説明

被搬送物の保管装置

【課題】一時的に棚部を退避させる場合であっても再設置後の被搬送物の載置位置のティーチング作業を必要としない。
【解決手段】被搬送物が所定の載置位置に載置される棚部30と、軌道や天井に上端が支持された支柱10とを有している。棚部は支柱10の下端に支持されている。支柱10は、上支柱11と下支柱12とからなり、上支柱11が前記軌道又は天井に支持された状態で下支柱12を上支柱11から分離できるように、上支柱11と下支柱12とが接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に敷設された軌道上を走行する搬送台車からの被搬送物を保管する保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場などにおいて、半導体基板が収容されたフープ(FOUP;Front Opening Unified Pod)などの被搬送物を天井に敷設された軌道上を走行するOHT(Overhead Hoist Transport)などの搬送台車に搬送させる搬送システムが設けられていることがある。
【0003】
また、かかる搬送システムに付随して、搬送台車が被搬送物を一時的に載置するための装置として、特許文献1に記載のストレージラックのような保管装置が用いられることがある。特許文献1は、軌道の直下に吊り下げられた水平なラックを有しており、被搬送物はこのラックに載置される。
【0004】
ここで、水平方向に関する載置位置が位置合わせされつつ被搬送物が保管装置に載置される場合がある。例えば被搬送物が上記のフープである場合には、水平方向に関する載置位置を規定するための位置合わせピンが載置棚上に固定される。かかる位置合わせピンは、フープの下面に形成された位置合わせ穴に対応しており、OHB(Over Head Buffer)にフープが保管される際には、かかる位置合わせ穴にピンが嵌合するようにフープが棚上に載置される。
【0005】
このように被搬送物の水平方向に関する載置位置が規定される場合には、あらかじめ搬送システムに載置棚上の水平位置を記憶させるティーチング作業を実施しなければならない。つまり、軌道の下方に載置棚が設置されると、オペレータは搬送システムをティーチング作業用のモードで操作して、載置棚の上方に被搬送物を搬送させる。そして、所定の水平位置に被搬送物が位置するように調整しつつ載置棚上に被搬送物を載置する。これによって、例えばフープの下面の位置合わせ穴と載置棚上の位置合わせピンとが嵌合した状態で、フープが載置棚上に載置される。そしてオペレータは、水平位置又は水平位置の調整量を搬送システムに記憶させる。特許文献2は、このようなティーチング作業に関するものである。
【0006】
【特許文献1】特開平10−109887号公報
【特許文献2】特開2006−69687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、搬送台車のメンテナンスや搬送システムが設置されたフロアへの設備の搬入などの際に、載置棚を軌道の下方から移動させるために保管装置を取り外す必要が生じる場合がある。そして、一旦取り外した保管装置を再び設置した際に、再設置後の設置位置が取り外す前の設置位置から微妙にずれることがある。このような場合には再設置後に再びティーチング作業が必要となり、保管装置の取り外しにかかる作業の負担が非常に大きくなる。また、保管装置全体を取り外す必要があると、取り外し及び再設置の作業自体の負担も大きい。
【0008】
本発明の目的は、一時的に棚部を退避させる場合であっても再設置後のティーチング作業を必要とせず、再設置までの作業を簡易に行うことができる被搬送物の保管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の被搬送物の保管装置は、被搬送物を把持しつつ天井に敷設された軌道上を走行する搬送台車からの前記被搬送物を保管する保管装置であって、水平方向に関する所定の位置に前記搬送台車からの前記被搬送物が載置される棚部と、上端が前記軌道又は天井に支持され、下端に前記棚部が支持された支持部材とを備えており、前記支持部材が、前記軌道又は天井に上端が支持された状態で、前記搬送台車が前記棚部上の前記所定の位置に前記被搬送物を載置することができる形状と、前記棚部が前記軌道の下方以外の位置へと退避する形状とを選択的に取るものである。
【0010】
