説明

被膜作製方法

【課 題】 工程毎のバラツキを抑え、品質の揃った被膜を形成すると共に、反応装置の内壁や石英ホルダ等に存在するナトリウムの如きアルカリ金属を除去する被膜作製方法。
【解決手段】 プラズマ気相法によって、反応容器内に設けられた基板上に被膜を形成するに際し、プラズマ化させた水素中に1%ないし5%の塩化水素または塩素を添加した気体が前記反応容器に供給され、その内壁または基板ホルダに形成されたナトリウムの如きアルカリ金属をプラズマクリ−ニングする。その後、前記反応容器内に配設された基板上には、プラズマ気相法により被膜が形成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ気相法により、再現性、特性のよい被膜を作製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のプラズマCVD法は、一つの反応炉を使用して、PIN接合等を有する半導体装置の作製が行われていた。しかし、このプラズマCVD法は、一つの反応炉を使用して、異なる接合の作製を繰り返し行うと、全くわけのわからない膜質の劣化、バラツキに悩まされてしまい、半導体装置としての信頼性に不適当なものしかできなかった。このことは、炭素または炭素を主成分とする膜を形成する場合であっても同様であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、工程毎のバラツキを抑え、品質の揃った炭素または炭素を主成分とする膜を形成することを課題とする。特に、反応装置の内壁や石英ホルダ等に存在するナトリウムの如きアルカリ金属を除去することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決するために、本発明の被膜作製方法は、プラズマ気相法により反応容器内に設けられた基板上に被を形成するに際し、プラズマ化させた水素中に1%ないし5%の塩化水素または塩素を添加した気体により前記反応容器の内壁または基板ホルダに形成されたナトリウムの如きアルカリ金属をプラズマクリ−ニングし、その後、前記反応容器内に基板を配設し、プラズマ気相法により被膜を形成することを特徴とする。
【0005】すなわち、本発明においては、前回作られた層のうち、反応装置の内壁、基板ホルダ等の表面に付着したアルカリ金属等を水素中に含んだ塩素または塩化水素等の反応性気体をプラズマ化することにより除去してしまう工程を設けることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明は、多量生産用に横型に配置された反応炉または反応筒(10cmφ〜30cmφ、長さ1m〜5m)を用いる方法を中心として記す。本発明は、かかる反応炉または反応筒の外側に一対の反応性気体をプラズマ化する電磁エネルギ供給用の電極と、当該電極の外側にこの反応炉または反応筒とを囲んだ加熱装置とを具備し、この反応炉内を炉方向に反応性気体を流し、この気体の流れに沿って基板を配置する。
【0007】さらに、かかる装置内に一対の電極により発生する電磁界に垂直または平行に基板を配置し、これを複数段または複数列配置して2cm平方〜20cm平方の基板、たとえば、10cm平方の基板を20段20列計400枚の被形成面上に一度に膜、たとえば、炭素、炭化珪素膜を形成せしめる。
【0008】そして、炭素−珪素結合を有する水素化物またはハロゲン化物(炭化珪化物気体)よりなる反応性気体、アセチレン等の炭化水素を用いて、被形成面上に非単結晶の炭素、または炭素を主成分とする膜を0.05torr〜1torrの反応圧力で100度C〜400度Cの温度で形成せしめる。
【0009】また、さらに、かかる反応性気体に3価の不純物であるB、Al、Ga、Inを含む不純物気体、たとえば、ジボラン(B26 )、5価の不純物を含む不純物気体、たとえば、フォスヒン(PH3 )またはアルシン(AsH3 )を漸次添加して、被形成面を有する基板上に密接してP型層、I型層、およびN型層をPINの順序にて積層形成せしめる。
【0010】さらに、プラズマ化する電磁エネルギのパワ−により、アモルファス構造の半導体(ASという)、5Å〜100Åの大きさの微結晶性を有するセミアモルファス(半非晶質、以下SASという)、または5Å〜200Åの大きさのポリクリスタル(多結晶、以下PCという)の構造を有する膜を作製することができる。
【0011】さらに、プラズマ反応に200W〜500Wという高いエネルギが必要な場合であっても、被形成面上には、このスピ−シスの実質的なプラズマエネルギを得る距離を基板間の距離で制御することができる。
