説明

表面形状センサとその製造方法

【課題】長期間の使用でもパッシベーション膜に劣化が発生し難い指紋センサとその製造方法を提供すること。
【解決手段】シリコン基板10と、シリコン基板10の上方に形成された層間絶縁膜40と、層間絶縁膜40の上に互いに間隔をおいて形成された検出電極膜44a及び接地電極膜44bと、層間絶縁膜40、検出電極膜44a、及び接地電極膜44bのそれぞれ上に形成され、該接地電極膜44bが露出する開口51aを備えた保護絶縁膜51と、保護絶縁膜51の上に形成され、検出電極膜44aと開口51aに重なる窓55aを備えたパッシベーション膜55とを有し、窓55aの開口端が面取りされたことを特徴とする表面形状センサによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面形状センサとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴い、銀行カードや電子マネーの不正使用を防止するセキュリティ技術として、個人の身体的特徴により本人確認を行う生体認証技術が実用化されている。生体認証技術には、手のひら静脈や声紋を利用するものもあるが、中でも、指紋を利用する指紋認証技術は、これまでに多くの研究がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、指紋に光を当て、その反射光から光学的に指紋を照合している。
【0004】
そして、特許文献2では、指紋の凹凸によって発生する圧力差を圧電薄膜により読み取り、照合を行っている。
【0005】
また、特許文献3では、皮膚との接触により生じる感圧シートの抵抗変化又は容量変化に基づいて照合を行っている。
【0006】
しかしながら、これらの技術のうち、光学的な手法を用いる特許文献1の技術は、小型化するのが難しいうえ、汎用的に用いることができず、用途が限定されるという問題がある。また、感圧シートを用いる特許文献3の技術は、感圧シートの材料が特殊であり、更に感圧シートの加工も難しいことから、実用化が困難である。
【0007】
これらの問題を解決する技術として、特許文献4には、半導体基板に形成される容量型の指紋センサ(表面形状センサ)を開示している。その指紋センサでは、半導体基板の上にアレイ状に形成された複数の検出電極膜と皮膚とが対向し、各々の検出電極膜と皮膚とがそれぞれキャパシタの電極として機能する。そのキャパシタにおける電極同士の間隔は指紋の凹凸によって変化する。従って、各検出電極膜を一つの画素として機能させ、各キャパシタの静電容量をセンシングして可視化することにより指紋のイメージが得られる。この方式の指紋センサは、光学的な方式と比較して特殊なインターフェースが不要であり、且つ小型化が可能である。
【0008】
そのような容量型の指紋センサでは、指との接触により回路が破壊されないように、最上層に緩衝材として機能するパッシベーション膜を形成する必要がある。更に、水分によって素子が劣化するのを防止するため、外部の水分をブロックするための保護絶縁膜を指紋センサに形成することもある。
【0009】
例えば、特許文献4、5では、そのようなパッシベーション膜や保護絶縁膜として窒化シリコン膜を形成している。
【0010】
一方、特許文献6では、パッシベーション膜として酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜を形成している。
【0011】
長期にわたる指紋センサの使用により、特許文献4〜6に開示されるパッシベーション膜や保護絶縁膜に膜剥がれが発生すると、水分等が下層に侵入し、素子の信頼性が低下する。また、手の油脂等が付着し易い構造にパッシベーション膜が形成されていると、油脂によって検出電極膜と皮膚の間の静電容量が変動し、指紋を正しく認識することができない。
【0012】
このように、指が直接触れる指紋センサでは、パッシベーション膜や保護絶縁膜に対して、通常の半導体デバイスよりも優れた耐久性が求められる。
【特許文献1】特開昭61−221883号公報
【特許文献2】特開平5−61965号公報
【特許文献3】特開平7−168930号公報
【特許文献4】特開2003−269907号公報
【特許文献5】特開2000−194825号公報
【特許文献6】特表2002−520841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、長期間の使用でもパッシベーション膜に劣化が発生し難い指紋センサとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の上に互いに間隔をおいて形成された検出電極膜及び接地電極膜と、前記層間絶縁膜、前記検出電極膜、及び接地電極膜のそれぞれ上に形成され、該接地電極膜が露出する開口を備えた保護絶縁膜と、前記保護絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜と前記開口に重なる窓を備えたパッシベーション膜とを有し、前記窓の開口端が面取りされた表面形状センサが提供される。
【0015】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜の上に、検出電極膜と接地電極膜とを互いに間隔をおいて形成する工程と、前記層間絶縁膜、前記検出電極膜、及び前記接地電極膜のそれぞれ上に保護絶縁膜を形成する工程と、前記接地電極膜が露出する開口を前記保護絶縁膜に形成する工程と、前記検出電極膜と前記開口に重なる窓を備えたパッシベーション膜を前記保護絶縁膜の上に形成する工程と、前記窓の開口端を面取りする工程とを有する表面形状センサの製造方法が提供される。
【0016】
次に、本発明の作用について説明する。
【0017】
本発明では、指等の被検体に蓄えられた静電気によって回路が破壊されるのを防止するため、検出電極膜から間隔をおいて接地電極膜を形成する。その接地電極膜は、保護絶縁膜の開口や、パッシベーション膜の窓から露出する。本発明によれば、この窓の開口端を面取りするので、被検体とパッシベーション膜との間の摩擦が小さくなり、被検体との摩擦によってパッシベーション膜に膜剥がれが発生するのを防止できる。
【0018】
また、このような面取りを、保護絶縁膜の開口の開口端に対して施してもよい。このようにすることで、パッシベーション膜の窓から露出する保護絶縁膜と被検体との摩擦が小さくなり、保護絶縁膜の膜剥がれも防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パッシベーション膜の窓の開口端を面取りするので、パッシベーション膜の上を被検体が滑らかに動くようになり、被検体との摩擦によってパッシベーション膜が剥がれるのを防止でき、長期の使用に耐え得る信頼性の高い表面形状センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態に係る容量型の表面形状センサについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(1)第1実施形態
