説明

表面処理装置の被処理物搬送装置

【課題】 表面処理装置の被処理物搬送装置において、選択された表面処理槽における被処理物の搬出及び搬入行程を迅速に行なえるキャリア搬送装置を提供する。
【解決手段】 キャリア搬送装置2を第1乗せ換え搬送装置1側に配設した搬入用キャリア21と第2乗せ換え搬送装置3側に配設した搬出用キャリア22とで構成し、この搬入用キャリアと搬出用キャリアによって、選択された表面処理槽5における被処理物保持部材8に保持された被処理物9の搬出及び搬入行程を1サイクル内で同時に完了できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理装置の被処理物搬送装置に関し、特に選択された表面処理槽における被処理物の搬出及び搬入行程を1サイクル内で迅速に行なえるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電解又は無電解のメッキ処理装置においては、ハンガー治具などの被処理物保持部材に保持されたプリント基板などの被処理物を、複数の前処理槽を並べた前処理部で前処理した後、複数の表面処理槽が並べられたメッキ処理部で目的のメッキ時間処理がなされ、その後、メッキ処理された被処理物が後処理される。
【0003】
複数の表面処理槽は、メッキされる被処理物に応じて異なるメッキ厚さ等の異なるメッキ条件を有しており、被処理物はそのメッキ条件に応じた選択された表面処理槽にて目的のメッキ時間処理がなされた後、次工程へと搬送される。
【0004】
係るメッキ処理装置の被処理物搬送装置として、被処理物を保持した被処理物保持部材を搬送用キャリアに保持し、この搬送用キャリアを介して被処理物保持部材(被処理物)を搬送するようにした単独キャリア型搬送装置が用いられている。この単独キャリア型搬送装置は、所定の表面処理槽内でメッキ処理された被処理物保持部材(被処理物)を単独の搬送用キャリアで搬出した後、同じ単独の搬送用キャリアを次に搬入される被処理物保持部材(被処理物)の搬入開始位置へ戻し、戻された単独の搬送用キャリアで被処理物保持部材(被処理物)を所定の表面処理槽(例えば直前に被処理物が搬出された表面処理槽)に搬入(投入)している。
【0005】
しかし、この単独キャリア型搬送装置では、選択された表面処理槽における被処理物保持部材(被処理物)の搬出及び搬入行程に時間的なロスを生じる弊害があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
係る実情に鑑み、本発明は、表面処理装置の被処理物搬送装置において、特に選択された表面処理槽における被処理物の搬出及び搬入行程を1サイクル内で迅速に行なえるキャリア搬送装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、上部に搬送用キャリアに支持されるキャリア係止部を設け、このキャリア係止部よりも下方に装架係止部を設け、下方に表面処理されるプリント基板などの被処理物を着脱自在に保持する保持部を設けた被処理物保持部材と、前記被処理物保持部材に保持された被処理物を投入可能な複数の前処理槽、複数の表面処理槽、複数の次処理槽を順に配置して構成した処理槽と、前処理槽に対応する上方位置に昇降自在な第1レールを配設すると共に、この第1レールに横移動自在に支持された被処理物保持部材を該第1レールの上昇位置において次位の前処理槽側に順次移送し、搬入乗せ換え位置に配置した前処理槽すなわち搬入乗せ換え前処理槽に対応する上方位置まで移送し得る第1移送手段(押送手段)をもつ第1乗せ換え搬送装置と、次処理槽に対応する上方位置に昇降自在な第2レールを配設すると共に、この第2レールに横移動自在に支持された被処理物保持部材を該第2レールの上昇位置において搬出乗せ換え位置に配置した次処理槽すなわち搬出乗せ換え次処理槽に対応する上方位置から次位の処理槽側に順次移送し得る第2移送手段(押送手段)をもつ第2乗せ換え搬送装置と、前記搬入乗せ換え前処理槽、複数の表面処理槽、及び前記搬出乗せ換え次処理槽にそれぞれ設けられ、被処理物保持部材の装架係止部を介して被処理物保持部材を該処理槽に装架可能とし、装架された被処理物保持部材に保持された被処理物を該処理槽内に投入可能に構成した装架