補綴デバイスおよびその製作方法
生体適用性の外科的なシルクメッシュ補綴デバイスは、特にメッシュデバイスが切断された場合に、メッシュデバイスが解けることを実質的に妨げ、メッシュデバイスの安定性を保存する織物パターンを利用する。実施例の補綴デバイスは、ニット方向にある少なくとも2の糸を含み、互いに結合して複数のノードを規定する織物メッシュを含む。少なくとも2の糸は2のノードの間に伸長し、それらの周りにループを形成する第1の糸および第2の糸を含む。第2の糸は2のノードにおいて第1の糸よりも高い張力を有し、第2の糸は2のノードから第1の糸が運動することを実質的に妨げ、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、出典明示して本明細書の一部とみなす、2008年12月15日に出願した米国仮特許出願61/122,520号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に組織修復用の補綴デバイスに関し、より詳細には、安定なニット構造を利用する外科的なシルク製メッシュデバイスに関する。
【0003】
関連技術の記載
ヘルニアおよび腹壁異常に最初に用いる外科的なメッシュが、鍵板修復、骨盤底機能障害、および再建または美容外科手術のような他のタイプの組織修復に現在用いられている。2010年においては、8,000,000を超えるヘルニア手術、800,000を超える鍵板修復、3,000,000を超える骨盤脱修復(pelvic prolapse repair)、600,000を超える尿失禁修復(urinary incontinence repair)、および1,500,000を超える再建または審美的な形成外科手術が行われることが計画されている。これらの手術の大部分は、C.R.BardによるBard Mesh(ポリプロピレン);Synecture/US SurgicalによるDexon(ポリグリコール酸);W.L.GoreによるGore-Tex(ポリテトラフルオロエチレン);EthiconによるProlene(ポリプロピレン)、Prolene Soft(ポリプロピレン)、Mersilene Mesh(ポリエステル)、Gynemesh(ポリプロピレン)、Vicryl Knitted Mesh(ポリグラクチン910)、TVT(ポリプロピレン);American Medical SystemsによるSparcテープ(ポリプロピレン);およびTYCO Healthcare InternationalによるIVSテープ(ポリプロピレン)を含む現在市販されている移植可能な外科的なメッシュデバイスを用いるようである。
【0004】
外科的なメッシュデバイスは典型的には生体適用性であり、生体吸収性の材料および/または非−生体吸収性の材料から形成し得る。例えば、ポリプロピレン、ポリエステルおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は生体適用性であって非−生体吸収性であり、一方、ポリグラクチン910およびポリグリコール酸は生体適用性であって生体吸収性である。
【0005】
現在の外科的なメッシュデバイスは異なる材料から形成し得るが、それらは、組織修復に有利な種々の同様な物理学的および機械的特徴を有している。しかしながら、現在の外科的なメッシュデバイスによって提供される利点にもかかわらず、それらの使用は様々な複雑さを伴う。かかる複雑さには、例えば、傷をカプセルに包むことおよび組織侵食、持続性感染症、痛みおよび再置換手術に伴う困難が含まれ得る。また、吸収性材料の使用は、インプラント材料の迅速な吸収および強度の損失に起因する再発を生じ得る。
【0006】
ポリプロピレン・モノフィラメントは外科的なメッシュデバイスに非常に賞賛される材料となり得るが、ポリプロピレン・メッシュデバイスは移植後長期間でさえも、激しい傷の形成を誘導し、繊維性カプセルの形成との慢性の外来身体反応を生じ得る。漿液腫、不快感および壁運動の低下(decreased wall mobility)の小さな病訴はしばしばあり、ポリプロピレン・メッシュデバイスを移植した患者の約半数に認められる。また、ポリプロピレンは、癒着形成の傾向があるために、一般的には腸に接して設置し得ない。
【0007】
マルチフィラメントポリエステルの使用は腹壁との適合を改善し得るが、それは種々の不利益をも伴う。例えば、他の材料と比較してマルチフィラメント・ポリエステルを使用すると、感染症、腸皮フィステル形成および小腸閉塞の高い発生が報告されている。事実、マルチフィラメント糸の小さな隙間は感染症の発生に対してより感受性とし、したがって、合衆国内においてはマルチフィラメント・ポリエステルは一般的に使用されていない。
【0008】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の使用は、腸に対する癒着を最小限化するのに有利となり得る。しかしながら、宿主組織はPTFEメッシュをカプセルに包み、腹壁における弱い内殖および弱いヘルニア修復を生じ得る。それ自体では良好なメッシュ材料ではないが、この材料は、接着障壁としての地位を見出した。
【0009】
ヘルニア修復に用いるVicrylおよびDexonのような吸収性材料は、癒着またはフィステル形成なしに腸と直接接触させて設置し得る利点を有する。研究により、Vicrylが3週目に非−吸収性メッシュに匹敵する破裂強度を有することが認められたが、迅速な吸収速度に起因して12週目には顕著に弱くなる。一方、同じ研究により、Dexonがより少ないメッシュ吸収で12週目により大きな内殖を有することが認められた。吸収性メッシュとの関係は、吸収の速度が変動し、ヘルニア欠陥にある生理学的ストレスに耐える適量の新たな組織がそこに存在しなければヘルニアの再発におそらくつながることである。
【0010】
生体材料の重要な特徴はその多孔性である。なぜなら、多孔性は組織反応の主要な決定因子だからである。>500−600μmの孔径は軟組織の内殖を許容し;>200−300μmの孔径は血管新生を支持して骨欠損のモノ形態復元を許容し;<200μmの孔径はほぼウォータータイトであると考えられ、生理学的圧力における液体循環を妨げ;および<100μmの細孔は新たな組織を構築する代わりに単一の細胞型の内殖のみに通じる。最後に、<10μmの孔径は、いずれかの内殖を妨げ、感染症、洞管形成およびメッシュのカプセル化の機会を増加する。平均1μmの大きさの細菌は、メッシュの小さな隙間に隠れ、平均10−15μmの好中性顆粒球から保護されながら増殖し得る。
【0011】
外科的なメッシュデバイスの他の重要な物理学的特徴には、厚さ、破裂強度および材料剛性が含まれる。外科的なメッシュデバイスの厚さは詳細な修復処置に応じて変化する。例えば、ヘルニア、骨盤底機能障害、および再建/美容的処置用の現在の外科的なメッシュデバイスは、ほぼ0.635mmから1.1mmまでの範囲の厚さである。鍵板修復については、0.4mmから5mmまでの厚さが典型的に用いられる。
【0012】
11−32%の平均膨張を有する10−16Nの腹腔内圧は、健全な組織が存在するようになる前に内側腹部の応力に抵抗し得る破裂強度を有する外科的なメッシュの必要性を生じる。
【0013】
材料剛性は、組織侵食の確率と関連付けられているため、特に骨盤底機能障害に用いる場合には外科的なメッシュの重要な機械的特徴である。TVT、IVS、Mersilene、Prolene、Gynemesh、Sparcテープから形成される外科的なメッシュデバイスは、例えば、現在、10−16Nの腹腔内圧によって発揮される力を超える最終引張強度(UTS)を有する。腹部における小さな力では、材料の初期剛性は重要な考察である。また、剛性は生地構造における変化、例えば、ニットの解れのなさ、織り方、ほかに起因するように思われる非−線形挙動を示し得る。より小さい剛性の外科的なメッシュデバイスは組織侵食を減少するのを助け、身体の輪郭により効果的に適用し得る。
【0014】
発明の概要
現在の外科的なメッシュデバイスの欠点に鑑み、生体適用性かつ吸収性で、宿主コラーゲンに存する生理学的ストレスに耐える能力を有し、組織侵食、フィステルまたは癒着を最小限化する外科的なメッシュに対する要望が存在し続けている。したがって、本発明の態様による形態は、軟組織および硬組織の修復に使用するための生体適用性の外科的なシルク製メッシュ補綴デバイスを提供する。軟組織修復の例には、ヘルニア修復、鍵板修復、美容外科、膀胱スリングの実施などが含まれる。骨修復のような硬組織修復の例には、再建形成外科手術、オルト外傷(ortho trauma)などが含まれる。
【0015】
有利なことには、これらの形態の開放構造は、シルクのスカフォールドから新たな組織への機械的特性のスムースな移行を許容する速度でメッシュデバイスが分解しながら、内殖を許容する。本発明の特定の態様によれば、形態は、「ノードロック」デザインというニットパターンを用いる。「ノードロック」デザインは、特にメッシュデバイスを切断した場合に、実質的に解けることを妨げ、メッシュデバイスの安定性を保持する。
【0016】
詳細な形態において、補綴デバイスには、ニット方向にある少なくとも2の糸を含み、互いに結合して複数のノードを規定する織物メッシュが含まれ、少なくとも2の糸は2のノードの間に伸長し、それらの周りにループを形成する第1の糸および第2の糸を含み、第2の糸は2のノードにおいて第1の糸よりも高い張力を有し、第2の糸は2のノードから第1の糸が運動することを実質的に妨げ、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0017】
この形態の例において、第1の糸および第2の糸は異なる材料から形成する。この形態のもう1の例において、第1の糸および第2の糸は異なる直径を有する。さらなる形態において、ここに第1の糸および第2の糸は異なる弾性特性を有する。この形態のいまださらなる例において、少なくとも2の糸はシルクから形成する。
【0018】
この形態のもう1の例において、第1の糸の第1の長さは2のノードの間に伸長し、第2の糸の第2の長さは2のノードの間に伸長し、第1の長さは第2の長さよりも大きい。例えば、第1の糸は2のノード間に中間ループを形成し、第2の糸は2のノード間に対応する中間ループを形成しない。第1の糸の第1の長さは、第2の糸の第2の長さよりも大きい。
【0019】
この形態のいまだもう1の例において、第1の糸は第1のセットの糸に含まれ、第2の糸は第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコース(course)の各々に第1の一連のループを形成し、第2のセットの糸は第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向とは反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきにおいて第2の一連のループを形成し、第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0020】
この形態のさらなる例において、第1の糸は第1のセットの糸に含まれ、第2の糸は第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸および第2のセットの糸は織地方向で交互に適合されてねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして編物メッシュのノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合が、第1のセットの糸がノードにおける第2のセットの糸に対して異なる張力を有することを引き起こし、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0021】
この形態のいまださらなる例において、第1の糸は第1のセットの糸に含まれ、第2の糸は第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って一連のジャージループ(jersey loop)を形成し、第2のセットの糸は織物メッシュの第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成し、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、第2のセットの糸のタックループは第1のセットの糸のジャージループと結合して織物メッシュのノードを規定し、タックループは織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0022】
もう1の詳細な形態において、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法には:第1のセットの糸を片板機上の第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースの各々に第1の一連のループを形成し;第2のセットの糸を片板機上の第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向と反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきに第2の一連のループを形成し;ついで、第3のセットの糸を織物メッシュ用の所定数のコースごとに適合し、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、ここに第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュ用のノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることが含まれる。
【0023】
