26を閉じる。ポンプ19をオフにして、ポンプ34を起動し、オゾン水溶液をスプレイシステム11に送る。ソレノイドバルブ35を開くと、前記水溶液は、圧力流量調整器36によって、圧力が40から100mbarの間、好ましくは70mbarに規制されたパイプに沿って移動する。
【0043】
オゾン水溶液は、1組の同心導管37,38の内側の導管37の一端に送られる。導管37の他端は、オゾン水の複数の噴流を放出するスプレイヘッド39を備える。
【0044】
スプレイヘッドは、図4から図10に示してある。このスプレイヘッドは、一連の噴流を作り出すように設計および構築され、好ましくは、連動ファン構成内に設けられる。スプレイシステムは単純に見えるが、多くの重要な特性を備える。開口部から高濃度オゾン溶液が送られるときに圧力差が生じ、この圧力差が、液流内に溶解しているオゾンガスを溶液から大気中に(オゾンの蒸気圧によって)放出する。圧力差が大きくなればなるほど、大気中に放出されるガスの量は多くなる。大気中のオゾンの法的規定値は、0.1ppmという非常に低い値である。したがって、スプレイヘッドは、「噴流穴」41(図7および図10を参照)を用いるように工夫されている。この噴流穴は、使用する溶液の量が少なくてすむ十分に小さいもの(装置のサイズを小さくできる)であるが、溶液から大量のオゾンを放出する過剰な圧力差を生じない程度には十分に大きい直径を持つ。オゾン溶液がヘッドに供給される圧力も一つの要因であり、約70mbarのレベルが最も適していることが試験で示されている。圧力が高くなると、より多くのオゾンガスが大気中に放出され、更に、噴流がより強力になって、創傷面の内部に微生物(bug)を「叩き込む(drilling)」。
【0045】
溶液がスプレイヘッド39を出るとき、圧力降下によってオゾンガスが溶液から出てくる。図4および図5に見られる噴流の重複した構成は、スプレイコーンの外側エッジの表面に対する容積領域を小さくできるため、溶液から遊離するオゾンガスの量は減少する。オゾンは急速に空気内に分解するため、縮小された表面対容積の比率は、オゾン溶液がスプレイヘッドから創傷面まで移動する間のオゾン溶液の分解を防止する上で極めて重要である。極めて低い圧力で噴流を動作させ、溶液から逃げ出すオゾンガスの量を最低限に抑えると共に、創傷床内で微生物が決して下方に移動しないようにする。スプレイヘッドは、ヘッドアタッチメント(「コーンヘッド」とも言う)40に配設され、スプレイヘッドによって作製される「噴流コーン」の寸法と一致するように構成される。コーンヘッドの長さは、噴流の圧力によって異なるが、好ましくは、125mmである。コーンヘッドの内部は、マニホルド31に接続されたファン32により大気に対してマイナスの圧力に維持される。噴霧プロセスにおいて溶液から放出されるオゾンガスは、外側の導管38を通ってマニホルド内に引き戻され、次いで第2オゾン分解部32aに入って、そこで酸素に分解される。
【0046】
使用時に、コーンヘッド40は、汚染除去/治療の対象となる創傷の上方に配置される。創傷面からコーンヘッド端部までの距離は、噴流の圧力によって異なるが、好ましくは10mmである。
【0047】
汚染除去/治療する創傷を持つ患者は、ベッドに寝ていることも、あるいは動き回ることもできる。詳細は後述するが、回収トレイは、創傷が存在する患者の外肢の下に置かれる。集水トレイは、連結支持機構(図示せず)を含み、この支持機構で治療中の患者の外肢の重量を受ける。支持機構は固定式でも、あるいは可撓式でもよいが、好ましくは、詰め物を入れた着脱可能な凹形または凸形支持部を含み、水平方向の回転を容易にするナックル継ぎ手の上に配置される。これは、更に、ジョイント47によって回収装置に固定された心棒に配設され、ジョイント47は垂直面内での心棒の円弧状の移動を可能にする。好ましくは、これはピン接合である。集水トレイは、使用済み溶液をトレイの底部に排出できるようにする穴49を内部に持つ着脱式差込部48を備える。この差込部48は、好ましくは、一連の穴49を備えたV字形で、この一連の穴49は、殺菌プロセスにおいて溶液の排出は許容するが、創傷から洗い流された大きい生物物質は保持する。集水トレイは、上部にスプレイヘッドシステムを搭載した側面フランジ50を持つ。
【0048】
スプレイヘッド39は、創傷上部の定位置に確実にスプレイコーンを保持する装着支持装置(図示せず)に固定される。この装着装置は、前記ヘッドを必要な位置に保持する各種の構造で構成でき、典型的には、スプレイヘッドをクランプする可撓性−剛体導管への取り付けを提供する機械式または電磁式装置である。
【0049】
集水トレイ43の底面は、使用済み溶液をトレイから排出するいくつかの穴51を含む。ポンプ52は、トレイと組み合わされた槽53(図1を参照)内に負の圧力を生成し、この負の圧力で回収トレイ内の液体を槽53内に排出させる。ポンプ52によって槽53から除去されたガスは、マニホルド31に送られ、そこで、第2触媒32aに通される。使用済み溶液によって放出された残留オゾンガスは、ここで分解される。
【0050】
溶液は、オペレータによって決定され、治療の開始時にPLCにプログラムされた期間創傷に塗布される。必要な存続期間が経過した後、PLCは、バルブ35を閉じ、規定の期間だけファン32とポンプ52の動作を継続させて、溶液の集水トレイを空にする。この期間において、バルブ60を開き、接続器内のレベルスイッチ61が始動するまで、接続器内の溶液を槽53内に汲み取る。ポンプ34をオフにし、バルブ60を閉じる。この期間が経過した後、ポンプ52とファン32をオフに切り換える。
【0051】
槽の導入口と排出口は、着脱を簡単にする即時接続カップリングを含む。治療の最後には、槽53を切り離し、その中に含まれる水を直接流して排出する。
【0052】
図3に、装置の他の代替配置を示す。この配置では、槽53は取り除かれており、集水トレイの内容物は、ポンプによって直接排出される。接触器に残る余分な溶液は、槽53ではなく、直接汲み出して排出する。この溶液を、廃棄パイプライン内で炭素フィルタ65に通し、残留している可能性のあるオゾンを破壊できる。
【0053】
家庭用または商業用の供給路から採取した水道水を用いて動作する本システムについて説明した。本発明は、濾過または調整された用水の利用を排除するものではない。このような用水は、オゾン化プロセスの速度を速める効果を持つが、濾過システムの存在は携帯性を損なうため、このような用水の使用は好ましいものではない。
【0054】
オゾン水溶液から大気中に遊離するオゾン水ガスを可能な限り捕捉して破壊する機能は、各装置の順調な動作にとって極めて重要である。下記の装置は、この目的を達成するためのものである。
【0055】
図7に、患者の創傷または他の表面にオゾン化水を塗布するノズル39と、ノズルの全周囲い40とを示し、図11から図15に、治療する患者の手足領域または身体領域を支持し、治療されている患者の領域から流れ出るオゾン化水を回収する集水トレイを示す。
【0056】
オゾン水は、液体にオゾンガスを溶解することによって生成される。オゾンの飽和蒸気圧は、25℃で760mmHGより大きく、このことは、液体から大気中にオゾンが活発に拡散することを意味する。オゾンには、0.1ppmの法的暴露規制が課せられているため、高濃度のオゾン水溶液が大気に晒されたときに問題を生じる(オゾンは溶液から容易に逃げ出し、大気中の濃度は0.1ppmの規定値を越えて上昇する)。
【0057】
液体からオゾンガスが遊離する率は、温度と圧力に大きく依存する。温度が高くなるとより多くのオゾンが溶液から逃げ出し、また、圧力が低いほど多くのオゾンが溶液から逃げ出す。
【0058】
オゾン水溶液は、常圧において作製され、その後、スプレイヘッドに汲み入れられるときに増圧した圧力下に置かれる。加圧下(すなわち、ポンプからスプレイヘッドまでのパイプ内)にあるとき、増加した圧力下に配置されているという事実のせいで、オゾンは溶液から外に出ることはない。スプレイヘッドに到達すると、唐突に常圧状態に晒され(すなわち、圧力降下が発生し)、液体流に含まれるオゾンの一部が大気中に放出される。スプレイヘッドには、開口部の両側に形成される圧力差が存在する。この圧力差の大きさは、スプレイヘッドから出るときに液体から放出されるオゾンガスの量を決定する。オゾンガスの放出は次の2つの結果を招く。その1つ目については既に説明したが、オゾンガスは有毒であり、大気中の濃度を法的暴露規制より上に上昇させることである。2つ目は、オゾン水流体の濃度が低下することである。本システムの目的は、高濃度溶液を創傷に塗布することであるので、オゾンガスの遊離による濃度の損失量は、最小限に抑える必要がある。
【0059】
スプレイヘッドを用いて実験を行い、異なるサイズの装置とポンプからの異なる圧力の各種の組み合わせについて調査した。その結果、直径0.5mmの開口は、70mbarの液体圧と組み合わせると、最も効果的な大きさであることが判明した。直径0.2mmの開口は、過度に大きい圧力差を作り出したため、かなりの量のオゾンガスを放出し、溶液の濃度を20ppmから12ppmに低下させた。直径0.75mmの開口は、非常に大量の液体をヘッドに送った。大量の液体は創傷を浸解させ、その結果、治療過程を促進するのではなく阻害することになる。
