説明

表面材貼着構造及び表面材貼着方法

【課題】生産性を向上し得るとともに見栄えを向上し得る表面材貼着構造及び表面材貼着方法を提供する。
【解決手段】一角部24を介して互いに隣接する第1面21、第2面22及び第3面23を備えた基材20に、薄板状の表面材30を貼着する表面材貼着構造1であって、前記表面材は、前記基材の前記第1面、前記第2面及び前記第3面のそれぞれに対応させた第1板状部31、第2板状部32及び第3板状部33を有し、前記第2板状部は、前記第1板状部から延設され、前記第3板状部は、前記第1板状部から延設され、前記第2板状部及び前記第3板状部のそれぞれの前記一角部側の各側端部には、当該表面材が前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝の部位で折り曲げられて前記基材に貼着された状態で、前記第2板状部の表面と前記第3板状部の表面とが連なるような略連続面となるように、互いに突き合わせられる突き合わせ面部35,37がそれぞれに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に、薄板状の表面材を貼着する表面材貼着構造及び表面材貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より板状や箱状の基材(芯材)の表面に、化粧材として薄板状の表面材を貼着する構造が知られている。
例えば、下記特許文献1では、板状の芯材の外面に沿わせて表面化粧材及び裏面材を貼着した構造とされた扉パネルが提案されている。このものでは、表面化粧材及び裏面材の芯材の縁部に対応する裏面に、断面V字状の折曲溝を設け、この折曲溝で折り曲げて、芯材の四周を被覆するように表面化粧材及び裏面材を貼着する構造とされている。
このような扉パネルでは、上記のように四周を被覆するように表面材を折り曲げて貼着した後、上下端面を化粧面とする必要がある場合には、一般的に、上下端面のそれぞれに端面用の表面材(エッジシート)を貼着する構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−68272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記エッジシートを貼着する構造では、貼着工程が煩雑になり、芯材に貼着された表面材と端面に貼着されたエッジシートとの継ぎ目が隣接する各縁部において発生し、各継ぎ目における品質管理が必要となり、生産性が悪いという問題があった。また、各縁部における継ぎ目の発生により、見栄えが悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、生産性を向上し得るとともに見栄えを向上し得る表面材貼着構造及び表面材貼着方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る表面材貼着構造は、一角部を介して互いに隣接する第1面、第2面及び第3面を備えた基材に、薄板状の表面材を貼着する表面材貼着構造であって、前記表面材は、前記基材の前記第1面、前記第2面及び前記第3面のそれぞれに対応させた第1板状部、第2板状部及び第3板状部を有し、前記第2板状部は、前記第1板状部から延設され、これらの境界部位の裏面には、前記第1面と前記第2面とが交差する第1稜線に対応させた第1折曲溝が設けられ、前記第3板状部は、前記第1板状部から延設され、これらの境界部位の裏面には、前記第1面と前記第3面とが交差する第2稜線に対応させた第2折曲溝が設けられており、前記第2板状部及び前記第3板状部のそれぞれの前記一角部側の各側端部には、当該表面材が前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝の部位で折り曲げられて前記基材に貼着された状態で、前記第2板状部の表面と前記第3板状部の表面とが連なるような略連続面となるように、互いに突き合わせられる突き合わせ面部がそれぞれに設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記表面材を、基板の表面に化粧シートを積層した構造とし、前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝を、前記化粧シートを残すようにして前記基板に形成してもよい。
