説明

装着部材、装着部材を備える液体容器、及び、液体供給システム

【課題】液体消費装置側のセンサーを用いて液体供給源の液体残量状態を検出する技術において、液体残量状態の検出精度の低下を抑制できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】装着部材は、3方向についての動きが装着部によって規制されることで位置決めされる位置決め部材と、位置決め部材に取り付けられ、位置決め部材に3方向についての動きが規制されることで位置決めされる被取付部材と、内部流路の圧力変化に伴って少なくとも着脱座標軸に沿った方向に変位可能に被取付部材に取り付けられた移動部材と、備える。移動部材は、液体消費装置に配置され液体供給源の液体残量状態を検出するためのセンサーによって一端部の変位が検出される液体消費装置に設けられた棒状部材の他端部と向かい合う位置に設けられ、液体消費装置に装着部材が装着されたときに、他端部が接触する、装着部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体消費装置に装着される装着部材、装着部材を備える液体容器、及び、液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体消費装置の一例であるプリンターは、印刷ヘッドからインクを記録対象物(例えば、印刷用紙)に吐出し印刷を行う。印刷ヘッドへのインク供給は、インク供給源を内部に収容したインクカートリッジ(単に「カートリッジ」ともいう。)を介して行なわれる。
【0003】
インク供給源のインクが無くなった時点やインク残量が僅かになった時点で、利用者がカートリッジを交換できるようにするために、インク残量状態を検出するためのセンサーが設けられる場合がある(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
例えば、特許文献1の技術では、カートリッジに設けられたインク残量検出手段を用いてインク残量状態を検出している。このインク残量検出手段は、圧電素子を用いてインク残量状態を検出する。また例えば、特許文献2の技術では、リフィルユニットに設けられた光学式のセンサーと、カートリッジ内に設けられた被検出部を用いてインク残量状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−273173号公報
【特許文献2】特開2010−155465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、インク残量状態を検出するためのセンサーである圧電素子がカートリッジ側に設けられている。このため、カートリッジのコストが高くなる場合がある。一方、特許文献2の技術では、インク残量状態を検出するためのセンサーをリフィルユニット側に設けており、カートリッジ側にセンサーを設ける必要が無い。しかしながら、特許文献2の技術では、被検出部をインクカートリッジ内の所定の位置に精度良く配置するための位置決め手段については考慮されていない。このため、被検出部とセンサーとを用いたインク残量状態の検出精度が低下するおそれがある。
【0007】
なお、上記のような各種問題は、印刷のためのインクを収容するカートリッジや、印刷装置に限らず、センサーを備える液体消費装置に装着され、液体残量状態の検出に利用される部材を備える装着部材に共通する。
【0008】
本発明は、上記した課題を踏まえ、液体消費装置側のセンサーを用いて液体供給源の液体残量状態を検出する技術において、液体残量状態の検出精度の低下を抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]液体消費装置に着脱可能に装着される装着部材であって、
前記装着部材が着脱される方向に延びる着脱座標軸を含み互いに直交する3つの座標軸とそれぞれ平行な3方向についての動きが、前記液体消費装置の装着部によって規制されることで位置決めされる位置決め部材と、
前記位置決め部材に取り付けられ、前記位置決め部材により前記3方向についての動きが規制されることで位置決めされる被取付部材であって、液体を収容する液体供給源からの液体を前記液体消費装置に流通させる内部流路であって一端部である液体供給口が前記液体消費装置に接続される内部流路が形成された被取付部材と、
前記内部流路の圧力変化に伴って少なくとも前記着脱座標軸に沿った方向に変位可能に前記被取付部材に取り付けられた移動部材と、を備え、
前記移動部材は、前記液体消費装置に前記装着部材が装着されたときに、前記液体消費装置に設けられた棒状部材であって、前記液体供給源の液体残量状態を検出するためのセンサーによって一端部の変位が検出される棒状部材の他端部と向かい合う位置に設けられ、前記液体消費装置に前記装着部材が装着されたときに、前記他端部と接触する、装着部材。
【0011】
適用例1に記載の装着部材によれば、液体消費装置の装着部によって3方向についての動きが規制された位置決め部材と、位置決め部材によって3方向についての動きが規制された被取付部材とを備える。また、被取付部材には移動部材が取り付けられている。これにより、移動部材と液体消費装置の棒状部材との位置関係が正しい位置関係からずれる可能性を低減できる。よって、移動部材と液体消費装置が備える棒状部材及びセンサーを用いた液体残量状態の検出精度の低下を抑制できる。
【0012】
[適用例2]適用例1に記載の装着部材であって、
前記位置決め部材は、一方が開口した箱形状であり、
前記位置決め部材の内壁には、
前記被取付部材と当接することで前記被取付部材を前記3方向において位置決めする複数組の規制部であって、互いに少なくとも一部が異なる方向において位置決めする2組以上の規制部を含む複数組の規制部が設けられている、装着部材。
適用例2に記載の装着部材によれば、位置決め部材の内壁に互いに少なくとも一部が異なる方向に対して位置決めする複数組の規制部を設けることで、被取付部材を容易に位置決めできる。
【0013】
[適用例3]適用例2に記載の装着部材であって、
前記箱形状の前記位置決め部材の底部と前記開口とが対向する方向に延びる軸が前記着脱座標軸であり、前記着脱座標軸に沿った方向のうち、前記底部から前記開口に向かう方向を+Y軸方向、前記開口から前記底部に向かう方向を−Y軸方向としたときに、
前記複数組の規制部は、
前記被取付部材と当接することで前記被取付部材の前記+Y軸方向の動きを規制する+Y軸当接部と、
前記被取付部材と当接することで前記被取付部材の前記−Y軸方向の動きを規制する−Y軸当接部と、を有し、
前記+Y軸当接部の数は、前記−Y軸当接部の数よりも少ない、装着部材。
適用例3に記載の装着部材によれば、+Y軸当接部の数を−Y軸当接部の数よりも少なくすることで、開口から被取付部材を位置決め部材に組み付ける際に、+Y軸当接部と被取付部材との摩擦抵抗を低減できる。これにより、被取付部材を位置決め部材に組み付けやすくできる。
【0014】
[適用例4]適用例2に記載の装着部材であって、
前記箱形状の前記位置決め部材の底部と、前記開口とが対向する方向に延びる軸が前記着脱座標軸としてのY軸であり、前記3つの座標軸のうち前記Y軸とは異なる2つの軸をX軸、Z軸とするとき、
前記複数組の規制部は、
前記被取付部材と当接することで前記X軸方向の動きを規制する複数のX軸規制部であって、前記被当接部材の前記Y軸方向の長さの中心線と前記Z軸方向の長さの中心線の少なくともいずれか一方を挟む位置に配置された複数のX軸規制部と、
前記被取付部材と当接することで前記Y軸方向の動きを規制する複数のY軸規制部であって、前記被当接部材の前記Z軸方向の長さの中心線と前記X軸方向の長さの中心線の少なくともいずれか一方を挟む位置に配置された複数のY軸規制部と、
前記被取付部材と当接することで前記Z軸方向の動きを規制する複数のZ軸規制部であって、前記被当接部材の前記X軸方向の長さの中心線と前記Y軸方向の長さの中心線の少なくともいずれか一方を挟む位置に配置された複数のZ軸規制部と、を有する、装着装置。
適用例4に記載の装着部材によれば、被当接部材が所定の大きさである場合でも、X規制部、Y軸規制部、Z軸規制部によって、位置決め部材に対する被取付部材の位置ずれを抑制できる。
【0015】
[適用例5]適用例1乃至適用例4のいずれか一つに記載の装着部材であって、
前記内部流路は、
