説明

被管理装置及び管理システム並びに管理プログラム

【課題】異常終了時の装置情報を確実に保存することができる被管理装置及び管理システム並びに管理プログラムの提供。
【解決手段】第1記憶領域を備える被管理装置と、第2記憶領域を備える管理装置と、が通信ネットワークで接続されてなる管理システムにおいて、前記被管理装置は、自装置の状態が変化したときに、自装置の状態を示す装置情報を逐次、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部と、前記第1記憶領域に保存している装置情報を前記管理装置の前記第2記憶領域に転送する第2記憶制御部と、を少なくとも備え、前記管理装置は、前回の前記被管理装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定して前記被管理装置に通知する判定部、を少なくとも備え、前記第2記憶制御部は、前記管理装置の前記判定部から異常終了が通知された場合に、前記装置情報の転送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被管理装置及び管理システム並びに管理プログラムに関し、特に、画像形成装置及び当該画像形成装置を含む管理システム並びに画像形成装置の異常時のログを管理する管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能やファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能などを備える複合機(MFP:Multi Function Peripheral)などの画像形成装置が普及している。この画像形成装置は稼働率が高く、安定して動作させる必要があることから、画像形成装置の状態を示す装置情報(ログ)を記憶しておき、その装置情報に基づいて画像形成装置の管理を行っている。
【0003】
ここで、画像形成装置の電源がオフされる状況としては、アイドル状態となった後に電源がオフされる正常終了と、画像形成装置がエラーや警告を発生した場合、あるいは誤動作、停止した場合に、その状態を解消するために電源がオフされる異常終了とがある。この異常終了時における装置情報を収集することで、異常の発生要因を突き止めることが容易になる。
【0004】
上記装置情報を収集する技術として、例えば、下記特許文献1には、電源がオフされたことを検出する電源オフ検出手段と、前記電源オフ検出手段により電源のオフが検出された場合に、当該印刷装置の状態における情報を収集する情報収集手段と、前記情報収集手段で収集された情報を記憶する不揮発性記憶手段とを有する印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−37011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、装置情報は画像形成装置の状態が変化するたびに生成されるため、異常終了時に記憶した装置情報が、その後に生成された装置情報によって上書きされてしまい、異常終了時の装置情報が利用できなくなるという問題がある。
【0007】
この問題に対して、特許文献1の技術を利用することによって電源オフ時の装置情報を収集することはできる。しかしながら、この方法では異常終了と正常終了とを判別することができないため、異常終了よりも頻繁に発生する正常終了時の装置情報で記憶領域が占有されてしまい、異常終了時の装置情報を確実に保存することができないという問題が生じる。
【0008】
また、このような問題は、画像形成装置に限らず、異常終了時の装置情報を収集して管理することが求められる被管理装置全般に対して同様に生じる。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、異常終了時の装置情報を確実に保存することができる被管理装置及び管理システム並びに管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、第1記憶領域及び第2記憶領域を備える被管理装置において、自装置の状態が変化したときに、自装置の状態を示す装置情報を逐次、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部と、前回の自装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定する判定部と、前記判定部が異常終了と判定した場合に、前記第1記憶領域に保存している装置情報を前記第2記憶領域に保存する第2記憶制御部と、を少なくとも備えるものである。
【0011】
また、本発明は、第1記憶領域を備える被管理装置と、第2記憶領域を備える管理装置と、が通信ネットワークで接続されてなる管理システムにおいて、前記被管理装置は、自装置の状態が変化したときに、自装置の状態を示す装置情報を逐次、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部と、前記第1記憶領域に保存している装置情報を前記管理装置の前記第2記憶領域に転送する第2記憶制御部と、を少なくとも備え、前記管理装置は、前回の前記被管理装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定して前記被管理装置に通知する判定部、を少なくとも備え、前記第2記憶制御部は、前記管理装置の前記判定部から異常終了が通知された場合に、前記装置情報の転送を行うものである。