また、本発明においては、前記表面材の前記第2板状部及び前記第3板状部のそれぞれの突き合わせ面部を、一平面状の傾斜面としてもよい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る表面材貼着方法は、一角部を介して互いに隣接する第1面、第2面及び第3面を備えた基材に、薄板状の表面材を貼着する表面材貼着方法であって、前記表面材に、前記基材の前記第1面に対応させた第1板状部を設け、前記基材の前記第2面に対応させた第2板状部を前記第1板状部から延設し、これらの境界部位の裏面に、前記第1面と前記第2面とが交差する第1稜線に対応させた第1折曲溝を設け、前記基材の前記第3面に対応させた第3板状部を前記第1板状部から延設し、これらの境界部位の裏面に、前記第1面と前記第3面とが交差する第2稜線に対応させた第2折曲溝を設け、かつ、前記第2板状部及び前記第3板状部のそれぞれの前記一角部側の各側端部に、前記表面材を前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝の部位で折り曲げて前記基材に貼着した状態で、前記第2板状部の表面と前記第3板状部の表面とが連なるような略連続面となるように、互いに突き合わせられる突き合わせ面部をそれぞれに設けて、前記表面材を前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝の部位で折り曲げ、前記突き合わせ面部を突き合わせて前記表面材を前記基材に貼着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る表面材貼着構造及び表面材貼着方法は、上述のような構成としたことで、生産性を向上させることができるとともに見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)〜(c)は、いずれも本発明の一実施形態に係る表面材貼着構造を模式的に示す説明図であり、(a)は、同表面材貼着構造に用いられる表面材の一例を模式的に示す概略裏面図、(b)は、同表面材及び同表面材貼着構造に用いられる基材の一例を模式的に示す概略斜視図、(c)は、同表面材貼着構造を用いた板状部材の一例を模式的に示す一部破断概略裏面図である。
【図2】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る表面材貼着方法及び同表面材貼着構造について説明するための説明図であり、(a)は、概略正面図、(b)は、概略斜視図、(c)は、図1(c)に対応させた概略正面図、(d)は、図1(a)におけるX−X線矢視に対応させた一部破断概略拡大断面図である。
【図3】同表面材貼着構造の一変形例を用いたパネル材の一例を模式的に示す概略正面図、及び一点鎖線内を拡大して示す概略拡大正面図である。
【図4】(a)は、同パネル材の横框の一例を構成する表面材の一例を模式的に示す一部破断概略裏面図、(b)は、同横框の製造工程の一例を説明するための説明図であり、一部破断概略拡大底面(平面)図、(c)は、(b)に対応させた一部破断概略拡大側面図、(d)は、(c)におけるY−Y線矢視に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、いずれも本発明の他の実施形態に係る表面材貼着構造を模式的に示す説明図であり、(a)、(c)は、それぞれ図1(a)に対応させた一部破断概略裏面図、(b)、(d)は、それぞれ図1(c)に対応させた一部破断概略裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、第1実施形態に係る表面材貼着構造及び表面材貼着方法について説明するための概念的な説明図である。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0012】
本実施形態では、図1(b)、(c)及び図2(c)に示すように、略矩形平板状の基材20に表面材としての表面化粧材30を貼着した略矩形平板状の板状部材10に、本実施形態に係る表面材貼着構造1を用いた例を示している。
【0013】
基材20は、図1(b)、(c)に示すように、図示上方に向く第1面としての上面21と、第2面としての幅方向の両端面22,22と、第3面としての長手方向の両端面23,23と、裏面とを有した六面体状とされている。上面21と幅方向の両端面22,22とは、略直交するように交差して第1稜線25,25が形成されている。上面21と長手方向の両端面23,23とは、略直交するように交差して第2稜線26,26が形成されている。幅方向の端面22と長手方向の端面23とは、略直交するように交差して第3稜線27が形成されている。これら上面21、幅方向の端面22及び長手方向の端面23は、一角部24を介して互いに隣接している。
【0014】
基材20としては、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、またはインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系材料を板状に加工したものが挙げられる。
