説明

被包装物供給装置及び包装機

【課題】 使用する包装機や包装フィルムの種類等に関係なく、被包装物の供給位置を搬送面上で正しく表示することができ、人手による供給を確実に行うこと
【解決手段】 包装機本体11の上流側に配置され、被包装物13を搬送し、包装機本体に対してその被包装物を供給する被包装物搬送供給装置14と、被包装物搬送供給装置の上方に配置され、被包装物の搬送面であるエンドレスベルト18に向けて光(レーザ)を照射する光照射手段からなる被包装物供給位置指示装置40を備える。光照射手段は、搬送面上における被包装物の人手による供給位置を示すマークを描画すると共に、そのマークを被包装物の搬送速度と同期して前進移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機における被包装物供給装置及び包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機の一形態として、搬送するフィルム上に人手にて直接被包装物を載置し、その後、そのフィルムを筒状に製袋して当該被包装物を包み込んで包装するピロー包装機がある。この種のピロー包装機は、たとえば、特許文献1等に開示されており、以下のような構成を採っている。
【0003】
まず、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続してフィルム搬送装置に供給し、そのフィルム搬送装置にて帯状フィルムを搬送し、その搬送途中で人手にて帯状フィルムの所定位置に前後で等間隔になるように被包装物を置く。これにより、フィルム搬送装置上に等間隔(包装ピッチ)で被包装物が置かれた状態で帯状フィルムが搬送され、次段の製袋器に供給される。
【0004】
この製袋器を通過する際に、帯状フィルムは被包装物を包み込むようにして筒状に製袋されて筒状フィルムが形成される。そして被包装物は筒状フィルムとともに搬送される。そして、その搬送方向に沿って、センターシール装置並びにエンドシール装置が配置されている。センターシール装置は、筒状フィルムのフィルム重合端をシールするものである。エンドシール装置は、筒状フィルムを進行方向横方向(前後の被包装物が存在していない部分)にシールするとともに、カットすることで、先端の被包装物が収納された筒状フィルムの部分を後続の筒状フィルムから分離し、包装体を製造するようになる。
【0005】
ところで、フィルム搬送装置上を搬送される帯状フィルムの所望の位置に人手にて被包装物を供給する場合、帯状フィルムに供給位置を示す目印が印刷されている場合には、その印刷された目印を基準に被包装物を置くことができる。一方、係る目印が印刷されていない透明な帯状フィルムの所望の位置に被包装物を供給する場合には、特許文献1に示すような「包装紙上への被包装物の載置位置指示方法」に開示された技術を利用することができる。すなわち、この特許文献1に開示された技術は、帯状フィルムの搬送方向に沿って配列されたダイオード等の複数の発光素子を備えたテーブルの上に帯状フィルムを搬送させる。
【0006】
これにより、図1に示すように、発光素子から出射された光は、帯状フィルム1を透過し、帯状フィルム1の表面に指示線2となって表示される。この支持線2は、それぞれが帯状フィルム1を横切る方向(搬送方向と直交する方向)に延びるように配置されると共に、帯状フィルム1の移動に同期した指示線2の描画位置も移動させる。これにより、被包装物を供給する作業者は、前後の指示線2の間に被包装物3を置くことで、所定ピッチ毎に被包装物を人手により供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3738093号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ピロー包装機の一般的な形態としては、上記のようにフィルム(帯状フィルム)の上に被包装物を供給するのではなく、製袋器により筒状に製袋されるフィルム内に被包装物を順次供給するタイプがある。すなわち、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋された筒状フィルムを形成する。また、この製袋器の上流側には被包装物搬送供給装置を配置し、その被包装物搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される被包装物が、製袋器内に供給される。これにより、被包装物が製袋器内を通過すると、筒状フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その被包装物は筒状フィルムとともに搬送される。そして、その搬送方向に沿って、センターシール装置並びにエンドシール装置が配置されている。センターシール装置は、筒状フィルムのフィルム重合端をシールするものである。エンドシール装置は、筒状フィルムを進行方向横方向(前後の被包装物が存在していない部分)にシールするとともに、カットすることで、先端の被包装物が収納された筒状フィルムの部分を後続の筒状フィルムから分離し、包装体を製造するようになる。