内部の圧力変化に伴って容積が変化する液体室であって、前記液体室内の圧力変化に伴って変形する変形部材で前記液体室を区画形成する壁の一部が形成された液体室を有し、
前記移動部材は、
前記被取付部材に取り付けられ回動支点を形成し、少なくとも前記着脱座標軸に沿った方向に前記移動部材を変位させる取付部と、
前記液体室の外側から前記変形部材と接触する第1の接触部と、
前記第1の接触部を挟んで前記回動支点と反対の側に位置し、前記棒状部材の他端部が接触する第2の接触部と、を有する、装着部材。
適用例5に記載の装着部材によれば、棒状部材の他端部と接触する移動部材の第2の接触部が第1の接触部を挟んで回動支点と反対側に位置する。これにより、第2の接触部の変位が第1の接触部の変位よりも大きくなる。よって、センサーによる移動部材の一端部の変位の検出精度を向上でき、液体残量検出の精度を向上できる。
【0016】
[適用例6]適用例1乃至適用例5のいずれか一つに記載の装着部材と、
前記液体供給口を介して前記液体消費装置に供給される前記液体を貯留する前記液体供給源としての液体貯留体と、を備える、液体容器。
適用例6に記載の液体容器によれば、液体残量検出の精度低下を抑制できる液体容器を提供できる。
【0017】
[適用例7]適用例6に記載の液体容器において、さらに、
前記液体貯留体を収容する保護部材を備え、
前記保護部材は、前記位置決め部材に対して移動可能に組み付けられている、液体容器。
液体貯留体を収容する保護部材側は、位置決め部材側に比べ一般に重量が大きくなる。このため保護部材側は重力の影響によって水平方向に対して傾斜する場合がある。しかしながら、適用例7に記載の液体容器によれば、保護部材は位置決め部材に対して移動可能に組み付けられている。よって、保護部材と位置決め部材との間のクリアランスの分だけ、保護部材が位置決め部材に対して僅かに動けるように構成することで、保護部材が水平方向に対して傾斜した場合でも、位置決め部材の傾斜を抑制できる。すなわち、位置決め部材が正しい姿勢を保つことができ、移動部材と棒状部材との位置関係が正しい位置関係からずれる可能性を低減できる。よって、液体残量検出の精度低下を抑制できる。
【0018】
[適用例8]適用例1乃至適用例5のいずれか一つに記載の装着部材と、
前記液体供給口を介して前記液体消費装置に供給される前記液体を前記液体消費装置及び前記装着部材の外部に貯留する前記液体供給源としての外部液体貯留体と、
前記外部液体貯留体と前記装着部材とを連通させる液体輸送管と、を備える、液体供給ユニット。
適用例8に記載の液体供給ユニットによれば、液体残量検出の精度低下を抑制できる液体供給ユニットを提供できる。
【0019】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、上述した装着部材、液体容器、液体供給ユニットとしての構成のほか、装着部材、液体容器、液体供給ユニットの製造方法、装着部材、液体容器、及び、液体供給ユニットの少なくともいずれか1つと液体消費装置とを備えた液体消費システム等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例としての液体消費システム1を説明するための図である。
【図2】装着部6の第1の外観斜視図である。
【図3】装着部6の第2の外観斜視図である。
【図4】装着部6の第3の外観斜視図である。
【図5】カートリッジ4の外観斜視図である。
【図6】カートリッジ4の正面図である。
【図7】カートリッジ4の側面図である。
【図8】装着部6にカートリッジ4が装着された際の外観斜視図である。
【図9】図8のF8−F8部分断面図である。
【図10】カートリッジ4の第1の分解斜視図である。
【図11】装着部材40C側部分の分解斜視図である。
【図12】内部流路199を説明するための第1の図である。
【図13】内部流路199を説明するための第2の図である。
【図14】移動部材172を説明するための図である。
【図15】装着部6が備える棒状部材92とセンサー138の概略構成図である。
【図16】インク残量状態の検出方法を説明するための第1の図である。
【図17】インク残量状態の検出方法を説明するための第2の図である。
【図18】位置決め部材40AをY軸とZ軸に平行な平面で切断した斜視図である。
【図19】位置決め部材40Aの背面図である。
【図20】位置決め部材40AをX軸とZ軸に平行な平面で切断した図である。
【図21】図19のF19A−F19A断面図である。
【図22】図19のF19B−F19B断面図である。
【図23】被取付部材190を示す第1の図である。
【図24】被取付部材190を示す第2の図である。
【図25】被取付部材190を示す第3の図である。
【図26】被取付部材190を示す第4の図である。
【図27】被取付部材190を示す第5の図である。
【図28】被取付部材190を示す第6の図である。
【図29】各当接部と被当接部材190Aとの関係を示す第1の図である。
【図30】各当接部と被当接部材190Aとの関係を示す第2の図である。
【図31】各当接部と被当接部材190Aとの関係を示す第3の図である。
【図32】第1変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.実施例:
B.変形例:
【0022】
A.実施例:
A−1.液体消費システムの全体構成:
図1は、本発明の実施例としての液体消費システム1を説明するための図である。図1には、互いに直交するXYZ軸が描かれている。これ以降に示す図についても必要に応じてXYZ軸が描かれている。他の図に描かれたXYZ軸は、図1のXYZ軸に方向が対応している。液体消費システム1は、液体消費装置としてのプリンター10と、液体容器としてのカートリッジ4とを備える。
【0023】
本実施形態のプリンター10は、インクをヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。このプリンター10は、ポスター等の大判の用紙(A2〜A0等)に印刷を行う大型のプリンターである。プリンター10は、装着部6と、制御部31と、キャリッジ20と、ヘッド22と、駆動機構30とを備える。また、プリンター10は、プリンター10の動作を利用者が操作するための操作ボタン15を備える。
【0024】
装着部6には、複数のカートリッジ4がそれぞれ着脱可能に装着される。本実施例では、4色(ブラック、イエロー、マゼンダ、シアン)のインクに対応して4種類のカートリッジ4が1つずつ、すなわち合計4つのカートリッジ4が装着部6に装着される。本実施例のプリンター10では、前面(+Y軸方向側の面)に交換用カバー13が設けられている。交換用カバー13の+Z軸方向側を手前側(+Y軸方向側)に倒すと、装着部6の開口が現れて、カートリッジ4の着脱が可能となる。装着部6にカートリッジ4が装着されると、ホース24を介してキャリッジ20に設けられたヘッド22にインクが供給可能となる。本実施例では、プリンター10の吸引ポンプ(図示せず)によって、カートリッジ4内のインクを吸引することで、インクがヘッド22に供給される。なお、ホース24は、インクの種類毎に設けられている。なお、カートリッジ4が装着部6に装着された状態を「装着状態」とも呼ぶ。
【0025】
ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。ヘッド22は、噴射ノズルから印刷用紙2に向かってインクを噴射して文字や画像等のデータを印刷する。なお、本実施例では、プリンター10は、装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20に装着部6が設けられ、キャリッジ20と共に装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本発明は適用できる。
【0026】
制御部31は、プリンター10の各部の制御や、カートリッジ4との信号の授受を行う。キャリッジ20は、ヘッド22を印刷用紙2に対して相対的に移動させる。
【0027】
駆動機構30は、制御部31からの制御信号に基づいてキャリッジを往復動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20が主走査方向(X軸方向)に往復移動する。また、プリンター10は、印刷用紙2を副走査方向(+Y軸方向)に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、開口12を介して前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
