説明

装飾ラミネート及びその製造方法

本発明は、ラミネート-フローリングボード等用の耐摩耗性の表面-コーティングを有する装飾ラミネートに関するものであり、前記ラミネートは、装飾ウェブの樹脂含浸及びそれを用いて材料-一体化された、−閉塞している表面を有する耐摩耗性の表面-樹脂層を形成している−熱硬化性合成樹脂及び常用の添加剤及び/又は助剤を有する熱硬化される樹脂組成物が形成されており、合成樹脂組成物は、成分としてポリアルキレン-ポリマー及び少なくとも1つのポリビニルピロリドンをベースとする少なくとも1つのろう又はろうブレンドの、樹脂組成物中へ組み込まれた混合物もしくはそのようなコンパウンドを含有し、耐摩耗性の硬質材料の粒子は、表面-層中で事実上装飾ウェブ-表面に直接接してのみ及びそれらの近接範囲内で集中されているか、もしくは表面-層中に存在している研磨物質粒子の被覆密度がそれらの中で−高い値から出発して装飾ウェブの直接上に−表面-層の外部-表面まで急な負の勾配に従い、値0に低下することにより特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、耐摩耗性の表面コーティングを用いてコートされたか又はコートすべき積層体、特に木材原料をベースとするラミネート-フローリングボード(Fussbodenplatten)もしくはフローリングパネル用の、耐摩耗性の表面-コーティングを有する装飾ラミネート(Dekorlaminat)に関する。
【0002】
さらに本発明は、フローリングボード、フローリングパネル等用に用意されている、耐摩耗性の表面-コーティングを有する新規装飾ラミネートの製造に関する。
【0003】
EN 13329によるラミネートフローリングの世界的規模の普及は、とりわけこれらの床仕上材(Bodenbelaege)の特に良好な清浄性から説明される。これはそしてまた、その表面-コーティングの表面又は外面の無孔性(Porenfreiheit)の結果であり、これは一般的に“閉塞している(geschlossen)”という専門語で呼ばれる。
【0004】
事実上“閉塞している”表面はこれまでいわゆる“古典的な”オーバーレイの使用により可能となっていた。そのような古典的なオーバーレイは、熱硬化性樹脂、例えば特にメラミン樹脂に浸漬される、薄い、特に透明な特殊紙からなる。これらの紙は、装飾ウェブ(Dekorbahn)の表面フィルム及び摩耗フィルム上へ又は上に配置され、かつこれを用いて装飾ウェブと及び最終的に木材ベースの原料をベースとする基材と共に、床を張るために用意されるラミネートへとプレスされ、かつ前記紙はラミネートフローリングの問題のない清浄性にとって決定的に重要である。しかしながら、古典的なオーバーレイ-フィルムの、特にオーバーレイ-ペーパーウェブの形での使用により、装飾フィルムの表面又は表面-層の輝度は不可避的に減少される、それというのも、オーバーレイ-フィルム中の繊維の存在のために、回避されることができず、かつ十分明らかに知覚可能な線、パターン、デザイン等のあいまいさ並びに表面-装飾のカラー及びグラフィックの印象のある程度の抑圧及び混濁の結果となるからである。
【0005】
しかしながら、たいていコーティング樹脂に浸漬されたオーバーレイ-紙の形で存在している古典的なオーバーレイが省かれる場合には、このことはかなり前から再三再四試みられてきており、かつそれについて以下にさらにより詳細に検討することになるが、最終的に不可逆的でかついずれにせよ外観を本質的に妨げるラミネート-表面の汚染をまねく表面-層の“開放気孔性(Offenporigkeit)”となり、このことは特にラミネートフローリングの場合に妨害し、かつこれまで回避されることができなかった。
【0006】
オーバーレイの省略のさらに完全に受け入れることができない結果は、多種多様な目的のため及び特に床のための、ラミネートの製造の際に、いわゆるショートサイクル(Kurztakt)-法において使用されるプレス薄板又は連続的なラミネート-製造において使用されるプレスストリップの表面の損傷又は破壊となるという危険にある。この理由から、これまで、今日常用の高い製造速度での日々の運転実践において、できるだけ長い期間に亘って高-耐摩耗性のラミネートの妨害されない製造を、実地においてそれ自体として十分有用であることがわかっている古典的なオーバーレイを使用せずに実施することは、事実上不可能であった。特に、多様な試みにもかかわらず、オーバーレイフィルムのない場合に耐摩耗性のラミネート-表面が引き起こすこの重大な問題を解決するために、生産ラインの表面クロムメッキされた、高感受性のプレス薄板又はエンドレス-プレスストリップを全面的に、前記のような機械的な損傷からか又は場合により耐摩耗性に仕上げられた装飾ラミネートの表面-層から突出している研磨物質-粒子による破壊からさえ守ることは、今まで成功していない。
【0007】
ラミネートの表面-層をそれらの利用及び使用のために持続的に耐摩耗性に製造するという多数の試みが行われてきているという事実はそれ自体として重大ではない、それというのも、EN 13329により要求される耐摩耗性-値は、−要求される耐摩耗性を保証している−研磨物質-粒子が設けられている場合にのみ、十分に装飾フィルムと匹敵しうる程度で、オーバーレイ-紙なしで達成されることができるからである。この理由から、すなわち、床用のラミネートの製造の際の古典的なオーバーレイの使用は、EN 13329が要求する耐摩耗性-値を達成するために不必要である。しかし古典的なオーバーレイは、上記で説明したように、製造すべき装飾ラミネートの表面-層中に含有する研磨物質-粒子−大多数においてこれはコランダム粒子である−の有害な作用からのプレス薄板又はエンドレス-プレスストリップの保護にとってまさに決定的に重要である。
【0008】
より高度に耐摩耗性に仕上げられた装飾フィルムを、エンドレス-プレスストリップ又はプレス薄板を用いて古典的なオーバーレイを使用せずに製造するという事実上全てのこれまでの試みは、挙げられたストリップもしくは薄板及び/又はそれらのエンボスされたプレス-構造体のクロムメッキの−表面層中に存在している、耐摩耗性を高める研磨物質媒体により引き起こされる−表面-損傷又はそれどころか-破壊の点でこれまで失敗している。
【0009】