【0060】
直径0.5mmの開口では、まだ、圧力変化のせいで一部のオゾンガスが液体から流出してしまう。前記濃度は、20ppmから17ppmに低下する。大気中に逃げ出すオゾンガスには何らかの処理が必要であり、いずれの処理もなされない場合は、ある期間の累積効果で、オゾン濃度を0.1ppmより高く上昇させることになる。この対応として、スプレイヘッドを抽出システム38,40によって囲い、スプレイヘッドからの排出時にオゾンガスが遊離した場合に、抽出空気流内でオゾンガスを直ちに設備内に戻すように構成する。
【0061】
抽出システムの利用は、スプレイヘッドから出てゆく噴霧パターンの設計および形状に影響を与える。抽出システムを実装することは、スプレイヘッドから創傷まで空中を浮遊する水溶液の表面からオゾンガスを継続的に取り除くことを意味する。
【0062】
除去されるオゾンガスの量は、スプレイコーンの表面対容積の比率を小さくすることで制限できる。最適な噴霧構造は、抽出空気流に晒される表面積が小さく、衝突面の面積が大きいという構造である。スプレイヘッドは、二重の送風効果を生む一連の連動した噴出口を持つ(図4および図5を参照)。この構成は、噴霧パターンの最適な構成であっても、あるいはそうでなくてもよい。
【0063】
抽出「囲い」40は、消耗品として構成される(すなわち、患者と患者の合間で迅速に交換できる)。
【0064】
既に説明したように、オゾンガスは水溶液から外に活発に拡散する。創傷または器官の他の表面にオゾン水が噴霧されるとき、かなりの割合のオゾンが表面で破壊される。ただし、消費された排出液は依然としてオゾンを含んでおり、このオゾンは、前述したように積極的に大気中に侵入する。集水トレイは、2つの主要「概念」に従って機能する。
【0065】
2つのうちの第1の概念は、基本的にはトレイである、逆V字形に傾斜した剛性プラスチック差込部48を備える集水トレイ43に関する。一連の(たとえば、4cm間隔の)穴49は、V形の頂点に沿って穴あけされる。差込部は、オゾン水溶液を穴から透過するが、差込部下の隙間で遊離したガスを捕らえて、ガスが大気中に逃げないようにする。
【0066】
集水トレイの第2の概念は、触媒分解構造である。廃液回収領域71の上部に、1組の6インチファン70が水平に設けられる。各ファンの下は、ルテニウムペレットまたは他の触媒物質からなるベッド72で、ファンはそのベッドから空気を引き込む。
【0067】
図11から判るように、ファンは、V形の差込部にある穴から空気(と、空気より重い大気中のオゾンと)を引き込む。空気は、オゾン水溶液を通り越しながら、水溶液から逃げ出す可能性のあるオゾンを抜き取ってゆく。このオゾンと空気の混合物は、次に、オゾンを酸素に変換する触媒を通過する。酸素は、大気中に放出される。
【0068】
このように、本システムは、従来の多数のシステム(オゾン発生器、酸素濃縮装置、差動圧力噴射器)を採用し、これらのシステムを組み合わせることで、極めて高いオゾン水濃度(20ppmより高い濃度)を生成できる可搬性の高い携帯型の装置を得る。
【0069】
オゾン水ベースの殺菌システムは、これまで、大型の携帯性の低いシステムか、あるいは、低濃度のオゾン水溶液(5ppm)しか生成できない携帯型のシステムに基づくものであった。創傷にオゾンを施用するという考え方は新しいものではないが、本発明者らによる生物学的システムの調査と理解に基づいて開発された理論と、その理論に係るオゾン水との相互作用の様式はまったく新しいものである。オゾンガスへの暴露によって患者を危険に晒すことなく、高濃度のオゾン水溶液を人(または動物)に塗布する有効なシステムの開発はまったく新しい進歩的なものである。本発明は、溶液から遊離するオゾンガスの量を最小限に抑えながら高濃度の溶液を創傷面に送るオゾン水送達システムを包含する。スプレイ構成の設計と、圧力要件と、スプレイヘッド囲いの設計は、すべてオゾンガスの遊離を削減するという点で新規性がある。創傷領域からオゾンガスを排除する抽出システムの利用は、その設計同様に新規であり、この抽出システムは、オゾン水送達導管とオゾンガス抽出部とを単一のパイプシステムに組み込んだものである。
【0070】
集水トレイにも、他の重要な設計特性が組み込まれている。穴のあいた差込トレイは、トレイの底にオゾン水溶液を透過できるように設計されている。オゾンガスは空気よりも重く、そのためにトレイの底に残留する。差込部48は、トレイの底のオゾンガスを捕らえて患者から引き離す。トレイ内の廃液は、ぜん動ポンプとファンシステムによって除去されるため、オゾンガスは廃液と共に除去される。本構成は、オゾンガスの発生元をすべて抽出し、ガスを触媒分解部に送るシステムの主要ファンへの入口においてガスを単一のマニホルドに戻すように設計される。本システムの設計は、3つの個別の発生元から得られるガスに対する最終的な分解部として単一の触媒を使用する点で新規性および進歩性を持つ。更に、触媒反応を起こしたガスは、水冷式ではなく空冷式の発生器であると好ましいオゾン発生器の表面に送られて除去される。
【0071】
第1触媒分解部は新規性および進歩性を持つ。触媒分解部は、水がほとんどの触媒の反応を阻害するので、乾燥ガスの供給部と共に動作するように設計される。本システムの設計では、触媒が湿ったオゾンガスを分解でき、その触媒が損傷することはない。
【0072】
本装置では、表面に塗布する溶液の濃度(好ましくは、1〜21ppmの範囲の濃度)をユーザが決定できる。ユーザは、サイクルの開始時に、必要なオゾン水濃度を選択できる。また、ユーザは、表面に溶液を塗布する期間も選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】オゾン化水を生成して創傷に塗布するシステムを示す模式図である。
【図2】本システムの第1の変形形態を示す図である。
【図3】本システムの第2の変形形態を示す図である。
【図4】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図5】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図6】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図7】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図8】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図9】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図10】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図11】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図12】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図13】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図14】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図15】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は表面の消毒や殺菌に用いる装置とその方法に関し、特に、高濃度のオゾン水を用いた創傷の殺菌と、オゾンの高濃度水溶液を製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷は基本的に急性と慢性の2つのカテゴリに分類される。急性創傷は、外側の傷ついていない皮膚組織が損傷したときに生じるもので、外科的創傷と、かみ傷と、火傷と、切り傷と、擦傷と、裂傷と、より外傷的な挫傷や銃創とを含む。慢性創傷は、罹患しやすい健康状態に関連した内因性メカニズムに関するもので、最終的には皮膚組織を損壊するものである。慢性創傷は、組織への酸素と栄養素の供給(灌流)が減じたときに生じることが多い。動脈からの供給や静脈からの排出の減少、または代謝疾患は慢性創傷を引き起こす可能性がある。下肢の潰瘍、足部の潰瘍、および床ずれは、いずれも慢性創傷の例である。
【0003】
