説明

装着型動作補助装置

【課題】台上に載せて使用する際に、身体の動作補助が適切になされるようにする。
【解決手段】装着型動作補助装置SUは、身体部位に装着される身体装着具10と、台上に設置されて身体装着具10を下方から支持する支持部材20とを備える。身体装着具10は、関節の近位身体部位に装着される第1サポート部材14と、第1サポート部材14に関節の屈曲動作を許容するよう姿勢変位可能に連結され、関節の遠位身体部位に装着される第2サポート部材16とを備える。支持部材20は、身体装着具10に設けた支持凸部44が連結可能な支持凹部124を備える。また支持部材20は、固定支持体106と、固定支持体106に回転および揺動が可能に配設された可動支持体108とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲動作する関節を挟む身体部位に装着され、前記関節の屈曲動作を補助する装着型動作補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体に障害のある人の動作を補助する装置として、屈曲動作する関節を挟む身体部位に装着する各種の装着型動作補助装置が提案されている。この装着型動作補助装置は、例えば肘関節を挟む上腕部および前腕部に装着して該肘関節を中心とした腕部の動作を補助する装置や、膝関節を挟む腿部および臑部に装着して該膝関節を中心とした脚部の動作を補助する装置等である。
【0003】
前記装着型動作補助装置は、関節の近位身体部位(関節より体幹に近い身体部位)に装着される第1サポート部材と、前記関節の遠位身体部位(関節より体幹から遠い身体部位)に装着される第2サポート部材とを備える。前記第2サポート部材は、前記第1サポート部材に対して前記関節の屈曲動作を許容するよう姿勢変位可能に連結され、第1サポート部材に対して第2サポート部材を姿勢変位させる作動手段を該第1サポート部材に装備している。このような装着型動作補助装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2007−29113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、身体部位に装着した装着型動作補助装置は、ユーザー(被補助者)が椅子等に着座した状態で、テーブルや机または卓等の台の上に載せて使用する機会が多い。しかし、特許文献1に開示された装着型動作補助装置を含む従来の装着型動作補助装置は、前記台上に載せた状態での使用を考慮した構造となっていない。このため、身体部位に装着した装着型動作補助装置を台上に載せた状態で身体の動作補助を行なおうとすると、装着型動作補助装置が台上で適切に保持されずに不用意に動いたり、また逆に装着型動作補助装置が台上の他の物品等に引掛かって動かなくなることがあり、適切な身体の動作補助がなされない問題を内在していた。
【0005】
そこで本発明では、台上に載せて使用する際に、身体の動作補助が適切になされるよう構成した装着型動作補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明は、
屈曲動作する関節を挟む身体部位に装着され、前記関節の屈曲動作を補助する装着型動作補助装置であって、
前記関節の近位身体部位に装着される第1サポート部材と、前記第1サポート部材に前記関節の屈曲動作を許容するよう姿勢変位可能に連結され、前記関節の遠位身体部位に装着される第2サポート部材と、前記第1サポート部材に設けられ、該第1サポート部材に対して前記第2サポート部材を姿勢変位させる作動手段とを有する身体装着具と、
台上に設置されて前記身体装着具に設けた連結部が着脱可能に連結され、前記身体装着具を下方から支持する支持部材とを備えることを要旨とする。
【0007】
従って、請求項1に係る発明によれば、身体部位に装着した身体装着具を、台上に設置した支持部材に載せた状態で、適切に使用することができる。すなわち、身体部位を台上に載せた姿勢で作動手段を作動させることにより、第1サポート部材に対して第2サポート部材が姿勢変位し、身体の動作補助を適切に行ない得る。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記支持部材は、台上に設置される固定支持体と、前記身体装着具の連結部が連結される被連結部が設けられ、前記固定支持体に対し回転および傾動が可能に配設される可動支持体とを備え、前記可動支持体で支持した前記身体装着具の姿勢変位を許容するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、身体装着具を支持する可動支持体が回転および揺動するので、該身体装着具に回転運動および揺動運動が付与され、関節を中心とした身体部位の動作補助だけでなく、回転運動や捻り運動を伴う身体動作の補助も行ない得る。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記支持部材は、前記身体装着具の連結部が摺動可能なガイド部を備え、前記ガイド部に沿って前記身体装着具を移動させるよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、ガイド部の延在形状および延在長さの設定により、身体装着具を装着した身体部位に、規定された一定の動作を付与することが可能となる。また、ガイド部の延在形状および延在長さを様々に設定することで、身体装着具を装着した身体部位に、多様な動作を付与することも可能となる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記連結部には、前記作動手段に対して電気的に接続された第1端子が設けられ、
前記支持部材には、外部電源と電気的に接続された第2端子が設けられ、
前記連結部と前記支持部材との連結時に、前記第1端子および第2端子が接触して前記作動手段に通電されるよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、身体装着具を支持部材に連結した際に作動手段に電源が供給されるので、該身体装着具に該作動手段用のバッテリー等を搭載する必要がなく、身体装着具の軽量化が図られる。また、身体装着具に電源コードが接続されていないので、該電源コードが該身体装着具に絡まったり引掛かることにより動作補助が阻害されることがない。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記支持部材には、前記作動手段の作動を制御する制御部が設けられ、
