製管装置、及び既設管の更生方法
【課題】 本発明は、帯状部材に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる新規な製管装置、及びこの製管装置を用いた既設管の更生方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 製管装置1における環状の成形フレーム2に対し、帯状部材100をガイド口11に通過させることによって前記帯状部材100の供給経路を規制するガイド装置10を備え、前記ガイド装置10が、前記成形フレーム2に直接、又は、支持基台12を介して取り付けられた、前記成形フレーム2の環内空間に向かって屹立するガイド軸13に沿って進退可能となるようにする。
【解決手段】 製管装置1における環状の成形フレーム2に対し、帯状部材100をガイド口11に通過させることによって前記帯状部材100の供給経路を規制するガイド装置10を備え、前記ガイド装置10が、前記成形フレーム2に直接、又は、支持基台12を介して取り付けられた、前記成形フレーム2の環内空間に向かって屹立するガイド軸13に沿って進退可能となるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用水管、下水道管、上水道管、ガス管などの既設管の管路内に、長尺の帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を形成するための製管装置、及びこの製管装置を用いた既設管の更生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用水管、下水道管、上水道管、ガス管などの既設管が老朽化し、ひび割れや腐食などが生じた場合の対策として、帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を既設管の管路内に形成する方法が採られている。
【0003】
この方法を実行する際に用いられる製管装置としては、管渠(既設管)内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供すると共に螺旋状に捲回し、相接する接合部を相互に接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管(更生管)を付加形成するものが開発されている(例えば、下記特許文献1参照)。この特許文献1に記載された製管装置Mを図13(a)に示す。
【0004】
図13(a)に示すように、特許文献1に記載された製管装置Mは、既設管の内周壁に沿って配置される環状の成形フレーム2と、前記成形フレーム2の外周に巡らせて配された複数個の案内ローラ3と、前記成形フレーム2に取り付けられた、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを順次接合しながら前記既設管200の内壁に沿って周回する接合機構部4と、を具備する。
【0005】
そして、特許文献1に記載された製管装置Mにおいては、前記接合機構部4への前記帯状部材100の供給が安定するように、前記接合機構部4と一体となって前記既設管200内を回転して、前記接合機構部4に供給する前記帯状部材100の経路を規制するためのガイドG(図13(b)参照)が更に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11‐141735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載の製管装置は、前記ガイドに進入してくる前記帯状部材の進入角がほぼ一定であることを前提とするものであり、係る一定の進入角をもって前記ガイドに進入してきた前記帯状部材を、前記ガイドを通過する際に規制し、もって、前記ガイドから前記接合機構部に向かう帯状部材の供給経路が常に一定となるようにするものである。そのため、製管時において、前記ガイドに進入する際の前記帯状部材の進入角が変化して、前記進入角と前記ガイドによって規制された前記帯状部材の角度との間に過剰な隔たりが生じたりした場合には、前記帯状部材が大きく歪み、割れや欠けなどの不具合が生じる場合がある。
【0008】
又、一旦大きく歪まされた前記帯状部材には変形が残り、係る帯状部材の変形箇所において接合が不十分となる場合もある。
【0009】
特に、角部(ハンチ部)を有する非円形の断面形状(矩形や馬蹄形等)の既設管を更生する場合にあっては、製管時に、前記接合機構部に先立って前記角部の入り口側から進入した前記ガイド部が前記角部の出口側に移動した際に、出口側に位置する前記ガイド部と、前記ガイド部に遅れて前記角部の入り口側に進入した前記接合機構部とが、前記角部を挟む状態となるため、前記帯状部材が接合機構部を支点として大きく曲げられる状態が生じ、その結果、前記帯状部材に割れや欠けなどの不具合が生じたり、前記角部における接合が不十分となったりする場合があった。
【0010】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、帯状部材に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる新規な製管装置及びこの製管装置を用いた既設管の更生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の製管装置は、既設管内に連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に巻回しながら、先行する前記帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する前記帯状部材の他側縁とを隣接させつつ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を前記既設管の管路内に形成する製管装置であって、前記製管装置における環状の成形フレームには、前記帯状部材をガイド口に通過させることによって前記帯状部材の供給経路を規制するガイド装置が備えられてなり、前記ガイド装置は、前記成形フレームに直接、又は、支持基台を介して取り付けられた、前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸と、前記ガイド口を有するガイド部とを具備してなり、前記ガイド部が、前記ガイド軸に対し、前記ガイド軸に沿って進退可能となされたスライダー部を介して取り付けられてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の製管装置においては、前記成形フレームが、複数のリンク体を連結することによって形成されてなり、前記成形フレームの形状を、真円を除く環状に規制する規制フレームが更に具備されてなるものが好ましい態様となる。
【0013】
なお、前記「真円を除く環状」とは、四角形状や馬蹄形状などの角部を有する形状の他、楕円形状などの角部のない非円形形状を意味する。
【0014】
本発明の製管装置においては、前記ガイド口が、前記帯状部材の内面に接触して回転する第一ローラと、前記帯状部材の裏面に接触して回転する第二ローラと、によって構成されてなるものが好ましい態様となる。
【0015】
本発明の製管装置においては、前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸が、前記ガイド軸が取り付けられた前記成形フレームの接線方向に対して直交する方向から、前記接合機構部の周回方向後方に向かって、0〜45度の傾きを付与されてなるものが好ましい態様となる。
【0016】
前記ガイド装置における前記ガイド軸に対して、前記ガイド軸が取り付けられた前記成形フレームの接線方向に対して直交する方向から、前記接合機構部の周回方向後方に向かって、0〜45度(好ましくは、5〜30度)の傾きを付与すると、前記接合機構部の周回方向前方から前記ガイド口に供給される前記帯状部材の供給が円滑となり、特に角部を有する既設管を更生する際の前記帯状部材の供給が円滑となる。
【0017】
本発明の既設管の更生方法は、前記本発明の製管装置を用いて、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された前記更生管を前記既設管の管路内に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、帯状部材に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、断面状態で示す既設管内にて、更生管を形成している本発明の製管装置を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の製管装置を用いて既設管内に更生管を形成している状況を模式的に示す説明図である。
【図3】図3(a)は、帯状部材の一例を示す断面図であり、図3(b)及び(c)は、この帯状部材を接合して更生管を形成する工程を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の製管装置における接合機構部近辺を拡大し、一部透過状態にて示す正面図である。
【図5】図5は、本発明の製管装置における接合機構部を一部断面状態にて示す側面図である。
【図6】図6は、本発明の製管装置におけるガイド装置近辺を拡大して示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の製管装置におけるガイド装置と、接合機構部におけるピンチ部と、の位置関係を略図にて示す正面図である。
【図8】図8(a)、(b)は、更生管の製管時におけるガイド装置の動作を模式的に示す説明図である。
【図9】図9(a)は、ジョイナーを介して接合された他の帯状部材を示す断面図であり、図9(b)は、帯状部材にジョイナーを嵌入する状態を拡大して示す斜視図である。
【図10】図10は、断面状態で示す既設管内にて、更生管を形成している本発明の製管装置の別の例を示す正面図である。
【図11】図11は、本発明の別の製管装置における規制フレームを断面状態で示し、もって、前記規制フレームへのローラステーの係合状態を示す側面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は、更生管の製管時におけるガイド装置の動作を模式的に示す説明図である。
【図13】図13(a)は、従来の製管装置の一例を示す正面図であり、図13(b)は、この製管装置に備えられたガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0021】
<実施形態1>
図1に実施形態1に係る本発明の製管装置1を示す。更に詳しくは、図1は、断面状態にて示す既設管200内に製管装置1を配置し、連続的に供給される長尺の帯状部材100を螺旋状に巻回しながら、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを隣接させつつ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を前記既設管200の管路内に形成している状態を示すものである。
【0022】
