説明

装置筐体及びこれを用いた画像形成装置

【課題】特定色の外装覆いを用いた態様において外観品質を良好に保つ。
【解決手段】装置筐体1として、画像形成要素11を内蔵するための筐体枠2と、この筐体枠2の外側に固定される外装覆い3とを備え、前記外装覆い3は、筐体枠2と色相の相違する特定色の外装覆い4を有し、この特定色の外装覆い4は、筐体枠3の少なくとも一つの面に対して隣接配置される複数の覆い部材5(例えば5a,5b)を含み、複数の覆い部材5(5a,5b)の隣接部位には、両者の隙間から筐体枠2の表面が露出しないように、筐体枠2よりも特定色の外装覆い4の色相に近い色で目隠しする目隠し部6を設ける。この装置筐体1を用いた画像形成装置をも対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置筐体及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における画像形成装置で用いられる装置筐体としては例えば特許文献1〜3記載のものが既に提供されている。
特許文献1は、外装カバーをネジ止めするに当たり、ネジ止め箇所を一段低めて凹部を形成し、この凹部の中央部で止めネジをねじ込む構造である。
特許文献2は、外装カバーが、装置本体側に円柱部材を立設し、円柱部材と係合可能な切欠部を形成した係止手段を有するものであり、切欠部がカバー内側の半月形状の段差部分からその凸面に設けられ、これに係合した円柱部分については頭部の一部がカバー内に隠れるようになっている構造である。
特許文献3は、スキャナ部と本体ハウジング部との間に排出機能を有し、スキャナ部と本体ハウジングとの間に第1支柱部、第2支柱部を有する態様で、第1支柱部の前方部の色彩がスキャナ部と本体ハウジング部の前方部の色彩よりも濃い構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−174451号公報(従来の技術及び発明が解決しようとする課題,図2)
【特許文献2】特開2000−71558号公報(発明の実施の形態,図2)
【特許文献3】特開2002−287450号公報(発明の実施の形態,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特定色の外装覆いを用いた態様において外観品質を良好に保つことが可能な装置筐体及びこれを用いた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、画像形成要素を内蔵するための筐体枠と、この筐体枠の外側に固定される外装覆いとを備え、前記外装覆いは、筐体枠と色相の相違する特定色の外装覆いを有し、この特定色の外装覆いは、筐体枠の少なくとも一つの面に対して隣接配置される複数の覆い部材を含み、複数の覆い部材の隣接部位には、両者の隙間から筐体枠の表面が露出しないように、筐体枠よりも特定色の外装覆いの色相に近い色で目隠しする目隠し部を設けたことを特徴とする装置筐体である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る装置筐体において、特定色の外装覆いは筐体枠に対してマンセル明度差が3以上異なる色相を有することを特徴とする装置筐体である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る装置筐体において、目隠し部は、複数の覆い部材のいずれか一方又は両方に形成され、一方の覆い部材の隣接部位において他方の覆い部材端を超える位置まで延びる庇状鍔であることを特徴とする装置筐体である。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る装置筐体において、目隠し部は、複数の覆い部材の隣接部位にて筐体枠の表面を特定色の覆い部材と相違しない色相で着色したものであることを特徴とする装置筐体である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る装置筐体において、外装覆いは、前記特定色の外装覆いとは別に筐体枠と色相の相違しない非特定色の外装覆いを有し、特定色の外装覆いのうち隣接配置される複数の覆い部材は、非特定色の覆い部材を構成する複数の覆い部材の隣接部位に沿った隣接部位を有することを特徴とする装置筐体である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る装置筐体において、特定色の外装覆いは止め具を介して筐体枠に固定され、前記止め具の頭部は特定色の外装覆いに対して相違しない色相に着色されることを特徴とする装置筐体である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る装置筐体において、特定色の外装覆いは止め具の頭部が表面から露出しないように収容