図1〜図19は、本実施形態に係るスイープ型の表面形状センサ(指紋センサ)の製造途中の断面図である。以下では、指紋を認識するためのセンサ領域Iと、パッケージの際にボンディングワイヤが接合されるパッド領域IIとをこれらの図に併記する。
【0022】
最初に、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0023】
まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板10の表面を熱酸化することにより素子分離絶縁膜11を形成し、この素子分離絶縁膜11でトランジスタの活性領域を画定する。シリコン基板10の表面から素子分離絶縁膜11の上面までの高さは約200nmである。このような素子分離構造はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)と呼ばれるが、これに代えてSTI(Shallow Trench Isolation)を採用してもよい。
【0024】
次いで、シリコン基板10の活性領域にp型不純物、例えばボロンを導入して第1、第2pウェル12、13を形成した後、その活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜14となる熱酸化膜を約6〜7nmの厚さに形成する。
【0025】
続いて、シリコン基板10の上側全面に、厚さ約50nmの非晶質シリコン膜と厚さ約150nmのタングステンシリサイド膜を順に形成する。なお、非晶質シリコン膜に代えて多結晶シリコン膜を形成してもよい。その後に、フォトリソグラフィによりこれらの膜をパターニングして、シリコン基板10上にゲート電極15を形成すると共に、素子分離絶縁膜11上に配線16を形成する。
【0026】
更に、ゲート電極15をマスクにするイオン注入により、ゲート電極15の横のシリコン基板10にn型不純物としてリンを導入し、第1〜第3ソース/ドレインエクステンション17a〜17cを形成する。
【0027】
その後に、シリコン基板10の上側全面に絶縁膜を形成し、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極15と配線16の横に絶縁性スペーサ18として残す。その絶縁膜として、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコン膜を形成する。
【0028】
続いて、この絶縁性スペーサ18とゲート電極15をマスクにしながら、シリコン基板10に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極15の側方のシリコン基板10に第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19cを形成する。
【0029】
更に、シリコン基板10の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、その高融点金属膜を加熱させてシリコンと反応させることにより、第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19cにおけるシリコン基板10上にコバルトシリサイド層等の高融点シリサイド層20を形成し、各ソース/ドレイン領域19a〜19cを低抵抗化する。
【0030】
なお、このような高融点金属シリサイド層は、素子分離絶縁膜11が形成されていない部分のシリコン基板10の表層にも形成される。
【0031】
その後に、素子分離絶縁膜11の上等で未反応となっている高融点金属層をウエットエッチングして除去する。
【0032】
ここまでの工程により、シリコン基板10の活性領域には、ゲート絶縁膜14、ゲート電極15、及び第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19c等によって構成される第1〜第3MOSトランジスタTR1〜TR3が形成されたことになる。
【0033】
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板10の上側全面に、プラズマCVD法により酸窒化シリコン(SiON)膜を厚さ約200nmに形成し、この酸窒化シリコン膜をカバー絶縁膜21とする。
【0034】
続いて、TEOS(tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法により、第1絶縁膜22としてカバー絶縁膜21の上に酸化シリコン膜を厚さ約1000nmに形成する。その後、CMP法(化学機械研磨法:Chemical Mechanical Polishing)により第1絶縁膜22を200nm程度研磨することにより、第1絶縁膜22の上面を平坦化する。
【0035】
本実施形態では、このようにして形成されたカバー絶縁膜21と第1絶縁膜22により第1層間絶縁膜23が構成される。
【0036】
続いて、図2(a)に示すように、第1層間絶縁膜23の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像することにより、窓24a〜24eを備えた第1レジストパターン24を形成する。
【0037】
そして、この第1レジストパターン24をマスクにして第1層間絶縁膜23をドライエッチングすることにより、図示のような第1〜第5コンタクトホール23a〜23eを形成する。
【0038】
その後、第1レジストパターン24を除去し、第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19cの不純物に対する活性化アニールを行う。その活性化アニールは、例えば、窒素雰囲気中で処理時間を30秒とするRTA(Rapid Thermal Anneal)により行われる。
【0039】
次に、図2(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0040】
まず、第1〜第5コンタクトホール23a〜23eの内面と第1層間絶縁膜23の上面に、スパッタ法によりグルー膜として厚さ約20nmのチタン(Ti)膜と厚さ約50nmの窒化チタン(TiN)膜とをこの順に形成する。
