説明

表面修飾された炭素材料およびその製造方法

【課題】表面修飾した性質を長期間維持できる炭素材料、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】スルホン酸基とフッ素原子とにより表面修飾されたことを特徴とする炭素材料であり、表面修飾したフッ素原子とスルホン酸基がモル比で(フッ素原子含量×0.5)>(スルホン酸基)である炭素材料。その製造方法は、炭素材料とスルホン酸基供給源とを反応させてスルホン酸基により表面修飾された炭素材料を得る工程と、続いて前記スルホン酸基により表面修飾された炭素材料とフッ素ガスとを反応させてスルホン酸基とフッ素原子とに表面修飾された炭素材料を得る工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン酸基とフッ素原子で表面修飾された炭素材料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素材料の表面修飾をおこない特定の性質を付与することは従来おこなわれている。例えば、炭素質粉粒体の表面を酸化処理およびフッ素化処理によって改質することで表面の濡れ性を向上させることが知られている(特許文献1)。また、カーボンブラックをスルホン化反応溶媒中に分散させて粒子表面にスルホン酸基を導入することで、安定な水分散性が付与されることが知られている(特許文献2)。このような表面修飾された炭素材料は、例えばインクジェット用記録液や燃料電池の触媒担体として用いられている(特許文献2および3)。
また、フッ素化とスルホン化をおこなう例として、被処理体をフッ素ガスと硫黄含有化合物とを含む混合ガスと接触させる硫黄含有官能基の導入方法が知られている(特許文献4〜8)。しかしこれらの特許文献では高分子材料からなる被処理体を対象としており、カーボンブラックのような炭素材料を処理することについては知られていなかった。炭素材料に関しては、フッ素化によって得られたフッ化炭素を二酸化硫黄ガスで接触処理するフッ化炭素の精製法が知られている(特許文献9)が、これはフッ化炭素製造時において吸着した過剰のフッ素を除去するために二酸化硫黄と反応させるものであり、二酸化硫黄は表面修飾に寄与していないものであった。
【特許文献1】特開平5−78110号公報
【特許文献2】特開平10−110127号公報
【特許文献3】特表2005−527957号公報
【特許文献4】特公昭59−5601号公報
【特許文献5】特開昭60−86132号公報
【特許文献6】特開平4−59838号公報
【特許文献7】特開2000−256490号公報
【特許文献8】特開2001−76703号公報
【特許文献9】特開平2−22114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、スルホン酸基とフッ素原子の両者で表面修飾した性質を長期間維持できる炭素材料、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は炭素材料についてスルホン酸基を導入する表面処理工程およびフッ素ガス処理による表面処理工程をこの順に、ないしは同時におこなうことによって、炭素表面修飾による改質の安定性に優れた炭素材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の目的は下記の手段によって達成された。
【0005】
(1)スルホン酸基とフッ素原子とにより表面修飾されたことを特徴とする炭素材料。
(2)表面修飾したフッ素原子とスルホン酸基がモル比で(フッ素原子含量×0.5)>(スルホン酸基含量)である(1)記載の炭素材料。
(3)炭素材料とスルホン酸基供給源とを反応させてスルホン酸基により表面修飾された炭素材料を得る工程と、続いて前記スルホン酸基により表面修飾された炭素材料とフッ素ガスとを反応させてスルホン酸基とフッ素原子とにより表面修飾された炭素材料を得る工程とを含むことを特徴とする、表面修飾された炭素材料の製造方法。
(4)前記スルホン酸基供給源が、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、及び三酸化硫黄錯体の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、(3)に記載の表面修飾された炭素材料の製造方法。
(5)炭素材料に二酸化硫黄ガスとフッ素ガスとを含む混合ガスを反応させて、スルホン酸基とフッ素原子とにより表面修飾された炭素材料を得る工程を含むことを特徴とする、表面修飾された炭素材料の製造方法。
(6)前記混合ガス中のフッ素ガス濃度が5〜15体積%であることを特徴とする、(5)に記載の表面修飾された炭素材料の製造方法。
