説明

被膜された基板を製造する方法

本発明は、材料処理された基板を製造する方法に関し、a)少なくとも1つの基板を排気された真空容器の中へ入れ、b)基板の処理されるべき表面を、その表面で吸着される反応性ガスに暴露し、c)反応性ガスへの表面の暴露を終了し、d)表面に吸着された反応性ガスを反応させる方法であって、d1)反応性ガスが吸着されている表面を、0eV<EIO≦20eVの基板表面におけるイオンエネルギEIOと、0eV<Eeo≦100eVの電子エネルギEeoとで低エネルギのプラズマ放電に暴露し、d2)吸着されている反応性ガスを、少なくとも、プラズマ生成されたイオンと電子の相互作用の下で反応させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料処理された基板を製造する方法であって、
a)少なくとも1つの基板を排気された真空容器の中へ入れ、
b)基板の処理されるべき表面を、その表面で吸着される反応性ガスに暴露し、
c)反応性ガスへの表面の暴露を終了し、
d)表面に吸着された反応性ガスを反応させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、US5916365から公知となっている。その場合には、周囲に対してプロセス空間を区切るセラミック製の容器壁を備える、排気された真空容器の中に基板を入れる。
【0003】
被膜されるべき基板表面は、この表面で吸着される第1の反応性ガスに暴露される。引き続いて反応性ガスをポンプで排気することで、反応性ガスへの表面の暴露が終了する。
【0004】
次いで、第2の反応性ガスが導入され、真空容器の外部に設けられたコイル機構によって、容器内に高周波電磁界が生成される。それにより、導入された第2の反応性ガスの少なくとも一部が活性化されてラジカルになり、表面に吸着されている第1の反応性ガスは、高周波磁界の作用によって生成されるこのラジカルとのみ反応する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、被膜されるべき基板表面に原子の単層を蒸着することを前提としながらも、蒸着可能な単層の多様性に関してはるかに広い利用柔軟性を備えている、冒頭に述べた種類の方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で材料処理という用語を用いている理由は、前述した単層が、薄膜の意味における閉じた層として蒸着していなくてもよく、蒸着される原子の密度は、閉じた層の形成に必要であるよりもはるかに少なくてよいからである。ただし希望する場合には、閉じた単層が形成されるように材料処理を行うことも十分に可能であり、この場合には薄膜の意味となる。
【0007】
このことは、本発明によれば次のようにして達成され、すなわち、
1)反応性ガスが吸着されている表面を、
0<EIO≦20eV
の基板表面におけるイオンエネルギEIOと、
0eV<Eeo≦100eV
の電子エネルギEeoとで、低エネルギのプラズマ放電に暴露し、
2)吸着されている反応性ガスを、少なくとも、プラズマ生成されたイオンと電子の相互作用のもとで反応させる。
【0008】
吸着されているガスが、定義上は電気的に中性のラジカルによってのみ反応する前掲のUS5916365とは異なり、本発明では、表面に吸着されている反応性ガスが、少なくとも、低エネルギのプラズマ放電で生成されたイオンと電子の作用によって穏やかに反応する。それにより、低エネルギの希ガスイオンと電子の「穏やかな」相互作用だけによって、もしくは他の反応性ガスイオンの同様の作用だけによって、他の反応性ガスのラジ
カルが表面で作用しなくても、吸着されているガスを本質的に安定化させることが可能になる。
【0009】
前掲のUS5916365には、反応性ガス混合雰囲気の中でのグロー放電を利用して薄層を蒸着することが公知であるがこれは満足のいく成膜にはつながらない旨が記載されているが、本明細書では、吸着されている反応性ガスまたは反応性混合ガスに対するイオンと電子の作用を生成することに加えて、プラズマ放電中で第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスを活性化させてラジカルとイオンにし、吸着されている反応性ガスまたは反応性混合ガスを、プラズマ活性化によって生成される、それ自体電気的に中性のラジカルならびに反応性ガスイオンとも追加的に相互作用させるために、本発明で作用されるプラズマ放電をどのように形成しなければならないかについて以下に説明していく。
【0010】
いずれにせよ電気的に帯電している粒子が吸着されているガスの反応に関与することになるので、反応を制御することができ、特に、電界および/または磁界によって反応の分散を制御することができる。ただし、それによってラジカルの挙動そのものに影響が及ぼされることはない。
【0011】
有利な実施形態では、基板表面におけるイオンエネルギEIは、
0eV<EI≦15eV
の範囲までさらに低減される。さらに、吸着されている反応性ガスは、反応性混合ガスであってもまったく構わない。さらにプラズマ放電は、希ガス雰囲気、有利にはアルゴン雰囲気の中で維持されるか、または、他の反応性ガスまたは反応性混合ガスを含む雰囲気の中でプラズマ放電が生成される。この場合、この他の反応性ガスまたは反応性混合ガスは、次のガスのうち少なくとも1つを含んでいるのが好ましい:
水素、窒素、酸素、有利には水素、あるいは水素ガスからなる反応性ガスまたは反応性混合ガス。
【0012】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、真空容器は圧力pvまで排気され、この圧力については次式が成立する:
10-11mbar≦pv≦10-8mbar
それにより、基板が中に入る真空雰囲気に由来する汚染物質が表面に付着して、障害になるということが事実上あり得ないことが保証される。
【0013】
他の有利な実施形態では、表面に吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスは分圧Ppまで導入され、この分圧については次式が成立する:
10-4mbar≦pp≦1mbar
表面に吸着される反応性ガスまたは反応性混合ガスの量は、この表面の暴露から暴露終了までの時間によって、ある程度まで制御することができる。この場合、基本的に、飽和の力学について特徴的な時間定数を含む、飽和値に向かって進行する指数関数を前提とすることができる。この時間定数は、必要な場合には、表面の加熱または冷却によって制御することができる。
【0014】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスへの表面の暴露は、反応性ガスまたは反応性混合ガスを含む排気された真空容器から、他の排気された真空容器へと基板を移すことによって終了される。この他の排気された真空容器で、残りの方法ステップが実行される。このことは、第1の真空容器がガス吸着にのみ用いられ、したがって汚染がない状態に保たれるのに対して、他の真空容器は、吸着されたガスのプラズマ放電反応のために用いられるという利点がある。
【0015】
この方式では、たとえば中央に他の真空容器を設けることが可能であり、この他の中央の真空室の周囲にグループ化された固有の「吸着」容器の中で、場合により異なる反応性ガスまたは反応性混合ガスが事前に吸着している基板がプラズマ放電でさらに処理される。それにより、場合により異なる多数の原子単層からなる複雑な薄層システムを、層ごとに積み重ねていくことができる。
【0016】
ここで、多くの場合では、中央のプラズマ反応容器の中で、前述した低エネルギ放電を用いて異なる原子の単層または同一原子の単層を連続的に蒸着するために、同一の第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスを使うことができ、すなわち特に、有利には窒素および/または水素および/または酸素、特に有利には水素を使うことができる。また逆に、吸着された反応性ガスまたは反応性混合ガスをプラズマ中で反応させるために、他の真空容器のいくつかを「吸着」容器に割り当てることができ、すなわちこれは、特に、吸着ステップがプラズマ中の反応ステップよりも時間的に短い場合に当てはまる。
【0017】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスへの表面の暴露は、排気された真空容器から、残りの反応性ガスまたは反応性混合ガスをポンプで排気することによって終了する。
【0018】
