説明

表面検査装置の保守システム及びそのコンピュータプログラム

【課題】表面検査装置の保守作業を容易にできる表面検査装置の保守システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の保守システムは、被検査物に検査光を照射する表面検査装置に適用されるものであり、表面検査装置を操作するための操作情報をユーザが入力できるように構成されたグラフィカルユーザインタフェース25を提供する。グラフィカルユーザインタフェース25には、表面検査装置が出力する反射光の強度波形62を表示する強度波形表示部61と、強度波形62に対応する階調で描画された展開画像64を強度波形62と対応させた状態で表示する展開画像表示部63とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物に照射された検査光の反射光の強度に基づいて被検査物の表面を検査する表面検査装置に適用される保守システム及びそのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面検査装置として、円筒状の被検査物の内周面を検査する装置として、軸状の検査ヘッドをその軸線の回り回転させつつ軸線方向に送り出して被検査物の内部に検査ヘッドを挿入し、その検査ヘッドの外周から検査光としてのレーザ光を被検査物に照射するとともに、被検査物からの反射光を検査ヘッドを介して受光し、その受光した反射光に基づいて被検査物の内周面の状態、例えば欠陥等の有無を判別する表面検査装置が周知である(例えば、特許文献1)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2及び3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−309696号公報
【特許文献2】特開2003−222643号公報
【特許文献3】特開2005−69859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような表面検査装置は、被検査物を逐次検査する検査ラインに組み込んで使用される場合がある。特に、このような形態で表面検査装置を使用する場合には、被検査物又は検査箇所の変更等の検査条件の変更に伴って表面検査装置の据え付け位置の変更や動作範囲の変更が必要となる。そのため、稼働条件変更後の正式運用の前に表面検査装置の据え付け状態の確認作業を伴う試運転を実施したり動作を確認する保守作業が行われる。
【0005】
従来、このような保守作業においては、表面検査装置を動作させるための専用のソフトウエアがインストールされたパーソナルコンピュータを表面検査装置に接続するとともに、表面検査装置が出力する光強度の強度波形を表示するオシロスコープを表面検査装置に接続し、オシロスコープの表示内容を確認しつつ、所定のコマンドや設定パラメータの数値をユーザがキーボードを用いて入力して表面検査装置の試運転や据え付け状態の確認を行っていた。キーボードを用いた手入力は完全な誤入力の排除が難しいため、コマンド等の誤入力があると保守作業中に表面検査装置が想定外に動作して装置の損傷を招く可能性がある。また、オシロスコープの表示内容を確認しながらのコマンド入力作業は、視覚的な一体感が損なわれるので作業性が悪化する。また、オシロスコープ等の外部機器を準備して保守作業を行う環境をユーザが整備しなければならなかった。
【0006】
そこで、本発明は表面検査装置の保守作業を容易にできる表面検査装置の保守システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表面検査装置の保守システムは、検査ヘッド(4)を被検査物(100)に対して動かしながら、前記検査ヘッドから前記被検査物に向かって検査光(La)を照射するとともに、前記検査光の照射に対する前記被検査物からの反射光(Re)を前記検査ヘッドを介して受光し、受光した前記反射光の強度に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置(1)に適用される保守システム(20)であって、前記表面検査装置を動作させるための各種の設定パラメータ及び動作指令を含む操作情報を前記表面検査装置に与える設定手段(31)と、前記表面検査装置から出力された前記反射光の強度に関する強度情報を前記検査ヘッドの動作に対応付けて強度波形(62)として展開する強度波形生成手段(33)と、前記強度波形生成手段が展開した前記強度波形に対応する階調で描画された展開画像(64)を生成する画像生成手段(34)と、前記設定手段が前記表面検査装置に与える前記操作情報をユーザが入力できるように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(25)を所定の表示手段(22)に表示させることにより提供するインタフェース制御手段(40)と、を備え、前記インタフェース制御手段が提供する前記グラフィカルユーザインタフェースには、前記強度波形生成手段が生成した前記強度波形を表示する強度波形表示部(61)と、前記画像生成手段が生成した前記展開画像を前記強度波形表示部に表示された前記強度波形と対応させた状態で表示する展開画像表示部(63)とが設けられているものである。
