説明

補給空気を調節下に供給するための方法および装置

【課題】恒久的に不活性な空間に効果的かつ経済的に空気を供給して、その空間に特定の空気交換速度が維持されるとともに、その空間における火災の危険を効果的に除去する方法および装置を提供する。
【解決手段】不活性ガス源からの不活性ガスを、恒久的に不活性な空間の雰囲気に、第一の供給ラインシステムを通じて、制御された第一の容積流速をもって供給する。第一の容積流速は、恒久的に不活性な空間の空間雰囲気にあらかじめ設定された不活性化レベルを維持し、汚染物質および(または)水分を、その雰囲気から除去するように選択される。一方、外部からの新鮮な空気を、恒久的に不活性な空間の雰囲気に、第二の供給ラインシステムを通じて、制御された第二の容積流速をもって供給される。第二の容積流速の値は、恒久的に不活性な空間が必要とする最小限の空気交換速度と、空間の雰囲気に供給される不活性ガスの第一の容積流速との関数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらかじめ定められた不活性レベルが設定されている、恒久的に不活性な空間であって、その不活性レベルを特定の制御範囲内に維持する必要がある空間に、補給空気を調節下に供給するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置のハウジング領域、電気スイッチ設備および配電コンパートメントのような設備、または、とりわけ価値の高い日用品のための貯蔵領域のような、閉じられた空間における火災の危険を低減する措置として、これらの空間を恒久的に不活性にすることが知られている。そのような恒久的な不活性化の結果として得られる予防的な効果は、酸素の置き換えという原理に基づいている。一般に知られているように、通常の環境にある空気は、約21容積%の酸素、約78容積%の窒素および約1容積%のその他のガスからなっている。保護されている空間における火災の危険を効果的に低減するために、いわゆる「不活性ガス技術」が採用されていて、それに対応して窒素ガスのような不活性ガスを導入することにより、問題の領域における酸素濃度を低下させる。最も燃えやすい固体の場合、酸素のパーセンテージが15容積%より低くなったときに、消火の効果が生じることが知られている。可燃性物質の種類によっては、酸素濃度をより低く、たとえば12容積%に低下させる必要がある場合もある。
【0003】
換言すれば、このことは、保護される空間にある空気中の酸素含有量を、たとえば15容積%より低い値に減らして、保護される空間を、いわゆる「基本的不活性化レベル」に恒久的に不活性化することにより、保護される空間内の火災の発生の危険もまた、効果的に低減できるということを意味する。
【0004】
ここで用いる用語「基本的不活性化レベル」は、一般に、保護される空間にある空気の酸素濃度を、通常の環境にある空気の酸素濃度に比べて低減された酸素濃度とし、それによって、この低減された酸素濃度が、医学的な観点からは、人間および動物に対して原則としていかなる危険をも与えず、たとえば特定の状況に応じた予防的な措置をとったのちは、短時間に限られるとしても、なおその保護された空間に入ることができる、ということを意味するものと理解すべきである。上述のように、13〜15容積%の酸素濃度を設定することは、原則として保護すべき空間における火災が発展する危険を防止するのに役立つ。
【0005】
いわゆる「完全不活性化レベル」は、基本的な不活性化レベルからは区別されて、有効な火災消火点にまで低減された酸素濃度を有する、保護される空間の空気に対応する。この用語「完全不活性化レベル」とは、このようにして、基本的不活性化レベルと比較して低減され、たいていの材料の燃焼可能性が、もはや発火しない点まで低減した酸素濃度を意味する。問題の、保護すべき空間の内部における火災の負荷によって異なるが、完全不活性化レベルの酸素濃度は、通常、容積で11%から12%である。このようにして、保護すべき空間を恒久的に完全不活性化レベルに保つことは、保護すべき空間において火災が進展する危険を減少させるだけでなく、実際に火災を消火する働きもある。
【0006】
一方で、建設すべき恒久的に不活性な空間をある程度まで気密にすることは、規定された、または規定することができる、維持すべき不活性化レベルを、最小限の量の不活性ガスの供給により実現可能にすることができる点で、望ましいことである。しかし他方、恒久的に不活性な空間といえども、ある最小限の換気を行なって、その空間の雰囲気内の空気の交換を許すことは、一般に不可欠である。人々が自由に出入りしたり、人々が長時間そこに居たりするような部屋の場合、上記の最小限の換気を行なって、たとえばその人々が吐き出す二酸化炭素や湿気の、適切な換気を可能にすることは必要である。このような空間に必要な最小限の空気の交換が、とくに人々の数と、人々がその室内で過ごす時間の長さに依存し、かつ時間の経過に伴って大きく変化することのある関数であることは、明らかである。
【0007】
人々が基本的にはまったく出入りしないか、またはごくまれにしか出入りしないような空間、たとえば倉庫とか建築物の領域、ケーブルシャフトのような空間にとっても、最小限の空気交換はなお、提供される必要がある。この場合、最小限の換気を行なって、空間の雰囲気から来る、その空間に配置された装置から発散される、たとえばヒュームのような潜在的な有害成分を除去することが、とくに必要である。
【0008】
もし、それぞれの空間を取り囲むものがシールされていて、とくに恒久的に不活性な空間においては通常そうであるように、本質的に気密であるならば、制御されない空気の交換は、もはや生じることがない。そのような閉鎖された空間は、それゆえ、技術的な、すなわち機械的な換気システムを設けて、必要な最小限の換気を行なわなければならない。用語「技術的な換気」は、一般に、その領域から有害な物質または生物学的な作用をするものを引き出す、換気システムを意味する。人々が占有する室の場合、技術的な換気システムのディメンションの決定、すなわちとくに供給速度、空気交換速度および空気の流速の決定は、その室の空気中にある特定の物質も、いかなる急性の、または慢性的な損害を人々の健康に与えることが予期されないような、時間を加重した平均の濃度に依存する。その領域を換気することは、その空間の内部の雰囲気を外部と入れ換えることを許容する。一般的にいって、必要な最小限の空気の交換とは、有毒ないし有害な物質、ガスまたは粒子状物を外に放出して、必要な物質、とりわけ酸素を、人々が占めている領域内に入れることである。最小限の空気交換によってその閉鎖された空間の雰囲気から除去される、そのような有毒ないし有害な物質は、以下、単に「汚染物質」ということにする。
【0009】
広い部屋または領域であって、その雰囲気が大量の有害な物質を含有するものは、今日、典型的には機械的な換気システムを備えていて、室を連続的に、またはあらかじめ定めた時間に換気している。このような通常採用されている換気システムは、新鮮な空気を問題のサービス設備内に供給し、使用済みの、または汚染された空気を排出するように設計されている。適用場面よって異なるが、補給する空気を制御するシステム(いわゆる「空気入口システム」)、排出する空気を制御するシステム(いわゆる「排気換気システム」)または両者を組み合わせた、補給換気/排気換気システムがある。
【0010】
ところが、恒久的に不活性な空間においてそのような換気システムを使用することは、実行される空気の交換により、不活性なガスをそのような恒久的に不活性な空間に、比較的高い速度で連続的に供給して、設定された不活性レベルを維持しなければならない、という不利益がある。恒久的に不活性な空間において、基本的な、または完全な不活性レベルを、雰囲気を機械的に換気することにより維持するためには、単位時間あたり比較的大きな容積の不活性なガスが必要であって、これは、オンサイトで、たとえばそれぞれの不活性ガス発生機によって製造される。そのような不活性ガス発生機は、それに応じて大容量とする必要があり、恒久的な不活性化に伴う運転コストも増大する。しかも、そのようなシステムは、不活性なガスの製造に当たって、比較的大量のエネルギーを消費する。それゆえ、ある領域を、火災の危険を最小限にすることを目的として、基本的な、または完全な不活性化レベルで恒久的に不活性にするために不活性ガス技術を使用することは、恒久的に不活性な空間が最小限の空気交換を必要とする場合、経済的には、比較的高い運転コストと結びついている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したような問題にもとづき、本発明の任務のひとつは、できるだけ効果的かつ経済的に、恒久的に不活性な空間に空気を供給して、一方では、その空間に特定された空気交換速度が維持され、他方では、問題の空間において火災または爆発の危険が効果的に除去されるように設計された、方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この任務は、はじめに示されるタイプの方法であって、下記の諸工程からなる方法により達成される。すなわち、まず不活性ガス源、とくに不活性ガス発生機および(または)不活性ガス貯槽が、不活性なガス、たとえば窒素富化空気混合物を提供する。提供された不活性なガスは、つぎに、恒久的に不活性な空間の雰囲気に、第一の供給ラインシステムを通じ、制御された第一の容積流速をもって供給される。ここで、第一の容積流速は、恒久的に不活性な空間の雰囲気にあらかじめ設定された不活性レベルを維持し、汚染物質、とりわけ、有毒な、またはその他の有害な物質、生物学的に作用する物質および(または)水分を、その雰囲気から除去するように選択される。本発明の方法は、さらに、新鮮空気源、とりわけ外部空気からの新鮮な空気を提供し、提供された新鮮空気を、第二の供給ラインシステムを通じ、制御された第二の容積流速をもって、恒久的に不活性な空間の雰囲気に供給する。本発明に従って、新鮮空気を閉鎖された空間の雰囲気に供給する第二の流速の値、具体的には時間の経過にわたる平均値は、恒久的に不活性な空間に必要な最小限の空気交換速度と、空間の雰囲気に供給される不活性なガスの第一の容積流速、具体的には時間の経過にわたる平均値との関数である。
