説明

袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置

【課題】レーザ光を用いて液体が充填された袋状容器内の酸素濃度を非破壊検査にて精度良く検査する際に、計測が容易な非破壊検査装置を提供する。
【解決手段】搬送経路の検査領域の左右位置に配置されて、袋状容器1に対して接近離間自在に設けられて酸素濃度計測用のレーザ光を発信するレーザ発信部59Aと、他方に設けられてレーザ光を受信するレーザ受信部59Bとを具備し、且つこれら各先端面にガス充填箱61が設けられて、袋状容器1の気相部の表面に接触させることにより、気相部の厚さを一定に維持するものにおいて、容器保持具16により鉛直面内で揺動可能に保持された袋状容器1を、容器押圧具88により両側から押圧(保持)して鉛直面内で傾動させる傾動装置81を具備し、検査領域にて酸素濃度を計測する際に、上記傾動装置81により袋状容器1を所定角度でもって傾斜させて、その上位の肩部の気相部を計測するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液充填機に設けられるとともに液体が充填された袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用輸液は袋状容器、例えば輸液バッグに充填されて、輸送および保存が行われている。
ところで、このような医療用輸液が充填されたバッグにおいては、輸液が酸化して劣化するのを防止するために窒素ガスが封入されるとともに、輸液の充填後に、酸素濃度を計測して不良品であるか否かの検査が行われる。すなわち、酸素は製造途中で入り込むもので、当然に、入り込む酸素は少ない方が好ましく、したがって酸素濃度が許容値より高い場合には、製品が不良品であると判断される。
【0003】
この種の検査方法は、サンプルとしての製品バッグに注射針を刺して空気を取り出して酸素濃度を計測するという破壊式検査であり、検査後、サンプルは廃棄されている。そのため、検査は全数検査ではなく、標本検査となっており、安全衛生に関する保障については不確かな面がある。
【0004】
これに対し、輸液バッグ製剤以外のバイアル瓶製剤などにおいては、製品製造過程で容器内に混入または存在する酸素をレーザ光を用いて検出する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
具体的には、レーザ光をバイアル瓶内の上部の気相部に透過させてその透過光量を計測する、つまり、その吸収度合いを検出して酸素濃度を計測する方法である。
上述したレーザ光を用いてバッグ内の酸素濃度を計測する場合、レーザ光の透過距離を一定にする必要がある(距離が異なると、当然に、計測する酸素濃度値が異なってしまう)。
【0006】
このため、特許文献1に記載されているように、バイアル瓶の場合には、容器が硬く、どのバイアル瓶であってもレーザ光の透過距離は一定となるため、比較的精度良く計測を行うことができる。
【0007】
しかし、輸液バッグなどのように軟質材料で構成されたものは軟らかく、したがって搬送されるバッグごとに厚みが変化するため、レーザ光を用いた非破壊検査を精度良く行うことができないという問題がある。
【0008】
この問題を解決するものとして、本出願人は、レーザ光を用いて液体が充填された袋状容器内の酸素濃度を非破壊検査にて精度良く検査し得る非破壊検査装置を提案している。
この非破壊検査装置は、バッグの肩部を水平に保持した状態で気相部にレーザ光を照射して酸素濃度を測定するようにしたものである(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2007−508567号公報
【特許文献2】特開2010−38846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献2の構成では、バッグの肩部を水平に保持してその気相部の厚さを一定にするようにしているが、バッグをぶら下げたときの重力により、その上部の気相部の厚さが狭く、且つ気相部の水平断面形状も端に行くに従って細くなっているので、気相部の両側から挟むレーザ発信部とレーザ受信部との間の距離が小さくなり、計測しにくいという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、レーザ光を用いて液体が充填された袋状容器内の酸素濃度を非破壊検査にて精度良く検査する際に、計測が容易な非破壊検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置は、搬送体に設けられた容器保持具により保持されて少なくとも液体の充填領域、封止領域および検査領域を有する搬送経路に沿って搬送される袋状容器内に液体を充填するための液充填機に設けられるとともに、上記搬送経路の検査領域にて、液体が充填された袋状容器の気相部にレーザ光を照射し、その透過光量に基づき袋状容器内の酸素濃度を計測するための装置で、
且つ上記搬送経路の検査領域の左右位置に配置されてそれぞれ移動手段により袋状容器に対して接近離間自在に設けられた左右一対の移動部材と、これら移動部材のうち一方に設けられて酸素濃度計測用のレーザ光を発信するレーザ発信部と、他方に設けられてレーザ光を受信するレーザ受信部とを具備するとともに、これらレーザ発信部およびレーザ受信部の各先端面に同一長さの透光性の不活性ガス室が形成されてなる非破壊検査装置であって、
