説明

表面変性されたナノ粒子状の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の製造方法

本発明は、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物、その製造方法ならびに化粧品用日焼け止め調製物のための、プラスチック中の安定剤としての、および抗菌作用物質としてのその使用に関する。本発明はさらに、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物、その製造方法ならびに化粧品用日焼け止め調製物のための、プラスチック中の安定剤としての、および抗菌作用物質としてのその使用に関する。本発明はさらに、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液の製造方法に関する。
【0002】
金属酸化物は多種多様な目的のために、例えば白色顔料として、触媒として、抗菌性皮膚保護用軟膏の成分として、およびゴム加硫のための活性化剤として使用されている。化粧品用の日焼け止めでは、微粒子状の酸化亜鉛または二酸化チタンが、UV吸収性顔料として使用されている。
【0003】
「ナノ粒子」という概念によれば、本出願の範囲では、電子顕微鏡による方法により測定して、5〜10000nmの平均直径を有する粒子を表す。
【0004】
約30nm未満の粒径を有する酸化亜鉛ナノ粒子は、潜在的に透明な有機−無機ハイブリッド材料、プラスチック、塗料および被覆中のUV吸収剤としての使用のために適切である。その他に、UVに敏感な有機顔料の保護のための使用も可能である。
【0005】
約30nmよりも大きい酸化亜鉛からなる粒子、粒子アグリゲートまたは粒子アグロメレートは、散乱光効果を生じ、従って可視光の範囲での透明性における不所望の低下につながる。従って再分散性、つまり製造された酸化亜鉛ナノ粒子をコロイド分散状態に変換する可能性は、上記の適用のために重要な前提である。
【0006】
約5nm未満の粒径を有する酸化亜鉛ナノ粒子は、量子サイズ効果に基づいて、吸収限界の青色シフトを示し(L.Brus、J.Phys.Chem.(1986)、90、第2555〜2560頁)、従ってUV−A領域におけるUV吸収剤としての使用のためにはそれほど適切ではない。
【0007】
金属酸化物、例えば酸化亜鉛を、乾式法および湿式法で製造することは公知である。乾式法として知られている(例えばGmelin 第32巻、第8版、補足巻、第772頁以降)亜鉛を燃焼させる古典的な方法は、広い粒径分布を有する凝集粒子を生じる。たしかに、粉砕法によってサブミクロンの範囲の粒径を製造することは基本的に可能であるが、しかし達成可能な剪断力が低すぎることに基づいて、このような粉末から、下方のナノメートル範囲の平均粒径を有する分散液は得られない。特に微粒子状の酸化亜鉛は、とりわけ湿式化学的に沈殿法によって製造される。水溶液の沈殿は通常、水酸化物および/または炭酸塩を含有する材料を生じ、これらは熱により酸化亜鉛へと変換しなくてはならない。この場合、熱による後処理は微粒子性(Feinteiligkeit)に対して否定的に作用する。というのも、この場合には粒子が、焼結プロセスに供されるが、これはマイクロメートルサイズの凝集体の形成につながり、該凝集体は粉砕することによって不完全に一次粒子へと粉砕することができるに過ぎないからである。
【0008】
ナノ粒子状の金属酸化物はたとえばマイクロエマルジョン法により得られる。この方法では、金属酸化物の溶液を油中水型マイクロエマルション中に滴下する。その大きさがナノメートル範囲にあるマイクロエマルションの逆ミセル中で、アルコキシドがナノ粒子状の金属酸化物へと加水分解される。この方法の欠点は、金属アルコキシドが高価な出発材料であり、付加的な乳化剤を使用しなくてはならず、かつナノメートル範囲の液滴直径を有するエマルションの製造は、高価な方法工程であることである。
【0009】
DE19907704に、沈殿反応により製造されるナノ粒子状の酸化亜鉛が記載されている。この場合、ナノ粒子状の酸化亜鉛は、酢酸亜鉛溶液から出発して、アルカリ性沈殿によって製造される。遠心分離された酸化亜鉛を、塩化メチレンの添加によってゾルとして再分散させることができる。こうして製造された酸化亜鉛分散液は、表面変性を欠いていることによって、良好な貯蔵安定性を有していないという欠点を有する。
【0010】
WP00/50503には、15nm以下の粒径を有するナノ粒子状の酸化亜鉛粒子が得られ、ゾルへと再分散可能な酸化亜鉛ゲルが記載されている。この場合、亜鉛化合物をアルコール中またはアルコールと水との混合物中で塩基性加水分解することによって製造される沈殿物を、ジクロロメタンまたはクロロホルムの添加によって再分散させる。この場合の欠点は、水中または水性分散剤中で、安定した分散液が得られないことである。
【0011】
Chem.Mater.2000年、12、第2268〜2274頁、Lin GuoおよびShihe Yangによる刊行物"ポリ(ビニルピロリドン)変性された酸化亜鉛ナノ粒子の合成および特性決定(Synthesis and Characterization of Poly(vinylpyrrolidone)−Modified Zinc Oxide Nanoparticles)"では、ウルツ鉱酸化亜鉛ナノ粒子がポリビニルピロリドンにより表面被覆されている。この場合の欠点は、ポリビニルピロリドンにより被覆された酸化亜鉛粒子は、水中で分散性ではないことである。
【0012】