前記連結部と前記支持部材との連結時に、前記作動手段が前記制御部と電気的に接続されることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、身体装着具を支持部材に連結した際に制御部と前記作動手段とが電気的に接続されるので、該制御部による該作動手段の制御が可能となる。これにより、身体装着具に制御部を配設する必要がないので、該身体装着具の軽量化が図られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る装着型動作補助装置によれば、身体部位に装着した身体装着具を、台上に載せた支持部材に載せて使用することができるので、身体部位を台上に載せた姿勢での動作補助を適切に行ない得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の装着型動作補助装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、ユーザー(被補助者)の右腕Aにおける肘関節A3を挟む身体部位に装着して、該肘関節A3の屈曲動作による右腕Aの屈伸動作を補助する装着型動作補助装置を例示して説明する。なお、説明の便宜上、右腕Aに装着した状態において、右腕Aの長手方向における体幹側(肩側)を装着型動作補助装置SUの後側、体幹と反対側(手首側)を前側と指称すると共に、右腕Aの短手方向における体幹側(内側)を装着型動作補助装置SUの左側、体幹と反対側(外側)を右側と指称する。
【実施例】
【0014】
図1は、実施例に係る装着型動作補助装置SUの全体構成を概略的に示す斜視図、図2および図3は、装着型動作補助装置SUの全体構成を概略的に示す側面図および平面図、また図4は、右腕Aに装着した使用状態を概略的に示す斜視図である。実施例の装着型動作補助装置SUは、図4に示すように、右腕Aにおける肘関節A3を挟む上腕部A1および前腕部A2に装着される身体装着具10と、車椅子やベット等の各種身体保持器具WCに固定される支持具12とから構成され、身体装着具10を支持具12に載せた状態において右腕の動作補助が可能となっている。そして身体装着具10は、上腕部A1に装着される第1サポート部材14と、該第1サポート部材14に姿勢変位可能に連結されて、前腕部A2に装着される第2サポート部材16とを備えている。また支持具12は、前記身体保持器具WCの所要位置に固定される固定ベース部材18と、前記固定ベース部材18に設けられて前記身体装着具10の載置を許容する支持部材(支持部)20とを備えている。なお実施例では、身体保持器具WCとして車椅子を例示している。
【0015】
身体装着具10を構成する第1サポート部材14は、図1〜図3に示すように、上腕部A1に装着される上腕サポート部(身体サポート部)22と、肘関節A3を保護する関節サポート部24とを備えている。上腕サポート部22は、カーボン繊維または合成樹脂等を材質とした厚さ1.5〜2mm程度の成形部材であり、上腕部A1における肘関節A3側の裏側部分を適宜間隔を以て覆うよう左右方向に湾曲した形状を呈している。上腕サポート部22の前後方向における長さは、上腕部A1の長さ(肩関節から肘関節A3までの長さ)の1/2程度とされ、左右方向における湾曲面に沿った長さは、上腕部A1の外周の1/2程度とされている。また、上腕サポート部22の中央には、該上腕サポート部22の強度が低下しない範囲内で開口26が形成されており、上腕サポート部22の軽量化が図られると共に、上腕部A1への装着時における通気性の向上が図られている。従って上腕サポート部22は、形状保持性を有しつつも軽量に構成されており、前後方向においては撓曲的な変形が発現し難く、左右方向においては適宜の撓曲的な変形が許容されている。なお、図6および図7に示すように、上腕サポート部22の身体側を指向する内面22Aに複数個のメス型フック28が配設されており、後述する上腕パッド部材(第1パッド部材)60が、該メス型フック28を利用して該上腕サポート部22に着脱可能に装着される。また、上腕サポート部22の前端は、関節サポート部24との干渉を回避するよう凹縁状に形成されている(図3)。
【0016】
上腕サポート部22の前端左側および前端右側には、図5および図6に示すように、前方へ延出した一対の第1連結片30,30が、左右方向に対向した状態で一体成形されている。これら第1連結片30,30は、第1サポート部材14を上腕部A1に装着した際に、肘関節A3を挟んで左右両側に位置する。また、両第1連結片30,30の夫々には円形状の連結係合孔32が形成され、後述する第1連結部材60および第2連結部材62が、各連結係合孔32,32に嵌合して該第1連結片30,30に回転可能に連結される。これら連結係合孔32,32の孔中心は、上腕サポート部22を上腕部A1に装着した際に、左右方向において肘関節A3の屈曲中心と略一致する。なお、各連結係合孔32,32の内周端面には、自己潤滑性樹脂を材質とするリング状のスリーブ34が装着され、連結係合孔32,32に連結した第1連結部材60および第2連結部材62は、該スリーブ34に摺接しながら回転するようになっている。
【0017】
また、上腕サポート部22の外面22Bにおける右側部分には、図2、図3および図6に示すように、右側方に開口した収容設置部36が、該上腕サポート部22に一体的に形成されている。この収容設置部36内には、後述する作動手段としてのサーボモータ74や、前記第1連結部材60およびロータリーエンコーダ82等が収容される。そして収容設置部36には、開口部を覆蓋するカバー部材38が4本のビスにより取付けられ、該収容設置部36内に配設した前記サーボモータ74等が外部へ露出しないよう構成されている。
【0018】
