説明

袋容器

【課題】係止凹部に指の腹部を係止してつまみ片を引上げる際に、引上げる力を効率良く伝えて、注出口を開口形成する操作を容易に行えるようにする袋容器を提供する。
【解決手段】底部14と注出口形成部13を備える胴部12を有する合成樹脂製の容器本体11を金型を使用して成形してなり、注出口形成部13の易破断部15の破断によって切除予定部16を取り除くことにより注出口を形成する袋容器10であって、注出口形成部13は、底部14による載置面P1に対して垂直な上方向に向かって胴部12から突出して設けられている。指の腹部が係止される係止凹部24を有する開封つまみ片17が、注出口形成部13の片側に張り出して設けられている。係止凹部24は、易破断部15を破断する際に、易破断部15の端部15aを中心とする円周方向Lに向けて、指の腹部が当該係止凹部24の周縁部分24aに内側から係止されるように誘導する形状を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部と注出口形成部を備える胴部を有する合成樹脂製の容器本体を金型を使用した成形によって形成される袋容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ブロー成形等の金型による成形によって形成され、底部と注出口形成部を備える胴部とからなり、底部を載置面として被載置面に載置することが可能な自立袋等の袋容器が知られている。これらの袋容器では、注出口形成部をカットすることにより注出口を形成して、封入された内容物を注出する。
【0003】
この場合、注出口形成部をカットする作業をナイフやハサミ等を用いて行うのは面倒であり、慣れない使用者にとっては手間のかかる作業になる。このようなことから、注出口形成部に薄肉の切り口部や細溝状凹部による環状の易破断部を設けると共につまみ片を設けておき、易破断部を引きちぎったり引き裂く操作により破断させて、注出口を開口形成する作業を容易に行えるようにしたブロー成形容器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−59141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のブロー成形容器では、首部(注出口形成部)の環状凹溝(易破断部)を挟んだ上下に隣接して一対のつまみ片を設け、例えば上下のつまみ片を各々把持して引き離す方向に力を加えることにより、環状凹溝を破断させて、注出口を開口形成するようにしたものである。また、特許文献1には、首部の環状凹溝よりも上方の部分に円形の指掛け孔を有するつまみ片を設け、容器を立てた状態でつまみ片をつまんで環状凹溝を引き裂くようにしたものも開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1のブロー成形容器では、環状凹溝を挟んだ上下につまみ片を設けたものの場合、上下のつまみ片が近接している為、該つまみ片を各々把持し難く、また、つまみ片自体が略平滑な表面を有しているので、環状凹溝を破断させる力の最適な作用方向が定まらず、主として容器を持ち上げた状態で開封作業が行われることになるため、容器が安定せず、開口時の勢いで容器が振れまわって内容物をこぼすおそれがある。また、円形の指掛け孔を有するつまみ片を設けたものの場合であっても、該円形の指掛け孔では環状凹溝を破断させる力の最適な作用方向が定まらず、つまみ片を真上に引き上げる操作を行いやすく、引き上げる際の力が環状凹溝を破断させる力として効率良く伝わり難いため、上記の問題点以外にも手首を捻る等の余分な動きを必要とすることも多い。
【0007】