【0041】
次いで、このグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を形成し、このタングステン膜で第1〜第5コンタクトホール23a〜23eを完全に埋め込む。そのタングステン膜は、例えば、第1層間絶縁膜23の上で700nmの厚さを有する。
【0042】
そして、第1層間絶縁膜23の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨し、これらの膜を第1〜第5コンタクトホール23a〜23eの中に第1〜第5導電性プラグ25a〜25eとして残す。
【0043】
続いて、図3(a)に示すように、各第1〜第5導電性プラグ25a〜25eと第1層間絶縁膜23のそれぞれの上面に第1金属積層膜26を形成する。その金属積層膜は、スパッタ法により形成され、下から順に厚さ約500nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約150nmの窒化チタン膜を形成してなる。
【0044】
この後に、第1金属積層膜26の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2レジストパターン27とする。
【0045】
次いで、図3(b)に示すように、第2レジストパターン27をマスクにして第1金属積層膜26をドライエッチングすることにより一層目金属配線26aを形成する。このエッチングを終了後、第2レジストパターン26は除去される。
【0046】
次に、図4に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0047】
まず、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、シリコン基板10の上側全面に酸化シリコン膜を厚さ約2200nm程度に形成し、この酸化シリコン膜を第2絶縁膜28とする。
【0048】
特に図示はしないが、TEOSガスを用いて形成された第2絶縁膜28は、隣接する一層目金属配線26aの間に「す」が形成されやすい。その「す」が形成されたままだと、「す」の内部に水分や不純物が残留し、配線26aにストレスマイグレーションが発生し易くなる。
【0049】
そこで、この第2絶縁膜28を形成した後に、第2絶縁膜28の上面をCMP法により研磨し、第2絶縁膜28の表面に「す」を表出させる。このCMPの研磨量は、典型的には約1000nm程度である。
【0050】
その後、再びTEOSガスを使用するプラズマCVD法により、第2絶縁膜28の上面に第1キャップ絶縁膜29として酸化シリコン膜を100nmの厚さに形成し、このキャップ絶縁膜29で「す」を完全に埋める。
【0051】
第1キャップ絶縁膜29は、その下の第2絶縁膜28と共に第2層間絶縁膜30を構成する。
【0052】
続いて、図5に示すように、第2層間絶縁膜30の上に第3レジストパターン32を形成する。そして、第3レジストパターン32の窓32aを通じて第2層間絶縁膜30をドライエッチングすることにより、一層目金属配線26aに至る深さの第1ホール30aを形成する。
【0053】
この後に、第3レジストパターン32は除去される。
【0054】
次に、図6に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0055】
まず、第1ホール32aの内面と第2層間絶縁膜30の上面に、スパッタ法によりグルー膜として厚さ約50nmの窒化チタン膜を形成する。
【0056】
次いで、このグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を厚さ約700nmに形成し、このタングステン膜で第1ホール30aを完全に埋め込む。
【0057】
そして、第2層間絶縁膜30の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨し、これらの膜を第1ホール30aの中に第6導電性プラグ34として残す。
【0058】
続いて、図7に示すように、第2層間絶縁膜30と第6導電性プラグ34のそれぞれの上に、スパッタ法により銅含有アルミニウム膜と窒化チタン膜とをこの順に形成し、これらの膜を第2金属積層膜35とする。なお、この第2金属積層膜35の膜厚は限定されないが、銅含有アルミニウムの厚さは約500nmであり、窒化チタン膜の厚さは約120nmである。
【0059】
その後に、第2金属積層膜35の上に第4レジストパターン36を形成する。
【0060】
次いで、図8に示すように、第4レジストパターン36をマスクとして第2金属積層膜35をドライエッチングし、エッチングされずに残存した第2金属積層膜35を二層目金属配線35a及びボンディングパッド35bとする。
【0061】
この後に、第4レジストパターン36は除去される。
【0062】
次に、図9に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0063】
まず、二層目金属配線35aと第2層間絶縁膜30のそれぞれの上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約400nmに形成し、この酸化シリコン膜をカバー絶縁膜37とする。
【0064】
このカバー絶縁膜37には、二層目金属配線35aを反映して表面に凹凸が形成される。そこで、次の工程では、この凹凸を埋め込むために、カバー絶縁膜37の上に第3絶縁膜38として酸化シリコン膜を形成する。
【0065】
本実施形態では、その第3絶縁膜38の形成方法として埋め込み性に優れたSOG(Spin On Glass)を採用し、カバー絶縁膜37の平坦面上での第3絶縁膜38の厚さを約500nmとする。
【0066】
その後、この第3絶縁膜38の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法を用い、犠牲絶縁膜39として厚さ約1300nmの酸化シリコン膜を形成する。
【0067】
このように形成された絶縁膜37〜39により第3層間絶縁膜40が構成される。
【0068】
上記のように埋め込み性の良いSOGにより第3絶縁膜38を形成しても、二層目金属配線35aを反映した僅かな凹凸が第3層間絶縁膜40の表面に残る。
【0069】
そこで、次に、図10に示すように、犠牲絶縁膜39の上面をCMP法により研磨して平坦化する。
【0070】
次に、図11に示すように、第3層間絶縁膜40の上に第5レジストパターン43を形成する。
【0071】