上記搬送経路の検査領域の左右に配置されて容器保持具により鉛直面内で揺動可能に保持された袋状容器を容器押圧具により両側から押圧して鉛直面内で傾動させる傾動装置を具備し、
上記検査領域にて酸素濃度を計測する際に、上記傾動装置により袋状容器を所定角度でもって傾動させるとともに、当該傾動された袋状容器の上位の肩部にて、左右一対の移動部材を互いに接近させてレーザ発信部およびレーザ受信部の各先端面を袋状容器の気相部の表面に接触させることにより、当該気相部の厚さを一定に維持させるとともにレーザ発信部およびレーザ受信部の各先端面と袋状容器の気相部の表面との間の空気を排除させるようにしたものである。
【0013】
また、請求項2に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置は、請求項1に記載の非破壊検査装置において、容器押圧具に振動装置を設けたものである。
また、請求項3に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置は、請求項1または2に記載の非破壊検査装置において、袋状容器の検査時に搬送体を停止させるとともに、レーザ発信部およびレーザ受信部が設けられた一対の移動部材を、当該停止された複数の袋状容器に対して移動させ得るように構成したものである。
【0014】
また、請求項4に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の非破壊検査装置において、検査領域外に、予め、互いに異なる酸素濃度の不活性ガスが充填されるとともに透光性材料にて形成された2つの校正用容器を配置し、
且つレーザ発信部およびレーザ受信部が設けられた一対の移動部材を、上記校正用容器内の酸素濃度を計測し得る校正位置に移動し得るようにしたものである。
【0015】
また、請求項5に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の非破壊検査装置において、校正用容器を円錐形状または円筒形状にしたものである。
【0016】
また、請求項6に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置は、請求項5に記載の非破壊検査装置において、校正用容器をその軸心回りに回転させるようにしたものである。
【0017】
さらに、請求項7に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の非破壊検査装置において、搬送経路を円形または長円形にしたものである。
【発明の効果】
【0018】
上記の構成によると、先端に不活性ガス室が設けられたレーザ発信部およびレーザ受信部の先端側の不活性ガス室内に窒素ガスを充満させた状態で、これらレーザ発信部およびレーザ受信部の先端面により容器の気相部を両面から押さえて一定の厚さにするとともにレーザ発信部およびレーザ受信部の先端面と袋状容器の気相部の表面との間の空気を排除した上で、レーザ光を照射して酸素濃度を計測する際に、容器を容器押圧具により押圧するとともに当該容器を鉛直面内で傾動させ、そしてこの傾動された容器の上位肩部の気相部を計測するようにしたので、気相部での容積を厚くして十分な量の酸素分子を肩部に移動させることができ、したがって精度の良い酸素濃度の計測を容易に行うことができる。
【0019】
また、振動装置にて袋状容器に振動を付与することにより、酸素分子を満遍なく気相部に拡散させることができ、したがって低い酸素濃度でも安定したバラツキの少ない計測値を得ることができる。
【0020】
さらに、検査具の校正を行う際に、円筒形状の校正用容器を回転させるようにしたので、校正についても精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る非破壊検査装置を具備する液充填機の概略構成を示す平面図である。
【図2】同非破壊検査装置の検査対象である袋状容器の外観図で、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】同非破壊検査装置の要部平面図である。
【図4】図3のF−F断面図である。
【図5】図4のG−G矢視図である。
【図6】同非破壊検査装置の要部断面図である。
【図7】同非破壊検査装置の要部平面図である。
【図8】図4のI−I矢視図である。
【図9】同非破壊検査装置における検査時の要部断面図である。
【図10】同非破壊検査装置における校正用容器の配置状態を示す平面図である。
【図11】同非破壊検査装置における変形例の校正用容器の配置状態を示す平面図である。
【図12】同非破壊検査装置の演算部の概略構成を示すブロック図である。
【図13】同非破壊検査装置における検査に用いられるレーザ光の受光量と酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図14】同非破壊検査装置における検査時の容器の姿勢を示す側面図である。
【図15】同非破壊検査装置における検査状態を示す容器の要部拡大断面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る非破壊検査装置を他の液充填機に適用した場合の変形例に係る概略構成を示す平面図である。
