説明

製管装置

【課題】 本発明は、製管作業を円滑に進めることができる新規な製管装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4の周回方向前方に主支持部材6Mを配置すると共に、主支持部材6Mの周回方向前方に副支持部材6Sを配置し、前記副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離を、前記主支持部材6Mによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離より短く設定することによって、製管時に、前記接合機構部4を既設管200の内壁から離間させた状態で維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用水管、下水道管、上水道管、ガス管などの既設管の管路内に、長尺の帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を形成するための製管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用水管、下水道管、上水道管、ガス管などの既設管が老朽化し、ひび割れや腐食などが生じた場合の対策として、帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を既設管の管路内に形成する方法が採られている。
【0003】
この方法を実行する際に用いられる製管装置としては、管渠(既設管)内において、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて形成された管状体を残置させ、前記既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもって管状体(更生管)を付加形成するものが開発されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
図16及び図17に、従来使用されてきた製管装置1を示す。図16(a)に示す製管装置1は、既設管200内に配置される環状の成形フレーム2と、前記成形フレーム2の外周に巡らせて配された、更生管130の内壁面に接触しながら回転する複数個の案内ローラ3と、前記成形フレーム2に取り付けられた、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを順次接合しながら既設管200の内壁に沿って周回する接合機構部4と、を具備する。この製管装置1は、断面形状が円形の既設管200を更生する際に用いられるものである。
【0005】
一方、図17(a)に示す製管装置1は、断面形状が矩形の既設管200を更生する際に用いられるものであり、成形フレーム2の形状を既設管200の断面形状に規制する規制フレーム8が更に備えられたものである。
【0006】
これらの製管装置1は、接合機構部4に備えられたインナーローラ42とアウターローラとによって帯状部材を挟み込み、隣接させた帯状部材100同士を接合しながら既設管200の内壁に沿って成形フレーム2と共に周回することによって、帯状部材100を螺旋状に付加形成して更生管130を形成するものであり、一般に「自走式製管機」と称されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3072015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの製管装置1にて帯状部材100を螺旋状に巻き回しつつ付加形成していくと、既に形成された更生管130が既設管200内に残置されていく。即ち、既に形成された更生管200は、その外壁下部を既設管200の内壁底部に接触させた状態で残置されることになる。
【0009】
ここで、これらの製管装置1は、アウターローラ43が帯状部材100の裏面(更生管130の外壁面となる面)に当接する構造となっていることから、アウターローラ43は、成形フレーム2を持ち上げつつ、更生管130の外壁下部と既設管200の内壁底部とが接触している部位201に進入していく必要がある(図16(b)参照)。
【0010】
更生管130の外壁下部と既設管200の内壁底部とが接触している部位201にアウターローラ43が進入し損ねて、係る部位201において引っ掛かり、接合機構部4の周回移動が停止すると、製管作業が中断される上、アウターローラ43が破損、変形したり、接合機構部4を駆動させるモータ等が焼付きを起こしたりする。従って、製管作業時において接合機構部4の周回移動が停止すると、その都度、作業員が既設管200内に入って接合機構部4の引っ掛かりを修正したり、破損、変形した部品を交換したりする作業が必要となる。
【0011】
特に、図17(b)に示すように、既設管200の断面形状が非円形形状である場合にあっては、アウターローラ43は、ハンチ部分202を経由して、更生管130の外壁下部と既設管200の内壁底部とが面接触している部位201に進入していく必要があるため、係るハンチ部分202において頻繁に接合機構部4の周回移動が停止する。
