説明

被写体支持装置

【課題】臀部支持部及び上肢保持部の高さを同時に調節可能な被写体支持装置を得る。
【解決手段】ターンテーブル3上には、椅子昇降装置4及び背当ユニット5が設置されている。椅子昇降装置4には上下動ねじ軸9が設けられ、上下動可能な上下動ブロック11が上下動可能に取り付けられ、この上下動ブロック11には被写体Sの臀部を支持する臀部支持部14が取り付けられている。背当ユニット昇降装置17には椅子昇降装置4と同様の機構により上下動可能な上肢保持部16が設けられている。このような装置において、上下動ブロック11が上下動することにより、臀部支持部14の高さを所望位置に調整することができる。同様に、背当ユニット昇降装置17の上下動ブロック23を上下動することにより、上肢保持部16の高さを所望の位置に調整することができ、被写体Sを撮影に適した位置に配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影装置において被写体を所定位置に支持する被写体支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放射線を照射する放射線管と、放射線を検出する放射線検出器とから成る撮影系を被写体に対して対向して配置し、被写体又は撮影系を回転させながら被写体の放射線画像を撮影する放射線撮影装置が知られている。
【0003】
このような放射線撮影装置として、回転可能なターンテーブル上に椅子を設置し、この椅子に被写体を座位状態に保持して撮影する撮影装置が知られている。 また、アームホルダを用いて被写体の上肢を保持して撮影する撮影装置も知られている。
【0004】
更に、例えば特許文献1のように、個々の被写体の身長や座高等の体格に応じて、椅子及びアームホルダを適切な高さに調整可能な被写体支持装置を用いて撮影を行う放射線撮影装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−255098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の被写体支持装置では、椅子及びアームホルダを用いて被写体をターンテーブル上に配置する際に、被写体の体格に合わせた椅子及びアームホルダの高さ調整をそれぞれ個別に行う必要がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、被検者の体格に合わせて被写体支持具である椅子及びアームホルダの高さ調整を同時に調節可能な被写体支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る被写体支持装置の技術的特徴は、放射線撮影装置で使用する被写体支持装置において、被写体の臀部を支持する臀部支持部と、被写体の上肢を保持する上肢保持部と、前記臀部支持部及び上肢保持部のそれぞれと連結した上下動ブロックと、これらの上下動ブロックを同期して駆動することにより前記臀部支持部及び前記上肢保持部を上下動させる駆動手段とを備えたことにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る被写体支持装置によれば、被写体の体格に合わせた臀部支持部及び上肢保持部の高さ調整の操作を同時に行うことが可能となり、操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本実施例1における放射線撮影装置の構成図を示している。回転台1には、駆動部2を介してターンテーブル3が回転中心Oを中心として回転自在に配置されており、この回転台1にはターンテーブル3の角度位置及び回転速度を検出する図示しない検出機構が設けられている。ターンテーブル3上には、椅子昇降装置4及び背当ユニット5が設置されている。
【0012】
椅子昇降装置4は外装カバー6により覆われ、この外装カバー6内には、断面コ字型形状のフレーム7にガイド軸8及び上下動ねじ軸9が並列して設けられている。ガイド軸8の両端部はフレーム7の上部及び下部に保持され、上下動ねじ軸9はフレーム7の上下部を挿通して配置されている。上下動ねじ軸9には、ほぼ全長に渡って雄ねじが刻設され、フレーム7に対しては空転可能とされ、その上端部は上下動ねじ軸9を駆動するためのモータ及び駆動ドライバを含む駆動手段としてのモータ部10のモータ軸と連結されている。