または、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)を板状に加工したものとしてもよい。これらは、適宜、組み合わせて積層し、上記基材を構成するようにしてもよい。
なお、基材20としては、木質系材料から製されたものに限られず、合成樹脂系材料や金属系材料等から製されたものとしてもよい。
また、上記各種の材料から板状に形成されたものに限られず、縦枠や横枠等により枠組みした枠部材の間に、厚さ方向に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるハニカムコアなどのコア材を配設した、いわゆるフラッシュ構造の基材としてもよい。
【0015】
表面化粧材30は、薄板状とされており、図1に示すように、上面21、幅方向の両端面22,22及び長手方向の両端面23,23のそれぞれに対応させた第1板状部31、第2板状部32,32及び第3板状部33,33を有している。
第2板状部32,32は、第1板状部31の幅方向両端部から幅方向外方側に向けてそれぞれ延設されており、これらと第1板状部31との境界部位の裏面には、基材20の第1稜線25,25に対応させた第1折曲溝34,34がそれぞれに設けられている。
第3板状部33,33は、第1板状部31の長手方向両端部から長手方向外方側に向けてそれぞれ延設されており、これらと第1板状部31との境界部位の裏面には、基材20の第2稜線26,26に対応させた第2折曲溝36,36がそれぞれに設けられている。
【0016】
この表面化粧材30は、本実施形態では、図2(d)に示すように、上記同様の木質系板材を基板38とし、その表面(図示下方に向く面)に化粧シート39を積層させた構造とされている。本実施形態では、MDF等の木質繊維板からなる基板38の表面に、合成樹脂化粧シート(フィルム)39を積層させた構造としている。なお、このような態様に代えて、基板の表面に化粧シートとしての化粧紙を積層させた構造としてもよい。または、基板の表面に、防汚性塗料や耐光性塗料、撥水性塗料等の塗布によるコーティング処理を施して塗膜層を設けた構造としてもよい。この場合、各折曲溝で折り曲げた際に、表面側に割裂等が生じないような塗膜層とすることが好ましい。
【0017】
上記のような積層構造とされた表面化粧材30の裏面に形成された各折曲溝34,36は、図2(d)に示すように、断面略V字形状とされている。これら折曲溝34,36は、合成樹脂化粧シート39を少なくとも残すようにして、基板38に形成されており、例えば、当該表面化粧材30の裏面側からルーター等の切削工具等によって切削することで形成するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、基材20に表面化粧材30を貼着した板状部材10の上面側の各縁部(出隅部)を略直角形状とし、これに対応させて、これら折曲溝34,36の溝底の角度を略直角としたものを例示しているが、このような態様に限られない。例えば、この板状部材10の上面側の各縁部に、C面取り形状やR面取り形状等の面取り部を形成する場合には、その形状に対応させた本数及び溝形状の折曲溝を設けるようにすればよい。
【0018】
第2板状部32における第1板状部31と連設する端部にそれぞれ直交し、この端部の長手方向の両端に連なる両側端部には、突き合わせ面部35,35がそれぞれに設けられている。第3板状部33における第1板状部31と連設する端部にそれぞれ直交し、この端部の長手方向の両端に連なる両側端部には、突き合わせ面部37,37がそれぞれに設けられている。つまり、これら突き合わせ面部35,37は、第2板状部32及び第3板状部33のそれぞれの一角部24に対応する側の各側端部に設けられている。
これら突き合わせ面部35,37は、当該表面化粧材30が各折曲溝34,36の部位で折り曲げられて基材20に貼着された状態で、第2板状部32の表面と第3板状部33の表面とが連なるような略連続面となるように、互いに突き合わせられる形状とされている。つまり、これら突き合わせ面部35,37の表面側の縁部が、突き合わせられた状態で、互いに近接乃至は当接する構成とされている。また、これら突き合わせ面部35,37の裏面側の縁部は、突き合わせられた状態で、互いに近接乃至は当接するとともに、基材20の四隅に形成された第3稜線27に近接乃至は当接する構成とされている。
【0019】
図例では、これら突き合わせ面部35,37は、図1(c)に示すように、互いに突き合わせられた状態で、一平面状に当接する傾斜面とされ、それぞれの側端部を斜め略45度に切削して形成されている。なお、第2板状部と第3板状部との厚さ寸法が異なる場合には、これらの各側端部に設ける突き合わせ面部同士が互いに突き合わせられるような角度の傾斜面とすればよい。
