説明

袋詰め包装機

【課題】 筒状フィルム用ロールから被包装物が連続的に袋詰め包装される包装袋まで製造可能にし、さらに省スペース化,コンパクト化をも可能にする袋詰め包装機を提供する。
【解決手段】 下方に繰り出す筒状フィルム92を挟むようにして対向配設される受けローラ11と、該筒状フィルムの筒内に配され、係合部2aが受けローラ11に受け支えられて、係合部2aから括れ部2bが受けローラ11間を通り、該括れ部から延びる板バネ部2cが拡開する吊り具2と、上下動可能な受台30を有し、板バネ部2cよりも下方に繰り出される筒状フィルム92の下端筒口からその筒状空間ε内に、受台30に載置した被包装物Wが挿入されるようにした移送手段3と、受具92が進出することにより、筒状フィルム92を介して筒状空間ε内に挿入された被包装物Wを保持する受具手段6と、筒状フィルム92を挟着してシールする上シーラー43aと、筒状フィルム92を挟着してシールする下シーラー53aと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルムを用いて、被包装物を自動包装する袋詰め包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のフィルムで被包装物を次々と連続的に袋詰め包装する包装機の適用範囲は、被包装物が割箸やスプーンといった、二次元,一次元状の平板状品,棒状品に有効であった(特開平11−198910号公報等)。被包装物が立体化し、その物自体が大きい三次元形状品になると、帯状のフィルムによる袋詰めは対応が難しくなる。被包装物自体が大きい三次元形状品に対応可能なフィルム形態で、その被包装物を不具合なしで連続的に袋詰めできる包装機が求められている。こうしたなか、筒状フィルムを用いて袋詰め包装する包装機が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−179001公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発明は、筒状フィルムを用いるといっても、個々の被包装物に対応する大きさにカットした筒状カットフィルムであった。しかも、一端だけを開口する袋状体に仕上げた給袋であった。前処理として、この給袋をまず形成しなければならなかった。筒状フィルム用ロールからそのまま連続的に袋詰め包装することは困難であり、生産性が上がらなかった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、筒状フィルム用ロールから、そのまま被包装物が連続的に袋詰め包装される包装袋まで製造可能にして、生産性向上を果たし、さらに、設備の省スペース化,コンパクト化をも可能にする袋詰め包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、下方に繰り出す筒状フィルムを、外側から挟むようにして対向配設される一対の受けローラと、該筒状フィルムの筒内に配され、上部の係合部が前記受けローラに受け支えられて、該係合部から下方に延びる括れ部が一対の該受けローラ間を通り、さらに該括れ部から延びる板バネ部が下方に向け拡開するようにして、該受けローラに吊設される吊り具と、上下動可能な受台を有し、拡開する前記板バネ部よりも下方に繰り出される該筒状フィルムの下端筒口からその筒状空間内に、該受台に載置した被包装物が挿入されるようにした移送手段と、該筒状フィルムの外側で、受具が進退動自在にして進出することにより、該筒状フィルムを介して、前記筒状空間内に挿入された被包装物を保持する受具手段と、該筒状フィルムの外側で、前記板バネ部よりも下方地点に在って且つ該受具手段で保持された被包装物よりも上方地点に配され、進退動自在にして進出することにより前記筒状フィルムを挟着してシールする上シーラーと、該筒状フィルムの外側で、該受具手段で保持された被包装物よりも下方地点に配され、進退動自在にして進出することにより前記筒状フィルムを挟着してシールする下シーラーと、を具備することを特徴とする袋詰め包装機にある。
