説明

表面増強分光法、可撓性構造化基材及びそれを作製する方法

本出願は、表面増強ラマン分光法(SERS)及び表面プラズモン共鳴(SPR)測定に使用される可撓性ポリマー基材(100)を目的とする。基材は、1つの表面にエンボス加工され、金、銀等から作製された金属化層(130)でカバーされたナノ構造化部分(152)を有するポリマー膜(125)を備える。装置を製造する方法を記載しており、用途としては、DNA検出が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般に表面増強分光法には、サブミクロンサイズのトポグラフ特徴を有する金属表面にきわめて接近した検体の分光分析が含まれる。これらの条件下で、スペクトルシグナルは、トポグラフ特徴の金属表面の局所的表面プラズモン共鳴の励起で生成される電磁界の範囲内で検体を空間的に閉じ込めることにより増強されてよい。
【0002】
この種の表面効果から利益を得るため表面増強ラマン分光法(SERS)、表面プラズモン共鳴分光法、表面増強赤外分光法及び表面増強和周波発生分光法を含む種々の分光分析技術が提示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、前記技術は、分析される物質(例えば、気体、液体又は固体)を比較的小さい面積(例えば、横1cmに縦1cm)の基材上に支持される金属層にきわめて接近させることにより行われる。この技術により検体のシグナルは、条件により8桁(以上)までの強度に増強でき、ある場合には、個々の分子さえも検出するのに十分なほど感度が良いことすらある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様において本発明は、
(a)(i)第1及び第2の対向する主表面を有するベースを含むモノリシックポリマー膜であって、第1主表面の少なくとも一部分が、少なくとも部分的にナノ構造体により画定されるモノリシックポリマー膜と、
(ii)ナノ構造体の少なくとも一部分に適合して配置される金属層と、
を備える可撓性構造化基材を提供する工程と、
(b)金属層の少なくとも一部分にきわめて接近して検体を提供する工程と、
(c)検体の表面増強光学特性を観察する工程と、
を含む物質を分析する方法を提供する。
【0005】
1つの実施形態において、この方法は、発明の構造化基材を用いて有利に実行できる。
【0006】
それ故に、別の態様において、本発明は
(a)第1及び第2の対向する主表面を有するベースであって、第1主表面の少なくとも一部分が、
ベースから外側に延在する模様付きミクロ構造体、及び
少なくとも100ナノメートルであって200ナノメートル未満の平均高さを有するナノ構造であって、少なくとも部分的に模様付きミクロ構造体内に包含され又は重なり合うナノ構造体、
により少なくとも部分的に画定されるベース
を備えるモノリシックポリマー膜と、
(b)ナノ構造体の少なくとも一部分に適合して配置される金属層と、
を備える、可撓性である構造化基材を提供する。
【0007】
別の態様において、本発明による構造化基材は、ナノメートルスケールで再現可能なプロセスにより製造されてよい。1つの実施形態において、本発明による構造化基材のロールは、例えばSERS基材として使用するため多数の片(例えば、角切りにする)に切断されてよい。それ故に、SERS測定をする際、前記片は、典型的に検体の同じ種類で得られるSERSシグナル間でほとんど又は全く偏差を示さない。
【0008】
それ故に、更に別の態様において、本発明は、
その上に第1模様付きミクロ構造体を備える連続表面を有するツールを提供する工程と、
第1及び第2の対向する主表面を有するベースを含むモノリシックポリマー膜を連続的に形成する工程であって、第1主表面の少なくとも一部分が、第1高さを有しベースから外側に延在する第2ミクロ構造体を備え、第2ミクロ構造体は、第1ミクロ構造体に実質的に相補的である工程と、
少なくとも100ナノメートルであって200ナノメートル未満の平均高さを有するナノ構造体を形成する工程であって、ナノ構造体は少なくとも部分的にミクロ構造体内に包含され又は重なり合う工程と、
金属層をナノ構造体の少なくとも一部分に適合して配置する工程と、
を含み、可撓性である構造化基材を製造する方法を提供する。
【0009】
前記再現性に加え、本発明による構造化基材は、多量に、そして既存の技術に比較して容量ベースで比較的低コストで得ることができる。
【0010】
更に、本発明による構造化基材は経時的に良好な安定性を通常有する。
【0011】
本明細書で使用する場合、
「ベース」とは、ミクロ構造化又はナノ構造化模様を含まない一定厚さの膜の最大容量部分を指す。
【0012】
「エンボス加工ランダム模様」とは、短い距離にわたって模様がランダムであるが全体のランダム模様がエンボス加工ランダム部分間の距離よりより大きい周期で繰り返される模様を含むことを意味する。
【0013】
「部分高さ」は、ベースに対して垂直に測定される。
【0014】
構造化基材に適用される「可撓性」とは、基材が25℃でそれ自体の上に手動で巻かれ、1cm未満の曲率半径を有することを意味する。
【0015】
「モノリシック」とは、単一ユニットから成る又は単一ユニットを構成することを意味する。
【0016】
「高くしたナノ部分」とは、少なくとも5ナノメートルで1マイクロメートル未満の高さを有する突出部を指す。
【0017】
