説明

補機側ブラケットの固定構造

【課題】補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する際に、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに、且つ簡単に行うことができる補機側ブラケットの固定構造を提供すること。
【解決手段】一端側にパネル側ブラケット3の補機取付用開口4の一側縁4aに係合するフック12が設けられた補機側ブラケット1をパネル側ブラケット3に取り付けて、補機側ブラケット1上の補機側コネクタ14を車体側コネクタ7に接続させる補機側ブラケットの固定構造において、補機側コネクタ14を角度調整可能にブラケット本体11に連結して、補機側コネクタ14の取付角度を車体側コネクタ7の取付角度に追従させる揺動支持機構Fを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補機側ブラケットの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図19は、補機側ブラケットの固定構造の従来例を示したものである。
図19に示した補機側ブラケットの固定構造は、下記特許文献1に開示されたものである。
【0003】
図19に示した補機側ブラケット101は、車両用補機の一種である室内灯の一部を構成していて、室内灯を車体パネルに取り付けるために、車体パネルに取り付けられる。
【0004】
この補機側ブラケット101は、車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケット111の補機取付用開口112に車室側から取り付けられるブラケット本体102と、該ブラケット本体102の一端側に設けられて補機取付用開口112の一側縁に係合するフック103と、ブラケット本体102の他端側に設けられたパネル固定用穴104と、ブラケット本体102に搭載された補機側コネクタ105と、を備えている。
【0005】
車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケット111の室内側には、内装材であるトリム113が張られている。このトリム113には、補機取付用開口112と同寸法の補機取付用開口114が貫通形成されている。
【0006】
フック103は、ブラケット本体102との間に確保される隙間106に、補機取付用開口112の一側縁のパネル側ブラケット111及びトリム113を挟むことで、ブラケット本体102の一端側をパネル側ブラケット111に連結する。
【0007】
パネル固定用穴104は、図19(c)に示すように、ねじ部材107を挿通させる穴である。このパネル固定用穴104は、フック103を補機取付用開口112の一側縁に係合させて、ブラケット本体102の位置を補機取付用開口112に整合させたときに、パネル側ブラケット111側のねじ止め部(締結部)116に位置が整合するように設けられている。
【0008】
補機側コネクタ105は、補機取付用開口112に臨むようにパネル側ブラケット111に装備されている車体側コネクタ115に接続されるコネクタである。
【0009】
車体側コネクタ115は、図19(a)に矢印Aで示す方向にスライド移動可能に、パネル側ブラケット111に組み付けられている。
【0010】
以上に説明した補機側ブラケット101は、図19に示す手順で、パネル側ブラケット111に固定される。
【0011】
まず、図19(a)に示すように、パネル側ブラケット111上の車体側コネクタ115を左側(矢印Aで締めす移動方向とは逆側)に寄せた状態で、車体側コネクタ115の直下に補機側コネクタ105が位置するように、ブラケット本体102の位置を調整する。
【0012】
次いで、矢印Bで示すように補機側コネクタ105を車体側コネクタ115側に押し込むことで、図19(b)に示すように、補機側コネクタ105を車体側コネクタ115に接続した状態にする。
【0013】
次いで、図19(b)に矢印Cで示すように補機側ブラケット101をパネル側ブラケット111に沿ってスライド移動させて、フック103を補機取付用開口112の一側縁に係合させて、図19(c)に示すように、パネル固定用穴104の位置をパネル側ブラケット111上のねじ止め部116に整合させ、ねじ部材107によりブラケット本体102の他端側をパネル側ブラケット111に固定すれば、補機側ブラケット101のパネル側ブラケット111への固定作業が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−002895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、上記の特許文献1に記載の技術では、補機側ブラケット101をパネル側ブラケット111へ固定する際に、まず、車体側コネクタ115と補機側コネクタ105を嵌合接続する。その際、補機側コネクタ105を車体側コネクタ115に正確に誘導するようなガイド部材が無いため、コネクタ相互の微少な位置ずれ、あるいは補機側コネクタ105の傾きによるコネクタ相互の軸線の不一致により、コネクタ相互の接続がスムーズにできないという問題が発生した。
【0016】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する際に、車体側コネクタと補機側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに、且つ簡単に行うことができる補機側ブラケットの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケットの補機取付用開口に車室側から取り付けられるブラケット本体と、
該ブラケット本体の一端側に設けられて前記補機取付用開口の一側縁に回動可能に係合するフックと、
前記補機取付用開口の一側縁に係合した前記フックを回動支点として前記ブラケット本体の他端側を前記補機取付用開口の周縁に突き合わせたときに前記パネル側ブラケット側の締結部に位置が整合するように前記ブラケット本体の他端側に設けられたパネル固定用穴と、
