説明

表面架橋を施した超吸収剤含有複合材の製法

表面架橋を施した超吸収剤含有複合材。より詳しくは、超吸収性材料の粒子を含む複合材の表面を、処理する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材に関する。より詳しくは、本発明は、超吸収性材料の粒子を含む複合材の表面を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収性材料は、多くの異なる用途において、このものを興味あるものとする、多くの特性を持つ。特に、超吸収性材料は、水および身体滲出液等の液体を大量に吸収し、かつこのように吸収した液体を、適度な圧力下で維持することができる。これらの吸収特性は、該材料を、使捨て用の吸収性物品、例えばオムツ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、失禁用デバイス等において使用するのに、特に適したものとする。典型的には、超吸収性材料の粒子は、このような使捨て用の吸収性物品の吸収性コア成分において、吸収性繊維ウエブにおよび/またはその中に配置される。
【0003】
多くの初期の超吸収剤は、加工して超吸収性材料の粒子とされ、該材料は該粒子全体に渡り、本質的に均一に架橋されているものと考えることができる。この均一にまたは「全体的(bulk)」に架橋を施した超吸収性材料に関連する一つの問題点は、これらに水性液体が添加された際の、あるいはこれらを水性液体中に添加した場合における、その「ゲルブロック(gel block)」生成傾向であった。これらの塊状化した粒子の表面は、迅速に膨潤して、柔軟な変形性の層を形成するであろう。そのために生じる粒子の変形および粒子間の接着は、粒子間の多孔率を減じ、しかも部分的に膨潤した塊状物を介する、液体の拡散速度に対する、該超吸収性材料の塊状物が膨潤する割合を制限した。この問題を扱う試みは、コアよりも剛性の高い、より高度に架橋された表面層を持つ、超吸収性材料粒子をもたらした。より高い架橋密度を持つシェルは、膨潤の際により高い剛性を持つ層を与え、しかもそうでない場合に該膨潤過程の初期において起るであろう、上記のゲルブロック生成を最小化する。結果として、液体は、通常、これら粒子の床を介して、超吸収性材料の各粒子まで流動して、膨潤のために利用できる有効表面および見かけ上の膨潤速度を高めることができる。
【0004】
しかし、表面架橋を施した、または「コア-シェル」超吸収性材料を使用したとしても、使捨て用の個人的衛生物品の開発者が、これら使捨て用吸収性物品における超吸収性材料の濃度を高めた場合には、上記のゲルブロック生成の可能性は高くなる。このゲルブロック生成の可能性を最小化するための一つの方法は、超吸収性材料の粒子を、未処理繊維の層で被覆することであった。これは効果的であるが、このような未処理繊維被覆は、膨潤した超吸収剤粒子間で圧縮される傾向があり、結果的に流体による、この複合体の透過を制限する。この欠点は、典型的に該超吸収性複合体の有効性の低下をもたらす。
もう一つの方法は、化学的に剛性とした繊維で、超吸収性材料の粒子を被覆して、吸収性複合体を製造することを必要とする。この剛性化した繊維は、未処理の繊維が膨潤する程には、水で膨潤することは無い。この剛性化した繊維は、また未処理の繊維よりも一層、圧縮に対して抵抗性である。従って、繊維から製造した吸収剤構造を介して、液体が流動するための、既存の繊維間チャンネルまたは他の通路は、未処理の繊維よりも一層、該剛性化した繊維によって、開放状態に維持される。しかし、この方法は、該剛性化した繊維と該超吸収性材料の粒子とを十分に接触させた際に、また結果として効果的な吸収性複合材を製造する際に、しばしば遭遇する困難のために、時として制限される。その上、繊維の剛性化は、追加の処理段階およびこれに伴う複雑化および経費の増大を必要とする。そのため、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材の、改善された製法に対する需要がある。
【発明の開示】
【0005】
上記需要に対して、本発明者等は、様々な研究、開発努力の結果として、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材の新規な製法を見出した。本発明の一変形は、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材の製法を開示する。この方法は、少なくとも1種の被覆材料の少なくとも一つの粒子を、流動ガス流中に導入する準備を行う。該流動ガス流は、結合剤および架橋剤を、該被覆材料に適用する領域を介して、該被覆材料を移動させる。少なくとも1種の被覆材料の少なくとも一つの粒子を、該流動ガス流中に導入する。該流動ガス流は、該超吸収性材料が、少なくとも該被覆材料の第一の層で覆われるまで維持される。
本発明のもう一つの変形では、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材の製法を提供し、そこでは少なくとも1種の被覆材料の少なくとも一つの粒子および超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を、流動ガス流中に導入する。該流動ガス流は、結合剤および架橋剤を、該超吸収性材料および該被覆材料に適用するゾーンを介して、該超吸収性材料および該被覆材料を移動させる。該流動ガス流は、該超吸収性材料が、該被覆材料の少なくとも第一の層で覆われるまで維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の上記並びにその他の特徴および局面、並びにこれらを達成する方法は、以下の説明、添付した特許請求の範囲および添付した図面を参照することによって、より一層明らかとなり、また本発明自体は、これらを参照することによって、より一層良く理解されるであろう。
本発明により製造される表面架橋を施した超吸収剤含有複合材は、被覆材料の少なくとも一つの粒子で被覆された、超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を含む。
「粒子(単数および複数)」、「粒状物(単数および複数)」等の用語によって、ある材料が、一般的にバラバラの単位形状にあることを意味する。これら粒子は、顆粒、粉砕粒子、粉末または球状体を含むことができる。従って、これら粒子は、例えば立方体、棒-状、多面体、球状体または半-球状体、円筒状または半-円筒状、角型、不規則形状等の任意の所定の形状を持つことができる。大きな、最大寸法/最小寸法比を持つ形状、例えば針状、フレーク状および繊維状のものも、本発明において使用できるものとする。ここで使用する該「粒子」および「粒状物」なる用語は、2以上の粒子、粒状物等を包含する凝集体をも表すことができる。
【0007】
ここで使用する用語「結合」、「結合した」および他の同様な用語は、被覆材料層の、少なくとも一つの粒子の表面の、少なくとも一部が、吸収性材料の少なくとも一つの粒子の表面の一部と接触している構成、および/または被覆材料層の、少なくとも一つの粒子の表面の少なくとも一部が、被覆材料層の、少なくとも一つの他の粒子の表面の少なくとも一部と接触している構成を包含する、様々な構成を含むものとする。