いまだもう1の形態において、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法には:第1のセットの糸を織地方向で両板機の第1の針床に適合し;第2のセットの糸を織地方向で両板機の第2の針床に適合し;ついで、第3のセットの糸を織物メッシュの所定の数のコース毎に適合することを含み、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、ここに第1のセットの糸および第2のセットの糸は交互に適合して、各々、第1の針床および第2の針床にねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュ用のノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合はノードにおいて第1のセットの糸が第2のセットの糸に対して異なる張力を有することを生じ、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0024】
さらに詳細な形態において、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法には:平板機(flat needle bed machine)上で、織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って第1の一連のジャージループを形成し;ついで、平板機上で、織物メッシュ用の第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成することを含み、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり;第2のセットのコースは第1のセットのコースよりも大きな張力を有し、第2のセットのコースに沿ったタックループは第1のセットのコースのジャージループと結合し、織物メッシュがタックループにおいて解けることを実質的に妨げる。この形態の例において、連続する糸は第1のセットのコースおよび第2のセットのコースを形成する。この形態のもう1の例において、第1のセットのコースおよび第2のセットのコースは異なる糸によって形成される。この形態のいまだもう1の例において、第1のセットのコースおよび第2のセットのコースは異なる直径を有する異なる糸によって形成される。
【0025】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付する図面と結合してみる場合、本発明の好ましい形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】図1Aは本発明の態様に係る片板縦編み機上で製作した実施例メッシュの技術的裏面を図示する。
【図1B】図1Bは図1Aに図示した実施例メッシュの技術的正面を図示する。
【図2】図2は本発明の態様に係る両板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示する。
【図3】図3は本発明の態様に係る単一フィラメントシルク糸で製作した実施例メッシュを図示する。
【図4】図4は本発明の態様に係る片板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示する。
【図5A】図5Aは両板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示し、実施例メッシュは本発明の態様に係るプラッシュデザインを示すセクションを有する平行六面体の孔を有する。
【図5B】図5Bは両板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示し、実施例メッシュは本発明の態様に係る六角形の孔を有する。
【図6】図6は本発明の態様に係るプラッシュ変化を取り入れた変化する編み目密度の実施例の狭いメッシュ生地を図示する。
【図7】図7は本発明の態様に係るループパイルを取り入れた実施例メッシュを図示する。
【図8】図8は本発明の態様に係る糸供給速度の変化を介して達成した孔デザインを有する実施例の狭いメッシュ生地を図示する。
【図9A】図9Aは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の潰れたメッシュ生地を図示する。
【図9B】図9Bは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の開いたメッシュ生地を図示する。
【図10】図10は本発明の態様に係る安定した、潰れない、六角形の形をした多孔性のメッシュ生地を図示する。
【図11A】図11Aは本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する三次元メッシュの例を図示する。
【図11B】図11Bは2.55mm厚さの図11Aの実施例三次元メッシュを図示する。
【図12】図12は本発明の態様に係る3.28mmの厚さを有する三次元メッシュの例を図示する。
【図13A】図13Aは本発明の態様に係る実施例の非−多孔性メッシュの技術的正面を図示する。
【図13B】図13Bは図13Aの実施例の非−多孔性メッシュの技術的裏面を図示する。
【図13C】図13Cは5.87mm厚さの図13Aの実施例の非−多孔性メッシュを図示する。
【図14A】図14Aは本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する三次元メッシュの例を図示する。
【図14B】図14Bは5.36mmの厚さの図14Aの実施例の三次元メッシュを図示する。
【図15A】図15Aは本発明の態様に係る実施例の三次元メッシュの技術的正面を図示する。
【図15B】図15Bは図15Aの実施例の三次元メッシュ生地の技術的裏面を図示する。
【図16】図16は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作した実施例のメッシュを図示する。
【図17】図17は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したもう1の実施例のメッシュを図示する。
【図18】図18は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したいまだもう1の実施例のメッシュを図示する。
【図19】図19は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したさらなるメッシュを図示する。
【図20】図20は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したもう1のメッシュを図示する。
【図21A】図21Aは注文設計の1cmステンレス綱製パンチを用いて作った完全な厚みのラット腹部欠損を図示し、欠損は加わった体壁張力により楕円形にみえる。
【図21B】図21Bは図21Aの開口欠損の上面に中心を合わせ、インプラントおよび筋肉を通して単一の割込んだポリプロピレン製縫合糸で所定の位置に保持した4cm×4cmの実施例のインプラントを図示する。
【図21C】図21Cは図21Bに示すインプラントから94日後の外植標本を図示する。
【図21D】図21Dは本発明の態様に係るメッシュで補強した欠損部を通して直径1cmのボールを押しつけて行ったボール破裂試験を図示する。
【図22】図22は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図23】図23は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図24】図24は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図25】図25は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図26】図26は本発明の態様に係る両板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図27】図27は本発明の態様に係る両板横編み機についての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【0027】
詳細な説明
本発明の態様に係る形態は、軟組織および硬組織の修復に使用するための生体適用性の外科的なシルク製メッシュデバイスを提供する。軟組織の修復の例には、ヘルニア修復、鍵板修復、美容外科、膀胱スリングの実施などが含まれる。骨修復のような硬組織の修復の例には、再建形成外科、オルト外傷などが含まれる。
【0028】
有利には、これらの形態の開放構造は、シルクのスカフォールドから新しい組織への機械的特性のスムースな移行を許容する速度でメッシュが生体再吸収されながら、組織の内殖を許容する。さらに、形態は特にメッシュデバイスが切断された場合に、解けることを実質的に妨げるニットパターンを用いる。詳細には、形態は、ニット方向に置かれた少なくとも2の糸の間の張力における有利な変化を利用することによってメッシュデバイスの安定性を保存し得る。例えば、第1の糸および第2の糸はニット方向に置いて、メッシュデバイス用の「ノード」を形成し得る。少なくとも2の糸に関するニット方向は、例えば、縦編みの間は垂直としあるいは横編みの間は水平とし得る。インターメッシュ・ループとしても知られているメッシュデバイスのノードは、メッシュデバイスにおける交点をいい、そこでは2の糸が編み針の周りにループを形成する。幾つかの形態において、第1の糸を適合して、負荷をメッシュデバイスに加えた場合に第1の糸が第2のデバイスよりも低い張力下になるように、第2の糸よりも大きなたるみを含ませる。例えば、メッシュデバイスを編み合わせた場合またはメッシュデバイス上で引っ張る行為が存在する場合に、張力下で少なくとも2の糸に起こる負荷を生じ得る。第1の糸におけるたるみは、第1の糸がノードにおいて第2の糸と大きな摩擦の接触を経験し、あるいは第2の糸に対して「ロックされる」ように、第1の糸が第2の糸よりも直径において事実上より大きなものとなることを引き起こす。したがって、この特定のニットデザインは「ノード−ロック」デザインという場合がある。
【0029】
一般的に、本発明の態様に係るノード−ロックデザインは異なる張力下の少なくとも2の糸を利用し、そこでは、高い張力の糸がメッシュノードにおいて低い張力の糸を制限する。糸間の張力の変化を達成するために、他のノード−ロックデザインは糸の直径、糸の材料、糸の弾性特性および/またはニットパターンを変化し得る。例えば、以前に記載したニットパターンを変化する長さで糸に適合して、それらが低い張力を経験するように幾つかの糸にたるみを生成する。低い張力の糸は高い張力の糸によって制限されるため、ノード−ロックデザインはメッシュが切断された場合にメッシュが解けることを実質的に妨げる。かくして、形態は、メッシュデバイスの安定性を維持しながら、メッシュデバイスがいずれの形状または大きさにも切断されることを許容する。また、ノード−ロックデザインは、材料を損傷することなく腹腔鏡下または関節鏡下手術用のカニューレをメッシュデバイスが通過することを容易にする安定性を提供する。
【0030】
ノード−ロックデザインは種々のポリマー材料を利用し得るが、本発明の態様に係るシルクを用いるメッシュデバイスは、負荷関係の負担(load-bearing responsibility)を元の組織に徐々に移行しながら組織内殖を許容するのに十分な速度で生体再吸収し得る。具体的な形態は、ボムビクス・モリ(Bombyx mori)カイコの絹フィブロインから形成し得る。未加工のシルク繊維は抗原性を有し得、移植前に取り切らなければならないセリシンとして知られている天然の球形タンパク質コーティングを有する。したがって、糸は除去する処理を介する。セリシンの除去は、例えば、出典明示して本明細書の一部とみなすGregory H.Altmanら,"Silk matrix for tissue engineered anterior cruciate ligaments",Biomaterials 23(2002),pp.4131-4141によってさらに記載されている。その結果、デバイス形態に使用するシルク材料は、標準化された生体材料試験法を用いて測定または推定し得る限り、感作因子を実質的に全く含まない。
【0031】
本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、図22中のパターンレイアウト2200に示す3のムーブメント:織地方向の2のムーブメント、生地内の垂直方向およびコース方向、生地の水平方向のもの、を使用することにより片板Comez Acotronic/600-FまたはComez 410 ACO上で作成し得る。織地方向のムーブメントは反対の方向で進行し;1の方向で運動する第1の糸はコース毎にループを作り、その間に、反対方向で運動する第2の糸は他のコース毎にループを作る。糸は、針床上で利用可能な針の半分のみを用いて、20ゲージ編み機上で3-1および1-1/1-3の繰返しパターンを追う。生地内のループのインターレースは1の糸に応力下で他のものよりも大きな張力下になることを許容し、低い張力下の糸の周りにロックされ;切断された場合に生地が解けることを維持する。生地内の他の運動は数コース毎に起こり、メッシュに開口を生じる。これらの糸は1-9/9-7/7-9/9-1/1-3/3-1のパターンを伴う。これらの糸は、応力下で生地中の糸をロックする場合に生地内に張力を生じ、;生地が解けることを妨げる。
【0032】
本発明の態様による外科的なメッシュデバイスは、図26中のパターンレイアウト2600に示す3の運動:織地方向の2の運動およびコース方向の1の運動、を使用することによって両板Comez DNB/EL-800-8B編み機上に作成し得る。織地方向の2の運動はひとつおきの糸を有する別の針床で起こり;コース運動毎に起こるループは繰返し内でねじれる。糸は3-1/1-1/1-3/3-3および1-1/1-3/3-3/3-1の繰返しパターンを伴う。第3の運動は生地の幅を横切る糸で起こる。糸はパターン9-9/9-9/7-7/9-9/7-7/9-9/1-1/1-1/3-3/1-1/3-3/1-1を伴う。この生地も20ゲージ編み機上の半分のゲージで作成され、応力がかかった場合に糸の間に生成する張力に起因して解けることを妨げる。パターン内で伴う繰返しの糸を図26に図示する。