ハント(Hunt)らが述べるところによると、急性創傷は、血液の灌流が最大限に強化され、感染を防ぐのに必要な酸素と栄養素が免疫系の細胞に供給されれば急速に癒合する(ハント(Hunt,T.K.)およびホプト(Hopt,H.W.)、1997年、Wound healing and infection−what surgeons and anaesthesiologists can do(創傷の回復と感染症−外科医と麻酔医にできること) Surg. Clin. North America. Vol 77,p587−606)。酸素は、細胞の成長と分裂および創傷の治癒に不可欠の要素であるとグリーフ(Grief)他が述べている。(グリーフ(Grief,R.)、アッカ(Akca,O.)、ホーン(Horn,E.)、クルツ(Kurz,A.)、およびセスラー(Sessler,D.J.)、2000年、Supplemental perioperative oxygen to reduce the incidence of surgical wound infection(外科的創傷感染の発生を削減する手術中の補足的酸素)、The New England Journal of Medicine、Vol 342,p161−167)。また、酸素は、効果の高い抗菌性化合物を生成する多形核白血球(PMN)のレスピラトリーバースト(respiratory burst)にも極めて重要である。代謝反応のエネルギを供給し、それ故に感染に対する防衛メカニズムを提供することに加え、酸素は、細胞の酸化還元電位の決定においても重要な役割を担う。ベイカー(Bakker)は、低い酸化還元反応電位が嫌気性細菌に有利に働くことをつきとめた(ベイカー(Bakker,D.J.)、1998年、Severe trauma and infections(深刻な外傷と感染症)、Anaesthesia(麻酔治療)、Vol 53,p65−67)。創傷微生物学とその関連手法によって、低い酸化還元反応電位は、共力性の好気性/嫌気性個体群の発生を促進することが判明した。(ボウラー(Bowler,P.G.)、ダーデン(Duerden,D.I.)、およびアームストロング(Armstrong,D.G.)、2001年、Wound microbiology and associated approaches to wound management(創傷微生物学とその関連手法)、Clinical Microbiology Reviews、Vol 14,No 2,p244−269)。
【0004】
創傷には、各種多様な植物性微生物群が存在する。慢性と急性の創傷に関わる原発性病原体は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、およびβ溶血性連鎖状球菌であると考えられる。これらの病原体は、好気性または通性である。ただし、嫌気性病原体は皮膚組織内の深い場所に住み着くため、嫌気性病原体は創傷感染の検査でしばしば見落とされる。嫌気性微生物の分離、特定、および採集は、長い時間と多大な労力を要する作業である。ボウラー(Bowler)らの調査では、嫌気性病原体の発生率と感染症の罹患率の間には相関性があると結論付けている(前述の文献を参照)。バスコム(Bascom)は、嫌気性バクテリアが創傷感染の原因微生物であることと、感染を最小限に抑えるためには、創傷への酸素供給を強化する必要があることを報告している(バスコム(Bascom,J.U.)、1996年、Pilonidal care:anerobes as visible villans(毛巣嚢腫に対する配慮:目に見える悪玉としての嫌気性菌)、European Journal of Surgery、Vol 162,p351)。
【0005】
創傷の多体微生物(polymicrobial)の性質は広く知られているが、黄色ブドウ球菌は、外傷性創傷、外科的創傷、および熱傷性創傷の感染症においてもっとも問題になる細菌であると考えられる(ボウラー(Bowler)他、前述の文献を参照)。テングローブ(Tengrove)らは、下肢の潰瘍内に4種以上の細菌群が存在すると、治癒の確率が大幅に減ることを報告している(テングローブ(Tengrove,N.J.)、ステーシー(Stacey,M.C.)、マクジェシー(McGechie,D.F.)、およびマータ(Mata,S.)、1996年、Qualitative bacteriology and leg ulcer healing(質的微生物学と下肢潰瘍治療)、Journal of wound care、Vol 5,p277−280)。この発見は、微生物の共力作用が創傷内で発生すると、純病原性作用と感染の重症度が増すという仮説を裏付ける。好気性細菌による酸素の消費は、組織の低酸素症を誘発して酸化還元反応電位を下げ、嫌気性生物体に更に好ましい生息環境を提供する。1つの微生物によって生成される栄養素は、潜在的に病原性を持つ、他の共存微生物の成長を助長する可能性がある。一部の嫌気性菌は、宿主の免疫細胞の機能を阻害できるため、該嫌気性菌自身と他の共存微生物に好都合な状況を提供する。ボウラー(Bowler)は、微生物は創傷内で互いに助け合うことができると述べる(ボウラー(Bowler,P.G.)、2002年、Microbiology of acute and chronic wounds(急性および慢性創傷の微生物学)、Facing the challenge of wound management in the 21st Century(21世紀における創傷治療の試み)、Master Misericordiae University Hospital)。微生物(特に、生物膜内の微生物)は、定数検知と呼ばれる情報伝達メカニズムを使用する。これは、新たな過酷な環境内での生き残りを促進する細胞密度に依存した情報伝達形態である。微生物は、信号伝達分子を放出して「生存のヒント」を互いに連絡しあう(すなわち、特定の組織変化や特定の防衛的化学物質を生成する)。
【0006】
壊死組織切除は創傷治療に不可欠な要素である。死滅した組織および不健康な組織の除去は、微生物のコロニー形成に利用できる生息地を最小限に抑え、新たな組織の形成を可能にするために不可欠な処置である。壊死組織の除去は、鋭利な器具を用いて細胞を物理的に除去するか、あるいは、生理食塩水や滅菌水を塗布することによって行う。咬傷の処理は、微生物の負荷量を削減する高圧洗浄を伴う。
【0007】
歴史的には、創傷を殺菌するのに、ガス状またはオイル内に溶解したオゾンを用いている。オゾンガスの直接塗布、静脈注射、肛門吸入法や、自己血液−オゾン療法は、すべて周知の医学的オゾン利用法である。このような治療の詳細については、下記の特許文献を参照のこと。ロシア特許第2178699号明細書、フランス特許第2784388号明細書、米国特許第6073627号明細書。
【0008】
オゾン水仮説
1.殺菌
1.1.オゾンは反応性が高く、また、遊離基の形成を通じて分解して分子酸素を形成する。遊離基は、その外側軌道に不対電子を持つため、極めて不安定で非常に反応しやすい。これらの遊離基は、水酸基、超酸化物、またはオゾニド基を含む。オゾンの微生物破壊作用は、まず、細胞膜上で進行し、次いで他の細胞部位も順次破壊していくものである。提案されている作用機序は、その概要において、微生物細胞膜内のオレフィンボンドが関与し、この微生物細胞膜がオゾンによって破壊され、オゾニドまたは他の分解生成物を形成すると考えられている。オゾニドは、酵素、SH基とアルデヒド、離型ペルオキシ化合物と反応する。ペルオキシ化合物は、さらに、蛋白質、DNA、および他の構造を破壊する。細胞が分離して、細胞質が分散する。オゾン水は、本質的には、創傷内の微生物を減らすために用いられる。
【0009】
1.2.オゾン水は、特に、嫌気性細菌に有効に作用するが、これは、嫌気性細菌には抗酸化物質および他の酸化防衛システムが欠如しているためである。好気性細菌は、スーパーオキサシドジスムターゼなどの抗酸化物質を生成して、酸素を用いる呼吸によって生じる細胞破壊を防ぐ。嫌気性細菌は呼吸に酸素を用いないため、進歩した抗酸化物質を放出しない。嫌気性細菌の排除は、感染の確率を低くする。(前記ボウラー(Bowler)を参照)。
【0010】
1.3.遊離基を基盤とした酸化は不規則であるため、オゾン水に対する耐性を培うことは微生物にとって極めて困難である。遊離基を基盤とした殺菌は、目標部位の特異性に影響されない。遊離基はすべての微生物に対して有効に作用するが、その殺生率は、とりわけ、異なる細菌種内の抗酸化物質の蔓延度によって異なる。
【0011】
1.4.十分に長い接触期間は、創傷床からすべての微生物を排除して、滅菌環境を形成する。
【0012】
2.壊死組織除去
2.1.オゾン水は、細胞に固有なものではないので、創傷組織と同様に微生物にも破壊作用を与える。不健康な組織または死滅した組織は、健康な組織ほど十分には灌流されないため、抗酸化物質または酵素作用物質(スーパーオキシド、ジスムターゼ、グルタチオン、マクロファージなど)をそれほど多くは含まない。不健康な組織は、遊離基の破壊作用に対して健康な組織よりもはるかに脆弱な防衛機制しか備えていないため、健康な組織よりも損傷/破壊/排除されやすい。このため、オゾン水は、擬似選択的な化学的壊死組織除去システムを提供して、改良された治癒環境を形成する。
【0013】
3.湿性治癒環境