【0009】
この被包装物供給装置として、ベルトコンベアを用い、そのベルトンベア上に人手にて被包装物を供給するものがある。この種のベルトコンベアを用いたタイプの包装機では、特許文献1の方法を用いることができず、被包装物の載置位置を指示する手段が無かった。そのための製袋器に供給する直前に、別途、供給タイミングを調整するための装置を設け、筒状フィルム内にて一定間隔ごとになるように製袋器に供給している。
【0010】
また、上記の特許文献1に記載された包装機であっても、非透明のフィルムでは適用できない。このように、特許文献1に開示された技術で対応可能な包装機が少なく、汎用性に欠けるという課題がある。
【0011】
さらに、特許文献1の装置では、被包装物を供給した下面に発光機能を有する被包装物載置位置指示手段(マトリクス状に配列させたダイオード群)があるため、重たい、或いは硬い被包装物を誤って当該指示手段上に落下させてしまった場合、その指示手段を破損したり故障の原因となる。
【0012】
さらにまた、特許文献1では、マトリクス状に配列されたダイオード群を用いることから、指示線2は進行方向と直交する方向に伸びる直線となり、被包装物3の前端位置を示す指示線と後端位置を示す指示線を交互に配置することから、1つおきの指示線(前端位置を示す指示線同士或いは後端位置を示す指示線同士)の間隔は、包装ピッチと等しく、前後に連続する前端位置と後端位置をそれぞれ示す指示線の間隔は被包装物3の長さと等しくなる。そのため、たとえば被包装物の長さが短い場合、図1(b)に示すように、被包装物を供給する前の指示線2のみが表示されている状態では、x位置とy位置のどちらが、被包装物を供給する場所かが瞬時に判断できないことがあり、供給位置の表示態様として不十分なことがある等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)包装機本体の上流側に配置され、被包装物を搬送し、前記包装機本体に対してその被包装物を供給する搬送手段と、その搬送手段の上方に配置され、前記搬送手段における前記被包装物の搬送面に向けて光を照射する光照射手段と、を備え、前記光照射手段は、前記搬送面上における前記被包装物の人手による供給位置を示すマークを描画すると共に、そのマークを前記搬送手段における被包装物の搬送速度と同期して前進移動させるものとした。搬送手段は、実施形態では、被包装物搬送供給装置14や、フィルム搬送装置41に対応する。フィルム搬送装置41のように直接被包装物を搬送するのではなく、帯状フィルムの上に置かれた被包装物を搬送するものも本発明で言う被包装物を搬送する搬送手段に該当する。
【0014】
本発明の光照射手段は、搬送手段の上方に配置され、その上方から搬送面に向けて光が照射されるので、搬送面の材質(透明/非透明)に関係なくマークを描画することができる。よって、包装に使用するフィルムの種類や、包装機(被包装物搬送供給装置)の種類に関係なく使用可能となる。つまり、搬送面(包装に使用するフィルム自体/被包装物を搬送する搬送手段の表面等)に被包装物の供給位置の目安となるマーク等が印刷されていないものであっても、所望の場所に人手により確実に被包装物を供給することができる。また、搬送面は、通常の搬送手段等であるので、仮に重かったり、硬かったりする被包装物が搬送面の上に落下等しても搬送手段を損傷等するおそれは少ない。
【0015】
(2)前記マークは、搬送方向の被包装物の前端或いは後端の少なくとも一方の載置位置の指示を含むものとすることができる。このようにすると、当該マークの位置に、被包装物の前端或いは後端を合わせればよいので位置合わせが簡単に行える。このマークは、実施形態では、例えば第1マークM1,第2マークM2,第3マークM3,第4マークM4,図9(a)に示すマーク等により実現される。なお、第4マークM4の場合、実施形態では、被包装物の前端と後端両方の載置位置を指示するものとなっているが、一方のみを指示するものとすることもできる。