【0013】
また、上下動ねじ軸9の雄ねじには、雌ねじが刻設されたねじ孔を有する上下動ブロック11が上下動可能に螺合されている。上下動ブロック11には、上下動ねじ軸9と螺合する孔とは別の通孔が穿けられ、ガイド軸8に挿通されている。上下動ブロック11の側面には、座面支持部12を介して被写体Sの臀部を支持する被写体支持具である座面部13から成る臀部支持部14が取り付けられている。
【0014】
背当ユニット5は被写体Sの体幹部を体軸方向に支持する体幹支持部15、被写体Sの上肢を支持する上肢保持部16、この上肢保持部16を昇降する上肢昇降装置17とから構成されている。体幹支持部15はX線を透過する炭素繊維強化プラスチック等の板材料から成り、被写体Sの背面側を体軸に沿って支持している。
【0015】
体幹支持部15の上端背面には、椅子昇降装置4と同様の構造により、上肢保持部16を上下動させる上肢昇降装置17が取り付けられている。上肢昇降装置17は外装カバー18により覆われ、この外装カバー18内には断面逆コ字型形状のフレーム19にガイド軸20、上下動ねじ軸21が並列して取り付けられている。ガイド軸8及び上下動ねじ軸9と同様に、ガイド軸20の両端部がフレーム19の上部及び下部に保持され、上下動ねじ軸21はフレーム19に対して空転可能に支持され、その上端部はモータ部22のモータ軸と連結されている。
【0016】
また、上下動ねじ軸21には、上下動ブロック23が取り付けられており、この上下動ブロック23は上下動ブロック11と同様に、上下動ねじ軸21が上下動ブロック23と螺合して上下動するようになっている。そして、上下動ブロック23の側面には、体幹支持部15を跨いで弯曲したパイプ24を介して、被写体Sの前腕を支持する被写体支持具である上肢支持板25を有する上肢保持部16が取り付けられている。上肢支持板25は回転中心Oを挟んで、上肢昇降装置17と対向する位置に配置され、被写体Sの両肘を載せることにより上肢全体を所望の姿勢に位置付けるようになっている。
【0017】
そして、体幹支持部15の後方にはX線を照射する放射線管26が、図示しない機構により上下動可能に配置され、被写体Sの前方には対向してX線を検出する二次元の放射線検出器27が放射線管26と同様に上下動可能に配置されている。この放射線検出器27は周知の蛍光体、光検出素子、電気回路、筐体等から成り、放射線画像データを検出し得るように構成されている。
【0018】
図2は放射線撮影装置のブロック回路構成図であり、放射線検出器27には、取得された放射線画像データを格納するためのデータ収集部28が接続されている。このデータ収集部28には、収納された画像データの演算処理を行う再構成部29を介して、演算処理された画像を表示する表示部30が接続されている。また、撮影装置全体を集中制御するシステム制御部31が設けられ、回転台1、駆動部2、モータ部10、22、放射線管26、放射線検出器27、データ収集部28、再構成部29と電気的に接続されている。更に、システム制御部31には、撮影条件の設定や撮影開始を指令するため入力部32が接続されている。
【0019】
このような放射線撮影装置において、モータ部10のモータ回転に連動して、上下動ブロック11が上下動することにより、臀部支持部14の座面部13の高さを所望位置に調整することができる。同様に、モータ部22のモータ回転に連動して、上下動ブロック23が上下動することにより、上肢保持部16の上肢支持板25の高さを所望の位置に調整することができ、被写体Sを撮影に適した位置に配置することができる。
【0020】
図3は撮影準備工程のフローチャート図である。この撮影準備工程では、被写体支持具、即ち臀部支持部14の座面部13及び上肢保持部16の上肢支持板25の高さを被写体Sの体格に合わせて調整する。
【0021】
先ず、ステップS1において、入力部32から被写体支持具である臀部支持部14及び上肢保持部16の昇降指令が所望の期間だけ継続入力される。ステップS2において、入力された昇降指令をシステム制御部31に送信する。ステップS3において、システム制御部31は入力された昇降指令に基づいて、モータ部10、22のそれぞれのモータの駆動情報即ち回転方向と回転速度を自動的に決定する。ステップS4において、ステップS3において決定したモータの駆動情報が、入力部32から継続入力されている昇降指令と同期してモータ部10、22にそれぞれ送信される。