【図17】同変形例に係る非破壊検査装置の要部断面図である。
【図18】図17のJ−J矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置を図1〜図15に基づき説明する。
この非破壊検査装置は、例えば点滴などの医療用輸液(以下、液体という)を軟質材料(例えば、ポリオレフィンなどの軟質プラスチックが用いられる)からなる輸液バッグ(袋状容器の一例であり、以下、容器という)に充填する液充填機に具備されるもので、液体が充填されるとともにその口部が封止された容器内の酸素濃度の良否を検査するためのものである。また、この酸素濃度の良否は、容器内の酸素濃度をレーザ光を用いて計測するとともに、この計測値に基づき判断するようにしたものである(この計測方法は、例えば波長可変半導体レーザ吸収分光法と呼ばれている)。
【0023】
まず、この液充填機の構成を簡単に説明しておく。
この液充填機は、旋回式のもので、図1〜図4に示すように、輸液バッグである容器1を順次保持するとともに、円形の搬送経路5に沿って搬送する間に、空の容器1に医療用輸液である液体を充填した後、その口部2のシールを施し、そして液体が充填された輸液バッグ内の酸素濃度の良否を検査した後、口部2に防護フィルムを取り付け、次の工程に送り出すものである。
【0024】
上記搬送経路5は、容器1を受け取る受取領域(領域をステーションともいう、以下、同じ)5A、口部2から容器1内に不活性ガス例えば窒素ガスを充填するガス充填領域5B、口部2から容器1内に液体を充填する液充填領域5C、液体が充填された容器1の口部2にキャップを施す封止領域5D、キャップが施された容器1内の気相部Kを検査する検査領域5E、口部2に防護フィルムを取り付けるフィルム取付領域5Fおよび不良品を排出する不良品排出領域5Gおよび次工程に容器1を受け渡す受渡領域5Hが具備されている。図示しないが、容器1の受取領域5Aおよび受渡領域5Hに対向する位置には、容器の供給および排出を行い得る容器の給排出機が具備されている。なお、本実施の形態においては、容器1は3個ずつ間欠的に移動されて、3個纏めて液体の充填などの各作業が順次行われるものとして説明する。
【0025】
この液充填機は、容器1を所定間隔置きに保持して、円形の搬送経路5に沿って搬送するもので、架台11と、この架台11に配置された回転駆動装置12と、この回転駆動装置12側の鉛直方向の回転駆動軸体13に連結されて水平面内で回転自在にされた回転駆動板体14と、この回転駆動板体14の外周に連結された環状板体(内側板部と外側板部とからなる)15と、この環状板体15に所定間隔置きに複数個配置されて容器1を保持するための容器保持具16とから構成されている。また、上記回転駆動装置12は、回転駆動板体14すなわち環状板体15を間欠的に回転させるように構成されている。なお、回転駆動装置12、回転駆動軸体13、回転駆動板体14、環状板体15などにより搬送体が構成される。
【0026】
上記各容器保持具16は、環状板体15に固定される取付板21と、この取付板21に回転軸材22を介して水平軸心回りで回転自在(傾動自在)に設けられた枠状部材23と、この枠状部材23内に鉛直軸心回りで回転自在に保持された一対の回転軸体24(24A,24B)と、これらの回転軸体24に設けられて互いに噛合された一対の歯車25(25A,25B)と、上記一方の回転軸体24(24A)に連結アーム26を介して連結されて当該一方の回転軸体24Aを所定角度範囲でもって揺動(回動)させる回転駆動手段例えば開閉用シリンダ(エア式または電動式のものが用いられる。以下、シリンダについては同様である。)27と、上記各回転軸体24の下端部に取り付けられて容器1の口部2を両側から保持開放自在な一対の保持アーム28(28A,28B)とから構成されている。また、上記各容器保持具16における回転軸材22の回転角度すなわち枠状部材23の傾動姿勢(つまり、容器1の傾動姿勢である)を固定(保持)するための姿勢固定具29が具備されている。この姿勢固定具29は、図5に示すように、回転軸材22に外嵌された割円形状の固定部材31と、この固定部材31の割円部である平面部31aに当接し得る押さえ板32と、この押さえ板32を昇降させて上記平面部31aに当接離間させ得る昇降用シリンダ33とから構成されている。なお、この姿勢固定具29は、3つの容器1を同時に固定または解除し得るようにされており、例えば押さえ板32は2つの昇降用シリンダ33により昇降される。また、昇降用シリンダ33は取付板21に取り付けられている。
【0027】
上記構成において、開閉用シリンダ27を作動させて一方の回転軸体24Aを回転させると、一対の歯車25を介して、他方の回転軸体24Bが逆方向に同一回転量でもって回転することになるため、一対の保持アーム28にて容器1の口部2を両側から保持および開放することができる。勿論、両保持アーム28の先端側には、口部2に係合し得る例えば半円状の凹部が形成されている。
【0028】
さらに、上記容器保持具16側すなわち枠状部材23には、当該容器保持具16により保持された容器1の両肩部1aを外側から内側に(正確にいえば、円形の搬送経路の外側から内側に)押さえることにより、容器1が揺れるのを防止するための容器押さえ具41が設けられている。
【0029】