3.1.オゾン水の塗布は、(1.4に記載の事項と共に)湿性の治癒環境を提供する。湿性治癒環境は、創傷の治癒にとって欠かせないものである。(ウィンター(Winter,G.D.)、1962年、Formation of scab and the rate of epithelization of superficial wounds in the skin(皮膚の浅在性創傷における痂皮の形成と外皮化の発生率)、Nature、Vol 193,p293−294)
【0014】
4.活性酸素種(ROS)
4.1.オゾン水は、分解媒介物として活性酸素種(ROS)を生成する。生成されたROSは身体固有の自然の防衛システムを補完するもので、前記防衛システムでは、多形核原形質(PMN)がROSを生成して微生物を除去する。オゾン水治療システムは生体模倣的なものであり、身体固有のPMNが感染に圧倒されているときに「ブースター」を提供する。
【0015】
4.2.オゾン水は、灌流が不十分な虚血組織においてROS生成器として機能する。灌流が欠如すると、栄養素/酸素/エネルギの欠乏によって身体固有のROS生成が阻害される。オゾン水は、身体の自然の感染体排除メカニズムを人工的に構築する。
【0016】
4.3.ROSは血管の形成(脈管形成)を助け、膠原生成を擬態する(セン(Sen,C.K.)、カンナ(Khanna,S.)、バービア(Babiar,B.M.)、ハント(Hunt,T.K.)、エリソン(Ellison,E.C.)、およびロイ(Roy,S.)。2002年。Redox control of wound repair(創傷治療の酸化還元反応制御)、JCB(paper in press)、Manuscript M203391200)。
【0017】
4.4.微生物は定数検知によって情報伝達を行うが、この情報伝達は、情報伝達分子の放出によって促進される。ROSは、これらの情報伝達分子を積極的に酸化でき、共力性の生存効果を抑制する。この機構は、生体膜形成を抑制するという点で重要なものになる。
【0018】
5.酸化作用
5.1.オゾン水は分解して水と酸素になる。この分解反応が創傷内に生じると、細胞に酸素の表面塗布を提供して高酸素環境を作り出す。嫌気性細菌は高酸素環境では生存できず、感染は減少する。
【0019】
5.2.オゾン水の添加によって形成された高酸素環境は、灌流が不十分な組織(虚血)に酸素源を供給でき、創傷治癒を促進できる。
【0020】
5.3.サイトカインと成長因子は、高酸素環境において改善された機械的活動を行う。このことは、オゾン水塗布器材を用いることで促進できる。
【0021】
5.4.オゾン水塗布器材は酸素濃縮装置を含み、この酸素濃縮装置は創傷に高圧無菌酸素を供給するために利用できる。酸素は、創傷の治療プロセスにおいて非常に重要である。前記器材は、高圧噴射によって、あるいは創傷領域の周囲に高圧酸素室を設けることによって、創傷への酸素の塗布を可能にする。
【0022】
6.急性創傷反応
6.1.慢性創傷内に急性創傷を与えることで、創傷治癒反応を誘導できることが調査によって判明した。オゾン水の塗布によって引き起こされる細胞の酸化は、治癒しない慢性創傷内に急性創傷型の反応を誘起する。
【0023】
オゾン化水
オゾン化水は、細菌および他の微生物を殺生するために幅広く利用される。ただし、水の中にオゾンを生成して溶解させる場合は、通常、1ppmより低いレベルが期待される。
【0024】
国際公開第A−0020343号明細書は、オゾン水溶液を製造して動物小屋の給水を殺菌する装置を開示する。このプロセスは、オゾン化を促進するために、接触器の与圧を必要とする。
【0025】
米国特許第A−5834031号明細書は、オゾン水を利用した足部菌腫の治療装置を開示する。単一の「インライン」オゾン化プロセスを用い、治療する外肢を完全に浸水させた状態でオゾン水を製造する。
【0026】
米国特許第A−5098415号明細書は、オゾン水溶液内への外肢の浸漬を利用したオゾン水による足部疾患の治療装置を開示する。
【0027】
国際公開第A−0172432号明細書は、オゾン水の液流を供給する携帯型の噴霧器を開示する。オゾン水の製造プロセスでは、脱ガスユニットと、「インライン」製造方法を用いる。
【0028】
米国特許第A−6455017号明細書は、オゾン水を利用して洗い流しおよび殺菌を行う携帯型の装置を開示する。オゾン水の製造プロセスには、「インライン」の製造方法が用いられる。
【0029】
米国特許第A−2002139755号明細書は、液体内への気体の溶解を増進する方法を開示する。この方法では、極微小気泡を作製して回転流れを誘導するようにサイズおよび配置が設定された複数のノズルを使用する。
【0030】
ロシア特許第A−2175539号明細書は、オゾンガスを用いた創傷の治療方法を開示する。この治療は、創傷へのガスの印加を基準としたものである。
【0031】
米国特許第A−4375812号明細書は、オゾン水を用いた火傷損傷の治療方法を開示するもので、この治療方法には、患者の身体全体をオゾン水の槽に沈めることが含まれる。
【0032】
本発明は、高速殺菌が可能な高濃度オゾン溶液を作製すること、および殺菌する表面、特に、人または動物の創傷に高濃度オゾン水溶液を塗布する方法および装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、表面、特に、人と動物の創傷を殺菌する装置を開示する。創傷面に関連して説明するが、本発明の範囲はあらゆる種類の表面を含むものである。前記装置は、オゾン化水を溜める貯留槽と、貯留槽からノズルまでオゾン化水を送る手段と、を含み、ノズルは、治療する表面にオゾン化水の噴霧を吹き付ける1つ以上の噴出口を持つ。前記ノズルは全周囲いを備え、ノズルにおいて遊離するオゾン化ガスをノズルの周囲から回収する手段が設けられる。表面/治療する創傷の下には回収トレイが配設され、治療領域から流れるオゾン化水を受け取る。集水トレイの底面は多数の穴を含むことができ、この穴を通ってポンプによって使用済み溶液がトレイから抜き取られる。このポンプは前記溶液を溶媒に通し、溶液に含まれる残留オゾンを分解させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、添付の図面を参照しながら本発明のいくつかの具体的な実施形態について説明する。
【0035】
まず、図1の図を参照しながら説明すると、本発明を実行する装置は、次の3つの主要構成部品、10に示す濃縮オゾン水溶液の生成装置と、11に示す治療する手足の表面にオゾン溶液を噴霧する装置と、11aに示す、治療される手足を支持すると共に、治療される手足から流れる溶液を廃棄のために回収する装置と、を含む。装置全体のために、プログラマブル論理コンピュータを含む制御システム(図示せず)が設けられており、前記プログラマブル論理コンピュータは、装置の制御可能な部品のインターフェースとなって装置の動作を制御する。
【0036】
オゾン水の生成装置10は、ポンプ14とソレノイド制御バルブ15とを介して水の貯留槽13と接続された接触器12を含む。図2に代替の配置を示す。図において、本管からの水は圧力絞り弁を介して供給される。ポンプ14を起動し、かつソレノイドバルブ15を開いて、水位センサ16を作動させる十分なレベルに達するまで貯留槽から接触器12に水を送る。前記センサが信号をPLCに戻すリレイを起動すると、ポンプ14の電源が切られ、ソレノイドバルブ15が閉じられる。
【0037】
接続器は、接触器の上面に隣接した上向きの導入口18からポンプ19と作動圧力噴射部20(たとえば、米国特許第A−5863128号明細書に開示されるマゼイインジェクタ(Mazzei injector)など)とを通り、そこから接触器の底面近傍に位置する接触器への排出口21まで延びる導管17を備える。ポンプ19は、始動すると、導入口18から水を取り入れ、その水を差動圧力噴射器20に通し、さらにノズル排出口21から接触器に戻す。このノズルは、2つの機能を兼ねており、第1に、差動噴射器に必要な背圧を提供し、第2に、接触器内の気体と液体の混合を増進させる。
【0038】
好ましくは、酸素濃縮装置を使用する酸素供給部22は、絞り弁23と圧力調整器24を介してオゾン発生器25に乾燥した酸素ガスを供給する。この弁と調整器は、オゾン発生器25の前と後のいずれに設けてもよい。オゾン発生器は、紫外線、プロトン交換法、またはコロナ放電に基づく製造方法を利用できるが、好ましくは、コロナを基準とした空冷式オゾン発生器である。
【0039】
オゾン発生器を起動して、ソレノイドバルブ26を開ける。オゾンは、差動圧力噴射器20から引き出されて水と接触する。気体と流体の混合流は、排出口ノズル21から接触器12内に送られる。オゾン気泡は、接触器を通って上に移動し、排出口27においてパイプ28の中に出てゆく。
【0040】
パイプ28は、前記排出口に向けて下向きに傾斜しているため、パイプ内で生じる凝縮体はすべて前記排出口から接触器12の中に戻る。