【0033】
各々、図23、24および25に図示するパターンレイアウト2300、2400および2500により、外科的なメッシュパターンの変化を、織り段挿入を用いる代わりに追加したワープバー(warp bar)を用いる編み方を含む片板について図示する。これらの変化には、1またはそれを超える織地に対して垂直にそれを運動させる間にノードロック糸を用いる編み方が含まれる。これらの変化には、限定されるものではないが、全てまたはひとつおきのコースのいずれかでオープンまたはクローズの鎖編みのいずれかの編み方が含まれ得る。織り段の挿入に対して第3のワープバーを利用することも、両板ワープ織機に適合し得る。
【0034】
本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、図27中のパターンレイアウト2700に示すようにShima Seiki平板機上に形成し得る。このニットには連続する糸または少なくとも2の異なる糸の大きさ(そのうちの1はそれに限定するものではないが異なる材料とし得る)が含まれる。織物メッシュは、連続する糸またはある種の糸の大きさの糸のいずれかによって形成されるループを有する第1の並び上の規則正しいジャージニットによって形成され、一方、第2の並びのループは同じ連続する糸のジャージニットのループまたは異なる大きさの糸で交互に起こるタックループによって形成される。メッシュは、編み目の増減;成形技術、を使用することによって編み方の間に形作られる。
【0035】
シルク糸を用いる形態においては、シルク糸は直径ほぼ40ないし60μmの20−22デニールの未加工シルク繊維によって製作した糸からより合わせ得る。好ましくは、10ないし30デニールの範囲の未加工シルク繊維を利用し得るが;デバイスが意図した領域に十分な強度を提供することを許容するいずれの繊維の直径も容認し得る。有利には、一定の糸の大きさが外科的なメッシュの例えば、剛性、伸長性ほかのような機械的特性、物理学的および/または生物学的特性の均一性を最大化し得る。しかしながら、糸の大きさは、好ましい外科的なメッシュ位置において異なる機械的、物理学的および/または生物学的な特徴を達成するために、外科的なメッシュのセクションにおいて変化し得る。糸の大きさに影響し得る因子には、限定されるものではないが:最終引張強度(UTS);降伏強度、すなわち糸が恒久的に変形する点;パーセント伸長;疲労および動的な弛緩(クリープ);生体再吸収速度;およびメッシュの中および外への細胞/栄養の移動が含まれる。各々、図22−26に図示するニットパターンレイアウト2200、2300、2400、2500および2600は編み機の幅によって制限されるいずれの幅にも編み得、種々のクローシェ編み機または縦メリヤス機を用いて利用可能ないずれかのゲージを用いて編み得る。表2は異なるゲージ機上の異なる数の針を用いて行い得る生地の幅の概要である。表1中の寸法は、用いる編み目デザイン、編み目密度および糸の大きさに依存する収縮係数にほぼ起因することが理解される。
【0036】
【表1】
【0037】
本発明に係る補綴デバイスの形態は、細いゲージのクローシェ編み機上で編み得る。本発明の態様に係る外科的なメッシュを製作することができるクローシェ編み機の非限定的なリストは:Changde Textile Machinery Co.,Ltd.;Comez;China Textile Machinery Co.,Ltd.;Huibang Machine;Jakkob Muller AG;Jingwei Textile Machine Co.,Ltd.;Zhejiang Jingyi Textile Machinery Co.,Ltd.;Dongguan Kyang Yhe Delicate Machine Co.,Ltd.;Karl Mayer;Sanfang Machine;Sino Techfull;Suzhou Huilong Textile Machinary Co.,Ltd.;Taiwan Giu Chun Ind.Co.Ltd.;Zhangjiagang Victor Textile;Liba;Lucas;Muller Frick;およびTexmaによって提供される。
【0038】
本発明に係る補綴デバイスの形態は、細いゲージの縦編み機上で編み得る。本発明の態様に係る外科的なメッシュを製作することができる縦編み機の非限定的なリストは、Comez;Diba;Jingwei Textile Machinery;Liba;Lucas;Karl Mayer;Muller Frick;Runyuan Warp Knitting;Taiwan Giu Chun Ind.;Fujian Xingang Textile Machinery;およびYuejian Groupによって提供される。
【0039】
本発明に係る補綴デバイスの形態は、細いゲージのフラットベッド編み機(flat bed knitting machine)上で編み得る。本発明の態様に係る外科的なメッシュを製作することができるフラットベッド機の非限定的なリストは、Around Star;Boosan;Cixing Textile Machine;Fengshen;Flying Tiger Machinary;Fujian Hongqi;G & P;Goerteks;Jinlong;JP;Jy Leh;Kauo Heng Co.,Ltd.;Matsuya;Nan Sing Machinery Limited;Nantong Sansi Instrument;Shima Seiki;Nantong Tianyuan;およびNingbo Yuren Knittingによって提供される。
【0040】
図1−20は本発明の態様に従って製作した実施例メッシュを図示する。図1AおよびBに参照して、実施例メッシュ100は本発明の態様に従って片板縦編み機上で製作する。図1Aはメッシュ100の技術的裏面100Aを示し、図1Bはメッシュ100の技術的正面100Bを示す。
【0041】
図2AおよびBに参照して、実施例メッシュ200は本発明の態様に従って両板縦編み機上で製作する。図2Aはメッシュ200の技術的正面200Aを示し、図2Bはメッシュ200の技術的裏面200Bを示す。
【0042】
図3は本発明の態様に従って単一フィラメントシルク糸を用いて製作した実施例メッシュ300を図示する。
【0043】
図4は本発明の態様に従って片板縦編み機で製作した実施例メッシュ400を図示する。
【0044】
図5Aは両板縦編み機で製作した実施例メッシュ500Aを図示する。メッシュ500Aは本発明の態様に係るプラッシュデザインを示すセクションを含む平行六面体の孔を有する。一方、図5Bは両板縦編み機で製作した実施例メッシュ500Bを図示する。実施例メッシュ500Bは本発明の態様に係る六角形の孔を有する。
【0045】
図6AおよびBは本発明の態様に係る実施例の狭いメッシュ生地600Aおよび600Bを図示する。メッシュ生地600Aおよび600Bはプラッシュ変化を取り込む変化する編み目密度を有する。
【0046】
図7に参照して、実施例メッシュ700は本発明の態様に係るループパイルを取り込んでいる。図8は本発明の態様に係る糸供給速度(yarn feed rate)の変化を介して達成した孔デザインを有する実施例の狭いメッシュ生地800を図示する。
【0047】
図9Aは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の潰れたメッシュ生地900Aを図示する。一方、図9Bは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の開口メッシュ生地を図示する。
【0048】
図10に示すように、安定な非−折り畳み式のメッシュ生地1000の例には、本発明の態様に係る六角形の形をした孔が含まれる。
【0049】
図11Aは、本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する実施例の三次元メッシュ1100を図示する。図11Bは2.55mmの厚さの三次元メッシュ1100を図示する。図12は本発明の態様に係る3.28mmの厚さを有するもう1の実施例の三次元メッシュ1200を図示する。
【0050】
図13A−Cは、本発明の態様に係る実施例の非−多孔性メッシュ1300を図示する。図13Aは非−多孔性メッシュ1300の技術的正面1300Aを示す。図13Bは非−多孔性メッシュ1300の技術的裏面1300Bを示す。図13Cは非−多孔性メッシュ1300が5.87mmの厚さを有することを示す。
【0051】
図14Aは本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する実施例の三次元メッシュ1400を図示する。図14Bは三次元メッシュ1400がほぼ5.36mmの厚さを有することを示す。図15AおよびBは本発明の態様に係るもう1の実施例の三次元メッシュ織物1500を示す。図15Aは織物1500の技術的正面1500Aを示し、図15Bは織物1500の技術的裏面1500Bを図示する。
【0052】
図16−20は両板横編み機で製作したそれぞれの実施例のメッシュ1600、1700、1800、1900および2000を図示する。メッシュ1600、1700、1800、1900および2000は本発明の態様に係る胸部サポート適用用のメッシュの形づくりを図示する。
【0053】
試験法を開発して、本発明の態様に従って形成した外科的なメッシュのカット能力をチェックした。試験法においては、外科的なメッシュを手術鋏でメッシュを切断するのに要する回数に従って評価した。メッシュはそれを切り開くのに1の鋏のストロークをとったため、メッシュは非常によく切れることが判明した。メッシュは対角線および円形パターンでも切断して、どれ程簡単にメッシュが解れるのかおよび1回切断するとどれ程それが解れるかを決定した。メッシュは、両方向で切断した後に1を超える様式では解れなかった。メッシュが解れるかをさらに決定するために、縫合糸を、切断端から最も狭い孔を通過させ、ついで引っ張った。この操作はメッシュを解さなかった。したがって、外科的なメッシュは簡単に切断し、操作後には解れなかった。
【0054】
形態は表面処理で処理し得、それは材料の親水性、バイオコンパティビリティー、切断が容易な取扱いおよびグラフト引き抜き(graft pull-through)のような物理学的および機械的な特性、ならびに、抗細菌性および抗真菌性コーティングを高める表面処理で加工し得る。表面処理の具体的な例には、限定されるものではないが:
・血漿修飾
・限定されるものではないが、フィブロネクチン、変性コラーゲンまたはゼラチン、共有結合または他の化学的もしくは物理的方法によるコラーゲンゲルおよびヒドロホビンのようなタンパク質
・親水性および疎水性末端を有するペプチド
・1のシルク結合配列および1の生物活性配列を含むペプチド−生分解性セルロース
・表面スルホン化
・オゾンガス処理
・物理的に結合し、化学的に安定化したペプチド
・DNA/RNAアプタマー
・ペプチド核酸
・アビマー
・修飾および非修飾多糖コーティング
・炭水化物コーティング
・抗細菌コーティング
・抗糸状菌コーティング
・ホスホリルコリン・コーティング
【0055】
カニューレを介したデリバリーの容易性を評価する方法を行って、腹腔鏡下で外科的なメッシュを使用し得ることを確認した。種々の長さを巻き上げ、外科的把持器(surgical grasper)を用いて2の異なる標準サイズのカニューレを通過させた。ついで、メッシュを評価して、メッシュに起こったいずれかの損傷が存在するかを決定した。カニューレを通過させたメッシュは、把持器によって支持した角にわずかな歪みを有することが判明した。巻き上げ、8mmカニューレを通過させた16cmおよび18cmの長さのメッシュは、各々、最小限の解れおよび1の歪んだ孔を有していた。いずれの試験においてもカニューレまたはセプタムに損傷が生じていないことも判明した。適当な大きさにした外科的なメッシュは損傷することなく腹腔鏡下カニューレを首尾よく通過し、腹腔鏡下手続の間にそれが有効になることが判明した。
【0056】
本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、ほぼ100日で50%生体吸収されることが判明している。Horanらによる研究において、Sprague-Dawleyラットを用いて、Mersilene(商標)メッシュ(Ethicon,Someville,NJ)に対して本発明に係る形態の生体再吸収を比較した。先行技術からの組織学的報告は、94日後にMersilene(商標)メッシュの96%と比較して形態の初期メッシュの43%が残存していたことを述べている。また、Mersilene(商標)メッシュよりも形態のメッシュでは内殖がより均一であったことも報告された。Mersilene(商標)は腹壁に沿うよりも欠損領域において少ない内殖を有することが判明した。
【0057】
物理学的特性には、厚さ、密度および孔径が含まれる。厚さはJ100 Kafer Dial Thickness Gaugeを利用して測定した。Mitutoyo Digimatic Caliperを用いて試料の長さおよび幅を見出し;密度を計算した。密度は、メッシュの長さ、幅および厚さを乗じ、ついで得られた値を体積で除することによって見出した。孔径は0.8×の倍率下でOlympus SZX7 Dissection Microscopeを用いてメッシュを写真撮影することによって見出した。測定はImagePro5.1ソフトウェアを用いて採り、幾つかの測定にわたって値を平均化した。本発明に係る形態を含む試料メッシュの物理学的特徴を表2に提供する。
【0058】
【表2】
【0059】