前記ブラケット本体に搭載されて、前記補機取付用開口に臨むように前記パネル側ブラケットに装備されている車体側コネクタに接続される補機側コネクタと、
を備えて前記パネル側ブラケットに固定される補機側ブラケットの固定構造であって、
前記補機側コネクタを取付角度の調整が可能なように前記ブラケット本体に連結する揺動支持機構を備え、
前記揺動支持機構は、前記フックを回動支点として前記ブラケット本体の他端側を前記補機取付用開口の周縁に突き合わせる前記補機側ブラケットの回動操作時に、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする補機側ブラケットの固定構造。
【0018】
(2)前記揺動支持機構として、前記補機側コネクタを保持して前記ブラケット本体に取り付けられるコネクタ支持プレートを備え、
前記コネクタ支持プレートは、前記補機側コネクタが所定の取付角度で固定される枠板部と、該枠板部の一端から延出して前記枠板部をブラケット本体に回動可能に連結するヒンジ部と、前記枠板部の他端から延出して前記ブラケット本体との当接により前記ヒンジ部による前記枠板部の回動を規制するプレート一体弾性片と、を備え、前記プレート一体弾性片の撓み変形により前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする上記(1)に記載の補機側ブラケットの固定構造。
【0019】
(3)前記揺動支持機構として、前記ブラケット本体に一体形成されて前記補機側コネクタを回動可能に軸支する軸支部と、前記補機側コネクタに一体形成されて前記ブラケット本体との当接により前記軸支部における前記補機側コネクタの回動を規制するコネクタ一体弾性片と、を備え、
前記コネクタ一体弾性片の撓み変形により前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする上記(1)に記載の補機側ブラケットの固定構造。
【0020】
(4)前記揺動支持機構として、前記ブラケット本体に一体形成されて前記補機側コネクタを回動可能に軸支する軸支部と、前記ブラケット本体に一体形成されて前記補機側コネクタとの当接により前記軸支部における前記補機側コネクタの回動を規制するブラケット一体弾性片と、を備え、
前記ブラケット一体弾性片の撓み変形により前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする上記(1)に記載の補機側ブラケットの固定構造。
【0021】
(5)前記車体側コネクタ及び前記補機側コネクタの少なくとも一方は、コネクタ軸線と直交する方向に移動可能に支持されていることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一項に記載の補機側ブラケットの固定構造。
【0022】
上記(1)の構成によれば、補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する際には、まず、補機側ブラケットのブラケット本体の一端側に設けられているフックをパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に係合させる。次いで、ブラケット本体の他端側が補機取付用開口の周縁に突き合わさるように、フックの係合部を回動支点としてブラケット本体を回動させる。このブラケット本体の回動動作の途中で、補機側コネクタの先端が車体側コネクタの先端に突き当たり、コネクタ相互の嵌合が始まる。
【0023】
ブラケット本体の回動動作で移動する補機側コネクタの移動軌道は、一定の半径の円弧軌道で、移動中に位置ずれ等が生じないため、正確に車体側コネクタに誘導することができる。
【0024】
また、コネクタ相互の嵌合が開始すると、補機側コネクタをブラケット本体に連結している揺動支持機構によって、コネクタ相互の軸線が一致するように,補機側コネクタの取付角度が修正される。
【0025】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタと補機側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに、且つ簡単に達成することができる。
【0026】
また、コネクタ相互の嵌合時に、軸線のずれ等が原因となって嵌合部に無理な負荷が作用することを回避できるため、コネクタ相互の嵌合の信頼性を向上させることができる。
【0027】
なお、コネクタ相互の接続が完了して、ブラケット本体の他端側が補機取付用開口の周縁に突き合わさったときには、ブラケット本体の他端側に設けられたパネル固定用穴を挿通する締結部材によって、ブラケット本体の他端側をパネル側ブラケットに締結・固定すれば、補機側ブラケットのパネル側ブラケットへの固定が完了する。
【0028】
上記(2)の構成によれば、補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させる動作は、ブラケット本体に取り付けられるコネクタ支持プレートにおけるヒンジ部及びプレート一体弾性片の撓み変形により実現している。
【0029】
そのため、補機側ブラケット上での補機側コネクタの取付角度等の仕様変更等が生じた場合、コネクタ支持プレートの設計変更で簡単に対応することができる。
【0030】
上記(3)の構成によれば、揺動支持機構としての構成部材である軸支部や弾性片が、ブラケット本体及び補機側コネクタに一体形成されていて、別体の部品が必要なくなるため、補機側ブラケットの部品点数を削減することができる。
【0031】
上記(4)の構成によれば、揺動支持機構としての構成部材である軸支部や弾性片が、何れもブラケット本体に一体形成されているため、揺動支持機構の装備のために補機側コネクタの構造が繁雑化することを回避でき、補機側コネクタの構造を単純化することができる。
【0032】