台と、前記搬出乗せ換え次処理槽から表面処理槽を経て前記搬出乗せ換え次処理槽に至る横長さ範囲に対応する処理槽の上方位置に前記第1レール及び第2レールの昇降動と共に昇降動される昇降自在なキャリア用レールを配設すると共に、このキャリア用レールに横移動自在に装架された搬送用キャリアを設け、この搬送用キャリアは、キャリア用レールの下降位置において前記装架台に装架された被処理物保持部材に対して横移動がフリーな構造を有し、前記被処理物保持部材のキャリア係止部を下方から支持可能な支持部を有し、この搬送用キャリアを第1乗せ換え搬送装置側に配設した搬入用キャリアと第2乗せ換え搬送装置側に配設した搬出用キャリアとで構成したキャリア搬送装置を設け、前記搬入用キャリアは、前記キャリア用レールの下降位置において選択された表面処理槽への搬入位置(投入完了位置)から前記第1乗せ換え搬送装置の横方向の送り終点位置(搬入開始位置)までの戻り移動、この戻り位置で前記キャリア用レールの上昇移動に伴う上昇位置への上昇移動、前記キャリア用レールの上昇位置において選択された搬入位置の上方までの送り移動、この送り位置で前記キャリア用レールの下降移動に伴う下降位置への下降移動の各移動行程を1サイクルとして作動されるように構成され、前記搬出用キャリアは、前記キャリア用レールの下降位置において前記第2乗せ換え搬送装置の横方向の送り始点位置(搬出完了位置)から選択された表面処理槽への搬出位置(搬出開始位置)までの送り移動、この送り位置で前記キャリア用レールの上昇移動に伴う上昇位置への上昇移動、前記キャリア用レールの上昇位置において前記第2乗せ換え搬送装置の横方向の送り始点位置(搬出完了位置の上方位置)までの戻り移動、この戻り位置で前記キャリア用レールの下降移動に伴う下降位置への下降移動の各移動行程を1サイクルとして作動されるように構成され、前記搬入用キャリアの戻り移動と前記搬出用キャリアの送り移動を1サイクル作動における時間的に同じ移動行程とし、前記搬入用キャリアの送り移動と前記搬出用キャリアの戻り移動を1サイクル作動における時間的に同じ移動行程としたことを特徴とする表面処理装置の被処理物搬送装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、キャリア搬送装置の搬送用キャリアを第1乗せ換え搬送装置側に配設した搬入用キャリアと第2乗せ換え搬送装置側に配設した搬出用キャリアとで構成し、この搬入用キャリアと搬出用キャリアによって、選択された表面処理槽における被処理物の搬出及び搬入行程を1サイクル内で同時に完了できる。したがって、本発明によれば、選択された表面処理槽における被処理物の搬出及び搬入作業の大幅なスピードアップを達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態を示した図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の表面処理装置の被処理物搬送装置の全体概略正面図を、図2は全体概略拡大側面図を示している。この被処理物搬送装置は、図1において右側から第1乗せ換え搬送装置1、キャリア搬送装置2、第2乗せ換え搬送装置3の順に構成してある。
【0011】
また、これらの搬送装置1,2,3の下方には、複数の前処理槽4、複数の表面処理槽5、複数の次処理槽6を一方向に順に並べて配置してある。図1の左側に配置した最後部の前処理槽(搬入乗せ換え前処理槽)4(4b)、複数の表面処理槽5、及び図1の右側に配置した最前部の次処理槽(搬出乗せ換え次処理槽)6(6a)には、V字状の装架台7をそれぞれ設けている。この装架台7に被処理物保持部材の装架係止部を介して被処理物保持部材を該処理槽に装架し、装架された被処理物保持部材に保持された被処理物を該処理槽内に投入可能に構成している。
【0012】
符号8は表面処理(メッキ処理)されるプリント基板などの被処理物9を着脱自在に保持する被処理物保持部材を示している。この被処理物保持部材8は、上部に搬送用キャリアに支持されるキャリア係止部10を設け、このキャリア係止部10よりも下方に装架係止部11を設け、下方に表面処理(メッキ処理)されるプリント基板などの被処理物9を着脱自在に保持する製品保持部12を設けてある。前記装架係止部11はV字状の装架台7に上方から安定して装架されるように逆台形に形成され、この装架係止部11と装架台7によって被処理物保持部材8を処理槽上に跨った状態に装架できるようにしている。また、被処理物保持部材8には、前記装架係止部11よりも上方に形成されたレール摺動部13と、前記キャリア係止部10の上部に突設された押送体用係止片14とを有している。
