表面変性された珪酸セミゲル
本発明は、新規の表面変性されたセミゲル、その製法及びその使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の表面変性されたセミゲル、その製法及びその使用に関する。
【0002】
SiO2をベースとする無機酸化物は、その製法及びその特性に基づき、高熱製造珪酸(エーロジル)、沈降珪酸、珪酸ゾル、シリカゲル(珪酸ゲル)及びセミゲルに細分される。
【0003】
シリカゲルでは、ヒドロゲル、エーロゲルとキセロゲルとが区別される。ヒドロゲル(さもなければ、アクアゲル)は、水中で製造され、従って、その細孔は水で満たされている。キセロゲルは、それから水が除去されたヒドロゲルである。エーロゲルは、ゲルの構造がほんの最小で変化しかつ細孔容積が広汎に保たれたままであるような程度に液体がそれから除去されたキセロゲルである。
【0004】
シリカゲルは長い間知られている(Iler, "Chemistry of Silica", S. 462 ff, 1979)。これは、一次粒子(平均粒度1〜10nm)の合体を促進させる条件下に製造され、従って、沈降又は高熱製造珪酸に比べて、比較的硬質な三次元網状構造が形成する。従って、シリカゲル粒子は沈降珪酸粒子と明らかに異なっている。
【0005】
シリカゲルの製造は、当業者には十分に周知されていて、例えば、US4097303、DE4132230、EP0384226が参照される。この際、珪酸ナトリウム及び硫酸を、急速かつ連続的に、低温、低pH及び高濃度で相互に混合させて、ヒドロゾルを形成させ、これを、再び、短時間後にヒドロゲルに凝結させる。択一的に、ゲル化は、アルカリ性条件下に行なうこともできる(例えば、GB1219877、GB1279250、WO9825851又はEP0588497参照)。もう1つの選択は、EP0765764に提示されている。
【0006】
生成したヒドロゲルは、比較的小さい断片に粉砕され、可溶性塩及び不純物を除去するために洗浄される。洗浄循環の間に、ヒドロゲルの細孔構造は、pH値(例えば、塩基、例えば、アンモニアの添加)、温度及び時間の変化によって調整される。処理法は、当業者に十分に周知されている。例として、例えば、EP0384226又はWO00002814が参照される。
【0007】
洗浄循環の終わりに、洗浄されたヒドロゲルは、シリカゲル又はキセロゲルを生成させるために、熱的手段によって乾燥される。乾燥の種類及び方法は、シリカゲルの細孔容積への実際的な影響を有する。急速な乾燥では、細孔容積は極めて広汎に得られ、緩慢な乾燥では、細孔容積は少なくなる。最後に、シリカゲルを特殊な粒度及び粒子分布に粉砕又は磨砕することができる。
【0008】
高熱製造珪酸とシリカゲルとは、高熱製造珪酸は一次粒子の凝結から構成されるが、シリカゲルは一次粒子の三次元的網状結合を有することによって異なっている。前記の構造の違いは、製法によって条件づけられる。高熱製造珪酸の構造に関する詳細な情報は、Kirk-Othmers Encyclopedia of Chemistry 776頁にある。
【0009】
沈降珪酸は、凝結の他に、特に凝集も特徴とする、更に他の構造を有する。それは、いわゆる"湿式法"によって得られ、この際、水ガラスと酸とを、凝結及び凝集が生成され得て、かつゲル又はゲル様生成物におけるような一次粒子の三次元網状結合が生成され得ないように反応させる。沈降珪酸及び高熱製造珪酸の間の構造的違いは、Kirk-Othmers Encyclopedia Chemistry に記載されている。
【0010】
非晶質二酸化珪素の第四変体はセミゲルである。セミゲルは、シリカゲルに比較して、より広い細孔径分布、より低い機械的安定性及び他のフラクタル次元(3−D網状結合)を有する。他方では、セミゲルは、沈降珪酸に比較してより狭い細孔径分布を有し、従って、セミゲルは、細孔径分布に関してシリカゲルと沈降珪酸との間に位置し得る。
【0011】
製法によっても違いがある。即ち、シリカゲルは、前記のように、溶解されたコロイド状シリカの一定の濃度で製造される。この際、水ガラス及び酸を、濃度変化がもはや生じないように混合させる。任意の老化後に、そうして多かれ少なかれ大きなブロック状物のシリカゲルが得られる。
【0012】
他方で、セミゲルは一定の攪拌又は剪断エネルギーの導入下に製造され、この際、SiO2濃度は反応の間に高められ、従って、終了時には"ブロック状物"ではなく、粒子状の構造が得られる。セミゲルは、例えば、Firma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) によって販売されている。
【0013】
沈降珪酸もシリカゲルも、塗料中で艶消し剤として使用される。US4285846に、艶消し剤としてのセミゲルの使用が公開されている。
【0014】
しかし塗料中の艶消し剤の使用は、塗料の光沢を低減化させる利点のほかに、問題も生じさせる。即ち、若干の塗料系では、艶消し剤の添加によって、その粘度が不所望に高められる。EP0442325に記載されているように、特にチキソトロピー性の慣例的な溶剤含有アルキド樹脂塗料は、その流動性に関連して、艶消しすることが困難である。このことは、殊に、アクリレート、アクリレートポリウレタン又は相応するハイブリッド系上の水性塗料系に当てはまる。
【0015】
艶消し剤でしばしば観察されるもう1つの問題は、それが沈降傾向を有することである。塗料中の艶消し剤の沈降を回避するために、商慣習による大抵の艶消し剤の表面が表面変性剤で被覆される。この際、有機成分がSiO2表面に結合される。この結合は化学性であってもよく、従って、純正化学結合がSiO2表面と有機成分との間で成り立ち、かつ物理性であってもよく、即ち、有機成分がVan-der-Waals 相互作用又は水素架橋結合によりSiO2表面に吸着されている。しかし、表面変性は同時に問題をもたらす。即ち、商慣習の表面変性された艶消し剤は、被覆が塗料の貯蔵の際に溶け出すことがあり、従って、所望の効果が少なくとも部分的に再び失効されるという欠点をしばしば有する。このことは塗料特性の損害になり得る。
【0016】
文書WO200342293に、シリカゲルがワックスで被覆された艶消し剤が公開されている。WO/9951692に、シリカゲルを尿素ウレタン誘導体で被覆することが提示されている。
【0017】
特許明細書EP0442325により、シリカゲルをポリオールで被覆することにより、ポリアミド変性アルキド樹脂をベースとする染料及び塗料のチキソトロピー性への影響を有しない又はほんの僅か有する艶消し剤が製造される。
【0018】
DE102004029069に、再び、オルガノポリシロキサンでのシリカゲルの表面変性が、及びDE102004012090に、オルガノポリシロキサンでの沈降珪酸の表面変性が公開されている。
【0019】
セミゲルに関して、表面変性は、従来はワックス塗布だけが公知である。相応する製品は、Firma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) によって販売されている。
【0020】
様々な用途のために、多数の様々な塗料及び様々な塗料組成物がある。この際、塗料の使用特性のもっと大きな汎用性及び改善を可能にするために、新規の択一的艶消し剤への連続的要求がある。
【0021】
従って、本発明の課題は、塗料中の艶消し剤として使用され得る、新規の表面変性されたセミゲルを製造することであった。特別な課題は、公知技術水準で公知のワックス変性セミゲルよりも良好な適用技術的特性を有する、新規の表面変性されたセミゲルを製造することであった。
【0022】
もう1つの課題は、本発明による表面変性されたセミゲルを製造することができる方法を得ることにあった。
【0023】
その他の顕現的には挙げられていない課題は、次の説明及び実施例の全体的関連から明らかである。
【0024】
驚異的にも、これらの課題は、次の説明及び請求及び実施例に詳しく定義される本発明による表面変性されたセミゲル、及び説明中に、実施例中に及び請求中に詳しく記載された方法によって解明されることが判明した。
【0025】
本発明の目的は、表面変性されたセミゲルであり、これは、セミゲルの表面が少なくとも部分的に、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていることを特徴とする。
【0026】
更に本発明の目的は、セミゲルの表面が少なくとも部分的に、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていて、かつそれが、
BET表面積200〜400m2/g、有利に210〜350m2/g、
直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.95〜1.5ml/g、有利に1.0〜1.4ml/g、
直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積1.2〜1.8ml/g、有利に1.3〜1.7ml/g、
10〜50nm、15〜45nmの範囲の最大細孔
を有することを特徴とするセミゲルである。
【0027】
同様に本発明の目的は、本発明による表面変性されたセミゲルを製造することができる方法であり、この方法は、セミゲルの表面を、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンと接触させることを特徴とする。
【0028】
最後に本発明の目的は、本発明による表面変性されたセミゲルの、殊に、染料及び塗料中の艶消し剤としての使用である。
【0029】
本発明による表面変性されたセミゲルは、商慣習のSiO2をベースとする艶消し剤に比べて、特に次の利点を有する:
セミゲルをベースとする艶消し剤は、沈降珪酸をベースとする艶消し剤に比べてより透明であるので、コイルコーティングの範囲で利点を有する。
【0030】
ポリシロキサンで被覆されているセミゲルは、ワックス被覆の二酸化珪素に比べて、表面変性剤が純正化学結合によって結合していて、物理的作用によって結合しているのではないという利点を有する。従って、表面変性剤の溶解の危険がより少ないことになる。更に、セミゲル上の極めて薄いシロキサン層を実現することができ、このことは、経済的利点に結びつく。
【0031】
ポリシロキサン中の炭素炭素多重結合を有する本発明によるセミゲルは、UV被覆剤、例えば、UV塗料中での使用で特別な利点を有する。この系は、本発明による生成物を用いて、二酸化珪素をベースとする商慣習の艶消し剤を用いるより明らかに良好に艶消しされ得る。本発明者は、一定の理論に結びつくのではなく、多重結合が硬化過程で架橋結合し、従って特に良好な結合を確実にするという観点にある。
【0032】
次に、本発明を詳説する。しかし、先ず、若干の重要な用語を定義する。
【0033】
本発明の意におけるシリカゲル(珪酸ゲル)とは、ゲル過程を経て製造される、SiO2をベースとする無機酸化物が解される。シリカゲルは、ヒドロゲル、エーロゲル及びキセロゲルの群に分けられる。ヒドロゲル(さもなければ、アクアゲル)は水中で製造され、従って、その細孔は水で満たされている。キセロゲルは水がそれから除去されたヒドロゲルである。エーロゲルは、ゲルの構造がほんの少しだけ変化し、かつ細孔容積が広汎に保持されたままであるように、液体がそれから除去されたキセロゲルである。
【0034】
セミゲルとは、シリカゲルに比べてより広い細孔径分布、及び沈降珪酸に比べてより狭い細孔径分布を有する非晶質の二酸化珪素が解され、従って、セミゲルは、細孔径分布に関して、シリカゲルと沈降珪酸との間に位置している。
【0035】
表面変性とは、オルガノポリシロキサン及び/又は変性オルガノポリシロキサンの化学的及び/又は物理的結合が解される。即ち、表面変性されたセミゲルでは、セミゲル粒子の少なくとも一部分の表面の少なくとも一部分が、表面変性剤で被覆されている。
【0036】
オルガノポリシロキサン及びポリオルガノシロキサン又は変性オルガノポリシロキサン及び変性ポリオルガノシロキサンの用語は、各々同義的に使用される。
【0037】
本発明による表面変性されたセミゲルは、セミゲルの表面の少なくとも一部分が、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていることを特徴とする。
【0038】
本発明による表面変性されたセミゲルは、更に有利に、津語の物理的化学的パラメーターを有する:
BET表面積は、セミゲルの表面活性度、及び従って、塗料系内での網状結合の安定化に影響し、このことは、再びその流動性、殊に粘性への影響を有する。従って、BET表面積は、200〜400m2/g、有利に200〜350m2/g、特に有利に200〜300m2/gの範囲であることが有利である。
【0039】
本発明によるセミゲルの細孔構造は、実際に、塗料系とのその相互作用に影響する。細孔が小さすぎる又は細孔容積が少なすぎる場合には、塗料のポリマー成分の十分な侵入が不可能であり、即ち、相互作用が全く存在しない。これに対して、細孔が大きすぎる場合には、ポリマーが細孔から逆に容易に溶出し得るので、相互作用は同様に弱すぎる。従って、本発明によるセミゲルは、有利に次の細孔特性値を有する:
直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.7〜1.5ml/g、有利に0.95〜1.4ml/g、有利に1.0〜1.3ml/g、
直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積0.9〜1.8ml/g、有利に1.0〜1.7ml/g、特に有利に1.1〜1.6ml/g、