そして、この第5レジストパターン43の窓43a、43bを通じて第3層間絶縁膜40をドライエッチングすることにより、二層目金属配線35aの上に第2、第3ホール40a、40bを形成する。
【0072】
その後、第5レジストパターン43を除去して、N2雰囲気において第3層間絶縁膜40をアニールすることにより第3層間絶縁膜40に含まれる水分を各ホール40a、40bから外部に放出させる。このアニールは、例えば、基板温度を430℃として約30分間行われる。
【0073】
次に、図12に示すように、第3層間絶縁膜40の上面と第2、第3ホール40a、40bの内面に、導電膜44として窒化チタン膜をスパッタ法により厚さ約200nmに形成する。
【0074】
導電膜44は、窒化チタン膜に限定されず、チタン膜や窒化チタンアルミニウム膜でもよい。後述するように、導電膜44は、指が近接する検出電極膜となるものであり、上記のようにチタンを含む材料で導電膜44を構成することで、検出電極膜の耐腐食性が高められる。
【0075】
また、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOs等の貴金属で導電膜44を構成しても、耐腐食性の高い検出電極膜が得られる。
【0076】
ここで、導電膜44を形成する前に、第3層間絶縁膜40をアニールして膜中の水分をホール40a、40bから十分に逃がしておいたので、導電膜44の形成時にホール40a、40bから出る脱ガスが低減され、ホール40a、40b内において導電膜44が未形成になるのを防止できる。
【0077】
次に、図13に示すように、導電膜44の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第6レジストパターン46を形成する。
【0078】
続いて、図14に示すように、第6レジストパターン46をマスクにして導電膜44をドライエッチングすることにより、第2、第3ホール40a、40bの内部とその周辺にのみ導電膜44を検出電極膜44a及び接地電極膜44bとして残す。
【0079】
各電極膜44a、44bは互いに間隔をおいて形成され、それぞれ第2、第3ホール40a、40bを介して二層目金属配線35aと電気的に接続される。また、接地電極膜44bは、接地電位のシリコン基板10と電気的に接続される。
【0080】
この後に、第6レジストパターン46は除去される。
【0081】
次いで、図15に示すように、シリコン基板10の上側全面に第7レジストパターン48を形成する。
【0082】
そして、この第7レジストパターン48の窓48aを通じて第3層間絶縁膜40をエッチングすることにより、ボンディングパッド35bの上に電極引き出し窓40bを形成する。
【0083】
このエッチングを終了した後に、第7レジストパターン48は除去される。
【0084】
続いて、図16に示すように、第3層間絶縁膜40と電極膜44a、44bのそれぞれの上に酸化シリコン膜を厚さ約100nmに形成し、この酸化シリコン膜をカバー絶縁膜50とする。このカバー絶縁膜50は、例えば、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により形成される。
【0085】
ここで、実使用下において表面形状センサに外部の水分が侵入すると、回路が動作して発熱している状態の一層目金属配線26aや二層目金属配線35aに水が触れ、これらの配線にストレスマイグレーションが発生し、最悪の場合には配線が断線する等の不都合が発生する。
【0086】
そこで、次の工程では、カバー絶縁膜50の上に水分をブロックする保護絶縁膜51としてプラズマCVD法により窒化シリコン膜を厚さ約1000nmに形成する。この窒化シリコン膜の成膜ガスとしては、アンモニアとシランとの混合ガスが使用される。また、成膜温度は400℃であり、周波数が13.56MHzでパワーが600Wの高周波電力と、周波数が400kHzでパワーが200Wの高周波電力が成膜雰囲気に印加される。
【0087】
窒化シリコン膜は、水分のバリア性に富むため保護絶縁膜51として好適である。
【0088】
また、比較的ストレスが大きな窒化シリコン膜を保護絶縁膜51として形成しても、酸化シリコンよりなるカバー絶縁膜50がストレスを緩和するように機能するので、保護絶縁膜51に起因した膜剥がれは防止される。
【0089】
なお、水分に対するバリア性がそれほど要求されない場合は、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜を保護絶縁膜51として形成してもよい。
【0090】
次に、図17に示すように、保護絶縁膜51の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第8レジストパターン53を形成する。
【0091】
そして、この第8レジストパターン53の窓53a、53bを通じてカバー絶縁膜50と保護絶縁膜51とをドライエッチングする。
【0092】
これにより、接地電極膜44bの上の保護絶縁膜51に第1開口51aが形成され、この第1開口51aから接地電極44bが露出する。この第1開口51aはESD(Electro Static Discharge)ホールとも呼ばれる。
【0093】
また、パッド領域IIでは、ボンディングパッド35bが露出する第2開口51bが形成される。
【0094】
そして、第8レジストパターン53を除去した後に、N2雰囲気中において基板温度を430℃とする条件の脱水処理を30分間行う。
【0095】
次に、図18に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0096】
まず、保護絶縁膜51の上に非感光性ポリイミドよりなる塗布膜を厚さ約1200nmに塗布した後、その塗布膜をベークする。
【0097】
次いで、塗布膜の上にレジストパターン(不図示)を形成し、このレジストパターンをマスクにしながら、ポリイミド用のエッチング液で塗布膜をエッチングすることで、第1、第2窓55a、55bを備えた最上層のパッシベーション膜55を形成する。
【0098】
これらの窓のうち、第1窓55aは、検出電極膜44aと第1開口51aに重なるように形成される。
【0099】
また、このパッシベーション膜55は、物理的な衝撃から回路を保護する緩衝材として機能するものである。
【0100】
更に、リンス液でレジストパターンを除去した後、基板温度350℃、N2流量18リットル/分の条件でパッシベーション膜55を40分間キュアして硬化する。
【0101】
このようなキュアにより、パッシベーション膜55は収縮してその厚さは約1000nm程度となる。
【0102】