図2に示すように、前記製管装置1を用いて、前記帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を前記既設管200の管路内に形成する本発明の既設管の更生方法を実行するにあたっては、前記帯状部材100が巻き付けられた巻取ドラム91を地上に配すると共に前記既設管200内に前記製管装置1を配置する。前記巻取ドラム91から繰り出された前記帯状部材100は、発進側立坑210を通じて、前記製管装置1に供給される。前記製管装置1は、連続的に供給される前記帯状部材100を螺旋状に巻回し、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを隣接させ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材100が螺旋状に付加された前記更生管130を形成しつつ、形成された前記更生管130を順次残置しながら到達側立坑220に向かって移動する。なお、本実施形態において、前記製管装置1は、前記製管装置1の移動方向前方に配置された油圧ユニット93から供給される圧油によって駆動する仕組みとなっている。又、前記油圧ユニット93は、地上に配された発電機92から供給される電力によって駆動する仕組みとなっている。
【0023】
前記帯状部材100は、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂系材料を長尺帯状に成形したものである。図3(a)に示すように、前記帯状部材100の一側縁には、長手方向に沿って接合凹部102が設けられてなり、前記帯状部材100の他側縁には、長手方向に沿って接合凸部101が設けられている。
【0024】
前記接合凹部102は、前記帯状部材100の内面(前記更生管130の内壁面となる面)側において開口する被嵌入部106と、この被嵌入部106の外層(前記帯状部材100の裏面側)において前記帯状部材100の裏面に基端が固定された状態で屹立する断面T字状の短リブ107と、前記帯状部材100の幅方向外側に向かって延設され、途中で前記帯状部材100の裏面側に向かって屈折する傾斜片108と、を備える。
【0025】
前記接合凸部101は、前記帯状部材100の裏面(前記更生管130の外壁面となる面)に基端が固定された状態で屹立する支柱部104と、前記支柱部104の先端に形成された断面略円形状の嵌入部105と、を備える。
【0026】
前記接合凸部101と前記接合凹部102との間には、前記帯状部材100の裏面に基端が固定された状態で屹立する複数条の断面T字状の長リブ103が長手方向に沿って設けられている。
【0027】
又、前記帯状部材100には、補強材110が装着されている。前記補強材110は、長手方向に連続した帯板状の鋼板を断面略W字状に折曲形成したものであり、前記帯状部材100に設けられた複数条の前記長リブ103から選択された、隣接する二条の長リブ103間に装着されている。この補強材110は、形成される前記更生管130の強度を高めるものである。
【0028】
前記帯状部材100は、前記製管装置1にて螺旋状に巻き回されることにより、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とが接合される。前記帯状部材100の接合は、螺旋状に巻き回すことによって隣接させた前記帯状部材100のうち、先行する帯状部材100の前記接合凹部102に、後続する帯状部材100の接合凸部101を嵌め込むことによって行われる(図3(b)参照)。この際、先行する帯状部材100の傾斜片108は押圧され、後続する帯状部材100の長リブ103の先端部に嵌め込まれる。これにより、前記帯状部材100同士が相互に接合されて前記更生管130が形成される(図3(c)参照)。
【0029】
以下、実施形態1に係る本発明の製管装置1について更に詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、前記製管装置1は、環状に形成された成形フレーム2と、前記成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、前記成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4と、を具備する。
【0031】
前記成形フレーム2は、複数個のスチール製のリンク体21が連結されることによって環状に形成されたものである。本実施形態において、前記成形フレーム2は、前記既設管200の断面形状(円形)に応じて円環状となされている。
【0032】
前記成形フレーム2には、屈折リンク5が組み込まれている。この屈折リンク5は、その屈折角が調整されることによって、前記成形フレーム2の環径を調整するものである。
【0033】
前記案内ローラ3は、前記成形フレーム2を構成する各リンク体21に対し回転自在に取り付けられている。前記案内ローラ3は、合成樹脂製又は金属製であり、図示しない軸受を介して連結軸24回りに回転自在に支持されている。前記案内ローラ3は、前記更生管130の製管時、形成された前記更生管130の内壁面に接触して回転する。
【0034】
前記接合機構部4は、前記成形フレーム2を構成する前記リンク体21に箱体40が固定されることによって、前記成形フレーム2に取り付けられている。図4の拡大図、及び図5の側面図に示すように、前記接合機構部4における前記箱体40には、インナーローラ42と、アウターローラ43と、歯車機構46とが設けられている。
【0035】
前記インナーローラ42は、前記箱体40の外側に突出させて配置されたアウターローラ43と対になってピンチ部41を構成する。前記インナーローラ42の回転軸及び前記アウターローラ43の回転軸は、前記帯状部材100を螺旋状に供給しようとするリード角に対して軸線方向が直交するように配置されている。
【0036】
図5に示すように、前記インナーローラ42は円筒形状を有し、その軸心方向の長さが帯状部材100の幅寸法に対し、少なくとも2倍以上の長さとなるように設定されている。更生管130の製管時、前記インナーローラ42は、前記帯状部材100の内面に接触して回転する。
【0037】
一方、前記アウターローラ43は、円柱状の軸部432周りに、複数の円盤状の第一円盤431と、第二円盤431aとが、所定の間隔を開けて設けられた形状を有する。製管時において、前記第一円盤431は、前記帯状部材100における前記補強材110が装着されていない前記長リブ103間(若しくは前記短リブ107と前記長リブ103間)に挿入される。一方、前記第二円盤431aは、前記補強材110の装着された前記長リブ103間に挿入される。なお、前記第二円盤431aには、その外周面に沿って、前記補強材110の凸部に嵌り合う凹溝が設けられている。
【0038】
そして、前記アウターローラ43は、前記更生管130の製管時、前記帯状部材100における前記長リブ103、及び前記短リブ107の先端部分を前記軸部432の外周面に接触させた状態で回転する。なお、前記アウターローラ43の外周面にはローレット加工が施されており、これによって前記アウターローラ43は、前記帯状部材100に対して滑ることなく回転できる。
【0039】
前記歯車機構46は、前記箱体40の側部に設けられた油圧モータ45を作動させることによって回転する。前記油圧モータ45を駆動させると、その出力軸451と、前記インナーローラ42の回転軸と、前記アウターローラ43の回転軸とにそれぞれ固定されて互いに噛み合った前記歯車機構46を介して、前記インナーローラ42及び前記アウターローラ43が互いに逆方向に回転する。
【0040】
なお、前記箱体40にはスプリング402を有する衝撃吸収部材401が設けられている。この衝撃吸収部材401は、前記既設管200の内面に凹凸等が存在していても、前記インナーローラ42と前記アウターローラ43の相互間隔が維持されるように作用するものである。
【0041】
前記接合機構部4の周回方向前方、及び後方には、それぞれ支持車輪6が成形フレーム2に対して取り付けられている(図1及び図4参照)。この一対の支持車輪6は、製管時において、前記接合機構部4の周回移動に伴って、前記既設管200の内周を周回するものである。この際、前記一対の支持車輪6は、前記成形フレーム2を前記既設管200の内壁面から離間させると共に、前記接合機構部4を前記既設管200の内壁面から離間させる。
【0042】
そして、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記成形フレーム2に取り付けられた前記接合機構部4の周回方向前方に配された支持車輪6と、前記接合機構部4との間に、ガイド装置10が備えられている。このガイド装置10は、前記帯状部材100をガイド口11内に通過させることによって、前記帯状部材100の供給経路を規制するものである。
【0043】
図6の拡大図に示すように、本実施形態において、前記ガイド装置10は、前記成形フレーム2に対して取り付けられた支持フレーム(特許請求の範囲における「支持基台」に相当)12と、前記支持フレームに対して取り付けられた二本のガイド軸13と、前記二本のガイド軸13に沿って進退するスライダー部14と、前記スライダー部14に対して取り付けられたガイド口11を有するガイド部15と、を具備する。
【0044】
前記支持フレーム12は、長板状の支持板部121と、前記支持板部121の表面に対して垂直方向へ立ち上がるようにして設けられた3本の支柱部122とからなる。
【0045】
前記支持板部121は、その一端側(以下、これをガイド装置10における「基端側」と称する。)の裏面を前記成形フレーム2に当接させた状態にて、ボルトで固定することによって、前記成形フレーム2に取り付けられている。前記支持板部121の他端側(以下、これをガイド装置10における「先端側」と称する。)は、前記成形フレーム2の環内空間に向かって突出させている。
【0046】
なお、図7に示すように、本実施形態においては、前記支持板部121を前記成形フレーム2に取り付ける際、前記支持板部121が取り付けられた位置における前記成形フレーム2の接線方向(T1)に対して直交する方向(X)から、前記接合機構部4の周回後方後方に向かって、0〜45度(本実施形態においては約10度)の傾き(α)を付与している。
【0047】
又、前記支持板部121の基端側の短辺は、前記支持板部121の取り付け位置における前記成形フレーム2の接線方向(T1)と平行になるようにカットされている。これは、製管時において、前記支持板部121の基端側の短辺が、前記既設管200に接触しないようにするためである。
【0048】
図6に示すように、前記3本の支柱部122は、そのうちの二本が前記支持板部121の先端側の両角部近辺に固定され、残りの一本が前記支持板部121の基端側、且つ、前記支持板部121における前記接合機構部4の周回方向前方側の一角部近辺に固定されている。
【0049】
前記支持板部121の先端側の両角部近辺に固定された二本の支柱部122の先端、及び、前記支持板部121の基端側の一角部近辺に固定された一本の支柱部122の先端には、それぞれアングル(先端側アングルA1、基端側アングルA2)が取り付けられている。
【0050】
なお、前記支持フレーム12の形状は上記に限定されない。具体的には、前記支持フレーム12の形状は前記ガイド軸13の形状で良く、また前記スライダー部14と前記角度調整部材16と同様の機能を付与することで、前記ガイド部15を両持ちにして、より安定したガイド機構にすることができる。
【0051】
前記二本のガイド軸13は、前記先端側アングルA1と基端側アングルA2間を架橋するようにして取り付けられており、各ガイド軸13は互いに平行となっている。
【0052】
前記二本のガイド軸13は、前記支持板部121との関係においても平行である。従って、前記二本のガイド軸13は、前記支持板部121の取り付け位置における前記成形フレーム2の接線方向(T1)に対して直交する方向(X)から前記接合機構部4の周回方向後方に向かって、0〜45度(本実施形態においては、10度となる。)の傾き(α)が付与された状態にて、前記成形フレーム2の環内空間に向かって屹立している(図7参照)。