本発明は、注出口形成部のつまみ部に設けた係止穴や係止凹部に指の腹部を係止してつまみ部を引き上げる際に、引き上げる力を易破断部を破断させる力として効率良く伝えて、注出口を開口形成する操作を容易且つスムーズに行うことのできる袋容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、底部と注出口形成部を備える胴部を有する合成樹脂製の容器本体を金型により成形してなり、前記注出口形成部の易破断部の破断によって切除予定部が除かれて注出口を形成する袋容器であって、前記注出口形成部は、前記底部による載置面に対して垂直又は略垂直な中心軸を有し且つ上方向に前記胴部から突出して設けられており、前記切除予定部には、指の腹部が係止される係止穴又は係止凹部を有する開封つまみ部が、前記注出口形成部の前記中心軸に対して、前記胴部の側面方向、片側に張り出して設けられており、前記係止穴又は係止凹部は、前記易破断部を破断する際に、前記開封つまみ部が張り出す側とは前記中心軸に対して反対側に位置する前記易破断部の端部を中心とする略円周方向に向けて、指の腹部が当該係止穴又は係止凹部の周縁部分に係止されるように誘導する形状を備えている袋容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の袋容器によれば、注出口形成部のつまみ部に設けた係止穴や係止凹部に指の腹部を係止してつまみ部を引き上げる際に、引き上げる力を易破断部を破断させる力として効率良く伝えて、注出口を開口形成する操作を容易且つスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は本発明の好ましい第1実施形態に係る袋容器の正面図、(b)は(a)を右側から見た側面図である。
【図2】本発明の好ましい第1実施形態に係る袋容器の要部正面図である。
【図3】本発明の好ましい第2実施形態に係る袋容器の要部正面図である。
【図4】(a)〜(e)は、開封つまみ部に設けられた係止穴又は係止凹部の他の形状を例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(a),(b)に示す本発明の好ましい第1実施形態に係る袋容器10は、金型による成形として、例えばダイレクトブロー成形やインジェクションブロー成形等のブロー成形によって形成されたものである。また、本第1実施形態の袋容器10は、内容物として例えば液剤、特に毛髪洗浄剤や全身洗浄剤、液体洗剤や洗浄剤等を封入した状態で収容し、使用時には開封して他の容器に内容物を詰替えるための、詰替え用の袋容器として用いられる。さらに、本第1実施形態の袋容器10は、容器本体11の胴部12から突出して設けられた注出口形成部13の一部を切断して注出口を開口形成する操作を、容易且つスムーズに行うことができるようにする構造を備えている。
【0012】
そして、本第1実施形態の袋容器10は、底部14と注出口形成部13を備える胴部12を有する合成樹脂製の容器本体11を金型により成形してなり、注出口形成部13の易破断部15の破断によって、易破断部15よりも先端域の切除予定部16を取り除くことにより注出口を形成する自立可能な袋容器であって、注出口形成部13は、底部14による載置面P1に対して垂直又は略垂直な中心軸を有し且つ上方向(例えば底部14を下にして水平面に載置したとき、鉛直上方向となる方向)に向かって胴部12から突出して設けられている。また、図2にも示すように、切除予定部16には、指の腹部が係止される係止穴24を有する開封つまみ部としての開封つまみ片17が、注出口形成部13の中心軸Xに対して、前記胴部12の側面方向、片側(本実施形態では図2の注出口形成部の中心軸Xに対して右側)に張り出して設けられている。係止穴24は、易破断部15を破断する際に、開封つまみ片17が張り出す側とは注出口形成部13の中心軸Xに対して反対側に位置する易破断部15の端部15aを中心とする円周方向L(言い換えると、端部15aと前記係止穴又は係止凹部の中心とを結ぶ軸線Yと垂直または略垂直に交差する方向Z)に向けて、指の腹部が当該係止穴24の周縁部分24aの内側から係止されるように誘導することが可能な形状を備えている。
【0013】
また、本第1実施形態では、開封つまみ片17は、易破断部15を含み且つ前記載置面P1と平行な面である面P2に対して5〜35度の傾斜角度θで斜め上方に張り出して設けられており、指の腹部が係止される係止穴24の周縁部分24aは、斜め上方に張り出した方向Yと垂直又は略垂直な方向(係止穴24が楕円形状を有している場合は、楕円形状の短軸方向Z)と交差する部分となっている。さらに、係止穴24は、楕円形状を有しており、その短軸方向Zを易破断部15の端部15aを中心とする円周方向Lに沿わせて設けられている。すなわち、前記短軸方向Zは、前記円周方向Lの接線方向と略一致する。
