説明

表面洗浄ヘッド

本発明は、表面洗浄ヘッド(10;90)であって、ドーム状の下方に開口したハウジング(12)を備え、このハウジング(12)内に、少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)が回転軸(54)を中心に回転するために搭載されており、スプレーアーム(42,44)が、回転軸(54)から距離をおいてノズル(50,52)を担持し、ノズル(50,52)が、液流で洗浄されるべき表面に作用するために、加圧を受けた洗浄液の作用を受け、前記スプレーアーム(42,44)と共に回転軸(54)を中心に回転することに適合されており、更に、前記ハウジング(12)の開口した下面に向けて少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)を覆い、液流を通過させるためのリング状流体通路(82)を規定する保護円盤(64)を備え、流体通路が保持棒(80)により貫通されており、少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)が、保護円盤(64)に対して回転可能である、表面洗浄ヘッドに関する。表面洗浄ヘッドが発生する騒音が少なくなるように表面洗浄ヘッドを更に改良するため、保持棒(80)が、周方向に不均一に分布するように配置されることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を洗浄するための表面洗浄ヘッドであって、ドーム状の下方に開口したハウジングを有し、このハウジング内に、少なくとも1つのスプレーアームが、回転軸を中心に回転するために搭載されており、前記スプレーアームが、回転軸から距離をおいてノズルを担持し、このノズルが、液流で洗浄されるべき表面に作用するために、加圧を受けた洗浄液の作用を受け、前記スプレーアームと共に回転軸を中心に旋回することに適合されており、更に、前記ハウジングの開口した下面に向けて前記少なくとも1つのスプレーアームを覆い、前記液流を通過させるためのリング状流体通路を規定する保護円盤を有し、このリング状流体通路が、保持棒により貫通されており、前記少なくとも1つのスプレーアームが、前記保護円盤に対して回転可能である表面洗浄ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
このような表面洗浄ヘッドは、US 3,832,069より公知である。これは、例えば、テラスの床、ガレージの入口やガレージのドア等の固い表面を洗浄するのに適している。この固い表面を洗浄するために、高圧洗浄装置の圧力線を表面洗浄ヘッドに接続することができる。それから、加圧を受けた洗浄液を、少なくとも1つのスプレーアーム上に配置されたノズルに供給することができる。このノズルの助けを借りて、洗浄液を洗浄されるべき表面に塗布することができる。これによりノズルが反動を受け、その作用によりスプレーアームが回転軸を中心に回転される。
【0003】
これにより、比較的大きな表面領域に対しても洗浄液で短時間に作用することが可能となる。
【0004】
洗浄されるべき表面上に配置された物体、例えば小石が、少なくとも1つのスプレーアームの領域に到達することを防ぐために、US 3,832,069より公知の表面洗浄ヘッドの場合には、保護円盤がスプレーアームの下方に配置される。これにより、ノズルから出てくる液流が、洗浄されるべき表面に到達できるよう、流体通路が規定される。流体通路は、ハウジングの側壁まで延伸する複数個の保持棒により貫通されており、その結果、保護円盤を安定させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 3,832,069
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記回転軸を中心に回転する前記液流は、前記流体通路を貫通する保持棒に時間間隔ごとに衝突する。その結果、前記保護円盤は振動し、これが明らかな可聴騒音をもたらす。
【0007】
本発明の目的は、騒音の発生を少なくするように、前記した一般的なタイプの表面洗浄ヘッドを更に改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明に従い、前記した一般的なタイプの表面洗浄ヘッドにおいて、前記保持棒が、周方向に不均一に分布するように配置されることにより達成される。
【0009】
本発明に係る前記表面洗浄ヘッドの場合、前記流体通路を貫通する前記保持棒が、周方向に不均一に分布するように配置される。その結果、前記ノズルから出てくる前記液流は、不規則な時間間隔で保持棒に衝突する。加圧を受けた流体が隣接する保持棒に不規則な時間間隔で作用することにより、振動性の共振は前記保護円盤の場合には発生せず、その結果、本発明に係る前記表面洗浄ヘッドにおける騒音の発生が相対的に低減されことになる。
【0010】