【0053】
前記スライダー部14は、前記二本のガイド軸13のそれぞれに対して進退可能に取り付けられた二個のスライダー体141と、前記二個のスライダー体141を架橋する架橋部材142とからなる。前記架橋部材142には、前記支持板部121に向かって突出するブラケット143が溶接されており、前記ブラケット143の片側面には、円柱状のスライダー側支軸144が設けられている。
【0054】
前記スライダー側支軸144には、四角柱状の角度調節部材16が取り付けられている。更に詳しくは、前記角度調節部材16の一端側には、対向する側面間を貫通する第一貫通孔161が設けられており、この第一貫通孔161に前記スライダー側支軸144を挿入することによって、前記スライダー側支軸144に対し、前記角度調節部材16が回転可能に取り付けられている。なお、前記角度調節部材16には、一端側の底面から前記第一貫通孔161に向かって切り込まれた第一スリット162が設けられており、前記第一貫通孔161に前記スライダー側支軸144を挿入し、前記スライダー側支軸144に対して前記角度調節部材16を回転させて位置決めした後、ボルトを用いて前記第一スリット162の間隔を狭めることにより、前記スライダー側支軸144に前記角度調節部材16を固定することができる仕組みとなっている。前記スライダー側支軸144に対する前記角度調節部材16の位置決めは、前記帯状部材100の供給経路におけるひねり角(横断勾配)を決定するものである。
【0055】
又、前記角度調節部材16の他端側には、前記第一貫通孔161と直交する方向に沿って、対向する側面間を貫通する第二貫通孔163と、他端側の底面から前記第二貫通孔163に向かって切り込まれた第二スリット164が設けられている。
【0056】
前記ガイド部15は、一端面に前記第二貫通孔163に挿入固定されるガイド部側支軸1511を備えた連結部材151と、前記連結部材151の他端面側において回転軸が平行となるように、一定の間隔を空けて軸支された第一ローラ152及び第二ローラ153とを具備する。前記第一ローラ152と前記第二ローラ153との間に存する間隔は、前記ガイド口11に相当する部分となる。
【0057】
前記ガイド部15における前記ガイド部側支軸1511を前記角度調節部材16における前記第二貫通孔163に挿入し、その挿入深さを決定した後、ボルトを用いて前記第二スリット164の間隔を狭めて、前記第二貫通孔163に対し、前記ガイド部側支柱1511を固定することによって、前記ガイド部15は、前記角度調節部材16に取り付けられる。前記第二貫通孔163に対する前記ガイド部側支軸1511の挿入深さの決定は、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角(先行する帯状部材100に対する後続する帯状部材100の寄せ角)を決定するものである。
【0058】
前記第一ローラ152は、合成樹脂又は金属からなる円柱体であり、その高さ(軸心方向に沿う長さ)が帯状部材100の幅寸法より僅かに長くなるように設定されている。前記第一ローラ152は、前記更生管130の製管時において、前記接合機構部4に向かって供給される前記帯状部材100の内面に接触して回転する。
【0059】
一方、前記第二ローラ153は、前記第一ローラ152とほぼ同等の高さ(軸心方向に沿う長さ)を有し、合成樹脂又は金属からなる円柱体1531の軸部周りに、複数の環状膨出部1532が所定の間隔を開けて設けられた形状を有する。前記第二ローラ153は、前記更生管130の製管時において、隣接する前記環状膨出部1532にて、前記帯状部材100における長リブ103や短リブ107を挟むと共に、前記円柱体1531の表面を前記帯状部材100における前記長リブ103や短リブ107の先端に当接させて回転する。これにより、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止している。
【0060】
前記構成を有する前記製管装置1を前記既設管200内に配置し、前記帯状部材100を、前記ガイド装置10における前記ガイド口11に通過させつつ前記接合機構部4に向かって連続的に供給すると共に、前記接合機構部4を駆動させて更生管130の製管を開始すれば、前記製管装置1に供給された帯状部材100は、前記接合機構部4における前記インナーローラ42及び前記アウターローラ43の間に挟み込まれることによって送り出される。そして、前記接合機構部4は、前記帯状部材100を送り出しながら前記更生管130を形成し、形成された前記更生管130の内周に沿って周回する。又、前記成形フレーム2は、前記接合機構部4の周回移動に伴って、前記更生管130の内周に沿って周回する。
【0061】
前記接合機構部4に向かって連続的に供給される前記帯状部材100は、前記ガイド装置10における前記ガイド口11を通過する際に、前記第一ローラ152と前記第二ローラ153とによって表裏から挟まれ、前記ガイド口11から前記接合機構部4のピンチ部41に到るまでの供給経路におけるひねり角及びアプローチ角が規制される。
【0062】
ここで、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記スライダー部14を介して前記ガイド軸13に沿って進退可能となされていることから、前記ガイド口11による前記帯状部材100の支持位置は、前記製管装置1の進行方向後方から、環状の前記成形フレーム2内を通じて、前記接合機構部4に向かって螺旋状に供給される前記帯状部材100の曲率半径に応じて変化することになる。
【0063】
例えば、図8(a)の模式図に示すように、供給される前記帯状部材100の螺旋の曲率半径が大きくなると、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って基端側に移動する。なお、本実施形態においては、前記支持板部121の基端側において固定される支柱部122を一本とすることによって、前記ガイド部15が基端側に移動した際に、前記ガイド部15が前記支柱部122に接触することを防止している。
【0064】
一方、図8(b)に示すように、供給される前記帯状部材100の螺旋の曲率半径が小さくなると、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って先端側に移動する。
【0065】
即ち、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記ガイド装置10における前記ガイド部15が、供給される前記帯状部材100の螺旋の曲率半径の変化に応じて、受動的に前記ガイド軸13に沿って移動する仕組みとなっているため、前記帯状部材100の供給状態の変化に伴って、前記ガイド口11による前記帯状部材100の支持位置が変化する。これより、前記帯状部材100の送りをコントロールする作業員を配さなくても、前記帯状部材100に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる。
【0066】
ところで、前記ガイド13に沿って進退可能となされた前記ガイド部15のストロークは、製管時に許容される前記接合機構部4に対する前記帯状部材100の供給角(前記接合機構部4のピンチ部41が位置する部分(支点部として機能する部分)の、前記更生管130の接線(T2)と、前記ガイド口11から前記ピンチ部41を結ぶ直線(Y)とがなす角の角度(β)(図7参照))を基準にして決定する事項であり、特に限定されるものではない。
【0067】
具体的には、前記供給角(β)が、前記帯状部材100が折れて座屈しない角度0〜60度の範囲内にあり、且つ、その変化幅が5〜45度の範囲内となるように、前記接合機構部4と前記ガイド装置10と間の距離を決定し、もって、前記ガイド部15のストロークを決定することが好ましい。
【0068】
なお、後述する実施形態2のように、前記ガイド装置10と前記接合機構部4との間に支点部として機能する支持滑車9を配置する場合にあっては、前記ガイド口11を通過して、前記支持滑車9に向かって供給される前記帯状部材130の供給角が、前記同様に前記帯状部材100が折れて座屈しない角度となる0〜60度の範囲内にあり、且つ、その変化幅が5〜45度の範囲内となるように、前記接合機構部4と前記支持滑車9と間の距離を決定し、もって、前記ガイド部15のストロークを決定することが好ましい。
【0069】
又、本実施形態においては、前記ガイド口11を構成する前記第二ローラ153として、合成樹脂又は金属からなる円柱体1531の軸部周りに、複数の環状膨出部1532が所定の間隔を開けて設けられた形状を有してなるものを用いることによって、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止しているが、前記第二ローラ153の形状としてはこれに限られるものではない。例えば、前記第一ローラ152と共に前記第二ローラ153を、その表面がゴム製となされたゴムローラとすることによって、前記帯状部材100に対する摩擦力を向上し、もって、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止しても良いし、前記ガイド口10を無端状の枠体にて形成することによって、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止しても良い。
【0070】
又、本実施形態においては、前記ガイド装置10における前記ガイド軸13を、前記支持フレーム12を介して、前記成形フレーム2に取り付けているが、前記ガイド軸13を直接前記成形フレーム2に対して取り付けても良い。
【0071】
更に、本実施形態においては、前記ガイド装置10における前記ガイド軸13を二本の平行な棒体(丸棒)によって構成することによって、前記ガイド軸13に対して前記ガイド部15が首振りすることを防止しているが、例えば、前記ガイド軸13を一本の角棒にて構成することによって、前記ガイド部15の首振りを防止しても良い。
【0072】
加えて、前記帯状部材100についても、図3に示す形態のものに限定されない。例えば図9(a)及び図9(b)に示すような接合機序によって接合されるものであってもよい。図9に示す帯状部材100は、合成樹脂(例えば硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)を長尺状に成形したものであって、複数のリブ113が長手方向に沿って形成されており、長尺帯状のジョイナー140を用いて側縁部同士が接続されるようになっている。
【0073】
すなわち、この帯状部材100の両側縁部にはそれぞれ接合凹部112が長手方向に沿って形成されている。また、ジョイナー140には、帯状部材100の接合凹部112に接合することが可能な2つの接合凸部141が長手方向に沿って互いに平行に形成されている。
【0074】
そして、このような形態の帯状部材100は、その両側縁部の接合凹部112の片方にジョイナー140の接合凸部141の一方を嵌め込んだ状態で、製管装置1により螺旋状に巻回されて更生管130を形成する。その巻回し過程において、図9(a)及び図9(b)に示すように、互いに隣接する2つの帯状部材100のうち、一方の帯状部材100の接合凹部112に、他方の帯状部材100の接合凹部112に嵌め込んだジョイナー140の接合凸部141を嵌め込むことにより、これら互いに隣接する帯状部材100を相互に接合することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、接合機構部4の駆動源として油圧モータ45を採用しているが、これに限られるものではなく、例えば、電動モータや水圧モータなどを用いても良い。
【0076】