【0016】
(3)前記マークは、搬送方向の被包装物の前後方向の供給範囲を特定するものとすることができる。供給範囲を特定するので、その範囲内に被包装物を置けばよいので簡単に所望位置に供給することができる。このマークは、実施形態では、例えば第4マークM4,第5マークM5,図9に示すマーク等により実現される。供給範囲の前後方向の長さは被包装物と一致していても良いし、それよりも長い(余裕がある)ものでもよい。
【0017】
(4)前記マークは、前記被包装物の幅方向の中心を指示する表示を含むものとするとよい。このようにすると、幅方向の位置合わせも容易に行えるので好ましい。そして、これにより搬送手段上等において、幅方向を規制する製品サイドガイド等が不要となる。幅方向の中心を指示する表示としては、実施形態では、縦線部b等により実現されている。 (5)前記マークは、横方向に伸びる横線部と、その横線部から搬送方向前方または後方に伸びる縦線部とを有するT字状のパターンからなり、前記縦線部は、前記被包装物の載置禁止側に突出するように設定されるとよい。このようにすると、視覚により直感的に被包装物の前端側/後端側のどちらの位置を示しているかがわかるので好ましい。このマークは、実施形態では、例えば第1マークM1,第2マークM2,図9(a)に示すマーク等により実現される。
【0018】
(6)前記マークは、搬送方向に伸びる直線であり、前記被包装物の載置禁止範囲を指示するものとすることができる。このようにすると、被包装物を置いてはいけない場所にマークが形成されているので、置いて良い場所が容易に理解することができるとともに、被包装物を搬送面に置いた状態でも、このマークは、描画し続けるので、被包装物の供給後も、載置禁止範囲を確認できる。
【0019】
(7)前記マークは、被包装物載置可能範囲を指示した四角い枠とすることができる。このようにすると、被包装物はその枠内に供給すればよいので、供給箇所が一目でわかり作業が簡単に行える。このマークは、実施形態では、例えば第5マークM5等により実現される。
【0020】
(8)前記マークは、被包装物の前端側と後端側にそれぞれ描画されると共に、その描画される態様が前端側と後端側で異なる設定とすることができる。異なる設定とは、例えば、形状を変えたり、マークを構成する線分の幅を変えたり、マークの大きさを変えたり、表示する際の色を変えたり、一方或いは両方を点滅させたり(両方とも点滅させる場合には、そのパターンを変える)、するなど、各種の態様を採ることができる。このようにすると、描画されているマークが被包装物の前端側と後端側のどちらのものかが一目でわかり、供給位置が不明になることを抑制できる。
【0021】
(9)本発明の包装機は、上記の(1)から(8)のいずれかに記載の被包装物供給装置と、その被包装物供給装置により供給される前記被包装物を包装処理する包装機本体とを備え、前記被包装物搬送供給装置は、帯状フィルムを搬送するもので、その帯状フィルムの表面が前記被包装物の搬送面となり、その帯状フィルムと共に被包装物を前記包装機本体に供給するものとすることができる。
【0022】
(10)本発明の包装機は、上記の(1)から(8)のいずれかに記載の被包装物供給装置と、その被包装物供給装置により供給される前記被包装物を包装処理する包装機本体とを備え、前記被包装物搬送供給装置は、ベルトコンベア装置からなり、そのベルトコンベア装置のベルト面が前記被包装物の搬送面とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、使用する包装機や包装フィルムの種類等に関係なく、被包装物の供給位置を搬送面上で正しく表示することができ、人手による供給を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来技術による課題を説明する図である。
【図2】本発明の好適な一実施形態を示す全体図である。
【図3】本発明の好適な一実施形態を示す全体図である。
【図4】マークを説明する図である。
【図5】マークを説明する図である。
【図6】マークを説明する図である。
【図7】マークを説明する図である。
【図8】マークを説明する図である。
【図9】マークを説明する図である。
【図10】本発明の好適な他の実施形態を示す全体図である。