この容器押さえ具41は、図6および図8に示すように、枠状部材23の下端に設けられた取付用ブラケット40に軸受42を介して容器1の幅方向(つまり、搬送経路の接線方向)と平行な水平軸心回りで回転自在に設けられた回転軸体43と、この回転軸体43における容器1の両肩部1aに対応する位置で固定された左右一対の押さえ用アーム44と、上記取付用ブラケット40に支持されて上記回転軸体43を連結用レバー45を介して所定角度でもって揺動させる揺動用シリンダ46とから構成されている。
【0030】
この構成において、揺動用シリンダ46を作動させると、回転軸体43が所定角度範囲でもって回転させられる。すなわち、図4に示すように、押さえ用アーム44が容器1の表面を外側から内側に押さえる押さえ位置(イ)と、容器1の表面から離脱した開放位置(ロ)との間で揺動される。
【0031】
そして、上記搬送経路5の検査領域5Eには、本発明に係る非破壊検査装置6が具備されている。
この検査に際しては、容器1の搬送が停止されるとともに一回の停止動作において、3つの容器1に対して、それぞれ順番に検査が行われる。したがって、検査領域5Eとしては、それぞれ容器保持具16により保持された3つの容器1を越える長さにされている。さらに、これら3つの容器1の外側位置には、検査装置の校正(キャリブレーション)を行うために、校正用容器(後述する)3が配置されている。なお、検査領域5Eに校正用容器の部分を含めて検査・校正領域5E′という。
【0032】
以下、上記の事項を踏まえて、非破壊検査装置6について説明する。
この非破壊検査装置6は、図3〜図9(特に、図4、図6および図7)に示すように、所定長さの検査領域5Eにおいて、下方位置で且つ所定長さに亘って配置された平面視が長方形状の支持台51と、この支持台51の左右両側部にて立設された複数の支柱材52にて水平方向で支持された左右一対のガイド部材例えばガイドレール53と、これら各ガイドレール53にガイド輪54を介して移動自在に設けられた移動板体55と、この移動板体55の上部に昇降用シリンダ56を介して昇降自在に設けられた昇降板体57と、この昇降板体57に設けられた移動手段58(58A,58B)により容器1に対して接近離間方向bで移動可能に設けられて検査用のレーザ光を発信するレーザ発信部59Aまたは検査用のレーザ光を受信するレーザ受信部59Bと、これらレーザ発信部59Aおよびレーザ受信部59Bの前方位置に設けられるとともに透光性材料で形成され内部に窒素ガスが充填(充満)されたガス室(不活性ガス室)を有するガス充填箱61と、上記左右の両移動板体55を同時に検査・校正領域5E′において移動させるための移動装置62とから構成されている。なお、ガス充填箱61を詳しく説明すると、図15に示すように、容器1に接触する先端面61aは、計測時における容器1の表面形状に沿うように傾斜面(または曲面)にされている。
【0033】
また、上記各移動手段58は、図6および図7に示すように、昇降板体57に容器1に対して接近離間方向(水平方向)bで且つその軸心回りで回転自在に配置された回転ねじ軸63と、この回転ねじ軸63に螺嵌されたナット体(ボールねじ機構が用いられる)64と、このナット体64に基端側が取り付けられるとともに先端側にレーザ発信部59Aまたはレーザ受信部59Bが配置され且つ接近離間方向bでのみ移動し得るように例えばガイド棒66により案内された移動部材65と、上記回転ねじ軸63を回転させる電動機67とから構成されている。なお、回転ねじ軸63は昇降板体57上に一対配置されている。
【0034】
また、左右の移動部材65のうち、一方の、例えば図4および図6において、左側の移動部材65には、レーザ発信部59Aが取り付けられるとともに、他方の例えば右側の移動部材65には、レーザ受信部59Bが取り付けられている。勿論、レーザ発信部59Aとレーザ受信部59Bとの左右位置が逆であってもよい。なお、レーザ発信部59Aとレーザ受信部59Bとを纏めて検査具60と呼ぶ。
【0035】
そして、上記移動装置62は、左右における各支柱材52の中間部にそれぞれブラケット71を介して支持された回転ねじ軸72(72A,72B)と、この回転ねじ軸72に螺合されるとともに移動板体55の下端折曲部55aに連結されたナット体(ボールねじ機構が用いられる)73と、上記左右の各回転ねじ軸72の端部に取り付けられた従動側スプロケット74と、これら従動側スプロケット74に巻回された伝導ベルト75に係合する駆動側スプロケット76を回転させる1台の電動機77とから構成されている。伝導ベルト75の途中には、伝導ベルト押さえ用のスプロケット78および伝導ベルト緊張用のスプロケット79が配置されている。
【0036】
この構成において、電動機77を駆動して両回転ねじ軸72を回転させると、左右の移動板体55が、つまり、レーザ発信部59Aおよびレーザ受信部59Bが同時に3つの容器1の停止位置である第1検査位置(A)、第2検査位置(B)、第3検査位置(C)およびこれら3つの容器1の外側に設けられた2つの校正用容器3の位置である第1校正位置(D)、第2校正位置(E)に移動されることになる。
【0037】
ところで、この非破壊検査装置6では、レーザ光による計測時に、容器1を傾動させて気体を上方に位置する肩部(以下、上位肩部ともいう)1aに集めて気相部Kの厚さを十分に確保して、レーザ光による酸素濃度の計測を精度良く行うために、容器1の傾動装置81が設けられている。