すべてのデバイスは各タイプの機械的分析について表3に規定した寸法を切断した。試料は機械的分析の前にリン酸緩衝塩類溶液(PBS)中、37±2℃で3±1.25時間インキュベートし、湿潤環境における特徴を得た。試料を溶液から取り出し、直ちに試験した。
【0060】
【表3】
【0061】
材料寸法における制限に起因して、ボール破裂試験試料をスケールダウンした。用いた試験取り付け具はASTM標準D3787によって推奨される大きさ(1:2.5)とした。試料を取り付け具の中央に配し、60mm/分の移動速度で進む直径10mmボールで破裂させた。破裂試験から最大応力および剛性を決定した。結果は表4に見ることができる。
【0062】
【表4】
【0063】
生地形成および各デバイスの幅の軸に沿って張力試験を行った。デバイスの各端の1cm長のメッシュを3.0mm厚のシリコーンシート片の間にサンドイッチし、70−85psiの型締圧力で空気式生地クランプに載置した。試料は破損するまで100%/s(2400mm/分)および/または67%/s(1600mm/分)の引っ張り速度で変位制御試験を介して負荷した。破壊時の最大張力(UTS)、線形剛性およびパーセント伸長は以下の表に見ることができる。結果は表5−8に見出し得る。「NT」と記されているのは、データが未だ試験されていないことを示す。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
引き裂き強度は、10mmの「裂け目」を長軸端に沿って垂直に端に切断し、メッシュの長さに沿って中心に置く方法を介して見出した。メッシュを張力試験法で先に記載した空気式生地クランプに載置した。試料は、破損するまで100%/s(2400mm/分)の引っ張り速度で変位制御試験を介して負荷した。破損時の負荷および破損の様式は表9に示す。
【0069】
【表9】
【0070】
引張疲労試験を本発明の態様ならびにVicrylメッシュおよびBardメッシュを含む代表的な断定タイプに係る外科的なメッシュデバイスに対して行った。試料は、上記の張力試験法に先に記載した空気式生地クランプに負荷した。試料は、サイクルの間は室温のPBSに浸した。正弦負荷制御サイクリングを60%のメッシュ最大引張強度に対して行った。破損までのサイクル数はサイクル実験の間に決定し、表10に見ることができる。表中、破損は200%を超える破壊または永久変形によって示す。
【0071】
【表10】
【0072】
方法を開発して、本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスの縫合糸引き出し強度を市販されている他の外科的なメッシュと比較した。試験したメッシュは、3つの直径3.5mmの縫合糸アンカー(Arthrex,Naples,FL)で縫合し、15pcf固形の剛直なポリウレタンフォームに繋ぎ留めた。各デバイスはメッシュを3のアンカーに縫合する間に用いた3mmの縫合かみ合わせ距離(suture bite distance)で中央アンカー上の20mm幅の中心に位置させた。ノコギリ骨(saw bone)を下部空気式生地クランプに載置し、オフセットしてロードセル下でデバイスが中心に位置する際にデバイスの軸に沿って負荷を提供した。メッシュの遊離端はシリコーン片間にサンドイッチし、85±5psiのクランプ力で上部生地クランプに位置させた。試験は、100%/s(1620mm/分)の引張速度の移動制御下で行った。破壊時の最大負荷および破損様式は表11に見ることができる。
【0073】
【表11】
【0074】
両板メッシュ用のパターンを利用し、糸の大きさ、糸送給速度および/または針床幅を修飾することによって、本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、適用に応じた軟組織または硬組織の修復に必要な物理学的および機械的な特性を満たす。かかる特性には孔径、厚さ、最大張力、剛性、破裂強度および縫合糸引き出しが含まれる。孔径は送給速度に応じて修飾して、より開口した生地を作ることができ、厚さは0.40mmから19.0mm程までの範囲とし得る。孔径および厚さに対する修飾により、UTS、剛性、破裂強度および縫合糸引き出しはすべて同様に修飾され、おそらく孔径および/または厚さの修飾を適合してある種の機械的要求に合致する。
【0075】
平板編み機上で製作したこのメッシュはそのようにして製作して、糸の大きさを変化しおよび/または編み設定内に見出されるループの長さを変化することによって、孔径および/または厚さを増減する。ノード−ロックデザインと組み合わせたループの位置は、メッシュの形状および/または機械的特性に対する変化を許容する。高度により合わせたシルクのような弾力性を有する生体適合糸を形成に用いることができる。
【0076】
本発明の態様に係るメッシュのインプラントおよびつづく試験を図21A−Dに図示する。図21Aは慣用的に設計した1cm−ステンレス綱パンチを用いて製作した完全な厚さのラット腹部欠損を図示する。欠損は体壁張力が加わることに起因して楕円形に見える。図21Bは開口部欠損の上部の中心に置いた4cm×4cmのインプラントを図示しており、該インプラントはインプラントと筋肉を通る単一の割り込みポリプロピレン製縫合糸(矢印)で所定の位置に保持されている。図21Cはインプラント後94日の移植片標本94を図示する。図21Dはメッシュで補強した欠損部位を介して押しつけた直径1-cmのボールを用いて行ったボール破裂試験を図示する。
【0077】
本発明を多数の例示的および実施な形態と結合して記載したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、むしろ種々の修飾および等価な配置をカバーするものである。例えば、本発明の態様に係る編物メッシュはフィラー材料に使用し得る。1の適用において、編物メッシュは1mm×1mmの断片に切断して、1またはそれを超えるノード、例えば3ノードに分離し得る。断片は脂肪組織またはヒドロゲルに加えて、欠陥のある領域に注射し得る液剤を形成し得る。有利なことに、フィラー材料は望ましい織り地を提供し得るが、解れないであろう。
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、出典明示して本明細書の一部とみなす、2008年12月15日に出願した米国仮特許出願61/122,520号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に組織修復用の補綴デバイスに関し、より詳細には、安定なニット構造を利用する外科的なシルク製メッシュデバイスに関する。
【0003】
関連技術の記載
ヘルニアおよび腹壁異常に最初に用いる外科的なメッシュが、鍵板修復、骨盤底機能障害、および再建または美容外科手術のような他のタイプの組織修復に現在用いられている。2010年においては、8,000,000を超えるヘルニア手術、800,000を超える鍵板修復、3,000,000を超える骨盤脱修復(pelvic prolapse repair)、600,000を超える尿失禁修復(urinary incontinence repair)、および1,500,000を超える再建または審美的な形成外科手術が行われることが計画されている。これらの手術の大部分は、C.R.BardによるBard Mesh(ポリプロピレン);Synecture/US SurgicalによるDexon(ポリグリコール酸);W.L.GoreによるGore-Tex(ポリテトラフルオロエチレン);EthiconによるProlene(ポリプロピレン)、Prolene Soft(ポリプロピレン)、Mersilene Mesh(ポリエステル)、Gynemesh(ポリプロピレン)、Vicryl Knitted Mesh(ポリグラクチン910)、TVT(ポリプロピレン);American Medical SystemsによるSparcテープ(ポリプロピレン);およびTYCO Healthcare InternationalによるIVSテープ(ポリプロピレン)を含む現在市販されている移植可能な外科的なメッシュデバイスを用いるようである。
【0004】
外科的なメッシュデバイスは典型的には生体適用性であり、生体吸収性の材料および/または非−生体吸収性の材料から形成し得る。例えば、ポリプロピレン、ポリエステルおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は生体適用性であって非−生体吸収性であり、一方、ポリグラクチン910およびポリグリコール酸は生体適用性であって生体吸収性である。
【0005】
現在の外科的なメッシュデバイスは異なる材料から形成し得るが、それらは、組織修復に有利な種々の同様な物理学的および機械的特徴を有している。しかしながら、現在の外科的なメッシュデバイスによって提供される利点にもかかわらず、それらの使用は様々な複雑さを伴う。かかる複雑さには、例えば、傷をカプセルに包むことおよび組織侵食、持続性感染症、痛みおよび再置換手術に伴う困難が含まれ得る。また、吸収性材料の使用は、インプラント材料の迅速な吸収および強度の損失に起因する再発を生じ得る。
【0006】
ポリプロピレン・モノフィラメントは外科的なメッシュデバイスに非常に賞賛される材料となり得るが、ポリプロピレン・メッシュデバイスは移植後長期間でさえも、激しい傷の形成を誘導し、繊維性カプセルの形成との慢性の外来身体反応を生じ得る。漿液腫、不快感および壁運動の低下(decreased wall mobility)の小さな病訴はしばしばあり、ポリプロピレン・メッシュデバイスを移植した患者の約半数に認められる。また、ポリプロピレンは、癒着形成の傾向があるために、一般的には腸に接して設置し得ない。
【0007】
マルチフィラメントポリエステルの使用は腹壁との適合を改善し得るが、それは種々の不利益をも伴う。例えば、他の材料と比較してマルチフィラメント・ポリエステルを使用すると、感染症、腸皮フィステル形成および小腸閉塞の高い発生が報告されている。事実、マルチフィラメント糸の小さな隙間は感染症の発生に対してより感受性とし、したがって、合衆国内においてはマルチフィラメント・ポリエステルは一般的に使用されていない。
【0008】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の使用は、腸に対する癒着を最小限化するのに有利となり得る。しかしながら、宿主組織はPTFEメッシュをカプセルに包み、腹壁における弱い内殖および弱いヘルニア修復を生じ得る。それ自体では良好なメッシュ材料ではないが、この材料は、接着障壁としての地位を見出した。
【0009】
ヘルニア修復に用いるVicrylおよびDexonのような吸収性材料は、癒着またはフィステル形成なしに腸と直接接触させて設置し得る利点を有する。研究により、Vicrylが3週目に非−吸収性メッシュに匹敵する破裂強度を有することが認められたが、迅速な吸収速度に起因して12週目には顕著に弱くなる。一方、同じ研究により、Dexonがより少ないメッシュ吸収で12週目により大きな内殖を有することが認められた。吸収性メッシュとの関係は、吸収の速度が変動し、ヘルニア欠陥にある生理学的ストレスに耐える適量の新たな組織がそこに存在しなければヘルニアの再発におそらくつながることである。
【0010】
生体材料の重要な特徴はその多孔性である。なぜなら、多孔性は組織反応の主要な決定因子だからである。>500−600μmの孔径は軟組織の内殖を許容し;>200−300μmの孔径は血管新生を支持して骨欠損のモノ形態復元を許容し;<200μmの孔径はほぼウォータータイトであると考えられ、生理学的圧力における液体循環を妨げ;および<100μmの細孔は新たな組織を構築する代わりに単一の細胞型の内殖のみに通じる。最後に、<10μmの孔径は、いずれかの内殖を妨げ、感染症、洞管形成およびメッシュのカプセル化の機会を増加する。平均1μmの大きさの細菌は、メッシュの小さな隙間に隠れ、平均10−15μmの好中性顆粒球から保護されながら増殖し得る。
【0011】
外科的なメッシュデバイスの他の重要な物理学的特徴には、厚さ、破裂強度および材料剛性が含まれる。外科的なメッシュデバイスの厚さは詳細な修復処置に応じて変化する。例えば、ヘルニア、骨盤底機能障害、および再建/美容的処置用の現在の外科的なメッシュデバイスは、ほぼ0.635mmから1.1mmまでの範囲の厚さである。鍵板修復については、0.4mmから5mmまでの厚さが典型的に用いられる。
【0012】
11−32%の平均膨張を有する10−16Nの腹腔内圧は、健全な組織が存在するようになる前に内側腹部の応力に抵抗し得る破裂強度を有する外科的なメッシュの必要性を生じる。
【0013】
材料剛性は、組織侵食の確率と関連付けられているため、特に骨盤底機能障害に用いる場合には外科的なメッシュの重要な機械的特徴である。TVT、IVS、Mersilene、Prolene、Gynemesh、Sparcテープから形成される外科的なメッシュデバイスは、例えば、現在、10−16Nの腹腔内圧によって発揮される力を超える最終引張強度(UTS)を有する。腹部における小さな力では、材料の初期剛性は重要な考察である。また、剛性は生地構造における変化、例えば、ニットの解れのなさ、織り方、ほかに起因するように思われる非−線形挙動を示し得る。より小さい剛性の外科的なメッシュデバイスは組織侵食を減少するのを助け、身体の輪郭により効果的に適用し得る。
【0014】
発明の概要
現在の外科的なメッシュデバイスの欠点に鑑み、生体適用性かつ吸収性で、宿主コラーゲンに存する生理学的ストレスに耐える能力を有し、組織侵食、フィステルまたは癒着を最小限化する外科的なメッシュに対する要望が存在し続けている。したがって、本発明の態様による形態は、軟組織および硬組織の修復に使用するための生体適用性の外科的なシルク製メッシュ補綴デバイスを提供する。軟組織修復の例には、ヘルニア修復、鍵板修復、美容外科、膀胱スリングの実施などが含まれる。骨修復のような硬組織修復の例には、再建形成外科手術、オルト外傷(ortho trauma)などが含まれる。
【0015】