【0014】
本第1実施形態では、合成樹脂製の容器本体11は、好ましくはブロー成形によって底部14と注出口形成部13を備える胴部12を有する形状に形成される。ブロー成形としては、ダイレクトブロー成形やインジェクションブロー成形等の公知の各種の成形方法を採用することができる。
【0015】
また、容器本体11を形成するための合成樹脂材料としては、LDPE(低密度ポリエチレン)、L−LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、OPP(延伸ポリプロピレン)等のポリオレフィン系樹脂等の軟質の合成樹脂材料、又はPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル系樹脂等を単層として採用することができる。これらの合成樹脂と他の合成樹脂との積層樹脂を採用することもできる。例えば、LDPE又はL−LDPEを内側層とし、外側層をHDPE(高密度ポリエチレン)とする積層樹脂を採用することができる。また、EVOH樹脂(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)、EVA樹脂(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)、ナイロン樹脂等を積層した樹脂や、EVA、EVOH、ナイロン等の樹脂をPE(ポリエチレン)等の樹脂とブレンドした樹脂を採用することもできる。
【0016】
そして、本第1実施形態では、上述の合成樹脂材料を用いたブロー成形によって、容器本体11の胴部12は、当該胴部12を横断する断面において、金型のパーティングライン21を介して正面部12Aの側縁と背面部12Bの側縁とが連続することにより、楕円又は角にアールをとった長方形の中空断面形状を備えると共に、正面視及び背面視が広幅で側面視が狭幅の扁平形状に形成されている。また容器本体11は、胴部12の下端縁が底部14と前記ブロー成形によって一体化されると共に、胴部12の上部が肩部19として徐々に縮径し、肩部19の中央部分から注出口形成部13を口首部として上方に突出させた形状に形成されている。
【0017】
ここで、合成樹脂製の容器本体11の胴部12及び底部14は、安定した自立性を確保できるように、100μm以上の厚さで成形されることが好ましい。また、適度な可撓性を備えると共に、潰したり折ったり曲げたり可能で、概ね平坦にすることが可能なように、例えば700μm以下の厚さ、さらに好ましくは500μm以下の厚さの薄肉に成形されることが好ましい。
【0018】
本第1実施形態では、胴部12の肩部19の中央部分から上方に突出する注出口形成部13は、基部20と、基部20の上端部に易破断部15を介して連設された、基部20の上端開口(注出口)を閉塞する切除予定部16を有する。基部20は、先端に向かって徐々に先細りとなった中空の略切頭円錐形状を備えおり、その中心軸Xを載置面P1に対して垂直な方向に向けて、胴部12の肩部19から上方に突出して設けられている。
【0019】
また、本第1実施形態では、注出口形成部13は、これの外周面に沿って環状にとりまくように形成された細溝状凹部を有する易破断部15によって、これより下方の基部20と、これより上方の切除予定部16とに区画される。易破断部15よりも先端域の切除予定部16を基部20から切り離して注出口を形成することにより、袋容器10が封止状態から開放状態となる。
【0020】
ここで、易破断部15を構成する細溝状凹部は、例えば略V字状の断面形状を備える細溝によって、好ましくは底部14による載置面P1と平行な面P2に沿って形成されている。また細溝状凹部の最深部又は溝状をなす二つの面が交わる部分は、破断が容易なように薄肉となっていることが好ましい。
【0021】
易破断部15を介して基部20の上端部に連設される切除予定部16は、円盤形状を有しており、基部20の上端開口(注出口)を覆うように配置されて基部20及び易破断部15と一体成形されることにより、注出口を閉塞する。成形用金型によるパーティングライン21に沿った面の直径方向(正面部12A又は背面部12Bの側縁方向)であって、注出口形成部13の中心軸Xに対して片側に延設して、係止穴24を有する開封つまみ片17が、切除予定部16の上面に連接されて、一体成形されて設けられている。ここで、パーティングライン21に沿った面とはパーティングライン21を含んだ仮想面のことである。