(7)(2)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする表面修飾された炭素材料。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって得られる表面修飾された炭素材料は、親水性・強酸性などを示すスルホン酸基と撥水性・耐薬品性などを示すフッ素原子を炭素原子上に有する化合物であり、高温でもスルホン酸基は離脱しにくいのでその表面の性質は安定しており長期間維持できる。本発明によって得られる表面修飾された炭素材料は、スルホン酸基導入により表面の親水性が高められているので、燃料電池や電気二重層キャパシタなどの電極材料や触媒担体、インクジェット記録液用の黒色顔料などに好適に使用することができる。さらにはスルホン酸基が安定化されているため、種々の材料に求められる濡れ性、水系溶媒中における分散性などの諸物性を安定に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において用いる炭素材料とは、稲垣道夫編「解説・カーボンファミリー」(アグネ承風社、2001年刊)第1章に記載されている炭素材料の定義に従い、元素「炭素」を主成分とする全ての材料、黒鉛のみでなくダイヤモンド、フラーレン、カルビンも含めた全ての材料を炭素材料と呼ぶ。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、気相法炭素繊維、ダイヤモンドライクカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどが挙げられる。形状は、粉状、粒状、フレーク状、繊維状、板状、管状、アモルファス状、薄膜状など、いずれの形状であってもよい。
【0008】
本発明において用いられる炭素材料の状態は限定されず、金属や金属酸化物などを担持していてもよい。具体的には、金属(白金、パラジウムなど)、金属酸化物(酸化白金、重合体粒子、有機物粒子など)、無機系粒子(セラミック粒子、炭素材料粒子など)、金属系粒子(金属粒子、金属酸化物粒子など)などを担持しているものが挙げられる。
【0009】
本発明においてまずスルホン化処理を行う。
【0010】
スルホン化処理については、Everett E. Gilbert著「Sulfonation and Related Reactions」(Interscience Publishers、1965年刊)、S. Patai著「Chemistry of Sulphonic Acids, Esters and Their Derivatives」(Wiley、1990年刊)などの成書に記載されている内容を参考にして行うことができる。また、炭素材料に対してスルホン化処理をおこなった例としては、特開平10−110112、特開平10−110127、特開平11−246806、特開2005−150002、特表2005−527957などが挙げられる。
【0011】
スルホン化剤としては、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄錯体などを用いることが好ましい。三酸化硫黄との反応においては、特開2003−165926に記載されているように硫黄を燃焼させて生成させた二酸化硫黄ガスを接触酸化して得られた三酸化硫黄ガスを用いておこなってもよいし、発煙硫酸から得られる三酸化硫黄を用いてもよいし、市販の三酸化硫黄を用いてもよい。
【0012】
炭素材料のスルホン化剤による表面処理は、炭素材料を分散させる溶媒を用いておこなってもよく、液体状のスルホン化剤の場合にはそれ自身溶媒を兼ねて用いてもよい。気体状のスルホン化剤の場合には気体が接触するようにおこなってもよいし、炭素材料を分散させた溶媒にスルホン化剤気体を吹き込むこともできる。スルホン化処理の処理温度は好ましくは−20〜200℃、より好ましくは0〜150℃である。反応時間は、好ましくは1分〜3日間であり、より好ましくは1時間〜1日間である。
【0013】
このスルホン化処理により炭素材料の表面において炭素原子と結合してスルホン酸基が導入される。このスルホン酸基の導入量は、炭素材料の単位表面値当り、好ましくは1×10−7mol/m〜1×10−3mol/m、より好ましくは1×10−6mol/m〜1×10−4mol/mである。この場合、最終的にフッ素化処理後のスルホン酸基は、フッ素化処理により若干減少する場合もあるが、好ましくは1×10−7mol/m〜1×10−3mol/mより好ましくは1×10−6mol/m〜1×10−4mol/mである。
また本発明において、炭素材料の表面にスルホン酸基を導入することは、炭素材料の最表面に存在する炭素原子とスルホン酸基が直接結合する場合だけでなく、芳香環を介して炭素原子と結合する、すなわち芳香族スルホン酸中の任意の炭素原子と炭素材料の最表面に存在する炭素原子が直接結合する場合も含む。
【0014】