この場合、このポンプ排気は、真空容器内の全圧pv’に達するまで行うのが好ましく、この全圧については次式が成立する:
10-11mbar≦pv’≦10-8mbar
換言すると、反応性ガス暴露の終了時には、ガス暴露の前に生じていると同じ圧力状況、すなわち超高真空状況が再び設定される。
【0019】
前述のように、基板が他の真空容器に移されることによって吸着ステップの終了が具体化される場合、希ガス分圧および/または第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスの分圧を除いて、前述した残留ガスの超高真空の圧力状況が同じく設定される。
【0020】
プラズマ生成されたイオンおよび電子との相互作用の下での、吸着された反応性ガスまたは反応性混合ガスの反応は、前述した種類の低エネルギプラズマの利用に基づき、タイムクリティカルではない。このプロセスも、少なくとも近似的に、同じく漸近値に関して指数関数的に進行する。プラズマ処理が少なくとも所定の最短時間の間維持されれば、その後、この場合には閉じている、生成された原子単層を著しく損なうことなく、この処理を引き続いて維持することができる。このことは、たとえば追加的な表面処理ステップの複雑な手順に組み込まれる本発明の方法の自動化やサイクルにとって、根本的な利点を有している。
【0021】
本発明による方法を方法ステップd2)の後で中断すると、吸着量(暴露時間制御)および/または吸着に利用される気体原子の量ならびにプラズマ作用(プラズマ処理時間および/またはプラズマ強度)および/または第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスの利用(ラジカルとイオンの形成)に応じて、閉じた原子単層にまで至る、異なる密度の原子単層が生じる。閉じた原子単層を希望しない場合には、実質的にイオンプレーティング技術や接種技術の意味で、基板表面またはすでに蒸着されている閉じた原子単層の上に、下層と同じ種類または違う種類または違う材料の「分散した」原子だけを蒸着するという可能性が与えられる。
【0022】
この方法の他の有利な実施形態では、少なくとも方法ステップb)〜d2)が少なくとも2度実施され、それにより、少なくとも2つの原子単層が相上下して蒸着される。この場合、表面吸着される反応性ガスまたは反応性混合ガスを単層ごとに変えることができ、場合によっては、プラズマ放電雰囲気の中で使用される第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスも同様であるので、単層として、的確に異なる層を蒸着することができる。このときエピタキシャル層を希望する場合には、ヘテロエピタキシャル層が生じる。すべての層に同じ材料を蒸着すると、エピタキシャル成長の場合、ホモエピタキシが生じる。
【0023】
しかしながら、他の有利な実施形態において、ステップd2)を少なくとも1回実施した後、すなわちそれが1回目であれ、サイクルb)〜d2)を複数回実施する場合のn回目であれ、その結果として生じた表面に、真空技術であれ湿式化学または電気分解であれ何らかの公知の被覆方法で、他の材料を蒸着することが原則として可能である。
【0024】
本発明による方法の格別に有利な他の実施形態では、前記表面が、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスに暴露される前に、この表面が、前記表面における次式が成立するイオンエネルギで、低エネルギの希ガスプラズマ、有利にはアルゴンプラズマに暴露される:
0eV<EI1≦20eV
有利には、
0eV<EI1≦15eV
電子エネルギEelは、
0eV 0<Eel≦100eV
それにより、再度ガスが吸着する表面に、所定の表面状態がつくり出される。
【0025】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスに前記表面を暴露する前に、この表面を、他の反応性ガスを含んでいる雰囲気の中で低エネルギプラズマ放電に暴露し、このとき、基板表面におけるイオンエネルギについては次式が成立する:
0eV<EI2≦20eV
有利には、
0eV<EI2≦15eV
電子エネルギEe2は、
0eV<Ee2≦100eV
この場合にも、一方では、再度ガスが吸着する表面に所定の表面状態がつくり出され、そのうえ前記表面が洗浄される。このことは特に、他の反応性ガスとして、水素、窒素、酸素のうち少なくとも1つの気体を優先して使用する場合に当てはまる。このとき、水素を含む雰囲気、有利には、場合により特にアルゴンのような希ガスに加えて水素からなる雰囲気を採用する格別に好ましい。
【0026】
次に、ガス吸着および吸着したガスの反応の後で行われる方法ステップについて考察する。
【0027】
格別に有利な実施形態では、吸着した反応性ガスまたは反応性混合ガスの反応の後、表面における次のイオンエネルギEI3で、低エネルギ希ガスプラズマに、有利にはアルゴンプラズマに、表面を暴露する。
【0028】
0eV<EI3≦20eV
有利には、
0eV<EI3≦15eV
電子エネルギEe3は、
0eV<Ee3≦100eV
本発明による方法の他の有利な実施形態では、吸着された反応性ガスの前記反応の後、他の反応性ガスまたは反応性混合ガスを含んでいる雰囲気中で表面を低エネルギプラズマ放電に暴露し、ここで、基板表面におけるイオンエネルギEI4について次式が成立する:
0eV<EI4≦20eV
有利には、
0eV<EI4≦15eV
電子エネルギEe4については次式が成立する:
0eV<Ee4≦100eV
この場合にも、他の反応性ガスとしては水素、窒素、酸素のうちいずれか1つの気体を用いるのが好ましく、特に水素を使用するのが好ましい。
【0029】
この場合、この他の反応性ガスの反応によって、真空容器の内面も洗浄される。
【0030】
前述のように、吸着された反応性ガスの反応についても、特に水素、窒素、酸素のうち少なくとも1つの気体を含む反応性ガスまたは反応性混合ガスの中で、格別に有利には少なくとも優位な水素割合で、プラズマ放電が維持されれば、この場合にも真空容器の内面が同時に洗浄され、しかも、ポンプ排気だけによって可能である以上に迅速、清浄、かつ所定の仕方で洗浄される。
【0031】
特に反応性ガス吸着に先立つプラズマ処理方法の選択によって、再度ガスが吸着する表面の状態に少なくとも一要因として影響が与えられる。それにより、エピタキシャル成層が生じるか、それとも、洗浄されていないアモルファス多結晶の基板表面の場合にはアモルファス成層または多結晶成層が生じるかにも影響が及ぼされる。基板表面温度によっても、この点に関する成長特性に影響を与えることができる。
【0032】
材料処理された基板を製造する本発明の方法により、格別に有利には、次の材料のうち少なくとも1つによる処理が行われる:
Si,Ge,Ti,Ta,Hf,Zr,Al,Nb,Wの酸化物または窒化物または酸窒化物、および/または次の金属:
Al,Ti,Cu,W,Ta,またはこれらの材料の混合物。格別に有利には、この表面処理は次の材料の少なくとも1つで行われる:
酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化ジルコン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化タングステン、(TaSi)xy
【0033】
本発明による方法のさらに有利な他の実施形態では、基板の表面を取り囲むプロセス雰囲気が、ステップb)およびc)および/またはd)〜d2)で構成される段階の少なくとも1つの間、周囲に位置する真空容器の内壁から分離される。したがってこの分離は、被膜されるべき表面が反応性ガスまたは反応性混合ガスに吸着のため暴露されている間に(この暴露が終了するまで)行われ、および/または、吸着されたガスの反応中に行われる。
【0034】
ここでの基本的な知見は、周囲圧力に対して必要な真空技術上の圧力状況を保証する構造物と、処理プロセスに直接暴露される構造物との機能的な分離は、高い純度要求の観点から、および/または本発明の方法を自動化された製造フローへ最善に組み込むという観点から、根本的な利点をもたらすということである。
【0035】
これ以前にもこれ以後にも、基板の処理されるべき表面という表現を使っている場合には、すでに処理または被膜されている基板の表面も意味している。本発明の方法が格別に適している次の例を挙げておく:
