説明

表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法

【課題】試料表面の色むらと凹凸とを容易に検査を行うことのできる表面欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有しており、前記照明部は、前記各々の領域において白色光を発光させるため前記複数の発光素子を発光させることができ、また、前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を発光させるため前記各々の領域において前記複数の発光素子の一部を発光させることができるものであって、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする表面欠陥検査装置により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筐体やケース等には、美的な外観を得ることから着色及び透明な樹脂材料による塗装が施されている場合が多い。このような着色及び樹脂材料による塗装を行った際に、色むらやキズ、ブツ等の凹凸を伴う表面欠陥が生じる場合があり、このような表面に生じた色むらや表面欠陥の凹凸欠陥を検出することが必要となる。
【0003】
このような表面の色むらや透明樹脂膜の表面欠陥を検出する方法としては、図1に示すように、明暗のパターン照明を検査の対象となる表面に照射し、その表面からの反射光を検出することにより行う方法がある。具体的には、表面欠陥の検査の対象となる部材に塗膜301及び透明樹脂膜302が形成されたものについて、明暗パターン照明310を照射する。尚、説明の都合上、表面欠陥の検査の対象となる部材の表面には、色むら303と透明樹脂膜302の凹凸304が存在しているものとする。明暗パターン照明310は、明暗のパターンの照明であり、領域310Bでは光が発せられず、領域310A及び領域310Cでは光が発せられる光源である。このように明暗パターン照明310により照射された光の反射光は、撮像素子320により撮像される。図2は、このようにして撮像されたものであり、明暗パターン照明310に対応して、表面欠陥の検査の対象となる部材の表面に明暗パターンが形成される。この方法では、パターン照明310により光が照射され明部となる領域300A及び300Cに透明樹脂膜302の凹凸304が存在している場合、凹凸304の周辺では明るいパターンが映っているのに対し、凹凸304では暗いパターンが映し出される。これにより透明樹脂膜302の表面に映るパターンのゆがみを検出することができ、図3に示すように、透明樹脂膜302の凹凸304を検出することができる。しかしながら、図2に示すように光の照射されない暗部となる領域300Bに色むら303が存在している場合には、色むら303を検出することができない。尚、図3は、図2における破線で囲まれた領域A3における拡大図、即ち、透明樹脂膜302の凹凸304が存在している部分の拡大図である。
【0004】
また、表面の色むらや樹脂材料の表面欠陥を検出する別の方法としては、図4に示すように、色相パターン照明330による光を検査の対象となる表面を照射し、その表面からの反射光を検出することにより行う方法がある。この際用いられる色相パターン照明330は、領域330A及び領域330Cと、領域330Bとにおいて発する光の色相が相互に異なるものであり、例えば、領域330A及び領域330Cは青色の光、領域330Bは黄色の光を発する光源である。このような色相パターン照明330を用いた場合、検査の対象となる表面の領域300A、300B及び300Cには、何れかの色相の光が照射されるため、透明樹脂膜302の凹凸304以外にも、色むら303についても検出することができる可能性はある。しかしながら、表面欠陥の検査の対象となる部材の塗膜301の色と色相パターン照明330により照射される光の色との関係により、色むらを検出することができない場合が生じることがある。例えば、検査の対象となる部材に青紫色の塗膜301の塗装がされているものについて、黄色とその他の色相からなる光が照射された場合、青紫色と補色関係による黄色の光では、青紫色は暗部となり色むらを検出することができない。
【0005】
一方、色むらを検出する方法としては、図5に示すように、白色均一照明350による光を検査の対象となる表面を照射し、その表面からの反射光を測定することにより行う方法がある。この方法では、照明に起因して生じる暗部も存在せず、色相による補色関係の光を照射するものでもないため、図6に示すように色むら303については検出することができる。しかしながら、図7に示すように、透明樹脂膜302の凹凸304については、透明樹脂膜302の凹凸304における反射光が、他の平坦な部分の反射光と同様に、撮像素子320に入射するため検出することができない。尚、図7は、図6における破線で囲まれた領域A7における拡大図であり、透明樹脂膜302の凹凸304が存在している部分の拡大図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−239222号公報
【特許文献2】特許第3054227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、着色及び透明な樹脂材料による塗装が施されている表面の表面欠陥を容易に検査する方法はなく、着色及び透明な樹脂材料による塗装が施されている表面の表面欠陥を容易に検査することのできる表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態の一観点によれば、各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有しており、前記照明部は、前記各々の領域において白色光を発光させるため前記複数の発光素子を発光させることができ、また、前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を発光させるため前記各々の領域において前記複数の発光素子の一部を発光させることができるものであって、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする。
【0009】
また、本実施の形態の他の観点によれば、各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、前記撮像部の前記反射光の入射側に設けられた回転可能な検光子と、を有し、前記検光子を回転させることにより、偏光方向の異なる画像を撮像部において撮像することにより、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする。
【0010】
また、本実施の形態の他の観点によれば、各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記撮像部は、偏光イメージングカメラであって、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする。
【0011】
また、本実施の形態の他の観点によれば、各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、前記照明部より白色光を照射し基準輝度分布を取得する基準輝度分布取得工程と、前記照射部において、前記複数の発光素子の一部を発光させることにより前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となるように光を発光させる発光工程と、前記異なる色相となる領域の輝度を調節する輝度調節工程と、前記輝度を調節した後、前記検査対象を撮像する撮像工程と、前記撮像された画像に基づき前記検査対象の表面における欠陥を検査するものであることを特徴とする。