ここで、非感光性ポリイミドに代えて感光性ポリイミドでパッシベーション膜55を構成することも考えられる。しかし、感光性ポリイミドは、感光剤や架橋剤が含まれるため、非感光性ポリイミドよりも軟らかく、指が直接触れられるパッシベーション膜55として採用すると傷が付きやすいという問題がある。
【0103】
これに対し、本実施形態のように非感光性ポリイミドでパッシベーション膜55を構成すると、感光性ポリイミドを用いる場合よりもパッシベーション膜55の硬度を高くすることができるので、デバイスを保護するのに必要な硬度を保ちながら、パッシベーション膜55の厚さを極限まで薄くすることができる。
【0104】
続いて、図19に示すように、パッシベーション膜55の第1窓55aの開口端を面取りする。その面取りを行うには次の三つの方法がある。
【0105】
第1の方法
第1の方法では、アルゴンガス等の不活性ガスのみからなるプラズマ雰囲気に第1窓55aの開口端を曝し、スパッタエッチングにより面取りを行う。このスパッタエッチングはICP(Inductively Coupled Plasma)型エッチング装置を用いて行われ、その条件は次の通りである:
ソースパワーの周波数…13.56MHz
ソースパワーの電力…約2000W
バイアスパワーの周波数…400kHz
バイアスパワーの電力…約1000W
反応圧力:10mTorr
アルゴン流量…100sccm
エッチング時間…12〜36秒
このスパッタエッチングでは、プラズマ化したアルゴン原子の物理的な作用により、第1窓55aの開口端が面取りされる。
【0106】
第2の方法
第2の方法では、ハロゲンガスを含むプラズマエッチングの雰囲気に第1窓55aの開口端を曝し、反応性イオンエッチング(RIE: Reactive Ion Etching)による全面エッチバックで面取りを行う。このプラズマエッチングは平行平板型プラズマエッチング装置を用いて行われ、その条件は次の通りである:
RFパワーの周波数…13.56MHz
RFパワーの電力…約1000W
反応圧力…約500mTorr
エッチング時間…13〜16秒
ガス流量…CHF3:約100sccm、アルゴン:約500sccm、酸素:約10sccm
このようなプラズマエッチングによれば、フッ素等のハロゲン原子のイオンやラジカルにより、化学的なエッチングと物理的なエッチングが同時に進行し、第1窓55aの開口端が面取りされる。
【0107】
なお、エッチングガスについては、これらのガスに代えてCF4、アルゴン、及び酸素の混合ガスを使用してもよい。その場合、CF4の流量は約100sccmに設定され、アルゴンと酸素についてはそれぞれ約500sccm、約10sccmの流量に設定される。
【0108】
第3の方法
第3の方法では、CMP法によりパッシベーション膜55を研磨することにより、第1窓55aの開口端の面取りを行う。
【0109】
図20は、第3の方法で使用されるCMP装置の要部拡大断面図である。
【0110】
このCMP装置は、プラテン101上に研磨パッド102が固着され、プラテン101の上方に研磨ヘッド110を有する。
【0111】
研磨ヘッド110は、リテーニングリング103とベース111とがベローズ106により連結された構造を有する。そして、リテーニングリング103内には、シリコン基板10を把持するためのチャック112を備える。
【0112】
チャック112は、ベローズ105と可撓性のインナーチューブ104によってリテーニングリング103と連結される
また、ベース101には第1〜第3配管107〜109が通されている。
【0113】
このうち、第1配管107内の圧力を高めることで、ベローズ106内の圧力も高まり、リテーニングリング103がプラテン101側に押し付けられる。
【0114】
また、第2配管108内の圧力を高めると、チャック112に設けられた可撓性のメンブレン114が外側に膨らみ、シリコン基板10が研磨パッド102に押し付けられる。
【0115】
更に、第3配管109内の圧力を高めることで、インナーチューブ104が膨らみ、チャック112が研磨パッド102に押し付けられる。
【0116】
図21は、このCMP装置の上面図である。
【0117】
図21に示されるように、プラテン101の上方にはスラリーの供給器115が設けられる。また、供給器115から間隔をおいて、研磨パッド102の表面状態を整えるためのコンディショナー116が設けられる。
【0118】
コンディショナー116は、その先端のヘッド116aが回転する構造となっており、研磨ヘッド110による研磨と同時、又は研磨の前にヘッド116aが研磨パッド102に押し付けられる。このようなコンディショナー116の動作により、研磨量や研磨量の面内分布を改善することができる。
【0119】
このようなCMP装置を用いて、本実施形態では以下のような条件でパッシベーション膜55を研磨する:
(研磨条件)
研磨パッド102の種類:硬質タイプパッド(硬さ60 Shore D以上)
インナーチューブ104内の圧力…6〜8psi
リテーニングリング103の圧力(第3配管108内の圧力)…6.5〜9.0psi
メンブレン114の圧力(第2配管108の内の圧力)…4.0〜6.0psi
プラテン101の回転数…105rpm±10%
研磨ヘッド110の回転数…70rpm±10%
スラリーの供給量…120〜200ml/分
(コンディショニング条件)
コンディショニングのタイミング…研磨前(Ex-situ)
ヘッド116aの圧力…5.0〜9.0lbf(重量ポンド)
ヘッド116aの回転数…95rpm±10%
プラテン101の回転数…105rpm±10%
なお、上記以外の研磨条件でパッシベーション膜55を研磨することも考えられるが、研磨後のパッシベーション膜55の膜厚が基板面内で大きく変動してしまうので、基板面内における膜厚分布変動を最小限に抑えるには、この研磨条件を採用するのが好ましい。
【0120】
更に、このようにCMP法により面取りを行う場合は、CMPの後にパッシベーション膜55に対して熱処理を施し、CMPの際にパッシベーション膜55が吸収した水分を除去するようにしてもよい。その熱処理は、例えば、大気中において基板温度を300℃とし、約10分間行われる。
【0121】
本実施形態では、上記した第1〜第3の方法のいずれかを用いて、パッシベーション膜55を元の厚さの10〜30%だけ削り、第1窓55aの開口端の面取りを行う。パッシベーション膜55の元の厚さが1000nmの場合、その削り量は100〜300nm程度となる。
【0122】
なお、上記の第1〜第3の方法に代えて、プラズマアッシング装置を用いて第1窓55aの開口端の面取りを行うことも考えられる。プラズマアッシング装置は、通常、酸素と窒素との混合ガスにより、レジストパターン等の有機物を酸化して除去するのに使用される。