有利なことには、これらの形態の開放構造は、シルクのスカフォールドから新たな組織への機械的特性のスムースな移行を許容する速度でメッシュデバイスが分解しながら、内殖を許容する。本発明の特定の態様によれば、形態は、「ノードロック」デザインというニットパターンを用いる。「ノードロック」デザインは、特にメッシュデバイスを切断した場合に、実質的に解けることを妨げ、メッシュデバイスの安定性を保持する。
【0016】
詳細な形態において、補綴デバイスには、ニット方向にある少なくとも2の糸を含み、互いに結合して複数のノードを規定する織物メッシュが含まれ、少なくとも2の糸は2のノードの間に伸長し、それらの周りにループを形成する第1の糸および第2の糸を含み、第2の糸は2のノードにおいて第1の糸よりも高い張力を有し、第2の糸は2のノードから第1の糸が運動することを実質的に妨げ、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0017】
この形態の例において、第1の糸および第2の糸は異なる材料から形成する。この形態のもう1の例において、第1の糸および第2の糸は異なる直径を有する。さらなる形態において、ここに第1の糸および第2の糸は異なる弾性特性を有する。この形態のいまださらなる例において、少なくとも2の糸はシルクから形成する。
【0018】
この形態のもう1の例において、第1の糸の第1の長さは2のノードの間に伸長し、第2の糸の第2の長さは2のノードの間に伸長し、第1の長さは第2の長さよりも大きい。例えば、第1の糸は2のノード間に中間ループを形成し、第2の糸は2のノード間に対応する中間ループを形成しない。第1の糸の第1の長さは、第2の糸の第2の長さよりも大きい。
【0019】
この形態のいまだもう1の例において、第1の糸は第1のセットの糸に含まれ、第2の糸は第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコース(course)の各々に第1の一連のループを形成し、第2のセットの糸は第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向とは反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきにおいて第2の一連のループを形成し、第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0020】
この形態のさらなる例において、第1の糸は第1のセットの糸に含まれ、第2の糸は第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸および第2のセットの糸は織地方向で交互に適合されてねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして編物メッシュのノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合が、第1のセットの糸がノードにおける第2のセットの糸に対して異なる張力を有することを引き起こし、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0021】
この形態のいまださらなる例において、第1の糸は第1のセットの糸に含まれ、第2の糸は第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って一連のジャージループ(jersey loop)を形成し、第2のセットの糸は織物メッシュの第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成し、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、第2のセットの糸のタックループは第1のセットの糸のジャージループと結合して織物メッシュのノードを規定し、タックループは織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0022】
もう1の詳細な形態において、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法には:第1のセットの糸を片板機上の第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースの各々に第1の一連のループを形成し;第2のセットの糸を片板機上の第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向と反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきに第2の一連のループを形成し;ついで、第3のセットの糸を織物メッシュ用の所定数のコースごとに適合し、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、ここに第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュ用のノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることが含まれる。
【0023】
いまだもう1の形態において、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法には:第1のセットの糸を織地方向で両板機の第1の針床に適合し;第2のセットの糸を織地方向で両板機の第2の針床に適合し;ついで、第3のセットの糸を織物メッシュの所定の数のコース毎に適合することを含み、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、ここに第1のセットの糸および第2のセットの糸は交互に適合して、各々、第1の針床および第2の針床にねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュ用のノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合はノードにおいて第1のセットの糸が第2のセットの糸に対して異なる張力を有することを生じ、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げる。
【0024】
さらに詳細な形態において、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法には:平板機(flat needle bed machine)上で、織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って第1の一連のジャージループを形成し;ついで、平板機上で、織物メッシュ用の第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成することを含み、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり;第2のセットのコースは第1のセットのコースよりも大きな張力を有し、第2のセットのコースに沿ったタックループは第1のセットのコースのジャージループと結合し、織物メッシュがタックループにおいて解けることを実質的に妨げる。この形態の例において、連続する糸は第1のセットのコースおよび第2のセットのコースを形成する。この形態のもう1の例において、第1のセットのコースおよび第2のセットのコースは異なる糸によって形成される。この形態のいまだもう1の例において、第1のセットのコースおよび第2のセットのコースは異なる直径を有する異なる糸によって形成される。
【0025】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付する図面と結合してみる場合、本発明の好ましい形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】図1Aは本発明の態様に係る片板縦編み機上で製作した実施例メッシュの技術的裏面を図示する。
【図1B】図1Bは図1Aに図示した実施例メッシュの技術的正面を図示する。
【図2】図2は本発明の態様に係る両板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示する。
【図3】図3は本発明の態様に係る単一フィラメントシルク糸で製作した実施例メッシュを図示する。
【図4】図4は本発明の態様に係る片板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示する。
【図5A】図5Aは両板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示し、実施例メッシュは本発明の態様に係るプラッシュデザインを示すセクションを有する平行六面体の孔を有する。
【図5B】図5Bは両板縦編み機上で製作した実施例メッシュを図示し、実施例メッシュは本発明の態様に係る六角形の孔を有する。
【図6】図6は本発明の態様に係るプラッシュ変化を取り入れた変化する編み目密度の実施例の狭いメッシュ生地を図示する。
【図7】図7は本発明の態様に係るループパイルを取り入れた実施例メッシュを図示する。
【図8】図8は本発明の態様に係る糸供給速度の変化を介して達成した孔デザインを有する実施例の狭いメッシュ生地を図示する。
【図9A】図9Aは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の潰れたメッシュ生地を図示する。
【図9B】図9Bは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の開いたメッシュ生地を図示する。
【図10】図10は本発明の態様に係る安定した、潰れない、六角形の形をした多孔性のメッシュ生地を図示する。
【図11A】図11Aは本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する三次元メッシュの例を図示する。
【図11B】図11Bは2.55mm厚さの図11Aの実施例三次元メッシュを図示する。
【図12】図12は本発明の態様に係る3.28mmの厚さを有する三次元メッシュの例を図示する。
【図13A】図13Aは本発明の態様に係る実施例の非−多孔性メッシュの技術的正面を図示する。
【図13B】図13Bは図13Aの実施例の非−多孔性メッシュの技術的裏面を図示する。
【図13C】図13Cは5.87mm厚さの図13Aの実施例の非−多孔性メッシュを図示する。
【図14A】図14Aは本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する三次元メッシュの例を図示する。
【図14B】図14Bは5.36mmの厚さの図14Aの実施例の三次元メッシュを図示する。
【図15A】図15Aは本発明の態様に係る実施例の三次元メッシュの技術的正面を図示する。
【図15B】図15Bは図15Aの実施例の三次元メッシュ生地の技術的裏面を図示する。
【図16】図16は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作した実施例のメッシュを図示する。
【図17】図17は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したもう1の実施例のメッシュを図示する。
【図18】図18は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したいまだもう1の実施例のメッシュを図示する。
【図19】図19は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したさらなるメッシュを図示する。
【図20】図20は本発明の態様に係る胸部支持適用用のメッシュの形成を示す、両板横編み機で製作したもう1のメッシュを図示する。
【図21A】図21Aは注文設計の1cmステンレス綱製パンチを用いて作った完全な厚みのラット腹部欠損を図示し、欠損は加わった体壁張力により楕円形にみえる。
【図21B】図21Bは図21Aの開口欠損の上面に中心を合わせ、インプラントおよび筋肉を通して単一の割込んだポリプロピレン製縫合糸で所定の位置に保持した4cm×4cmの実施例のインプラントを図示する。
【図21C】図21Cは図21Bに示すインプラントから94日後の外植標本を図示する。
【図21D】図21Dは本発明の態様に係るメッシュで補強した欠損部を通して直径1cmのボールを押しつけて行ったボール破裂試験を図示する。
【図22】図22は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図23】図23は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図24】図24は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図25】図25は本発明の態様に係る片板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図26】図26は本発明の態様に係る両板メッシュについての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【図27】図27は本発明の態様に係る両板横編み機についての実施例のパターンレイアウトを図示する。
【0027】
詳細な説明
本発明の態様に係る形態は、軟組織および硬組織の修復に使用するための生体適用性の外科的なシルク製メッシュデバイスを提供する。軟組織の修復の例には、ヘルニア修復、鍵板修復、美容外科、膀胱スリングの実施などが含まれる。骨修復のような硬組織の修復の例には、再建形成外科、オルト外傷などが含まれる。
【0028】