【図11】本発明の好適な他の実施形態を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2,図3に示すように、本実施形態に用いられる横ピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して被包装物13を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置14とを備えている。
【0026】
フィルム供給装置12は、帯状フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラを配置し、原反ロール16から送り出された帯状フィルム15は、そのローラに掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。もちろん、本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。そして、本実施形態では、フィルム供給装置12は、包装機本体11の下方に配置した逆ピロー包装機の態様を採っているが、本発明は、フィルム供給装置を包装機本体の上方に配置する通常のタイプでももちろん良い。
【0027】
被包装物搬送供給装置14は、前後に配置されたプーリ17と、そのプーリ17に掛け渡されたエンドレスベルト18を備えたベルトコンベア装置から構成される。エンドレスベルト18上に置かれた被包装物13は、エンドレスベルト18の回転に伴い前進移動する。
【0028】
包装機本体11は、供給される帯状フィルム15を筒状フィルム21に製袋する製袋器20と、その製袋器20の下流側に配置された筒状フィルム21を搬送するベルトコンベア23と、ベルトコンベア23の上方所定位置に設置されたセンターシール装置24と、ベルトコンベア23の上方であってセンターシール装置24の下流側に配置された上側抑えベルト25と、ベルトコンベア23の下流側に配置されたエンドシール装置30と、エンドシール装置30の下流側に配置された搬出コンベア26と、を備えている。
【0029】
製袋器20は、フィルム供給装置12から連続して供給される帯状フィルム15を通過させることで、帯状フィルム15の両側端縁部15a同士を接触(重合)させるとともに、筒状となった筒状フィルム21に製袋するものである。また、被包装物搬送供給装置14から包装機本体11に対して順次供給される被包装物13は、製袋器20内に挿入される。これにより、製袋器20に供給された被包装物13は、筒状フィルム21内に所定間隔ごとに配置されることになる。また、本実施形態では、フィルム供給装置12を包装機本体11の下方に配置したことから、帯状フィルム15の両側端縁部15a同士は、筒状フィルム21の上側に位置する。
【0030】
センターシール装置24は、重合された帯状フィルム15の両側端縁部15aをシールする。すなわち、本実施形態では、製袋器20を通過することで帯状フィルム15の両側端縁部15aは、筒状フィルム21の下側に突出するように形成される。そこで、センターシール装置24は、筒状フィルム21の搬送面より下側の所定位置に設置される。このセンターシール装置24は、一対の円盤状のセンターシーラ24aを備え、この一対のセンターシーラ24aにて帯状フィルム15の両側端縁部15aを両側から所定の圧力で挟み込みながら加熱することで熱シールする。これにより、当該両側縁部15aは、熱シールされて一体化されセンターシール部となる。また、このセンターシール装置24の上流側であって、製袋器20との間には、ピンチローラ33が設けられ、このピンチローラ33にて、帯状フィルム15の両側端縁部15aを挟み込むとともに搬送力を与え、その両側端縁部15aを次段のセンターシール装置24へ安定して導くようになっている。
【0031】
上側抑えベルト25は、エンドシール装置30の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム21内の被包装物13が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。
【0032】
エンドシール装置30は、筒状フィルム21に対し、進行方向と直交する方向、つまり、横断する方向にシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物13の間の所定位置である。これにより、エンドシール装置30を通過することで、筒状フィルム21の先頭部分は、後続から分離され、包装体27が製造される。