広範囲に渡る材料を、本発明の超吸収性材料として首尾よく使用することができる。しかし、水等の流体を大量に吸収し、また適度な圧力の下でこのように吸収した流体を保持することのできる、粒子形状にある超吸収性材料を使用することが望ましい。比較的安価で、容易に入手できる超吸収性材料を使用することが、より一層望ましい。
【0008】
ここで使用する用語「超吸収性材料(単数および複数)」等は、0.9質量%の塩化ナトリウムを含む水性溶液中で、最良の条件下で、その質量の少なくとも約10倍、および望ましくはその質量の少なくとも約15倍を吸収することのできる、水-膨潤性、水不溶性有機または無機材料を意味するものとする。このような材料は、ポリ(アクリル酸);ポリ(メタクリル酸);アクリル酸およびメタクリル酸と、アクリルアミド、ビニルアルコール、アクリル酸エステル、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニル、ビニルモルホリノンおよびビニルエーテルとのコポリマー;水解アクリロニトリルグラフト澱粉;アクリル酸グラフト澱粉;無水マレイン酸とエチレン、イソブチレン、スチレンおよびビニルエーテルとのコポリマー;多糖類、例えばカルボキシメチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロース;ポリ(アクリルアミド);ポリ(ビニルピロリドン);ポリ(ビニルモルホリノン);ポリ(ビニルピリジン);および上記何れかのコポリマーおよびこれらの混合物のアルカリ金属塩である、ヒドロゲル-生成ポリマーを含むが、これらに限定されない。本発明において使用するのに適した、該ヒドロゲル-生成ポリマーは、様々な販売業者、例えばダウケミカル社(Dow Chemical Co.)、バスフ(BASF)社、またはストックハウゼン社(Stockhausen, Inc.)等から、一般的に入手できる。
【0009】
適当には、該超吸収性材料は、粒子形状にあり、これは膨潤されていない状態において、約100〜約1,000μmなる範囲、望ましくは約150〜約800μmなる範囲、一層望ましくは約200〜約650μmなる範囲、および最も望ましくは約300〜約600μmなる範囲の、American Society for Testing Materials Test Method D-1921に従って篩分析により測定した、最大断面径を持つ。超吸収性材料の粒子は、中実粒子、多孔性粒子、を含むことができ、あるいは凝集により、所定の粒径範囲に入る粒子となった、多数の微小粒子を含む凝集粒子であっても良いものと理解すべきである。
本発明によって製造した超吸収剤含有複合材も、少なくとも1種の被覆材料の少なくとも一つの粒子を含む第一の層を含む。このような例において、該被覆材料の第一の層は、該超吸収性材料と結合しているか、また該材料で被覆されている。この第一層の該被覆材料は、望ましくは粒子形状にある。
本発明によって製造した超吸収剤含有複合材は、また2層以上の被覆材料を含むこともできる。このような例においては、被覆材料の任意の連続する層は、典型的に先行する被覆材料層の少なくとも一部と結合しているか、また該材料で被覆されている。任意の連続する層の被覆材料は、望ましくは粒子形状にある。
【0010】
被覆材料との関連で使用する用語「覆う(単数および複数形)」、「覆っている」または「覆われた」とは、該被覆材料によって覆うべき表面上に、本発明によって製造した該超吸収剤含有複合材の多くの利点を実現するのに必要とされる程度まで、該被覆材料が拡がっていることを示すものである。例えば、これは、該被覆材料が、該物質で覆うべき表面の、5%以上、あるいは10%以上、あるいは20%以上、あるいは30%以上、あるいは40%以上、あるいは50%以上、あるいは60%以上、あるいは70%以上、あるいは80%以上、あるいは90%以上、あるいは95%以上に渡り拡がっている状況を含む。このことは、また例えば該被覆材料が、該物質で覆うべき表面の100%以下、あるいは95%以下、あるいは85%以下、あるいは75%以下、あるいは65%以下、あるいは55%以下、あるいは45%以下、あるいは35%以下、あるいは25%以下、あるいは15%以下、あるいはまた最終的に10%以下に渡り拡がっている状況を含む。このように、該被覆材料は、該物質で覆うべき表面の5%以上から100%以下までの範囲に渡り広がっていてもよいが、覆うべき該表面のおよその割合(%)は、特に該超吸収剤含有複合材の一般的な設計、および意図したその用途に応じて変えることができる。用語「表面」およびその複数形は、ここでは一般的にある物体の外側または最外部境界を意味するものとする。
【0011】
粒状形態にある、広範な天然および合成材料が、該超吸収剤含有複合材の該被覆材料として使用できる。適当な被覆材料は、従って吸着性および/または吸収性材料を含むことができる。勿論、ここに記載する使捨て用の吸収性物品において使用するための重要な属性として、安価であり、容易に入手でき、かつ安全な被覆材料を使用することが望ましい。本発明において使用するのに適した被覆材料の実例は、親水性材料の粒子を含む。被覆材料として使用するのに適した親水性材料の例は、天然並びに合成のセルロース系材料、例えば木材パルプおよびこれから製造した製品、例えば粉末化セルロース、および非-木材系セルロース材料、例えば綿、リネン、麻、マニラ麻、イストレ等、およびこれから製造した製品、例えばコットンリンターおよびフロック;再生セルロース、例えばレーヨン、キュプラム(cupram)、リオセル(lyocell)等;およびセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース等を含むが、これらに限定されない。特に望ましい被覆材料は、食品等級のα-セルロース粉末である。同様に被覆材料として使用するのに適したものは、天然並びに合成のシリケート、例えば沈降シリカ、ヒュームドシリカ、二酸化珪素、ゼオライト、クレー、バーミキュライト、パーライト等である。望ましくは、適当なシリケート材料の粒子は、50μmなる最小径を持つ。同様に被覆材料として使用するのに適していることが分かっているものは、不溶性のタンパク質、例えば構造化された(texturized)植物タンパク質(例えば、大豆タンパク質)およびゼインである。
【0012】
本発明が、唯一つの被覆材料の使用に限定されるものではなく、2種またはそれ以上の被覆材料の混合物を含むこともできることに注意すべきである。親水性材料が、本発明において被覆材料として使用するのに適したものとして示したが、当業者は、疎水性材料の表面を、適当な公知の方法に従って処理して、該疎水性材料を多かれ少なかれ親水性にすることが可能であることを、容易に理解するはずである。前に示したように、該被覆材料は、粒状形態にあり、結果的に被覆材料の粒子が、中実粒子、多孔性粒子を含むことができ、あるいは2以上の被覆材料の粒子を含む凝集体であっても良いものと理解すべきである。