WO93/21127には、表面変性されたナノ粒子状のセラミック粉末の製造方法が記載されている。この場合、ナノ粒子状のセラミック粉末は、低分子有機化合物、たとえばプロピオン酸を施与することによって表面変性される。この方法は、酸化亜鉛の表面変性のために使用することができない。というのも、変性反応は水溶液中で実施され、かつ酸化亜鉛は水性の有機酸中に溶解するからである。従ってこの方法は、酸化亜鉛分散液の製造のために適用することができない。さらに、この出願中に酸化亜鉛は、ナノ粒子状のセラミック粉末のための可能な出発材料としてあげられてもいない。
【0013】
JP−A−04164814には、水性媒体中、高めた温度で沈殿させることにより、熱による後処理を行うことなく、微粒子状の酸化亜鉛が生じる方法が記載されている。平均粒径として、凝集の度合いの記載はなく、20〜50nmが記載されている。これらの粒子は比較的大きい。これは最小限の凝集の場合にすでに散乱効果につながり、これは透明な適用において望ましくない。
【0014】
JP−A−07232919には、亜鉛化合物から、有機酸とその他の有機化合物、たとえばアルコールとを高めた温度で反応させることにより、5〜10000nmの大きさの酸化亜鉛粒子を製造することが記載されている。ここでは生じる副生成物(使用される酸のエステル)を留去することができるように加水分解が行われる。この方法により、予め行われる表面変性によって再分散可能な酸化亜鉛粉末の製造が可能である。しかし、この出願の開示に基づいて、<15nmの平均直径を有する粒子を製造することは不可能である。この出願に記載されている実施例では相応して、最も小さい平均一次粒径として15nmが挙げられている。
【0015】
有機ケイ素化合物により疎水化された金属酸化物は、特にDE3314741A1、DE3642794A1およびEP0603627A1ならびにWO97/16156に記載されている。
【0016】
これらのケイ素化合物により被覆された金属酸化物、たとえば酸化亜鉛または二酸化チタンは、これにより製造された水中油型もしくは油中水型エマルションが、必ずしも必要とされるpH値安定性を有しているとは限らないという欠点を有する。
【0017】
さらに、ケイ素化合物で被覆された種々の金属酸化物同士の非相容性がしばしば観察され、これは、望ましくない凝集体の形成および異なった粒子の凝集化につながりうる。
【0018】
従って本発明の根底には、水中または極性有機溶剤中で、ならびに化粧用の油中で安定したナノ粒子状の分散液の製造が可能なナノ粒子状の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物を提供するという課題が存在する。粒子の不可逆的な凝集はできる限り回避されるべきであり、これにより高価な粉砕工程を回避することができる。
【0019】
前記課題は、アルミニウム、マグネシウム、セリウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、チタン、亜鉛およびジルコニウムからなる群から1もしくは複数の金属が選択される、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液の製造方法において、
a)上記の金属の少なくとも1の金属塩の水溶液と、少なくとも1のポリマーの水溶液とを、3〜13の範囲のpH値および0〜50℃の範囲の温度T1で混合し、かつ
b)前記混合物を引き続き、60〜300℃の範囲の温度T2で温度処理し、その際、表面変性されたナノ粒子状の粒子が析出する
ことを特徴とする、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液の製造方法により解決された。
【0020】
この場合、金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物とは、無水の化合物であっても、相応する水和物であってもよい。
【0021】
方法工程a)における金属塩とは、金属のハロゲン化物、酢酸塩、硫酸塩または硝酸塩であってよい。有利な金属塩はこの場合、ハロゲン化物、たとえば塩化亜鉛もしくは四塩化チタン、酢酸塩、たとえば酢酸亜鉛、ならびに硝酸塩、たとえば硝酸亜鉛である。特に有利な金属塩は硝酸亜鉛または酢酸亜鉛である。
【0022】
ポリマーは、たとえばポリアスパラギン酸、ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルアミド、たとえばN−ビニルピロリドンと、少なくとも1の別の、重合性の基を有するモノマー、たとえばモノエチレン性不飽和C3〜C8−カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、モノエチレン性不飽和C3〜C8−カルボン酸のC8〜C30−アルキルエステル、脂肪族C8〜C30−カルボン酸のビニルエステルとの、および/またはC8〜C18−アルキル基を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のN−アルキル置換もしくはN,N−ジアルキル置換されたアミドとからなるコポリマーであってよい。
【0023】
本発明による方法の有利な実施態様は、金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の沈殿を、ポリアスパラギン酸の存在下で行うことを特徴とする。ポリアスパラギン酸の概念は、本発明の範囲では、遊離酸もポリアスパラギン酸の塩、たとえばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、亜鉛塩および鉄塩、またはこれらの混合物も含まれる。
【0024】
本発明による方法の特に有利な実施態様は、ゲルクロマトグラフィー分析により測定して、500〜1000000、有利には1000〜20000、特に有利には1000〜8000、殊に有利には3000〜7000の分子量を有するポリアスパラギン酸、特にポリアスパラギン酸のナトリウム塩を使用することにより特徴付けられる。