10〜50nm、有利に15〜45nm、有利に15〜40nm及び極めて特に有利に20〜35nmの範囲の最大細孔。
【0040】
特別な実施態様で、本発明によるセミゲルは、有利に少なくとも1つの次の特性を有する:
本発明によるセミゲルの吸油量DBPは、一定の範囲で、艶消し効率で補正され得ることが判明した。更に、DBPは、オルガノポリシロキサンの最適吸収を保証するために重要である。従って、本発明によるセミゲルの吸油量DBPは、有利に150〜500g/100g、特に有利に200〜450g/100g及び特に有利に250〜400g/100gの範囲にある。
【0041】
特に良好な艶消し効率を達成し得るために、しかし同時に平滑な塗料表面も可能にするために、本発明による表面変性された二酸化珪素の平均粒度d50は、有利に1〜50μm、特に有利に1〜40μm、極めて特に有利に1〜30μm、殊に有利に2〜20μm及び極めて殊に有利に3〜15μmの範囲にある。平均粒度は、塗料の層厚によって変化され得る。
【0042】
本発明による表面変性されたセミゲルの沈降特性は、通例1〜2である。
【0043】
挙げられた全ての優勢範囲は、相互に無関係で調整され得る。
【0044】
本発明によるセミゲルの特性は、セミゲルの特殊な物理化学的特性のほかに、殊に、表面変性のために使用されるポリマーに起因すべきである。本発明による特性を示すセミゲルは、有利に、1種以上のポリオルガノシロキサン又は変性ポリオルガノシロキサンで処理された表面を有する。特に有利に、ポリエーテル変性、アクリレート変性及び/又はポリアクリレート変性ポリオルガノシロキサン又はポリアルコキシシロキサンで処理されたセミゲルが重要である。
【0045】
本発明の特に有利な1実施態様で、セミゲルは、次の一般構造式のポリオルガノシロキサンで被覆された表面を有する:
【化1】
[式中、
Y=−OH、−ORであり又は
Y=H5C2−O−(CH2H4O)m−、H7C3−O−(C3H6O)m−又は
【化2】
であり、
R=−アルキル、殊にメチル又はエチルであり、
R2=アルキル又はHであり、
R3=アルキルであり、
R4=H又はアルキルであり、
a=0〜100であり、b=0〜100であり、c=0〜100であり、d=0〜100であり、
合計a+b+c+dは0であり、又は有利に0ではなく、
m=0〜100であり、かつk=0〜100である]。
【0046】
本発明のもう1つの有利な実施態様で、セミゲルの表面は、次の一般構造式のポリオルガノシロキサンで被覆されている:
【化3】
[式中、
R1=メチル基であり又は
【化4】
であり、単位aの合計=0〜100であり、単位bの合計=0〜15であり、この際、基R1において、メチル基対アルコキシ基の比率は50未満:1であり、かつa=0である場合には、b>1であり、かつb=0である場合には、a>5である]。殊にこれらのポリオルガノシロキサンを製造するための更に詳しい記載は、DE3627782A1から引用される。この特許出願の内容は、同様に本出願の目的である。
【0047】
アルキル基とは、1〜100個のC原子、有利に1〜25、特に有利に1〜10個のC原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基、及び1〜15個のC原子を有するシクロアルキル基が解される。アルキル基は1個以上の二重結合又は三重結合を含有することができ、個々の原子はヘテロ原子、例えば、O、N又はSによって代えられていてよい。
【0048】
本発明のもう1つの有利な実施態様で、シリコーンポリエーテルアクリレートポリマー又はシリコーンポリエーテルメタクリレートポリマーが使用される。ヒドロキシ官能性のシロキサン及び/又はポリアルキレン変性シロキサンのアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルが極めて特に有利に使用される。殊に有利に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを、エステル化又はエステル交換を触媒する酵素が存在して、一般式(I):
【化5】
[式中、
R1及び/又はR7=R2又は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、
R2=R3又は≠R3であり、1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又は24個までの炭素原子を有する場合により置換されたフェニル基を表わし、
R4=式O、NH、NR2、Sの2価の基又は式(OSi(CH3)2)uの基であり、この際、
u=1〜200であり、
R5=1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又はCnH2n−fR2f−R4−CmH2m−gR2gであり、この際、
f=0〜12であり、
g=0〜12であり、
n=1〜18であり、
m=1〜18であり、
R6=O−(C2H4−aR2aO)b(CcH2cO)dであり、この際、
a=0〜3であり、
b=0〜100であり、
c=2〜12であり、
d=0〜100であり、
合計(b+d)=1〜200であり、かつ
個々のポリオキシアルキレン断片(C2H4−aR2aO)b及び(CcH2cO)dの順序は任意であってよく、殊にブロックコポリマー、例えば、ランダムポリマー及びその組合せを包含し、又は
R6=Oe−ChH2h−CiH2i−jR9jであり、この際、
e=0又は1であり、
h=0〜24であり、
i=0〜24であり、
j=1〜3であり、
合計(w+e)=0〜1であり、かつ
R9は、各々、式Oの2価の基、ヒドロキシ基、式ChH2hの基又は式CkH2k−l(OH)lの基を表わし、この際、
k=0〜24であり、かつ
l=1〜3であり、
R8=yが1である場合には、水素基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり、少なくとも1個の水素基が存在すべきであり、又はy=0である場合には、OH基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり少なくとも1個のOH基が存在し、
v=0〜200であり、
w=0又は1であり、
x=0又は1であり、
y=0又は1であり、
z=0〜200であり、かつ
合計(w+x+y)=1〜3であり、かつ
z=0である場合には、R1及び/又はR7は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、かつ
x=0である場合には、同様にw=0である]のヒドロキシ官能性及び/又はポリオキシアルキレン変性シロキサン誘導体と、エステル化又はエステル交換させることによって得られるオルガノポリシロキサンが使用される。
【0049】
実際に統計的法則によって規制された分布を有する混合物の形で化合物が存在することは当業者によく知られている。従って、殊に、指数b、d、u、v及びzの値は平均値である。
【0050】
本発明により酵素的に触媒される、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルのエステル化又はエステル交換によって変換され得るシロキサン誘導体の例は、次のものである:
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと、前記の化合物との、低温、殊に20〜100℃、有利に40〜70℃及び緩和条件での酵素的エステル化又はエステル交換は、有利に、生成物のより明るい色、さもなければ、例えば、化学的触媒から由来し得る副産物の生成回避、生成物から酵素触媒の複雑ではない除去及びアクリロイル及び/又はメタクリロイル化合物の不所望かつ不制御なラジカル重合の回避に基づいている。
【0055】
この方法で得られるアクリロイル官能性及び/又はメタクリロイル官能性シロキサン誘導体は、本来存在する全ヒドロキシ基の5〜100%が、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに変換されていることを特徴とする。
【0056】
アクリル化及び/又はメタクリル化は、ドナー分子として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステル、殊に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート又はブチルメタクリレート及び/又はメチルアクリレート、エチルアクリレート又はブチルアクリレートで、最良で、高収率で経過する。
【0057】
触媒として有利に使用され得る酵素は、加水分解酵素、殊に、エステラーゼ、リパーゼ及びプロテアーゼである。この具体例は、Novozym(登録商標)435である。酵素は、純粋な形で又は酵素がそれに化学的又は物理的に結合している担体上の固定化形で使用され得る。酵素触媒の量は、殊に、使用される変性シロキサンに対して、0.1〜20質量%、有利に1〜10質量%である。反応時間は、酵素触媒の使用量及び活性度に依存し、例えば、48時間まで、有利に24時間までである。
【0058】
簡単な反応条件下に急速に高い変換度を得るために、反応混合物中でアクリル酸又はメタクリル酸及び/又はそれらの相応するエステル(ドナーとして)の少なくとも10質量%の過剰量を使用することが有利である。
【0059】
製造系は、攪拌釜反応器又は固床反応器を特徴とし得る。攪拌釜反応器は、アクリル酸ドナー及び/又はメタクリル酸ドナーから遊離されるアルカノール又はアクリル酸及び/又はメタクリル酸から遊離される水の溜去用の装置が備えられている。
【0060】
反応は、有利に、所望の変換率が達成されるまで実施される。同時に蒸留を伴う反応法が有利であり、それというのも、反応水又は反応アルカノールの除去は、反応平衡のシフトに基づいて、より短い反応時間でより高い変換率を導くからである。
【0061】
できるだけ高い反応度を達成するために、反応水又は反応アルカノールの除去が推奨される。
【0062】
変換が終了した後に、酵素触媒は、好適な手段によって、例えば、濾過又はデカントによって分離され、かつ場合により数回使用される。
【0063】
固床反応器は、固定化酵素が装備されていて、この際、反応混合物は、触媒を充填したカラムを通ってポンプ送りされる。担体上で固定化された酵素を用いて、反応を渦動床で実施することも可能である。
【0064】
反応混合物は、連続的にカラムを通ってポンプで送られ、この際、流速で、滞留時間及び従って所望の変換率を制御することができる。反応混合物を、カラムを通ってポンプで送り循環させることも可能であり、この際、真空下に、反応水又は反応アルカノールを同時に溜去させることもできる。
【0065】
反応水又は反応アルカノールの除去のための他の方法、例えば、吸収又は浸透気化法を使用することもできる。
【0066】
このシリコーンポリエーテルアクリレートポリシロキサン又はシリコーンポリエーテルメタクリレートポリシロキサン変性セミゲルは、UV硬化コーティング系中での使用に特に好適であり、それというのも、ポリマー中の二重結合も硬化過程で架橋結合し得るからである。
【0067】
本発明による表面変性されたセミゲルは、セミゲルの表面が、その都度少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンと接触される様々な方法により製造され得る。
【0068】
本発明の実施態様Iで、オルガノポリシロキサン及び任意に予備粉砕されたセミゲルを強力に混合させる。添加はセミゲル上に渡って均一分布が保証されるように行なわれる。引き続いて、混合物を有利に乾燥させ、粉砕しかつ場合により篩分し又は分別する。
【0069】
本発明の実施態様IIで、残留湿度≦10%の乾燥セミゲルを、オルガノポリシロキサンと強力に混合させる。オルガノポリシロキサンの添加は、セミゲル上に渡って均一分布が保証されるように行なわれる。引き続いて、混合物を、任意に粉砕し、及び場合により篩分し又は分別する。
【0070】
本発明の実施態様IIIで、セミゲルを粉砕しかつ同時に表面を変性させる。そのために、ポリマーをミルの粉砕空間に、所望の被覆比率が生じ得るように供給する。引き続いて、生成物を任意に篩分し又は分別し及び場合により乾燥させる。
【0071】
変法I及びIIでは、有利に、セミゲルを混合機中に前以て装入させ、表面変性剤を添加し、かつセミゲルと共に強力に混合させる。混合機に関しては、特別な制限はない。例えば、レーディゲ(Loedige)混合機又はタンブル混合機が使用される。
【0072】
添加は、セミゲル上に渡って均一分布が保証されるように行なわれる。このことは、例えば、スプレー又はノズル又は滴下又は当業者に公知の他の方法によって可能である。
【0073】
乾燥セミゲルも、湿潤セミゲル、即ち、フィルターケーキも使用することが可能である。セミゲルの水分含量は、1〜15質量%であってよい。
【0074】
変法I及びIIで、セミゲルを塗装の前に予備粉砕させることが有利である。乾燥セミゲルを使用する場合には、これを短時間乾燥によって乾燥させることが有利である。特に好適な乾燥装置として、噴霧乾燥機、粉砕乾燥機、流動乾燥機又はスピンフラッシュ乾燥機が実証された。乾燥セミゲルの水分含量は、1〜15質量%、有利に2〜10質量%、特に有利に3〜5質量%が有利である。
【0075】
変法3で、表面変性は粉砕装置中で行なわれ、この際、セミゲルを同時に粉砕し、表面変性させることが有利であり、かつ同時に乾燥もすることが極めて特に有利である。この変法では、予備粉砕されたセミゲルを使用することもできるが、予備粉砕されないことが有利である。
【0076】
前記の変法における予備粉砕のために、全種類のミルが適するが、機械的ビーターミルが有利である。