【0013】
ここで用いる用語「容積流速」または「空気交換速度」は、それぞれの場合、所定の単位時間当たりに行なわれる容積の流れ、または空気の交換量をいう。同様に、用語「供給空気速度」は、所定の単位時間当たりに、閉鎖された空間の雰囲気に供給される空気の容積をいい、ここで「供給される空気の容積」とは、閉鎖された空間の雰囲気に供給される空気とガスとの合計量をいう。恒久的に不活性な空間、たとえば一方で、あらかじめ設定した不活性レベルを維持するために、単位時間当たり特定の容積の不活性ガスを供給され、他方で、単位時間当たりある制御された量の新鮮空気もまた(不活性ガスに加えて)供給される空間においては、このようにして、供給空気の速度は、不活性ガスの流速と新鮮空気の流速との合計になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の解決策に関して得られる有利さは、明白である。その理由は、この方法はとくに実施容易であって、しかも効果的なやり方で、恒久的に不活性な空間に十分な補給空気を経済的に供給して、その空間のための特定の(最小限の)空気交換速度を維持し、かつ、その空間に設定された不活性レベルを維持し、それによって、その空間内における火災の危険を効果的に除くことができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで用いられているように、用語「補給空気」は、基本的に、恒久的に不活性な空間にとって望ましくない汚染物質、とりわけ、有毒な、またはその他の有害な物質、生物学的な作用を有するものおよび(または)湿気(水蒸気)を、その空間からパージするために、その空間に供給される空気/ガス組成物をいう。補給空気の供給は、とくに、時間の経過につれて空間の雰囲気内に放出された有毒な汚染物、ガスまたは粒状物を外部へ排出することを意味し、狙いとしては、その空間の空気を「浄化する」ことである。
【0016】
新鮮な空気が閉鎖された空間の雰囲気に供給される第二の容積流速の値、または時間の経過に関して平均した値を、その空間を連続的に不活性にしておくために必要な最小空気交換速度の関数として、および、あらかじめ定めた不活性レベルを維持するためにその空間の雰囲気に不活性ガスが供給される第一の容積流速の値、または時間の経過に関して平均した値の関数として設定することにより、所要の最小空気交換を確保する上で実際に必要とされる、恒久的に不活性な空間への補給空気の、正確に過不足のない量を供給することができる。とりわけ、第二の容積流量は、所要の最小空気交換速度および(または)第一の容積流量と有利に結びつけられるから、所要の最小空気交換速度の時間の経過に関して起こり得るいかなるバラツキも、また考慮に入れられる。ここで、第二の容積流量の値、または時間の経過に関して平均した値を、いかなる与えられた瞬間においても恒久的に不活性な空間のために必要とされる最小空気交換速度の関数として、および(または)任意の与えられた瞬間における第一の容積流速のそれぞれの値の関数として、対応的に設定することが考えられる。
【0017】
まだ設計の段階で、恒久的に不活性な空間のためにあり得る、所要の第一の、および(または)第二の容積流速であって、不活性なガスまたは新鮮空気を空間の雰囲気に供給するための値を、既知の、または任意の与えられた、見積もられた(または計算された)、所要の最小空気交換速度の関数としてあらかじめ決定しておく、ということも、もちろん考えられる。
【0018】
一方、いまひとつの解決策として、設計の段階で、恒久的に不活性な空間のためにあり得る、新鮮空気を空間の雰囲気に供給する第二の容積流速だけを、第一の容積流速の期待される値、および既知の、または任意の与えられた、見積もられた(または計算された)所要の最小空気交換速度の関数として、あらかじめ決定しておく、ということもあり得る。
【0019】
この明細書で用いられている、「容積流速の値」という用語は、単位時間に供給される容積流量の(時間に関する)平均値を意味することを指摘しておく。
【0020】
最小の空気交換、すなわち、有毒な、またはその他の理由で有害な物質、ガスおよび(または)粒状物体(以下、「ハザーダス・サブスタンス」または「汚染物質」と呼ぶ)を除去するために必要な空気を、空間の雰囲気と、空間の雰囲気内のそのようなハザーダス・サブスタンスの濃度を、いかなる生物にとっても医学的な危険がないというのに十分なレベルまで低下させるような速度で交換することは、たとえば場合によって人々が出入りする恒久的に不活性な空間に関しては、入ってくる人の数および(または)その人々が室内で過ごす時間の長さによって大きく依存し、とくに時間当たり一定した値ではない。継続的にハザーダス・サブスタンスを放出する物質を貯蔵しておく、恒久的に不活性な空間の場合、要求される最小空気交換は、追加的に、それらのハザーダス・サブスタンスが放出される速度によっても異なる。
【0021】
一方、本発明の解決策にしたがって、不活性ガス源から供給される不活性なガスが、恒久的に不活性な空間の雰囲気に、第一の供給ラインシステムを通じて供給される、第一の容積流速の値または時間に関する平均値は、あらかじめ決定可能なレベルを超えることはないはずである。上記のあらかじめ決定可能なレベルは、たとえば、恒久的に不活性な空間において維持されるべく、(ある制御範囲内で)あらかじめ設定された不活性レベルに対応させることができる。
【0022】
ここで重要なことは、しかし、本発明に従う方法は、一方で、不活性なガスの供給を、第一の容積流速で制御することにより、また、新鮮な空気を第二の容積流速で制御することにより、単位時間当たりに供給される空気の合計量が、恒久的に不活性な空間にあらかじめ設定された不活性レベルを維持することを確実にし、他方では、必要な空気交換速度を確保する、ということである。空間の雰囲気に供給される補給空気は、特定量の新鮮空気と特定量の不活性なガスとから成り、要求される空気交換は、恒久的に不活性な空間に対しても、とくに対費用効率が高いやり方で確実に行なわれる。
【0023】
この関連において、ここで使用している用語「不活性なガス」は、とくに、酸素を除去した空気を意味することに留意すべきである。そのような酸素除去空気は、たとえば、窒素富化空気であってもよい。
【0024】
たとえば、場合によって人々が入る恒久的に不活性な空間が、理想的には有毒な有害物質を、とくに高度に揮発性ないし放出性の物質−ただし、それらの人々が室内で放出する二酸化炭素またはそれらの人々が発生する湿気を別にして−を含まないとした場合、その空間に単位時間当たり供給することを要する補給空気、すなわち、第二の容積流速の値または時間にもとづく平均の値、および第一の容積流速の値または時間にもとづく平均の値を用いて、本発明の方法に従って調整される空気供給速度は、一方では、二酸化炭素および湿気の含有量に依存し、他方では、空間の雰囲気の減少した酸素含有量に依存する。
【0025】
このようにして、この(理想化された)実例においては、恒久的に不活性な空間に必要な最小の空気交換速度は、恒久的に不活性な空間に人間がおらず、それゆえ問題の物質(二酸化炭素、湿気)がこの恒久的に不活性な空間の雰囲気中に発生せず、空気を除去する必要がないときは、「ゼロ」の値であるはずである。
【0026】
提案される解決策は、このように、空間の雰囲気に新鮮空気がゼロの値で供給される第二の容積流速を設定するが、不活性なガスが空間の雰囲気に供給される第一の容積流速の値は、特定の不活性レベルを空間の雰囲気に維持するのに十分なレベルに設定されるはずである。
【0027】
しかしながら、一人または二人以上の人間がその空間に入ると、空間内の雰囲気の二酸化炭素および(または)湿気の濃度が、あらかじめ決定することができる臨界的な値を(ある時間が経過した後であるが)超える結果となり、最小の空気交換を行なって、空間の雰囲気における二酸化炭素および湿気のそれぞれの割合を、無毒ないし安全なレベルに低下させて、無毒ないし安全なレベルを保つ必要が生じてくる。それと同時に、不活性なガスを空間の雰囲気に供給する第一の容積流速を、その雰囲気内の不活性レベルを維持するのに本質的に十分な値に近づけなければならない。
