説明

被検索物の検索支援装置

【課題】被検索物が収納された保管棚を、まず所在地を報知する音声表示を行うことにより、多数の保管棚群の中から大まかに所在地をゾーンの幅で絞り込み、しかる後に視覚表示により目的とする被検索物をピンポイントで見つけ出すことにより、的確に目的とする被検索物を見つけ出すことができる。
【解決手段】被検索物が複数の保管棚に収納され、被検索物に取り付けられた検索子機と、被検索物を特定するための認識情報の授受を行う管理手段を備え、管理手段により被検索物の検索子機の位置を検出する検索システムにおいて、所在地報知の音声表示手段を動作させてまず大まかに該当保管棚の所在地を絞り込み、しかる後に該当保管棚の視覚表示手段により該当被検索物の所在地を認知させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルテ等の被検索物の検索・収納支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のカルテ等の被検索物の中から所望の被検索物を検索する際に、その保管棚を表示するものとして、例えば、特開2004−150151号公報(特許文献1)にて開示された装置が知られている。
【0003】
上記特許文献1に記載された被検索物の検索装置は、多数収納された被検索物のそれぞれに、個々に異なる認識コードを有した検索子機が設けられている。そして、ホストコンピュータを介して、検索したい被検索物の検索子機の認識コードに対応した検索信号が、保管棚や棚段に配設された発信機に対して発せられると、この検索信号に対応する被検索物の検索子機が検索信号を受信して外部発光すると共に、当該被検索物が収納された保管棚の例えば前面上部を併せて発光して取出しのアシストをするものである。
【0004】
このような装置は、保管棚が1列に並ぶ程度の比較的小規模な検索システムに於いては十分機能できるが、保管棚が複数列に配置され、多数の保管棚に被検索物を多数分散して収納される場合では、捜索者の視野から保管棚の発光が見えない場合が多くなり、カルテやファイルなどの被検索物のスムーズな取出しに支障が生じていた。
【0005】
この発光表示の限界を解決するものとして、発音表示が考えられ、そして被検索物に装着する検索子機に発音表示機能をもたせたものが考えられている(特許文献2)が、この場合は被検索物総てに発音機能をもたせることになるため、コストアップにつながると上に、被検索物が発音表示機能付加のために嵩高になる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2004−250151号公報
【特許文献2】特開2000−327114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は上記従来技術の欠点を解消するためになされたものであって、カルテ等の被検索物が不整列で多数収納されている場合でも、その取出しがスムーズに行え、また所定の決められた場所に被検索物を収納する場合には収納時に簡単に所定の収納場所を見つけ出して正確に収納できる検索・収納支援装置を提供するものである。
【0008】
また、通常の検索時に緊急割込み取出し物の検索が割込んで来た場合の対応、多数の取出し時に取り漏れがあった場合にも対処できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、多数の被検索物1、1・・・が整列又は不整列に収納されたシステムにおいて、カルテ等の被検索物1が複数の保管棚2に収納され、被検索物1に取り付けられた検索子機3と、前記被検索物1を特定するための認識情報の授受を行う管理手段4を備え、管理手段4により被検索物1の検索子機3の位置を検出する検索システムにおいて、
まず所在地を表示する音声表示手段7により大まかに該当被検索物1所在の近傍に誘導し、しかる後に当該被検索物1が所在する保管棚2又は棚段12の視覚表示手段6、16並びに該当被検索物1の子機表示手段5を併せて動作させるようにしたことを特徴としている。
【0010】
また多数の被検索物1、1・・・が整列又は不整列に収納されたシステムにおいて、通常の検索時に非常時の緊急割込みを行いたい場合、他の通常の検索作業が進行している場合でも、それに優先して行えるようにし、更に多数の被検索物が並行して検索中の場合で、取り忘れがあってもそれを作業者に表示するもので、それらも上記と同様、まず所在地を表示する音声表示手段7により大まかに該当取り忘れの被検索物1の所在の近傍に誘導し、しかる後に当該取り忘れの被検索物1が所在する保管棚2又は棚段12視覚表示手段6並びに該当取り忘れの被検索物1の子機表示手段5を併せて動作させるようにした。