【0028】
また、キャリッジ20を主走査方向に移動させた印刷領域外の位置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられており、ホームポジションには、正常に印刷可能なようにメンテナンスを行うメンテナンス機構が搭載されている。メンテナンス機構は、ヘッド22の底面側(印刷用紙2に向いた側)でノズルが形成されている面(ノズル面)に押し付けられて、噴射ノズルを取り囲むように閉空間を形成するキャップ部材18や、ヘッド22のノズル面に押し付けるためにキャップ部材18を昇降させる昇降機構(図示せず)や、キャップ部材18がヘッド22のノズル面に押し付けられることで形成される閉空間に負圧を導入する吸引ポンプ(図示せず)などから構成されている。
【0029】
本実施例では、液体消費システム1(プリンター10及びカートリッジ4)の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向(上下方向)に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向(左右方向)に沿った軸をX軸とする。ここで、「液体消費システム1の使用状態」とは、水平な面に液体消費システム1が設置された状態をいう。また、本実施例では、副走査方向(前方向)を+Y軸方向、その逆方向(後方向)を−Y軸方向とし、重力方向の下方から上方に向かう方向(上方向)を+Z軸方向とし、その逆方向(下方向)を−Z軸方向とする。また、液体消費システム1を前側(+Y軸方向側)から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X軸方向とし、その逆方向を−X軸方向とする。また本実施例では、カートリッジ4が装着部6に装着される際の挿入方向が−Y軸方向ともなり、カートリッジ4が装着部6から取り外される際の方向が+Y軸方向ともなる。よって、装着部6のうち、−Y軸方向側を奥側とも呼び、+Y軸方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施例では、複数のカートリッジ4の配列方向がX軸方向ともなる。
【0030】
A−2.装着部6の詳細構成:
次に図2〜図4を用いて装着部6の詳細構成について説明する。図2は、装着部6の第1の外観斜視図である。図3は、装着部6の第2の外観斜視図である。図4は、装着部6の第3の外観斜視図である。図2は、装着部6に取り付けられたホース24も図示している。図3及び図4は、装着部6の内部構成の説明を行うために装着部6を区画形成する壁部の一部の図示を省略している。
【0031】
図2に示すように、装着部6には、以下に述べる6つの壁部によってカートリッジ4を収容するカートリッジ収容室61が区画形成されている。カートリッジ収容室61は、略直方体形状である。なお、カートリッジ収容室61のうち、4つのカートリッジ4のうちの1つを収容する部分をそれぞれ、スロットとも呼ぶ。
【0032】
装着部6は、装置側前壁部62と、第1の装置側側壁63と、第2の装置側側壁64とを備える。また、装着部6は、第3の装置側側壁65と、第4の装置側側壁66と、開口壁部67と、を備える。これらの6つの壁部62,63,64,65,66,67によってカートリッジ収容室61が区画形成されている。6つの壁部62,63,64,65,66,67の外形はそれぞれ、略長方形状である。
【0033】
装置側前壁部62と、開口壁部67とは互いに対向する。第1の装置側側壁63と第2の装置側側壁64とが互いに対向する。第3の装置側側壁65と第4の装置側側壁66とが互いに対向する。
【0034】
開口壁部67には、カートリッジ4が着脱される際に通過する開口69が形成されている。また、開口壁部67には、Z軸方向に移動可能なレバー672が設けられている。カートリッジ4が装着された後にレバー672を−Z軸方向に移動させることで、レバー672がカートリッジ4に引っ掛かる。これにより、カートリッジ4が誤って取り外されることを防止する。カートリッジ4は、Y軸方向に沿って装着部6に着脱される。すなわち、Y軸方向が、カートリッジ4が着脱される方向に沿って延びる着脱座標軸となる。また、+Y軸方向はカートリッジ4が取り外される方向であり、−Y軸方向はカートリッジ4が装着される方向である。
【0035】
装置側前壁部62の−Y軸方向側には、カートリッジ4内のインクを吸引するための吸引ポンプPが配置されている。吸引ポンプPは、装着されるカートリッジ4の個数に対応して設けられている。
【0036】
図3に示すように、第1の装置側側壁63は、装着状態においてカートリッジ4のY軸方向の動きを規制する第1のレール682を有する。また第1のレール682は、カートリッジ4を装着位置まで案内する。第1のレール682は、少なくとも装着されるカートリッジ4の個数に対応して設けられている。本実施例では、実際に装着されるカートリッジ4の個数4つと、予備1つの計5つの第1のレール682が設けられている。第1のレール682はY軸方向に延びる溝であり、カートリッジ4の一部分が挿入される。また、第1のレール682の−Y軸方向側端部には、係止部材としての板ばね684が設けられている。装着状態では、板ばね684がカートリッジ4を係止することで、装着部6からカートリッジ4が抜け出すことを防止する。
【0037】
図4に示すように、第2の装置側側壁64は、装着状態においてカートリッジ4のY軸方向の動きを規制する第2のレール602を有する。また第2のレール602は、カートリッジ4を装着位置まで案内する。第2のレール602は、少なくとも装着されるカートリッジ4の個数に対応して設けられている。本実施例では、実際に装着されるカートリッジ4の個数4つと、予備1つの計5つの第1のレール682が設けられている。第1のレール682はY軸方向に延びる溝であり、カートリッジ4の一部分が挿入される。また、第2のレール602の−Y軸方向側端部には、係止部材としての板ばね604が設けられている。装着状態では、板ばね604がカートリッジ4を係止することで、装着部6からカートリッジ4が抜け出すことを防止する。すなわち、カートリッジ4の−Y軸方向の動きを規制する。
【0038】
また、第2の装置側側壁64のうち、装置側前壁部62に近接した位置には、規制部材612が設けられている。規制部材612は、少なくともカートリッジ4が装着される個数に対応して設けられている。本実施例では、規制部材612は5個設けられているが、実際に利用される個数は4個である。規制部材612は、カートリッジ4が開口69(図2)を介してカートリッジ収容室61に挿入され、正しい装着位置まで到達したときにカートリッジ4と当接する。すなわち、カートリッジ4の−Y軸方向の動きを規制する。
【0039】
ここで、カートリッジ4を装着部6から取り外す際には、レバー672(図2)を+Z軸方向に移動させ、カートリッジ4を−Y軸方向側に引き抜く。カートリッジ4が−Y軸方向側に引き抜かれると、板ばね604,684が各レール602,682内に収容されるように変位し、係止が解除される。
【0040】
図4に示すように、装置側前壁部62には、装置側端子部7と、液体供給機構8と、ロッド部材9とが設けられている。装置側端子部7は、複数の端子からなる装置側端子群72とコネクター74とを備える。装置側端子群72はコネクター74と電気的に接続されている。装置側端子群72は、装着状態において、カートリッジ4に設けられた回路基板(後述)と接触することで電気的に接続される。コネクター74は配線によってプリンター10の制御部31(図1)と電気的に接続されている。これにより、カートリッジ4の回路基板と制御部31との間で信号の授受が可能となる。
【0041】
液体供給機構8は、液体供給針82を備える。装着状態において、液体供給針82がカートリッジ4に接続される。これにより、カートリッジ4に収容されているインクが液体供給針82に流通可能となる。なお、液体供給針82はホース24と連通している。
【0042】