本発明の被搬送物の保管装置によると、搬送台車のメンテナンスなどの際に支持部材を変形させることによって棚部を軌道の下方以外の位置へと退避させることができる。そして、メンテナンスなどの作業の終了後には支持部材を変形前の形状に戻すことにより、搬送台車が被搬送物を棚部上の所定の水平位置に載置できるような位置に棚部を戻すことができる。したがって、棚部を戻した後に再びティーチングを行う必要がなく、ティーチングを必要とする場合と比べて作業の負担が小さくなる。また、保管装置や支持部材全体を取り外す必要がないので、これらの全体を取り外す必要がある場合と比べて作業の負担が小さくなる。
【0011】
また、本発明においては、1又は複数の前記支持部材を備えており、全ての前記支持部材が、前記軌道又は天井に上端が支持された上部分と、前記上部分から分離可能に前記上部分に上端が接続され、下端に前記棚部が支持された下部分とを有していることが好ましい。この構成によると、支持部材が分離可能に接続された2部分からなることにより、メンテナンスなどの作業の際には棚部と共に下部分を分離し、作業後には再び下部分を上部分に接続することができる。これによって、搬送台車が被搬送物を所定の水平位置に載置可能な位置と、搬送台車が走行する領域の下方から退避した位置とを、棚部が選択的に取るように変形する支持部材が、簡易に実現する。。
【0012】
また、本発明においては、前記上部分に上方に面した第1の規制面が、前記下部分に下方に面した第2の規制面がそれぞれ形成されており、前記第2の規制面が前記第1の規制面に上方から当接することにより、前記上部分と前記下部分とが接続されており、前記上部分と前記下部分との接続箇所を覆う、水平方向に関して前記上部分に対する前記下部分の移動を規制する第3の規制面が内表面に形成されたカバー部材をさらに備えていることが好ましい。この構成によると、まず下部分の第1の規制面が上部分の第2の規制面に当接することにより、下部分を上部分に吊り下げることが可能な構成が実現する。そして、上部分及び下部分の接続箇所を覆うカバー部材が、第3の規制面によって上部分と下部分とが互いにずれるのを規制している。したがって、棚部の位置を元に戻した際に、棚部の水平位置が確実に元の位置に戻る。
【0013】
また、本発明においては、前記支持部材が、前記軌道又は天井に上端が支持された第1の上部分と、前記第1の上部分から分離可能に前記第1の上部分に上端が接続され、下端に前記棚部が支持された第1の下部分と、前記軌道又は天井において前記搬送台車の走行方向から見てその走行領域を前記第1の上部分と共に挟む位置に上端が支持された第2の上部分と、前記走行方向に垂直な面内で前記走行領域の下方から離隔する方向に回転可能に上端が前記第2の上部分に支持され、下端に前記棚部が支持された第2の下部分とを有していることが好ましい。この構成によると、走行方向から見て軌道の左右両側に支持部材が設置されており、一方の支持部材は分離可能に、他方の支持部材は上部分と下部分とが回転可能に構成されている。したがって、一方を分離させて他方の下部分を回転させることにより、軌道の下方以外の位置へと棚部を容易に退避させることができる。また、棚部を退避させた状態から他方の下部分を上記の場合とは逆方向に回転させることにより、搬送台車が被搬送物を棚部上の所定の水平位置に載置できるような位置に棚部を容易に戻すことができる。また、支持部材の一方のみを分離させればよいので、退避及び復帰の作業が簡易であり、復帰後の棚部の位置もより正確に元に戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の好適な実施形態の一例である第1の実施形態に係る保管装置1について説明する。図1は、搬送システム100に付随して用いられている保管装置1の正面図である。搬送システム100は、固定部材121を介して天井210に吊り下げられた軌道レール120と、軌道レール120上を方向D1に沿って走行する搬送台車110とを有している。軌道レール120には搬送台車110が被搬送物を載置する位置を示すバーコード122が貼り付けられている。
【0015】
搬送台車110は、図示されていないバーコードリーダを有しており、バーコード122が示す情報を読み取ることができる。また、搬送台車110はグリッパ111を有しており、グリッパ111は昇降ベルト112を介して搬送台車110の上部から吊り下げられている。搬送台車110は昇降ベルト112を巻き上げたり繰り出したりすることにより、グリッパ111を鉛直方向に沿って昇降する。また、搬送台車110は、軌道レール120上で停止したままグリッパ111を水平方向に関して並進移動させることができ、また、軸Aに関して回転移動させることができる。
