説明

被覆研磨材物品とその製造及び使用方法

被覆研磨材物品は、裏材であって、所望によりプレサイズ層、飽和剤、及びバックサイズ材の少なくとも1つをその上に有する、裏材と、布地裏材に隣接し、これに固定された研磨材層と、を含む。研磨材層はメーク層、サイズ層、及び研磨材粒子を含んでもよく、あるいは、研磨材粒子は結合剤中に分散されていてもよい。メーク層又はプレサイズ層の少なくとも1つは、45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、5〜40重量パーセントのポリエポキシド、1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、及び結合剤前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤を含む、結合剤前駆体の反応生成物を含む。被覆研磨材物品を作製及び使用する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に研磨材技術に関し、より詳細には、被覆研磨材物品並びにその製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被覆研磨材物品は、裏材に固定された研磨材層を有する。研磨材層は、研磨材粒子及び研磨材粒子を裏材に固定する結合剤を含む。
【0003】
被覆研磨材物品の汎用種の1つは、メーク層、サイズ層、及び研磨材粒子から構成される研磨材層を有する。このような被覆研磨材物品の製造において、硬化性メーク樹脂を含むメーク層前駆体が裏材の主面に塗布される。次いで、研磨材粒子は、硬化性メーク樹脂の中に少なくとも部分的に埋め込まれ(例えば静電塗装により)、硬化性メーク樹脂は、少なくとも部分的に硬化(すなわち架橋)されて、裏材に研磨材粒子を接着する。次いで、硬化性サイズ樹脂を含むサイズ層前駆体は、少なくとも部分硬化した硬化性メーク樹脂及び研磨材粒子の上に塗布され、続いて、硬化性サイズ樹脂前駆体が硬化され、所望により硬化性メーク樹脂が更に硬化される。
【0004】
被覆研磨材物品の別の汎用種は、裏材の主表面に固定された研磨材層を有し、研磨材層は、結合剤前駆体と研磨材粒子のスラリーを裏材の主表面上に塗布し、次いで結合剤前駆体を硬化させることにより提供される。
【0005】
一部の被覆研磨材物品は、研磨材層を覆うスーパーサイズ層を更に有する。スーパーサイズ層は、通常、研磨助剤及び/又は目詰まり除去材料を含む。
【0006】
一部の被覆研磨材物品は、バックサイズ層などの1つ以上の裏材処理(すなわち、研磨材層を有する主面に対向する裏材の主面上の被覆)、プレサイズ層、結合層(すなわち、研磨材層と、研磨材層が固定される主面との間の被覆)、含浸剤、サブサイズ処理、又はこれらの組み合わせを有する。サブサイズは、既に処理済みの裏材に塗布される以外は、飽和剤に類似している。
【0007】
フェノール樹脂は、例えば、高性能樹脂ボンド製品(例えば、粗グリット被覆研磨材物品)を含む研磨材物品において何年もの間使用されてきた。フェノール樹脂は、通常、比較的低コストで強い接着及び凝集性強度を呈するが、例えば、フェストゥーンオーブン硬化工程における硬化時に、粘度低下を起こし易く、完成研磨製品に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、フェノール樹脂をメーク層前駆体(当該技術分野において「メークコート」としても知られている)中に包含させると、硬化時のこの粘度低下は、研磨性能の低下を生じる、鉱物配向の若干の低下を生じる可能性がある。フェノール樹脂布地裏材処理の場合、フェノール樹脂コーティングは、乾燥時に開口部を形成し、これは適切に封止された裏材を得るためには繰り返しの処理を必要とするのが普通である。この第2の工程は製造工程に時間と費用を増加させる。フェストゥーンオーブン工程を用いて硬化される慣用のフェノールのメーク層前駆体、サイズ層前駆体、又はスラリーの場合には、フェノール樹脂の著しいプーリングが生じて、不均一な製品性能に至る可能性がある。
【0008】
フェストゥーンオーブン硬化の問題を克服するために、例えばフェノール/アクリレート、フェノール/アクリルアミド、エポキシ/アクリレート、及びウレア−ホルムアルデヒド/アクリレートなどのUV/熱硬化性樹脂を使用し、メーク層前駆体をゲル化して、この粘度低下の問題を軽減してきたが、機械的及び熱的な特性が不充分であること、研磨性能が低いこと、加工性の問題、溶剤の使用、及び製造には新しい資本投資が必要であることにより、このような硬化性樹脂は、重作業用の粗グレードベルト及びディスク製品においては有用性が見出されなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、本開示は、以下を含む結合剤前駆体に関し、
a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、
b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、
c)1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、及び
d)結合剤前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤
成分a)からc)の重量パーセントは、成分a)からc)の全重量を基準とする。
【0010】
この結合剤前駆体は、例えば、被覆研磨材物品の製造において有用である。
【0011】
したがって、一つの態様では、本開示は、
布地裏材であって、所望によりプレサイズ層をその上に有する、布地裏材と、
この布地裏材に隣接し、これに固定された研磨材層であって、この研磨材層はメーク層、サイズ層、及び研磨材粒子を含む、研磨材層と、を含む、被覆研磨材物品であって、
メーク層又はプレサイズ層の少なくとも1つは、以下を含む結合剤前駆体の反応生成物を含み、
a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、
b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、
c)1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、及び
d)結合剤前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤
成分a)からc)の重量パーセントは、成分a)からc)の全重量を基準とする、被覆研磨材物品を提供する。
【0012】
ある実施形態では、この被覆研磨材物品は、スーパーサイズ層を更に含む。ある実施形態では、メーク層は結合剤前駆体を含む。ある実施形態では、プレサイズ層は結合剤前駆体を含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、加工物を研磨する方法であって、
本開示による被覆研磨材物品を提供する工程と、
研磨材層を加工物の表面と摩擦接触させる工程と、
被覆研磨材物品及び加工物の少なくとも一方を、他方に対して動かして表面の少なくとも一部分を研磨する工程と、を含む、方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、研磨材物品を作製する方法であって、この方法は、
布地裏材を提供する工程と、
メーク層前駆体を布地裏材に塗布する工程と、
研磨材粒子をメーク層前駆体中に埋め込む工程と、
メーク層前駆体を少なくとも部分的に硬化させて、少なくとも部分硬化したメーク層前駆体を提供する工程と、
サイズ層前駆体を少なくとも部分硬化したメーク層前駆体及び研磨材粒子の少なくとも一部に塗布する工程と、
サイズ層前駆体と、所望により部分硬化したメーク層前駆体を少なくとも部分的に硬化させる工程と、を含み、
このメーク層前駆体は以下を含み、
a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、
b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、
c)1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、
d)10〜20パーセントの水、及び
e)結合剤前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤
成分a)からc)の重量パーセントは、成分a)からc)の全重量を基準とする、方法を提供する。
【0015】
ある実施形態では、このメーク層前駆体は水希釈性である。
【0016】
別の態様においては、本開示は、研磨材物品を作製する方法であって、
布地裏材を提供する工程と、
プレサイズ層前駆体を布地裏材に塗布する工程であって、プレサイズ層前駆体は以下を含み、
a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、
b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、
c)1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、
d)10〜20パーセントの水、及び