【0077】
艶消し剤としての使用のために必要な生成物の微分割を必要とする最終生成物への微粉砕のために、空気ジェットミル及び蒸気ジェットミルが特に好適であると実証された。向流ジェット流動床ミル上での微粉砕が特に有利に実施される。
【0078】
過大粒又は小片を避けるために、直径50μm以上、有利に30μm以上、殊に20μm以上の粒子を分別することが有利である。これは、艶消し剤の微細度に応じて、例えば、ミル中に統合させ得る相応する篩又は分別装置を通して行なわれ得る。
【0079】
表面変性は、既に前記したように、粉砕又は乾燥の前、その間又はその後に行われ得る。この際、表面変性剤は、非希釈の純粋物質として、又は希釈形で水性エマルジョンとして添加され得る。この際、セミゲルに対して、オルガノポリシロキサン0.2〜12質量%、特に有利に1〜10質量%、極めて特に有利に2〜8質量%及び殊に有利に3〜8質量%が添加されることが有利である。
【0080】
本発明による方法で使用される非変性セミゲル前駆体は、公知の方法により製造され、又は商業的に得られ得る。特に有利に、Firma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) (China) のセミゲルSD500、SD520、SD530、SD538、SD540、SD600、SD640及びSD690が使用される。
【0081】
出発物質として、セミゲルを使用することが有利であり、特に有利にオルガノポリシロキサンで表面変性されていない、次の物理化学的特性を有するセミゲルが使用される:
BET表面積200〜400m2/g、有利に210〜350m2/g、
直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.95〜1.5ml/g、有利に1.0〜1.4ml/g、
直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積1.2〜1.8ml/g、有利に1.3〜1.7ml/g、
10〜50nm、15〜45nmの範囲の最大細孔。
【0082】
このことから、一方で、表面変性段階を付加的段階として、セミゲルの製造のための公知方法に統合させることができ、しかし他方で、変法I〜IIIの1法のための出発物質として使用し得るセミゲル前駆体を得ることもできる。
【0083】
本発明による方法で、表面変性オルガノポリシロキサンとして、更に既に前記したポリオルガノシロキサン又は変性ポリオルガノシロキサンを使用することが有利である。
【0084】
本発明による表面変性されたセミゲルは、有利に艶消し剤として染料及び塗料中で使用される。
【0085】
更に、本発明による表面変性されたセミゲルは、通例、セミゲルが使用される全ての適用範囲で、例えば、紙塗被の成分として、消泡剤組成物の成分として、シリコーンゴム中の強化剤として、又はポリマー組成物中で、例えば粘着防止剤として使用され得る。
【0086】
本発明による表面変性されたセミゲルの物理的/化学的データは、次の方法で測定される:
BET表面積の測定
セミゲルのBET表面積は、DIN ISO 9277 により、Brunauer, Emmett 及びTeller (BET)による窒素吸着の方法で測定される。この方法は、S. Brunauer, P. H. Emmett 及びE. Teller, J. Am. Chem. Soc., 60, 309 (1938) の研究に基づいている。
【0087】
計測は、機器Tristar 3000 (Fa. Micromeritics) で行なわれる。検査すべき試料を、計測の前に、試料上の圧力が密閉真空で30分間一定に留まるまで、真空下に(p<10−3ミリバール)160℃で脱ガスさせる。
【0088】
メソ細孔容積の測定
メソ細孔分布の測定は、Barret, Joyner 及びHalenda (BJH) による方法によって行なわれ、かつE. P. Barret, L. G. Joyner 及びP. H. Halenda, J. Amer. Chem. Soc., Vol 73, 373, (1951) の研究に基づいている。
【0089】
計測は、機器ASAP 2400 (Fa. Micrometritics) で行なわれる。検査すべき試料を、計測の前に、試料上の圧力が密閉真空で30分間一定に留まるまで、真空下に(p<10−3ミリバール)200℃で脱ガスさせる。
【0090】
乾燥減量の測定
セミゲルの水分及び同様に乾燥減量(TV)を、ISO 787-2 により、105℃で2時間の乾燥後に測定する。この乾燥減量は、主に水分から成る。
【0091】
粉末状のセミゲル10gを0.1mgまで精密に精密天秤 (Satorius LC621S) 上で秤量して乾燥フラスコ中に入れる(出発質量E)。フラスコを、多数の孔(φ1mm)が穿たれているアルミニウムフォイルで覆う。そうして被覆されたフラスコを、乾燥箱中105℃で2時間乾燥させる。引き続いて、熱いフラスコをデシケーター中で乾燥剤上少なくとも1時間室温に冷却させる。フラスコを、最終質量Aの測定のために、精密天秤上で0.1mgまで精密に秤量する。水分(TV)を、次の式により%で測定する:
TV=(1−A/E)*100
[式中、A=最終質量(g)、及びE=出発質量(g)を表わす]。
【0092】
灼熱減量の測定
この方法により、セミゲルの減量を、DIN EN ISO 3262-1 により1000℃で測定する。この温度で、物理的及び化学的結合水及び他の揮発成分は消散する。検査試料の水分(TV)は、前記の方法"乾燥減量の測定"によって、DIN EN ISO 787-2 により調査される。
【0093】
セミゲル0.5gを、0.1mgまで精密に、予備灼熱された風袋磁器るつぼ中に秤量して入れる(出発質量E)。試料をマッフル炉中1000±50℃で2時間加熱する。引き続いて、磁器るつぼを、乾燥剤として珪酸ゲルを備えたデシケーター箱中で室温に冷却させる。最終質量Aを重量測定法で測定する。
【0094】
灼熱減量GVを、次の式により%で得る:
GV=(1−A/F)*100
[式中、Fは、乾燥物質に対して補正された出発質量(g)であり、次の式:
F=E*(1−TV/100)
により計算される]。
【0095】
計算式中、A=出発質量(g)、E=最終質量(g)及びTV=乾燥減量(%)を意味する。
【0096】
DBP数の測定
セミゲルの吸収性の尺度であるDBP吸収(DBP数)は、規格DIN 53601 により、次のように測定される:
粉末状のセミゲル(水分含量4±2%)12.50gを、ブラベンダー吸収計"E"の捏和機室(品番279061)中に加える(トルクセンサーの出口フィルターの減衰なし)。連続混合下に(捏和機パドルの回転速度125U/分)、室温で、"ドジマット(Dosimaten)ブラベンダー T 90/50 "を通して、ジブチルフタレートを4ml/分の速度で混合物に滴加する。加入混合は、僅かな所要電力だけで行われ、デジタルディスプレーで追跡される。測定終了に向けて、混合物はペースト状になり、このことは、所要電力の急上昇によって示される。600桁(トルク0.6Nm)の表示で、捏和機もDBP供給も電源を切る。DBP供給用の同期電動機を、デジタルカウンターに接続し、そうして、DBP(ml)の消費を読み取ることができる。
【0097】
DBP吸収をg/100gで表示し、次の式により計算する:
【数1】
[式中、
DBP=DBP吸収(g/100g)であり、
V=DBPの消費(ml)であり、
D=DBPの密度(g/ml)(20℃で1.047g/ml)であり、
E=セミゲルの出発質量(g)であり、
K=表1(水分補正表)による補正値(g/100g)である]。
【0098】
DBP吸収は、無水の乾燥セミゲルについて定義している。湿潤セミゲルの使用では、DBP吸収の計算のために、補正値Kを考慮すべきである。この値は、表1により調べることができ、例えば、セミゲルの水分含量5.8%は、DBP吸収のために、33g/100gの割増を意味する。セミゲルの水分は、前記の方法"乾燥減量の測定"により調べられる。
【0099】
表1:ジブチルフタレート吸収の水分補正表(無水)
【表1】
【0100】
粒度の測定
粉末状固体の粒度分布を測定するためのレーザー回析の使用は、粒子がその大きさに依って、異なる強度型を有する単色レーザー光線を全方向に散乱又は回析する現象に基づいている。照射される粒子の直径が小さければ小さいほど、単色レーザー光線の散乱角度又は回析角度は一層大きくなる。
【0101】
試料準備及び測定は、親水性二酸化珪素の場合には、水を分散液として用い、水で十分には湿潤不可能な二酸化珪素の場合には、純エタノールを用いて行なわれる。測定開始前に、レーザー回析測定器LS 230 (Fa. Beckman Coulter;測定範囲:0.04〜2000μm)及び液体モジュール (Small Volume Module Plus, 120ml、Fa. Beckman Coulter) を2時間暖機運転し、モジュールをVE水で3回洗浄する。疎水性沈降珪酸の測定のために、洗浄過程を、純エタノールで実施する。
【0102】
レーザー回析測定器 LS 230 の機器ソフトウエアに、次のミー(Mie)理論による評価に関連する光学的パラメーターを、.rfdファイルで確定する:
分散液B.I.真水の屈折率=1.332(エタノールについては1.359);固体(試料物質)純粋SiO2の屈折率=1.46
虚数=0.1
波形率=1
【0103】
更に、粒子測定に関連する次のパラメーターを設定すべきである:
測定時間=60秒間
測定数=1
ポンプ速度=75%
【0104】
試料添加は、試料特性に依存して、直接粉末状の固体としてはへらを用い、又は懸濁形では2ml入り使い捨てピペットを用いて、機器の液体モジュール(Small Volume Module Plus)に行なうことができる。測定に必要な試料濃度が達成したら(最適光学的陰影)、レーザー回析測定器LS 230 の機器ソフトウエアが"OK"を知らせる。粉砕二酸化珪素を、超音波変換器CV 181 及び6mm超音波チップを備えたFirma Sonicsの超音波プロセッサー Vibra Cell VCX 130 によって、60秒間の超音波照射により、振幅70%及び同時ポンプ循環で液体モジュール中に分散させる。非粉砕二酸化珪素の場合には、分散は、超音波照射を行なわずに、60秒間のポンプ循環により液体モジュール中で行なわれる。測定は室温で行なわれる。生データから、機器ソフトウエアは、ミー理論に基づき、先に確定した光学パラメーター(.efd ファイル)により、粒度の容積分布及びd50値(平均値)を計算する。
【0105】
ISO 13320 "Particle Size Analysis - Guide to Laser Diffraction Methods" は、粒度分布の測定のためのレーザー回析の方法を詳細に記載している。
【0106】
炭素含量の測定
セミゲルの炭素含量の測定は、"C - Mat 500"(Fa. Stroehlein Instruments) で行なわれる。試料を約1350℃で熱処理し、炭素を酸素流によってCO2に酸化させる。CO2を赤外セル中で測定する。
【0107】
測定の際に、炭素含量が1%よりも大きいか又は小さいかを区別する。均一試料の炭素含量が1%以上である場合には、機器の"High"範囲で測定され、1%以下である場合には、"Low"範囲で測定される。
【0108】
先ず、対照試料を測定する。そのために、焼成して室温に冷却させた磁器ボート上に、対照試料0.14〜0.18gを分析天秤で秤量して入れる。開始ボタンを操作すると、天秤が"C - Mat"と接続するので、分銅は引き継がれる。ボートを、30秒間以内に、燃焼管の中央に移動させるべきである。燃焼の終了後に、測定値をパルスに変換させ、コンピューターによって評価する。少なくとも3回の測定(一致に応じて)を実施する。場合により、機器のファクターを新規に調整するべきである(詳細は、取扱説明書"C - Mat 500"Firma Stroehlein Instruments 参照)。このファクターは、次の式により計算される:
【数2】
【0109】
引き続いて、セミゲル試料を測定する。出発質量は0.04〜0.05gである。磁器ボートに磁器蓋を被せる。偏差>0.005%で測定を多数回実施し、平均値を計算する。
【0110】
"C - Mat 500"の取り扱いを、Firma Stroehlein Instrumentsの取扱説明書から引用する。
【0111】
炭素含量を次のように計算し、純度%で表示する:
炭素含量=(I*F*10−8)/E
I=インパルス
F=ファクター
E=出発質量(g)
【0112】
層厚の測定
艶消し塗料の反射率は、特に被覆の層厚によって影響される。従って、乾燥塗層の層厚の正確な調節が必要である。
【0113】
次の作業過程は、ガラス支持体上の単層塗膜の測定にだけ当てはまる。測定の実施の前に、超音波層厚測定器(QuintSonic, Fa. Elektro Physik)のゾンデを機器の取扱説明書により調整する。ゾンデ測定面上に十分なカップリング剤を塗布した後に、ゾンデを被覆表面上に垂直に置き、ゾンデボタンを圧して測定を開始する。短時間後に、測定値が示される。ゾンデを測定面から取り外す。
【0114】
測定すべき対象物上で均一に分配されている測定箇所での少なくとも5回の測定を実施する。測定箇所が、損傷、例えば、クレーター状、封入、引掻き、気泡など、又は汚れを有しないことに注意すべきである。調査した測定データから平均値を取り、正確に1μmに丸める。
【0115】
60°反射率及び85°反射率の測定