【0025】
方法工程a)における両方の溶液(水性の金属塩溶液および水性のポリマー溶液)の混合は、0℃〜50℃の範囲、有利には15℃〜40℃の範囲、特に有利には15℃〜30℃の範囲の温度T1で行う。
【0026】
使用される金属塩に応じて、混合は3〜13の範囲のpH値で実施することができる。酸化亜鉛の場合、混合の際のpH値は7〜11の範囲である。
【0027】
方法工程a)における両方の溶液の混合のための時間は、有利には0.5〜30分の範囲、特に有利には0.5〜10分の範囲である。
【0028】
方法工程a)における混合は、たとえば金属塩、たとえば酢酸亜鉛または硝酸亜鉛の水溶液を、ポリアスパラギン酸およびアルカリ金属水酸化物もしくはアンモニウムの水酸化物、特に水酸化ナトリウムからなる混合物の水溶液に計量供給することにより、または金属塩の水溶液およびアルカリ金属水酸化物またはアンモニウムの水酸化物の水溶液それぞれを同時に、ポリアスパラギン酸水溶液に計量供給することにより行うことができる。
【0029】
方法工程b)における温度T2は、60〜300℃の範囲、有利には70〜150℃の範囲、特に有利には80〜100℃の範囲である。
【0030】
方法工程b)で選択される温度T2での混合物の滞留時間は0.1〜30分、有利には0.5〜10分、特に有利には0.5〜5分である。
【0031】
T1からT2の加熱は0.1〜5分以内に、有利には0.1〜1分以内に、特に有利には0.1〜0.5分以内に行う。
【0032】
本発明による方法のさらに有利な実施態様は、方法工程a)および/またはb)を連続的に行うことにより特徴付けられる。連続的に運転される作業法では、方法を有利には管型反応器中で実施する。
【0033】
有利には方法を、
a)第一の反応空間での混合を、連続的に少なくとも1の金属塩の水溶液および少なくとも1のポリマーの水溶液を導入し、かつここから製造された反応混合物を取り出すように行い、かつ
b)温度処理のために連続的に別の反応空間へ搬送し、その際、表面変性されたナノ粒子状の粒子が析出する
形で実施する。
【0034】
冒頭に記載した方法は、特に二酸化チタンおよび酸化亜鉛の、特に酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液を製造するために特に適切である。この場合、酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子の沈殿は、酢酸亜鉛、塩化亜鉛または硝酸亜鉛の水溶液から、7〜11までの範囲のpH値で1000〜8000の平均分子量を有するポリアスパラギン酸の存在下に行う。
【0035】
本発明による方法のもう1つの有利な実施態様は、金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の、特に酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子が、25〜500m2/gの範囲、有利には30〜400m2/g、特に有利には40〜300m2/g、とりわけ有利には50〜250m2/gのBET表面積を有することを特徴とする。
【0036】
本発明は、ナノ粒子状の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物を、ポリアスパラギン酸および/またはその塩により表面変性することにより、表面変性された金属酸化物の分散液の、特に化粧品調製物中での貯蔵安定性は、該調製物の貯蔵の際に不所望のpH値の変化が生じることなく達成することができるという認識に基づいている。
【0037】
本発明のもう1つの対象は、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状調製物の製造方法であり、この場合、1もしくは複数の金属は、アルミニウム、マグネシウム、セリウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、チタン、亜鉛およびジルコニウムからなる群から選択され、この方法は、
a)上記の金属の少なくとも1の金属塩の水溶液と、少なくとも1のポリマーの水溶液とを、3〜13の範囲のpH値および0〜50℃の範囲の温度T1で混合し、
b)前記混合物を引き続き、60〜300℃の範囲の温度T2で温度処理し、その際、表面変性されたナノ粒子状の粒子が析出し、
c)析出した粒子を水性の反応混合物から分離し、かつ
d)ナノ粒子状の粒子を引き続き乾燥させる
ことを特徴とする。
【0038】
方法工程a)およびb)の実施ならびにこれらの工程で使用される使用材料の、より詳細な説明に関しては、冒頭に記載した詳細な説明を参照されたい。
【0039】
方法工程c)における水性反応混合物から析出した粒子の分離は、自体公知の方法で、たとえば濾過または遠心分離により行うことができる。
【0040】
水性反応混合物を析出した粒子の分離前に、10〜50℃の範囲の温度T3に冷却することが有利であることが判明した。
【0041】
得られたフィルターケーキを自体公知の方法で、たとえば乾燥棚中、40〜100℃、有利には50〜70℃の温度で、標準圧力下に、質量が一定になるまで乾燥させることができる。
【0042】
本発明のもう1つの対象は、冒頭に記載した方法により得られる、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物であり、この場合、1もしくは複数の金属は、アルミニウム、マグネシウム、セリウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、チタン、亜鉛およびジルコニウムからなる群から選択されており、かつ表面変性が、少なくとも1のポリマーによる被覆を含む。