e)プレサイズ前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤
成分a)からc)の重量パーセントは、成分a)からc)の全重量を基準とする、工程と、
プレサイズ層前駆体を少なくとも部分的に硬化させて、布地裏材に固定されたプレサイズ層を提供する工程であって、プレサイズ層は布地裏材を実質的に封止する、工程と、
プレサイズ層上に研磨材層を配置する工程と、を含む、方法を提供する。
【0017】
ある実施形態では、プレサイズ層前駆体は水希釈性である。ある実施形態では、この研磨材層は、メーク層、サイズ層、及び研磨材粒子を含む。ある実施形態では、この研磨材層は、結合剤中に分散された研磨材粒子を含む。
【0018】
本開示の実施で使用される結合剤樹脂前駆体は、慣用のフェノール熱硬化性樹脂及びUV硬化性樹脂の上述の利益を組み合わせ、その一方で、これらの結合剤樹脂の不利な点を緩和する。例えば、本開示の実施で使用される硬化性結合剤前駆体は、フェストゥーンオーブン硬化時の粘度低下を受けにくい。
【0019】
本明細書で使用されるとき、
動詞「Bステージ化」は、重力により自発的に流動しないが、印加圧力には降伏する、硬化の中間ステージへの転換を意味し、
用語「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル、又はその両方を含み、
用語「ポリエポキシド」は、少なくとも2個のエポキシ基を有する、モノマー、オリゴマー、又はポリマーを意味し、
用語「多官能性ポリ(メタ)アクリレート」は、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有する、(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー、又はポリマーを意味し、
用語「水希釈性」は水の添加により、相分離を生ぜずに希釈可能であることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本開示に記載の例示の被覆研磨材物品の断面の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、例示の被覆研磨材物品100は、布地裏材110を含む。布地裏材110は、所望によりプレサイズ(presize)層114、含浸剤116、及びバックサイズ層118の少なくとも1つをその上に有する。布地裏材110が充分に多孔質である場合には、任意のバックサイズ層118及び任意のプレサイズ層114は、裏材の中に浸透し、ある場合には、裏材の多孔質内部の点において相互に接触することすらある。任意のプレサイズ層114を覆うのは、研磨材層120である。図示するように、研磨材層120は、研磨材粒子140が埋め込まれているメーク層130及びメーク層130と研磨材粒子140を覆うサイズ層150を含む。任意のスーパーサイズ層160は、サイズ層150を覆う。
【0022】
プレサイズ層114又はメーク層130の少なくとも1つは、a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、c)1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、及びd)結合剤前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤を含み、成分a)からc)の重量パーセントが成分a)からc)の全重量を基準とする、結合剤前駆体から誘導される。本明細書ではこれ以降、この結合剤前駆体を結合剤前駆体Aとも呼ぶ。
【0023】
好適な布地裏材としては、例えば、被覆研磨材物品の作製するための当該技術分野において既知であるものが挙げられる。通常、布地裏材は2つの相対する主面を有する。裏材の厚さは、一般に、約0.02〜約5ミリメートル、望ましくは約0.05〜約2.5ミリメートル、より望ましくは約0.1〜約0.4ミリメートルの範囲であるが、これらの範囲外の厚さも有用であり得る。代表的な布地裏材としては、不織布地(例えば、ニードルタック、メルトスパン、スパンボンド、水流交絡、又はメルトブローン不織布地を含む)、編布、ステッチボンド、及び織布地、スクリム、これらの材料の2種以上の組み合わせ、及びこれらの処理されたものが挙げられる。
【0024】
この布地裏材は、天然、合成、又は天然及び合成繊維のブレンドにかかわらず、いずれか既知の繊維から作製できる。有用な繊維材料の例としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム)、ポリプロピレン、アクリル系(アクリロニトリルのポリマーから形成される)、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー類、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー類、グラファイト、ポリイミド、シルク、綿、リネン、黄麻、麻布又はレーヨンを含む繊維又はヤーンが挙げられる。有用な繊維は、バージン材料、又は例えば衣類裁断、カーペット製造、繊維製造若しくは繊維製品処理から再生されたリサイクル材料若しくは廃棄材料からのものであってもよい。有用な繊維は、均質であってもよく、又は2成分繊維(例えば、共紡糸シース−コア繊維)などの複合体であり得る。繊維は、伸張されていてもよく、けん縮されていてもよいが、また押出成形プロセスによって形成されるもののような連続フィラメントであってもよい。
【0025】
例えば、意図された使用目的によって、布地裏材の厚さは、一般に、約0.02〜約5ミリメートル、望ましくは約0.05〜約2.5ミリメートル、より望ましくは約0.1〜約0.4ミリメートルの範囲であるが、これらの範囲外の厚さも有用であり得る。一般に、この裏材の強度は、研磨工程時の引き裂き又は他の損傷に耐えるのに充分なものでなければならない。この裏材の厚さと滑らかさも、例えば被覆研磨材物品の意図した用途又は使用によって、被覆研磨材物品の所望の厚さと滑らかさをもたらすのに好適でなければならない。
【0026】
この布地裏材は、典型的に、1平方メートル当り100〜400グラム(gsm)の、更に典型的には、200〜320gsmの、更に典型的には、270〜320gsmの範囲のいずれかの坪量も有してもよい。この布地裏材は、通常、良好な可撓性を有するが、これは必要事項でない。
【0027】
布地裏材への結合剤樹脂の接着を促進するために、裏材の1つ以上の表面は、コロナ放電、紫外線曝露、電子ビーム曝露、火炎放電、及び/又はスカッフィングを含む既知の方法によって改質されてもよい。
【0028】
任意の裏材処理(すなわち、含浸剤、プレサイズ層、バックサイズ層)の目的は、通常、裏材を封止し、裏材中のヤーン又は繊維を保護し、及び/又は他の層(例えば、メーク層又は任意の取り付け境界面)の裏材への接着を促進することである。通常、これらの裏材処理の少なくとも1つが使用されるが、これは必要事項ではない。プレサイズ層又はバックサイズ層を加えると、更に、裏材の前側及び/又は裏側のいずれかの上に「より滑らかな」表面をもたらすことができる。
【0029】
裏材処理として有用な材料としては、例えばフェノール樹脂(特に、レゾール樹脂)、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、アクリルラテックス、ウレタン樹脂、アミノプラスト、にかわ、でんぷん、及びこれらの組み合わせが挙げられる。裏材処理として有用な更なる材料としては、例えば、米国特許出願公開第2005/0100739(A1)号(Thurberら)、同第2004/0002951(A1)号(Kincaidら)、及び同第2005/0282029(Al)号(Keipertら)、並びに米国特許第5,108,463号(Buchananら)、同第5,137,542号(Buchananら)、同第5,328,716号(Buchanan)、同第5,560,753号(Buchananら)、同第6,372,336(B1)号(Clausenら)、同第6,936,083(B2)号(Thurberら)、同第7,344,574(B2)号(Thurberら)、及び同第7,344,575(B2)号(Thurberら)に述べられているものが挙げられる。
【0030】
裏材処理は、例えば、充填剤及び/又は帯電防止材料(例えば、カーボンブラック粒子、五酸化バナジウム粒子)などの追加の添加物を含有してもよい。帯電防止材料を添加すると、木材又は木材様材料にサンダー掛けをするときに、被覆研磨材物品が静電気を蓄積する傾向を低下することができる。
【0031】
以下の討論を通して、用語「結合剤前駆体」及び「結合剤」は、プレサイズ層前駆体及び/又はメーク層前駆体において使用され得る、本開示による結合剤前駆体に当てはまる。
【0032】
本開示による更なる例示の裏材処理は、結合剤前駆体の反応生成物を含むプレサイズ層を含む。結合剤前駆体A中に含まれるレゾールフェノール樹脂の量は、成分a)からc)の全重量を基準として、45〜75重量パーセント、典型的には45〜65重量パーセント、より典型的には55〜65重量パーセントである。レゾールフェノール樹脂の一つ又は組み合わせが、結合剤前駆体A中に含まれるレゾールフェノール樹脂として使用され得る。
【0033】