関節サポート部24は、図5および図6に示すように、上腕サポート部22の前側において、前記各第1連結片30,30の間に配設される。この関節サポート部24は、カーボン繊維または合成樹脂等を材質とした成形部材であり、肘関節A3に対向する上面24Aの中央部分が陥凹した所謂おわん形状を呈している。関節サポート部24の上面左側および上面右側には、上方へ延出した一対の第2連結片40,40が、左右方向に対向した状態で一体成形されている。これら第2連結片40,40は、図4に示すように、第2サポート部材16の後述する第3連結片52,52を間に挟んで前記第1連結片30,30の内側に位置するように形成され、第1サポート部材14を上腕部A1に装着した際には、両第2連結片40,40が肘関節A3の左右両側に臨むようになる。また、第2連結片40,40の夫々にはビス挿通孔42が形成され、第1連結部材60および第2連結部材62に締結される後述の取付ビス72,72が挿通される。これらビス挿通孔42,42の孔中心は、第1サポート部材14を上腕部A1に装着した際に、左右方向において肘関節A3の屈曲中心と略一致する。
【0019】
また、関節サポート部24の下面24Bには、前記支持部材20に設けた支持凹部(被連結部)124に連結する支持凸部(連結部)44が突設されている。すなわち、関節サポート部24に設けた前記支持凸部44が、支持部材20の支持凹部124に嵌合して連結されることで、身体装着具10が支持具12に載置された状態で支持される。更に、関節サポート部24の身体側を指向する上面24Aに面ファスナー46が配設されており、後述する関節パッド部材(第1パッド部材)94が、該面ファスナー46を利用して関節サポート部24に着脱可能に装着される。
【0020】
上腕サポート部22の内面22Aに装着される前記上腕パッド部材86は、例えばウレタンゴムやスポンジゴム等を材質とする成形体であり、適度の弾力性および柔軟性を有すると共に形状保持性も有している。この上腕パッド部材86のパッド外面86Aは、上腕サポート部22の内面22Aに密着的に整合する形状とされると共に、該上腕パッド部材86のパッド内面86Bは、上腕部A1に対して適度に弾性変形しながら当接し得る形状とされている。また上腕パッド部材86には、上腕サポート部22に設けた開口26に整合するパッド開口88が形成されている。上腕パッド部材86の外縁形状は、図1〜図3に示すように、上腕サポート部22より一回り大きくなるように形成されていると共に、該上腕パッド部材86のパッド開口88における内縁形状は、上腕サポート部22の開口26より一回り小さくなるように形成されている。すなわち、上腕パッド部材86を装着した上腕サポート部22を上腕部A1に装着した際には、硬い該上腕サポート部22の端部が上腕部A1に接触しないよう考慮されている。更に、上腕パッド部材86の後部には、上方に延出すると共に内側へ湾曲した上腕抱持部90,90が形成されている。これら上腕抱持部90,90は、第1サポート部材14を上腕部A1に装着する際に該上腕部A1を左右両側から抱持するようになり、身体の動作補助時に上腕部A1に対して第1サポート部材14が脱離するのを防止する。また、上腕パッド部材86のパッド外面86Aには、上腕サポート部22の内面22Aに配設した前記各メス型フック28に分離可能に嵌合するオス型フック92が複数個配設されている。従って、各オス型フック92を各メス型フック28に対応的に嵌合させることで、上腕パッド部材86が上腕サポート部22の内面22Aに位置決めされた状態で装着される。なお、メス型フック28およびオス型フック92は公知のものが使用されるので、各フック28,92に関する詳細な説明は省略する。
【0021】
関節サポート部24の上面24Aに装着される前記関節パッド部材94は、上腕パッド部材86と同様に、ウレタンゴムやスポンジゴム等を材質とする成形体であり、適度の弾力性および柔軟性を有すると共に形状保持性も有している。この関節パッド部材94のパッド下面94Aは、関節サポート部24の上面24Aに密着的に整合する形状とされると共に、該関節パッド部材94のパッド上面94Bは、肘関節A3に対して適度に弾性変形しながら当接し得る形状とされている。また、関節パッド部材94のパッド下面94Aには、関節サポート部24の上面24Aに配設した前記各面ファスナー46に剥離可能に係合する面ファスナー96が配設されている。従って、面ファスナー46,96を対応的に係合させると、関節パッド部材94が関節サポート部24に装着される。
【0022】
前記上腕パッド部材86は、パッド外面86Aの形状が同一で厚さおよびパッド内面86Bの形状が異なる複数サイズが準備されると共に、前記関節パッド部材94は、パッド下面94Aの形状が同一で厚みおよびパッド上面94Bの形状が異なる複数サイズが準備される。これにより、同一サイズの第1サポート部材14に対して厚さが異なる上腕パッド部材86および関節パッド部材94を選択して装着することで、体格が異なる(上腕部A1の太さが異なる)ユーザーへの使用が可能となっている。なお、上腕パッド部材86と関節パッド部材94は、単一のパッド部材として構成してもよい。
【0023】
身体装着具10を構成する第2サポート部材16は、図4および図5に示すように、カーボン繊維または合成樹脂等を材質とした厚さ1.5〜2mm程度の成形部材であり、前腕部A2における肘関節A3側の裏側部分を適宜間隔を以て覆うよう左右方向に湾曲した形状でかつ前方に向けて先細となる形状を呈している。すなわち、第2サポート部材16の前後方向における長さは、前腕部A2の長さ(肘関節A3から手首関節までの長さ)の1/2程度とされ、左右方向における湾曲面に沿った最大長さは、前腕部A2の外周の1/2程度とされている。また、第2サポート部材16の中央には、該第2サポート部材16の強度が低下しない範囲内で2個の開口48,48が横並びに形成されており、該第2サポート部材16の軽量化が図られると共に、前腕部A2への装着時における通気性の向上が図られている。従って第2サポート部材16は、形状保持性を有しつつも軽量に構成されており、前後方向においては撓曲的な変形が発現し難く、左右方向においては適宜の撓曲的な変形が許容される。なお、第2サポート部材16の身体側を指向する内面16Aに複数個のメス型フック50が配設されており、後述する前腕パッド部材(第2パッド部材)98が、該メス型フック50を利用して該上腕サポート部22に着脱可能に装着される。また、第2サポート部材16の後端は、第1サポート部材14の前記関節サポート部24との干渉を回避するよう凹縁状に形成されている(図3)。
【0024】