【0008】
本発明のコンピュータプログラムは、検査ヘッド(4)を被検査物(100)に対して動かしながら、前記検査ヘッドから前記被検査物に向かって検査光(La)を照射するとともに、前記検査光の照射に対する前記被検査物からの反射光(Re)を前記検査ヘッドを介して受光し、受光した前記反射光の強度に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置(1)に適用される保守システム(20)のコンピュータ(21)を、前記表面検査装置を動作させるための各種の設定パラメータ及び動作指令を含む操作情報を前記表面検査装置に与える設定手段(31)、前記表面検査装置から出力された前記反射光の強度に関する強度情報を前記検査ヘッドの動作に対応付けて強度波形(62)として展開する強度波形生成手段(33)、前記強度波形生成手段が展開した前記強度波形に対応する階調で描画された展開画像(64)を生成する画像生成手段(34)、及び、前記設定手段が前記表面検査装置に与える前記操作情報をユーザが入力できるように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(25)を所定の表示手段(22)に表示させることにより提供するインタフェース制御手段(40)、として機能させるとともに、前記グラフィカルユーザインタフェースに、前記強度波形生成手段が生成した前記強度波形を表示する強度波形表示部(61)と、前記画像生成手段が生成した前記展開画像を前記強度波形表示部に表示された前記強度波形と対応させた状態で表示する展開画像表示部(63)とが設けられるように、前記インタフェース制御手段を機能させるものである。
【0009】
本発明によれば、グラフィカルユーザインタフェースを利用してユーザが表面検査装置を動作させるための操作情報を入力できるのでユーザによる入力作業が容易となる。また、グラフィカルユーザインタフェースには、光強度の強度波形が表示されるので、強度波形を見ながら行うユーザの入力操作が視覚的一体感を伴ったものとなり作業性が向上し、かつ従来のようにオシロスコープ等の表示機器を別途準備する必要がない。しかも、このグラフィカルユーザインタフェースには、強度波形だけでなくその波形に対応した階調の画像が併せて表示されるので、強度波形だけが表示される場合に比べて表面検査装置の動作状態を直感的に理解し易くなって作業が捗る利点がある。
【0010】
本発明の保守システムの一態様において、前記表面検査装置は、軸状に構成された前記検査ヘッドを軸線方向に移動させながら軸線の回りを回転させつつ、前記検査ヘッドの外周から前記検査光を照射し、かつ前記反射光を前記検査ヘッドを介して受光できるように構成されており、前記強度波形生成手段は、前記検査ヘッドの回転動作に対応付けられかつ時間に関して展開された波形を前記強度波形として生成し、前記検査ヘッドの回転動作に同期した信号を時間に関して展開した動作波形(67)を生成する動作波形生成手段(35)を更に備え、前記グラフィカルユーザインタフェースには、前記動作波形生成手段が生成した前記動作波形を前記強度波形表示部に表示された前記強度波形と対応させた状態で表示する動作波形表示部(65)が更に設けられててもよい。この態様によれば、検査ヘッドの回転動作が動作波形によって視覚的に理解できるから、グラフィカルユーザインタフェースに動作波形、強度波形及び展開画像が対応して表示されることによって、強度波形及び展開画像から得られる情報を検査ヘッドの回転動作に対応付けて直感的に理解することができる。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上に説明したように、本発明によれば、グラフィカルユーザインタフェースを利用してユーザが表面検査装置を動作させるための操作情報を入力できるのでユーザによる入力作業が容易となる。また、グラフィカルユーザインタフェースには、光強度の強度波形が表示されるので、強度波形を見ながら行うユーザの入力操作が視覚的一体感を伴ったものとなり作業性が向上し、かつ従来のようにオシロスコープ等の表示機器を別途準備する必要がない。しかも、このグラフィカルユーザインタフェースには、強度波形だけでなくその波形に対応した階調の画像が併せて表示されるので、強度波形だけが表示される場合に比べて表面検査装置の動作状態を直感的に理解し易くなって作業が捗る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】表面検査装置に適用された一形態に係る保守システムの構成を示した全体構成図。