【0011】
また、整列収納システムでは、例えば図書館などのように多数の被収納物1が収容されている施設、部品の収納倉庫等、不整列収納が馴染まない場合も多い。その場合、収納すべき所在地を被検索物1と置き換えれば良く、これを所在地101とすれば、多数の所在地101、101・・・から特定の所在地101に取り付けられた検索子機3と、前記被検索物1を特定するための認識情報の授受を行う管理手段4を備え、管理手段4により被検索物1の検索子機3の位置を検出して当該被検索物1の検索子機3の信号授受により子機表示手段5を動作させる検索システムにおいて、
まず該当所在地101の所在地を表示する音声表示手段7により大まかに該当所在地101の近傍に誘導し、しかる後に当該所在地101を含む保管棚2又は棚段12の視覚表示手段6、16並びに該当所在地101の子機表示手段5を併せて動作させるようにした。この所在地101を検索する場合も、入れ間違いがあれば対応できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、多数の保管棚2に多数の被検索物1が収納されていて、目的とする被検索物1を収容する保管棚2の捜索者への通知をまず所在地を示す音声表示において行い大まかに誘導するようにしたから、保管棚2の視覚通知が死角になっていても、所在地を示す音声表示により凡その収容場所に誘導され、更に近付くことにより、視覚で正確な収容場所が捕捉できて、目的とする被検索物をスムーズに取出すことができる。
【0013】
ここで所在地を示す音声表示を発するために保管棚2又は棚段12に音声表示手段7を設けると、実際の所在地から報知が発せられるため、聴覚で直接大まかな情報(方向とか、遠いとか近いとか)を直截的に捉えることができるので好ましいが、他の操作部位、例えば管理手段4、そのホストコンピュータ40に接続された端末装置、即ちコンピュータ41、外来(再来)受付端末43、或いはMFC等の付随デバイス(スピーカ等)に音声表示手段7を具備させた場合には、検索作業者は音声認識を知覚変換でポイントを理解して近傍に近付き、その後、更に近付くことにより、視覚で正確な収容場所が捕捉できて、目的とする被検索物をスムーズに取出すことができる。
【0014】
また、その際、音声表示手段7は保管棚2若しくは棚段12、或いは他の操作部位までに設置するだけで事足りるので、各被検索物1の総てに音声表示手段を併設する場合に比べ、コストの増大を抑制できると共に、音声表示手段増設により被検索物が嵩高になることも抑制することができる。
【0015】
更に、整列収納が行われる図書館や部品収納倉庫等で、後に所在地をキーワードにして収容物を検索することになるシステムでは、収納すべき所在地101にいかにスムーズに導くかが問題となるが、この場合はまず所在地を知らせる音声表示手段7でまず大まかな誘導を行い、視覚表示手段6、16が視野に入るようになって正確な保管棚2、棚段12を認識し、最後は該当所在地の子機表示手段5で正確な収納場所を認識して収納することができる。
【0016】
そして、本発明では大まかな表示を単なる音ではなく、所在地を表示する音声としたから、複数の作業者が夫々複数の検索、取出し作業を行っている場合でも、同じ音があちこちで表示されると混乱するが、所在地の音声表示であるので、目的とする所在地を聞き分けることができてスムーズに検索取出し、或いは収納が行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の概略概念説明図である。
【図2】同上の通信仕様概略説明図である。
【図3】同上の検索フローチャートである。
【図4】同上の他の検索フローチャートである。
【図5】同上の音声表示手段の一例のブロック図である。
【図6】同上の他の実施例の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
多数の被検索物、所在地を、多数の保管棚の中にあっても、所在地を示す音声表示により先ず凡その収容保管棚近傍に誘導し、しかる後に視覚を加えて正確な位置を補足できて、スムーズに、しかもコスト増大や被検索物の嵩高化を招くことも抑制できる検索・収納支援装置を提供できた。
【実施例1】
【0019】
以下本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の一実施例の概略を示すもので、多数のカルテやファイル等の被検索物1、1・・・が複数の保管棚2、2・・・に収容され、これらの被検索物1の所在をコンピュータ等の管理手段4により管理している。ここではシステムにより、ランダム保管、或いは整列保管のいずれでも構わない。