オーバーレイ紙のない表面-コーティングの、さらにこれまで同様に解決されない問題は、オーバーレイ-紙の繊維が、樹脂-、特にメラミン-ホルムアルデヒド-初期縮合物の硬化する硬質層中での後での割れの発生を確実に防止するが、しかし古典的なオーバーレイを迂回するという事実上全ての試みが、努力される割れが発生しないことに関連して、これまで事実上満足がいき、かつ長続きする解決手段をもたらさなかったことにある。
【0010】
プレス薄板又はプレスストリップの保護のために設けられているオーバーレイ-保護ホイルもしくは-フィルムを、例えばフローリング用の、ラミネートの製造の際に節約するという、技術的に場合によっては通用している方法は、例えばDE 101 24 710 A1に開示されているような、いわゆる構造付与紙(Strukturgeberpapieren)の使用にあった。これらは、ラミネートフローリング-製造の際にプレス薄板又はエンドレスストリップの相応して構造化された表面の代わりになり、かつそれらの代わりにラミネートにその都度望ましい表面構造を媒介するようになり、かつクロムメッキされたエンドレスストリップ自体を保護するようになる。
【0011】
しかしながら実地が示したように、構造付与紙の使用は、それらの使用下に得られるラミネートのかなりの品質低下と結びついており、このことは構造化自体に関してだけではない。プレス薄板もしくは連続プレスのエンドレスストリップからの、熱伝達の紙-中間層により引き起こされる阻害の理由から、生産速度はかなり減少されるか又はしかし、変わらない送り速度でラミネート-表面の品質はかなり劣悪化している。
【0012】
割れの発生の問題は、構造付与紙の使用によりもちろん未だに未解決のままである。
【0013】
目下それ自体として、研磨物質-粒子が装入された(beaufschlagten)表面-コーティングが設けられ、オーバーレイ-紙、-フィルム又は-ホイルが設けられていないラミネートの多数の製造方法が公知になっており、これらは、樹脂組成物の組成及びその製造の際の方法-細部に関して多くの場合に相対的にごく僅かな相違もしくは細部によってのみ互いに区別される。
【0014】
本質的には、ラミネート-基本-製造過程は、任意の印刷装飾が設けられた繊維状物質-、特にペーパーウェブが、熱硬化性樹脂に、好ましくは場合により変性メラミン-、ホルムアルデヒド-及び/又は尿素樹脂に含浸され、かつ場合によりその直後に又はしかし後で−場合により、場合により多層の、同様に熱硬化性樹脂に含浸されたペーパーウェブを中間に置きながら−耐摩耗性の表面-層を有する装飾ラミネートウェブとして熱及び圧力の作用下に基材上へ、例えば特にウッドチップ-又は-ファイバーボード上へ結合されることにある。今日、装飾ラミネートウェブ及び場合により存在しているコアレイヤーウェブ(類)の樹脂を、その都度部分硬化のみにかけ、かつこうして予備硬化されたラミネートを、熱及び圧力の作用下についで前記のすぐ使える硬化する樹脂を用いて最終的にその都度用意されている木材原料-基材上へ結合させるという技術が優勢である。
【0015】
オーバーレイ-フィルムを有しない耐摩耗性の表面-コーティングを有する装飾ラミネートの製造の分野についての技術水準に関して言えば、このために多数の提案がなされており、かつ部分的に実現されてきてもおり、これについて以下にまた、ほぼ完全に短く検討されるべきに過ぎないものでは決してない:
例えばDE 28 58 182 C2からは、耐摩耗性の鉱物及びさらにそのための結合剤を含有し、装飾上に配置された薄い耐摩耗性コーティングが設けられていることによる、高い耐摩耗性を有する化粧板(Dekorplatten)を製造するための装飾ウェブが公知であり、その場合に結合剤は、使用される樹脂組成物と相溶性であるべきであり、かつこれらの樹脂にとって透過性であるべきである。
【0016】
装飾ラミネートの製造は、例えばDE 2 800 762からも明らかであるように、まず最初に含浸されていない装飾ウェブに、微結晶性セルロースで安定化された酸化アルミニウム-粒子の水性懸濁液が装入され、その後に乾燥が行われるようにして行われることができる。その後、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂-溶液への含浸が行われ、かつ最終的にこの摩耗-装飾ウェブはコアウェブ及び基材ボードと共にホット-プレスされる。しかしながらそのような装飾ウェブの場合に、耐摩耗性の微細な鉱物粒子は、微結晶性セルロースから外部表面又は表面、表面-樹脂層へと押しのけられており、かつついで一部はそれらから突出し、かつそれによりこの表面の望ましくない粗さを引き起こし、かつこのことは−薄板-表面の回避されることができない損傷の結果、ラミネートの製造の際に使用されるプレス金型の薄板の高められた摩耗をはるかに重くみる。さらにまた、この明細書によれば、耐摩耗性の最終-コーティングを別個の作業手順において施与することが必要であり、このことはいずれにせよ生産コストを高める。
【0017】
DE 195 08 797 C1は、装飾ラミネート紙の製造方法の場合に、メラミン樹脂、α-セルロース、硬質材料としてのコランダム、添加剤及び助剤並びに水からなる混合物が製造され、かつ既に先行する処理工程において樹脂に浸漬されるが、しかしながら数パーセントの残留湿分までに乾燥された装飾全紙(Dekorpapierbogens)の見える側上に施与され、その後に乾燥が行われることを意図している。この種類の手順は、コランダム粒子が、得ようとされる摩耗層から場合によりさらに“突出している(herausragenden)”それらの極端-先端部及び-縁部上でも連続的な樹脂フィルムで覆われているべきであるという利点をもたらすはずであるが、しかしながらこのことは実地において完全に実現されることができない。しかしながらそれらの極端位置での硬質材料-粒子のそこで得ようとされる外被は、実地において達成されることができず、そのために、装飾ラミネートのホット-プレスの際にプレス薄板もしくはプレスボードの損傷は決して完全に防止されることはできなかった。
【0018】
US 3 135 643 Aからは、装飾ウェブがまず最初に樹脂懸濁液に浸漬され、かつこれがさらに、メラミン樹脂、石英、セルロース、セルロース誘導体及び水を含んでいる分散液で湿式に層で覆われることによるラミネート-製造方法を引用することができる。プレス-ボードもしくはプレス-ストリップの保護のために放棄されることができない樹脂での研磨物質-粒子の完全-外被は、示されたように、この方法を用いても保証されることができない。