【0028】
所要の最小空気交換に特定的に寄与している不活性ガス供給に関して、第二の容積流速の値を確立するときに考慮に入れなければならないのは、恒久的に不活性な空間の空間雰囲気から除去する必要がある有害な物質または汚染物質のパーセンテージだけではなく、不活性ガスそれ自身が、上記の空間の雰囲気に供給されるときの第一の容積流速の値でもある。本発明に従う解決策は、恒久的に不活性な空間の雰囲気に供給されるべき、ちょうど十分な新鮮空気を、不活性ガスを供給して、たとえば対応する排気空気排出システムにより、空間の雰囲気から未だ消滅させられていない汚染物質の量を消滅させるのに絶対的に必要なものとして、本質的に提供する。
【0029】
このようにして、最小空気交換の要求が十分に低いとき、空間の雰囲気に単位時間当たり供給される不活性なガスの量がすでに必要な空気の交換を満足し、それ以上の新鮮空気の供給は必要がない、ということが考えられる。言い換えれば、この特別な場合には、第一の容積流速で導入された不活性ガスはすでに、要求される最小空気交換を満足している。
【0030】
装置に関して言えば、本発明がその基礎とする任務は、下記のものからなる装置によって解決される:
不活性なガスを供給するための不活性ガス源、とくに不活性ガス発生機および(または)不活性ガス貯槽;
新鮮空気、とくに外部の空気を供給するための新鮮空気源;
入手可能な不活性ガスを、恒久的に不活性な空間の雰囲気に、あらかじめ規定された不活性レベルを維持し、汚染物質、とりわけ有毒な、またはそのほか有害な物質、生物学的な薬物および(または)湿気を、空間の雰囲気から適切に除去するように設定された、第一の容積流速で調節下に供給するための、不活性ガス源に接続可能な第一の供給ラインシステム;および
新鮮空気源に接続可能な、入手可能な新鮮空気を恒久的に不活性な空間の雰囲気に、第二の容積流速で調節下に供給をするための、第二の供給ラインシステム。
したがって本発明は、新鮮空気が供給される第二の容積流速の値を、恒久的に不活性な空間に要求される最小空気交換速度、および不活性なガスが供給される第一の容積流速の両方の関数として提供する。
【0031】
上に特定された装置は、上述した補給空気の、恒久的に不活性な空間への供給を調整する方法を実施するための、設計にもとづく実行手段を構成するものである。本発明の方法に関連して上述した有利さおよび特徴が、本発明の装置によってもまた達成可能であることは、自明である。
【0032】
有利なさらなる実施態様は、方法に関しては請求項2〜12に、また装置に関しては請求項13〜25に、それぞれ規定されている。
【0033】
本発明の方法の、特別に好ましい一つの実施態様は、恒久的に不活性な空間の中の1箇所または複数箇所で、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、またはあらかじめ特定した事象が生じたときに、1個または複数個のセンサーによって、その空間の雰囲気内にある汚染物質の濃度を測定することに関する。ひとつの、とくに有利な実現形態は、好ましくは吸引的な汚染物質測定装置であって、少なくとも1個の、好ましくは複数の並行的に操作される汚染物質センサーを有するものを使用する。そこでは、連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、またはあらかじめ定めた事象が生じたときに測定された汚染物質の濃度が、測定の読みとして、少なくとも1個の制御ユニットへ送信される。
【0034】
この少なくとも1個の制御ユニットは、恒久的に不活性な空間の雰囲気に不活性なガスを供給するときの、上記の恒久的に不活性な空間内に維持すべき不活性レベルの関数として、第一の容積流速の値を調整するように設計することができる。
【0035】
しかし、それとは別に、またはそれに追加して、制御ユニットを、それが、不活性なガスが恒久的に不活性な空間の内部において要求される最小空気交換の関数として、および(または)不活性ガスが供給される第一の容積流速の値の関数として、第一の容積流速の値を調整するように設計することもまた考えられる。
【0036】
ここで制御ユニットが、第二の容積流速の値を、任意の与えられた瞬間において、恒久的に不活性な空間の内部に要求される最小空気交換速度の関数として、および(または)第一の容積流速のそれぞれの瞬間の値の関数として、調整することが考えられる。
【0037】
設計という早い段階で、とくに新鮮空気を、空間の雰囲気に、既知の、または任意の見積もられた、所要の最小空気交換速度の関数として供給する、特定の第二の容積流速をあらかじめ決定するに当たり、恒久的に不活性な空間および(または)空間を取り囲むものへの気密性にとって、それぞれの空間に関連づけられたn50の値があり得るということもまた、もちろん考えられる。
【0038】
並行的に作動する複数個の汚染物質センサーを使用して、空間の雰囲気内部にある汚染物質の濃度を検出することの有利さは、とりわけ、汚染物質測定装置に、フェイル・セイフとなるような検出を可能にすることにある。制御ユニットは、好ましくは連続ベースで、またはあらかじめ定めた時間に、またはあらかじめ定めた事象が生じたときに汚染物質の濃度のデータを供給されるので、制御ユニットが、恒久的に不活性な空間にとって必要な最小空気交換を確立し、または回復し、それと同時並列的に汚染物質の濃度を測定することが、可能であり、有利である。
【0039】
本発明にしたがうシステムは、このように、空間の内部で維持すべき最小空気交換速度を知ることができるから、新鮮空気が空間の雰囲気に供給される第二の容積流速の値を、恒久的に不活性な空間に要求される上記の最小空気交換に、連続的に適応させることが可能である。上述のように、供給空気の速度(すなわち、恒久的に不活性な空間に単位時間当たり供給される補給空気の量)は、第一の容積流速の値プラス第二の容積流速(すなわち、空間の雰囲気に単位時間当たり供給される不活性ガスの量と、空間の雰囲気に単位時間当たり供給される新鮮な空気の量)とから構成される。要求される最小空気供給速度は、ちょうど、恒久的に不活性な空間に単位時間当たり供給し、汚染物質などを空間の雰囲気から除去して、上記汚染物質の濃度が、その恒久的に不活性な空間にいる人々にとって、また貯蔵された物品にとって、安全であるのに十分な、低いものとすべき補給空気の量である。
【0040】
本発明の解決策の一つのとくに好ましい実現形態は、さらに、恒久的に不活性な空間における酸素濃度を、この空間の内部における1箇所で、または複数箇所で、好ましくは連続的な、またはあらかじめ定めた時間に、またはあらかじめ定めた事象が生じたときに測定する態様を提供する。ここで、好ましくは吸引的なタイプの、少なくとも1個の、好ましくは複数個の、並列的に作動する酸素センサーを有する酸素測定装置を用意して、恒久的に不活性な空間の雰囲気の酸素濃度を、連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、またはあらかじめ定めた事象が生じたときに測定して、測定の読みを制御ユニットに送信することが考えられよう。
【0041】
並列的に作動する複数の酸素センサーを使用することは、酸素測定装置のフェイル・セイフ操作にとって好ましい。制御ユニットは、任意の時間における、恒久的に不活性な空間における空間雰囲気中で優勢な酸素濃度を登録するから、制御ユニットは、不活性ガスが空間の雰囲気に供給される第一の容積流速の値を、上記の恒久的に不活性な空間において不活性レベルを維持するのに適した、特定の(必要に応じて設けたある制御範囲内の)ポイントに調整することができる。本発明にしたがうシステムは、このようにして、火災に対して、および−あらかじめ設定した不活性レベルに対応した空間の雰囲気の酸素濃度が十分に低い場合−爆発に対しても、恒久的に不活性な空間の雰囲気において、調整された空気の交換が生じたとしても、保護を確保する。
【0042】
本発明に従えば、要求される最小空気交換を確保するために空間に補給する必要がある空気の供給速度は、新鮮空気が空間の雰囲気に供給される第二の容積流速の値だけでなく、不活性ガスが空間の雰囲気に供給される第一の容積流速の値をも考慮に入れ、その最小空気交換を確保する上で実際に必要とされるだけの、多量の補給空気が単位時間当たりに原則として供給されるようにする。この目的にとって、第二の容積流速の値は、恒久的に不活性な空間に要求される最小補給空気を維持するうえで必要な容積流速、すなわち供給速度、および(または)特定の不活性レベルを維持するための第一の容積流速の値との差に対応する値に設定することが理想的である。もちろん、第二の容積流速に関して若干高い値を意図的に選択して、要求される最小空気交換の安全性について特別な余裕を保証するということも考えられる。
【0043】
本発明に従う解決策をもって、恒久的に不活性な空間に要求される最小空気交換速度を維持するために少なくとも必要な、上に引用した最小供給空気の容積流速または補給空気速度は、少なくとも1個の制御ユニット手段をもって、恒久的に不活性な空間の雰囲気内において測定された汚染物質の濃度の関数として、決定することができる。ここで、測定された汚染物質の濃度と、要求される最小供給空気の容積流速との間の関係を定義する、対応する一覧表を、上記制御ユニットに設けることが考えられる。システムを、潜在的に変化する、恒久的に不活性な空間の雰囲気にある汚染物質の濃度に適応して、できるだけフレキシブルなものにするため、制御ユニットが必要な最小供給空気の容積流速を、連続的に、またはあらかじめ定めた時間で、またはあらかじめ定めた事象が生じたときに決定するようにすることが好ましい。