【0012】
また、本発明は、被管理装置と、第1記憶領域及び第2記憶領域を備える管理装置と、が通信ネットワークで接続されてなる管理システムにおいて、前記管理装置は、前記被管理装置から、当該装置の状態が変化したときに逐次、転送される、当該装置の状態を示す装置情報を取得し、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部と、前回の前記被管理装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定する判定部と、前記被管理装置の電源オフを検知し、かつ、前記判定部が異常終了と判定した場合に、前記第1記憶領域に保存されている装置情報を前記第2記憶領域に保存する第2記憶制御部と、を少なくとも備えるものである。
【0013】
また、本発明は、第1記憶領域及び第2記憶領域を備え、被管理装置と通信ネットワークで接続されるコンピュータ装置で動作する管理プログラムであって、前記コンピュータ装置を、前記被管理装置から、当該装置の状態が変化したときに逐次、転送される、当該装置の状態を示す装置情報を取得し、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部、前回の前記被管理装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定する判定部、前記被管理装置の電源オフを検知し、かつ、前記判定部が異常終了と判定した場合に、前記第1記憶領域に保存している装置情報を前記第2記憶領域に保存する第2記憶制御部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の被管理装置及び管理システム並びに管理プログラムによれば、異常終了時の装置情報を確実に保存することができる。
【0015】
その理由は、管理システム内に、全ての装置情報を逐次保存する第1記憶領域と、異常終了時の装置情報を保存する第2記憶領域とを設け、異常終了を検知したら、第1記憶領域に保存している装置情報を異常終了時の装置情報として第2記憶領域に保存する制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る管理システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る管理システムの動作フロー及び装置情報の記憶状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る管理システムの構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る管理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の動作(通常時のログ記憶制御)を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の動作(異常時のログ記憶制御)を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る管理システムにおける画像形成装置の動作状態とログの保存状態との関係を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る管理装置の動作を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係る管理装置における通信情報を用いた正常/異常判定動作を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例に係る管理装置における環境情報を用いた正常/異常判定動作を示すフローチャート図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の通常動作を示すフローチャート図である。
【図14】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の動作(異常時のログ記憶制御)を示すフローチャート図である。
【図15】本発明の第3の実施例に係る管理装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第3の実施例に係る管理装置の動作(ログ記憶制御)を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
背景技術で示したように、画像形成装置などの被管理装置は、異常終了時における装置情報を収集することで、異常の発生要因を突き止めることが容易になり、装置を安定して動作させることができる。
【0018】