「ナノ構造体」とは、ベースから外側に延在し、少なくとも5ナノメートルで1マイクロメートル未満の平均高さを有し、そのためナノ構造体が滑らかでないとの定義による平方センチメートル当たり少なくとも1×107ナノ部分で複数個の高くしたナノ部分又は結合された高くしたナノ部分の網状組織(例えば、隆起部又はアーチにより接続された高くしたナノ部分)を指す。
【0018】
「光学特性」とは、検体により吸収され又は検体から発する紫外、可視、又は赤外電磁放射線を指す。
【0019】
「模様付きミクロ構造体」とは、1マイクロメートル〜5ミリメートルの範囲の部分高さを有する所定の模様を指す。
【0020】
「ポリマーの」とは、有機ポリマーを含むことを意味する。
【0021】
「熱硬化」とは、共有架橋されたことを意味する。
【0022】
「熱硬化可能」とは、熱又は光の適用で共有架橋可能であることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1について説明すると、本発明は、物質を分析する方法100を提供する。前記方法は、モノリシックポリマー膜140を含む可撓性構造化基材120を使用する。膜140は、ベース125、並びに第1及び第2の対向する主表面104及び106それぞれを有する。少なくとも第1主表面104の一部分は、高くしたナノ部分150から成るナノ構造体により画定される。高くしたナノ部分150は、ベース125から外側に延在する。金属層130は、ナノ構造体152の少なくとも一部分に適合して配置される。検体180を金属層130の少なくとも一部分にきわめて接近させる。放射線160のプローブビームが検体180に誘導され、検体180の少なくとも1つの表面増強光学特性に関する情報を包含するシグナル170が検出器190により観察される。構造化基材120は、所望により第2主表面106に配置される接着層185を有してよい。選択が自由の剥離ライナー187は、選択が自由の接着層185に剥離可能に結合される。
【0024】
本発明により測定できる表面増強光学特性としては、例えば表面増強赤外吸収分光法、表面増強ラマン放出分光法(例えばSERS)及び/又は表面増強和周波発生分光法を使用して観察できる振動特性、並びに表面プラズモン共鳴分光法を使用して観察できる分極特性が挙げられる。
【0025】
前記特性を観察する各種分光法は、当該技術分野において周知であり、SERS、表面プラズモン共鳴分光法、表面増強赤外吸収分光法、表面増強和周波発生分光法及び表面増強ハイパーラマン分光法が挙げられる。例えば、SERSに関する実用的な詳細が、例えば振動分光法便覧(Handbook of Vibrational Spectroscopy)J.M.チャルマーズ(Chalmers)及びP.R.グリフィス(Griffiths)(編集者)、ジョンウイリ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons Ltd.)、英国チチェスター(Chichester)(著作権)2002年、頁1〜16の転載として「表面増強分光法の電磁メカニズム(Electromagnetic Mechanism of Surface-enhanced Spectroscopy)」にG.C.シャッツ(Schatz)及びR.P.ファンデュイン(Van Duyne)により報告されている。
【0026】
一般に、検体は、金属層の表面プラズモンと相互作用が生じ得るようにきわめて十分に接近させる必要がある。一般的に、この距離は、数ナノメートル以下である。
【0027】
本発明による方法は、化学及び生物検出に対して適用性を有する。本発明により観察及び/又は定量的に測定され得る検体の例としては、殺虫剤類、バクテリア類、ウイルス類、DNA、核酸類、核酸類似体類、タンパク質類、ペプチド類、アミノ酸類、酵素類、プリオン類、抗体類、アルデヒド類、アミン類、ケトン類、爆発性残留物類、乱用の薬品類、治療薬類、代謝産物類及び汚染物質類が挙げられる。しかしながら、このリストは、全ての好適な検体を見つけることができるような網羅的なものではない。
【0028】
検体は、試料から得られてよく、前記試料は、目標検体が見出せるよう任意の好適な調製品であってよい。しかしながら、好都合に、検体は、蒸気若しくはエアゾールの形態、又は流体若しくは溶液であってよく、検体を可撓性構造化基材に適用する前に溶液に移されてよく、典型的には、その後、存在し得る全ての溶媒キャリアを蒸発させる。従って、例えば、爆発物又は乱用の薬品を検出する際、空気又は息等の気体の試料がそれぞれ採取され、任意の目標検体が好適な基材に吸収されてよい。
【0029】
その後、任意の目標検体は、好適な溶媒で洗浄することにより可撓性構造化基材から除去されてよく、又はより典型的に及び本発明の利点に即して構造化基材は、使用後そのまま破棄されてよい。
【0030】
金属層に近接する検体の閉じ込めを容易にするため、1つ以上の任意の試薬を金属層に結合してよい(例えば、物理吸着、イオン結合又は共有結合により)。任意の試薬は、目標検体に対して高い親和性を有する、例えば、生体分子の受容体又は芳香族分子を結合するためのシクロデキストリン等のケージ様の構造体が選択されてよい。1つの実施形態において、試薬は、例えばHS(CH23CO2Hの場合のような末端イオン性又はイオン基(例えば、−OPO32、−O−P(O)2(OH)-、−CO2H、−CO2-、−SO3H、−SO3-、−NH2、又は−NR3+式中、RはH又は低級アルキル基)を有してよい。
【0031】