【0012】本発明を利用して、炭化珪素を作ろうとする場合、炭素−珪素結合を有する材料を用いればよい。すなわち、炭素−珪素結合を有する水素化物、またはハロゲン化物、たとえば、テトラメチルシラン(Si(CH34 )(TMS)、テトラエチルシラン(Si(C254 )、Si(CH3 )xCl4-x(1≦x≦3)、Si(CH3 )xH4-x(1≦x≦3)等の反応性気体を用いればよい。
【0013】炭素を得ようとする時は、アセチレン(C22 )またはエチレン(C24)を主として用いることができる。こうすることにより、炭化珪素( Six 1-x ) (0≦x<0.5)、または炭素(C)(これらを合わせるとSix 1-x(0≦x<0.5)と示すことができるため、以下炭化珪素という時はSix 1-x (0≦x<0.5)を意味するものとする。)
【0014】さらに、ここに3価または5価の不純物を添加して被形成面よりP型、I型(真性またはオ−トド−ピング等を含む人為的に不純物を添加しない実質的に真性)、さらに、N型の半導体または半絶縁体を作製することができる。
【0015】さらに、かかる反応性気体を用いると、反応炉を1気圧以下、特に0.01torr〜10torr、代表的には0.3torr〜0.6torrの圧力下にて50W以下の電磁エネルギにおいても、たとえば、0.01MHz〜100MHz、特に500KHzまたは13.56MHzにおいて被膜を形成することが可能である。すなわち、低エネルギプラズマCVD装置とすることができる。
【0016】さらに、50W〜500Wという高エネルギプラズマ雰囲気とすると、形成された炭化珪素は、微結晶化し、その結果、P型またはN型において、ホウ素またはリンを0.1%〜5%(ここでは(B26 またはPH3 )/(炭化物気体または炭化珪化物気体の比をパ−セントで示す)添加した場合、低エネルギで、電気伝導度が10-9(Ωcm)-1〜10-3(Ωcm)-1であったものが10-6(Ωcm)-1〜10+2(Ωcm)-1と約千倍にまで高められた。
【0017】さらに、この高エネルギ法を用いて得られた炭化珪素は、5Å〜200Åの大きさの微結晶構造を有せしめることができる。かかる構造において、そのP型またはN型の不純物のアクセプタまたはドナ−となるイオン化率は、97%〜100%を有し、添加した不純物のすべてを活性化することができる。
【0018】
【実 施 例】以下、図面に従って本発明の実施例を説明する。図1は本発明を用いたプラズマCVD装置の概要を説明するための図である。図1において、被形成面を有する基板(1)は、角型の石英ホルダによって保持され、7段2列計14枚で1構成となっている。基板(1)およびホルダは、入口(30)より、反応炉(25)の前方の別室(29)に予め配置される。別室(29)は、バルブ(32)、ロ−タリポンプ(33)により真空引きがなされる。さらに、前記基板(1)およびホルダは、開閉扉(34)を開けて、反応炉内に自動送り装置により導入されると共に、さらに、ミキサ用混合板(35)も同時配置される。これらは、反応炉(25)および別室(29)とともに真空状態にされ、反応炉(25)内に酸素(空気)が少しでも混入しないように努めた。さらに、開閉扉(34)を閉じたことにより、図1の如く電極(9)、(10)の間に基板(1)が配置された。
【0019】また、図1は反応系を上方より眺めた構造を示したものである。基板(1)は、互いに裏面を合わせて垂直に配置させている。かくの如く、重力を利用してフレイクを下部に除去することは、量産歩留まりを考慮する時、きわめて重要である。さらに、この基板(1)を挿入させた反応炉(25)には、この基板(1)に垂直または平行(特に、平行にすると膜の均一性が得やすい)に電磁エネルギの電界が図2(A)または(B)、特に、(B)の如くに加わるように一対の電極(9)、(10)を上下または左右に配置して設けた。この電極の外側に電気炉(5)が設けられており、基板(1)が100度C〜400度C、代表的には300度Cに加熱されている。
【0020】反応性気体は、水素またはヘリウムのキャリアガス、たとえば、ヘリウムを導入口(13)より、3価の不純物であるジボランを導入口(14)より、5価の不純物であるフォスヒンを導入口(15)より、4価の添加物である珪化物気体のシランを導入口(16)より導入した。
【0021】また、炭素−珪素結合を有する反応性気体テトラメチルシラン(20)TMSを用いると、初期状態で液体であるためステンレス容器(21)に保存される。この容器は、電子恒温槽(22)により所定の温度に制御されている。