【0012】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、製管作業を円滑に進めることができる新規な製管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の製管装置は、既設管内に連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に巻回すことによって、先行する帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材の他側縁とを隣接させながら、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を既設管の管路内に形成する製管装置であって、既設管内に配置される環状の成形フレームと、前記成形フレームの外周に巡らせて配された、更生管の内壁面に接触しながら回転する複数個の回転体と、前記成形フレームに取り付けられた、先行する帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材の他側縁とを順次接合しながら既設管内壁に沿って周回する接合機構部と、を具備し、前記接合機構部の周回方向前方には、既設管に接触しながら回転する転動体を備えた主支持部材が配置され、前記主支持部材の周回方向前方には、既設管に接触しながら回転する転動体を備えた副支持部材が配置されてなり、前記主支持部材は、前記成形フレームを既設管内壁から離間させると共に、前記接合機構部を既設管内壁から離間させるものであり、前記副支持部材は、前記成形フレームを既設管内壁から離間させるものであり、前記副支持部材による既設管内壁から前記成形フレームを離間させる離間距離が、前記主支持部材による既設管内壁から前記成形フレームを離間させる離間距離より短く設定されてなることを特徴とする。
【0014】
本発明の製管装置においては、複数個の副支持部材が、前記主支持部材の周回方向前方において列を成した状態で配置されてなり、各副支持部材による既設管内壁から前記成形フレームを離間させる離間距離が、前記主支持部材に隣接する副支持部材から先頭の副支持部材に向かって段階的に短くなるように設定されてなるものが好ましい態様となる。
【0015】
本発明の製管装置においては、前記接合機構部の周回方向後方には、既設管に接触しながら回転する転動体を備えた後方支持部材が配置されてなり、前記後方支持部材と前記主支持部材とで二点支持された状態で、前記成形フレームが既設管内壁から離間されると共に、前記接合機構部が既設管から離間されるものが好ましい態様となる。
【0016】
本発明の製管装置においては、前記主支持部材には、前記転動体を転動させる駆動部が備えられてなるものが好ましい態様となる。
【0017】
本発明の製管装置においては、前記成形フレームが、複数のリンク体を連結することによって形成されてなり、前記成形フレームの形状を規制する規制フレームが更に具備されてなるものが好ましい態様となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製管装置によれば、製管作業を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の製管装置を用いて既設管を更生する状況を模式的に示す説明図である。
【図2】図2(a)は、帯状部材の一例を示す断面図であり、図2(b)及び(c)は、この帯状部材を接合して更生管を形成する工程を示す断面図である。
【図3】図3は、既設管内に配置されて、更生管を形成している状態の製管装置を示す正面図である。
【図4】図4は、製管装置の成形フレームを構成するリンク体を示す正面図(a)と、平面図(b)である。
【図5】図5は、製管装置の接合機構部を拡大して示す正面図である。
【図6】図6は、製管装置における接合機構部を示す側面図である。
【図7】図7は、製管装置における主支持部材を示す側面図(a)と、平面図(b)である。
【図8】図8は、製管装置における副支持部材を示す側面図(a)と、平面図(b)である。
【図9】図9(a)〜(c)は、製管装置を用いて既設管を更生する状態を模式的に示す説明図である。
【図10】図10(a)は、コネクタを介して接合された他の帯状部材を示す断面図であり、図10(b)は、帯状部材にコネクタを嵌入する状態を拡大して示す斜視図である。
【図11】図11は、既設管内に配置されて、更生管を形成している状態の別の製管装置を示す正面図である。
【図12】図12は、別の製管装置における規制フレーム及びローラステーを示す断面図である。
【図13】図13は、別の製管装置における主支持部材を示す側面図(a)と、平面図(b)である。
【図14】図14は、別の製管装置における後方支持部材を示す側面図(a)と、平面図(b)である。
【図15】図15(a)〜(e)は、製管装置を用いて既設管を更生する状態を模式的に示す説明図である。
【図16】図16(a)は、従来の製管装置の一例を示す正面図であり、図16(b)は、この製管装置を用いて既設管を更生する状態を模式的に示す説明図である。
【図17】図17(a)は、従来の製管装置の他の例を示す正面図であり、図17(b)は、この製管装置を用いて既設管を更生する状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0021】
まず、本発明の製管装置1を説明するに先立ち、本発明の製管装置1を用いて、既設管200内に更生管130を形成する工程、及び用いられる帯状部材100を説明する。
【0022】
図1に示すように、既設管200内に更生管130を形成するにあたっては、帯状部材100が巻き付けられた巻取ドラム91を地上に配すると共に既設管200内に製管装置1を配置する。巻取ドラム91から繰り出された帯状部材100は、発進側立坑210を介して、製管装置1に供給される。製管装置1は、連続的に供給される長尺の帯状部材100を螺旋状に巻回すことによって、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを隣接させながら、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を順次残置しながら到達側立坑220に向かって移動する。製管装置1は、製管装置1の移動方向前方に配置された圧油ユニット93から供給される圧油によって駆動する。又、圧油ユニット93は、地上に配された発電機92から供給される電力によって駆動する。
【0023】