有利には、これらの形態の開放構造は、シルクのスカフォールドから新しい組織への機械的特性のスムースな移行を許容する速度でメッシュが生体再吸収されながら、組織の内殖を許容する。さらに、形態は特にメッシュデバイスが切断された場合に、解けることを実質的に妨げるニットパターンを用いる。詳細には、形態は、ニット方向に置かれた少なくとも2の糸の間の張力における有利な変化を利用することによってメッシュデバイスの安定性を保存し得る。例えば、第1の糸および第2の糸はニット方向に置いて、メッシュデバイス用の「ノード」を形成し得る。少なくとも2の糸に関するニット方向は、例えば、縦編みの間は垂直としあるいは横編みの間は水平とし得る。インターメッシュ・ループとしても知られているメッシュデバイスのノードは、メッシュデバイスにおける交点をいい、そこでは2の糸が編み針の周りにループを形成する。幾つかの形態において、第1の糸を適合して、負荷をメッシュデバイスに加えた場合に第1の糸が第2のデバイスよりも低い張力下になるように、第2の糸よりも大きなたるみを含ませる。例えば、メッシュデバイスを編み合わせた場合またはメッシュデバイス上で引っ張る行為が存在する場合に、張力下で少なくとも2の糸に起こる負荷を生じ得る。第1の糸におけるたるみは、第1の糸がノードにおいて第2の糸と大きな摩擦の接触を経験し、あるいは第2の糸に対して「ロックされる」ように、第1の糸が第2の糸よりも直径において事実上より大きなものとなることを引き起こす。したがって、この特定のニットデザインは「ノード−ロック」デザインという場合がある。
【0029】
一般的に、本発明の態様に係るノード−ロックデザインは異なる張力下の少なくとも2の糸を利用し、そこでは、高い張力の糸がメッシュノードにおいて低い張力の糸を制限する。糸間の張力の変化を達成するために、他のノード−ロックデザインは糸の直径、糸の材料、糸の弾性特性および/またはニットパターンを変化し得る。例えば、以前に記載したニットパターンを変化する長さで糸に適合して、それらが低い張力を経験するように幾つかの糸にたるみを生成する。低い張力の糸は高い張力の糸によって制限されるため、ノード−ロックデザインはメッシュが切断された場合にメッシュが解けることを実質的に妨げる。かくして、形態は、メッシュデバイスの安定性を維持しながら、メッシュデバイスがいずれの形状または大きさにも切断されることを許容する。また、ノード−ロックデザインは、材料を損傷することなく腹腔鏡下または関節鏡下手術用のカニューレをメッシュデバイスが通過することを容易にする安定性を提供する。
【0030】
ノード−ロックデザインは種々のポリマー材料を利用し得るが、本発明の態様に係るシルクを用いるメッシュデバイスは、負荷関係の負担(load-bearing responsibility)を元の組織に徐々に移行しながら組織内殖を許容するのに十分な速度で生体再吸収し得る。具体的な形態は、ボムビクス・モリ(Bombyx mori)カイコの絹フィブロインから形成し得る。未加工のシルク繊維は抗原性を有し得、移植前に取り切らなければならないセリシンとして知られている天然の球形タンパク質コーティングを有する。したがって、糸は除去する処理を介する。セリシンの除去は、例えば、出典明示して本明細書の一部とみなすGregory H.Altmanら,"Silk matrix for tissue engineered anterior cruciate ligaments",Biomaterials 23(2002),pp.4131-4141によってさらに記載されている。その結果、デバイス形態に使用するシルク材料は、標準化された生体材料試験法を用いて測定または推定し得る限り、感作因子を実質的に全く含まない。
【0031】
本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、図22中のパターンレイアウト2200に示す3のムーブメント:織地方向の2のムーブメント、生地内の垂直方向およびコース方向、生地の水平方向のもの、を使用することにより片板Comez Acotronic/600-FまたはComez 410 ACO上で作成し得る。織地方向のムーブメントは反対の方向で進行し;1の方向で運動する第1の糸はコース毎にループを作り、その間に、反対方向で運動する第2の糸は他のコース毎にループを作る。糸は、針床上で利用可能な針の半分のみを用いて、20ゲージ編み機上で3-1および1-1/1-3の繰返しパターンを追う。生地内のループのインターレースは1の糸に応力下で他のものよりも大きな張力下になることを許容し、低い張力下の糸の周りにロックされ;切断された場合に生地が解けることを維持する。生地内の他の運動は数コース毎に起こり、メッシュに開口を生じる。これらの糸は1-9/9-7/7-9/9-1/1-3/3-1のパターンを伴う。これらの糸は、応力下で生地中の糸をロックする場合に生地内に張力を生じ、;生地が解けることを妨げる。
【0032】
本発明の態様による外科的なメッシュデバイスは、図26中のパターンレイアウト2600に示す3の運動:織地方向の2の運動およびコース方向の1の運動、を使用することによって両板Comez DNB/EL-800-8B編み機上に作成し得る。織地方向の2の運動はひとつおきの糸を有する別の針床で起こり;コース運動毎に起こるループは繰返し内でねじれる。糸は3-1/1-1/1-3/3-3および1-1/1-3/3-3/3-1の繰返しパターンを伴う。第3の運動は生地の幅を横切る糸で起こる。糸はパターン9-9/9-9/7-7/9-9/7-7/9-9/1-1/1-1/3-3/1-1/3-3/1-1を伴う。この生地も20ゲージ編み機上の半分のゲージで作成され、応力がかかった場合に糸の間に生成する張力に起因して解けることを妨げる。パターン内で伴う繰返しの糸を図26に図示する。
【0033】
各々、図23、24および25に図示するパターンレイアウト2300、2400および2500により、外科的なメッシュパターンの変化を、織り段挿入を用いる代わりに追加したワープバー(warp bar)を用いる編み方を含む片板について図示する。これらの変化には、1またはそれを超える織地に対して垂直にそれを運動させる間にノードロック糸を用いる編み方が含まれる。これらの変化には、限定されるものではないが、全てまたはひとつおきのコースのいずれかでオープンまたはクローズの鎖編みのいずれかの編み方が含まれ得る。織り段の挿入に対して第3のワープバーを利用することも、両板ワープ織機に適合し得る。
【0034】
本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、図27中のパターンレイアウト2700に示すようにShima Seiki平板機上に形成し得る。このニットには連続する糸または少なくとも2の異なる糸の大きさ(そのうちの1はそれに限定するものではないが異なる材料とし得る)が含まれる。織物メッシュは、連続する糸またはある種の糸の大きさの糸のいずれかによって形成されるループを有する第1の並び上の規則正しいジャージニットによって形成され、一方、第2の並びのループは同じ連続する糸のジャージニットのループまたは異なる大きさの糸で交互に起こるタックループによって形成される。メッシュは、編み目の増減;成形技術、を使用することによって編み方の間に形作られる。
【0035】
シルク糸を用いる形態においては、シルク糸は直径ほぼ40ないし60μmの20−22デニールの未加工シルク繊維によって製作した糸からより合わせ得る。好ましくは、10ないし30デニールの範囲の未加工シルク繊維を利用し得るが;デバイスが意図した領域に十分な強度を提供することを許容するいずれの繊維の直径も容認し得る。有利には、一定の糸の大きさが外科的なメッシュの例えば、剛性、伸長性ほかのような機械的特性、物理学的および/または生物学的特性の均一性を最大化し得る。しかしながら、糸の大きさは、好ましい外科的なメッシュ位置において異なる機械的、物理学的および/または生物学的な特徴を達成するために、外科的なメッシュのセクションにおいて変化し得る。糸の大きさに影響し得る因子には、限定されるものではないが:最終引張強度(UTS);降伏強度、すなわち糸が恒久的に変形する点;パーセント伸長;疲労および動的な弛緩(クリープ);生体再吸収速度;およびメッシュの中および外への細胞/栄養の移動が含まれる。各々、図22−26に図示するニットパターンレイアウト2200、2300、2400、2500および2600は編み機の幅によって制限されるいずれの幅にも編み得、種々のクローシェ編み機または縦メリヤス機を用いて利用可能ないずれかのゲージを用いて編み得る。表2は異なるゲージ機上の異なる数の針を用いて行い得る生地の幅の概要である。表1中の寸法は、用いる編み目デザイン、編み目密度および糸の大きさに依存する収縮係数にほぼ起因することが理解される。
【0036】
【表1】
【0037】
本発明に係る補綴デバイスの形態は、細いゲージのクローシェ編み機上で編み得る。本発明の態様に係る外科的なメッシュを製作することができるクローシェ編み機の非限定的なリストは:Changde Textile Machinery Co.,Ltd.;Comez;China Textile Machinery Co.,Ltd.;Huibang Machine;Jakkob Muller AG;Jingwei Textile Machine Co.,Ltd.;Zhejiang Jingyi Textile Machinery Co.,Ltd.;Dongguan Kyang Yhe Delicate Machine Co.,Ltd.;Karl Mayer;Sanfang Machine;Sino Techfull;Suzhou Huilong Textile Machinary Co.,Ltd.;Taiwan Giu Chun Ind.Co.Ltd.;Zhangjiagang Victor Textile;Liba;Lucas;Muller Frick;およびTexmaによって提供される。
【0038】
本発明に係る補綴デバイスの形態は、細いゲージの縦編み機上で編み得る。本発明の態様に係る外科的なメッシュを製作することができる縦編み機の非限定的なリストは、Comez;Diba;Jingwei Textile Machinery;Liba;Lucas;Karl Mayer;Muller Frick;Runyuan Warp Knitting;Taiwan Giu Chun Ind.;Fujian Xingang Textile Machinery;およびYuejian Groupによって提供される。
【0039】
本発明に係る補綴デバイスの形態は、細いゲージのフラットベッド編み機(flat bed knitting machine)上で編み得る。本発明の態様に係る外科的なメッシュを製作することができるフラットベッド機の非限定的なリストは、Around Star;Boosan;Cixing Textile Machine;Fengshen;Flying Tiger Machinary;Fujian Hongqi;G & P;Goerteks;Jinlong;JP;Jy Leh;Kauo Heng Co.,Ltd.;Matsuya;Nan Sing Machinery Limited;Nantong Sansi Instrument;Shima Seiki;Nantong Tianyuan;およびNingbo Yuren Knittingによって提供される。
【0040】
図1−20は本発明の態様に従って製作した実施例メッシュを図示する。図1AおよびBに参照して、実施例メッシュ100は本発明の態様に従って片板縦編み機上で製作する。図1Aはメッシュ100の技術的裏面100Aを示し、図1Bはメッシュ100の技術的正面100Bを示す。
【0041】
図2AおよびBに参照して、実施例メッシュ200は本発明の態様に従って両板縦編み機上で製作する。図2Aはメッシュ200の技術的正面200Aを示し、図2Bはメッシュ200の技術的裏面200Bを示す。
【0042】
図3は本発明の態様に従って単一フィラメントシルク糸を用いて製作した実施例メッシュ300を図示する。
【0043】
図4は本発明の態様に従って片板縦編み機で製作した実施例メッシュ400を図示する。
【0044】
図5Aは両板縦編み機で製作した実施例メッシュ500Aを図示する。メッシュ500Aは本発明の態様に係るプラッシュデザインを示すセクションを含む平行六面体の孔を有する。一方、図5Bは両板縦編み機で製作した実施例メッシュ500Bを図示する。実施例メッシュ500Bは本発明の態様に係る六角形の孔を有する。
【0045】
図6AおよびBは本発明の態様に係る実施例の狭いメッシュ生地600Aおよび600Bを図示する。メッシュ生地600Aおよび600Bはプラッシュ変化を取り込む変化する編み目密度を有する。
【0046】
図7に参照して、実施例メッシュ700は本発明の態様に係るループパイルを取り込んでいる。図8は本発明の態様に係る糸供給速度(yarn feed rate)の変化を介して達成した孔デザインを有する実施例の狭いメッシュ生地800を図示する。
【0047】
図9Aは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の潰れたメッシュ生地900Aを図示する。一方、図9Bは本発明の態様に係る六角形の形をした孔を有する実施例の開口メッシュ生地を図示する。
【0048】
図10に示すように、安定な非−折り畳み式のメッシュ生地1000の例には、本発明の態様に係る六角形の形をした孔が含まれる。
【0049】
図11Aは、本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する実施例の三次元メッシュ1100を図示する。図11Bは2.55mmの厚さの三次元メッシュ1100を図示する。図12は本発明の態様に係る3.28mmの厚さを有するもう1の実施例の三次元メッシュ1200を図示する。
【0050】
図13A−Cは、本発明の態様に係る実施例の非−多孔性メッシュ1300を図示する。図13Aは非−多孔性メッシュ1300の技術的正面1300Aを示す。図13Bは非−多孔性メッシュ1300の技術的裏面1300Bを示す。図13Cは非−多孔性メッシュ1300が5.87mmの厚さを有することを示す。
【0051】