【0020】
被検索物1がカルテやファイル等であればそれらを収容するフォルダにそれぞれに独自のデータが付与されたIDタッグのような検索子機3と、必要に応じて発光素子のような認識手段5を有する検索子機3が設置されていて、検索コンピュータのような管理手段4の検索操作により該当する被検索物1の検索子機3が応答して所在地情報を発信し、管理手段4により先ず目的とする被検索物1の有無、ある場合はどこにあるかをディスプレイなどで確認することができる。これらの検索システムは種々の方式があるが、個々を識別して管理できるものであれば方式は問わない。
【0021】
そして被検索物1がいずれかの保管棚2に所在する場合は、まず所在地を示す音声表示手段7で大まかに該当所在地近傍に誘導し、そして次に該当のゾーンに近付くと視覚表示手段6、16も視野に入り、それにより正確にポイントを把握させて目的の被検索物1を取出すことができる。
【0022】
この視覚表示手段6、16と音声表示手段7の動作により、多数の保管棚1、1・・・が設置されている場合、ことに保管棚1が複数列に配列されるような大規模検索、視覚表示手段6、16が死角になっている場合でも、先ず音声表示手段7により凡その所在場所を知って近寄り、そしてある程度目的の被検索物1の所在地に近付くと視覚表示手段6、16が視野に捉えられ、どの保管棚2か、どの棚段12かが分かり、目的とする被検索物1を取出すことができる。
【0023】
ここで保管棚2は複数の棚段12、12・・・を有し、保管棚2の上部、棚段12の前面等の適所に発光素子のような音声表示手段6、16が施される。また、カルテや書類が収容されるファイルや或いはその他の部分、商品などのパッケージ等の被検索物1には発光或いは発音の1又は双方複合の子機表示手段5が施される。
【0024】
また、被検索物1には検索子機3が装着され、保管棚2、棚段12の適所に認識通信手段2A、12Aが施され、この認識通信手段2A、12Aと検索子機3の間で少なくとも前記被検索物1の個々を識別特定し、所在地を特定するための認識情報の授受を行う管理手段4にLAN、無線通信等により接続される。これらの間には必要に応じてMFC(通信制御装置)が介在される。
【0025】
認識通信手段2A、12Aは、近接非接触通信によって、少なくとも前記検索子機3に記憶された前記被検索物1を特定するための認識情報を得ることが可能であって、前記管理手段4から前記認識通信手段2A、12Aに対して指示が出された被検索物1に関する認識情報と、前記認識通信手段2A、12Aにて得られた認識情報との同一性の判断が、前記認識通信手段2A、12Aおよび前記管理手段4の少なくとも一方にて行われ、前記認識通信手段2A、12Aが、前記認識情報の同一性判断の結果に基づいて視覚および音声の少なくとも一方を刺激すべく機能する視覚表示手段6,16及び音声表示手段7を動作させることができる。
【0026】
これらの保管棚2に収容される前記カルテ等の被検索物1が多数収容された状態で各種検索用端末、管理サーバ等により構成される管理手段4により、保管庫2を出入する被検索物1の収容状況を管理するようになっている。
【0027】
視覚表示手段6,16としては色、文字、記号、番号、図形等の少なくとも一つを表示可能な表示部を有し、表示された色、文字、記号、番号、図形等を点滅させたり、表示色を変更したりする方法があげられる。
【0028】
また、前記検索子機3として、例えばRFID(Raio Frequency
Identification)タグを用いることができる。ここで、「RFID タグ」とは、ICチップ等の記憶部と、記憶部内の情報を無線で送受信することが可能なアンテナ部を有するものである。このRFIDタグは、非接触で情報の読み取り、書き込みが可能である。勿論検索子機3としては、個々の情報を認識できるものであればこれに限定されない。
【0029】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。図示例は病院のカルテを被検索物1とする例で、カルテ等の被検索物1の仕分けの管理装置4は、病院内の受付等に設置された院内のホストコンピュータ40を用いて一元管理されるように構成されており、このホストコンピュータ40は、内科、外科等の各科毎に設けられた複数の端末装置41における各種業務(例えば受付業務)等にも適宜対応可能に構成されている。各コンピュータ40、41は、各種情報の表示を行うモニタ等の表示手段、各種情報の入力を行うキーボード、マウス等の入力手段、および各種情報を記憶する記憶手段等を有している。
