説明

表面欠陥検出装置

【課題】無害模様の表面状態が一定しない場合でも、無害模様を誤検出することなく被検査体表面の欠陥を検出すること。
【解決手段】本発明の表面欠陥検出装置1は、被検査体2に照射された照明光の反射光を受光して、被検査体2の表面画像を撮像する撮像部4と、撮像部4の光学条件を規定する偏光子5および検光子6の相対的角度を変更する偏光角調整部12と、撮像部4が撮像した被検査体2の表面画像を評価する画像モニター10と、画像モニター10による評価に従い検光子6の角度を入力する偏光角修正入力部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄鋼板表面などの被検査体表面に存在する欠陥を光学的に検出する表面欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薄鋼板表面などの被検査体表面に照射光を照射して、この被検査体表面からの反射光を解析することにより、被検査体表面に存在する欠陥を光学的に検出する表面欠陥検出装置が知られている。このような光学式の表面欠陥検出装置は、被検査体表面に存在する欠陥に似ているが検出対象ではない無害模様を欠陥として誤検出してしまうことがある。このため、この無害模様の誤検出を抑制する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被検査体表面に対して35度から75度の入射角度で光を入射し、反射光の正反射方向に設置した第1のカメラの画像と、入射方向あるいは正反射方向から20度以内の角度方向に設置した第2のカメラの画像とを比較して、無害模様の誤検出を抑制する技術が記載されている。特許文献2には、偏光板と1/4波長板とを用いて被検査体から反射した光の偏光状態を最適に調整した光学系を構成することにより、偏光板と1/4波長板とを調整して無害模様の誤検出を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−204353号公報
【特許文献2】特開2005−221391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、被検査体表面の無害模様の状態が一定している場合には有効であるが、無害模様の状態が変化し、2台のカメラが共に無害模様を検出する場合に、無害模様を誤検出してしまうという問題点があった。また、特許文献2に記載の技術は、予め無害模様を打ち消すように光学系を設計するので、無害模様の状態が一定しない場合に、無害模様の誤検出を抑制することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被検査体表面の無害模様の状態が一定しない場合でも、無害模様を誤検出することなく被検査体表面の欠陥を検出することを可能とする表面欠陥検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表面欠陥検出装置は、被検査体に照射された照明光の反射光を受光して、前記被検査体の表面画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像を行う光学条件を変更する変更手段と、前記撮像手段が撮像した前記被検査体の表面画像を評価する評価手段と、前記評価手段の評価に従い前記変更手段を制御する調整手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る表面欠陥検出装置によれば、被検査体の無害模様の状態が一定しない場合でも、無害模様を誤検出することなく被検査体表面の欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、検光子の角度調整機構の例を示す模式図である。
【図3】図3は、無害模様を有する鋼板表面に対して直線偏光を照射した場合の反射光の偏光状態を説明する図である。
【図4】図4は、検光子の角度により無害模様の見え方が異なる理由を説明する図である。
【図5】図5は、酸洗ラインの検査にて検光子の角度を調整するタイミングを説明する図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る表面欠陥検出装置の構成を示す模式図である。
【図7】図7は、ノイズレベルを指標とした検光子角度の自動設定方法の例を説明する図である。
【図8】図8は、ノイズレベルを検光子の各角度に関してグラフ化したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る表面欠陥検出装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置の構成を示す模式図である。図1に示されるように、本発明の実施形態に係る表面欠陥検出装置1は、被検査体2に照明光を照射する照明部3と、照明光を照射された被検査体2からの反射光を受光する撮像部4と、撮像部4が撮像する光学条件を規定する偏光子(偏光板)5および検光子(偏光板)6とを備える。