【0013】
前記キャリア係止部10はキャリア搬送装置2の搬送用キャリアの支持部によって支持されるよう構成されている。また前記レール摺動部13は第1及び第2乗せ換え搬送装置1,3のレール上(第1レール又は第2レール)に装架されこのレールに沿って摺動するように構成されている。また前記押送体用係止片14は第1及び第2乗せ換え搬送装置1,3の押送体の押送具と係合されるように構成されている。
【0014】
前記第1乗せ換え搬送装置1は、被処理物保持部材8(被処理物9)をキャリア搬送装置の始端部(すなわち、搬入開始位置で搬入用キャリアの戻り限界位置)まで移送する機能と、この移送過程で被処理物9を前処理槽4内に浸漬する機能を備えている。この第1搬送装置1は、前処理槽4に対応する上方位置に横方向に配設された昇降動する第1レール15と、この第1レール15に沿ってレール摺動部13を介して移動する被処理物保持部材8を搬入乗せ換え位置に配置した前処理槽(図1の左側に配置した前処理槽)すなわち搬入乗せ換え前処理槽4(4b)に対応する上方位置まで左方向に押送する押送手段16とから構成されている。この押送手段16は、水平方向に移動可能にされた押送杆17と、この押送杆17に垂設された押送具18とを有していて、前記押送杆17が図1において左方向に水平移動した場合、押送具18と第1レール15に装架された被処理物保持部材8の押送体用係止片14とが係合し、前記被処理物保持部材8を左方向に移動するように構成されている。
【0015】
また、前記第1乗せ換え搬送装置1を構成する第1レール15と押送手段16とは共に昇降動するように構成されていて、図1の下方に示す下降位置においては、被処理物9を前処理槽4内に浸漬し、図1の上方に示す上昇位置においては、被処理物保持部材8(被処理物9)を第1レール15に沿って移送しえるように構成されている。なお、第1レール15と押送手段16とは共に昇降動するように構成しても良く、また被処理物保持部材8(被処理物9)を支持した第1レール15のみ昇降動するように構成しても良い。
【0016】
前記キャリア搬送装置2は、前記搬入乗せ換え前処理槽4(4b)から複数の表面処理槽5を経て前記搬出乗せ換え次処理槽6(6a)に至る横長さ範囲に対応する処理槽の上方位置に配設されたキャリア用レール20と、このキャリア用レール20に横移動自在に装架された搬送用キャリア(搬入用キャリアと搬出用キャリア)を有している。前記キャリア用レール20は、前記第1レール15及び第2レール(後述する)の昇降動と共に一体に昇降動されるように構成されている。前記搬送用キャリアは、第1乗せ換え搬送装置1側に配設した搬入用キャリア21と第2乗せ換え搬送装置3側に配設した搬出用キャリア22の合計2台で構成されている。搬送用キャリア(搬入用キャリア21と搬出用キャリア22)は、キャリア用レール20の下降位置において前記装架台7に装架された被処理物保持部材8に対して横移動がフリーな構造を有している(図2のレール下降位置を参照)。また搬送用キャリア(搬入用キャリア21と搬出用キャリア22)は、前記被処理物保持部材8のキャリア係止部10を下方から支持可能な支持部23を有している。
【0017】
前記搬入用キャリア21は、前記キャリア用レール20の下降位置において選択された表面処理槽5への搬入位置(投入完了位置)から前記第1乗せ換え搬送装置1の横方向の送り終点位置(搬入開始位置)までの戻り移動、この戻り位置で前記キャリア用レール20の上昇移動に伴う上昇位置への上昇移動、前記キャリア用レール20の上昇位置において選択された搬入位置の上方までの送り移動、この送り位置で前記キャリア用レール20の下降移動に伴う下降位置への下降移動の各移動行程を1サイクル(戻り移動、上昇移動、送り移動及び下降移動)として作動されるように構成されている。
【0018】