【0044】
しかしその一方で、とくに装置の設計の段階で、新鮮空気が空間の雰囲気に供給される、既知の、または任意の、見積もられた、要求された最小空気交換速度の関数として、第二の容積流速を設定することも考えられ、この決定は、恒久的に不活性な空間を取り囲むものへの気密性、すなわち空間のn50値を考慮に入れて、あらかじめ決定することが好ましい。
【0045】
全体から見て、制御ユニットは、恒久的に不活性な空間に要求される、その空間内の汚染物質の濃度が増加したときに、最小空気交換速度を増大させるように、また汚染物質の濃度が減少したときには、それに対応して低減させるように設計することが好ましい。
【0046】
一方、制御ユニットはまた、第二の容積流速を、最小空気交換速度の関数として、および第一の容積流速の関数として、好ましくは第二の供給ラインシステムに設けたバルブを制御することによって、第二の容積流速の値が、恒久的に不活性な空間内で最小空気交換を維持するために要求される最小供給空気の容積流速と、恒久的に不活性な空間の雰囲気中に特定された不活性レベルを維持するために必要な第一の容積流速の値との差と、同等かまたはそれ以上となるように、設計することも必要である。
【0047】
もちろん、第一の容積流速の値を、最小空気交換速度の関数として、また、装置設計の段階であらかじめ定めた第二の容積流速の値の関数として、好ましくは第一の供給ラインシステムに設けたバルブを制御することによって、第一の容積流速の上記の値が、恒久的に不活性な空間に要求される空気交換を維持するために必要とされる最小供給空気の容積流速と、すでに設定されたと考えられる第二の容積流速の値との差と、同等、またはそれ以上であるように、制御ユニットを設計することも考えられる。ここで留意すべきことは、もちろん、第一の容積流速は原理的に、恒久的に不活性な空間の雰囲気における特定の不活性レベルを維持するために要求される値である、と推測されることである。
【0048】
不活性な空間に設定された不活性レベルを維持するために、または所要の最小空気交換速度を維持するために役立つ、それぞれ制御ユニットにより確立された第一のおよび第二の容積流速の値を検出するために、本発明のシステムが、第一のおよび第二の供給ラインシステムの内部に、第一のおよび第二の容積流速のそれぞれに測定を目的とする、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、またはあらかじめ定めた事象が生じたときに、1箇所または複数箇所に、少なくとも1個のセンサーを設け、測定の読みを制御ユニットに送る、という実現形態が好ましい。
【0049】
新鮮な空気の源は、たとえば、「正常な」外部の空気を引き込むシステムの形態であることができ、その場合、新鮮な空気の源により供給される新鮮な空気とは、環境の空気である。
【0050】
本発明に従う装置のとくに好ましい態様は、恒久的に不活性な空間の雰囲気から、排気空気を調節されたやり方で引き出すように設計された、排気の排出機構を付加的に備えている。この排気の排出機構は、たとえば、正圧換気の原則にもとづくシステムであってもよく、そこでは、補給空気の供給が、恒久的に不活性な空間に、ある種の過剰な圧力をつくり出し、その圧力の差によって、空間の空気の一部が、対応する排気パイプシステムを通じて、恒久的に不活性な空間から排出されるようにする。もちろん、排気の排出機構であって、たとえばファンを使用して、積極的に空気を空間から引き出すものもまた、考えられる。
【0051】
恒久的に不活性な空間に補給空気を調整下に供給するための装置が、さらに排気排出機構を備えているという後者の態様においては、空間から排気排出機構によって除去された排気空気を加工し、および(または)濾過し、それに続いて、加工されまたは濾過された排気空気の少なくとも一部分を、入手可能な不活性ガスとして、不活性ガス源に再供給するための空気処理ユニットを、追加的に備えていることがとくに好ましい。この空気処理ユニットは、それゆえ、抜き出された排気空気から来るかも知れない、有毒な、またはその他の有害な煩わしい物質、ガスまたは粒子状物を、どのようなものでも濾過により取り除き、濾過された排気空気が直接不活性ガスとして再び使用可能であるように設計される。
【0052】
しかしながら、この後者の態様においても、空気処理ユニットは分子分離システム、とりわけ中空糸膜システム、分子ふるいシステムおよび(または)活性炭吸着システムからなるものであって、空間からの排気空気を分子レベルで濾過する操作を提供するものであることが考えられる。
【0053】
不活性ガス源として、膜システムおよび(または)活性炭吸着システムからなる不活性ガス発生機を使用し、圧縮空気混合物が不活性ガス発生機に供給される場合であって、不活性ガス発生機が窒素富化空気混合物を分与するとき、不活性ガス発生機に供給される空気混合物が濾過された排気空気の少なくとも一部を含有する、ということがさらに考えられる。
【0054】
排気排出機構のとくに好ましい実現形態においては、この機構は、少なくとも一つの制御可能な排気フラップ、とくに機械的に、水圧的に、またはニューマチックに作動させる排気フラップであって、排気空気を、恒久的に不活性な空間から通常のやり方で排出するように制御されているものを備えている。この排気フラップは、火災のダンパーとして設計することが考えられる。
【0055】
とくに本発明の装置の、上記した排気排出機構および空気処理ユニットを有する好ましい態様においては、濾過されて不活性ガス源に不活性ガスとして供給される空気の中の酸素の容積濃度は、最大で5容積%とすることが好ましく、そうすることにより、きわめて経済的なシステムの運転ができる。
【0056】
恒久的に不活性な空間に設定することが可能な、あらかじめ決定できる不活性レベルに関しては、とくに外部の空気の酸素濃度よりも低く、かつ、恒久的に不活性な空間に維持すべく特定された不活性レベルの酸素濃度よりも高い濃度が、とくに提供される。
【0057】
最後に、上述した不活性ガス源ならびに新鮮な空気の源を備えた本発明の装置の実施態様において、不活性ガス源により供給される不活性ガス中の酸素のパーセンテージは、容量で2%から5%であって、新鮮な空気の源により供給される新鮮な空気中の酸素のパーセンテージは、容量で21%であることが、経済的な観点からみて、とりわけ好ましい。もちろん、その他のパーセンテージもまた考えられる。
【0058】
本発明に従う方法に関して、不活性ガスを製造するという工程を付加的に有する態様が好まれる。その工程を加えることによって、適用可能な機構を考慮に入れると、不活性ガスのオンサイト製造が可能であり、製造されたガスを、恒久的に不活性な空間に必要により供給される補給空気に混合することができる。
【0059】
そのうえ、本発明の方法にとって、恒久的に不活性な空間から排気空気を調整下に抜き出すという工程、ならびに、前記の排気排出機構によって空間から抜き出した排気空気を濾過し、濾過された排気空気の少なくとも一部を不活性ガスとして利用可能にする、さらなる工程を含むことが好ましい。
【0060】
最後に、恒久的に不活性な空間の空間雰囲気内の酸素濃度を、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定められた時間に、または特定の事象が生じたときに測定し、不活性ガス源から供給される不活性ガスの容積流速を調整するという方法的な工程、および新鮮な空気の源から供給される新鮮空気供給の容積流速を調整するという方法的な工程がそれぞれ、測定された酸素濃度の関数として、続いて行なわれるということもまた、考えられる。
【0061】
以下、添付図面を参照して、本発明の装置の好ましい態様を記述する。
【0062】
図1は、本発明に従う第一の好ましい実施態様である装置(1)の系統図であって、恒久的に不活性な空間(10)に補給空気を調整下に供給するための装置を示す。図示したように、恒久的に不活性な空間(10)に補給空気を調整下に供給する装置(1)は、補給空気の調整機構として機能するものであって、制御ユニット(2)、新鮮な空気(この場合は外部の空気)を供給する新鮮空気源(5)、および不活性ガスたとえば窒素富化空気を供給する不活性ガス源(3)から本質的になる。
【0063】
図1は、装置(1)が、入手可能な不活性ガスおよび入手可能な新鮮空気を、それぞれ調整下に、恒久的に不活性な空間(10)に供給するための、第一の供給ラインシステム(11)および第二の供給ラインシステム(12)を、付加的に備えていることを示している。これら供給ラインシステム(11,12)は、それぞれ不活性ガス源(3)および新鮮空気源(5)を、恒久的に不活性な空間(10)の中に設けた放出ノズルシステム(13)に接続する。
【0064】