請求項2の発明たる袋詰め包装機は、請求項1で、筒状フィルムの外側で、前記板バネ部の高さ地点に配され、該板バネ部をその拡開するバネ圧に抗して閉じる方向に板バネ押えで押え込む板バネ押え手段と、該筒状フィルムの外側で、該板バネ押えよりも下方地点で且つ前記上シーラーよりも上方地点に配され、進退動自在にして進出することにより前記筒状フィルムを切断するカッターと、をさらに具備することを特徴とする。請求項3の発明たる袋詰め包装機は、請求項1又は2で、下シーラーよりも下方地点で、前記筒状フィルムの下端開口に対向し、上下左右に進退動自在にして上動することにより、前記上シーラーによりシールされ且つ前記カッターにより切断された筒状カットフィルムの筒内に、先端が配される皺伸ばし棒をさらに具備することを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明のごとく、受けローラと吊り具と移送手段と受具手段と上シーラーと下シーラーを具備すると、設備がコンパクト化し、且つ筒状フィルムを用いた自動化が可能になり、被包装物を連続包装した製品ができる。
請求項2の発明のごとく、板バネ押え手段とカッターとをさらに具備すると、各被包装物を個別に分離した袋詰め包装品を円滑生産できる。
請求項3のごとく、皺伸ばし棒をさらに具備すると、被包装物を包装する筒状カットフィルムの下部の姿態を綺麗できるので、品質が向上する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の袋詰め包装機は、筒状フィルム用ロールから、三次元形状の立体的に大きな被包装物であっても、そのまま被包装物が自動袋詰め包装でき、生産性向上,製品の低コスト化を実現し、さらに品質向上を果たし、またその設備機械の省スペース化,コンパクト化をも可能にするなど多大な効を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る袋詰め包装機について詳述する。図1〜図9は本発明の袋詰め包装機の一形態で、図1はその概略正面図、図2はその概略右側面図、図3は(イ)が吊り具の平面図、(ロ)が(イ)の正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図である。図4〜図6は上段シール機構周りの拡大図、図7〜図9は下段シール機構周りの拡大図を示す。
【0010】
袋詰め包装機は、基台Fと筒状フィルムの供給手段9と受けローラ11と送りローラ12と吊り具2と移送手段3と受具手段6と上段シール機構4と下段シール機構5とを具備する。
基台Fはフレーム部材で図1,図2のような矢倉状に骨組形成された枠体である。該基台に筒状フィルム供給手段9と受けローラ11と送りローラ12と移送手段3と受具手段6と上段シール機構4と下段シール機構5が取付けられる。
【0011】
受けローラ11は、ローラ11a,11b(第一ローラ)が対で設けられ、基台Fの上部に回動自在に取着される。対の第一ローラ11a,11bは、少し距離をおいて両ローラが平行配設される。受けローラ11の直ぐ下には、一対の送りローラ12が両ローラ面を当接状態にして配される。
図1のごとく、ヒートシール可能な筒状フィルム92をロール状に巻いたフィルムロール91が、筒状フィルム92の供給手段9として左支柱Fに取付けられる。フィルムロール91から繰り出される筒状フィルム92が、各ローラ94を経由して基台中央の上方地点から垂下する。さらに、その筒状フィルム92は、一対の受けローラ11間を通り抜け、前記送りローラ12に挟着されて、モータ13の間欠回転により送りローラ12の下方に繰り出す。送りローラ12の真上で、フィルムロール91から間欠移動で下方に繰り出す筒状フィルム92を、両受けローラ11が外側から挟むように対向配設されて、該受けローラに吊り具2が保持される。
【0012】
吊り具2は、係合部2aと括れ部2bと板バネ部2cと立板20とを備えて、係合部2aが前記受けローラ11に受け支えられる吊設部材である(図1,図3)。吊り具2は、フィルムロール91から繰り出す筒状フィルム92が一対の受けローラ11間,送りローラ12間を通り抜ける前に、前もって筒状フィルム92の筒内に配される。吊り具上部の係合部2aが受けローラ11に受け支えられて、該係合部から下方に延びる括れ部2bが両受けローラ11間,両送りローラ12間を通り抜けるよう配設される。括れ部2bが通り抜ける送りローラ部位ではローラ径を小さくし(図2)、括れ部2bが通る送りローラ12間には隙間が確保される。括れ部2bからさらに延びる板バネ部2cが下方に向け拡開するようにして、受けローラ11に吊り具2が吊設される。
【0013】