【0016】
グリッパ111はフープ220を把持することができると共に、把持したフープ220を開放することができる。フープ220は製造途中の半導体基板などを収容する容器である。フープ220の下面には複数の位置合わせ穴221が形成されており、かかる位置合わせ穴221が、フープ220の水平方向に関する載置位置を規定している。
【0017】
保管装置1は、載置棚30と、載置棚30の上面が水平に沿うように載置棚30を支持する4本の支柱10とを有している。4本の支柱10のうちの2本は、軌道レール120を挟んで残りの2本と対向するように配置されており、図1には一方の2本のみが示されている。載置棚30は支柱10の下端に固定されている。支柱10は後述の接続カバー20を有している。また、載置棚30には複数のフープ220が載置される。
【0018】
載置棚30の上面には複数の位置合わせピン31が、載置棚30上のフープ220の各載置位置に固定されている。載置位置のそれぞれには、1個のフープ220に形成された1組の位置合わせ穴221に対応する1組の位置合わせピン31が配置されている。この1組の位置合わせピン31は、1個のフープ220に形成された1組の位置合わせ穴221の水平方向に関する互いの位置関係と同様の位置関係を互いに有している。つまり、1個のフープ220を載置位置に載置すると、そのフープ220に形成された位置合わせ穴221がちょうど載置位置上の位置合わせピン31に嵌合するような位置関係を有している。
【0019】
以下は、保管装置1が軌道レール120に設置される際の工程の一例である。まず、支柱10の下端に載置棚30を固定する。次に、支柱10の上端を固定部材19を介して軌道レール120に固定する。次に、軌道レール120の下面において載置棚30の上方の位置にバーコード122を貼り付け、載置棚30の上面において各バーコード122の鉛直下方の近傍に位置合わせピン31を固定する。つまり、バーコード122の下方近傍が載置位置に設定される。
【0020】
上記のように保管装置1が設置された場合には、バーコード122が示す載置位置と位置合わせピン31との水平方向に関する正確な位置関係を、搬送システム100に教示する作業(以下、「ティーチング作業」と呼称する)が必要となる。以下は、ティーチング作業についての説明である。
【0021】
まず、フープ220を把持させたまま搬送台車110に軌道レール120上を走行させ、載置棚30上の所定の載置位置を示すバーコード122まで到達させる。なお、バーコード122まで搬送台車110を移動させる動作は、搬送システム100が自動で制御する。
【0022】
次に、オペレータが搬送システム100を操作して、搬送台車110にグリッパ111を下降させる。そして、フープ220の下面が載置棚30上の位置合わせピン31に近接すると、オペレータは、フープ220及び位置合わせピン31の水平位置を目視で確認しつつ搬送台車110にグリッパ111を水平方向に関して並進移動させたり回転移動させたりする。これによって、位置合わせ穴221及び位置合わせピン31の互いの水平方向に関する位置関係を目視で調整しつつ、これらが互いに嵌合するように載置棚30上にフープ220を載置する。そして、搬送台車110がフープ220を載置棚30上に載置するまでにグリッパ111を並進移動させた量及び回転移動させた量を記憶するよう、搬送システム100を操作する。以上のティーチング作業は、載置棚30ごとに、また載置棚30に設置された載置位置ごとに実施される。
【0023】
上記のようなティーチング作業に基づいて、搬送システム100は以下のようにフープ220を搬送する。まず、所定の載置位置に載置されたフープ220の上方まで搬送台車110を移動させ、グリッパ111をフープ220まで下降させる。次に、グリッパ111にフープ220を把持させ、グリッパ111を上昇させる。次に、フープ220をグリッパ111に把持させたまま搬送台車110を軌道レール120上で走行させつつ、軌道レール120上のバーコード122を順に読み取らせる。そして、載置棚30上の所定の載置位置を示すバーコード122を認識するまで走行させる。搬送台車110は、そのバーコード122を認識すると、軌道レール120上で停止する。そして、フープ220が載置棚30上に到達するまでグリッパ111を下降させる。フープ220が載置棚30に到達するまでに、上記のティーチング作業によって記憶した移動量だけ、グリッパ111を並進移動及び回転移動させる。これによって、フープ220が載置棚30上において、位置合わせ穴221と位置合わせピン31とが嵌合する所定の載置位置に、正確に載置される。