される取付凹部を有し、この取付凹部に止め具を介して筐体枠に固定されることを特徴とする装置筐体である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれかに係る装置筐体と、この装置筐体内に内蔵される画像形成要素とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、装置筐体は、記録材へ画像を形成する作像要素が内蔵される下部装置筐体と、記録材へ形成すべき原稿画像を読み取る画像読取要素が内蔵される上部装置筐体と、下部装置筐体及び上部装置筐体の間に設けられ、下部装置筐体内の作像要素にて画像が形成された記録材を収容する記録材収容部とを備え、装置筐体のうち、記録材収容部及びこれに隣接する部位の少なくとも一部に特定色の外装覆いを設け、この特定色の外装覆いの外側には非特定色の外装覆いを設けたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、特定色の外装覆いを用いた態様において外観品質を良好に保つことができる。
請求項2に係る発明によれば、筐体枠に対して色相が大きく相違する特定色の外装覆いを使用したとしても、特定色の外装覆いを構成する複数の覆い部材の隣接部位から筐体枠の表面が露出することに伴う外観品質低下を有効に回避することができる。
請求項3に係る発明によれば、特定色の外装覆いを構成する複数の覆い部材の隣接部位を特定色の外装覆いと相違しない色相で目隠しすることができる。
請求項4に係る発明によれば、特定色の外装覆いを構成する複数の覆い部材を簡単な構成のまま、複数の覆い部材の隣接部位を目隠しすることができる。
請求項5に係る発明によれば、非特定色の外装覆いと特定色の外装覆いとの色相の差、複数の覆い部材の隣接部位に沿ったラインを外装デザインに利用することができる。
請求項6に係る発明によれば、特定色の外装覆いを止め具で取り付けたとしても、止め具の頭部を目立たなくすることができ、装置筐体の外観品質を良好に保つことができる。
請求項7に係る発明によれば、特定色の外装覆いを止め具で取り付けたとしても、特定色の外装覆いの表面上で止め具の頭部を目立たなくすることができ、装置筐体の外観品質を良好に保つことができる。
請求項8に係る発明によれば、特定色の外装覆いを用いた装置筐体において外観品質を良好に保つことが可能な画像形成装置を構築することができる。
請求項9に係る発明によれば、特定色の外装覆いを用いた装置筐体において外観品質を良好に保つことができ、かつ、記録材収容部の周辺を特定色の外装覆いで強調することが可能な画像形成装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)の画像形成装置の装置筐体を示す説明図、(c)は(b)中C−C線断面説明図である。
【図2】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1の前方側の開閉扉を開放した状態を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成装置の画像形成要素を示す説明図である。
【図5】実施の形態1で用いられる装置筐体の要部を示す説明図である。
【図6】実施の形態1で用いられる外装覆い(外装カバー)の取付構造例を示す説明図である。
【図7】(a)は図6中A部の断面説明図、(b)は(a)の変形形態を示す説明図、(c)は図6中C部の断面説明図である。
【図8】(a)は図6中D部の断面説明図、(b)は図6中E部の断面説明図、(c)は図6中F部ノ断面説明図である。
【図9】比較の形態で用いられる外装覆い(外装カバー)の取付構造例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
◎実施の形態の概要
先ず、本発明が適用される画像形成装置の実施の形態の概要を図1(a)に基づいて説明する。
同図において、画像形成装置10は、装置筐体1と、この装置筐体1内に内蔵される画像形成要素11とを備えたものである。
ここで、装置筐体1は、図1(a)〜(c)に示すように、記録材12へ画像を形成する作像要素11aが内蔵される下部装置筐体13と、記録材12へ形成すべき原稿画像を読み取る画像読取要素11bが内蔵される上部装置筐体14と、下部装置筐体13及び上部装置筐体14の間に設けられ、下部装置筐体13内の作像要素11aにて画像が形成された記録材12を収容する記録材収容部15とを備え、装置筐体1のうち、記録材収容部15及びこれに隣接する部位の少なくとも一部に特定色の外装覆い4を設け、この特定色の外装覆い4の外側には非特定色の外装覆い7を設けたものである。
尚、特定色の外装覆い4についての詳細は後述する。