第2板状部32の各突き合わせ面部35,35は、第2折曲溝36,36を切削加工する際に、同一工程で切削加工することができる。第3板状部33の各突き合わせ面部37,37は、第1折曲溝34,34を切削加工する際に、同一工程で切削加工することができる。
なお、第2板状部と第3板状部との厚さ寸法が異なる場合には、これらの各側端部に設ける突き合わせ面部同士が互いに突き合わせられるような角度の傾斜面とすればよい。
また、この表面化粧材30の厚さは、建具や内装パネル、家具材などに板状部材10が用いられる場合には、例えば、1.0mm〜5.0mm程度としてもよい。
【0020】
次に、上記構成とされた基材20に表面化粧材30を貼着する方法について説明する。
まず、表面化粧材30の裏面及び基材20の表面の両方または一方に、接着手段としての接着剤を塗布する。この際、表面化粧材30の各折曲溝34,36及び各突き合わせ面部35,37にも接着剤を塗布するようにしてもよい。なお、接着剤に代えて、または加えて、両面接着テープ(両面粘着テープ)を接着手段として採用するようにしてもよい。
次いで、図1(b)及び図2(a)に示すように、表面化粧材30の第1板状部31と基材20の上面21とを整合させるようにして、表面化粧材30を基材20の上面21に載置する。
【0021】
そして、図2(a)、(b)に示すように、表面化粧材30の第2板状部32,32を、基材20の幅方向の各端面22,22に向けて第1折曲溝34,34で折り曲げ、これら第2板状部32,32を、各端面22,22に貼着する。
また、表面化粧材30の第3板状部33,33を、基材20の長手方向の各端面23,23に向けて第2折曲溝36,36で折り曲げ、これら第3板状部33,33を、各端面23,23に貼着する。これら第2板状部32及び第3板状部33の貼着は、いずれ側を先に行うようにしてもよく、または同時に行うようにしてもよい。
次いで、必要に応じて、表面化粧材30の表面、つまり、第1板状部31、第2板状部32,32及び第3板状部33,33の各表面を、ローラープレス等によってプレスするようにしてもよい。
【0022】
上記のように表面化粧材30を基材20に貼着した状態では、第2板状部32の突き合わせ面部35と第3板状部33の突き合わせ面部37とが互いに突き合わせられる。また、これら突き合わせ面部35,37が設けられた第2板状部32の表面と第3板状部33の表面とは、図1(c)に示すように、略直交し、これらの表面が連なるような略連続面となる。つまり、本実施形態に係る表面材貼着構造1を用いた板状部材10の四周端面は、同一の表面化粧材30でその表面が化粧面とされ、これら四周端面が連なるような略連続面となる。
【0023】
以上のように本実施形態に係る表面材貼着構造1によれば、一角部24を介して互いに隣接する各面21,22,23を備えた基材20に表面化粧材30を容易にかつ見栄え良く貼着することができ、生産性を向上させることができる。
つまり、基材20の第1稜線25,25に対応する板状部材10の上面側の幅方向の両縁部は、表面化粧材30の第1板状部31の表面と第2板状部32,32の各表面とによって連なる連続面となり、継ぎ目が形成されることがない。また、基材20の第2稜線26,26に対応する板状部材10の上面側の長手方向の両縁部は、表面化粧材30の第1板状部31の表面と第3板状部33,33の各表面とによって連なる連続面となり、継ぎ目が形成されることがない。さらに、基材20の第3稜線27に対応する板状部材10の各縁部は、第2板状部32及び第3板状部33の各突き合わせ面部35,37が突き合わせられて、これら第2板状部32の表面と第3板状部33の表面とが連なるような略連続面となる。
【0024】
すなわち、一角部24を介して互いに隣接する上面21、幅方向の端面22及び長手方向の端面23を備えた基材20の第3稜線27に対応する板状部材10の縁部以外の縁部には、継ぎ目が形成されない。従って、上述したような端面用の表面材(エッジシート)を貼着する構造としたものと比べて、継ぎ目における貼着ズレ等の品質管理を容易に行え、生産性を向上させることができ、また、見栄えを向上させることができる。また、上述したような端面用の表面材(エッジシート)を貼着する構造としたものと比べて、継ぎ目が少なくなることから、剥がれ等の問題も低減することができる。
また、基材に塗装や樹脂シートのラッピング等を施すことにより化粧面を形成する場合には、端面への塗装工程が煩雑となったり、樹脂シートが伸びて化粧面の模様が変形したりする場合があるが、本実施形態によれば、このような問題も防止することができる。
【0025】
さらに、本実施形態では、基板38の表面に化粧シート39を積層した構造の表面化粧材30を採用し、第1折曲溝34及び第2折曲溝36を、化粧シート39を残すようにして基板38に形成している。従って、木質系材料等からなる表面材の裏面に折曲溝を設けて折り曲げるものでは、折り曲げた部位において表面側に割裂等が生じることが考えられるが、表面側の化粧シート39によってこのような割裂を防止することができる。