【0043】
本発明のもう1つの対象はさらに、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物、特に酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物であり、この場合、表面変性はポリアスパラギン酸による被覆を含み、25〜500m2/g、有利には30〜400m2/g、特に有利には40〜300m2/g、とりわけ有利には50〜250m2/gの範囲のBET表面積を有する。
【0044】
本発明のもう1つの対象は、本発明による方法により製造される、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物、特に二酸化チタンまたは酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状調製物の、たとえば
化粧品用日焼け止め調製物中でのUV保護剤として、または
プラスチック中の安定剤として、または
抗菌作用物質として
の使用である。
【0045】
本発明の有利な実施態様によれば少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物、金属オキシ水酸化物、特に二酸化チタンまたは酸化ジルコニウムの表面変性されたナノ粒子状の粒子は、液状媒体中に再分散可能であり、かつ安定した分散液を形成する。これは特に有利である。というのは、たとえば本発明による酸化亜鉛から製造された分散液は、更なる加工の前に、改めて分散させる必要がなく、直接に加工することができるからである。
【0046】
本発明の有利な実施態様によれば、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子は、極性有機溶剤中に再分散可能であり、かつ安定した分散液を形成する。これは特に有利である。というのも、このことによりたとえばプラスチックまたはシートへの均一な混合が可能だからである。
【0047】
本発明のもう1つの有利な実施態様によれば、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子は、水中に再分散可能であり、かつ水中で安定した分散液を形成する。このことは特に有利である。というのもこれにより本発明による材料を、たとえば化粧品調製物中で使用する可能性が開かれ、その際、有機溶剤の省略は大きな利点であるからである。水と極性有機溶剤との混合物もまた考えられる。
【0048】
本発明の有利な実施態様によれば、表面変性されたナノ粒子状の粒子は、10〜200nmの直径を有する。このことは特に有利である。というのも、このサイズ分布の範囲内で、良好な再分散性が保証されているからである。
【0049】
本発明のとりわけ有利な実施態様によれば、表面変性されたナノ粒子状の粒子は、10〜50nmの直径を有する。この大きさの範囲は特に有利である。というのも、たとえばこのような酸化亜鉛ナノ粒子を再分散させた後で、生じる分散液は透明であり、従って化粧品調製物に添加する際に、着色に影響を与えないからである。さらにこのことによって、透明なシート中での使用の可能性も生じる。
【0050】
以下の実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0051】
例1:
表面変性された酸化亜鉛の連続的な製造
まず2つの溶液AおよびBを製造した。溶液Aは、1リットルあたり酢酸亜鉛二水和物を43.68g含有し、かつ0.2モル/lの亜鉛濃度を有していた。
【0052】
溶液Bは、1リットルあたり水酸化ナトリウムを16g含有しており、従って0.4モル/lの水酸化ナトリウム濃度を有していた。さらに該溶液Bはなお、ポリアスパラギン酸ナトリウムを20g/l含有していた。
【0053】
8lの全体積を有するガラス反応器中に、25℃の温度を有する水5lを添加し、かつこれを250rpmの回転速度で攪拌した。さらに攪拌しながら、溶液AおよびBを、2つのHPLCポンプ(Knauer社、K1800型、ポンプヘッド500ml/分)を用いて、2つの別々の導入管を介して、それぞれ0.48l/分の供給速度で連続的に供給した。その際、ガラス反応器中で、白色の懸濁液が形成された。同時にガラス反応器から、上昇管を介して歯車ポンプ(Gather Industrie GmbH社、D−40822 Mettmann)により、0.96l/分の懸濁液流をポンプで排出し、かつ後方に接続された熱交換器中で、1分以内に85℃の温度に加熱した。引き続き、得られた懸濁液を第二の熱交換器に貫流させ、この中で懸濁液はさらに30秒間、85℃に維持された。その後、該懸濁液は順次、第三および第四の熱交換器中を貫流し、これらの中で該懸濁液はさらに1分以内に室温に冷却された。得られた懸濁液を容器に収容した。
【0054】
装置を90分間運転した後で、新鮮に生じる懸濁液の一部を分岐させ、交流式限外濾過器の実験室用装置(Sartorius社、SF Alpha型、PES−Kassette、100kDのカットオフ)中で15倍に濃縮した。引き続き固体の粉末の単離は、超遠心分離器(Sigma 3K30、20000rpm、40700g)を用いて行った。
【0055】
得られた粉末は、UV−VIS分光分析器中で、約350〜360nmで酸化亜鉛に関して特徴付けられる吸収バンドを有していた。これと一致して、粉末のX線回折はもっぱら六方晶ZnOの回折反射を示した。X線反射の半減値幅から、結晶の大きさを算出し、これは8nm((102)−反射に関して)〜37nm((002)−反射に関して)であった。レーザー回折による粒径分布の測定は、単一モードの粒径分布を生じた。比BET表面積は、42m2/gであった。走査型電子顕微鏡(SEM)中で、および同様に透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は50〜100nmの平均粒径を有していた。さらに、TEM撮影は、酸化亜鉛粒子が極めて高い多孔度を有しており、かつ5〜10nmの直径を有する極めて小さい一次粒子からなっていることを示した。