【0041】
パイプ28に到達したオゾンガスはすべて分解装置30を通り、その中で酸素に分解される。加熱素子30aを駆動して、オゾン分解ユニット30を加熱する。温度センサ30bは、プログラマブル論理コンピュータ(PLC)に連結されており、プログラマブル論理コンピュータが、加熱プロセスを制御し、40〜80℃の間の一定温度、好ましくは60℃に分解ユニット30を維持する。分解部30を加熱することで、分解部自身の内部での水分形成を防止する。分解部30から出た酸素ガスは、マニホルド31に入る。この酸素ガスは、ファン32によってマニホルドから引き出されて、第2オゾン分解装置32aに送られ、そこから更に前述したオゾン発生器25に送られて、前記ユニットの冷却を助ける。
【0042】
接触器内のオゾン化プロセスに戻る。再循環システムへの導入口18は、上向きの端部を持ち、オゾン気泡が再循環システム内に吸い込まれるのを防ぐように形成される。オゾン水の濃度は、PLCに連結された溶解オゾンセンサ33によって監視される。溶解オゾン濃度が、オペレータによって設定された所望のレベルに達したら、PLCは、酸素濃縮装置とオゾン発生器をオフに切り換え、ソレノイド制御バルブ26を閉じる。ポンプ19をオフにして、ポンプ34を起動し、オゾン水溶液をスプレイシステム11に送る。ソレノイドバルブ35を開くと、前記水溶液は、圧力流量調整器36によって、圧力が40から100mbarの間、好ましくは70mbarに規制されたパイプに沿って移動する。
【0043】
オゾン水溶液は、1組の同心導管37,38の内側の導管37の一端に送られる。導管37の他端は、オゾン水の複数の噴流を放出するスプレイヘッド39を備える。
【0044】
スプレイヘッドは、図4から図10に示してある。このスプレイヘッドは、一連の噴流を作り出すように設計および構築され、好ましくは、連動ファン構成内に設けられる。スプレイシステムは単純に見えるが、多くの重要な特性を備える。開口部から高濃度オゾン溶液が送られるときに圧力差が生じ、この圧力差が、液流内に溶解しているオゾンガスを溶液から大気中に(オゾンの蒸気圧によって)放出する。圧力差が大きくなればなるほど、大気中に放出されるガスの量は多くなる。大気中のオゾンの法的規定値は、0.1ppmという非常に低い値である。したがって、スプレイヘッドは、「噴流穴」41(図7および図10を参照)を用いるように工夫されている。この噴流穴は、使用する溶液の量が少なくてすむ十分に小さいもの(装置のサイズを小さくできる)であるが、溶液から大量のオゾンを放出する過剰な圧力差を生じない程度には十分に大きい直径を持つ。オゾン溶液がヘッドに供給される圧力も一つの要因であり、約70mbarのレベルが最も適していることが試験で示されている。圧力が高くなると、より多くのオゾンガスが大気中に放出され、更に、噴流がより強力になって、創傷面の内部に微生物(bug)を「叩き込む(drilling)」。
【0045】
溶液がスプレイヘッド39を出るとき、圧力降下によってオゾンガスが溶液から出てくる。図4および図5に見られる噴流の重複した構成は、スプレイコーンの外側エッジの表面に対する容積領域を小さくできるため、溶液から遊離するオゾンガスの量は減少する。オゾンは急速に空気内に分解するため、縮小された表面対容積の比率は、オゾン溶液がスプレイヘッドから創傷面まで移動する間のオゾン溶液の分解を防止する上で極めて重要である。極めて低い圧力で噴流を動作させ、溶液から逃げ出すオゾンガスの量を最低限に抑えると共に、創傷床内で微生物が決して下方に移動しないようにする。スプレイヘッドは、ヘッドアタッチメント(「コーンヘッド」とも言う)40に配設され、スプレイヘッドによって作製される「噴流コーン」の寸法と一致するように構成される。コーンヘッドの長さは、噴流の圧力によって異なるが、好ましくは、125mmである。コーンヘッドの内部は、マニホルド31に接続されたファン32により大気に対してマイナスの圧力に維持される。噴霧プロセスにおいて溶液から放出されるオゾンガスは、外側の導管38を通ってマニホルド内に引き戻され、次いで第2オゾン分解部32aに入って、そこで酸素に分解される。
【0046】
使用時に、コーンヘッド40は、汚染除去/治療の対象となる創傷の上方に配置される。創傷面からコーンヘッド端部までの距離は、噴流の圧力によって異なるが、好ましくは10mmである。
【0047】
汚染除去/治療する創傷を持つ患者は、ベッドに寝ていることも、あるいは動き回ることもできる。詳細は後述するが、回収トレイは、創傷が存在する患者の外肢の下に置かれる。集水トレイは、連結支持機構(図示せず)を含み、この支持機構で治療中の患者の外肢の重量を受ける。支持機構は固定式でも、あるいは可撓式でもよいが、好ましくは、詰め物を入れた着脱可能な凹形または凸形支持部を含み、水平方向の回転を容易にするナックル継ぎ手の上に配置される。これは、更に、ジョイント47によって回収装置に固定された心棒に配設され、ジョイント47は垂直面内での心棒の円弧状の移動を可能にする。好ましくは、これはピン接合である。集水トレイは、使用済み溶液をトレイの底部に排出できるようにする穴49を内部に持つ着脱式差込部48を備える。この差込部48は、好ましくは、一連の穴49を備えたV字形で、この一連の穴49は、殺菌プロセスにおいて溶液の排出は許容するが、創傷から洗い流された大きい生物物質は保持する。集水トレイは、上部にスプレイヘッドシステムを搭載した側面フランジ50を持つ。
【0048】
スプレイヘッド39は、創傷上部の定位置に確実にスプレイコーンを保持する装着支持装置(図示せず)に固定される。この装着装置は、前記ヘッドを必要な位置に保持する各種の構造で構成でき、典型的には、スプレイヘッドをクランプする可撓性−剛体導管への取り付けを提供する機械式または電磁式装置である。
【0049】
集水トレイ43の底面は、使用済み溶液をトレイから排出するいくつかの穴51を含む。ポンプ52は、トレイと組み合わされた槽53(図1を参照)内に負の圧力を生成し、この負の圧力で回収トレイ内の液体を槽53内に排出させる。ポンプ52によって槽53から除去されたガスは、マニホルド31に送られ、そこで、第2触媒32aに通される。使用済み溶液によって放出された残留オゾンガスは、ここで分解される。
【0050】
溶液は、オペレータによって決定され、治療の開始時にPLCにプログラムされた期間創傷に塗布される。必要な存続期間が経過した後、PLCは、バルブ35を閉じ、規定の期間だけファン32とポンプ52の動作を継続させて、溶液の集水トレイを空にする。この期間において、バルブ60を開き、接続器内のレベルスイッチ61が始動するまで、接続器内の溶液を槽53内に汲み取る。ポンプ34をオフにし、バルブ60を閉じる。この期間が経過した後、ポンプ52とファン32をオフに切り換える。
【0051】
槽の導入口と排出口は、着脱を簡単にする即時接続カップリングを含む。治療の最後には、槽53を切り離し、その中に含まれる水を直接流して排出する。
【0052】
図3に、装置の他の代替配置を示す。この配置では、槽53は取り除かれており、集水トレイの内容物は、ポンプによって直接排出される。接触器に残る余分な溶液は、槽53ではなく、直接汲み出して排出する。この溶液を、廃棄パイプライン内で炭素フィルタ65に通し、残留している可能性のあるオゾンを破壊できる。
【0053】
家庭用または商業用の供給路から採取した水道水を用いて動作する本システムについて説明した。本発明は、濾過または調整された用水の利用を排除するものではない。このような用水は、オゾン化プロセスの速度を速める効果を持つが、濾過システムの存在は携帯性を損なうため、このような用水の使用は好ましいものではない。
【0054】
オゾン水溶液から大気中に遊離するオゾン水ガスを可能な限り捕捉して破壊する機能は、各装置の順調な動作にとって極めて重要である。下記の装置は、この目的を達成するためのものである。
【0055】
図7に、患者の創傷または他の表面にオゾン化水を塗布するノズル39と、ノズルの全周囲い40とを示し、図11から図15に、治療する患者の手足領域または身体領域を支持し、治療されている患者の領域から流れ出るオゾン化水を回収する集水トレイを示す。
【0056】
オゾン水は、液体にオゾンガスを溶解することによって生成される。オゾンの飽和蒸気圧は、25℃で760mmHGより大きく、このことは、液体から大気中にオゾンが活発に拡散することを意味する。オゾンには、0.1ppmの法的暴露規制が課せられているため、高濃度のオゾン水溶液が大気に晒されたときに問題を生じる(オゾンは溶液から容易に逃げ出し、大気中の濃度は0.1ppmの規定値を越えて上昇する)。
【0057】
液体からオゾンガスが遊離する率は、温度と圧力に大きく依存する。温度が高くなるとより多くのオゾンが溶液から逃げ出し、また、圧力が低いほど多くのオゾンが溶液から逃げ出す。
【0058】