(i) 該被覆材料と該超吸収性材料との結合および(ii) 所定の表面架橋度の達成を助けるために、結合剤および架橋剤を適当な材料に適用する。一例において、結合剤を適当な材料に適用し、次いで該適当な材料に架橋剤を適用することができる。あるいはまた、更に別の変法では、該適当な材料に結合剤および架橋剤を同時に適用する。例えば、結合剤および架橋剤を含む混合物を作ることができる。結合剤と架橋剤との適当な混合物は、ここに記載する表面架橋を妨害するものでない限り、種々の他の材料を含むことができる。例えば、この混合物は、水、アルコール、アセトン等の溶媒を含むことができる。この混合物は、典型的に液体または半-液体状態で、該超吸収性材料および/または該被覆材料に適用される。
【0013】
該結合剤および/または架橋剤との関連で使用される用語「適用される」とは、超吸収性材料の少なくとも一つの粒子の表面の少なくとも一部が、その上に有効量の結合剤および/または架橋剤を有していて、機械的および/または化学的な結合を介して、被覆材料の少なくとも一つの粒子の表面の一部への、該超吸収性材料表面の少なくとも該部分の接着を容易にし;被覆材料の少なくとも一つの粒子の表面の少なくとも一部が、その上に有効量の結合剤および/または架橋剤を有していて、機械的および/または化学的な結合を介して、該超吸収性材料の少なくとも一つの粒子の表面の一部への、該被覆材料表面の少なくとも該部分の接着を容易にし;および/または被覆材料の少なくとも一つの粒子の表面の少なくとも一部が、その上に有効量の結合剤および/または架橋剤を有していて、機械的および/または化学的な結合を介して、被覆材料の少なくとも一つの他の粒子の表面の一部への、該被覆材料表面の少なくとも該部分の接着を容易にするような、様々な状況を含むものとする。
【0014】
望ましくは、該結合剤および該架橋剤は、該超吸収剤含有複合材の質量を基準として、1質量%以上、あるいは2質量%以上、あるいは3質量%以上、あるいは4質量%以上、あるいは5質量%以上、あるいは10質量%以上、あるいは15質量%以上、あるいは20質量%以上、あるいは25質量%以上、あるいは30質量%以上、あるいは40質量%以上、あるいは50質量%以上、あるいは60質量%以上、あるいは70質量%以上、あるいは75質量%以上、あるいは80質量%以上、あるいは85質量%以上、あるいは90質量%以上、あるいは95質量%以上、あるいは96質量%以上、あるいは97質量%以上、および最終的には98質量%以上なる量で、該適当な材料に適用される。これらの結合剤および架橋剤は、また該超吸収剤含有複合材の質量を基準として、99質量%以下、あるいは98質量%以下、あるいは97質量%以下、あるいは96質量%以下、あるいは95質量%以下、あるいは99質量%以下、あるいは99質量%以下、あるいは99質量%以下、あるいは90質量%以下、あるいは85質量%以下、あるいは80質量%以下、あるいは75質量%以下、あるいは70質量%以下、あるいは60質量%以下、あるいは50質量%以下、あるいは40質量%以下、あるいは30質量%以下、あるいは25質量%以下、あるいは20質量%以下、あるいは15質量%以下、あるいは10質量%以下、あるいは5質量%以下、あるいは4質量%以下、あるいは3質量%以下、あるいはまた最終的には2質量%以下なる量で、該適当な材料に適用できる。このように、該結合剤および該架橋剤は、該超吸収剤含有複合材の質量を基準として、該適当な材料に、1質量%以上から99質量%以下なる範囲の量で適用できるが、該結合剤および該架橋剤のおよその割合(%)は、特に該超吸収剤含有複合材の一般的な設計、および意図したその用途に応じて、変えることができる。
【0015】
本発明で使用するのに適した結合剤と架橋剤との混合物は、典型的には、一般に均一に噴霧できる液体または半-液体を製造することによって調製される。特に、本明細書において確認した、少なくとも1種の該結合剤および架橋剤の一種を含む溶液、分散液またはエマルションを調製することができる。この混合物は、微細な霧化された液滴として適用できるが、任意の他の方法により、例えば液体または半-液体として噴霧し、流体流としての噴霧および吹付け等によって、該選択された材料に適用することも可能である。
当業者は、特定の結合剤を選択することができ、またその選択は、典型的には相互に結合状態に維持すべき該材料の化学的組成に依存するであろう。望ましくは、該結合剤は、ヒトとの接触を含む用途において使用するのに適している。従って、該結合剤は、人に対して無害であり、かつ非-刺激性であるべきである。幾つかの型の結合剤が、本発明において使用可能である。本発明の様々なバージョンにおいて使用するのに適した結合剤の例は、水;揮発性有機溶媒、例えばアルコール;フィルム形成材料、例えば乾燥ミルク、ラクトース、可溶性大豆タンパク質、およびカゼインの水性溶液;合成接着剤、例えばポリビニルアルコール;およびこれらの混合物等を含む。該結合剤における水の存在は、該超吸収性材料を予め湿潤状態にする際に、特に有効である。
【0016】
別々に(即ち、混合物としてではなく)適用する場合、典型的に、該結合剤が、一般に均一に噴霧できる液体または半-液体を形成することにより調製されることを、当業者は容易に理解するであろう。特に、本明細書において確認した、少なくとも1種の該結合剤を含む溶液、分散液またはエマルションを調製することができる。該結合剤は、微細な霧化された液滴として適用できるが、任意の他の方法によって、例えば液体または半-液体として噴霧し、流体流としての噴霧および吹付け等によっても、該選択された材料に適用することができる。
超吸収性材料と組合わせて使用する場合、「架橋した(された)」、「架橋されている」等の用語は、通常水溶性の材料を、実質的に水不溶性であるが、膨潤性の材料に変える任意の手段を意味するものとする。このような手段は、例えば物理的な絡み合わせ、結晶性ドメイン、共有結合、イオン性錯化および会合、水素結合等の親水性会合、および疎水性会合またはファンデルワールス力の利用を含むことができる。被覆材料と共に使用する場合、「剛性化」、「架橋した(された)」、「架橋されている」等の用語は、該被覆材料を、圧縮に対してより抵抗性の高いものとする手段を意味するものとする。典型的には、この剛性化は、該被覆材料の表面における部分間に、物理的および/または化学的な結合を形成することによりもたらされる。超吸収剤を表面架橋するのに適した架橋剤は、被覆材料を架橋しまたは剛性化して、本発明の超吸収剤含有複合材を、更に強化することも可能とする。
本発明において使用するのに適した架橋剤は、望ましくは水溶性であり、またエチレングリコールジグリシジルエーテル、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、グリセロール、エチレンカーボネート、四級アミン、多価アルコール、グリシジル化合物、アルキレンカーボネート、シリルエーテル、テトラメトキシシラン、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0017】
