説明

補強された多角形リングを有するプロペラハブおよびこの種のハブが設けられるタービンエンジン

本発明は、プロペラのブレードを支持するための多角形リング(17)に関し、これは、互いに対して平行に間隔を置いて設けられた2つの環状端部側面(20、21)から成り、その間で、半径方向円筒状の窪み(24)を有するリング(23)が、定着領域(30)を介して直径方向に堅固に接続され、前記リングは、前記ブレードを受け入れるために等角に配置され、貫通キャビティ(33)によって交互に分離される。本発明によれば、前記多角形リング(17)は、前記貫通窪み(33)の中に配置され、かつ前記対応するリング(23)に接続される補強要素(26)をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト無しファン(「オープンロータ」)タイプのターボ機械用の可変ピッチブレードのプロペラハブに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのターボ機械のファンは、通常、それぞれ上流および下流に2つの二重反転同軸外部プロペラを備え、そのそれぞれは、ターボ機械のタービンによって回転で駆動され、ターボ機械のナセル外側に実質的に1半径方向に延在する。
【0003】
各プロペラは、通常、ターボ機械の長手方向軸線と同心の、および、前記ブレードを受け入れる円筒状の半径方向ハウジングを有するカラーが環状フランジから生まれる根元領域によってその間で直径方向に固着される2つの平行な環状端部フランジから成る、前記ブレードを支持する多角形リングを含むタイプのハブを備えている。カラーは、多角形リングの側方周縁部に等角に配置され、貫通開口またはオリフィスを有する平らな中間領域によって互いから分離され、接続手段が、ターボ機械のタービンロータ要素に多角形リングを接続する。
【0004】
ブレードは、多角形リングのカラーのハウジングの中で回転することができ、このために、ブレードの角度ピッチを調整し、ターボ機械の運転条件に応じてこれを最適にするための適切な手段によってブレードの軸線を中心に回転で駆動される。
【0005】
運転時に、ターボ機械の回転部品、特にプロペラのハブおよびブレードは、機械的、熱的、空気力学的、その他のタイプの高負荷をさまざまな程度で受ける。特に、ブレードの円筒状のハウジングは、それらが楕円形状をとるまで、多角形リングの半径方向カラーの高さのところで加えられる高い力によって変形される傾向がある。カラーを環状フランジに接続する根元領域は、幅広であり、機械的強度および剛性上の理由でカラーの大きな周縁部にわたって延在するので、カラーに接したこれらのフランジによって加えられる牽引力によって、これらは楕円形状をとることになる。したがって、各カラーの円筒状のハウジングと、ブレードを担持しかつそのピッチが変更できるようになる回転装置(特に、プレートおよびクラウン装置)との間に設けられる軸受のレースウェイは、急速に劣化してブレードの正しい機能をもはや保証しない点に達する場合があり、したがって、これがもたらし得る結果が生じるという危険性がある。
【0006】
さらに、1メートルよりも大きな直径を有する場合がある多角形リングの質量を低減するために、リングの側方周縁部の中間領域には、ブレードを受け入れる半径方向ハウジングを有するカラーの間に択一的にかつ連続的に形成される貫通開口が設けられる。結果として、多角形リングの機械的特性をこれが危うくすることなく、質量の重要な節約がある。
【0007】
さらに、複合材料の使用が、やはり部品を軽くするために、また剛性および寿命上の理由で絶えず拡張している。また、プロペラブレードは、これらの複合材料から製造されることが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5263898号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
運転時に、タービンに面するその内部側とは対照的に、多角形リングの外部側に接続されるブレードの根元は、特にタービン要素の冷却回路内の加熱空気の流れによって生じる比較的高い温度に曝されることが注目されている。この加熱空気のうちの一部は、多角形リングの中間領域内の貫通開口を通過し、ブレードの根元の周りを流れ、その結果これらを加熱する。ブレードの複合材料は、これらの温度と相容れない。さらに、ターボ機械を同軸に通過する燃焼ガスは、冷却回路の存在にもかかわらず、特に部品自体を介して伝導によってこれらの高温度レベルを維持する一因となる。