可撓性構造化基材は、上記で定義したようにそれが可撓性であるという前提で、任意の長さ、幅、又は厚さであってよい。構造化基材の可撓性は、構造化基材の再現可能な大規模製造に好適な製造技術の使用を可能にする。現在まで、構造化基材を製作する既存の方法は、再現可能な大規模製造に向いていない。それ故に、本発明は、表面増強光学特性を定量的にリアルタイムで測定するのを可能とする。
【0032】
ポリマー膜は、1つ以上の熱可塑性樹脂、熱硬化性高分子材料又は全てのその組合せを含んでよい。例えば、ポリマー膜は、2つ以上の熱可塑性高分子材料のブレンドを含んでよい。
【0033】
有用な熱可塑性高分子材料としては、例えば、ポリエステル類(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド類(例えば、ナイロン−6、ナイロン−6,6)、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン)、エチレンビニルアセテート類(EVAs)、ポリウレタン類、アクリル樹脂類、フッ素重合体類、エンジニアリング熱可塑性樹脂類(例えば、ポリイミド類、ポリカーボネート類及びポリエーテルエーテルケトン類)及びそれらの組合せが挙げられる。
【0034】
使用に応じては、有用な熱硬化性高分子材料は、たとえそれが要求されていなくても、例えば、熱硬化性高分子材料がエンボス加工できる場合、硬化の前に所定の所望の形状に形成された熱硬化可能な高分子材料から典型的に形成される。例えば、熱硬化可能な高分子材料は、所望の第1膜表面に対して相補の構造化表面を有するツールに適用され、そして続いて硬化されてよい。有用な熱硬化可能な高分子材料としては、例えば、硬化性シリコーン類、天然及び合成ゴム類、硬化性フルオロエラストマ類、エポキシ類、メラミン類、ポリアクリレート類、アルキド樹脂類、ポリウレタン前駆体類、及びそれらの組み合わせが挙げられる。熱硬化可能な材料は、有効量の1つ以上の硬化剤(例えば、架橋剤、触媒、光開始剤)を含んでよい。使用に応じては、熱硬化可能な材料は、例えば、熱、電子ビーム照射及び/又は紫外線照射の利用等の任意の好適な方法により硬化(すなわち、共有架橋)されてよい。
【0035】
ナノ構造体は、高くしたナノ部分から成る。構造化基材のベースから外側に延在する高くしたナノ部分は、独立して少なくとも5ナノメートル、少なくとも10ナノメートル、少なくとも20ナノメートル、少なくとも50ナノメートル又は更に少なくとも100ナノメートルから、200ナノメートルまで、250ナノメートルまで、400ナノメートルまで、500ナノメートルまで、750ナノメートルまで又は更に1000ナノメートル(1マイクロメートル)未満まででの任意の高さを有してよい。1つの実施形態において、ナノ構造体は、400ナノメートル未満又は200ナノメートル未満のベースに対して垂直に測定される平均高さを有してよい。例えば、ナノ構造体は、少なくとも100ナノメートルで200ナノメートル未満のベースに対して垂直に測定される平均高さを有してよい。
【0036】
実施形態によっては、ナノ構造体は、例えば、様々な高さの高くした結合されたナノ部分の網状組織の場合のように連続的であってよい。実施形態によっては、ナノ構造体は、例えば複数個の別個の高くしたナノ部分のように不連続であってよい。
【0037】
一般に、光学特性の表面効果は、ナノ構造体の密度と共に増加する。それ故に、実施形態によっては、ベースの少なくとも一部分の別個のナノ部分の面積密度は、典型的に少なくとも×107ナノ部分/cm2、例えば、少なくとも1×108、少なくとも1×109、少なくとも1×1010、又は更に少なくとも1×1011ナノ部分/cm2であり、実施形態によっては、ナノ構造体を有する構造化基材の領域において、ベース上のナノ構造体の投影面積(ベースに対して垂直な線に沿って)は、ベースの相当表面積の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%あるいはそれ以上であってよい。
【0038】
高くしたナノ部分は、ランダムに形成されてよく、又は規則的な幾何学的模様(例えば、規則的な大きさの正方形ピラミッド)により形成されてよい。典型的に、高くしたナノ部分は、比較的均一に配置される、その結果高くしたナノ部分の1つの領域において得られるシグナルは、構造化基材上のほかの場所に位置するナノ構造体の他の領域から得られるシグナルと同等(桁内)、例えば典型的にほぼ同一である。
【0039】
例えば、構造化基材が、例えば以下に記載されるような連続的なウェブプロセスにより形成されるもの等のいくつかの実施形態において、ナノ構造体の変化は、典型的に架橋ウェブ及びダウンウェブ方向に微小である。その結果、同様に連続的に製造されたウェブから切断される分析用の好適な寸法の構造化基材の片は、典型的に検体の表面増強光学特性を観察時、同等又は実質的に同一の感度を有することになる。同様に、連続的に製造されたウェブからのテープ切断は、検体の表面増強光学特性を観察時、その長さに沿って典型的に同等又は実質的に同一の感度を有することになる。
【0040】
シグナル感度を最大にするため、ナノ構造体は、近接して詰められた高くした部分の1つ以上の領域として典型的に配置される。
【0041】
実施形態によっては、構造化基材の第1表面の少なくとも一部分は、ナノ構造体に加えて模様付きミクロ構造体によって更に部分的に画定される。模様付きミクロ構造体は、構造化基材のベースから外側に延在する。模様は、ランダム、擬似ランダム、規則的又はそれらの組み合わせであってよい。
【0042】