前記洗浄作用を強化するために、本発明に係る前記表面洗浄ヘッドの好適な一実施態様では、前記回転軸を中心に回転するために、直径方向に互いに対向して位置する2つのスプレーアームが前記ハウジング内に搭載され、各スプレーアームが、前記回転軸から距離をおいてノズルを担持する。その結果、前記回転軸を中心に回転し、周方向に互いに180゜ずらして配置される第1の液流と第2の液流を、同時に、前記洗浄されるべき表面に向けることができる。このような構成において、前記保持棒が2つ一組では直径方向に互いに対向する位置にないと好ましい。これにより、前記2つの液流が同時に保持棒に衝突せず、前記第1の液流が保持棒に衝突するときは、前記第2の液流は妨げられることなく前記流体通路を通過することが確実にされる。その結果、直径方向に互いに対向して位置する2つのスプレーアームが使用される場合、騒音の発生を低く抑えることができることも示される。
【0011】
好ましくは、奇数個の保持棒が使用され、例えば、3,5,7又は9つの保持棒を設け、これらの保持棒を周方向に不均一に分布するように配置することができる。
【0012】
前記保持棒は、好ましくは、前記スプレーアームの前記回転軸に対して半径方向に配列される。
【0013】
本発明の有利な一実施態様では、前記保護円盤は、前記少なくとも1つのスプレーアームの下方に配置された中央保護シールドを形成し、前記保持棒を介して、前記中央保護シールドを周方向に囲繞する保持リングに接続される。前記保持リングを使用することにより、前記中央保護シールドは、とりわけ前記流体通路と境界を接しているその外縁領域において、機械的に安定可能であることが示される。
【0014】
前記保護シールドの重量、即ち、前記表面洗浄ヘッドにかかる機械的負荷を低くしておくために、前記保護シールドは複数の開口を有すると有利である。
【0015】
例えば、前記保護シールドが格子状又は網目状の形態を有するようにしてもよい。
【0016】
前記保護シールドが、前記保持棒を介して、前記保持リングに一体的に接続されると特に有利である。これにより、前記保護シールドは、前記保持棒及び前記保持リングと組み合わせて、一体のプラスチック成形部品を形成することができる。
【0017】
前記保護シールドは、好ましくは、前記保護シールドを機械的に安定させる複数の補強リブを有する。
【0018】
好ましくは、少なくとも幾つかの前記補強リブは、保持棒と半径方向に一直線を成して配置され、この保持棒を介して、前記保護シールドが外側の前記保持リングに接続される。
【0019】
前記補強リブが、前記保護シールドの上面及び/又は下面から突き出ると好ましい。これにより、前記補強リブの安定化効果が増す。
【0020】
前記補強リブの高さが、前記回転軸に対する半径方向の距離が増すに伴い増加又は減少すると特に有利である。前記補強リブは前記保護シールドを横切って延伸し、その高さは、前記回転軸に対する半径方向の距離に応じて変化する。特に、前記補強リブの高さは、前記回転軸に対する距離が増すに伴い連続的に増加又は減少するようにしてもよい。
【0021】
前記保護シールドから上方又は下方に突き出る前記補強リブの領域が、半径方向の面に関して三角形を形成すると有利であることが判明している。
【0022】
例えば、全ての前記補強リブが、前記保護シールドから上方に突き出る補強部と前記保護シールドからから下方に突き出る補強部の双方を有し、前記2つの補強部の一方の高さ、好ましくは上側補強部の高さが、半径方向の距離の増加に伴い連続的に減少し、それと同様に、他方の前記補強部、好ましくは下側補強部の高さが、半径方向の距離の増加に伴い連続的に増加するようにしてもよい。
【0023】
前記補強リブは、好ましくは、前記保護シールドの機械的補強を成す。後者は、射出成形処理でプラスチック成形部品として作られる。前記射出成形処理の間、前記保護シールドから上側又は下側に突き出る前記補強部は、十分なプラスチック材料が前記射出成形金型の外縁領域まで流れることを確実にする流路として機能する。従って、前記補強リブは、その補強機能に加えて射出成形機能も有する。
【0024】
前記保持リングは、前記表面洗浄ヘッドの前記ハウジング上に配置することができる。特に、前記ハウジングの縁部が前記保持リングを形成するようにすることも可能である。
【0025】
好ましい一実施態様では、前記保持リングは前記ハウジングから距離をおいて配置される。半径方向における前記ハウジングから前記保持リングまでの距離は、好ましくは、前記流体通路の半径方向における長さよりも小さい。
【0026】