さらにまた、本実施形態では、表面化粧材30の第2板状部32及び第3板状部33のそれぞれの突き合わせ面部35,37を、一平面状の傾斜面としている。従って、これら突き合わせ面部35,37を容易に加工することができる。また、特に、本実施形態のように、各折曲溝34,36を単一の略V字状溝とし、折り曲げ部位及び突き合わせ部位の表面側を略直角の角部(出隅部)とする場合には、折曲溝34(36)と突き合わせ面部37(35)とを一連の工程で切削加工できるので、生産性をより向上させることができる。
【0026】
次に、本実施形態に係る表面材貼着構造の一変形例を用いたパネル材の一例について、図3及び図4に基づいて説明する。
本変形例では、本変形例に係る表面材貼着構造1Aを、図3に示すように、框組のパネル材(框組パネル)100の上下一対の横框40,40に用いた例を示している。
框組パネル100は、上下(縦方向)に長尺の略矩形板状とされ、左右一対の縦框2,2と上下一対の横框40,40とを框組して構成されている。
この框組パネル100は、折戸を構成する戸板や、開閉扉、引戸等の扉パネル(建具)として施工されるものとしてもよく、その他、家具材の扉パネルとして家具材に組み付けられるものとしてもよい。さらには、その他の内装材として用いられるものとしてもよい。
【0027】
一対の縦框2,2は、それぞれ上下に長尺の略細長板状とされており、これらの幅方向内方側(当該框組パネル100の幅方向中心側)端部のそれぞれには、突条部2b,2bが内方側に向けて突設されている(図3では、一点鎖線内において一方の突条部2bのみを示している。)。これら突条部2b,2bは、各縦框2,2の上下方向(当該框組パネル100の上下方向と同方向)の略全長に亘って設けられている。
【0028】
縦框2は、その外周表面の少なくとも露出する部位(当該框組パネル100が施工された状態または他部材と組み付けられた状態で露出する部位)が化粧面とされている。図例では、当該縦框2の表面(当該框組パネル1の手前側の面及び背面側の面)2a,2a、この表面2a,2aに連なる段壁面2c,2c、この段壁面2c,2cに連なり段底面となる突条部2bの厚さ方向両側表面2d,2d、及び表面2a,2aに連なる当該縦框2の幅方向外方側端面が化粧面とされている。
この縦框2の化粧面は、基材に塗装や樹脂シートのラッピング等を施すことにより形成するようにしてもよく、基材に薄板状の表面化粧材を折り曲げるようにして貼着し、縦框2を構成し、この表面化粧材の表面を化粧面としてもよい。
【0029】
一対の横框40,40は、一対の縦框2,2の上端部間及び下端部間に架設されるように設けられており、略矩形板状とされている。各横框40,40の幅方向(当該框組パネル100の幅方向と同方向)両端部には、幅方向外方側に向けて開口した凹溝部45,45が上下方向に沿って形成されている(図3では、一点鎖線内において一方の凹溝部45のみを示している。)。この凹溝部45の溝幅(当該框組パネル100の厚さ方向に沿う幅)寸法は、縦框2の突条部2bの厚さ寸法と概ね同寸法とされ、この凹溝部45に、縦框2の突条部2bが嵌合される。
【0030】
また、この凹溝部45は、縦框2の突条部2bを嵌合させて框組体を形成した状態で、縦框2の表面2aと横框40の表面41との間に溝状部3が形成されるように、縦框2の突条部2bの突出寸法よりも深さ(当該框組パネル100の幅方向に沿う深さ)寸法が小さく形成されている。換言すれば、縦框2の突条部2bの突出寸法が、上記のように溝状部3が形成されるように、横框40の凹溝部45の深さ寸法よりも大きく形成されている。
また、各横框40,40の上下方向内方側(当該框組パネル100の上下方向中心側)端部のそれぞれには、突条部42,42が内方側に向けて突設されている(図3では、一点鎖線内において一方の突条部42のみを示している。)。これら突条部42,42は、各横框40,40の幅方向の略全長に亘って設けられている。この横框40の突条部42の厚さ寸法及び突出寸法は、縦框2の突条部2bの厚さ寸法及び突出寸法と概ね同寸法とされている。
【0031】
横框40は、縦框2と同様、その外周表面の少なくとも露出する部位が化粧面とされている。図例では、当該横框40の表面41,41、この表面41,41に連なる段壁面43,43、この段壁面43,43に連なり段底面となる突条部42の厚さ方向両側表面44,44が化粧面とされている。また、当該横框40の表面41,41に連なる幅方向両側端面の凹溝部45の溝縁までが化粧面とされて化粧端面46,46とされている。
この横框40は、表面材貼着構造1Aが用いられ、上記第1実施形態と同様、図4に示すように、基材50に貼着された薄板状の表面化粧材60の表面69(図4(b)、(c)参照)が上記化粧面となる。