【0019】
EP 472 036 A1からは、装飾ウェブ自体がいずれにせよ既に、樹脂への最初の浸漬の範囲内でその都度所望の百分率まで、研磨物質-粒子を含有するメラミン樹脂-分散液に含浸されることにより設けられている、耐摩耗性の装飾ラミネートの製造のための二段階の“ウェット・オン・ウェット”-法が公知になっている。装飾層のペーパーウェブ上へ及び中へ直接に研磨物質-粒子を導入するこの種類の欠点は、装飾-上塗層の内部で粒子の分布が均一でないので、この第一の製造工程の場合に局所的な硬化となることである。第二工程においてついで、同様に研磨物質を含有する樹脂分散液の装入が行われる。述べた装飾ウェブの硬化の帯域はそれらの中への研磨物質粒子の浸透の結果、いずれにせよついで実際のコーティング過程の際の装飾ウェブのたわみ性を妨害する。
【0020】
さらに、耐摩耗性のラミネートが、コートすべき装飾全紙又はそのようなウェブがまず最初に樹脂に含浸され、その後に特定の残留湿分値への乾燥が行われ、その後についではじめてそのように部分-乾燥された含浸層上に、研磨物質粒子、セルロース、樹脂及び添加剤を含有する樹脂組成物が施与されることによって得られることによる、EP 732 449 A1を述べることができる。このコーティング法の欠点は、研磨物質-粒子を含有する表面-コーティング-樹脂体との含浸-樹脂体の堅牢で機械的に高い負荷を受けることができる(beanspruchbare)相互結合が達成されないことである。
【0021】
双方の特許明細書US 4,713,138 A及びUS 4,971,855 Aに記載された耐摩耗性の表面-コーティングを有するラミネートの製造方法には、同様に、研磨物質-粒子を有するこれまで公知の全ての一工程-含浸-コーティングの場合に回避されることができない欠点がつきまとう。そこに記載された技術によれば、含浸すべき紙上に前処理なしで、研磨物質-粒子、セルロース及びそれぞれの樹脂を含有する混合物が施与される。“未浸漬で”存在している装飾-紙の吸引-及び吸収作用の結果、そこでその繊維-不均質性の結果、紙-表面の異なる位置での不均一な吸引速度となり、それによってより迅速な吸い取りが行われるところで多く研磨物質粒子が吸い込まれ、かつ結合され、かつそこで表面の他の範囲内よりも、より高い平面被覆のこれらの粒子を有する帯域、ひいては既に上で述べた帯状の硬化となる。記載された吸引作用により、粒子のそれ以外に生じている整然たる相互の配向も妨害されるので、高められた吸引作用の帯域中で例えば、ラミネートの耐摩耗性の表面の性質の均質性を敏感に妨害する粒子の巣が形成される。
【0022】
前記のUS 4,713,138については、さらに、そこで微結晶性セルロースが、表面-樹脂層中での研磨物質-粒子の均一な分布を生じさせるという目的を有するが、しかしながらこのことは、表面層の外面の近くにある粒子の角部又は縁部が、これらを介して突出しうるものであり、ひいてはプレス薄板の表面を損傷しうることをまねくことを説明することができる。このUS-Aからは、表面活性成分及び潤滑性を高める成分としてのポリエチレン-ろうの使用も明らかになっている。
【0023】
ラミネートの製造のための樹脂組成物中の潤滑剤として特定のポリエチレン-ろうの添加は、US 4,741,946 Aからも明らかになっているが、しかしながら、このUS-Aにより製造されるラミネートのEN 438による摩耗値は150回転の範囲内であり、かつ例えば少なくとも10,000回転であるべきである高価値のフローリング-ラミネートが達成しなければならない値を決して達成しない。
【0024】
US 4,499,137 A及びUS 4,567,087 Aは、表面の近くにか又は大体において表面上に微細分散したポリエチレン-ろうが組み込まれているラミネートを開示する。そこでは、ろうがホットプレスの際に“ブルームする(ausblueht)”、すなわち表面上へ移動することが意図的に努力される。これは、そこでは、ポリエチレン-ろうが固有の作業工程において施与されることによって達成され、かつ含浸-及びコーティング-樹脂組成物中へ組み込まれる成分としてではない。
【0025】
ラミネート、しかもオーバーレイ-紙を有するラミネート中でのポリエチレン-ろうの使用は、さらにUS 4,139,671 Aから明らかになっており、しかしながらその際にそこでは表面-層中に研磨物質-粒子が設けられておらず、かつそのうえボーリングレーン(Kegelbahnen)のためのラミネートのそこでの使用に関して高い潤滑作用が望ましく、すなわち正確にはフローリング-ラミネートが有していなければならない性質の逆である。
【0026】
とりわけ、本出願人自身により開発されたEP 875 399 B1による高耐摩耗性の装飾ラミネートの製造方法を述べることができ、その本質的な特徴は、前もって樹脂含浸された装飾ウェブ上に、研磨物質-粒子を有する熱硬化性樹脂の混合物又は分散液からなる層が施与され、装飾ラミネートの性質にとって決定的なその成分が、多糖類を含有する少なくとも1つの天然物の使用により形成されていることにある。実地において、樹脂組成物中でのこれらの天然物の使用によりそれ自体として技術水準に比較して既にある程度の改善が、特にプレス薄板及びプレスストリップの特に得ようとされる保護に関して達成可能であるが、しかしながらプレスストリップ-又はプレス薄板-表面のまばらに生じる損傷が、このEP-B1により設けられた添加剤によっても完全に排除されることができないことが示されている。
【0027】
耐摩耗性に仕上げられた表面を有するラミネートの障害のない製造についての多数の公知の提案にもかかわらず、保護している樹脂被覆なしで表面層から突出している研磨物質-粒子を事実上含まない高品質の表面コーティングを有するので、前記の不快な、製造を妨害し、かつ場合により生産中止すらまねき、かつこうして高いコストを引き起こす、“突出している”研磨物質粒子によるプレス薄板又はプレスストリップの損傷が事実上完全に排除されている、耐摩耗性の表面仕上加工を有する装飾ラミネートの製造方法を開発するという挑戦が未だに存在したままである。
【0028】