上記(5)の構成によれば、コネクタ相互の嵌合時に、コネクタ相互の軸線と直交する方向の位置ずれを、これらのコネクタの一方が軸線と直交する方向に移動することで解消することができ、コネクタ相互の嵌合接続を更に円滑にすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明による補機側ブラケットの固定構造によれば、補機取付用開口の一側縁とフックとの係合部を回動支点としたブラケット本体の回動動作によって、コネクタ相互の嵌合が開始されるとき、補機側コネクタは一定半径の円弧軌道で正確に車体側コネクタに誘導される。しかも、コネクタ相互の嵌合が開始すると、一方のコネクタに備えられた揺動支持機構によって、コネクタ相互の軸線が一致するように、一方のコネクタの取付角度が修正される。
【0034】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタと補機側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに、且つ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した補機側コネクタがコネクタ支持プレートに取り付けられた状態の斜視図である。
【図3】図1に示した補機側ブラケットの組立状態の斜視図である。
【図4】図1に示したパネル側ブラケットの組立状態の斜視図である。
【図5】図3の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図である。
【図6】図5の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【図7】本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第2実施形態の分解斜視図である。
【図8】図7に示した補機側ブラケットの組立状態の断面図である。
【図9】図8の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図である。
【図10】図9の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【図11】本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第3実施形態の分解斜視図である。
【図12】(a)は図11に示した補機側ブラケットの組立状態の斜視図、(b)は図11に示した補機側ブラケットの組立状態の側断面図である。
【図13】図12の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図である。
【図14】図13の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【図15】本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第4実施形態の分解斜視図である。
【図16】図15に示した補機側ブラケットの組立状態の斜視図である。
【図17】図16の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図である。
【図18】図17の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【図19】従来の補機側ブラケットの固定構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
[第1実施形態]
図1〜図6は本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第1実施形態を示したものである。
【0038】
図1は本発明の第1実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した補機側コネクタがコネクタ支持プレートに取り付けられた状態の斜視図、図3は図1に示した補機側ブラケットの組立状態の斜視図、図4は図1に示したパネル側ブラケットの組立状態の斜視図、図5は図3の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図、図6は図5の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【0039】
この第1実施形態の補機側ブラケット1は、車両用補機の一種である室内灯の一部を構成していて、室内灯を車体パネルに取り付けるために、車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケット3に固定される。
【0040】
この第1実施形態の補機側ブラケット1は、図1に示すように、不図示の車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケット3の補機取付用開口4に車室側から取り付けられるブラケット本体11と、該ブラケット本体11の一端側に設けられたフック12と、ブラケット本体11の他端側に設けられたパネル固定用穴13と、ブラケット本体11に搭載される補機側コネクタ14と、補機側コネクタ14を取付角度の調整が可能なようにブラケット本体11に連結する揺動支持機構Fとを備えている。
【0041】
ブラケット本体11は、本実施形態の場合、補機取付用開口4を覆う薄皿状である。ブラケット本体11には、後述のコネクタ支持プレート15のヒンジ部22を係止するための係合穴41aを有したヒンジ係合部41が一体形成されている。
【0042】
フック12は、ブラケット本体11の一端側に鉤状に突設されており、補機取付用開口4の一側縁4aのフック係止部5に回動可能に係合する。
【0043】
パネル固定用穴13は、ねじ部材16を挿通するための穴である。このパネル固定用穴13は、補機取付用開口4の一側縁4aに係合したフック12を回動支点としてブラケット本体11の他端側を補機取付用開口4の周縁に突き合わせたときに、パネル側ブラケット3側の締結部6に位置が整合するように、ブラケット本体11に設けられている。締結部6は、ねじ部材16が螺合する雌ねじ部である。ブラケット本体11の他端側は、パネル固定用穴13を挿通するねじ部材16によって、パネル側ブラケット3に固定される。