【0056】
例2
表面変性された酸化亜鉛の半連続的な製造
12lの全体積を有するガラス反応器中に、例1からの溶液A 4lを装入し、かつ攪拌した(250rpm)。攪拌される溶液中に、HPLCポンプ(Knauer社、K1800型、ポンプヘッド1000ml/分)で、溶液B 4lを6分以内に室温で供給した。その際、ガラス反応器中で白色の懸濁液が形成された。
【0057】
供給の終了後、ただちに得られた懸濁液から上昇管を介して、歯車ポンプ(Gather Industrie GmbH社、D−40822 Mettmann)により、0.96l/分の懸濁液流をポンプで排出し、かつ後方に接続された熱交換器中で1分以内に85℃の温度に加熱した。引き続き、得られた懸濁液は第二の熱交換器中を貫流し、この中で該懸濁液はさらに30秒、85℃に維持された。その後、該懸濁液は順次、第三および第四の熱交換器中を貫流し、これらの中で該懸濁液は、さらに1分以内に室温に冷却された。得られた懸濁液を容器中に収容した。
【0058】
装置を5分間運転した後で、新鮮に生じる懸濁液の一部を分岐させ、かつ交流式限外濾過器の実験室用装置(Sartorius社、SF Alpha型、PES−Kassette、100kDのカットオフ)中で、15倍濃縮した。引き続き固体の粉末の単離は、超遠心分離器(Sigma 3K30、20000rpm、40700g)により行った。
【0059】
得られた粉末は、UV−VIS分光分析器中で、約350〜360nmで酸化亜鉛に関して特徴付けられる吸収バンドを有していた。これと一致して、粉末のX線回折はもっぱら六方晶酸化亜鉛の回折反射を示した。X線反射の半減値幅から、結晶の大きさを算出し、これは8nm((102)−反射に関して)〜37nm((002)−反射に関して)であった。レーザー回折による粒径分布の測定は、単一モードの粒径分布を生じた。比BET表面積は、42m2/gであった。走査型電子顕微鏡(SEM)中で、および同様に透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は50〜100nmの平均粒径を有していた。さらに、TEM撮影は、酸化亜鉛粒子が極めて高い多孔度を有しており、かつ5〜10nmの直径を有する極めて小さい一次粒子からなっていることを示した。
【0060】
例3
表面変性された鉄ドープされた酸化亜鉛の連続的な製造
まず2つの溶液CおよびDを製造した。溶液Cは、1リットルあたり酢酸亜鉛二水和物41.67gおよび硫酸鉄(II)五水和物2.78gを含有し、かつ0.19モル/lの亜鉛濃度および0.01モル/lの鉄(II)濃度を有していた。
【0061】
溶液Dは、1リットルあたり水酸化ナトリウム16gを含有し、従って0.4モル/lの水酸化ナトリウム濃度を有していた。さらに、溶液Dはなお5g/lのポリアスパラギン酸ナトリウムを含有していた。
【0062】
8lの全体積を有するガラス反応器中に、水5lを装入し、かつ攪拌した(250rpm)。さらに攪拌しながら、溶液CおよびDを、2つのHPLCポンプにより供給し、かつさらに例1に記載されているようにさらに処理した。
【0063】
得られた粉末は、UV−VIS分光分析器中で、約350〜360nmで酸化亜鉛に関して特徴付けられる吸収バンドを有していた。これと一致して、粉末のX線回折は、もっぱら、ドープされていない酸化亜鉛と比較して若干大きな格子パラメータを有する六方晶酸化亜鉛の回折反射を示した。走査型電子顕微鏡(SEM)中で、および同様に透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は50〜100nmの平均粒径を有していた。さらに、TEM撮影は、式Zn0.95Fe0.05Oの亜鉛−鉄−酸化物粒子が極めて高い多孔度を有しており、かつ5〜10nmの直径を有する極めて小さい一次粒子からなっていることを示した。エネルギー分散方式のX線分析(EDX)により、試料中で亜鉛イオンと鉄イオンとが均一に分散していることが確認された。
【0064】
例4
表面変性された、鉄ドープされた酸化亜鉛の半連続的な製造
例3からの溶液C 4lを、ガラス反応器中に装入し、かつ攪拌した(250rpm)。攪拌される溶液に、HPLCポンプにより例3からの溶液D 4lを添加した。混合物を例2においてと同様に、さらに処理した。
【0065】
得られた粉末は、UV−VIS分光分析器中で、約350〜360nmで酸化亜鉛に関して特徴付けられる吸収バンドを有していた。これと一致して、粉末のX線回折は、もっぱら、ドープされていない酸化亜鉛と比較して若干大きな格子パラメータを有する六方晶酸化亜鉛の回折反射を示した。走査型電子顕微鏡(SEM)中で、および同様に透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は50〜100nmの平均粒径を有していた。さらに、TEM撮影は、式Zn0.95Fe0.05Oの亜鉛−鉄−酸化物粒子が極めて高い多孔度を有しており、かつ5〜10nmの直径を有する極めて小さい一次粒子からなっていることを示した。エネルギー分散方式のX線分析(EDX)により、試料中で亜鉛イオンと鉄イオンとが均一に分散していることが確認された。
【0066】
例5
式Fe34の表面変性された酸化鉄の連続的な製造
まず、2つの溶液EおよびFを製造した。溶液Eは、1リットルあたり硫酸鉄(II)五水和物55.60gおよび硫酸鉄(III)六水和物101.59gを含有し、かつ0.2モル/lの鉄(II)濃度および0.4モル/lの鉄(III)濃度を有していた。