【0012】
照明部3は、例えばメタルハイドロランプを使用した光源7から光ファイバーを介して光線が導かれ、その光線を照明部3が被検査体2を照射するための光学系を内部に備える。照明部3の出射端と被検査体2との間の照射光の光路には、偏光角が45度に設定された偏光子5が配置されている。これにより、垂直方向(P偏光)と水平方向(S偏光)の偏光成分を含んだ直線偏光が被検査体2に照射される。
【0013】
照明部3から被検査体2へ照射される照明光の入射角は、例えば60度とすることができる。一方、撮像部4は、照明部3から被検査体2へ照射された照射光の正反射光を受光する位置に配置される。すなわち、撮像部4が受光する反射光の反射角も60度である。なお、入射角および反射角は60度に限らず、反射光のP偏光とS偏光との差が検出しやすい角度であれば他の角度でも構わない。
【0014】
被検査体2と撮像部4との間の反射光の光路には、検光子6が配置され、撮像部4は、この検光子6を介して反射光を受光する。なお、検光子6の角度は、被検査体2の製造条件に従い、無害模様の誤検出を抑制し得る角度に予め仮設定しておく。
【0015】
ところで、上記のように被検査体2の製造条件に従い検光子6の角度を設定しても、実際には製造条件のバラつきにより無害模様の状態が変化するので、仮設定の角度では無害模様を誤検出してしまうことがある。そこで、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置では、オペレータが検光子6の角度をマニュアルで変更する。以下、そのための構成を説明する。
【0016】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置は、撮像部4から出力された画像信号を制御する画像入力部8と、画像入力部8によって制御された画像信号に画像処理を加える画像処理部9と、画像処理部9により処理された画像信号を画像化して表示する画像モニター10とを備える。さらに、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置は、オペレータが検光子6の角度を設定するための偏光角修正入力部11と、偏光角修正入力部11からの入力に従い検光子6の角度を駆動する偏光角調整部12とを備える。
【0017】
画像入力部8は、撮像部4から出力された画像信号を増幅する増幅器と、電気的ノイズをカットするフィルタと、アナログ信号である画像信号をデジタル信号の画像信号に変換するA/D変換器とを内部に備える。画像処理部9は、入力された画像信号に対して下地の反射率ムラなどの下地影響を除くためにシェーディング補正処理と、空間フィルタによるノイズ除去処理とを行う前処理機能を備える。画像モニター10は、CRTまたはLCDなどの一般的な画像表示装置である。
【0018】
なお、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置は、上記構成に加え、画像処理部9の出力画像から欠陥候補の長さ・幅・面積などの特徴量を演算する特徴量演算部13と、この特徴量から所定のアルゴリズムによって欠陥の種別および程度を判定する欠陥判定部14と、判定された欠陥の種別および程度を表示または出力する外部入出力部15と、外部入出力部15からの出力を利用して被検査体2の品質管理などを行う上位計算機16を備える。また、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置は、画像入力部8に従い光源7の出力を制御する光量制御部17を備える。
【0019】
図2は、検光子6の角度調整機構の例を示す模式図である。例えば、リング状に穴の開いた回転機構が撮像部4の入射端に設けられており、その回転機構の中に検光子6を取り付ける構成にすれば、検光子6の角度を360度の任意角度に設定できる。
【0020】
以下、上記構成の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置における、検光子6の調整方法について説明する。
【0021】
酸洗鋼板の表面には、例えばスケール残りまたは赤スケールといった、検出すべきヘゲ疵と同様の形状をした無害模様が発生する。酸洗鋼板とは、塩酸または硫酸などの強酸を入れた液槽中に鋼板を通過させて表面のスケールを除去する酸洗処理を施した鋼板をいう。この酸洗処理において除去しきれずに残ったものがスケール残りである。スケール残り自体を検出する用途も存在するが、以下では、被検査体2の表面の欠陥を検出する検査として、酸洗ライン上における鋼板表面のヘゲ疵を検出する検査を想定し、スケール残りを無害模様とみなして説明を行う。
【0022】
図3は、この無害模様を有する鋼板表面に対して直線偏光を照射した場合の反射光の偏光状態を説明する図である。図3(a)に示されるように、本発明の第1実施形態に係る第1実施形態に係る表面欠陥検出装置は、偏光角が45度の直線偏光を被検査体である鋼板に照射する。図3(a)では、鋼板に照射される直線偏光の偏光状態を符号Aの直線で表示している。