第2サポート部材16の後端左側および後端右側には、図4および図5に示すように、後方へ延出した一対の第3連結片52,52が、左右方向に対向した状態で一体成形されている。これら第3連結片52,52は、第2サポート部材16と第1サポート部材14との連結時に、前記第1連結片30と第2連結片40との間に位置する。また、両第3連結片52,52の夫々には矩形状の連結係止孔(第2連結部)54が形成され、第1連結部材60および第2連結部材62が、各連結係止孔54,54に係止して該第3連結片52,52に回転不能に連結される。これら連結係止孔54,54の中心(対角線が交差する位置)は、第2サポート部材16を前腕部A2に装着した際に、左右方向において肘関節A3の屈曲中心と略一致する。
【0025】
また第2サポート部材16には、前腕部A2に沿って伸縮可能なロッド部材(伸縮部材)56が備えられ、このロッド部材56の先端部には、前腕部A2の第2サポート部材16から外れた部分、具体的には手首近傍部分に装着される補助サポート部材58が設けられている。すなわち、第2サポート部材16の外面16Bには、前後方向へ細長に延在するロッド収納部17が形成されており、前記ロッド部材56がロッド収納部17内をスライドすることで、第2サポート部材16の前端から補助サポート部材58までの間隔を調整し得るよう構成されている。これにより、ユーザーの前腕部A2の長さに合わせて補助サポート部材58の位置を前後方向に調整することで、体格が異なる(前腕部A2の長さが異なる)ユーザーであっても手首近傍部分に補助サポート部材58を装着することができる。なお、図1〜図5では、前記補助サポート部材58の周囲に生体信号感知センサ59を配設した場合を例示しているが、該補助サポート部材58には装着ベルト等を配設することも可能である。
【0026】
第2サポート部材16の内面16Aに装着される前記前腕パッド部材98は、例えばウレタンゴムやスポンジゴム等を材質とする成形体であり、適度の弾力性および柔軟性を有すると共に形状保持性も有している。この前腕パッド部材98のパッド外面98Aは、第2サポート部材16の内面16Aに密着的に整合する形状とされると共に、該前腕パッド部材98のパッド内面98Bは、前腕部A2に対して適度に弾性変形しながら当接し得る形状とされている。また前腕パッド部材98には、第2サポート部材16に設けた開口48,48に整合するパッド開口100,100が形成されている。前腕パッド部材98の外縁形状は、図1〜図3に示すように、第2サポート部材16より一回り大きくなるように形成されていると共に、該前腕パッド部材98のパッド開口100,100における内縁形状は、第2サポート部材16の開口48,48より一回り小さくなるように形成されている。すなわち、前腕パッド部材98を装着した第2サポート部材16を前腕部A2に装着した際には、硬い該第2サポート部材16が前腕部A2に接触しないよう考慮されている。更に、前腕パッド部材98のパッド外面98Aには、第2サポート部材16の内面16Aに配設した前記各メス型フック50に分離可能に嵌合するオス型フック102が複数個配設されている。従って、各オス型フック102を各メス型フック50に対応的に嵌合させることで、前腕パッド部材98が第2サポート部材16の内面16Aに位置決めされた状態で装着される。なお、メス型フック50およびオス型フック102は公知のものが使用されるので、各フック50,102に関する詳細な説明は省略する。
【0027】
補助サポート部材58には、図7に示すように、該補助サポート部材58の内面に整合する補助パッド部材(第2パッド部材)104が装着される。この補助パッド部材104は、該補助パッド部材104の裏面に取付けた面ファスナー105を、補助サポート部材58の内面に取付けた面ファスナー105に係合させることで、補助パッド部材104の内側に着脱可能に装着される。
【0028】
前記前腕パッド部材98は、パッド外面98Aの形状が同一で厚さおよびパッド内面98Bの形状が異なる複数サイズが準備される。これにより、同一サイズの第2サポート部材16に対して厚さが異なる前腕パッド部材98を選択して装着することで、体格が異なる(前腕部A2の太さが異なる)ユーザーへの使用が可能となっている。同様に、前記補助パッド部材104も複数サイズが準備され、補助サポート部材58に対してサイズが異なる補助パッド部材104を装着することで、体格が異なる(手首の太さが異なる)ユーザーへの使用が可能となる。
【0029】
第1サポート部材14と第2サポート部材16とは、図2、図3、図5および図6に示すように、前記第1連結部材60および第2連結部材62により、第2サポート部材16が第1サポート部材14に対して回転可能に連結される。第1連結部材60は、第1サポート部材14の上腕サポート部22における右側の第1連結片30に装着され、この右側の第1連結片30と、第1サポート部材14の関節サポート部24における右側の第2連結片40および第2サポート部材16における右側の第3連結片52を各々連結する。また第2連結部材62は、第1サポート部材14の上腕サポート部22における左側の第1連結片30に装着され、この左側の第1連結片30と、第1サポート部材14の関節サポート部24における左側の第2連結片40および第2サポート部材16における左側の第3連結片52を各々連結する。
【0030】
前記第1連結部材60および第2連結部材62は、図5および図6に示すように、金属製または合成樹脂製の成形部材であって、第1サポート部材14の第1連結片30に当接する円形状のフランジ部64と、このフランジ部64より小径で前記連結係合孔32に係合する円形係合部66と、この円形係合部66より小さく前記連結係止孔54に連結および分離可能に係止する矩形係止部(第2連結部)68と、前記矩形係止部68側の端面に形成されて前記取付ビス72が螺合されるビス締結孔70とからなる。また第1連結部材60には、前記円形フランジ部64の円形係合部66とは反対側の端面に、ベベルギアである第2ギア80と、ロータリーエンコーダ82が連結されるシャフト84とが更に設けられている。これら第2ギア80およびシャフト84は、第1連結部材60と一体的に形成してもよいし、個別に形成した後に組付けるようにしてもよい。
【0031】
前述のように構成された第1連結部材60および第2連結部材62は、図4および図5に示すように、第1連結片30,30の側外方から円形係合部66を連結係合孔32に嵌合させることで、各第1連結片30,30に回転可能に装着される。そして、第1連結部材60および第2連結部材62が第1連結片30,30に装着された状態では、各々の矩形係止部68,68が第1連結片30の内面から対向的に突出した状態となる。なお第1連結部材60は、図4に示すように、第1連結部材60に装着することで前記収容設置部36内に配設され、前記第2ギア80およびシャフト84が、該収容設置部36内の前側部分に位置する。