【0022】
次に、ステップS5において、モータ部10、22に送信されたモータの駆動情報に基づいて、モータ部10、22に構成されるそれぞれのモータが所定方向及び速度で同時に回転する。そして、ステップS6において、被写体支持具である臀部支持部14の座面部13及び上肢保持部16の上肢支持板25がそれぞれ所定速度で同期して昇降する。
【0023】
ステップS7において、被写体支持具の高さが所望の位置になると、入力部32からの被写体支持具の昇降指令の継続入力が停止される。続いてステップS8において、システム制御部31に昇降停止指令が送信され、モータ部10、22に構成されるモータの停止が、システム制御部31により自動的に決定される。
【0024】
ステップS9においては、ステップS8において決定されたモータの停止情報がモータ部10、22にそれぞれ送信され、モータ部10、22のそれぞれのモータが停止する。そして、ステップS10において、臀部支持部14及び上肢保持部16の昇降を同時に停止する。
【0025】
図4は被写体Sが直立した立位状態、図5は被写体Sが直立した立位状態に近い第1の座位状態、図6は被写体Sの膝下部と大腿部とがほぼ直角となる第2の座位状態を示している。足裏から膝までの概略寸法をL1、膝から大腿部と臀部との境界までの概略寸法をL2、大腿部と臀部との境界から顔面のほぼ中央までの概略寸法をL3とすると、それらの概略比率はL1対L2対L3=1対1対2となる。被写体Sの体格が変わっても、同一の被写体Sにおけるこの概略比率はほぼ同じと考えられる。
【0026】
ここで、上肢保持部16の上肢支持板25を被写体Sの顔面のほぼ中央の高さに配置し、その位置で被写体Sの両肘を上肢支持板25に載せることにより、上肢を胸部付近から天井方向に退避配置することにする。
【0027】
例えば第1の座位状態において、臀部支持部14の座面部13及び上肢保持部16の上肢支持板25の高さを、低身長の被写体Sに適している状態から高身長の被写体Sに適する状態に調整する場合を想定する。高身長の被写体Sの臀部の高さに臀部支持部14の座面部13を距離ΔLだけ上昇させる必要があるとすると、概略(L1+L2)に相当する被写体寸法の増加分がΔLとなる。そして、先に説明した被写体Sの寸法の概略比率を考慮すると、(L1+L2)対L3=(1+1)対2=1対1となるので、L3に相当する被写体寸法の増加分もΔLになる。
【0028】
従って、臀部支持部14の座面部13をΔLだけ上昇させると同時に、上肢保持部16の上肢支持板25を2ΔLだけ上昇させれば、高身長の被写体Sの顔面のほぼ中央の高さに、上肢保持部16の上肢支持板25を配置することができる。これは、臀部支持部14の座面部13の上昇寸法ΔLと、低身長の被写体と高身長の被写体とのL3に相当する差分寸法ΔLとの合計寸法が2ΔLとなるからである。
【0029】
同様に、例えば第2の座位状態において、臀部支持部14の座面部13及び上肢保持部16の上肢支持板25の高さを、低身長の被写体Sに適している状態から高身長の被写体Sに適する状態に調整する場合を想定する。高身長の被写体Sの臀部の高さに臀部支持部14の座面部13を距離ΔLだけ上昇させる必要があれば、概略L1に相当する被写体寸法の増加分がΔLになる。そして、先に説明した被写体寸法の概略比率を考慮すると、L1対L3=1対2となるので、L3に相当する被写体寸法の増加分は2ΔLとなる。
【0030】
従って、臀部支持部14の座面部13をΔLだけ上昇させると同時に、上肢保持部16の上肢支持板25を3ΔLだけ上昇させれば、高身長の被写体Sの顔面のほぼ中央の高さに上肢保持部16の上肢支持板25を配置することができる。これは、臀部支持部14の座面部13の上昇寸法ΔLと、低身長の被写体と高身長の被写体とのL3に相当する差分寸法2ΔLとの合計寸法が3ΔLとなるからである。
【0031】