該架橋剤が、有効量で該適当な材料に適用されることを、当業者は容易に理解するであろう。即ち、該架橋剤は、意図した表面の少なくとも一部に、所定の架橋度を与えるのに十分な量で存在する。架橋剤の正確な量は、勿論使用する特定の架橋剤に依存するであろう。一般に、該架橋剤は、典型的には該超吸収剤含有複合材の全質量を基準として、0.001質量%以上、あるいは0.01質量%以上、あるいは0.1質量%以上、あるいは0.5質量%以上、あるいは1質量%以上、あるいは2質量%以上、あるいは3質量%以上、あるいは4質量%以上、あるいは5質量%以上、あるいは6質量%以上、あるいは7質量%以上、あるいは8質量%以上、および最終的に9質量%以上なる量で存在する。更に、該架橋剤は、典型的には該超吸収剤含有複合材の全質量を基準として、10質量%以下、あるいは9質量%以下、あるいは8質量%以下、あるいは7質量%以下、あるいは6質量%以下、あるいは5質量%以下、あるいは4質量%以下、あるいは3質量%以下、あるいは2質量%以下、あるいは1質量%以下、あるいは0.1質量%以下、および最終的に0.01質量%以下なる量で存在する。このように、架橋剤は、該超吸収剤含有複合材の全質量を基準として、0.001質量%以上から10質量%以下なる範囲の量で存在し得るが、該架橋剤のおよその割合(質量%)は、特に該超吸収剤含有複合材の一般的な設計、および意図したその用途に応じて、変えることができる。適用される該架橋剤の量が、発生する架橋の程度またはその密度に影響を与えるであろうことを、当業者は容易に理解するであろう。それ故、より少ない量の架橋剤は、低い架橋度をもたらし、一方比較的大量の架橋剤は、より高い架橋度をもたらすであろう。
【0018】
適用される架橋剤の量は、様々な因子に依存する。例えば、アルミニウムカチオンが該架橋剤である場合であって、該アルミニウムカチオンが塩化アルミニウムとして供給される場合には、該アルミニウムカチオンが硫酸アルミニウム水和物として供給される場合よりも、より少ない量の塩化アルミニウムを使用することができる。これは、硫酸アルミニウムのモル質量が、塩化アルミニウムのモル質量よりも大きいからである。架橋用の等価な数のアルミニウムイオンを供給するためには、より多量の硫酸アルミニウムが必要であろう(塩化アルミニウムに比して)。当業者は、所定の材料の表面架橋において使用する、所定の架橋剤の最適な量を、容易に実験的に決定できる。
別々に(即ち、混合物としてではなく)適用する場合、当業者は、また該架橋剤が、一般に均一に霧化できる液体または半-液体を形成することにより、製造できることを容易に理解するであろう。特に、少なくとも1種の、ここにおいて確認した架橋剤を含有する溶液、分散液またはエマルションを製造することができる。該架橋剤は、微細な霧化された液滴として適用できるが、任意の他の方法によって、例えば液体または半-液体として噴霧し、流体流としての噴霧および吹付け等によっても、該選択された材料に適用することができる。
過去においては、被覆材料および超吸収性材料を、それらの利点を得るために、別々に架橋し、次いでこれらを一緒にして、吸収性複合材を製造していた。しかし、今やこれらを単一の段階で実施できることが分かった。これにより、処理の煩雑さが大幅に軽減され、しかも製造コストも大幅に減じられる。更に、該被覆材料は、今や該超吸収剤の表面に付着しており、従って本発明の超吸収剤含有複合材の保全性が高められる。
【0019】
ここで使用するフレーズ「吸収性物品」とは、体液を吸収しこれを収容するデバイスを意味し、またはより詳しくは身体から放出される様々な流体を吸収しこれを収容する目的で、皮膚またはその近傍に配置されるデバイスを意味する。ここでは、「使捨て」なる用語は、一回の使用後に、吸収性物品として洗濯し、あるいは復元させもしくは再利用することを意図していない、吸収性物品を記載するのに使用する。このような使捨て吸収性物品の例は、人工肛門形成術製品、手術用滅菌布、ガウン、および滅菌ラップ等の身体手当て関連製品;女性の生理用品、オムツ、トレーニングパンツ、失禁用製品等の個人の手当て用吸収性物品;並びにタオルおよび顔面用ティッシュを含むが、これらに限定されない。
【0020】
多くの個人の手当て用吸収性物品等の使捨て吸収性物品は、典型的に流体透過性の表面シート、該表面シートと結合した液体不透過性の裏面シート、および該表面シートと該裏面シートとの間に配置された吸収性コアを含む。使捨て吸収性物品およびその成分は、これらの表面シート、裏面シート、吸収性コアおよび該成分の任意の個々の層を含めて、一般的に身体に面する表面と、衣類に面する表面とを有する。ここで使用する表現「身体に面する表面」とは、着用者の身に着け、あるいはその身体に近接して配置される、該物品または成分の該当する表面を意味し、一方表現「衣類に面する表面」とは、該身体に面する表面とは反対側にあり、この使捨て吸収性物品を着用した際に、該着用者の下着と接触し、またこれと近接して配置される該物品の表面を意味する。
本発明の方法の一つによって製造した、超吸収剤含有複合材は、様々な使捨て吸収性物品において使用するのに適している。一般に、本発明の超吸収剤含有複合材は、他の吸収性複合材が使用されているものと類似の方法で、例えば積層体、比較的高密度のコア(即ち、圧縮コア、カレンダー処理コア、高密度化コア等)、あるいは比較的低密度のコア(即ち、圧縮されていない、例えばエアーレイド(air-laid)コア)において、使用することができる。
【0021】
本発明の超吸収剤含有複合材は、流動床被覆法と類似する方法で製造できる。このような方法の1バージョンにおいては、被覆材料の少なくとも一つの粒子を、流動化ガス、通常は空気の強い上方に向かう流れ、または気流を生成する流動床被覆装置に、典型的にはほぼ室温近傍の入口温度にて浮遊させる。流動化ガスの強い上方に向かう流れまたは気流は、該被覆材料が、該上昇流から反れて、該流動化ガスの上昇流と向流関係にある流動化状態で下方に移動するまで、該被覆材料を上向きに運動させる。該被覆材料は、該流動化ガスの上向きの移動流に再度入ることができる。一方で、該上向きの移動流において、該被覆材料は、結合剤および架橋剤が該被覆材料に適用されるゾーンを通過する。該結合剤および該架橋剤を該被覆材料に適用した後、超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を、この装置に導入する。通常は空気であり、また場合により高い入口温度(即ち、典型的には室温よりも高い温度)下にある、流動化ガスの強い上向きの流れまたは気流は、該被覆材料および該超吸収性材料が該上昇流から反れて、該流動化ガスの上昇流と向流関係にある流動化状態で下降するまで、これらの材料を上向きに運動させる。該被覆材料および該超吸収性材料は、超吸収剤含有複合材が生成されるまで、該流動化ガスの上昇-運動流に再導入することができる。典型的には、該結合剤および該架橋剤を適用した後に、該被覆材料が該超吸収性材料と結合して、超吸収剤含有複合材を生成する。このようにして生成した該超吸収剤含有複合材は、被覆材料の少なくとも一つの粒子を含む少なくとも第一の層で覆われた、超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を含む。該第一の層の該被覆材料は、該超吸収性材料の表面と結合し、かつ該表面を覆っている。
【0022】