【0032】
前述のような構成において、第1サポート部材14と第2サポート部材16とは、図5および図6から理解できるように、次に示す手順によって相互に連結される。すなわち先ず、第2サポート部材16の両第3連結片52,52を互いに近接するよう変形させて両第1連結片30,30の間に臨ませ、両矩形係止部68,68に両連結係止孔54,54を整合させたもとで、両第3連結片52,52に付与した変形を解除する。これにより矩形係止部68,68が連結係止孔54,54に突入して係止し、両第3連結片52,52が第1連結部材60および第2連結部材62に連結され、第2サポート部材16が第1サポート部材14の上腕サポート部22に回転可能に連結される。次いで、第1サポート部材14における関節サポート部24の両第2連結片40,40を両第2連結片40,40の間に位置させ、両ビス締結孔70,70に両ビス挿通孔42,42を整合させたもとで、取付ビス72,72をビス挿通孔42,42を介してビス締結孔70,70へ締結すれば、両第3連結片52,52が第1連結部材60および第2連結部材62に連結されて、関節サポート部24が上腕サポート部22に対して回転可能に連結される。
【0033】
一方、第1サポート部材14と第2サポート部材16とは、前述した連結手順と逆の手順によって相互に分離される。すなわち先ず、第1連結部材60および第2連結部材62に締結された各取付ビス72,72を取外すことで、関節サポート部24が上腕サポート部22から取外される。次いで、両第3連結片52,52が互いに近接するよう第2サポート部材16を変形させることで(図5参照)、矩形係止部68,68と連結係止孔54,54との係止が解除され、第2サポート部材16を第1サポート部材14の上腕サポート部22から分離できる。
【0034】
作動手段としてのサーボモータ74は、ロボットや産業機械等の動力源として使用されているもので、図2〜図4に示すように、矩形状の本体ケースから出力軸76が延出した構成となっており、ベベルギアである第1ギア78が該出力軸76の先端に取付けられている。このようなサーボモータ74は、図2および図5に示すように、収容設置部36に形成した装着凹部36Aに対し、出力軸76が前方へ延出する向きで押し込むことで該装着凹部36Aに装着され、更に前記カバー部材38を取付けることで第1サポート部材14に対してがたつきなく装着される。そして、装着凹部36Aにサーボモータ74が適切に配設された状態では、出力軸76に取付けた前記第1ギア78が、第1連結部材60に設けた前記第2ギア80に噛合する。従って、サーボモータ74の作動により出力軸76が回転すると、第1ギア78および第2ギア80を介して第1連結部材60が上腕サポート部22に対して回転し、これにより第2サポート部材16が第1サポート部材14に対して回転しながら姿勢変位する。なお、サーボモータ74の作動により第1連結部材60と第2サポート部材16とが一体的に回転するので、該第1連結部材60の回転角度を前記ロータリーエンコーダ82で検知することで、前記第1サポート部材14に対する第2サポート部材16の回転角度が認識される。
【0035】
前記支持具12を構成する支持部材20は、図2に示すように、固定ベース部材18の上面に設置される固定支持体106と、前記身体装着具10の支持凸部44が連結される支持凹部124が設けられ、前記固定支持体106に対して回転および傾動が可能に配設される可動支持体108とを備えている。
【0036】
固定支持体106は、図2に示すように、上方に開口した有底円筒状の支持ケース110における内部底面に垂直に立設された第1支軸112に、水平状態で正逆回転可能な回転体114を備えている。すなわち、支持ケース110の内側に設けた第1駆動モータ116の出力軸に取付けたピニオンギア118が、回転体114の側面周方向に延在するように設けたラックギア120と噛合しており、前記第1駆動モータ116を正逆駆動させることで、回転体114が水平方向において正逆回転するよう構成されている。また、回転体114の内部には、水平に架設された第2支軸122が配設され、この第2支軸122が可動支持体108を支持するようになっている。
【0037】
可動支持体108は、図2に示すように、上面に前記支持凹部124を設けた円形のトレー状部材であって、下面中央から下方へ垂設した支持ステー126が、前記第2支軸122に固定されている。この第2支軸122は、前記回転体114に設けた第2駆動モータ128により、正逆回転が可能となっている。すなわち、第2駆動モータ128の出力軸に取付けた駆動プーリ132と、第2支軸122に取付けた従動プーリ134とが、両プーリ132,134に掛装されたベルト136で連係されており、第2駆動モータ128を正逆駆動させることで第2支軸122が正逆回転し、これにより可動支持体108が固定支持体106に対して第2支軸122を中心として揺動するようになる。従って、実施例の支持部材20は、前記第1駆動モータ116および第2駆動モータ128とを同時に駆動制御することで、回転体114の水平回転と可動支持体108の傾動とが合成されて、該可動支持体108に載せた前記身体装着具10に回転運動および傾動運動を付与することが可能となる。
【0038】
また、前記可動支持体108の支持凹部124には、図2に示すように、電源コード138を介して図示省略した外部電源と電気的に接続された第2端子140が設けられている。そして、身体装着具10に設けた前記支持凸部44には、電気線142を介して前記サーボモータ74と電気的に接続された第1端子144が設けられている。これら第1端子144および第2端子140は、支持部材20に身体装着具10を載せて支持凹部124に支持凸部44が連結された際に相互に接触し、前記サーボモータ74に対する通電がなされるよう構成されている。従って、実施例の装着型身体補助装置SUは、右腕Aに装着される身体装着具10に、サーボモータ74を駆動させるためのバッテリーや電源装置が配設されておらず、該身体装着具10の軽量化が図られている。
【0039】