【0033】
ここで本実施形態では、被包装物搬送供給装置14の上方所定位置に、被包装物供給位置指示装置40を設けている。なお、図示の便宜上、平面図である図3(後述する図11も同じ)では、被包装物搬送供給装置14の横に描画しているが、実際には、ベルトコンベア18の上方に配置されている。この被包装物供給位置指示装置40は、レーザ照射装置を用いて構成する。そして、図4に示すように、そのレーザ照射装置から出射されるレーザ光が、被包装物搬送供給装置14の被包装物の搬送面となるエンドレスベルト18上の所定位置に、供給位置を示す所定の形状(ここでは、T字状)からなる第1マークM1を描画し、その第1マークM1をエンドレスベルト18の移動に同期させ、エンドレスベルトの移動速度と同じ速度で前進移動するようにしている。これにより、ある第1マークM1は、エンドレスベルト18上の同一位置に描画された状態で移動する。
【0034】
本実施形態では、被包装物供給位置指示装置40は、レーザ照射装置を用いて構成し、レーザ光をエンドレスベルト18上に照射するようにしたので、エンドレスベルト18のような不透明な材質のものであっても、所定パターンのマークをそのエンドレスベルト18の表面に描画・表示することができる。よって、被包装物13を供給する作業者は、そのエンドレスベルト18に表示されているマークを基準に正しい位置に供給することができる。
【0035】
そして本実施形態の第1マークM1は、T字状であり、進行方向と直交方向に延びる横線部aと、その横線部aの中央から進行方向前方に延びる縦線部bとを備える。そして、この第1マークM1は、被包装物の進行方向の前端位置を示すものである。つまり、本実施形態におけるすべての第1マークM1は、エンドレスベルト18上の被包装物13の前端位置に描画するようにしたので、図4(b)に示すように、被包装物13の前端位置が第1マークM1の横線部aに沿うように、当該被包装物13をエンドレスベルト18上に置くことで、位置合わせをしつつ被包装物13を人手により供給することができる。
【0036】
さらに、図4(a)から明らかなように、第1マークM1を進行方向の被包装物13の前端位置を示すもので、縦線部bは被包装物13の外側に位置するので、被包装物の前端位置を示すマークであることが明示的・直感的に理解できる。
【0037】
また、縦線部bの位置は、被包装物13の幅方向の中心位置を示すように描画することで、被包装物13の前後方向と幅方向のいずれに対する位置合わせも簡単に行うことができる。しかも、縦線部bは、横線部aを基準として進行方向前方に延びるようなパターンとしたので、被包装物13をベルトコンベア18上に置く際にその被包装物13或いは作業者の手によってレーザが遮られて第1マークM1の一部又は全部が見えなくなることが防止でき、特に縦線部bが描画され続けるようにすることで、被包装物13の幅方向の中心位置が判らなくなることが防止できる。
【0038】
本実施形態では、第1マークM1を被包装物13の前端位置に対応する箇所に描画するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、後端位置に対応する箇所に描画するようにしても良い。その場合に、図5に示すように第2マークM2は、横線部aの中央から心好方向後方側に延びるように縦線部bを形成するパターンレイアウトをとる。これにより、図5(a)に示すように、被包装物が存在しない状態では、縦線部bが進行方向後方に延びており、直感的に横線部aの位置が被包装物の後端位置であることが理解できる。そして、図5(b)に示すように、被包装物13を供給した状態でも、レーザ光が被包装物13等により遮られることもなく、横線部a並びに縦線部bがベルトコンベア18上に描画された状態を維持でき、第2マークM2は、確実に前後方向並びに幅方向の位置を示すことができる。
【0039】
さらにまた、供給位置を示す所定の形状は、上記の実施形態並びに変形例に示すようにT字状にするものに限らず、任意の形状を採ることができる。一例としては、図示省略するが、図4,図5に示すT字状のパターンにおいて、横線部aのみの直線パターンとしたり、縦線部bの直線パターンとしたりすることができる。
【0040】
前者の横線部aのみのパターンからなるマークの場合、被包装物13を供給する作業者は、被包装物13の前端或いは後端をマークに併せるように当該被包装物13をエンドレスベルト18上に置くことで、位置合わせをしつつ被包装物13を人手により供給することができる。また、被包装物13の幅方向の位置合わせは、例えば、横線部の中点が被包装物13の幅方向の中心位置に合わせるようにしておくことで、T字状のマークの縦線部よりは明確にはならないが、ある程度の位置合わせをすることができる。