図14Aは本発明の態様に係る同一の技術的正面および技術的裏面を有する実施例の三次元メッシュ1400を図示する。図14Bは三次元メッシュ1400がほぼ5.36mmの厚さを有することを示す。図15AおよびBは本発明の態様に係るもう1の実施例の三次元メッシュ織物1500を示す。図15Aは織物1500の技術的正面1500Aを示し、図15Bは織物1500の技術的裏面1500Bを図示する。
【0052】
図16−20は両板横編み機で製作したそれぞれの実施例のメッシュ1600、1700、1800、1900および2000を図示する。メッシュ1600、1700、1800、1900および2000は本発明の態様に係る胸部サポート適用用のメッシュの形づくりを図示する。
【0053】
試験法を開発して、本発明の態様に従って形成した外科的なメッシュのカット能力をチェックした。試験法においては、外科的なメッシュを手術鋏でメッシュを切断するのに要する回数に従って評価した。メッシュはそれを切り開くのに1の鋏のストロークをとったため、メッシュは非常によく切れることが判明した。メッシュは対角線および円形パターンでも切断して、どれ程簡単にメッシュが解れるのかおよび1回切断するとどれ程それが解れるかを決定した。メッシュは、両方向で切断した後に1を超える様式では解れなかった。メッシュが解れるかをさらに決定するために、縫合糸を、切断端から最も狭い孔を通過させ、ついで引っ張った。この操作はメッシュを解さなかった。したがって、外科的なメッシュは簡単に切断し、操作後には解れなかった。
【0054】
形態は表面処理で処理し得、それは材料の親水性、バイオコンパティビリティー、切断が容易な取扱いおよびグラフト引き抜き(graft pull-through)のような物理学的および機械的な特性、ならびに、抗細菌性および抗真菌性コーティングを高める表面処理で加工し得る。表面処理の具体的な例には、限定されるものではないが:
・血漿修飾
・限定されるものではないが、フィブロネクチン、変性コラーゲンまたはゼラチン、共有結合または他の化学的もしくは物理的方法によるコラーゲンゲルおよびヒドロホビンのようなタンパク質
・親水性および疎水性末端を有するペプチド
・1のシルク結合配列および1の生物活性配列を含むペプチド−生分解性セルロース
・表面スルホン化
・オゾンガス処理
・物理的に結合し、化学的に安定化したペプチド
・DNA/RNAアプタマー
・ペプチド核酸
・アビマー
・修飾および非修飾多糖コーティング
・炭水化物コーティング
・抗細菌コーティング
・抗糸状菌コーティング
・ホスホリルコリン・コーティング
【0055】
カニューレを介したデリバリーの容易性を評価する方法を行って、腹腔鏡下で外科的なメッシュを使用し得ることを確認した。種々の長さを巻き上げ、外科的把持器(surgical grasper)を用いて2の異なる標準サイズのカニューレを通過させた。ついで、メッシュを評価して、メッシュに起こったいずれかの損傷が存在するかを決定した。カニューレを通過させたメッシュは、把持器によって支持した角にわずかな歪みを有することが判明した。巻き上げ、8mmカニューレを通過させた16cmおよび18cmの長さのメッシュは、各々、最小限の解れおよび1の歪んだ孔を有していた。いずれの試験においてもカニューレまたはセプタムに損傷が生じていないことも判明した。適当な大きさにした外科的なメッシュは損傷することなく腹腔鏡下カニューレを首尾よく通過し、腹腔鏡下手続の間にそれが有効になることが判明した。
【0056】
本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、ほぼ100日で50%生体吸収されることが判明している。Horanらによる研究において、Sprague-Dawleyラットを用いて、Mersilene(商標)メッシュ(Ethicon,Someville,NJ)に対して本発明に係る形態の生体再吸収を比較した。先行技術からの組織学的報告は、94日後にMersilene(商標)メッシュの96%と比較して形態の初期メッシュの43%が残存していたことを述べている。また、Mersilene(商標)メッシュよりも形態のメッシュでは内殖がより均一であったことも報告された。Mersilene(商標)は腹壁に沿うよりも欠損領域において少ない内殖を有することが判明した。
【0057】
物理学的特性には、厚さ、密度および孔径が含まれる。厚さはJ100 Kafer Dial Thickness Gaugeを利用して測定した。Mitutoyo Digimatic Caliperを用いて試料の長さおよび幅を見出し;密度を計算した。密度は、メッシュの長さ、幅および厚さを乗じ、ついで得られた値を体積で除することによって見出した。孔径は0.8×の倍率下でOlympus SZX7 Dissection Microscopeを用いてメッシュを写真撮影することによって見出した。測定はImagePro5.1ソフトウェアを用いて採り、幾つかの測定にわたって値を平均化した。本発明に係る形態を含む試料メッシュの物理学的特徴を表2に提供する。
【0058】
【表2】
【0059】
すべてのデバイスは各タイプの機械的分析について表3に規定した寸法を切断した。試料は機械的分析の前にリン酸緩衝塩類溶液(PBS)中、37±2℃で3±1.25時間インキュベートし、湿潤環境における特徴を得た。試料を溶液から取り出し、直ちに試験した。
【0060】
【表3】
【0061】
材料寸法における制限に起因して、ボール破裂試験試料をスケールダウンした。用いた試験取り付け具はASTM標準D3787によって推奨される大きさ(1:2.5)とした。試料を取り付け具の中央に配し、60mm/分の移動速度で進む直径10mmボールで破裂させた。破裂試験から最大応力および剛性を決定した。結果は表4に見ることができる。
【0062】
【表4】
【0063】
生地形成および各デバイスの幅の軸に沿って張力試験を行った。デバイスの各端の1cm長のメッシュを3.0mm厚のシリコーンシート片の間にサンドイッチし、70−85psiの型締圧力で空気式生地クランプに載置した。試料は破損するまで100%/s(2400mm/分)および/または67%/s(1600mm/分)の引っ張り速度で変位制御試験を介して負荷した。破壊時の最大張力(UTS)、線形剛性およびパーセント伸長は以下の表に見ることができる。結果は表5−8に見出し得る。「NT」と記されているのは、データが未だ試験されていないことを示す。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
引き裂き強度は、10mmの「裂け目」を長軸端に沿って垂直に端に切断し、メッシュの長さに沿って中心に置く方法を介して見出した。メッシュを張力試験法で先に記載した空気式生地クランプに載置した。試料は、破損するまで100%/s(2400mm/分)の引っ張り速度で変位制御試験を介して負荷した。破損時の負荷および破損の様式は表9に示す。
【0069】
【表9】
【0070】
引張疲労試験を本発明の態様ならびにVicrylメッシュおよびBardメッシュを含む代表的な断定タイプに係る外科的なメッシュデバイスに対して行った。試料は、上記の張力試験法に先に記載した空気式生地クランプに負荷した。試料は、サイクルの間は室温のPBSに浸した。正弦負荷制御サイクリングを60%のメッシュ最大引張強度に対して行った。破損までのサイクル数はサイクル実験の間に決定し、表10に見ることができる。表中、破損は200%を超える破壊または永久変形によって示す。
【0071】
【表10】
【0072】
方法を開発して、本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスの縫合糸引き出し強度を市販されている他の外科的なメッシュと比較した。試験したメッシュは、3つの直径3.5mmの縫合糸アンカー(Arthrex,Naples,FL)で縫合し、15pcf固形の剛直なポリウレタンフォームに繋ぎ留めた。各デバイスはメッシュを3のアンカーに縫合する間に用いた3mmの縫合かみ合わせ距離(suture bite distance)で中央アンカー上の20mm幅の中心に位置させた。ノコギリ骨(saw bone)を下部空気式生地クランプに載置し、オフセットしてロードセル下でデバイスが中心に位置する際にデバイスの軸に沿って負荷を提供した。メッシュの遊離端はシリコーン片間にサンドイッチし、85±5psiのクランプ力で上部生地クランプに位置させた。試験は、100%/s(1620mm/分)の引張速度の移動制御下で行った。破壊時の最大負荷および破損様式は表11に見ることができる。
【0073】
【表11】
【0074】
両板メッシュ用のパターンを利用し、糸の大きさ、糸送給速度および/または針床幅を修飾することによって、本発明の態様に係る外科的なメッシュデバイスは、適用に応じた軟組織または硬組織の修復に必要な物理学的および機械的な特性を満たす。かかる特性には孔径、厚さ、最大張力、剛性、破裂強度および縫合糸引き出しが含まれる。孔径は送給速度に応じて修飾して、より開口した生地を作ることができ、厚さは0.40mmから19.0mm程までの範囲とし得る。孔径および厚さに対する修飾により、UTS、剛性、破裂強度および縫合糸引き出しはすべて同様に修飾され、おそらく孔径および/または厚さの修飾を適合してある種の機械的要求に合致する。
【0075】
平板編み機上で製作したこのメッシュはそのようにして製作して、糸の大きさを変化しおよび/または編み設定内に見出されるループの長さを変化することによって、孔径および/または厚さを増減する。ノード−ロックデザインと組み合わせたループの位置は、メッシュの形状および/または機械的特性に対する変化を許容する。高度により合わせたシルクのような弾力性を有する生体適合糸を形成に用いることができる。
【0076】
本発明の態様に係るメッシュのインプラントおよびつづく試験を図21A−Dに図示する。図21Aは慣用的に設計した1cm−ステンレス綱パンチを用いて製作した完全な厚さのラット腹部欠損を図示する。欠損は体壁張力が加わることに起因して楕円形に見える。図21Bは開口部欠損の上部の中心に置いた4cm×4cmのインプラントを図示しており、該インプラントはインプラントと筋肉を通る単一の割り込みポリプロピレン製縫合糸(矢印)で所定の位置に保持されている。図21Cはインプラント後94日の移植片標本94を図示する。図21Dはメッシュで補強した欠損部位を介して押しつけた直径1-cmのボールを用いて行ったボール破裂試験を図示する。
【0077】
本発明を多数の例示的および実施な形態と結合して記載したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、むしろ種々の修飾および等価な配置をカバーするものである。例えば、本発明の態様に係る編物メッシュはフィラー材料に使用し得る。1の適用において、編物メッシュは1mm×1mmの断片に切断して、1またはそれを超えるノード、例えば3ノードに分離し得る。断片は脂肪組織またはヒドロゲルに加えて、欠陥のある領域に注射し得る液剤を形成し得る。有利なことに、フィラー材料は望ましい織り地を提供し得るが、解れないであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニット方向にあり、かつ、互いに結合して複数のノードを規定する少なくとも2の糸を含む織物メッシュを含み、ここに少なくとも2の糸は2のノードの間に伸長する第1の糸および第2の糸を含み、第2の糸は2のノードにおいて第1の糸よりも高い張力を有し、第2の糸は2のノードから第1の糸が運動することを実質的に妨げ、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする補綴デバイス。
【請求項2】
第1の糸および第2の糸が異なる材料から形成される請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項3】
第1の糸および第2の糸が異なる直径を有する請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項4】
第1の糸および第2の糸が異なる弾性特性を有する請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項5】
第1の糸の第1の長さが2のノードの間に伸長し、第2の糸の第2の長さが2のノードの間に伸長し、第1の長さが第2の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項6】
第1の糸が2のノードの間に中間ループを形成し、第2の糸が2のノードの間に対応する中間ループを形成せず、第1の糸の第1の長さが第2の糸の第2の長さよりも大きいことを特徴とする請求項5記載の補綴デバイス。
【請求項7】
第1の糸が第1のセットの糸に含まれ、第2の糸が第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコース(course)の各々に第1の一連のループを形成し、第2のセットの糸は第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向と反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきに第2の一連のループを形成し、第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項8】
第1の糸が第1のセットの糸に含まれ、第2の糸が第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸および第2のセットの糸は織地方向で交互に適合してねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合は第1のセットの糸が第2のセットの糸に対してノードにおいて異なる張力を有することを生じ、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項9】