【0038】
図6および図8に示すように、この傾動装置81は、上記支持台51の左右にて立設された支持ブラケット82に前後方向(容器1の搬送方向)で取り付けられた円弧状の3つのガイドレール83(83A,83B)と、これら各ガイドレール83を上下から保持する一対のガイド輪84を介して当該各ガイドレール83に案内される傾動板85(85A,85B)と、これら各傾動板85に昇降手段86(86A,86B)を介して昇降可能に設けられた昇降板87と、これら各昇降板87に設けられた容器押圧具88(88A,88B)と、上記傾動板85をガイドレール83に沿って移動すなわち傾動させるための傾動手段(傾動具ともいえる)89(89A,89B)とから構成されている。
【0039】
上記各昇降手段86は、上記傾動板85に上下方向で回転自在に設けられた回転ねじ軸91と、上記昇降板87に設けられるとともに上記各回転ねじ軸91に螺嵌されたナット体92と、上記各回転ねじ軸91を回転させる一対の電動機93と、上記傾動板85に設けられるとともに上記昇降板87に設けられた筒状材94を介して当該昇降板87を案内させるガイド棒95とから構成されている。
【0040】
上記各容器押圧具88は、容器1の搬送経路5に対して直交する方向で配置された容器押圧用シリンダ96(96A,96B)と、この容器押圧用シリンダ96のロッド部96aの先端に設けられて容器1の側面を押圧し得る押圧板97とから構成されている。
【0041】
また、上記各傾動手段89は、上記支持ブラケット82に支持ピン101を介して鉛直面内で揺動自在に設けられて傾動板85側に設けられた係合用ローラ102に係合し得るガイド溝103aが上端側に形成された傾動レバー103と、この傾動レバー103の下端部に連結材104および連結用レバー105を介して連結された傾動用シリンダ106とから構成されている。なお、3つの傾動レバー103は連結杆107により互いに連結されて同調して傾動するようにされている。
【0042】
したがって、上記昇降手段86の電動機93を駆動することにより、昇降板87側に設けられている押圧板97を昇降させて容器1の押圧位置を調節することができる。
また、左右の容器押圧用シリンダ96のロッド部96aを突出させて左右の押圧板97により容器1を両側から押圧した状態で、傾動用シリンダ106のロッド部106aを突出させると、傾動レバー103は所定方向aに傾動して、容器1を所定角度でもって傾動させることができる。
【0043】
例えば、容器1は30〜40度の範囲で傾動されて、上位肩部1aに気体が集まり、そこの気相部Kの厚さが増加する。すなわち、気相部Kに酸素分子が多く存在することになり、誤差が殆どない酸素濃度を容易に計測することができる。
【0044】
また、上記各容器押圧具88側、すなわち各昇降板87の下面には、振動装置108が設けられており、押圧板97により押圧(保持)された容器1に振動を与えて容器1内の液相部に入り込んでいる気体つまり酸素を上方に移動させ、計測精度の向上が図られている。
【0045】
この振動装置108により容器1に振動を付与して酸素分子を満遍なく気相部に拡散させることで、低い酸素濃度でも安定したバラツキの少ない計測値を得ることができる。
なお、上記振動装置108としては、例えばエア駆動式、または電気駆動式のものが用いられる。
【0046】
ここで、校正用容器3について説明する。
この校正用容器3は、上述したように、支持架台51の両端部すなわち前後位置に配置されており、それぞれ透光性材料(例えば、アクリル板が用いられる)で円筒形(箱型)に形成されるとともに、水平軸心回りで回転し得るように構成されている。
【0047】
すなわち、図10に示すように、校正用容器3は、支持台51側に支持部材111などを介して水平軸心回りで回転自在に支持されるとともに、その支持軸部には、一対のプーリ112,113および伝導ベルト114を介して電動機115に連動連結されており、例えば校正時に、5〜10rpmでもって回転される。なお、図11に示すように、校正用容器3′を容器1の肩部1aの表面形状に合致するように、円錐形状にしてもよく、またプーリおよび伝導ベルトを用いずに、直接、電動機115で校正用容器3を回転させるようにしてもよい。勿論、この校正用容器3′は、円錐形状の変化が、容器1における肩部1aの厚さの変化に一致する方向でもって設置される。
【0048】
そして、この校正用容器3には、所定の酸素濃度の不活性ガスとして窒素ガスが充填されている。例えば、図1および図3に示すように、一方の校正用容器3Aの酸素濃度は0%にされるとともに、他方の校正用容器3Bの酸素濃度は20%にされている。
【0049】
そして、図12に示すように、当該非破壊検査装置6には、演算部121が具備されており、この演算部121には、上記レーザ受信部59Bからの検出値すなわちレーザ光の透過光量である受光量を入力して酸素濃度を求める受光量−酸素濃度算出部122および2つの校正用容器3における酸素濃度の検出値を入力して受光量−酸素濃度算出部122に設定されている変換係数(感度係数ともいう)Rを校正するための変換係数校正部123が設けられている。
【0050】