【0010】
本発明の目的は、これらの欠点を改善することであり、本発明は、前記多角形リングの設計がカラーの円筒状のハウジングの変形がないことを特に保証する可変ピッチブレードのプロペラハブに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的のために、
長手方向軸線と同心の、および、ブレードを受け入れる円筒状の半径方向ハウジングを有するカラーが環状フランジから生まれる根元領域によってその間で直径方向に固着される2つの離間した平行な環状端部フランジから成る、ブレードを支持する多角形リングであり、前記カラーが、多角形リングの側方周縁部に等角に配置され、貫通開口を有する中間領域によって互いから分離される、多角形リングと、
ターボ機械のタービンロータ要素に多角形リングを接続する接続手段と
を含むタイプの、長手方向軸線を有するターボ機械用の可変ピッチブレードのプロペラハブは
本発明によれば、2つの連続するカラーと環状端部フランジとの間に画定される中間領域が、半径方向におよび/または接線方向に配置されるカラーを補強し、かつ2つの連続するカラーの側方壁に少なくとも固着されるための要素を含むという点で注目すべきである。
【0012】
1つの実施形態では、補強要素が前記環状端部フランジに実質的に平行に、半径方向に配置される場合に、補強要素のそれぞれは、中間部の貫通開口の中に半径方向に配置され、かつ2つの連続するカラーの対応する側方壁にその側方端縁によって固着される薄い剛性プレートの形をとっている。
【0013】
したがって、本発明により、半径方向プレート補強要素は、補剛リブを構成し、この補剛リブは、根元領域を介して端部環状フランジに向き合ったカラーの正反対の接続部に直角の、2つの連続するカラーの間の補剛リブの配置のため、前記カラーおよびしたがって円筒状の半径方向ハウジングが、加えられる負荷のために楕円形状をとることを防止する。したがって、ハウジングの負荷は、カラーの変形なしに吸収される。かつ、ブレードの回転装置に設けられる軸受のレースウェイは、それらの完全性を保持する。
【0014】
また、補強要素を製造する簡単さが注目され、この簡単さは、カラーの変形を防止することに加えて、リング(薄いプレート)の重量のいかなる重要な増加ももたらさず、根元領域が小さいのでますます、リングに貫通開口が存在することを正当化する。
【0015】
カラーに接した環状端部フランジの前記根元領域は、有利なことに、前記補強要素の存在のために小さな厚さを有することができる。したがって、たとえこれがブレードによって引き起こされる振子運動にあまり抵抗とならないとしても、薄い根元領域の高さのところの変形の危険性は、この振子運動に抵抗し、かつカラーが楕円形状をとることを防止する補強要素によって、除去される。たとえば、根元領域の厚さは、実質的に前記補強要素の厚さ、または前記カラーの厚さと同じ程度のものである。
【0016】
カラーのためのプレートを有する補強要素は、長手方向軸線に直角の、かつブレードを受け入れる円筒状の半径方向ハウジングの幾何学的軸線を含む、かつ多角形リングの2つの環状端部フランジから等距離の、多角形リングの中央の半径方向平面に位置していることが好ましい。したがって、各カラーは、4つの相互に直角な接続部(環状端部フランジの根元領域を有する2つの接続部、カラーの補強要素を有する2つの接続部)によって堅固に保持され、カラーのそれぞれに十分な剛性を与える。したがって、補強要素は、カラーを補強するディスクを形成し、その結果それらのハウジングが楕円形状をとることを防止する。
【0017】
前記補強プレート要素は、前記カラーの全高にわたって半径方向に延在することが有利である。結果として、カラーのハウジングの変形をできるだけ低減し、作動力に対するそれらの抵抗を増加するという目的が達成される。
【0018】
他の実施形態では、補強要素が接線方向に配置される場合に、補強要素は、前記連続するカラーと前記環状端部フランジとの間に画定される中間領域で貫通開口を閉塞し、前記多角形リングの前記側方周縁部は、実質的に中実であり、連続している。
【0019】
したがって、前記ターボ機械に面している前記多角形リングの内部側と前記ブレードに面している外部側との間の連通が防止される。
【0020】
前記リングの側方周縁部の閉鎖設計により、冷却回路は、多角形リングの内部側に導かれ、それに閉じ込められ、したがってターボ機械を通過することなくターボ機械の下流端部の方へ流れ込む。結果として、複合材料の根元を有するブレードは、それらの非常に多くの利点のために、および根元の劣化を防止するように全く安全に使用され得る。