該超吸収剤含有複合材は、またここに記載する方法のもう一つのバージョンによって、製造することができる。このバージョンにおいて、被覆材料の少なくとも一つの粒子および超吸収性材料少なくとも一つの粒子を、流動化ガス、通常は空気の強い上向きの流れ、または気流を生成する流動床被覆装置に、典型的にはほぼ室温近傍の入口温度にて浮遊させる。流動化ガスの強い上向きの流れまたは気流は、該被覆材料および該超吸収性材料が、該上昇流から反れて、該流動化ガスの上昇流と向流関係にある流動化状態で下方に移動するまで、これら材料両者を上向きに運動させる。該被覆材料および該超吸収性材料は、該流動化ガスの上向きの移動流に再度入ることができる。一方で、該上向きの移動流において、該被覆材料および該超吸収性材料は、結合剤および架橋剤がこれら材料両者に適用されるゾーンを通過する。該結合剤および該架橋剤をこれらの材料に適用した後、通常は空気であり、また場合により高い入口温度下にある、該流動化ガスの強い上向きの流れまたは気流は、該被覆材料および該超吸収性材料が該上昇流から反れて、該流動化ガスの上昇流と向流関係にある流動化状態で下降するまで、これら材料を上向きに運動させる。該被覆材料および該超吸収性材料は、超吸収剤含有複合材が生成されるまで、該流動化ガスの上昇-運動流に再導入することができる。典型的には、該結合剤および該架橋剤を適用した後に、該被覆材料が該超吸収性材料と結合することにより、超吸収剤含有複合材を生成する。このようにして生成した該超吸収剤含有複合材は、被覆材料の少なくとも一つの粒子を含む少なくとも第一の層で覆われた、超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を含む。該第一の層の該被覆材料は、該超吸収性材料の表面と結合し、かつ該表面を覆っている。
【0023】
典型的には、図1に示したものと同様な流動床被覆装置を使用して、本発明の超吸収剤含有複合材を製造することができる。図1を参照すると、一般に垂直に据えられる、一般的に円筒状のチャンバー(221)は、チャンバーの近位端部(222)において開放され、かつチャンバーの遠位端部(223)において閉じられている。このチャンバー(221)は、場合により内側チャンバー(224)を備えており、これは上記チャンバーの径よりも小さな径を持つ。該内側チャンバー(224)は、該内側チャンバーの近位端部(225)および遠位端部(226)両者において開放状態にある。該チャンバーの近位端部(222)はプレート(227)と適合しており、このプレートは有孔領域(228)を含み、該領域は、一般的に該内側チャンバー(224)の径と一致している。該内側チャンバー(224)は、該プレート(227)の所定距離上方に配置され、また一般的には該チャンバー(221)の垂直軸に沿って配列されている。該有孔領域(228)を介して、通常は空気であり、また典型的にはほぼ室温近傍の入口温度下にある、流動化ガスの上向きの流れまたは気流(229)が、圧縮ガスの源(231)から、例えばバルブ(230)を通して供給される。流動化ガスの上向きに移動する気流(229)は、一般に該内側チャンバーの近位端部(225)を通して流入し、かつ該内側チャンバーの遠位端部(226)を介して流出することにより、該内側チャンバー(224)を流通する。本発明の方法による上記バージョンの一つにおいて記載したように、被覆材料(233)の少なくとも一つの粒子が、該チャンバー(221)に導入される。流動化ガスの上向きに移動する気流(229)は、該被覆材料(233)に対して、流体-様の流れを与えるように調節される。該ガスの上向きに移動する気流(229)を、該被覆材料(233)が、該上昇流から反れ、該流動化ガスの上向きに移動する気流と向流関係にある、流動化状態で降下するまで、該被覆材料を上方に移動させる。該被覆材料(233)は、該流動化ガスの上向きの移動流(229)に再度入ることができる。該上向きに移動する気流において、該被覆材料は、このバージョンにおいて、混合物(235)(これは結合剤および架橋剤を含む)を、該被覆材料(233)に適用するゾーンを通過する。このゾーンは、一般に該プレート(227)の中心部近傍に配置された、噴霧手段(234)の近傍に位置する。この混合物(235)を、該被覆材料(233)に適用した後、超吸収性材料(232)の少なくとも一つの粒子を、該チャンバー(221)に導入する。必要ならば、該ガスの上向きに移動する気流(229)を、該超吸収性材料(232)および該被覆材料(233)に対して、流体-様の流れを与えるように調節する。該超吸収性材料(232)の導入後、該流動化ガスの上向きに移動する気流(229)の入口温度を、場合により室温を越える温度まで高める。該超吸収性材料(232)および該被覆材料(233)の循環流は、一般に該被覆材料が、該超吸収性材料と結合して、超吸収剤含有複合材を生成するまで、該チャンバー(221)内で維持される。次いで、該チャンバー(221)から、この超吸収剤含有複合材を回収し、あるいは取出す。このようにして製造した、該超吸収剤含有複合材は、被覆材料の少なくとも一つの粒子を含む、少なくとも第一の層で覆われた、超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を含む。該第一の層の該被覆材料は、該超吸収性材料の表面と結合し、かつ該表面を覆っている。
【0024】
架橋を行うために、該超吸収剤含有複合材を加熱する必要がある場合には、この超吸収剤含有複合材をこの装置内に残し、高温にて、流動化ガスの強力な上向きの流れまたは気流の作用下において、超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部において架橋を行う。任意のこのような加熱処理の温度は、望ましくは25℃以上、あるいは30℃以上、あるいは40℃以上、あるいは50℃以上、あるいは60℃以上、あるいは70℃以上、あるいは80℃以上、あるいは90℃以上、あるいは100℃以上、あるいは125℃以上、あるいは150℃以上、あるいは175℃以上、あるいは200℃以上、あるいは225℃以上、あるいは250℃以上、あるいは275℃以上、あるいは300℃以上、あるいは325℃以上、あるいは350℃以上、および最終的には375℃以上である。更に、任意のこのような加熱処理の温度は、望ましくは400℃以下、あるいは375℃以下、あるいは350℃以下、あるいは330℃以下、あるいは325℃以下、あるいは300℃以下、あるいは275℃以下、あるいは250℃以下、あるいは225℃以下、あるいは200℃以下、あるいは175℃以下、あるいは150℃以下、あるいは125℃以下、あるいは100℃以下、あるいは90℃以下、あるいは80℃以下、あるいは70℃以下、あるいは60℃以下、あるいは50℃以下、あるいは40℃以下、および最終的には30℃以下である。従って、任意のこのような加熱処理は、25℃以上から400℃以下までの範囲内にあることが望ましいが、任意のこのような加熱処理のおよその温度は、特に該超吸収剤含有複合材一般的な設計およびその意図した用途に応じて変えることができる。しかし、このような任意の加熱処理の温度は、該超吸収剤含有複合材およびこの超吸収剤含有複合材中に含まれる任意の材料の分解(例えば、任意の被覆のセルロース部分は、典型的には約230℃にて分解する)を生じる温度を越えるべきではない。当業者は、この加熱処理の温度および時間が、該架橋剤の反応性を考慮して所定の最終的な用途用の特性を与えるように選択されることを、容易に理解するであろう。本発明の方法の様々なバージョンを、上記装置内で、超吸収剤含有複合材を熱処理するものとして記載してきたが、架橋するための、超吸収剤含有複合材の熱処理は、該装置内で、あるいは当業者には公知の多くの他の適当な熱処理方法の何れかに従って、該装置の外で行うことができる。当業者は、また架橋を、このような熱処理の何れも利用せずに行うことができることを理解するであろう。