ここに記述したすべての実施態様において、放出ノズルシステム(13)は、不活性ガスおよび新鮮空気の両方を供給するために、共有されたノズルシステムである。もちろん、別々のノズルシステムも考えられる。
【0065】
制御ユニット(2)により作動させることができるバルブ(V11,V12)が、第一および第二の供給ラインシステム(11,12)の中に設けてある。第一の供給ラインシステム(11)に設けたバルブ(V11)についていえば、制御ユニット(2)によって不活性ガス源(3)から供給される不活性ガスが、恒久的に不活性な空間(10)に調整された第一の容積流速VN2で供給されると、それに対応して作動することが可能なように設計されている。同様に、第二の供給ラインシステム(12)に設けたバルブ(V12)は、制御ユニット(2)によって新鮮空気源(5)から供給される新鮮空気(この場合は外部の空気)が、恒久的に不活性な空間(10)に、調整された第二の容積流速Vで供給されると、それに対応して作動することが可能なように設計されている。
【0066】
本発明に従う装置の一つの好ましい実施形態においては、バルブ(V11およびV12)は、「開」の状態と「閉」の状態との間で切り替わるストップバルブとして設計される。図4aおよび4bは、この実施形態において、制御ユニット(2)が、バルブ(V11およびV12)を開いた状態および閉じた状態をプロットしたものを、それぞれ示す。ここで、新鮮空気および不活性ガスは、それぞれ、新鮮空気源(5)および不活性ガス源(3)により、パルス状に与えられる。不活性ガスが恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気に供給される第一の容積流速(VN2)の値、および新鮮空気が恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気に供給される第二の容積流速(V)の値は、それぞれの場合、ある時間の平均値であることに、とくに留意すべきである。
【0067】
第一の供給ラインシステム(11)に設けたバルブ(V11)は、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気の、酸素濃度(または不活性ガス濃度)を調節するために作動させられる。この目的のために、バルブ(V11)は、空間(10)に供給される第一の容積流速(VN2)の値が、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気にあらかじめ定めた不活性レベルを維持するのに十分であるように、(必要によりある制御範囲を考慮して)設定することが好ましい。
【0068】
本発明に従う装置(1)を用いて、第一の容積流速(VN2)を、恒久的に不活性な空間(10)の不活性レベルを空間(10)において、できるだけ正確に維持できるように、すなわち、あらかじめ定めた不活性レベルが前記の空間(10)におい、できるだけ正確に設定することができるようにするために、図1に示した本発明に従う装置(1)は、少なくとも1個の、好ましくは複数の、並列的に作動して、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気内の酸素濃度を、連続的に、またはあらかじめ定められた時間に、またはあらかじめ定めた事象が生じたときに測定して、測定の読みを制御ユニット(2)に送信する酸素センサー(7)を有する酸素測定装置(7’)を、付加的に備える。図1には明示してないが、酸素測定装置(7’)としては、吸引タイプのシステムがとくに好ましい。
【0069】
第二の供給ラインシステム(12)に設けたバルブ(V12)は、上記と同様に、恒久的に不活性な空間(10)のために要求される最小補給空気速度の関数として、すなわち、空気供給速度が正確に、空間(10)に要求される最小空気交換を確保するのに十分であるように制御される。上に説明したように、最小供給空気速度、すなわち恒久的に不活性な空間(10)に単位時間当たり供給される補給空気の量は、第一の容積流速(VN2)と、第二の容積流速(V)とからなる(すなわち、空間の雰囲気に単位時間当たり供給される不活性ガスの量および新鮮空気の量の合計である)。特定的にいえば、最小供給空気速度は、汚染物質およびそれに類するものを空間の雰囲気から除去し、この空間における汚染物質の濃度が、恒久的に不活性な空間(10)の中に居る人々、および貯蔵された物品に対して安全であるような供給速度である。
【0070】
本発明に従えば、空間(10)への、要求される最小空気交換を確保するための空気供給速度の値の決定は、新鮮な、つまり外部の空気が空間の雰囲気に供給される第二の容積流速(V)と、不活性ガスが空間の雰囲気に供給される第一の容積流速(VN2)との両方を考慮に入れるから、本発明の好ましい態様においては、第二の供給ラインシステム(12)に設けたバルブ(V12)が、制御ユニット(2)により調整されて、第二の容積流速(V)が、実際に最小空気交換を確保するのに必要な多量の供給空気が空間(10)に供給されることだけを許容する値または時間にわたる平均の値であるようにする。この目的のため、第二の容積流速(V)は、理想的にはバルブ(V12)の適切な活性化により、ある値を見込むのであって、その値は、最小空気供給の容積流速すなわち恒久的に不活性な空間(10)において必要とされる最小空気交換を維持するために必要な補給空気の流速と、あらかじめ定義された不活性レベルを維持するために設定された第一の容積流速(VN2)との差に対応するものである。しかし、最小空気交換に関する安全に、追加的な余裕を確保するために、若干高い第二の容積流速(V)を意図的に選択することもまた、考えられる。
【0071】
このようなわけで、バルブ(V11およびV12)は、最小供給空気の容積流速、すなわち補給空気の容積流速(V)と、第一の容積流速(VN2)および第二の容積流速(V)との間に、下記の関係が成立するように作動させられる。
N2+V≧V
【0072】
必要な最小供給空気の容積流速(V)は、たとえば、少なくとも1個の、そして好ましくは複数個の、並列的に作動して、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気内の汚染物質の濃度を、連続的に、またはあらかじめ定めた時間ごとに、またはあらかじめ定めた事象に基づいて測定し、測定の読みを制御ユニット(2)に送信する、汚染物質センサー(6)を有する汚染物質測定装置(6’)を使用して決定することができる。酸素測定装置(7’)の場合のように、汚染物質測定装置(6’)は、好ましくは吸引タイプの設計とする。
【0073】
ここで、制御ユニット(2)に関して、連続的であれ、あらかじめ定めた時間ごとであれ、またあらかじめ定めた事象が生じたときであれ、測定された汚染物質の濃度に基づいて、前記制御ユニット(2)に内蔵されている表を使用して、それに続いて要求される最小供給空気の容積流速(V)を決定することが考えられる。この表は、測定された汚染物質の濃度と必要な最小補給空気の容積流速との関係を特定するものでなければならない。そのようにしなければならないわけではないが、この関係は、適切な空間(10)の物理的な特性に対しても、たとえば、この空間の容積、実際の使用目的およびその他のパラメータを考慮に入れて、適用することができる。
【0074】
しかし、制御ユニット(2)に供給空気調整信号を入力することにより維持されるべき最小の空気交換速度を、あらかじめ設定しておいて、このあらかじめ設定した値が、続いて第二の容積流速を計算するのに利用されるようにすることも、もちろん考えられる。
【0075】
最後に、制御ユニット(2)を、つぎのように設計することもまた、考えられる。すなわち、最小空気交換速度すなわち最小限必要な補給空気の容積流速(V)、および第二の容積流速(V)の値によって異なるが、装置の設計段階で潜在的に設定された、第一の容積流速(VN2)の値または時間にわたる平均値を、好ましくは第一の供給ラインシステム(11)に設けたバルブ(V11)を調整することにより、第一の容積流速(VN2)の値または時間にわたる平均値が、恒久的に不活性な空間における最小空気交換を維持するために必要とされる第一の最小補給空気容積流速(V)と、あらかじめ定めた第二の容積流速(V)との差と、同等、またはそれ以上になるようし、それによって、もちろん、第一の容積流速(VN2)が本質的に、恒久的に不活性な空間の特定の不活性レベルを維持するために必要な値または時間平均の値であるようにすることである。
【0076】
しかしながら、一般的にいって、第二の容積流速(V)の値は、第一の容積流速(VN2)の値に依存する。それゆえ、第一の容積流速(VN2)を、第一供給ラインシステム(11)における1箇所または複数箇所において、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、または特定の事象が生じたときに、適当な容積流速センサー(S11)を用いて測定し、その読みを制御ユニット(2)に送信することが好ましい。しかし、第一の容積流速(VN2)の値を、制御ユニット(2)が、第一供給ラインシステム(11)に設けた、容積流量調節器であるバルブ(V11)のために設定する制御信号の関数として決定するということも、もちろん考えられる。