【0044】
補機側コネクタ14は、パネル側ブラケット3側に面しているブラケット本体11の表面に搭載される。ブラケット本体11に搭載された補機側コネクタ14は、補機側ブラケット1をパネル側ブラケット3に固定する際に、補機取付用開口4に臨むようにパネル側ブラケット3に装備されている車体側コネクタ7に嵌合接続される。
【0045】
揺動支持機構Fは、具体的には、補機側コネクタ14を回動可能にブラケット本体11に連結していて、図5及び図6に示すようにフック12を回動支点としてブラケット本体11の他端側を補機取付用開口4の周縁に突き合わせる補機側ブラケット1の回動操作時に、突き合わされるコネクタ7,14相互の軸線が一致するように、補機側コネクタ14の取付角度を車体側コネクタ7の取付角度に追従させる機構である。
【0046】
本実施形態の場合、揺動支持機構Fとして、コネクタ支持プレート15を備えている。
このコネクタ支持プレート15は、補機側コネクタ14を保持して、ブラケット本体11に取り付けられる板状部材である。
【0047】
コネクタ支持プレート15は、図1に示すように、補機側コネクタ14が所定の取付角度で固定される枠板部21と、該枠板部21の一端から延出して枠板部21をブラケット本体11に回動可能に連結するヒンジ部22と、枠板部21の他端から延出してブラケット本体11との当接によりヒンジ部22による枠板部21の回動を規制するプレート一体弾性片23と、を備えている。
【0048】
コネクタ支持プレート15の枠板部21は、中央に補機側コネクタ14を挿通させる矩形の開口21aを形成した四角形の枠である。
【0049】
開口21aに挿通される補機側コネクタ14は、開口21aの縁に対向する側面部に、開口21aの縁を挟持する挟持部31が設けられている。挟持部31は、開口21aの縁を挟む一対の弾性突起31a,31bを有している。補機側コネクタ14は、枠板部21に挿通された際、挟持部31によって開口21aの縁を挟むことで、コネクタ支持プレート15に保持された状態になる。
【0050】
補機側コネクタ14は、挟持部31が開口21aの縁を挟持することで、図2に示すように、補機側コネクタ14の軸線(コネクタ相互の嵌合方向に沿う中心線)C1が枠板部21の面に直交するように、枠板部21に取り付けられる。
【0051】
開口21aの縦横の寸法W1,D1は、補機側コネクタ14の対応する縦横の寸法W2,D2よりも大きく設定されている。
【0052】
このような寸法設定により、補機側コネクタ14は、軸線C1に直交する縦方向(図2の矢印X1方向)に移動可能に、枠板部21に支持されている。
【0053】
コネクタ支持プレート15のヒンジ部22は、図1及び図2に示すように、枠板部21の一端から延出した回動用折り曲げ部22aと、この回動用折り曲げ部22aの先端に連設された係合突片22bと、を具備している。
【0054】
係合突片22bは、図1及び図3に示すように、ブラケット本体11上のヒンジ係合部41の係合穴41aに圧入されて、ブラケット本体11に固定される。
【0055】
回動用折り曲げ部22aは、折り曲げ部の撓み変形により、折り曲げ部を支点としたコネクタ支持プレート15の回動を許容する。
【0056】
プレート一体弾性片23は、枠板部21の他端側で、ヒンジ部22と対向する位置に延設されている。このプレート一体弾性片23は、先端をブラケット本体11の表面に当接することで、枠板部21の他端側のブラケット本体11側への移動を規制する支え棒として機能し、ヒンジ部22による枠板部21の回動を規制する。
【0057】
プレート一体弾性片23は、当初(補機側コネクタ14と車体側コネクタ7との嵌合が始まる前)、図5に示したように枠板部21の他端側がヒンジ部22側よりもブラケット本体11から浮き上がった状態に支持している。そして、プレート一体弾性片23は、機側コネクタ14と車体側コネクタ7との嵌合が始まると、補機側コネクタ14に作用する押圧荷重により、図6に示すように、枠板部21の他端側がブラケット本体11側に沈むように撓み変形して、補機側コネクタ14の取付角度を車体側コネクタ7の取付角度に追従させる。
【0058】
パネル側ブラケット3は、図1に示すように、不図示の車体パネルに仮固定可能なブラケット本体17と、該ブラケット本体17に取り付けられる車体側コネクタ7と、を備えている。
【0059】
パネル側ブラケット3のブラケット本体17は、平板状で、中央部に補機取付用開口4が形成されている。また、補機側ブラケット1のパネル固定用穴13に対応する位置には、締結部6が設けられている。本実施形態の場合、締結部6は、パネル固定用穴13を挿通したねじ部材16が螺合する雌ねじ部である。
【0060】
本実施形態の場合、補機取付用開口4は、車体側コネクタ7を嵌合装着するコネクタ装着穴を兼ねている。この補機取付用開口4の一側縁4aのフック係止部5は、フック12が回動可能に係合する窪みである。
【0061】
ブラケット本体17の補機取付用開口4に挿通される車体側コネクタ7は、補機取付用開口4の縁に対向する側面部に、補機取付用開口4の縁を挟持する挟持部51が設けられている。挟持部51は、補機取付用開口4の縁を挟む一対の弾性突起51a,51bを有している。車体側コネクタ7は、ブラケット本体17に挿通された際、挟持部51によって補機取付用開口4の縁を挟むことで、ブラケット本体17に保持された状態になる。
【0062】
図1に示すように、車体側コネクタ7が挿入される補機取付用開口4の縦横の寸法W3,D3は、車体側コネクタ7の対応する縦横の寸法W4,D4よりも大きく設定されている。
【0063】
このような寸法設定により、車体側コネクタ7は、軸線C2に直交する縦方向(図4の矢印X2方向)に移動可能に、ブラケット本体17に支持されている。
【0064】
図3に示した組立状態の補機側ブラケット1は、図4に示した組立状態のパネル側ブラケット3に対して、まず、図5に示すように補機取付用開口4のフック係止部5にフック12を係合させて、フック12を回動支点としてブラケット本体11の他端側が回動可能な仮止め状態とする。
【0065】