【0012】
また、本実施の形態の他の観点によれば、各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、前記照明部より白色光を前記検査対象に照射し撮像する白色光画像撮像工程と、前記白色光画像撮像工程に基づき前記検査対象の表面における検査を行う第1の検査工程と、前記照射部において、前記複数の発光素子の一部を発光させることにより前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を前記検査対象に照射し撮像する色相パターン光照射工程と、前記色相パターン光照射工程に基づき前記検査対象の表面における検査を行う第2の検査工程と、を有し、前記検査対象の表面における欠陥を検査するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
開示の表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法によれば、着色及び透明な樹脂材料による塗装が施されている表面の表面欠陥を容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の表面欠陥検査方法の説明図(1)
【図2】図1に示す表面欠陥検査方法により得られた写真
【図3】図2における要部拡大写真
【図4】従来の表面欠陥検査方法の説明図(2)
【図5】従来の表面欠陥検査方法の説明図(3)
【図6】図5に示す表面欠陥検査方法により得られた写真
【図7】図6における要部拡大写真
【図8】第1の実施の形態における表面欠陥検査装置の構成図
【図9】図8における要部拡大図
【図10】第1の実施の形態における表面欠陥検査方法のフローチャート
【図11】第1の実施の形態における表面欠陥検査方法の説明図(1)
【図12】第1の実施の形態における表面欠陥検査方法の説明図(2)
【図13】第1の実施の形態における表面欠陥検査方法の説明図(3)
【図14】第2の実施の形態における表面欠陥検査方法のフローチャート
【図15】第3の実施の形態における表面欠陥検査装置の構成図
【図16】図15における要部拡大図
【図17】第3の実施の形態における表面欠陥検査方法のフローチャート
【図18】第4の実施の形態における表面欠陥検査装置の構成図
【図19】図18における要部拡大図
【図20】第4の実施の形態における表面欠陥検査方法のフローチャート
【図21】第4の実施の形態における表面欠陥検査方法の説明図(1)
【図22】第4の実施の形態における表面欠陥検査方法の説明図(2)
【図23】第4の実施の形態における表面欠陥検査方法の説明図(3)
【図24】第5の実施の形態における表面欠陥検査方法のフローチャート
【図25】第5の実施の形態における表面欠陥検査装置の構成図
【図26】第6の実施の形態における表面欠陥検査方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0016】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について説明する。
【0017】
(表面欠陥検査装置)
図8及び図9に基づき本実施の形態における表面欠陥検査装置について説明する。本実施の形態における表面欠陥検査装置は、筐体等の部材の表面上に塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの表面欠陥の検査を行うものである。尚、本実施の形態を説明する上で、検査の対象となる部材の表面上に塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものには、色むら13及び透明樹脂膜12の凹凸14等の欠陥を有しているものとする。本実施の形態における表面欠陥装置は、照明部20、発光調整部41、42及び43、制御部50及び撮像部60を有している。図9は、本実施の形態における表面欠陥検査装置の照明部20の一部を拡大した要部拡大図である。
【0018】
照明部20は、異なる色相の光を所定の領域ごとに発光するものであり、各々異なる発光色を発光する発光領域21、発光領域22、発光領域23を有している。発光領域21、発光領域22、発光領域23には、各々赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33を有している。これらの赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に流す電流値を変えることにより、各々の発光領域21、発光領域22、発光領域23における色相の調整を行うことができる。また、照明部20には、光が発せられる側に拡散板24が設けられている。
【0019】
発光調整部41、42及び43は、各々の発光調整部41、42及び43に接続されている発光領域21、22及び23を制御するためのものである。即ち、発光調整部41、42及び43により、各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に流れる電流値を制御することができる。これにより各々の発光領域21、22及び23において、独立した色相の光を発することができる。
【0020】
制御部50は、発光調整部41、42及び43の制御を行うとともに、撮像部60において得られた画像処理等を行うものである。制御部50には、記憶部51が接続されており、必要な情報等を記憶することが可能である。
【0021】
撮像部60は、照明部20より検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに光を照射したものの画像を撮像するものである。撮像部60では、2次元画像の検出を行うことが可能である。
【0022】
(表面欠陥検査方法)
次に、図10に基づき本実施に形態における表面欠陥検査方法について説明する。本実施に形態における表面欠陥検査方法は、上述した表面欠陥検査装置を用いるものである。
【0023】
最初に、ステップ102(S102)において、照明部20より白色光を検査対象に照射する。具体的には、発光調整部41、42及び43により、各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に流れる電流値を制御し、照明部20が白色光を発するように制御する。これにより検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものには、白色光が照射される。
【0024】
次に、ステップ104(S104)において、撮像部60により撮像した基準輝度分布を保存する。具体的には、照明部20により検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに照射された光の反射光が撮像部60により撮像され、撮像部60により撮像された画像情報に基づき基準輝度分布が算出され記憶部51に保存される。尚、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの表面は、後述するように、照明部20における発光領域21、22及び23の光が各々照射されることにより、領域10A、10B、10Cが形成される。よって、これらの領域10A、10B、10Cにおける反射光に基づき、図11(a)に示す基準輝度分布71を得ることができる。尚、図11(b)は、基準輝度分布71における輝度の状態をトーンで示すものである。