【0022】このテトラメチルシラン(20)TMSは、沸点が25度Cであり、ロ−タリポンプ(12)、バルブ(11)を経て排気させ、反応炉(25)内を0.01torr〜10torr、特に、0.02torr〜0.4torrに保持させた。こうすることにより、1気圧より低い圧力により、結果として、特に、加熱しなくともテトラメチルシラン(20)TMSを気化させることができる。この気化したテトラメチルシラン(20)TMSを100%の濃度で流量計を介して反応炉に導入することは、従来の如くステンレス容器(21)をバブルして反応性気体を放出するやり方に比較して、その流量制御が精度よく可能であり、技術上重要である。
【0023】また、反応炉(25)またはホルダ(2)の内壁または表面に付着した反応生成物を除去する場合は、導入口(17)より弗素化合物気体CF4 または酸素との混合気体CF4 +O2 (2〜5%)を導入し、電磁エネルギを加えてフッ素ラジカル、酸素ラジカルを発生させて気相エッチングをして除去した。
【0024】さらに、このプラズマ放電においては、反応性気体が混合室(8)を経て混合された後、励起室(26)において分解または反応をおこさしめ、反応生成物を基板上に形成する空間反応を主として用いた。電磁エネルギは電源(4)より直流または高周波を主として用いた。
【0025】このようにして被形成面上に炭化珪素膜を形成した。たとえば、基板温度300度C、高周波エネルギの出力25Wにおいて、シランまたはテトラメチルシラン(20)TMSを50cc/分、キャリアガスとしてのHeを250cc/分で供給した。(反応性気体/He)5において、160Å/分の膜成長速度を得ることができた。
【0026】さらに、この膜形成は、PIN接合、PN接合、PI、NI接合、PINPIN接合等、その必要な厚さに必要な反応生成物を基板上に漸次積層して形成させることができた。
【0027】このようにして、被形成面上に膜を形成させた後、反応性気体を反応筒より十分にパ−ジした後、開閉扉(34)を開け、ミキサ用混合板(35)、ジグ(3)上の基板(1)を別室(29)に自動引き出し、管により反応炉(25)および別室(29)をともに真空(0.01torr以下)にして移動させた。さらに、開閉扉(34)を閉じた後、別室(29)に排出口(31)よりバルブを開けて空気を充填し大気圧とした後、外部にジグ(3)および膜の形成された基板(1)を取り出した。
【0028】反応性気体は、混合室(8)にて混合された後、排気口(6)に層状(ミクロにはプラズマ化された状態ではランダム運動をしていた)に流し、この流れに平行に基板(1)を配置して、被形成面上にその膜厚が±5%以内のバラツキで0.1μm〜3μmの厚さに膜を形成せしめる。
【0029】図2(A)および(B)は図1における排気口方向よりみた基板の配置と電極との関係を示す図である。図2(A)は、基板(1)を水平、電極(9)、(10)による電磁界を水平方向に配置したもので、この場合、一度に導入できる基板(1)の枚数を増やすことができる。
【0030】図2(B)は、電極(9)、(10)による電磁界、基板(1)ともに垂直にしたもので、基板(1)の配置数が(A)の2倍になる。図3(A)ないし(E)は本発明の炭素膜作製方法の操作手順チャ−トを示す図である。
【0031】図3において、“0”である符号(49)は、反応炉(25)の真空引きによる0.01torr以下の圧力を保持していることを示す。さらに、“1”の符号(40)は、本発明による反応炉(25)または反応筒およびホルダ(2)に炭素または炭化珪素をコ−ティングすることを示す。
【0032】このコ−ティングは、その詳細を示すと、図3(B)、(C)である。図3(B)は、真空引き(49)により0.01torr以下にし、10分〜30分保持した後、水素を電磁エネルギにより0分〜30分、30W〜50Wの出力によりプラズマクリ−ニングを行い、反応炉(25)の壁面等に吸着した不要物質、水分、酸素を除去した。さらに、その水素を除去した後、ヘリウムを同時に30W〜50Wの出力で、10分〜30分プラズマ化(51)し、さらに、表面の水素を除去した。この水素プラズマ発生(50)に対しては、水素中に1%〜5%の濃度でHClまたはClを添加して行うと、塩素ラジカルが同時に発生し、このラジカルが石英等ホルダの内側に存在しているナトリウムの如きアルカリ金属を吸いだす効果を有する。このため、バックグラウンドレベルでのナトリウム、水分、酸素の濃度を形成された膜中にて、1014cm-3以下にすることができ、きわめて重要な前処理工程であった。
