説明

裏面接点型太陽電池素子の接続装置、及び加熱ヘッド

【課題】タブを太陽電池素子に迅速に接着することができ、接着部分における品質の悪化を防ぐことができ、生産性及びエネルギー効率が高く、安価に太陽電池パネルを供給できる接続装置を提供する。
【解決手段】隣接する太陽電池素子Sの境界付近に配置された配線部材CのタブC2を太陽電池素子の裏面側に設けられた電気接点E2に密着させるための押圧手段5と、タブC2を太陽電池素子Sの電気接点E2に加熱接着するための加熱ヘッド2とを有し、加熱ヘッド2が、軟磁性材料からなり一部に開裂部4aが設けられた回路状の導磁部材4と、当該導磁部材4に巻回された誘導加熱コイル3からなり、押圧手段によりタブを電気接点に密着させつつ、導磁部材4の開裂部4aをタブ及び電気接点E2に近接させることにより、タブC2と電気接点E2を加熱接着することを特徴とする太陽電池素子の接続装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面接点型の太陽電池素子を配線部材により接続させる裏面接点型太陽電池素子の接続装置及び加熱ヘッドに係り、特に、配線部材を太陽電池素子に迅速に接着することができるとともに、接着部分における品質悪化を防ぐことができ、生産性及びエネルギー効率が高く、安価に太陽電池パネルを供給できる接続装置及び加熱ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、無尽蔵で環境汚染のないエネルギーとして存在する太陽光を直接電気エネルギーに変換する発電システムで、住宅用から大型発電分野へとその使用範囲を急速に拡大しつつある。
【0003】
このような太陽電池は結晶系、薄膜系、ハイブリッド系等に分類され、これらのうち結晶系の太陽電池は、多数の太陽電池セルがタブリード線等によって電気的に接続された構造になっているが、近年ではタブリード線等によって太陽光が遮られるのを防ぐため、全ての電極を太陽電池素子の裏面に配置する構造の太陽電池素子も実用化されている。
電極を太陽電池素子の裏面に配置する構造の太陽電池素子としては、特許文献1の図7や図9に記載されているような、第1及び第2の電気接点(電極板)が相互嵌合パターンでウエハ上に配置されている太陽電池素子が例示できる。(以後、このような構造の太陽電池素子を裏面接点型太陽電池素子と称する)。裏面接点型太陽電池素子を用いれば、当該太陽電池素子の端縁部に配置された第1の電気接点と、別の太陽電池素子の端縁部に配置された第2の電気接点を短い配線部材で繋ぐだけで太陽電池素子を電気的に接続できるので、太陽電池素子の接続工程を単純化して、コストダウンを図ることができる。
【0004】
なお、第1の電気接点と第2の電気接点を接続する短い配線部材としては、例えば特許文献2の図3(a)に記載されているような、隣接する太陽電池素子の境界線に沿って延びる本体から、電気接点と接触させるためのタブが突設された構造のものがある
このような配線部材を用いて、裏面接点型太陽電池素子を接続する方法としては、従来は、隣接する太陽電池素子の間に配線部材を配置してから、当該配線部材を押さえピン等で押さえ、半田ごて等を用いてタブを一の太陽電池素子の第1の電気接点及び他の太陽電池素子の第2の電気接点に半田付けする方法が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−519438号公報
【特許文献2】特表2008−502149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半田ごては昇温性能が低いので、接続に要する時間をあまり短縮することができず、この点が生産性やコストダウンの限界になる。
このような問題は、タブを加熱するための加熱手段として誘導加熱コイルを用いれば解消できると考えられる。即ち、誘導加熱方式の加熱ヘッドは昇温性能に優れているので素速く加熱接着を行うことができ、その分、接続に要する時間を短縮することができる。
【0007】