図2(a)に示す帯状部材100は、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂系材料を長尺帯状に成形したものである。帯状部材100の一側縁には、長手方向に沿って接合凸部101が設けられてなり、帯状部材100の他側縁には、長手方向に沿って接合凹部102が設けられている。
【0024】
接合凸部101は、帯状部材100の裏面(更生管130の外壁面となる面)に基端が固定された状態で屹立する支柱部104と、支柱部104の先端に形成された断面略円形状の嵌入部105と、を備える。
【0025】
接合凹部102は、帯状部材100の内面(更生管130の内壁面となる面)側において開口する被嵌入部106と、この被嵌入部106の外層(帯状部材100の裏面側)において帯状部材100の裏面に基端が固定された状態で屹立する断面T字状の短リブ107と、帯状部材100の幅方向外側に向かって延設され、途中で帯状部材100の裏面側に向かって屈折する傾斜片108と、を備える。
【0026】
接合凸部101と接合凹部102との間には、帯状部材100の裏面に基端が固定された状態で屹立する複数条の断面T字状の長リブ103が長手方向に沿って設けられている。
【0027】
又、帯状部材100には、補強材110が装着されている。補強材110は、長手方向に連続した帯板状の鋼板を断面略W字状に折曲形成したものであり、帯状部材100に設けられた複数条の長リブ103から選択された、隣接する二条の長リブ103間に装着されている。この補強材110は、形成される更生管130の強度を高めるものである。
【0028】
帯状部材100は、後述する製管装置1により螺旋状に巻き回されることにより、先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とが接合される。帯状部材100の接合は、螺旋状に巻き回すことによって隣接させた二つの帯状部材100のうち、一方の帯状部材100の接合凹部102に、他方の帯状部材100の接合凸部101を嵌め込むことによって行われる(図2(b)参照)。この際、帯状部材100の傾斜片108は押圧され、隣接する帯状部材100の長リブ103の先端部に嵌め込まれる。これにより、帯状部材100同士が相互に接合されて更生管130が形成される(図2(c)参照)。
【0029】
[実施形態1]
図3に実施形態1に係る製管装置1を示す。この製管装置1は、既設管200の断面形状(円形)に応じて円環状に形成された成形フレーム2と、成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ(特許請求の範囲における回転体に相当)3と、成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4と、を具備する。
【0030】
成形フレーム2は、複数個のリンク体21が連結されることによって円環状に形成されたものであり、案内ローラ3は各リンク体21に対し回転自在に取り付けられている。
【0031】
図4(a)に拡大して示すように、リンク体21は、一組のリンクフレーム(第一リンクフレーム22、第二リンクフレーム23)が連結軸24を介して回動自在に連結されることによって形成される。図4(b)に示すように、第一リンクフレーム22は、対向する一対の第一リンクプレート221と、一対の第一リンクプレート221を対向させた状態で架橋する第一連結プレート222とから構成される。一方、第二リンクフレーム23は、対向する一対の第二リンクプレート231と、一対の第二リンクプレート231を対向させた状態で架橋する第二連結プレート232とから構成される。
【0032】
リンク体21は、第一リンクフレーム22における一対の第一リンクプレート221の各遊端部に、第二リンクフレーム23における一対の第二リンクプレート231の各遊端部をそれぞれ重ね合わせ、連結軸24を介して回動自在に連結することにより形成されている。
【0033】
又、リンク体21は、一のリンク体21における第一連結プレート222に他のリンク体21における第一連結プレート222を突き合わせて固定すると共に、一のリンク体21における第二連結プレート232に更に他のリンク体21における第二連結プレート232を突き合わせて固定することによって連結されている。
【0034】
第一リンクプレート221における連結軸24側の端部には、回動規制片26が設けられている。また、第二リンクプレート231における連結軸24側の端部には、回動規制片26に対応する切欠部27が設けられている。切欠部27は、連結軸24の回動中心を中心とする設定半径上の一定範囲にわたって形成されている。これにより、一組のリンクフレーム22、23の相互の回動動作を、回動規制片26と切欠部27とが当接するまでの角度範囲に規制し、リンク体21が内方或いは外方へ極端に屈曲することを防止している。
【0035】
案内ローラ3は、各リンク体21の連結軸24にそれぞれ回転自在に設けられている。案内ローラ3は、合成樹脂製又は金属製であり、軸受25を介して連結軸24回りに回転自在に支持されている。案内ローラ3は、更生管130の製管時、更生管130の内壁面に接触して回転する。
【0036】
又、成形フレーム2には屈折リンク5が組み込まれている(図3参照)。屈折リンク5は、その屈折角が調整されることによって、成形フレーム2の形状を規制するものである。屈折リンク5は、一対の連結リンク体51と、一対のリンク部材52と、ハンドル55とを具備する。屈折リンク5は、一のリンク体21と他のリンク体21との間に介在されることによって、成形フレーム2に組み込まれている。更に詳しくは、一のリンク体21及び他のリンク体21に、それぞれ連結リンク体51の一端を連結し、各連結リンク体51の他端に、それぞれリンク部材52の一端を連結し、各リンク部材52の他端同士を連結することによって、一対のリンク部材52同士が屈折された状態で成形フレーム2に組み込まれている。一対のリンク部材52の各一端には、それぞれ前記リンク体21に設けられた回動規制片26と同様の回動規制片53が設けられている。又、一対の連結リンク体51の各他端には、それぞれ回動規制片53に対応する切欠部54が形成されている。これにより、屈折リンク5の回動範囲が規制される。