【0024】
保管装置1についてさらに詳細に説明する。図2は、図1の保管装置1を搬送台車110の走行方向(図1の方向D)から見た側面図である。また、図3(a)は、図2の破線に囲まれた領域の一部断面及び内部を含む拡大図である。図3(b)は図3(a)のB−B線に沿った断面図である。なお、図2においては搬送台車110及びフープ220が省略されている。
【0025】
支柱10のそれぞれは、上支柱11及び下支柱12を有している。上支柱11及び下支柱12のいずれも、長さ方向に関して垂直な断面が円形の形状を有している。上支柱11及び下支柱12は互いに接続カバー20内において接続されている。図3(a)には接続カバー20内の様子が示されている。上支柱11の下端近傍には溝13が形成されており、下支柱12の上端近傍には溝14が形成されている。溝13及び14は、下支柱12において溝14より上方の部分が溝13内に嵌合し、上支柱11において溝13より下方の部分が溝14内に嵌合するように形成されている。そして、上支柱11及び下支柱12が溝13及び14において互いに嵌合することにより、上支柱11と下支柱12とが接続されている。このとき、溝13内の上方に面した面13a(第1の規制面)が、溝14内の下方に面した面14a(第2の規制面)に、下方から当接している。これによって、下支柱12が下方に落下しないようにその移動が規制されている。なお、上支柱11及び下支柱12の接続手段としては、下支柱12が落下しないようにその移動を規制する面13a及び14aのような規制面が形成されていれば、どのような構成であってもよい。
【0026】
接続カバー20は、上支柱11の下端近傍に固定された上カバー21と、上カバー21に支持された下カバー22とから構成されている。上カバー21及び下カバー22は、上支柱11及び下支柱12の接続箇所を覆うカバーである。上カバー21及び下カバー22のいずれも筒状の部材であり、上下の両方向に関して開口している。
【0027】
上カバー21及び下カバー22は互いに咬合領域20aにおいて咬合している。咬合領域20aにおいて上カバー21の外表面及び下カバー22の内表面には、互いに咬合可能に螺子山が形成されている。上カバー21を固定しつつ下カバー22を図3(b)の方向D2に沿って回転させると、上カバー21に下カバー22を固定したり、上カバー21から下カバー22を分離したりすることができる。上カバー21は上支柱11に固定されているが、下カバー22は上支柱11及び下支柱12のいずれにも固定されていない。つまり、下カバー22は上カバー21から分離されたときに、内部を下支柱12が貫通した状態で図3(a)の上下方向に自由に移動できるように構成されている。また、下カバー22の内表面22a及び22b(第3の表面)は、上カバー21に固定されたときに下支柱12が上支柱11に対して水平方向にずれるのを可能な限り防止するような形状及び大きさに調整されている。
【0028】
さらに、下支柱12には、受け部材15が固定されている。受け部材15は、下支柱12の外表面からその外側へと突出する突出部であり、円柱状の下支柱12の周方向に沿って延在している。受け部材15は、下カバー22の下端の開口より大きくなるように構成されている。これによって支柱10は、下カバー22が上カバー21から分離されて落下した場合に、受け部材15に引っかかってそれ以上落下しないように構成されている。
【0029】
以上の構成により、上支柱11と下支柱12とが接続されていると共に、下カバー22が上カバー21に固定されている。これによって、下支柱12が落下せず、上支柱11に対して水平方向にずれることがないように、下支柱12の移動が規制されている。したがって、下支柱12の下端に支持された載置棚30が落下することなく、さらにその水平位置が厳密に保持される。
【0030】
また、搬送台車110のメンテナンスなどの際に、搬送台車110の走行領域の下方から載置棚30を退避させる必要がある場合には、図4に示されているように下カバー22を上カバー21から分離すると共に、下支柱12を上支柱11から分離する。これによって、載置棚30を簡易に退避することができる。