本例は、所謂胴内排出型の画像形成装置であり、装置筐体1のうち、記録材収容部15及びその周辺について特定色の外装覆い4を設けることにより、記録材収容部15の周辺が強調されたデザインの画像形成装置が提供される。
【0009】
また、本実施の形態の特徴点を挙げると、装置筐体1は、図1(b)(c)に示すように、画像形成要素11を内蔵するための筐体枠2と、この筐体枠2の外側に固定される外装覆い3とを備え、前記外装覆い3は、筐体枠2と色相の相違する特定色の外装覆い4を有し、この特定色の外装覆い4は、筐体枠3の少なくとも一つの面に対して隣接配置される複数の覆い部材5(例えば5a,5b)を含み、複数の覆い部材5(5a,5b)の隣接部位には、両者の隙間から筐体枠2の表面が露出しないように、筐体枠2よりも特定色の外装覆い4の色相に近い色で目隠しする目隠し部6を設けたものである。
このような技術的手段において、筐体枠2は例えば金属等で装置筐体1の枠組を構成するものを指す。また、外装覆い3は筐体枠2の外側に装着される覆いを指す。
更に、特定色の外装覆い4は、筐体枠2と色相の相違する特定色を有する外装覆いを指し、‘色相の相違する’は外装覆い3の隙間から筐体枠2を覗かせたときに、外装覆い3の隙間から見える筐体枠2を見た人が、外装覆い3と筐体枠2との色相の違いが気になるか否かに応じて適宜決定される。例えば、外装覆い3と筐体枠2とをそれぞれマンセル・カラー・システムの色の三属性(色相、明度、彩度)で表現した場合に、色相、明度、彩度各々の差が3以上である場合には特定色の外装覆い4であるとし、2以下である場合には非特定色の外装覆い7であるとすることが考えられ、また、均等色空間上における空間上の距離がL*a*b表色系を用いて表現した場合に、ΔE=〔(ΔL)*2+(Δ*a)*2+(Δ*a)*2〕1/2が10程度以上ある場合には特定色の外装覆い4であるとすることが考えられる。
更にまた、特定色の外層覆い4は、少なくとも一つの面に対して複数の覆い部材5(例えば5a,5b)を隣接配置するものを対象とする。
また、目隠し部6は、複数の覆い部材5間の隙間から筐体枠2の表面を露出させないようにする機能、筐体枠2よりも特定色の外装覆い4の色相に近い色で目隠しする機能の両者を併せ持つことを要する。
【0010】
また、特定色の外装覆い4の代表的態様としては、筐体枠2に対してマンセル明度差が3以上異なる色相を有するものが挙げられる。このように、マンセル明度差が3以上相違する色相を有すると、特定色の外装覆い4を構成する複数の覆い部材5(例えば5a,5b)の隣接部位に隙間が形成される場合、隙間から筐体枠2の表面が露出すると、外観上非常に目立つ。このため、本実施の形態の目隠し部6にて筐体枠2の表面を目隠しするようにすれば、図1(c)にWで示すように、特定色の外装覆い4の覆い部材5(5a,5b)の隣接部位を目視したとしても、外観品質の低下は有効に抑えられる点で好ましい。
更に、目隠し部6の代表的態様としては、例えば図1(c)に示すように、複数の覆い部材5(5a,5b)のいずれか一方又は両方に形成され、一方の覆い部材5a又は5bの隣接部位において他方の覆い部材5b又は5a端を超える位置まで延びる庇状鍔が挙げられる。
また、目隠し部6の他の代表的態様としては、複数の覆い部材5(5a,5b)の隣接部位にて筐体枠の表面を特定色の覆い部材と相違しない色相で着色したものが挙げられる。
【0011】
また、外装覆い3の代表的態様としては、特定色の外装覆い4とは別に筐体枠2と色相の相違しない非特定色の外装覆い7を有し、特定色の外装覆い4のうち隣接配置される複数の覆い部材5(5a,5b)は、非特定色の覆い部材7を構成する複数の覆い部材の隣接部位に沿った隣接部位を有するものが挙げられる。
本態様では、特定色の外装覆い4に加えて非特定色の外装覆い7を設け、非特定色の外装覆い7と特定色の外装覆い4との色相の差に加えて、複数の覆い部材5(5a,5b)の隣接部位に沿ったライン軌跡を合わせる等の外装デザインを施すことが可能である。
更に、特定色の外装覆い4の止め具による好ましい取付構造としては、例えば特定色の外装覆い4は止め具を介して筐体枠2に固定され、前記止め具の頭部が特定色の外装覆い4に対して相違しない色相に着色されるものや、あるいは、特定色の外装覆い4は止め具の頭部が表面から露出しないように収容される取付凹部を有し、この取付凹部に止め具を介して筐体枠2に固定されるものが挙げられる。
【0012】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す斜視図である。
同図において,画像形成装置20は画像形成要素を内蔵する装置筐体21を有し、画像形成要素には、記録材に画像を形成する作像要素と、記録材に形成すべき原稿画像を読み取る画像読取要素とを含む。
