説明

袋詰め包装体の真空化装置

【課題】被包装物を充填した包袋内に噴射した加熱蒸気の凝縮で、前記包袋内を真空化する装置において、空袋が到達した場合の蒸気噴射を中止する手段。
【解決手段】包袋20の停止位置近傍に、吸引機器52に繋がる吸引筒50を設置し、包袋20停止位置と、前記吸引筒50との間にノズル30を動かす手段を設ける。包袋20の搬送軌道に設置したセンサー26が空袋を検出すると、コントローラ53から発する信号54は、第1モータ40で、レバー41を介して軸35を回転させるので、この軸35の回転によりノズル30を、矢印56に沿って吸気筒50に向けてスイングさせ、同時に、蒸気発生器37からノズル30に送る加熱蒸気を吸気筒50に向けて破棄噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ袋詰め包装装置において、運搬される袋詰め包装体内に加熱蒸気を吹き込み、前記加熱蒸気の凝縮による体積変化でもって包袋内を真空化する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、ロータ周縁の多数組みのクランプでそれぞれ包袋を挟持懸垂すると共に、前記ロータの回転で各包袋を円軌道に沿って運搬しながら、各包袋に被包装物を充填したあと、同包袋内に加熱蒸気を噴射すると共に、各包袋の開口縁を一対のシールバーでもって加熱密封するロータリ袋詰め包装装置が開示される。該装置では、包袋内で密封された加熱蒸気が時間経過に伴って凝縮するので、例えばミートボールのような食品を真空で密封することができるのである。
【0003】
しかし前記の特許文献1では、仮に包袋に対して被包装物の充填が欠けた場合、空袋に対しても加熱蒸気の噴射が行われることが予想され、また空袋の開口縁を一対のシールバーが密封することも同時に予想される。
【0004】
しかし下記の特許文献2には、運搬する包袋の円軌道に、包袋内部の被包装物の有無を検出するセンサーを配置し、該センサー設置位置を空袋が通過すると、同センサーからの信号により前記空袋へのシール作用を中止すると共に、この空袋をクランプから解放せずにそのままリサイクルして被包装物充填位置に運ぶことが示されているので、この特許の開示技術を用いれば、特許文献1において空袋に対する加熱蒸気の噴射及び空袋開口縁のシールをそれぞれ中止させることは容易である。
【0005】
しかし、空袋に対してノズルからの加熱蒸気の噴射を中止すると、中止時間の間にノズル内で加熱蒸気が凝縮し、後続の包袋に凝縮した湯水を余分にに供給することになるので、後続の包袋内の食品への湯水の混合比率が高まり、またノズルにおいて凝縮した湯水が後続の袋口に付着する頻度が高まって、袋口のシール効果を低下させるという問題が起こり得る。
【0006】
【特許文献1】特開平9−95311号公報
【特許文献2】特開平1−124521号公報
【発明の開示】
【0007】
そこで本発明は上記の問題を排除するために、ロータ周縁に設けたクランプ対で包袋の両側縁を挟持して懸垂し、前記ロータの回転で前記包袋を円軌道に沿って断続運搬しながら、蒸気噴出セクションにおいてノズルを通して包袋内に加熱蒸気を噴射し、シールセクションにおいて包袋の開口縁を一対のシールバーでもって加熱密封するロータリ袋詰め包装体の真空化装置において、前記蒸気噴出セクションの包袋停止位置近傍に設置した吸引筒と、前記吸引筒を通して吸引する加熱蒸気の液化を助ける吸引機器と、前記蒸気噴出セクションの包袋停止と前記吸引筒との間で前記ノズルを動かす切り替手段と、円軌道を断続運搬する包袋内部の被包装物を検出するセンサーとを設け、前記センサーで検出された空袋が蒸気噴出セクションに到達したときのみ、前記センサーからの信号でもって前記ノズルを前記の包袋停止から前記吸引筒に向けて変位させる一方。ノズルから噴出する加熱蒸気を、前記吸引筒を通して吸引機器により吸収するごとく構成する。
【0008】
円軌道を断続運搬する包袋内部の被包装物が検出されなかった空袋が、蒸気噴出セクションに到達すると、前記センサーからの信号でもって前記ノズルは前記の包袋停止から前記吸引筒に向けて変位され、空袋の再利用の妨げになる空袋への蒸気噴出を防止する一方で、位置変位したノズルから噴出する加熱蒸気を、前記吸引筒を通して吸引機器により吸収して液化を促すので、蒸気空噴きによる作業場の湿度上昇を防止できる効果がある。
【実施例1】
【0009】
平面を示す図2と、断面を示す図3とに示すようにロータリ袋詰め包装装置は、円形ロータ10の中心軸11を、機台12の軸受け13に支持し、ロータ10はその周縁に2本を1組とする8組のクランクアーム14を、ピン15でもって支持する。各クランプアームはそれぞれ先端に包袋挟持用のクランプ16を備え、パイプ製のクランプアーム14内に設置したコイルバネはクランプ16をノーマルクローズに保持するが、アーム下面のピン17に操作を加えコイルバネを圧縮るとクランプ16は開放する。