【0025】
本発明の流動床被覆方法は、該被覆材料との密な結合状態とされる、該超吸収性材料に及ぼす作用の点で、比較的穏やかであり、その結果他の方法に比して、該超吸収性材料の微細構造に対する有害性は低い。流動床被覆方法に従う製法を記載してきたが、本発明の超吸収剤含有複合材は、また該超吸収性材料に及ぼす作用の点で、比較的穏やかな、例えばV-字型シェルブレンダまたは他の装置を組込んだ、様々なその他の方法を利用して製造することも可能である。
様々な装置を、ここに記載する本発明の超吸収剤含有複合材の製造において使用できるが、流動床被覆装置が、最適の装置であると考えられる。これは、流動床被覆装置が、比較的正確な温度制御を可能とすることによる。特に、流動床被覆装置は、比較的高い温度にて、比較的短期間に渡り稼動させて、該超吸収剤含有複合材または該超吸収剤含有複合材に含まれる任意の材料の分解の可能性を最小化することができる。これは、超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部に、所定レベルの架橋を行うのに、比較的高い温度が必要とされる場合に、特に有利である。
【0026】
超吸収剤含有複合材の意図した用途に依存して、超吸収剤含有複合材に被覆材料の1またはそれ以上の層を付加することができる。被覆材料の任意の付随的な層は、一般的には、ここに記載した処理法に係る態様の、少なくとも一つに従って、被覆材料の第一の層と同様にして付加される。
本発明に従って製造した超吸収剤含有複合材は、該超吸収剤含有複合材中の該超吸収性材料および該被覆材料の全質量を基準として、約45:55〜約95:5なる範囲、あるいは約60:40〜約80:20なる範囲、および最終的には約65:35〜約70:30なる範囲の超吸収性材料対被覆材料の質量比を持つ。
【実施例】
【0027】
以下の実施例は、本発明の様々なバージョンを説明するものである。本発明の特許請求の範囲に入る他のバージョンは、ここに記載するような本発明の明細または実際を考慮することにより、当業者には明らかとなるであろう。本実施例と共に、この明細は、単なる例示と見做すべきであり、本発明の範囲並びに精神は、これらの実施例を伴う、添付した特許請求の範囲によって示される。
以下の実施例各々において使用する超吸収剤は、均質に(即ち均一に)架橋された、ポリアクリレート超吸収性材料であった。適当な材料は、ミシガン州、ミッドランドのダウケミカル社(The Dow Chemical Co.)から、市販品として入手できる超吸収性材料、ST-10であった。以下の実施例各々の超吸収剤含有複合材は、ウイスコンシン州、ベロナの、ザコーティングプレイス(The Coating Place)において、流動床内で製造した。初めの流動化および被覆は、14〜23℃なる範囲の温度にて行った。幾つかの実施例では、更に熱処理を行い、一方該超吸収剤の架橋を行うために、流動化した。
【0028】
実施例1
本例で使用した被覆材料は、ニュージャージー州、エリザベスタウンの、ファンクショナルフーズ(Functional Foods)社から市販品として入手できる、食品等級のα-セルロース粉末である、エクセル(EXCEL) 110であった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、ミズーリ州、セントルイスのシグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich)社から市販品として入手できる、アルミニウムサルフェート(Aluminum Sulfate)水和物、98%(Al2(SO4)3・xH2O;ここでxは14〜18)から調製した1質量%硫酸アルミニウム水性溶液であった。約286gの該超吸収性材料および約143gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料および該超吸収剤を流動化させつつ、約77gの該1質量%硫酸アルミニウム水性溶液を、この処理工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、17〜22℃なる範囲の温度にて行った。
【0029】
実施例2
本例で使用した被覆材料は、ニュージャージー州、エリザベスタウンの、ファンクショナルフーズ社から市販品として入手できる、食品等級のα-セルロース粉末である、エクセル110であった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、ミズーリ州、セントルイスのシグマ-アルドリッチ社から市販品として入手できる、アルミニウムサルフェート水和物、98%(Al2(SO4)3・xH2O;ここでxは14〜18)から調製した1質量%硫酸アルミニウム水性溶液であった。約143gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料を流動化させつつ、約77gの該1質量%硫酸アルミニウム水性溶液を、この工程に添加した。この硫酸アルミニウム水性溶液の添加後、約286gの該超吸収性材料を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、16〜22℃なる範囲の温度にて行った。
【0030】
実施例3
本例で使用した被覆材料は、メリーランド州、ハブルドゥグラース(Havre de Grace)の、J.M.フーバー(Huber)社から市販品として入手できる、顆粒状、沈降シリカである、ゼオフリー(Zeofree) 5175Bであった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、ミズーリ州、セントルイスのシグマ-アルドリッチ社から市販品として入手できる、アルミニウムサルフェート水和物、98%(Al2(SO4)3・xH2O;ここでxは14〜18)から調製した1質量%硫酸アルミニウム水性溶液であった。約500gの該超吸収性材料および約75gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料および該超吸収性材料を流動化させつつ、約134gの該1質量%硫酸アルミニウム水性溶液を、この工程に添加した。この硫酸アルミニウム水性溶液の添加後、約286gの該超吸収性材料を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、16〜22℃なる範囲の温度にて行った。
【0031】
実施例4