例えば、受光量−酸素濃度算出部123には、図13に示すように、受光量と酸素濃度との関係を表すグラフすなわち変換係数Rが具備されており、また変換係数校正部123においては、2つの校正用容器3を検査した際の受光量に基づき、現時点でのグラフすなわち変換係数R′が求められる。勿論、このグラフは、0%濃度における受光量と20%濃度における受光量との計測により求められる。なお、2つの校正用容器3内の酸素濃度の値は、適宜、計測対象での計測範囲に応じて、適宜変更することができる。
【0051】
この求められたグラフ、すなわち新しい変換係数R′が受光量−酸素濃度算出部122に入力されて、以後、この新しい変換係数R′が用いられる。勿論、変換係数が殆ど変化していない場合には、現在の変換係数Rが用いられる。
【0052】
以下、上述した液充填機での全体動作を、特に検査動作に着目して説明する。
上記構成において、容器1が給排出機から搬送経路5の受取領域5Aに移動されて環状板体15に設けられた容器保持具16により、順次、3つずつ保持される。
【0053】
そして、ガス充填領域5Bでは窒素ガスが口部2から容器1内に充填され、次の液充填領域5Cでは口部2から液体が充填された後、封止領域5Dに移動して口部2に栓が施され、さらにその後、検査領域5Eに移動されて酸素濃度の良否すなわち品質の検査が行われる。
【0054】
この検査領域5Eに3つの容器1が移動されると、まず、姿勢固定具29が解除されて容器1が傾動し得るようにされる。
次に、下方に配置されている傾動装置81における容器押圧具88A,88Bの押圧板97により容器1の下部を両側から押えて、容器1内のガスを上方に移動させた後、図14に示すように、傾動手段89A,89Bにより容器1を所定方向aに傾動させて、一方の肩部1aを上方に位置させる。この状態で、3つの容器1の良否の検査が順番に行われる。
【0055】
すなわち、第1校正位置(D)に停止されている検査具60が第1検査位置(A)に移動される。
そして、図9に示すように、移動手段58により移動部材65を容器1側に突出させる。すなわち、図15に示すように、左右のガス充填箱61を互いに接近させて容器1の上位肩部1aの気相部Kを両側から一定距離でもって挟んだ状態にする。したがって、ガス充填箱61と容器1の気相部Kとの間に存在する空気層が排除された状態となる。
【0056】
この状態で、レーザ発信部59Aからレーザ光が発信され、容器1を透過し、レーザ受信部59Bにて受信される。
このレーザ受信部59Bにて検出されたレーザ光の透過光量である受光量は演算部121に入力され、ここで、レーザ光の受光量(減光割合でもある)に基づき酸素濃度が求められて、酸素濃度の良否すなわち品質が判断される。勿論、図示していないが、設定値と比較することにより、酸素濃度の良否を判断する判断部が具備されている。
【0057】
この第1検査位置(A)での検査が済むと、レーザ発信部59Aおよびレーザ受信部59Bすなわち検査具60は移動装置62により第2検査位置(B)に移動されて、同様に、2番目の容器1の検査が行われる。この後、検査具60は、さらに移動装置62により第3検査位置(C)に移動されて、3番目の容器1の検査が行われる。
【0058】
なお、容器1内の酸素濃度が不良であった場合、つまり酸素濃度が許容値を超えている場合には品質不良とされ、防護フィルムは取り付けられずに、そのまま不良品排出領域5Gに搬送されて外部に排出される。
【0059】
3つの容器1の検査が済むと、傾動装置81により、容器1は傾動姿勢から鉛直姿勢に戻された後、3つの容器1は姿勢固定具29により固定され、そして回転駆動装置12により環状板体15が回転されて、次の3つの容器1が検査領域Eに搬送されて検査が行われる。
【0060】
次の3つの検査を行う場合には、検査具60は、前回の検査とは逆方向に、順次、移動して3つの容器1の検査が行われる。
ところで、検査具60が、いずれかの校正位置(DまたはE)に移動している際に、それぞれの位置で、校正用容器3に対して上記と同様の検査、すなわち校正動作が行われる。勿論、この校正動作時に、校正用容器3は水平軸心回りで回転される。
【0061】
なお、この校正動作については、予め、設定された時に、例えば数時間おきに、またはその日の作業の開始時などに行われる。
この校正動作における検査結果は、変換係数校正部123に入力されて、レーザ光の受光量と酸素濃度との関係を示すグラフ、つまり変換係数Rの校正が行われる。
【0062】
上述したように、先端に不活性ガス室が設けられたレーザ発信部およびレーザ受信部の先端側の不活性ガス室内に窒素ガスを充満させた状態で、これらレーザ発信部およびレーザ受信部の先端により、容器の気相部を両面から押さえて一定の厚さにするとともにレーザ発信部およびレーザ受信部の先端面と袋状容器の気相部の表面との間の空気を排除した上でレーザ光を照射して酸素濃度を計測する際に、容器の下部を容器押圧具により押圧(保持)するとともに当該容器を鉛直面内で傾動させ、そしてこの傾動された容器の上位肩部の気相部を計測するようにしたので、気相部での容積を厚くして十分な量の酸素分子を肩部に移動させることができ、したがって精度の良い酸素濃度の計測を容易に行うことができる。
【0063】
また、振動装置にて袋状容器に振動を付与することにより、酸素分子を満遍なく気相部に拡散させることができ、したがって低い酸素濃度でも安定したバラツキの少ない計測値を得ることができる。
【0064】