塗膜表面の標的粗面化による反射性の影響は、SiO2をベースとする艶消し剤の卓越した特性である。従って、反射率は、艶消し塗膜の特性付けの重要な基準である。
【0116】
測定のための前提は、測定すべき塗膜表面が平面で、清潔でかつ硬化されていることである。
【0117】
測定は、試料の少なくとも3つの代表箇所で、DIN 67530 による測定ジオメトリーを有する反射計(例えば、Haze - gloss, BYK-Instruments)により実施すべきである。単一測定の大きすぎる偏差が達成される場合には、通例、代表箇所の新規の測定を行なうか、又は単一測定の数を>3に高めるべきである。BYK haze-glossでは、ディスプレーに、測定の標準偏差が表示される。標準偏差sが>0.5である場合には、前記の測定の実施が推奨される。平均値は、小数第1位で示すべきである。
【0118】
艶消し塗膜表面の特徴づけの際に、60°測定ジオメトリー及び85°測定ジオメトリーで測定することが実証された。従って、DIN 67530 の偏差では、艶消し表面の反射率が2つの測定ジオメトリーで測定される。
【0119】
例
次の実施例につき、本発明を詳説するが、これに限定されるものではない。
【0120】
例1
次の表2による物理化学的データを有するFirma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) のセミゲルSD 500 を、Firma Alpine のジェットミルAFG 50 により、次のように粉砕し、同時に、オルガノポリシロキサンTegoRad 2300 50質量%及びエタノール50質量%を含む懸濁液を被覆させる:
分別回転数:15000U/分
分別空気:30Nm3/時
粉砕圧:4バール
PID 送風:51%
全空気:82Nm3/時
処理量:0.57kgSiO2/時
粉砕時間:80分間
引き続いて、生成物を乾燥箱中80℃で2.5時間乾燥させる。
【0121】
TegoRad 2300 懸濁液の添加は、終了時に表2に挙げた物理化学的特性を有する表面変性されたセミゲルが得られるように行なわれる。
【0122】
例2
表2に挙げた物理化学的データを有するFirma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) のセミゲルSD 600 を、Firma Alpine のジェットミルAFG 50 により、次のように粉砕し、同時に、オルガノポリシロキサンTegoRad 2300 50質量%及びエタノール50質量%を含む懸濁液を被覆させる:
分別回転数:15000U/分
分別空気:30Nm3/時
粉砕圧:4バール
PID 送風:51%
全空気:79Nm3/時
処理量:0.75kgSiO2/時
粉砕時間:80分間
引き続いて、生成物を乾燥箱中80℃で2.5時間乾燥させる。
【0123】
TegoRad 2300 懸濁液の添加は、終了時に表2に挙げた物理化学的特性を有する表面変性されたセミゲルが得られるように行なわれる。
【0124】
表2:例1及び2の出発物質及び生成物の物理化学特性
【表2】
【0125】
比較例1
比較例1のために、Firma Evonik Degussa GmbH の沈降珪酸ACEMATT(登録商標)HK 400 にTegoRad(登録商標)2300 8質量%を被覆した。
【0126】
例4
黒色塗料中の本発明によるセミゲルの塗料技術特性の試験
黒色塗料として、Herberts Austria GmbH によって製造されたFirma DuPont のDuplex D 1326 を使用した。各々艶消し剤5.5gを加入混合させた。
【0127】
DIN 67530、ISO 2813 又はTM 523-78 により、60°反射率及び85°反射率を測定し、シーン(=85°反射率−60°反射率)を計算する(表3参照)。このシーンは、異なった観察角度における表面の艶消し効果についての言明を可能にする。より低いシーンは、表面の全ての観察角度下に、表面が艶消しに見えることを意味する。
【0128】
表3:黒色塗料
【表3】
【0129】
表3中のデータは、本発明による表面変性されたセミゲルの艶消し効率が、同じ表面変性剤で処理して、艶消し剤として売られる沈降珪酸に比較して、殊に85°での光沢率に関して、明らかに改善されていることを示す。本発明による艶消し剤で艶消しされた塗料は、全ての観察角度から均一に艶消しで見られ、このことは、概算で50%ほど改善されているシーンによって証明される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の表面変性されたセミゲル、その製法及びその使用に関する。
【0002】
SiO2をベースとする無機酸化物は、その製法及びその特性に基づき、高熱製造珪酸(エーロジル)、沈降珪酸、珪酸ゾル、シリカゲル(珪酸ゲル)及びセミゲルに細分される。
【0003】
シリカゲルでは、ヒドロゲル、エーロゲルとキセロゲルとが区別される。ヒドロゲル(さもなければ、アクアゲル)は、水中で製造され、従って、その細孔は水で満たされている。キセロゲルは、それから水が除去されたヒドロゲルである。エーロゲルは、ゲルの構造がほんの最小で変化しかつ細孔容積が広汎に保たれたままであるような程度に液体がそれから除去されたキセロゲルである。
【0004】
シリカゲルは長い間知られている(Iler, "Chemistry of Silica", S. 462 ff, 1979)。これは、一次粒子(平均粒度1〜10nm)の合体を促進させる条件下に製造され、従って、沈降又は高熱製造珪酸に比べて、比較的硬質な三次元網状構造が形成する。従って、シリカゲル粒子は沈降珪酸粒子と明らかに異なっている。
【0005】
シリカゲルの製造は、当業者には十分に周知されていて、例えば、US4097303、DE4132230、EP0384226が参照される。この際、珪酸ナトリウム及び硫酸を、急速かつ連続的に、低温、低pH及び高濃度で相互に混合させて、ヒドロゾルを形成させ、これを、再び、短時間後にヒドロゲルに凝結させる。択一的に、ゲル化は、アルカリ性条件下に行なうこともできる(例えば、GB1219877、GB1279250、WO9825851又はEP0588497参照)。もう1つの選択は、EP0765764に提示されている。
【0006】
生成したヒドロゲルは、比較的小さい断片に粉砕され、可溶性塩及び不純物を除去するために洗浄される。洗浄循環の間に、ヒドロゲルの細孔構造は、pH値(例えば、塩基、例えば、アンモニアの添加)、温度及び時間の変化によって調整される。処理法は、当業者に十分に周知されている。例として、例えば、EP0384226又はWO00002814が参照される。
【0007】
洗浄循環の終わりに、洗浄されたヒドロゲルは、シリカゲル又はキセロゲルを生成させるために、熱的手段によって乾燥される。乾燥の種類及び方法は、シリカゲルの細孔容積への実際的な影響を有する。急速な乾燥では、細孔容積は極めて広汎に得られ、緩慢な乾燥では、細孔容積は少なくなる。最後に、シリカゲルを特殊な粒度及び粒子分布に粉砕又は磨砕することができる。
【0008】
高熱製造珪酸とシリカゲルとは、高熱製造珪酸は一次粒子の凝結から構成されるが、シリカゲルは一次粒子の三次元的網状結合を有することによって異なっている。前記の構造の違いは、製法によって条件づけられる。高熱製造珪酸の構造に関する詳細な情報は、Kirk-Othmers Encyclopedia of Chemistry 776頁にある。
【0009】
沈降珪酸は、凝結の他に、特に凝集も特徴とする、更に他の構造を有する。それは、いわゆる"湿式法"によって得られ、この際、水ガラスと酸とを、凝結及び凝集が生成され得て、かつゲル又はゲル様生成物におけるような一次粒子の三次元網状結合が生成され得ないように反応させる。沈降珪酸及び高熱製造珪酸の間の構造的違いは、Kirk-Othmers Encyclopedia Chemistry に記載されている。
【0010】
非晶質二酸化珪素の第四変体はセミゲルである。セミゲルは、シリカゲルに比較して、より広い細孔径分布、より低い機械的安定性及び他のフラクタル次元(3−D網状結合)を有する。他方では、セミゲルは、沈降珪酸に比較してより狭い細孔径分布を有し、従って、セミゲルは、細孔径分布に関してシリカゲルと沈降珪酸との間に位置し得る。
【0011】
製法によっても違いがある。即ち、シリカゲルは、前記のように、溶解されたコロイド状シリカの一定の濃度で製造される。この際、水ガラス及び酸を、濃度変化がもはや生じないように混合させる。任意の老化後に、そうして多かれ少なかれ大きなブロック状物のシリカゲルが得られる。
【0012】
他方で、セミゲルは一定の攪拌又は剪断エネルギーの導入下に製造され、この際、SiO2濃度は反応の間に高められ、従って、終了時には"ブロック状物"ではなく、粒子状の構造が得られる。セミゲルは、例えば、Firma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) によって販売されている。
【0013】
沈降珪酸もシリカゲルも、塗料中で艶消し剤として使用される。US4285846に、艶消し剤としてのセミゲルの使用が公開されている。
【0014】
しかし塗料中の艶消し剤の使用は、塗料の光沢を低減化させる利点のほかに、問題も生じさせる。即ち、若干の塗料系では、艶消し剤の添加によって、その粘度が不所望に高められる。EP0442325に記載されているように、特にチキソトロピー性の慣例的な溶剤含有アルキド樹脂塗料は、その流動性に関連して、艶消しすることが困難である。このことは、殊に、アクリレート、アクリレートポリウレタン又は相応するハイブリッド系上の水性塗料系に当てはまる。
【0015】
艶消し剤でしばしば観察されるもう1つの問題は、それが沈降傾向を有することである。塗料中の艶消し剤の沈降を回避するために、商慣習による大抵の艶消し剤の表面が表面変性剤で被覆される。この際、有機成分がSiO2表面に結合される。この結合は化学性であってもよく、従って、純正化学結合がSiO2表面と有機成分との間で成り立ち、かつ物理性であってもよく、即ち、有機成分がVan-der-Waals 相互作用又は水素架橋結合によりSiO2表面に吸着されている。しかし、表面変性は同時に問題をもたらす。即ち、商慣習の表面変性された艶消し剤は、被覆が塗料の貯蔵の際に溶け出すことがあり、従って、所望の効果が少なくとも部分的に再び失効されるという欠点をしばしば有する。このことは塗料特性の損害になり得る。
【0016】
文書WO200342293に、シリカゲルがワックスで被覆された艶消し剤が公開されている。WO/9951692に、シリカゲルを尿素ウレタン誘導体で被覆することが提示されている。
【0017】
特許明細書EP0442325により、シリカゲルをポリオールで被覆することにより、ポリアミド変性アルキド樹脂をベースとする染料及び塗料のチキソトロピー性への影響を有しない又はほんの僅か有する艶消し剤が製造される。
【0018】
DE102004029069に、再び、オルガノポリシロキサンでのシリカゲルの表面変性が、及びDE102004012090に、オルガノポリシロキサンでの沈降珪酸の表面変性が公開されている。
【0019】
セミゲルに関して、表面変性は、従来はワックス塗布だけが公知である。相応する製品は、Firma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) によって販売されている。
【0020】
様々な用途のために、多数の様々な塗料及び様々な塗料組成物がある。この際、塗料の使用特性のもっと大きな汎用性及び改善を可能にするために、新規の択一的艶消し剤への連続的要求がある。
【0021】
従って、本発明の課題は、塗料中の艶消し剤として使用され得る、新規の表面変性されたセミゲルを製造することであった。特別な課題は、公知技術水準で公知のワックス変性セミゲルよりも良好な適用技術的特性を有する、新規の表面変性されたセミゲルを製造することであった。
【0022】
もう1つの課題は、本発明による表面変性されたセミゲルを製造することができる方法を得ることにあった。
【0023】
その他の顕現的には挙げられていない課題は、次の説明及び実施例の全体的関連から明らかである。
【0024】
驚異的にも、これらの課題は、次の説明及び請求及び実施例に詳しく定義される本発明による表面変性されたセミゲル、及び説明中に、実施例中に及び請求中に詳しく記載された方法によって解明されることが判明した。
【0025】
本発明の目的は、表面変性されたセミゲルであり、これは、セミゲルの表面が少なくとも部分的に、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていることを特徴とする。
【0026】
更に本発明の目的は、セミゲルの表面が少なくとも部分的に、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていて、かつそれが、
BET表面積200〜400m2/g、有利に210〜350m2/g、
直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.95〜1.5ml/g、有利に1.0〜1.4ml/g、
直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積1.2〜1.8ml/g、有利に1.3〜1.7ml/g、
10〜50nm、15〜45nmの範囲の最大細孔
を有することを特徴とするセミゲルである。
【0027】
同様に本発明の目的は、本発明による表面変性されたセミゲルを製造することができる方法であり、この方法は、セミゲルの表面を、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンと接触させることを特徴とする。