【図2】図1の保守システムの機能を説明するブロック図。
【図3】グラフィカルユーザインタフェースの一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示したように、表面検査装置1は被検査物である円筒形状のシリンダライナ100の内周面101(表面)の検査に利用される装置である。表面検査装置1は周知のものと同様であるので以下構成を簡単に説明する。表面検査装置1は検査を実行するための検査機構2と、検査機構2の動作制御を行うとともに測定結果の出力及び操作信号の入力等を行うことができる制御回路を含む制御ボックス3とを備えている。制御ボックス3には所定の電源PSから電力が供給される。
【0015】
検査機構2は軸状に延びてシリンダライナ100に挿入される検査ヘッド4を有する検出ユニット5と、検出ユニット5に所定の動作を与える駆動ユニット6とを備える。検出ユニット5は検査ヘッド4の先端部の外周から検査光であるレーザ光Laを照射させかつ内周面101からの反射光Reを受光して、その反射光Reの強度に応じた信号を出力できるように構成されている。駆動ユニット6は検査ヘッド4を軸線Axの回りに回転駆動する回転駆動機構8と、検査ヘッド4を軸線Axの方向に移動できる直線駆動機構9とを備える。回転駆動機構8は検査ヘッド4の回転動作に応じた信号を出力するエンコーダ10を有している。検出ユニット5及び駆動ユニット6はそれぞれ制御ボックス3に電気的に接続されており、制御ボックス3には例えば検出ユニット5から出力される反射光の強度信号やエンコーダ10からの出力信号が入力されるとともに、制御ボックス3からは検出ユニット5及び駆動ユニット6を動作させるための信号が出力される。
【0016】
保守システム20は表面検査装置1の各種動作を制御し、かつ動作時の各種の設定パラメータを調整することができる。例えば、保守システム20は、検査ヘッド4の直線及び回転動作の実行及び停止並びに直線移動量及び回転速度の各調整、レーザ光Laの照射及びその停止並びにその強度調整、検査ヘッド4の焦点距離調整などを行うことができる。保守システム20は表面検査装置1の制御ボックス3に電気的に接続されたコンピュータ21と、所定の表示手段である液晶ディスプレイ22と、コンピュータ21に接続される入力手段であるキーボード23及びマウス24とを含んでいる。コンピュータ21としては、マイクロプロセッサ並びにその動作に必要なROM、RAM、ハードディスク等の記憶装置、グラフィックボード及び入出力インタフェース等の周辺装置を含んだ汎用のパーソナルコンピュータが使用される。コンピュータ21には表面検査装置1に対する上記の各種操作を行うためのプログラムがインストールされている。コンピュータ21がこのプログラムを実行することにより、図2に示した各機能部がその内部に論理的に構成され、かつ保守作業に必要な入力操作を可能とするグラフィカルユーザインタフェース(以下、GUIという)25が液晶ディスプレイ22に表示される。
【0017】
図2に示したように、設定部31は表面検査装置1に対して所定の操作情報を与える。操作情報には、各種の設定パラメータとして、検査ヘッド4の直線移動量、回転速度、レーザ光Laの強度及び焦点距離等が含まれるとともに、動作指令として、検査ヘッド4の直線移動又は回転の実行/停止指令、レーザ光Laの出力の実行/停止指令、不図示のシャッタの開閉指令等が含まれる。設定部31が出力する操作情報が入出力ポート30を介して制御ボックス3に入力された場合、制御ボックス3はその操作情報に従った動作を与えるために検出ユニット5又は駆動ユニット6へ制御信号を送る。
【0018】
強度演算部32は検査ユニット5から出力された反射光Reの強度に応じた強度信号(強度情報)を入出力ポート30を介して受信し、強度信号に所定の処理を施して強度波形生成部33へ送る。強度波形生成部33は強度信号を基礎とした強度波形を生成する。強度信号は所定周期で検査ユニット5から出力されるので、強度波形生成部33が強度信号を時間に関して展開することにより強度波形を生成できる。これにより、強度波形は結果として検査ヘッドの動作に対応付けられたものとなる。その強度波形を特定する情報は画像生成部34及びインタフェース制御部40に送られる。画像生成部34は強度波形生成部33が展開した強度波形の各強度値を階調値に変換し、その階調値を持つ展開画像を生成する。つまり、強度波形に対応する階調で描画された展開画像が画像生成部34にて生成される。展開画像の画像データはインタフェース制御部40に送られる。
【0019】