また前記搬出用キャリア22は、前記キャリア用レール20の下降位置において前記第2乗せ換え搬送装置3の横方向の送り始点位置(搬出完了位置)から選択された表面処理槽5への搬出位置(搬出開始位置)までの送り移動、この送り位置で前記キャリア用レール20の上昇移動に伴う上昇位置への上昇移動、前記キャリア用レール20の上昇位置において前記第2乗せ換え搬送装置3の横方向の送り始点位置(搬出完了位置の上方位置)までの戻り移動、この戻り位置で前記キャリア用レール20の下降移動に伴う下降位置への下降移動の各移動行程を1サイクル(送り移動、上昇移動、戻り移動及び下降移動)として作動されるように構成されている。
【0019】
前記搬入用キャリア21の戻り移動と前記搬出用キャリア22の送り移動を1サイクル作動における時間的に同じ移動行程とし、前記搬入用キャリア21の送り移動と前記搬出用キャリア22の戻り移動を1サイクル作動における時間的に同じ移動行程としている。
【0020】
前記搬入用キャリア21と前記搬出用キャリア22は、図2に示すように、前記キャリア用レール20に回転コロ24などを介して横移動自在に装架される。前記前記搬入用キャリア21と前記搬出用キャリア22の前記キャリア用レール20に沿う送り移動及び戻り移動の作動は、この実施形態においては、これらのキャリア21,22に個別に設置したサーボモータ25の正逆回転力を、キャリア用レールを架設した昇降架設台26に固定したラックギア27で送り又は戻し方向の直線運動に変換して行なっている。
【0021】
前記第2乗せ換え搬送装置3は、被処理物保持部材8(被処理物9)をキャリア搬送装置2の後端部(すなわち、搬出完了位置で搬出用キャリア22の戻り限界位置)から次処理工程へと移送する機能と、この移送過程で被処理物9を次処理工程にある次処理槽6内に浸漬する機能を備えている。この第2乗せ換え搬送装置3は、次処理槽6に対応する上方位置に横方向に配設された昇降動する第2レール30と、搬出用キャリア22に保持されて移送された被処理物保持部材8を搬出乗せ換え位置に配置した次処理槽(図1の右側に配置した次処理槽)すなわち搬出乗せ換え次処理槽6(6a)に対応する上方位置(すなわち搬出用キャリア22の戻り限界位置)から次工程まで押送する押送手段16とから構成されている。この押送手段16は、前記第1乗せ換え搬送装置1の押送手段16と同様に、水平方向に移動可能にされた押送杆17と、この押送杆17に垂設された押送具18とを有していて、前記押送杆17が図1において左方向に水平移動した場合、押送具18と第2レール30に装架された被処理物保持部材8の押送体用係止片14とが係合し、前記被処理物保持部材8を左方向に移動するように構成されている。
【0022】
また、前記第2乗せ換え搬送装置3を構成する第2レール30と押送手段16とは共に昇降動するように構成されていて、図1の下方に示す下降位置においては、被処理物9を次処理槽6内に浸漬し、図1の上方に示す上昇位置においては、被処理物保持部材8(被処理物9)を第2レール30に沿って移送しえるように構成されている。なお、第2レール30と押送手段16とは共に昇降動するように構成しても良く、また被処理物保持部材8(被処理物9)を支持した第2レール30のみ昇降動するように構成しても良いことは第1移送装置1の場合と同様である。
【0023】
前記第1乗せ換え搬送装置1の第1レール15から搬入用キャリア21への被処理物保持部材8の乗せ換えは、下降される第1レール15に支持されていた被処理物保持部材8はレール下降位置で装架台7に装架され、第1レール15からの支持を外される。レール下降位置で戻り限界位置に戻された搬入用キャリア21は、図2のレール下降位置に示すように、装架された被処理物保持部材8のキャリア係止部10に対する搬入用キャリア21の支持部23の上下間隔を、装架された被処理物保持部材8のレール摺動部13に対する第1レール15の支持部(レール上端部)の上下間隔よりも短く構成することによって、レール上昇過程で搬入用キャリア21の支持部23が被処理物保持部材8のキャリア係止部10を先に支持することになり、装架された被処理物保持部材8を搬入用キャリア21に乗せ換えできるようにしている。
【0024】