【0025】
次に、ステップ106(S106)において、照明部20における発光領域21、22及び23の発光色の色相パターンを設定する。具体的には、発光領域21、22及び23の発光色が異なる色相となるように、色相パターンの初期設定を行う。設定された色相パターンに基づき、発光調整部41、42及び43により、各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に流れる電流値を制御する。これにより各々の発光領域21、22及び23において、所定の色相の発光色の光を発光させる。
【0026】
次に、ステップ108(S108)において、設定された色相パターンにより、ステップ104において得られた基準輝度分布71に調整することが可能であるか否かが判断される。具体的には、照明部20において、各々の発光領域21、22及び23において、所定の色相の発光色の光を発光させた場合、図12(a)に示す輝度分布72のように、領域10A、10B及び10Cにおいて、画像輝度値は異なる分布となる。尚、図12(b)は、輝度分布72における輝度をトーンで示すものである。このような輝度分布72を基準輝度分布71近い状態に調整することができるか否か、即ち、図11(a)に示す基準輝度分布71に近似した調整を行うことが可能であるか否かが判断される。基準輝度分布71に近い状態に調整することが可能であるものと判断された場合には、ステップ110に移行する。一方、基準輝度分布71に近い状態に調整することが可能ではないものと判断された場合には、ステップ112に移行する。
【0027】
次に、ステップ110(S110)において、照明部20における各々の発光領域21、22及び23の光の輝度調整が行われる。具体的には、発光調整部41、42及び43により、各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に流れる電流値を制御し、輝度の調節を行う。この際、各々の発光領域21、22及び23における色相については、変化せることなく輝度調整が行われる。
【0028】
一方、ステップ112(S112)において、発光領域21、22及び23における色相パターンの再設定を行う。即ち、現状の発光領域21、22及び23における色相パターンでは、基準輝度分布に近い状態に調整することができない、または、後述するように色相差の間隔が狭い状態にある。よって、発光領域21、22及び23における色相の配列または色相を変えて、発光領域21、22及び23における色相パターンの再設定を行う。尚、色相パターンの再設定は、発光調整部41、42及び43により、各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に流れる電流値を制御することにより行う。
【0029】
次に、ステップ114(S114)において、各々の発光領域21、22及び23における色相パターンの色相差は適切であるか否かが判断される。具体的には、色相差が近すぎないか否か、即ち、図13に示す色相環において、色相相互間の間隔が狭すぎないか否かが判断される。色相差が近すぎると、正確に表面欠陥をすることができないため、このような判断が行われる。各々の発光領域21、22及び23における色相は、図13に示すように、色81、82及び83が色相環上において離れたものとなることが好ましい。各々の発光領域21、22及び23における色相パターンの色相差が適切であるものと判断された場合には、ステップ116に移行する。一方、各々の発光領域21、22及び23における色相パターンの色相差が適切ではないものと判断された場合には、ステップ112に移行する。
【0030】
次に、ステップ116(S116)において、各々の発光領域21、22及び23における色相及び輝度が保存される。具体的には、記憶部51に各々の発光領域21、22及び23における色相及び輝度が保存される。
【0031】
次に、ステップ118(S118)において、照明部20より、各々の発光領域21、22及び23において色相及び輝度に調節した光を検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに照射し、撮像部60により撮像する。
【0032】
次に、ステップ120(S120)において、凹凸欠陥及び色むらの検出が行われる。具体的には、ステップ118において撮像部60により撮像された画像データに基づき凹凸欠陥を検出するとともに、画像データを輝度画像変換することにより色むらの検出を行う。
【0033】
次に、ステップ122(S122)において、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものが良品であるか不良品であるかの判定がなされる。具体的には、ステップ120において、色むらや凹凸欠陥が検出された場合には不良品と判断され、製品として出荷されない。一方、ステップ120において、色むらや凹凸欠陥が検出されなかった場合には良品と判断され出荷される。
【0034】
以上により、本実施の形態における表面欠陥検査方法が終了する。本実施の形態における表面欠陥検査方法では、容易に色むらと透明樹脂材料の凹凸欠陥を検出することが可能である。
【0035】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法である。
【0036】
図14に基づき、本実施の形態における表面欠陥検査方法について説明する。
【0037】
最初に、ステップ202(S202)において、照明部20より白色光を検査対象に照射する。具体的には、発光調整部41、42及び43により、各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に電流を流し、照明部20が白色光を発するように制御する。これにより検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものには、白色光が照射される。
【0038】
次に、ステップ204(S204)において、照明部20より、各々の発光領域21、22及び23において調節した白色光を検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに照射し、撮像部60により撮像する。
【0039】
次に、ステップ206(S206)において、色むらの検出を行う。具体的には、ステップ204において撮像部60により撮像された画像データに基づき色むらの検出を行う。
【0040】
次に、ステップ208(S208)において、所定の色相パターンの光を検査対象に照射する。具体的には、発光調整部41、42及び43により、各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33に流れる電流値を制御して発光させる。例えば、発光領域41においては赤色発光ダイオード31のみを発光させ、発光領域42においては緑色発光ダイオード32のみを発光させ、発光領域43においては青色発光ダイオード33のみを発光させる。これにより照明部20の各々の発光領域21、22及び23において異なる発光色となる色相パターンの光を照射することができる。
【0041】
次に、ステップ210(S210)において、照明部20より、各々の発光領域21、22及び23において調節した色相パターンの光を検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに照射し、撮像部60により撮像する。
【0042】