更に、前記固定支持体106の内部には制御部146が配設され、前記サーボモータ74の作動制御を行なうと共に、前記ロータリーエンコーダ82からの検出信号および前記生体信号感知センサ59からの信号等が入力される。そして、前記可動支持体108の支持凹部124には、信号線148を介して前記制御部146と電気的に接続された第3端子150が設けられている。一方、身体装着具10に設けた前記支持凸部44には、信号線152を介して前記サーボモータ74と電気的に接続された第4端子154が設けられている。従って、支持部材20に身体装着具10を載せて支持凹部124に支持凸部44が連結された際に第3端子150および第4端子154が相互に接触し、前記制御部146と前記サーボモータ74とが電気的に接続されて、該制御部146による該サーボモータ74の制御が可能となるよう構成されている。
【0040】
前記固定ベース部材18は、図2および図4に示すように、前記支持部材20を着脱可能に取着するための設置部156を備えている。また固定ベース部材18は、前記車椅子WCの取付部位であるアームレスト部WC1に当接する第1当接部158と、前記第1当接部158に対して相対的に近接・離間移動して、該第1当接部158とにより前記アームレスト部WC1を挟持する第2当接部160とを備えている。前記第2当接部160は、図1および図4に示した操作部161の操作により、第1当接部158に対して近接移動または離間移動する。
【0041】
前述のように構成された実施例の装着型動作補助装置SUは、固定ベース部材18の第1当接部158および第2当接部160により車椅子WCのアームレスト部WC1に支持具12を固定し、支持部材20の支持凹部124に身体装着具10の支持凸部44を上方から連結することで、身体装着具10を支持具12に載せた状態で使用し得る。すなわち実施例の装着型動作補助装置SUは、ユーザーが車椅子WCを使用する際に、右腕Aに装着した身体装着具10をアームレスト部WC1に取付けた支持具12に載せることで、サーボモータ74に通電されると共に制御部146による該サーボモータ74の制御が開始される。そして、サーボモータ74の作動により、第2サポート部材16が第1サポート部材14に対して姿勢変位するので、右腕Aの肘関節A3を中心とした屈伸動作の補助を行なうことができる。また、支持部材20の可動支持体108が水平回転および揺動することで、身体装着具10に水平方向への回転および揺動運動を付与できるので、右腕Aの肘関節A3を中心とした回転動作や捻り動作に対する補助も行ない得る。
【0042】
従って実施例の装着型動作補助装置SUでは、身体装着具10に設けた前記サーボモータ74、支持具12に設けた第1駆動モータ116および第2駆動モータ128を同時に制御することにより、例えば食事をする際の右腕Aの動作補助や、リハビリテーションを目的とした右腕Aの動作補助等に好適に使用することができる。
【0043】
前述のように構成された実施例の装着型動作補助装置SUによれば、次のような作用効果を奏する。
(1)第2サポート部材16を姿勢変位させるサーボモータ74、第1連結部材60、これらサーボモータ74と第1連結部材60とを連結する第1ギア78および第2ギア80が、第1サポート部材14に設けた収容設置部36内に配設され、装着型動作補助装置SUの小型化およびコンパクト化が図られる。従って、前記装着型動作補助装置SUを肘関節A3を挟む上腕部A1および前腕部A2に装着しても、違和感が殆どなくて装着感の向上が図られ、子供や老人であっても容易に使用することができる。また、サーボモータ74、第1連結部材60、第1ギア78および第2ギア80の可動部材の全てが収容設置部36内に収容されて、第1サポート部材14および第2サポート部材16の外側に露出しないので、これらの可動部分に指先や衣服の裾部等が挟み込まれる不都合の発生も好適に防止し得る。
(2)第2サポート部材16が第1サポート部材14に対して着脱可能なので、連結係止孔54が形成された第3連結片52,52が設けられて形状・サイズが異なる複数の第2サポート部材16を準備すれば、第1サポート部材14に対して形状・サイズが異なる第2サポート部材16を選択的に装着し得る。従って、ユーザーの体格変化に対応し得ると共に、肘関節A3を挟む上腕部A1と前腕部A2以外の身体部位に装着して、当該身体部位の動作補助を行なうことも可能である。
例えば図11に示すように、足部L2に合わせた形状に形成した第2サポート部材16を準備すれば、脚部の足首関節L3を挟む近位身体部位である臑部L1に第1サポート部材14を装着すると共に、該足首関節L3を挟む遠位身体部位である足部L2に前記第2サポート部材16を装着して、足首関節L3を中心とした脚部の動作補助を行ない得る。なお、第1サポート部材14および第2サポート部材16には、臑部L1と足部L2にフィットする臑部パッド部材168および足部パッド部材170が装着される。また図示省略するが、臑部に合わせた形状に形成した第2サポート部材16を準備すれば、脚部の膝関節を挟む近位身体部位である腿部に第1サポート部材14を装着すると共に、前記膝関節を挟む遠位身体部位である臑部に第2サポート部材16を装着して、膝関節を中心とした脚部の動作補助を行ない得る。
(3)サーボモータ74と第1連結部材60とが、互いに噛合する第1ギア78および第2ギア80でダイレクトに連結されるので、該サーボモータ74の回転が第1連結部材60に確実に伝達され、第2サポート部材16を適切に姿勢変位させ得る。
(4)上腕パッド部材86、関節パッド部材94および前腕パッド部材98が右腕Aに接触し、硬い第1サポート部材14の上腕サポート部22および関節サポート部24や第2サポート部材16が右腕Aに接触しないので、装着感の向上が図られる。また、厚さが異なる複数種類の上腕パッド部材86、関節パッド部材94および前腕パッド部材98準備しておくことにより、第1サポート部材14および第2サポート部材16を共用して各パッド部材86,94,98を変更することで体格が異なる多くのユーザーに対応でき、また装着型動作補助装置SUの製造コスト低減を図り得る。
(5)第1サポート部材14が、上腕サポート部22と関節サポート部24とで構成されているので、第1サポート部材14に対して第2サポート部材16が姿勢変位しても関節サポート部24で肘関節A3が常に保護され、右腕Aの動作を適切に行ない得る。