【0021】
好ましい実施形態では、接線方向の補強要素はそれぞれ、薄い材料ウェブの形をとり、前記ウェブの組は、前記多角形リングの前記側方周縁部を閉塞する。したがって、この実施形態によって、多角形リングの内部側と複合材ブレードを担持するそれの外部側との間の高温ガスの流れを分離しながら同時に、前記多角形リングの質量の増加を最小限にすることができるようになる。
【0022】
特に、前記薄いウェブは、実質的に、多角形リングの厚さの中央に位置している。
【0023】
環状端部フランジから生じ、カラーを直径方向に接続する前記根元領域は、小さい厚さを有することが有利である。これらの領域の小さい厚さは、たとえば、カラーの厚さに実質的に対応する。
【0024】
したがって、リングの側方壁の中間領域に設けられるウェブは、ブレード根元に関して熱シールドとして役立つばかりでなく、カラーおよび根元領域に関して補剛材としても役立つ。
【0025】
根元の領域は、通常、幅広であり、機械的強度および剛性上の理由でカラーの大きな周縁部にわたって延在するので、カラーに接したこれらのフランジによって加えられる牽引力により、これらは楕円形状をとる場合がある。したがって、各カラーの円筒状のハウジングと、ブレードを担持しかつブレードのピッチを変更できるようになる回転装置との間に設けられる軸受のレースウェイは、急速に劣化してブレードの正しい機能をもはや保証しない点に達する場合があり、したがって、これがもたらし得る結果が生じるという危険性がある。
【0026】
これらの根元領域の大きさ(厚さ)を減少させることは、牽引力の影響を低減し、楕円形状をとるカラーの危険性を除去し、また、これは、ブレードによって引き起こされる振子運動に対する根元領域の低減した抵抗によって生じ得る根元領域の変形の危険性を低減し、前記リングの側方周縁部で中間領域に配置される接線方向ウェブによって対抗される。
【0027】
さらなる実施形態では、各補強要素は、十字形横断面を画定する2つの直角の薄い剛性プレートの形をとり、一方のプレートは、貫通開口の中に半径方向に配置され、対応する2つのカラーを接続し、かつ直角の他方のプレートは、多角形リングの側方周縁部に接線方向に配置され、貫通開口を閉塞するようにリングの環状端部フランジを接続する。
【0028】
したがって、カラーの剛性がさらに増大され、それらの変形が除去されるばかりでなく、貫通開口のクロージャを用いて、ターボ機械のノズルの中を流れる冷却高温ガスの一部は、タービンが配置されるリングの内部側からプロペラのブレードが配置される外部側の方へ開口を通過し、かつ、ブレードが複合材料で製造されているとすれば高温に敏感であるブレードの根元を過熱することも防止される。
【0029】
半径方向および/または接線方向であろうとなかろうと、補強要素は、多角形リングと一体になることが好ましい。したがって、リングの全体は、圧延技術および加工技術によって直接一体に得られる。明らかに、前記補強要素はまた、完成した多角形リングに固定して取り付けられ得る。
【0030】
また、本発明は、ダクト無しファンタイプのターボ機械にも関する。本発明は、上で規定されたように前記ファンのプロペラハブを含むことが有利である。
【0031】
添付の図面の図は、本発明がいかに実施状態とされ得るかを示している。これらの図では、同一の参照符号は、同様な要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ダクト無しファンタイプのターボ機械の長手方向断面の概略図である。
【図2】プロペラのブレードを担持し、半径方向補強要素が装着されるその多角形のハブリングを有する、前記ターボ機械の上流プロペラの一部斜視図である。
【図3】ブレード支持カラーのための薄いプレートの半径方向補強要素を示す、図2による多角形リングを拡大した部分図である。
【図4】補強要素の図3の線A−Aによる断面図である。
【図5】プロペラのブレードを担持し、接線方向補強要素が装着されるその多角形のハブリングを有する、ターボ機械の上流プロペラの一部斜視図である。
【図6】対応するブレードのない、かつ、ブレードを受け入れるためのハウジングを有するカラーを接続する接線方向材料ウェブ補強要素を示す、図5によるハブのリングを拡大した部分図である。
【図7】前記多角形リングの図6の線A−Aによる半径方向断面図である。
【図8】半径方向および接線方向の両方にある前記補強要素の異なる実施形態を、図4と類似の横断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