しかしながら、一般に誘導加熱コイルに用いる導線は、自家発熱を押さえるための冷却水を通す水路が内部に設けられている複雑な構造になっているので、誘導加熱コイル自体の小型化には限界がある。具体的には、現状で最も小さい誘導加熱コイルは直径15mm程度と比較的広いのに対し、配線部材に設けられるタブの幅は概ね3〜6mm程度と比較的狭いので、通常の誘導加熱コイルを用いると加熱の必要がない部分まで加熱することになる。このため、加熱接着される部分の近傍において、電極板上の錫メッキが溶融されてしまうので、見栄えが悪くなってしまい、接着部分において品質が悪化する。また、エネルギー効率が悪くなるという欠点がある。そればかりでなく、加熱接着した部分の冷却にも余分な時間がかかるので、生産性の面でも十分でない。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点を解消し、接着速度が速く、接着部分における品質の悪化を防ぐことができ、生産性及びエネルギー効率が高く、太陽電池パネルを安価に供給することができる接続装置及び加熱ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の特徴の第1は、端縁部に電気接点が設けられた裏面接点型の太陽電池素子を、タブを有する配線部材を用いて接続するための接続装置であって、隣接する太陽電池素子の境界付近に配置された配線部材のタブを太陽電池素子の裏面側に設けられた電気接点に密着させるための押圧手段と、タブを太陽電池素子に加熱接着するための加熱ヘッドとを有し、加熱ヘッドが、軟磁性材料からなり一部に開裂部が設けられた回路状の導磁部材と、当該導磁部材に巻回された誘導加熱コイルからなり、押圧手段によりタブを電気接点に密着させつつ、導磁部材の開裂部をタブ及び電気接点に近接させることにより、タブと電気接点を加熱接着する太陽電池素子の接続装置を内容とする。
【0010】
本発明の特徴の第2は、加熱ヘッドが太陽電池素子の表面側になるように配置されている上記の太陽電池素子の接続装置を内容とする。
【0011】
本発明の特徴の第3は、配線部材が、本体と該本体から両側に突設されたタブとからなる上記の太陽電池素子の接続装置を内容とする。
【0012】
本発明の特徴の第4は、導磁部材の開裂部付近であって、外面側中央部に溝が刻設されている上記の太陽電池素子の接続装置を内容とする。
【0013】
本発明の特徴の第5は、軟磁性材料からなり一部に開裂部が設けられた回路状の導磁部材と、当該導磁部材に巻回された誘導加熱コイルからなる加熱ヘッドを内容とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の接続装置における加熱ヘッドは、誘導加熱コイルを使用しているので、加熱接着の時間を短くすることができ、生産性を向上させて太陽電池の製造コストを下げることができる。また、軟磁性材料からなり一部に開裂部が設けられた回路状の導磁部材を用いて、開裂部から漏れた磁力線によりタブと電気接点の加熱接着が行われるが、開裂部の幅はタブの幅と同程度とすることができるので、加熱する範囲を必要最小限にまで狭めることにより、接着部分における品質の悪化を防ぐことができ、その分エネルギー効率が高くなる。
【0015】
太陽電池素子の裏面側からタブを電気接点に押し付けるように押圧手段を設けると共に、太陽電池素子の表面側からタブ及び電気接点を加熱接着するように加熱ヘッドを設けると、押圧手段と加熱ヘッドが干渉しないため、装置を単純化でき、故障や動作不良等のおそれが小さくなる。
【0016】
少なくとも開裂部付近において、導磁部材の外面側中央付近に溝を刻設すれば、本体からその両側にタブが突設された配線部材を電気接点に加熱接着する場合において、本体部分を加熱することなく、タブのみを加熱接着できるので、接着部分における品質の悪化を防ぐことができるとともに、エネルギー効率がさらに高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の太陽電池素子の接続装置の概略説明図である。
【図2】図2は本発明の接続装置で接続する裏面接点型太陽電池素子の概略説明図である。
【図3】図3は本発明で裏面接点型太陽電池素子を接続するための配線部材を示す平面図である。
【図4】図4は図1のA−A断面図である。
【図5】図5(a)は本発明の加熱ヘッドの底面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図6】図6は開裂部付近に溝が設けられた導磁部材を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図、(c)は(a)のD−D断面図、(d)溝部分に配線部材の本体を沿わせた状態を示す説明図である。
【図7】図7(a)は図5で使用される導磁部材の開裂部付近の形状を示す平面図であり、(b)は(a)のE−E断面図、(c)は(a)のF−F断面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明で使用される導磁部材の別例を示す概略断面図である。