【0041】
また、後者の縦線部のみのパターンからなるマークの場合、被包装物13を供給する作業者は、被包装物13の前端或いは後端を直線部の後端或いは前端に併せるように当該被包装物13をエンドレスベルト18上に置くことで、位置合わせをしつつ被包装物13を人手により供給することができる。この場合には、縦線部の位置を被包装物の幅方向中心位置になるように描画するような設定とすることで、幅方向の位置合わせも簡単かつ確実に行うことができる。
【0042】
いずれの場合も、T字状のようにマークの形状を見ただけでは直感的に被包装物の前端或いは後端のいずれを示しているかは理解しにくいが、いずれを示すものかを供給・作業者に対して予め知らせておくことで対応できる。
【0043】
マークのパターン形状としてさらに別の例を示すと、図6に示すように、横線部aと縦線部bとが、クロスした十字状の第3マークM3を用いることもできる。この第3マークM3は、被包装物13の前端位置を示すものである。これにより、被包装物を供給する作業者は、図6(a)に示すように被包装物が置かれていないベルトコンベア18上に被包装物を供給する場合でも、各第3マークM3は被包装物の前端位置を示していることがわかっているので、被包装物13の前端位置が第3マークM1の横線部aに沿うと共に、その幅方向中心位置が第3マークM3の縦線部bに一致するように、当該被包装物13をエンドレスベルト18上に置くことで、位置合わせをしつつ被包装物13を人手により供給することができる(図6(b)参照)。
【0044】
また、図6(b)から明らかなように、縦線部bの内横線部aから進行方向後方に延びる部分は被包装物13により遮られるが(実際には、被包装物の表面に照射される)、進行方向前方部分の縦線部bはエンドレスベルト18上に描画された状態となるので、被包装物13を置く際並びに置いた後でも幅方向中心位置に位置決めされているかを確認することができる。
【0045】
もちろん、このように十字状のマークとした場合、図示したように被包装物13の前端位置を示すものに限らず、後端位置を示すようにしても良い。また、T字状のようにマークの形状を見ただけでは直感的に前端/後端のいずれを示しているかは理解しにくいが、いずれを示すものかを供給・作業者に対して予め知らせておくことで対応できる。
【0046】
さらに別の形態としては、図7に示すように、第4マークM4は、進行方向に延びる縦線部bのみから形成するようにしても良い。この場合に、縦線部bの前後両端は、それぞれ前後に位置する被包装物の後端位置並びに前端位置を示すように設定される。これにより、前後の縦線部bの間に形成される線のない空白の空間部Kが、被包装物の供給位置となる。この例では、空間部Kの長さ(前後の縦線部bの間の距離)は、被包装物の長さに等しい設定となっている。
【0047】
よって、被包装物を供給する作業者は、図7(a)に示すように被包装物が置かれていないベルトコンベア18上に被包装物を供給する場合でも、前後の縦線部bの端部が被包装物の前端/後端位置であり空間部Kに収まるように被包装物13をエンドレスベルト18上に置くことで、位置合わせをしつつ被包装物13を人手により供給することができる(図7(b)参照)。さらに、縦線部bの位置を被包装物の幅方向中心位置になるように描画するような設定とすることで、被包装物13を供給する際の幅方向の位置合わせも簡単かつ確実に行うことができる。
【0048】
また、被包装物13の供給位置は、前後方向にある程度のずれが許容されることがある。係る場合には、そのずれ(遊び)を考慮し、空間部Kは、被包装物13の長さより広い設定となり、作業者は、その空間部K内に被包装物13を供給するような設定としても良い。換言すると、被包装物13は、縦線部bの先端に接するまではよいが、縦線部bの一部と重なるような状態で供給することはできない設定となる。
【0049】
図8は、マークのさらに別の形態を示している。この第5マークM5は、矩形状の枠から形成している。この矩形の枠で囲まれた領域内が、被包装物13の供給領域を示している。この例では、上述した変形例のように、被包装物13の供給範囲として前後・左右方向にある程度の遊びがあるので、図8(b)に示すように、矩形状の枠で囲まれる寸法形状は、被包装物13の平面形状よりも若干広くなっており、作業者は、その枠内に被包装物を供給することで位置決めしつつ供給作業を行うことができる。もちろん、幅方向或いは前後方向において係る遊びが無く、矩形状の枠の縦及び又は横の長さが、被包装物の寸法と一致するような設定を採ることもある。