本発明の好ましい態様としてスルホン化処理に次いでフッ素化処理を行う。この本発明におけるフッ素化処理について次に説明する。
【0015】
炭素材料をフッ素ガスと反応させてフッ素化をおこなう方法は、特開昭58−166647、特開昭60−191011、特開平5−98565、特開平6−80923、特開平9−180721、特開平11−180706、特開2003−112910、特開2005−273070、WO99/059033、J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1975, 654、J. Am. Chem. Soc. 1979, 101, 3832、日本化学会誌 1979, 1027、J. Chem. Soc. Faraday Trans 1995, 91, 3209、Carbon 1998, 36, 1399、J. Phys. Chem. A 1998, 102, 552、Carbon 1999, 37, 1033、炭素 1999, 187, 71、Carbon 2000, 38, 241、J. Phys. Soc. Jpn. 2001, 70, 175、J. Fluorine Chem. 2002, 114, 181、J. Phys. Chem. B 2004, 108, 9614、などに記載されている。渡辺信淳編著「グラファイト層間化合物」(近代編集社、1986年刊)25ページに記載されているように、高温で反応させることで完全フッ素化したフッ化カーボンが得られるが、本発明においては炭素材料の表面修飾をおこなうことが目的であるため、このような激しい反応条件は必要ない。
【0016】
フッ素ガスは、フッ素ガスボンベから供給しても良いし、KF・nHF共融混合物を電解したりフッ素を吸蔵している固体(例えばKNiF)を加熱したりするフッ素ガス発生装置を使用して発生させたフッ素ガスを用いても良い。
【0017】
フッ素ガスは不活性ガスによって任意の濃度に希釈したものを用いることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、パーフルオロ化合物などが挙げられる。なお、この不活性ガスによって希釈されたフッ素ガスのことを本発明においてはフッ素混合ガスと呼ぶこととする。
【0018】
フッ素化処理の反応の制御は、特に粉体を用いる場合には激しい反応を制御するために反応条件や反応容器に工夫が必要であることが工業化学雑誌 1970, 73, 1211に記載されている。
【0019】
反応容器中のフッ素ガス混合ガス濃度は、フッ素化反応を制御する上で重要な要因の一つである。フッ素混合ガス濃度としては1〜20%が好ましく、2〜18%がより好ましく、5〜15%が特に好ましい。なお、本発明におけるフッ素混合ガスの濃度は、体積%で表わされたものである。
【0020】
フッ素化処理の反応温度に特に制限はないが、−78〜600℃が好ましく、0〜500℃がより好ましく、10〜300℃がさらに好ましい。フッ素化反応中に反応温度を変化させておこなっても良い。特に温度制御をおこなわないで室温で反応をおこなってもよい。
【0021】
フッ素化処理の処理時間は任意に設定できるが、1秒〜10日が好ましく、10秒〜1時間がより好ましく、1分〜15分がさらに好ましく、5分〜10分が特に好ましい。なお、本発明におけるフッ素化処理の処理時間は、炭素材料とフッ素混合ガスの接触を開始させた時からフッ素混合ガスを取り除く操作を開始した時までの時間とする。これは、フッ素混合ガスの導入中や除去中にもフッ素ガスと炭素材料の反応が起こり得るので、厳密に処理時間を決めることが難しいために便宜上定義するものである。
【0022】
フッ素混合ガス中のフッ素ガス濃度およびフッ素化処理の処理時間の組み合わせとしては、1〜20%で1秒〜1時間が好ましく、2〜18%で1〜30分がより好ましく、5〜15%で5〜20分が特に好ましい。
【0023】
フッ素化処理の反応をおこなう反応装置としてはどのようなものを用いてもよい。例えば、Prog. Inorg. Chem. 1979, 26, 172や、アール・イー・バンクス(R. E. Banks)、ビー・イー・スマート(B. E. Smart)編「オーガノフルオリン・ケミストリー:プリンシプルズ・アンド・コマーシャル・アプリケーションズ(Organofluorine Chemistry: Principles and Commercial Applications)」(プレナム・プレス(Plenum Press)、1994年刊)475〜478ページに記載されているような反応装置の概略図を参考にできる。
【0024】
反応容器の材質としては、モネル、インコネルやステンレスなどの金属や合金、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素不活性素材などを用いることができる。これらを組み合わせて成るものでもよい。