本実施の形態では、作像要素は、図4に示すように、複数の色成分画像を電子写真方式にて形成する画像形成部30(具体的には30a〜30d)と、この画像形成部30にて形成された画像を記録材に転写する前に一時的に転写する例えばベルト状の中間転写体40と、この中間転写体40上に転写された各色成分画像を記録材に転写する一括転写装置50とを備え、画像形成部30の下方に配設した記録材供給装置60から供給された記録材を略鉛直方向に延びる搬送経路61中の搬送ロール62によって搬送し、一括転写装置50の転写部位にて記録材に対し中間転写体40上の画像を一括転写し、搬送経路61の下流側に設けられた定着装置70にて記録材上の画像を定着し、記録材収容部24の直前に配設された排出ロール63にて後述する記録材収容部24内に記録材を排出するようにしたものである。
【0013】
ここで、画像形成部30(30a〜30d)は、例えばドラム状の感光体31と、この感光体31を帯電する帯電器32と、帯電された感光体31上に光による静電潜像を書き込むレーザ走査装置等の露光器33と、感光体31上に形成された静電潜像を所定の色成分トナーにて現像する現像器34と、感光体31上の現像像を中間転写体40に転写させる転写器35と、感光体31上の残留トナーを清掃する清掃器36とを備えている。
尚、符号38(38a〜38d)は各画像形成部30の現像器34に各色成分トナーを補給するためのトナー補給器である。また、本例では、露光器33は各画像形成部30(30a〜30d)毎に設けても差し支えないが、本例では全ての画像形成部30に対して共用されるようになっている。
また、本実施の形態において、中間転写体40は複数の張架ロール41〜44に掛け渡され、例えば張架ロール41を駆動ロールとして循環回転するものである。尚、符号45は中間転写体40の搬送方向のうち一括転写装置50の下流側に設けられて中間転写体40上の残留トナーを清掃する中間清掃器である。
更に、一括転写装置50は例えば中間転写体40の張架ロール42を対向ロールとし、対向ロールとの間で中間転写体40を挟む一括転写ロール51を有し、この一括転写ロール51と張架ロール42からなる対向ロールとの間に転写電圧印加に伴う転写電界を形成するようにしたものである。
また、画像読取要素としては、読取原稿を載せる原稿台81を有し、この原稿台81上の原稿を画像読取器(スキャナ)82にて読取り、図示外の画像処理部を経て露光器33に各色成分毎の画像信号が供給されるようになっている。
尚、符号85は原稿台81上に原稿を自動供給する自動原稿供給装置である。
【0014】
また、本実施の形態では、装置筐体21は、図2及び図3に示すように、図示外の記録材へ画像を形成する作像要素が内蔵される下部装置筐体22と、図示外の記録材へ形成すべき原稿画像を読み取る画像読取要素が内蔵される上部装置筐体23と、下部装置筐体22及び上部装置筐体23の間に設けられ、下部装置筐体22内の作像要素にて画像が形成された記録材を収容する記録材収容部24とを備えている。そして、下部装置筐体22の前方側には開閉扉25が設けられている。また、上部装置筐体23の前方側には各種画像形成操作のための操作部28が設けられている。
更に、装置筐体21は、当該装置筐体21の枠組となるSUSやアルミニウム等の金属製素材からなる図示外の筐体枠100(図7参照)と、この筐体枠100の外側に固定される外装カバー(外装覆い)110とを備えている。
本実施の形態では、外装カバー110は、図2,図3及び図5に示すように、筐体枠100の色相と異なる特定色の(例えば青)を有する特定色の外装カバー111と、この特定色の外装カバー111とは別に筐体枠100と相違しない色相を有する非特定色の外装カバー112とを備えている。
特に、本実施の形態では、特定色の外装カバー111の有する特定色は、マンセル濃度で筐体枠100の濃度よりも3以上異なるものであり、非特定色の外装カバー112に比べて色彩的に目立つ存在になっている。
尚、本例では、開閉扉25は特定色の外装カバー111と非特定色の外装カバー112とに跨って構成されている。
【0015】
本実施の形態において、特定色の外装カバー111は、本例では、記録材収容部24及びその周辺を囲むように配置されており、この特定色の外装カバー111の周囲に非特定色の外装カバー112が配置されており、これらの外装カバー(特定色の外装カバー111,非特定色の外装カバー112)はいずれも止め具を用いて筐体枠100に固定されている。
但し、特定色の外装カバー111の取付構造は、非特定色の外装カバー112の取付構造と若干異なるものになっている。
以下、特定色の外装カバー111及び非特定色の外装カバー112の取付構造について説明する。
(1)隙間処理1
特定色の外装カバー111としては、図5及び図6にAで示すように、装置筐体21のある一面に対し複数の覆い部材121,122を隣接配置することがある。