フェノール樹脂は、一般に、フェノールとホルムアルデヒドの縮合により形成され、通常、レゾール又はノボラックフェノール樹脂と分類される。ノボラックフェノール樹脂は酸触媒のものであり、1:1未満のホルムアルデヒド:フェノールのモル比を有する。レゾールフェノール樹脂は塩基接触のものであり、1:1以上の、典型的には約1:1〜約3:1の範囲内のホルムアルデヒド:フェノールのモル比を有する。1種以上のレゾールフェノール樹脂が結合剤前駆体A中に含まれるレゾールフェノール樹脂として使用され得る。レゾールフェノール樹脂はアルカリ性触媒により接触可能なものであり、ホルムアルデヒド:フェノールのモル比は1以上、典型的に1.0〜3.0の間であり、ペンダントメチロール基を提供する。アルデヒドとレゾールフェノール樹脂のフェノール成分との間の反応を接触するのに好適なアルカリ性触媒としては、水に溶解させた触媒の溶液として水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、有機アミン、及び炭酸ナトリウムが挙げられる。フェノール樹脂とそれらの製造の一般的な議論は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,4thEd.,John Wiley & Sons,1996,NY,Vol.18,pp.603〜644で示されている。
【0034】
レゾール樹脂の商品供給元としては、例えばHexion Specialty Chemical(Columbus,OH)、Durez Corp.(Novi,Michigan)、及びGeorgia−Pacific(Atlanta,GA.)が挙げられる。
【0035】
プレサイズ層前駆体の結合剤前駆体中に包含されるポリエポキシドの量は、成分a)からc)の全重量を基準として、5〜40重量パーセント、典型的には20〜35重量パーセント、より典型的には25〜35重量パーセントである。ポリエポキシドの一つ又は組み合わせが結合剤前駆体中に包含されるポリエポキシドとして使用され得る。
【0036】
ポリエポキシドとしては、脂肪族エポキシド、脂環式ポリエポキシド、及び芳香族ポリエポキシドが挙げられる。
【0037】
脂肪族ポリエポキシドとしては、例えば多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル、及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルの例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、及びポリグリセロールポリグリシジルエーテルが挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステルの例としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレエート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジパート、及びジグリシジルピメレートが挙げられる。
【0038】
脂環式ポリエポキシドとしては、モノマー型脂環式ポリエポキシド、オリゴマー型脂環式ポリエポキシド、ポリマー型脂環式ポリエポキシド、及びこれらの混合物が挙げられる。市販されている、多種多様な脂環式ポリエポキシドモノマー、ポリエポキシドオリゴマー、及びポリエポキシドポリマーが本開示の実施において使用され得る。本開示の実施において有用な代表的な脂環式ポリエポキシドモノマーとしては、エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,Mich)から商品名UVR−6110で入手可能)、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、Dow Chemical Co.から商品名ERL−4201で入手可能);ビニルシクロヘキセンジオキシド(例えば、Dow Chemical Co.から商品名ERL−4206で入手可能);ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、Dow Chemical Co.から商品名ERL−0400で入手可能)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、Dow Chemical Co.から商品名ERL−4289で入手可能)、ジペンテリックジオキシド(dipenteric dioxide)(例えば、Dow Chemical Co.から商品名ERL−4269で入手可能)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,1’−スピロ−3’,4’−エポキシシクロヘキサン−1,3−ジオキサン、及び2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパンが挙げられる。
【0039】
芳香族ポリエポキシドとしては、モノマー形芳香族ポリエポキシド、オリゴマー形芳香族ポリエポキシド、ポリマー形芳香族ポリエポキシド、及びこれらの混合物が挙げられる。本開示で使用可能な代表的な芳香族ポリエポキシドとしては、例えばResolution Performance Products(Houston,Tex)から入手可能な商品名EPON(例えば、EPON 828及びEPON 1001F)を有する、エポキシ樹脂を含むビスフェノールA−タイプ樹脂及びその誘導体などの多価フェノールのポリグリシジルエーテル;エポキシクレゾール−ノボラック樹脂;ビスフェノール−F樹脂及びその誘導体;エポキシフェノール−ノボラック樹脂;及び芳香族カルボン酸のグリシジルエステル(例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、及びピロメリット酸テトラグリシジルエステル)、及びこれらの混合物が挙げられる。代表的な市販の芳香族ポリエポキシドとしては、例えば、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,N.Y.)から入手可能な商品名ARALDITE(例えば、ARALDITE MY−720、ARALDITE 721、ARALDITE 722、ARALDITE 0510、ARALDITE 0500、ARALDITE PY−306、及びARALDITE 307)を有するもの;例えば、Hexion Specialty Chemical(Houston,TX)から入手可能な商品名EPON(例えば、EPON DPL−862及びEPON HPT−1079)を有する芳香族ポリエポキシド;及び例えば、Dow Chemical Co.から入手可能な商品名DER、DEN(例えば、DEN 438及びDEN 439)、及びQUATREXを有する芳香族ポリエポキシドが挙げられる。
【0040】
結合剤前駆体A中に含まれる多官能性(メタ)アクリレートの量は、成分a)からc)の全重量を基準として、1〜20重量パーセント、典型的には5〜15重量パーセント、更に典型的には8〜12重量パーセントである。多官能性(メタ)アクリレートの一つ又は組み合わせが、結合剤前駆体A中に含まれる多官能性(メタ)アクリレートとして使用され得る。
【0041】
多種多様な(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(メタ)アクリレート化ポリマーが、例えばSartomer Company(Exton,Pa)及びCytec(Stamford,CT)などの製造供給元から容易に入手できる。代表的な多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
代表的な有用な多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、アクリレート化エポキシオリゴマー(例えば、商品名EBECRYL 3500、EBECRYL 3600、EBECRYL 3720、及びEBECRYL 3700としてCytecより販売されているものなどのビスフェノールAベースのエポキシアクリレート化オリゴマー)、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、商品名EBECRYL 8402でUCB Radcureにより販売されているもの)、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー、及びアクレート化ポリエステル(例えば、商品名EBECRYL 870としてCytecにより販売されているもの)が挙げられる。更なる有用な多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばSartomer Companyから商品名SR 259として販売されているポリエチレングリコール200ジアクリレート;及び、例えばSartomer Companyから商品名SR 344として販売されているポリエチレングリコール400ジアクリレートなどのポリエーテルオリゴマーが挙げられる。
【0043】