誘電性の、特にSiO2層で基板を被膜すると想定する。ここでは詳しい関心の対象外であるエッチングステップにより、たとえば1:10の深さ・幅の比率をもつ通路、たとえば幅が50nmの通路を、前述の誘電材料からなる層に刻設する。この通路は、導電性材料、特に銅とともにいわゆる「インターコネクト」を形成するために、たとえば電気分解で充填するためのものである。付着に至らない誘電性表面への特に銅の蒸着は、極めて問題が大きい。そこで本発明では、通路を含めた誘電性層の表面に、誘電性材料と導電性材料をつなぐ付着仲介層として、原子単層を少しだけ含んでいるライナーを蒸着する。この層は極めて密度が低いので、前記インターコネクト通路の導体断面積を無視することができる。このような付着仲介層は、ライナー層または「シード層」として知られている。
【0036】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、基板表面(場合により基板被膜表面を含む)が、反応性ガスまたは反応性ガスの吸着ステップおよび/または反応の前に、プラズマ支援による洗浄ステップを適用することによって洗浄され、この洗浄ステップでは、洗浄プロセス空間に導入された(有利には水素を少なくとも含む)反応性ガスまたは反応性混合ガスが、基板表面における次のイオンエネルギErで低エネルギプラズマ放電により活性化される。
【0037】
0eV<Er≦20eV
有利には、
0eV<Er≦15eV
電子エネルギEerは、
0eV<Eer≦100eV
この少なくとも1つの洗浄ステップを含む、本発明による方法の有利な実施形態では、洗浄ステップの間洗浄プロセス雰囲気が金属のカプセル封止によって、周囲に位置する洗浄真空容器の内壁から分離され、もしくは(この方が有利であるが)このプロセス雰囲気が、周囲に位置する洗浄真空容器の内壁を直接仕切っている。
【0038】
後述するように、本発明に基づいて採用されるステップb)およびc)および/またはd)〜d2)の方法段階が、周囲圧力が印加される通常の金属壁から誘電性材料によって分離されたプロセス雰囲気の中で実施されるのが好ましいことを考慮するならば、上述の手順により、前記洗浄ステップによってさらなる低コストな解決法が採用されることは明らかである。この場合、特に、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスに基板表面を初めて暴露する前の洗浄ステップは、かなりの容器壁部の汚染につながる可能性があることに注意すべきである。
【0039】
既述のように、有利な実施形態では、ステップa)〜d2)のただ1回の手順進行によって、場合により的確に調整された密度から、閉じた層に至るまで、ただ1つの原子単層が表面に蒸着される。他の有利な実施形態では、ステップb)〜d2)を反復することで、多層のたとえばエピタキシャル層を成長させる。この場合、そのつど同一の吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスを使うと、このことは(単結晶の洗浄された表面では)エピタキシャル成長の場合にはホモエピタキシャル層につながり、吸着されるべき反応性ガスを、所定数の単層が蒸着されるごとに変更すると、このことは、極めて薄いヘテロエピタキシャル層につながる。
【0040】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、特に複数の基板で連続的にステップb)〜d2)までの手順を所定回数だけ実施した後、真空容器のプロセス空間に、プラズマ支援によるプロセス空間洗浄ステップを、基板を中に入れることなく施し、もしくは場合により基板の原寸模型を真空容器に入れて施し、このプロセス空間洗浄ステップは最初にエッチングステップを含んでいるのが好ましく、その後に、有利には水素でのプラズマ、希ガス、あるいはこれらの混合気の中での洗浄ステップを含む。
【0041】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、ステップa)の前および/またはステップd2)の後に、前記真空容器から場所的に切り離して基板洗浄ステップを実施し、このとき、前記真空容器と洗浄容器の間の基板の搬送を真空中で行う。
【0042】
この場合、この搬送は少なくとも区間的に直線状に具体化されるのが好ましく、あるいは(この方が格別に有利であるが)円軌道に沿って前記容器まで直線状の供給運動で具体化され、有利には、円軌道に関して半径方向の運動成分で具体化される。
【0043】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、ステップb)およびc)および/またはd)〜d2)を含む段階の間、プロセス雰囲気が、周囲に位置する真空容器の内壁から分離され、すなわち、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスに対して、および/またはプラズマ活性化される第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスに対して、新品状態のときに化学的に不活性な表面によって分離され、有利には誘電性の表面またはグラファイトの表面によって分離される。
【0044】
このとき他の有利な実施形態では、不活性の表面は、大半の面区域に沿って真空容器の内壁から間隔を置いている、分離壁の表面として設計される。分離のための表面は、新品状態のとき、次の材料のうち少なくとも1つで具体化されるのが好ましい:
石英、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコン、またはこれらの材料の積層された組み合わせ。この場合にはダイアモンドに類似する炭素またはダイアモンドを含んでよい。
【0045】
本発明による方法の極めて有利な他の実施形態では、プラズマ放電が、50eV以上の電子エネルギをもつ電子ソースによって具体化され、この場合、有利にはDC放電によって具体化される。
【0046】
さらに、これは熱陰極によって実現されるのが好ましく、有利には直接的に加熱される熱陰極によって実現される。
【0047】
前記プラズマ放電のための真空容器のプロセス空間に、有利には少なくとも2つの場所的にオフセットされた、有利にはそれぞれ加熱される陽極を、有利にはそれぞれ別個に電気的に操作可能な状態で設け、それぞれこれに印加される電位および/または陽極温度を制御または調節することによって、プラズマ密度分布が表面に沿って静的または動的に調整または制御される。このとき、他の有利な実施形態では、プラズマ放電のための陰極から陽極までの区間が実質的に垂直に、かつ有利には前記表面に対して中心に配置される。
【0048】
本発明による方法の他の有利な実施形態では、プラズマ放電が生成されている間プロセス空間に磁界が生成され、この磁界によって、プラズマ密度分布が表面に沿って定常的および/または動的に調整または制御される。このとき、プラズマ密度分布は少なくとも場所的に揺れ動くのが好ましく、プラズマ中で定置に保たれる基板が放電に対して運動する場合のような効果が生まれる。
【0049】
さらに、少なくとも吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスは、有利には基板表面と実質的に平行な流入方向で、さらに有利には基板表面から等間隔な吹込み個所から、プロセス空間中に分散された状態で導入されるのが好ましい。この方法の格別に有利な実施形態では、基板は、シリコン層に通路が刻設された酸化ケイ素被覆基板によって構成され、この場合、ステップd2)をn回実施した後に通路に銅を蒸着する。このとき、nは少なくとも1よりも大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に、図面を参照しながら本発明について説明する。
【0051】
図1には、本発明の方法を実施するのに有利な型式Iのプロセスモジュールが模式的に図示されている。真空容器3の室壁1が、プロセス空間PRを取り囲んでいる。プロセス空間PRには基板支持体5が設けられている。プロセス空間PRは、ポンプ接続部11を介して、真空ポンプ13で模式的に図示しているように、本発明による製造方法を実施するために要求される次の圧力pvになるように排気される。
【0052】
10-11mbar≦pv≦10-8mbar
この容器の構造は、UHV条件(たとえば金属で密閉された真空ボイラ、加熱可能)を満たしている。通常はステンレス鋼またはInoxからなる室壁1の、プロセス空間PRのほうを向いている表面の、ほぼ大部分の表面領域は、後述するように、不活性材料で製作されている。そのために、図1に示す型式Iのプロセスモジュールの実施形態では、室壁1は前記不活性材料で内面被覆されており、あるいは室壁1の内部に、少なくとも前記不活性材料からなる内側表面を備える壁材が取り付けられる。このような被覆、またはこのような不活性材料表面は、図1には符号15が付されている。