第1に、ダクト無しファン(「オープンロータ」)のターボ機械1を示す図1を参照すると、このターボ機械1は、長手方向軸線Aを有するターボ機械の内側のガスの流れ方向に、上流から下流方向に圧縮機2、環状燃焼室3、高圧タービン4、および二重反転する、すなわちターボ機械の長手方向軸線Aを中心に反対方向に回転する2つの低圧タービン5、6を含んでいる。
【0034】
これらの下流タービン5、6のそれぞれは、ターボ機械のナセル10の半径方向外側に延在する外部プロペラ7、8と一緒に回転するように拘束され、このナセル10は、実質的に円筒形であり、圧縮機2、燃焼室3、およびタービン4、5、および6の周りに軸線Aに沿って延在する。
【0035】
ターボ機械に入る空気流11は、圧縮され、次いで燃料と混合され、燃焼室3の中で燃焼され、次いで、燃焼ガスが、タービンを通過して、ターボ機械によって発生される推力の大半を与えるファン7、8を回転駆動する。タービンを離れる燃焼ガスは、ノズル12を介して排出されて(矢印14)、推力を増大させる。
【0036】
プロペラ7、8は、一方が他方の後方に同軸に配置され、ターボ機械1の長手方向軸線Aを中心に規則的に配置される複数のブレード15を含んでいる。これらのブレード15は、実質的に半径方向に延在し、可変ピッチタイプから成り、すなわち、これらは、ターボ機械の運転条件に応じてそれらの角度位置を最適化するようにそれらの軸線を中心に回転することができる。
【0037】
特に米国特許第5263898号明細書に説明されている、知られている配置では、各プロペラ7、8は、ブレード15を支持する多角形リング17によって主として形成され、かつターボ機械1の長手方向軸線Aと同心にかつそれに直角に配置される回転ハブまたはロータ要素16を備えている。たとえば、図1および図2に示される上流プロペラ7の場合、ハブ16の多角形リング17は、ナセル10の対応する回転部10Aに配置され、図1に象徴的に示される適切な接続手段18によってそれに接続される。
【0038】
ブレード15を支持するこの多角形リング17は、通常、一体構造から成り、その側方周縁部19は、半径方向カラー(またはブッシュ)23などの中間円筒状部分22によって互いに接続される2つの平行な環状多角形端部フランジ(または部品)20および21から成る。これらは、リング17の結果として得られる側方周縁部19に等角に配置され、カラーの側方壁25は、円筒状の半径方向ハウジング24を形成し、その軸線Bは、ターボ機械1の長手方向軸線Aの方へ同じ半径方向平面に収束し、これは、ブレード取付け装置29を受け入れることが意図される。
【0039】
これらの取付け装置29は、より具体的には、図2に図式でかつ外部的に示されており、たとえば、米国特許第5263898号明細書を参照して詳細に説明されている。手短かに言えば、各装置29は、一方の側でブレード15の根元15Aを担持し、他方の側でカラー23のハウジング24に係合される。ハウジングに設けられる図示しない軸受により、リングのハウジングに対して取付け装置の図示しない適切な手段を介して回転することができる。したがって、ブレードのピッチは、ブレード回転手段の全体的制御によって航空機の速度およびフライトフェーズに応じて変更され得る。
【0040】
さらに、図2および図3に見られるように、円筒状のカラー23の側方壁25は、多角形リング17の側方周縁部19上に直径方向に正反対の位置に設けられ、かつ環状端部フランジの高さと同一であることが好ましい高さを有する根元または接続領域30によって環状端部フランジ20、21に固着される。図2では、ブレード15の取付け装置29を受け入れるハウジング24は、リングの多角形側方周縁部19の平面領域31の交差部分に位置しており(この例では12個ある)、これは、特に適切な圧延技術および加工技術によって一体に製造されることに、さらに留意されたい。
【0041】
また、多角形リング17を軽くするために、2つの連続するカラーの間の平面領域31は、連続するカラーの側方壁25によって、およびリングの環状端部フランジ20、21の対応する部分によって画定される貫通開口またはオリフィス33を有する。したがって、これらの開口33は、プロペラのハブ16を形成する多角形リングの側方周縁部19においてカラー23と交互する。目下製作途中として、これらの貫通開口33のうちの2つが、図2の詳細部Dに示されており、根元領域30(そのうちの1つだけが見えている)は、環状フランジ20、21の直径方向にカラー23を固着している。示された領域の厚さまたは幅は、大きく、上で述べたように、これらのフランジによってカラーに加えられる牽引力のために、楕円形状をとるカラーをもたらすということが分かる。