模様付きミクロ構造体及びナノ構造体は、ナノ構造体が、少なくとも部分的に模様付きミクロ構造体内に包含され又は重なり合うよう典型的に配置される。例えば、1つの実施形態において、ミクロ構造体の少なくとも1つの領域は、少なくとも1マイクロメートルの平均幅を有し、ナノ構造体の少なくとも一部を包含する。
【0043】
模様付きミクロ構造体は、例えば円筒型ポスト、プリズム型ポスト、平行なリブ、交差したリブ及びそれらの組み合わせを含んでよい。実施形態によっては、リブは、例えば試料搭載機構として液体を吸い上げる導管を形成してよい。
【0044】
模様付きミクロ構造体は、それがナノ構造体上に配置される適合してコーティングされた金属層にある程度の磨耗(例えば、処理又はロール形態に巻くとき)からの保護を付与するという点で利点がある。それ故に、模様付きミクロ構造体の平均高さは、典型的にそれがナノ構造体の平均高さの少なくとも3倍であるように選択される。例えば、模様付きミクロ構造体の平均高さは、それがナノ構造体の平均高さの少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍又は更に少なくとも50倍であるように選択されてよい。1つの実施形態において、ミクロ構造体の平均高さは、少なくとも10マイクロメートルである。
【0045】
更に、模様付きミクロ構造体は、いくらかのより小さい目質感を有してよい、それと同時に前記部分は、表面増強光学特性にまで増大するおそれがあり、例えば磨耗により比較的損傷しやすく、それによって構造化基材の感度を変化させるので模様付きミクロ構造体の表面には、ナノ構造体が実質的に少なくとも無いことが典型的に望ましい。
【0046】
一般に、模様付きミクロ構造体は、十分な開口部を有し、プローブレーザービームの少なくとも全幅がナノ構造体に到達するのを可能とする。例えば、模様付きミクロ構造体の開口部は、少なくとも20ナノメートル、少なくとも40ナノメートル、少なくとも60ナノメートル、少なくとも100ナノメートル、少なくとも150ナノメートル又は更に250ナノメートル以上の最小幅を有してよい。
【0047】
金属層は、ナノ構造体の少なくとも一部、より典型的には実質的にナノ構造体の全てに適合して配置される。金属の選択は、典型的に光学特性及び/又は測定される具体的な検体によって決まることになる。光学特性の表面増強を付与することで知られている好適な金属の例としては、アルカリ金属類(例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム)、貴金属類(すなわち、銀、金、プラチナ、白金、パラジウム、ルテニウム及びイリジウム)及び他の遷移金属類(例えば、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、及びロジウム)、アルミニウム、その合金類、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0048】
典型的に、金属層は、ほぼ均一な厚さを有する。表面増強光学特性を得るため、金属層の平均厚さは、金属層の最も外側の表面が、下に横たわるナノ構造体と同じ質感を有する限り(すなわち、それは、実質的にナノ構造体に一致する)、典型的に少なくとも5ナノメートル、少なくとも10ナノメートル又は更に25ナノメートルから50ナノメートルまで、100ナノメートルまで、200ナノメートルまで、300ナノメートルまで又は更に500ナノメートルまでの範囲にすべきである。金属層は、連続又は不連続であってよいが(例えば、リブにより分離される場合)、同時にそれは、少なくとも100ナノメートルの距離を超えて典型的に連続である。
【0049】
金属層は、ナノ構造体に加え模様付きミクロ構造体上に配置されてよいが、一方、それは通常不要で場合によっては望ましくない場合がある。
【0050】
構造化基材は、典型的に分析技術及び機器の具体的な選択に合わせて任意の好適な形状を有してよい。例えば、構造化基材は、ロール、シート又はテープの形態であってよい。1つの実施形態において、構造化基材は、1cm×1cm程度の寸法を有してよい。ロール又はテープ形態の場合、小さい部分の除去を容易にするため構造化基材は、穿孔されてよい。
【0051】
所望により構造化基材は、ポリマー膜の第2主表面に配置される接着剤層を有してよい。好適な接着剤としては、例えば、感圧性接着剤及び低温融解ホットメルト接着剤が挙げられる。感圧性接着剤の場合、剥離ライナー(例えば、シリコーン処理紙、又はポリオレフィン)が、剥離可能に接着剤に固着され早期接着を防止できる。使用する際、可撓性構造化基材は、剛性の基材に接着されていてよく、例えば分析機器への位置決めを容易にする。
【0052】
尺度に合わせて作図されていないが、図2は、本発明による表面増強分析法を実施するのに特に有用な構造化基材の1つの実施形態を示す。可撓性構造化基材200は、モノリシックポリマー膜240を備える。膜240は、ベース225を含み、そしてそれは、第1及び第2の対向する主表面204及び206をそれぞれ有する。第1主表面204の一部分は、高くしたナノ部分250から成るナノ構造体252により画定される。高くしたナノ部分250は、ベース225から外側に延在し、少なくとも5ナノメートルで1マイクロメートル未満の平均高さを有する。第1主表面204の他の部分は、模様付きミクロ構造体275により画定され、そしてそれは、平行なリブ277を備える。金属層230は、高くしたナノ部分250の少なくとも一部に適合して配置される。任意の接着層285は、第2主表面206に配置される。任意の剥離ライナー287は、剥離可能に任意の接着層285に固着される。この実施形態において、ナノ構造体の平均高さは、少なくとも100ナノメートルで200ナノメートル未満の範囲である。高くしたナノ部分250は、少なくとも部分的に模様付きミクロ構造体275内に包含され又は重なり合う。