【0031】
さらに、メンテナンスなどの作業が終了した場合には、再び下支柱12を上支柱11に接続し、下カバー22を上カバー21に固定する。これによって、載置棚30を簡易に再設置できると共に、上記のとおり下カバー22が下支柱12の上支柱11に対するずれを規制するので、載置棚30の退避前の水平位置が再設置後に確実に再現される。したがって、ティーチング作業を再実施する必要もなく、また載置棚30の退避及び復帰を簡易に実施することができる。
【0032】
[第2の実施形態]
本発明の好適な実施形態の他の一例である第2の実施形態について説明する。図5(a)は、第2の実施形態に係る保管装置301を搬送台車110の走行方向から見た図である。図5(b)は、図5(a)のB−B線に沿った、後述の接続部320の断面図である。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
保管装置301は、位置合わせピン31が固定された載置棚30と、載置棚30を支持する4本の支柱とを有している。これら4本の支柱のうちの2本は第1の実施形態と同じ構成の支柱10であるが、残りの2本は第1の実施形態の構成と異なる支柱310である。2本の支柱10は残り2本の支柱310に軌道レール120を挟んで対向している。なお、図5(a)には4本の支柱のうち、互いに対向している1組の支柱10及び310のみが示されている。
【0034】
支柱310は、上支柱311及び下支柱312を有している。上支柱311と下支柱312とは接続部320において互いに接続されている。図5(b)に示されているように、上支柱311の下端近傍には回転軸311aが固定されており、下支柱312の上端には回転軸311aの軸受け311aが設けられている。これによって、回転軸312aを中心に図5(a)の方向D3に沿って回転可能に上支柱311と下支柱312とが接続されている。なお、図5(a)の状態から時計回りの方向には回転可能であるが、図5(a)の状態からの反時計回りの回転が規制されるように、接続部320が構成されていてもよい。
【0035】
支柱10の下方にはリング332が固定されている。また、天井210において固定部材121から図5(a)の左方へと所定の距離だけ離隔した位置には、フック331が固定されている。
【0036】
以上の構成により、搬送台車110の走行領域の下方から載置棚30を退避させる必要がある場合には、図6(a)及び図6(b)のように支柱10及び310を変形させればよい。まず、下カバー22を上カバー21から分離すると共に、下支柱12を上支柱11から分離する。次に、下支柱312を上支柱311に対して回転軸312aを中心に図6(a)の時計回りに回転させる。そして、リング332が天井210付近まで回転すると、図6(b)のようにリング332をフック331に引っ掛ける。このように、載置棚30が軌道レール120の下方(搬送台車110の走行領域の下方)から離隔するように下支柱312を上支柱311に対して回転させると、載置棚30を軌道レール120の下方から退避させることができる。なお、フック331と固定部材121との距離は、ちょうどリング332がフック331に引っ掛けられるような大きさに調整されている。
【0037】
また、退避させた載置棚30を軌道レール120の下方に復帰させる場合には、以下のように支柱10及び310を変形させればよい。まず、リング332をフック331から取り外す。次に、回転軸312aを中心に下支柱312を図6(b)の反時計回りに回転させる。次に、下支柱12の上端が上支柱11の下端に至るまで下支柱312を回転させると、下支柱12の上端を上支柱11に接続する。そして、下カバー22を上カバー21に固定する。このように、下支柱312を上支柱311に対して回転させることにより、載置棚30を軌道レール120の下方へと復帰させることができる。
【0038】
以上のように、第2の実施形態によると、下支柱12を上支柱11に対して回転させることにより、軌道レール120の下方から載置棚30を退避させたり、軌道レール120の下方へと載置棚30を復帰させたりすることが簡易にできる。また、載置棚30の復帰の際に、接続カバー20によって下支柱12の上支柱11に対するずれが規制されるので、載置棚30の復帰後に再びティーチング作業を実施する必要がない。さらに、2本の支柱10を分離させるだけであるので、第1の実施形態に比べて退避及び復帰の作業が簡易である。