結合剤前駆体Aは、結合剤前駆体Aをフリーラジカル的にBステージ化する(すなわち、多官能性(メタ)アクリレートをBステージまでフリーラジカル的に重合する)のに有効な量の光開始剤を含む。例えば、この硬化性組成物は、成分a)からc)の全重量を基準として0.1、1、又は3重量パーセントから、5、7重量パーセントまで、又は更には10重量パーセント以上の光開始剤を含み得るが、他の量もまた使用されてもよい。結合剤前駆体をBステージ化することにより、熱硬化(例えば、フェストゥーンオーブンにおけるなどの)時の結合剤前駆体の流れは低減されるか、又は無くなる。フリーラジカル光開始剤の1種又は組み合わせが、結合剤前駆体A中に含まれる多官能性(メタ)アクリレートとして使用され得る。
【0044】
(メタ)アクリレートのフリーラジカル重合を開始するための代表的な光開始剤としては、α−メチルベンゾインなどのベンゾイン及びその誘導体;α−フェニルベンゾイン;α−アリルベンゾイン;α−ベンジルベンゾイン;ベンジルジメチルケタール(例えば、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY)から商品名IRGACURE 651で入手可能)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテルなどのベンゾインエーテル;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名DAROCUR 1173で入手可能)及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 184で入手可能)などのアセトフェノン及びその誘導体;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 907で入手可能);2−ベンジル−2−(ジメタルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 369で入手可能)が挙げられる。他の有用な光開始剤としては、ピバロインエチルエーテル、アニソインエチルエーテル;2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−メトキシアントラキノン、ベンズアントラキノンハロメチルトリアジンなどのアントラキノン;ベンゾフェノン及びその誘導体;上述のようなイオドニウム塩及びスルホニウム塩;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロロ−1−イル)フェニル]チタニウム(Ciba Specialty Chemicalsから商品名CGI784DCとして得られる)などのチタン錯体;例えば、4−ブロモメチルニトロベンゼンなどのハロメチルニトロベンゼン;モノ−及びビス−アシルホスフィン(例えば、IRGACURE 1700、IRGACURE 1800、IRGACURE 1850、及びDAROCUR 4265としてCiba Specialty Chemicalsから入手可能)が挙げられる。
【0045】
結合剤前駆体Aは、任意の二反応性重合可能な成分、例えば、少なくとも1つのフリーラジカル的に重合可能な基と、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物を含み得る。二反応性化合物は、例えば少なくとも1つのエチレン性不飽和基を1つ以上のエポキシ基を既に含有する化合物に導入することによって、又は反対に少なくとも1つのエポキシ基を1つ以上のエチレン性不飽和基を既に含有する化合物に導入することにより製造可能である。
【0046】
結合剤前駆体Aは、例えば、充填剤、増粘剤、強化剤、研磨助剤、顔料、繊維、粘着性付与剤、潤滑剤、湿潤剤、界面活性剤、発泡防止剤、染料、カップリング剤、可塑剤、及び懸濁剤などの多様な添加物を含有し得る。
【0047】
結合剤前駆体Aは、化学線によりBステージ化されることが可能である。これは、Bステージ化された結合剤前駆体が、以降の熱硬化時に実質的に流動しないために顕著な利点を有する。裏材処理の場合には、流れを実質的に無くすることによって、封止された裏材を得ながら一回通しの被覆と硬化が可能となり、その一方で、フェノール樹脂を用いる現行の業界の方法が、適切に封止された裏材を得るのに通常2回以上の被覆の通過を必要とする。メーク層前駆体の場合には、Bステージ化は、樹脂プーリング(pooling)を無くし、並びにフェノール樹脂の場合、重力により樹脂の流れを引き起こし、フェストゥーンオーブンを用いる熱硬化時には通常劣化する、鉱物配向を保持する機能をする。サイズ層前駆体の場合、Bステージ化は、同様に、フェストゥーンオーブンを用いる熱硬化時の樹脂プーリングを無くす機能をする。
【0048】
化学線源の選択は、通常、意図する処理条件に応じて、光開始剤を適切に活性化するように選択される。代表的な有用紫外線及び可視光線源としては、水銀、キセノン、炭素アーク、タングステンフィラメントランプ、及び日光が挙げられる。紫外線、特に中圧水銀アークランプ又はマイクロ波誘導H型、D型、又はV型水銀ランプ、例えばFusion UV Systems(Gaithersburg,Md)から市販されているものが特に望ましい。化学線の曝露時間は、通常、例えば約0.01秒未満から1分以上までの範囲であり、含まれる反応性構成成分の量及び種類、エネルギー源、ウェブ速度、エネルギー源からの距離、及び硬化されるべきメーク層の厚さに応じて、例えば1平方センチメートル当たり0.1〜10ジュール(J/cm)の総エネルギー曝露を提供する。例えば、化学線を伴う熱エネルギーを低減するためにフィルター及び/又は二色性リフレクターも有用な場合がある。
【0049】
水は、成分a)からc)の全重量を基準として、典型的に少なくとも10重量パーセント、典型的に10〜20重量パーセントの量で結合剤前駆体A中に包まれ得るが、更に多くの又は更に少ない水を使用することができる。水の役割は、主として、粘度制御の役割である。この点で、結合剤前駆体Aは、典型的に水希釈性であること、すなわち、被覆可能な粘度を得るのに充分な水を添加し、それが結合剤前駆体A中の成分の実施的な相分離(例えば、曇った外観の発現により示される)を引き起こさないということが特記されるべきである。有利なことに、このことによって、揮発性有機溶剤を添加せずに、結合剤前駆体Aを取り扱うこと及び被覆することが可能となる。
【0050】
結合剤前駆体Aは、熱エネルギーに曝露することにより更に硬化され得る。熱エネルギーの有用な形態としては、例えば熱及び赤外線が挙げられる。熱エネルギーの代表的な源としては、オーブン(例えば、フェストゥーンオーブン)、加熱ロール、熱風ブロア、赤外線ランプ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
このメーク層は、裏材の主表面の上に硬化性メーク層前駆体を被覆することにより形成可能である。このメーク層前駆体は、例えば、にかわ、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、フリーラジカル的に重合可能な多官能性(メタ)アクリレート(例えば、ペンダントα,β−不飽和基を有するアミノプラスト樹脂、アクリレート化ウレタン、アクリレート化エポキシ、アクリレート化イソシアヌレート)、エポキシ樹脂(ビス−マレイミド及びフルオレン変成エポキシ樹脂を含む)、イソシアヌレート樹脂、及びこれらの混合物を含み得る。このメーク層前駆体は、結合剤前駆体Aも含み得る。メーク層前駆体は、メーク層前駆体を裏材に塗布するためのいずれかの既知のコーティング方法によって塗布されてもよく、ロールコーティング、押出ダイコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、及びスプレーコーティングが挙げられる。
【0052】
使用されるメーク層の坪量は、例えば、意図される用途、研磨材粒子のタイプ、及び作製される被覆研磨材物品の特性に依存することもあるが、一般には、1、2、5、10、又は15gsmから20、25、100、200、300、400、又は更に600グラムまでの範囲にある。メーク層は、メーク層を裏材に塗布するためのいずれか既知のコーティング方法(例えば、メークコート)によって塗布されてもよく、それには、例えば、ロールコーティング、押出ダイコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、及びスプレーコーティングが挙げられる。
【0053】
メーク層前駆体を裏材上に被覆すると、研磨材粒子はメーク層前駆体に塗布され、これに埋め込まれる(例えば、ドロップコーティング及び/又は静電塗装により)。研磨材粒子は、メーク層前駆体上に無作為に又は正確なパターンで塗布又は配置可能である。
【0054】