【0028】
最後に本発明の目的は、本発明による表面変性されたセミゲルの、殊に、染料及び塗料中の艶消し剤としての使用である。
【0029】
本発明による表面変性されたセミゲルは、商慣習のSiO2をベースとする艶消し剤に比べて、特に次の利点を有する:
セミゲルをベースとする艶消し剤は、沈降珪酸をベースとする艶消し剤に比べてより透明であるので、コイルコーティングの範囲で利点を有する。
【0030】
ポリシロキサンで被覆されているセミゲルは、ワックス被覆の二酸化珪素に比べて、表面変性剤が純正化学結合によって結合していて、物理的作用によって結合しているのではないという利点を有する。従って、表面変性剤の溶解の危険がより少ないことになる。更に、セミゲル上の極めて薄いシロキサン層を実現することができ、このことは、経済的利点に結びつく。
【0031】
ポリシロキサン中の炭素炭素多重結合を有する本発明によるセミゲルは、UV被覆剤、例えば、UV塗料中での使用で特別な利点を有する。この系は、本発明による生成物を用いて、二酸化珪素をベースとする商慣習の艶消し剤を用いるより明らかに良好に艶消しされ得る。本発明者は、一定の理論に結びつくのではなく、多重結合が硬化過程で架橋結合し、従って特に良好な結合を確実にするという観点にある。
【0032】
次に、本発明を詳説する。しかし、先ず、若干の重要な用語を定義する。
【0033】
本発明の意におけるシリカゲル(珪酸ゲル)とは、ゲル過程を経て製造される、SiO2をベースとする無機酸化物が解される。シリカゲルは、ヒドロゲル、エーロゲル及びキセロゲルの群に分けられる。ヒドロゲル(さもなければ、アクアゲル)は水中で製造され、従って、その細孔は水で満たされている。キセロゲルは水がそれから除去されたヒドロゲルである。エーロゲルは、ゲルの構造がほんの少しだけ変化し、かつ細孔容積が広汎に保持されたままであるように、液体がそれから除去されたキセロゲルである。
【0034】
セミゲルとは、シリカゲルに比べてより広い細孔径分布、及び沈降珪酸に比べてより狭い細孔径分布を有する非晶質の二酸化珪素が解され、従って、セミゲルは、細孔径分布に関して、シリカゲルと沈降珪酸との間に位置している。
【0035】
表面変性とは、オルガノポリシロキサン及び/又は変性オルガノポリシロキサンの化学的及び/又は物理的結合が解される。即ち、表面変性されたセミゲルでは、セミゲル粒子の少なくとも一部分の表面の少なくとも一部分が、表面変性剤で被覆されている。
【0036】
オルガノポリシロキサン及びポリオルガノシロキサン又は変性オルガノポリシロキサン及び変性ポリオルガノシロキサンの用語は、各々同義的に使用される。
【0037】
本発明による表面変性されたセミゲルは、セミゲルの表面の少なくとも一部分が、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていることを特徴とする。
【0038】
本発明による表面変性されたセミゲルは、更に有利に、津語の物理的化学的パラメーターを有する:
BET表面積は、セミゲルの表面活性度、及び従って、塗料系内での網状結合の安定化に影響し、このことは、再びその流動性、殊に粘性への影響を有する。従って、BET表面積は、200〜400m2/g、有利に200〜350m2/g、特に有利に200〜300m2/gの範囲であることが有利である。
【0039】
本発明によるセミゲルの細孔構造は、実際に、塗料系とのその相互作用に影響する。細孔が小さすぎる又は細孔容積が少なすぎる場合には、塗料のポリマー成分の十分な侵入が不可能であり、即ち、相互作用が全く存在しない。これに対して、細孔が大きすぎる場合には、ポリマーが細孔から逆に容易に溶出し得るので、相互作用は同様に弱すぎる。従って、本発明によるセミゲルは、有利に次の細孔特性値を有する:
直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.7〜1.5ml/g、有利に0.95〜1.4ml/g、有利に1.0〜1.3ml/g、
直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積0.9〜1.8ml/g、有利に1.0〜1.7ml/g、特に有利に1.1〜1.6ml/g、
10〜50nm、有利に15〜45nm、有利に15〜40nm及び極めて特に有利に20〜35nmの範囲の最大細孔。
【0040】
特別な実施態様で、本発明によるセミゲルは、有利に少なくとも1つの次の特性を有する:
本発明によるセミゲルの吸油量DBPは、一定の範囲で、艶消し効率で補正され得ることが判明した。更に、DBPは、オルガノポリシロキサンの最適吸収を保証するために重要である。従って、本発明によるセミゲルの吸油量DBPは、有利に150〜500g/100g、特に有利に200〜450g/100g及び特に有利に250〜400g/100gの範囲にある。
【0041】
特に良好な艶消し効率を達成し得るために、しかし同時に平滑な塗料表面も可能にするために、本発明による表面変性された二酸化珪素の平均粒度d50は、有利に1〜50μm、特に有利に1〜40μm、極めて特に有利に1〜30μm、殊に有利に2〜20μm及び極めて殊に有利に3〜15μmの範囲にある。平均粒度は、塗料の層厚によって変化され得る。
【0042】
本発明による表面変性されたセミゲルの沈降特性は、通例1〜2である。
【0043】
挙げられた全ての優勢範囲は、相互に無関係で調整され得る。
【0044】
本発明によるセミゲルの特性は、セミゲルの特殊な物理化学的特性のほかに、殊に、表面変性のために使用されるポリマーに起因すべきである。本発明による特性を示すセミゲルは、有利に、1種以上のポリオルガノシロキサン又は変性ポリオルガノシロキサンで処理された表面を有する。特に有利に、ポリエーテル変性、アクリレート変性及び/又はポリアクリレート変性ポリオルガノシロキサン又はポリアルコキシシロキサンで処理されたセミゲルが重要である。
【0045】
本発明の特に有利な1実施態様で、セミゲルは、次の一般構造式のポリオルガノシロキサンで被覆された表面を有する:
【化1】
[式中、
Y=−OH、−ORであり又は
Y=H5C2−O−(CH2H4O)m−、H7C3−O−(C3H6O)m−又は
【化2】
であり、
R=−アルキル、殊にメチル又はエチルであり、
R2=アルキル又はHであり、
R3=アルキルであり、
R4=H又はアルキルであり、
a=0〜100であり、b=0〜100であり、c=0〜100であり、d=0〜100であり、
合計a+b+c+dは0であり、又は有利に0ではなく、
m=0〜100であり、かつk=0〜100である]。
【0046】
本発明のもう1つの有利な実施態様で、セミゲルの表面は、次の一般構造式のポリオルガノシロキサンで被覆されている:
【化3】
[式中、
R1=メチル基であり又は
【化4】
であり、単位aの合計=0〜100であり、単位bの合計=0〜15であり、この際、基R1において、メチル基対アルコキシ基の比率は50未満:1であり、かつa=0である場合には、b>1であり、かつb=0である場合には、a>5である]。殊にこれらのポリオルガノシロキサンを製造するための更に詳しい記載は、DE3627782A1から引用される。この特許出願の内容は、同様に本出願の目的である。
【0047】
アルキル基とは、1〜100個のC原子、有利に1〜25、特に有利に1〜10個のC原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基、及び1〜15個のC原子を有するシクロアルキル基が解される。アルキル基は1個以上の二重結合又は三重結合を含有することができ、個々の原子はヘテロ原子、例えば、O、N又はSによって代えられていてよい。
【0048】
本発明のもう1つの有利な実施態様で、シリコーンポリエーテルアクリレートポリマー又はシリコーンポリエーテルメタクリレートポリマーが使用される。ヒドロキシ官能性のシロキサン及び/又はポリアルキレン変性シロキサンのアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルが極めて特に有利に使用される。殊に有利に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを、エステル化又はエステル交換を触媒する酵素が存在して、一般式(I):
【化5】
[式中、
R1及び/又はR7=R2又は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、
R2=R3又は≠R3であり、1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又は24個までの炭素原子を有する場合により置換されたフェニル基を表わし、
R4=式O、NH、NR2、Sの2価の基又は式(OSi(CH3)2)uの基であり、この際、
u=1〜200であり、
R5=1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又はCnH2n−fR2f−R4−CmH2m−gR2gであり、この際、
f=0〜12であり、
g=0〜12であり、
n=1〜18であり、
m=1〜18であり、
R6=O−(C2H4−aR2aO)b(CcH2cO)dであり、この際、
a=0〜3であり、
b=0〜100であり、
c=2〜12であり、
d=0〜100であり、
合計(b+d)=1〜200であり、かつ
個々のポリオキシアルキレン断片(C2H4−aR2aO)b及び(CcH2cO)dの順序は任意であってよく、殊にブロックコポリマー、例えば、ランダムポリマー及びその組合せを包含し、又は
R6=Oe−ChH2h−CiH2i−jR9jであり、この際、
e=0又は1であり、
h=0〜24であり、
i=0〜24であり、
j=1〜3であり、
合計(w+e)=0〜1であり、かつ
R9は、各々、式Oの2価の基、ヒドロキシ基、式ChH2hの基又は式CkH2k−l(OH)lの基を表わし、この際、
k=0〜24であり、かつ
l=1〜3であり、
R8=yが1である場合には、水素基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり、少なくとも1個の水素基が存在すべきであり、又はy=0である場合には、OH基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり少なくとも1個のOH基が存在し、
v=0〜200であり、
w=0又は1であり、
x=0又は1であり、
y=0又は1であり、
z=0〜200であり、かつ
合計(w+x+y)=1〜3であり、かつ
z=0である場合には、R1及び/又はR7は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、かつ
x=0である場合には、同様にw=0である]のヒドロキシ官能性及び/又はポリオキシアルキレン変性シロキサン誘導体と、エステル化又はエステル交換させることによって得られるオルガノポリシロキサンが使用される。
【0049】
実際に統計的法則によって規制された分布を有する混合物の形で化合物が存在することは当業者によく知られている。従って、殊に、指数b、d、u、v及びzの値は平均値である。
【0050】
本発明により酵素的に触媒される、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルのエステル化又はエステル交換によって変換され得るシロキサン誘導体の例は、次のものである:
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと、前記の化合物との、低温、殊に20〜100℃、有利に40〜70℃及び緩和条件での酵素的エステル化又はエステル交換は、有利に、生成物のより明るい色、さもなければ、例えば、化学的触媒から由来し得る副産物の生成回避、生成物から酵素触媒の複雑ではない除去及びアクリロイル及び/又はメタクリロイル化合物の不所望かつ不制御なラジカル重合の回避に基づいている。
【0055】
この方法で得られるアクリロイル官能性及び/又はメタクリロイル官能性シロキサン誘導体は、本来存在する全ヒドロキシ基の5〜100%が、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに変換されていることを特徴とする。
【0056】
アクリル化及び/又はメタクリル化は、ドナー分子として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステル、殊に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート又はブチルメタクリレート及び/又はメチルアクリレート、エチルアクリレート又はブチルアクリレートで、最良で、高収率で経過する。
【0057】
触媒として有利に使用され得る酵素は、加水分解酵素、殊に、エステラーゼ、リパーゼ及びプロテアーゼである。この具体例は、Novozym(登録商標)435である。酵素は、純粋な形で又は酵素がそれに化学的又は物理的に結合している担体上の固定化形で使用され得る。酵素触媒の量は、殊に、使用される変性シロキサンに対して、0.1〜20質量%、有利に1〜10質量%である。反応時間は、酵素触媒の使用量及び活性度に依存し、例えば、48時間まで、有利に24時間までである。
【0058】
簡単な反応条件下に急速に高い変換度を得るために、反応混合物中でアクリル酸又はメタクリル酸及び/又はそれらの相応するエステル(ドナーとして)の少なくとも10質量%の過剰量を使用することが有利である。
【0059】