【0032】
基材50は、基材本体部と突条部42を構成する突条基部とを有している。本変形例では、この基材50の厚さ方向両側に、図4(b)、(c)に示すように、二枚の表面化粧材60,60を折り曲げるようにして貼着し、上記化粧面を構成している。
表面化粧材60は、上記第1実施形態と同様の積層構造とされている。この表面化粧材60は、図4(a)に示すように、第1板状部61と、この第1板状部61の幅方向両外方側に延設された第2板状部62,62と、第1板状部61の上下方向内方側に延設された第3板状部63とを備えている。図4(a)〜(c)に示すように、第1板状部61は基材50の第1面としての表面51に対応させて形成されている。第2板状部62,62は基材50の第2面としての幅方向両端面52,52のそれぞれに対応させて形成されている。第3板状部63は基材50の第3面としての段壁面53及び突条基部の表面54に対応させて形成されている。
【0033】
この表面化粧材60の裏面には、複数本の断面略V字形状とされた折曲溝が設けられている。図例では、第1板状部61と、第2板状部62,62との境界部位に、基材50の表面51と基材50の幅方向両端面52,52とが交差する第1稜線に対応させた上記同様の第1折曲溝64,64をそれぞれに設けている。また、第1板状部61と、第3板状部63との境界部位に、基材50の表面51と基材50の段壁面53とが交差する第2稜線に対応させた上記同様の第2折曲溝66を設けている。また、本変形例では、この第3板状部63の裏面に、基材50の段壁面53と基材50の突条基部の表面54との角部(入隅部)に対応させた第3折曲溝68を設けている。
【0034】
また、第2板状部62,62の上下方向内方側の各側端部及び第3板状部63の幅方向両側端部には、上記第1実施形態と概ね同様の突き合わせ面部65,65,67,67が設けられている。
上記構成とされた表面化粧材60の基材50への貼着は、上記第1実施形態と同様にしてなされる。そして、必要に応じて、幅方向両端部に凹溝部45を形成するようにしてもよい。
このように基材50に表面化粧材60が貼着された横框40は、その外周表面のうち、上下方向両端面及び凹溝部45以外の面が、概ね継ぎ目等が形成されることなく略連続した一連の化粧面となる。
つまり、基材50の上記第1稜線に対応する横框40の両縁部は、表面化粧材60の第1板状部61の表面(41)と第2板状部62,62の表面(46,46)とによって連なる連続面となり、継ぎ目が形成されることがない。また、基材50の上記第2稜線に対応する横框40の縁部は、表面化粧材60の第1板状部61の表面(41)と第3板状部63の表面(43)とによって連なる連続面となり、継ぎ目が形成されることがない。さらに、基材50の段壁面の幅方向両端の稜線(第1実施形態における第3稜線に相当)に対応する横框40の両縁部は、第2板状部62,62及び第3板状部63に設けられた突き合わせ面部65,67が突き合わせられて、これら第2板状部62,62の表面(46,46)と第3板状部63の表面(43)とが連なるような略連続面となる。
【0035】
上記構成とされた一対の縦框2,2と、一対の横框40,40とは、縦框2,2の各内方側端面及び横框40の幅方向両端面に形成されたダボ穴にダボを圧入等して框組される。また、縦框2の突条部2bを横框40の凹溝部45に嵌合させて框組される。この際、接着剤を用いるようにしてもよい。
このように框組された状態では、これら左右の縦框2,2の各表面2a,2aと上下の横框40,40の各表面41,41との間に、上下方向に沿う左右に二本の溝状部3,3がそれぞれ形成される。
また、本変形例では、上記のように框組された框組体の開口に、鏡板4を設けている。この鏡板4は、その厚さ寸法が縦框2及び横框40の各突条部2b,42の厚さ寸法よりも薄い薄板状とされている。また、この鏡板4は、その四周が縦框2及び横框40の各突条部2b,42の厚さ方向両側に固定された額縁材5,5によって挟持されている(図例では、手前側の額縁材5のみを示している)。
【0036】
この額縁材5は、図3に示すように、当該額縁材5の表面5aと框組体の表面(縦框2の表面2a及び横框40の表面41)との間に、溝状間隙6が形成されるように固定される構造とされている。つまり、開口の四周辺部の各突条部2b,42に固定された額縁材5の左右、上下の四周の全周に亘って溝状間隙6が形成される。
このような構成とされた框組パネル100では、溝状部3及び溝状間隙6の形成により、横框40の幅方向両端面の一部46、上下方向内方側端部の段壁面43及び突条部42の表面44の一部が露出するが、表面材貼着構造1Aによって、見栄えを向上させることができる。