【0037】
屈折リンク5に備えられたハンドル55は、屈折リンク5の屈曲形状を調整するためのものである。ハンドル55には、外面にねじが形成された回動軸56が延設され、その先端部にリンクアーム57が接続されている。ハンドル55を回転させると、回動軸56が軸方向に伸縮し、この伸縮動作を受けたリンクアーム57が、リンク部材52を開閉させる。これにより、屈折リンク5の屈折角が調整される。
【0038】
図3に示すように接合機構部4は、成形フレーム2を構成するリンク体21に箱体40が固定されることによって、成形フレーム2に取り付けられている。図5の拡大図に示すように、接合機構部4における箱体40の内部には、インナーローラ42と、歯車機構46とが設けられている。
【0039】
インナーローラ42は、箱体40の外側に突出させて配置されたアウターローラ43と対になってピンチ部41を構成する。インナーローラ42の回転軸及びアウターローラ43の回転軸は、帯状部材100を螺旋状に供給しようとするリード角に対して軸線方向が直交するように配置されている。
【0040】
図6に示すように、インナーローラ42は円筒形状を有し、その軸心方向の長さが帯状部材100の幅寸法に対し、少なくとも2倍以上の長さとなるように設定されている。インナーローラ42は、帯状部材100の内面に接触して回転する。
【0041】
一方、アウターローラ43は、円柱状の軸部432周りに、複数の円盤状の第一ローラ431と、第2ローラ431aとが、所定の間隔を開けて設けられた形状を有する。製管時において、第一ローラ431は、帯状部材100における補強材110が装着されていない長リブ103間(若しくは短リブ107と長リブ103間)に挿入される。一方、第二ローラ431aは、補強材110の装着された長リブ103間に挿入される。なお、第二ローラ431aには、その外周面に沿って、帯状部材100の補強材110の凸部に嵌り合う凹溝が設けられている。
【0042】
そして、アウターローラ43は、帯状部材100の各長リブ103及び短リブ107の先端部を軸部432の外周面に接触させた状態で回転する。アウターローラ43の外周面にはローレット加工が施されており、これによってアウターローラ43は、帯状部材100に対して滑ることなく回転できる。
【0043】
歯車機構46は、箱体40の側部に設けられた油圧モータ45を作動させることによって回転する。油圧モータ45を駆動させると、その出力軸451と、インナーローラ42の回転軸と、アウターローラ43の回転軸とにそれぞれ固定されて互いに噛み合った歯車機構46を介して、インナーローラ42及びアウターローラ43が互いに逆方向に回転する。製管機1に供給された帯状部材100は、インナーローラ42及びアウターローラ43の間に挟み込まれることによって送り出される。接合機構部4は、帯状部材100を送り出しながら、既設管200の内周に沿って周回する。又、成形フレーム2は、接合機構部4の周回移動に伴って回転する。
【0044】
なお、箱体40の外側にはスプリング402を有する衝撃吸収部材401が設けられている。この衝撃吸収部材401は、既設管200の内面に凹凸等が存在していても、インナーローラ42とアウターローラ43の相互間隔が維持されるように作用するものである。
【0045】
前記接合機構部4の周回方向前方には、主支持部材6Mが成形フレーム2に対して取り付けられている(図3及び図5参照)。この主支持部材6Mは、製管時において、接合機構部4の周回移動に伴って、既設管200の内周を周回するものであり、この際、前記成形フレーム2を既設管200の内壁から離間させると共に、前記接合機構部4を既設管200の内壁から離間させる。
【0046】
図7に示すように、主支持部材6Mは、成形フレーム2に固定された剛性を有する略コ字状のフレーム部61Mと、フレーム部61Mの一端に固定された高さ調整板62Mと、高さ調整板62Mに固定された軸受け部63Mと、軸受け部63Mに軸支された、既設管200の内面に接して回転する主車輪部(特許請求の範囲における転動体に相当)64Mとを具備する。
【0047】
図7(b)に示すように、フレーム部61Mは、第一連結プレート232に沿って、リンク体21をまたぐようにして配置され、リンク体21における対向する一対の第一リンクプレート231に溶接されることによって成形フレーム2に固定されている。
【0048】
高さ調整板62Mは、その片面がフレーム部61Mの一端に溶接されることによってフレーム部61Mに固定されている。高さ調整板62Mには、所定の間隔を開けて、上下方向に延びる三条の長穴部621Mが形成されている。
【0049】
軸受け部63Mには、取り付け穴631Mが、所定の間隔を開けた3箇所に設けられている。取り付け穴631M間の間隔は、高さ調整板62Mに形成された三条の長穴部621M間の間隔と同じ間隔に設定されている。軸受け部63Mにおける各取り付け穴631Mを、それぞれ高さ調整板62Mに形成された各長穴部621Mにあてがい、取り付け穴631Mと長穴部621Mとを連続させた状態で、ボルトを貫通させてナットで締結すれば、軸受け部63Mが高さ調整板62Mに固定される。従って、長穴部621Mの長さ分、軸受け部63Mの取り付け位置を変更することができる。
【0050】