【0010】
モータ18の動力を、断続回転機19を介して中心軸11に伝えると、ロータ10は8組のクランプアーム14の間隔相当ピッチで断続回転する。従って給袋セクション▲1▼(丸付数字1)に載積した包袋20を各クランプ16に向けて供給することにより、これらクランプに支持された包袋は一ピッチづつ円軌道に沿って断続運搬される。
【0011】
一対のピン15は一対の扇型ギヤ21を介して連結するので、両アーム14間に配置した引きばね22の力は、レバー23を全周カム24の周面に圧接するように働く。各組のクランプ16は移動中に全周カム24の形状に倣って開閉し、セクション▲2▼(丸付数字2)を経て充填セクション▲3▼到達すると、朝顔型ホッパー25を通して包袋に被包装物の充填を行うことができ、検出セクション▲4▼に設置したセンサー26は電気的に包袋20内の被包装物の存在を検出する。仮に被包装物が充填されていない場合は、セクション▲8▼においてクランプ16は空袋を挟持したままリサイクルし、充填セクション▲3▼において前記の空袋に改め被包装物の充填が行われる。
【0012】
蒸気噴出セクション▲5▼には、図1に示すように包袋20の停止手位置においてノズル30を鉛直に配置している。詳しくは、フレーム31を介して固定した縦方向のスリーブ32にロッド33をスライド自在に支持し、該ロッド33から横方向に伸びる棹材34の端にピン35を介して前記ノズル30を揺動自在に支持している。前記ノズル30の上端は可撓性パイプ36を介して蒸気発生器37と繋がり、オンオフ弁38はノズル30における蒸気の噴出間隔を、包袋20の到達に合わせてコントロールする。
【0013】
図8に示すように薄平たいノズル30は、その上部の基幹部71をパイプ70の下端に気密に挿入して固定し、ジョイント74からパイプ70内に供給される加熱蒸気を、基幹部71の側面に開口した孔72からノズル30を通して噴射する構造である。この場合ドレン化する水はパイプ70の底からチューブ73を介して排除する。
【0014】
ロッド33を引き下げてノズル30が包袋20内に挿入されると、図4に示すごとく一対のクランプ16を離反して袋口を緊張しながら、ノズル30から加熱蒸気を一定時間噴射し、その後、図2におけるシールセクション▲7▼に置いて袋口を一対のシールバー58、59により挟圧して加熱シールする結果、続くセクション▲8▼においてクランプ16から開放される包装体内部は、時間経過とともに密封した加熱蒸気の凝縮でもって真空化することになるのである。
【0015】
なお図1における包袋20の停止位置近傍には、上端を開口した吸引筒50を配置し、該吸引筒50はホース51を介して吸引機器52と繋がる。一方前記の棹材34から垂下するブラケット39に下端を支持する第1モータ40は、ノズル30の位置切換え手段の一部に相当する。なお前記の第1モータ40は流体いシリンダーにより形成しており、該第1モータは前記ピン35に固定したレバー41と繋がる。仮にこの第1モータ50を電動機により構成する場合は、同電動機の軸が直接ピン35を回転させることになる。
【0016】
コントローラ53と接続したセンサー26は、図2において既に述べた検出セクション▲4▼におけるセンサー26と同じものである。前記センサー26が空袋を検出すると、コントローラ53から発する信号54は切換え弁55を操作し、第1モータ40への流体供給でもってレバー41を動かし、ノズル30を矢印56の方向に切り替える。この結果、本来包袋20内に噴出すべき加熱蒸気を、吸引筒50内に向けて廃棄噴射する。
【0017】
このようにノズル30から空袋に加熱蒸気を噴射せず破棄するのは、仮に空袋に蒸気を噴出すると、この空袋をリサイクルし改めて食品を充填したときに、リサイクル袋内で凝縮した水分が食品の味覚を損なうことになるので、それを防ぐためである。
【0018】
一方、単に加熱蒸気を作業場に廃棄噴射し続けると作業場の加湿度を上げることになるので、加熱蒸気を吸気筒50から吸引機器52で吸引する。ブロアー又は真空ポンプのような吸引機器52を構成する金属材等は、それに触れる加熱蒸気を液化するに充分な熱容量を備え、吸引した加熱蒸気を水として処理し、作業場の労働環境を整えることになる。吸気筒50による加熱蒸気の吸引は、後述するように袋口内面への水滴付着量を減少させる点でも効果がある。
【0019】