[実施形態2]
図10に実施形態2に係る製管装置1を示す。この製管装置1は、既設管200の断面形状(略矩形)に応じて略矩形に形成された規制フレーム8と、前記規制フレーム8に対して複数のローラステー7を介して取り付けられた成形フレーム2と、前記成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、前記成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4と、を具備するものであり、略矩形の断面形状を有する前記既設管200の管路に沿って、帯状部材100が螺旋状に付加形成された、略矩形の断面形状を有する更生管130を形成するためのものである。
【0077】
図11に示すように、前記規制フレーム8は、略H字状の断面形状を有し、その外周に沿って規制溝81が形成されている。前記規制溝81は、前記ローラステー7の基軸71の一端に対して回転自在に取り付けられた規制ローラ72が嵌入される部位であり、前記規制溝81の開口縁には、前記規制ローラ72の抜け止めを図る突出部82が形成されている。前記規制溝81に嵌入された前記規制ローラ72は、前記規制溝81の底部又は前記突出部82と接触することによって回転し、前記規制溝81に沿って移動する。
【0078】
前記成形フレーム2は、複数個のリンク体21が連結されることによって環状に形成されたものである。前記成形フレーム2は、前記ローラステー7の前記基軸71の他端が固定されることによって、前記ローラステー7を介して前記規制フレーム8に取り付けられている。従って、前記成形フレーム2は、前記規制フレーム8によって略矩形に規制される。
【0079】
前記案内ローラ3は、前記成形フレーム2に対して回転自在に支持されている。前記案内ローラ3は、前記更生管130の製管時、形成された前記更生管130の内壁面に接触して回転する。
【0080】
前記接合機構部4は、前記成形フレーム2を構成するリンク体21に固定されることによって、前記成形フレーム2に取り付けられている。
【0081】
前記接合機構部4の周回方向前方、及び後方には、一対の支持車輪6が成形フレーム2に取り付けられている。この支持車輪6は、製管時において、接合機構部4の周回移動に伴って、既設管200の内周を周回するものである。この際、前記一対の支持車輪6は、前記成形フレーム2を既設管200の内壁から離間させると共に、前記接合機構部4を既設管200の内壁から離間させる。
【0082】
そして、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4の周回方向前方に、ガイド装置10が備えられている。このガイド装置10は、前記帯状部材100をガイド口11内に通過させることによって、前記帯状部材100の供給経路を規制するものである。前記ガイド装置10のその余は前記実施形態1において説明したものと同様である。
【0083】
又、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記接合機構部4の周回方向前方に取り付けられた支持車輪6と、前記ガイド装置10との間に、支持滑車9が配置されている。この支持滑車9は、その回転軸が、前記成形フレーム2に軸支された案内ローラ3の回転軸に延設されて取り付けられたものであり、前記ガイド口11内を通過した前記帯状部材100を一定の支持高さにて支持しつつ、前記接合機構部4に向かって供給するためのものである。
【0084】
前記構成を有する前記製管装置1を前記既設管200内に配置し、前記帯状部材100を、前記ガイド装置10における前記ガイド口11に通過させつつ、前記支持滑車9を介して、前記接合機構部4に向かって連続的に供給すると共に、前記接合機構部4を駆動させて更生管130の製管を開始すれば、前記接合機構部4は、帯状部材100を螺旋状に巻回しながら回転し、隣接させた先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを順次接合して、前記帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を形成する。
【0085】
前記接合機構部4に向かって連続的に供給される前記帯状部材100は、前記ガイド装置10における前記ガイド口11を通過する際に、前記第一ローラ152と前記第二ローラ153とによって表裏から挟まれることによって、前記ガイド口11から前記支持滑車9に到るまでの供給経路におけるひねり角及びアプローチ角が規制される。
【0086】
ここで、前記製管装置1の進行方向後方から、環状の前記成形フレーム2内を通じて、前記接合機構部4に向かって螺旋状に供給される前記帯状部材100は、その螺旋の曲率半径、及び前記既設管200の内壁面に沿って周回する前記接合機構部4の位置に応じた進入角にて、前記ガイド装置10における前記ガイド口11に進入することになる。
【0087】
この際、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って進退可能となされていることから、前記帯状部材100の螺旋の曲率半径、及び前記既設管200の内壁面に沿って周回する前記接合機構部4の位置の変化に応じて、前記ガイド口11による前記帯状部材100の支持位置は変化する。
【0088】
例えば、図12(a)〜(b)に示すように、前記接合機構部4が前記既設管200の直線部分S1を移動している場合(説明の便宜上、前記帯状部材100の螺旋の曲率半径は一定であるものとする。)にあっては、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記接合機構部4の移動に伴い、前記ガイド軸13に沿って徐々に先端側に移動する。
【0089】
次いで、図12(c)に示すように、前記ガイド装置10が前記既設管200の角部H1から抜け出し、前記ガイド装置10と前記接合機構部とが、角部H1の入り口側と出口側とから角部H1を挟む状態となると、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って基端側に移動する。
【0090】
その後、前記ガイド装置10に引き続いて、前記支持滑車9及び前記接合機構部4が前記既設管200の角部H1を通過し、前記ガイド装置10、前記支持滑車9、及び前記接合機構部4が一列となって前記既設管200の次の直線部分S2を移動すると、次の角部H2に到達するまで、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って、徐々に先端側に移動する。
【0091】
即ち、前記ガイド装置10における前記ガイド部15が、前記既設管200の内壁面に沿って周回する前記接合機構部4の位置の変化に応じて、受動的に前記ガイド軸13に沿って移動するため、角部H1において、前記帯状部材100が前記接合機構部4を支点として大きく曲げられる状態が緩和され、その結果、前記帯状部材100に割れや欠けなどの不具合が生じたり、前記角部H1における接合が不十分となったりすることが防止される。これより、前記帯状部材100に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる。
【0092】
ところで、本実施形態のように、角部を有する非円形の既設管200を更生する場合においては、前記成形フレーム2に対する前記ガイド装置10の取り付け位置を、形成される前記更生管130の角部における曲線始点(BC)から曲線終点(EC)までの曲線長(CL)を基準として決定することが好ましい。
【0093】
具体的には、形成される前記更生管130の角部における曲線始点(BC)から曲線終点(EC)までの曲線長(CL)に対し、前記ガイド装置10の取り付け位置から、支点部として機能する前記支持滑車9の取り付け位置までの距離が、80%以上(好ましくは、80〜150%の範囲内、より好ましくは、100〜120%の範囲内)となるように、前記ガイド装置10の取り付け位置を決定することが好ましい。
【0094】
なお、既設管200において、各角部の円弧半径がそれぞれ異なり、形成される前記更生管の角部の円弧半径(R)が異なる場合には、各角部のうち、最も円弧半径(R)が小さい角部における曲線長(CL)を基準にして、前記ガイド装置10の取り付け位置を決定することが好ましい
又、製管装置1に対して前記支持滑車9を取り付けない場合にあっては、形成される更生管130における曲線長(CL)に対し、前記ガイド装置10の取り付け位置から、支点部として機能する前記接合機構部4におけるピンチ部41までの距離が、80%以上(好ましくは、80〜150%の範囲内、より好ましくは、100〜120%の範囲内)となるように、前記ガイド装置10の取り付け位置を決定することが好ましい。
【0095】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管などの既設管を更生する更生管を帯状部材により製管する製管装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 製管装置
2 成形フレーム
3 案内ローラ
4 接合機構部
42 インナーローラ
43 アウターローラ
5 屈折リンク
6 支持車輪
7 ローラステー
8 規制フレーム
9 支持滑車
10 ガイド装置
11 ガイド口
12 支持フレーム(支持基台)
13 ガイド軸
14 スライダー部
15 ガイド部
100 帯状部材
130 更生管
200 既設管
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用水管、下水道管、上水道管、ガス管などの既設管の管路内に、長尺の帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を形成するための製管装置、及びこの製管装置を用いた既設管の更生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用水管、下水道管、上水道管、ガス管などの既設管が老朽化し、ひび割れや腐食などが生じた場合の対策として、帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を既設管の管路内に形成する方法が採られている。
【0003】
この方法を実行する際に用いられる製管装置としては、管渠(既設管)内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供すると共に螺旋状に捲回し、相接する接合部を相互に接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管(更生管)を付加形成するものが開発されている(例えば、下記特許文献1参照)。この特許文献1に記載された製管装置Mを図13(a)に示す。
【0004】
図13(a)に示すように、特許文献1に記載された製管装置Mは、既設管の内周壁に沿って配置される環状の成形フレーム2と、前記成形フレーム2の外周に巡らせて配された複数個の案内ローラ3と、前記成形フレーム2に取り付けられた、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを順次接合しながら前記既設管200の内壁に沿って周回する接合機構部4と、を具備する。
【0005】