【0030】
また、上記各コンピュータ40、41との間で通信を行って各種情報の授受を実施可能な、データベースサーバ42が設けられている。45はそのデータ保存用のHD等の外部記憶手段である。このデータベースサーバ42は、各コンピュータ40、41にて入力された情報に基づいて所定のデータベースを構築可能であって、各コンピュータ40、41からの指示に基づいて、必要なデータを各コンピュータ40、41に送信可能なように構成されている。43は外来(再来)受付端末である。
【0031】
上記コンピュータ40、41の他に、複数のカルテファイル等の被検索物1を収納可能な保管棚2を複数設置し、保管棚2及び各棚段12毎に設けられた情報中継装置20、21を介して検索手段4と各被検索物1のRFIDのような検索子機3と所在情報が送受信できるようにしている。
【0032】
この各被検索物1のRFIDのような検索子機3には、後述するように、カルテに記載された個人名や患者識別番号等(患者専用の番号、RFDタグの認識コード等)が記憶されており、カルテ管理用のデータベースサーバ42は、この検索子機3の情報を読取手段44により読取り、出入が記録される。
【0033】
本実施形態においては、この読取手段44にてRFIDタグのような検索子機3の認識コード等が読取られ、この認識コードに対応するように、ホストコンピュータ40等を用いて患者識別番号等を入力して、この識別コードと患者識別番号等とを関連付けてデータベースサーバ42に所定のデータベースが構築され、患者識別番号等の各種情報は上述した通り検索子機3に記憶される。
【0034】
検索子機3は、ここまでで述べたような種々の情報を記憶可能なRFIDタグに限定されず、例えば、所定の認識コードのみを記憶可能なRFIDタグを用いてもよい。このようなRFIDタグを用いる場合には、RFIDタグの認識コードに対して種々の情報を関連付けた状態でデータベースを構築して、このRFIDタグとデータベースサーバとを用いて、被検索物の仕分け管理を実現する。
【0035】
保管棚2と各棚段12の情報中継装置20、21はホストコンピュータ40との間で、種々の情報の授受を行う際の中継処理を行うように構成されている。また、情報中継装置20、21は、必要に応じて点灯あるいは点滅する視覚表示手段6、16を有する。なお、この情報中継装置20、21は、ホストコンピュータ40との間の通信処理にて授受される各種情報を一時的に記憶する記憶部を有してもよい。
【0036】
図2は通信仕様の一例を示すもので、管理手段4による検索要求を保管棚2、棚段12に送信し、それに応じて中間管理手段20、21より送信される信号を目的の被検索物1の検索子機3が受信すると、呼応して所在信号を中間管理手段20、21を介して管理手段4に返し、ディスプレイ等にその位置情報等を表示させる。このとき、該当被検索物1の認識手段5は点灯、点滅等の表示がされ、保管棚2及び棚段12の視覚表示手段6、16も点灯、点滅等すると同時に、保管棚2の音声表示手段7より音声が発せられる。
【0037】
図3はその音声識別手段7に使用されるサウンドボードの一例を示すもので、音声処理IC、メモリ、コネクタが基板に配置され、コネクタより電源供給、音声データの授受が行われ、必要に応じてAMPにより増幅後、音声がスピーカより出力される。そしてこの音声表示手段7は保管棚2の中間管理手段20に接続されて動作する。音声表示としては、所在地を「何列、何行、何段にあります」等、所在地を表示するもので、棚段12を含む保管棚2の適所が好適であるが、その他、管理手段4、そのホストコンピュータ40に接続された端末装置、即ちコンピュータ41、外来(再来)受付端末43、或いはMFC等の付随デバイス(スピーカ等)があり、状況に応じて1又は2以上を組み合わせることができる。
【0038】
(使用の形態1)(通常の検索)
図4は最もシンプルな流れを示すもので、管理手段4により検索指令を出し、保管棚1のどの棚段12に目的とする被検索物1が返還されているかどうかをチェックし、ない場合は検索リストから外して終了する。
即ち、検索は、管理手段4に該当被検索物1の情報を入力し、その情報が送信手段により発信され、該当被検索物1がどこかに所在すればその被検索物1の検索子機3が特定情報を受信して反応し、その子機表示手段5が発光、発音等の動作をし、併せて当該被検索物1が収納されている保管棚2、棚段12に設置されている視覚表示手段6、16が発光すると共に、保管棚2、棚板12の一方又は双方に併せて設置されている音声表示手段7が作動する。ここで音声表示手段7は単なるブザーやベルのような音ではなく、「〇〇は△△番の保管棚の◇◇段の棚段にあります」というような所在地を報知する音声表示手段である。これは複数件、同時に検索することができるようにし、また、複数人が複数台の管理手段4より検索することができるようにすると便利である。