本例で使用した被覆材料は、メリーランド州、ハブルドゥグラースの、J.M.フーバー社から市販品として入手できる、顆粒状、沈降シリカである、ゼオフリー5175Bであった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、ミズーリ州、セントルイスのシグマ-アルドリッチ社から市販品として入手できる、アルミニウムサルフェート水和物、98%(Al2(SO4)3・xH2O;ここでxは14〜18)から調製した1質量%硫酸アルミニウム水性溶液であった。約75gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料を流動化させつつ、約134gの該1質量%硫酸アルミニウム水性溶液を、この工程に添加した。この硫酸アルミニウム水性溶液の添加後に、約500gの該超吸収性材料を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、14〜23℃なる範囲の温度にて行った。
【0032】
実施例5
本例で使用した被覆材料は、ニュージャージー州、エリザベスタウンの、ファンクショナルフーズ社から市販品として入手できる、食品等級のα-セルロース粉末である、エクセル110であった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、デラウェア州、ウイルミントンの、ハーキュルス社(Hercules Inc.)から市販品として入手できる、カイメン(Kymene) 557LXから調製した、4質量%カイメン水性溶液であった。約286gの該超吸収性材料および約143gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料および該超吸収剤を流動化させつつ、約74gの該4質量%カイメン水性溶液を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、16〜23℃なる範囲の温度にて行った。該流動床装置を、その後約150℃に加熱した。本例において前に得られた該超吸収剤含有複合材を、該流動床被覆装置に再度導入し、約7分間加熱した。出口空気の温度が約99℃となった際に、この実験が完了したものと考え、該超吸収剤含有複合材を集めた。
【0033】
実施例6
本例で使用した被覆材料は、ニュージャージー州、エリザベスタウンの、ファンクショナルフーズ社から市販品として入手できる、食品等級のα-セルロース粉末である、エクセル110であった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、デラウェア州、ウイルミントンの、ハーキュルス社から市販品として入手できる、カイメン557LXから調製した、4質量%カイメン水性溶液であった。約143gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料を流動化させつつ、約74gの該4質量%カイメン水性溶液を、この工程に添加した。このカイメン水性溶液を添加した後、約286gの超吸収性材料を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、16〜22℃なる範囲の温度にて行った。該流動床装置を、その後約150℃に加熱した。本例において前に得られた該超吸収剤含有複合材を、該流動床被覆装置に再度導入し、約3分間加熱した。出口空気の温度が約113℃となった際に、この実験が完了したものと考え、該超吸収剤含有複合材を集めた。
【0034】
実施例7
本例で使用した被覆材料は、ニュージャージー州エリザベスタウンの、ファンクショナルフーズ社から市販品として入手できる、食品等級のα-セルロース粉末である、エクセル110であった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、ニュージャージー州フェアローンの、アクロスオーガニックス(Acros Organics)社から市販品として入手できる、エチレンカーボネート(Ethylene Carbonate)から調製した、4質量%エチレンカーボネート溶液であった。約286gの該超吸収性材料および約143gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料および該超吸収剤を流動化させつつ、約74gの該4質量%エチレンカーボネート溶液を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、17〜22℃なる範囲の温度にて行った。該流動床装置を、その後約150℃に加熱した。本例において前に得られた該超吸収剤含有複合材を、該流動床被覆装置に再度導入し、約6.6分間加熱した。出口空気の温度が約101℃となった際に、この実験が完了したものと考え、該超吸収剤含有複合材を集めた。
【0035】
実施例8
本例で使用した被覆材料は、ニュージャージー州エリザベスタウンの、ファンクショナルフーズ社から市販品として入手できる、食品等級のα-セルロース粉末である、エクセル110であった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、ニュージャージー州フェアローンの、アクロスオーガニックス社から市販品として入手できる、エチレンカーボネートから調製した、4質量%エチレンカーボネート溶液であった。約143gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料を流動化させつつ、約74gの該4質量%エチレンカーボネート溶液を、この工程に添加した。このエチレンカーボネート溶液を添加した後、約286gの超吸収性材料を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、16〜22℃なる範囲の温度にて行った。該流動床装置を、その後約150℃に加熱した。本例において前に得られた該超吸収剤含有複合材を、該流動床被覆装置に再度導入し、約3分間加熱した。出口空気の温度が約107℃となった際に、この実験が完了したものと考え、該超吸収剤含有複合材を集めた。
【0036】
実施例9
本例で使用した被覆材料は、メリーランド州、ハブルドゥグラースの、J.M.フーバー社から市販品として入手できる、顆粒状、沈降シリカである、ゼオフリー5175Bであった。使用した結合剤/表面架橋剤の組合わせは、テキサス州テキサルカーナのハムコホールディンググループ社(Humco Holding Group, Inc.)から市販品として入手できる、グリセリン(Glycerin) USPから調製した5質量%グリセリン溶液であった。約65gの該被覆剤を、流動床被覆装置に添加した。該被覆材料を流動化させつつ、約34gの該5質量%グリセリン溶液を、この工程に添加した。このグリセリン溶液を添加した後、約260gの超吸収性材料を、この工程に添加した。流動化を約5分間継続し、得られた超吸収剤含有複合材を集めた。流動化および被覆は、14〜23℃なる範囲の温度にて行った(注:架橋の目的で、本例における材料を加熱しなかったが、該材料は、加熱され、架橋されているものと考えられた)。
以上の記載に鑑みて、本発明の幾つかの利点が達成されており、また他の有利な結果が得られることを理解するであろう。