製造系は、攪拌釜反応器又は固床反応器を特徴とし得る。攪拌釜反応器は、アクリル酸ドナー及び/又はメタクリル酸ドナーから遊離されるアルカノール又はアクリル酸及び/又はメタクリル酸から遊離される水の溜去用の装置が備えられている。
【0060】
反応は、有利に、所望の変換率が達成されるまで実施される。同時に蒸留を伴う反応法が有利であり、それというのも、反応水又は反応アルカノールの除去は、反応平衡のシフトに基づいて、より短い反応時間でより高い変換率を導くからである。
【0061】
できるだけ高い反応度を達成するために、反応水又は反応アルカノールの除去が推奨される。
【0062】
変換が終了した後に、酵素触媒は、好適な手段によって、例えば、濾過又はデカントによって分離され、かつ場合により数回使用される。
【0063】
固床反応器は、固定化酵素が装備されていて、この際、反応混合物は、触媒を充填したカラムを通ってポンプ送りされる。担体上で固定化された酵素を用いて、反応を渦動床で実施することも可能である。
【0064】
反応混合物は、連続的にカラムを通ってポンプで送られ、この際、流速で、滞留時間及び従って所望の変換率を制御することができる。反応混合物を、カラムを通ってポンプで送り循環させることも可能であり、この際、真空下に、反応水又は反応アルカノールを同時に溜去させることもできる。
【0065】
反応水又は反応アルカノールの除去のための他の方法、例えば、吸収又は浸透気化法を使用することもできる。
【0066】
このシリコーンポリエーテルアクリレートポリシロキサン又はシリコーンポリエーテルメタクリレートポリシロキサン変性セミゲルは、UV硬化コーティング系中での使用に特に好適であり、それというのも、ポリマー中の二重結合も硬化過程で架橋結合し得るからである。
【0067】
本発明による表面変性されたセミゲルは、セミゲルの表面が、その都度少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンと接触される様々な方法により製造され得る。
【0068】
本発明の実施態様Iで、オルガノポリシロキサン及び任意に予備粉砕されたセミゲルを強力に混合させる。添加はセミゲル上に渡って均一分布が保証されるように行なわれる。引き続いて、混合物を有利に乾燥させ、粉砕しかつ場合により篩分し又は分別する。
【0069】
本発明の実施態様IIで、残留湿度≦10%の乾燥セミゲルを、オルガノポリシロキサンと強力に混合させる。オルガノポリシロキサンの添加は、セミゲル上に渡って均一分布が保証されるように行なわれる。引き続いて、混合物を、任意に粉砕し、及び場合により篩分し又は分別する。
【0070】
本発明の実施態様IIIで、セミゲルを粉砕しかつ同時に表面を変性させる。そのために、ポリマーをミルの粉砕空間に、所望の被覆比率が生じ得るように供給する。引き続いて、生成物を任意に篩分し又は分別し及び場合により乾燥させる。
【0071】
変法I及びIIでは、有利に、セミゲルを混合機中に前以て装入させ、表面変性剤を添加し、かつセミゲルと共に強力に混合させる。混合機に関しては、特別な制限はない。例えば、レーディゲ(Loedige)混合機又はタンブル混合機が使用される。
【0072】
添加は、セミゲル上に渡って均一分布が保証されるように行なわれる。このことは、例えば、スプレー又はノズル又は滴下又は当業者に公知の他の方法によって可能である。
【0073】
乾燥セミゲルも、湿潤セミゲル、即ち、フィルターケーキも使用することが可能である。セミゲルの水分含量は、1〜15質量%であってよい。
【0074】
変法I及びIIで、セミゲルを塗装の前に予備粉砕させることが有利である。乾燥セミゲルを使用する場合には、これを短時間乾燥によって乾燥させることが有利である。特に好適な乾燥装置として、噴霧乾燥機、粉砕乾燥機、流動乾燥機又はスピンフラッシュ乾燥機が実証された。乾燥セミゲルの水分含量は、1〜15質量%、有利に2〜10質量%、特に有利に3〜5質量%が有利である。
【0075】
変法3で、表面変性は粉砕装置中で行なわれ、この際、セミゲルを同時に粉砕し、表面変性させることが有利であり、かつ同時に乾燥もすることが極めて特に有利である。この変法では、予備粉砕されたセミゲルを使用することもできるが、予備粉砕されないことが有利である。
【0076】
前記の変法における予備粉砕のために、全種類のミルが適するが、機械的ビーターミルが有利である。
【0077】
艶消し剤としての使用のために必要な生成物の微分割を必要とする最終生成物への微粉砕のために、空気ジェットミル及び蒸気ジェットミルが特に好適であると実証された。向流ジェット流動床ミル上での微粉砕が特に有利に実施される。
【0078】
過大粒又は小片を避けるために、直径50μm以上、有利に30μm以上、殊に20μm以上の粒子を分別することが有利である。これは、艶消し剤の微細度に応じて、例えば、ミル中に統合させ得る相応する篩又は分別装置を通して行なわれ得る。
【0079】
表面変性は、既に前記したように、粉砕又は乾燥の前、その間又はその後に行われ得る。この際、表面変性剤は、非希釈の純粋物質として、又は希釈形で水性エマルジョンとして添加され得る。この際、セミゲルに対して、オルガノポリシロキサン0.2〜12質量%、特に有利に1〜10質量%、極めて特に有利に2〜8質量%及び殊に有利に3〜8質量%が添加されることが有利である。
【0080】
本発明による方法で使用される非変性セミゲル前駆体は、公知の方法により製造され、又は商業的に得られ得る。特に有利に、Firma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) (China) のセミゲルSD500、SD520、SD530、SD538、SD540、SD600、SD640及びSD690が使用される。
【0081】
出発物質として、セミゲルを使用することが有利であり、特に有利にオルガノポリシロキサンで表面変性されていない、次の物理化学的特性を有するセミゲルが使用される:
BET表面積200〜400m2/g、有利に210〜350m2/g、
直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.95〜1.5ml/g、有利に1.0〜1.4ml/g、
直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積1.2〜1.8ml/g、有利に1.3〜1.7ml/g、
10〜50nm、15〜45nmの範囲の最大細孔。
【0082】
このことから、一方で、表面変性段階を付加的段階として、セミゲルの製造のための公知方法に統合させることができ、しかし他方で、変法I〜IIIの1法のための出発物質として使用し得るセミゲル前駆体を得ることもできる。
【0083】
本発明による方法で、表面変性オルガノポリシロキサンとして、更に既に前記したポリオルガノシロキサン又は変性ポリオルガノシロキサンを使用することが有利である。
【0084】
本発明による表面変性されたセミゲルは、有利に艶消し剤として染料及び塗料中で使用される。
【0085】
更に、本発明による表面変性されたセミゲルは、通例、セミゲルが使用される全ての適用範囲で、例えば、紙塗被の成分として、消泡剤組成物の成分として、シリコーンゴム中の強化剤として、又はポリマー組成物中で、例えば粘着防止剤として使用され得る。
【0086】
本発明による表面変性されたセミゲルの物理的/化学的データは、次の方法で測定される:
BET表面積の測定
セミゲルのBET表面積は、DIN ISO 9277 により、Brunauer, Emmett 及びTeller (BET)による窒素吸着の方法で測定される。この方法は、S. Brunauer, P. H. Emmett 及びE. Teller, J. Am. Chem. Soc., 60, 309 (1938) の研究に基づいている。
【0087】
計測は、機器Tristar 3000 (Fa. Micromeritics) で行なわれる。検査すべき試料を、計測の前に、試料上の圧力が密閉真空で30分間一定に留まるまで、真空下に(p<10−3ミリバール)160℃で脱ガスさせる。
【0088】
メソ細孔容積の測定
メソ細孔分布の測定は、Barret, Joyner 及びHalenda (BJH) による方法によって行なわれ、かつE. P. Barret, L. G. Joyner 及びP. H. Halenda, J. Amer. Chem. Soc., Vol 73, 373, (1951) の研究に基づいている。
【0089】
計測は、機器ASAP 2400 (Fa. Micrometritics) で行なわれる。検査すべき試料を、計測の前に、試料上の圧力が密閉真空で30分間一定に留まるまで、真空下に(p<10−3ミリバール)200℃で脱ガスさせる。
【0090】
乾燥減量の測定
セミゲルの水分及び同様に乾燥減量(TV)を、ISO 787-2 により、105℃で2時間の乾燥後に測定する。この乾燥減量は、主に水分から成る。
【0091】
粉末状のセミゲル10gを0.1mgまで精密に精密天秤 (Satorius LC621S) 上で秤量して乾燥フラスコ中に入れる(出発質量E)。フラスコを、多数の孔(φ1mm)が穿たれているアルミニウムフォイルで覆う。そうして被覆されたフラスコを、乾燥箱中105℃で2時間乾燥させる。引き続いて、熱いフラスコをデシケーター中で乾燥剤上少なくとも1時間室温に冷却させる。フラスコを、最終質量Aの測定のために、精密天秤上で0.1mgまで精密に秤量する。水分(TV)を、次の式により%で測定する:
TV=(1−A/E)*100
[式中、A=最終質量(g)、及びE=出発質量(g)を表わす]。
【0092】
灼熱減量の測定
この方法により、セミゲルの減量を、DIN EN ISO 3262-1 により1000℃で測定する。この温度で、物理的及び化学的結合水及び他の揮発成分は消散する。検査試料の水分(TV)は、前記の方法"乾燥減量の測定"によって、DIN EN ISO 787-2 により調査される。
【0093】
セミゲル0.5gを、0.1mgまで精密に、予備灼熱された風袋磁器るつぼ中に秤量して入れる(出発質量E)。試料をマッフル炉中1000±50℃で2時間加熱する。引き続いて、磁器るつぼを、乾燥剤として珪酸ゲルを備えたデシケーター箱中で室温に冷却させる。最終質量Aを重量測定法で測定する。
【0094】
灼熱減量GVを、次の式により%で得る:
GV=(1−A/F)*100
[式中、Fは、乾燥物質に対して補正された出発質量(g)であり、次の式:
F=E*(1−TV/100)
により計算される]。
【0095】
計算式中、A=出発質量(g)、E=最終質量(g)及びTV=乾燥減量(%)を意味する。
【0096】
DBP数の測定
セミゲルの吸収性の尺度であるDBP吸収(DBP数)は、規格DIN 53601 により、次のように測定される:
粉末状のセミゲル(水分含量4±2%)12.50gを、ブラベンダー吸収計"E"の捏和機室(品番279061)中に加える(トルクセンサーの出口フィルターの減衰なし)。連続混合下に(捏和機パドルの回転速度125U/分)、室温で、"ドジマット(Dosimaten)ブラベンダー T 90/50 "を通して、ジブチルフタレートを4ml/分の速度で混合物に滴加する。加入混合は、僅かな所要電力だけで行われ、デジタルディスプレーで追跡される。測定終了に向けて、混合物はペースト状になり、このことは、所要電力の急上昇によって示される。600桁(トルク0.6Nm)の表示で、捏和機もDBP供給も電源を切る。DBP供給用の同期電動機を、デジタルカウンターに接続し、そうして、DBP(ml)の消費を読み取ることができる。
【0097】
DBP吸収をg/100gで表示し、次の式により計算する:
【数1】
[式中、
DBP=DBP吸収(g/100g)であり、
V=DBPの消費(ml)であり、
D=DBPの密度(g/ml)(20℃で1.047g/ml)であり、
E=セミゲルの出発質量(g)であり、
K=表1(水分補正表)による補正値(g/100g)である]。
【0098】
DBP吸収は、無水の乾燥セミゲルについて定義している。湿潤セミゲルの使用では、DBP吸収の計算のために、補正値Kを考慮すべきである。この値は、表1により調べることができ、例えば、セミゲルの水分含量5.8%は、DBP吸収のために、33g/100gの割増を意味する。セミゲルの水分は、前記の方法"乾燥減量の測定"により調べられる。
【0099】
表1:ジブチルフタレート吸収の水分補正表(無水)
【表1】
【0100】
粒度の測定
粉末状固体の粒度分布を測定するためのレーザー回析の使用は、粒子がその大きさに依って、異なる強度型を有する単色レーザー光線を全方向に散乱又は回析する現象に基づいている。照射される粒子の直径が小さければ小さいほど、単色レーザー光線の散乱角度又は回析角度は一層大きくなる。
【0101】
試料準備及び測定は、親水性二酸化珪素の場合には、水を分散液として用い、水で十分には湿潤不可能な二酸化珪素の場合には、純エタノールを用いて行なわれる。測定開始前に、レーザー回析測定器LS 230 (Fa. Beckman Coulter;測定範囲:0.04〜2000μm)及び液体モジュール (Small Volume Module Plus, 120ml、Fa. Beckman Coulter) を2時間暖機運転し、モジュールをVE水で3回洗浄する。疎水性沈降珪酸の測定のために、洗浄過程を、純エタノールで実施する。
【0102】
レーザー回析測定器 LS 230 の機器ソフトウエアに、次のミー(Mie)理論による評価に関連する光学的パラメーターを、.rfdファイルで確定する:
分散液B.I.真水の屈折率=1.332(エタノールについては1.359);固体(試料物質)純粋SiO2の屈折率=1.46