本実施形態の係合部2aは、下端にローラ(第二ローラ22)を回動自在に取着した取付部材21で、図3のごとく立板20の中央上部の両板面に該取付部材が固着される。立板20の中央下部の両板面には、一対の金属板片が固着される。板バネ部2cと細幅板部の括れ部2bとが一体になった金属板片で、その括れ部2bの上半部が、立板20の下部に固着される。係合部2aよりも若干小さな横幅の括れ部2bが立板20から下方に延び、さらに該括れ部から板バネ部2cが下方に延設する。括れ部2bから延びる板状の両板バネ部2cは、板バネの弾性を有して、図1,図3(ハ)のように括れ部2bの下端から下方に向けて次第に広がる。一対の金属板片に係る板バネ部2cの両板面が正面視V字形に拡開する(図1,図4)。板バネ部2cの横幅は、送りローラ12をくぐり抜けた括れ部2bの下端から下方に向けて幅広になるが(図2)、その後、立板20の横幅よりも少し小さい幅を保ったまま下方に延びる。フィルムロール91から送りローラ12を経由して下方に繰り出す筒状フィルム92は、板バネ拡開部23によって、その筒口を図3(イ)のような大きさに広げられる。
吊り具2は、かくのごとく筒状フィルム92内に配され、第二ローラ22が一回り大きな前記受けローラ11上に載って回動自在に支えられる中子となる。そして、受けローラ11間を通り抜けた板バネ部2cによって、係合部2aが受けローラ11に揺動自在に支えられた吊り具2となっている。
【0014】
移送手段3は被包装物Wの移送装置である。上下動可能な受台30を有し、拡開する板バネ部2cよりも下方に繰り出される筒状フィルム下端92eの筒口からその筒状空間S内に、受台30に載置した被包装物Wが挿入されるようにした移送手段3になっている。ここでは、アクチュエータ32たるエアシリンダのロッドを上下動可能な支軸31とし、その上端に受台30が固着される。フィルムロール91から送りローラ12を経由して下方に繰り出す筒状フィルム92は、板バネ拡開部23によって、その筒口が大きく広げられており、三次元形状した直方体の被包装物Wであっても、筒状フィルム下端92eの筒口からその筒内(筒状空間S内)に容易に収納できる。
【0015】
本実施形態の被包装物Wは、図2の左方の図示しない段積工程で、受台30上に盤状体の被包装単位品を複数積み上げてなる図示ごとくの直方体形状とする。本実施形態の移送手段3は、水平移動も可能な受台30にして、段積工程で積み上げられてなる被包装物Wを図1の位置へ水平移動させる。その後、送りローラ用モータ13が駆動して、板バネ部2cよりも下方へ筒状フィルム92が繰り出し、その筒状空間S内に被包装物Wが収められる。筒状フィルム92が動いて、筒状フィルム92の下端筒口から筒状空間S内に受台30上の被包装物Wが挿入される。尚、受台30が図1の位置よりも低い位置で、筒状フィルム92の下端筒口の真下に移動し、その後、受台30を上動させて、既に下方に繰り出されている筒状フィルム92の下端筒口から被包装物Wが挿入されるようにしても勿論よい。
こうして、筒状フィルム92の筒状空間S内に受台30上の被包装物Wが挿入されると、袋詰めシールに移行する。しかし、下シールするのに受台30が邪魔をする。そこで、受台30に代えて受具手段6が被包装物Wを保持する。
【0016】
受具手段6は、筒状空間S内に受台30上の被包装物Wが挿入された筒状フィルム92の外側で、受具6が水平方向に進退動自在にして、進出することにより、該筒状フィルム92を介して、筒状空間S内に挿入された被包装物Wを保持する受具装置である。
ここでの受具手段6は、図1で、左右の柱F,Fの下方部位から架台中央へ張出すフレームF,Fにエアシリンダ62を取着し、進退動自在のロッド62aの先端に側面視L形の受具61を固着する。エアシリンダ62が作動すると、図1の鎖線のごとく受具61が進出する。そして、筒状フィルム92の筒状空間S内に挿入,収容された被包装物Wを支える受台30に代わって、受具61が筒状フィルム92を介して被包装物Wを受け支える(図8参照)。図1で、受具61はエアシリンダ62の作動で進出して、被包装物Wの下部を、その紙面垂直方向のほぼ中間地点で受け支える。
図1で、受具61による被包装物Wの受け支えが終了すると、移送手段3のアクチュエータ23が作動し、受台30は下降する。
【0017】
上段シール機構4は板バネ押え手段41,切断手段45,上シーラー手段43,ストリッパ手段47を備える。これらが送りローラ12よりも下方位置で、且つ受台30に支えられた被包装物Wよりも上方地点で、下方に向けて順に配設される。切断手段45で筒状フィルム92を被包装物Wが袋詰めできる大きさの筒状カットフィルム93にすると共に、該筒状カットフィルムの上側筒口を上シーラー手段43でシールする。
【0018】