しかしながら、従来の技術では、異常終了時の装置情報がその後の装置情報によって上書きされてしまい、異常終了時の装置情報を確実に保存することができない。また、電源オフ時の装置情報を収集する方法も提案されているが、この方法では異常終了と正常終了とを判別することができないため、正常終了時の装置情報によって記憶領域が占有されてしまい、やはり、異常終了時の装置情報を確実に保存することができないという問題があった。
【0019】
そこで、本発明の一実施の形態では、図1に示すように、少なくとも被管理装置1と管理装置2とが通信ネットワークで接続されてなる管理システムにおいて、図2(b)に示すように、管理システム内に、イベント毎に発生する装置情報(以下、ログと呼ぶ。)を逐次、保存する第1記憶領域(例えば、被管理装置の記憶部)と異常終了時のログのみを保存する第2記憶領域(例えば、管理装置や被管理装置、ネットワーク接続されるサーバ等の他の機器の記憶部)とを設ける。
【0020】
そして、図2に示すように、被管理装置1の電源投入時に(S101)、管理装置若しくは被管理装置で、被管理装置の前回の終了状態が正常終了であったか異常終了であったかを判断し(S102)、異常終了と判断した場合は、第1記憶領域に保存したログを異常終了時のログとして第2記憶領域に保存し(S103)、その後、定常動作のログを第1記憶領域に逐次、上書き保存する制御を行う(S104)。
【0021】
これにより、異常終了時のログが上書きされてしまうことを防止することができ、異常終了時のログを確実に保存することができる。また、第2記憶領域は異常終了時のログのみを記憶するため、記憶領域を効率的に使用することができる。
【0022】
なお、本発明は、ログを管理する必要がある任意の被管理装置に対して適用可能であるが、以下の実施例では、使用頻度が高く、安定した動作が求められる画像形成装置に対して本発明を適用する場合について説明する。
【実施例1】
【0023】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像形成装置及び管理システム並びに管理プログラムについて、図3乃至図11を参照して説明する。図3は本実施例の管理システムの構成を模式的に示す図であり、図4は画像形成装置の構成を示すブロック図、図5は管理装置の構成を示すブロック図である。また、図6、7、9は、本実施例の管理システムの動作を示すフローチャート図、図8は、画像形成装置の動作状態とログの保存状態との関係を示す図であり、図10及び図11は、正常/異常の判定方法を示す図である。
【0024】
図3に示すように、本実施例の管理システムは、1又は複数の画像形成装置10と、画像形成装置10を管理する1又は複数の管理装置20とを含み、これらはLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークで接続されている。以下、画像形成装置10及び管理装置20について詳述する。
【0025】
[画像形成装置]
本実施例の画像形成装置10は、図4に示すように、制御部11と、印刷部12と、ネットワーク接続部13と、記憶部14と、表示・操作部15などを備え、各部はバスにより接続されている。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。CPUは、表示・操作部15の操作により、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置10の各部の動作を制御する。
【0027】
また、制御部11は、画像形成装置10の状態を示すログを第1記憶領域に逐次上書き保存する第1記憶制御部と、異常終了時に、第1記憶部14aに保存したログを第2記憶領域に保存(ここでは管理装置20に転送)する第2記憶制御部としても機能する。この第1記憶制御部及び第2記憶制御部はハードウェアとして構成してもよいし、画像形成装置10を第1記憶制御部及び第2記憶制御部として機能させる管理プログラムとして構成し、当該管理プログラムを制御部11で動作させる構成としてもよい。
【0028】
印刷部12は、転写紙に印刷する画像を形成する画像形成部、形成した画像を転写紙に転写する転写部、転写した画像を定着させる定着部、転写紙を搬送する搬送部、画像形成部や転写部、定着部をそれぞれクリーニングするクリーニング部などを備え、電子写真方式により、入力されたデータに基づいて、転写紙上に画像を形成して出力する。
【0029】
ネットワーク接続部13は、NIC(Network Interface Card)、モデム、LANアダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等により構成され、通信ネットワークを介して管理装置20との通信制御を行う。
【0030】
記憶部14は、フラッシュメモリやハードディスク等により構成され、各種データやプログラムを記憶する。本実施例では、特に、正常終了/異常終了にかかわらず全てのログを保存する第1記憶領域(第1記憶部14a)を備える。
【0031】
表示・操作部15は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などの表示部上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)を設けたものであり、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部11に出力する。