虚数=0.1
波形率=1
【0103】
更に、粒子測定に関連する次のパラメーターを設定すべきである:
測定時間=60秒間
測定数=1
ポンプ速度=75%
【0104】
試料添加は、試料特性に依存して、直接粉末状の固体としてはへらを用い、又は懸濁形では2ml入り使い捨てピペットを用いて、機器の液体モジュール(Small Volume Module Plus)に行なうことができる。測定に必要な試料濃度が達成したら(最適光学的陰影)、レーザー回析測定器LS 230 の機器ソフトウエアが"OK"を知らせる。粉砕二酸化珪素を、超音波変換器CV 181 及び6mm超音波チップを備えたFirma Sonicsの超音波プロセッサー Vibra Cell VCX 130 によって、60秒間の超音波照射により、振幅70%及び同時ポンプ循環で液体モジュール中に分散させる。非粉砕二酸化珪素の場合には、分散は、超音波照射を行なわずに、60秒間のポンプ循環により液体モジュール中で行なわれる。測定は室温で行なわれる。生データから、機器ソフトウエアは、ミー理論に基づき、先に確定した光学パラメーター(.efd ファイル)により、粒度の容積分布及びd50値(平均値)を計算する。
【0105】
ISO 13320 "Particle Size Analysis - Guide to Laser Diffraction Methods" は、粒度分布の測定のためのレーザー回析の方法を詳細に記載している。
【0106】
炭素含量の測定
セミゲルの炭素含量の測定は、"C - Mat 500"(Fa. Stroehlein Instruments) で行なわれる。試料を約1350℃で熱処理し、炭素を酸素流によってCO2に酸化させる。CO2を赤外セル中で測定する。
【0107】
測定の際に、炭素含量が1%よりも大きいか又は小さいかを区別する。均一試料の炭素含量が1%以上である場合には、機器の"High"範囲で測定され、1%以下である場合には、"Low"範囲で測定される。
【0108】
先ず、対照試料を測定する。そのために、焼成して室温に冷却させた磁器ボート上に、対照試料0.14〜0.18gを分析天秤で秤量して入れる。開始ボタンを操作すると、天秤が"C - Mat"と接続するので、分銅は引き継がれる。ボートを、30秒間以内に、燃焼管の中央に移動させるべきである。燃焼の終了後に、測定値をパルスに変換させ、コンピューターによって評価する。少なくとも3回の測定(一致に応じて)を実施する。場合により、機器のファクターを新規に調整するべきである(詳細は、取扱説明書"C - Mat 500"Firma Stroehlein Instruments 参照)。このファクターは、次の式により計算される:
【数2】
【0109】
引き続いて、セミゲル試料を測定する。出発質量は0.04〜0.05gである。磁器ボートに磁器蓋を被せる。偏差>0.005%で測定を多数回実施し、平均値を計算する。
【0110】
"C - Mat 500"の取り扱いを、Firma Stroehlein Instrumentsの取扱説明書から引用する。
【0111】
炭素含量を次のように計算し、純度%で表示する:
炭素含量=(I*F*10−8)/E
I=インパルス
F=ファクター
E=出発質量(g)
【0112】
層厚の測定
艶消し塗料の反射率は、特に被覆の層厚によって影響される。従って、乾燥塗層の層厚の正確な調節が必要である。
【0113】
次の作業過程は、ガラス支持体上の単層塗膜の測定にだけ当てはまる。測定の実施の前に、超音波層厚測定器(QuintSonic, Fa. Elektro Physik)のゾンデを機器の取扱説明書により調整する。ゾンデ測定面上に十分なカップリング剤を塗布した後に、ゾンデを被覆表面上に垂直に置き、ゾンデボタンを圧して測定を開始する。短時間後に、測定値が示される。ゾンデを測定面から取り外す。
【0114】
測定すべき対象物上で均一に分配されている測定箇所での少なくとも5回の測定を実施する。測定箇所が、損傷、例えば、クレーター状、封入、引掻き、気泡など、又は汚れを有しないことに注意すべきである。調査した測定データから平均値を取り、正確に1μmに丸める。
【0115】
60°反射率及び85°反射率の測定
塗膜表面の標的粗面化による反射性の影響は、SiO2をベースとする艶消し剤の卓越した特性である。従って、反射率は、艶消し塗膜の特性付けの重要な基準である。
【0116】
測定のための前提は、測定すべき塗膜表面が平面で、清潔でかつ硬化されていることである。
【0117】
測定は、試料の少なくとも3つの代表箇所で、DIN 67530 による測定ジオメトリーを有する反射計(例えば、Haze - gloss, BYK-Instruments)により実施すべきである。単一測定の大きすぎる偏差が達成される場合には、通例、代表箇所の新規の測定を行なうか、又は単一測定の数を>3に高めるべきである。BYK haze-glossでは、ディスプレーに、測定の標準偏差が表示される。標準偏差sが>0.5である場合には、前記の測定の実施が推奨される。平均値は、小数第1位で示すべきである。
【0118】
艶消し塗膜表面の特徴づけの際に、60°測定ジオメトリー及び85°測定ジオメトリーで測定することが実証された。従って、DIN 67530 の偏差では、艶消し表面の反射率が2つの測定ジオメトリーで測定される。
【0119】
例
次の実施例につき、本発明を詳説するが、これに限定されるものではない。
【0120】
例1
次の表2による物理化学的データを有するFirma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) のセミゲルSD 500 を、Firma Alpine のジェットミルAFG 50 により、次のように粉砕し、同時に、オルガノポリシロキサンTegoRad 2300 50質量%及びエタノール50質量%を含む懸濁液を被覆させる:
分別回転数:15000U/分
分別空気:30Nm3/時
粉砕圧:4バール
PID 送風:51%
全空気:82Nm3/時
処理量:0.57kgSiO2/時
粉砕時間:80分間
引き続いて、生成物を乾燥箱中80℃で2.5時間乾燥させる。
【0121】
TegoRad 2300 懸濁液の添加は、終了時に表2に挙げた物理化学的特性を有する表面変性されたセミゲルが得られるように行なわれる。
【0122】
例2
表2に挙げた物理化学的データを有するFirma Beijing Aerospace Sai De Power Material Technical Company Ltd., Yuquan Road No. 16, Haidian District, Beijing (China) のセミゲルSD 600 を、Firma Alpine のジェットミルAFG 50 により、次のように粉砕し、同時に、オルガノポリシロキサンTegoRad 2300 50質量%及びエタノール50質量%を含む懸濁液を被覆させる:
分別回転数:15000U/分
分別空気:30Nm3/時
粉砕圧:4バール
PID 送風:51%
全空気:79Nm3/時
処理量:0.75kgSiO2/時
粉砕時間:80分間
引き続いて、生成物を乾燥箱中80℃で2.5時間乾燥させる。
【0123】
TegoRad 2300 懸濁液の添加は、終了時に表2に挙げた物理化学的特性を有する表面変性されたセミゲルが得られるように行なわれる。
【0124】
表2:例1及び2の出発物質及び生成物の物理化学特性
【表2】
【0125】
比較例1
比較例1のために、Firma Evonik Degussa GmbH の沈降珪酸ACEMATT(登録商標)HK 400 にTegoRad(登録商標)2300 8質量%を被覆した。
【0126】
例4
黒色塗料中の本発明によるセミゲルの塗料技術特性の試験
黒色塗料として、Herberts Austria GmbH によって製造されたFirma DuPont のDuplex D 1326 を使用した。各々艶消し剤5.5gを加入混合させた。
【0127】
DIN 67530、ISO 2813 又はTM 523-78 により、60°反射率及び85°反射率を測定し、シーン(=85°反射率−60°反射率)を計算する(表3参照)。このシーンは、異なった観察角度における表面の艶消し効果についての言明を可能にする。より低いシーンは、表面の全ての観察角度下に、表面が艶消しに見えることを意味する。
【0128】
表3:黒色塗料
【表3】
【0129】
表3中のデータは、本発明による表面変性されたセミゲルの艶消し効率が、同じ表面変性剤で処理して、艶消し剤として売られる沈降珪酸に比較して、殊に85°での光沢率に関して、明らかに改善されていることを示す。本発明による艶消し剤で艶消しされた塗料は、全ての観察角度から均一に艶消しで見られ、このことは、概算で50%ほど改善されているシーンによって証明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面の少なくとも一部は、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていることを特徴とする、表面変性されたセミゲル。
【請求項2】
請求項1に記載の表面変性されたセミゲルであって、
− BET表面積200〜400m2/g、有利に200〜350m2/g、特に有利に200〜300m2/g、
− 直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.7〜1.5ml/g、有利に0.95〜1.4ml/g、有利に1.0〜1.3ml/g、
− 直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積0.9〜1.8ml/g、有利に1.0〜1.7ml/g、特に有利に1.1〜1.6ml/g、
− 10〜50nm、有利に15〜45nm、有利に15〜40nm及び極めて特に有利に20〜35nmの範囲の最大細孔
を有することを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面は、次の一般構造式:
【化1】
[式中、
Y=−OH、−ORであり又は
Y=H5C2−O−(CH2H4O)m−、H7C3−O−(C3H6O)m−又は
【化2】
であり、
R=−アルキル、殊にメチル又はエチル、
R2=アルキル又はHであり、
R3=アルキルであり、
R4=H又はアルキルであり、
a=0〜100であり、b=0〜100であり、c=0〜100であり、d=0〜100であり、
合計a+b+c+dは、0であり又は0ではなく、
m=0〜100であり、かつk=0〜100である]を有するポリオルガノシロキサンで被覆されていることを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面は、次の一般構造式:
【化3】
[式中、
R1=メチル基又は
【化4】
であり、単位aの合計=0〜100であり、単位bの合計=0〜15であり、この際、基R1において、メチル基対アルコキシ基の比率は50未満:1でり、かつa=0である場合には、b>1であり、かつb=0である場合には、a>5である]を有するポリオルガノシロキサンで被覆されていることを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面は、シリコーンポリエーテルアクリレートポリマー又はシリコーンポリエーテルメタクリレートポリマー、有利にヒドロキシ官能性のシロキサン及び/又はポリアルキレン変性シロキサンのアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル、特に有利に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを、エステル化又はエステル交換を触媒する酵素の存在下で、一般式(I):
【化5】
[式中、
R1及び/又はR7=R2又は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、
R2=R3又は≠R3であり、1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又は24個までの炭素原子を有する場合により置換されたフェニル基を表わし、
R4=式O、NH、NR2、Sの2価の基又は式(OSi(CH3)2)uの基であり、この際、
u=1〜200であり、
R5=1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又はCnH2n−fR2f−R4−CmH2m−gR2gであり、この際、
f=0〜12であり、
g=0〜12であり、
n=1〜18であり、
m=1〜18であり、
R6=O−(C2H4−aR2aO)b(CcH2cO)dであり、この際、
a=0〜3であり、
b=0〜100であり、
c=2〜12であり、
d=0〜100であり、
合計(b+d)=1〜200であり、かつ
個々のポリオキシアルキレン断片(C2H4−aR2aO)b及び(CcH2cO)dの順序は任意であってよく、殊にブロックコポリマー、例えば、ランダムポリマー及びその組合せを包含し、又は
R6=Oe−ChH2h−CiH2i−jR9jであり、この際、
e=0又は1であり、
h=0〜24であり、
i=0〜24であり、
j=1〜3であり、
合計(w+e)=0〜1であり、かつ
R9は、各々、式Oの2価の基、ヒドロキシ基、式ChH2hの基又は式CkH2k−l(OH)lの基を表わし、この際、
k=0〜24であり、かつ
l=1〜3であり、