オゾン水溶液は、常圧において作製され、その後、スプレイヘッドに汲み入れられるときに増圧した圧力下に置かれる。加圧下(すなわち、ポンプからスプレイヘッドまでのパイプ内)にあるとき、増加した圧力下に配置されているという事実のせいで、オゾンは溶液から外に出ることはない。スプレイヘッドに到達すると、唐突に常圧状態に晒され(すなわち、圧力降下が発生し)、液体流に含まれるオゾンの一部が大気中に放出される。スプレイヘッドには、開口部の両側に形成される圧力差が存在する。この圧力差の大きさは、スプレイヘッドから出るときに液体から放出されるオゾンガスの量を決定する。オゾンガスの放出は次の2つの結果を招く。その1つ目については既に説明したが、オゾンガスは有毒であり、大気中の濃度を法的暴露規制より上に上昇させることである。2つ目は、オゾン水流体の濃度が低下することである。本システムの目的は、高濃度溶液を創傷に塗布することであるので、オゾンガスの遊離による濃度の損失量は、最小限に抑える必要がある。
【0059】
スプレイヘッドを用いて実験を行い、異なるサイズの装置とポンプからの異なる圧力の各種の組み合わせについて調査した。その結果、直径0.5mmの開口は、70mbarの液体圧と組み合わせると、最も効果的な大きさであることが判明した。直径0.2mmの開口は、過度に大きい圧力差を作り出したため、かなりの量のオゾンガスを放出し、溶液の濃度を20ppmから12ppmに低下させた。直径0.75mmの開口は、非常に大量の液体をヘッドに送った。大量の液体は創傷を浸解させ、その結果、治療過程を促進するのではなく阻害することになる。
【0060】
直径0.5mmの開口では、まだ、圧力変化のせいで一部のオゾンガスが液体から流出してしまう。前記濃度は、20ppmから17ppmに低下する。大気中に逃げ出すオゾンガスには何らかの処理が必要であり、いずれの処理もなされない場合は、ある期間の累積効果で、オゾン濃度を0.1ppmより高く上昇させることになる。この対応として、スプレイヘッドを抽出システム38,40によって囲い、スプレイヘッドからの排出時にオゾンガスが遊離した場合に、抽出空気流内でオゾンガスを直ちに設備内に戻すように構成する。
【0061】
抽出システムの利用は、スプレイヘッドから出てゆく噴霧パターンの設計および形状に影響を与える。抽出システムを実装することは、スプレイヘッドから創傷まで空中を浮遊する水溶液の表面からオゾンガスを継続的に取り除くことを意味する。
【0062】
除去されるオゾンガスの量は、スプレイコーンの表面対容積の比率を小さくすることで制限できる。最適な噴霧構造は、抽出空気流に晒される表面積が小さく、衝突面の面積が大きいという構造である。スプレイヘッドは、二重の送風効果を生む一連の連動した噴出口を持つ(図4および図5を参照)。この構成は、噴霧パターンの最適な構成であっても、あるいはそうでなくてもよい。
【0063】
抽出「囲い」40は、消耗品として構成される(すなわち、患者と患者の合間で迅速に交換できる)。
【0064】
既に説明したように、オゾンガスは水溶液から外に活発に拡散する。創傷または器官の他の表面にオゾン水が噴霧されるとき、かなりの割合のオゾンが表面で破壊される。ただし、消費された排出液は依然としてオゾンを含んでおり、このオゾンは、前述したように積極的に大気中に侵入する。集水トレイは、2つの主要「概念」に従って機能する。
【0065】
2つのうちの第1の概念は、基本的にはトレイである、逆V字形に傾斜した剛性プラスチック差込部48を備える集水トレイ43に関する。一連の(たとえば、4cm間隔の)穴49は、V形の頂点に沿って穴あけされる。差込部は、オゾン水溶液を穴から透過するが、差込部下の隙間で遊離したガスを捕らえて、ガスが大気中に逃げないようにする。
【0066】
集水トレイの第2の概念は、触媒分解構造である。廃液回収領域71の上部に、1組の6インチファン70が水平に設けられる。各ファンの下は、ルテニウムペレットまたは他の触媒物質からなるベッド72で、ファンはそのベッドから空気を引き込む。
【0067】
図11から判るように、ファンは、V形の差込部にある穴から空気(と、空気より重い大気中のオゾンと)を引き込む。空気は、オゾン水溶液を通り越しながら、水溶液から逃げ出す可能性のあるオゾンを抜き取ってゆく。このオゾンと空気の混合物は、次に、オゾンを酸素に変換する触媒を通過する。酸素は、大気中に放出される。
【0068】
このように、本システムは、従来の多数のシステム(オゾン発生器、酸素濃縮装置、差動圧力噴射器)を採用し、これらのシステムを組み合わせることで、極めて高いオゾン水濃度(20ppmより高い濃度)を生成できる可搬性の高い携帯型の装置を得る。
【0069】
オゾン水ベースの殺菌システムは、これまで、大型の携帯性の低いシステムか、あるいは、低濃度のオゾン水溶液(5ppm)しか生成できない携帯型のシステムに基づくものであった。創傷にオゾンを施用するという考え方は新しいものではないが、本発明者らによる生物学的システムの調査と理解に基づいて開発された理論と、その理論に係るオゾン水との相互作用の様式はまったく新しいものである。オゾンガスへの暴露によって患者を危険に晒すことなく、高濃度のオゾン水溶液を人(または動物)に塗布する有効なシステムの開発はまったく新しい進歩的なものである。本発明は、溶液から遊離するオゾンガスの量を最小限に抑えながら高濃度の溶液を創傷面に送るオゾン水送達システムを包含する。スプレイ構成の設計と、圧力要件と、スプレイヘッド囲いの設計は、すべてオゾンガスの遊離を削減するという点で新規性がある。創傷領域からオゾンガスを排除する抽出システムの利用は、その設計同様に新規であり、この抽出システムは、オゾン水送達導管とオゾンガス抽出部とを単一のパイプシステムに組み込んだものである。
【0070】
集水トレイにも、他の重要な設計特性が組み込まれている。穴のあいた差込トレイは、トレイの底にオゾン水溶液を透過できるように設計されている。オゾンガスは空気よりも重く、そのためにトレイの底に残留する。差込部48は、トレイの底のオゾンガスを捕らえて患者から引き離す。トレイ内の廃液は、ぜん動ポンプとファンシステムによって除去されるため、オゾンガスは廃液と共に除去される。本構成は、オゾンガスの発生元をすべて抽出し、ガスを触媒分解部に送るシステムの主要ファンへの入口においてガスを単一のマニホルドに戻すように設計される。本システムの設計は、3つの個別の発生元から得られるガスに対する最終的な分解部として単一の触媒を使用する点で新規性および進歩性を持つ。更に、触媒反応を起こしたガスは、水冷式ではなく空冷式の発生器であると好ましいオゾン発生器の表面に送られて除去される。
【0071】
第1触媒分解部は新規性および進歩性を持つ。触媒分解部は、水がほとんどの触媒の反応を阻害するので、乾燥ガスの供給部と共に動作するように設計される。本システムの設計では、触媒が湿ったオゾンガスを分解でき、その触媒が損傷することはない。
【0072】
本装置では、表面に塗布する溶液の濃度(好ましくは、1〜21ppmの範囲の濃度)をユーザが決定できる。ユーザは、サイクルの開始時に、必要なオゾン水濃度を選択できる。また、ユーザは、表面に溶液を塗布する期間も選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】オゾン化水を生成して創傷に塗布するシステムを示す模式図である。
【図2】本システムの第1の変形形態を示す図である。
【図3】本システムの第2の変形形態を示す図である。
【図4】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図5】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図6】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図7】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図8】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図9】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図10】装置のスプレイヘッドを示す図である。
【図11】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図12】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図13】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図14】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【図15】集水トレイと、治療する患者の手足支持部と、を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を殺菌するオゾン化水の噴霧を生成する装置であって、
オゾン化水を蓄積する貯留槽と、