さらに、検査具の校正を行う際に、円筒形状の校正用容器を回転させるようにしたので、校正についても精度良く行うことができる。
ところで、上記実施の形態においては、3つの容器1に対して検査具60を順番に移動させるようにしたが、例えば検査位置Eにおける3つの各容器1に対して、それぞれ検査具60を配置するようにしてもよい。勿論、この場合、検査具60を移動させる必要はない。
【0065】
また、上記実施の形態においては、容器1の搬送経路5が、円形である場合、つまり旋回式のものについて説明したが、例えば図16に示すように、搬送経路5が長円形状である直線式のものであってもよい。この場合も、当然ながら、上記実施の形態の場合と、同様の作用・効果を有しており、校正位置(D)および(E)についても、容器1の搬送経路5から外れた位置、例えば半円部の外側に配置されている。この場合、2つの校正位置(D,E)は、一方の半円部の外側に配置される。
【0066】
この場合、1つの容器を傾動させた状態で、検査具により当該容器内の酸素濃度を計測するようにしており、したがって傾動装置と検査具とが一緒に各検査位置を移動し得るように構成されている。
【0067】
以下、この直線式の液充填機に設けられる非破壊検査装置を、図16〜図18に基づき、簡単に説明しておく。
すなわち、この非破壊検査装置141は、直線式の液充填機における回転駆動装置131のケーシング132の側部に設けられた支持台142と、この支持台142の外側縁部に立設された支柱部材143に水平方向で取り付けられたガイド部材であるガイドレール144と、このガイドレール144に上下のガイド輪145により案内される正面視(縦断面)が溝型状(底板146aと当該底板146aの左右から立設された側板146bとからなる)の移動体146と、この移動体146を所定方向(前後方向、言い換えれば検査位置での容器の搬送方向)に移動させる移動装置147と、上記移動体146に傾動装置148を介して所定方向aに傾動可能に設けられるとともに容器1の下部を押圧(保持)し得る容器押圧具149(149A,149B)と、同じく移動体146に且つ容器押圧具149の上方位置で設けられた容器1の検査具151であるレーザ発信部150Aおよびレーザ受信部150Bと、これらの発信部150Aおよび受信部150Bに設けられたガス充填箱152とから構成されている。
【0068】
上記移動装置147は、上記支柱部材143の下部から検査経路側に突設された前後一対の支持ブラケット153と、これら前後の支持ブラケット153に前後方向で且つその軸心回りで回転自在に設けられるとともに移動体146の底板146aの下面に設けられたナット体(ボールねじ機構を有するもの)154に螺挿された回転ねじ軸155と、この回転ねじ軸155をプーリ・伝導ベルトなどを介して回転させる電動機156とから構成されている。したがって、この電動機156により回転ねじ軸155を回転させることにより、移動体146を、つまり検査具151および容器押圧具149を、一緒に、各検査位置(A,B,C)および校正位置(D,E)に順次移動させることができる。
【0069】
ところで、上記容器押圧具149については、上述した実施の形態と同じ構成を有するものであり、その説明を省略する。
また、上述した実施の形態に係る旋回式の装置における検査具60については、回転ねじ軸63を回転させる電動機67を昇降板体57の上方に配置したが、直線式に係る検査具151では、回転ねじ軸161を回転させる電動機162を当該検査具151が配置される昇降板体163の下方に設けている。
【0070】
また、上述した実施の形態に係る旋回式の装置における傾動装置81については、3つの容器1を同時に傾動させたが、図18に示すように、直線式に係る傾動装置148では、1つの容器1を傾動させるようにしている。
【0071】
この傾動装置148は、基本的な構造については上述した実施の形態と同じものであるが、具体的に異なる箇所としては、傾動板171に設けられたガイドローラ172をガイドレールではなく移動体146の側板146bに形成された円弧状のガイド溝173に案内させるようにしたことであり、当然ながら、傾動板171を傾動させる傾動用シリンダ174は移動体146側に、例えば側板146bに支持されている。
【0072】
さらに、図16に示すように、各校正位置(D,E)には、校正用容器3が上述した実施の形態と同様に、水平軸心回りで回転し得るように設けられている。
この構成において、容器1内の酸素濃度を計測する場合、容器1が3つの検査位置(A,B,C)に移動されると、それぞれの位置で、容器1の姿勢固定具(29)により容器1の姿勢固定が解除される。
【0073】
すなわち、移動装置147により移動体146が検査位置(A)に移動され、押圧板(97)により容器1の下部が押さえられた後、傾動装置148により容器1が所定方向aに傾動されて気体が上位肩部1aに移動される。
【0074】
そして、検査具151、つまりレーザ発信部150Aおよびレーザ受信部150Bに設けられたガス充填箱152が容器1の上位肩部1aに接触されて、容器1の気相部Kでの酸素濃度の計測が行われる。勿論、計測時に、振動装置(108)により容器1に振動が加えられる。なお、上記括弧内の部材を示す番号(数字)は、上述した実施の形態にて説明したものと同じ部材であるため、同一の番号を付している。
【0075】