【0032】
[管理装置]
また、本実施例の管理装置20は、図5に示すように、制御部21と、記憶部22と、ネットワーク接続部23と、表示部24と、操作部25などで構成され、各部はバスにより接続されている。
【0033】
制御部21は、CPU、ROM、RAMなどにより構成される。CPUは、操作部25の操作により、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、管理装置20の各部の動作を制御すると共に、画像形成装置10から転送されたログを異常終了時のログとして第2記憶領域(第2記憶部22a)に保存する。
【0034】
また、制御部21は、画像形成装置10の電源状態を監視し、通信情報や環境情報に基づいて正常終了/異常終了を判定し、異常終了と判定した場合に、画像形成装置10の電源が再度オンになったときに、前回の停止が異常終了であったことを画像形成装置10に通知する判定部としても機能する。この判定部はハードウェアとして構成してもよいし、管理装置20を上記判定部として機能させる管理プログラムとして構成し、当該管理プログラムを制御部21で動作させる構成としてもよい。
【0035】
記憶部22は、フラッシュメモリやハードディスク等により構成され、各種データやプログラムを記憶する。本実施例では、特に、画像形成装置10の異常終了時のログを保存する第2記憶領域(第2記憶部22a)を備える。
【0036】
ネットワーク接続部23は、NIC、モデム、LANアダプタ、ルータ、TA等により構成され、通信ネットワークを介して接続される画像形成装置10との通信制御を行う。
【0037】
表示部24は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、各種画面を表示する。また、操作部25は、キーボードやマウス等からなり、各種操作などを可能とする。
【0038】
なお、図3乃至図5は本実施例の管理システムの一例であり、本発明の動作が可能な限りにおいて、その構成は適宜変更可能である。
【0039】
次に、本実施例の管理システムにおける画像形成装置の動作について、図6乃至図8を参照して説明する。
【0040】
[通常時のログ記憶制御]
第1記憶領域へのログ記録動作に際して、第1記憶領域に保存した異常終了時のログが新たなログによって上書きされるのを防止するために、本実施例では「ログ保存フラグ」を用いる。この「ログ保存フラグ」は所定の値をセットすることができ、制御部11のメモリ等に記憶される。
【0041】
そして、図6のフローチャート図に示すように、画像形成装置10が何らかの動作を行うか、あるいは画像形成装置10に何らかの状態変化が起こると(S201)、制御部11(第1記憶制御部)は、「ログ保存フラグ」がセットされているかを判断し(S202)、「ログ保存フラグ」がセットされていれば、ログを第1記憶領域(第1記憶部14a)に保存する(S203)。
【0042】
[異常終了時のログ記憶制御]
図7のフローチャート図に示すように、画像形成装置10の電源を投入すると、制御部11は、装置の初期化動作を行うと共に、「ログ保存フラグ」をリセットする(S301)。次に、制御部11は、ネットワーク接続部13を用いて管理装置20と交信し、管理装置20から前回の終了要因(正常終了/異常終了のどちらであったか)を取得する(S302)。
【0043】
そして、制御部11(第2記憶制御部)は、前回の終了要因が異常終了の場合(S303のYes)は、第1記憶領域(第1記憶部14a)に保存しているログ(複数のログを保存している場合は直近のログ)を異常ログとして管理装置20に転送する(S304)。その後、制御部11は、「ログ保存フラグ」をセットする(S305)。
【0044】
このように、「ログ保存フラグ」を用いることにより、図8に示すように、装置起動からログ保存までに起こる装置の動作によって上書きされてしまうログを保持することが可能となり、異常終了時のログを確実に管理装置20に転送することができる。
【0045】
次に、管理装置20の動作について、図9乃至図11を参照して説明する。
【0046】
[画像形成装置の監視及び異常終了時のログ記憶制御]
図9のフローチャート図に示すように、管理装置20の制御部21(判定部)は、画像形成装置10の電源状態を監視し、電源オフを検知すると(S401のYes)、そのときの画像形成装置10の使用環境から終了要因(正常終了か異常終了か)を判定する。この終了要因の判定については後述する。
【0047】
次に、制御部21(判定部)は、画像形成装置10の電源状態を監視し、電源オンを検知すると(S403のYes)、画像形成装置10に判定した終了要因を通知する(S404)。
【0048】
次に、制御部21は、画像形成装置10に異常終了を通知したかを判断し(S405)、異常終了を通知した場合は、画像形成装置10から異常終了時のログを取得し(S406)、取得した異常終了時のログを第2記憶領域(第2記憶部22a)に記憶する(S407)。
【0049】
次に、上記ステップS402の終了要因の判定方法について、2つの例を示す。
【0050】
[通信情報を用いた異常検知]