本発明の範囲を逸脱すること無しに、上記方法に種々の変更を加えることが可能であるので、上記説明に含まれるおよび添付図面に示された全ての事項は、例示的なものであって、限定的な意味を持つものではないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】代表的な流動床被覆層地を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
221・・・円筒チャンバー
222・・・チャンバーの近位端部
223・・・チャンバーの遠位端部
224・・・内側チャンバー
225・・・内側チャンバーの近位端部
226・・・内側チャンバーの遠位端部
227・・・プレート
228・・・有孔領域
229・・・流動性ガス流
230・・・バルブ
231・・・圧縮ガス源
232・・・超吸収性材料
233・・・被覆材料
234・・・噴霧手段
235・・・混合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面架橋を施した超吸収剤含有複合材の製法であって、
(a) 少なくとも1種の被覆材料の少なくとも一つの粒子を、流動ガス流中に導入する工程、ここで該流動ガス流により被覆材料を移動させて、結合剤および架橋剤を該被覆材料に適用する領域を通過させ、
(b) 少なくとも1種の超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を、該流動ガス流中に導入する工程、および
(c) 該超吸収性材料が、該被覆材料の少なくとも第一の層で覆われるまで、該流動ガス流を維持する工程
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法により製造した、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材。
【請求項3】
該流動ガス流が空気を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
更に、(d) 該流動ガス流を、該超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部において架橋を行うのに十分に高い温度にまで加熱する工程を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
該被覆材料が、親水性材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
該被覆材料が、セルロース系材料を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
更に、(d) 該流動ガス流を、該超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部において架橋を行うのに十分に高い温度にまで加熱する工程を含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
請求項4記載の方法により製造した、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材。
【請求項9】
該被覆材料が、シリケートを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
更に、(d) 該流動ガス流を、該超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部において架橋を行うのに十分に高い温度にまで加熱する工程を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法により製造した、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材。
【請求項12】
表面架橋を施した超吸収剤含有複合材の製法であって、
(a) 少なくとも1種の被覆材料の少なくとも一つの粒子を、流動ガス流中に導入する工程、
(b) 少なくとも1種の超吸収性材料の少なくとも一つの粒子を、該流動ガス流中に導入する工程、ここで該流動ガス流により該超吸収性材料および被覆材料を移動させて、結合剤および架橋剤を、該超吸収性材料および該被覆材料に適用する領域を通過させ、および
(c) 該超吸収性材料が、該被覆材料の少なくとも第一の層で覆われるまで、該流動ガス流を維持する工程を含むことを特徴とする、上記方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法により製造した、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材。
【請求項14】
該流動ガス流が空気を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
更に、(d) 該流動ガス流を、該超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部において架橋を行うのに十分に高い温度にまで加熱する工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
該被覆材料が、親水性材料を含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
該被覆材料が、セルロース系材料を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
更に、(d) 該流動ガス流を、該超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部において架橋を行うのに十分に高い温度にまで加熱する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
請求項15記載の方法により製造した、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材。
【請求項20】
該被覆材料が、シリケートを含む、請求項12記載の方法。
【請求項21】
更に、(d) 該流動ガス流を、該超吸収剤含有複合材表面の少なくとも一部において架橋を行うのに十分に高い温度にまで加熱する工程を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法により製造した、表面架橋を施した超吸収剤含有複合材。

【図1】
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【公表番号】特表2007−514037(P2007−514037A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543801(P2006−543801)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/028280
【国際公開番号】WO2005/061011
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】