そして、特許文献1に記載された製管装置Mにおいては、前記接合機構部4への前記帯状部材100の供給が安定するように、前記接合機構部4と一体となって前記既設管200内を回転して、前記接合機構部4に供給する前記帯状部材100の経路を規制するためのガイドG(図13(b)参照)が更に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11‐141735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載の製管装置は、前記ガイドに進入してくる前記帯状部材の進入角がほぼ一定であることを前提とするものであり、係る一定の進入角をもって前記ガイドに進入してきた前記帯状部材を、前記ガイドを通過する際に規制し、もって、前記ガイドから前記接合機構部に向かう帯状部材の供給経路が常に一定となるようにするものである。そのため、製管時において、前記ガイドに進入する際の前記帯状部材の進入角が変化して、前記進入角と前記ガイドによって規制された前記帯状部材の角度との間に過剰な隔たりが生じたりした場合には、前記帯状部材が大きく歪み、割れや欠けなどの不具合が生じる場合がある。
【0008】
又、一旦大きく歪まされた前記帯状部材には変形が残り、係る帯状部材の変形箇所において接合が不十分となる場合もある。
【0009】
特に、角部(ハンチ部)を有する非円形の断面形状(矩形や馬蹄形等)の既設管を更生する場合にあっては、製管時に、前記接合機構部に先立って前記角部の入り口側から進入した前記ガイド部が前記角部の出口側に移動した際に、出口側に位置する前記ガイド部と、前記ガイド部に遅れて前記角部の入り口側に進入した前記接合機構部とが、前記角部を挟む状態となるため、前記帯状部材が接合機構部を支点として大きく曲げられる状態が生じ、その結果、前記帯状部材に割れや欠けなどの不具合が生じたり、前記角部における接合が不十分となったりする場合があった。
【0010】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、帯状部材に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる新規な製管装置及びこの製管装置を用いた既設管の更生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の製管装置は、既設管内に連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に巻回しながら、先行する前記帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する前記帯状部材の他側縁とを隣接させつつ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を前記既設管の管路内に形成する製管装置であって、前記製管装置における環状の成形フレームには、前記帯状部材をガイド口に通過させることによって前記帯状部材の供給経路を規制するガイド装置が備えられてなり、前記ガイド装置は、前記成形フレームに直接、又は、支持基台を介して取り付けられた、前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸と、前記ガイド口を有するガイド部とを具備してなり、前記ガイド部が、前記ガイド軸に対し、前記ガイド軸に沿って進退可能となされたスライダー部を介して取り付けられてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の製管装置においては、前記成形フレームが、複数のリンク体を連結することによって形成されてなり、前記成形フレームの形状を、真円を除く環状に規制する規制フレームが更に具備されてなるものが好ましい態様となる。
【0013】
なお、前記「真円を除く環状」とは、四角形状や馬蹄形状などの角部を有する形状の他、楕円形状などの角部のない非円形形状を意味する。
【0014】
本発明の製管装置においては、前記ガイド口が、前記帯状部材の内面に接触して回転する第一ローラと、前記帯状部材の裏面に接触して回転する第二ローラと、によって構成されてなるものが好ましい態様となる。
【0015】
本発明の製管装置においては、前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸が、前記ガイド軸が取り付けられた前記成形フレームの接線方向に対して直交する方向から、前記接合機構部の周回方向後方に向かって、0〜45度の傾きを付与されてなるものが好ましい態様となる。
【0016】
前記ガイド装置における前記ガイド軸に対して、前記ガイド軸が取り付けられた前記成形フレームの接線方向に対して直交する方向から、前記接合機構部の周回方向後方に向かって、0〜45度(好ましくは、5〜30度)の傾きを付与すると、前記接合機構部の周回方向前方から前記ガイド口に供給される前記帯状部材の供給が円滑となり、特に角部を有する既設管を更生する際の前記帯状部材の供給が円滑となる。
【0017】
本発明の既設管の更生方法は、前記本発明の製管装置を用いて、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された前記更生管を前記既設管の管路内に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、帯状部材に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、断面状態で示す既設管内にて、更生管を形成している本発明の製管装置を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の製管装置を用いて既設管内に更生管を形成している状況を模式的に示す説明図である。
【図3】図3(a)は、帯状部材の一例を示す断面図であり、図3(b)及び(c)は、この帯状部材を接合して更生管を形成する工程を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の製管装置における接合機構部近辺を拡大し、一部透過状態にて示す正面図である。
【図5】図5は、本発明の製管装置における接合機構部を一部断面状態にて示す側面図である。
【図6】図6は、本発明の製管装置におけるガイド装置近辺を拡大して示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の製管装置におけるガイド装置と、接合機構部におけるピンチ部と、の位置関係を略図にて示す正面図である。
【図8】図8(a)、(b)は、更生管の製管時におけるガイド装置の動作を模式的に示す説明図である。
【図9】図9(a)は、ジョイナーを介して接合された他の帯状部材を示す断面図であり、図9(b)は、帯状部材にジョイナーを嵌入する状態を拡大して示す斜視図である。
【図10】図10は、断面状態で示す既設管内にて、更生管を形成している本発明の製管装置の別の例を示す正面図である。
【図11】図11は、本発明の別の製管装置における規制フレームを断面状態で示し、もって、前記規制フレームへのローラステーの係合状態を示す側面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は、更生管の製管時におけるガイド装置の動作を模式的に示す説明図である。
【図13】図13(a)は、従来の製管装置の一例を示す正面図であり、図13(b)は、この製管装置に備えられたガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0021】
<実施形態1>
図1に実施形態1に係る本発明の製管装置1を示す。更に詳しくは、図1は、断面状態にて示す既設管200内に製管装置1を配置し、連続的に供給される長尺の帯状部材100を螺旋状に巻回しながら、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを隣接させつつ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を前記既設管200の管路内に形成している状態を示すものである。
【0022】
図2に示すように、前記製管装置1を用いて、前記帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を前記既設管200の管路内に形成する本発明の既設管の更生方法を実行するにあたっては、前記帯状部材100が巻き付けられた巻取ドラム91を地上に配すると共に前記既設管200内に前記製管装置1を配置する。前記巻取ドラム91から繰り出された前記帯状部材100は、発進側立坑210を通じて、前記製管装置1に供給される。前記製管装置1は、連続的に供給される前記帯状部材100を螺旋状に巻回し、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを隣接させ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材100が螺旋状に付加された前記更生管130を形成しつつ、形成された前記更生管130を順次残置しながら到達側立坑220に向かって移動する。なお、本実施形態において、前記製管装置1は、前記製管装置1の移動方向前方に配置された油圧ユニット93から供給される圧油によって駆動する仕組みとなっている。又、前記油圧ユニット93は、地上に配された発電機92から供給される電力によって駆動する仕組みとなっている。
【0023】
前記帯状部材100は、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂系材料を長尺帯状に成形したものである。図3(a)に示すように、前記帯状部材100の一側縁には、長手方向に沿って接合凹部102が設けられてなり、前記帯状部材100の他側縁には、長手方向に沿って接合凸部101が設けられている。
【0024】
前記接合凹部102は、前記帯状部材100の内面(前記更生管130の内壁面となる面)側において開口する被嵌入部106と、この被嵌入部106の外層(前記帯状部材100の裏面側)において前記帯状部材100の裏面に基端が固定された状態で屹立する断面T字状の短リブ107と、前記帯状部材100の幅方向外側に向かって延設され、途中で前記帯状部材100の裏面側に向かって屈折する傾斜片108と、を備える。
【0025】
前記接合凸部101は、前記帯状部材100の裏面(前記更生管130の外壁面となる面)に基端が固定された状態で屹立する支柱部104と、前記支柱部104の先端に形成された断面略円形状の嵌入部105と、を備える。
【0026】
前記接合凸部101と前記接合凹部102との間には、前記帯状部材100の裏面に基端が固定された状態で屹立する複数条の断面T字状の長リブ103が長手方向に沿って設けられている。
【0027】
又、前記帯状部材100には、補強材110が装着されている。前記補強材110は、長手方向に連続した帯板状の鋼板を断面略W字状に折曲形成したものであり、前記帯状部材100に設けられた複数条の前記長リブ103から選択された、隣接する二条の長リブ103間に装着されている。この補強材110は、形成される前記更生管130の強度を高めるものである。
【0028】
前記帯状部材100は、前記製管装置1にて螺旋状に巻き回されることにより、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とが接合される。前記帯状部材100の接合は、螺旋状に巻き回すことによって隣接させた前記帯状部材100のうち、先行する帯状部材100の前記接合凹部102に、後続する帯状部材100の接合凸部101を嵌め込むことによって行われる(図3(b)参照)。この際、先行する帯状部材100の傾斜片108は押圧され、後続する帯状部材100の長リブ103の先端部に嵌め込まれる。これにより、前記帯状部材100同士が相互に接合されて前記更生管130が形成される(図3(c)参照)。
【0029】