【0053】
最初にも説明したように、本発明による製造プロセスは、それ自体必ずしも同一の真空容器で実施しなくてもよい2つの段階を含んでおり、すなわち次の各段階を含んでいる。・段階1、Ph1:吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスに、暴露の終了まで基板表面を暴露する。
・段階2、Ph2:低エネルギプラズマ放電に基板表面を暴露し、それによって、吸着されている反応性ガスを反応させる。
【0054】
このとき、Ph2でのプラズマ放電が、最初に特定したようなイオンエネルギEをもつ低エネルギプラズマ放電として構成されている場合、プラズマ放電が内部で維持される雰囲気は、第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスを含み、特に、有利には水素および/または窒素および/または酸素を含む。
【0055】
図1に示す型式Iのプロセスモジュールは、段階Ph1および/またはP2を実施するのにとりわけ適している。図1では、(模式的に図示しているように)ガス供給部7が真空容器3のプロセス空間PRに通じている。選択スイッチSaで模式的に示すように、供給配管7は容器3で段階Ph1だけを実施するために、基板表面によって吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスR1を含むガスタンク機構9Ph1と接続されている。
【0056】
それに対して、段階Ph2を実施するためにだけ真空容器3を利用するときは、供給配管7は、一方では希ガス、特にアルゴンArを含んでおり、および/または(破線で図示するように)第2の反応性ガスR2、有利には水素、酸素、および/または窒素を含んでいるガスタンク機構9Ph2と接続される。
【0057】
真空容器3で段階Ph1と段階Ph2を両方とも実施するときは、図1に時間制御ユニット10および切換器12で図示するように、ガスタンク9Ph1および9Ph2がいずれも所定の時間的順序で供給配管7につながれる。
【0058】
さらに真空容器3には、ブロック10Ph2に図示するように、Ph2が単独で、もしくはPh1と組み合わされて真空容器3で実施される場合、プラズマ放電ギャップPL、すなわち低エネルギのプラズマ放電ギャップが設けられている。図1の図面を参照するとわかるように、ブロック10ph2への二重矢印は、プラズマ放電ギャップが容器3に組み込まれていることを意味しており、二重線で図するブロックSaは、型式Iのプロセスモジュールを具体化するときに、このブロックが代替になることを模式的に表している。
【0059】
段階Ph1では、基板が基板支持体5の上に設置された後、供給配管7を介して反応性ガスまたは反応性混合ガスR1が導入され、基板の表面で吸着される。次いで、同一の容器3であれ相応に構成された他の容器3でであれ、基板を段階Ph2に供給する。いずれの場合でも吸着工程を終了するためには、両方の段階について使用される容器3を前述の超高真空条件まで再びポンプで排気するか、または、このような超高真空までポンプで排気されている、もしくはガスが吸着された基板を中に入れる前に排気される、他の容器に移す。次いで希ガス、有利にはアルゴンArを導入し、および/または他の反応性ガスおよび低エネルギプラズマ放電、特に有利にはDC放電を設定する。DC放電の場合、有利には熱陰極を備える、有利には直接加熱される熱陰極を備える、非持続放電を採用するのがさらに好ましい。
【0060】
段階Ph1で基板を反応性ガスR1もしくは反応性混合ガスに暴露する時間、および/またはその表面性質、および/または供給される反応性ガスもしくは反応性混合ガスの量を的確に制御することで、基板の表面が吸着された気体原子もしくは気体分子で覆われる度合いを的確に制御することができる。
【0061】
この段階Ph1では、反応性ガスもしくは反応性混合ガスは分圧ppで導入されるのが好ましく、この分圧については次式が成立する:
10-4mbar≦pp≦1mbar
さらに吸着速度、すなわち基板表面が反応性ガスまたは反応性混合ガスの原子または分子で所定のパーセンテージまで飽和するのに必要な時間を、基板支持体5を相応に加熱および/または冷却することで基板を加熱および/または冷却することによって、制御することができる(図示せず)。
【0062】
すでに最初に説明したように、段階Ph2では、基板の表面に吸着されたガスが、少なくとも気体イオンと電子の相互作用の下で、場合によりプラズマ放電で生成される第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスR2のラジカルによって反応する。ガスが吸着された基板表面をプラズマ放電に暴露する時間、および、気体イオンと電子のエネルギを相応に設定し、それにより、放電ならびに場合により意図されるラジカルの量とその活性を相応に設定することによって、この段階Ph2でも、事前に吸着された「安定化された」気体原子または気体分子の量を制御することができ、それに伴って、最終的に表面が原子または分子で被覆される度合いを制御することができる。多くのケースでは、連続する単分子または単原子の単層を基板表面に生じさせることが希望され、すなわち、原子が1つずつ並び、または分子が1つずつ並ぶ100パーセントの飽和が希望される。
【0063】
図1でプロセス空間PRのほうを向いている表面15の材料としては、誘電性材料を用いるのが好ましい。この材料は、真空容器3をどの方法段階に利用するかに応じて、反応性ガスまたは反応性混合ガスR1に対して、および場合により段階Ph2で用いられるプラズマ活性化された第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスR2に対して、不活性でなければならない。
【0064】
この表面15については、以下のグループGに掲げる材料のうち少なくとも1つを用いるのが好ましい:
石英、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコン、ダイアモンドに類似する炭素またはダイアモンド。最後に挙げた材料は、積層された材料としての表面材料。
【0065】
図2には、図1に示す本発明の型式Iのプロセスモジュールの有利な実施形態が、図1の図面に準ずる図面として、引き続き模式的に示されている。プロセスの実施、意図される気体備蓄、ならびに場合により設けられるプラズマ放電ギャップなどに関しては、図1との関連で行った説明が同じように当てはまる。方法の実施に関しても同様である。図2では、すでに図1で説明した部品には同一の符号が使われている。図1の実施形態とは異なり、図2の実施形態ではプロセス空間PRは、同じく有利にはステンレス鋼またはInoxからなる室壁1の大部分の区域に沿って離間した、プロセス空間壁14で仕切られている。このプロセス空間壁の、少なくともプロセス空間PRのほうを向いている表面15aは、すでに図1との関連で説明した不活性材料で製作されており、前述したように、有利には誘電性の不活性材料で製作されており、同じく特に有利にはグループGの材料のうち少なくとも1つで製作されている。
【0066】
本来は壁部1を備える真空室の内部でプロセス空間外装を形成する壁部14は、表面15aを形成する材料でできていてよく、あるいは、表面15aを形成する不活性材料が、壁部1のほうを向いている支持壁(図示せず)の上に構成され、たとえば積層される。この支持壁は、プロセス空間PRに暴露されないので、たとえばステンレス鋼またはInoxからなる。ポンプ接続部11またはポンプ13により、プロセス空間PRは、図1との関連で説明した残留気体分圧になるまでポンプで排気され、それに対して、たとえば(図2に示すように)真空室壁1と外装14との間の中間スペースは、別個のポンプ接続部11aを介して、同一の真空ポンプもしくは他の真空ポンプによって排気される。
【0067】
当業者であれば容易にわかるように、両方の空間すなわちプロセス空間PRと中間空間ZWを排気するのに同一のポンプ13を用いた場合でも、付属のポンプ接続管11または11aに制御可能な相応の絞り機構を組み込むことができる。本発明による方法の段階Ph2を実施するために図2のモデルでも用いられる低エネルギプラズマに関しては、すでに図1との関連で行った説明が当てはまる。図2の実施形態で設けられる、壁部14によって形成されるプロセス空間外装は、容器3aで交換可能なように構成されるのが好ましい。