本発明は、これまで満足のいく程度に克服されていない困難を考慮して、オーバーレイ-のないラミネートの製造の際に、見る-側及び利用する-側にそれらの摩耗特性において最も高い摩耗値まで調節可能でかつそれらの明澄さ及び装飾-再現品質(Wiedergabequalitaet)において高いもしくは最も高い要求に相応する表面-コーティングを有する、多種多様な使用分野用、しかしながら殊にフローリングボード、フローリングパネル等用の装飾ラミネート又はそれを用いてコートされた基材物体を生み出すという課題が課されている。それにもかかわらず、使用すべき製品の側から並びに製造経過から、特にプレス薄板もしくは-ストリップのできるだけ完全な保護に関して言えば、製造過程は妨害に耐え、かつ費用がかからないべきであり、かつこれまで実地において有用であることがわかっている製造方法の範囲内で動くべきであり、かつその都度現行の設備上で広範囲に及ぶ置換及び変更なしで事実上変わらない生産速度で実現されることができるべきである。
【0029】
詳細な試験の過程で、最終的に硬化後にラミネートの表面-耐摩耗性を保証している硬質材料粒子を含有しているはずである樹脂マトリックス中へのまさに特定の物質混合物の意図的な配合が、予期しない品質の豊富な、光学的に要求の豊富な、特に高い使用品質及び研磨物質-粒子の同時に最適な包み込み(Einbindung)でその都度所望の使用に調整された摩耗特性を有するラミネートをもたらすことが見出された。この場合に、例えば見込まれうる問題による製造過程の場合による妨害が、より長い熱作用の場合の付着-及び接着特性の熱安定性に関して並びに成形-又はプレス-離型特性に関して起こらないだけでなく、かつ特に研磨物質-粒子によるプレス薄板もしくはプレスストリップの絶対に回避すべき損傷に関しても起こらない。むしろ、持続的に割れの発生に耐性のある、高い耐摩耗性の表面-コーティング、いわゆる“液状-オーバーレイ”-コーティングを有する装飾ラミネート-製品をもたらす、コンパクトでかつ費用を最小限にされた製造方法が可能となる。
【0030】
それゆえ、本発明の対象は、請求項1の上位概念による冒頭に記載された種類の、耐摩耗性の表面-コーティングを用いてコートされたかもしくはコートすべき積層体、特に木材原料をベースとするラミネート-フローリングボードもしくはフローリングパネル用の、耐摩耗性の表面-コーティングを有する装飾ラミネートである。
【0031】
新規ラミネート-原料の本質的な特徴は請求項1の特徴部に包括されている。
【0032】
発明に本質的であるのは、予期しない新規のラミネート-特性をもたらす含浸-及びコーティング-樹脂組成物中でのろう(類)及びポリビニルピロリドン(類)の同時の存在である。これらは、表面-又は摩耗-樹脂層中に分配された耐摩耗性の硬質材料粒子のこれまで意図的に達成できなかった配置を、それらがそれ自体として極めて薄い表面-層中で本来の装飾ウェブ-表面へ向かって低下し、そこで及びそれらの直接の近接範囲内に集積され、かつ集中されるようにした結果である。この予期しない現象についての次の単純化された説明のみが仮に主張されることができる:相対的に高い濃度で含浸-施与組成物中に存在している研磨物質-粒子は、ろうブレンド及びポリビニルピロリドンのコンパウンドの作用の結果、この組成物中で本質的にはもはや浮力(Auftrieb)を発生せず、すなわちこれらは浮かず、かつこうして、これらはその結果、もはや表面-又は摩耗-層から、すなわちもはや表面-樹脂層及び大気空間の間の境界を超えて突出しないように配慮されており、その際に、これまでがそうであったように、突出している範囲、先端部等がこの硬化される樹脂組成物の薄いフィルムで覆われていたとしても、それにもかかわらず製造方法においてこの薄いフィルムの押しのけからの保護が事実上与えられておらず、かつボードの利用の際にこのフィルムの迅速な摩耗が始まるので、研磨物質-粒子のしばしばマイクロメートル-もしくはサブミクロン範囲内に過ぎない突出している先端部、縁部、角部等が露出されていることになり、このことは、これらのそれ自体として小さな寸法にもかかわらず、制御されず、かつ相対的に高い費用でのみ取り除かれることができるプレス薄板-又はプレスストリップ-表面及び清浄化する能力のない表面上での損傷を引き起こす。
【0033】
さらに意外なことに生じるのは、一工程-施与及び-含浸にもかかわらず、上記で技術水準の討論の範囲内に記載された研磨物質の局所的な又は帯状の“巣(Nestern)”又は“束(Buescheln)”の妨害する形成が、最終的にそれらの妨害する局所的硬化をまねきうる装飾ウェブのトポグラフィックに異なる吸引特性の結果としてはもはや観察されることができないという事実であり、このことは同様に決定的な程度で、樹脂組成物中へ組み込まれるか又は配合されている新種のろうブレンド-PVP-コンパウンドに起因されうるであろう。
【0034】
この代わりに、完全性のために、歩くことのできる(begehbare)面のためのラミネートのため、すなわち耐摩耗性のフローリングボード等のための、樹脂中でのポリビニルピロリドン(類)(PVP)の使用がこれまで公知ではなかったことが説明される。US 5,496,387 Aには、研削材料中での研磨物質-粒子のための結合剤としての樹脂のためのみのPVPのそのような使用が述べられており、その際にこの明細書によれば粒子の沈降速度は減少されるべきであり、すなわち基材の方へのそれらの沈降は防止される。
【0035】
コンパウンド中のろうブレンドに関して言えば、−他の成分及び/又は変性剤及び/又は添加剤等に加えて存在している−ポリエチレン及び/又はポリプロピレンとポリアミドとの比が0.1:100ないし100:0.1の幅広い範囲で変動しうる。50:100ないし100:50の範囲内の比が有利である。
【0036】
本発明の範囲内で、部分-硬化された樹脂-含浸-及び-施与組成物が、請求項2記載のコンパウンド中の特別なろうブレンドを用いて形成されているラミネートが特に好ましい。
【0037】
本発明によるラミネートの場合に樹脂組成物中のコンパウンド又は特にコンパウンド中のろうブレンドが、むきだしの床を有するフローリングに足を踏み入れる場合に、これまで公知のラミネートフローリングの場合に知られていなかった、完全に新規の、例えば暖かさの感覚を引き起こしている、木材に類似の知覚もしくは触感をもたらすことを示している。
【0038】