(6)第2サポート部材16に設けた補助サポート部材58を前腕部A2の手首近傍部分に装着することで、右腕Aの動作時に主として動く前腕部A2に対して第2サポート部材16を適切に装着することができる。
(7)身体装着具10は、車椅子やベッド等の身体保持器具WCの取付部位WC1に取付けた支持具12に載せることができるので、ユーザーが該身体保持器具WCの使用中にであっても右腕Aの動作補助が可能となる。また、身体保持器具WCに対する支持具12の取付位置を変更調整し得るので、ユーザーが好む姿勢での動作補助を図り得る。
(8)支持具12における支持部材20の可動支持体108が、水平方向への回転および揺動が可能となっているので、右腕Aの屈伸運動を伴う動作補助だけでなく、回転運動や捻り運動を伴う身体動作の補助も行ない得る。
(9)身体装着具10を支持具12に載せて支持凸部44と支持凹部124とを連結すると、サーボモータ74に電源が供給されるので、該身体装着具10に該サーボモータ74用のバッテリーを搭載する必要がなく、身体装着具10の軽量化が図られる。また、身体装着具10に電源コードが接続されていないので、該電源コードが該身体装着具10に絡まったり引掛かることにより動作補助が阻害されることがない。
(10)身体装着具10を支持具12に載せて支持凸部44と支持凹部124とを連結すると、制御部146とサーボモータ74とが電気的に接続されるので、該制御部146による該サーボモータ74の制御が可能となる。従って、身体装着具10に制御部146を配設する必要がないので、該身体装着具10の軽量化が図られる。
【0044】
(変更例)
図8は、固定ベース部材18に対する支持部材20の装着位置を変更調整し得るようにした支持具12を概略的に例示した説明図である。すなわち固定ベース部材18は、図示しない操作部による操作により昇降移動可能な設置部156を備えている。また、前記設置部156の上面には水平方向に延在するスライドレール162が形成され、前記支持部材20の下面には、スライドレール162に沿って往復移動可能なスライド部材164が配設されている。従って、設置部156の昇降調整により支持部材20の高さ調整が可能となり、スライドレール162に沿ったスライド部材164の移動により支持部材20の水平方向の位置調整が可能となるので、ユーザーが使い易い位置に該支持部材20を微調整したもとで動作補助を図り得る。
【0045】
図9は、支持部材20を、所要に延設されたガイドレール(ガイド部)166を備えた固定支持体106と、前記ガイドレール166に沿って往復移動可能な移動部材167を下面に備えた可動支持体108とから構成したものである。可動支持体108の上面には、前記実施例と同様に、身体装着具10に設けた支持凸部44が連結される支持凹部124が形成されている。従って、身体部位に装着した身体装着具10は、ガイドレール166に沿って移動する可動支持体108に載置された状態で移動し、該身体部位にガイドレール166に沿った動作を付与することができる。すなわち、ガイドレール166の延在形状および延在長さの設定により、身体装着具10を装着した身体部位に、規定された一定の動作を付与することが可能となる。また、ガイドレール166の延在形状および延在長さを様々に設定することで、身体装着具10を装着した身体部位に、多様な動作を付与することも可能となる。
【0046】
なお図9において、可動支持体108および移動部材167を廃止して、前記身体装着具10の前記支持凸部44に、前記ガイドレール166に係合して摺動可能な凸部を設け、ガイドレール166に沿って身体装着具10を移動させるよう構成してもよい。このように構成しても、ガイドレール166の延在形状および延在長さを様々に設定することで、身体装着具10を装着した身体部位に、規定された動作または多様な動作を付与することが可能となる。
【0047】
また、実施例の装着型動作補助装置SUは、図10に示すように、支持部材20が固定ベース部材18から取外し可能な構成となっているので、この支持部材20だけを卓や机等の台Tの上面に載置し、該支持部材20に身体装着具10を載せて使用し得る。すなわち、平坦かつ広い上面を有する台Tの上であれば、支持部材20のみを支持具として使用して、身体装着具10と支持部材20とで身体部位の動作補助を行なうことが可能となる。
【0048】
なお実施例では、右腕Aの肘関節A3を挟む上腕部A1および前腕部A2に装着される装着型動作補助装置SUを例示したが、本願の装着型動作補助装置SUは、前記実施例の形態に限定されず、様々に変更して実施可能である。
(1)第1サポート部材14および第2サポート部材16は、前記実施例に示した形状・サイズに限定されず、様々な形状とすることが可能である。例えば、第1サポート部材14は、上腕サポート部22および関節サポート部24を一体化した単一部材として構成することも可能である。
(2)収容設置部36を第1サポート部材14の外面左側に設け、該収容設置部36にサーボモータ74を収容して配設すると共に、第1連結部材60と第2連結部材62との装着位置を逆にすることで、左腕の肘関節を挟む上腕部および前腕部に装着して、該左腕の屈伸動作を補助する装着型動作補助装置とすることができる。
(3)支持部材20の支持凹部124に着脱可能に連結される支持凸部44の配設位置は、前記関節サポート部24の下面24Bに限定されず、上腕サポート部22の外面22Bまたは第2サポート部材16の外面16Bに設けてもよい。
(4)作動手段74は、サーボモータに限定されず、アクチュエーターモータや電磁ソレノイド等を使用することも可能である。
(5)前記サーボモータ74と第1連結部材60との連係は、実施例に示したベベルギアからなる第1ギア78および第2ギア80に限らず、例えばウォームギアおよびホイルギアからなるギア列としてもよい。
(6)第1連結部材60および第2連結部材62を第2サポート部材16に回転不能に連結する形態は、実施例に示した矩形状の連結係止孔54および矩形係止部68の形態に限定されず、例えばキーおよびキー溝による係合形態、凸部および凹部による嵌合形態等であってもよい。
(7)身体装着具10の支持凸部44および支持具12の支持凹部124の各々磁石等の磁性体を配設して、支持凸部44と支持凹部124との連結時に支持凸部44を支持凹部124に磁力吸着させることで、支持具12に対して身体装着具10が保持されるよう構成してもよい。