前記保持リングが、前記少なくとも1つのスプレーアームの前記回転軸に関して軸方向において、前記ハウジング内に配置された上端領域と、前記ハウジングの下縁を越えて突き出る下端領域とを有すると特に有利である。こうして、前記保持リングの前記上端領域は、前記ハウジングにより周方向に囲繞される。その結果、その外縁領域が前記保持リングにより形成される前記保護円盤が下から前記ハウジング内に挿入されるという点で、前記保護円盤の組み立ての間、前記ハウジングは前記保持リングのためのガイドを形成することができる。前記保持リングの前記下端領域は、前記ハウジングから軸方向外側に突出することができる。その結果、前記表面洗浄ヘッドが不意に前記洗浄されるべき表面に接近するとき、前記保持リングは、前記ハウジングを衝撃から保護する衝撃保護部を形成することができる。なぜなら、前記ハウジングが前記対象表面に衝突する前に、前記保持リングの軸方向に突出した領域が、そのような接近に際し、前記洗浄されるべき表面に接触するからである。
【0027】
可撓性のスプレー保護要素が、前記ハウジングの前記下縁に配置され、前記保持リングの前記下縁を越えて軸方向に突き出ると特に有利である。可撓性のスプレー保護要素として、例えば、ゴム製リップ又は剛毛のリングが使用可能である。従って、前記可撓性のスプレー保護要素は前記保持リングの前記下端領域を周方向に囲繞し、前記表面洗浄ヘッドが前記洗浄されるべき表面に沿って案内されると、結果として、前記保持リングが前記表面に接触することなく、前記スプレー保護要素は前記対象表面に接触することができる。
【0028】
前記保持リングの材料厚は、好ましくは、自らの軸方向の長さよりも小さい。従って、前記保持リングは、管状部またはスリーブの類を形成する。前記スリーブは、前記保護円盤の前記中央保護シールドを周方向に囲繞し、機械的安定性を形成する。
【0029】
好適な一実施態様では、前記保護円盤がベアリングシャフト上に保持され、このベアリングシャフト上に、前記少なくとも1つのスプレーアームが回転のために搭載される。この場合、前記保護円盤は前記ベアリングシャフトに対して回転可能であるようにしてもよい。これとは別に、前記保護円盤は、前記ハウジング内又は前記ハウジング上に、例えば前記ベアリングシャフト上に回転不能に固定することも可能である。
【0030】
前記表面洗浄ヘッドは、前記回転軸を中心に回転するスプレーアームに各々保持される複数のノズルだけを有するようにしてもよい。これらのノズルは、半径方向外向きに位置する前記保持棒の端部が前記回転軸に関して前記ノズルよりも大きな距離をおいて配置されるよう、前記保護円盤の前記流体通路の領域に配置することができる。
【0031】
もっとも、前記表面洗浄ヘッドは、回転可能なスプレーアームに保持されるノズルに加えて、前記保護シールドに関して半径方向にずらされるように配置される、即ち、前記保護円盤の外縁よりも前記回転軸から半径方向に大きな距離をおいて配置される少なくとも1つの追加ノズルを含むようにしてもよい。前記追加ノズルは、前記ハウジング内に回転不能に保持され、例えば表面の角領域の洗浄のために使用することができる。
【0032】
本発明を更に詳しく説明するため、図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る表面洗浄ヘッドの第1実施形態の斜視図。
【図2】図1における表面洗浄ヘッドの縦断面図。
【図3】図1における表面洗浄ヘッドの底面図。
【図4】図1における表面洗浄ヘッドの保護シールドを上から斜めに見た斜視図。
【図5】図4における保護シールドを下から斜めに見た斜視図。
【図6】本発明に係る表面洗浄ヘッドの第2実施形態の斜視図。
【図7】図6における表面洗浄ヘッドの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1〜5は本発明に係る表面洗浄ヘッドの第1実施形態を示し、表面洗浄ヘッド全体に対して参照番号10を付している。この表面洗浄ヘッドは、ドーム状の下方に開口したハウジング12を有する。ハウジング12は、平面視が円形で、その下縁15において剛毛のリング17の形態を成す周方向の可撓性スプレー保護部を有する閉じた円筒壁14を備える。円筒壁14は、上部壁19で覆われている。外側において、平面視が基本的にV字形状の装着部21が円筒壁14に装着され、中央領域において上部壁19を覆うカバー22は、上部壁19の上方で装着部に接している。第1の取っ手23と第2の取っ手24が、上部壁19の上方において、カバー22に対して横方向に配置され、表面洗浄ヘッド10を持ち運ぶために、ユーザにより把持される。
【0035】
カバー22は上部壁19の上方に分配チャンバー26を規定し、円筒壁14は上部壁19の下方でスプレーチャンバー28を囲繞する。装着部21は追加チャンバー30を規定する。
【0036】
中央分配部32が分配チャンバー26内に配置され、その中に開口している供給パイプ34を有し、供給パイプは、パイプの長手軸35に直交して配列された枢軸36を中心に旋回可能であるように分配部32に搭載される。供給パイプ34は、高圧洗浄装置の高圧配管(それ自体は公知であり、従って図示しない)が供給パイプ34に接続可能なように、分配部32から離れる方を向く自由端において接続要素38を有する。
【0037】