次いで、図5に矢印Rで示すように、補機側ブラケット1の他端側をパネル側ブラケット3側に回動させることで、補機側コネクタ14を車体側コネクタ7に嵌合させる。
【0066】
図6に示すように、補機側ブラケット1の他端側が補機取付用開口4の縁に突き合わされると、補機側コネクタ14と車体側コネクタ7との嵌合接続が完了する。補機側コネクタ14と車体側コネクタ7との嵌合接続が完了したら、ねじ部材16により補機側ブラケット1の他端側を締結部6に締結・固定すると、補機側ブラケット1のパネル側ブラケット3への固定が完了する。
【0067】
以上に説明した第1実施形態の補機側ブラケットの固定構造では、補機側ブラケット1をパネル側ブラケット3へ固定する際には、まず、図5に示すように補機側ブラケット1のブラケット本体11の一端側に設けられているフック12をパネル側ブラケット3の補機取付用開口4の一側縁のフック係止部5に係合させる。次いで、ブラケット本体11の他端側が補機取付用開口4の周縁に突き合わさるように、フック12の係合部を回動支点としてブラケット本体11を回動させる。このブラケット本体11の回動動作の途中で、補機側コネクタ14の先端が車体側コネクタ7の先端に突き当たり、コネクタ相互の嵌合が始まる。
【0068】
コネクタ相互の嵌合時にブラケット本体11の回動動作で移動する補機側コネクタ14の移動軌道は、フック12の係合部を回転中心とする一定の半径の円弧軌道で、移動中に位置ずれ等が生じないため、正確に車体側コネクタ7に誘導することができる。
【0069】
また、コネクタ相互の嵌合が開始すると、補機側コネクタ14をブラケット本体11に連結している揺動支持機構Fによって、コネクタ相互の軸線が一致するように,補機側コネクタ14の取付角度が修正される。
【0070】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と補機側コネクタ14との位置を整合させる手間が不要で、補機側コネクタ14と車体側コネクタ7との接続をスムーズに、且つ簡単に達成することができる。
【0071】
また、コネクタ相互の嵌合時に、軸線のずれ等が原因となって嵌合部に無理な負荷が作用することを回避できるため、コネクタ相互の嵌合の信頼性を向上させることができる。
【0072】
なお、コネクタ相互の接続が完了して、ブラケット本体11の他端側が補機取付用開口4の周縁に突き合わさったときには、図6に示すように、ブラケット本体11の他端側に設けられたパネル固定用穴13を挿通する締結部材(ねじ部材16)によって、ブラケット本体11の他端側をパネル側ブラケット3に締結・固定すれば、補機側ブラケット1のパネル側ブラケット3への固定が完了する。
【0073】
更に、上記第1実施形態では、揺動支持機構Fとしてコネクタ支持プレート15を組み込んでおり、補機側コネクタ14の取付角度を車体側コネクタ7の取付角度に追従させる動作は、ブラケット本体11に取り付けられるコネクタ支持プレート15におけるヒンジ部22及びプレート一体弾性片23の撓み変形により実現している。
【0074】
そのため、補機側ブラケット1上での補機側コネクタ14の取付角度等の仕様変更等が生じた場合、コネクタ支持プレート15の設計変更で簡単に対応することができる。
【0075】
更に、上記第1実施形態では、図2及び図4に示したように、車体側コネクタ7及び補機側コネクタ14が、コネクタ軸線C1,C2と直交する方向に移動可能に支持されている。
【0076】
そのため、コネクタ相互の軸線と直交する方向の位置ずれを、これらのコネクタの一方が軸線と直交する方向に移動することで解消することができ、コネクタ相互の嵌合接続を更に円滑にすることができる。
【0077】
[第2実施形態]
図7〜図10は本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第2実施形態を示したものである。
【0078】
図7は本発明の第2実施形態の分解斜視図、図8は図7に示した補機側ブラケットの組立状態の断面図、図9は図8の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図、図10は図9の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【0079】
この第2実施形態としての補機側ブラケットの固定構造は、第1実施形態に示した補機側ブラケット1の代わりに、改良した補機側ブラケット1Aを使用する。補機側ブラケット1Aを組み付けるパネル側ブラケット3は、第1実施形態と同一の構成であるため、同一構成部分に同番号を付して説明を省略する。
【0080】
この第2実施形態における補機側ブラケット1Aは、第1実施形態におけるブラケット本体11を改良したブラケット本体11Aと、第1実施形態における補機側コネクタ14を改良した補機側コネクタ14Aと、を備えている。
【0081】
ブラケット本体11Aでは、第1実施形態のブラケット本体11に装備していたヒンジ係合部41が廃止され、代わりに、揺動支持機構FAとして、軸支部43が一体形成されている。
【0082】
軸支部43は、補機側コネクタ14Aの対向する両側面を挟むようにブラケット本体11Aの表面に立設された一対の支持板43aと、補機側コネクタ14Aの側面に嵌合するように各支持板43aに突設された支持軸43bとを備えている。この軸支部43は、支持軸43bを補機側コネクタ14Aの側面に嵌合させることにより、補機側コネクタ14Aを回動可能に支持する。
【0083】
補機側コネクタ14Aでは、第1実施形態の補機側コネクタ14に装備していた挟持部31が廃止され、代わりに、揺動支持機構FAとして、軸支溝53と、コネクタ一体弾性片23Aとが一体形成されている。
【0084】
軸支溝53は、ブラケット本体11A上の支持軸43bが嵌合する溝で、初期に支持軸43bを嵌合させる円形穴状の溝端部53aと、溝端部53aに連通する移動許容溝53bとを備えている。溝端部53aは、補機側コネクタ14Aの一端側(フック12に近い側で、図8では、左端側)に寄って設けられている。
【0085】