【0077】
それとは逆に、少なくとも1個のセンサー(S12)を、第二供給ラインシステム(12)の1箇所または複数箇所に追加的に設けて、第二の容積流速(V)の値を、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、または特定の事象が生じたときに測定し、その読みを制御ユニット(2)に送信することもまた好ましい。
【0078】
上に示したように、汚染物質測定装置(6’)により測定された値の代わりに、対応する補給空気調節信号を制御ユニット(2)に入力して、この補給空気調節信号で、恒久的に不活性な空間(10)に要求される最小空気交換速度を確立するということが、原理的に考えられる。それに代えて、またはそれに加えて、補給空気調節信号に、第一の容積流速(VN2)の値に関する情報を含ませ、恒久的に不活性な空間(10)に設定される不活性レベルを(必要に応じて、ある制御範囲を考慮に入れて)不活性ガスの連続的な供給により維持する、ということも考えられる。この場合には、酸素測定装置(7’)は、必要がなくなる。
【0079】
図1に示した態様における新鮮空気源(5)は、制御ユニット(2)により作動させられるか、または作動させることができるコンプレッサーであって、「正常な」外部の空気を引き込むように設計され、制御ユニット(2)により活性化されたときは、第二の供給ラインシステム(12)に対し、対応する容積流速(V)で、新鮮空気を提供する。
【0080】
図1に示した不活性ガス源(3)は、制御ユニット(2)により作動させられるか、または作動させることができるコンプレッサー(3a”)、および分子分離システム(3a’)とくに膜または活性炭吸着システム、からなる不活性ガス発生システムである。第一の好ましい態様においては、コンプレッサー(3a”)は、「正常な」外部の空気を圧縮し、ついでそれを分子分離システム(3a’)に供給する。制御ユニット(2)は、コンプレッサー(3a”)により分子分離システム(3a’)に配送される圧縮空気の容積流速を制御するから、最終的に不活性ガス源(3)により第一の供給ラインシステム(11)に供給される容積流速(VN2)を、適切に設定することができる。もちろん、このプロセスを、第一の供給ラインシステム(11)に設けた容積流速調節器であるバルブ(V11)の適当な制御により、確実にすることもできる。
【0081】
不活性ガス発生システム(3a’,3a”)に代えて、またはそれに加えて、不活性ガス源(3)が、図1にダッシュを付けた線で示したように、不活性ガス貯槽(3b)を備えることが考えられる。この不活性ガス貯槽(3b)は、たとえば、一連のガスシリンダーの形態をとることができる。第一の供給ラインシステム(11)の不活性ガス貯槽(3b)から供給される不活性ガスの容積流速(VN2)は、制御ユニット(2)により制御される調節バルブ(V11)によって調節できるようにすべきである。
【0082】
本発明によれば、恒久的に不活性な空間(10)に対して単位時間に供給される補給空気の値または時間平均の値は、一方では、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気に存在する汚染物質を十分に駆逐するものであり、他方では、上記の恒久的に不活性な空間(10)に設定された不活性レベルを維持するように設定される。しかし、とりわけ本発明の解決策に従う第二の容積流速(V)の値または時間平均の値を決定するには、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気から除去すべき汚染物質の比例的な濃度だけでなく、不活性ガスが空間の雰囲気に供給される第一の容積流速(VN2)の値または時間平均の値をも考慮に入れて、第一の容積流速(VN2)が、要求される最小空気交換にある程度は寄与し、それぞれの排気排出機構(4)を用いて、空間の雰囲気からまだ駆逐されてはいない汚染物質濃度を駆逐するために絶対必要な程度の多量な新鮮な空気が、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気に供給されるようにする。
【0083】
これに関連して、図1の態様においては、排気フラップの形の排気排出機構(4)が、恒久的に不活性な空間(10)に追加的に設けられ、それを通じて排出空気が恒久的に不活性な空間(10)から抜き出される。図示した好ましい態様においては、排気排出機構(4)は正圧原理にもとづいて動作する受動システムである。上記排気排出機構(4)の排気フラップは、逆止フラップバルブとして構成される。
【0084】
要約すれば、本発明に従う解決策は、新鮮な/外部の空気をちょうど十分なだけ、必要に応じて、恒久的に不活性な空間(10)に常に供給し、要求される最小空気交換を確実にするものである。もし、恒久的に不活性な空間(10)に要求される最小空気交換が、新鮮な空気の、たとえば1000m/日を要求するならば、本発明は、おそらく、たとえば700mの外部空気および300mの窒素富化空気または酸素除去空気を、空間(10)に、一日当たりの量として導入することを許容するであろう。使用できる酸素除去空気の例は、容積で、窒素含有量90〜95%を有するものとなる。酸素除去空気のパーセンテージは、酸素除去空気に残存する酸素の濃度、空間に設定すべき基本的な不活性レベル、空間の容積およびその気密の程度にもとづいて計算される。
【0085】
図2は、図1に示した本発明の第一の態様の装置(1)を、さらに発展させた好ましい態様を示す。図2に示したこの第二の態様は、恒久的に不活性な空間(10)から排気排出機構(4)の手段によって抜き出される排出空気を、すべて外部の雰囲気に排出するわけではなく、むしろ、少なくともその一部を、濾過システム(15)を通じて、第一の供給ラインシステム(11)に、上記第一の供給ラインシステム(11)に設けた制御可能なバルブ(V11)を用いて再循環するという点で、図1に従う第一の態様と相違する。
【0086】
この「不活性ガスのフィードバック」が、このようにしてその効果を発揮するゆえんのものは、恒久的に不活性な空間(10)から排気排出機構(4)により調整された空気交換の間に抜き出された、排気空気の一部を浄化する濾過システム(15)であって、これにより浄化された排気空気の一部は、ついで恒久的に不活性な空間(10)に、不活性ガスとして再供給される。
【0087】
濾過システム(15)により行なわれる排気空気の浄化は、有毒な、または有害な厄介な物質を、恒久的に不活性な空間(10)から抜き出した排気空気から分離することを必要とし、そのため、最終的に浄化された排気空気を、理想的には直接、空間(10)に再供給する。浄化された排気空気は、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気の酸素含有量と同一の、あるパーセンテージの酸素を含有しており、無損失フィードバックの必要がなく、かくして完全にクローズド・フィードバックのループを形成し、恒久的に不活性な空間(10)の外周を気密にシールする必要もなく、付加的な不活性ガスを不活性ガス源(3)から追加することも、あるいは付加的な新鮮空気を新鮮空気源(5)から浄化された排気空気に追加して最小空気交換を確保することも必要にしない一方で、恒久的に不活性な空間(10)に関して特定された不活性レベルを維持することができる。
【0088】
実施に当たっては、しかし、そのような損失のない不活性ガスのフィードバックのループ、すなわち気密にシールされた空間の外周を得ることは、しばしばできないので、図2に示した本発明の好ましい第二の態様は、新鮮空気源(5)ならびに不活性ガス源(3)であって、それぞれ制御ユニット(2)により作動可能なものに対し、その関連するガス容積流速(VN2,V)を、どちらも制御ユニット(2)の直接の活性化により、または対応するバルブ(V11,V12)を制御ユニット(2)により調整することにより、提供する。
【0089】
図2に示すように、不活性ガスのフィードバックのループは、制御ユニット(2)により作動させることができる、恒久的に不活性な空間(10)から除去される排気空気のパーセンテージを設定するための、三方バルブ(V4)を備えている。この排気空気はついで、不活性ガス・フィードバックループの濾過システム(15)に供給され、最終的に空間(10)に浄化された補給空気として再導入される。
【0090】
上に示したように、不活性ガス・フィードバック・ループに設けた濾過システム(15)は、不活性ガス・フィードバック・ループに供給される排気空気に含まれる、有毒な、または有害な汚染物質を分離するように設計しなければならない。この目的にとりわけよく適合したものは、分子分離システム(15’)、とくに中空糸膜システムおよび(または)活性炭吸着システムからなる、空気処理ユニット(15)である。この場合、空気処理ユニット(15)には、付加的にコンプレッサー(15”)が設置されていて、不活性ガス・フィードバック・ループに供給する排気空気の一部を圧縮して、それを分子分離システム(15’)に向けるように構成されている。
【0091】