【0025】
フッ素混合ガスとの反応は、上述の反応装置を参考にして、容器中に炭素材料を入れてフッ素混合ガスを流通させながら反応させる流通式でおこなってもよいし、密閉容器中に炭素材料を入れてフッ素混合ガスを充填して反応させるバッチ式でおこなってもよいし、炭素材料を連続的に反応容器に搬入・搬出しながら反応させる連続式でおこなってもよい。
【0026】
流通式でおこなう場合、フッ素混合ガスの流速は任意に設定できるが、反応容器の内容量が数秒〜数分で置き換わる程度の流速で流通させるのが好ましい。例えば、内容量100mlの反応容器を用いる場合には、1〜1000ml/minが好ましく、10〜500ml/minがより好ましく、50〜300ml/minが特に好ましい。フッ素化反応中にフッ素混合ガスの流速を変化させておこなうこともできる。反応容器から出てきたフッ素混合ガスを再度反応容器に還流させながらおこなうこともできる。
【0027】
バッチ式でおこなう場合、フッ素混合ガスの圧力は任意に設定できるが、10kPa〜10MPaが好ましく、50kPa〜1MPaがより好ましく、80〜500kPaがさらに好ましい。フッ素化処理中にフッ素混合ガスを追加あるいは放出することで圧力を変化させておこなうこともできる。
【0028】
連続式でおこなう場合、処理領域への炭素材料の搬入・搬出速度は、材料の性質として許容できる範囲内であれば任意に設定できる。フッ素混合ガスを流通させている反応容器の中に炭素材料を搬入する形式の場合、フッ素混合ガスの流速は流通式でおこなう場合に準じる。フッ素混合ガスが充填された反応容器の中に炭素材料を搬入する形式の場合、フッ素混合ガスの圧力はバッチ式でおこなう場合に準じる。
【0029】
フッ素ガスとの反応中に別の反応性ガスが共存するとフッ素化反応と合わせて別の反応が起こる。これを活用する場合もありうるが、フッ素ガスとの反応をおこなう前に反応容器中を不活性雰囲気にしてからフッ素ガスとの反応をおこなうことが好ましい。不活性雰囲気にする方法としては、反応容器を減圧にした後に不活性ガスで置換する方法や、不活性ガスを流通させて置換する方法などが挙げられる。
【0030】
フッ素以外の反応性ガスを共存させてフッ素化反応と合わせて別の反応を利用する場合、共存させる反応性ガスとしては、酸素、塩素、臭素、二酸化硫黄が挙げられる。反応性ガスはフッ素ガスとあらかじめ混合して反応容器に供給しても良いし、別々に導入して反応容器中で混合してもよいし、重合体と共に反応容器中に導入してもよい。
【0031】
フッ素ガスとの反応終了後すぐに反応容器を開封することは、容器中に残存しているフッ素ガスが処理されないまま大気中に放出されるため好ましくない。また炭素材料がフッ素ガスと空気に同時に触れることになり、不活性雰囲気での反応ではなくなるため好ましくない。フッ素化反応後は反応容器中からフッ素混合ガスを取り除いてから開封することが好ましい。フッ素混合ガスを取り除く方法としては、反応容器を減圧脱気して不活性ガスで置換する方法や、不活性ガスを流通させて置換する方法などが挙げられる。
【0032】
炭素原子のみで構成されるダイヤモンド、黒鉛、フラーレンなどを除いて、炭素材料においては炭素原子上に水素やその他のヘテロ元素を結合して含んで構成されていることが普通である。例えば、カーボンブラック表面には酸素、水素、硫黄などの元素が微量存在していることがJ.B.ドネ、A.ボエット著、高橋浩、山下晋三、堤和男監訳「カーボンブラック」(講談社、1978年刊)第4章に記載されている。このような水素原子を含む炭素材料の直接フッ素化反応においては、C−H結合がC−F結合に変換される反応が起こることで副生成物としてフッ化水素(HF)が生成する。フッ化水素が共存したままでフッ素化反応をおこなってもよいし、取り除く操作をして反応をおこなってもよい。フッ化水素を反応系から取り除く方法としては、フッ化カリウム(KF)やフッ化ナトリウム(NaF)などのアルカリ金属フッ化物やトリアルキルアミンなどの有機塩基をフッ化水素捕捉剤として反応系中に共存させておく方法や、フッ素混合ガスと共にフッ化水素を流し去る方法などが挙げられる。フッ化水素を流し去る方法においては反応容器ガス出口でフッ化水素捕捉剤と出口ガスを接触させることが好ましい。流通式で反応をおこなう場合にはフッ化水素を流し去る方法が適しており、バッチ式でおこなう場合にはフッ化水素捕捉剤を共存させる方法が適している。
【0033】
フッ素化反応をおこなった後、十分に取り除けなかったフッ素ガスおよびフッ化水素などの副生成物を除去するために、特開平5−78975記載のように水洗などによる洗浄操作をおこなうこともできる。過剰のフッ素を除去するために、塩化水素ガス、二酸化硫黄ガス、二酸化窒素ガス、水蒸気などで処理する特開平2−22114記載の方法を利用しても良い。
【0034】