2つのスプレーアーム42及び44は、直径方向に互いに対向する位置にあり、各々が流路46及び48をそれぞれ有し、その自由端にノズル50及び52をそれぞれ担持している。中央分配部32は、第1の供給配管40を介して2つのスプレーアーム42及び44と流体的に連通する。流路46及び48は、それぞれ、スプレーアーム42及び44を通って延伸している。図2では、流路46及び48は一部分のみ図示されている。ノズル50及び52は、供給パイプ34と、分配部32と、分配部32に接する第1の供給配管40と、流路46及び48とを介して、加圧を受けた洗浄流体の作用を受け、角度をつけて下方に向けられる洗浄液流を生成する。液流は、ノズル50及び52から出ると、反動力によりスプレーアーム42及び44にトルクを付与し、これらのスプレーアームを、第1の供給配管40の長手方向軸と同軸を成して配列される回転軸54を中心に回転させる。その結果、第1の液流と第2の液流を、旋回しているノズル50及び52により、洗浄されるべき表面に向けることができる。
【0038】
第2の供給配管56が、上側で追加チャンバー30内に入り込み、その自由端に追加ノズル58を担持する。第2の供給配管56は、中央分配部32から続く分配チャンバー26内を延伸する。追加ノズル58は、スプレーノズルの形態に設計され、回転ノズル50及び52とは対照的に、ハウジング12内に静止して保持される。加圧を受けた洗浄液は、例えば洗浄されるべき表面の角領域を洗浄するために、追加ノズル58から放出することができる。
【0039】
分配部32を介して供給パイプ34から進んでくる洗浄液の供給は、選択的に、スプレーアーム52及び54にそれぞれ配置されたノズル50及び52だけにもたらされるか、又は補充ノズル58にもたらされる。このために、分配部32は切り替え装置60を有する。切り替え装置60は、図では概略的にのみ示しているが、第1の切り替え位置において供給パイプ34と第1の供給配管40との間で流路を開放し、第2の切り替え位置において供給パイプ34と第2の供給配管56との間で流路を開放する。
【0040】
2つのスプレーアーム42及び44は、回転するために、ベアリングシャフト62上に搭載される。ベアリングシャフト62は、第1の供給配管40にて保持され、第1の供給配管40と、2つのスプレーアーム42及び44の流路46及び48との間の流体接続を設けるために流路を有する。軸方向、即ち回転軸54の方向において、ベアリングシャフト62はスプレーアーム42及び44を越えて下方に突き出ている。その突出領域において、ベアリングシャフト62は保護円盤64の形態を成す保護要素を備え、その構成は特に図4及び図5から明らかである。保護円盤64は、格子状の形態を有しかつ複数の開口部68を有する中央の円形保護シールド66を有する。この保護シールドは、半径方向に延伸する補強リブ70により、それぞれ異なる角度領域にわたって周方向に延伸する複数の区域71〜77に分割される。
【0041】
補強リブ70はそれぞれ、上側の補強部70aと下側の補強部70bを有する。上側の補強部70aは、保護シールド66の上側から突き出ており、従って、保護シールド66に対して直角に配列され、その高さは回転軸54からの距離が増すに伴い減少する。上側の補強部は、半径方向の平面視で、三角形を形成する。下側の補強部70bは、保護シールド66の下側から突き出ており、同様に、保護シールド66に対して直角に配列される。下側の補強部の高さは、上側の補強部70aの高さが減少するのと同様に、回転軸54からの距離が増すに伴い増加する。下側の補強部70bも又、半径方向の平面視で、三角形を規定する。補強リブ70は、その上側の補強部70aと下側の補強部70bにより、保護シールド66の機械的補強部を形成する。保護シールドは、射出成形処理により可塑性材料から生成される。射出成形処理の間、補強部は、液状の可塑性材料が十分に射出成形金型の外端領域まで確実に流れることができるようにするための、可塑性材料用の流路として機能する。
【0042】
中央保護シールド66は、周方向において、保持リング78により囲繞される。保持リング78は、補強リブ70と一直線を成して配置される保持棒80を介して、保護シールド66に一体的に接続される。保持棒80により貫通されているリング状の流体通路82は、保持リング78と保護シールド66の外縁との間を延伸する。
【0043】
保持リング78は、その材料厚が、スプレーアーム42及び44の回転軸54に関する軸方向長さよりもかなり小さい、非常に短いパイプ状に又はスリーブ状に構成される。保持リング78の軸方向上端領域84は、円筒壁14の自由端領域により周方向に囲繞されるという点で、ハウジング12内に配置されるのに対し、軸方向下端領域86は、円筒壁14の下縁15を越え、従って、ハウジング12を越えて下方に突き出している。もっとも、下端領域86は、可撓性のスプレー保護部、即ち剛毛のリング17により周方向に囲繞される。リング17の一部は、保持リング78の下端領域86を越えて軸方向下方に突出している。このことは、特に図2から明らかである。