つまり、上記第1実施形態において説明したように継ぎ目が少なくなり、継ぎ目における貼着ズレ等の品質管理を容易に行え、生産性を向上させることができ、また、見栄えを向上させることができる。
なお、本変形例では、基材の上下方向外方側端面には表面化粧材を貼着しない構造としているが、上記第1実施形態と同様にして、この上下方向外方側端面にも表面化粧材を貼着する構造としてもよい。
【0037】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5(a)、(b)は、第2実施形態に係る表面材貼着構造について説明するための概念的な説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
【0038】
本実施形態に係る表面材貼着構造1Bは、表面化粧材30Aの第2板状部32及び第3板状部33のそれぞれの側端部に形成された突き合わせ面部35A,37Aの形状が、上記第1実施形態とは異なる。
これら突き合わせ面部35A,37Aは、図5(a)、(b)に示すように、一平面状の傾斜面とされておらず、多面形状(段差形状)の突き合わせ面部とされており、図例ではそれぞれが三面からなる突き合わせ面部とされている。これら突き合わせ面部35A,37Aは、図5(b)に示すように、互いに突き合わせられた状態では、多面形状の各面が噛み合うようにして当接する。
また、このように突き合わせられた状態では、上記第1実施形態と同様、これら突き合わせ面部35A,37Aが設けられた第2板状部32の表面と第3板状部33の表面とが連なるような略連続面となり、上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。
【0039】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5(c)、(d)は、第3実施形態に係る表面材貼着構造について説明するための概念的な説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
【0040】
本実施形態に係る表面材貼着構造1Cは、表面化粧材30Bの第2板状部32及び第3板状部33の各側端部の構成が、上記第1実施形態とは異なる。
本実施形態では、第2板状部32及び第3板状部33の側端部の裏面に、折曲溝32a,33aをそれぞれに設けている。また、これら折曲溝32a,33aが設けられた部位の端部は、当該表面化粧材30Bの他の部位よりも薄く形成されており、その側端面がそれぞれ突き合わせ面部35B,37Bとされている。
これら折曲溝32a,33a及び突き合わせ面部35B,37Bは、各折曲溝32a,33aで折り曲げられて、各突き合わせ面部35B,37Bが互いに突き合わせられた状態で、その表面側の角部が図5(d)に示すように、C面取り形状となるように形成されている。
【0041】
上記のように突き合わせられた状態では、上記第1実施形態と同様、これら突き合わせ面部35B,37Bが設けられた第2板状部32の表面と第3板状部33の表面とが連なるような略連続面となり、上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。
また、本実施形態に係る表面材貼着構造1Cを用いた板状部材10Aの四周角部は、C面取り形状となる。なお、四周角部がC面取り形状となるように、第2板状部及び第3板状部の側端部の裏面に折曲溝を設ける態様に代えて、四周角部がR面取り形状となるように、第2板状部及び第3板状部の側端部の裏面に折曲溝を設ける態様としてもよい。
【0042】
なお、上記各実施形態に係る表面材貼着構造を用いた板状部材は、上記変形例において説明したようにパネル材の一部材として用いられるものに限られない。このようなパネル材以外の内装建材に飾り部材として固定して用いられたり、または、単独で内装建材として用いられたりするものとしてもよい。さらには、家具材の一部材として組み付けられて用いられたりするものとしてもよい。
また、上記各実施形態では、板状の基材に表面化粧材を貼着した構造を例示しているが、板状の基材に限られず、箱状の基材に表面化粧材を貼着する構造としてもよい。
【0043】
さらに、上記各実施形態では、各面が略直交して交差する基材に対して表面化粧材を貼着した構造を例示しているが、各面のなす角が鋭角や鈍角とされた基材に対して表面化粧材を貼着する構造としてもよい。また、基材としては、六面体状のものに限られず、その他の多面体状のものとしてもよい。これらの場合は、各面のなす角に合わせて各折曲溝や突き合わせ面部を形成すればよい。