(8)支持具12を構成する固定ベース部材18と支持部材20とは、両部材18,20を一体化した単一ユニット部材として構成してもよい。また、固定ベース部材18および支持部材20の構成は、前記実施例に例示した構成に限定されず、様々な形態とすることが可能である。例えば、固定ベース部材18の第1当接部158および第2当接部160は、水平方向に近接・離間移動する形態として、取付部位WC1に横方向から当接するようにしてもよい。
(9)前記制御部146に接続された発信手段を支持具12に設けると共に、前記発信手段からの信号を受診可能な受信手段を身体装着具10に設け、制御部146による前記サーボモータ74の制御を無線で行なうようにしてもよい。
(10)第1サポート部材14の上腕サポート部22に対する上腕パッド部材86の装着形態および第2サポート部材16に対する前腕パッド部材98の装着形態は、前述したメス型フック28,50とオス型フック92,102との嵌合に限らず、面ファスナーやこれ以外の形態であってもよい。また、関節サポート部24に対する関節パッド部材94の装着形態も、前述した面ファスナー46,96の係合に限らず、フック部材やこれ以外の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例に係る装着型動作補助装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】装着型動作補助装置の全体構成を、支持具を破断して概略的に示す側面図である。
【図3】装着型動作補助装置の全体構成を概略的に示す平面図である。
【図4】装着型動作補助装置を右腕に装着して使用する状態を示す斜視図である。
【図5】第1サポート部材および第2サポート部材を連結する第1連結部材および第2連結部材と、収容設置部内に配設されて第1ギアおよび第2ギアにより第1連結部材に連係されたサーボモータとを示した要部断面図である。
【図6】第1サポート部材を構成する上腕サポート部および関節サポート部と、第2サポート部とを分解した状態で示した斜視図である。
【図7】第1サポート部材の前腕サポート部および関節サポート部に装着される前腕パッド部材および関節パッド部材、第2パッド部材に装着される前腕パッド部材、補助サポート部材に装着される補助パッド部材を夫々示した斜視図である。
【図8】支持具の別形態例を、一部破断して示した側面図である。
【図9】支持具の更に別の形態例を示した要部斜視図である。
【図10】支持部材だけを単独で台上に載せて使用する状態を一部破断して示した側面図である。
【図11】足部用の第2サポート部材を第1サポート部材に連結して、足首関節を挟む臑部および足部に装着型動作補助装置を装着した状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
10 身体装着具,14 第1サポート部材,16 第2サポート部材,20 支持部材
44 支持凸部(連結部),74 サーボモータ(作動手段),106 固定支持体
108 可動支持体,124 支持凹部(被連結部),140 第2端子,144 第1端子
146 制御部,166 ガイドレール(ガイド部),A1 上腕部(近位身体部位)
A2 前腕部(遠位身体部位),A3 肘関節(関節),T 台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲動作する関節(A3)を挟む身体部位に装着され、前記関節(A3)の屈曲動作を補助する装着型動作補助装置であって、
前記関節(A3)の近位身体部位(A1)に装着される第1サポート部材(14)と、前記第1サポート部材(14)に前記関節(A3)の屈曲動作を許容するよう姿勢変位可能に連結され、前記関節(A3)の遠位身体部位(A2)に装着される第2サポート部材(16)と、前記第1サポート部材(14)に設けられ、該第1サポート部材(14)に対して前記第2サポート部材(16)を姿勢変位させる作動手段(74)とを有する身体装着具(10)と、
台(T)上に設置されて前記身体装着具(10)に設けた連結部(44)が着脱可能に連結され、前記身体装着具(10)を下方から支持する支持部材(20)とを備える
ことを特徴とする装着型動作補助装置。
【請求項2】
前記支持部材(20)は、台(T)上に設置される固定支持体(106)と、前記身体装着具(10)の連結部(44)が連結される被連結部(124)が設けられ、前記固定支持体(106)に対し回転および傾動が可能に配設される可動支持体(108)とを備え、前記可動支持体(108)で支持した前記身体装着具(10)の姿勢変位を許容するよう構成した請求項1記載の装着型動作補助装置。
【請求項3】
前記支持部材(20)は、前記身体装着具(10)の連結部(44)が摺動可能なガイド部(166)を備え、前記ガイド部(166)に沿って前記身体装着具(10)を移動させるよう構成した請求項1記載の装着型動作補助装置。
【請求項4】
前記連結部(44)には、前記作動手段(74)に対して電気的に接続された第1端子(144)が設けられ、
前記支持部材(20)には、外部電源と電気的に接続された第2端子(140)が設けられ、
前記連結部(44)と前記支持部材(20)との連結時に、前記第1端子(144)および第2端子(140)が接触して前記作動手段(74)に通電されるよう構成した請求項1〜3の何れか一項に記載の装着型動作補助装置。
【請求項5】
前記支持部材(20)には、前記作動手段(74)の作動を制御する制御部(146)が設けられ、
前記連結部(44)と前記支持部材(20)との連結時に、前記作動手段(74)が前記制御部(146)と電気的に接続される請求項1〜4の何れか一項に記載の装着型動作補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−219649(P2009−219649A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66870(P2008−66870)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16〜20年度、文部科学省、地域科学技術振興施策、委託研究(知的クラスター創成事業、岐阜・大垣地域ロボティック先端医療クラスター)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【出願人】(508079452)株式会社D Art (5)
【Fターム(参考)】