【0068】
続いて説明する図3および図4に示す型式IIのプロセスモジュールは、本発明による製造方法の枠内では、洗浄モジュールとして利用するのが好ましい。最初に述べたように、基板表面をガス吸着部へ供給する前にコンディショニングまたは洗浄するのが極めて好ましい。この作業は、プラズマ活性化された反応性ガスまたは反応性混合ガス、有利にはプラズマ活性化された水素で行うのが好ましい。この場合にも、上に掲げた範囲内の、基板表面におけるイオンエネルギErをもつ低エネルギプラズマが用いられる。このときのプラズマ放電としてはDC放電を採用するのが好ましく、格別に有利には非持続放電を採用する。この場合に有利な実施形態としては、同じく熱陰極による放電、特に有利には直接加熱される熱陰極による放電を利用する。
【0069】
このような種類の基板表面コンディショニングステップまたは基板表面洗浄ステップを、特に初回のガス吸着段階Ph1の前に設けることに加えて、このような表面処理ステップを、本発明による上に定義した段階Ph2の終了後に行うことが示されていてもよい。上述したように、そのために図3または図4に示す、以下に説明する型式IIのプロセスモジュールを採用するのが好ましい。
【0070】
図3に示すモジュールが図2に示すモジュールと異なっているのは、プロセス空間PRを取り囲む表面15bが、壁部14aがたとえば壁部1と同じくステンレス鋼またはInoxまたはその他の金属で製作されることによって、図2のプロセスモジュールとの関連で説明した不活性の要求を満たしていないという点だけである。このときガスタンク機構9Rは、特に洗浄目的に用いられる反応性ガスまたは反応性混合ガスRrを含んでおり、容器3aには、前記要求事項を満たす低エネルギプラズマ放電ギャップ(図示せず)が設けられている。
【0071】
金属の壁部14aは交換可能であるのが好ましく、それにより、図3に示す実施形態の型式IIのプロセスモジュールを、図2に示す型式Iのプロセスモジュールへ、およびこの逆へ容易に変更することができる。
【0072】
図4には、引き続き図1〜図3に準ずる図面で、型式IIのモジュールのさらに簡素化した実施形態が示されている。図3を参照して説明したのとは異なり、ここではプロセス空間PRが、たとえばステンレス鋼やInoxからなる表面をもつ室壁1で直接区切られている。
【0073】
容易に明らかなように、図1または図2に示す型式Iのモジュール、および図3または図4に示す型式IIのモジュールは、プロセス空間外装14,14aを適宜取り外したり嵌め込むことによって、相互に変更することができる。
【0074】
図5には、図2に示す型式Iのプロセスモジュールの有利な実施形態が示されている。図2のモジュールを前提として図5のモジュールで追加的に固有かつ有利に用いられるすべての方策は、図2に示す原理的なモジュールでも、単独で、もしくは任意の部分的組み合せで具体化できることを指摘しておく。図5のプロセスモジュールは、本発明による製造方法の両方の段階Ph1およびPh2を実施するために設計されている。
【0075】
それに応じてサイクルの進行状況も時間制御され、ガスの供給も段階依存的に制御される。
【0076】
有利にはステンレス鋼またはInoxからなる図5のプロセスモジュールの容器壁101は、中央に、有利にはその上側の端面プレート103で、本発明の製造方法の段階Ph2でプロセス空間PRにプラズマ放電を生成するための電子源105を支持している。段階Ph2での第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスにも利用される、本発明の枠内で要求される基板領域の低いイオンエネルギでは、場合により、以下に説明するのとは異なるプラズマ、たとえばマイクロ波プラズマなどを適用することもできる。
【0077】
高くとも100eV、有利には高くとも50eVの電子エネルギをもつ電子を放出する、電子源105のような電子源を用いるのが好ましい。このとき有利な実施形態では、電子源による非持続放電がDC放電として具体化される。図5の電子源105は、容器壁101,103から電気的に絶縁された陰極室壁をもつ陰極室109に組み込まれた熱陰極、有利には直接的に加熱される熱陰極107によって構成されるのが好ましい。陰極室は、絞り111を介して、プロセス空間PRと連通している。段階Ph2で用いられる希ガス、有利にはアルゴンは、さらに有利には陰極室109の中へ導入され(図示せず)、これは特に、場合により段階Ph2でも用いられる第2の反応性ガスまたは反応性混合ガスの影響から熱陰極107を守り、さらに高い電子エミッション率を可能にするためである。
【0078】
容器壁101,103から離間して、これらの容器壁とともに中間スペースZWを規定するように、プロセス空間PRを取り囲むプロセス空間外装113が、図2に準じて有利には交換可能なように取り付けられている。外装113ならびに中間スペースZWの内部にあるプロセス空間PRは、ここでは同一のポンプ接続部115を介して排気される。このとき、場合によっては。この接続部115から一方の中間スペースZWおよび他方のプロセス空間PRへ、異なるポンプ断面が通じていてもよい。
【0079】
プロセス空間PRの内部では、方法段階Ph2のために陽極構造部が作用する。この陽極構造部は、絞り軸Aと同心的に配置された2つまたはそれ以上の陽極117aまたは117bで構成されるのが好ましい。これらの陽極は、それぞれ互いに独立してアース電位やそれぞれの電気的な陽極電位に切換可能であり(図示せず)、さらに有利には互いに独立して調整することができる。金属の容器壁101,103は、基準電位、有利にはアース電位に設定されるのがさらに好ましい。絞り軸Aに沿ってオフセットされている陽極117a,117bは、互いに独立して電気的に作動可能であるのに加えて、互いに独立して加熱可能または冷却可能でもあるのが好ましい(図示せず)。このことは、これらの陽極に温度調節媒体配管が通じていることによって、および/または加熱コイルが組み込まれることによって具体化される。
【0080】
図5には、有利に用いられるプラズマ生成機構によって生起されるプラズマ放射PLが鎖線で示されており、絞り軸Aに対して同軸に、プラズマ密度分布が純粋にヒューリスティックに符号Vで図示されている。段階Ph2では、反応性ガスが吸着されている基板表面が、プラズマ放電PLに直接暴露される。陽極117aおよび117bに陽極電位を相応に印加することで、または、これらの陽極の制御された温度調節によって、プラズマ密度分布Vを的確に調整することができ、特に、基板表面全体にわたって少なくとも近似的に一定に分布した状態に調整することができる。
【0081】
プロセス空間PRには基板ホルダ119が組み付けられており、または、後述するように、プロセス空間PRに制御下で供給可能である。円板状の基板120の有利な取扱性のために、基板ホルダ119が支持面119aを規定するように、かつ、この支持面119aを絞り軸Aに対して平行に、または絞り軸に関して斜角で、または図5のように絞り軸に関して垂直に、ただし偏心的に配置することも十分に可能ではあるが、はるかに有利な実施形態では、基板ホルダ119はその支持面119aが絞り111の軸Aに対して同心的に、かつ実質的に垂直に配置される。
【0082】
他の有利な実施形態では、基板ホルダ119が外部の駆動装置121によって、二重矢印Fで図示するように、プロセス空間外装113で規定される内のりの収容空間123に向かうように、またはこれから離れるように往復運動可能である。基板ホルダ119が駆動装置121によって、プロセス空間PRに向かって完全に上方へ移動すると、その縁部分125はプロセス空間外装113の内のりの開口部123を閉止し、少なくとも、段階Ph2では電荷担体がプロセス空間PRから出ることが防止されるようにし、また方法段階Ph1では、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスが中間スペースZWへ出ることが持続的に防止されるようにする。
【0083】
前述したように有利には平坦または円板状の基板120は、スリット弁129を通して定置の受容支柱126の上に載せられ、その間、基板ホルダ119は降下している。次いで基板ホルダ119が持ち上げられ、その支持面119aで基板120を下から支え、これを定置の支柱126から持ち上げる。基板120は上方へ移動してプロセス空間PRに入り、加工位置に達すると、基板ホルダ119がその縁部分125でプロセス空間を上述の程度まで閉じる。
【0084】