【0053】
本発明の種々の態様を実施するのに好適な可撓性構造化基材は、上記のナノ構造体及び所望により模様付きミクロ構造体を有するモノリシックポリマー膜を施すことにより得ることができる。モノリシックポリマー膜は、例えば、適切に非平坦化されたツールを使用したポリマー膜のエンボス加工又は適切なエッチング技術(例えば、レーザーエッチング)により適切に非平坦化されたツール上にポリマー膜(例えば、溶融熱可塑性ポリマー又は熱硬化可能ポリマーの)を注型することを含む任意の好適な方法で作製できる。注型及びエンボス加工は、適切に非平坦化されたツール(例えば、ロール、スリーブ又はベルト)を使用し連続的な方法で容易に実施できる。注型技術の例は、例えば米国特許第4,781,952号(コシア(Coscia)ら)、同第3,927,692号(ウェンリッチ(Wenrich))、同第6,823,653B1号(スターク(Stark)ら)、同第6,489,377B1号(バイサー(Bicer)ら)、同第6,368,534B1号(ナカムラ(Nakamura)ら)に見出すことができる。
【0054】
エンボス加工技術の例は、例えば米国特許第5,930,040号(ジャノベック(Janovec)ら)、同第6,877,216B2号(フクダ((Fukuda)ら)、同第6,514,597B1号(ストローベル(Strobel)ら)、同第6,527、991B1号(ベーカー(Bakker)ら)及び米国特許出願第2002/0084553A1(ナン(Nun)ら)に見出すことができる。
【0055】
上記の注型及び/又はエンボス加工に有用であるツールは、例えば当技術分野において既知であるような任意の好適な方法により調製できる。1つの好適な方法において、平滑に磨かれた金属ロール、ベルト、スリーブ又はプレートには、表面改質技術によりナノ構造体で連続的にカバーされた表面が設けられてよい。好適な技術としては、サンドブラスト、アノード酸化、化学気相成膜法、電着、ナノリソグラフィ及び反応型イオンエッチングが挙げられる。ツールの表面にナノ構造体を生成する方法に関する更なる詳細は、弁護士事例番号60939US002(ザング(Zhang))と関係がある共に譲渡され及び同時に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号に見出すことができる。
【0056】
ナノ構造体がツールの表面に形成されるとより大きい模様付きミクロ構造体が、所望により例えばダイアモンドツーリング又はレーザーエッチングによりツールに重ねられてよい。ツールの表面に模様付きミクロ構造体を生成する方法に関する更なる詳細は、米国特許第6,076,248号(ホウプマン(Hoopman)ら)、同6,824,378号(キング(King)ら)、同第6,576,887号(ウィットニ(Whitney)ら)、同第5,300、263号(ホウプマン(Hoopman)ら)、同第5,792,411号(モリス(Morris)ら)、同第6,190,594号(ゴーマン(Gorman)ら)、同第6,622,599B1号(ベン‐メナケム(Ben-Menachem)ら)に見出すことができる。
【0057】
モノリシック膜が形成されると、金属層が、ナノ構造体の少なくとも一部分に溶着される。金属を溶着する好適な方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、金属蒸着(例えば、熱、電子ビーム等の技術を使用する)及び無電解金属溶着が挙げられる。
【0058】
本発明の目的および利点を以下の非限定的な実施例により更に例示するが、これらの実施例の中で挙げた特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0059】
別に記載されない限り、実施例中及び本明細書の他所における全ての部、パーセント、比率などは重量基準であり、並びに実施例で使用された全ての試薬は、一般的な化学品供給者から、例えばミズーリ州セントルイス(Saint Louis, Missouri)のシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)から入手又は入手可能であり、或いは、従来方法により合成することができる。
【0060】
エンボス加工ツールAの作製
直径15.2cm、面長25.4cmの銅めっきスチールロールを精密機械加工し、100nm未満の粗さRaを有する平滑な表面を得た。石油ナフサ(ミネソタ州セントポール(St. Paul)のブレンタグ・グレイト・レーキ社(Brenntag Great Lakes Company)から得られた)をロールに1分間スプレーし、その後でアセトンを1分間スプレーした。プレートを水で濯ぎ、次にイソプロパノールをスプレーした。圧縮空気を吹きつけて表面を乾燥した後、ロールを50g/l.の硫酸銅、80g/l.の硫酸及び2g/l.のポリエチレンオキシドで構成される浴中でめっきした。54アンペアの電流を0.5分間19℃で供給し、ロールを0.7rad/s(1分間に7回転m(rpm))の速度で回転した。ロールを脱イオン水で濯ぎ、圧縮空気で乾燥した。均一な表面構造体を形成した。この構造体を得た後、ロールをダイアモンド工具で機械加工し、以下の寸法、すなわちチャネル上部幅55μm、底部幅23μm幅及び高さ170μmで表面にチャネルをカットした。チャネルのピッチは、214μmであった。