【0050】
もちろん、上述したマークのパターン形状は一例であり、本発明は、他の形状を採ることも妨げない。また、上述した各実施形態では、T字状、十字状等のパターンの場合、被包装物の前端位置或いは後端位置のいずれかを示すようにしたが、本発明は、両方を示すような態様を採ることもできる。前後両端位置を示す場合、例えば図9に示すように、T字状のマークを用いるとともに、横線部aが被包装物13の前後方向の位置を規制すると共に、縦線部bが被包装物13の外側に来るようなパターンとすることで、1つの被包装物の前後を規定する対となるT字状のマークを容易に理解することができる。よって、被包装物の長さが短く、前後のマークの間隔がほぼ等しくなるような状態でも確実に供給位置を理解し、供給することができる。
【0051】
また、図9(a)に示すように、対となる前後のマークの横線部a間の長さが、被包装物13の長さと一致する態様と、図9(b)に示すように前後の横線部a間の長さが被包装物13の長さよりも長い場合のいずれの態様も採ることができる。図9(b)の場合、前後の横線部a間の空間内に収まるように被包装物13を供給することになる。
【0052】
さらにまた、図示省略するが、例えば十字状や1本の直線上その他のパターン形状からなるマークを被包装物の供給位置の前後に配置することもでき、その場合に、特に被包装物の長さが短く、図1を用いて説明したように、対となるマークがわかりにくく被包装物の供給位置がすぐに理解できないようなことが起こりえるが、その場合でも、例えば、マークの表示・描画態様を前後で異ならせることで容易に理解することができるようになる。すなわち、例えば、前側に配置するマークと後側に配置するマークの大きさや、線の太さや色等を替えることで、視覚から容易に理解することができる。
【0053】
このように、本発明のマークは、被包装物13の供給位置を示すものであるが、必ずしも前端位置及び又は後端位置を示すものに限らず、前端位置/後端位置の許容範囲を示すものであれば足りる。
【0054】
また、レーザの視認性を向上させるためには、表示形状は、小さいほうが好ましい。従って、図示した例で言うと、第1マークM1,第2マークM2のT字がもっとも好ましく、以下順に、第3マークM3の十字→第4マークM4の直線→第5マークM5の枠となる。もちろん、T字状の変形例として示した横線部或いは縦線部のみからなる短い直線パターンがもっともレーザの視認性は向上する。一方、レーザの視認性は、低下してしまうが、載置可能範囲を容易に判断できるように表示を四角枠(第5マークM5)としても良い。
【0055】
また、本発明を適用する包装機としては、図2,図3に示したようなものに限ることはなく、各種の包装機に適用することができる。一例としては、例えば図10,図11に示すように、搬送される帯状フィルム15上に直接被包装物13を供給するタイプの包装機に適用することができる。
【0056】
この包装機は、包装機本体11の上流側にフィルム搬送装置41を配置し、原反ロール16から繰り出された帯状フィルム15を、フィルム搬送装置41にて水平方向に搬送し、その搬送途中の所定位置において帯状フィルム15上に被包装物13を供給する。このフィルム搬送装置41は吸着ベルトコンベアからなり、吸引手段により帯状フィルム15をエンドレスベルトの表面に吸着保持した状態で搬送するもので、従来公知のものを用いることができる。
【0057】
供給された被包装物13は、帯状フィルム15と共にフィルム搬送装置41にて搬送され、順次次段の包装機本体11(製袋器)20へ供給される。包装機本体11の構成並びに作用効果は、上述した実施形態と同様であるので、対応する部材に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、フィルム搬送装置41の上方所定位置に、被包装物供給位置指示装置40を設けている。この被包装物供給位置指示装置40は、レーザ照射装置を用いて構成し、所定パターンのマークを帯状フィルム15の所定位置に照射して描画するとともに、その描画位置を帯状フィルム15の搬送に伴い、同一速度で移動させる。このように上方から帯状フィルム15に向けて投影することでマークを描画するので、帯状フィルム15の種類が透明/非透明に関係なくマークを描画し、被包装物の供給位置を知らせることができる。