樹脂組成物中へ配合されたコンパウンド又はそれらの中のろう-成分中のポリアミドは、記載された新規の知覚を支持するだけでなく、これらはさらに、特に割れの発生の回避に関してもコーティングの高められた抵抗力に貢献する。
【0039】
本発明により初めて達成可能な、これまで未だオーバーレイフィルムを含まない表面-コーティングで達成されない割れの発生の抑制(Hintanhaltung)並びに新種の、直接に装飾ウェブ-表面の近くで及び近くへ、すなわち新規ラミネートの表面-又は摩耗-樹脂層の深くで生じる研磨物質-粒子の集中は、含浸-及びコーティング樹脂の硬化された組成物中の新規コンパウンドと本質的に関係があるであろう、その際に、ろうと共に請求項3に挙げられた特徴を有する使用されるポリビニルピロリドンが本質的な役割を果たす。樹脂中へ重合導入され、かつOH基のケト-エノール-互変異性の結果、常用の分子量-範囲を有するこれまで使用されたセルロースの作用は本質的に、樹脂を長時間割れが発生しない方向へ改良する上回っている作用を及ぼす。
【0040】
研磨物質-粒子の“うきまだら(Aufschwimm)”-作用の回避に関連して、特に研磨-もしくは硬質材料-粒子の優先されるべき種類に関して言えば、請求項4に記載されたコランダムの使用が特に好ましい。
【0041】
既に長く努力され、かつ本発明により目下、研磨物質-粒子の達成される意図的な“沈降-作用”を予期せずに促進する措置は、意外なことにケイ酸塩材料、特にガラスからなる小球の添加にあり、請求項5記載の研磨物質含有の樹脂組成物が存在する。
【0042】
ガラス小球の作用は、例えば、それらが、いわば、その直径に相当する表面-又は摩耗-層-樹脂フィルムの相互の間の厚さを保証し、このことは、前記のろう-PVP-コンパウンドの使用の結果、いずれにせよ、表面-層の内部で装飾ウェブの方へ低下させる本発明により利用されるそれ自体として予期しない傾向を有する研磨物質-粒子についての有効な材料外被を意味し、それにより、研磨物質-粒子のミクロンスケールである範囲でのみ表面-層の表面-水準を上回る上記で討論された突出も防止されることが説明されることができる。
【0043】
長い期間に亘って表面上での完成したラミネートの割れのないことを保証するため、並びにラミネートの製造の際にプレス薄板又はプレスストリップの保護をさらに促進するために、請求項6に挙げられた内部の、すなわち樹脂組成物の内部での分子構造に影響を及ぼしている及び/又は外側の、すなわちそれらの巨視的に把握できる性質に影響を及ぼしている可とう性付与剤(Flexibilisierungsmittel)並びにさらにそこに挙げられた架橋剤の存在も有利である。
【0044】
特に、この請求項において述べられた糖は、含浸-及び施与-樹脂組成物の内部で重要な役割を、すなわち、これらが1分子あたり、ラミネート樹脂、例えばメラミン樹脂の縮合の際に生じている分子結合中へ高度に包み込まれ、かつそれを、場合により、元々極めて僅かな残留-割れの発生傾向が極めて有効に抑制される方向へ改良する8個を上回る遊離OH基を有することによって、果たすことができる。
【0045】
請求項6にさらに挙げられた記載されたp-トルエンスルホン酸アミドは、メラミン樹脂-形成の際に縮合過程のための有利な付加的な変性剤を形成し、このことは、長い縮合期間に亘って樹脂の縮合の範囲内での連鎖停止が生じ、かつこうして、見出されたように、割れの発生を本質的な程度で引き起こしかつ増強する大きな分子鎖の形成が、著しく減少されることをもたらす、その互変異性に起因されうるものである。
【0046】
一方では生産ラインのプレス薄板及び-ストリップ上の損傷の回避及び使用されている新規のフローリングパネル又はフローリングパネル用のラミネートにおける割れの発生の回避に関してこれまでなされた説明の範囲内で、請求項7に挙げられた天然物は、良好な付加的な促進する働きを果たすことができる。
【0047】
双方の請求項8及び9からは、新規の、事実上長続きする割れのないままである装飾ラミネートを維持するために使用される樹脂組成物の範囲内で好都合なコンパウンド中のろうブレンド及びポリビニルピロリドンの量比が引用されることができる。
【0048】
本発明のさらなる本質的な対象は、請求項10の上位概念による、この請求項の特徴部に挙げられた特徴又は措置を含む、新規の、冒頭に定義されたような耐摩耗性に仕上げられ、かつ割れの形成のないラミネートの新規の製造方法に関する。
【0049】
最後に、請求項11は、プレス薄板及びプレス-ストリップの保護並びに割れの発生-抑制の改善に関するそれらの性質のために、そこに挙げられた、特に好ましい成分又は添加剤を含有する、本発明の範囲内で有利には使用されることができる樹脂組成物を挙げる。
【0050】
大まかな方向付けのためには、以下に、本発明の範囲内で好ましくは使用されるフローリングボード用の装飾ウェブ-含浸-及び-摩耗層-施与樹脂組成物の主-及び副成分の含有量の帯域幅が挙げられる:
0.5〜1% シラン(類)、
2.0〜4% キサンタン、
15〜30%、特に20〜25% 研磨-もしくは硬質材料粒子、
0.5〜3% ポリビニルピロリドン(類)(PVP)
0.2〜1.5% ろうブレンド;ポリエチレン-ろうベース(例えばPORO社、Pointner及びRothschaedl、ザルツブルク)
3〜10% 糖(サッカロース)
0.3〜1% p-トルエンスルホン酸アミド
0.1〜0.5% 硬化剤
100%への残余 メラミン樹脂(-乳濁液又は-溶液)。
【0051】
これまで割れの発生を減少するオーバーレイ-フィルムの省略により、かつおそらく樹脂組成物中での新規のろうブレンド-PVP-コンパウンドによる変更又は改良された組成の結果、フローリング又はフローリングボードのために使用される場合に、新規ラミネートを裸足で歩き回る(Barfuss-Begehen)際に知覚的な種類の重大なプラスの変化となる:これまで公知のラミネートフローリングにとってメラミン樹脂-表面のそれ自体として典型的な“冷たさ”の知覚的な印象は、本発明による、樹脂組成物中の前記コンパウンドを含有している“液状-オーバーレイ”を有するフローリングの場合にもはや生じない。床が利用者に与える知覚的な印象は、最良には“足温で(fusswarm)”という表現で言い回されることができる。たいてい、今まで、これまで公知のラミネートの前述の“冷たさ”を感じ取ることができないように、パネル又はボードが常用の技術により製造されているラミネートフローリング上に、少なくとも座る範囲内で付加的にカーペットが敷かれていた。