【0039】
取出した後はその被検索物1の検索子機3を管理手段4の読取器44でチェックし、出庫を記録する。このようにして該当する被検索物1が取出されると、棚段12から取出されたことを検出して、或いは読取器44のチェックを受けることにより、子機表示手段5、視覚表示手段6、16、音声表示手段7の動作が止まる。
【0040】
(使用の形態2)(緊急割込み)
図5は実際の病院で必要とされる状況に即した例で、通常の検索に、緊急割り込みと、取り漏れを加味している。急患などの緊急事態発生の場合もあるので、検索に入り、緊急の場合はそれを選択する。そうでない場合は通常の検索モードになる。
【0041】
緊急モードでの検索であれば、他の先行検索があっても、他の検索に優先して割込むもので、該当保管棚2の音声表示手段7に例えば通常と異なるメッセージ、「緊急外来カルテ、○行、○列、○段にあります」のようなメッセージを発声させることができる。
【0042】
(使用の形態3)(取り漏れ)
次は取り漏れの場合について説明する。上記の緊急、通常の検索のいずれの場合も、検索手段4で検索を行い、ディスプレイ等に該当被検索物1の所在地情報等を表示させるが、この表示にタイマー設定をして、適宜の時間で該当被検索物1の取出しが行われなかった場合、保管棚2の音声識別手段7に警報音を発するようにする。これは断続音でも良いし、「○○さんのカルテ、○行、○列、○段に残っています!」等発声させても良い。この警報メッセージは、該当被検索物1を棚段12から取出すか、或いは読取器44で出庫を入力すれば消えるようにできる。
【0043】
(使用の形態4)(整列収納)
次は整列収納に応用した例を説明する。図書やファイルや物品等の被検索物1の保管棚2への返却、或いは補給収納で、システムの性格上、大量収納であっても不整列収納に馴染まず、整列収納を行なわざるを得ない場合も少なくない。
【0044】
このような場合、先ず、検索手段4に保管棚2に保管しようとしている被検索物1の情報を入力してその収納すべき所在地101を保管棚2の音声識別手段7で表示させ、これにより凡その該当保管棚2に先ず近付き、ある程度絞られて来ると今度は保管棚2或いは棚段12の視覚表示手段6、16が視野に入り、表示された特定のピンポイント又はゾーンを認識してそこに被検索物1を戻したり補給したりする。商品や部品のストックの場合は通常、保管棚2単位か、棚段12単位の巾をもつ所在ゾーンに目的の被検索物1を保管すれば良いことになるが、その場合は所在地101はそれに対応した幅を持たせることになる。また検索子機103が所在地101に対応して夫々設置される。
【0045】
これらの場合も保管棚2、棚段12の視覚識別手段6、16により表示を行うと同時に、保管棚2の所在地101を音声報知する音声識別手段7も作動させることにより、先ず音声識別手段7により凡その近傍に絞込み、続いてその中で視覚識別手段6、16でも所在地101の認識を経て、正確なゾーン又はポイントの所在地101に被検索物1の収納が行えるもので、これを行うことにより、一旦このようにして正確な位置に収納された被検索物1を、後々、使用に供する際に検索された位置に、目的とする被検索物1がスムーズに見付かることになるのである。
【0046】
即ち、収納の場合も、整列収納であれば、被検索物1をどこに収納するのか、その収納場所を捜すのであるが、上記の例とは逆に、収納すべきポイント又はゾーン、即ち収納すべき所在地101(図1に併記)を作業者に知らせるに当たり、先ず音声識別で凡その場所を作業者に認知させ、ある程度の範囲に近付くと音声に加えて視覚で正確なポイント又はゾーンを把握して被検索物1を目的とする保管棚2の棚段12、更には目的とするポイントに収納することができる。
【0047】
このように被検索物1を正しいポイント又はゾーンに収納させることにより、必要時に被検索物1を取出す際に、検索手段4で抽出した場所に目的物が見当らないと云う不都合の発生を未然に防止できる。
【0048】
またこのようにして保管が完了した直後は、管理手段4でその保管した被検索物1が保管場所として指示されたピンポイントの所在地或いは所在ゾーンに保管されたかどうかチェックを行えば良い。何が戻ったか、収納されたかは、読取器44で入庫を記録してチェックされる。
【0049】
(使用の形態5)(入れ忘れ)