ロッド部材9は、棒状部材92を備える。棒状部材92は、Y軸方向に沿って延びる部材である。棒状部材92は、Y軸方向に沿って移動可能に設けられている。本実施例では、棒状部材92は、装置側前壁部62を貫通して設けられている。棒状部材92は、カートリッジ4のインク残量状態を検出するための検出機構の一部を構成する。なお、本実施例では、検出機構によってカートリッジ4のインクエンド状態を検出している。ここで、「インクエンド状態」とは、カートリッジ4のインクが無くなった状態、又は、カートリッジ4のインクが残り少なくなった状態をいう。なお、検出機構の詳細については後述する。
【0043】
A−3.カートリッジの外観構成:
次に図5〜図7を用いてカートリッジ4の外観構成について説明する。図5は、カートリッジ4の外観斜視図である。図6は、カートリッジ4の正面図である。図7は、カートリッジ4の側面図である。
【0044】
図5に示すように、カートリッジ4は、外形が略直方体形状である。カートリッジ4はケース40を備える。ケース40は、合成樹脂により成形されている。ケース40は、装着部6の液体供給針82や棒状部材92が挿入される位置決め部材40Aと、位置決め部材40Aに取り付けられた保護部材40Bと、を備える。保護部材40Bは位置決め部材40Aに対して僅かに移動可能なようにクリアランスを設けて取り付けられている。ケース40は、液体供給源としての液体収容部(液体貯留体)84と、液体収容部84のインクを液体供給針82に流通させる内部流路が形成された被取付部材190とを内部に収容する。詳細には、位置決め部材40Aの内部には被取付部材190が取り付けられる。また、保護部材40Bの内部には液体収容部84が収容されている。なお、液体収容部84及び被取付部材190の詳細構成については後述する。ここで、位置決め部材40Aと被取付部材190は後述する装着部材40Cの構成部材である。
【0045】
カートリッジ4は、前壁42と、後壁47と、第1側壁43と、第2側壁44と、第3側壁45と、第4側壁46とを備える。なお、第1側壁43を上壁43とも呼び、第2側壁44を底壁44とも呼び、第3側壁45を右側壁45とも呼び、第4側壁46を左側壁46とも呼ぶ。前壁42と後壁47は互いに対向する。第1側壁43と第2側壁44とは互いに対向する。第3側壁45と第4側壁46とは互いに対向する。
【0046】
図4及び図5に示すように、前壁42には、液体供給針82が挿入される供給針挿入孔(「第1挿入孔」ともいう。)440と、ロッド部材9が挿入されるロッド挿入孔(「第2挿入孔ともいう。」)420と、が形成されている。図6に示すように、第2挿入孔420は、−Y軸方向側の第1部分421は、X軸方向とZ軸方向に平行な断面(XZ断面)が円形であり、第1部分421よりも+Y軸方向側の第2部分422は、XZ断面においてZ軸方向の最大寸法がX軸方向の最大寸法よりも小さくなる形状をしている。
【0047】
図5及び図6に示すように、第1側壁43は、第1の凸部52を有する。第1の凸部52は、第1のレール682(図3)に挿入される。第1の凸部52は、位置決め部材40Aに設けられた第1のA部52Aと、保護部材40Bに設けられた第1のB部52Bとを有する。第1のA部52Aと第1のB部52Bは所定の空間部を介して配置されている。装着状態では、第1のA部52Aと第1のB部52Bとの間の所定の空間部に板ばね684(図3)が入り込む。これにより、板ばね684が、第1のA部52Aを装置側前壁部62側(カートリッジ4の挿入方向側、−Y軸方向側)に付勢する。
【0048】
図6及び図7に示すように、第2側壁44は、第2の凸部53を有する。第2の凸部53は、第2のレール602(図4)に挿入される。第2の凸部53は、位置決め部材40Aに設けられた第2のA部53Aと、保護部材50Bに設けられた第2のB部53Bとを有する。第2のA部53Aと第2のB部53Bとは所定の空間部を介して配置されている。装着状態では、第2のA部53Aと第2のB部53Bとの間の所定の空間部に板ばね604(図4)が入り込む。これにより、板ばね604が、第2のA部53Aを装置側前壁部62側(カートリッジ4の挿入方向側、−Y軸方向側)に付勢する。
【0049】
上記のように、板ばね684が第1のA部52Aを−Y軸方向側に付勢し、板ばね604が第2のA部53Aを−Y軸方向側に付勢することで、装着状態におけるカートリッジ4の+Y軸方向への動きが規制される。
【0050】
図5に示すように、前壁42と第1側壁43とが交差するコーナーには、凹部51が形成されている。凹部51には、回路基板100が配置されている。図6に示すように、回路基板100の表面には、複数の端子からなるカートリッジ側端子群132が配置されている。本実施例では、カートリッジ側端子群132の端子は9つである。また、9つの端子は矩形状である。また、回路基板100の裏面には記憶装置が配置されている。記憶装置には、カートリッジ4に関する情報(例えば、インク色)が記憶されている。カートリッジ側端子群132と記憶装置は電気的に接続されている。なお、凹部51は、位置決め部材40Aに設けられている。
【0051】
前壁42と第2側壁44とが交差するコーナーには、規制面451が設けられている。規制面451は−Y軸方向(挿入方向)を向く面である。カートリッジ4を装着部6に装着される際には、規制面451が規制部材612(図4)に当接することでカートリッジ4の−Y軸方向の動きを規制する。
【0052】
A−4.装着状態の説明:
カートリッジ4の詳細構成について説明する前に、図8と図9を用いて装着状態における装着部6とカートリッジ4の関係について説明する。図8は、装着部6にカートリッジ4が装着された際の外観斜視図である。図9は、図8のF8−F8部分断面図である。なお、図9は、装着部6のうち装置側前壁部62を図示すると共に、規制部材612と板ばね684、604を模式的に示している。
【0053】
図8に示すように、装着状態では、カートリッジ4は+Y軸方向側の一部が開口69から露出して装着部6に装着されている。図9に示すように、装着状態では、装置側端子群72と回路基板100とが電気的に接続される。また、液体供給針82が第1挿入孔440に挿入される。また、液体供給針82が、液体収容部84のインクを外部へ流通させるための液体供給口194に接続される。なお、「液体供給口194に接続」とは、液体供給口194から液体収容部84のインクがプリンター10側に流通可能になった状態をいう。なお、液体収容部84から液体供給針82までのインクの流れを模式的に矢印で示す。
【0054】
また、装着状態では、ロッド部材9が第2挿入孔420に挿入される。また、装着状態では、棒状部材92の+Y軸方向側端部92b(「他端部92b」ともいう。)がカートリッジ4の移動部材172に当接する。なお、移動部材172は、検出機構の一部であり詳細は後述する。なお、棒状部材92の−Y軸方向側端部92a(「一端部92a」ともいう。)はプリンター10の光学的なセンサー138によって変位が検出される。なお、センサー138は検出機構の一部であり、詳細は後述する。また装着状態では、規制面451が規制部材612と当接する。また、装着状態では、板ばね684が第1のA部52Aを−Y軸方向側に付勢し、板ばね604が第2のA部53Aを−Y軸方向側に付勢する。
【0055】
装着状態では、カートリッジ4(詳細には、位置決め部材40A)は着脱座標軸(Y軸)を含む、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)に平行な3方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)についての動きが装着部6によって規制される。詳細には、装着状態において、位置決め部材40AはX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向についての動きが装着部6によって規制されることで装着部6に対して位置決めされる。すなわち、装着状態において、位置決め部材40AのX軸方向の動きは、第1のA部52Aが第1のレール682(図3)に挿入され、第2のA部53Aが第2のレール602(図4)に挿入されることで規制される。また、装着状態において、位置決め部材40AのY軸方向の動きは以下のようにして規制される。すなわち、位置決め部材40Aの+Y軸方向の動きは、第1のA部52Aが板ばね684によって−Y軸方向側に付勢されると共に、第2のA部53Aが板ばね604によって−Y軸方向側に付勢されることで規制される。また、位置決め部材40Aの−Y軸方向の動きは、規制面451が規制部材612に当接することで規制される。また、装着状態において、位置決め部材40AのZ軸方向の動きは、ロッド部材9が第2挿入孔420に挿入されることで規制される。