【0023】
図3(b)は、鋼板に照射された直線偏光の反射光の偏光状態を示す図である。図3(b)に示されるように、鋼板の下地によって直線偏光が反射するか、または、鋼板上のスケール残りによって直線偏光が反射するかによって、反射光の偏光状態が異なる。図3(b)では、鋼板の下地による反射した楕円偏光の偏光状態を符号Bの楕円で表示し、無害模様による反射した楕円偏光の偏光状態を符号Cの楕円で表示している。このように反射光の偏光状態に相違が生じる理由は、鋼板の下地によって直線偏光が反射するか、または、鋼板上のスケール残りによって直線偏光が反射するかによって、照射した直線偏光のP偏光成分とS偏光成分とに対する作用が異なるからである。
【0024】
上記性質を利用し、本発明の第1実施形態に係る第1実施形態に係る表面欠陥検出装置1は、反射光の光路に配置した検光子6の角度を調整することにより、無害模様の誤検出を抑制する。図4は、検光子6の角度により無害模様の見え方が異なる理由を説明する図である。
【0025】
図4(a)に示すように、検光子6の角度が適切でない場合(図中一点鎖線の角度)、鋼板の下地にて反射した楕円偏光と鋼板上のスケール残りにて反射した楕円偏光とでは、検光子6を透過する偏光成分の大きさが異なる。検光子6を透過する成分の大きさは、検光子の角度に対する楕円偏光の射影成分となるからである。図4(a)中では、検光子6を透過する偏光の方向を一転鎖線で示し、鋼板の下地にて反射した楕円偏光の射影成分を破線の両矢印で示し、鋼板上のスケール残りにて反射した楕円偏光の射影成分を実線の両矢印で示している。図4(a)に示された例では、この破線の両矢印と実線の両矢印との大きさが異なり、鋼板の下地と無害模様とにコントラストが生じて画像化されてしまうことが解る。
【0026】
一方、図4(b)に示すように、検光子の角度が適切な場合(図中角度αの実線)、鋼板の下地にて反射した楕円偏光と鋼板上のスケール残りにて反射した楕円偏光とで、検光子を透過する成分の大きさが等しく(または略等しく)なる。図4(a)と同様に、図4(b)中では、鋼板の下地にて反射した楕円偏光の射影成分を破線の両矢印で示し、鋼板上のスケール残りにて反射した楕円偏光の射影成分を実線の両矢印で示している。図4(b)に示された例では、この破線の両矢印と実線の両矢印との大きさが略等しくなり、鋼板の下地と無害模様とにコントラストがなく画像化されることが解る。
【0027】
上記理由により、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置1は、図4(b)に示されるように検光子6の角度を調整すれば、無害模様の誤検出を抑制することができる。ところが、図4(b)に示されるような検光子6の角度は、製造条件やスケールの残り方などにより変化してしまう。よって、検光子6の角度を固定した場合、無害模様の誤検出を抑制することができない状況が発生する。そこで、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置1では、オペレータが、連続して製造される鋼板の製造条件が変わるタイミングで無害模様の発生状況を画像モニター10で確認し、検光子6の角度を偏光角修正入力部に入力することで検光子6の角度を調整する。
【0028】
以下、酸洗ライン上における鋼板表面の欠陥の検出の例を用いて、オペレータが、検光子6の角度を調整すべきタイミングについて説明する。
【0029】
図5は、酸洗ライン上における鋼板表面の欠陥の検出にて検光子6の角度を調整するタイミングを説明する図である。図5(a)は、鋼板表面の欠陥の検出をする表面欠陥検出装置1を備えた酸洗ライン上の模式図である。図5(a)に示されるように、酸洗ラインにおいて、被検査体2である鋼板は、コイル18として巻き取られた状態で酸洗ラインに搬入される。そして、コイル18を巻き戻すことにより、鋼板が、酸洗ラインに通板され、酸洗処理をされた後に、表面欠陥検出装置1により鋼板表面の欠陥の検出がなされる。この欠陥の検出が終了した被検査体2は、コイラーによりに巻き取られて巻取コイル19となり、酸洗ラインから搬出され、酸洗ラインが終了する。
【0030】
図5(a)に示される酸洗ラインは連続ラインであるので、被検査体2としての鋼板は、溶接されて連続的に酸洗ラインに通板される。したがって、図5(b)に示されるように、被検査体2としての鋼板のコイルAとコイルBとは、溶接部2bを介して一体化された状態で表面欠陥検出装置1により欠陥の検出が実施される。
【0031】
以上より、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置1を酸洗ライン上における鋼板表面の欠陥の検出に用いた場合、被検査体2としての鋼板のコイル間を溶接する溶接部2bが表面欠陥検出装置1を通過した後すぐに、オペレータが検光子6の角度の再設定をするべきであることが解る。
【0032】