【0042】
本発明によれば、補強要素26は、カラー23の変形を防止するように、かつ特に、これらに加えられる激しい力のためにこれらが楕円形状とることを防止するように貫通開口33に設けられる。このために、図2から図4で示される実施形態では、補強要素26は、半径方向に配置され、2つの連続するカラー23の側方壁25と堅固に結合し、リングの環状端部フランジ20、21に接したカラー25の正反対の根元領域30に直角にこれらの側方壁に係合し、すなわち、その場合、楕円形状をとる高い危険性がある。図2の拡大部Dに示されるように先行技術の幅広の根元領域30と対比して、リングの他の領域30は、カラーまたは補強要素の厚さと同じ程度の小さな厚さe(図3)を有し、これは、カラー23に接したフランジによって加えられる力、およびしたがって楕円形状をとるそれらの傾向を大いに低減することに留意されたい。また、補強要素26は、根元領域30の減少した大きさeによってそれが増幅する危険性のある、ブレードによって引き起こされる振子運動に抵抗し、カラーを補剛する一因になることによってこの場合より小さい根元領域の高さのところの変形の危険性を除去する。
【0043】
この実施形態では、補強要素26は、貫通開口33にそれぞれ配置される薄い剛性プレート27によって形成され、多角形リング17の中央の半径方向平面に、すなわち、図2および図4に示されるように、ターボ機械の長手方向軸線Aに直角の、かつブレードを受け入れる円筒状のハウジング24の幾何学的軸線Bを含む、リングの2つの環状端部フランジ20、21から等距離の平面に位置している。図2および図3に示されるように、このように半径方向に配置される薄い剛性プレート27は、カラー23の薄い根元領域および側方壁25の、特にブレードが回転する軸受のレースウェイの変形を防止する。したがって、これらの薄いプレート27の組は、複数の補強リブから形成される力吸収ディスクを形成する。変形を防止するために、各薄い剛性プレート27は、カラー23の全高に延在し、プレートの側方端縁28は、カラーの壁25に固着される。
【0044】
したがって、これらの補強要素26および薄い領域30の配置によって、カラーのハウジングの変形の防止、および一般にさまざまな作動力に対するカラーの抵抗力が補強され、結局は、各カラー23の側方壁25が4つの直角の接続部(2つの接続領域30、および2つの補強要素26)によって「支持され」るので、カラーのハウジングと回転取付け装置29との間に設けられる軸受のレースウェイに劣化を回避する。
【0045】
さらに、小さな根元領域の変形の危険性を除去するように、かつカラーを強くするように薄いプレート27を付加するということは、根元領域3が小さいのでますます、プロペラ7のハブ16の質量のいかなる重要な増加にも寄与しない。
【0046】
上で述べたように、多角形リング17は、環状端部フランジ20、21、カラー23、および補強要素26が全く同一の部品を構成するように適切な技術によって直接製造される。しかしながら、カラーの側方壁の間に薄い剛性プレートを溶接するなどによって組み立てることが、考えられるであろう。
【0047】
補強要素26の他の実施形態が、図5から図7を参照して下文に説明される。まず第1に、ブレード取付け装置29は、先の実施形態のブレード取付け装置と同一であることに留意されたい。手短かに言えば、各装置に対して、ピン関節結合、ほぞ穴とほぞ、または他の接続部を介して、ブレード15の根元15Aを1つの面で担持するプレート29Aが一致し、同時にその他の面は、カラー23のハウジング24に多角形リングの外部から係合される。また、クラウン部29Bは、プレートに固定されるように、かつプレートを軸方向に動かなくするように、ただ多角形リング17の内部からだけハウジング24に取り付けられ、プレートとクラウンの間でハウジングに設けられる図示しない軸受によって、多角形リングのハウジングに対するプレートの、図示しない適切な手段による回転がブレードのピッチを変更できるようになる。
【0048】
円筒状のカラー23の側方壁25は、多角形リング17の側方周縁部19に接して直径方向に正反対の位置に設けられる根元または接続領域30を介して環状端部フランジ20、21に固着される。これらの領域30の高さは、環状端部フランジの高さと同一であることが好ましい。さらに、ブレード15を受け入れる取付け装置29のハウジング24は、前のとおり、カラーの多角形側方周縁部19を構成する中間の平面領域31の交差部分に位置していることが図5で分かる。カラーは、特に適切な圧延技術および加工技術によって一体に製造される。