ここで、被写体Sが採り得る座位状態は、上述の第1の座位状態と第2の座位状態との範囲内を考えればよい。従って、臀部支持部14の座面部13と上肢保持部16の上肢支持板25を同期して昇降させる上下動移動距離の比率を1対2〜1対3の範囲内に設定すればよい。これにより、被写体Sの体格に拘らず、臀部支持部14の座面部13及び上肢保持部16の上肢支持板25の位置を座位状態の被写体Sに合わせて調整することができる。
【0032】
図7はCT撮影工程のフローチャート図である。図3のフローチャート図の撮影準備工程において、被写体Sの体格に合わせて被写体支持台の高さを調整した後に、図7のフローチャート図の工程により撮影を行う。先ず、ステップS11において、被写体Sを座面部13に腰掛けさせ、体幹部及び頭部を体幹支持部15に密着させ、被写体Sの両肘を上肢支持板25に載せることにより、ターンテーブル3上に被写体Sを配置する。
【0033】
また、被写体Sの両肘を上肢支持板25に載せることにより、被写体Sの上肢を胸部付近から天井方向に退避配置することが可能となり、被写体Sの胸部撮影が可能となる。ステップS12において、入力部32より撮影開始指令が入力されると、放射線照射条件やターンテーブル3の回転速度等の予め設定された撮影パラメータに基づいて、撮影装置を構成する各ユニットが次のように作動する。
【0034】
ステップS13において、駆動部2がターンテーブル3の回転を開始して加速する。続いて、ステップS14において、ターンテーブル3が所定の回転速度に達したか否かを判断し、所定の回転速度に達したと判断された場合にはステップS15に進み、達していないと判断された場合には所定の回転速度に達するまでステップS14を繰り返す。
【0035】
ステップS15において、放射線管26から被写体Sに向けて所定の照射条件で放射線が照射する。ステップS16において被写体Sの撮影が開始され、放射線照射領域内に配置された被写体S及び体幹支持部15の放射線画像データが、放射線検出器27によってターンテーブル3の所定の角度毎に所定の数だけ取得される。
【0036】
そして、ステップS17において撮影が終了したか否かを判断する。被写体Sの撮影が開始されてから360°回転すると、1スキャン分の撮影が終了し、放射線検出器27による放射線画像データの取得が停止する。なお、撮影が終了していないと判断された場合にはステップS16に戻る。
【0037】
次に、ステップS18において、放射線管26からの放射線の照射が停止されると同時に、駆動部2がターンテーブル3の回転を減速して停止する。
【0038】
一方、ステップS19において、ターンテーブル3の所定の角度毎に取得された複数の放射線画像データがデータ収集部28に順次に送信、格納される。ステップS20において再構成部29によって放射線画像データの再構成処理が行われ、所定の断層画像が生成した後に、ステップ21において表示部30に表示される。
【実施例2】
【0039】
図8は実施例2における放射線撮影装置の構成図を示し、実施例1と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0040】
実施例1と同様に、本実施例2における放射線撮影装置は、回転台1を挟んで放射線管26と放射線検出器27が互いに対向して配置され、ターンテーブル3上には、椅子昇降装置4及び背当ユニット41が設置されている。背当ユニット41は体幹支持部42、上肢保持部43とから構成されている。上肢保持部43は上肢支持板25とそれを上方から支持する略コ字型形状のパイプ44とから構成され、パイプ44の両端はそれぞれ体幹支持部42の上部及び上肢支持板25に連結されている。
【0041】
臀部支持部14を昇降させる椅子昇降装置4上には、椅子昇降装置4と同様の構造により背当ユニット41の体幹支持部42を昇降させる背当ユニット昇降装置45が設置されている。椅子昇降装置4のモータ部10上には、更に断面コ字型形状のフレーム46が載置されている。フレーム46内には、ガイド軸47、上下動ねじ軸48が並列して設けられ、上下動ねじ軸48の上端にはモータ及び駆動ドライバを含むモータ部49が取り付けられている。この上下動ねじ軸48には上下動ブロック50が上下動可能に取り付けられ、上下動ブロック50には体幹支持部42が連結されている。そして、椅子昇降装置4及び背当ユニット昇降装置45は外装カバー51により覆われている。
【0042】