図1において第1モータ40は、ノズル30を吸引筒50に向けてスイングさせる例示すであるが、図5は、機台44に枢支軸45を介して支持する棹材46の先端にノズル30を支持し、通常、前記ノズル30を、一対のクランプ16が支持する包袋20の停止点上に配置する。既に説明したようにセンサーが空袋を検出すると、この検出信号でもって第1モータ47は棹材46を、枢支軸45を支点に水平面上で時計方向に切り替えるために、吸引筒に向けて(仮想線のように)回転させる例示てある。
【0020】
寒冷期においては、加熱蒸気が通過するノズル30の表面に露を呼び、この露が袋口に付着すると、袋口を溶着密封するときの弊害となる。ノズル30から加熱蒸気を噴射させる環境ではノズルにおける結露が促進する傾向がある。そこで図2における水滴除去セクション▲6▼に一対の加熱バー61、62を設置する。図6に示すごとくこれら両加熱バー内部に加熱用ヒータ63を設け、その片側の加熱バー61の両端から、他側の加熱バー62に向く螺子64は、両加熱バー61、62間の必要量の接近を規制する制限装置65である。つまり前記の螺子64は、図7のごとくクランプ14に支持する包袋20の袋口の間に0.1〜0.3ミリメートルの通気間隙66が残るように狭窄を制限する。
【0021】
図4は、図2のセクション▲5▼において一対のクランプ16で袋口を両側に緊張し、包袋20内に加熱蒸気を噴射している正面図であるが、そのあとノズル30を上方に引き抜いた場合、袋口には弛みが生じているので袋口は完全に密封することはない。このため水滴除去セクション▲6▼に置いて、図6のように一対の加熱バー61、62で袋口に0.1〜0.3ミリメートルの通気間隙が形成されるように狭窄した場合、袋口の弛みにより通気間隙は断続して形成される。
【0022】
図7に示すごとく袋口を狭窄する一対の加熱バー61は袋口の水滴を蒸発させるために加熱する。この場合、包袋内部の加熱蒸気の凝縮により、包袋外部から通気間隙66を通して空気の吸入が起り、この空気の動きは袋口に付着する水滴を蒸発させるのに寄与する。その反面、包袋外部からの空気流入は包袋内部の真空化に影響を与える。しかし水滴除去セクション▲6▼における加熱蒸気の凝縮割合は、位置的に凝縮初期状態であり、また袋口の断続的な0.1〜0.3ミリメートルの通気間隙66は、最終的に必要限の真空化が達せられるように流入空気量を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】主要装置側面図
【図2】ロータリ包装装置平面図
【図3】前図の側面図
【図4】包袋への加熱蒸気噴出を示す正面図
【図5】異なる実施例図
【図6】加熱バーの部分説明図
【図7】前図の断面拡大図
【図8】ノズルの説明図
【符号の説明】
【0024】
▲3▼充填セクション
▲4▼検出セクション
▲5▼蒸気噴出セクション
▲6▼水滴除去セクション
▲7▼シールセクション
10‥‥円形のロータ
16‥‥クランプ
20‥‥包袋
26‥‥センサー
30‥‥ノズル
40、47‥‥第1モータ(切換え手段)
50‥‥吸引筒
52‥‥吸引機器
58、59‥‥シールバー
61、62‥‥加熱バー
65‥‥制限装置
66‥‥通気間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ周縁に設けたクランプ対で包袋の両側縁を挟持して懸垂し、前記ロータの回転で前記包袋を円軌道に沿って断続運搬しながら、蒸気噴出セクションにおいてノズルを通して包袋内に加熱蒸気を噴射し、シールセクションにおいて包袋の開口縁を一対のシールバーでもって加熱密封するロータリ袋詰め包装体の真空化装置において、
前記蒸気噴出セクションの包袋停止位置近傍に設置した吸引筒と、前記吸引筒を通して吸引する加熱蒸気の液化を助ける吸引機器と、前記蒸気噴出セクションの包袋停止と前記吸引筒との間で前記ノズルを動かす切り替手段と、円軌道を断続運搬する包袋内部の被包装物を検出するセンサーとを設け、
前記センサーで検出された空袋が蒸気噴出セクションに到達したときのみ、前記センサーからの信号でもって前記ノズルを前記の包袋停止から前記吸引筒に向けて変位させる一方。ノズルから噴出する加熱蒸気を、前記吸引筒を通して吸引機器により吸収する装置。
【請求項2】
請求項1における蒸気噴出セクションとシールセクションとの間に水滴除去セクションを配置すると共に、該水滴除去セクションに一対の加熱バーを設置し、袋口の間に極薄い通気間隙が残るように前記一対の加熱バーの接近を、0.1〜0.3ミリメートルに規制する制限装置を設け、該一対の加熱バーで狭窄加熱する袋口内面に付着する水滴を除去するようにした請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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