板バネ押え手段41は、筒状フィルム92の外側で、板バネ部2cの高さ地点に配され、板バネ部2cをその拡開するバネ圧に抗して閉じる方向に板バネ押え41aで押え込む装置である。上シーラー手段43は、筒状フィルム92の外側で、板バネ部2cよりも下方地点に在って且つ受具手段6で保持された被包装物Wよりも上方地点に配され、水平方向に進退動自在にして、進出することにより筒状フィルム92を挟着してシールする上シーラー43aを有する装置である。切断手段45は、筒状フィルム92の外側で、板バネ押え41aよりも下方地点で且つ上シーラー43aよりも上方地点に配され、水平方向に進退動自在にして進出することにより、筒状空間S内に被包装物Wを収めるよう下方に繰り出した筒状フィルム92を切断するカッター45aを有する装置である。被包装物Wよりも上方地点の筒状フィルム92が、カッター45aにより切断される。ストリッパ手段47は、筒状フィルム92の外側で、上シーラー43aよりも下方地点に在って且つ受具手段6で保持された被包装物Wよりも上方地点に配され、水平方向に進退動自在にして、進出することにより筒状フィルム92を挟着保持するストリッパ47aを有する装置である。
【0019】
本実施形態は、図1で、右柱Fの中間高さ地点に主シリンダ40を取付け、該主シリンダ40から基台中央に向けて、水平方向に進退動自在の主ロッド40aの先端に、連結部40bを介して、基板40cが固着される。該基板40cに上段シール機構4の板バネ押え手段41,切断手段45,上シーラー手段43,ストリッパ手段47の主要素側が取着される。一方、図1の左柱Fの中間高さ地点で張出すフレームFの先端垂直板Fに、主シリンダ40と対になる同期シリンダ48,同期シリンダ49が対向するように取付けられる。垂直板Fに、上段シール機構4の板バネ押え手段41,切断手段45,上シーラー手段43,ストリッパ手段47の副要素側が取着される。上段シール機構4の板バネ押え手段41等の主要素側と、上段シール機構4の板バネ押え手段41等の副要素側の間に、間欠移動で下方に繰り出す筒状フィルム92が配される。
【0020】
板バネ押え手段41は、主シリンダ40と基板40cと板バネ押え41aと同期シリンダ48と板バネ押え副部41bとを備える。基板40cの上部に板バネ押え41aの突出部材が取着され、主シリンダ40の作動で主ロッド40aの進出により、基板40cに取着した板バネ押え41aが板バネ部2cに突き当たる。一方、主ロッド40aの進退動に同期させて進退動させる同期シリンダ48のロッド48aの先端には板バネ押え副部41bの突出部材が取着されている。板バネ押え41aと板バネ押え副部41bは対向配設される。主シリンダ40が作動すると主ロッド40aが進出すると共に、同期シリンダ48が作動してロッド48aが伸びる。板バネ押え41aが進出すると共に板バネ押え副部41bも進出する。そして、図4の状態から図5の状態へと、板バネ部2cの下端部分をその拡開するバネ圧に抗して閉じる方向に板バネ押え41aで押え込む。ここでは、板バネ部2cの開度が閉じる図5の状態にまで、板バネ押え41aと受け部材たる板バネ押え副部41bとで押え込む。板バネ押え41aの先端部分には、弾性体が固着されている。
【0021】
上シーラー手段43は、主シリンダ40と基板40cと上シーラー43aと同期シリンダと上シーラー副部43bとを備える。基板40cの上部に板バネ押え41aの下方にカッター45aの空隙を設け、その下方の基板40cに上シーラー43aが取着される。ここでの上シーラー43aの突出度合いは、図4に示すように板バネ押え41aよりも僅かに小さくする。一方、主ロッド40aの進退動に同期させて進退動させる同期シリンダ48のロッド48aの先端には、板バネ押え副部41bと同形状の上シーラー副部43bの突出部材が取着される。上シーラー副部43bは板バネ押え副部41bと間隔を開けて、その下方に取着される。上シーラー43aと上シーラー副部43bは対向配設される。
主シリンダ40が作動すると主ロッド40aが伸長すると共に、同期シリンダ48が作動してロッド48aが伸びる。板バネ押え41aが進出すると共に板バネ押え副部41bも進出する。これと一緒に、上シーラー43aが進出し、上シーラー副部43bも進出する。そして、板バネ部2cが閉じる状態にまで板バネ押え41aで押え込む。板バネ押え41aの先端部分に在る弾性体の圧縮に伴って、図6のごとく、一緒に進出している上シーラー43aと上シーラー副部43bが、筒状フィルム92を挟着しシールする。ここでは、上シーラー43a,上シーラー副部43bが対でインパルスシーラーを構成し、筒状フィルム92を挟着しシールすると、瞬時にその部分をシール(封止)する。上シーラー43a,上シーラー副部43bは、図2の基板40cと略同じ横長さを有し、下方に繰り出される筒状フィルム92を横断シールできる。