移動許容溝53bは、溝端部53aに嵌合している支持軸43bが移動可能な溝で、補機側コネクタ14Aの軸線C3と直交する方向(図8の矢印X3方向)への移動を許容するためのものである。
図7中に示した形状53Bは、軸支溝53の拡大正面図である。
【0086】
コネクタ一体弾性片23Aは、補機側コネクタ14Aの他端側(フック12から離れた側)から延出して、先端をブラケット本体11Aの表面に当接することによって、軸支部43における補機側コネクタ14の回動を規制する。
【0087】
この第2実施形態では、コネクタ相互の嵌合時には、コネクタ一体弾性片23Aの撓み変形により補機側コネクタ14Aの取付角度を車体側コネクタ7の取付角度に追従させる。
【0088】
ブラケット本体11Aには、パネル側ブラケット3に固定するためのフック12やパネル固定用穴13が、第1実施形態と同様に装備される。
【0089】
以上に説明した第2実施形態の補機側ブラケットの固定構造の場合も、補機側ブラケット1Aをパネル側ブラケット3へ固定する際には、まず、図9に示すように補機側ブラケット1Aのブラケット本体11Aの一端側に設けられているフック12をパネル側ブラケット3の補機取付用開口4の一側縁のフック係止部5に係合させる。次いで、ブラケット本体11Aの他端側が補機取付用開口4の周縁に突き合わさるように、フック12の係合部を回動支点としてブラケット本体11Aを回動させる。このブラケット本体11Aの回動動作の途中で、補機側コネクタ14Aの先端が車体側コネクタ7の先端に突き当たり、コネクタ相互の嵌合が始まる。
【0090】
コネクタ相互の嵌合時にブラケット本体11Aの回動動作で移動する補機側コネクタ14Aの移動軌道は、フック12の係合部を回転中心とする一定の半径の円弧軌道で、移動中に位置ずれ等が生じないため、正確に車体側コネクタ7に誘導することができる。
【0091】
また、コネクタ相互の嵌合が開始すると、補機側コネクタ14Aをブラケット本体11Aに連結している揺動支持機構FAによって、コネクタ相互の軸線が一致するように、補機側コネクタ14Aの取り付け角度が修正される。
【0092】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と補機側コネクタ14Aとの位置を整合させる手間が不要で、補機側コネクタ14Aと車体側コネクタ7との接続をスムーズに、且つ簡単に達成することができる。
【0093】
また、この第2実施形態の場合も、車体側コネクタ7及び補機側コネクタ14Aが、コネクタ軸線C3,C2と直交する方向に移動可能に支持されている。
【0094】
そのため、コネクタ相互の軸線と直交する方向の位置ずれを、これらのコネクタの一方が軸線と直交する方向に移動することで解消することができ、コネクタ相互の嵌合接続を更に円滑にすることができる。
【0095】
更に、この第2実施形態の場合は、揺動支持機構FAとしての構成部材である軸支部43や弾性片23Aが、ブラケット本体11A及び補機側コネクタ14Aに一体形成されていて、別体の部品(第1実施形態におけるコネクタ支持プレート15)が必要なくなるため、第1実施形態の場合と比較して、補機側ブラケット1の部品点数を削減することができる。
【0096】
[第3実施形態]
図11〜図14は本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第3実施形態を示したものである。
【0097】
図11は本発明の第3実施形態の分解斜視図、図12(a)は図11に示した補機側ブラケットの組立状態の斜視図、図12(b)は図11に示した補機側ブラケットの組立状態の側断面図、図13は図12の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図、図14は図13の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【0098】
この第3実施形態としての補機側ブラケットの固定構造は、第2実施形態に示した補機側ブラケット1Aの代わりに、改良した補機側ブラケット1Bを使用する。補機側ブラケット1Bを組み付けるパネル側ブラケット3は、第1実施形態と同一の構成であるため、同一構成部分に同番号を付して説明を省略する。
【0099】
この第3実施形態における補機側ブラケット1Bは、第2実施形態におけるブラケット本体11Aを改良したブラケット本体11Bと、第2実施形態における補機側コネクタ14Aを改良した補機側コネクタ14Bと、を備えている。
【0100】
補機側コネクタ14Bでは、第2実施形態の補機側コネクタ14Aに装備していた軸支溝53やコネクタ一体弾性片23Aが廃止され、代わりに、揺動支持機構FBとして、両側面に支持軸54が突出した状態に一体形成されている。
【0101】
換言すると、補機側コネクタ14Bは、対向する外側面に支持軸54が突出された構成で、第2実施形態の補機側コネクタ14Aよりも構造が単純化されている。
【0102】
ブラケット本体11Bでは、第2実施形態のブラケット本体11Aに装備していた軸支部43が廃止され、代わりに、揺動支持機構FBとして、軸支部44と、ブラケット一体弾性片23Bと、が一体形成されている。
【0103】
軸支部44は、補機側コネクタ14Bの外周が遊嵌する角筒状の枠板部44aの対向面に、嵌合する軸を回転自在に支持する軸支持穴45を設けた構成である。軸支部44は、補機側コネクタ14Bの両側面に突設された支持軸54が軸支持穴45に嵌合することで、補機側コネクタ14Bを回動可能に支持する。
【0104】
なお、枠板部44aは、コネクタ相互の嵌合時における補機側コネクタ14Bの回動を阻害しないように、補機側コネクタ14Bよりも大きく形成されている。また、枠板部44aは、補機側コネクタ14Bの当初の取付姿勢に対応し、図12(b)に示すように、ブラケット本体11Bの表面に対して斜めに立設されている。
【0105】
ブラケット一体弾性片23Bは、ブラケット本体11の枠板部44aに一体形成されている。このブラケット一体弾性片23Bは、枠板部44aから延出し、先端を補機側コネクタ14の側面に当接させることによって、軸支部44における補機側コネクタ14の回動を規制する。