貯留槽からノズルにオゾン化水を送る手段であって、前記ノズルは、治療する表面にオゾン化水の噴霧を送る1つ以上の噴出口を持つ手段と、
全周囲いであって、ノズルにおいて遊離するオゾン化ガスをノズルの周りから回収する回収手段、水の流れを貯留槽からオゾン化ステーションに通し、更に貯留槽に循環させる循環手段、およびオゾン化ステーションにオゾンを供給して、貯留槽に戻る途中の循環している液体の流れの中に溶解させ、治療する表面に塗布するためにオゾン化水をスプレイノズルに送る前に、水の中のオゾン濃度を必要なレベルまで上昇させる手段として機能する全周囲いと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記循環手段は貯留槽内に導入口を持ち、前記導入口は、オゾン気泡の導入口への侵入を最低限に抑えるために上向きに構成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、前記オゾン化ステーションは、ベンチャーを含み、循環路内の水はベンチャーを通り、ベンチャーが狭くなる部分にオゾンガスを供給してオゾンガスを水の流れの中に混入することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置であって、前記ノズルは、小さい圧力降下でノズルを横切るオゾン化水の噴霧を放出して、水溶液からのオゾンの遊離を最小限に抑えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置であって、前記ノズルは、全周囲いを持ち、ノズルにおいて遊離するオゾン化ガスをノズルのまわりから回収する手段が設けられることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置であって、水の流れをオゾン化ステーションに通して循環させる循環手段は、気体と液体の混合物を運び、一端において反応槽に接続された少なくとも1つの排出口と、他の一端において反応槽に接続される導入口と、を持つ再循環ループと、前記ループ内で流体内にガスを溶解する手段と、前記ループを廻って流体を移動させる手段と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、ループ内で流体にガスを添加する手段は、差動圧力噴射器であることを特徴とする装置。
【請求項8】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、前記貯留槽は、溶解したオゾンの濃度と流体の酸化還元電位のすくなくとも一方を測定する手段と、流体を塗布する手段とを含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、前記流体は、同一のオリフィスを介して反応槽に出入りすることを特徴とする装置。
【請求項10】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、貯留槽内の溶融していないガスは、捕らえられて分解装置に通されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記分解装置は、
a)オゾンガスを分解するガス分解ユニットと、
b)加熱素子と、
c)温度センサと、を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、分解ユニットは、オゾンガスを分解する二酸化マンガン触媒を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の装置であって、前記ガス分解ユニットは、水平方向に対して傾斜したチューブを用いて貯留槽に連結され、オゾンの液化によって生じる水が貯留槽に戻れるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか1項に記載の装置であって、加熱素子と温度センサは、ガス分解ユニットを40〜80℃の間、好ましくは60℃の一定温度に維持することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載の装置であって、分解されたガスは、第2分解ユニットに送られることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、前記第2分解ユニットは活性炭素触媒であることを特徴とする装置。
【請求項17】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、表面に反応流体を噴霧する領域の廻りに負の圧力を印加する手段を設けることを特徴とする装置。
【請求項18】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、治療する患者の手足を支え、前記手足の創傷に噴霧した流体を回収する装置を含み、前記反応流体は創傷に噴霧され、続いて前記装置内に回収され、患者の手足は、前記装置の上または中に配置されることを特徴とする装置。
【請求項19】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、前記装置は携帯式であることを特徴とする装置。
【請求項20】
表面、好ましくは創傷に、貯留槽内で製造されたオゾン水流体を塗布する装置であって、
a)貯留槽から表面に前記流体を伝達する導管と、
b)表面に前記流体を噴霧するスプレイヘッドと、
c)囲いと、
d)スプレイヘッドの廻りに負の圧力を生成する手段と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、ポンプによって、前記流体が導管に沿って移動することを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項20または21に記載の装置であって、スプレイヘッドは、流体噴射を作製する複数のオリフィスを備えることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、前記スプレイヘッドは、重複したパターンを作製するように配置された複数の噴射口を備えることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項22または23に記載の装置であって、前記スプレイヘッドは、直径が0.2mm〜1.5mmの間、好ましくは0.5mmである複数のオリフィスを含むことを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項21乃至24のいずれか1項に記載の装置であって、ポンプ手段が設けられ、ポンプ手段は、50〜100mbarの間、好ましくは70mbarの圧力で流体をスプレイヘッドに汲み取ることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、スプレイヘッドは、チューブの一端に配置されたフレームに搭載され、チューブの他端は吸引装置に連結されることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項20乃至26のいずれか1項に記載の装置であって、スプレイヘッドは、垂体型の形状に構成された囲いを持ち、前記囲いは、創傷を取り囲むと共に、噴霧を送るための開口端を持つことを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、前記囲いの寸法は、流体の噴霧パターンをほとんど包含するが、前記噴霧パターンとは干渉しない寸法であることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項20乃至28のいずれか1項に記載の装置であって、前記スプレイヘッドは、支持構造によって所定の位置に保持されることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置であって、前記支持構造は、切り替え可能な電磁ベースと、可変位置クランプ装置と、からなることを特徴とする装置。
【請求項31】
創傷に塗布された流体を回収する装置であって、
a)集水装置と、
b)集水装置から主要ユニットに流体を送る手段と、
c)集水装置から主要ユニットにオゾンガスを送る手段と、
を含む装置。
【請求項1】
表面を殺菌するオゾン化水の噴霧を生成する装置であって、
オゾン化水を蓄積する貯留槽と、
貯留槽からノズルにオゾン化水を送る手段であって、前記ノズルは、治療する表面にオゾン化水の噴霧を送る1つ以上の噴出口を持つ手段と、