【0022】
切断手段45は、主シリンダ40と基板40cとカッター用副シリンダ42とカッター45aとを備える。基板40c上に副シリンダ42が固着され、該副シリンダのロッド42aの先端部に連結片42bを介在させてカッター45aを固定する。カッター45aは板バネ押え41aと上シーラー43aとのほぼ中間高さ地点で、連結片42bに固着される。
主シリンダ40,同期シリンダ48の作動で主ロッド40a,ロッド48aの進出に伴って、既述のごとく、板バネ押え41aで板バネ部2cが閉じる状態にまで押え込むと共に、上シーラー43aと上シーラー副部43bとで筒状フィルム92を挟着しシールする。この時点では、副シリンダ42は未だ作動しておらず、カッター45aの刃先は、図5の状態にある。本実施形態は、上シーラー43aと上シーラー副部43bとで筒状フィルム92を挟着シールするタイミングに、少し遅れて、副シリンダ42が作動する。副ロッド42aが伸び、図6のごとくカッター45aが上シーラー43aでシールを終えた部分の少し上方を切断する。カッター45aの刃先は、上シーラー副部43bと板バネ押え副部41bの間隔を開けたスリット内に入り込む。カッター45aは図2の基板40cと略同じ横長さを有し、下方に繰り出される筒状フィルム92を綺麗に横断カットできる。この横断カットよって、筒状フィルム92は筒状カットフィルム93になり、前記上シーラー手段43によって筒状カットフィルム93の上端部がシールされた下端開口の包装袋が出来上がる。符号93aはその上シール部を示す。
【0023】
ストリッパ手段47は、主シリンダ40と基板40cとサブシリンダ46とストリッパ47aとストリッパ用同期シリンダ49とストリッパ副部47bとを備える。ストリッパ47aの突出部材は基板40cに取着したサブシリンダ46のロッド先端に固着される。ストリッパ47aの基台中央への突出度合いは、図4に示すように上シーラー43aよりも僅かに小さくする。一方、サブシリンダ46の進退動に同期させて進退動させる同期シリンダ49のロッド49aの先端には、ストリッパ副部47bの突出部材が取着される。ストリッパ47aとストリッパ副部47bは、上シーラー43aよりも下方地点で、且つ受具61で保持された被包装物Wよりも上方地点で、相対向するよう配設される。主シリンダ40,同期シリンダ48の作動と一緒に又はやや遅れて、サブシリンダ46,同期シリンダ49が作動して、図6のようにシール部分の直ぐ下の筒状カットフィルム93を挟着する。そして、上シール部93aを形成後、主シリンダ40,同期シリンダ48のロッド40a,48aの退動よりも遅れて、サブシリンダ46,同期シリンダ49のロッド46a,49aが退動する。ヒートシールした筒状カットフィルム93が、上シーラー43aに付着して随伴するのを防ぐためである。
【0024】
下段シール機構5はスポンジ押え手段51,下シーラー手段53を備える。これらが送りローラ12よりも下方位置で、且つ受台30に支えられた被包装物Wよりも下方地点で、下方に向けて順に配設される。切断手段45で筒状フィルム92を被包装物Wが袋詰めできる大きさの筒状カットフィルム93にされ、その筒状カットフィルム93の上側筒口を上シーラー手段43でシールされた下端開口の包装袋が、次ステップの下段シール機構5でその下端部がシールされ、被包装物Wを袋に詰めた包装袋となる。
【0025】
スポンジ押え手段51はスポンジ押え用シリンダ50とスポンジ押え51a、とを備える。図1で、右柱F寄りのフレームFから垂下するフレームFに、また図1の左柱F寄りのフレームFから垂下するフレームFにも、スポンジ押え用シリンダ50を相対向するように取付けられる。両シリンダ50A,50Bのロッド50aの先端に弾性体からなるスポンジ押え51a,51bの突出部材が固着される。両スポンジ押え51が、受具61よりも下方地点で、下方に繰り出す筒状フィルム92を間にして対向配設される。スポンジ押え51aの長さは、筒状フィルム92の横断長さを越える(図2)。
このスポンジ押え手段51は、上段シール機構4の作動終了後に作動する。両シリンダ50のロッド50aの伸長により、筒状フィルム92又は筒状カットフィルム93の下部筒口が閉じられる(図8)。
上段シール機構4によって、筒状カットフィルム93の上端部がシールされた下端開口の包装袋が出来上がり、その筒状空間S内に被包装物Wが配されるが、スポンジ押え51aが被包装物W寄りの筒状カットフィルム93の下部筒口を閉じる。下端開口の下シールを行い易くするためである。
【0026】