【0044】
表面洗浄ヘッド10の組み立ての間、保護円盤64は、下からハウジング12内に挿入することができる。この点において、円筒壁14の下端領域は、保護円盤64のためのガイドを形成している。ベアリングシャフト62に保護円盤64を組み付けた後、リング状の流体通路82がノズル50及び52と一直線を成して配置され、このため、ノズル50及び52から出てくる液流は、洗浄されるべき表面に作用するために、流体通路82を通過することができる。
【0045】
既に説明したように、ノズル50及び52は、加圧を受けた流体の作用を受けると、回転軸54を中心に回転する。各ノズルは液流を放出する。ノズル50及び52が回転軸54を中心に旋回している間、それぞれの液流は、不規則な時間間隔で保持棒80に衝突するが、2つの保持棒が、ノズル50及び52から出てくる2つの液流により同時に作用を受け得ないことは確実にされる。このことは、保持棒80が、2つのスプレーアーム42及び44のように2つ一組ずつ直径方向に互いに対向して配列されることことはない、という事実により確実にされる。即ち、第1の液流が一方の保持棒80に衝突する時、第2の液流は流体通路82を妨げられることなく通過することができる。
【0046】
保持棒80は、周方向に不均一に分配され、不規則な時間間隔で液流の作用を受けるため、保護円盤64は、還流する液流により共振の態様で振動させられることがあり得ない。この保持棒の不均一な配置が、表面洗浄ヘッド10による騒音の発生を低く抑えることを確実にする。
【0047】
本発明に係る表面洗浄ヘッドの第2の態様を、図6及び図7に示し、その全体に参照番号90を付与している。表面洗浄ヘッド90は、図1〜5を参照して上で説明した表面洗浄ヘッド10と、大部分は同一の設計である。従って、同じ構成要素に対しては、図1〜図5におけるものと同一の参照番号を図6及び図7において使用し、重複を避けるため、これらの構成要素に関する先の説明が参照される。
【0048】
図6及び図7に示す表面洗浄ヘッド90は、スプレーアーム42及び44の自由端にそれぞれ保持され、加圧を受けた洗浄液の作用を受けると回転軸54を中心に回転する2つのノズル50及び52だけを備えるという点で、上で述べた表面洗浄ヘッド10と異なる。回転しない追加ノズルは、表面洗浄ヘッド90では使用されない。
【0049】
表面洗浄ヘッド90は、図4を参照して上で説明したものと同様に、保護円盤64を有する。保護円盤64は、保持リング78により周方向で囲繞される中央保護シールド66を有し、流体通路82が、保護シールド66と保持リング78との間に配置され、保持棒80により貫通されており、保持棒80は、表面洗浄ヘッド90の場合にも、周方向に不均一に分配されるように配置される。表面洗浄ヘッド90の場合にも、保持棒80の不均一な配置が、不規則な時系列で液流が保持棒80に衝突することにより保護円盤64の共振が発生し得ないため、加圧を受けた洗浄液による作用の間の騒音の発生を比較的低く抑え得ることを確実にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を洗浄するための表面洗浄ヘッド(10;90)であって、
ドーム状の下方に開口したハウジング(12)を備え、該ハウジング(12)内に、少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)が、回転軸(54)を中心に回転するために搭載されており、
前記少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)が、前記回転軸(54)から距離をおいてノズル(50,52)を担持し、該ノズル(50,52)が、液流で洗浄されるべき表面に作用するために、加圧を受けた洗浄液の作用を受け、前記スプレーアーム(42,44)と共に前記回転軸(54)を中心に旋回することに適合されており、
更に、前記ハウジング(12)の開口した下面に向けて前記少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)を覆い、前記液流を通過させるためのリング状流体通路(82)を規定する保護円盤(64)を備え、該リング状流体通路が、保持棒(80)により貫通されており、
前記少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)が、前記保護円盤(64)に対して回転可能である、
表面洗浄ヘッドにおいて、
前記保持棒(80)が、周方向に不均一に分布するように配置されること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の表面洗浄ヘッドであって、
前記回転軸(54)を中心に回転するために、直径方向に互いに対向して位置する2つのスプレーアーム(42,44)が前記ハウジング(12)内に搭載され、該スプレーアームの各々が、前記回転軸(54)から距離をおいてノズル(50,52)を担持すること、及び