【0123】
しかし、このようなプラズマアッシング装置を本実施形態で用いると、パッシベーション膜55の表面が過度に高温になる。その結果、パッシベーション膜55を構成するポリイミド結合が切れ易くなり、パッシベーション膜55の強度が落ち、パッシベーション膜55が緩衝材としての機能を果たさなくなってしまう。
【0124】
これに対し、上記した第1〜第3の方法では、ポリイミドの強度が落ちるのを防ぎつつ、第1窓55aの開口端を面取りすることができる。
【0125】
以上により、本実施形態に係る表面形状センサの基本構造が完成する。
【0126】
この表面形状センサでは、図22に示すように、指(被検体)Fでパッシベーション膜55をなぞる(スイープする)ことで、指Fと検出電極膜44aとの間にキャパシタCが形成される。そのキャパシタCの静電容量は、指Fの表面の凹凸(指紋)によって変化するので、この静電容量の違いを検出電極膜44aにおいて読み取ることで、指紋の画像が得られる。
【0127】
更に、第1窓55aが第1開口51aと検出電極膜44aの両方に重なるように、その第1窓55aを大きく開口したので、指Fでパッシベーション膜55をスイープすることにより指Fが確実に接地電極膜44bに触れるようになる。そのため、指Fに帯電している静電気が接地電極44bからシリコン基板10に確実に逃がされるので、シリコン基板10に形成されている回路が静電気によって破壊されるのを防止できる。
【0128】
図23は、この表面形状センサのセンサ領域Iの平面図である。
【0129】
図23に示されるように、検出電極膜44aはマトリクス状に複数形成され、接地電極膜44bを中心にした四つの検出電極膜44aが一組となって一つの画素として機能する。各電極膜44a、44bの平面サイズは特に限定されないが、本実施形態では、図示のようにL1を約50μmとし、L2を約6μmとする。
【0130】
以上説明した本実施形態によれば、図19に示した工程において、パッシベーション膜55に形成された第1窓55aの開口端の面取りを行うので、第1窓55aの角が滑らかとなり、指Fとパッシベーション膜55との摩擦が低下する。
【0131】
そのため、図22に示したように指Fでパッシベーション膜55をなぞっても、指Fから第1窓55aに大きな力が加わらないので、第1窓55aの近くのパッシベーション膜55に膜剥がれが発生するのを防止できる。これにより、長期にわたって表面形状センサを使用してもパッシベーション膜55に劣化が生じ難くなり、表面形状センサの信頼性を高めることができる。
【0132】
更に、このように面取りをすることで、第1窓55aの内側に指の油脂等の異物Pが溜まり難くなる。そのため、指Fと検出電極膜44aとの間のキャパシタCの静電容量が異物Pによって変動するのが押さえられ、その静電容量に基づいて指紋の凹凸を正確に読み取ることができ、指紋の検知率が低下するといった問題を解決することができる。
【0133】
更に、第1窓55aの面取りを行う際、保護絶縁膜51に形成された第1開口(ESDホール)51aの開口端も面取りされるため、第1開口51aにおける指の引っかかりを防止でき、保護絶縁膜51の膜剥がれを抑制することも可能となる。
【0134】
比較例
図24は、比較例に係る表面形状センサの断面図である。
【0135】
図24に示されるように、この比較例では、パッシベーション膜55に対する面取りを行っておらず、第1窓55aや第1開口51aの側面が面内方向に対して垂直に立った状態となっている。
【0136】
この状態で指Fでパッシベーション膜55をなぞると、第1窓55aや第1開口51aに指Fが引っかかり、矢印Aや矢印Bで示す部分においてパッシベーション膜55や保護絶縁膜51に膜剥がれが発生し、表面形状センサの信頼性が低下する。
【0137】
更に、第1窓55aや第1開口51aの側面が垂直なので、指Fの油脂等の異物Pが第1窓55aや第1開口51aの内部に溜まり易く、異物Pによって表面形状センサの検知率が低下する恐れもある。
【0138】
これに対し、本実施形態では、既述のような面取りによって第1窓55aや第1開口51aの側面が面内方向に対して斜めとなるので、各膜51、55の膜剥がれを防止できると共に、異物Pが第1窓55aや第1開口51aの内部に溜まり難くなる。
【0139】
(2)第2実施形態
図25及び図26は、本実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図である。なお、これらの図において第1実施形態で説明した要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0140】
この表面形状センサを製造するには、まず、第1実施形態で説明した図1〜図17の工程を行う。
【0141】
そして、第8レジストパターン53(図17参照)を除去した後、図25に示すように、窒化シリコンよりなる保護絶縁膜51の第1開口51aの開口端を面取りする。
【0142】
この面取りは、第1実施形態の図19の工程と同様に、(i)アルゴンガス等の不活性ガスのみからなるプラズマ雰囲気によるスパッタエッチング、(ii)ハロゲンガスを含むプラズマエッチングの雰囲気における反応性イオンエッチング、及び(iii)CMP法のいずれかの方法により、保護絶縁膜51の表面を削ることで行われる。
【0143】
このうち、第1の方法(i)と第2の方法(ii)の条件は、第1実施形態において図19を参照して説明したのと同じなので省略する。
【0144】
一方、第3の方法(iii)におけるCMP法では、図20及び図21で説明したCMP装置を用い、以下の条件が採用される。
【0145】
(研磨条件)
研磨パッド102の種類:積層タイプパッド(下層はウレタン層)
インナーチューブ104内の圧力…3.5〜5.5psi
リテーニングリング103の圧力(第3配管108内の圧力)…4.5〜6.5psi
メンブレン114の圧力(第2配管108の内の圧力)…2.0〜4.0psi
プラテン101の回転数…105rpm±10%
研磨ヘッド110の回転数…70rpm±10%
スラリーの供給量…250〜250ml/分
(コンディショニング条件)
コンディショニングのタイミング…研磨と同時(In-situ)
ヘッド116aの圧力…6.0〜9.0lbf(重量ポンド)
ヘッド116aの回転数…95rpm±10%
プラテン101の回転数…105rpm±10%
なお、これら第1〜第3の方法(i)〜(iii)のいずれにおいても、保護絶縁膜51の削り量は元の厚さの10〜20%とする。例えば、保護絶縁膜51の元の厚さが1000nmのとき、削り量は100〜200nmとなる。