【0022】
本第1実施形態では、開封つまみ片17は、接合基端部22と、接合基端部22から注出口形成部13の中心軸Xに対して片側に張り出すようにして設けられた、注出口形成部13と重なる部分を切り欠いた略長円形状の張出し係止部23を有する平板形状を有している。
【0023】
接合基端部22は、切除予定部16の外周面に沿って連接される部分であり、切除予定部16の上面に連なっている部分は、肉厚段差部22aとなっている。接合基端部22の切除予定部16の上面に連なっている部分に肉厚段差部22aが設けられていることにより、切除予定部16との連接部分を効果的に補強して、開封つまみ片17を引き上げて易破断部15を破断させる際の引き上げ荷重を、切除予定部16の張出し係止部23が張り出す側とは、注出口形成部13の中心軸Xに対して反対側の部分に、圧縮荷重として効率良く伝達させることが可能になる。これによって、張出し係止部23が張り出す側とは、注出口形成部13の中心軸Xに対して反対側に位置する易破断部15の端部15aを支点として、注出口形成部13の中心軸Xに対して張出し係止部23が張り出す側に位置する易破断部15の端部15bから破断を開始させて、易破断部15の破断がよりスムーズに行われるようにすることが可能になる。
【0024】
張出し係止部23は、接合基端部22から容器本体11の肩部19の上方まで張り出すように突出して設けられた部分であり、外周縁部が肉厚の縁取り部23aとなっている。また張出し係止部23には、これの張り出し先端部側の部分に、開口周縁部が肉厚の縁取り部24bによって縁取りされた楕円形状の係止穴24が開口形成されている。
【0025】
また、本実施形態では、楕円形状の係止穴24は、その短軸方向Zが、易破断部15の支点となる端部15aを中心とする円周方向Lに概ね沿うように配置されている。すなわち、楕円形状の係止穴24の短軸は、端部15aを中心とする円周の接線と概ね一致する軸である。これによって、係止穴24に指を挿入係止して第1つまみ片17を引き上げる操作を行う際に、指腹部を係止穴24の湾曲が最も緩い部分24z(短軸方向Zと肉厚の縁取り部24a内周面との交点)に押し当てながら、易破断部15の支点となる端部15aを中心とする円周方向Lに容易に力を加えることが可能になり、易破断部15をさらにスムーズに破断させることが可能になる。
【0026】
本第1実施形態では、楕円形状の係止穴24は、例えば短軸が10〜15mm、長軸が10〜20mm程度の大きさとなるように開口形成されると共に、上述のように、その短軸方向Zが、易破断部15の支点となる端部15aを中心とする円周方向Lに沿うように配置されている。また、本第1実施形態では、開封つまみ片17の略長円形状の張出し係止部23や楕円形状の係止穴24は、これらの長軸方向Yが、載置面P1と平行な面となっている(注出口形成部13の中心軸Xと垂直な面となっている)、易破断部15が形成された面P2に対して、好ましくは5〜35度の傾斜角度θで傾斜した方向となるように設けられている。
【0027】
これらの傾斜傾斜角度θが5〜35度となっていることにより、開封つまみ片17を引き上げて易破断部15を破断させる際の引き上げ荷重を、切除予定部16の張出し係止部23が張り出す側とは、注出口形成部13の中心軸Xに対して反対側の部分に、圧縮荷重として効率良く伝達させることが可能になる。これによって、張出し係止部23が張り出す側とは、注出口形成部13の中心軸Xに対して反対側に位置する易破断部15の端部15aを支点として、注出口形成部13の中心軸Xに対して張出し係止部23が張り出す側に位置する易破断部15の端部15bから破断を開始させて、易破断部15の破断がよりスムーズに行われるようにすることが可能になり、引き上げ荷重を小さくできるという利点が得られることになる。
【0028】
上記の角度θの好ましい範囲について詳述すると、ねじれ破断を発生させずに確実に開封できる観点から、角度θは35度以下が好ましく、30度以下がさらに好ましく、25度以下がより好ましい。一方、開封力を小さくする観点から、5度以上が好ましく、10度以上がさらに好ましく、20度以上がより好ましい。