次に、ステップ212(S212)において、凹凸欠陥の検出を行う。具体的には、ステップ210において撮像部60により撮像された画像データに基づき透明樹脂膜12の凹凸欠陥の検出を行う。
【0043】
次に、ステップ214(S214)において、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものが良品であるか不良品であるかの判定がなされる。具体的には、ステップ212において、色むらや凹凸欠陥が検出された場合には不良品と判断され、製品として出荷されない。一方、ステップ212において、色むらや凹凸欠陥が検出されなかった場合には良品と判断され出荷される。
【0044】
本実施の形態では、照明部20の各々の発光領域21、22及び23における赤色発光ダイオード31、緑色発光ダイオード32及び青色発光ダイオード33を制御するだけで、容易に色むらと透明樹脂膜の凹凸欠陥とを検出することができる。
【0045】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、検査の対象が所定の色等に塗装されている場合において、より簡単に色むら及び透明樹脂膜の凹凸欠陥を検出することができるものである。
【0046】
(表面欠陥検査装置)
図15及び図16に基づき本実施の形態における表面欠陥検査装置について説明する。本実施の形態における表面欠陥検査装置は、筐体等の部材の表面上に塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの表面欠陥の検査を行うものである。尚、本実施の形態を説明する上で、検査の対象となる部材の表面上に塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものには、色むら13及び透明樹脂膜12の凹凸14等の欠陥を有しているものとする。本実施の形態における表面欠陥装置は、照明部120、発光調整部141、142及び143、制御部150及び撮像部160を有している。図16は、本実施の形態における表面欠陥検査装置の照明部120の一部を拡大した要部拡大図である。
【0047】
照明部120は、異なる色相の光を所定の領域ごとに発光するものであり、各々異なる発光色を発光する発光領域121、発光領域122、発光領域123を有している。発光領域121は赤色発光ダイオード131を有しており、発光領域122は緑色発光ダイオード132を有しており、発光領域123は青色発光ダイオード133を有している。これらの赤色発光ダイオード131、緑色発光ダイオード132及び青色発光ダイオード133に流す電流値を変えることにより、各々の発光領域121、発光領域122、発光領域123における輝度の調整を行うことができる。また、照明部120には光が発せられる側に拡散板124が設けられている。尚、発光領域121、122及び123に配置される発光ダイオードの発光色は、上記発光色に限定されるものではない。
【0048】
発光調整部141、142及び143は、各々の発光調整部141、142及び143に接続されている発光領域121、122及び123を制御するためのものである。即ち、発光調整部141、142及び143により、発光領域121における赤色発光ダイオード131、発光領域122における緑色発光ダイオード132及び発光領域123における青色発光ダイオード133に流れる電流値を制御することができる。
【0049】
制御部150は、発光調整部141、142及び143の制御を行うとともに、撮像部160において得られた画像処理等を行うものである。制御部150には、記憶部151が接続されており、必要な情報等を記憶することが可能である。
【0050】
撮像部160は、照明部120より検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに光を照射したものの画像を撮像するものである。撮像部160では、2次元画像の検出を行うことが可能である。
【0051】
(表面欠陥検査方法)
次に、図17に基づき本実施の形態における表面欠陥検査方法について説明する。本実施の形態における表面欠陥検査方法は、照明部120の発光領域121、122及び123における発光色、即ち、色相は予め定められている。
【0052】
最初に、ステップ302(S302)において、照明部120における各々の発光領域121、122及び123の光の輝度調整が行われる。具体的には、発光調整部141、142及び143により、各々の発光領域121、122及び123における赤色発光ダイオード131、緑色発光ダイオード132及び青色発光ダイオード133に流れる電流値を制御し、輝度の調節を行う。
【0053】
次に、ステップ304(S304)において、各々の発光領域121、122及び123における輝度が保存される。具体的には、記憶部151に各々の発光領域121、122及び123における輝度が保存される。
【0054】
次に、ステップ306(S306)において、照明部120より、各々の発光領域121、122及び123において色相及び輝度に調節した光を検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに照射し、撮像部160により撮像する。具体的には、領域121、122及び123において各々の色相の光が、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに照射されることにより、領域110C、110B及び110Aが形成され、この画像を撮像部160により撮像する。
【0055】
次に、ステップ308(S308)において、凹凸欠陥及び色むらの検出が行われる。具体的には、撮像部160により撮像された画像データに基づき凹凸欠陥を検出するとともに、画像データを輝度画像変換することにより色むらの検出を行う。
【0056】
次に、ステップ310(S310)において、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものが良品であるか不良品であるかの判定がなされる。具体的には、ステップ308において、色むらや凹凸欠陥が検出された場合には不良品と判断され、製品として出荷されない。一方、ステップ308において、色むらや凹凸欠陥が検出されなかった場合には良品と判断され出荷される。
【0057】
以上により、本実施の形態における表面欠陥検査方法が終了する。本実施の形態における表面欠陥検査方法では、容易に色むらと透明樹脂材料の凹凸欠陥を検出することが可能である。
【0058】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、偏光を用いた表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法に関するものである。
【0059】
(表面欠陥検査装置)
図18及び図19に基づき本実施の形態における表面欠陥検査装置について説明する。本実施の形態における表面欠陥検査装置は、筐体等の部材の表面上に塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの表面欠陥の検査を行うものである。尚、本実施の形態を説明する上で、検査の対象となる部材の表面上に塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものには、色むら13及び透明樹脂膜12の凹凸14等の欠陥を有しているものとする。本実施の形態における表面欠陥装置は、照明部220、発光調整部241、制御部250、撮像部260及び検光子270を有している。図19は、本実施の形態における表面欠陥検査装置の照明部220の一部を拡大した要部拡大図である。