もし入れ忘れた場合は、上記読取器44の入力による該当所在地101の識別子機103が、収納すべき被検索物1に搭載された識別子機3を認識できないので、その認識できない状態が所定時間継続すると、「〇〇は△△に戻っていません」等の音声報知で音声表示手段7より発せられる。
【0050】
(使用の形態6)(入れ間違い)
もし間違ったポイント又はゾーンに保管した場合は、そのまま報知すると、整列収納が機能しなくなる惧れがある。そこでその誤った被検索物1の所在地を上記使用の形態1又は2の方法で特定して取り戻し、再度図6の収納システムを機能させて正しいポント、ゾーンに保管し直すことができる。
【0051】
この場合も、始めの被保管物1の保管ゾーンへの誘導、或いは間違った被検索物1の検索時の間違った場所への誘導が、音声表示手段7で凡その絞込みで近付いた後、視覚表示手段6、16で行えるため、多数の保管棚2に多数の被検索物1が保管される場合の整列保管及び間違った場合の修正処理も短時間で行える。
【産業上の利用可能性】
【0052】
多数の部品や商品を不整列に保管する倉庫での目的とする部品や商品の取出し、或いは文書やファイル、医療現場でのカルテ等の多数の中からのスムーズな取出しを実現させ、流通過程や医療現場での被検索物の短時間での的確な処理を実現できる。
【0053】
また、多数の整列保管の図書や部品、商品のストックの追加や戻し等においても収納すべき所在地の検索を短時間で正確に行えるように支援できる。
【符号の説明】
【0054】
1は被検索物、2は保管棚、3は検索子機、4は検索手段、5は子機表示手段、6は視覚表示手段、7は音声表示手段、101は所在地、103は検索子機である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検索物1、1・・・が複数の保管棚2、2・・・に収納され、被検索物1に取り付けられた検索子機3と、被検索物1を特定するための認識情報の授受を行う管理手段4を備え、管理手段4により被検索物1の検索子機3の位置を検出する検索システムにおいて、
所在地報知の音声表示手段7を動作させてまず大まかに該当保管棚2の所在地を絞り込み、しかる後に該当保管棚2の視覚表示手段6により該当被検索物1の所在地を認知させるようにしたことを特徴とする被検索物の検索支援装置。
【請求項2】
所在地報知の音声表示手段7が保管棚2又は棚段12に設置されたことを特徴とする請求項1に記載の被検索物の検索支援装置。
【請求項3】
被検索物1が緊急割り込み取出物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被検索物の検索支援装置。
【請求項4】
視覚表示手段6又は音声表示手段7が動作を開始後、所定の時間経過後、該当被検索物1に取り漏れが生じた場合、音声表示手段7の音声表示を取り漏れ警告に切り替えることを特徴とする請求項1乃至3に記載の被検索物の検索支援装置。
【請求項5】
被検索物1、1・・・が複数の保管棚2、2・・・に整列収納され、被検索物の収納すべき所在地101に取り付けられた検索子機103と、所在地101を特定するための認識情報の授受を行う管理手段4を備え、管理手段4により所在地101の検索子機103の位置を検出することにより該当被検索物1を整列収納する収納システムにおいて、
所在地報知の音声表示手段7を動作させてまず大まかに該当保管棚2の所在地101を絞り込み、しかる後に該当保管棚2の視覚表示手段6により該当所在地101を認知させるようにしたことを特徴とする被検索物の収納支援装置。
【請求項6】
所在地報知の音声表示手段7が保管棚2又は棚段12に設置されたことを特徴とする請求項5に記載の被検索物の検索支援装置。
【請求項7】
視覚表示手段6又は音声表示手段7が動作を開始後、所定の時間経過後、該当所在地101に収納されない場合、音声表示手段7の音声表示を入れ漏れ警告に切り替えることを特徴とする請求項5又は6に記載の被検索物の収納支援装置。
【請求項8】
被検索物1が整列収納における誤収納物であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の被検索物の検索・収納支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−16620(P2011−16620A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162274(P2009−162274)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(391015616)株式会社アサヒ電子研究所 (14)
【Fターム(参考)】