本発明の炭素材料の製造方法において、炭素材料の表面処理としてのスルホン化とフッ素化は、スルホン化に続いてフッ素化をおこなうか、あるいはスルホン化とフッ素化を同時におこなうことに特徴がある。本発明の規定する上記工程によらないで、炭素材料に対し、スルホン化処理の前にフッ素化処理を行うと十分な量のスルホン酸基を導入することができないという問題が生じ、本発明の目的を達成できない。本発明の工程をとることによりはじめて、表面修飾スルホン酸基の安定性の高い炭素材料を得ることができる。この理由は、まだ定かではないが炭素材料の表面に安定なフッ化炭素層が形成されたか、あるいはスルホン化が起こりにくい構造になったためと推定される。
【0035】
スルホン化に続いてフッ素化を連続しておこなう場合、スルホン化およびフッ素化の条件は上述のスルホン化およびフッ素化についての説明に従って実施することが好ましい。スルホン化をおこなってからフッ素化をおこなうまでに、何もおこなわずに連続して処理をおこなってもよいし、洗浄、単離、中和、乾燥などの操作をおこなってもよい。スルホン化処理に用いた反応剤や副生成物がフッ素化に与える影響を取り除くために、適切な洗浄や乾燥操作をおこなうことが好ましい。
【0036】
スルホン化とフッ素化を同時におこなう場合、フッ素ガスの高い反応性のためにスルホン化剤が反応し得るので、フッ素ガスと共存することでスルホン化できる反応剤を用いる。このような反応剤として二酸化硫黄が挙げられる。高分子材料をフッ素ガスおよび二酸化硫黄と反応させた例として、特公昭59−5601、特開昭60−86132、特開平2−22114、特開平4−59838、特開平10−7829、特開平10−101830、特開2000−256490、特開2001−76703、特開2003−128820などが挙げられる。二酸化硫黄は、日本化学会編「第4版実験化学講座16無機化合物」(丸善、1993年刊)140ページに記載されているように、ボンベに充填されたものを用いても良いし、都度合成しても良い。
【0037】
フッ素ガスと二酸化硫黄を用いて反応をおこなう場合の反応温度としては、上述のフッ素化反応の場合と同じである。但し、フッ素ガスと二酸化硫黄は発熱反応を伴いフッ化スルフリル(SO)を生成するため、反応温度やガス濃度等の取り扱い条件が厳しく制限される。反応温度としては上述のフッ素化反応の場合と同様であるが、反応容器内の温度を監視しながら温度変化に注意しておこなうことが必要である。
【0038】
フッ素混合ガスの濃度としては、上述のフッ素化反応の場合と同様である。好ましい場合も同じである。
【0039】
二酸化硫黄の濃度としては、薄すぎるとスルホン化が十分に起こらず、濃すぎるとフッ素ガスとの反応が激しく起こってしまうためフッ素化が起こらない。0.01〜20%が好ましく、0.1〜10%がより好ましく、0.5〜10%が特に好ましい。なお、二酸化硫黄の濃度は体積%で表わしたものである。
【0040】
上述の高分子材料をフッ素ガスおよび二酸化硫黄と反応させた例には、特開平4−59838や特開2003−128820のように材料に二酸化硫黄ガスを付着させてフッ素ガスと反応させる方法と、特開昭60−86132のように二酸化硫黄とフッ素の混合ガスと反応させる方法が知られている。炭素材料について検討したところ、特開昭60−86132に記載されているような二酸化硫黄とフッ素の混合ガスを用いてもスルホン化あるいはフッ素化がほとんど起こらず、特開平4−59838の実施例に記載されているような二酸化硫黄濃度がフッ素濃度よりも高い二酸化硫黄とフッ素の混合ガスを用いてもスルホン化およびフッ素化があまり起こらないことがわかった。さらに詳細な検討の結果、二酸化硫黄濃度よりもフッ素濃度が高い場合においてスルホン化とフッ素化が良好に起こり、フッ素濃度がより高い場合にスルホン酸基とフッ素原子の導入量が多くなることがわかった。フッ素ガスと二酸化硫黄を用いる場合の反応条件としては、あらかじめ二酸化硫黄ガスのみを炭素材料と接触させておき、不活性ガスでパージして過剰な二酸化硫黄を除去する操作あるいは減圧下で脱気する操作をおこなってからフッ素ガスと反応させることが好ましい。
【0041】
炭素材料として活性炭のような多孔質材料を用いる場合には、二酸化硫黄は活性炭に吸着されやすいため、あらかじめ二酸化硫黄ガスを接触させた場合の材料表面における二酸化硫黄の存在量は容器内のガス濃度に依存せず、材料の形状や接触時間などによって異なると考えられ、炭素材料表面で実際に反応に寄与する二酸化硫黄量を二酸化硫黄ガス濃度によって制御することは難しい。二酸化硫黄を反応容器内に充填する際の濃度と時間、別の気体を吹き込む量と時間などを管理することで、二酸化硫黄の存在量を制御して反応をおこなうことが好ましい。
【0042】