【図9】図9は本発明で使用される押圧手段(押さえピン)を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の太陽電池素子の接続装置1は、図2に例示したような裏面接点型の太陽電池素子を、図3に例示したような配線部材を用いて接続するためのものである。詳しくは、図1乃至図5に示すように、隣接する太陽電池素子Sの境界付近に配置された配線部材CのタブC2を太陽電池素子Sの裏面側に設けられた電気接点E2に密着させるための押圧手段5と、タブC2を太陽電池素子Sに加熱接着するための加熱ヘッド2とを有し、加熱ヘッド2が、軟磁性材料からなり一部に開裂部4aが設けられた回路状の導磁部材4と、当該導磁部材4に巻回された誘導加熱コイル3からなり、押圧手段5によりタブC2を電気接点E2に密着させつつ、導磁部材の開裂部4aをタブC2及び電気接点E2に近接させることによりタブC2と電気接点E2を加熱接着することを特徴とする。
【0019】
なお、本発明において、加熱接着とは、配線部材CのタブC2の周りに塗布された半田を溶融させて、タブC2を太陽電池素子Sの電気接点E2に半田付けしたり、タブC2か電気接点E2のいずれかに塗布された導電性接着剤を熱硬化させて接着するなど、電気接点E2の上に配置されたタブC2を加熱することにより電気接点E2とタブC2を接着することをいう。
【0020】
本発明の太陽電池素子の接続装置1で接続される太陽電池素子Sは、図2に記載されているような、裏面の端縁部にタブC2を加熱接着するための電気接点E2が設けられている、所謂裏面接点型の太陽電池素子Sである。このタイプの太陽電池素子は一般的に、相互に嵌合する形状で、2枚組み合わせると太陽電池素子の形状とほぼ同じ形状になる電極板Eが裏面に設けられた構造であり、電極板Eの一端側に電気接点E2になる部分が設けられるとともに、他端側が細長く枝分かれした集電線E1になっている。なお、作図の都合上、図2における集電線E1は非常に太く、数も少ないが、実際の裏面接点型の太陽電池素子において、集電線E1は非常に細かく数十本以上に枝分かれしている。
【0021】
本発明で使用される配線部材Cは、例えば、図3に記載されているような、本体C1からタブC2が両側に突出した構造の導電性部材が好適であり、図4に示すように、タブC2の位置を電気接点E2に合わせた状態で、太陽電池素子Sの上に配置する。タブC2の部分には、通常の場合、半田や導電性接着剤が塗布されるが、電気接点E2の側に半田や導電性接着剤を塗布する場合には、タブC2の側には半田等の塗布を省略することもできる。
【0022】
本発明においてタブC2と電気接点E2の加熱接着に用いる加熱ヘッド2は、図5に示すように、導磁部材4と誘導加熱コイル3からなる。7はケースである。
本発明における誘導加熱コイル3は図示しない高周波電源と接続されており、この高周波電源で発生する高周波電流を誘導加熱コイル3に流すことにより、導磁部材4内に急速な磁束の変化を起こす。
なお、高周波電流を誘導加熱コイル3に流すことにより、誘導加熱コイル3は自己発熱するが、誘導加熱コイル3を形成する導線を中空管状にして、導線の中に冷却水を通すことにより、自己発熱による熱を冷却するように構成してもよい。
【0023】
誘電加熱に用いる高周波電流の周波数は、タブC2を太陽電池素子Sに加熱接着するのに適切な温度に加熱できる程度とすれはよく、具体的には150〜400kHz程度が適当である。
【0024】
本発明において、誘導加熱コイル3の形状は、導磁部材4内の磁場を変化させるために導磁部材4に巻回するが、誘導加熱コイル3の巻数については、タブC2の表面に付着している半田等を適切な温度に加熱できる程度とすればよい。図5には、1回巻回された誘導加熱コイル3が記載されているが、これに限定されず、通常は1〜3回程度巻回させることにより十分な温度が得られる。
【0025】
本発明において、導磁部材4は誘導加熱コイル3から発せられる磁力線をタブC2に効率よく作用させるためのものであるので、透磁性が高いことが必要であり、従って、本発明では軟磁性材料からなる導磁部材4が使用される。具体的な材質としては、透磁性に優れた軟磁性材料であれば特に限定されず、珪素鋼のような導電性材料でもよいが、抵抗率が高くて150kHz以上の高周波を利用しても比較的発熱しにくいフェライトが好ましい。好適なフェライトの例としては、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト等が挙げられる。
【0026】
導磁部材4の材質として導電性を有する物質を使用する場合には、誘導加熱コイル3と導磁部材4の間に絶縁体を介在させる必要がある。使用する絶縁体としては特に限定されないが、シリコン樹脂やポリイミド樹脂が例示できる。また、誘導加熱コイル3の周りに絶縁テープを巻きつけてもよい。
【0027】