【0067】
溶液Fは、1リットルあたり水酸化ナトリウムを70.4g含有し、従って1.76モル/lの水酸化ナトリウム溶液の濃度を有していた。さらに該溶液Fは、なおポリアスパラギン酸ナトリウムを5g/l含有していた。
【0068】
8lの全体積を有するガラス反応器中に、水5lを装入し、かつ攪拌した(250rpm)。さらに攪拌しながら、溶液EおよびFを、2つのHPLCポンプにより供給し、かつさらに例1に記載されているようにさらに処理した。
【0069】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら式Fe34の立方晶酸化鉄の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。
【0070】
例6
式Fe34の表面変性された酸化鉄の半連続的な製造
例5からの溶液E 4lを、ガラス反応器中に装入し、かつ攪拌した(250rpm)。攪拌される溶液に、HPLCポンプにより例5からの溶液F 4lを添加した。混合物を例2におけるように、さらに処理した。
【0071】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら式Fe34の立方晶酸化鉄の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。
【0072】
例7
式MnFe24の表面変性されたマンガン−鉄酸化物の連続的な製造
まず、2つの溶液GおよびHを製造した。溶液Gは、1リットルあたり硫酸マンガン(II)一水和物33.80gおよび硫酸鉄(III)六水和物101.59gを含有し、かつ0.2モル/lのマンガン(II)濃度および0.4モル/lの鉄(III)濃度を有していた。
【0073】
溶液Hは、1リットルあたり水酸化ナトリウムを70.4g含有し、従って1.76モル/lの水酸化ナトリウム濃度を有していた。さらに、該溶液Hは、なおポリアスパラギン酸ナトリウムを5g/l含有していた。
【0074】
8lの全体積を有するガラス反応器中に、水5lを装入し、かつ攪拌した(250rpm)。さらに攪拌しながら、溶液GおよびHを、2つのHPLCポンプにより供給し、かつさらに例1に記載されているようにさらに処理した。
【0075】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら式MnFe24立方晶マンガン−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。
【0076】
例8
式MnFe24の表面変性されたマンガン−鉄酸化物の半連続的な製造
例7からの溶液G 4lをガラス反応器中に装入し、かつ攪拌した(250rpm)。攪拌される溶液に、HPLCポンプで例7からの溶液H 4lを添加した。該混合物を例2に記載されているとおりにさらに処理した。
【0077】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら式MnFe24立方晶マンガン−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。
【0078】
例9
式MnFe24の表面変性された亜鉛ドープされたマンガン−鉄酸化物の連続的な製造
まず、2つの溶液IおよびJを製造した。溶液Iは、1リットルあたり硫酸マンガン(II)一水和物30.42g、硫酸亜鉛一水和物3.59gおよび硫酸鉄(III)六水和物101.59を含有し、かつ0.18モル/lのマンガン(II)濃度、0.02モル/lの亜鉛濃度および0.4モル/lの鉄(III)濃度を有していた。
【0079】
溶液Jは、1リットルあたり水酸化ナトリウムを70.4g含有し、従って1.76モル/lの水酸化ナトリウム溶液の濃度を有していた。さらに該溶液Jは、なおポリアスパラギン酸ナトリウムを5g/l含有していた。
【0080】
8lの全体積を有するガラス反応器中に、水5lを装入し、かつ攪拌した(250rpm)。さらに攪拌しながら、溶液IおよびJを、2つのHPLCポンプにより供給し、かつさらに例1に記載されているようにさらに処理した。
【0081】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら、ドープされていないMnFe24と比較して若干小さい格子パラメーターを有する式MnFe24の立方晶マンガン−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。走査型電子顕微鏡(SEM)中で、および同様に透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。エネルギー分散方式のX線分析(EDX)により、試料中でマンガンイオン、亜鉛イオンおよび鉄イオンが均一に分散していることが確認された。
【0082】
例10
式MnFe24の表面変性された亜鉛ドープされたマンガン−鉄酸化物の半連続的な製造
例9からの溶液I 4lをガラス反応器中に装入し、かつ攪拌した(250rpm)。攪拌される溶液に、HPLCポンプで例9からの溶液J 4lを添加した。該混合物を例2に記載されているとおりにさらに処理した。
【0083】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら、ドープされていないMnFe24と比較して若干小さい格子パラメーターを有する式MnFe24の立方晶マンガン−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。エネルギー分散方式のX線分析(EDX)により、試料中でマンガンイオン、亜鉛イオンおよび鉄イオンが均一に分散していることが確認された。