本発明の別の態様として、炭素材料に対し、スルホン化とフッ素化を同時に行って、表面処理する場合フッ素ガスおよび二酸化硫黄との反応時間は任意に設定できるが、1秒〜10日が好ましく、10秒〜1時間がより好ましく、1分〜15分がさらに好ましく、5分〜10分が特に好ましい。なお、この場合におけるフッ素ガスおよび二酸化硫黄との反応時間は、炭素材料とフッ素ガスと二酸化硫黄の3種を共存させた時から、炭素材料あるいはフッ素および二酸化硫黄を取り除く操作を開始した時までの時間とする。これは、フッ素ガスあるいは二酸化硫黄の導入中や除去中にも炭素材料との反応が起こり得るので、厳密に反応時間を決めることが難しいために便宜上定義するものである。
【0043】
さらに炭素材料に対してフッ素ガスの反応と合わせて他の処理をおこなうものとして、酸素を含むガスとフッ素の混合ガスを用いた例として特開平6−1942、特開2003−112910、酸化処理(硝酸、過マンガン酸/硫酸、クロム酸塩、次亜塩素酸塩等の薬液酸化、酸・アルカリ・塩類等の各種電解質を用いた電解酸化、空気、酸素、オゾン、窒素酸化物、ハロゲンガス、プラズマ、触媒酸化等による気相酸化)およびフッ素化処理をおこなった例として特開平5−78110、特開平6−1942、特開平6−212110、フッ素含有ガス処理を施したあと水蒸気含有ガスで処理する例として特開平9−124312、フッ素化に続いてアルカリで処理する例として特開平3−269164、フッ素と二酸化硫黄ガスの混合ガスで処理したあとアルカリ水溶液に浸漬する例として特開平10−7829などが挙げられ、これらをスルホン化と合わせておこなってもよい。
【0044】
表面修飾した炭素材料において、フッ素原子含有量が少なすぎるとフッ素化によるスルホン酸基の安定性向上効果が十分に得られず多すぎるとフッ素原子による疎水性が大きくなりスルホン酸基を導入することで期待される親水性が損なわれてしまう。スルホン酸基の含有量が多すぎると安定性向上効果を得るためには高いフッ素含量が必要になり、少なすぎるとスルホン酸基導入による親水性が十分でないものとなる。
本発明の炭素材料において、フッ素原子含量とスルホン酸基含量の関係は、モル比でフッ素とスルホン酸基が(フッ素原子含量×0.5)>(スルホン酸基含量)であることが好ましい。
【実施例】
【0045】
本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
<参考例1>
無水酢酸50mlに氷浴で冷却しながら濃硫酸2.5mlを少しずつ添加し、ケッチェンブラック(一次粒子径 39.5nm、表面積 800m/gのもの。以下同様。)5gを加えた。反応混合物を80℃で24時間反応させ、スルホン化処理した。放冷後に固体を濾別し、水に分散して濾液が中性になるまで水洗を繰り返してから、得られた固体を減圧乾燥した。蛍光X線分析によって硫黄元素が存在することを確認した。燃焼法による元素分析によって硫黄が0.78%含まれていることがわかった。
【0046】
<参考例2>
ケッチェンブラック0.5gに氷浴で冷却しながら30%発煙硫酸10mlを徐々に添加した。得られた反応混合物を室温で4時間反応させ、スルホン化処理した。反応混合物を氷水に少しずつ加え、固体を濾別し、水に分散して濾液が中性になるまで水洗を繰り返してから、得られた固体を減圧乾燥した。元素分析によって硫黄が1.53%含まれていた。
【0047】
<参考例3>
スルファニル酸0.5gを温水20mlに溶解し、ケッチェンブラック1.0gを加えて分散させ、濃硝酸0.25mlを加えた。80℃に設定した湯浴に浸して攪拌しながら、水1.25mlに溶解した亜硝酸ナトリウム0.25gを少しずつ滴下した。反応混合物を70℃に設定した湯浴中で3時間反応させ、スルホン化処理した。放冷後に固体を濾別し、水に分散して濾液が中性になるまで水洗を繰り返してから、得られた固体を減圧乾燥した。元素分析によって硫黄が2.28%含まれていた。
【0048】
<参考例4>
窒素気流下、50%白金担持カーボン(田中貴金属工業(株)製)2gを無水酢酸20mlに分散し、濃硫酸1mlを少しずつ添加し、スルホン化処理した。反応混合物を70℃で4時間反応させた。放冷後に固体を濾別し、水に分散して濾液が中性になるまで水洗を繰り返してから、得られた固体を減圧乾燥した。元素分析によって硫黄が0.59%含まれていた。
【0049】
<参考例5>
スルファニル酸0.5gを温水25mlに溶解し、50%白金担持カーボン1.5gを加えて分散させ、濃硫酸0.5mlを加えた。65℃に設定した湯浴に浸して攪拌しながら、水7.5mlに溶解した亜硝酸ナトリウム2.5gを少しずつ滴下した。反応混合物を65℃に設定した湯浴中で1時間反応させ、スルホン化処理した。放冷後に固体を濾別し、水に分散して濾液が中性になるまで水洗を繰り返してから、得られた固体を減圧乾燥した。元素分析によって硫黄が1.78%含まれていた。
【0050】
<参考例6>