代表的で有用な研磨材粒子としては、酸化アルミニウムのような溶融アルミニウム酸化物系の材料、アルミニウム酸化物セラミック(これには、1種以上の金属酸化物変性剤類、及び/又はシード若しくは核剤が含まれてもよい)、熱処理されたアルミニウム酸化物、炭化ケイ素、共溶融されたアルミナ−ジルコニア、ダイアモンド、セリア、二ホウ化チタン、立方晶窒化ホウ素、炭化ホウ素、ガーネット、フリント、エメリー、ゾルゲル法で抽出された研磨材粒子、及びこれらのブレンドが挙げられる。ゾル−ゲルの研磨材粒子の例としては、米国特許第4,314,827号(Leitheiserら)、同第4,518,397号(Leitheiserら)、同第4,623,364号(Cottringerら)、同第4,744,802号(Schwabel)、同第4,770,671号(Monroeら)、同第4,881,951号(Woodら)、同第5,011,508号(Waldら)、同第5,090,968号(Pellow)、同第5,139,978号(Wood)、同第5,201,916号(Bergら)、同第5,227,104号(Bauer)、同第5,366,523号(Rowenhorstら)、同第5,429,647号(Larmie)、同第5,498,269号(Larmie)、及び同第5,551,963号(Larmie)に記載されているものが挙げられる。研磨材粒子は、例えば、個々の粒子、粒塊粒子、研磨材複合粒子、及びこれらの混合物の形態であってもよい。
【0055】
代表的な凝集粒子が、例えば、米国特許第4,652,275号(Bloecherら)及び同第4,799,939号(Bloecherら)に記載されている。例えば米国特許第5,078,753号(Brobergら)に記載されるような希釈剤の侵食性凝集粒子を使用することも、本発明の範囲内である。研磨材複合粒子は、結合剤中の研磨材粒子を含む。
【0056】
例示の研磨材複合粒子は、例えば米国特許第5,549,962号(Holmesら)に記載されている。
【0057】
研磨材粒子のコーティング重量は、例えば、所望の特定の被覆研磨材物品、研磨材粒子を付着させる方法、及び研磨材粒子の寸法に依存することもあるが、典型的に、1〜2000gsmの範囲にある。
【0058】
この研磨材粒子は、典型的に0.1〜約5000マイクロメートル、更に典型的に約1〜約2000マイクロメートル、更に典型的に約5〜約1500マイクロメートル、更に典型的に約100〜約1500マイクロメートルの範囲のサイズを有するが、他のサイズを使用してもよい。
【0059】
この研磨材粒子は、通常、例えばAmerican National Standards Institute、Inc.(ANSI)標準、Federation of European Producers of Abrasive Products(FEPA)標準、及びJapanese Industrial Standard(JIS)標準などの研磨材業界承認の公称等級に対応するように選択される。代表的なANSI等級の表記(すなわち、公称等級として指定される)としては、ANSI 4、ANSI 6、ANSI 8、ANSI 16、ANSI 24、ANSI 36、ANSI 40、ANSI 50、ANSI 60、ANSI 80、ANSI 100、ANSI 120、ANSI 150、ANSI 180、ANSI 220、ANSI 240、ANSI 280、ANSI 320、ANSI 360、ANSI 400、及びANSI 600が挙げられる。代表的なFEPA等級表記としては、P8、P12、P16、P24、P36、P40、P50、P60、P80、P100、P120、P180、P220、P320、P400、P500、600、P800、P1000、及びP1200が挙げられる。代表的なJIS等級表記としては、JIS8、JIS12、JIS16、JIS24、JIS36、JIS46、JIS54、JIS60、JIS80、JIS100、JIS150、JIS180、JIS220、JIS240、JIS280、JIS320、JIS360、JIS400、JIS400、JIS600、JIS800、JIS1000、JIS1500、JIS2500、JIS4000、JIS6000、JIS8000、及びJIS10,000が挙げられる。
【0060】
研磨材粒子は、メーク層前駆体中に埋め込まれると、サイズ層前駆体の塗布時の鉱物の配向を保持するために、少なくとも部分硬化される。通常、これは、メーク層前駆体をBステージ化することを伴うが、所望ならば、更に進行した硬化も使用してもよい。Bステージ化は、例えば、選択されたメーク層前駆体の性状によって、熱及び/又は光及び/又は硬化剤を使用して、達成され得る。
【0061】
次に、サイズ層前駆体は、少なくとも部分硬化したメーク層前駆体及び研磨材粒子の上に塗布される。
【0062】
このサイズ層は、裏材の主面の上に硬化性サイズ層前駆体を被覆することにより形成可能である。このサイズ層前駆体は、例えば、にかわ、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、フリーラジカル的に重合可能な多官能性(メタ)アクリレート(例えば、ペンダントα,β−不飽和基を有するアミノプラスト樹脂、アクリレート化ウレタン、アクリレート化エポキシ、アクリレート化イソシアヌレート)、エポキシ樹脂(ビス−マレイミド及びフルオレン変成エポキシ樹脂を含む)、イソシアヌレート樹脂、及びこれらの混合物を含み得る。サイズ層前駆体は、サイズ層前駆体を裏材に塗布するためのいずれか既知のコーティング方法によって塗布されてもよく、ロールコーティング、押出ダイコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、及びスプレーコーティングが挙げられる。所望ならば、本開示によるプレサイズ層前駆体又はメーク層前駆体は、サイズ層前駆体としても使用され得る。
【0063】
サイズ層の坪量もまた、意図される用途、研磨材粒子のタイプ、及び作製される被覆研磨材物品の特性に依存して必然的に変化するものであるが、一般には、1又は5gsmから300、400、又は更に500gsm、又はそれ以上までの範囲にある。サイズ層前駆体は、サイズ層前駆体を裏材に塗布するためのいずれか既知のコーティング方法(例えば、サイズコート)によって塗布されてもよく、例えばロールコーティング、押出ダイコーティング、カーテンコーティング、及びスプレーコーティングが挙げられる。
【0064】
塗布されると、サイズ層前駆体及び典型的に部分硬化したメーク層前駆体は、充分に硬化されて、使用可能な被覆研磨材物品を提供する。一般に、この硬化工程は熱エネルギーを伴うが、これは必要条件ではない。熱エネルギーの有用な形態としては、例えば熱及び赤外線が挙げられる。代表的な熱エネルギー源としては、オーブン(例えば、フェストゥーンオーブン)、加熱ロール、熱風ブロワー、赤外ランプ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
他の成分に加えて、結合剤前駆体は、本発明による被覆研磨材物品のメーク層前駆体及び/又はプレサイズ層前駆体中に存在する場合には、硬化を促進するための、触媒(例えば、熱活性化触媒又は光触媒)、フリーラジカル開始剤(例えば、熱活性化触媒又は光触媒)、硬化剤を所望により含有してもよい。このような触媒(例えば、熱活性化触媒又は光触媒)、フリーラジカル開始剤(例えば、熱開始剤又は光開始剤)、及び/又は硬化剤は、例えば、本明細書で述べられているものを含む、被覆研磨材物品での使用に知られている任意のタイプのものであってもよい。
【0066】
他の成分に加えて、メーク及びサイズ層前駆体は、例えば、性能及び/又は外観を改変するための任意の添加物を含有してもよい。代表的な添加物としては、研磨助剤、充填剤、可塑剤、湿潤剤、界面活性剤、顔料、カップリング剤、繊維、潤滑剤、キチソトロピー性物質、帯電防止剤、懸濁剤、及び染料が挙げられる。
【0067】
代表的な研磨助剤としては、有機又は無機であってもよいが、ワックス、テトラクロロナフタレン、ペンタクロロフタレン、及びポリビニルクロリドのような塩素化ワックスなどのハロゲン化有機化合物;塩化ナトリウムなどのハロゲン化物塩、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、アンモニウム氷晶石、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウム、塩化マグネシウム;並びに、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、鉄、及びチタンなどの金属及びその合金が挙げられる。他の研磨助剤の例としては、イオウ、有機イオウ化合物、グラファイト、及び金属硫化物が挙げられる。異なる研磨助剤の組み合わせが使用可能である。
【0068】
代表的な帯電防止剤としては、結合剤中の五酸化バナジウム(例えば、スルホン化ポリエステル中に分散した)などの電導性材料、保湿剤、カーボンブラック、及び/又はグラファイトが挙げられる。
【0069】
本発明に有用な充填剤の例としては、石英などのシリカ、ガラスビーズ、泡ガラス、及びガラス繊維;タルク、粘土、(モンモリロナイト)長石、雲母、カルシウムシリケート、カルシウムメタシリケート、ナトリウムアルミノシリケート、ナトリウムシリケートなどのシリケート;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムなどの金属硫酸塩;石こう;バーミキュライト;木粉;アルミニウム三水和物;カーボンブラック;アルミニウム酸化物;二酸化チタン;氷晶石;キオライト;及び亜硫酸カルシウムなどの金属亜硫酸塩が挙げられる。
【0070】