【0084】
例11
式NiFe24の表面変性されたニッケル−鉄酸化物の連続的な製造
まず、2つの溶液KおよびLを製造した。溶液Kは、1リットルあたり硫酸ニッケル(II)六水和物52.57gおよび硫酸鉄(III)六水和物101.59を含有し、かつ0.2モル/lのニッケル(II)濃度および0.4モル/lの鉄(III)濃度を有していた。
【0085】
溶液Lは、1リットルあたり水酸化ナトリウムを70.4g含有し、従って1.76モル/lの水酸化ナトリウムの濃度を有していた。さらに該溶液Lは、なおポリアスパラギン酸ナトリウムを5g/l含有していた。
【0086】
8lの全体積を有するガラス反応器中に、水5lを装入し、かつ攪拌した(250rpm)。さらに攪拌しながら、溶液KおよびLを、2つのHPLCポンプにより供給し、かつさらに例1に記載されているようにさらに処理した。
【0087】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら式NiFe24の立方晶ニッケル−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。
【0088】
例12
式NiFe24の表面変性されたニッケル−鉄酸化物の半連続的な製造
例11からの溶液K 4lをガラス反応器中に装入し、かつ攪拌した(250rpm)。攪拌される溶液に、HPLCポンプで例11からの溶液L 4lを添加した。該混合物を例2に記載されているとおりにさらに処理した。
【0089】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら式NiFe24立方晶ニッケル−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。
【0090】
例13
式NiFe24の表面変性された亜鉛ドープされたニッケル−鉄酸化物の連続的な製造
以下の例のために、まず、2つの溶液MおよびNを製造した。溶液Mは、1リットルあたり硫酸ニッケル(II)六水和物47.31g、硫酸亜鉛一水和物3.59gおよび硫酸鉄(III)六水和物101.59を含有し、かつ0.18モル/lのニッケル(II)濃度、0.02モル/lの亜鉛濃度および0.4モル/lの鉄(III)濃度を有していた。
【0091】
溶液Nは、1リットルあたり水酸化ナトリウムを70.4g含有し、従って1.76モル/lの水酸化ナトリウムの濃度を有していた。さらに該溶液Nは、なおポリアスパラギン酸ナトリウムを5g/l含有していた。
【0092】
8lの全体積を有するガラス反応器中に、水5lを装入し、かつ攪拌した(250rpm)。さらに攪拌しながら、溶液MおよびNを、2つのHPLCポンプにより供給し、かつさらに例1に記載されているようにさらに処理した。
【0093】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら、ドープされていないNiFe24と比較して若干小さい格子パラメーターを有する式NiFe24の立方晶ニッケル−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。エネルギー分散方式のX線分析(EDX)により、試料中でニッケルイオン、亜鉛イオンおよび鉄イオンが均一に分散していることが確認された。
【0094】
例14
式NiFe24の表面変性された亜鉛ドープされたニッケル−鉄酸化物の半連続的な製造
例13からの溶液M 4lをガラス反応器中に装入し、かつ攪拌した(250rpm)。攪拌される溶液に、HPLCポンプで例13からの溶液N 4lを添加した。該混合物を例2に記載されているとおりにさらに処理した。
【0095】
得られた黒色の粉末のX線回折は、もっぱら、ドープされていないNiFe24と比較して若干小さい格子パラメーターを有する式NiFe24の立方晶ニッケル−鉄酸化物の回折反射を示した。X線反射の半減期幅から、約10nmの結晶の大きさが算出された。透過型電子顕微鏡(TEM)中で、得られた粉末は5〜15nmの平均粒径を有していた。エネルギー分散方式のX線分析(EDX)により、試料中でニッケルイオン、亜鉛イオンおよび鉄イオンが均一に分散していることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム、マグネシウム、セリウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、チタン、亜鉛およびジルコニウムからなる群から、1もしくは複数の金属が選択される、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液の製造方法において、
a)上記の金属の少なくとも1の金属塩の水溶液と、少なくとも1のポリマーの水溶液とを、3〜13の範囲のpH値および0〜50℃の範囲の温度T1で混合し、かつ
b)前記混合物を引き続き、60〜300℃の範囲の温度T2で温度処理し、その際、表面変性されたナノ粒子状の粒子が析出する
ことを特徴とする、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液の製造方法。
【請求項2】
方法工程a)における混合を、15〜40℃の範囲の温度T1で行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
方法工程b)における温度T2が、70〜150℃の範囲であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
T1からT2への加熱が、0.1〜5分以内に行われることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