さらにまた、上記各実施形態では、基材の上面及びこれに隣接する四周端面に、表面化粧材を貼着した構造を例示しているが、一角部を介して互いに隣接する三面のみに表面化粧材を貼着する構造としてもよい。または、基材の下面にも表面化粧材を貼着するようにしてもよい。つまり、六面体状とされた基材の外周表面の略全体に亘って表面化粧材を貼着する構造としてもよい。この場合は、基材の下面に対応させた板状部を裏面に折曲溝を設けて、いずれかの板状部(第2板状部または第3板状部)から更に延設させるようにしてもよい。さらにこの場合、この延設された板状部の周端部及びこの板状部が延設されていない他の板状部の外方側(展開状態における外方側)端部のそれぞれに、上記同様の突き合わせ面部を設け、各突き合わせ面部を突き合わせて貼着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A,1B,1C 表面材貼着構造
20,50 基材
21 上面(第1面)
51 表面(第1面)
22,52 幅方向の端面(第2面)
23 長手方向の端面(第3面)
53 段壁面(第3面)
24 角部(一角部)
25 第1稜線
26 第2稜線
30,30A,30B,60 表面化粧材(表面材)
31,61 第1板状部
32,62 第2板状部
33,63 第3板状部
34,64 第1折曲溝
35,35A,35B,65 第2板状部の突き合わせ面部
36,66 第2折曲溝
37,37A,37B,67 第3板状部の突き合わせ面部
38 基板
39 合成樹脂化粧シート(化粧シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一角部を介して互いに隣接する第1面、第2面及び第3面を備えた基材に、薄板状の表面材を貼着する表面材貼着構造であって、
前記表面材は、前記基材の前記第1面、前記第2面及び前記第3面のそれぞれに対応させた第1板状部、第2板状部及び第3板状部を有し、前記第2板状部は、前記第1板状部から延設され、これらの境界部位の裏面には、前記第1面と前記第2面とが交差する第1稜線に対応させた第1折曲溝が設けられ、前記第3板状部は、前記第1板状部から延設され、これらの境界部位の裏面には、前記第1面と前記第3面とが交差する第2稜線に対応させた第2折曲溝が設けられており、
前記第2板状部及び前記第3板状部のそれぞれの前記一角部側の各側端部には、当該表面材が前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝の部位で折り曲げられて前記基材に貼着された状態で、前記第2板状部の表面と前記第3板状部の表面とが連なるような略連続面となるように、互いに突き合わせられる突き合わせ面部がそれぞれに設けられていることを特徴とする表面材貼着構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記表面材は、基板の表面に化粧シートを積層した構造とされており、前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝は、前記化粧シートを残すようにして前記基板に形成されていることを特徴とする表面材貼着構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記表面材の前記第2板状部及び前記第3板状部のそれぞれの突き合わせ面部は、一平面状の傾斜面とされていることを特徴とする表面材貼着構造。
【請求項4】
一角部を介して互いに隣接する第1面、第2面及び第3面を備えた基材に、薄板状の表面材を貼着する表面材貼着方法であって、
前記表面材に、前記基材の前記第1面に対応させた第1板状部を設け、前記基材の前記第2面に対応させた第2板状部を前記第1板状部から延設し、これらの境界部位の裏面に、前記第1面と前記第2面とが交差する第1稜線に対応させた第1折曲溝を設け、前記基材の前記第3面に対応させた第3板状部を前記第1板状部から延設し、これらの境界部位の裏面に、前記第1面と前記第3面とが交差する第2稜線に対応させた第2折曲溝を設け、かつ、前記第2板状部及び前記第3板状部のそれぞれの前記一角部側の各側端部に、前記表面材を前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝の部位で折り曲げて前記基材に貼着した状態で、前記第2板状部の表面と前記第3板状部の表面とが連なるような略連続面となるように、互いに突き合わせられる突き合わせ面部をそれぞれに設けて、前記表面材を前記第1折曲溝及び前記第2折曲溝の部位で折り曲げ、前記突き合わせ面部を突き合わせて前記表面材を前記基材に貼着することを特徴とする表面材貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245718(P2011−245718A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120232(P2010−120232)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】