【0060】
照明部220は、白色光を発光するものであり、複数の白色発光ダイオード221が配列されている。輝度調整は白色発光ダイオード221に流す電流値を変えることにより、照明部220における輝度の調整を行うことができる。また、照明部220には光が発せられる側に拡散板222が設けられており、拡散板222を透過した光は、偏光板230を透過し、検査の対象となる部材の表面に照射される。偏光板230は、偏光方向の異なる偏光部230a及び230bが交互に配列されたものであり、偏光部230aにおける偏光方向と偏光部230bにおける偏光方向とは互いに略直角となるように形成されている。尚、本実施の形態では、白色発光ダイオード221を用いた場合について説明しているが、検査の対象となる部材の表面の色彩等によっては、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード及びこれらを組み合わせたもの等であってもよい。
【0061】
発光調整部241は、白色発光ダイオード221の明るさを制御するためのものであり、発光調整部241において、白色発光ダイオード221に流れる電流値を制御することにより照明部220における明るさの制御を行う。
【0062】
制御部250は、発光調整部241の制御を行うとともに、撮像部260において得られた画像処理等を行うものである。制御部250には、記憶部251が接続されており、必要な情報等を記憶することが可能である。
【0063】
撮像部260は、照明部220より検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに光を照射したものの画像を撮像するものである。撮像部260では、2次元画像の検出を行うことが可能である。
【0064】
検光子270は、撮像部260の前段に設けられており、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに照射された光の反射光のうち、所定の偏光方向の光のみを透過する機能を有している。検光子270は、回転可能な状態で設置されており、検光子制御部271により、検光子270の回転角度を制御することが可能である。尚、検光子制御部271は、制御部250により制御される。
【0065】
(表面欠陥検査方法)
次に、図20に基づき本実施の形態における表面欠陥検査方法について説明する。
【0066】
最初に、ステップ402(S402)において、照明部220において白色発光ダイオード221を発光させる。具体的には、発光調整部241により、白色発光ダイオード221に流れる電流値を制御し輝度の調節を行い、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに白色光を照射する。
【0067】
次に、ステップ404(S404)において、検光子270を回転させて検光子270の偏光角度が所定の角度φaとなるように調節する。具体的には、偏光板230における偏光部230aを透過した光の光量が略最大となるように、検光子制御部271により検光子270を回転させ、検光子270の偏光角度が所定の角度φaに調節する。
【0068】
次に、ステップ406(S406)において、ステップ404における状態で、第1回目の撮像を行う。即ち、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの画像を撮像部260により撮像する。具体的には、偏光板230における偏光部230aを透過した光のみが、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において反射し、検光子270を介し撮像部260に入射する。よって、この状態では、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において領域210B及び領域210Dに照射された光が反射した画像が撮像される。これにより図21(a)に示す輝度分布273のように、領域210B及び210Dは明部となり、領域210A及び210Cは暗部となる画像が撮像される。尚、図21(b)は、輝度分布273における輝度をトーンで示すものである。
【0069】
次に、ステップ408(S408)において、検光子270を約90°回転させて、検光子270の偏光角度が角度φbとなるように調節する。具体的には、検光子270を約90°回転させることにより、偏光板230における偏光部230bを透過した光の光量が略最大となる位置となる。この際、検光子270の偏光角度は角度φbである。
【0070】
次に、ステップ410(S410)において、ステップ408における状態で、第2回目の撮像を行う。即ち、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの画像を撮像部260により撮像する。具体的には、偏光板230における偏光部230bを透過した光のみが、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において反射し、検光子270を介し撮像部260に入射する。よって、この状態では、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において領域210A及び領域210Cに照射された光が反射した画像が撮像される。これにより図22(a)に示す輝度分布274のように、領域210A及び210Cは明部となり、領域210B及び210Dは暗部となる画像が撮像される。尚、図22(b)は、輝度分布274における輝度をトーンで示すものである。
【0071】
次に、ステップ412(S412)において、検光子270を約45°回転させて、検光子270の偏光角度が角度φcとなるように調節する。具体的には、検光子270を約45°回転させることにより、偏光板230における偏光部230aを透過した光の光量と偏光部230bを透過した光の光量とが略同じとなるようにすることができる。この際検光子270の偏光角度は角度φcとなる。
【0072】
次に、ステップ414(S414)において、ステップ412における状態で、第3回目の撮像を行う。即ち、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの画像を撮像部260により撮像する。具体的には、偏光板230における偏光部230bを透過した光及び偏光部230bを透過した光が、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において反射し、検光子270を介し撮像部260に入射する。よって、この状態では、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において領域210A、210B、210C及び210Dに照射された光が入射した画像が撮像される。これにより、図23(b)に示す輝度分布275のように、領域210A、210B、210C及び210Dにおいて略均一な明るさの画像を得ることができる。尚、図23(b)は、輝度分布275における輝度をトーンで示すものである。
【0073】
次に、ステップ416(S416)において、凹凸欠陥及び色むらの検出が行われる。具体的には、ステップ406及び410において撮像部260により撮像された画像に基づき凹凸欠陥が検出され、ステップ414において撮像部260により撮像された画像に基づき色むらの検出が行われる。尚、具体的な凹凸欠陥及び色むらの検出方法については、第1の実施の形態と同様である。
【0074】