以下、実施形態1に係る本発明の製管装置1について更に詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、前記製管装置1は、環状に形成された成形フレーム2と、前記成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、前記成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4と、を具備する。
【0031】
前記成形フレーム2は、複数個のスチール製のリンク体21が連結されることによって環状に形成されたものである。本実施形態において、前記成形フレーム2は、前記既設管200の断面形状(円形)に応じて円環状となされている。
【0032】
前記成形フレーム2には、屈折リンク5が組み込まれている。この屈折リンク5は、その屈折角が調整されることによって、前記成形フレーム2の環径を調整するものである。
【0033】
前記案内ローラ3は、前記成形フレーム2を構成する各リンク体21に対し回転自在に取り付けられている。前記案内ローラ3は、合成樹脂製又は金属製であり、図示しない軸受を介して連結軸24回りに回転自在に支持されている。前記案内ローラ3は、前記更生管130の製管時、形成された前記更生管130の内壁面に接触して回転する。
【0034】
前記接合機構部4は、前記成形フレーム2を構成する前記リンク体21に箱体40が固定されることによって、前記成形フレーム2に取り付けられている。図4の拡大図、及び図5の側面図に示すように、前記接合機構部4における前記箱体40には、インナーローラ42と、アウターローラ43と、歯車機構46とが設けられている。
【0035】
前記インナーローラ42は、前記箱体40の外側に突出させて配置されたアウターローラ43と対になってピンチ部41を構成する。前記インナーローラ42の回転軸及び前記アウターローラ43の回転軸は、前記帯状部材100を螺旋状に供給しようとするリード角に対して軸線方向が直交するように配置されている。
【0036】
図5に示すように、前記インナーローラ42は円筒形状を有し、その軸心方向の長さが帯状部材100の幅寸法に対し、少なくとも2倍以上の長さとなるように設定されている。更生管130の製管時、前記インナーローラ42は、前記帯状部材100の内面に接触して回転する。
【0037】
一方、前記アウターローラ43は、円柱状の軸部432周りに、複数の円盤状の第一円盤431と、第二円盤431aとが、所定の間隔を開けて設けられた形状を有する。製管時において、前記第一円盤431は、前記帯状部材100における前記補強材110が装着されていない前記長リブ103間(若しくは前記短リブ107と前記長リブ103間)に挿入される。一方、前記第二円盤431aは、前記補強材110の装着された前記長リブ103間に挿入される。なお、前記第二円盤431aには、その外周面に沿って、前記補強材110の凸部に嵌り合う凹溝が設けられている。
【0038】
そして、前記アウターローラ43は、前記更生管130の製管時、前記帯状部材100における前記長リブ103、及び前記短リブ107の先端部分を前記軸部432の外周面に接触させた状態で回転する。なお、前記アウターローラ43の外周面にはローレット加工が施されており、これによって前記アウターローラ43は、前記帯状部材100に対して滑ることなく回転できる。
【0039】
前記歯車機構46は、前記箱体40の側部に設けられた油圧モータ45を作動させることによって回転する。前記油圧モータ45を駆動させると、その出力軸451と、前記インナーローラ42の回転軸と、前記アウターローラ43の回転軸とにそれぞれ固定されて互いに噛み合った前記歯車機構46を介して、前記インナーローラ42及び前記アウターローラ43が互いに逆方向に回転する。
【0040】
なお、前記箱体40にはスプリング402を有する衝撃吸収部材401が設けられている。この衝撃吸収部材401は、前記既設管200の内面に凹凸等が存在していても、前記インナーローラ42と前記アウターローラ43の相互間隔が維持されるように作用するものである。
【0041】
前記接合機構部4の周回方向前方、及び後方には、それぞれ支持車輪6が成形フレーム2に対して取り付けられている(図1及び図4参照)。この一対の支持車輪6は、製管時において、前記接合機構部4の周回移動に伴って、前記既設管200の内周を周回するものである。この際、前記一対の支持車輪6は、前記成形フレーム2を前記既設管200の内壁面から離間させると共に、前記接合機構部4を前記既設管200の内壁面から離間させる。
【0042】
そして、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記成形フレーム2に取り付けられた前記接合機構部4の周回方向前方に配された支持車輪6と、前記接合機構部4との間に、ガイド装置10が備えられている。このガイド装置10は、前記帯状部材100をガイド口11内に通過させることによって、前記帯状部材100の供給経路を規制するものである。
【0043】
図6の拡大図に示すように、本実施形態において、前記ガイド装置10は、前記成形フレーム2に対して取り付けられた支持フレーム(特許請求の範囲における「支持基台」に相当)12と、前記支持フレームに対して取り付けられた二本のガイド軸13と、前記二本のガイド軸13に沿って進退するスライダー部14と、前記スライダー部14に対して取り付けられたガイド口11を有するガイド部15と、を具備する。
【0044】
前記支持フレーム12は、長板状の支持板部121と、前記支持板部121の表面に対して垂直方向へ立ち上がるようにして設けられた3本の支柱部122とからなる。
【0045】
前記支持板部121は、その一端側(以下、これをガイド装置10における「基端側」と称する。)の裏面を前記成形フレーム2に当接させた状態にて、ボルトで固定することによって、前記成形フレーム2に取り付けられている。前記支持板部121の他端側(以下、これをガイド装置10における「先端側」と称する。)は、前記成形フレーム2の環内空間に向かって突出させている。
【0046】
なお、図7に示すように、本実施形態においては、前記支持板部121を前記成形フレーム2に取り付ける際、前記支持板部121が取り付けられた位置における前記成形フレーム2の接線方向(T1)に対して直交する方向(X)から、前記接合機構部4の周回後方後方に向かって、0〜45度(本実施形態においては約10度)の傾き(α)を付与している。
【0047】
又、前記支持板部121の基端側の短辺は、前記支持板部121の取り付け位置における前記成形フレーム2の接線方向(T1)と平行になるようにカットされている。これは、製管時において、前記支持板部121の基端側の短辺が、前記既設管200に接触しないようにするためである。
【0048】
図6に示すように、前記3本の支柱部122は、そのうちの二本が前記支持板部121の先端側の両角部近辺に固定され、残りの一本が前記支持板部121の基端側、且つ、前記支持板部121における前記接合機構部4の周回方向前方側の一角部近辺に固定されている。
【0049】
前記支持板部121の先端側の両角部近辺に固定された二本の支柱部122の先端、及び、前記支持板部121の基端側の一角部近辺に固定された一本の支柱部122の先端には、それぞれアングル(先端側アングルA1、基端側アングルA2)が取り付けられている。
【0050】
なお、前記支持フレーム12の形状は上記に限定されない。具体的には、前記支持フレーム12の形状は前記ガイド軸13の形状で良く、また前記スライダー部14と前記角度調整部材16と同様の機能を付与することで、前記ガイド部15を両持ちにして、より安定したガイド機構にすることができる。
【0051】
前記二本のガイド軸13は、前記先端側アングルA1と基端側アングルA2間を架橋するようにして取り付けられており、各ガイド軸13は互いに平行となっている。
【0052】
前記二本のガイド軸13は、前記支持板部121との関係においても平行である。従って、前記二本のガイド軸13は、前記支持板部121の取り付け位置における前記成形フレーム2の接線方向(T1)に対して直交する方向(X)から前記接合機構部4の周回方向後方に向かって、0〜45度(本実施形態においては、10度となる。)の傾き(α)が付与された状態にて、前記成形フレーム2の環内空間に向かって屹立している(図7参照)。
【0053】
前記スライダー部14は、前記二本のガイド軸13のそれぞれに対して進退可能に取り付けられた二個のスライダー体141と、前記二個のスライダー体141を架橋する架橋部材142とからなる。前記架橋部材142には、前記支持板部121に向かって突出するブラケット143が溶接されており、前記ブラケット143の片側面には、円柱状のスライダー側支軸144が設けられている。
【0054】
前記スライダー側支軸144には、四角柱状の角度調節部材16が取り付けられている。更に詳しくは、前記角度調節部材16の一端側には、対向する側面間を貫通する第一貫通孔161が設けられており、この第一貫通孔161に前記スライダー側支軸144を挿入することによって、前記スライダー側支軸144に対し、前記角度調節部材16が回転可能に取り付けられている。なお、前記角度調節部材16には、一端側の底面から前記第一貫通孔161に向かって切り込まれた第一スリット162が設けられており、前記第一貫通孔161に前記スライダー側支軸144を挿入し、前記スライダー側支軸144に対して前記角度調節部材16を回転させて位置決めした後、ボルトを用いて前記第一スリット162の間隔を狭めることにより、前記スライダー側支軸144に前記角度調節部材16を固定することができる仕組みとなっている。前記スライダー側支軸144に対する前記角度調節部材16の位置決めは、前記帯状部材100の供給経路におけるひねり角(横断勾配)を決定するものである。
【0055】
又、前記角度調節部材16の他端側には、前記第一貫通孔161と直交する方向に沿って、対向する側面間を貫通する第二貫通孔163と、他端側の底面から前記第二貫通孔163に向かって切り込まれた第二スリット164が設けられている。
【0056】
前記ガイド部15は、一端面に前記第二貫通孔163に挿入固定されるガイド部側支軸1511を備えた連結部材151と、前記連結部材151の他端面側において回転軸が平行となるように、一定の間隔を空けて軸支された第一ローラ152及び第二ローラ153とを具備する。前記第一ローラ152と前記第二ローラ153との間に存する間隔は、前記ガイド口11に相当する部分となる。
【0057】
前記ガイド部15における前記ガイド部側支軸1511を前記角度調節部材16における前記第二貫通孔163に挿入し、その挿入深さを決定した後、ボルトを用いて前記第二スリット164の間隔を狭めて、前記第二貫通孔163に対し、前記ガイド部側支柱1511を固定することによって、前記ガイド部15は、前記角度調節部材16に取り付けられる。前記第二貫通孔163に対する前記ガイド部側支軸1511の挿入深さの決定は、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角(先行する帯状部材100に対する後続する帯状部材100の寄せ角)を決定するものである。
【0058】
前記第一ローラ152は、合成樹脂又は金属からなる円柱体であり、その高さ(軸心方向に沿う長さ)が帯状部材100の幅寸法より僅かに長くなるように設定されている。前記第一ローラ152は、前記更生管130の製管時において、前記接合機構部4に向かって供給される前記帯状部材100の内面に接触して回転する。
【0059】