【0146】
その後に、第1実施形態の図18と同じ工程を行って保護絶縁膜51の上に非感光性ポリイミドよりなるパッシベーション膜55を形成した後、図26に示すように、パッシベーション膜55の第1窓55aの開口端を面取りする。この面取りの方法は、第1実施形態において図19を参照して説明したのでここでは省略する。
【0147】
以上により、本実施形態に係る表面形状センサの基本構造が完成した。
【0148】
上記した本実施形態では、図25に示したように、パッシベーション膜55を形成する前に、保護絶縁膜51の第1開口51aの開口端を予め面取りした。これにより、パッシベーション膜55に対して面取りを行う工程(図26参照)において、第1開口51aの開口端が削られて第1実施形態よりも更に滑らかとなるので、第1開口51aにより一層指が引っかかり難くなり、保護絶縁膜51に膜剥がれが発生するのを確実に防止できるようになる。
【0149】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されない。例えば、上記ではスイープ型の表面形状センサについて説明したが、エリア型(面型)の表面形状センサにも本発明を適用し得る。
【0150】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0151】
(付記1) 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に互いに間隔をおいて形成された検出電極膜及び接地電極膜と、
前記層間絶縁膜、前記検出電極膜、及び接地電極膜のそれぞれ上に形成され、該接地電極膜が露出する開口を備えた保護絶縁膜と、
前記保護絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜と前記開口に重なる窓を備えたパッシベーション膜とを有し、
前記窓の開口端が面取りされたことを特徴とする表面形状センサ。
【0152】
(付記2) 前記開口の開口端が面取りされたことを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0153】
(付記3) 半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上に、検出電極膜と接地電極膜とを互いに間隔をおいて形成する工程と、
前記層間絶縁膜、前記検出電極膜、及び前記接地電極膜のそれぞれ上に保護絶縁膜を形成する工程と、
前記接地電極膜が露出する開口を前記保護絶縁膜に形成する工程と、
前記検出電極膜と前記開口に重なる窓を備えたパッシベーション膜を前記保護絶縁膜の上に形成する工程と、
前記窓の開口端を面取りする工程と、
を有することを特徴とする表面形状センサの製造方法。
【0154】
(付記4) 前記窓の開口端を面取りする工程は、エッチング雰囲気中に該開口端を曝して行われることを特徴とする付記3に記載の表面形状センサの製造方法。
【0155】
(付記5) 前記エッチング雰囲気は、不活性ガスのみからなるスパッタエッチングの雰囲気、又はハロゲンガスを含むプラズマエッチングの雰囲気であることを特徴とする付記4に記載の表面形状センサの製造方法。
【0156】
(付記6) 前記窓の開口端を面取りする工程は、化学機械研磨法により前記パッシベーション膜を研磨して行われることを特徴とする付記3に記載の表面形状センサの製造方法。
【0157】
(付記7) 前記化学機械研磨法は、硬さが60 Shore D以上の硬質タイプパッドを用いて、インナーチューブ内の圧力を6〜8psi、リテーニングリングの圧力を6.5〜9.0psi、メンブレンの圧力を4.0〜6.0psi、プラテンの回転数を105rpm±10%、研磨ヘッドの回転数を70rpm±10%、及びスラリーの供給量を120〜200ml/分として行われることを特徴とする付記6に記載の表面形状センサの製造方法。
【0158】
(付記8) 前記研磨の前に、前記化学機械研磨法で使用される研磨パッドの表面状態を整えるためのコンディショニングを行うことを特徴とする付記6に記載の表面形状センサの製造方法。
【0159】
(付記9) 前記コンディショニングは、コンディショニング用のヘッドの圧力を5.0〜9.0lbf、該ヘッドの回転数を95rpm±10%、及びプラテンの回転数を105rpm±10%として行われることを特徴とする付記8に記載の表面形状センサ。
【0160】
(付記10) 前記パッシベーション膜を研磨した後に、該パッシベーション膜に対して熱処理を施し、該パッシベーション膜を脱水する工程を更に有することを特徴とする付記6に記載の表面形状センサの製造方法。
【0161】
(付記11) 前記パッシベーション膜を形成する前に、前記開口の開口端を面取りする工程を更に有することを特徴とする付記3に記載の表面形状センサの製造方法。
【0162】
(付記12) 前記開口の開口端を面取りする工程は、エッチング雰囲気中に該開口の開口端を曝して行われることを特徴とする付記11に記載の表面形状センサの製造方法。
【0163】
(付記13) 前記開口の開口端を面取りする工程は、化学機械研磨法により前記保護絶縁膜を研磨して行われることを特徴とする付記11に記載の表面形状センサの製造方法。
【0164】
(付記14) 前記化学機械研磨法は、積層タイプパッドを用い、インナーチューブ内の圧力を3.5〜5.5psi、リテーニングリングの圧力を4.5〜6.5psi、メンブレンの圧力を2.0〜4.0psi、プラテンの回転数を105rpm±10%、研磨ヘッドの回転数を70rpm±10%、及びスラリーの供給量を250〜250ml/分として行われることを特徴とする付記13に記載の表面形状センサ。
【0165】
(付記15) 前記研磨と同時に、前記化学機械研磨法で使用される研磨パッドの表面状態を整えるためのコンディショニングを行うことを特徴とする付記13に記載の表面形状センサの製造方法。
【0166】
(付記16) 前記コンディショニングは、コンディショニング用のヘッドの圧力を6.0〜9.0lbf、ヘッドの回転数の95rpm±10%、及びプラテンの回転数を105rpm±10%として行われることを特徴とする付記15に記載の表面形状センサの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】図1(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その3)である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その4)である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その5)である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その6)である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その7)である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その8)である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その9)である。