全周囲いであって、ノズルにおいて遊離するオゾン化ガスをノズルの周りから回収する回収手段、水の流れを貯留槽からオゾン化ステーションに通し、更に貯留槽に循環させる循環手段、およびオゾン化ステーションにオゾンを供給して、貯留槽に戻る途中の循環している液体の流れの中に溶解させ、治療する表面に塗布するためにオゾン化水をスプレイノズルに送る前に、水の中のオゾン濃度を必要なレベルまで上昇させる手段として機能する全周囲いと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記循環手段は貯留槽内に導入口を持ち、前記導入口は、オゾン気泡の導入口への侵入を最低限に抑えるために上向きに構成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、前記オゾン化ステーションは、ベンチャーを含み、循環路内の水はベンチャーを通り、ベンチャーが狭くなる部分にオゾンガスを供給してオゾンガスを水の流れの中に混入することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置であって、前記ノズルは、小さい圧力降下でノズルを横切るオゾン化水の噴霧を放出して、水溶液からのオゾンの遊離を最小限に抑えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置であって、前記ノズルは、全周囲いを持ち、ノズルにおいて遊離するオゾン化ガスをノズルのまわりから回収する手段が設けられることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置であって、水の流れをオゾン化ステーションに通して循環させる循環手段は、気体と液体の混合物を運び、一端において反応槽に接続された少なくとも1つの排出口と、他の一端において反応槽に接続される導入口と、を持つ再循環ループと、前記ループ内で流体内にガスを溶解する手段と、前記ループを廻って流体を移動させる手段と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、ループ内で流体にガスを添加する手段は、差動圧力噴射器であることを特徴とする装置。
【請求項8】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、前記貯留槽は、溶解したオゾンの濃度と流体の酸化還元電位のすくなくとも一方を測定する手段と、流体を塗布する手段とを含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、前記流体は、同一のオリフィスを介して反応槽に出入りすることを特徴とする装置。
【請求項10】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、貯留槽内の溶融していないガスは、捕らえられて分解装置に通されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記分解装置は、
a)オゾンガスを分解するガス分解ユニットと、
b)加熱素子と、
c)温度センサと、を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、分解ユニットは、オゾンガスを分解する二酸化マンガン触媒を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の装置であって、前記ガス分解ユニットは、水平方向に対して傾斜したチューブを用いて貯留槽に連結され、オゾンの液化によって生じる水が貯留槽に戻れるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか1項に記載の装置であって、加熱素子と温度センサは、ガス分解ユニットを40〜80℃の間、好ましくは60℃の一定温度に維持することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載の装置であって、分解されたガスは、第2分解ユニットに送られることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、前記第2分解ユニットは活性炭素触媒であることを特徴とする装置。
【請求項17】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、表面に反応流体を噴霧する領域の廻りに負の圧力を印加する手段を設けることを特徴とする装置。
【請求項18】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、治療する患者の手足を支え、前記手足の創傷に噴霧した流体を回収する装置を含み、前記反応流体は創傷に噴霧され、続いて前記装置内に回収され、患者の手足は、前記装置の上または中に配置されることを特徴とする装置。
【請求項19】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の装置であって、前記装置は携帯式であることを特徴とする装置。
【請求項20】
表面、好ましくは創傷に、貯留槽内で製造されたオゾン水流体を塗布する装置であって、
a)貯留槽から表面に前記流体を伝達する導管と、
b)表面に前記流体を噴霧するスプレイヘッドと、
c)囲いと、
d)スプレイヘッドの廻りに負の圧力を生成する手段と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、ポンプによって、前記流体が導管に沿って移動することを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項20または21に記載の装置であって、スプレイヘッドは、流体噴射を作製する複数のオリフィスを備えることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、前記スプレイヘッドは、重複したパターンを作製するように配置された複数の噴射口を備えることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項22または23に記載の装置であって、前記スプレイヘッドは、直径が0.2mm〜1.5mmの間、好ましくは0.5mmである複数のオリフィスを含むことを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項21乃至24のいずれか1項に記載の装置であって、ポンプ手段が設けられ、ポンプ手段は、50〜100mbarの間、好ましくは70mbarの圧力で流体をスプレイヘッドに汲み取ることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、スプレイヘッドは、チューブの一端に配置されたフレームに搭載され、チューブの他端は吸引装置に連結されることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項20乃至26のいずれか1項に記載の装置であって、スプレイヘッドは、垂体型の形状に構成された囲いを持ち、前記囲いは、創傷を取り囲むと共に、噴霧を送るための開口端を持つことを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、前記囲いの寸法は、流体の噴霧パターンをほとんど包含するが、前記噴霧パターンとは干渉しない寸法であることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項20乃至28のいずれか1項に記載の装置であって、前記スプレイヘッドは、支持構造によって所定の位置に保持されることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置であって、前記支持構造は、切り替え可能な電磁ベースと、可変位置クランプ装置と、からなることを特徴とする装置。
【請求項31】
創傷に塗布された流体を回収する装置であって、
a)集水装置と、
b)集水装置から主要ユニットに流体を送る手段と、
c)集水装置から主要ユニットにオゾンガスを送る手段と、
を含む装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−503960(P2007−503960A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530530(P2006−530530)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002212
【国際公開番号】WO2004/103452
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(501468208)バイオケル ユーケイ リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002212
【国際公開番号】WO2004/103452
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(501468208)バイオケル ユーケイ リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
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