支柱126は、温度調節媒体の供給・排出配管128を介して温度調節媒体の作用をうける基板温度調節装置127に取り付けられている。前述したように、特に段階Ph1で基板表面温度を適宜制御することで、ガス吸着率を制御することができる。
【0085】
図5では、加工位置にある基板ホルダ119が鎖線で図示されている。
【0086】
容器壁部101およびその端面側の閉止プレート103または131も、特に本発明による製造方法の段階Ph2で温度調節され、有利には冷却される。そのために、外装を形成する壁部101は、温度媒体系統が間に組み込まれた二重壁として構成されている。同様に、端面プレート103または131にも温度調節媒体の配管系が組み込まれている。
【0087】
真空容器の外部には、ヘルムホルツコイル133と、分散された偏向コイル135とが取り付けられている。ヘルムホルツコイル133により、特に本発明による製造方法の段階Ph2で、軸Aと実質的に平行に、この軸に関して左右対称な磁界パターンがプロセス空間PRの内部で生成される。偏向コイル135により、図6に模式的に示すように、この磁界パターンを軸Aに対して垂直な平面Eで変位させることができる。このような磁界強度分布HAの「変位」によって、基板120に沿ったプラズマ密度分布Vの「変位」が生じる。それにより、あたかもプラズマ密度分布が時間的に一定なプラズマPLに対して基板を変位させた場合と同じように、プラズマ密度分布Vと、処理されるべき基板表面との間の「相対運動」が実現される。したがってこのような磁界分布制御により、あたかもプラズマPLに対して基板を機械的に動かした場合と同様の効果が基板で得られるが、機械的な基板運動が行われることはない。
【0088】
本発明による方法の段階Ph1を具体化するために、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスが、有利には事前に洗浄された基板120が加工位置に移動した後、反応性ガス入口137を介してプロセス空間PRに導入される。このとき、図示しているように、有利には軸Aと同軸な反応性ガス入口は、加工位置にある基板120または基板支持体119のすぐ近くの領域に配置されており、入口の開口部は、処理されるべき基板面と実質的に平行である。前述したように、有利にはステンレス鋼で製作される真空容器101,103は、特に段階Ph2で集中的に冷却されるのが好ましい。この真空容器はUHV条件を満たしている。段階Ph2での集中的な冷却は、特に段階Ph2の間、鋼材の加熱や、これと結びついた鋼材からの炭素含有ガスの遊離を防止する。
【0089】
プロセス空間外装113の材料、特にプロセスに暴露される表面の材料に関しては、すでに図1を参照して説明したことが当てはまる。すなわち、前述したように有利には材料グループGから選択される、有利には誘電性の不活性材料は、プロセス温度よりはるかに高い温度のときでも、使用される吸着されるべき反応性ガスR1(図1)に関して、および場合により段階Ph2でプラズマ放電雰囲気に供給される第2の反応性ガス(R2)に関して安定であり、特に水素、シラン、ゲルマン、ジボラン、塩素、NF3,HCl,SiH3CH3,GeH3CH3,N2,ClF3,PH3,AsH4等に関して安定である。それにより、基板120が汚染されないことが実現される。プロセス空間外套113の内側表面の余分な被膜は、分圧の生成という観点からクリティカルであるにすぎない。ガス吸着およびこれに続くプラズマ処理による薄い余分な被膜は、事実上、プロセス内在的な物質によってのみ取り囲まれることになるプロセスの、さらなる優れた純粋性を保証するために好ましい場合さえある。
【0090】
型式Iのプロセスモジュールでは、真空室壁は、反応性ガスやプラズマに対してプロセス空間外装113で守られているうえに、図5に示す集中的な冷却が気相からの析出をそこで追加的に強力に低減させるので、ステンレス鋼で被覆されないのが普通である。プロセス空間外装113の内側表面に関して該当することは、基板ホルダ119の、プロセスに暴露される表面についても当てはまる。
【0091】
プロセス空間外装113は、機構117a,117bを解体することなく取り外したり、交換することができるように、多部分で構成されるのが好ましい(図示せず)。
【0092】
図5に示すプロセス空間外装113を取り外すことにより、型式IIのプロセスモジュールの有利な実施形態が具体化され、または、プロセス空間外装113を同様に成形された金属製の外装と取り替えることにより、図3に示す型式IIのプロセスモジュールが具体化される。
【0093】
繰り返しておくと、有利には図5に示すように構成される型式Iのプロセスモジュールでは、本発明による製造方法の段階Ph1および/または段階Ph2が実施されるのに対して、型式IIのモジュールでは、段階Ph1の前および/または段階Ph2の後に行われる表面コンディショニングステップまたは表面洗浄ステップが、有利には低エネルギ水素プラズマの中で実施されるのが好ましい。
【0094】
図7および図8には、本発明による製造方法の2通りの可能な実施形態が、フローチャートの形で示されている。図7では、たとえばヘテロエピタキシャル成長した層を製作するために、複数の異なる原子単層が相上下して蒸着されるものと想定している。基板は、まず、有利には型式IIのモジュールに従って構成された洗浄モジュールRに供給され、そこで、さらに有利には上に定義したように、低エネルギ水素プラズマの中で表面洗浄が行われる。前記基板は洗浄Rの後、型式Iのプロセスモジュールに供給され、そこで、第1の反応性ガスの吸着を含む方法段階Ph11が行われる。次いで基板は、段階Ph2を具体化するために、前述したようにガス供給(希ガスおよび/または反応性ガス)と低エネルギプラズマ放電とを含む、有利には型式Iのプロセスモジュールに供給される。段階Ph2の実施後、基板は型式Iのさらに他のプロセスモジュールへ供給され、そこで、吸着されるべき他の反応性ガスまたは反応性混合ガス(Ph12)で処理される。次いで、やはり型式Iの中央のプロセスモジュールで方法段階Ph2が基板に施され、次いで、場合により型式Iの他のプロセスモジュールに供給され、そこで基板に、吸着されるべき他の反応性混合ガスまたは反応性ガスが施される(Ph13等)。
【0095】
それにより、エピタキシャル層を成長させたい場合には、ヘテロエピタキシャル層が蒸着される。破線で図示しているように、プロセス段階Ph2と、たとえばプロセス段階Ph11との間で基板を往復運動させれば、エピタキシャル成長の場合、ホモエピタキシャル層が成長する。
【0096】
図7に示す本発明の方法の実施とは異なり、図8の実施方法では、原子単層の蒸着に応じて、基板表面の洗浄ステップを行うのが好ましい。この洗浄ステップRは、第1の方法段階Ph11に基づいて基板表面に最初の吸着ステップが施される前に基板表面で行われる洗浄ステップと常に同じように構成されるのが好ましい。つまり原子単層の蒸着後にも、低エネルギプラズマの中で、有利には低エネルギ水素プラズマの中で、基板の表面洗浄が実施される。引き続き前述の基板を取り上げて説明する。プロセスRでの洗浄後、この基板は型式Iの第1のプロセスモジュールに供給され、そこで、第1の反応性ガスまたは反応性混合ガスが吸着される(Ph11)。次いで、型式Iの他のプロセスモジュールに基板が供給され、ここで、方法段階Ph2すなわちプラズマ処理が、場合によりプラズマ活性化された第2反応性ガス、特に有利には水素および/または窒素および/または酸素のイオンとラジカルを添加したうえで実施される。
【0097】
この方法段階Ph2の終了後、有利には型式IIのモジュールで、基板は再び洗浄プロセスRに供給され、その後、型式Iの他のモジュールに供給されて、そこでさらに他の反応性ガスまたは反応性混合ガスが段階Ph12で吸着される。次いで、やはり方法段階Ph2を介して基板が洗浄ステップRに供給され、以下は同様である。ここで明らかなように、プロセス段階Ph1xを実施するモジュールの出力側では、段階Ph2を実施するモジュールを介して洗浄モジュールへの搬送が行われ、そこを起点として、それぞれの段階Ph1xを実施するプロセスモジュールに、実際には中央で基板が供給される。
【0098】
このような、またはこれと同種の比較的複雑なプロセス手順は、中央の搬送モジュールが内部でそのつどのプロセスモジュールおよびコンディショニングモジュールまたは洗浄モジュールを装填する、有利には自由にプログラミング可能な真空処理設備でフレキシブルに実施するのが好ましい。
【0099】