次に、ステップ418(S418)において、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものが良品であるか不良品であるかの判定がなされる。具体的には、ステップ416において、色むらや凹凸欠陥が検出された場合には不良品と判断され、製品として出荷されない。一方、ステップ416において、色むらや凹凸欠陥が検出されなかった場合には良品と判断され出荷される。
【0075】
以上により、本実施の形態における表面欠陥検査方法が終了する。本実施の形態における表面欠陥検査方法では、偏光を利用することにより、光源の色相に依存等することなく、容易に色むらと透明樹脂材料の凹凸欠陥を検出することが可能である。
【0076】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第4の実施の形態における表面欠陥検査装置を用いて行う表面欠陥検査方法である。図24に基づき本実施の形態における表面欠陥検査方法について説明する。
【0077】
最初に、ステップ502(S502)において、照明部220において白色発光ダイオード221を発光させる。具体的には、発光調整部241により、白色発光ダイオード221に流れる電流値を制御し輝度の調節を行い、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに白色光を照射する。
【0078】
次に、ステップ504(S504)において、検光子270を回転させて検光子270の偏光角度が所定の角度φaとなるように調節する。具体的には、偏光板230における偏光部230aを透過した光の光量が略最大となるように、検光子制御部271により検光子270を回転させ、検光子270の偏光角度が所定の角度φaに調節する。
【0079】
次に、ステップ506(S506)において、ステップ504における状態で、第1回目の撮像を行う。即ち、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの画像を撮像部260により撮像する。具体的には、偏光板230における偏光部230aを透過した光のみが、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において反射し、検光子270を介し撮像部260に入射する。よって、この状態では、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において領域210B及び領域210Dに照射された光が反射した画像が撮像される。これにより第4の実施の形態と同様に、図21(a)に示す輝度分布273のように、領域210B及び210Dは明部となり、領域210A及び210Cは暗部となる画像が撮像される。
【0080】
次に、ステップ508(S508)において、検光子270を約90°回転させて、検光子270の偏光角度が角度φbとなるように調節する。具体的には、検光子270を約90°回転させることにより、偏光板230における偏光部230bを透過した光の光量が略最大となる位置となる。この際における検光子270の偏光角度は角度φbである。
【0081】
次に、ステップ510(S510)において、ステップ508における状態で、第2回目の撮像を行う。即ち、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものの画像を撮像部260により撮像する。具体的には、偏光板230における偏光部230bを透過した光のみが、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において反射し、検光子270を介し撮像部260に入射する。よって、この状態では、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12において領域210A及び領域210Cに照射された光が反射した画像が撮像される。これにより第4の実施の形態と同様に、図22(a)に示す輝度分布274のように、領域210A及び210Cは明部となり、領域210B及び210Dは暗部となる画像が撮像される。
【0082】
次に、ステップ512(S512)において、画像処理を行う。具体的には、ステップ506において撮像した画像とステップ510において撮像した画像を重ね合わせることにより、第4の実施の形態における図23(b)に示す輝度分布275と同様の輝度分布を得ることができる。即ち、領域210A、210B、210C及び210Dにおいて略均一な明るさの画像を得ることができる。
【0083】
次に、ステップ514(S414)において、凹凸欠陥及び色むらの検出が行われる。具体的には、ステップ506及び510において撮像部260により撮像された画像に基づき凹凸欠陥が検出され、ステップ512において撮像部260により撮像された画像に基づき色むらの検出が行われる。尚、具体的な凹凸欠陥及び色むらの検出方法については、第1の実施の形態と同様である。
【0084】
次に、ステップ516(S516)において、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものが良品であるか不良品であるかの判定がなされる。具体的には、ステップ514において、色むらや凹凸欠陥が検出された場合には不良品と判断され、製品として出荷されない。一方、ステップ514において、色むらや凹凸欠陥が検出されなかった場合には良品と判断され出荷される。
【0085】
以上により、本実施の形態における表面欠陥検査方法が終了する。本実施の形態における表面欠陥検査方法では、偏光を利用することにより、光源の色相に依存等することなく、容易に色むらと透明樹脂材料の凹凸欠陥を検出することが可能である。
【0086】
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態における表面欠陥検査装置は、偏光イメージングカメラを用いたものである。具体的には、図25に示すように第4の実施の形態における表面欠陥検査装置における撮像部260に代えて、偏光イメージングカメラ280を設けた構成のものであり、第4の実施の形態とは異なり、検光子270及び検光子制御部271は不要である。
【0087】
偏光イメージングカメラ280には、画素ごとに複数の偏光フィルタが配列された偏光フィルタ部281を有しており、この複数の偏光フィルタにおける偏光方向は異なる偏光方向、例えば、直交方向となるように形成されている。偏光イメージングカメラ280では、複数の偏光フィルタを介した光を画素ごとに検出することが可能であり、一度の撮像で、複数の偏光方向の画像を撮像することができる。
【0088】
次に、図26に基づき本実施の形態における表面欠陥検査方法について説明する。
【0089】
最初に、ステップ602(S602)において、照明部220において白色発光ダイオード221を発光させる。具体的には、発光調整部241により、白色発光ダイオード221に流れる電流値を制御し輝度の調節を行い、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものに白色光を照射する。
【0090】
次に、ステップ604(S604)において、偏光イメージングカメラ280により撮像する。
【0091】
次に、ステップ606(S606)において、ステップ604において撮像された画像について、偏光画像変換を行う。具体的には、一回の撮像により第4の実施の形態のステップ406及びステップ410において撮像した画像と同様の画像を得ることができる。
【0092】