本実施形態においては、高さ調整板62Mに対する軸受け部63Mの取り付け位置を調整することによって、成形フレーム2からの主車輪部64Mの突出高さを設定し、もって、主支持部材6Mによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離を調整することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、フレーム部61Mの他端に更生管130の内面に接して回転する補助ローラ65Mが取り付けられており、主支持部材6Mを、主車輪部64Mと補助ローラ65Mとで二点支持することによって、主支持部材6Mの剛性を高めている。
【0052】
前記主支持部材6Mの周回方向前方には、副支持部材6Sが成形フレーム2に取り付けられている(図3及び図5参照)。この副支持部材6Sは、製管時において、接合機構部4の周回移動に伴って、既設管200の内周を周回するものであり、この際、前記成形フレーム2を既設管200の内壁から離間させるものである。
【0053】
図8に示すように、この副支持部材6Sは、前記主支持部材6Mと同様の構成を有する。本実施形態においては、高さ調整板62Sに対する軸受け部63Sの取り付け位置を調整することによって、成形フレーム2からの副車輪部64Sの突出高さを設定し、もって、副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離が、前記主支持部材6Mによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離より短くなるようにしている。
【0054】
前記構成を有する製管機1を既設管200内に配置し、帯状部材100を連続的に供給すれば、製管機1に取り付けられた接合機構部4は、帯状部材100を螺旋状に巻回しながら回転し、隣接させた先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを順次接合することによって、帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を形成する。
【0055】
この際、接合機構部4におけるピンチ部41は、インナーローラ42を帯状部材100の内面に当接させ、アウターローラ43を帯状部材100の裏面に当接させて、帯状部材を100を表裏から挟みながら送り出す。接合機構部4は、帯状部材100を送り出しながら既設管200の内周に沿って回転する。又、成形フレーム2は、接合機構部4の回転に伴って回転する。
【0056】
この一連の機械動作を続けることによって、帯状部材100を螺旋状に巻き回しつつ付加形成していくと、既に形成された更生管130は既設管200内に残置されていく。即ち、既に形成された更生管130の外壁下部と、既設管200の内壁底部とは接触した状態となり、帯状部材100の裏面に当接しながら移動するアウターローラ43は、更生管130の外壁下部と既設管200の内壁底部とが接触している部位201に進入していく必要がある。
【0057】
この点につき、本実施形態に係る製管装置1は、接合機構部4の周回方向前方に、主支持部材6Mと副支持部材6Sとが設けられていることから、図9(a)に示すように、接合機構部4に備えられたアウターローラ43が更生管130の外壁下部と既設管200の内壁底部とが接触している部位201に侵入する前に、副支持部材6Sに備えられた副車輪部64Sが係る部位201に進入する。副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離を短く設定しておけば、副車輪部64Sは、係る部位201に対して比較的スムーズに進入し、係る部位201において副支持部材6Sによる離間距離に応じた隙間を形成させる。
【0058】
副車輪部64Sが係る部位201に進入した後、主支持部材6Mに備えられた主車輪部64Mが係る部位201に侵入する。主支持部材6Mによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離は、副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離より長いが、係る部位201には、先行して進入した副支持部材6Sによって既に副支持部材6Sの離間距離に応じた隙間が形成されていることから、主車輪部64Mは、係る部位201に対してスムーズに進入し、係る部位201において主支持部材6Mによる離間距離に応じた更に大きな隙間を形成する(図9(b)参照)。
【0059】
主車輪部64Mが係る部位201に侵入した後、接合機構部4に備えられたアウターローラ43が係る部位201に侵入する。係る部位201には、先行して進入した主支持部材6Mによって既に相当大きな隙間が形成されていることから、アウターローラ43は、係る部位201に対してスムーズに進入する(図9(c)参照)。接合機構部4は、主支持部材6Mによって既設管200の内壁から離間されているため、接合機構部4に備えられたアウターローラ43も既設管200の内壁から離間された状態となる。これより、接合機構部4は、係る部位201において引っ掛かることなく回転移動することができ、もって製管作業を円滑に進めることができる。製管作業が円滑に進めば、既設管200内において人的作業を行う機会が減る。作業員は、専ら地上において自動的に進む製管作業をモニター等で監視するだけ良くなり、製管作業時の安全性が向上する。
【0060】
なお、主支持部材6M及び副支持部材6Sは、前記のような形態に限られない。例えば、主車輪部64M、副車輪部64Sは、軸方向に長さを増したローラ形状であっても、球形状であってもよい。又、主車輪部64Mの外周と副車輪部64Sの外周とに掛けて環状のベルトを巻き回すことによって、主車輪部64Mと副車輪部64とが共動してベルトを無限軌道で回転させるキャタピラ構造を構築すれば、既設管200内壁に存する亀裂や不陸を乗り越え易くなる。
【0061】