さらにまた、上述した2つの包装機は、いずれもピロー包装機であるが、ピロー包装機以外の包装機にも適用することはもちろんできる。
【0059】
また、図では、被包装物供給位置指示装置40は、1つのレーザ照射装置を描画しているが、これは、例示として1つ示したものであり、複数個設置するのを妨げない。
【符号の説明】
【0060】
10 横ピロー包装機
11 包装機本体
12 フィルム供給装置
13 被包装物
14 被包装物搬送供給装置
15 帯状フィルム
15a 両側端縁部
21 筒状フィルム
24 センターシール装置
30 エンドシール装置
40 被包装物供給位置指示装置
M1 第1マーク
M2 第2マーク
M3 第3マーク
M4 第4マーク
M5 第5マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装機本体の上流側に配置され、被包装物を搬送し、前記包装機本体に対してその被包装物を供給する搬送手段と、
その搬送手段の上方に配置され、前記搬送手段における前記被包装物の搬送面に向けて光を照射する光照射手段と、
を備え、
前記光照射手段は、前記搬送面上における前記被包装物の人手による供給位置を示すマークを描画すると共に、そのマークを前記搬送手段における被包装物の搬送速度と同期して前進移動させるものであることを特徴とする被包装物搬送供給装置。
【請求項2】
前記マークは、搬送方向の被包装物の前端或いは後端の少なくとも一方の載置位置の指示を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の被包装物搬送供給装置。
【請求項3】
前記マークは、搬送方向の被包装物の前後方向の供給範囲を特定するものであることを特徴とする請求項1に記載の被包装物搬送供給装置。
【請求項4】
前記マークは、前記被包装物の幅方向の中心を指示する表示を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンターシール装置。
【請求項5】
前記マークは、横方向に伸びる横線部と、その横線部から搬送方向前方または後方に伸びる縦線部とを有するT字状のパターンからなり、前記縦線部は、前記被包装物の載置禁止側に突出するように設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンターシール装置。
【請求項6】
前記マークは、搬送方向に伸びる直線であり、前記被包装物の載置禁止範囲を指示するものであることを特徴とする請求項1に記載の被包装物搬送供給装置。
【請求項7】
前記マークは、被包装物載置可能範囲を指示した四角い枠であることを特徴とする請求項1に記載の被包装物搬送供給装置。
【請求項8】
前記マークは、被包装物の前端側と後端側にそれぞれ描画されると共に、その描画される態様が前端側と後端側で異なる設定であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の被包装物搬送供給装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の被包装物供給装置と、
その被包装物供給装置により供給される前記被包装物を包装処理する包装機本体とを備え、
前記被包装物搬送供給装置は、帯状フィルムを搬送するもので、その帯状フィルムの表面が前記被包装物の搬送面となり、その帯状フィルムと共に被包装物を前記包装機本体に供給するものであることを特徴とする包装機。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の被包装物供給装置と、
その被包装物供給装置により供給される前記被包装物を包装処理する包装機本体とを備え、
前記被包装物搬送供給装置は、ベルトコンベア装置からなり、そのベルトコンベア装置のベルト面が前記被包装物の搬送面であることを特徴とする包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−254318(P2010−254318A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103979(P2009−103979)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】