【0052】
ろうブレンド-PVP-コンパウンドを用いて形成されるオーバーレイを含まない表面-又は摩耗-層を有する本発明によるラミネートの使用の場合に、EN 13329による足温のラミネートフローリングを製造することが、すなわちはじめて可能になっている。オーバーレイ紙の省略により、新規の、特にフローリング用に用意されているラミネートの装飾のこれまで未だ決して達成されなかった澄明な外観が達成される。本質的には、本発明の場合にこれまでオーバーレイフィルムを含まないラミネートを用いて達成できなかった、フローリングの寿命の期間に亘って初めて実際に達成される表面-又は摩耗-樹脂層中での割れの発生-抑制の効果は、まさに本質的な役割を果たす。
【0053】
実施例
次の製造工程を連続して実施し、その際に使用される出発物質はさらに以下に詳細に説明されている:
次の短い-作業指示に従って作業し、ここで現れている商品-及び内部の短い-名称についての説明が同様にさらに以下に続く。
【0054】
ミキサーを殆ど"Rezept 38"-乳濁液で充填し、Silane Z-6020 2.5L(シラン)を添加し、300rpmで5分間撹拌し、“プリミックス”10Lを添加し、キサンタン-溶液10Lを添加し、回転数を500rpmに高め、"ZWSK 220"-コランダム50kg及び"ZWSK 180"-コランダム50kgを混入し、ポリビニルピロリドン5kg(PVP)を添加し、ろうブレンド1.2kg、湿潤剤としてVxt 3797 Hypersal 600ml、結晶糖29kg、パラトルエンスルホン酸アミド3kg及び硬化剤H 806 1.5Lを混合する。最終的に"Rezept 38"-乳濁液で420Lに補充し、回転数を300rpmに戻し、約5分かけて仕上げ混合する。注型可能な組成物が得られ、そのゲル化時間は3分40秒である。
【0055】
記載された樹脂-研磨粒子-混合物の施与値は、70g/m-装飾紙の場合に最終質量約210〜220g/mであった。得られた樹脂-含浸された及び研磨粒子-装入された表面-コートされた装飾ウェブを、6%〜6.5%の残留湿分にした。7%を上回る残留湿分の場合に、樹脂フィルムの接着の脅威となる。
【0056】
部分硬化後に得られた装飾ウェブを、“Hymmen”-装置上で、送り37m/minで微細繊維-木材原料からなるフローリングパネル-板上に直接施与し、240℃及び20barの圧力でホット-プレスした。
【0057】
今まさに記載されたような、製造された樹脂-含浸-及び表面-施与組成物の成分についてのより詳細な説明が続く:
“プリミックス”-製造規定:
20℃を有する完全脱塩水150L中に、ドライスミキサー(Draismischer)中でイナゴマメ粉(Johannisbrotkernmehl) 4.5kgを500rpmで撹拌混入し、冷却の遮断後にミキサー回転数を900rpmに高める。溶液は約1.5h後にますます粘稠になり、かつローター-ステーター-撹拌金型により発生した摩擦熱の結果、沸騰するまで加熱される。沸騰時間約1h後に、ミキサー-回転数を300rpmに減少させ、冷却のスイッチを入れ、完全脱塩水150Lに添加し、約2hかけて約40℃に冷却する。硬化剤528 (BASF) 7.5kgの添加及びそれに続いて10分間の混合後に、ついで別の完全脱塩水120Lを添加し、最終的に20℃に達するまで冷却する。このようにして得られた溶液は約1週間、加工可能である。
【0058】
使用される“キサンタン-溶液”は、溶液の安定化のためにホルムアルデヒド0.3%が添加されている水中のキサンタンの1%溶液である。
【0059】
"Rezept 38"による混合物は、50%メラミン樹脂250kg、変性剤としてエーテル化メラミン樹脂4.8kg、湿潤離型剤(Netztrennmittel)としてAlton MF 179 0.4kg(WIZ社、Italien)、透明性改良剤としてAlton 1263 0.7kg(WIZ社、Italien)、硬化剤 529 0.3kg(BASF、Deutschland)及びジエタノールアミン-ベースの硬化剤 806 2.0kg、(KS Deurotex)を有するメラミン樹脂-乳濁液である。
【0060】
"Silan Z 6020"(Dow Chemicals, USA)はアミノシランである。
【0061】
研磨物質として使用される"ZWSK-コランダム"(Treibacher社、Villach、AT)は、その製造の特別な種類に基づくこの表示を有し、その際に付けられた数字220及び180は平均粒度[μm]を明示する。
【0062】
この“ろうブレンド”の製造は、次のようにして行われる:例えばポリエチレン-又はポリエチレン誘導体-熱可塑性プラスチックをベースとするか又は一般的にポリアルキレン-又はポリアルキレン誘導体-熱可塑性プラスチックと言われる、そのために用意される本質的な成分をブロックで注型し、これを冷却後に砕き、特定の大きさからジェットミル中で粉砕するか又は微粉砕する。それぞれの成分を、例えばふるい分け、分級等によりその都度所望の粒度にし、その都度例えば、多様な材料の2つ又はそれ以上の異なる粒度フラクションを互いに相応する比で互いに混合する。ふるい特性曲線及び成分-混合比は製造者に公知である。
【0063】
樹脂-含浸-及び-施与組成物中で使用される"Hypersal VXT 3797"(Solutia社, DE)は市販の湿潤剤である。
【0064】
ここで使用されるポリビニルピロリドン類(PVP)は、一般的に"Polyvinylpyrrolidone Cross linked"(BASF、DE)とよばれ、商標名"Luvicross"及び"Luvicross M"を有し、かつ水6.0%まで、窒素11.0〜12.8%、灰分0.5%並びに重金属50mg/kg未満を含有する。これらは粉末形で供給される。それらのモル質量は、大きさに応じてのみ示すことができる。
【0065】
本発明及び本例の範囲内で使用可能なp-トルエンスルホン酸アミドは連鎖停止剤として公知であり、かつ、見出されたように、オーバーレイフィルムを含まないラミネート-表面-層中での前記の望ましくない割れの発生の回避にある程度貢献しうる。
【0066】