【0049】
図5の詳細部Dに部分的に示される先の実施形態では、多角形のカラー17の側方周縁部19の中間の平面領域31は、環状端部フランジ20、21と円筒状のカラー23との間に全く材料がない貫通開口またはオリフィス33を備えているが、これらの中間の平面領域31は、中実であり、連続している。このために、開口33には、図5から図7が示すようにこの実施形態では、接線方向の、かつそれぞれが薄い壁35を有する材料ウェブまたはシート34の形をとる補強要素26が設けられる。したがって、薄い壁35を有するこれらのウェブ34の組は、多角形リングの側方周縁部19において、ターボ機械1のタービン5、6に面している多角形リング17の内部側と、それに関する限りプロペラ7のブレード15に面している外部側との間に接線方向の分離隔壁を構成する。したがって、この分離隔壁によって、特にブレードが金属よりもはるかに熱に敏感である複合材料で作られる場合、前のとおり高温ガスが貫通開口を通過し、プロペラのブレード15の根元15Aを過熱することを防止することによって、低圧タービン5の冷却回路の高温ガスの流れを導き、したがって熱分離できるようになることが明らかである。
【0050】
高温の冷却流を導くということに加えて、プロペラのブレードの根元の適切な冷却は、境界層内の空気によって得られ得る。
【0051】
したがって、ブレードの根元は、それの加熱をもたらすことなく、多角形リング17の外部の高さのところで適切な温度に維持される。
【0052】
構造的観点から、材料ウェブ34は、多角形リング17の製造中に直接製造される。もちろん、これらは、後に取り付けられることもできる。特に図4では、材料ウェブ34は、多角形リングの質量の増加の一因にならないように最小の厚さを有することが分かる。
【0053】
薄いウェブ34を有する補強要素26は、多角形の環状17の厚さの中央に実質的に位置しているが、もちろん、これらは、本発明の範囲を逸脱することなく、多角形リングの外部側と内部側との間の異なる位置にあることもできる。
【0054】
また、前のとおり、図5の詳細部Dでは、根元領域30は、比較的厚肉であり、カラーの重要な周縁部分を覆っていることが分かる。他方では、中間領域31にウェブ34を配置する場合には、根元領域30は、小さな厚さを有し(図2および図3)、僅かに中間領域を大きくする。厚さeは、カラーの側方壁の厚さと同じ程度のものであることができる。上で述べたように、根元領域の厚さを減少させることは、特に、カラーに接したフランジによって加えられる牽引力の影響を低減し、したがって楕円形状をとるカラーの危険性を除去することをもたらし、この場合小さな根元領域の変形の危険性のある、ブレードによって引き起こされる振子運動に対する抵抗は、多角形リングの側方周縁部を閉塞し、補剛する接線方向ウェブ34の存在によって対抗される。
【0055】
あるいは、異なる実施形態では、各補強要素26は、たとえば、図8に示される方法で、十字形横断面を有することもできる。したがって、第1の薄い剛性プレート27Aは、図2から図4の先の実施形態の場合とちょうど同じ方法で配置され、同時に、第1の薄いプレートに直角の、およびそれの両側から生じるウェブとして役立つ第2の薄いプレート27Bは、図5から図7の実施形態の場合のように、これが環状端部フランジ20、21およびカラー23の壁に直面するまで、対応する貫通開口33の中に接線方向に延在する。
【0056】
したがって、多角形リング17の側方周縁部19のところの貫通開口33は、完全に閉塞され、十字形補強要素26の組は、一般にカラーおよび環状17をさらに補剛すること、およびまた、タービンが配置される内部側からブレード15が配置されるハブ16の外部側を熱的に分離することに寄与する。したがって、ターボ機械を流れる冷却高温ガスの流れは、その多角形リングを有するハブの内部側から導かれ、プロペラブレードが複合材料から作られる場合に特に重大な、プロペラのブレードの根元の過熱を引き起こす危険性のある貫通開口をもはや通過しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線と同心の、および、ブレードを受け入れるための円筒状の半径方向ハウジング(24)を有するカラー(23)が環状フランジから生まれる根元領域(30)によってその間で直径方向に固着される2つの離間した平行な環状端部フランジ(20、21)から成る、ブレード(15)を支持する多角形リング(17)であり、前記カラー(23)が、多角形リングの側方周縁部に等角に配置され、貫通開口(33)を有する中間領域(31)によって互いから分離される、多角形リング(17)と、