具体的には、オペレータは、溶接部2bの下流側近傍である無害模様発生状況確認エリア2aの表面画像を画像モニター10にて確認し、偏光角修正入力装置11を操作し、無害模様発生状況確認エリア2aの無害模様が最小化するように検光子6の角度を調整する。このように、コイル間を溶接する溶接部が表面欠陥検出装置を通過したタイミングで検光子6の角度を調整することにより、無害模様の発生状況が変化しても、無害模様を誤検出することなく被検査体2の表面を検査することが可能となる。
【0033】
なお、上記説明では、検光子6の角度を変更することにより、光学的条件を変更する実施形態を用いて本発明の実施形態を説明したが、例えば、照明部3および撮像部4の位置を駆動して照明光の入射角および反射角を変更することで光学的条件を変更しても、本発明の要旨を変更することなく適切に本発明を実施することができる。
【0034】
以上より、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置は、被検査体2に照射された照明光の反射光を受光して、被検査体2の表面画像を撮像する撮像部4と、撮像部4が撮像を行う光学条件を規定する偏光子5および検光子6の相対的角度を変更する偏光角調整部12と、撮像部4が撮像した被検査体2の表面画像を評価する画像モニター10と、画像モニター10による評価に従い、オペレータが検光子6の角度を入力する偏光角修正入力部11とを備え、入力された検光子6の角度となるように偏向角調節部12が検光子6の角度を制御するので、無害模様の発生状況に変化が生じても、無害模様を誤検出することなく被検査体表面の欠陥を検査することが可能である。
【0035】
〔第2実施形態〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る表面欠陥検出装置の構成を示す模式図である。本発明の第1実施形態は、オペレータがマニュアルで検光子の最適な角度を探し出す方式を用いたが、本発明の第2実施形態は、例えば鋼板のノイズレベルを指標として、このノイズレベルが最小になる角度を検光子の最適角度に自動設定する実施形態である。
【0036】
図6に示されるように、本発明の第2実施形態に係る表面欠陥検出装置は、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置と略同様の構成をしている。したがって、本発明の第2実施形態に係る表面欠陥検出装置の説明では、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置と同一の符号を付すことにより、同一の構成要素の説明を省略するものとする。
【0037】
本発明の第2実施形態に係る表面欠陥検出装置1は、本発明の第1実施形態に係る表面欠陥検出装置1の構成要素に加えて、画像評価部20を備える。画像評価部20は、画像処理部9からの出力である被検査体2の画像におけるノイズレベルを算出する演算器であり、一般的なMPUによって実現される。したがって、図6では、画像評価部20が画像処理部9と別体となっているが、画像評価部20と画像処理部9と一体として構成することも可能である。
【0038】
ここで、画像のノイズレベルとしては、例えば各画素の輝度の標準偏差σを用いることができる。以下、画像のノイズレベルとして各画素の輝度の標準偏差σを用いたものをノイズレベルσと略記し、このノイズレベルσを用いて説明を行う。
【0039】
また、画像評価部20は、算出した画像のノイズレベルに従って、偏光角調整部12に制御信号を送信する。画像評価部20が行う偏光角調整部12の制御としては、例えば以下の方法が考えられる。
【0040】
図7および図8は、ノイズレベルσを指標とした検光子6の角度の自動設定方法の例を説明する図である。
【0041】
本発明の第2実施形態に係る検光子6の角度の自動設定方法の例では、表面欠陥検出装置1が無害模様発生状況確認エリア2a(図5(b)参照)の画像を、検光子6の角度を0度から10度ピッチで変えてながら取得する。すなわち、本発明の第2実施形態に係る検光子6の角度の自動設定方法の例では、図7に示されるように、10度ピッチの各角度に対応して分割された無害模様発生状況確認エリア2aの画像が取得される。なお、図7に示される例では、溶接部2bが表面欠陥検出装置1を通過するタイミングにおける検光子6の角度が無害模様の誤検出を抑制する角度として0度に予め仮設定されていたとして、無害模様発生状況確認エリア2aを図示している。また、検光子6の角度の10度ピッチに対応した無害模様発生状況確認エリア2aの一定長さをLピッチと定義する。なお、検光子6の角度を予め仮設定されている角度の前後に何度の範囲で調べるかは、処理を短時間(つまり鋼板上の短距離)で行うためにパラメータで決めておいても良い。
【0042】
画像評価部20は、上記のように取得された各Lピッチにおける無害模様発生状況確認エリア2aの画像のノイズレベルσを計算し、各Lピッチに対応した検光子6の角度のノイズレベルσとして記憶する。なお、このノイズレベルσを計算する画像は、未補正画像または画像処理部9にてシェーディング補正を行って正規化した画像のどちらを用いても良い。