従って、上肢保持部43を上下動するには、モータ部49のモータを回転させることにより上下動ブロック50を動かし、体幹支持部42を上下動させることにより、上肢支持板25の高さを所望位置に調整する。そして、実施例1と同様の撮影準備工程、被写体Sの配置及び撮影工程が行われる。
【実施例3】
【0043】
図9は実施例3における放射線撮影装置の構成図、図10は放射線撮影装置のブロック回路構成図を示している。なお、実施例1、2と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
ターンテーブル3上には、椅子昇降装置61及び背当ユニット41が配置されている。臀部支持部14を上下動させる椅子昇降装置61には、断面コ字型形状のフレーム62にガイド軸8、上下動ねじ軸63が並列して設けられ、この上下動ねじ軸63の下端にはモータ及び駆動ドライバを含むモータ部10が設けられている。また、上下動ねじ軸63には上下動ブロック11が螺合していると共に、上下動ねじ軸63の上端には伝達歯車64が設けられている。そして、この上下動ブロック11の側面には、実施例1、2と同様に被写体Sの臀部を支持する臀部支持部14が取り付けられている。
【0045】
また、伝達歯車64は伝達歯車65を介して、椅子昇降装置61上に配置された背当ユニット昇降装置66の上下動ねじ軸67に連結されている。断面コ字型形状のフレーム68の上部及び下部には上下動ねじ軸67の両端部が保持され、フレーム68に対して空転可能に支持される。上下動ねじ軸67には実施例2と同様に、上肢保持部43を上下動させるための上下動ブロック50が取り付けられている。そして、椅子昇降装置61及び背当ユニット昇降装置66は外装カバー69により覆われている。
【0046】
従って、モータ部10のモータを回転させることにより、上下動ねじ軸63を回転させることにより上下動ブロック11が上下動し、臀部支持部14の座面部13の高さを所望位置に調整することができる。上下動ねじ軸63を回転により、伝達歯車64、65を介して背当ユニット昇降装置66の上下動ねじ軸67が回転して、上肢保持部43を上下動させるための上下動ブロック50を上下動させることができる。この場合に、例えば上下動ねじ軸63、上下動ねじ軸67は逆ねじとされ、上下動ブロック11、50は同期して、共に上昇し、共に下降することなる。
【0047】
伝達歯車65と伝達歯車64との歯数比は、実施例1において説明した座面部13と上肢支持板25を同期して昇降させる上下動移動距離の比率と同様に、1対2〜1対3の範囲内に設定されている。このようにして、座面部13と上肢支持板25の高さを所望の位置に調整することができる。
【0048】
図11は本実施例3における撮影準備工程のフローチャート図である。先ず、実施例1のステップS1、S2の工程が行われる。次に、ステップS31において、入力された昇降指令に基づき、システム制御部31により自動的にモータ部10に構成されるモータの駆動情報、即ち回転方向と回転速度が決定される。ステップS32において、ステップS31で決定されたモータ部10の駆動情報が、入力部32より継続入力されている昇降指令と同期してモータ部10に送信される。
【0049】
次に、ステップS33において、モータ部10に送信されたモータの駆動情報に基づいて、モータ部10のモータが所定方向及び速度で回転し、ステップS34において臀部支持部14の座面部13が所定速度で昇降する。続いて、ステップS36において、伝達歯車65と伝達歯車64との歯数比及び座面部13の昇降速度により決定される昇降速度に応じて、上肢保持部43の上肢支持板25が座面部13の昇降と同期して昇降する。つまり、共通の駆動手段であるモータ部10の駆動力により、伝達歯車64、65を介して椅子昇降装置61と背当ユニット昇降装置66の上下動ブロック11、50がそれぞれ上下動する。
【0050】
そして、実施例1と同様にステップS7で昇降停止の指令があると、ステップS36においてモータ部10に構成されるモータの停止がシステム制御部31により自動的に決定される。ステップS37において、決定されたモータの停止情報がモータ部10に送信され、モータ部10のモータが停止する。実施例1のステップS10と同様に、臀部支持部14の座面部13及び上肢保持部43の上肢支持板25の昇降が同時に停止する。