これまで完全に制御できない、既に何度も話題にした割れの発生傾向は、好ましくは樹脂-施与組成物中の使用可能な別の成分として用意されている市販の糖(サッカロース)(他の二糖類及びオリゴ糖類も使用可能である)により、特に有効にさらに抑圧されることができる。
【0067】
前記の記載に基づいて生産される新規のフローリング-ラミネートは、高耐摩耗性の表面フィルムに傑出している。これらは、常用のラミネートプレス時間以内で及びラミネート製造の場合以外は常用の条件で簡単に生産可能である。
【0068】
すぐ前の例をベースとする、深部構造化された装飾薄板を用いて加熱-プレスされたフローリングパネルは卓越した品質を示し、表面-又は被覆-樹脂フィルムの閉塞性(Geschlossenheit)は傑出している。“蒸気試験”の際に気泡が生じず、かつ灰色化も起こらない。70及び100℃における乾燥戸棚中での硬化の際に、24h後にもちろん如何なる割れも生じず、このことはさらにより高い温度でも、すなわち120℃で、同様に24h後にそうである。
【0069】
ラミネート-表面を、グラファイトでのそれの着色により試験する際に、樹脂-コーティングの外部-表面を貫通する砥粒は検出不可能である。摩耗機試験(Abrasertest)は、EN 13 329による最も高い摩耗クラス、AC5までの耐摩耗性の卓越した値をもたらした。
【0070】
特に強調されうるのは、とりわけ、完全に予期されない、これまで公知のラミネートフローリングと比較して本発明による製品の非常に心地よい触感もしくは知覚、すなわち、例えばワックスがけした天然木-寄木フローリングに踏み入れる際の感覚に十分に匹敵しうるむきだしのフローリングとの、新規の樹脂-含浸-及び-施与組成物の使用下に製造されたパネルを用いて製造されたフローリングに踏み入れる際の熱-感覚の新規の種類の媒介である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐摩耗性の表面-コーティングを用いてコートされたかもしくはコートすべき積層体、特に木材原料をベースとするラミネート-フローリングボード(Fussbodenplatten)又はフローリングパネル用の耐摩耗性の表面-コーティングを有する装飾ラミネート(Dekorlaminat)であって、前記ラミネートは、(部分-)熱硬化される合成樹脂に含浸され、相応する装飾が設けられ、外側の、見る-及び利用する側の繊維状物質-及び/又はペーパーウェブ(装飾ウェブ)の少なくとも1つの層と共に形成されており、前記ウェブは、少なくとも1つの別の添加剤及び/又は別の助剤が添加されており、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂及び尿素樹脂の群からの少なくとも1つの熱硬化性合成樹脂並びにさらに熱可塑性ポリマーをベースとするろうをベースとしており、耐摩耗性に仕上げられ、熱硬化又は部分-熱硬化される組成物に含浸されかつコートされており、前記表面-もしくは摩耗-層を前記装飾ウェブ上に形成する前記装飾ウェブの前記熱硬化又は部分熱硬化される合成樹脂組成物中に、少なくとも1つの耐摩耗性硬質材料、特にα-酸化アルミニウムもしくはα-コランダム及び/又は炭化タングステンの粒子が分配されている装飾ラミネートにおいて、
・前記装飾ウェブの前記物体の樹脂含浸及びそれを用いて材料-一体化されたかもしくはひとかたまりで(einstueckige)、一-工程法において施与され、−閉塞しているもしくは滑らかな外部-表面を有する高-耐摩耗性の表面-樹脂層を形成している−少なくとも1つの前記の熱硬化性合成樹脂及びそれ自体として公知かつラミネート-含浸及び-コーティングに常用の添加剤及び/又は助剤を有する熱硬化もしくは部分-熱硬化される樹脂組成物が形成されており、
・前記合成樹脂組成物は、−改善される利用-特性及び表面-層の持続的に長続きする割れのないことにとって−本質的な成分として、ポリエチレン、ポリプロピレン-及び/又はポリアミド-ポリマーもしくは-コポリマー及び少なくとも1つのポリビニルピロリドンをベースとする少なくとも1つのろう又はろう-ブレンドの、樹脂組成物中へ組み込まれた混合物もしくはそのようなコンパウンドを含有しており、
・耐摩耗性の硬質材料の粒子、特にAl-もしくはコランダム-及び/又は炭化タングステン-粒子が、表面-層中で、本質的には装飾ウェブの直接上にのみもしくは装飾ウェブに直接に接してもしくはその見る側の面もしくは表面上に及びその直接の近接範囲内に配置され、かつそこに集中されているか、もしくは
・装飾ラミネートの表面-層中に存在する研磨物質-粒子の分布-もしくは被覆密度がそれらの中で−高い値、特に80%〜95%から出発して、装飾ウェブ上に直接にもしくはその見る側の面もしくは表面及び表面-層の外部-表面までのそれらの直接の近接範囲内で−、好ましくは0.05〜0.15mmの表面-樹脂層の厚さ-範囲内で、急な負の勾配に従い、本質的には0の値に低下する
ことを特徴とする、装飾ラミネート。
【請求項2】
(部分-)硬化される樹脂組成物中のコンパウンド中のろう-ブレンドが、Poro社、ザルツブルク、オーストリアのエチレンをベースとする微粉砕された(熱可塑性-)ポリマーをベースとするろう-ブレンド、特に商標名"PORO 100"を有するものである、請求項1記載の装飾ラミネート。
【請求項3】
(部分-)硬化される樹脂組成物中に含まれているコンパウンドのポリビニルピロリドンが、25,000〜750,000、好ましくは100,000〜500,000の範囲内の分子量を有している、請求項1又は2記載の装飾ラミネート。
【請求項4】
その表面-層中に含まれている酸化アルミニウム-もしくはコランダム-粒子が、本質的な割合、特に少なくとも40%、好ましくは少なくとも80%で、卓状形(Tablarform)を有しており、かつそれらの平均粒度が10〜100μm、特に10〜50μmの範囲内である、請求項1から3までのいずれか1項記載の装飾ラミネート。
【請求項5】
その表面-層中に、耐摩耗性の硬質材料粒子に加えて30〜100μmの範囲内の直径を有する、球状の(sphaeroide)ケイ酸塩-、好ましくはガラス小球が存在している、請求項1から4までのいずれか1項記載の装飾ラミネート。
【請求項6】