【0106】
この第3実施形態では、コネクタ相互の嵌合時には、ブラケット一体弾性片23Bの撓み変形により補機側コネクタ14の取付角度を車体側コネクタ7の取付角度に追従させる。
【0107】
以上に説明した第3実施形態の補機側ブラケットの固定構造の場合も、補機側ブラケット1Bをパネル側ブラケット3へ固定する際には、まず、図13に示すように補機側ブラケット1Bのブラケット本体11Bの一端側に設けられているフック12をパネル側ブラケット3の補機取付用開口4の一側縁のフック係止部5に係合させる。次いで、ブラケット本体11Bの他端側が補機取付用開口4の周縁に突き合わさるように、フック12の係合部を回動支点としてブラケット本体11Bを回動させる。このブラケット本体11Bの回動動作の途中で、補機側コネクタ14Bの先端が車体側コネクタ7の先端に突き当たり、コネクタ相互の嵌合が始まる。
【0108】
コネクタ相互の嵌合時にブラケット本体11Bの回動動作で移動する補機側コネクタ14Bの移動軌道は、フック12の係合部を回転中心とする一定の半径の円弧軌道で、移動中に位置ずれ等が生じないため、正確に車体側コネクタ7に誘導することができる。
【0109】
また、コネクタ相互の嵌合が開始すると、補機側コネクタ14Bをブラケット本体11Bに連結している揺動支持機構FBによって、コネクタ相互の軸線が一致するように、補機側コネクタ14Bの取付角度が修正される。
【0110】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と補機側コネクタ14Bとの位置を整合させる手間が不要で、補機側コネクタ14Bと車体側コネクタ7との接続をスムーズに、且つ簡単に達成することができる。
【0111】
また、この第3実施形態の場合も、図4に示したように、車体側コネクタ7が、コネクタ軸線C2と直交する方向に移動可能に支持されている。
【0112】
そのため、コネクタ相互の軸線と直交する方向の位置ずれを、車体側コネクタ7が軸線と直交する方向に移動することで解消することができ、コネクタ相互の嵌合接続を更に円滑にすることができる。
【0113】
更に、この第3実施形態の場合は、揺動支持機構FBとしての構成部材である軸支部44や弾性片46が、いずれもブラケット本体11Bに一体形成されているため、揺動支持機構FBの装備のために補機側コネクタ14Bの構造が繁雑化することを回避でき、補機側コネクタ14Bの構造を単純化することができる。
【0114】
[第4実施形態]
図15〜図18は本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の第4実施形態を示したものである。
【0115】
図15は発明の第4実施形態の分解斜視図、図16は図15に示した補機側ブラケットの組立状態の斜視図、図17は図16の補機側ブラケットのフックを図4のパネル側ブラケットの補機取付用開口の一側縁に回動可能に係止させた状態の側断面図、図18は図17の補機側ブラケットの他端側をパネル側ブラケットに固定した状態の側断面図である。
【0116】
この第4実施形態としての補機側ブラケットの固定構造は、第2実施形態に示した補機側ブラケット1Aの代わりに、改良した補機側ブラケット1Cを使用する。補機側ブラケット1Cを組み付けるパネル側ブラケット3は、第1実施形態と同一の構成であるため、同一構成部分に同番号を付して説明を省略する。
【0117】
この第4実施形態における補機側ブラケット1Cは、第2実施形態におけるブラケット本体11Aを改良したブラケット本体11Cと、第2実施形態における補機側コネクタ14Aを改良した補機側コネクタ14Cと、を備えている。
【0118】
ブラケット本体11Cでは、第2実施形態のブラケット本体11Aに装備していた軸支部43が廃止され、代わりに、揺動支持機構FCとして、軸支部47が一体形成されている。
【0119】
軸支部47は、図15に示すように、補機側コネクタ14Cに突設された軸を回動可能に収容する穴部47bをアーチ型のアーム47aにより形成したものである。アーチ型のアーム47aは、一部が分断されていて、分断部47cから穴部47bに軸を割り込ませることが可能にされている。
【0120】
補機側コネクタ14Cは、第2実施形態の補機側コネクタ14Aに装備していた軸支溝53が廃止され、代わりに、揺動支持機構FCとして、支持軸54とコネクタ一体弾性片23Cとが一体形成されている。
【0121】
支持軸54は、補機側コネクタ14Cの対向する外側面に突出して設けられている。補機側コネクタ14Cは、支持軸54を軸支部47に嵌合させることで、回動可能にブラケット本体11Cに連結される。
【0122】
第4実施形態の補機側コネクタ14Cに装備されたコネクタ一体弾性片23Cは、第2実施形態におけるコネクタ一体弾性片23Aと同様のもので、補機側コネクタ14Cの他端側(フック12から離れた側)から延出して、先端をブラケット本体11Cの表面に当接することによって、軸支部47における補機側コネクタ14Cの回動を規制する。
【0123】
この第4実施形態では、コネクタ相互の嵌合時には、コネクタ一体弾性片23Cの撓み変形により補機側コネクタ14Cの取付角度を車体側コネクタ7の取付角度に追従させる。
【0124】
ブラケット本体11Cには、パネル側ブラケット3に固定するためのフック12やパネル固定用穴13が、第2実施形態と同様に装備される。
【0125】
以上に説明した第4実施形態の補機側ブラケットの固定構造の場合も、補機側ブラケット1Cをパネル側ブラケット3へ固定する際には、まず、図17に示すように補機側ブラケット1Cのブラケット本体11Cの一端側に設けられているフック12をパネル側ブラケット3の補機取付用開口4の一側縁のフック係止部5に係合させる。次いで、ブラケット本体11Cの他端側が補機取付用開口4の周縁に突き合わさるように、フック12の係合部を回動支点としてブラケット本体11Cを回動させる。このブラケット本体11Cの回動動作の途中で、補機側コネクタ14Cの先端が車体側コネクタ7の先端に突き当たり、コネクタ相互の嵌合が始まる。
【0126】