動作波形生成部35は制御ボックス3に入力されたエンコーダ10の信号を入出力ポート30を介して受信し、その信号に基づいて検査ヘッド4の動作波形を生成する。エンコーダ10の信号は検査ヘッド4の回転動作に同期した信号であるから動作波形生成部35が生成する動作波形は時間に関して展開された波形となる。動作波形を特定する情報はインタフェース制御部40に送られる。
【0020】
設定情報取得部36は制御ボックス3が検査ユニット5及び駆動ユニット6のそれぞれに現在与えている設定情報、換言すれば表面検査装置1の現在の動作状態を特定する動作情報をインタフェース制御部40のリクエスト(GUI25を利用したユーザの操作)に応じて取得し、その動作情報をインタフェース制御部40に送る。
【0021】
インタフェース制御部40は、設定部31が表面検査装置1に与える上述した操作情報をユーザが入力できるように構成されたGUI25を液晶ディスプレイ22に表示させることにより提供する。更に、インタフェース制御部40は、GUI25を利用したユーザの操作情報、具体的にはマウス24の操作情報を受信し、その操作情報を設定部31に送る。
【0022】
図3に示したように、GUI25にはユーザによるマウス24を用いた操作を受け付ける各種の操作部41等が配置され、かつ表面検査装置1の動作に関連する視覚的情報を表示する各種の表示部61等が配置されている。以下、代表的な操作部及び表示部の機能を説明する。なお、以下の記述では、冗長な表現を避けるために表面検査装置1の各部に対して「操作できる」あるいは「設定できる」等の表現を使用してGUI25に設けられた操作部41等の機能を説明している。これらの表現はGUI25がユーザの操作を受け付けることによってインタフェース制御部40がその操作情報を設定部31に送り、設定部31が当該情報を制御ボックス3に送る結果として、表面検査装置1の各部を「操作できる」あるいは「設定できる」ということを意味する。
【0023】
直線移動操作部41は検査ヘッド4の直線移動に関する各種操作を行える操作部である。直線移動操作部41はスクロールバー42の操作により移動距離を設定できる。移動距離の設定許容範囲はスクロールバー42の移動可能範囲に対応している。従って確実に誤入力を防止できる。移動ボタン43をクリックすることにより、設定された移動距離だけ検査ヘッド4を移動させる操作を行える。また、移動速度及び移動ピッチをラジオボタン43a、43bのクリックにより選択できる。そして、前進ボタン44a又は後進ボタン44bのクリックにより、選択済の移動速度及び移動ピッチで前進又は後進させる操作を行える。
【0024】
焦点距離操作部45は、検査ヘッド4から照射されるレーザ光Laの焦点距離を設定するための操作部である。図示の形態は、検査対象となるシリンダライナ100の内径(検査径)の入力操作を受け付けることによって焦点距離の設定が達成される。操作部45は上記と同様に、スクロールバー46の操作により検査径の設定操作を行うことができる。設定ボタン47の操作により検査径の設定操作が開始される。焦点距離操作部45の中央の数値は設定値を示していて、設定済の場合と未設定の場合とで数値の背景色が変化するようになっている。
【0025】
光強度操作部50は、レーザ光Laの光強度の設定を行える操作部である。光強度の設定はスクロールバー51の操作により行うことができ、ONボタン52を操作することでレーザ光Laの出力をON/OFF操作できる。中央の数値は設定値を示し、上記と同様に設定済の場合と未設定の場合とで数値の背景色が変化するようになっている。
【0026】
回転操作部53は検査ヘッド4の回転動作に関する操作を行うための操作部である。プルダウン部54を操作して検査ヘッド4の回転速度(回転数)を設定することが可能となる。回転ボタン55及び停止ボタン56を操作することにより、検査ヘッド4の回転動作をON/OFF操作できる。シャッタ操作部58は不図示のシャッタを開閉させるための操作部であり、開ボタン59及び閉ボタン60の操作によってシャッタを開閉できる。
【0027】
強度波形表示部61は図2の強度波形生成部33が生成した強度波形を表示する表示部である。この強度波形62はインタフェース制御部40が強度波形生成部33から受け取った強度波形を特定する情報に基づいて強度波形表示部61に表示させたものである。強度波形表示部61の横軸は時間軸である。
【0028】
展開画像表示部63は図2の画像生成部34が生成した展開画像を表示する表示部である。展開画像64はインタフェース制御部40が画像生成部34から受け取った展開画像を特定する情報に基づいて展開画像表示部63に表示させたものである。展開画像64は強度波形表示部61に表示される強度波形62に対応させた状態で表示される。展開画像64は、横方向に延びる一本の細い展開画像を一単位として、その一単位が時間経過とともに上端から下方に向かって順番に並べられることによって展開画像表示部63に表示される。従って、展開画像表示部63に表示される展開画像64は時間経過とともに一単位が入れ替わるので上端から少しずつ更新され、その更新動作が繰り返される。