次に、ステップ608(S608)において、ステップ604において撮像された画像について、輝度画像変換を行う。具体的には、第4の実施の形態のステップ414において撮像した画像と同様の画像を得ることができる。
【0093】
次に、ステップ610(S610)において、凹凸欠陥及び色むらの検出が行われる。具体的には、ステップ606において得られた偏光画像変換された画像に基づき凹凸欠陥が検出され、ステップ608において得られた輝度画像変換された画像に基づき色むらの検出が行われる。尚、具体的な凹凸欠陥及び色むらの検出方法については、第1の実施の形態と同様である。
【0094】
次に、ステップ612(S612)において、検査の対象となる塗膜11及び透明樹脂膜12が塗布されているものが良品であるか不良品であるかの判定がなされる。具体的には、ステップ610において、色むらや凹凸欠陥が検出された場合には不良品と判断され、製品として出荷されない。一方、ステップ610において、色むらや凹凸欠陥が検出されなかった場合には良品と判断され出荷される。
【0095】
以上により、本実施の形態における表面欠陥検査方法が終了する。本実施の形態における表面欠陥検査方法では、偏光を利用することにより、光源の色相に依存等することなく、容易に色むらと透明樹脂材料の凹凸欠陥を検出することが可能である。また、本実施の形態では、一回の撮像により、色むらと凹凸による欠陥の双方を同時に検査することができる。
【0096】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0097】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、
前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、
前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有しており、
前記照明部は、前記各々の領域において白色光を発光させるため前記複数の発光素子を発光させることができ、また、前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を発光させるため前記各々の領域において前記複数の発光素子の一部を発光させることができるものであって、
前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする表面欠陥検査装置。
(付記2)
前記複数の発光素子は、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子であることを特徴とする付記1に記載の表面欠陥検査装置。
(付記3)
前記欠陥は、前記検査対象の表面における凹凸及び色むらであることを特徴とする付記1または2に記載の表面欠陥検査装置。
(付記4)
各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、
前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、
前記撮像部の前記反射光の入射側に設けられた回転可能な検光子と、を有し、
前記検光子を回転させることにより、偏光方向の異なる画像を撮像部において撮像することにより、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする表面欠陥検査装置。
(付記5)
各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、
前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、
前記撮像部は、偏光イメージングカメラであって、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする表面欠陥検査装置。
(付記6)
前記偏光イメージングカメラに設けられている偏光フィルタは、一画素に複数の領域を有しており、隣接する前記領域の偏光方向が相互に直交するものであることを特徴とする付記5に記載の表面欠陥検査装置。
(付記7)
前記照明部は白色光を発光するものであることを特徴とする付記4から6のいずれかに記載の表面欠陥検査装置。
(付記8)
前記照明部には、隣接する領域ごとに相互に直交する偏光方向の光を照射するための偏光フィルタが設けられていることを特徴とする付記4から7のいずれかに記載の表面欠陥検査装置。
(付記9)
各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記照明部より白色光を照射し基準輝度分布を取得する基準輝度分布取得工程と、
前記照射部において、前記複数の発光素子の一部を発光させることにより前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となるように光を発光させる発光工程と、
前記異なる色相となる領域の輝度を調節する輝度調節工程と、
前記輝度を調節した後、前記検査対象を撮像する撮像工程と、
前記撮像された画像に基づき前記検査対象の表面における欠陥を検査するものであることを特徴とする表面欠陥検査方法。
(付記10)
前記輝度調節工程において、前記異なる色相となる領域の輝度を略均一に調節することができない場合には、前記複数の発光素子における発光強度を調節することにより、さらに異なる色相の光を発光させて、前記輝度調節工程を行うことを特徴とする付記9に記載の表面欠陥検査方法。
(付記11)
各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記照明部より白色光を前記検査対象に照射し撮像する白色光画像撮像工程と、
前記白色光画像撮像工程に基づき前記検査対象の表面における検査を行う第1の検査工程と、
前記照射部において、前記複数の発光素子の一部を発光させることにより前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を前記検査対象に照射し撮像する色相パターン光照射工程と、
前記色相パターン光照射工程に基づき前記検査対象の表面における検査を行う第2の検査工程と、
を有し、前記検査対象の表面における欠陥を検査するものであることを特徴とする表面欠陥検査方法。
(付記12)
前記複数の発光素子は、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子であることを特徴とする付記9から11のいずれかに記載の表面欠陥検査方法。
(付記13)
各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を発光させるための発光素子を有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記異なる色相となる領域の輝度を調節する輝度調節工程と、
前記輝度を調節した後、前記検査対象を撮像する撮像工程と、
前記撮像された画像に基づき前記検査対象の表面における欠陥を検査するものであることを特徴とする表面欠陥検査方法。
(付記14)
前記発光素子は、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子のいずれかであって、前記隣接する領域における色相が異なる色相となるように、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子を順に配列されているものであることを特徴とする付記13に記載の表面欠陥検査方法。
(付記15)
前記欠陥は、前記検査対象の表面における凹凸及び色むらであることを特徴とする付記9から14のいずれかに記載の表面欠陥検査方法。