分子分離システム(15’)は、圧縮された排気空気を分子的に分離し、有毒な、または有害な成分(汚染物質)を、恒久的に不活性な空間(10)から抜き出された排気空気から分離して、第一の出口を通じて外部に排出する。図2が示すように、分子分離システム(15’)の第二の出口を、バルブ(V11)を通じて第一の供給ラインシステム(11)に接続し、浄化された排気空気の少なくとも一部を、不活性ガスとして第一の供給ラインシステム(11)に供給することができるようにしてもよい。
【0092】
言い換えれば、このことは、不活性ガス・フィードバック・ループと、空気処理ユニット(15)とからなる図2の態様が、不活性ガス交換装置を構成する、ということを意味する。不活性ガスをフィードバックする速度を調整するために、発生機(15”)の入り口にある制御バルブ(V4)を、および(または)発生機(15”)それ自身を、制御ユニット(2)が作動させるように構成することが好ましい。
【0093】
図3は、第二の態様の、さらなる好ましい発展形態を示す。ここでは、図1および図2に従う第一および第二の態様におけると同様であるが、不活性ガス源として、分子分離システム(3a”)とくに中空糸膜システムまたは活性炭吸着システムである不活性ガス発生機(3a)が、圧縮空気の供給を受け、不活性ガス発生機(3a)が、圧縮された空気混合物の供給を受け、また、不活性ガス発生機(3a)により分与された窒素富化空気混合物が、不活性ガスとして第一の供給ラインシステム(11)および恒久的に不活性な空間(10)のそれぞれに、制御下に分与される。
【0094】
図3に示した態様は、排気排出機構(4)を追加的に備えていて、恒久的に不活性な空間(10)から排気空気を調整されたやり方で、好ましくは正圧原理に基づいて抜き出し、抜き出した排気空気の少なくとも一部を、空気処理ユニット(15)を通じて通過させることを許容し、この排気排出機構(4)により空間(10)から抜き出された排気空気の一部を、そこで濾過するように設計されている。濾過された排気空気の少なくとも一部は、ついで不活性ガス源(3)のコンプレッサー(3a”)に供給される。
【0095】
図2に示した第二の態様と対照的に、図3に従う第三の態様は、恒久的に不活性な空間(10)から抜き出され、不活性ガスまたは排気フィードバックループに供給される排気空気の一部に含まれる有毒な、または有害な汚染物質を適当なガス分離方法により分離するための、不活性ガスまたは排気フィードバックループに設けた、図2において符号(15”)で示したコンプレッサーを備えるべき空気処理ユニット(15)を、または図2において符号(15’)で示した分子分離システムを、必要としない。
【0096】
それに代って、図3の態様においては、排気空気の処理は、すなわち不活性ガス発生機(3a’,3a”)として構成された不活性ガス源(3)を使用し、排気空気が供給される入り口に使用する。不活性ガス発生機(3a’,3a”)に供給される排気空気はすでにあるパーセンテージの、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気の酸素のパーセンテージと本質的に同一の酸素を含有しているから、不活性ガス源(3)の分子分離システム(3a’)の第一の機能は、有毒ないし有害な汚染物質が、排気空気から空気処理ユニット(15)により除去されなかった場合、排気空気中になお存在し得るその残留成分(とくにガス状の)のいかなるものをも分離することである。
【0097】
本発明の実現は、図1ないし図3に特定した態様に限定されるのではなく、多数の変更態様が可能であることを指摘すべきであろう。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に従って、恒久的に不活性な空間に、補給空気を調整下に供給する装置の、第一の好ましい態様を示す図。
【図2】本発明に従って、補給空気を調整下に供給する装置の、第二の好ましい態様を示す図。
【図3】本発明に従って、補給空気を調整下に供給する装置の、第三の好ましい態様を示す図。
【図4】本発明の好ましい態様のある実現における、不活性ガスおよび補給の空気の調整された供給のためのバルブ制御の時間経過にともなうプロット。4aはバルブ(V11)の開閉、4bはバルブ(V12)の開閉を示す。
【符号の説明】
【0099】
1 供給空気を調整下に供給する装置
2 制御ユニット
3 不活性ガス源
3a’ 分子分離システム
3a” コンプレッサー
3b 不活性ガス貯槽
4 排気放出機構
5 新鮮空気源
6 汚染物質センサー
6’ 汚染物質測定装置
7 酸素センサー
7’ 酸素測定装置
10 恒久的に不活性な空間
11 第一の供給ラインシステム
12 第二の供給ラインシステム
13 補給空気放出ノズルシステム
V4 排気フィードバックループの制御可能なバルブ
V11 第一フィードラインシステムの制御可能なバルブ
V12 第二フィードラインシステムの制御可能なバルブ
S11 第一フィードラインシステムの容積流速センサー
S12 第二フィードラインシステムの容積流速センサー
補給空気容積流速
新鮮空気容積流速
N2 不活性ガス容積流速

【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒久的に不活性な空間(10)であって、あらかじめ定められた不活性レベルが設定されており、それがある特定の制御範囲内に維持される空間に、補給空気を調節下に供給するための方法であって、下記の諸工程:
a)不活性ガス源(3)、とくに不活性ガス発生機(3a)および(または)不活性ガス貯蔵機(3b)、が不活性ガスを提供すること、
b)提供された不活性ガスが、調節された方法で、恒久的に不活性な空間(10)に、第一の供給ラインシステム(11)を通じて、第一の容積流速(VN2)をもって供給され、特定の不活性化レベルを維持し、汚染物質とりわけ有毒物質またはその他の有害な物質、生物学的な薬剤および(または)湿度を、その空間の雰囲気から除去すること、
c)新鮮空気源(5)が、新鮮な空気、とりわけ外部の空気を提供すること、および、
d)提供された新鮮な空気が、調整されたやり方で、恒久的に不活性な空間(10)に、第二の供給ラインシステム(12)を通じて、第二の容積流速(V)をもって供給されること、
からなり、新鮮空気が空間の雰囲気に供給される第二の容積流速(V)が恒久的に不活性な空間(10)に要求される最小空気交換速度ならびに不活性ガスが供給される第一の容積流速(VN2)の両方の関数である方法において、
第二の容積流速(V)が、恒久的に不活性な空間(10)の最小空気交換に必要とされる最低供給容積流速(V)と、恒久的に不活性な空間(10)内の雰囲気の特定の不活性レベルを維持するための第一の容積流速(VN2)の値との差と同等であるか、またはそれより大きいことを特徴とする方法。
【請求項2】
空間の雰囲気内の汚染物質の濃度を、恒久的に不活性な空間(10)内の1箇所または複数箇所で、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間ごとに、またはあらかじめ定めた事象が生じるたびに、1個または複数個のセンサー(6)手段を用いてそれぞれに測定して実施する請求項1の方法。
【請求項3】
空間内の雰囲気の酸素濃度を、恒久的に不活性な空間(10)内の1箇所または複数箇所で、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間ごとに、またはあらかじめ定めた事象が生じるたびに、1個または複数個のセンサー(7)手段を用いてそれぞれに測定して実施する請求項1または2の方法。
【請求項4】
汚染物質および(または)酸素濃度の測定値を、少なくとも1個の制御ユニット(2)に送る請求項2または3の方法。
【請求項5】
恒久的に不活性な空間(10)内に要求される最小空気交換速度を、その空間内における汚染物質の濃度が上昇するにつれて増大させ、汚染物質の濃度が低下するにつれて減少させる請求項4の方法。
【請求項6】
第一の容積流速(VN2)の値を、前記空間内の酸素濃度が上昇するにつれて増大させ、酸素濃度が低下するにつれて減少させる請求項4または5の方法。
【請求項7】
少なくとも1個の制御ユニット(2)が、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間ごとに、またはあらかじめ定めた事象が生じるたびに、汚染物質の濃度の測定値にもとづいて、上記制御ユニット(2)に貯えたテーブルに対応して最小補給空気の容積流速(V)を決定する請求項4ないし6のいずれかの方法。
【請求項8】
第一の容積流速(VN2)の値を、第一の供給ラインシステム(11)の中に設けたひとつまたは複数の場所で、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間ごとに、もしくはあらかじめ定めた事象が生じるたびに、1個または複数個のセンサー(8)により測定して実施する先行する請求項のいずれかに従う方法。
【請求項9】
第二の容積流速(V)の値が、第二の供給ラインシステム(12)の中に設けた1箇所または複数箇所で、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間ごとに、またはあらかじめ定めた事象が生じるたびに、1個または複数個のセンサー(9)により測定して実施する請求項1ないし8のいずれかに従う方法。