【0061】
それから、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のブレンタグ・グレイト・レーキ社(Brenntag Great Lakes Company)から得られた石油ナフサをロールに1分間スプレーし、その後アセトンを1分間スプレーした。プレートを水で濯ぎ、次にイソプロパノールをスプレーした。圧縮空気を吹きつけて表面を乾燥した後、ロールをサウスカロライナ州ロックヒル(Rock Hill)のアトテクUSA社(Atotech USA, Inc.)から商標表記「メタルクリーナ373(METAL CLEANER 373)」の下に得られた60g/l.の金属クリーナで構成される洗浄槽に浸漬した。溶液温度は65.6℃であった。アノード洗浄を23.5アンペアの電流で1分間行った。ロールを槽から取り出し、脱イオン水で濯ぎ、その後2%の硫酸をスプレーした。ロールを再度脱イオン水で濯ぎ、無電解ニッケル浴に入れた。浴は、両方ともカリフォルニア州ロングビーチ(Long Beach)のスタプレトン・テクノロジーズ(Stapleton Technologies)から商標表記「オートニックMXPA(AUTONIC MXPA)」(100ml./l.)及びオートニックLNS(AUTONIC LNS)」(50ml./l.)の下に得られた無電解ニッケルめっき溶液で構成した。浴の温度は、87℃であった。ロールを陰極として使用し、同時に15.6アンペアの電流を20秒間供給した。次に、得られたニッケルめっきロールを脱イオン水で濯ぎ、圧縮空気で乾燥した。
【0062】
構造化ポリマー膜Aの作製
エンボス加工ロールAをステンレス鋼ニップロールと一緒にニュージャージー州セダーグローブ(Cedar Grove)のランドカスル・イクスツルージョン・システム社(Randcastle Extrusion System, Inc.)により作製されたRCP1.0押出成形機に組み付けた。押出成形機の3つの調節可能な加熱領域の温度を232℃に設定し、押出しダイ温度を243℃に設定した。ロールの回転速度は、0.7rad/s(7rpm)であった。上の冷却流量を38〜76l./min.(10〜20gal./min.(gpm))、下の冷却流量を約95l./min.(25gpm)に設定した。テキサス州ヒューストン(Houston)のエクソン・ケミカル(Exxon Chemical)から商標表記「ポリプロピレン3155(POLYPROPYLENE 315)」の下に得られたポリプロピレンをロール上に押し出し、構造化ポリマー膜を生成した。構造化ポリマー膜の表面構造の顕微鏡写真を図3及び4に示す。図4は、図3で見ることができる隣接したリブ間の表面のより高い倍率の図である。
【0063】
(実施例1)
約0.1mPa(10-6トール)の基底圧を使用したカリフォルニア州フレモント(Fremont)のCHAインダストリーズ(CHA Industries)から商標表記「マーク50(Mark 50)」の下に得られた高真空成膜法を用いて厚さ100nmの金の層を構造化ポリマー膜Aの構造化表面上に気相成膜した。前記方法は、金属を蒸発するため電子ビーム法を使用し、金を10−30nm/min.のレートで成膜した。
【0064】
図5は、得られた金コーティング構造化ポリマー膜の隣接したリブ(図4に対応する)間で得られた金コーティング膜の表面構造を示す。
【0065】
構造化ポリマー膜Bの作製
その上にニッケル層を有するマンドレルが、米国特許第6,641,767B2号(ザング(Zhang)ら)の実施例1の最初の段落並びに図1及び2に開示したようなNi(CO)4を使用し化学気相成膜法により作製された。次に成膜したニッケルをマンドレルから分離した。
【0066】
22.9cm×48.3cm(9in.×19in.)片を上記ニッケル成膜から切り離し、81.3cmの直径を有するステンレス鋼ディスク上に実装した。次に得られた複合物ディスクをニッケル電鋳浴に浸漬した。浴組成は以下の通りであった、すなわちスルファミン酸ニッケル(480g/l.)、ホウ酸(35g/l.)及びコネチカット州ウオーターバリー(Waterbury)のマクデミド社(MacDermid, Inc.)から商標表記「スナップL(SNAP L)」の下に得られた湿潤剤(10ml./l.)である。電鋳条件は、pH4、温度54℃(130°F)及び電流密度20アンペア/ft2(220アンペア/m2)であった。電鋳を20時間行い厚さ0.5mmのニッケル成膜を得た。それから、電鋳ニッケルをもとのニッケル成膜試料から分離した。次に、得られたニッケル複製を、ポリプロピレンを成形するツールとして使用した。
【0067】
テキサス州ヒューストン(Houston)のエクソン・ケミカル(Exxon Chemical)から商標表記「ポリプロピレン3155(POLYPROPYLENE 315)」の下に得られたポリプロピレンをインディアナ州ワバシュ(Wabash)のワバシュMPI(Wabash MPI)から商標表記「ワバシュ(Wabash)圧縮成形機モデルV75H−24−CLX」の下に得られた加熱プレスを使用し鏡面仕上げクロムめっき鋼鉄プレートとニッケル複製間で加圧成形した。条件は、圧力1.53MPa(222lb./in.2)、温度180℃、時間10分であった。プレスされたポリプロピレン試験片を約50℃の温度に冷却後ニッケル複製から分離した。
【0068】
比較の金属コーティング膜A