【0029】
そして、上述の構成を備える本第1実施形態の袋容器10によれば、注出口形成部13の開封つまみ片17に設けた係止穴24に指の腹部を係止して開封つまみ片17を引き上げる際に、引き上げる力を易破断部15を破断させる力として効率良く伝えて、注出口を開口形成する操作を容易且つスムーズに行うことが可能になる。
【0030】
すなわち、本第1実施形態によれば、切除予定部16には、指の腹部が係止される好ましくは楕円形状の係止穴24を有する開封つまみ片17が、注出口形成部13の中心軸Xに対して、成形用金型によるパーティングライン21に沿った直径方向(正面部12A又は背面部12Bの側縁方向)に、片側に張り出して設けられており、係止穴24は、楕円形状の短軸方向Zが易破断部15の支点となる端部15aを中心とする円周方向Lに沿うように配置されている。したがって、係止穴24に指を挿入係止して開封つまみ片17を引き上げることによって易破断部15を破断する操作を行う際に、指の腹部は、係止穴24の湾曲が最も緩くなった短軸方向Zと交差する部分(24z)の周縁部分24aに内側から係止されるように自然に誘導されることになる。これによって、注出口形成部13の中心軸Xに対して、開封つまみ片17が張り出す側とは反対側に位置する易破断部15の端部15aを中心とする円周方向Lに向けて、開封つまみ片17を引き上げる力を指の腹部によって負荷させ易くなり、当該引き上げる力を易破断部15を破断させる力として切除予定部16に効率良く伝えることが可能になって、注出口を開口形成する操作を容易且つスムーズに行えるようにすることが可能になる。
【0031】
また、本第1実施形態では、係止穴24の開口周縁部が肉厚の縁取り部24bによって縁取りされているので、指の腹部を当該肉厚の縁取り部24bを介して短軸方向Zと交差する部分の周縁部分24aに押し当てることが可能になり、これによってさらに安定した状態で開封つまみ片17を引き上げる力を負荷することが可能になる。
【0032】
図3は、本発明の好ましい第2実施形態に係る袋容器30の要部を示すものである。本第2実施形態の袋容器30では、上記第1実施形態の袋容器10の構成に加えて、開封つまみ片17が注出口形成部13の中心軸Xに対して、成形用金型によるパーティングライン21に沿った直径方向(正面部12A又は背面部12Bの側縁方向)に張り出す側において、注出口形成部13と隣接する胴部12の肩部19には、押えつまみ部としての押えつまみ片18が、注出口形成部13と離間して上方向に突出して設けられている。
【0033】
すなわち、本第2実施形態では、押えつまみ片18は、開封つまみ片17と同様に、成形用金型によるパーティングライン21に沿った面に平板形状に設けられている。また押えつまみ片18は、容器本体11の胴部12の肩部19に、注出口形成部13の周面との間に好ましくは8〜12mm程度の間隔を保持しつつ離間した状態で、開封つまみ片17の張出し係止部23と緩衝しない高さで上方向に突出して設けられている。押えつまみ片18と注出口形成部13の周面との間に8〜12mm程度の間隔が保持されることにより、例えば、切除予定部16を取り除くことによって形成された注出口形成部13の注出口から別の容器の口頸部を介して容器本体11に充填収容されていた内容物を注ぎ入れる際に、注出口形成部13と、押えつまみ片18との間に別の容器の口頸部を挟むように配置して、安定した状態で内容物を別の容器に注ぎ入れることが可能になる。
【0034】
また、本実施形態では、押えつまみ片18は、その中心線Cを注出口形成部13の中心軸Xと平行又は略平行に配置して設けられている。さらに、押えつまみ片18は、その周縁部分が肉厚の縁取り部18aとなっていると共に、縁取り部18aの内側の表裏面には、エンボス加工等によって適宜滑止めが施されていることが望ましい。
【0035】