このとき、本実施の形態では、図7(a)に示すように、特定色の外装カバー111の覆い部材121,122には両者の隣接部位において相手側の覆い部材122,121端を超える位置まで延びる庇状鍔123,124が形成されている。本例では、一方の庇状鍔123が筐体枠100側に屈曲した状態で延び、他方の庇状鍔124はそのまま真っ直ぐ延び、両方の庇状鍔123,124が互いにオーバーラップした状態で配置され、矢印Wで示す外部からの視線を遮る目隠し部125として作用するようになっている。
この結果、特定色の外装カバー111の覆い部材121,122の隣接部位を外部から見たとしても、庇状鍔123,124からなる目隠し部125にて筐体枠100の表面が隠されるため、覆い部材121,122の隣接部位から筐体枠100の表面が露出するほとんどない。
【0016】
(2)隙間処理2
仮に、特定色の外装カバー111の複数の覆い部材121,122の隣接部位に隙間130が形成される場合であっても、例えば図7(b)に示すように、覆い部材121,122の隙間130に対応した筐体枠100の表面に目隠し塗料126を塗布するようにすれば、この目隠し塗料126による塗膜が目隠し部125として実質的に作用する。
ここで、目隠し塗料126としては、特定色の外装カバー111の色相と相違しない色(例えば青色塗料や黒色塗料)の塗料による塗膜を形成するようにすればよい。
(3)隙間処理3
一方、非特定色の外装カバー112としては、図5及び図6にCで示すように、装置筐体21のある一面に対し複数の覆い部材131,132を隣接配置することがあり得る。
このとき、図7(c)に示すように、複数の覆い部材131,132間に隙間130が形成されたとしても、非特定色の外装カバー112の色は筐体枠100と相違しない色相であることから、仮に、覆い部材131,132の隙間130から筐体枠100の表面が露出した場合でも、この露出部分が目立って外観品質の低下につながる懸念は少ない。
【0017】
次に、特定色の外装カバー111及び非特定色の外装カバー112の止め具を用いた取付構造について説明する。
(1)止め具処理1
特定色の外装カバー111は、図5及び図6にDで示すように、止め具150を用いて筐体枠100に固定されるが、本例では、図8(a)に示すように、特定色の外装カバー111は止め具150の頭部151が収容される取付凹部160を形成し、この取付凹部160の底に止め具150のネジ部152が挿入可能な挿入孔161を開設し、止め具150としては特定色の外装カバー111と相違しない色相の色(青色、黒色)のものを選択するようにすればよい。尚、取付対象である筐体枠100には止め具150のネジ部152が嵌め込まれる雌ねじ部162が予め形成されている。
このような取付構造によれば、特定色の外装カバー111の止め具150は、その頭部151が取付凹部160内に収容され、そのネジ部152が取付凹部160の挿入孔161を通じて筐体枠100の雌ねじ部162に嵌め込まれる。このとき、止め具150の頭部151が特定色の外装カバー111の外部から目視可能であるが、この止め具150が特定色の外装カバー111と相違しない色相の色であるため、特定色の外装カバー111の領域内で止め具150の存在はそれほど目立たない。
【0018】
(2)止め具処理2
特定色の外装カバー111は、図5及び図6にEで示すように、筐体枠100に止め具155を介して固定されている。
本例では、図8(b)に示すように、特定色の外装カバー111は止め具155の頭部156が収容される取付凹部160を形成し、この取付凹部160の底に止め具155のネジ部157が挿入可能な挿入孔161を開設し、筐体枠100の雌ねじ部162に前記ネジ部157を嵌め込むようにしたものであるが、図8(a)と異なり、止め具155そのものは例えば銀色ネジであり、この止め具155の頭部156に特定色の外装カバー111と相違しない色相の色(例えば青色、黒色)の目隠し塗料158を塗布するようにしたものである。
本態様によれば、特定色の外装カバー111が止め具155を介して筐体枠100に固定されたとしても、止め具155の頭部156は目隠し塗料158にて隠されてしまうため、止め具155の頭部156が直接露出することはなく、特定色の外装カバー111の領域内で止め具155が目立つ事態はほとんどない。
(3)止め具処理3
非特定色の外装カバー112は、例えば図5及び図6にFで示すように、止め具155を介して筐体枠100に固定される。
このとき、非特定色の外装カバー112は止め具155の頭部156が収容される取付凹部160を形成し、この取付凹部160の底に止め具155のネジ部157が挿入可能な挿入孔161を開設し、筐体枠100の雌ねじ部162に前記ネジ部157を嵌め込むようにしたものであるため、例えば銀色ネジ等の止め具155の頭部156が非特定色の外装カバー112の領域内で取付凹部160には収容されているものの、表面に露出した状態にある。