下シーラー手段53は、下シーラー用シリンダ52と下シーラー53a、とを備える。図1で、右柱F寄りのフレームFから垂下するフレームFに、また図1の左柱F寄りのフレームFから垂下するフレームFに、下シーラー用シリンダ52A,52Bが相対向するように取付けられる。両シリンダ52A,52Bの一方のロッド52aの先端に下シーラー53aを固着する一方、他方のロッド52bの先端に下シーラー副部53bを固着する。インパルスシーラーたる下シーラー53a,下シーラー副部53bが、スポンジ押え51aよりも下方地点で、下方に繰り出す筒状フィルム92を間にして対向配設される。下シーラー53a,下シーラー副部53bの長さは、筒状フィルム92の横断長さを越える(図2)。
下シーラー手段53はスポンジ押え手段51の作動に続いて作動する。両シリンダ52A,52Bのロッド52a,52bの伸長により、筒状フィルム92又は筒状カットフィルム93の下端筒口近くをシールする(図9)。符号93は下シーラー53aによるシール部を示す。このシールによって、筒状フィルム92を用いた被包装物Wの袋詰め包装が完了する。
【0027】
本実施形態は、さらに皺伸ばし手段56とエア抜きノズル57とを具備する。皺伸ばし手段56は皺伸ばし用シリンダ54と皺伸ばし棒56aとを備え、これらが一対設けられる。
皺伸ばし手段56は、下シーラー53aよりも下方地点で、筒状フィルム92の下端開口に対向し、上下左右に進退動自在にして上動することにより、上シーラー43aによりシールされ且つカッター45aにより切断された筒状カットフィルム93の筒内に、先端が配される皺伸ばし棒56aを備える装置である。
ここでは、皺伸ばし用シリンダ55が、図2の基台FのベースフレームFに固着され、該シリンダ55の水平方向に伸縮するロッド先端に垂直シリンダ54を固着する。垂直シリンダ54の上下方向に伸縮するロッド先端に皺伸ばし棒56aが起立状態にして取り付けられる。各シリンダ54,55のロッド54a,55aが収縮状態で、二本の皺伸ばし棒56aの棒先が、図2のように、側面視における筒状フィルム92にかかる下端筒口内の左端寄り及び右端寄りの部位を指す姿態に配される。
そして、スポンジ押え手段51の作動前に、まず垂直シリンダ54のロッド54aが伸長し、両皺伸ばし棒56aが筒状カットフィルム93の下端筒口内から筒内に進出する(図7)。その後、図2の矢印のごとく皺伸ばしシリンダ55が水平外方向に伸長し、筒状カットフィルム93の下端部を両外方向に押し広げる。この状態を確保した後、スポンジ押え手段51が作動するよう設定される。そして、下シーラー手段43の作動前に皺伸ばし棒56aが筒状カットフィルム93の筒内から退動するよう設定される。
【0028】
エア抜きノズル57は、図2のごとく、上下方向に走るガイドレーン58が基台Fの中央下部に設けられ、該ガイドレーンに取付具57aを介してエア抜きノズル57が取着される。エア抜きノズル57は、その先端が上シーラー43aによりシールされ且つカッター45aにより切断された筒状カットフィルム93の筒口中央に向くように配設される。
そして、スポンジ押え手段51の作動前に、エア抜きノズル57が上動し、その先端571がスポンジ押え51aの高さ位置(又はこれより高い位置)に達するようにする(図7)。その後、スポンジ押え手段51が作動して、下端筒口を閉じた状態で、エア抜きノズル57を作動させ、筒状カットフィルム93の筒内に在る残存空気εを吸引する(図8)。エア抜きノズル57は該残存空気を吸引した後、下降させる。その後、被包装物Wが挿入された筒状カットフィルム93の下部筒口を下シーラー手段53でシールすることによって、図9ごとくの筒状フィルム92を用いた所望の被包装物Wの袋詰め包装が完成する。完成した袋詰め包装品は、受具61に代わって受台30が支えて、図2の右側に設けたベルトコンベア(図示せず)に搬送される。
上述の一連動作は、シーケンス制御又はパソコン制御によって行われ、筒状フィルム92のフィルムロール91を用いて、被包装物Wが袋に詰められた自動包装品が連続的に生産される。符号Kは既述の一連動作を行うための制御盤を示す。
【0029】
次に、上記構成の袋詰め包装機による一包装方法を述べる。
まず、モータ13を駆動して送りローラ12で板バネ部2cの下端近くまで筒状フィルム92を繰り出す。次に、被包装物Wを載せた受台30を、筒状フィルム下端92eの筒口の真下に移送する。続いて、送りローラ12が起動して筒状フィルム92を下方に繰り出す。筒状フィルム92はその下端を図1のごとく下シーラー53aの高さ位置より低い所まで繰り出す。