【請求項10】
前記した方法の工程a)がさらに不活性ガスを製造する工程を有し、かつ、さらに下記の工程を有する、請求項1ないし9のいずれかに従う方法:
d)恒久的に不活性な空間(10)から、排気ガスを、排気排出機構(4)により調節下に排出すること、および
e)工程d)において、空間(10)から除去された排出空気を濾過し、そこで濾過された排気の少なくとも一部を、工程a)の不活性ガスとして利用可能にすること。
【請求項11】
抽出された排気空気を、工程e)において、分子分離システム、とくに中空糸膜を有するシステム、分子ふるいシステムおよび(または)活性炭吸着システムによって濾過して実施する請求項10の方法。
【請求項12】
不活性ガス源(3)により提供される不活性ガス中の酸素のパーセンテージが2〜5容積%であり、新鮮空気源(5)により提供される新鮮な空気中の酸素のパーセンテージが約21容積%に達する、請求項1ないし11のいずれかに従う方法。
【請求項13】
恒久的に不活性な空間(10)であって、あらかじめ定められた不活性レベルが設定されており、それがある特定の制御範囲内に維持される空間に対し、補給空気を調節下に供給するための装置であって、下記の構成部分:
− 不活性ガスを提供するための、不活性ガス源(3)、とくに不活性ガス発生機(3a)および(または)不活性ガス貯蔵機(3b)、
− 新鮮な空気、とりわけ外部の空気を提供するための、新鮮空気源(5)、
− 恒久的に不活性な空間(10)の空間の雰囲気中に、入手可能な不活性ガスを、第一の容積流速(VN2)をもって調節下に供給するための、不活性ガス源(3)に接続可能で、特定の不活性化レベルを維持し、汚染物質とりわけ有毒物質またはその他の有害な物質、生物学的な薬剤および(または)湿度を、その空間の雰囲気から除去するように配置した第一の供給ラインシステム(11)、ならびに、
− 恒久的に不活性な空間(10)の空間の雰囲気中に、入手可能な不活性ガスを、第二の容積流速(V)をもって調節下に供給するための、新鮮空気源(5)に接続可能な、第二の供給ラインシステム(12)
からなり、新鮮空気が供給される第二の容積流速(V)の値が恒久的に不活性な空間(10)に要求される最小空気交換速度ならびに不活性ガスが供給される第一の容積流速(VN2)の両方の関数である装置において、
装置がさらに、恒久的に不活性な空間(10)の空間の雰囲気中に供給される不活性ガスの第一の容積流速(VN2)の値を、この恒久的に不活性な空間(10)に維持すべき不活性レベルの関数として、および(または)恒久的に不活性な空間(10)の最小空気交換速度に従って供給される不活性ガスの第一の容積流速(VN2)の値の関数として調整するように設計した制御ユニット(2)を備え、
少なくとも1個の制御ユニット(2)が、好ましくは第二の供給ラインシステム(12)に設けたバルブ(V12)を制御することにより、第二の容積流速(V)の値を、最小空気交換の関数として、および第一の容積流速(VN2)の関数として、調節するように設計され、第二の容積流速(V)の値が、恒久的に不活性な空間(10)の最小空気交換に要求される最低供給容積流速(V)と、恒久的に不活性な空間(10)内の雰囲気の特定の不活性レベルを維持するための第一の容積流速(VN2)の値との差と、同等、またはそれより大きくなるように構成した装置。
【請求項14】
すくなくとも1個の制御ユニット(2)が、恒久的に不活性な空間(10)の空間的雰囲気中に不活性ガスが供給される第一の容積流速(VN2)の値を、上記恒久的に不活性な空間(10)に維持すべき不活性化レベルの関数として、および(または)第一の容積流速(VN2)の値を、恒久的に不活性な空間(10)に要求される最小限の空気交換に従って、調整するように設計された請求項13に従う装置。
【請求項15】
好ましくは吸引タイプの、少なくとも1個の、好ましくは複数個の平行的に動作する酸素センサー(7)を有する酸素測定装置(7’)をさらに備え、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気内の酸素濃度を、連続的にまたはあらかじめ定めた時間に、または特定の事象が発生したときに測定し、測定値を制御ユニット(2)に送信するように構成した請求項13または14に従う装置。
【請求項16】
好ましくは吸引タイプの、少なくとも1個の、好ましくは複数個の平行的に動作する汚染物質センサー(6)を有する汚染物質測定装置(6’)をさらに備え、恒久的に不活性な空間(10)の雰囲気内の汚染物質の濃度を、連続的にまたはあらかじめ定めた時間に、または特定の事象が発生したときに測定し、測定値を制御ユニット(2)に送信するように構成した請求項13ないし15のいずれかに従う装置。
【請求項17】
制御ユニット(2)が、第一の容積流速(VN2)の値を、空間内部の酸素濃度が上昇するにつれて増大させ、また、酸素濃度が低下するにつれて減少させるように、好ましくは、第一の供給ラインシステム(11)に設けた制御可能なバルブ(V11)をそれに対応させて作動させることにより制御するように設計された、請求項15または16に従う装置。
【請求項18】
制御ユニット(2)が、恒久的に不活性な空間(10)に要求される最小限の空気交換の量を、この空間内の汚染物質の濃度が増大させ、上昇するにつれて増大させ、また、汚染物質の濃度が低下するにつれて減少させるように設計された、請求項15または16に、または17に従う装置。
【請求項19】
少なくとも1個の制御ユニット(2)が、必要な最小限の空気容積流速(V)を、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、または特定の事象が発生したときに、汚染物質の濃度の関数として、制御ユニット(2)に内蔵されたテーブルにもとづいて決定するように設計された、請求項13ないし18のいずれかに従う装置。
【請求項20】
少なくとも1個のセンサー(S11)を、第一の供給ラインシステム(11)の中の1個または複数の箇所に設け、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、または特定の事象が発生したときに、第一の容積流速(VN2)の値を測定し、その測定値を制御ユニット(2)に送信するように設計された、請求項13ないし19のいずれかに従う装置。
【請求項21】
少なくとも1個のセンサー(S12)を、第二の供給ラインシステム(12)の中の1個または複数の箇所に設け、好ましくは連続的に、またはあらかじめ定めた時間に、または特定の事象が発生したときに、第二の容積流速(V)の値を測定し、その測定値を制御ユニット(2)に送信するように設計された、請求項13ないし20のいずれかに従う装置。
【請求項22】
排気放出システム(4)をさらに備え、それが、恒久的に不活性な空間(10)から、調整されたやり方で排気を抽出し、さらに、空気処理ユニット(15)をそなえ、それが、空間(10)から排気放出システム(4)により除去された排気を処理および(または)濾過して、少なくとも1個の処理された、または濾過された排気の少なくとも一部を不活性ガス源(3)に利用可能な不活性ガスとして供給する請求項14ないし21のいずれかに従う装置。
【請求項23】
排気放出システム(4)が、少なくとも1個の制御可能な、とくに機械的に、油圧的にまたは空気的に作動する排気フラップである排気フラップを有し、それを、恒久的に不活性な空間(10)から排気を放出するために、調整されたやり方で制御するものであって、この少なくとも1個の排気フラップは好ましくは火災ダンパーとして設計されている請求項22に従う装置。
【請求項24】
空気処理ユニット(15)が、分子分離システム(15’)を備え、それがとりわけ中空糸膜システムおよび(または)活性炭吸着システムである、請求項22または23に従う装置。
【請求項25】
分子分離システム(3a’)、とりわけ中空糸膜システムおよび(または)活性炭吸着システムを、不活性ガス源(3)として有する不活性ガス発生装置を備え、この分子分離システム(3a’)が、圧縮空気混合物を供給され、不活性ガス源(3)は窒素富化空気混合物を分与し、不活性ガス源(3)から分与される窒素富化空気は、調整されたやり方で恒久的に不活性な空間(10)に不活性ガスとして供給され、不活性ガス源(3)に供給される空気混合物は少なくとも一部の濾過された排気を含有する請求項22ないし24のいずれかに従う装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−511447(P2010−511447A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539675(P2009−539675)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060117
【国際公開番号】WO2008/068076
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(506215250)アムロナ・アーゲー (16)
【Fターム(参考)】