このような設備が図9に模式的に、かつ純粋に一例として示されており、この設備は型式IIの2つの洗浄モジュールRと、方法段階Ph2を実施するための型式Iの2つのモジュールと、方法段階Ph12およびPh11を実施するための型式Iの2つのモジュールとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の方法、特にその段階ph1および/またはph2を実施するためのプロセスモジュールの第1実施形態を示す模式図である。
【図2】図1のプロセスモジュールの有利な実施形態を示す、図1の図面に準ずる図である。
【図3】本発明の方法で洗浄ステップを実施するための他のプロセスモジュール型式を示す図1または図2に準ずる図である。
【図4】図3の変形例となるプロセスモジュールを示す、図1〜図3に準ずる図である。
【図5】図3または図4のプロセスモジュールに変更可能な図2のプロセスモジュールの有利な実施形態を示す簡略図である。
【図6】制御によって引き起こされる、軸Aと平行な磁界成分に対する場所的および時間的な変調を、絞り軸Aと垂直な平面Eを横軸として示す、図5のプロセスモジュールの絞り軸Aを援用した図である。
【図7】多層を具体化するための本発明の方法を一例として示す模式図である。
【図8】多層を具体化する場合における本発明の方法を示す他の実施形態である。
【図9】本発明の方法を実施するために、図1〜図5のプロセスモジュールの1つの循環設備またはクラスタ設備に組み合わせた様子を簡素化して示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料処理された基板を製造する方法であって、
a)少なくとも1つの基板を排気された真空容器の中へ入れ、
b)基板の処理されるべき表面を、その表面で吸着される反応性ガスに暴露し、
c)反応性ガスへの表面の暴露を終了し、
d)表面に吸着された反応性ガスを反応させる方法において、
1)反応性ガスが吸着されている表面を、
0eV<EIo≦20eV
の基板表面におけるイオンエネルギEIOと、
0eV<Eeo≦100eV
の電子エネルギEeoとで、低エネルギのプラズマ放電に暴露し、
2)吸着されている反応性ガスを、少なくとも、プラズマ生成されたイオンと電子の相互作用のもとで反応させることを特徴とする方法。
【請求項2】
プラズマ放電が、
0eV<EIo≦15eV
の基板表面におけるイオンエネルギEIoで具体化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
吸着される反応性ガスが反応性混合ガスであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
プラズマ放電が希ガス雰囲気の中で維持されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
プラズマ放電がアルゴン雰囲気の中で維持されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プラズマ放電が、他の反応性ガスまたは反応性混合ガスを含む雰囲気の中で生成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記他の反応性ガスまたは反応性混合ガスが、水素、窒素、酸素のうち少なくとも1つの気体を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記他の反応性ガスまたは反応性混合ガスが水素を含み、有利には水素であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
真空容器を、
10-11mbar≦pv≦10-8mbar
が成立する圧力(pv)まで排気することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
吸着されるべき反応性ガスを、
10-4mbar≦pp≦1mbar
が成立する分圧ppまで導入することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
表面でのガス吸着率が、表面の加熱および/または冷却によって制御されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
排気された真空容器から他の排気された真空容器の中へ基板を移すことによって暴露を終了することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
吸着される反応性ガスの残りを、排気された真空容器からポンプで排出することによって表面の暴露を終了することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
反応性ガスを、
10-11mbar≦pv’≦10-8mbar
が成立する圧力pv’に達するまでポンプで排出することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも所定の最低時間の間基板をプラズマ処理に暴露することを特徴とする、請求項1〜14に記載の方法。
【請求項16】
少なくともステップb)〜d2)を少なくとも2回実施することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ステップd2)を少なくとも1回実施した後、他の材料を表面に塗布することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記他の材料を真空蒸着により湿式化学式または電気分解式に塗布することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
蒸着されるべき反応性ガスに表面を暴露する前に、
0eV<EI1≦20eV
有利には、
0eV<EI1≦15eV
の表面におけるイオンエネルギEI1と、
0eV<Eel≦100eV
の電子エネルギEelとで、表面を低エネルギの希ガスプラズマ、有利にはアルゴンプラズマに暴露することを特徴とする、請求項1〜18までのいずれかに記載の方法。
【請求項20】
吸着されるべき反応性ガスに表面を暴露する前に、他の反応性ガスを含む雰囲気の中で基板を低エネルギのプラズマ放電に暴露し、ここで、基板表面におけるイオンエネルギEI2については、
0eV<EI2≦20eV
有利には、
0eV<EI2≦15eV
が成り立ち、電子エネルギEe2は、
0eV<Ee2≦100eV
であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記他の反応性ガスが、水素、窒素、酸素のうちの少なくとも1つの気体であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記他の反応性ガスが水素を含み、有利には水素であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
吸着された反応性ガスの反応後に、
0eV<EI3≦20eV
有利には、
0eV<EI3≦15eV
の電子エネルギEI3と、
0eV<Ee3≦100eV
の電子エネルギEe3で、表面を低エネルギの希ガスプラズマ、有利にはアルゴンプラズマに暴露することを特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
吸着された反応性ガスの反応後に、表面を、他の反応性ガスを含む雰囲気の中で低エネルギのプラズマ放電に暴露し、ここで、基板表面におけるイオンエネルギEI4については
0eV<EI4≦20eV
有利には、
0eV<EI4≦15eV
が成り立ち、電子エネルギEe4は、
0eV<Ee4≦100eV
であることを特徴とする、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記他の反応性ガスが、水素、窒素、酸素のうちの少なくとも1つの気体であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記他の反応性ガスが水素を含み、有利には水素であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
表面処理が次の材料、すなわち、
Si,Ge,Ti,Ta,Hf,Zr,Al,Nb,Wの酸化物または窒化物または酸窒化物、および/または次の金属
Al,Ti,Cu,W,Ta
の少なくとも1つによって行われることを特徴とする、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