その後、受具61を作動させ、図8のように受台30に載る被包装物Wを受け支える。次いで、受台30を降下させる。
【0030】
斯かる状態が確保された後、上段シール機構4が作動する。まず、主シリンダ40,副シリンダ48が作動し、板バネ押え手段41が働き、板バネ拡開部23を閉じる。上シーラー手段43が働いて、被包装物W近くの上方部位をシールする。上記主シリンダ40の作動に相前後して、ストリッパ手段47が働き、ストリッパ47a,ストリッパ副部47bで筒状フィルム92を挟着する。続いて、副シリンダ42が作動し、カッター45が上シーラー手段43で形成したシール部93aの少し上の筒状フィルム92の部位を切断する。かくのごとくして、被包装物Wを覆う筒状フィルム92が筒状カットフィルムとなり、且つその上部に上シール部93aが設けられる。
上段シール機構4は、その後、カッター45a,板バネ押え41a,上シーラー43aが退動し、次いで、ストリッパ47aが退動する。
【0031】
上段シール機構4が終了後、下段シール機構5が作動する。まず、皺伸ばし手段56が作動し、皺伸ばし棒56aが筒状カットフィルム93の下端筒口から筒内に進入する。エア抜きノズル57も筒状カットフィルム93の下端筒口から筒内に進入する。シリンダロッド55aが伸長し、皺伸ばし棒56aが筒状カットフィルム93の下部を図2の矢印のごとく押し広げた後、スポンジ押え手段51が作動する。スポンジ押え51a,スポンジ押え副部51bで筒状カットフィルム93の下部を挟着する。その後、皺伸ばし棒56aが降下する。エア抜きノズル57で筒状カットフィルム93内の残存空気εを吸引除去する。そして、該エア抜きノズルが降下する。しかる後、下シーラー手段53のシリンダ52が作動して、下シーラー53a,下シーラー副部53bで筒状カットフィルム93の下部をシールする。かくのごとくして、被包装物Wを筒状カットフィルム93で覆って、上シール部93a,下シール部93bで包装された袋詰め製品が完成する。包装された袋詰め製品は、受具61の受け支えから、受台30で受け支えられて、図2の右側に在る図示しない搬送ベルトに載せて出荷へと導かれる。
上記一連の動作が順次繰り返され、筒状フィルム92を用いた被包装物Wの袋詰め自動包装が円滑に行われる。
【0032】
このように構成した袋詰め包装機は、受けローラ11と筒状フィルム92内に配される吊り具2とを備え、筒状フィルム92のフィルムロール91を用いても、吊り具2を通過することによって、筒状フィルム92の筒口が広がるので、その筒口を利用して被包装物Wが挿入され易くなる。
そして、吊り具2の括れ部2bから延びる板バネ部2cが下方に向け拡開すると、板バネ部2cを通った後の筒状フィルム92は筒口を大きく開けることになるので、三次元形状の立体化した大きな被包装物Wでも難なく袋詰め包装できるようになる。しかも、吊り具2は係合部2aが受けローラ11に支えられ、括れ部2b,板バネ部2cが受けローラ11間を通って、板バネ部2cが下方に向け拡開する状態で吊設されるので、構造がシンプルで且つバランスが良く、自動包装の操業安定性に優れる。されに、係合部2aに第一ローラ11aを設けて、これを受けローラ11に載せるので、吊り具2は抵抗が少なく円滑な自動包装ができる。
【0033】
上シーラー43a及び下シーラー53aは、進退動自在にして進出することにより筒状フィルム92を挟着してシールするので、容易にして確実に包装シールができる。また、カッター45aは進退動自在にして進出することにより筒状フィルム92を切断するので、簡便構造にして、筒状フィルム92から被包装物Wの個別包装用の筒状カットフィルム93が容易にできる。
また、板バネ部2cをその拡開するバネ圧に抗して閉じる方向に板バネ押え41aで押え込む板バネ押え手段41が設けられると、被包装物Wの上側にある筒状フィルム92のシールをする場合に、これに先立ち、筒状フィルム92の大きく開口した筒口を閉じることができるので、そのシールは円滑且つ確実に実施できる。
さらに、送りローラ12による間欠移動で下方に繰り出す筒状フィルム92として、移送手段3と受具手段6を設けることによって、被包装物Wの挿入が円滑実施できる。
【0034】
加えて、基台Fの上部に一対の受けローラ11と吊り具2と送りローラ12を配し、該送りローラによってよって、その下方に間欠移動で筒状フィルム92が繰り出すようにすると共に、筒状フィルム92の下端筒口からその筒状空間S内に、受台30に載置した被包装物Wが挿入されるようにした移送手段3を設けるので、設備の省スペース化,コンパクト化ができる。板バネ押え手段41を設けることによって、一層のコンパクト化、品質向上が図られる。