一方、前記第二ローラ153は、前記第一ローラ152とほぼ同等の高さ(軸心方向に沿う長さ)を有し、合成樹脂又は金属からなる円柱体1531の軸部周りに、複数の環状膨出部1532が所定の間隔を開けて設けられた形状を有する。前記第二ローラ153は、前記更生管130の製管時において、隣接する前記環状膨出部1532にて、前記帯状部材100における長リブ103や短リブ107を挟むと共に、前記円柱体1531の表面を前記帯状部材100における前記長リブ103や短リブ107の先端に当接させて回転する。これにより、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止している。
【0060】
前記構成を有する前記製管装置1を前記既設管200内に配置し、前記帯状部材100を、前記ガイド装置10における前記ガイド口11に通過させつつ前記接合機構部4に向かって連続的に供給すると共に、前記接合機構部4を駆動させて更生管130の製管を開始すれば、前記製管装置1に供給された帯状部材100は、前記接合機構部4における前記インナーローラ42及び前記アウターローラ43の間に挟み込まれることによって送り出される。そして、前記接合機構部4は、前記帯状部材100を送り出しながら前記更生管130を形成し、形成された前記更生管130の内周に沿って周回する。又、前記成形フレーム2は、前記接合機構部4の周回移動に伴って、前記更生管130の内周に沿って周回する。
【0061】
前記接合機構部4に向かって連続的に供給される前記帯状部材100は、前記ガイド装置10における前記ガイド口11を通過する際に、前記第一ローラ152と前記第二ローラ153とによって表裏から挟まれ、前記ガイド口11から前記接合機構部4のピンチ部41に到るまでの供給経路におけるひねり角及びアプローチ角が規制される。
【0062】
ここで、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記スライダー部14を介して前記ガイド軸13に沿って進退可能となされていることから、前記ガイド口11による前記帯状部材100の支持位置は、前記製管装置1の進行方向後方から、環状の前記成形フレーム2内を通じて、前記接合機構部4に向かって螺旋状に供給される前記帯状部材100の曲率半径に応じて変化することになる。
【0063】
例えば、図8(a)の模式図に示すように、供給される前記帯状部材100の螺旋の曲率半径が大きくなると、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って基端側に移動する。なお、本実施形態においては、前記支持板部121の基端側において固定される支柱部122を一本とすることによって、前記ガイド部15が基端側に移動した際に、前記ガイド部15が前記支柱部122に接触することを防止している。
【0064】
一方、図8(b)に示すように、供給される前記帯状部材100の螺旋の曲率半径が小さくなると、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って先端側に移動する。
【0065】
即ち、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記ガイド装置10における前記ガイド部15が、供給される前記帯状部材100の螺旋の曲率半径の変化に応じて、受動的に前記ガイド軸13に沿って移動する仕組みとなっているため、前記帯状部材100の供給状態の変化に伴って、前記ガイド口11による前記帯状部材100の支持位置が変化する。これより、前記帯状部材100の送りをコントロールする作業員を配さなくても、前記帯状部材100に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる。
【0066】
ところで、前記ガイド13に沿って進退可能となされた前記ガイド部15のストロークは、製管時に許容される前記接合機構部4に対する前記帯状部材100の供給角(前記接合機構部4のピンチ部41が位置する部分(支点部として機能する部分)の、前記更生管130の接線(T2)と、前記ガイド口11から前記ピンチ部41を結ぶ直線(Y)とがなす角の角度(β)(図7参照))を基準にして決定する事項であり、特に限定されるものではない。
【0067】
具体的には、前記供給角(β)が、前記帯状部材100が折れて座屈しない角度0〜60度の範囲内にあり、且つ、その変化幅が5〜45度の範囲内となるように、前記接合機構部4と前記ガイド装置10と間の距離を決定し、もって、前記ガイド部15のストロークを決定することが好ましい。
【0068】
なお、後述する実施形態2のように、前記ガイド装置10と前記接合機構部4との間に支点部として機能する支持滑車9を配置する場合にあっては、前記ガイド口11を通過して、前記支持滑車9に向かって供給される前記帯状部材130の供給角が、前記同様に前記帯状部材100が折れて座屈しない角度となる0〜60度の範囲内にあり、且つ、その変化幅が5〜45度の範囲内となるように、前記接合機構部4と前記支持滑車9と間の距離を決定し、もって、前記ガイド部15のストロークを決定することが好ましい。
【0069】
又、本実施形態においては、前記ガイド口11を構成する前記第二ローラ153として、合成樹脂又は金属からなる円柱体1531の軸部周りに、複数の環状膨出部1532が所定の間隔を開けて設けられた形状を有してなるものを用いることによって、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止しているが、前記第二ローラ153の形状としてはこれに限られるものではない。例えば、前記第一ローラ152と共に前記第二ローラ153を、その表面がゴム製となされたゴムローラとすることによって、前記帯状部材100に対する摩擦力を向上し、もって、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止しても良いし、前記ガイド口10を無端状の枠体にて形成することによって、前記帯状部材100の供給経路におけるアプローチ角が、前記帯状部材100の幅方向に沿ってずれることを防止しても良い。
【0070】
又、本実施形態においては、前記ガイド装置10における前記ガイド軸13を、前記支持フレーム12を介して、前記成形フレーム2に取り付けているが、前記ガイド軸13を直接前記成形フレーム2に対して取り付けても良い。
【0071】
更に、本実施形態においては、前記ガイド装置10における前記ガイド軸13を二本の平行な棒体(丸棒)によって構成することによって、前記ガイド軸13に対して前記ガイド部15が首振りすることを防止しているが、例えば、前記ガイド軸13を一本の角棒にて構成することによって、前記ガイド部15の首振りを防止しても良い。
【0072】
加えて、前記帯状部材100についても、図3に示す形態のものに限定されない。例えば図9(a)及び図9(b)に示すような接合機序によって接合されるものであってもよい。図9に示す帯状部材100は、合成樹脂(例えば硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)を長尺状に成形したものであって、複数のリブ113が長手方向に沿って形成されており、長尺帯状のジョイナー140を用いて側縁部同士が接続されるようになっている。
【0073】
すなわち、この帯状部材100の両側縁部にはそれぞれ接合凹部112が長手方向に沿って形成されている。また、ジョイナー140には、帯状部材100の接合凹部112に接合することが可能な2つの接合凸部141が長手方向に沿って互いに平行に形成されている。
【0074】
そして、このような形態の帯状部材100は、その両側縁部の接合凹部112の片方にジョイナー140の接合凸部141の一方を嵌め込んだ状態で、製管装置1により螺旋状に巻回されて更生管130を形成する。その巻回し過程において、図9(a)及び図9(b)に示すように、互いに隣接する2つの帯状部材100のうち、一方の帯状部材100の接合凹部112に、他方の帯状部材100の接合凹部112に嵌め込んだジョイナー140の接合凸部141を嵌め込むことにより、これら互いに隣接する帯状部材100を相互に接合することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、接合機構部4の駆動源として油圧モータ45を採用しているが、これに限られるものではなく、例えば、電動モータや水圧モータなどを用いても良い。
【0076】
[実施形態2]
図10に実施形態2に係る製管装置1を示す。この製管装置1は、既設管200の断面形状(略矩形)に応じて略矩形に形成された規制フレーム8と、前記規制フレーム8に対して複数のローラステー7を介して取り付けられた成形フレーム2と、前記成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、前記成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4と、を具備するものであり、略矩形の断面形状を有する前記既設管200の管路に沿って、帯状部材100が螺旋状に付加形成された、略矩形の断面形状を有する更生管130を形成するためのものである。
【0077】
図11に示すように、前記規制フレーム8は、略H字状の断面形状を有し、その外周に沿って規制溝81が形成されている。前記規制溝81は、前記ローラステー7の基軸71の一端に対して回転自在に取り付けられた規制ローラ72が嵌入される部位であり、前記規制溝81の開口縁には、前記規制ローラ72の抜け止めを図る突出部82が形成されている。前記規制溝81に嵌入された前記規制ローラ72は、前記規制溝81の底部又は前記突出部82と接触することによって回転し、前記規制溝81に沿って移動する。
【0078】
前記成形フレーム2は、複数個のリンク体21が連結されることによって環状に形成されたものである。前記成形フレーム2は、前記ローラステー7の前記基軸71の他端が固定されることによって、前記ローラステー7を介して前記規制フレーム8に取り付けられている。従って、前記成形フレーム2は、前記規制フレーム8によって略矩形に規制される。
【0079】
前記案内ローラ3は、前記成形フレーム2に対して回転自在に支持されている。前記案内ローラ3は、前記更生管130の製管時、形成された前記更生管130の内壁面に接触して回転する。
【0080】
前記接合機構部4は、前記成形フレーム2を構成するリンク体21に固定されることによって、前記成形フレーム2に取り付けられている。
【0081】
前記接合機構部4の周回方向前方、及び後方には、一対の支持車輪6が成形フレーム2に取り付けられている。この支持車輪6は、製管時において、接合機構部4の周回移動に伴って、既設管200の内周を周回するものである。この際、前記一対の支持車輪6は、前記成形フレーム2を既設管200の内壁から離間させると共に、前記接合機構部4を既設管200の内壁から離間させる。
【0082】
そして、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4の周回方向前方に、ガイド装置10が備えられている。このガイド装置10は、前記帯状部材100をガイド口11内に通過させることによって、前記帯状部材100の供給経路を規制するものである。前記ガイド装置10のその余は前記実施形態1において説明したものと同様である。
【0083】
又、本実施形態に係る本発明の製管装置1においては、前記接合機構部4の周回方向前方に取り付けられた支持車輪6と、前記ガイド装置10との間に、支持滑車9が配置されている。この支持滑車9は、その回転軸が、前記成形フレーム2に軸支された案内ローラ3の回転軸に延設されて取り付けられたものであり、前記ガイド口11内を通過した前記帯状部材100を一定の支持高さにて支持しつつ、前記接合機構部4に向かって供給するためのものである。