また、搬出用キャリア22から第2レール30への被処理物保持部材8の乗せ換えは、戻り限界位置にある搬出用キャリア22に支持されていた被処理物保持部材8はレール下降位置で装架台7に装架され、搬出用キャリア22からの支持を外され、搬出完了位置に置かれる。レール下降位置で搬出用キャリア22は戻り限界位置から送り位置へ送り移動され、次のレール上昇過程では送り位置にあるため、搬出完了位置に装架された被処理物保持部材8は上昇される第2レール30でそのレール摺動部13を支持され、第2レール30に乗せ換えられる。
【0025】
本発明に係る被処理物搬送装置は以上のように構成されており、以下その動作状態の一例について説明する。前記搬入乗せ換え前処理槽4(4b)及び複数の表面処理槽5の装架台7に装架係止部11を介して被処理物保持材8(被処理物9)がそれぞれ装架されている。図1の各レール(15,20,30)の下降位置において、左側に示した搬出用キャリア22は搬出完了位置(搬出用キャリア22の戻り限界位置)から選択された次に表面処理槽5から搬出される被処理物保持材8(被処理物9)を支持可能な下方位置へキャリア用レール20に沿って右方向に移動され、これと同時に右側に示した搬入用キャリア21は搬入完了位置(投入完了位置)から搬入開始位置(この搬入開始位置には前記搬入乗せ換え前処理槽4bの装架台7に被処理物保持材8が装架されている。)で待機している次に搬入される被処理物保持材8を支持可能な下方位置までキャリア用レール20に沿って右方向に戻される。
【0026】
この状態で各レール(15,20,30)は下降位置から上昇位置へ上昇される。このレール上昇過程において、搬出される被処理物保持材8は搬出用キャリア22の支持部23に支持され、表面処理槽5の装架台7から搬出用キャリア22に乗せ換えられ、これと同時に搬入される被処理物保持材8は搬入用キャリア21の支持部23に支持され、前記搬入乗せ換え前処理槽4bの装架台7から搬入用キャリア21に乗せ換えられる。
【0027】
この上昇位置において、搬出用キャリア22は搬出完了位置の上方位置までキャリア用レール20に沿って左方向に戻され(この上昇位置において直前に搬出完了位置にあった被処理物保持部材8は第2レール30に乗せ換えており、押送手段16によって左方向に送られている。)、これと同時に搬入用キャリア21は搬出用キャリア22で直前に搬出された表面処理槽5の上方位置までキャリア用レール20に沿って左方向に送られる。
【0028】
この状態で各レール(15,20,30)が下降され下降位置へおかれると、搬出用キャリア22に装架されていた被処理物保持材8は該保持材の装架係止部11を介して前記搬出乗せ換え次処理槽6aに装架され、被処理物保持材8は搬出用キャリア22の支持部23から外され(図2の下降位置を参照)、表面処理槽5からの搬出を完了される。これと同時に、搬入用キャリア21に装架されていた被処理物保持材8は該保持材の装架係止部11が空いている選択された目的の表面処理槽5に装架され、被処理物保持材8は搬入用キャリア21の支持部23から外され(図2の下降位置を参照)、選択された表面処理槽5への搬入(投入)を完了される。搬出完了位置で搬出用キャリア22から外され被処理物保持材8は、各レール(15,20,30)の次の上昇時に第2乗せ換え搬送装置3の第2レール30に乗り換えられ、上昇位置で第2乗せ換え搬送装置3の押送手段16によって左方向の次工程側へ順次移送される。
【0029】
このようにして、搬出用キャリア22で被処理物保持材8(被処理物9)を搬出された表面処理槽5に搬入用キャリア21で次に処理される被処理物保持材8(被処理物9)を搬入(投入)し、これらの動作が繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の全体概略正面図である。
【図2】本発明の全体概略拡大側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 第1乗せ換え搬送装置
2 キャリア搬送装置
3 第2乗せ換え搬送装置
4 前処理槽
4b 搬入乗せ換え前処理槽
5 表面処理槽
6 次処理槽
6a 搬出乗せ換え次処理槽
7 装架台
8 被処理物保持部材
9 被処理物
10 キャリア係止部
11 装架係止部
13 レール摺動部
14 押送体用係止片
15 第1レール
16 押送手段