これは、実施例1で記載したようにおおむね厚さ50nmの金の層が、裏側(すなわち、ナノ構造体側の反対)に成膜された構造化ポリマー膜Bであった。
【0069】
(実施例2)
構造化ポリマー膜A−Bの構造化表面には、実施例1で記載したようにおおむね50nmの金の層を気相成膜し、金コーティング構造化ポリマー膜A−B各々がもたらされた。
【0070】
金コーティング構造化ポリマー膜A−B及び比較の金属コーティング構造化ポリマー膜Aには、金属層上にビピリジンの4ミリモル溶液0.25ml.をそれぞれスピンコーティングした。
【0071】
780nm波長のダイオードレーザー(英国グロウセスターシャー(Gloucestershire)ウオットン−アンダー−エッジ(Wotton-under-Edge)ニューミルズ(New Mills)のレニシャウ社(Renishaw, PLC)から商標表記「レニシャウ780/50(Renishaw 780/50)」で得られた)をミクロ−ラマンシステム(micro-Raman system)(レニシャウ社(Renishaw, PLC)から商標表記「レニシャウM−1000(Renishaw M-1000)」で得られた)により発信した。レーザー光線を500xに設定された光学部品により発信した、光線の強度は、表面で25ミリワット(1.5ジュール/秒)以下と推定された。集束時間は1秒であった。
【0072】
これらの膜から得られたビピリジンのラマンスペクトルを図6に示す、ここで曲線c)は、比較の金属コーティング膜Aに対応し、曲線b)は、金コーティング構造化ポリマー膜Bに対応し、曲線a)は、金コーティング構造化ポリマー膜Aに対応する。
【0073】
(実施例3)
膜の構造化表面を実施例1で記載したおおむね種々の厚さで気相コーティングした構造化ポリマー膜A−B上の吸着分子ビピリジンについて表面増強ラマンスペクトルを得た。2つの異なる表面について1600cm-1ビピリジンピークのSERSピーク面積を得た。表1(以下)には、金の厚さに対する計測されたSERSピーク面積の変化を報告する。
【0074】
【表1】

【0075】
この発明の種々の修正及び変更は、この発明の範囲及び精神から反することなく当業者により行われ得るが、この発明は、本明細書で詳述された説明的な実施形態に必要以上に限定されないと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明により物質を分析する代表的な方法の略図。
【図2】本発明の1つの実施形態による代表的な構造化基材の断面概略図。
【図3】実施例において作製された構造化ポリマー膜Aの走査電子マイクロ写真。
【図4】隣接したリブ間で得られた構造化ポリマー膜Aの走査電子マイクロ写真。
【図5】隣接したリブ間で得られた実施例1において作製された金コーティング構造化ポリマー膜の走査電子マイクロ写真。
【図6】実施例2において得られたビピリジンのラマンスペクトルの図解表示。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)第1及び第2の対向する主表面を有し、前記第1主表面の少なくとも一部分が、少なくとも部分的にナノ構造体により画定されるベース
を含むモノリシックポリマー膜と、
(ii)前記ナノ構造体の少なくとも一部分に適合して配置される金属層と
を備える可撓性構造化基材を提供し、
(b)前記金属層の少なくとも一部分に接近して検体を設け、及び
(c)前記検体の表面増強光学特性を観察する
ことを含む物質を分析する方法。
【請求項2】
前記第1主表面の少なくとも一部分が、前記ベースから外側に延在する模様付きミクロ構造体により部分的に画定され、前記ナノ構造体が、少なくとも部分的に前記模様付きミクロ構造体内に包含され又は重なり合い、前記模様付きミクロ構造体の平均高さが、前記ナノ構造体の平均高さの少なくとも3倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミクロ構造体の平均高さが、少なくとも10マイクロメートルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記模様付きミクロ構造体の少なくとも1つの領域が、少なくとも1マイクロメートルの平均幅を有し、前記ナノ構造体の少なくとも一部分を包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記模様付きミクロ構造体が、規則的である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記模様付きミクロ構造体が、リブ又はポストの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記光学特性が、ラマン分光法の一種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記構造化基材が、テープの形態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記構造化基材が、前記第2主表面に接着剤の層を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属層の平均厚さが、5ナノメートル〜50ナノメートルの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノ構造体の高さが、400ナノメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノ構造体の高さが、200ナノメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記金属が、銀、金、銅、及び白金から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