場合によっては、スーパーサイズは、サイズ層の少なくとも一部に塗布されてもよい。存在する場合、スーパーサイズは、通常、粉砕助剤及び/又は非充填物質を含む。任意のスーパーサイズ層は、被覆研磨材物品の切削能力を劇的に低下させる可能性のある、研磨材粒子の間の削り屑(加工物から研削される材料)の蓄積を防止又は低減するような役割を果たしてもよい。有用なスーパーサイズ層としては、通常、研磨助剤(例えば、カリウムテトラフルオロボレート)、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウム)、リン酸エステル塩(例えば、カリウムベヘニルホスフェート)、リン酸エステル、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、鉱油、架橋シラン、架橋シリコーン、及び/又はフッ素化合物が挙げられる。有用なスーパーサイズ材料は、例えば、米国特許第5,556,437号(Leeら)で更に述べられている。典型的に、被覆研磨材製品に組み込まれる研磨助剤の量は、約50〜約400gsm、更に典型的に、約80〜約300gsmである。スーパーサイズは、例えば、サイズ層又はメーク層の作製に使用されるものなどの結合剤を含有し得るが、結合剤も有する必要はない。
【0071】
布地裏材に固定され、研磨材粒子、メーク層、サイズ層、及び任意のスーパーサイズ層を含む、研磨材層を含む被覆研磨材物品に関する更なる詳細は周知であり、例えば米国特許第4,734,104号(Broberg)、同第4,737,163号(Larkey)、同第5,203,884号(Buchananら)、同第5,152,917号(Pieperら)、同第5,378,251号(Cullerら)、同第5,417,726号(Stoutら)、同第5,436,063号(Follettら)、同第5,496,386号(Brobergら)、同第5,609,706号(Benedictら)、同第5,520,711号(Helmin)、同第5,954,844号(Lawら)、同第5,961,674号(Gagliardiら)、同第4,751,138号(Bangeら)、同第5,766,277号(DeVoeら)、同第6,077,601号(DeVoeら)、同第6,228,133号(Thurberら)、及び同第5,975,988号(Christianson)に見出だすことができる。
【0072】
結合剤前駆体Aが固体の構成成分を含む場合、例えば材料の少なくとも一部を液化し、効率良く混合して硬化性組成物を形成できるが、構成成分を熱的には分解しないようにするために充分に高温、例えば100℃未満で好適な容器中で硬化性組成物の各種材料の一部又は全部を攪拌しながら混合することにより、こうした組成物を作製してもよい。
【0073】
場合によっては、得られる被覆研磨材物品がバックアップパッドに取り付け可能であるように、任意のバックサイズ層又は研磨材層に相対する被覆研磨材物品側上に任意の取り付け境界面を固定することが望ましいことがある。
【0074】
本開示の研磨材物品搭載組み立て体の研磨材取り付け境界面は、接着剤、シート材料、又はこれらの組み合わせの非連続層からなることができる。このシート材は、例えば、2つの部分からなる機械的噛み合いシステムのループ部分又はフック部分を含むことができる。他の実施形態では、研磨材取り付け境界面は、取扱中に接着剤の層を保護するための任意の剥離ライナーと共に感圧性接着剤の層を含む。
【0075】
ある実施形態では、本開示の研磨材物品搭載組み立て体の研磨材取り付け境界面は、不織布、織布又は編布のループ材料を含む。ループ状の研磨材取り付け境界面に適した材料としては、織布及び不織布の両方の材料が挙げられる。織布及び編布の取り付け境界面材料は、その布地構造中に含まれるループ形成フィラメント又はヤーンを有して、フックと係合する立ち上がったループを形成することができる。不織布のループ接合境界面の材料は、絡み合う繊維によって形成されるループを有することができる。一部の不織布ループ取り付け境界面材料では、不織布ウェブを通してヤーンを縫製することによりループを形成して、立ち上がったループを形成する。
【0076】
ループ研磨材界面として用いるのに適した有用な不織布としては、エアレイド、スパンボンド、スパンレース、結合メルトブローウェブ、結合カーデッドウェブが挙げられるが、これらに限らない。不織布材料は、例えば、ニードルパンチ、ステッチボンド、水流交絡、化学的接合、及び熱接合を含む当業者にとって既知の各種の方法で結合可能である。使用される織布又は不織布材料は、天然繊維(例えば、木材若しくは木綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル若しくはポリプロピレン繊維)、又は天然繊維と合成繊維の組み合わせ物から作製され得る。ある実施形態では、研磨材取り付け境界面は、ナイロン、ポリエステル、又はポリプロピレンから作製される。
【0077】
ある実施形態では、中を通る空気の流れを著しく妨げない開口構造を有するループ研磨材取り付け境界面が選択される。ある実施形態では、研磨材取り付け境界面は、少なくとも一部は、材料の多孔性に基づいて選択される。
【0078】
ある実施形態では、本開示の研磨材物品搭載組み立て体の研磨材取り付け境界面は、フック材料を含む。本開示において有用なフック材料の形成に使用される材料は、当業者に既知の多数の異なる方法のうちの1つで作製され得る。本開示において有用な研磨材取り付け境界面の作製に有用なフック材料を作製するためのいくつかの好適な方法としては、例えば米国特許第5,058,247号(Thomasら)、同第4,894,060号(Nestegard)、同第5,679,302号(Millerら)、及び同第6,579,161号(Chesleyら)に記載の方法が挙げられる。フック材料は、例えば米国特許出願公開No.2004/0170801(Sethら)に述べられている、ポリマー網目形成材料などの多孔質材料であってもよい。
【0079】
本発明の被覆研磨材物品は、例えばベルト、テープ、ロール、ディスク(穿孔ディスクを含む)、及び/又はシートに加工可能である。ベルト用途の場合、研磨材シートの2つの自由端が、既知の方法を用いて共に接合されて、継ぎベルトを形成してもよい。継ぎ無しベルトも、例えば米国特許5,573,619号(Benedictら)に記載されているように形成されてもよい。
【0080】
本発明の被覆研磨材物品は、加工物を研磨するために有用である。1つのそのような方法は、被覆研磨材物品の研磨材層の少なくとも一部分を加工物の表面の少なくとも一部分に摩擦接触させる工程と、被覆研磨材物品又は加工物の少なくとも一方を、他方に対して動かして表面の少なくとも一部分を研磨する工程と、を含む。加工物材料の例としては、金属、合金、新合金(exotic metal)、セラミックス、ガラス、木材、木材様材料、複合材料、塗装表面、プラスチック、強化プラスチック、石、及び/又はこれらの組み合わせ物が挙げられる。加工物は、平らであってもよく、又は関連した形状若しくは輪郭を有してもよい。代表的な加工物としては、金属構成成分、プラスチック構成成分、パーティクルボード、カムシャフト、クラクシャフト、家具、及びタービンブレードが挙げられる。
【0081】
本開示によるコーティングされた研磨材物品は、手で使用してもよく、及び/又は機械と組み合わせて使用してもよい。被覆研磨材物品及び加工物の少なくとも一方又は両方は一般に、研磨時に他方に対して動かされる。研磨は、湿潤状態で実施されても、又は乾燥状態で実施されてもよい。代表的な湿潤研磨用液体としては、水、慣用の腐食防止化合物を含有する水、潤滑剤、油、石鹸液、及び切削流体が挙げられる。その液体はまた、消泡剤、脱脂剤などを含有してもよい。
【0082】
本明細書中で開示されているすべての参照文献及び特許は、それぞれが個別に組み込まれているかのように参照として全体で組み込まれている。以降の非限定的な実施例によって本開示の目的及び利点を更に例示するが、これら実施例で引用される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0083】
別途注記のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分におけるすべての部、割合、及び比率は、重量による。
【0084】
【表1】


材料
【0085】
結合剤前駆体組成物
【0086】
組成物RC1の作製
0.1リットル(4オンス)のジャーに34.6グラムのER1、5.75グラムのPFA及び1グラムのPIを装填した。この混合物をオーブン中に59〜60℃で15分間入れた。次に、この試料をオーバーヘッド攪拌機により混合し、15分かけて室温に冷却した。次に、79.5グラムのPR2(59.6gの固体)をこの混合物に添加した。この混合物をオーバーヘッド攪拌機により5分間混合した。得られた組成物は透明で均質であった。
【0087】
組成物RC2〜RC5及びRCA〜RCDの作製
それぞれの組成とその外観を記した表1(下記)に記されている組成変化を除いて、組成物RC2〜RC5及びRCA〜RCDをRC1の場合のように作製した。
【0088】
【表2】

【0089】
実施例RC1−1C5及びRCA〜RCDにおいて、PR1をPR2として加えたが、比較を容易にするために、表1は、PR2中に存在するPR1の実際の量を示す。
【0090】