特に、誘導加熱コイル3を形成する導線を中空管状にして、導線の中に冷却水を通す場合、熱伝導率の高い絶縁体を使用することにより、導磁部材4を同時に冷却することができるので好ましい。このような熱伝導率の高い絶縁体としては、セラミックスフィラーをシリコーンに高充填した材料、例えば、電気化学工業株式会社製、商品名:デンカ放熱シート等が例示できる。
【0028】
導磁部材4の形状は、一部に開裂部4aが設けられた回路状とされる。本発明においては回路状とは、誘導加熱コイル3に通電することにより、内部に磁気回路が形成される形状をいい、典型的にはリング状が例示される。
本発明においては、導磁部材4に開裂部4aを設けることにより、誘導加熱コイル3への通電によって導磁部材4の内部に引き起こされた磁束が、この開裂部4aから漏れ出し、この漏れた磁束の変化によってタブC2及び電気接点E2を加熱接着できるように構成されている。
なお、開裂部4aの大きさについては任意に設定できるので、比較的小さなタブC2を接着する場合、開裂部4aの幅をタブC2の幅と同程度とすることにより、周辺の余分な部分を加熱せず、タブC2の部分のみを加熱するエネルギー効率の高い導磁部材4を容易に得らることができる。
具体的には、タブC2の幅は3mm程度であるのが一般的なので、開裂部4aの幅は3mm程度にすればよい。
【0029】
開裂部4a付近の外面側中央部には、図6に示すように、導磁部材4の周方向に延びる溝4bを刻設することもできる。これにより溝4bの部分から磁束が漏れにくくなるが、図6(d)に示すように、この溝4bの部分を加熱接着の必要がない配線部材Cの本体C1の部分に沿わせることにより、本体C1部分に対する加熱が抑えら、タブC2の部分のみが加熱されるので、エネルギー効率が向上する。
溝4bの幅については特に限定されないが、溝4bの幅を本体C1の幅とほぼ同一とすることにより、エネルギー効率を向上させることができる。
【0030】
導磁部材4の具体的な形状は、回路状で開裂部が設けられている限り特に限定されないが、図5に示す加熱ヘッド2では、フェライトを焼結してなる、外径36mm、内径23mm、厚さ15mmのドーナツ状部材(所謂、トロイダルコア)に幅3mmの開裂部4aを削成するとともに、当該開裂部4aの外側に4個の突出部4cを残してその他の部分を平面状にし、幅方向に並ぶ突出部4cの間の部分を溝4bとして用いる導磁部材(図7参照)が使用されている。
但し、突出部4cや平面状の部分4dは必ずしも設ける必要はない(図8(a)(b)参照)。また、開裂部4aの外面側が狭くなるように削成(図8(c)参照:本例ではテーパ状に削成)すれば、外面側に磁束が集中しやすくなり、昇温性能が向上する。
また、図5では突出部4cの上面がケース7と面一とされ露出しているが、突出部4cがケース内に収納されていても差し支えない。
【0031】
本発明による太陽電池素子の接続装置には押圧手段5が設けられる。押圧手段5は、隣接する太陽電池素子Sの境界付近に配置された配線部材CのタブC2を太陽電池素子Sの裏面側に設けられた電気接点E2に密着させるための部材である。押圧手段5の具体的な構成についてはタブC2と電気接点E2を密着させることができる限り特に限定されないが、タブC2を上から押さえつけるための棒状部材(押さえピン)が押圧手段として例示できる。
【0032】
押圧手段5の材質は特に限定されないが、誘導加熱されない物質を用いるのが好ましい。電磁誘導されない物質で押圧手段5を構成すれば、加熱接着の際に押圧手段5は発熱しないので、タブC2の上側にも半田が付着しているような配線部材Cを使用した場合でも上側の半田が溶融しにくくなる。従って、押圧手段5とタブC2とが接着しにくくなり、押圧手段5を外すときにタブC2が電気接点E2から引き剥がされるようなトラブルを防止できる。なお、押圧手段5の構造は特に限定されないが、図9に示したような、中空のガイド5bの中に押さえピン5を取り付けるとともに、押さえピン5が挿出自在で且つ抜け出し不能となるようにし、弾性手段5aにより押さえピン5を外側に付勢する構成が例示できる。
この場合は、押さえピン5のみならず、押さえピン5を太陽電池素子S側に付勢する弾性手段5aやガイド5bも誘導加熱されない物質としてもよい。具体的には、押さえピン5やガイド5bを誘導加熱されないセラミックス製にすると共に、弾性手段5aを耐熱プラスチック製にすることができる。
【0033】
押圧手段5はタブC2を太陽電池素子Sの裏面側にある電気接点E2に押し付けるための構成なので、太陽電池素子Sの裏面側(図1の上側)に設ける必要があるが、上記の加熱ヘッド2を太陽電池素子Sの裏面側(図1の上側)に設けると、加熱ヘッド2と押圧手段5の干渉を防ぐため接続装置1の構造が複雑になってしまう。従って加熱ヘッド2は太陽電池素子Sの表面側(図1の下側)に配置するほうが好ましい。