【0051】
その後に、図7のフローチャート図に示すように、被写体Sの配置及び撮影工程が行われる。
【0052】
本実施例3では、実施例1、2で使用した2つのモータの数を、1つのモータに減少することにより安価な装置が得られる。
【0053】
以上の説明では、本発明の好ましい実施形態について述べたが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことは云うまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、実施例1の上肢保持部16及び上肢昇降装置17は、体幹支持部15ではなく放射線撮影装置が設置された撮影室の天井に独立して固定してもよい。
【0054】
また、被検者S又は撮影系を回転させずに胸部撮影を行う場合には、放射線検出器27に上肢支持板25を固定し、上肢昇降装置17による上下動機能を放射線検出器27の上下動で代用してもよい。
【0055】
また、実施例3のモータ部10のモータの代りにハンドルを用い、手動操作により被写体支持具を上下動することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1における放射線撮影装置の構成図である。
【図2】実施例1における放射線撮影装置のブロック回路構成図である。
【図3】実施例1における撮影準備工程のフローチャート図である。
【図4】立位状態の概略寸法図である。
【図5】第1の座位状態における概略寸法図である。
【図6】第2の座位状態における概略寸法図である。
【図7】撮影工程のフローチャート図である。
【図8】実施例2における放射線撮影装置の構成図である。
【図9】実施例3における放射線撮影装置の構成図である。
【図10】実施例3における放射線撮影装置のブロック回路構成図である。
【図11】実施例3における撮影準備工程のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0057】
1 回転台
3 ターンテーブル
4、61 椅子昇降装置
5、41 背当ユニット
6、18、51、69 外装カバー
7、19、46、62、68 フレーム
8、20、47 ガイド軸
9、21、48、63、67 上下動ねじ軸
10、22、49 モータ部
11、23、50 上下動ブロック
14 臀部支持部
15、42 体幹支持部
16、43 上肢保持部
17 上肢昇降装置
25 上肢支持板
26 放射線管
27 放射線検出器
31 システム制御部
45、66 背当ユニット昇降装置
64、65 伝達歯車
S 被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線撮影装置で使用する被写体支持装置において、被写体の臀部を支持する臀部支持部と、被写体の上肢を保持する上肢保持部と、前記臀部支持部及び上肢保持部のそれぞれと連結した上下動ブロックと、これらの上下動ブロックを同期して駆動することにより前記臀部支持部及び前記上肢保持部を上下動させる駆動手段とを備えたことを特徴とする被写体支持装置。
【請求項2】
前記臀部支持部及び上肢保持部の上下動移動距離の比率を1対2〜1対3の範囲にしたことを特徴とする請求項1に記載の被写体支持装置。
【請求項3】
前記上肢保持部は被写体の体幹部を体軸方向に支持する体幹支持部に固定し、該体幹支持部を上下動することにより前記上肢保持部を上下動することを特徴とする請求項1又は2に記載の被写体支持装置。
【請求項4】
前記臀部支持部及び上肢保持部をそれぞれ上下動させる駆動力は、共通の駆動手段から伝達手段を介して伝達することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の被写体支持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−89873(P2009−89873A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262934(P2007−262934)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】