【図10】図10は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その10)である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その11)である。
【図12】図12は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その12)である。
【図13】図13は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その13)である。
【図14】図14は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その14)である。
【図15】図15は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その15)である。
【図16】図16は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その16)である。
【図17】図17は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その17)である。
【図18】図18は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その18)である。
【図19】図19は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その19)である。
【図20】図20は、本発明の第1実施形態で使用されるCMP装置の要部拡大断面図である。
【図21】図21は、本発明の第1実施形態で使用されるCMP装置の上面図である。
【図22】図22は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの動作について説明するための断面図である
【図23】図23は、本発明の第1実施形態に係る表面形状センサの平面図である。
【図24】図24は、比較例に係る表面形状センサの断面図である。
【図25】図25は、本発明の第2実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その1)である。
【図26】図26は、本発明の第2実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その2)である。
【符号の説明】
【0168】
10…シリコン基板、11…素子分離絶縁膜、12…第1pウェル、13…第2pウェル、14…ゲート絶縁膜、15…ゲート電極、16…配線、17a〜17c…第1〜第3ソース/ドレインエクステンション、18…絶縁性スペーサ、19a〜19c…第1〜第3ソース/ドレイン領域、20…高融点シリサイド層、21…カバー絶縁膜、22…第1絶縁膜、23…第1層間絶縁膜、23a〜23e…第1〜第5コンタクトホール、24…第1レジストパターン、24a〜24e…窓、25a〜25e…第1〜第5導電性プラグ、26…第1金属積層膜、26a…一層目金属配線、27…第2レジストパターン、28…第2絶縁膜、29…第1キャップ絶縁膜、30…第2層間絶縁膜、30a…第1ホール、32…第3レジストパターン、34…第6導電性プラグ、35…第2金属積層膜、36…第4レジストパターン、37…カバー絶縁膜、38…第3絶縁膜、39…犠牲絶縁膜、40…第3層間絶縁膜、43…第5レジストパターン、43a、43b…窓、44…導電膜、44a…検出電極膜、44b…接地電極膜、46…第6レジストパターン、48…第7レジストパターン、48a…窓、50…カバー絶縁膜、51…保護絶縁膜、53…第8レジストパターン、53a、53b…窓、55…パッシベーション膜、55a、55b…第1、第2窓。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に互いに間隔をおいて形成された検出電極膜及び接地電極膜と、
前記層間絶縁膜、前記検出電極膜、及び接地電極膜のそれぞれ上に形成され、該接地電極膜が露出する開口を備えた保護絶縁膜と、
前記保護絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜と前記開口に重なる窓を備えたパッシベーション膜とを有し、
前記窓の開口端が面取りされたことを特徴とする表面形状センサ。
【請求項2】
前記開口の開口端が面取りされたことを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項3】
半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上に、検出電極膜と接地電極膜とを互いに間隔をおいて形成する工程と、
前記層間絶縁膜、前記検出電極膜、及び前記接地電極膜のそれぞれ上に保護絶縁膜を形成する工程と、
前記接地電極膜が露出する開口を前記保護絶縁膜に形成する工程と、
前記検出電極膜と前記開口に重なる窓を備えたパッシベーション膜を前記保護絶縁膜の上に形成する工程と、
前記窓の開口端を面取りする工程と、
を有することを特徴とする表面形状センサの製造方法。
【請求項4】
前記窓の開口端を面取りする工程は、化学機械研磨法により前記パッシベーション膜を研磨して行われることを特徴とする請求項3に記載の表面形状センサの製造方法。
【請求項5】
前記パッシベーション膜を形成する前に、前記開口の開口端を面取りする工程を更に有することを特徴とする請求項3に記載の表面形状センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−116366(P2008−116366A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300834(P2006−300834)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】