50%白金担持カーボン1.7gを窒素雰囲気のガラス容器に入れ、白金担持カーボンに触れないように試験管に入れた三酸化硫黄1.5gをガラス容器内に設置し、容器を密閉して室温で放置することで、三酸化硫黄気体と反応させ、スルホン化処理した。24時間後に三酸化硫黄の固体が消失していることを確認し、容器を開封して固体を氷水に注ぎ、濾液が中性になるまで水洗を繰り返してから、得られた固体を減圧乾燥した。元素分析によって硫黄が1.50%含まれていた。
【0051】
<実施例1>
参考例1によってスルホン酸基を導入したケッチェンブラック0.5gをテフロン(商品名、ポリテトラフルオロエチレン)製シャーレに量り取り、フッ素およびヘリウムガス供給口と排気口を備えたポリテトラフルオロエチレン製容器に入れ、ヘリウムガスを流速100ml/minで吹き込んで1時間パージした後、20%フッ素/80%窒素混合ガスを流速100ml/minで、ヘリウムガスを流速100ml/minでそれぞれ10分間吹き込み(10%フッ素混合ガスに相当)、供給口と排気口を閉じて50分間反応させた。供給口と排気口を開け、ヘリウムガスを流速100ml/minで吹き込んで1時間パージしてから容器を開封し、得られた粉体を水洗してから減圧乾燥して、実施例1サンプルを得た。元素分析によってフッ素が10.5%、硫黄が0.56%含まれていた。
【0052】
表面を島津製作所(株)ESCA−750および3400を用いて測定した。炭素1s電子スペクトルにおいては、フッ素化していないケッチェンブラックで見られた282eV付近のピークに加えて289eV付近のピークが観測され、これはC−F結合に帰属される。またフッ素1s電子スペクトルにおいては、フッ素化していないケッチェンブラックでは何も観測されず、フッ素化によって688eV付近のピークが観測され、これはC−F結合に帰属される。
【0053】
<実施例2>
参考例2によってスルホン酸基を導入したケッチェンブラック0.5gを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作をおこない、実施例2サンプルを得た。元素分析によってフッ素が10.95%、硫黄が1.36%含まれていた。
【0054】
<実施例3>
参考例3によってスルホン酸基を導入したケッチェンブラック0.5gを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作をおこない、実施例3サンプルを得た。元素分析によってフッ素が19.80%、硫黄が1.85%含まれていた。
【0055】
<実施例4>
参考例4によってスルホン酸基を導入した白金担持カーボン1.44gをテフロン製シャーレに量り取り、フッ素およびヘリウムガス供給口と排気口を備えたポリテトラフルオロエチレン製容器に入れ、ヘリウムガスを流速100ml/minで吹き込んで1時間パージした後、20%フッ素/80%窒素混合ガスを流速100ml/minで、ヘリウムガスを流速100ml/minでそれぞれ10分間吹き込み(10%フッ素混合ガスに相当)、供給口と排気口を閉じて50分間反応させた。供給口と排気口を開け、ヘリウムガスを流速100ml/minで吹き込んで1時間パージしてから容器を開封し、得られた粉体を水洗してから減圧乾燥して、実施例4サンプルを得た。元素分析によってフッ素が4.19%、硫黄が0.53%含まれていた。
【0056】
<実施例5>
参考例5によってスルホン酸基を導入した白金担持カーボン1.0gを用いたこと以外は、実施例4と同様の操作をおこない、実施例5サンプルを得た。元素分析によってフッ素が10.17%、硫黄が1.61%含まれていた。
【0057】
<実施例6>
参考例6によってスルホン酸基を導入した白金担持カーボン1.0gを用いたこと以外は、実施例4と同様の操作をおこない、実施例6サンプルを得た。元素分析によってフッ素が4.10%、硫黄が1.44%含まれていた。
【0058】
<実施例7>
ケッチェンブラック0.44gをテフロン製シャーレに量り取り、フッ素、二酸化硫黄およびヘリウムガス供給口と排気口を備えたポリテトラフルオロエチレン製500ml容器に入れ、ヘリウムガスを流速100ml/minで1時間パージした後、二酸化硫黄ガスを流速200ml/minで5分間吹き込んでからヘリウムガスを流速200ml/minで5分間吹き込み、引き続き20%フッ素/80%窒素混合ガスを流速100ml/minで、ヘリウムガスを流速100ml/minでそれぞれ5分間吹き込み(10%フッ素混合ガスに相当)、供給口と排気口を閉じて55分間反応させた。供給口と排気口を開け、ヘリウムガスを流速100ml/minで吹き込んで1時間パージしてから容器を開封し、得られた粉体を水洗してから減圧乾燥して、実施例4サンプルを得た。元素分析によってフッ素が6.25%、硫黄が0.74%含まれていた。
【0059】
実施例1と同様にして表面を前記ESCAで分析したところ、同じようにC−F結合に帰属されるピークが観測された。
【0060】
<実施例8>