【0033】この塩素を添加した場合、さらに、この壁面に残留吸着した塩素を除去するため、不活性気体によるスパッタリング(51)による除去も有効であった。かかる石英等の反応容器は、内壁を十分プラズマクリ−ニングすることによりこの容器内壁に不純物のプラズマで放出し易い状態を抑える膜を十分密着させることができる。かくすると、この膜を数十μmの厚さまで形成しても残留応力等により壁面からこの保護膜が剥がれ、フレ−ク(粉)となり、被膜中に注入されるのを防ぐことができる。
【0034】この後、これらの系を真空引き(49)した後、炭化物気体であるエチレンまたは炭化珪素化物であるテトラメチルシラン(20)TMSを導入し、プラズマエネルギにより分解して、0.1μm〜2μm、代表的には、0.2μm〜0.5μmの厚さに形成させた。これらの膜を形成させる際、高い電磁エネルギが加わる領域、すなわち、不純物が再放出され易い領域、特に、厚く付き易く、二重に好ましい結果をもたらした。
【0035】かかる本発明の複雑な前処理工程を行わない場合であっても、図3(C)に示す如く真空引き(49)の後、炭素または炭化珪素を(52)において同様に0.1μm〜2μm形成し、反応炉壁からの酸素、アルカリ金属の再放出を防ぐことが有効であった。
【0036】また、図3(A)においては、炭素膜作製のため、基板のコ−ティング、系の真空引き(49)、さらに、P型またはN型半導体層の作製(42)、I型半導体層の作製(43)、N型層の作製(44)を行い、第1の装置を作製(48)した。この装置は、前記したPI、NI、PIN、PN等の接合を少なくとも1つ有するディバイス設計仕様によって作られなければならないことはいうまでもない。
【0037】さらに、この後、この系に対し、反応炉(25)のみ、またはこの反応炉(25)とホルダ(2)とを挿入設置された反応系に対し(46)に示すI型半導体層または(42)に示す層と同じ層のコ−ティングにより前の装置作製の際用いられた工程(44)の履歴が次の処理工程に対して影響を与えないようにした。その詳細は、図3(B)、(C)、(D)、(E)に示す。
【0038】すなわち、図3(B)は、前記した前処理と同じく真空引き(49)、水素プラズマ放電(50)、ヘリウムプラズマ処理(51)、半導体装置の処理工程の最初の工程の半導体層を形成する工程(52)を有する。しかし、この(50)(51)がすでに図3(A)での(46)で行われているため、一般には、図3R>3(C)の(52)での0.1μm〜2μmの厚さの半導体層の作製で十分であった。
【0039】また、この前の装置の作製(40)、すなわち前の処理工程での履歴をなくすため、図3(D)、(E)に示すプラズマエッチング工程を行ってもよい。すなわち、図3(B)は、真空引き(49)、CF4 またはCF4 +O(約5%)を図1での導入口(17)より導入し、20分〜1時間プラズマエッチング(53)を行った。さらに、真空引き(49)をして、その後、C、Fの残留物を除去するため、水素プラズマ処理(50)を10分〜30分、さらに、このI層に0.05μm〜0.5μmのI型、または次の工程の最初の処理工程の半導体層(42)と同様の導電型成分の半導体層の作製を行った。この方法が最も徹底して再現性を保証することができた。
【0040】簡単な方法としては、図3(E)に示す(49)の真空引き、プラズマエッチング(53)残部吸着ガスの除去(50)の工程を行った。
【0041】かくすることにより、第1の半導体装置の作製(48)の最後工程(44)と次の工程(48)の最初の工程(42)との間でP型またはN型の不純物が互いに(42)にて混入する可能性を除去することができた。
【0042】図4(A)および(B)は、本発明の実施例による方法で作られた光電変換装置の結果を説明するための図である。この場合、基板(1)として金属、たとえば、ステンレス基板または透光性基板であるガラス上にITOを500Å〜2000Åの厚さで形成し、さらに、この上に酸化スズまたは酸化アンチモンを100Å〜500Åの厚さで形成させた多重膜の電極を有する基板を用いた。この上に、P型炭素を主成分とする炭化珪素(Six 1-x 0≦X<1)(たとえば、X=0.3〜0.5)を100Å〜300Åの厚さ、またこの上面に真性または実質的に真性のアモルファス半導体(AS)、またはセミアモルファス半導体(SAS)の珪素を0.4μm〜0.7μmの厚さに、さらに、この上面にN型炭素を主成分とする炭化珪素(Six 1-x 0≦X<1)(たとえば、X=0.3〜0.5)を100Å〜300Åの厚さに形成させたPIN構造を有せしめた。このP、I、N型半導体の仕様は、図3(A)のチャ−トにおける(42)、(43)、(44)、(42′)・・・・に対応させた。