そして、本第2実施形態に係る袋容器30によれば、上記第1実施形態の袋容器10と同様の作用効果が奏されることに加えて、注出口形成部13の中心軸Xに対して、開封つまみ片17が張り出す側において注出口形成部13と隣接する胴部12の肩部19に前記押えつまみ片18が注出口形成部13と離間して上方向に突出して設けられているので、例えば袋容器10を被載置面に立設載置した状態で、係止穴24に指を係止して開封つまみ片17を引き上げる操作を行う際に、注出口形成部13の中心軸Xに対して、張出し係止部23が張り出す側とは反対側に位置する易破断部15の端部15aを支点とする引き上げ荷重によるモーメント力に抗する、相当の大きさのモーメント力を容易に得ることが可能になる。すなわち、支点となる端部15aから開封つまみ片17への引き上げ荷重の作用点となる係止穴24の周縁部分24aまでの距離(15aと24z間距離)と同等以上離れて肩部19に設けられた押えつまみ片18を把持して、当該押えつまみ片18を介して袋容器10の底部14を被載置面に押し付けることにより、引き上げ荷重によるモーメント力に抗する相当の大きさのモーメント力を容易に得ることが可能になる。これによって、開封つまみ片17を引き上げる際のモーメント力に効果的に抵抗しつつ、安定した状態で易破断部15を破断して、内容物が封入された袋容器30をさらに容易に開封することが可能になる。
【0036】
また、本第2実施形態では、押えつまみ片18は、その中心線Cを注出口形成部13の中心軸Xと平行又は略平行に配置して設けられているので、押えつまみ片18を把持して袋容器30の底部14を被載置面に押し付ける力が被載置面に伝わりやすくなり、これによって、さらに効果的に開封つまみ片17を引き上げる際のモーメント力に抵抗することが可能になり、易破断部15をより一層安定した状態で破断することが可能になる。
【0037】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、開封つまみ部は、略長円形状を有している必要は必ずしもなく、略円形、略楕円、略矩形等のその他の種々の形状のものであっても良い。また、指の腹部が周縁部分に係止される部分は、開封つまみ部の表裏を貫通して設けた係止穴の他、例えば開封つまみ部を相当の厚さで形成して表裏を貫通することなく設けられた係止凹部等であっても良い。さらに、袋容器に封入される内容物は、毛髪洗浄剤や全身洗浄剤等の液剤の他、ゲル状の物質や粒状物、粉状物等の、流動性を備えるその他の種々の内容物であっても良い。
【0038】
また、開封つまみ部や押えつまみ部は、成形用金型によるパーティングラインに沿った面に設ける必要は必ずしもなく、本発明の効果が得られる範囲でパーティングラインに沿った面からずれていても良い。すなわち、開封つまみ部や押えつまみ部は、注出口形成部13の中心軸Xに対して、胴部12の側面方向、片側に設けられれば良い。ここで、胴部12の側面とは、正面視及び背面視が広幅であり、側面視が狭幅の扁平形状の容器(本実施形態の容器)の場合には、側面視した場合の目視できる胴部面を指し、円筒容器等の扁平形状ではない容器の場合には、任意の胴部面を指す。
【0039】
また、指の腹部を易破断部の端部を中心とする円周方向に向けて係止させる係止穴や係止凹部の形状は、短軸方向を易破断部の端部を中心とする円周方向に沿わせて設けられていれば良く、楕円形状である必要は必ずしも無い。また、当該係止穴や係止凹部の形状は、前記易破断部の端部を通る軸(長軸)に対して、つまみ部を引き上げる側(図3では24z側)の部分が重要となり、つまみ部を引き上げる側と前記軸に対して反対側の形状は重要ではない。例えば図4(a)〜(e)に示すように、前記易破断部の端部を通る長軸に対して、つまみ部を引き上げる側の部分が指腹の輪郭に略一致していて且つ、かかる輪郭が前記易破断部の端部を中心とする略円周方向に向けて、指の腹部が当該係止穴又は係止凹部の周縁部分に係止されるように誘導する形状である略半指型形状(図4(a)参照)、前記楕円形状の一部分を直線状にした涙型形状(図4(b)参照)やレモン型(図4(c)参照)、前記楕円形状の上半分をY方向と一致している直線に置き換えた半円型(図4(d)参照)、前記楕円形状の上下部分の一部をY方向と略平行な直線と置き換えた長円型(図4(e)参照)等の、その他の種々の形状のものを採用することができる。即ち、前記円周方向Lに向けて、指の腹部が当該係止穴又は係止凹部の周縁部分に係止されるように誘導する形状であれば良い。また、係止穴や係止凹部の形状が真円形の場合には、前述のように破断させる力の最適な作用方向が定まらず、つまみ部を真上に引き上げる操作を行いやすく、引き上げる際の力が破断させる力として効率良く伝わり難いが、本発明の課題を解決できる範囲で略円形であっても良い。さらにまた、袋容器に封入される内容物は、毛髪洗浄剤や全身洗浄剤等の液剤の他、ゲル状の物質や粒状物、粉状物等の、流動性を備えるその他の種々の内容物であっても良い。