【0029】
動作波形表示部65は図2の動作波形生成部35が生成した動作波形を表示する表示部である。この動作波形66はインタフェース制御部40が動作波形生成部35から受け取った動作波形を特定する情報に基づいて動作波形表示部65に表示させたものである。動作波形66には検査ヘッド4の一回転当たりに1回のオフピーク67が存在する。従って、2つのオフピーク67の間隔は検査ヘッド4が一回転する時間を示す。動作波形表示部65の横軸は強度波形表示部61の横軸と共通の時間軸である。従って、動作波形66も強度波形62に対応する状態で表示されている。
【0030】
設定情報表示部68は情報取得操作部70に対するユーザの操作に応答して制御ボックス3の設定情報等を表示する表示部である。設定情報表示部68には各種設定情報を表示する表示領域69a〜69dが配置されている。情報取得操作部70には各表示領域69a〜69dに対応付けられた操作ボタン71〜74が設けられている。これらの操作ボタン71〜74はユーザが操作できる状態に設けられている。例えば、情報取得ボタン71に対して操作が行われると、その応答としてインタフェース制御部40が図2の情報取得部36から受け取った設定情報を文字情報として表示領域69aに表示させる。同様に、回転数取得ボタン72に対する操作に応答して表示領域69bに検査ヘッド4の回転数が、エンコーダパルス数取得ボタン73に対する操作に応答して表示領域69cにエンコーダ10のパルス数が、内部電圧取得ボタン74に対する操作に応答して表示領域69dに表面検査装置1の内部電圧が、文字情報としてそれぞれ表示される。
【0031】
その他、GUI25には、検査ヘッド4の基準位置である原点位置を設定するための原点位置設定操作部75や設定された原点位置に検査ヘッド4を復帰させる原点復帰操作部76が設けられている。
【0032】
以上に説明した保守システム20によれば、GUI25を利用してユーザが表面検査装置1を動作させるための操作情報を入力できるのでユーザによる入力作業が容易となる。また、GUI25には強度波形61が表示されるので、強度波形61を見ながら行うユーザの入力操作が視覚的一体感を伴ったものとなり作業性が向上し、かつ従来のようにオシロスコープ等の表示機器を別途準備する必要がない。しかも、このGUI25には、強度波形61だけでなくその波形61に対応した階調の展開画像63が併せて表示されるので、強度波形61だけが表示される場合に比べて表面検査装置1の動作状態を直感的に理解し易くなって作業が捗る利点がある。
【0033】
また、検査ヘッド4の回転動作がGUI25に表示された動作波形66によって視覚的に理解できるから、GUI25に動作波形66、強度波形62及び展開画像64が対応して表示されることによって、強度波形62及び展開画像64から得られる情報を検査ヘッド4の回転動作に対応付けて直感的に理解することができる。
【0034】
以上の説明から明らかなように、保守システム20においては、図2に示した設定部31が本発明の設定手段に、強度波形生成部33が本発明の強度波形生成手段に、画像生成部34が本発明の画像生成手段に、インタフェース制御部40が本発明のインタフェース制御手段に、それぞれ相当する。
【0035】
本発明は上記の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。保守システムの適用対象としては、検査ヘッドが回転及び軸方向に移動する図示の表面検査装置に限らず、被検査物に対して検査ヘッドを直線移動させるだけの表面検査装置に対しても適用可能である。
【0036】
GUIを利用する際のユーザが用いる入力手段としてはマウス24に限られず、例えばその入力手段として、タッチパッド等の他のポインティングデバイスや音声入力デバイスを用いることができる。上記形態の保守システムは、液晶ディスプレイ22とマウス24とを別々に備えていて、GUIを表示させる表示手段と、ユーザが用いる入力手段とが物理的に分けられている。しかし、このように実施することは一例であり、例えば、GUIを表示させる表示手段と入力手段とを一体化させたタッチパネル等の接触式デバイスを用いることも可能である。また、保守システムを実現するコンピュータとして、汎用のパーソナルコンピュータを用いることは一例であり、当該保守システム専用のコンピュータにて保守システムを実現することも可能である。
【0037】
上記形態に係るGUI25はマウス24のみで各種の操作ができるものである。しかし、本発明の保守システムをキーボードの操作をも受け付け得るGUIを用いた形態で実施することもできる。特に、キーボードの使用が有利な操作、例えば数値の入力操作等の一定範囲でキーボードの使用を許容するGUIを用いた形態で本発明を実施することにより操作性の向上が期待できる。
【符号の説明】
【0038】
1 表面検査装置
4 検査ヘッド