図10に示すように、管理装置20から画像形成装置10にメッセージを送信し、画像形成装置10はその応答メッセージを管理装置20に返すようにして、画像形成装置10と管理装置20間で定期的に通信を行う。また、画像形成装置10は、通信を終了する際に、応答メッセージとして通信終了を示すメッセージ(終了通知)を送るようにする。
【0051】
そして、管理装置20の制御部21(判定部)は通信状況を監視し、(a)に示すように、終了通知を受け取った後に通信が途切れた(画像形成装置10の電源オフを検知した)場合には正常終了と判断し、(b)に示すように、終了通知を受け取ることなく通信が途切れた(画像形成装置10の電源オフを検知した)場合には異常終了と判断する。
【0052】
[環境情報を用いた異常検知]
また、環境情報を用いて異常検知を行うことも可能である。例えば、画像形成装置10が使われている部屋で多くの人が作業を行っている状態で、正常時に画像形成装置10の電源をオフすることは起こりにくいことから、このような状況での電源オフを異常終了とみなすことができる。そこで、管理システムに各種センサを設け、その各種センサからの情報を管理装置10が取得できるようにする。
【0053】
その場合の動作として、図11のフローチャート図に示すように、管理装置20の制御部21(判定部)は、各種センサから環境情報を取得する(S501)。この環境情報として、例えば、入退室管理装置から取得する部屋の残人数情報、電力監視装置から取得する部屋の電力使用量、画像形成装置10の使用許可/不許可を判断するサーバから取得するログイン人数などがある。
【0054】
次に、制御部21(判定部)は、取得した環境情報と予め記憶部22などに記憶した基準値とを比較し(S502)、その結果に応じて異常終了と判定(S503)若しくは正常終了と判定(S504)する。例えば、上記例では、部屋の残人数や電力使用量、サーバへのログイン人数が基準値よりも多ければ異常終了と判定し、少なければ正常終了と判定する。なお、ここでは取得した環境情報が基準値より大きい場合に異常終了と判定しているが、この判定は用いるセンサによって異なり、環境情報が基準値より大きい場合に正常終了と判定する場合もある。
【0055】
このように、管理装置20では、通信情報又は環境情報に基づいて画像形成装置10の終了要因を判定し、判定した終了要因を次回の電源オン時に画像形成装置10に送信し、画像形成装置10から送信されるログを異常時のログとして第2記憶領域に保存する制御を行うため、確実に異常時のログを保存することができる。
【実施例2】
【0056】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像形成装置及び管理システム並びに管理プログラムについて、図12乃至図14を参照して説明する。図12は、本実施例の画像形成装置の構成を示すブロック図であり、図13及び図14は、本実施例の画像形成装置の動作を示すフローチャート図である。
【0057】
前記した第1の実施例では、管理装置20の記憶部22に異常終了時のログを保存する構成としたが、管理システムを画像形成装置10単独で構成することも可能である。その場合、図12に示すように、画像形成装置10の記憶部14に第1記憶領域(第1記憶部14a)に加えて第2記憶領域(第2記憶部14b)を設けると共に、制御部11を第1記憶制御部、第2記憶制御部及び判定部として機能させる(若しくは、制御部11を第1記憶制御部、第2記憶制御部及び判定部として機能させる管理プログラムを実行する)。
【0058】
以下、画像形成装置10の動作について、図12及び図13のフローチャート図を参照して説明する。なお、通常のログ記憶制御は第1の実施例の図6と同様であるため、説明は省略する。
【0059】
[通常動作]
本実施例では、画像形成装置10側で前回の終了要因が正常であったか異常であったかを判定する必要があるため、「正常終了フラグ」を用いる。この「正常終了フラグ」は所定の値をセットすることができ、制御部11のメモリ等に記憶される。
【0060】
そして、図13のフローチャート図に示すように、画像形成装置10の起動から終了までの動作を行い(S601)、通常の終了シーケンスに従って終了した場合は、制御部11は、「正常終了フラグ」をセットする(S602)。
【0061】
[異常終了時のログ記憶制御]
図14のフローチャート図に示すように、画像形成装置10の電源を投入すると、制御部11は、装置の初期化動作を行うと共に、「ログ保存フラグ」をリセットする(S701)。次に、制御部11(判定部)は、「正常終了フラグ」がセットされているかを判断する(S702)。
【0062】
そして、判定の結果、終了要因が異常終了の場合(S702のNo)は、制御部11(第2記憶制御部)は、第1記憶領域(第1記憶部14a)に保存しているログ(複数のログを保存している場合は直近のログ)を異常時のログとして第2記憶領域(第2記憶部14b)に保存する(S703)。
【0063】
その後、制御部11は、「正常終了フラグ」をリセットした後(S704)、「ログ保存フラグ」をセットする(S705)。
【0064】