さらに、皺伸ばし手段56やエア抜きノズル57が設けられると、更なる品質向上にもつながるなど、数々の優れた効果を発揮し、実に有益である。
【0035】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。受けローラ11,送りローラ12,吊り具2,移送手段3,上段シール機構4,下段シール機構5等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の袋詰め包装機の一形態で、その概略正面図である。
【図2】皺伸ばし手段とエア抜きノズル周りの図を追加した図1の概略右側面図である。
【図3】(イ)が吊り具の平面図、(ロ)が(イ)の正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図である。
【図4】図1の上段シール機構周りの拡大図で、それらの作動前の状態図である。
【図5】図4の状態から主シリンダと同期シリンダが作動した状態説明図である。
【図6】図5の状態からさらに上シーラーで上シール部を形成し、カッターで筒状フィルムを切断した状態説明図である。
【図7】皺伸ばし手段とエア抜きノズル周りの側面図である。
【図8】下段シール機構周りの拡大図で、スポンジ押え手段で筒状カットフィルムを挟着した状態図である。
【図9】図8の状態からさらに工程が進んで、下段シーラーで筒状カットフィルムをシールした状態図である。
【符号の説明】
【0037】
11 受けローラ
2 吊り具
2a 係合部
2b 括れ部
2c 板バネ部
3 移送手段
41 板バネ押え手段
41a 板バネ押え
43a 上シーラー
45a カッター
53a 下シーラー
56a 皺伸ばし棒
6 受具手段
92 筒状フィルム
S 筒状空間
W 被包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に繰り出す筒状フィルムを、外側から挟むようにして対向配設される一対の受けローラと、
該筒状フィルムの筒内に配され、上部の係合部が前記受けローラに受け支えられて、該係合部から下方に延びる括れ部が一対の該受けローラ間を通り、さらに該括れ部から延びる板バネ部が下方に向け拡開するようにして、該受けローラに吊設される吊り具と、
上下動可能な受台を有し、拡開する前記板バネ部よりも下方に繰り出される該筒状フィルムの下端筒口からその筒状空間内に、該受台に載置した被包装物が挿入されるようにした移送手段と、
該筒状フィルムの外側で、受具が進退動自在にして進出することにより、該筒状フィルムを介して、前記筒状空間内に挿入された被包装物を保持する受具手段と、
該筒状フィルムの外側で、前記板バネ部よりも下方地点に在って且つ該受具手段で保持された被包装物よりも上方地点に配され、進退動自在にして進出することにより前記筒状フィルムを挟着してシールする上シーラーと、
該筒状フィルムの外側で、該受具手段で保持された被包装物よりも下方地点に配され、進退動自在にして進出することにより前記筒状フィルムを挟着してシールする下シーラーと、を具備することを特徴とする袋詰め包装機。
【請求項2】
前記筒状フィルムの外側で、前記板バネ部の高さ地点に配され、該板バネ部をその拡開するバネ圧に抗して閉じる方向に板バネ押えで押え込む板バネ押え手段と、
該筒状フィルムの外側で、該板バネ押えよりも下方地点で且つ前記上シーラーよりも上方地点に配され、進退動自在にして進出することにより前記筒状フィルムを切断するカッターと、をさらに具備する請求項1記載の袋詰め包装機。
【請求項3】
前記下シーラーよりも下方地点で、前記筒状フィルムの下端開口に対向し、上下左右に進退動自在にして上動することにより、前記上シーラーによりシールされ且つ前記カッターにより切断された筒状カットフィルムの筒内に、先端が配される皺伸ばし棒をさらに具備する請求項1又は2に記載の袋詰め包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−143639(P2010−143639A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326569(P2008−326569)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(393008511)小倉工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】