本実施形態においては、高さ調整板62M、62Sに対する軸受け部63M、63Sの取り付け位置を調整することによって、成形フレーム2からの主車輪部64M及び副車輪部64Sの突出高さを設定し、もって、副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離が、主支持部材6Mによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離より短くなるようにしているが、例えば、主車輪部64Mの外径を副車輪部64Sの外径より大きくすることによって、主支持部材6Mによる隔離距離より副支持部材6Sによる隔離距離を短くしても良い。
【0062】
又、主支持部材6Mに、モータなどの駆動部を備えることによって、成形フレームの回転トルクを向上しても良い。なお、駆動部は、副支持部材6Sに備えても良い。
【0063】
更に、本実施形態においては、主支持部材6M及び副支持部材6Sが成形フレーム2に対して取り付けられているが、主支持部材6Mが、接合機構部4に隣接させた状態で接合機構部4に対して取り付けられていたり、副支持部材6Sが、主支持部材6Mに隣接させた状態で主支持部材6Mに対して取り付けられていたりしても良い。
【0064】
帯状部材100についても、図2に示す形態のものに限定されない。例えば図10(a)及び図10(b)に示すような接合機序によって接合されるものであってもよい。図10に示す帯状部材100は、合成樹脂(例えば硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)を長尺状に成形したものであって、複数のリブ113が長手方向に沿って形成されており、長尺帯状のコネクタ140を用いて側縁部同士が接続されるようになっている。
【0065】
すなわち、この帯状部材100の両側縁部にはそれぞれ接合凹部112が長手方向に沿って形成されている。また、コネクタ140には、帯状部材100の接合凹部112に接合することが可能な2つの接合凸部141が長手方向に沿って互いに平行に形成されている。
【0066】
そして、このような形態の帯状部材100は、その両側縁部の接合凹部112の片方にコネクタ140の接合凸部141の一方を嵌め込んだ状態で、製管装置1により螺旋状に巻回されて更生管130を形成する。その巻回過程において、図10(a)及び図10(b)に示すように、互いに隣接する2つの帯状部材100のうち、一方の帯状部材100の接合凹部112に、他方の帯状部材100の接合凹部112に嵌め込んだコネクタ140の接合凸部141を嵌め込むことにより、これら互いに隣接する帯状部材100を相互に接合することができる。
【0067】
また、本実施形態においては、接合機構部4の駆動源として油圧モータ45を採用しているが、これに限られるものではなく、例えば、電動モータや水圧モータなどを用いても良い。
【0068】
[実施形態2]
図11に実施形態2に係る製管装置1を示す。この製管装置1は、既設管200の断面形状(矩形)に応じて略矩形に形成された規制フレーム8と、規制フレーム8に対して複数のローラステー7を介して取り付けられた成形フレーム2と、成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、成形フレーム2に取り付けられた接合機構部4と、を具備する。
【0069】
規制フレーム8は、図12の断面図に示すように、略H字状の断面形状を有し、その外周に沿って規制溝81が形成されている。規制溝81は、ローラステー7の基軸71の一端に対して回転自在に取り付けられた規制ローラ72が嵌入される部位であり、規制溝81の開口縁には、規制ローラ72の抜け止めを図る突出部82が形成されている。規制溝81に嵌入された規制ローラ72は、規制溝81の底部又は突出部82と接触することによって回転し、規制溝81に沿って移動する。
【0070】
成形フレーム2は、複数個のリンク体21が連結されることによって環状に形成されたものであり、各リンク体21には、案内ローラ3が回転自在に設けられている。成形フレーム2は、ローラステー7の基軸71の他端が固定されることによって、ローラステー7を介して規制フレーム8に取り付けられている。従って、成形フレーム2は、規制フレーム8によって略矩形に規制される。成形フレーム2のその余は、前記実施形態1において説明したものと同様である。
【0071】
案内ローラ3は、成形フレーム2に対して回転自在に支持されている。案内ローラ3は、更生管130の製管時、帯状部材100の内面及び更生管130の内壁面に接触して回転する。案内ローラ3のその余は、前記実施形態1において説明したものと同様である。
【0072】
接合機構部4は、成形フレーム2を構成するリンク体21に固定されることによって、成形フレーム2に取り付けられている。接合機構部4のその余は、前記実施形態1において説明したものと同様である。
【0073】
前記接合機構部4の周回方向前方には、主支持部材6Mが成形フレーム2に取り付けられている。この主支持部材6Mは、製管時において、接合機構部4の周回移動に伴って、既設管200の内周を周回するものであり、この際、前記成形フレーム2を既設管200の内壁から離間させると共に、前記接合機構部4を既設管200の内壁から離間させるものである。
【0074】
図13に示すように、主支持部材6Mは、成形フレーム2に固定された剛性を有する略コ字状のフレーム部61Mと、フレーム部61の一端に固定されたギヤボックス620Mと、ギヤボックス620Mに回転力を与えるモータ(特許請求の範囲における駆動部に相当)630Mと、ギヤボックス620Mに与えられた回転力が伝達されて回転する主車輪部(特許請求の範囲における転動体に相当)64Mとを具備する。
【0075】
図13(b)に示すように、フレーム部61Mは、第二連結プレート232に沿って、リンク体21をまたぐようにして配置され、リンク体21における対向する一対の第二リンクプレート231に溶接されることによって成形フレーム2に固定されている。
【0076】