−装飾ウェブ及びそれらの表面-層の含浸を形成している−(部分-)硬化される樹脂組成物中に樹脂-変性剤、例えば外部の可とう性付与剤、好ましくは糖、及び/又はグリコール、例えばジエチレングリコール、及び/又は内部の可とう性付与剤、例えばε-カプロラクタム及び/又はp-トルエンスルホン酸アミド、及び/又は架橋調節剤、好ましくはジシアンジアミド、アセトグアナミン及び/又はベンゾグアナミンが含まれている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装飾ラミネート。
【請求項7】
−装飾ウェブ及びそれらの表面-層の含浸を形成している−(部分-)硬化される樹脂組成物中に付加的に、グァー種-粉、キクイモ(Topinambur)、チコリ及び/又はダリアの粉(類)、イナゴマメ粉(Johannisbrotkern-Mehl)、セサガム(Cesa-gum)、グァーガム、アラビアゴム、カラゲーン、トラガント、寒天及び/又はキサンタン、しかしながら好ましくはイナゴマメ粉及び/又はキサンタンの群からの少なくとも1つの天然物もしくは天然に同等の(naturidenter)物質が含まれている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装飾ラミネート。
【請求項8】
(部分-)硬化される樹脂組成物中に含まれているコンパウンド中のろうもしくはろう-ブレンド中の量の割合が、−その都度、耐摩耗性の硬質材料-粒子を含まない全ての(部分-)硬化される樹脂組成物に対して−0.5〜2.5%である、請求項1から7までのいずれか1項記載の装飾ラミネート。
【請求項9】
(部分-)硬化される樹脂組成物中に含まれているコンパウンドのポリビニルピロリドン(類)の量の割合が、−その都度、全ての、しかし耐摩耗性の硬質材料-粒子を含まない(部分-)硬化される樹脂組成物に対して−1.5〜12%、好ましくは3〜8%である、請求項2から8までのいずれか1項記載の装飾ラミネート。
【請求項10】
耐摩耗性の表面-もしくは摩耗-層を用いてコートされた積層体、特に木材原料をベースとするフローリングボードもしくはフローリングパネル用の、耐摩耗性の表面-もしくは摩耗-層を有する装飾ラミネートであって、前記ラミネートは、(部分-)熱硬化される合成樹脂に含浸され、相応する装飾が設けられ、外側の、見る-及び利用する側の繊維状物質-及び/又はペーパーウェブ(装飾ウェブ)の少なくとも1つの層と共に形成されており、前記ウェブは、熱可塑性ポリマーをベースとする少なくとも1つのろう及びさらに少なくとも1つの添加剤及び/又は助剤が添加されている少なくとも1つの熱硬化性合成樹脂をベースとしており、耐摩耗性に仕上げられる熱硬化される組成物に含浸されかつ表面コートされており、前記装飾ウェブの前記表面-層を形成する前記装飾ウェブの前記(部分-)熱硬化される合成樹脂組成物中に、少なくとも1つの耐摩耗性の硬質材料、特にα-酸化アルミニウムもしくはα-コランダム及び/又は炭化タングステンの粒子が分配されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の装飾ラミネートの製造方法において、
その都度用意される装飾で印刷された繊維状物質-もしくはペーパーウェブを一工程-作業手順において、常用の成分並びにさらに添加剤及び/又は助剤及び耐摩耗性の硬質材料-粒子を含有している熱硬化性樹脂の組成物に含浸し、かつ装飾ウェブの樹脂含浸で材料一体化されたもしくはひとかたまりの、閉塞しているもしくは滑らかな外部-表面を形成している表面-もしくは摩耗-樹脂層の同時の形成下にコートし、その内部で
・耐摩耗性の硬質材料の粒子、特にAl-もしくはコランダム-及び/又は炭化タングステン-粒子が、本質的には装飾ウェブ-表面に直接に及び装飾ウェブ-表面の直接の近接範囲内で低下され、かつそこで高い濃度で集積するか、もしくは
・装飾ラミネートの表面-層中に存在する研磨物質-粒子の分布密度がそれらの中で、高い値から出発して、装飾ウェブの表面上に直接にもしくは装飾ウェブの表面上で及び外部-表面までのそれらの直接の近接範囲内で−急な負の勾配に従い−本質的には0の値に低下し、
・繊維状物質-もしくはペーパーウェブの含浸及びコーティングのために樹脂組成物を使用し、前記樹脂組成物は、−改善される製造-及び利用-特性及びラミネートの表面-層の持続的に長続きする割れのないことにとって−本質的な成分として、ポリエチレン-、ポリプロピレン-及び/又はポリアミド−ポリマー-又は-コポリマーをベースとし、かつ少なくとも1つのポリビニルピロリドンを有する、微粉砕されたろう又はそのようなろうブレンドの、これらの中へ組み込まれた混合物もしくはそのようなコンパウンドを含有し、かつ
・装飾ウェブの含浸及びそれと同時に行われた表面-コーティング後に、装飾ウェブの常用の(部分-)硬化又は−相応する水分除去後に−、−装飾ウェブの下に配置されることができる−キャリヤーウェブを中間に置くか又は置かずに、ボード-又はパネル形の木材原料-基材、好ましくはフローリングボード又はフローリングパネル上への前記の樹脂組成物に含浸されかつコートされる装飾ウェブの直接施与を行う
ことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の装飾ラミネートの製造方法。
【請求項11】
請求項1から9までの少なくとも1つに記載されたような成分の含量を有する樹脂組成物を、−その都度そこに最終的に硬化もしくは部分-硬化される樹脂組成物のために記載された−量の割合に相応する量で使用する、請求項10記載の方法。

【公表番号】特表2007−504966(P2007−504966A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525564(P2006−525564)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000306
【国際公開番号】WO2005/023561
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506079940)カインドル デコール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Kaindl Decor GmbH
【住所又は居所原語表記】Kaindlstrasse 2, A−5071 Wals, Austria
【Fターム(参考)】