【0043】さらに、この後、この工程にITOを600Å〜800Åの厚さに、またはアルミニウム金属膜を真空蒸着法で形成して光電変換装置を作った。その変換効率を図4(A)に示す。
【0044】図4(A)において、1cm2 のセルの大きさでAM1(100mW/cm2)の条件にて、前処理(40)をいれない場合(71)の3%が、また前処理を行うと(70)の値が得られた。さらに、中間の(46)の工程を加えることによる処理工程(製造日毎)の効率の変化(60)になり、まったく加えないと(61)が得られた。
【0045】図4(A)における符号(60)は、その効率が11%〜9%を得ることができるのに対し、本発明方法を用いない場合、1%〜4%しかなかった。
【0046】さらに、このセル面積を100cm2 にすると、本発明方法を用いると7%〜9%の効率を得ることができるのに際し、本発明方法を用いないと0〜3%であった。特に、ダイオ−ド特性がないものが30%以上を有し、製造不可能であった。
【0047】図4(B)は、特に、表面程にてP型の半導体を作る工程で、I型の珪素半導体を作った場合の電気伝導度の値を示す。
【0048】前工程でP型半導体を作り、本発明方法の中間処理法の前処理を行わない時、AM1の光照射による電気伝導度が(65)である。暗伝導度(64)と逆の場合もみられ、また、その値も10-6〜10-4で大きなバラツキがあった。他方、本発明の前処理が行われた場合、光伝導度(70)、暗伝導度(70’)が得られた。また、中間処理を行った時は、光伝導度(62)、暗伝導度(63)が得られた。
【0049】以上の説明において、炭化珪素(SixC1-X 0≦X<0.5)を中心として記した。本発明は、図1に示す横型のプラズマCVD装置を中心として示した。しかし、その電極の作り方を誘電型としたり、またア−ク放電を利用するプラズマCVD装置であっても、本発明は有効である。また、縦型、縦横型のベルジャ−型のプラズマCVD装置であっても、同様に本発明方法を適用することができる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、水素中に塩化水素または塩素を添加することにより、不要な不純物が混入しない被膜を効率よく得ることができた。本発明によれば、各処理工程中のバラツキがなく、そして、再現性よく品質の優れた被膜を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたプラズマCVD装置の概要を説明するための図である。
【図2】(A)および(B)は図1における排気口方向よりみた基板の配置と電極との関係を示す図である。
【図3】(A)ないし(E)は本発明の炭素膜作製方法の操作手順チャ−トを示す図である。
【図4】(A)および(B)は、本発明の実施例による方法で作られた光電変換装置の結果を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・基板
2・・・ホルダ
3・・・ジグ
4・・・電源
5・・・電気炉
8・・・混合室
9・・・電極
10・・電極
12・・ロータリポンプ
13、14、15、16、17・・・導入口
20・・反応性気体
21・・ステンレス容器
22・・電子恒温槽
25・・反応炉
26・・励起室
29・・別室
30・・入口
33・・ロータリポンプ
34・・開閉扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラズマ気相法により反応容器内に設けられた基板上に被膜を形成するに際し、プラズマ化させた水素中に1%ないし5%の塩化水素または塩素を添加した気体により前記反応容器の内壁または基板ホルダに形成されたナトリウムの如きアルカリ金属をプラズマクリ−ニングし、その後、前記反応容器内に基板を配設し、プラズマ気相法により被膜を形成することを特徴とする被膜作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開平8−321471
【公開日】平成8年(1996)12月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−159121
【分割の表示】特願平4−269270の分割
【出願日】平成4年(1992)9月11日
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)