表1中では、混合後試料を10分間放置した後、目視検査により相分離を求めた。0.25mm(10mil)の間隔でセットされた2.5cm(1インチ)のナイフを用いて、配合物を顕微鏡スライド上に被覆することにより、鉱物吸い上げを求めた。紫外線(UV)Fusion Systemランプ(118ワット/cm(118ジュール/cm−秒)、Dバルブ)により1分当り5メートルのライン速度で被覆スライドを照射して、多官能性(メタ)アクリレートを反応させ、引き続いてグレード36ブラウン酸化アルミニウムをガラススライド上にドロップコーティングした。ガラススライドを90℃で90分間及び102℃で10時間熱硬化した。材料を顕微鏡下に置くことにより、鉱物の周りの樹脂の吸い上げを求めた。
【0091】
プレサイズ前駆体組成物
【0092】
組成物RC6〜RC10及び比較用RCJの作製
0.1リットル(4オンス)ジャーに表2に示す量のER2、PFA、及びPIを独立に装填した。この混合物を59〜60℃で15分間オーブンに入れ、次いでオーバーヘッド攪拌機により混合し、15分かけて室温まで冷却した。次に、オーバーヘッド攪拌機により5分間混合しながら生成する混合物にPR1を表2に示す量で添加した。
【0093】
【表3】


表2
【0094】
実施例RC6〜RC10及びRCJにおいて、PR1をPR2として添加したが、比較を容易とするために、表2はPR2中に存在するPR1の実際の量を示す。
【0095】
組成物RCK
機械式攪拌機を用いて均質になるまで、EP2(11306g)を1507gのPFA及び151gのPIと20℃で混合した。次いで、この混合物をオーブン中に50℃で2時間加熱した。混合物をオーブンから取り出した後、1206gのDICY及び754グラムのNOV1を添加し、10分にわたって攪拌した。次いで、CUR1(114グラム)を添加し、溶解するまで攪拌を続けた。
【0096】
比較用RCE
約60パーセントのCACO2及び2重量パーセントの顔料を充填したPR1の慣用のバックサイズ組成物を作製し、水により75%固体まで希釈した。
【0097】
メークコート組成物
【0098】
組成物RC11
0.2リットル(8オンス)ジャーに28.6グラムのER1、9.17グラムのPFA、及び1.83グラムのPIを装填した。この混合物を59〜60℃で15分間オーブンに入れた。次に、オーバーヘッド攪拌機により混合し、15分かけて室温まで冷却した。次に、76.5グラムのPR2、10.4グラムの水及び103グラムのCACO1を入れた。この混合物をオーバーヘッド攪拌機により20分間混合した。
【0099】
組成物RC12
0.2リットル(8オンス)ジャーに28.6グラムのER2、9.17グラムのPFA、及び1.83グラムのPIを装填した。この混合物を59〜60℃で15分間オーブンに入れた。次に、この試料をオーバーヘッド攪拌機により混合し、15分かけて室温まで冷却した。次に、76.5グラムのPR2、10.4グラムの水、及び103グラムのCACO1をこの混合物に添加した。この混合物をオーバーヘッド攪拌機により20分間混合した。
【0100】
組成物RCF
組成物の全重量を基準として約45〜50重量パーセントのCACO1を充填したPR1の組成物を作製し、水により80〜85重量パーセント固体まで希釈して、RCFメークコート組成物を提供した。
【0101】
サイズコート組成物
【0102】
組成物RCG
組成物の全重量を基準として約66重量%のCRYを充填したPR1の組成物を提供した。更に、約2重量パーセントの顔料を添加し、組成物を水により80〜85重量パーセントまで希釈した。
【0103】
組成物RCH
米国特許第5,441,549号(Helmin)の実施例26によるスーパーサイズ組成物
【0104】
処理済裏材を含む被覆研磨材物品
【0105】
処理済裏材の一般的な作製
Gardco(Pompano Beach,FL)から入手される10.2cm幅のコーティングナイフを使用のために準備した。このナイフを76マイクロメートルの最小間隙に設定して、15.2cm幅の布裏材がナイフの下を通過するようにさせた。1平方メートル当り300〜400グラム(g/m)の重量を有する未処理のポリエステル織布をMilliken & Company(Spartanburg,SC)から入手した。このポリエステル布を76マイクロメートルで設定したコーティングナイフの下に置き、次いでポリエステル布を手によりナイフの下で引っ張って、ポリエステル布上にプレサイズコートを形成することにより、表2のプレサイズ組成物をポリエステル布に塗布した。この被覆布裏材を紫外線(UV)ランプ(118ワット/cm、Dバルブ、Fusion UVシステム(Gaithersburg,MD)から入手)により1分当り約5メートルのライン速度で照射して、多官能性(メタ)アクリレートを重合させ、次いで被覆裏材を90℃で10分間、110℃で10分間、及び125℃で10分間熱硬化した。同一のナイフコーティング法を用いて、得られたプレサイズ処理布地裏材をバックサイズ前駆体組成物により処理した。布裏材をオーブン中90℃で10分間及び105℃で15分間入れることにより、このバックサイズ前駆体を硬化させた。表3(下記)に各種の裏材に対する結果を示す。
【0106】
【表4】


表3
【0107】
被覆研磨材
【0108】
90度剥離接着試験
試験対象の研磨材物品を8センチメートル(cm)幅の×25cm長の片に加工した。木製ボード(17.8cm×7.6cm×0.6cm厚さ)の半分の長さを構成体によって積層接着剤により被覆した。最初の15cmの長さのみの被覆研磨材の全幅の研磨材粒子を保持する側に積層用接着剤(3M Industrial Specialties Division,3M Company(St.Paul,MN)からJETMELT BRAND ADHESIVE PG3779として入手し得るポリアミドホットメルト接着剤)を被覆した。積層接着剤を保持しない被覆研磨材の10cmがボードに覆いかぶさるような形で、研磨材粒子を保持する被覆研磨材物品の側を積層接着コーティングを含むボードの側に取り付けた。ボードと被覆研磨材が緊密に結合されるように、圧力を加えた。積層接着剤付きのボード及び被覆研磨材を試験前少なくとも1時間、室温まで冷却した。次に、被覆研磨材の幅が5.1cmまで小さくなるように、試験対象の被覆研磨材物品を物品の両側で直線に沿って切断した。得られた被覆研磨材物品/ボード複合物をMTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から商品名SINTECH 6Wとして入手される引っ張り試験機の上部つかみ具に取り付けられた固定治具に水平に搭載し、つかみ具の間の距離が12.7cmであるように、被覆研磨材物品のオーバーハング部のほぼ1cmをこの測定器の下部つかみ具の中に搭載した。この測定器は、0.05cm/秒の速度でつかみ具を引き離し、被覆研磨材物品を木製ボードから90度の角度で引っ張り、被覆研磨材物品の一部をボードから引き離す。引き離しは被覆研磨材物品の層の間で起こった。ボードから被覆研磨材物品を引き剥がすのに必要とされる力を測定器によりチャート表示し、1インチ当りのポンド(lb/インチ)で表す。必要とされる力が大きいほど、裏材へのプレサイズコートへのメークコートの接着は良好である。
【0109】
処理済裏材からの被覆研磨材の作製
上述の処理済裏材の一般的な作製におけるナイフコーティング方法を使用して、表3からの処理済裏材TC1〜TC6を組成物RCFにより処理済裏材のプレサイズ層被覆側に独立に被覆した。次に、グレード36酸化アルミニウム鉱物(Treibacher GmbH(Treibach,Germany)から商品名ALODURで市販されている)をドロップコーティングして、クローズドコートをメーク層前駆体の中に形成し、次いで研磨材被覆材料を90℃で60分間及び105℃で10時間硬化し、それぞれの被覆研磨材ABR1−ABR6を得た。結果を表4(以下)に示す。
【0110】
【表5】


表4
【0111】
メーク層組成物を含む被覆研磨材構成体
【0112】
研磨試験手順
研磨試験を10.16cm×91.44cmベルト上で行った。加工物は、その上の研磨対象の表面が1.9cm×1.9cmの寸法である、304ステンレススチール棒であった。20.3cm直径の70デュロメーターゴム、1:1ランド:グルーブ比の鋸歯状接触ホイールを使用した。ベルトを2750rpmで走行させた。加工物を2.2kg(5ポンド)の法線力でベルトの中心部にあてがった。この試験は、15秒の研磨の後加工物の重量減少を測定することからなるものであった。次いで、加工物を冷却し、再度試験した。切削速度(グラム/15秒)が初期の切削速度の50%の時、試験を完結した。次いで、グラムでの全切削量を記録した。
【0113】
被覆研磨材ベルト1C、比較用
30.5cm幅のロールを用いて、比較用布2を70グレイン/24インチ(293g/m)の組成物RCFにより被覆し、引き続いて、約100グレイン/24インチ(418g/m)のグレード36酸化アルミニウムをメーク層前駆体の中にドロップコーティングし、次いで約109グレイン/24インチ(456g/m)のグレード36研磨材(3M Company(St.Paul,MN)からCUBITRON 222として入手し得る)をメーク層前駆体の中に静電塗装した。次に、この構成体を90℃で60分間及び100℃で30分間硬化した。次に、110グレイン/24インチ(460g/mの組成物RCGを、少なくとも部分硬化したメーク層前駆体及び研磨材粒子の上にロールコートし、90℃で60分間及び105℃で12時間硬化した。Sheldahl(Northfield,Minnesota)から入手し得るポリエステルスプライシングフィルムを用いて、10.16cm幅×91.44cm長の寸法の得られた被覆研磨材の細片を被覆研磨材ベルトに加工し、90度剥離接着試験に従って評価した。表5を参照のこと。