白金担持カーボン(田中貴金属工業(株)製)1.67gをテフロン製シャーレに量り取り、フッ素、二酸化硫黄およびヘリウムガス供給口と排気口を備えたポリテトラフルオロエチレン製500ml容器に入れ、ヘリウムガスを流速100ml/minで1時間パージした後、二酸化硫黄ガスを流速200ml/minで5分間吹き込んでからヘリウムガスを流速200ml/minで5分間吹き込み、引き続き20%フッ素/80%窒素混合ガスを流速100ml/minで、ヘリウムガスを流速100ml/minでそれぞれ5分間吹き込み(10%フッ素混合ガスに相当)、供給口と排気口を閉じて55分間反応させた。供給口と排気口を開け、ヘリウムガスを流速100ml/minで吹き込んで1時間パージしてから容器を開封し、得られた粉体を水洗してから減圧乾燥して、実施例5サンプルを得た。元素分析によってフッ素が3.48%、硫黄が0.59%含まれていた。
【0061】
実施例1と同様にして表面をESCAで分析したところ、同じようにC−F結合に帰属されるピークが観測された。
【0062】
<水分散性試験>
サンプルの親水性を評価するために、水に対する分散性を調べた。参考例・実施例で用いた未処理のケッチェンブラックおよび実施例1〜3、7で作成した炭素材料について、それぞれ0.5gを25ml透明サンプル瓶に量りとり、蒸留水20mlを加え、蓋をして1分間激しく攪拌した後、1分間放置して水分散液の様子を観察した。
未処理のケッチェンブラックの場合には、分散せずに透明な水にケッチェンブラックが浮かぶ様子が観察された。
実施例1〜3、7で作成した炭素材料の場合には、全体が黒色になって水に分散していることが観察された。
本発明の表面修飾した炭素材料は、親水性が付与されて水分散性が良くなっていることがわかる。
【0063】
<安定性試験>
サンプルの安定性試験として、高温条件における硫黄原子含量の変化を調べた。参考例1および実施例1、7で作成した炭素材料について、それぞれ70%硫酸中160℃で10時間加熱還流した。放冷後、濾液から硫酸イオンが検出されなくなるまで繰り返し洗浄し、減圧乾燥して、処理後のサンプルを得た。それぞれ元素分析による硫黄原子含量分析をおこなった。結果を表に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
スルホン酸基のみを導入した参考例1のサンプルは、高温処理によって硫黄原子含量が大幅に低下しているのに対して、スルホン酸基とフッ素原子を導入した実施例1のサンプルはほとんど変化しなかった。硫黄含量は(導入したスルホン酸基の量+炭素材料が始めから有する硫黄量)に対応するので、本発明の表面修飾した炭素材料は、導入したスルホン酸基が高温でも減少しない、安定な表面修飾がなされていることがわかる。また二酸化硫黄ガスとフッ素ガスの混合ガスを反応させて作成した実施例7サンプルも同様に変化しなかった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホン酸基とフッ素原子とにより表面修飾されたことを特徴とする炭素材料。
【請求項2】
表面修飾したフッ素原子とスルホン酸基がモル比で(フッ素原子含量×0.5)>(スルホン酸基含量)である請求項1記載の炭素材料。
【請求項3】
炭素材料とスルホン酸基供給源とを反応させてスルホン酸基により表面修飾された炭素材料を得る工程と、続いて前記スルホン酸基により表面修飾された炭素材料とフッ素ガスとを反応させてスルホン酸基とフッ素原子とにより表面修飾された炭素材料を得る工程とを含むことを特徴とする、表面修飾された炭素材料の製造方法。
【請求項4】
前記スルホン酸基供給源が、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、及び三酸化硫黄錯体の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、請求項3に記載の表面修飾された炭素材料の製造方法。
【請求項5】
炭素材料に二酸化硫黄ガスとフッ素ガスとを含む混合ガスを反応させて、スルホン酸基とフッ素原子とにより表面修飾された炭素材料を得る工程を含むことを特徴とする、表面修飾された炭素材料の製造方法。
【請求項6】
前記混合ガス中のフッ素ガス濃度が5〜15体積%であることを特徴とする、請求項5に記載の表面修飾された炭素材料の製造方法。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする表面修飾された炭素材料。

【公開番号】特開2008−19101(P2008−19101A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189510(P2006−189510)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】