【0056】
A−5.カートリッジ4の第1の詳細構成:
次にカートリッジ4の詳細構成について説明する。図10は、カートリッジ4の第1の分解斜視図である。図11は、装着部材40C側部分の分解斜視図である。図12は、内部流路199を説明するための第1の図である。図13は、内部流路199を説明するための第2の図である。図12及び図13は、内部流路199を模式的に示している。また、図12は吸引ポンプPが作動していないときの様子が示されており、図13は吸引ポンプPが作動しているときの様子が示されている。なお、図12及ぶ図13は移動部材172の図示は省略している。
【0057】
図10及び図11に示すように、カートリッジ4のケース40には、液体収容部84と、被取付部材190と、移動部材172とが収容されている。ここで、図10に示すように保護部材40Bに液体収容部84が収容されている。また、図11に示すようにケース40の一部を構成する位置決め部材40Aには、被取付部材190と、被取付部材190に取り付けられる移動部材172とが収容されている。被取付部材190は、Y軸方向に所定の厚みを有する平板状の被当接部材190Aを備える。被当接部材190Aが、位置決め部材40Aに当接することで被取付部材190の3方向における動きが規制される。位置決め部材40Aは、一方が開口した箱形状である。開口41は+Y軸方向側に形成されている。前壁42となる底部42には、第1挿入孔440や第2挿入孔420が形成されている。底部42は開口41とが互いに対向する方向が着脱方向(Y軸方向)となる。また、底部42から開口41に向かう方向が+Y軸方向であり、開口41から底部42に向かう方向が−Y軸方向となる。
【0058】
被取付部材190は、液体収容部84と外部(プリンター10)とを連通させる内部流路199(図12、図13)を形成する。移動部材172は、棒状部材92の他端部92bと向かい合う位置に設けられている。
【0059】
図10に示すように保護部材40Bは、第1の保護部材40Baと、第2の保護部材40Bbとを組み付けることで形成される。液体収容部84は、例えば樹脂フィルム層の上にアルミニウム層が積層形成されたアルミラミネート複層フィルムにより形成されている。液体収容部84は可撓性を有し、内部のインクが減少するにつれ容積が減少する。
【0060】
図12及び図13に示すように、内部流路199のうち液体収容部84からプリンター10にインクが流れる流れ方向において、上流側は液体収容部84に連通し、下流側は液体供給針82が挿入される。この下流側部分(一端部)を液体供給口194とも呼ぶ。液体供給口194は、略円筒形状である。
【0061】
図12に示すように、内部流路199は、途中に液体室192を有する。液体室192には、液体収容部84内のインクが流入する流入口198と、液体供給口194に向けてインクが流出する流出口197とが開口している。また、液体室192は、一側面である上端面が可撓性の材料で形成されたフィルム174によって形成されている。液体室192は、内部圧力の変化に伴ってフィルム174が変形して容積が変化する。このフィルム174が課題を解決するための手段に記載の「変形部材」に相当する。
【0062】
図11〜図13に示すように液体室192内には、逆止弁178とバネ179とが配置されている。逆止弁178は、流入口198から液体室192に流入したインクが逆流することを阻止する。バネ179は、フィルム174を液体室192の外側に向けて付勢する。すなわち、バネ179は、液体室192の容積が大きくなる方向にフィルム174を付勢する。詳細には、バネ179は、圧縮した状態で液体室192に配置されている。また、バネ179とフィルム174との間には、受圧板176が挿入されている。この受圧板176は、バネ179の付勢力をフィルム174に伝える。
【0063】
また、移動部材172は、液体室192の一端面を構成するフィルム174に液体室192の外側から接触する。移動部材172は、所定の回動支点を中心として変位可能に被取付部材190に取り付けられている。図11に示すように、移動部材172は、−Z軸方向側に移動部材172に取り付けられる取付部180Aを有する。取付部180Aは、軸穴180を有する。軸穴180が液体室192の外表面に設けられた軸ピン195と嵌合することで、移動部材172が回動可能に軸ピン195に軸支される。一方、図11に示すように、移動部材172は、+Z軸方向側にガイド部182が設けられている。ガイド部182が被取付部材190に設けられたガイドピン197pに接触することで、移動部材172の回動動作がガイドされる。移動部材172のうち、フィルム174と接触する面とは反対側の面には、装着状態において棒状部材92の他端部92bと当接する接触部184(「第2の接触部184ともいう。」)が形成されている。
【0064】
また、被取付部材190は注入口196を備える。注入口196は外部と液体収容部84とを連通させ、外部からインクを液体収容部84に注入するために利用される。なお、液体収容部84にインクが充填された後は、注入口196内の連通流路は塞がれる。
【0065】
このような構成を備えた被取付部材190を用いてインクは次のようにして液体収容部84からプリンター10に供給される。
【0066】
図12に示すように装着部6の吸引ポンプPが作動していない時には、液体室192の容積を増加させるようにバネ179がフィルム174を押し出している。液体室192の容積の増加に伴い、液体収容部84と流入口198とを連通させる流入通路193を通ってインクが液体室192に流入する。なお、図中の破線の矢印は、インクの流れを表している。
【0067】
装着部6の吸引ポンプPが作動すると、液体供給口194からインクが吸引されて、液体室192内のインクは流出口197と液体供給口194とを連通させる流出通路191を通って装着部6に供給される。そして、本実施例のカートリッジ4では、流出通路191の内径が流入通路193の内径よりも大きく設定されていることから、液体室192からのインク流出量に対して、液体室192へのインク流入量が追い付かず、液体室192内は負圧となる。このため、図13に示したように、バネ179の力に抗して、フィルム174が液体室192の内側に引きこまれるように変形する。
【0068】
この液体室192内に発生した負圧は、液体収容部84のインクが流入通路193を通って液体室192に流入することによって徐々に解消される。すると、バネ179の力によって、フィルム174は再び液体室192の外側に押し出されて、液体室192の容積が復元する。これにより、装着部6の吸引ポンプPが停止してから所定の時間が経過した後に、図12に示した状態に復帰する。装着部6の吸引ポンプPが再び差動すると、液体室192内は負圧となり、図13に示したようにフィルム174が液体室192の内側に引き込まれた状態となる。一方、液体収容部84のインクが消費されて無くなると、液体室192内が負圧であってもインクが液体室192に流入しなくなる。すなわち、吸引ポンプPの動作が停止されてから所定の時間が経過した後も、液体室192内の負圧は解消されず、図13に示したようにフィルム174は液体室192内の内側に引き込まれた状態のままとなる。
【0069】
このように、液体収容部84内のインクが無くなると、液体室192のフィルム174が液体室192の内側に引き込まれるように変形した状態のままとなる。すなわち、フィルム174の変位を検出することでインクエンド状態を検出することができる。ただし、フィルム174の変位量は小さいので、次のように移動部材172を用いて変位量を増幅する。
【0070】
図14は、移動部材172を説明するための図である。移動部材172は、第1の接触部185と、第2の接触部184と、軸穴180が形成された取付部材180Aとを有する。第1の接触部185は、半球体状の凸部でありフィルム174と接触する。第2の接触部184は、棒状部材92(図9)と接触する。また、第2の接触部184は外形が円形の凸部である。第2の接触部184は、カートリッジ4の着脱方向(Y方向)に直交する方向(本実施例では、Z軸方向)について、第1の接触部185を挟んで軸穴180と反対の側に位置する。すなわち、移動部材172の回動支点となる軸穴180から第2の接触部184までの距離D2は、軸穴180から第1の接触部185までの距離D1よりも大きい。これにより、第1の接触部185に接するフィルム174が変位すると、その変位量はレバー比R(=D2/D1>1,本実施例では3.1)で増幅されて、第2の接触部184の変位量となる。ここで、第2の接触部184は、軸穴180を回動支点として、矢印Y1方向に変位する。矢印Y1方向は、着脱座標軸(Y軸)に沿った方向(Y軸方向)の成分を含む方向である。