前記保持棒(80)が、2つ一組では直径方向に互いに対向する位置にないこと、
を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保護円盤(64)が、前記少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)の下方に配置された中央保護シールド(66)を形成し、前記保持棒(80)を介して、前記中央保護シールド(66)を周方向に囲繞する保持リング(78)に接続されること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保護シールド(66)が複数の開口(68)を有すること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保護シールド(66)が格子状又は網目状の形態を有すること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保護シールド(66)が、前記保持棒(80)を介して、前記保持リング(78)に一体的に接続されること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保護円盤(64)が、前記保護シールド(66)の上面及び/又は下面から突き出る補強リブ(70)を有し、該補強リブが、前記保持棒(80)と半径方向に一直線を成して延伸すること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記補強リブ(70)の高さが、前記回転軸(54)に対する半径方向の距離が増すに伴い増加又は減少すること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保護シールド(66)から上方又は下方に突き出る前記補強リブ(70)の領域(70a,70b)が、半径方向の面に関して三角形を形成すること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項10】
請求項3〜9のいずれか1項に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保持リング(78)が、前記ハウジング(12)から距離をおいて配置されること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項11】
請求項3〜9のいずれか1項に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保持リング(78)が、前記少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)の前記回転軸(54)に関して軸方向において、前記ハウジング(12)内に配置された上端領域(84)と、前記ハウジング(12)の下縁(15)を越えて突き出る下端領域(86)とを有すること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載の表面洗浄ヘッドであって、可撓性のスプレー保護要素(17)が、前記ハウジング(12)の下縁(15)に配置され、前記保持リング(78)の前記下端領域(86)を越えて軸方向に突き出ること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項13】
請求項3〜12のいずれか1項に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保持リング(78)の材料厚が、自らの軸方向長さよりも小さいこと、を特徴とする表面洗浄ヘッド。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の表面洗浄ヘッドであって、前記保護円盤(64)がベアリングシャフト(62)上に保持され、該シャフト上に、前記少なくとも1つのスプレーアーム(42,44)が回転のために搭載されること、を特徴とする表面洗浄ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−502305(P2013−502305A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525046(P2012−525046)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060633
【国際公開番号】WO2011/020492
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(505201098)アルフレツド ケルヒヤー ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (6)
【Fターム(参考)】