【0040】
また、本発明の袋容器は自立袋でなくとも良い。
【符号の説明】
【0041】
10,30 袋容器
11 容器本体
12 容器本体の胴部
13 注出口形成部
14 容器本体の底部
15 易破断部
16 切除予定部
17 開封つまみ片(開封つまみ部)
18 押えつまみ片(押えつまみ部)
19 胴部の肩部
20 注出口形成部の基部
21 パーティングライン
22 開封つまみ片の接合基端部
23 開封つまみ片の張出し係止部
24 係止穴
24a 指の腹部が内側から係止される係止穴の周縁部分
P1 載置面
P2 易破断部が形成された面
X 注出口形成部の中心軸
Y 張出し係止部及び係止穴の長軸方向(開封つまみ片が張り出す方向)
Z 係止穴の短軸方向
L 開封つまみ片が張り出す側とは反対側に位置する易破断部の端部を中心とする円周方向
θ 易破断部が形成された面に対する開封つまみ片が張り出す方向の傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と注出口形成部を備える胴部を有する合成樹脂製の容器本体を金型により成形してなり、前記注出口形成部の易破断部の破断によって切除予定部が除かれて注出口を形成する袋容器であって、
前記注出口形成部は、前記底部による載置面に対して垂直又は略垂直な中心軸を有し且つ上方向に前記胴部から突出して設けられており、前記切除予定部には、指の腹部が係止される係止凹部を有する開封つまみ部が、前記注出口形成部の前記中心軸に対して、前記胴部の側面方向、片側に、前記易破断部が形成された面に対して斜め上方に張り出して設けられており、
前記係止凹部は、前記開封つまみ部を相当の厚さで形成して表裏を貫通することなく前記開封つまみ部に設けられており、
前記係止凹部は、楕円形状、長円型形状、レモン型形状、涙型形状等の、長軸と短軸を有する形状、又はこれらの長軸と短軸を有する形状の長軸よりも前記開封つまみ部を引き上げる側の部分の形状を含んだ形状を有するように形成されており、
且つ前記係止凹部は、前記長軸の方向が、易破断部が形成された面に対して5〜35度の傾斜角度で斜め上方に傾斜した方向となるように設けられており、
これらによって、前記係止凹部は、前記易破断部を破断する際に、前記開封つまみ部が張り出す側とは前記中心軸に対して反対側に位置する前記易破断部の端部を中心とする略円周方向に向けて、指の腹部が当該係止凹部の周縁部分に係止されるように誘導する形状を備えている袋容器。
【請求項2】
前記係止凹部は、楕円形状、長円型形状、レモン型形状、涙型形状、又はこれらの形状の長軸よりも前記開封つまみ部を引き上げる側の部分の形状を含んだ形状を有するように形成されている請求項1記載の袋容器。
【請求項3】
前記係止凹部は、楕円形状、長円型形状、レモン型形状、又は涙型形状を有するように形成されている請求項1記載の袋容器。
【請求項4】
前記開封つまみ部が張り出す側において前記注出口形成部と隣接する前記胴部の肩部には、押えつまみ部が、前記注出口形成部と離間して上方向に突出して設けられている請求項1〜3のいずれか1項記載の袋容器。
【請求項5】
前記易破断部は、前記注出口形成部を環状にとりまく細溝状凹部を有する請求項1〜4のいずれか1項記載の袋容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−32185(P2013−32185A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205190(P2012−205190)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【分割の表示】特願2008−132934(P2008−132934)の分割
【原出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】