R8=yが1である場合には、水素基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり、少なくとも1個の水素基が存在すべきであり、又はy=0である場合には、OH基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり少なくとも1個のOH基が存在し、
v=0〜200であり、
w=0又は1であり、
x=0又は1であり、
y=0又は1であり、
z=0〜200であり、かつ
合計(w+x+y)=1〜3であり、かつ
z=0である場合には、R1及び/又はR7は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、かつ
x=0である場合には、同様にw=0である]のヒドロキシ官能性及び/又はポリオキシアルキレン変性シロキサン誘導体とともに、エステル化又はエステル交換させることによって得られるオルガノポリシロキサンで被覆されたことを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の表面変性されたセミゲルの製法において、セミゲルの表面を、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサン、有利に、請求項2から5までのいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンと接触させることを特徴とする、前記表面変性されたセミゲルの製法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、表面変性は、粉砕の前及び/又はその後及び/又はそれと同時に行なわれ、この際、有利に、空気ジェットミル及び蒸気ジェットミル又は向流ジェット流動床ミルが使用されることを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の方法において、オルガノポリシロキサンは、非希釈で純粋物質として又は希釈形で水性エマルジョンとして添加されることを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法において、出発物質として、次の物理化学特性:
− BET表面積200〜400m2/g、有利に210〜350m2/g、
− 直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.95〜1.5ml/g、有利に1.0〜1.4ml/g、
− 直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積1.2〜1.8ml/g、有利に1.3〜1.7ml/g、
− 10〜50nm、15〜45nmの範囲の最大細孔
を有するセミゲルを使用することを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
請求項6から9までのいずれか1項に記載の方法において、セミゲルを、セミゲルに対して、オルガノポリシロキサン又は変性オルガノポリシロキサン0.2〜12質量%、特に有利に1〜10質量%、極めて特に有利に2〜8質量%及び殊に有利に3〜8質量%と混合させることを特徴とする、前記方法。
【請求項11】
請求項6から10までのいずれか1項に記載の方法において、表面変性されたセミゲルは、有利に、噴霧乾燥機又は粉砕乾燥機又は流動乾燥機又はスピンフラッシュ乾燥機により乾燥されることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の、又は請求項6から11までのいずれか1項に記載の方法により製造される表面変性されたセミゲルを、染料及び塗料中の艶消し剤として、紙塗被の成分として、消泡剤組成物として、シリコーンゴム中の強化剤として及び/又はプラスチック使用物中で粘着防止剤として用いる使用。
【請求項13】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の、又は請求項6から11までのいずれか1項に記載の方法により製造される表面変性されたセミゲルを含有する塗料組成物。
【請求項1】
表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面の少なくとも一部は、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンで変性されていることを特徴とする、表面変性されたセミゲル。
【請求項2】
請求項1に記載の表面変性されたセミゲルであって、
− BET表面積200〜400m2/g、有利に200〜350m2/g、特に有利に200〜300m2/g、
− 直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.7〜1.5ml/g、有利に0.95〜1.4ml/g、有利に1.0〜1.3ml/g、
− 直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積0.9〜1.8ml/g、有利に1.0〜1.7ml/g、特に有利に1.1〜1.6ml/g、
− 10〜50nm、有利に15〜45nm、有利に15〜40nm及び極めて特に有利に20〜35nmの範囲の最大細孔
を有することを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面は、次の一般構造式:
【化1】
[式中、
Y=−OH、−ORであり又は
Y=H5C2−O−(CH2H4O)m−、H7C3−O−(C3H6O)m−又は
【化2】
であり、
R=−アルキル、殊にメチル又はエチル、
R2=アルキル又はHであり、
R3=アルキルであり、
R4=H又はアルキルであり、
a=0〜100であり、b=0〜100であり、c=0〜100であり、d=0〜100であり、
合計a+b+c+dは、0であり又は0ではなく、
m=0〜100であり、かつk=0〜100である]を有するポリオルガノシロキサンで被覆されていることを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面は、次の一般構造式:
【化3】
[式中、
R1=メチル基又は
【化4】
であり、単位aの合計=0〜100であり、単位bの合計=0〜15であり、この際、基R1において、メチル基対アルコキシ基の比率は50未満:1でり、かつa=0である場合には、b>1であり、かつb=0である場合には、a>5である]を有するポリオルガノシロキサンで被覆されていることを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の表面変性されたセミゲルであって、セミゲルの表面は、シリコーンポリエーテルアクリレートポリマー又はシリコーンポリエーテルメタクリレートポリマー、有利にヒドロキシ官能性のシロキサン及び/又はポリアルキレン変性シロキサンのアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル、特に有利に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを、エステル化又はエステル交換を触媒する酵素の存在下で、一般式(I):
【化5】
[式中、
R1及び/又はR7=R2又は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、
R2=R3又は≠R3であり、1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又は24個までの炭素原子を有する場合により置換されたフェニル基を表わし、
R4=式O、NH、NR2、Sの2価の基又は式(OSi(CH3)2)uの基であり、この際、
u=1〜200であり、
R5=1〜24個の炭素原子を有する同じ又は異なったアルキル基又はアルキレン基、又はCnH2n−fR2f−R4−CmH2m−gR2gであり、この際、
f=0〜12であり、
g=0〜12であり、
n=1〜18であり、
m=1〜18であり、
R6=O−(C2H4−aR2aO)b(CcH2cO)dであり、この際、
a=0〜3であり、
b=0〜100であり、
c=2〜12であり、
d=0〜100であり、
合計(b+d)=1〜200であり、かつ
個々のポリオキシアルキレン断片(C2H4−aR2aO)b及び(CcH2cO)dの順序は任意であってよく、殊にブロックコポリマー、例えば、ランダムポリマー及びその組合せを包含し、又は
R6=Oe−ChH2h−CiH2i−jR9jであり、この際、
e=0又は1であり、
h=0〜24であり、
i=0〜24であり、
j=1〜3であり、
合計(w+e)=0〜1であり、かつ
R9は、各々、式Oの2価の基、ヒドロキシ基、式ChH2hの基又は式CkH2k−l(OH)lの基を表わし、この際、
k=0〜24であり、かつ
l=1〜3であり、
R8=yが1である場合には、水素基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり、少なくとも1個の水素基が存在すべきであり、又はy=0である場合には、OH基又は1価の有機基であり、この際、1分子当たり少なくとも1個のOH基が存在し、
v=0〜200であり、
w=0又は1であり、
x=0又は1であり、
y=0又は1であり、
z=0〜200であり、かつ
合計(w+x+y)=1〜3であり、かつ
z=0である場合には、R1及び/又はR7は[R4]w−[R5]x−[R6]y−R8であり、かつ
x=0である場合には、同様にw=0である]のヒドロキシ官能性及び/又はポリオキシアルキレン変性シロキサン誘導体とともに、エステル化又はエステル交換させることによって得られるオルガノポリシロキサンで被覆されたことを特徴とする、前記表面変性されたセミゲル。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の表面変性されたセミゲルの製法において、セミゲルの表面を、少なくとも1種のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサン、有利に、請求項2から5までのいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン及び/又は少なくとも1種の変性オルガノポリシロキサンと接触させることを特徴とする、前記表面変性されたセミゲルの製法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、表面変性は、粉砕の前及び/又はその後及び/又はそれと同時に行なわれ、この際、有利に、空気ジェットミル及び蒸気ジェットミル又は向流ジェット流動床ミルが使用されることを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の方法において、オルガノポリシロキサンは、非希釈で純粋物質として又は希釈形で水性エマルジョンとして添加されることを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法において、出発物質として、次の物理化学特性:
− BET表面積200〜400m2/g、有利に210〜350m2/g、
− 直径2〜30nmを有する細孔のメソ細孔容積0.95〜1.5ml/g、有利に1.0〜1.4ml/g、
− 直径2〜50nmを有する細孔のメソ細孔容積1.2〜1.8ml/g、有利に1.3〜1.7ml/g、
− 10〜50nm、15〜45nmの範囲の最大細孔
を有するセミゲルを使用することを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
請求項6から9までのいずれか1項に記載の方法において、セミゲルを、セミゲルに対して、オルガノポリシロキサン又は変性オルガノポリシロキサン0.2〜12質量%、特に有利に1〜10質量%、極めて特に有利に2〜8質量%及び殊に有利に3〜8質量%と混合させることを特徴とする、前記方法。
【請求項11】
請求項6から10までのいずれか1項に記載の方法において、表面変性されたセミゲルは、有利に、噴霧乾燥機又は粉砕乾燥機又は流動乾燥機又はスピンフラッシュ乾燥機により乾燥されることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の、又は請求項6から11までのいずれか1項に記載の方法により製造される表面変性されたセミゲルを、染料及び塗料中の艶消し剤として、紙塗被の成分として、消泡剤組成物として、シリコーンゴム中の強化剤として及び/又はプラスチック使用物中で粘着防止剤として用いる使用。
【請求項13】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の、又は請求項6から11までのいずれか1項に記載の方法により製造される表面変性されたセミゲルを含有する塗料組成物。
【公表番号】特表2013−505893(P2013−505893A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531302(P2012−531302)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062175
【国際公開番号】WO2011/038992
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062175
【国際公開番号】WO2011/038992
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】
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