20 キャリア用レール
21 搬入用キャリア
22 搬出用キャリア
23 支持部
25 サーボモータ
30 第2レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に搬送用キャリアに支持されるキャリア係止部を設け、このキャリア係止部よりも下方に装架係止部を設け、下方に表面処理されるプリント基板などの被処理物を着脱自在に保持する保持部を設けた被処理物保持部材と、前記被処理物保持部材に保持された被処理物を投入可能な複数の前処理槽、複数の表面処理槽、複数の次処理槽を順に配置して構成した処理槽と、前処理槽に対応する上方位置に昇降自在な第1レールを配設すると共に、この第1レールに横移動自在に支持された被処理物保持部材を該第1レールの上昇位置において次位の前処理槽側に順次移送し、搬入乗せ換え位置に配置した前処理槽すなわち搬入乗せ換え前処理槽に対応する上方位置まで移送し得る第1移送手段をもつ第1乗せ換え搬送装置と、次処理槽に対応する上方位置に昇降自在な第2レールを配設すると共に、この第2レールに横移動自在に支持された被処理物保持部材を該第2レールの上昇位置において搬出乗せ換え位置に配置した次処理槽すなわち搬出乗せ換え次処理槽に対応する上方位置から次位の処理槽側に順次移送し得る第2移送手段をもつ第2乗せ換え搬送装置と、前記搬入乗せ換え前処理槽、複数の表面処理槽、及び前記搬出乗せ換え次処理槽にそれぞれ設けられ、被処理物保持部材の装架係止部を介して被処理物保持部材を該処理槽に装架可能とし、装架された被処理物保持部材に保持された被処理物を該処理槽内に投入可能に構成した装架台と、前記搬出乗せ換え次処理槽から表面処理槽を経て前記搬出乗せ換え次処理槽に至る横長さ範囲に対応する処理槽の上方位置に前記第1レール及び第2レールの昇降動と共に昇降動される昇降自在なキャリア用レールを配設すると共に、このキャリア用レールに横移動自在に装架された搬送用キャリアを設け、この搬送用キャリアは、キャリア用レールの下降位置において前記装架台に装架された被処理物保持部材に対して横移動がフリーな構造を有し、前記被処理物保持部材のキャリア係止部を下方から支持可能な支持部を有し、この搬送用キャリアを第1乗せ換え搬送装置側に配設した搬入用キャリアと第2乗せ換え搬送装置側に配設した搬出用キャリアとで構成したキャリア搬送装置を設け、前記搬入用キャリアは、前記キャリア用レールの下降位置において選択された表面処理槽への搬入位置から前記第1乗せ換え搬送装置の横方向の送り終点位置までの戻り移動、この戻り位置で前記キャリア用レールの上昇移動に伴う上昇位置への上昇移動、前記キャリア用レールの上昇位置において選択された搬入位置の上方までの送り移動、この送り位置で前記キャリア用レールの下降移動に伴う下降位置への下降移動の各移動行程を1サイクルとして作動されるように構成され、前記搬出用キャリアは、前記キャリア用レールの下降位置において前記第2乗せ換え搬送装置の横方向の送り始点位置から選択された表面処理槽への搬出位置までの送り移動、この送り位置で前記キャリア用レールの上昇移動に伴う上昇位置への上昇移動、前記キャリア用レールの上昇位置において前記第2乗せ換え搬送装置の横方向の送り始点位置までの戻り移動、この戻り位置で前記キャリア用レールの下降移動に伴う下降位置への下降移動の各移動行程を1サイクルとして作動されるように構成され、前記搬入用キャリアの戻り移動と前記搬出用キャリアの送り移動を1サイクル作動における時間的に同じ移動行程とし、前記搬入用キャリアの送り移動と前記搬出用キャリアの戻り移動を1サイクル作動における時間的に同じ移動行程としたことを特徴とする表面処理装置の被処理物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−156736(P2008−156736A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349657(P2006−349657)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(592141466)丸仲工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】