このように、本実施例では、画像形成装置10の記憶部14に全てのログを逐次保存する第1記憶領域(第1記憶部14a)と異常終了時のログのみを保存する第2記憶領域(第2記憶部14b)を設け、画像形成装置10の制御部11では、「正常終了フラグ」を利用して前回の終了要因を判定し、異常終了と判定した場合には第1記憶領域に保存しているログを異常時のログとして第2記憶領域に保存するため、確実に異常終了時のログを保存することができる。
【実施例3】
【0065】
次に、本発明の第3の実施例に係る画像形成装置及び管理システム並びに管理プログラムについて、図15及び図16を参照して説明する。図15は、本実施例の管理装置の構成を示すブロック図であり、図16は、本実施例の管理装置の動作を示すフローチャート図である。
【0066】
前記した第1及び第2の実施例では、第1記憶領域を画像形成装置10に設ける構成としたが、この第1記憶領域は、図15に示すように、管理装置20(又は、通信ネットワークに接続される他の装置)に設けることも可能である。その場合、制御部21を第1記憶制御部、第2記憶制御部及び判定部として機能させる(若しくは、制御部21を第1記憶制御部、第2記憶制御部及び判定部として機能させる管理プログラムを実行する)。以下、第1記憶領域を管理装置20に設けた場合の管理装置20の動作について説明する。
【0067】
図16のフローチャート図に示すように、管理装置20の制御部21は、画像形成装置10の電源状態を監視し、電源オンを検知すると(S801のYes)、画像形成装置10に対してログの送信要求を行う(S802)。
【0068】
ログの送信要求に対して画像形成装置10はログを出力し、制御部21(第1記憶制御部)は、ログを取得したら(S803)、取得したログを第1記憶領域(第1記憶部22b)に保存する(S804)。そして、制御部21は、画像形成装置10の電源状態を監視し(S805)、電源オフを検知するまでログの取得を繰り返し、電源オフを検知したらステップS806に移行する。なお、ここでは管理装置20からログの送信要求を行って画像形成装置10が応答する構成としたが、画像形成装置10からログを送り続け、管理装置20がログを受け取ったら第1記憶領域に保存するようにしてもよい。
【0069】
次に、制御部21(判定部)は、終了要因の正常/異常判定を行う(S806)。この判定は前記した第1の実施例と同様に、通信情報又は環境情報に基づいて行うことができる。
【0070】
そして、異常終了と判定した場合(S807のYes)は、制御部21(第2記憶制御部)は、第1記憶領域(第1記憶部22b)に保存しているログ(複数のログを保存している場合は直近のログ)を異常ログとして第2記憶領域(第2記憶部22a)に保存する(S808)。
【0071】
このように、本実施例では、管理装置20の記憶部22に全てのログを逐次保存する第1記憶領域(第1記憶部22b)と、異常終了時のログのみを保存する第2記憶領域(第2記憶部22a)を設け、第1記憶領域にログを逐次、保存すると共に、通信情報又は環境情報に基づいて画像形成装置10の終了要因を判定し、異常終了と判定した場合に第1記憶領域のログを異常時のログとして第2記憶領域に保存する制御を行うため、確実に異常時のログを保存することができる。
【0072】
なお、上記各実施例では、画像形成装置10の異常終了時のログを保存する場合について記載したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、任意の装置の特定の状態のログを保存する場合に対して、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、画像形成装置などの被管理装置及び当該被管理装置の状態を管理する管理装置、並びにこれらの装置で動作する管理プログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 画像形成装置
11 制御部
12 印刷部
13 ネットワーク接続部
14 記憶部
14a 第1記憶部
14b 第2記憶部
15 表示・操作部
20 管理装置
21 制御部
22 記憶部
22a 第1記憶部
22b 第2記憶部
23 ネットワーク接続部
24 表示部
25 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記憶領域及び第2記憶領域を備える被管理装置において、
自装置の状態が変化したときに、自装置の状態を示す装置情報を逐次、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部と、
前回の自装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定する判定部と、
前記判定部が異常終了と判定した場合に、前記第1記憶領域に保存している装置情報を前記第2記憶領域に保存する第2記憶制御部と、を少なくとも備えることを特徴とする被管理装置。
【請求項2】
前記装置情報が前記第2記憶領域に保存された後に設定され、自装置の起動時に設定が解除される第1フラグが設けられ、
前記第1記憶制御部は、前記第1フラグが設定されている場合に、前記装置情報を前記第1記憶領域に保存することを特徴とする請求項1に記載の被管理装置。
【請求項3】