【0071】
A−6.インク残量状態の検出方法:
図15は、装着部6が備える棒状部材92とセンサー138の概略構成図である。図15に示すように、棒状部材92にはバネ94が取り付けられている。バネ94は、装着部6に装着されるカートリッジ4に向けて棒状部材92を付勢している。
【0072】
センサー138は、凹字形状のいわゆる透過型フォトセンサーである。このセンサー138には、図示しない受光部と発光部とが対向して設けられており、発光部が発する光を受光部が受けるようになっている。尚、図中の破線の矢印は、光の透過方向を示している。
【0073】
棒状部材92の一端部92aは遮光部91を有する。棒状部材92がバネ94の力によってカートリッジ4側(+Y軸方向側)に移動すると、遮光部91がセンサー138の受光部と発光部との間に挿入されて、発光部からの光を遮る。その結果、センサー138の受光部では、発光部からの光が受けられなくなるので、棒状部材92の一端部92aの変位を検出できる。なお、本実施例のセンサー138には、透過型フォトセンサーが用いられているが、棒状部材92の変位を検出できるものであればよく、フォトセンサーに限定されるものではない。
【0074】
図16は、インク残量状態の検出方法を説明するための第1の図である。図17は、インク残量状態の検出方法を説明するための第2の図である。図16は、液体収容部84にインクが十分に収容されている状態を示す図である。図17は、液体収容部84のインクがインクエンド状態の場合を示す図である。
【0075】
図16に示すように、インクが十分に残っている状態のカートリッジ4が装着部6に装着されると、カートリッジ4側に設けられた移動部材172の接触部184に棒状部材92の他端部92bが当接する。ここで、カートリッジ4のバネ179の付勢力Aによって移動部材172の接触部184に付与される付勢力A’は、バネ94の付勢力Bよりも大きくなるように設定されている。これにより、棒状部材92の他端部92bが移動部材172に当接すると、バネ94の付勢力Bに抗して、棒状部材92は装着部6の奥側(−Y軸方向側)に移動する。すると、棒状部材92の遮光部91がセンサー138から離れるので、センサー138は光を透過した状態になる。このように、センサー138は、棒状部材92の遮光部91の移動により光の遮断状態から透過状態に変化したことに基づいて、カートリッジ4が装着部6に装着されたことを検出することが可能である。液体収容部84内のインクが無くなるか、残り少なくなるまでは、この状態が維持される。プリンター10は、この状態で、カートリッジ4やプリンター10内に他の異常がない限り、印刷を可能とするように制御される。なお、「他の異常」の種類や、その検出方法に関する技術は周知であるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
図17に示すように、液体収容部84内のインクが無くなる(または、残り少なくなる)と、液体収容部84から液体室192にインクが流入しなくなり、液体室192に負圧が働く。ここで、カートリッジ4のバネ179の付勢力Aは、液体収容部84にインクが無くなった場合(または、残り少なくなった場合)に発生する負圧による力Cよりも小さく設定されている。よって、この力Cにより、フィルム174は液体室192の内側に引き込まれた状態のままとなる。フィルム174が液体室192の容積を減少させる方向に変形すると、棒状部材92が、バネ94の付勢力Bによって+Y軸方向へ変位する。また、この変位に伴って、棒状部材92は、移動部材172をフィルム174の変形に追従させて回動させ、移動部材172は閉じた状態に保持される。その結果、棒状部材92がカートリッジ4側に移動して、棒状部材92の遮光部91がセンサー138の発光部と受光部の間に挿入される。センサー138は、棒状部材92の遮光部91によって光が遮られたこと(棒状部材92が移動したこと)に基づいて、液体収容部84内のインクが無くなったことまたは残り少なくなったこと(インクエンド状態)を検出する。そして、プリンター10は、この状態で印刷を不可能とするように制御される。なお、バネ94が棒状部材92を付勢する力Bは、移動部材172のレバー比Rで増幅される。よって、図16の状態から図17の状態に移行する際には、比較的小さな力でも、移動部材172をスムーズに回動させることができ、インクエンドを素早く検知することが可能である。
【0077】
上記のように、液体消費システム1は、カートリッジ4に設けられた移動部材172と、プリンター10に設けられた棒状部材92及びセンサー138を用いてインク残量状態を検出する。よって、移動部材172と棒状部材92との位置関係が予め設計された正しい位置関係からずれると、インク残量状態の検出精度が低下する場合がある。よって、本実施例のように、カートリッジ4側の部材とプリンター10側の部材を共に用いてインク残量状態を検出する検出方法では、インク残量状態を検出するために用いられる部材間を正しい位置関係に配置することでインク残量状態の検出精度の低下を抑制できる。
【0078】
A−7.位置決め部材による被取付部材190の位置決めについての説明:
次に、位置決め部材40Aの詳細構成について図18〜図22を用いて説明する。図18は、位置決め部材40AをY軸とZ軸に平行な平面で切断した斜視図である。図19は、位置決め部材40Aの背面図である。図20は、位置決め部材40AをX軸とZ軸に平行な平面で切断した図である。図21は、図19のF19A−F19A断面図である。図22は、図19のF19B−F19B断面図である。
【0079】
図18に示すように、位置決め部材40Aの内壁には複数の突起部材PBが形成されている。複数の突起部材PBの一部によって、被取付部材190を3方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)において位置決めする複数組の規制部400が形成されている。ここで、複数組の規制部400のうち、被取付部材190のX軸方向の動きを規制することで位置決め部材40Aに対して位置決めを行う部材を第1の規制部4Xとも呼ぶ。また、複数組の規制部400のうち、被取付部材190のY軸方向の動きを規制することで位置決め部材40Aに対して位置決めを行う部材を第2の規制部4Yとも呼ぶ。また、複数組の規制部400のうち、被取付部材190のZ軸方向の動きを規制することで位置決め部材40Aに対して位置決めを行う部材を第3の規制部4Zとも呼ぶ。
【0080】
図18及び図19に示すように、第1の規制部4Xは、被取付部材190と当接し、+X軸方向の動きを規制する+X軸当接部4Xa1,4Xa2と、被取付部材190と当接し、−X軸方向の動きを規制する−X軸当接部4Xb1,4Xb2と、を備える。+X軸当接部4Xa1,4Xa2と−X軸当接部4Xb1,4Xb2は2つずつ設けられている。
【0081】
図18〜図20に示すように、第2の規制部4Yは、被取付部材190と当接し、+Y軸方向の動きを規制する+Y軸当接部4Ya1,4Ya2,4Ya3,4Ya4と(図20)、被取付部材190と当接し、−Y軸方向の動きを規制する−Y軸当接部4Yb1,4Yb2,4Yb3,4Yb4,4Yb5,4Yb6と(図18、図19)、を備える。+Y軸当接部4Ya1,4Ya2,4Ya3,4Ya4は4つ、−Y軸当接部4Yb1,4Yb2,4Yb3,4Yb4,4Yb5,4Yb6は6つ設けられている。
【0082】
図18、図19、図21、図22に示すように第3の規制部4Zは、被取付部材190と当接し、+Z軸方向の動きを規制する+Z軸当接部4Za1,4Za2と、被取付部材190と当接し、−Z軸方向の動きを規制する−Z軸当接部4Zb1,4Zb2と、を備える。+Z軸当接部4Za1,4Za2と、−Z軸当接部4Zb1,4Zb2は2つずつ設けられている。
【0083】