つまり、この直線式のものにおいても、上述した旋回式のものと同様の作用・効果が得られる。
さらに、上記各実施の形態においては、左右のガス充填箱を互いに接近させて袋状容器の上位肩部の気相部を両側から所定距離でもって挟むようにしているが、左右のガス充填箱を或る距離(一定距離)まで互いに接近させた状態で、袋状容器の下部を左右の押圧板で挟むことによりその上位肩部を膨らませて、その表面を左右のガス充填箱に接触させるようにしてもよい。つまり、袋状容器の表面が互いに接近された左右のガス充填箱の表面に接触するように、押圧板の移動量がコントロールされる。このようにすることにより、左右のガス充填箱を或る距離となる所定の位置に移動させた際に、袋状容器から反力を受けることがないので、計測時における左右のガス充填箱同士の間隔が常に一定に維持され、したがって計測精度の向上につながる。
【符号の説明】
【0076】
K 気相部
1 袋状容器
1a 肩部
2 口部
3 校正用容器
5 搬送経路
5A 受取領域
5B ガス充填領域
5C 液充填領域
5D 封止領域
5E 検査領域
5F フィルム取付領域
5G 不良品排出領域
5H 受渡領域
6 非破壊検査装置
11 架台
12 回転駆動装置
14 回転駆動板体
15 環状板体
16 容器保持具
41 容器押さえ具
55 移動板体
58 移動手段
59A レーザ発信部
59B レーザ受信部
60 検査具
61 ガス充填箱
62 移動装置
65 移動部材
81 傾動装置
85 傾動板
88 容器押圧具
96 容器押圧用シリンダ
97 押圧板
103 傾動レバー
106 傾動用シリンダ
108 振動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送体に設けられた容器保持具により保持されて少なくとも液体の充填領域、封止領域および検査領域を有する搬送経路に沿って搬送される袋状容器内に液体を充填するための液充填機に設けられるとともに、上記搬送経路の検査領域にて、液体が充填された袋状容器の気相部にレーザ光を照射し、その透過光量に基づき袋状容器内の酸素濃度を計測するための装置で、
且つ上記搬送経路の検査領域の左右位置に配置されてそれぞれ移動手段により袋状容器に対して接近離間自在に設けられた左右一対の移動部材と、これら移動部材のうち一方に設けられて酸素濃度計測用のレーザ光を発信するレーザ発信部と、他方に設けられてレーザ光を受信するレーザ受信部とを具備するとともに、これらレーザ発信部およびレーザ受信部の各先端面に同一長さの透光性の不活性ガス室が形成されてなる非破壊検査装置であって、
上記搬送経路の検査領域の左右に配置されて容器保持具により鉛直面内で揺動可能に保持された袋状容器を容器押圧具により両側から押圧して鉛直面内で傾動させる傾動装置を具備し、
上記検査領域にて酸素濃度を計測する際に、上記傾動装置により袋状容器を所定角度でもって傾動させるとともに、当該傾動された袋状容器の上位の肩部にて、左右一対の移動部材を互いに接近させてレーザ発信部およびレーザ受信部の各先端面を袋状容器の気相部の表面に接触させることにより、当該気相部の厚さを一定に維持させるとともにレーザ発信部およびレーザ受信部の各先端面と袋状容器の気相部の表面との間の空気を排除させるようにしたことを特徴とする袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置。
【請求項2】
容器押圧具に振動装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置。
【請求項3】
袋状容器の検査時に搬送体を停止させるとともに、レーザ発信部およびレーザ受信部が設けられた一対の移動部材を、当該停止された複数の袋状容器に対して順次移動させ得るように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置。
【請求項4】
検査領域外に、予め、互いに異なる酸素濃度の不活性ガスが充填されるとともに透光性材料にて形成された2つの校正用容器を配置し、
且つレーザ発信部およびレーザ受信部が設けられた一対の移動部材を、上記校正用容器内の酸素濃度を計測し得る校正位置に移動し得るようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置。
【請求項5】
校正用容器を円錐形状または円筒形状にしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置。
【請求項6】
校正用容器をその軸心回りに回転させるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置。
【請求項7】
搬送経路が、円形または長円形であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の袋状容器内における酸素濃度の非破壊検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−233701(P2012−233701A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100289(P2011−100289)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】