しかしながら、この止め具155は非特定色の外装カバー112と相違しない色相の色を有するものであるため、非特定色の外装火バー112の領域内で止め具155の存在が色彩的に目立つ懸念は少ない。
【0019】
◎比較の形態
本実施の形態では、特定色の外装カバー111の領域では、隙間処理1又は2、及び、止め具処理1又は2を実施するようにしているが、例えば図9に示す比較の形態において、特定色の外装カバー111の領域で、隙間処理3又は止め具処理3を実施したところ、特定色の外装カバー111の複数の覆い部材121,122間の隙間130から筐体枠100の表面が露出してしまい、また、止め具155の頭部156(例えば銀色)が露出してしまうことから、筐体枠100の表面、あるいは、止め具155が特定色の外装カバー111の領域内で極端に目立ってしまうことが確認された。
この結果、本実施の形態で実施した隙間処理1又は2や止め具処理1又は2が極めて有効であることが理解される。
【符号の説明】
【0020】
1…装置筐体,2…筐体枠,3…外装覆い,4…特定色の外装覆い,5(5a,5b)…覆い部材,6…目隠し部,7…非特定色の外装覆い,10…画像形成装置,11…画像形成要素,11a…作像要素,11b…画像読取要素,12…記録材,13…下部装置筐体,14…上部装置筐体,15…記録材収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成要素を内蔵するための筐体枠と、この筐体枠の外側に固定される外装覆いとを備え、
前記外装覆いは、筐体枠と色相の相違する特定色の外装覆いを有し、
この特定色の外装覆いは、筐体枠の少なくとも一つの面に対して隣接配置される複数の覆い部材を含み、
複数の覆い部材の隣接部位には、両者の隙間から筐体枠の表面が露出しないように、筐体枠よりも特定色の外装覆いの色相に近い色で目隠しする目隠し部を設けたことを特徴とする装置筐体。
【請求項2】
請求項1記載の装置筐体において、
特定色の外装覆いは筐体枠に対してマンセル明度差が3以上異なる色相を有することを特徴とする装置筐体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置筐体において、
目隠し部は、複数の覆い部材のいずれか一方又は両方に形成され、一方の覆い部材の隣接部位において他方の覆い部材端を超える位置まで延びる庇状鍔であることを特徴とする装置筐体。
【請求項4】
請求項1又は2記載の装置筐体において、
目隠し部は、複数の覆い部材の隣接部位にて筐体枠の表面を特定色の覆い部材と相違しない色相で着色したものであることを特徴とする装置筐体。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の装置筐体において、
外装覆いは、前記特定色の外装覆いとは別に筐体枠と色相の相違しない非特定色の外装覆いを有し、
特定色の外装覆いのうち隣接配置される複数の覆い部材は、非特定色の覆い部材を構成する複数の覆い部材の隣接部位に沿った隣接部位を有することを特徴とする装置筐体。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の装置筐体において、
特定色の外装覆いは止め具を介して筐体枠に固定され、
前記止め具の頭部は特定色の外装覆いに対して相違しない色相に着色されることを特徴とする装置筐体。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の装置筐体において、
特定色の外装覆いは止め具の頭部が表面から露出しないように収容される取付凹部を有し、この取付凹部に止め具を介して筐体枠に固定されることを特徴とする装置筐体。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれかに記載の装置筐体と、
この装置筐体内に内蔵される画像形成要素とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
装置筐体は、記録材へ画像を形成する作像要素が内蔵される下部装置筐体と、記録材へ形成すべき原稿画像を読み取る画像読取要素が内蔵される上部装置筐体と、下部装置筐体及び上部装置筐体の間に設けられ、下部装置筐体内の作像要素にて画像が形成された記録材を収容する記録材収容部とを備え、
装置筐体のうち、記録材収容部及びこれに隣接する部位の少なくとも一部に特定色の外装覆いを設け、この特定色の外装覆いの外側には非特定色の外装覆いを設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−22520(P2011−22520A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169629(P2009−169629)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】