コネクタ相互の嵌合時にブラケット本体11Cの回動動作で移動する補機側コネクタ14CBの移動軌道は、フック12の係合部を回転中心とする一定の半径の円弧軌道で、移動中に位置ずれ等が生じないため、正確に車体側コネクタ7に誘導することができる。
【0127】
また、コネクタ相互の嵌合が開始すると、補機側コネクタ14Cをブラケット本体11Cに連結している揺動支持機構FCによって、コネクタ相互の軸線が一致するように、補機側コネクタ14Cの取付角度が修正される。
【0128】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と補機側コネクタ14Cとの位置を整合させる手間が不要で、補機側コネクタ14Cと車体側コネクタ7との接続をスムーズに、且つ簡単に達成することができる。
【0129】
また、この第4実施形態の場合も、図4に示したように、車体側コネクタ7が、コネクタ軸線C2と直交する方向に移動可能に支持されている。
【0130】
そのため、コネクタ相互の軸線と直交する方向の位置ずれを、車体側コネクタ7が軸線と直交する方向に移動することで解消することができ、コネクタ相互の嵌合接続を更に円滑にすることができる。
【0131】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0132】
また、本発明の補機側ブラケットの固定構造を適用する車両用補機は、上記実施形態で示した室内灯に限らない。例えば、車載のスピーカ、その他の各種の電装品の車体パネルへの取り付けに、本発明の補機側ブラケットの固定構造を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0133】
1,1A,1B,1C 補機側ブラケット
3 パネル側ブラケット
4 補機取付用開口
4a 一側縁
5 フック係止部
6 締結部(雌ねじ部)
7 車体側コネクタ
11,11A,11B,11C ブラケット本体
12 フック
13 パネル固定用穴
14,14A,14B,14C 補機側コネクタ
15 コネクタ支持プレート
16 ねじ部材
22 ヒンジ部
23 プレート一体弾性片
23A,23C コネクタ一体弾性片
23B ブラケット一体弾性片
31 挟持部
41 ヒンジ係合部
43 軸支部
44,47 軸支部
51 挟持部
53 軸支溝
54 支持軸
F,FA,FB,FC 揺動支持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケットの補機取付用開口に車室側から取り付けられるブラケット本体と、
該ブラケット本体の一端側に設けられて前記補機取付用開口の一側縁に回動可能に係合するフックと、
前記補機取付用開口の一側縁に係合した前記フックを回動支点として前記ブラケット本体の他端側を前記補機取付用開口の周縁に突き合わせたときに前記パネル側ブラケット側の締結部に位置が整合するように前記ブラケット本体の他端側に設けられたパネル固定用穴と、
前記ブラケット本体に搭載されて、前記補機取付用開口に臨むように前記パネル側ブラケットに装備されている車体側コネクタに接続される補機側コネクタと、
を備えて前記パネル側ブラケットに固定される補機側ブラケットの固定構造であって、
前記補機側コネクタを取付角度の調整が可能なように前記ブラケット本体に連結する揺動支持機構を備え、
前記揺動支持機構は、前記フックを回動支点として前記ブラケット本体の他端側を前記補機取付用開口の周縁に突き合わせる前記補機側ブラケットの回動操作時に、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする補機側ブラケットの固定構造。
【請求項2】
前記揺動支持機構として、前記補機側コネクタを保持して前記ブラケット本体に取り付けられるコネクタ支持プレートを備え、
前記コネクタ支持プレートは、前記補機側コネクタが所定の取付角度で固定される枠板部と、該枠板部の一端から延出して前記枠板部をブラケット本体に回動可能に連結するヒンジ部と、前記枠板部の他端から延出して前記ブラケット本体との当接により前記ヒンジ部による前記枠板部の回動を規制するプレート一体弾性片と、を備え、前記プレート一体弾性片の撓み変形により前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする請求項1に記載の補機側ブラケットの固定構造。
【請求項3】
前記揺動支持機構として、前記ブラケット本体に一体形成されて前記補機側コネクタを回動可能に軸支する軸支部と、前記補機側コネクタに一体形成されて前記ブラケット本体との当接により前記軸支部における前記補機側コネクタの回動を規制するコネクタ一体弾性片と、を備え、
前記コネクタ一体弾性片の撓み変形により前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする請求項1に記載の補機側ブラケットの固定構造。
【請求項4】
前記揺動支持機構として、前記ブラケット本体に一体形成されて前記補機側コネクタを回動可能に軸支する軸支部と、前記ブラケット本体に一体形成されて前記補機側コネクタとの当接により前記軸支部における前記補機側コネクタの回動を規制するブラケット一体弾性片と、を備え、
前記ブラケット一体弾性片の撓み変形により前記補機側コネクタの取付角度を車体側コネクタの取付角度に追従させることを特徴とする請求項1に記載の補機側ブラケットの固定構造。
【請求項5】
前記車体側コネクタ及び前記補機側コネクタの少なくとも一方は、コネクタ軸線と直交する方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の補機側ブラケットの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−165612(P2011−165612A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30195(P2010−30195)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】