自装置が正常なシーケンスに従って終了した場合に設定され、前記装置情報が前記第2記憶領域に保存された後に設定が解除される第2フラグが設けられ、
前記判定部は、前記第2フラグが設定されていない場合に、自装置が異常終了したと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の被管理装置。
【請求項4】
第1記憶領域を備える被管理装置と、第2記憶領域を備える管理装置と、が通信ネットワークで接続されてなる管理システムにおいて、
前記被管理装置は、
自装置の状態が変化したときに、自装置の状態を示す装置情報を逐次、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部と、
前記第1記憶領域に保存している装置情報を前記管理装置の前記第2記憶領域に転送する第2記憶制御部と、を少なくとも備え、
前記管理装置は、
前回の前記被管理装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定して前記被管理装置に通知する判定部、を少なくとも備え、
前記第2記憶制御部は、前記管理装置の前記判定部から異常終了が通知された場合に、前記装置情報の転送を行うことを特徴とする管理システム。
【請求項5】
前記被管理装置には、前記装置情報が前記管理装置に転送された後に設定され、自装置の起動時に設定が解除される第1フラグが設けられ、
前記第1記憶制御部は、前記第1フラグが設定されている場合に、前記装置情報を前記第1記憶領域に保存することを特徴とする請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
被管理装置と、第1記憶領域及び第2記憶領域を備える管理装置と、が通信ネットワークで接続されてなる管理システムにおいて、
前記管理装置は、
前記被管理装置から、当該装置の状態が変化したときに逐次、転送される、当該装置の状態を示す装置情報を取得し、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部と、
前回の前記被管理装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定する判定部と、
前記被管理装置の電源オフを検知し、かつ、前記判定部が異常終了と判定した場合に、前記第1記憶領域に保存されている装置情報を前記第2記憶領域に保存する第2記憶制御部と、を少なくとも備えることを特徴とする管理システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記被管理装置から終了通知を受け取った後に前記管理装置と前記被管理装置との定期通信が途切れたことを検知した場合は、正常終了と判定し、前記被管理装置から前記終了通知を受け取らずに前記定期通信が途切れたことを検知した場合は、異常終了と判定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一に記載の管理システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記被管理装置の動作環境情報を取得し、前記動作環境情報と予め記憶した基準値との比較結果に基づいて、正常終了/異常終了を判定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一に記載の管理システム。
【請求項9】
第1記憶領域及び第2記憶領域を備え、被管理装置と通信ネットワークで接続されるコンピュータ装置で動作する管理プログラムであって、
前記コンピュータ装置を、
前記被管理装置から、当該装置の状態が変化したときに逐次、転送される、当該装置の状態を示す装置情報を取得し、前記第1記憶領域に保存する第1記憶制御部、
前回の前記被管理装置の終了状態が正常終了であるか異常終了であるかを判定する判定部、
前記被管理装置の電源オフを検知し、かつ、前記判定部が異常終了と判定した場合に、前記第1記憶領域に保存している装置情報を前記第2記憶領域に保存する第2記憶制御部、として機能させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項10】
前記判定部は、前記被管理装置から終了通知を受け取った後に前記管理装置と前記被管理装置との定期通信が途切れたことを検知した場合は、正常終了と判定し、前記被管理装置から前記終了通知を受け取らずに前記定期通信が途切れたことを検知した場合は、異常終了と判定することを特徴とする請求項9に記載の管理プログラム。
【請求項11】
前記判定部は、前記被管理装置の動作環境情報を取得し、前記動作環境情報と予め記憶した基準値との比較結果に基づいて、正常終了/異常終了を判定することを特徴とする請求項9に記載の管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−258498(P2010−258498A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102734(P2009−102734)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】