(付記16)
各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、前記撮像部の前記反射光の入射側に設けられた回転可能な検光子とを有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記検光子を前記相互に異なる偏光方向のうち一方の偏光方向の光が前記検光子を透過する位置に合わせて、前記撮像部により撮像する第1の撮像工程と、
前記検光子を前記相互に異なる偏光方向のうち他方の偏光方向の光が前記検光子を透過する位置に合わせて、前記撮像部により撮像する第2の撮像工程と、
前記検光子を前記相互に異なる偏光方向の双方の光が前記検光子を略均一に透過する位置に合わせて、前記撮像部により撮像する第3の撮像工程と、
を有し、前記検査対象の表面における欠陥を検査することを特徴とする表面欠陥検査方法。
(付記17)
各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、前記撮像部の前記反射光の入射側に設けられた回転可能な検光子とを有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記検光子を前記相互に異なる偏光方向のうち一方の偏光方向の光が前記検光子を透過する位置に合わせて、前記撮像部により撮像する第1の撮像工程と、
前記検光子を前記相互に異なる偏光方向のうち他方の偏光方向の光が前記検光子を透過する位置に合わせて、前記撮像部により撮像する第2の撮像工程と、
前記第1の撮像工程において得られた画像と前記第2の撮像工程において得られた画像とを重ね合わせることにより重ね合わせ画像を得る画像処理工程と、
を有し、前記検査対象の表面における欠陥を検査することを特徴とする表面欠陥検査方法。
(付記18)
前記第3の撮像工程により撮像された画像または前記画像処理工程により得られた重ね合わせ画像に基づき前記検査対象の色むらの検査を行うことを特徴とする付記16または17に記載の表面欠陥検査方法。
(付記19)
前記第1の撮像工程及び前記第2の撮像工程により撮像された画像に基づき前記検査対象の色むらの検査を行うことを特徴とする付記16から18のいずれかに記載の表面欠陥検査方法。
(付記20)
各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記撮像部は、偏光イメージングカメラである表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記照明部より前記検査対象に光を照射し前記偏光イメージングカメラにより撮像する撮像工程と、
前記撮像された画像を偏光画像に変換する偏光画像変換工程と、
前記撮像された画像を輝度画像に変換する輝度画像変換工程と、
を有し、前記検査対象の表面における欠陥を検査することを特徴とする表面欠陥検査方法。
【符号の説明】
【0098】
10A、10B、10C 領域
11 塗膜
12 透明樹脂膜
13 色むら
14 凹凸
20 照明部
21、22、23 発光領域
24 拡散板
31 赤色発光ダイオード
32 緑色発光ダイオード
33 青色発光ダイオード
41、42、43 発光調整部
50 制御部
51 記憶部
60 撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、
前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、
前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有しており、
前記照明部は、前記各々の領域において白色光を発光させるため前記複数の発光素子を発光させることができ、また、前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を発光させるため前記各々の領域において前記複数の発光素子の一部を発光させることができるものであって、
前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子であることを特徴とする請求項1に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項3】
前記欠陥は、前記検査対象の表面における凹凸及び色むらであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項4】
各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、
前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、
前記撮像部の前記反射光の入射側に設けられた回転可能な検光子と、を有し、
前記検光子を回転させることにより、偏光方向の異なる画像を撮像部において撮像することにより、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項5】
各々の領域ごとに相互に異なる偏光方向の光を照射することが可能な照明部と、
前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、
前記撮像部は、偏光イメージングカメラであって、前記検査対象の表面における欠陥の検査を行うものであることを特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項6】
前記偏光イメージングカメラに設けられている偏光フィルタは、一画素に複数の領域を有しており、隣接する前記領域の偏光方向が相互に直交するものであることを特徴とする請求項5に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項7】
各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記照明部より白色光を照射し基準輝度分布を取得する基準輝度分布取得工程と、
前記照射部において、前記複数の発光素子の一部を発光させることにより前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となるように光を発光させる発光工程と、
前記異なる色相となる領域の輝度を調節する輝度調節工程と、
前記輝度を調節した後、前記検査対象を撮像する撮像工程と、
前記撮像された画像に基づき前記検査対象の表面における欠陥を検査するものであることを特徴とする表面欠陥検査方法。
【請求項8】
各々の領域ごとに複数の色相の光を照射することが可能な照明部と、前記照明部より検査対象に照射された反射光を検出するための撮像部と、を有し、前記各々の領域には、各々異なる波長を発光することが可能な複数の発光素子を有する表面欠陥検査装置を用いた表面欠陥検査方法において、
前記照明部より白色光を前記検査対象に照射し撮像する白色光画像撮像工程と、
前記白色光画像撮像工程に基づき前記検査対象の表面における検査を行う第1の検査工程と、
前記照射部において、前記複数の発光素子の一部を発光させることにより前記各々の領域において隣接する領域が異なる色相となる光を前記検査対象に照射し撮像する色相パターン光照射工程と、
前記色相パターン光照射工程に基づき前記検査対象の表面における検査を行う第2の検査工程と、
を有し、前記検査対象の表面における欠陥を検査するものであることを特徴とする表面欠陥検査方法。

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図23】
image rotate