なお、誘導加熱方式の加熱ヘッド2は導電体部分のみを加熱し、半導体や不導体の部分を加熱しないので、図1に示したように、加熱ヘッド2を太陽電池素子Sの表面側(図1の下側)に設置しても、磁束は半導体部分を透過し、太陽電池素子の裏面側(図1の上側)に設けられた電気接点E2とタブC2を直接加熱することができる。
このような接続装置1によれば、図4に示すように、押圧手段5でタブC2を電気接点E2に密着させつつ、密着させた部分を加熱接着することができる。
【0034】
通常の場合、本発明の太陽電池素子Sの接続装置は、太陽電池素子S及び配線部材Cを供給する供給手段や、これらを適当な位置に移動させるための移動手段、供給された太陽電池素子Sや配線部材Cを支持・載置するための支持部材(作業台)、その他、従来の接続装置で使用されているような、半田の溶融や冷却固化を早めるための予熱手段や冷却手段、急激な温度変化を防ぎ熱ストレスを緩和して太陽電池素子の割れや欠けを防ぐための恒温手段、太陽電池素子の反りを矯正するための矯正手段などと共に使用される。
上記した太陽電池素子の供給手段、タブの供給手段、これらの移動手段、支持部材(作業台)、予熱手段、冷却手段、恒温手段、矯正手段、その他製造コストを低下させたり品質を向上させたり歩留まりを改善するための手段は、本発明の太陽電池素子の接続装置と一体に製造してもよいし、別体に製造して本発明の接続装置と組み合わせて使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
叙上のとおり、本発明の太陽電池素子の接続装置によれば、加熱ヘッドが、軟磁性材料からなり一部に開裂部が設けられた回路状の導磁部材と、当該導磁部材に巻回された誘導加熱コイルからなるので、生産性が高いだけでなく、タブの部分だけをピンポイントで加熱し、他の部分を加熱しないので、接着部分における品質の悪化を防ぐことができるとともに、エネルギー効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 太陽電池素子の接続装置
2 加熱ヘッド
3 誘導加熱コイル
4 導磁部材
4a 開裂部
4b 溝
4c 突出部
4d 平面状の部分
5 押圧手段(押さえピン)
5a 弾性手段
5b ガイド
6 支持台
7 ケース
C 配線部材
C1 本体
C2 タブ
S 太陽電池素子
E 電極板
E1 集電線
E2 電気接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端縁部に電気接点が設けられた裏面接点型の太陽電池素子を、タブを有する配線部材を用いて接続するための接続装置であって、
隣接する太陽電池素子の境界付近に配置された配線部材のタブを太陽電池素子の裏面側に設けられた電気接点に密着させるための押圧手段と、タブを太陽電池素子に加熱接着するための加熱ヘッドとを有し、
加熱ヘッドが、軟磁性材料からなり一部に開裂部が設けられた回路状の導磁部材と、当該導磁部材に巻回された誘導加熱コイルからなり、
押圧手段によりタブを電気接点に密着させつつ、導磁部材の開裂部をタブ及び電気接点に近接させることにより、タブと電気接点を加熱接着することを特徴とする太陽電池素子の接続装置。
【請求項2】
加熱ヘッドが太陽電池素子の表面側になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池素子の接続装置。
【請求項3】
配線部材が、本体と該本体から両側に突設されたタブとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池素子の接続装置。
【請求項4】
導磁部材の開裂部付近であって、外面側中央部に溝が刻設されていることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池素子の接続装置。
【請求項5】
軟磁性材料からなり一部に開裂部が設けられた回路状の導磁部材と、当該導磁部材に巻回された誘導加熱コイルからなることを特徴とする加熱ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−69963(P2013−69963A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208659(P2011−208659)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(506021802)アロニクス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】