【0039】
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施の形態についての説明であるが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された内容の限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては支柱10の上端は軌道レール120に固定されているが、天井210に固定されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である保管装置の正面図である。
【図2】図2は、図1の保管装置を搬送台車の走行方向から見た側面図である。
【図3】図3(a)は、図2の破線に囲まれた領域の一部断面及び内部を含む拡大図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿った断面図である。
【図4】図3(a)の保管装置において下支柱が上支柱から分離された様子を示す図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態である保管装置の側面図である。
【図6】図5の保管装置において棚部を退避させる手順を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1,301 保管装置
10,310 支柱
11,311 上支柱
12,312 下支柱
20 接続カバー
21 上カバー
22 下カバー
30 載置棚
31 位置合わせピン
100 搬送システム
110 搬送台車
120 軌道レール
210 天井
220 フープ
221 位置合わせ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を把持しつつ天井に敷設された軌道上を走行する搬送台車からの前記被搬送物を保管する保管装置であって、
水平方向に関する所定の位置に前記搬送台車からの前記被搬送物が載置される棚部と、
上端が前記軌道又は天井に支持され、下端に前記棚部が支持された支持部材とを備えており、
前記支持部材が、
前記軌道又は天井に上端が支持された状態で、前記搬送台車が前記棚部上の前記所定の位置に前記被搬送物を載置することができる形状と、前記棚部が前記軌道の下方以外の位置へと退避する形状とを選択的に取ることを特徴とする被搬送物の保管装置。
【請求項2】
1又は複数の前記支持部材を備えており、
全ての前記支持部材が、
前記軌道又は天井に上端が支持された上部分と、
前記上部分から分離可能に前記上部分に上端が接続され、下端に前記棚部が支持された下部分とを有していることを特徴とする請求項1に記載の被搬送物の保管装置。
【請求項3】
前記上部分に上方に面した第1の規制面が、前記下部分に下方に面した第2の規制面がそれぞれ形成されており、
前記第2の規制面が前記第1の規制面に上方から当接することにより、前記上部分と前記下部分とが接続されており、
前記上部分と前記下部分との接続箇所を覆う、水平方向に関して前記上部分に対する前記下部分の移動を規制する第3の規制面が内表面に形成されたカバー部材をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の被搬送物の保管装置。
【請求項4】
前記支持部材が、
前記軌道又は天井に上端が支持された第1の上部分と、
前記第1の上部分から分離可能に前記第1の上部分に上端が接続され、下端に前記棚部が支持された第1の下部分と、
前記軌道又は天井において前記搬送台車の走行方向から見てその走行領域を前記第1の上部分と共に挟む位置に上端が支持された第2の上部分と、
前記走行方向に垂直な面内で前記走行領域の下方から離隔する方向に回転可能に上端が前記第2の上部分に支持され、下端に前記棚部が支持された第2の下部分とを有していることを特徴とする請求項1に記載の被搬送物の保管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−162778(P2008−162778A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356079(P2006−356079)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】