ギヤボックス620Mは、フレーム部61Mの一端に溶接されることによってフレーム部61Mに固定されている。モータ630Mの回転軸は、ギヤボックス620M中に存する一の歯車621Mの回転軸に連結されている。一の歯車621Mは他の歯車622Mとかみ合っており、更に他の歯車622Mは、主車輪部64Mの回転軸に配された歯車623Mとかみ合っている。従って、モータ630Mを駆動させれば、主車輪部64Mが回転する仕組みとなっている。このように、主支持部材6Mに対し、独自の駆動力を付与すれば、成形フレーム2の回転トルクが増し、製管時における成形フレーム2の回転がより円滑となる。
【0077】
なお、本実施形態においては、フレーム部61Mの他端に更生管130の内面に接して回転する補助ローラ65Mが取り付けられており、主支持部材6Mを、主車輪部64Mと補助ローラ65Mとで二点支持することによって、主支持部材6Mの剛性を高めている。
【0078】
前記主支持部材6Mの周回方向前方には、複数個の副支持部材6Sが、前記主支持部材6Mの周回方向前方において列を成した状態で成形フレーム2に取り付けられている。各副支持部材6Sは、いずれも前記実施形態1で説明したものと同様である。
【0079】
各副支持部材6Sは、製管時において、接合機構部4の周回移動に伴って、既設管200の内周を周回するものであり、この際、前記成形フレーム2を既設管200の内壁から離間させるものである。前記主支持部材6Mに隣接する副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離は、前記主支持部材6Mによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離より短くなるように設定されている。又、各副支持部材6Sにより既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離は、前記主支持部材6Mに隣接する副支持部材6Sから先頭の副支持部材6Sに向かって段階的に短くなるように設定されている。
【0080】
前記接合機構部4の周回方向後方には、既設管200の内壁に接触して回転する後方車輪部64Rを備えた後方支持部材6Rが成形フレーム2に取り付けられている。図14に示すように、この後方支持部材6Rは、前記副支持部材6Sと同様の構成を有する。
【0081】
この後方支持部材6Rは、製管時において、接合機構部4の周回移動に伴って、既設管200の内周を周回するものであり、この際、前記成形フレーム2を、後方支持部材6Rと前記主支持部材6Mとで二点支持した状態で既設管200の内壁から離間させると共に、前記接合機構部4を既設管200から離間させるものである。
【0082】
前記構成を有する製管機1を既設管200内に配置し、帯状部材100を連続的に供給すれば、製管機1に取り付けられた接合機構部4は、帯状部材100を螺旋状に巻回しながら回転し、隣接させた先行する帯状部材100の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材100の他側縁とを順次接合することによって、帯状部材100が螺旋状に付加形成された更生管130を形成する。
【0083】
この際、接合機構部4におけるピンチ部41は、インナーローラ42を帯状部材100の内面に当接させ、アウターローラ43を帯状部材100の裏面に当接させて、帯状部材を100を表裏から挟みながら送り出す。接合機構部4は、帯状部材100を送り出しながら既設管200の内周に沿って回転する。又、成形フレーム2は、接合機構部4の回転に伴って、規制フレーム8によってその形状が規制された状態で回転する。
【0084】
この一連の機械動作を続けることによって、帯状部材100を螺旋状に巻き回しつつ付加形成していくと、既に形成された更生管130は既設管200内に残置されていく。即ち、既に形成された更生管200外壁下部と、既設管200の内壁底部とは接触した状態となり、帯状部材100の裏面に当接しながら移動するアウターローラ43は、既設管200のハンチ部202を経由した上で、更生管130の外壁下部と既設管200の内壁底部とが接触している部位201に進入していく必要がある。
【0085】
この点につき、本実施形態に係る製管装置1は、接合機構部4の周回方向前方に、主支持部材6Mと複数の副支持部材6Sとが列を成した状態で設けられていることから、図15(a)に示すように、接合機構部4に備えられたアウターローラ43が更生管130の外壁下部と既設管200の内壁底部とが接触している部位201に侵入する前に、まず、先頭の副支持部材6Sに備えられた副車輪部64Sが係る部位201に進入する。先頭の副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離を短く設定しておけば、副車輪部64Sは、係る部位201に対して比較的スムーズに進入し、係る部位201において先頭の副支持部材6Sによる離間距離に応じた隙間を形成させる。
【0086】
先頭の副支持部材6Sに備えられた副車輪部64Sが係る部位201に進入した後、後続する別の副支持部材6Sに備えられた副車輪部64Sが係る部位201に侵入する。後続する別の副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離は、先頭の副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離より長いが、係る部位201には、先行して進入した副支持部材6Sによって既に隙間が形成されていることから、後続する別の副支持部材6Sに備えられた副車輪部64Sは、係る部位201に対してスムーズに進入し、係る部位201において後続する別の副支持部材6Sによる離間距離に応じたさらに大きな隙間を形成させる(図15(b)参照)。
【0087】