【0043】
図8は、上記のように算出したノイズレベルσを検光子6の各角度に関してグラフ化したグラフである。
【0044】
図8に示されるグラフの例は、検光子6の角度が70度付近においてノイズレベルσが最小となっている。したがって、図8に示されるグラフの例では、検光子6の角度が70度の時に、無害模様のコントラストが最小化されることが解る。よって、この場合、画像評価部20は、検光子6の角度が70度になるように、偏光角調整部12を制御すればよいことになる。
【0045】
なお、本発明の第2実施形態に係る検光子6の角度の探索アルゴリズムは、山登り法などの一般的な探索アルゴリズムを用いることできる。すなわち、一つ前のLピッチにおけるノイズレベルσと、今回のLピッチにおけるノイズレベルσとを比較して、ノイズレベルσが減少している場合は次のLピッチにおけるノイズレベルσを計算することを繰り返す処理を行い、ノイズレベルσが増加に転じるLピッチを探索するアルゴリズムを用いることができる。図8に示されるグラフの例では、n番目のLピッチまでノイズレベルσが減少し、n+1番目のLピッチからノイズレベルσが増加する。これにより、n番目のLピッチのノイズレベルσが最小値であることが解る。もちろん、n番目のLピッチとn+1番目のLピッチとの間をさらに細分して、精度を高める工夫をすることも可能である。
【0046】
以上より、本発明の第2実施形態に係る表面欠陥検出装置は、被検査体2に照射された照明光の反射光を受光して、被検査体2の表面画像を撮像する撮像部4と、撮像部4が撮像を行う光学条件を規定する偏光子5および検光子6の相対的角度を変更する偏光角調整部12と、被検査体2の表面画像のノイズレベルを算出し、算出したノイズレベルが最小になる検光子6の角度を制御角度として探索する画像評価部20とを備え、検光子6の角度が探索された制御角度になるように偏光角調整部12が検光子6の角度を制御するので、無害模様の発生状況に変化が生じても、無害模様を誤検出することなく被検査体表面の欠陥を検出することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 表面欠陥検出装置
2 被検査体
2a 無害模様発生状況確認エリア
2b 溶接部
3 照明部
4 撮像部
5 偏光子
6 検光子
7 光源
8 画像入力部
9 画像処理部
10 画像モニター
11 偏光角修正入力部
12 偏光角調整部
13 特徴量演算部
14 欠陥判定部
15 外部入出力部
16 上位計算機
17 光量制御部
18 コイル
19 巻取コイル
20 画像評価部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体に照射された照明光の反射光を受光して、前記被検査体の表面画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像を行う光学条件を変更する変更手段と、
前記撮像手段が撮像した前記被検査体の表面画像を評価する評価手段と、
前記評価手段の評価に従い前記変更手段を制御する調整手段と、
を備えることを特徴とする表面欠陥検出装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記照射光の光路に配置した偏光子と前記反射光の光路に配置した検光子とを備え、
前記変更手段は、前記偏光子と前記検光子との相対的角度を変更することにより前記光学条件を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表面欠陥検出装置。
【請求項3】
前記評価手段は、前記被検査体の表面画像を表示する画像モニターであり、
前記調整手段は、オペレータが、前記画像モニターを確認しながら前記検光子の角度を入力する入力装置である、
ことを特徴とする請求項2に記載の表面欠陥検出装置。
【請求項4】
前記評価手段は、前記被検査体の表面画像のノイズレベルを算出し、算出されたノイズレベルが最小になる前記検光子の角度を制御角度として探索する演算器であり、
前記調整手段は、前記検光子の角度が前記制御角度になるように前記変更手段を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表面欠陥検出装置。
【請求項5】
前記被検査体は、酸洗ラインを搬送される鋼板であり、
前記調整手段は、前記鋼板の製造条件が切り替わるタイミングで前記変更手段を制御することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の表面欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−57570(P2013−57570A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195389(P2011−195389)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】