ターボ機械のタービンロータ要素に多角形リング(17)を接続する接続手段(18)と
を含むタイプの、長手方向軸線を有するターボ機械用の可変ピッチブレードのプロペラハブであって、
2つの同心のカラーと環状端部フランジとの間に画定される中間領域(31)が、半径方向におよび/または接線方向に配置されるカラー(23)を補強し、かつ2つの連続するカラーの側方壁に少なくとも固着されるための要素(26)を含むことを特徴とする、ハブ。
【請求項2】
前記補強要素(26)が前記環状端部フランジに実質的に平行に、半径方向に配置される場合に、その前記補強要素(26)のそれぞれが、貫通開口(33)の中に半径方向に配置され、かつ2つの連続するカラーの対応する側方壁(25)にその側方端縁(28)によって固着される、薄い剛性プレート(27)の形をとる、請求項1に記載のハブ。
【請求項3】
カラー(23)に接したその環状端部フランジ(20、21)の前記根元領域(30)が、前記補強要素(26)の厚さ、または前記カラー(23)の厚さと実質的に同じ程度の小さい厚さ(e)を有する、請求項2に記載のハブ。
【請求項4】
そのカラー(23)のためのプレート(27)を有する補強要素(26)が、長手方向軸線(A)に直角の、かつブレードを受け入れる円筒状の半径方向ハウジング(24)の幾何学的軸線(B)を含む、かつ多角形リングの2つの環状端部フランジ(20、21)から等距離の、多角形リングの中央の半径方向平面に位置している、請求項2または3のいずれかに記載のハブ。
【請求項5】
プレート(27)を有するその補強要素(26)が、前記カラー(23)の全高にわたって半径方向に延在する、請求項2から4のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項6】
補強要素(26)が接線方向に配置される場合に、その補強要素(26)が、前記連続するカラーと前記環状端部フランジとの間に画定される中間領域(31)の貫通開口(33)を閉塞し、前記多角形リングの前記側方周縁部(19)が、実質的に中実であり、連続している、請求項1に記載のハブ。
【請求項7】
その補強要素(26)が、薄い材料ウェブ(34)の形をとり、前記ウェブの組が、多角形リング(17)の側方周縁部(19)を閉塞する、請求項6に記載のハブ。
【請求項8】
その前記薄いウェブ(34)が、実質的に、前記多角形リング(17)の厚さの中央に位置している、請求項7に記載のハブ。
【請求項9】
環状フランジ(20、21)から生じ、カラー(23)を直径方向に接続するその前記根元領域(30)が、前記カラー(23)の厚さと実質的に同じ程度の小さい厚さ(e)を有する、請求項6から8のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項10】
その各補強要素(26)が、互いに直角の、かつ十字形横断面を画定する2つの薄い剛性プレート(27A、27B)の形をとり、一方のプレート(27A)が、前記貫通開口(33)の中に半径方向に配置され、対応する2つのカラーを接続し、それに直角の他方のプレート(27B)が、多角形リングの側方周縁部(19)に接線方向に配置され、前記貫通開口を閉塞するようにカラーの前記環状端部フランジを接続する、請求項1に記載のハブ。
【請求項11】
その前記補強要素(26)が、前記多角形リング(17)と一体になり、または多角形リング(17)に固定して取り付けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に規定されるような、プロペラハブ(16)を少なくとも1つ備えることを特徴とする、ダクト無しファンタイプのターボ機械(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2013−513065(P2013−513065A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542501(P2012−542501)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069008
【国際公開番号】WO2011/069981
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)