表面処理が次の材料、すなわち、
酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化ジルコン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化タングステン、(TaSi)xNy
の少なくとも1つによって行われることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
すべての方法ステップが1つの真空容器の中で実施されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
方法ステップが少なくとも2つの真空容器の中で実施されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
基板の表面を取り囲むプロセス雰囲気が、ステップb)およびc)および/またはd)〜d2)で構成される段階の少なくとも1つの間、周囲に位置する真空容器の内壁から分離されることを特徴とする、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
処理されるべき表面が、すでに処理または被膜された基板の表面を含むことを特徴とする、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
吸着ステップの前、および/または吸着された反応性ガスまたは反応性混合ガスの反応後に、プラズマ支援による洗浄ステップが表面に施され、ここで、有利には水素を含む、
プロセス空間に導入された反応性ガスまたは反応性混合ガスは、低エネルギのプラズマ放電により、
0eV<Er≦20eV
有利には、
0eV<Er≦15eV
の基板表面におけるイオンエネルギErで活性化され、電子エネルギEerは、
0eV<Eer≦100eV
であることを特徴とする、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの洗浄ステップの間、洗浄プロセス雰囲気が金属のカプセル封止によって周囲に位置する洗浄真空容器の内壁から分離され、または(この方が有利であるが)このプロセス雰囲気が、周囲に位置する洗浄真空容器の内壁によって直接仕切られることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ステップa)〜d2)のただ1回の連続によって原子単層を表面に塗布することを特徴とする、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
ステップb)〜d)の反復によってエピタキシャル層を成長させ、反応性ガスを交換すればヘテロエピタキシャル層、反応性ガスを交換しなければホモエピタキシャル層を成長させることを特徴とする、請求項1〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
ステップb)〜d)の手順を複数の基板でシーケンシャルに所定回数だけ実施した後、基板を中へ入れずに、もしくは基板の原寸模型を入れて、真空容器のプロセス空間にプラズマ支援によるプロセス空間洗浄ステップを施し、このプロセス空間洗浄ステップは有利には最初にエッチングステップを含み、その後に、有利には水素、希ガス、またはこれらの混合ガスを含むプラズマの中での洗浄ステップを含むことを特徴とする、請求項1〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
ステップa)の前および/またはステップd2)の後に、真空容器から場所的に切り離して基板に基板洗浄ステップを施し、その間の基板の搬送は真空中で行うことを特徴とする、請求項1〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
真空中での前記搬送が少なくとも区域的に直線状に行われ、または、有利には円軌道に沿って直線状の供給運動で前記容器まで行われ、有利には円軌道に関して半径方向の運動成分で行われることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップb)〜d)の間、表面が暴露されているプロセス雰囲気を、吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスに対して、および/または第2のプラズマ活性化される反応性ガスまたは反応性混合ガスに対して新品状態のときに不活性な表面によって、有利には誘電性の表面またはグラファイトの表面によって、周囲に位置する真空容器の内壁から分離することを特徴とする、請求項1〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
不活性の前記表面が、大部分の面区域に沿って真空容器の内壁から間隔をおいている分離壁の表面であることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
分離のための前記表面が、新品状態のときに次の材料:
石英、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコン、またはこれらの材料の積層された組み合わせであって、この場合にはダイアモンドに類似する炭素またはダイアモンドを含んでよい、
のうちの少なくとも1つで具体化されることを特徴とする、請求項40または41の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項43】
e≦50eVの電子エネルギをもつ電子源によってプラズマ放電を具体化し、特に、有利にはDC放電によって具体化することを特徴とする、請求項1〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
熱陰極によって、有利には直接的に加熱される熱陰極によって、プラズマ放電を具体化することを特徴とする、請求項1〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
プラズマ放電のための真空容器のプロセス空間に、有利にはそれぞれ別個に電気式に操作可能に、場所的にオフセットされていて、有利には、それぞれ加熱可能な少なくとも2つの陽極を設け、これに印加される電位および/またはその温度の制御によって、プラズマ放電を表面に沿って動的または静的に調整もしくは制御することを特徴とする、請求項1〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
プロセス空間でのステップd)の間に磁界を生成し、この磁界によって、プラズマ密度分布を表面に沿って、有利には少なくとも場所的に揺れ動くように、定常的および/または動的に調整もしくは制御することを特徴とする、請求項1〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
少なくとも吸着されるべき反応性ガスまたは反応性混合ガスが、有利には表面に対して実質的に平行な流入方向で、さらに有利には表面から等間隔な吹込み個所から、分散された状態でプロセス雰囲気の中へ導入されることを特徴とする、請求項1〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
基板が、酸化ケイ素層に溝が刻まれている酸化ケイ素被覆された基板であり、ステップd2)の少なくとも1つをn回実施した後に溝へ銅が蒸着され、このときn≧1であることを特徴とする、請求項1〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
請求項1〜48のいずれかに記載の方法の利用法において、歪緩和バッファを製造するための利用法。

【図6】
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【公表番号】特表2004−536970(P2004−536970A)
【公表日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−517336(P2003−517336)
【出願日】平成14年5月15日(2002.5.15)
【国際出願番号】PCT/CH2002/000268
【国際公開番号】WO2003/012164
【国際公開日】平成15年2月13日(2003.2.13)
【出願人】(596013501)ユナキス・バルツェルス・アクチェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】