方法工程b)において選択される温度T2での混合物の温度処理時間が、0.1〜30分であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
使用されるポリマーが、ポリアスパラギン酸、ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルアミドと少なくとも1の別の、重合性の基を有するモノマーとからなるコポリマーであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
使用されるポリマーが、500〜1000000の平均分子量を有するポリアスパラギン酸であることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
金属塩が、金属のハロゲン化物、酢酸塩、硫酸塩または硝酸塩であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
方法工程a)および/またはb)が連続的に行われることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
a)混合が第一の反応空間中で、少なくとも1の金属塩の水溶液と、少なくとも1のポリマーの水溶液とを連続的に導入することによって行われ、ここから製造された反応混合物を取り出し、かつ
b)該混合物が、温度処理のために第二の反応空間中へ連続的に搬送され、その際、表面変性されたナノ粒子状の粒子が析出する
ことを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子の水性懸濁液を製造するための、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子の沈殿が、酢酸亜鉛、塩化亜鉛または硝酸亜鉛の水溶液から、7〜11の範囲のpH値で、1000〜8000の平均分子量を有するポリアスパラギン酸の存在下に行われることを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
アルミニウム、マグネシウム、セリウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、チタン、亜鉛およびジルコニウムからなる群から、1もしくは複数の金属が選択される、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物の製造方法において、
a)上記の金属の少なくとも1の金属塩の水溶液と、少なくとも1のポリマーの水溶液とを、3〜13の範囲のpH値および0〜50℃の範囲の温度T1で混合し、
b)前記混合物を引き続き、60〜300℃の範囲の温度T2で温度処理し、その際、表面変性されたナノ粒子状の粒子が析出し、
c)析出した粒子を水性の反応混合物から分離し、かつ
d)ナノ粒子状の粒子を引き続き乾燥させる
ことを特徴とする、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物の製造方法。
【請求項14】
方法工程a)におけるポリマーが、ポリアスパラギン酸であることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
水性の反応混合物を、析出した粒子の分離前に、10〜50℃の範囲の温度T3に冷却することを特徴とする、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
方法工程a)における金属塩が、金属のハロゲン化物、酢酸塩、硫酸塩または硝酸塩であることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
25〜500m2/gの範囲のBET表面積を有する酸化亜鉛の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物を製造するための、請求項13から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
方法工程a)〜c)が連続的に行われることを特徴とする、請求項13から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
請求項13記載の方法により得られる、アルミニウム、マグネシウム、セリウム、鉄、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛およびジルコニウムからなる群から、1もしくは複数の金属が選択され、かつ表面変性が、少なくとも1のポリマーによる被覆を含む、少なくとも1の金属酸化物、金属水酸化物および/または金属オキシ水酸化物の表面変性されたナノ粒子状の粒子の粉末状の調製物。
【請求項20】
表面変性が、ポリアスパラギン酸による被覆を含み、25〜500m2/gの範囲のBET表面積を有する、請求項19記載の粉末状の調製物。
【請求項21】
表面変性された酸化亜鉛である、請求項20記載の粉末状の調製物。
【請求項22】
化粧品用日焼け止め調製物中でのUV保護剤としての、または
プラスチック中の安定剤としての、または
抗菌作用物質としての
請求項19記載の粉末状の調製物の使用。

【公表番号】特表2009−509902(P2009−509902A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532734(P2008−532734)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066569
【国際公開番号】WO2007/036475
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】