更に、試薬を前記金属層の外側表面の少なくとも一部分に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記検体が、殺虫剤、バクテリア、ウイルス、DNA及びタンパク質から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
更に、前記可撓性構造化基材を剛性の基材に付着する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
(a)第1及び第2の対向する主表面を有するベースであって、前記第1主表面の少なくとも一部分が、
前記ベースから外側に延在する模様付きミクロ構造体、及び
少なくとも100ナノメートルであって200ナノメートル未満の平均高さを有し、少なくとも部分的に前記模様付きミクロ構造体内に包含され又は重なり合うナノ構造体
により少なくとも部分的に画定されるベース、
を含むモノリシックポリマー膜、及び
(b)前記ナノ構造体の少なくとも一部分に適合して配置される金属層
を備え、可撓性である構造化基材。
【請求項18】
前記構造化基材が、テープの形態を有する、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項19】
前記構造化基材が、前記第2主表面に接着剤の層及び前記接着剤層に剥離可能に付着する剥離ライナーを備える、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項20】
前記ミクロ構造体が、規則的である、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項21】
前記金属層の平均厚さが、5ナノメートル〜50ナノメートルの範囲である、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項22】
前記ミクロ構造体の高さが、少なくとも10マイクロメートルである、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項23】
前記ミクロ構造体の少なくとも1つの領域が、前記ナノ構造体の少なくとも一部分を包含し、前記少なくとも1つの領域が、少なくとも1マイクロメートルの平均幅を有する、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項24】
前記ミクロ構造体が、リブ又はポストの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項25】
前記金属が、銀、金、銅、及び白金から成る群から選択される、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項26】
前記基材が、ロール形態である、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項27】
更に、前記金属層の少なくとも一部分に結合される試薬を含む、請求項17に記載の構造化基材。
【請求項28】
その上に第1模様付きミクロ構造体を備える連続表面を有するツールを提供し、
第1及び第2の対向する主表面を有し、前記第1主表面の少なくとも一部分が、第1高さを有し前記ベースから外側に延在する第2ミクロ構造体を備え、前記第2ミクロ構造体が、実質的に前記第1ミクロ構造体に相補的であるベースを含むモノリシックポリマー膜を連続的に形成し、
少なくとも100ナノメートルであって200ナノメートル未満の平均高さを有し、少なくとも部分的に前記ミクロ構造体内に包含され又は重なり合うナノ構造体を形成し、及び
金属層を前記ナノ構造体の少なくとも一部分に適合して配置する、
ことを含む可撓性である構造化基材を製造する方法。
【請求項29】
更に、試薬を前記金属層の少なくとも一部分に配置する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ミクロ構造体の形成が、前記ポリマー膜をエンボス加工することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記ナノ構造体の形成が、前記ポリマー膜をエンボス加工することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
更に、接着剤を前記第2主表面にコーティングする、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記ツールが、ロール、ベルト及びスリーブから成る群から選択される、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−501904(P2009−501904A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521619(P2008−521619)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/027257
【国際公開番号】WO2007/011671
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】