【0114】
被覆研磨材ベルト1
30.5cm幅のロールを用い、比較用布2を293g/m(70グレイン/24インチ)の組成物RC12により被覆し、続いて被覆組成物を紫外線ランプ(118ワット/cm、Dバルブ、Fusion UVシステムから入手)により1分当り約5メートル照射して、多官能性(メタ)アクリレートを反応させた。引き続いて、約418g/m(100グレイン/24インチ)のグレード36酸化アルミニウムをメーク樹脂の中にドロップコーティングし、次いで約456g/m(109グレイン/24インチ)のグレード36のCUBITRON 222をメーク樹脂の中に静電塗装した。次に、この構成体を90℃で60分間及び100℃で30分間硬化した。次に、約460g/m(110グレイン/24インチ2)の比較用サイズコート組成物RCGをメーク樹脂の上にロールコートし、90℃で60分間及び105℃で12時間硬化した。上記のポリエステルスプライシングフィルムを用いて、10.16cm幅×91.44cm長の寸法の得られた被覆研磨材の細片を被覆研磨材ベルトに加工し、90度剥離接着試験に従って評価した。表5を参照のこと。
【0115】
【表6】


表5
【0116】
被覆研磨材ベルト2C、比較用
30.5cm幅のロールを用いて比較用布2を301g/m(72グレイン/24インチ)の組成物RCFにより被覆し、引き続いて約761g/m(182グレイン/24インチ)のグレード36ブラウン酸化アルミニウム/CUBITRON 321のブレンドをメーク樹脂の中に静電塗装した。次に、この構成体を90℃で60分間及び100℃で30分間硬化した。次に、約322g/m(77グレイン/24インチ)の比較用サイズコート組成物RCGをメーク樹脂の上にロールコートし、90℃で60分間及び105℃で12時間硬化した。次に、418g/m(100グレイン/24インチ)の比較用サイズコート組成物RCGをメーク樹脂の上にロールコートし、90℃で60分間及び120℃で2時間硬化した。上記のポリエステルスプライシングフィルムを用いて、10.16cm幅×91.44cm長の寸法の得られた被覆研磨材の細片を被覆研磨材ベルトに加工し、研磨試験手順に従って評価した。表6を参照のこと。
【0117】
被覆研磨材ベルト2
30.5cm幅のロールを用い、比較用布2を301g/m(72グレイン/24インチ)の組成物RC11により被覆し、続いてメーク樹脂を紫外線ランプ(118ワット/cm、Dバルブ、Fusion UVシステム(Gaithersburg,MDから入手)により1分当り約5メートル照射した。引き続いて、約761g/m(182グレイン/24インチ)のグレード36褐色酸化アルミニウム/CUBITRON 321をメーク樹脂の中に静電塗装した。次に、この構成体を90℃で60分間及び100℃で30分間硬化した。次に、約322g/m(77グレイン/24インチ)の比較用サイズコート組成物RCGをメーク樹脂の上にロールコートし、90℃で60分間及び105℃で12時間硬化した。次に、418g/m(100グレイン/24インチ)の比較用スーパーサイズRCHをサイズコーティングの上にロールコートし、90℃で60分間及び120℃で2時間硬化した。上記のポリエステルスプライシングフィルムを用いて、10.16cm幅×91.44cm長の寸法の得られる被覆研磨材の細片を被覆研磨材ベルトに加工し、研磨試験手順に従って評価した。表6を参照のこと。
【0118】
【表7】


表6
【0119】
当業者によれば添付の特許請求の範囲に示すような本開示の範囲から逸脱することなく、この開示のさまざまな改変及び変更を行うことができ、従って、本開示は、本明細書中に示される例示的な実施形態に不当に限定されないということが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地裏材であって、所望によりプレサイズ層をその上に有する、布地裏材と、
前記布地裏材に隣接し、これに固定された研磨材層であって、前記研磨材層はメーク層、サイズ層、及び研磨材粒子を含む、研磨材層と、を含む、被覆研磨材物品であって、
前記メーク層又は前記プレサイズ層の少なくとも1つは、以下を含む結合剤前駆体の反応生成物を含み、
a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、
b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、
c)1〜15重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、及び
d)前記結合剤前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤
前記成分a)からc)の重量パーセントは、前記成分a)からc)の全重量を基準とする、被覆研磨材物品。
【請求項2】
スーパーサイズ層を更に含む、請求項1に記載の被覆研磨材物品。
【請求項3】
前記メーク層が前記結合剤前駆体を含む、請求項1に記載の被覆研磨材物品。
【請求項4】
前記プレサイズ層が前記結合剤前駆体を含む、請求項1に記載の被覆研磨材物品。
【請求項5】
加工物を研磨する方法であって、
請求項1に記載の被覆研磨材物品を提供する工程と、
研磨材層を前記加工物の表面と摩擦接触させる工程と、
前記被覆研磨材物品及び前記加工物の少なくとも一方を、他方に対して動かして前記表面の少なくとも一部分を研磨する工程と、を含む、方法。
【請求項6】
研磨材物品を作製する方法であって、前記方法は、
布地裏材を提供する工程と、
メーク層前駆体を前記布地裏材に塗布する工程と、
研磨材粒子を前記メーク層前駆体中に埋め込む工程と、
前記メーク層前駆体を少なくとも部分的に硬化させて、少なくとも部分硬化したメーク層前駆体を提供する工程と、
サイズ層前駆体を前記少なくとも部分硬化したメーク層前駆体及び前記研磨材粒子の少なくとも一部に塗布する工程と、
前記サイズ層前駆体と、所望により前記少なくとも部分硬化したメーク層前駆体を少なくとも部分的に硬化させる工程と、含み、
前記メーク層前駆体は以下を含み、
a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、
b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、
c)1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、
d)10〜20重量パーセントの水、及び
e)前記メーク層前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤
前記成分a)からc)の重量パーセントは、前記成分a)からc)の全重量を基準とする、方法。
【請求項7】
前記メーク層前駆体が水希釈性である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
研磨材物品を作製する方法であって、
布地裏材を提供する工程と、
プレサイズ層前駆体を前記布地裏材に塗布する工程であって、前記プレサイズ層前駆体は以下を含み、
a)45〜75重量パーセントのレゾールフェノール樹脂、
b)5〜40重量パーセントのポリエポキシド、
c)1〜20重量パーセントの多官能性(メタ)アクリレート、
d)10〜20重量パーセントの水、及び
e)前記プレサイズ前駆体をフリーラジカル的にBステージ化するのに有効な量の光開始剤
前記成分a)からc)の重量パーセントは、前記成分a)からc)の全重量を基準とする、工程と、
前記プレサイズ層前駆体を少なくとも部分的に硬化させて、前記布地裏材に固定されたプレサイズ層を提供する工程であって、前記プレサイズ層は前記布地裏材を実質的に封止する、工程と、
前記プレサイズ層上に研磨材層を配置する工程と、を含む、方法。
【請求項9】
前記プレサイズ層前駆体が水希釈性である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記研磨材層が、メーク層、サイズ層、及び研磨材粒子を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記研磨材層が、結合剤中に分散されている研磨材粒子を含む、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−526842(P2011−526842A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516361(P2011−516361)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/042208
【国際公開番号】WO2010/002493
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】