各当接部4Xa1,4Xa2,4Xb1,4Xb2,4Ya1〜4Ya4,4Yb1〜4Yb6,4Za1,4Za2,4Zb1,4Zb2は、位置決め部材40Aの内壁面とは異なる面によって形成されている。
【0084】
図23は、被取付部材190を示す第1の図である。図24は、被取付部材190を示す第2の図である。図25は、被取付部材190を示す第3の図である。図26は、被取付部材190を示す第4の図である。図27は、被取付部材190を示す第5の図である。図28は、被取付部材190を示す第6の図である。図23〜図28において、被取付部材190が位置決め部材40Aに収容された際に、位置決め部材の各当接部4Xa1,4Xa2,4Xb1,4Xb2,4Ya1〜4Ya4,4Yb1〜4Yb6,4Za1,4Za2,4Zb1,4Zb2に接触する部分についてはハッチングを付すと共に、各当接部の符号を括弧書きにて付している。
【0085】
図23〜図28に示すように、位置決め部材40Aの被当接部材190Aの面に対応する当接部4Xa1,4Xa2,4Xb1,4Xb2,4Ya1〜4Ya4,4Yb1〜4Yb6,4Za1,4Za2,4Zb1,4Zb2が当接することで被取付部材190の3方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の位置決め部材40Aに対する位置決めが行なわれる。
【0086】
図29は、各当接部と被当接部材190Aとの関係を示す第1の図である。図30は、各当接部と被当接部材190Aとの関係を示す第2の図である。図31は、各当接部と被当接部材190Aとの関係を示す第3の図である。なお、図29〜図31では、被当接部材190Aに当接する各当接部を矢印と各当接部の符号で表している。
【0087】
ここで、被取付部材190のX軸方向の動きを規制するためには、一対の+X軸当接部と−X軸当接部が必要となる。また、同様に、被取付部材190のY軸方向の動きを規制するためには一対の+Y軸当接部と−Y軸当接部が必要となる。また、同様に、被取付部材190のZ軸方向の動きを規制するためには一対の+Z軸当接部と−Z軸当接部が必要となる。一対の+X軸当接部と−X軸当接部を「X軸規制部」とも呼び、一対の+Y軸当接部と−Y軸当接部を「Y軸規制部」とも呼び、一対の+Z軸当接部と−Z軸当接部を「Z軸規制部」とも呼ぶ。本実施例では、X軸規制部には符号「4X1」,[4X2]を付し、Y軸規制部には符号「4Y1〜4Y4」を付し、Z軸規制部には符号「4Z1」,「4Z2」を付している。
【0088】
図30に示すように、X軸規制部4X1,4X2は、被当接部材190AのZ軸方向の長さの中心線Czを挟んだ位置にある。図29及び図31に示すように、Y軸規制部4Y1〜4Y4は被当接部材190AのX軸方向の長さの中心線Cx及びZ軸方向の長さの中心線Czを挟んだ位置にある。図30に示すように、Z軸規制部4Z1,4Z2は、被当接部材190AのX軸方向の長さの中心線Cxを挟んだ位置にある。
【0089】
A−8.効果:
上記のように本実施例では、装着状態において位置決め部材40Aが装着部6によってX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向の動きが規制されることで位置決めされている。また、インク残量状態を検出するために用いられる移動部材172が取り付けられた被取付部材190が位置決め部材40Aに3方向の動きが規制されることで位置決めされている。これにより、装着状態において、移動部材172と装着部6のインク残量状態を検出するために用いられる棒状部材92との位置関係が正しい位置関係からずれる可能性を低減できる。よって、移動部材172、棒状部材92、センサー138を用いたインク残量状態の検出精度の低下を抑制できる。
【0090】
また、上記実施例では、位置決め部材40Aの内壁に突起部材PBを設け(図18)、突起部材PBの一部を利用して容易に複数組の規制部4X,4Y,4Zを形成できる。
【0091】
また、上記実施例では、+Y軸当接部4Ya1,4Ya2,4Ya3,4Ya4の数が、+Y軸当接部4Ya1,4Ya2,4Ya3,4Ya4よりも−Y軸方向側に位置する−Y軸当接部4Yb1,4Yb2,4Yb3,4Yb4,4Yb5,4Yb6の数よりも少ない(図18,19,20)。これにより、位置決め部材40Aの開口41(図11)から被取付部材190を位置決め部材40Aに組み付ける際に、+Y軸当接部4Ya1,4Ya2,4Ya3,4Ya4と被取付部材190との摩擦抵抗を低減できる。これにより、被取付部材190を位置決め部材40Aに組み付けやすくできる。
【0092】
また、上記実施例では、X軸規制部4X1,4X2は、被当接部材190AのZ軸方向の長さの中心線Czを挟んだ位置にあり(図30)、Y軸規制部4Y1〜4Y4は被当接部材190AのX軸方向の長さの中心線Cx及びZ軸方向の長さの中心線Czを挟んだ位置にあり(図29,31)、Z軸規制部4Z1,4Z2は、被当接部材190AのX軸方向の長さの中心線Cxを挟んだ位置にある(図30)。これにより、被当接部材190AがZ軸方向に厚みを有し、X軸方向とY軸方向に所定の寸法を有する平板状である場合でも、位置決め部材40Aに対する被取付部材190の位置ずれをより抑制できる。
【0093】
また、上記実施例では、液体収容部84を収容する保護部材40Bが、位置決め部材40Aに微小移動可能に組み付けられている。これにより、保護部材40Bと位置決め部材40Aとの間のクリアランスの分だけ、保護部材40Bが位置決め部材40Aに対して僅かに動けるように構成することで、保護部材40Bが水平方向に対して傾斜した場合でも、位置決め部材40Aの傾斜を抑制できる。すなわち、位置決め部材40Aが正しい姿勢を保つことができ、移動部材172と棒状部材92との位置関係が正しい位置関係からずれる可能性を低減できる。よって、インク残量検出の精度低下をより抑制できる。
【0094】
B.変形例:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば以下のような変形が可能である。
【0095】
B−1.第1変形例:
上記実施例では、液体供給源である液体収容部84を収容する保護部材40Bと、装着部材40Cとを備えるカートリッジ4について説明したが(図10、図11)、液体供給源は、装着部6に着脱されるカートリッジ4と一体になっている必要はない。例えば、装着部材40C及びプリンター10の外部に配置された液体供給源としての外部液体貯留体を用いてインクを装着部材40Cを介してプリンター10に供給しても良い。
【0096】
図32は、第1変形例を説明するための図である。図32は、プリンター10にインクを供給する液体供給ユニット600を示している。液体供給ユニット600は、装着部材40Cと、プリンター10及び装着部材40Cの外部に配置された外部液体貯留体610と、装着部材40Cの内部流路199(図12)と外部液体貯留体610とを連通させる液体輸送管430とを備える。外部液体貯留体610は、プリンター10に供給するためのインクを収容する。第1変形例では、装着部材40Cのみが装着部6に装着される。これにより、装着部6のスロットの大きさに拘わらず、大容量のインクを液体供給源に貯留できる。また、第1変形例の液体供給ユニット600においても、装着部材40Cを備える第1実施例と同様の効果を奏する。例えば、移動部材172と棒状部材92とセンサー138を用いたインク残量状態の検出精度の低下を抑制できる。
【0097】
B−2.第2変形例:
上記実施例では、複数組の規制部4X,4Y、4Zは、互いに異なる方向において被取付部材190を位置決めしていたが、複数組の規制部は互いに少なくとも一部が異なる方向において被取付部材190を位置決めしても良い。例えば、位置決め部材190の内壁に底部42(図18)に+Y軸方向側に開口する円筒部材を配置し、被取付部材190の一部(突起)を円筒部材の内部に嵌挿しても良い。この場合、円筒部材がX軸方向とZ軸方向の2方向を位置決めする規制部となる。また、この場合、Y軸方向を位置決めする第2の規制部4Yは上記実施例と同様の構成にしても良い。このようにしても、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0098】
B−3.第3変形例:
上記実施例及び変形例では、液体容器や装着部材としてプリンター10に用いられるカートリッジ4,10aを例に説明を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば液晶ディスプレー等の色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等の液体消費装置に液体を供給可能な液体容器や装着部材に本発明は適用できる。また、インクカートリッジに限らず、各種液体容器や各種装着部材を着脱自在に装着可能な装着部に本発明は適用できる。上記の各種の液体消費装置に液体容器や装着部材を使用する際には、各種の液体消費装置が噴射する液体の種類に応じた液体(色材,導電ペースト,生体有機物等)を、液体供給源として収容すれば良い。また、装着部を備える各種液体消費装置と、各種液体消費装置に対応した装着部材とを備える液体消費システムとしても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…液体消費システム
4Xa1…当接部
4X…第1の規制部
4Y…第2の規制部
4Z…第3の規制部
6…装着部
7…装置側端子部
8…液体供給機構
9…ロッド部材
10…プリンター
11…前面カバー
13…交換用カバー
15…操作ボタン
18…キャップ部材
20…キャリッジ
22…ヘッド
24…ホース
30…駆動機構
31…制御部
32…タイミングベルト
34…駆動モーター
40…ケース
40A…位置決め部材
40B…保護部材
40C…装着部材
40Ba…第1の保護部材
40Bb…第2の保護部材
41…開口
42…底部(前壁)
43…第1側壁(上壁)
44…第2側壁(底壁)
45…第3側壁(右側壁)
46…第4側壁(左側壁)
47…後壁
50B…保護部材
51…凹部
52…第1の凸部
53…第2の凸部
61…カートリッジ収容室
62…装置側前壁部
63…第1の装置側側壁
64…第2の装置側側壁
65…第3の装置側側壁
66…第4の装置側側壁
67…開口壁部
69…開口
72…装置側端子群
74…コネクター
82…液体供給針
84…液体収容部
91…遮光部
92…棒状部材
92a…一端部
92b…他端部
94…バネ
100…回路基板
122…軸穴
102…カートリッジ側端子群
138…センサー
172…移動部材
174…フィルム
176…受圧板
178…逆止弁
179…バネ
180…軸穴
182…ガイド部
184…第2接触部
185…第1接触部
190…被取付部材
190A…被当接部材
191…流出通路
192…液体室
193…流入通路
194…液体供給口
195…軸ピン
196…注入口
197…流出口
197p…ガイドピン
198…流入口
199…内部流路
400…規制部
420…第2挿入孔
421…第1部分
422…第2部分
430…液体輸送管
440…第1挿入孔
451…規制面
600…液体供給ユニット
602…第2のレール
604…板ばね
610…外部液体貯留体
612…規制部材
672…レバー
682…第1のレール
684…板ばね
P…吸引ポンプ
PB…突起部材
Cx…中心線
Cy…中心線
Cz…中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体消費装置に着脱可能に装着される装着部材であって、
前記装着部材が着脱される方向に延びる着脱座標軸を含み互いに直交する3つの座標軸とそれぞれ平行な3方向についての動きが、前記液体消費装置の装着部によって規制されることで位置決めされる位置決め部材と、
前記位置決め部材に取り付けられ、前記位置決め部材により前記3方向についての動きが規制されることで位置決めされる被取付部材であって、液体を収容する液体供給源からの液体を前記液体消費装置に流通させる内部流路であって一端部である液体供給口が前記液体消費装置に接続される内部流路が形成された被取付部材と、
前記内部流路の圧力変化に伴って少なくとも前記着脱座標軸に沿った方向に変位可能に前記被取付部材に取り付けられた移動部材と、を備え、
前記移動部材は、前記液体消費装置に前記装着部材が装着されたときに、前記液体消費装置に設けられた棒状部材であって、前記液体供給源の液体残量状態を検出するためのセンサーによって一端部の変位が検出される棒状部材の他端部と向かい合う位置に設けられ、前記液体消費装置に前記装着部材が装着されたときに、前記他端部と接触する、装着部材。
【請求項2】
請求項1に記載の装着部材であって、
前記位置決め部材は、一方が開口した箱形状であり、
前記位置決め部材の内壁には、
前記被取付部材と当接することで前記被取付部材を前記3方向において位置決めする複数組の規制部であって、互いに少なくとも一部が異なる方向において位置決めする2組以上の規制部を含む複数組の規制部が設けられている、装着部材。
【請求項3】
請求項2に記載の装着部材であって、
前記箱形状の前記位置決め部材の底部と前記開口とが対向する方向に延びる軸が前記着脱座標軸であり、前記着脱座標軸に沿った方向のうち、前記底部から前記開口に向かう方向を+Y軸方向、前記開口から前記底部に向かう方向を−Y軸方向としたときに、
前記複数組の規制部は、
前記被取付部材と当接することで前記被取付部材の前記+Y軸方向の動きを規制する+Y軸当接部と、
前記被取付部材と当接することで前記被取付部材の前記−Y軸方向の動きを規制する−Y軸当接部と、を有し、
前記+Y軸当接部の数は、前記−Y軸当接部の数よりも少ない、装着部材。
【請求項4】
請求項2に記載の装着部材であって、
前記箱形状の前記位置決め部材の底部と、前記開口とが対向する方向に延びる軸が前記着脱座標軸としてのY軸であり、前記3つの座標軸のうち前記Y軸とは異なる2つの軸をX軸、Z軸とするとき、
前記複数組の規制部は、
前記被取付部材と当接することで前記X軸方向の動きを規制する複数のX軸規制部であって、前記被当接部材の前記Y軸方向の長さの中心線と前記Z軸方向の長さの中心線の少なくともいずれか一方を挟む位置に配置された複数のX軸規制部と、
前記被取付部材と当接することで前記Y軸方向の動きを規制する複数のY軸規制部であって、前記被当接部材の前記Z軸方向の長さの中心線と前記X軸方向の長さの中心線の少なくともいずれか一方を挟む位置に配置された複数のY軸規制部と、
前記被取付部材と当接することで前記Z軸方向の動きを規制する複数のZ軸規制部であって、前記被当接部材の前記X軸方向の長さの中心線と前記Y軸方向の長さの中心線の少なくともいずれか一方を挟む位置に配置された複数のZ軸規制部と、を有する、装着装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の装着部材であって、
前記内部流路は、
内部の圧力変化に伴って容積が変化する液体室であって、前記液体室内の圧力変化に伴って変形する変形部材によって前記液体室を区画形成する壁の一部が形成された液体室を有し、
前記移動部材は、
前記被取付部材に取り付けられ回動支点を形成し、少なくとも前記着脱座標軸に沿った方向に前記移動部材を変位させる取付部と、
前記液体室の外側から前記変形部材と接触する第1の接触部と、
前記第1の接触部を挟んで前記回動支点と反対の側に位置し、前記棒状部材の他端部が接触する第2の接触部と、を有する、装着部材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の装着部材と、
前記液体供給口を介して前記液体消費装置に供給される前記液体を貯留する前記液体供給源としての液体貯留体と、を備える、液体容器。
【請求項7】
請求項6に記載の液体容器において、さらに、
前記液体貯留体を収容する保護部材を備え、
前記保護部材は、前記位置決め部材に対して移動可能に組み付けられている、液体容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の装着部材と、
前記液体供給口を介して前記液体消費装置に供給される前記液体を前記液体消費装置及び前記装着部材の外部に貯留する前記液体供給源としての外部液体貯留体と、
前記外部液体貯留体と前記装着部材とを連通させる液体輸送管と、を備える、液体供給ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−116202(P2012−116202A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−22813(P2012−22813)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】