20 保守システム
22 液晶ディスプレイ(表示手段)
25 GUI
31 設定部(設定手段)
33 強度波形生成部(強度波形生成手段)
34 画像生成部(画像生成手段)
35 動作波形生成部(動作波形生成手段)
40 インタフェース制御部(インタフェース制御手段)
61 強度波形表示部
62 強度波形
63 展開画像表示部
64 展開画像
65 動作波形表示部
66 動作波形
100 シリンダライナ(被検査物)
101 内周面(表面)
Ax 検査ヘッドの軸線
La レーザ光(検査光)
Re 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査ヘッドを被検査物に対して動かしながら、前記検査ヘッドから前記被検査物に向かって検査光を照射するとともに、前記検査光の照射に対する前記被検査物からの反射光を前記検査ヘッドを介して受光し、受光した前記反射光の強度に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置に適用される保守システムであって、
前記表面検査装置を動作させるための各種の設定パラメータ及び動作指令を含む操作情報を前記表面検査装置に与える設定手段と、
前記表面検査装置から出力された前記反射光の強度に関する強度情報を前記検査ヘッドの動作に対応付けて強度波形として展開する強度波形生成手段と、
前記強度波形生成手段が展開した前記強度波形に対応する階調で描画された展開画像を生成する画像生成手段と、
前記設定手段が前記表面検査装置に与える前記操作情報をユーザが入力できるように構成されたグラフィカルユーザインタフェースを所定の表示手段に表示させることにより提供するインタフェース制御手段と、を備え、
前記インタフェース制御手段が提供する前記グラフィカルユーザインタフェースには、前記強度波形生成手段が生成した前記強度波形を表示する強度波形表示部と、前記画像生成手段が生成した前記展開画像を前記強度波形表示部に表示された前記強度波形と対応させた状態で表示する展開画像表示部とが設けられている、
ことを特徴とする表面検査装置の保守システム。
【請求項2】
前記表面検査装置は、軸状に構成された前記検査ヘッドを軸線方向に移動させながら軸線の回りを回転させつつ、前記検査ヘッドの外周から前記検査光を照射し、かつ前記反射光を前記検査ヘッドを介して受光できるように構成されており、
前記強度波形生成手段は、前記検査ヘッドの回転動作に対応付けられかつ時間に関して展開された波形を前記強度波形として生成し、
前記検査ヘッドの回転動作に同期した信号を時間に関して展開した動作波形を生成する動作波形生成手段を更に備え、
前記グラフィカルユーザインタフェースには、前記動作波形生成手段が生成した前記動作波形を前記強度波形表示部に表示された前記強度波形と対応させた状態で表示する動作波形表示部が更に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の保守システム。
【請求項3】
検査ヘッドを被検査物に対して動かしながら、前記検査ヘッドから前記被検査物に向かって検査光を照射するとともに、前記検査光の照射に対する前記被検査物からの反射光を前記検査ヘッドを介して受光し、受光した前記反射光の強度に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置に適用される保守システムのコンピュータを、
前記表面検査装置を動作させるための各種の設定パラメータ及び動作指令を含む操作情報を前記表面検査装置に与える設定手段、
前記表面検査装置から出力された前記反射光の強度に関する強度情報を前記検査ヘッドの動作に対応付けて強度波形として展開する強度波形生成手段、
前記強度波形生成手段が展開した前記強度波形に対応する階調で描画された展開画像を生成する画像生成手段、及び、
前記設定手段が前記表面検査装置に与える前記操作情報をユーザが入力できるように構成されたグラフィカルユーザインタフェースを所定の表示手段に表示させることにより提供するインタフェース制御手段、として機能させるとともに、
前記グラフィカルユーザインタフェースに、前記強度波形生成手段が生成した前記強度波形を表示する強度波形表示部と、前記画像生成手段が生成した前記展開画像を前記強度波形表示部に表示された前記強度波形と対応させた状態で表示する展開画像表示部とが設けられるように、前記インタフェース制御手段を機能させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−93138(P2012−93138A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239014(P2010−239014)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】