別の副車輪部64Sが係る部位201に進入した後、主支持部材6Mに備えられた主車輪部64Mが係る部位201に侵入する。主支持部材6Mによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離は、別の副支持部材6Sによる既設管200の内壁から前記成形フレーム2を離間させる離間距離より長いが、係る部位201には、先行して進入した別の副支持部材6Sの離間距離に応じた隙間が形成されていることから、主車輪部64Mは、係る部位201に対してスムーズに進入し、係る部位201において主支持部材6Mによる離間距離に応じたさらに大きな隙間を形成させる(図15(c)参照)。
【0088】
主車輪部64Mが係る部位201に侵入した後、接合機構部4に備えられたアウターローラ43が係る部位201に侵入する。係る部位201には、先行して進入した主支持部材6Mによって既に相当大きな隙間が形成されていることから、アウターローラ43は、係る部位201に対してスムーズに進入する(図15(d)参照)。接合機構部4は、主支持部材6Mによって既設管200の内壁から離間されているため、接合機構部4に備えられたアウターローラ43も既設管200の内壁から離間された状態となる。
【0089】
又、アウターローラ43が係る部位201に侵入した後、後方支持部材6Rに備えられた後方車輪部64Rが係る部位201に侵入する。これによって、前記成形フレーム2は、後方支持部材6Rと前記主支持部材6Mとで二点支持された状態で既設管200の内壁から離間させられるから、前記接合機構部4が、一層安定した状態で既設管200から離間される(図15(e)参照)。これによって、接合機構部4は、係る部位201において引っ掛かることなく回転移動することができ、もって製管作業を円滑に進めることができる。
【0090】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管などの既設管を更生する更生管を帯状部材により製管する製管装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 製管装置
2 成形フレーム
3 案内ローラ
4 接合機構部
42 インナーローラ
43 アウターローラ
5 屈折リンク
6M 主支持部材
64M 主車輪部
6S 副支持部材
64S 副車輪部
6R 後方支持部材
64R 後方車輪部
7 ローラステー
8 規制フレーム
100 帯状部材
130 更生管
200 既設管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内に連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に巻回すことによって、先行する帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材の他側縁とを隣接させながら、前記一側縁と前記他側縁とを順次接合することによって、前記帯状部材が螺旋状に付加形成された更生管を既設管の管路内に形成する製管装置であって、
既設管内に配置される環状の成形フレームと、
前記成形フレームの外周に巡らせて配された、更生管の内壁面に接触しながら回転する複数個の回転体と、
前記成形フレームに取り付けられた、先行する帯状部材の一側縁と周回遅れで後続する帯状部材の他側縁とを順次接合しながら既設管内壁に沿って周回する接合機構部と、
を具備し、
前記接合機構部の周回方向前方には、既設管に接触しながら回転する転動体を備えた主支持部材が配置され、
前記主支持部材の周回方向前方には、既設管に接触しながら回転する転動体を備えた副支持部材が配置されてなり、
前記主支持部材は、前記成形フレームを既設管内壁から離間させると共に、前記接合機構部を既設管内壁から離間させるものであり、
前記副支持部材は、前記成形フレームを既設管内壁から離間させるものであり、
前記副支持部材による既設管内壁から前記成形フレームを離間させる離間距離が、前記主支持部材による既設管内壁から前記成形フレームを離間させる離間距離より短く設定されてなることを特徴とする製管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製管装置において、
複数個の副支持部材が、前記主支持部材の周回方向前方において列を成した状態で配置されてなり、
各副支持部材による既設管内壁から前記成形フレームを離間させる離間距離が、前記主支持部材に隣接する副支持部材から先頭の副支持部材に向かって段階的に短くなるように設定されてなる製管装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製管装置において、
前記接合機構部の周回方向後方には、既設管に接触しながら回転する転動体を備えた後方支持部材が配置されてなり、
前記後方支持部材と前記主支持部材とで二点支持された状態で、前記成形フレームが既設管内壁から離間されると共に、前記接合機構部が既設管から離間される製管装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製管装置において、
前記主支持部材には、転動体を転動させる駆動部が備えられてなる製管装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製管装置において、
前記成形フレームが、複数のリンク体を連結することによって形成されてなり、
前記成形フレームの形状を規制する規制フレームが更に具備されてなる製管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−245629(P2012−245629A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116716(P2011−116716)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】