【0084】
前記構成を有する前記製管装置1を前記既設管200内に配置し、前記帯状部材100を、前記ガイド装置10における前記ガイド口11に通過させつつ、前記支持滑車9を介して、前記接合機構部4に向かって連続的に供給すると共に、前記接合機構部4を駆動させて更生管130の製管を開始すれば、前記接合機構部4は、帯状部材100を螺旋状に巻回しながら回転し、隣接させた先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを順次接合して、前記帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を形成する。
【0085】
前記接合機構部4に向かって連続的に供給される前記帯状部材100は、前記ガイド装置10における前記ガイド口11を通過する際に、前記第一ローラ152と前記第二ローラ153とによって表裏から挟まれることによって、前記ガイド口11から前記支持滑車9に到るまでの供給経路におけるひねり角及びアプローチ角が規制される。
【0086】
ここで、前記製管装置1の進行方向後方から、環状の前記成形フレーム2内を通じて、前記接合機構部4に向かって螺旋状に供給される前記帯状部材100は、その螺旋の曲率半径、及び前記既設管200の内壁面に沿って周回する前記接合機構部4の位置に応じた進入角にて、前記ガイド装置10における前記ガイド口11に進入することになる。
【0087】
この際、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って進退可能となされていることから、前記帯状部材100の螺旋の曲率半径、及び前記既設管200の内壁面に沿って周回する前記接合機構部4の位置の変化に応じて、前記ガイド口11による前記帯状部材100の支持位置は変化する。
【0088】
例えば、図12(a)〜(b)に示すように、前記接合機構部4が前記既設管200の直線部分S1を移動している場合(説明の便宜上、前記帯状部材100の螺旋の曲率半径は一定であるものとする。)にあっては、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記接合機構部4の移動に伴い、前記ガイド軸13に沿って徐々に先端側に移動する。
【0089】
次いで、図12(c)に示すように、前記ガイド装置10が前記既設管200の角部H1から抜け出し、前記ガイド装置10と前記接合機構部とが、角部H1の入り口側と出口側とから角部H1を挟む状態となると、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って基端側に移動する。
【0090】
その後、前記ガイド装置10に引き続いて、前記支持滑車9及び前記接合機構部4が前記既設管200の角部H1を通過し、前記ガイド装置10、前記支持滑車9、及び前記接合機構部4が一列となって前記既設管200の次の直線部分S2を移動すると、次の角部H2に到達するまで、前記ガイド装置10における前記ガイド部15は、前記ガイド軸13に沿って、徐々に先端側に移動する。
【0091】
即ち、前記ガイド装置10における前記ガイド部15が、前記既設管200の内壁面に沿って周回する前記接合機構部4の位置の変化に応じて、受動的に前記ガイド軸13に沿って移動するため、角部H1において、前記帯状部材100が前記接合機構部4を支点として大きく曲げられる状態が緩和され、その結果、前記帯状部材100に割れや欠けなどの不具合が生じたり、前記角部H1における接合が不十分となったりすることが防止される。これより、前記帯状部材100に過度の負担を与えることなく、安定的、且つ円滑に製管作業を進めることができる。
【0092】
ところで、本実施形態のように、角部を有する非円形の既設管200を更生する場合においては、前記成形フレーム2に対する前記ガイド装置10の取り付け位置を、形成される前記更生管130の角部における曲線始点(BC)から曲線終点(EC)までの曲線長(CL)を基準として決定することが好ましい。
【0093】
具体的には、形成される前記更生管130の角部における曲線始点(BC)から曲線終点(EC)までの曲線長(CL)に対し、前記ガイド装置10の取り付け位置から、支点部として機能する前記支持滑車9の取り付け位置までの距離が、80%以上(好ましくは、80〜150%の範囲内、より好ましくは、100〜120%の範囲内)となるように、前記ガイド装置10の取り付け位置を決定することが好ましい。
【0094】
なお、既設管200において、各角部の円弧半径がそれぞれ異なり、形成される前記更生管の角部の円弧半径(R)が異なる場合には、各角部のうち、最も円弧半径(R)が小さい角部における曲線長(CL)を基準にして、前記ガイド装置10の取り付け位置を決定することが好ましい
又、製管装置1に対して前記支持滑車9を取り付けない場合にあっては、形成される更生管130における曲線長(CL)に対し、前記ガイド装置10の取り付け位置から、支点部として機能する前記接合機構部4におけるピンチ部41までの距離が、80%以上(好ましくは、80〜150%の範囲内、より好ましくは、100〜120%の範囲内)となるように、前記ガイド装置10の取り付け位置を決定することが好ましい。
【0095】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管などの既設管を更生する更生管を帯状部材により製管する製管装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 製管装置
2 成形フレーム
3 案内ローラ
4 接合機構部
42 インナーローラ
43 アウターローラ
5 屈折リンク
6 支持車輪
7 ローラステー
8 規制フレーム
9 支持滑車
10 ガイド装置
11 ガイド口
12 支持フレーム(支持基台)
13 ガイド軸
14 スライダー部
15 ガイド部
100 帯状部材
130 更生管
200 既設管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内に連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に巻回しながら、先行する前記帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する前記帯状部材の他側縁とを隣接させつつ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を前記既設管の管路内に形成する製管装置であって、
前記製管装置における環状の成形フレームには、前記帯状部材をガイド口に通過させることによって前記帯状部材の供給経路を規制するガイド装置が備えられてなり、
前記ガイド装置は、
前記成形フレームに直接、又は、支持基台を介して取り付けられた、前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸と、
前記ガイド口を有するガイド部とを具備してなり、
前記ガイド部が、前記ガイド軸に対し、前記ガイド軸に沿って進退可能となされたスライダー部を介して取り付けられてなることを特徴とする製管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製管装置において、
前記成形フレームが、複数のリンク体を連結することによって形成されてなり、
前記成形フレームの形状を、真円を除く環状に規制する規制フレームが更に具備されてなる製管装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製管装置において、
前記ガイド口が、
前記帯状部材の内面に接触して回転する第一ローラと、
前記帯状部材の裏面に接触して回転する第二ローラと、
によって構成されてなる製管装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製管装置において、
前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸が、前記ガイド軸が取り付けられた前記成形フレームの接線方向に対して直交する方向から、前記接合機構部の周回方向後方に向かって、0〜45度の傾きを付与されてなる製管装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製管装置を用いて、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された前記更生管を前記既設管の管路内に形成することを特徴とする既設管の更生方法。
【請求項1】
既設管内に連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に巻回しながら、先行する前記帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する前記帯状部材の他側縁とを隣接させつつ、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を前記既設管の管路内に形成する製管装置であって、
前記製管装置における環状の成形フレームには、前記帯状部材をガイド口に通過させることによって前記帯状部材の供給経路を規制するガイド装置が備えられてなり、
前記ガイド装置は、
前記成形フレームに直接、又は、支持基台を介して取り付けられた、前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸と、
前記ガイド口を有するガイド部とを具備してなり、
前記ガイド部が、前記ガイド軸に対し、前記ガイド軸に沿って進退可能となされたスライダー部を介して取り付けられてなることを特徴とする製管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製管装置において、
前記成形フレームが、複数のリンク体を連結することによって形成されてなり、
前記成形フレームの形状を、真円を除く環状に規制する規制フレームが更に具備されてなる製管装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製管装置において、
前記ガイド口が、
前記帯状部材の内面に接触して回転する第一ローラと、
前記帯状部材の裏面に接触して回転する第二ローラと、
によって構成されてなる製管装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製管装置において、
前記成形フレームの環内空間に向かって屹立するガイド軸が、前記ガイド軸が取り付けられた前記成形フレームの接線方向に対して直交する方向から、前記接合機構部の周回方向後方に向かって、0〜45度の傾きを付与されてなる製管装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製管装置を用いて、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された前記更生管を前記既設管の管路内に形成することを特徴とする既設管の更生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−111921(P2013−111921A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262057(P2011−262057)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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