第1の糸が第1のセットの糸に含まれ、第2の糸が第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って一連のジャージループ(jersey loop)を形成し、第2のセットの糸は織物メッシュの第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成し、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、第2のセットの糸のタックループは第1のセットの糸のジャージループと結合して織物メッシュのノードを規定し、タックループは織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項10】
少なくとも2の糸がシルクから形成される請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項11】
少なくとも2の糸がほぼ20ないし1000μmの直径である請求項10記載の補綴デバイス。
【請求項12】
少なくとも2の糸の各々が実質的に一定の直径である請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項13】
第1のセットの糸を片板機上の第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースの各々に第1の一連のループを形成し;
第2のセットの糸を片板機上の第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向と反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきに第2の一連のループを形成し;ついで、
第3のセットの糸を織物メッシュの所定数のコース毎に適合し、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、
ここに、第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法。
【請求項14】
第1、第2および第3のセットの糸がシルクから形成される請求項13記載の方法。
【請求項15】
第1、第2および第3のセットの糸がほぼ20ないし1000μmの直径である請求項14記載の方法。
【請求項16】
第1、第2および第3のセットの糸が実質的に一定の直径を有する請求項13記載の方法。
【請求項17】
第1のセットの糸を織地方向で両板機の第1の針床に適合し;
第2のセットの糸を織地方向で両板機の第2の針床に適合し;ついで、
第3のセットの糸を織物メッシュの所定数のコース毎に適合することを含む、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法であって、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、
ここに、第1のセットの糸および第2のセットの糸は交互に適合して、各々、第1の針床および第2の針床にねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合は第1のセットの糸が第2のセットの糸に対してノードにおいて異なる張力を有することを生じ、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする該方法。
【請求項18】
第1、第2および第3のセットの糸がシルクから形成される請求項17記載の方法。
【請求項19】
第1、第2および第3のセットの糸がほぼ20ないし1000μmの直径である請求項18記載の方法。
【請求項20】
第1、第2および第3のセットの糸が実質的に一定の直径を有する請求項17記載の方法。
【請求項21】
平板機(flat needle bed machine)上で、織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って第1の一連のジャージループを形成し;ついで、
平板機上で、織物メッシュの第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成することを含み、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり;
ここに、第2のセットのコースは第1のセットのコースよりも大きな張力を有し、第2のセットのコースに沿ったタックループは第1のセットのコースのジャージループと結合し、織物メッシュがタックループにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法。
【請求項22】
連続する糸が第1のセットのコースおよび第2のセットのコースを形成する請求項21記載の方法。
【請求項23】
第1のセットのコースおよび第2のセットのコースが異なる糸によって形成される請求項21記載の方法。
【請求項24】
第1のセットのコースおよび第2のセットのコースが異なる直径を有する異なる糸によって形成される請求項23記載の方法。
【請求項25】
織物メッシュがシルクから形成される請求項13記載の方法。
【請求項1】
ニット方向にあり、かつ、互いに結合して複数のノードを規定する少なくとも2の糸を含む織物メッシュを含み、ここに少なくとも2の糸は2のノードの間に伸長する第1の糸および第2の糸を含み、第2の糸は2のノードにおいて第1の糸よりも高い張力を有し、第2の糸は2のノードから第1の糸が運動することを実質的に妨げ、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする補綴デバイス。
【請求項2】
第1の糸および第2の糸が異なる材料から形成される請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項3】
第1の糸および第2の糸が異なる直径を有する請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項4】
第1の糸および第2の糸が異なる弾性特性を有する請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項5】
第1の糸の第1の長さが2のノードの間に伸長し、第2の糸の第2の長さが2のノードの間に伸長し、第1の長さが第2の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項6】
第1の糸が2のノードの間に中間ループを形成し、第2の糸が2のノードの間に対応する中間ループを形成せず、第1の糸の第1の長さが第2の糸の第2の長さよりも大きいことを特徴とする請求項5記載の補綴デバイス。
【請求項7】
第1の糸が第1のセットの糸に含まれ、第2の糸が第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコース(course)の各々に第1の一連のループを形成し、第2のセットの糸は第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向と反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきに第2の一連のループを形成し、第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項8】
第1の糸が第1のセットの糸に含まれ、第2の糸が第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸および第2のセットの糸は織地方向で交互に適合してねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合は第1のセットの糸が第2のセットの糸に対してノードにおいて異なる張力を有することを生じ、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項9】
第1の糸が第1のセットの糸に含まれ、第2の糸が第2のセットの糸に含まれ、第1のセットの糸は織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って一連のジャージループ(jersey loop)を形成し、第2のセットの糸は織物メッシュの第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成し、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、第2のセットの糸のタックループは第1のセットの糸のジャージループと結合して織物メッシュのノードを規定し、タックループは織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項10】
少なくとも2の糸がシルクから形成される請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項11】
少なくとも2の糸がほぼ20ないし1000μmの直径である請求項10記載の補綴デバイス。
【請求項12】
少なくとも2の糸の各々が実質的に一定の直径である請求項1記載の補綴デバイス。
【請求項13】
第1のセットの糸を片板機上の第1の織地方向で適合し、第1のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースの各々に第1の一連のループを形成し;
第2のセットの糸を片板機上の第2の織地方向で適合し、第2の織地方向は第1の織地方向と反対であり、第2のセットの糸の各々は織物メッシュの複数のコースのひとつおきに第2の一連のループを形成し;ついで、
第3のセットの糸を織物メッシュの所定数のコース毎に適合し、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、
ここに、第1のセットの糸はひとつおきのコースで第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第2のセットの糸は第1のセットの糸よりも大きな張力を有し、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法。
【請求項14】
第1、第2および第3のセットの糸がシルクから形成される請求項13記載の方法。
【請求項15】
第1、第2および第3のセットの糸がほぼ20ないし1000μmの直径である請求項14記載の方法。
【請求項16】
第1、第2および第3のセットの糸が実質的に一定の直径を有する請求項13記載の方法。
【請求項17】
第1のセットの糸を織地方向で両板機の第1の針床に適合し;
第2のセットの糸を織地方向で両板機の第2の針床に適合し;ついで、
第3のセットの糸を織物メッシュの所定数のコース毎に適合することを含む、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法であって、第3のセットの糸の適合は織物メッシュに開口部を規定し、
ここに、第1のセットの糸および第2のセットの糸は交互に適合して、各々、第1の針床および第2の針床にねじれ形のループを形成し、第1のセットの糸は第2のセットの糸とインターレースして織物メッシュのノードを規定し、第1のセットの糸および第2のセットの糸の交互の適合は第1のセットの糸が第2のセットの糸に対してノードにおいて異なる張力を有することを生じ、張力における差が、織物メッシュがノードにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする該方法。
【請求項18】
第1、第2および第3のセットの糸がシルクから形成される請求項17記載の方法。
【請求項19】
第1、第2および第3のセットの糸がほぼ20ないし1000μmの直径である請求項18記載の方法。
【請求項20】
第1、第2および第3のセットの糸が実質的に一定の直径を有する請求項17記載の方法。
【請求項21】
平板機(flat needle bed machine)上で、織物メッシュの第1のセットのコースの各々に沿って第1の一連のジャージループを形成し;ついで、
平板機上で、織物メッシュの第2のセットのコースの各々に沿って第2の一連の交互のタックループおよびジャージループを形成することを含み、第2のセットのコースは第1のセットのコースと交互になり;
ここに、第2のセットのコースは第1のセットのコースよりも大きな張力を有し、第2のセットのコースに沿ったタックループは第1のセットのコースのジャージループと結合し、織物メッシュがタックループにおいて解けることを実質的に妨げることを特徴とする、補綴デバイス用の織物メッシュを製作する方法。
【請求項22】
連続する糸が第1のセットのコースおよび第2のセットのコースを形成する請求項21記載の方法。
【請求項23】
第1のセットのコースおよび第2のセットのコースが異なる糸によって形成される請求項21記載の方法。
【請求項24】
第1のセットのコースおよび第2のセットのコースが異なる直径を有する異なる糸によって形成される請求項23記載の方法。
【請求項25】
織物メッシュがシルクから形成される請求項13記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2012−512000(P2012−512000A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542169(P2011−542169)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063717
【国際公開番号】WO2010/074827
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063717
【国際公開番号】WO2010/074827
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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