説明

製茶用収容体供給装置

【課題】出物を袋に入れるとき、従来のように大海袋を地面に置くだけでは、課題が山積みだった。出物は茶製品より安価であり、出物のための装置に経費はかけられない。しかし、上記のような作業者の精神的負担や肉体的負担を軽減するため、構造が簡単で、安価な装置を発明することを課題としている。
【解決手段】本発明の第1手段は、複数の収容体の載置手段と、載置手段上で収容体を開放状態で保持する複数の保持手段と、載置手段の中心を回転軸として回転させる駆動手段と、より構成する製茶用収容体供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製茶工場で大海袋などの収容体に茶葉などを投入するときに、収容体を置く装置に関するものであり、詳しくは、茶葉などの収容物が予め設定した量になったときに、収容体を次の収容体に切り替えるものである。
【背景技術】
【0002】
製茶工場での収容体としては、大海袋、ゴミ袋、防湿性の袋内蔵のダンボール箱、コンテナ箱などがあり、茶製品を出荷するときには大海袋やダンボール箱などを用いている。大海袋とは、ナイロン製の袋を2つの紙の袋ではさんだ3重構造からなるものであり、20、30、35、40キログラム等のサイズがある。近年では、窒素充填をするため、アルミ製の大海袋などもある。製茶工場では、これらの収容体を用途に応じて使い分けており、大海袋には製茶途中に出てくる出物と呼ばれる茶葉を入れることもある。
【0003】
出物とは、茎の皮が乾燥したケバ、硬い茎の棒、茶渋の塊などのその他などの総称であり、いずれも製茶途中の選別工程で通常の茶製品から選別されて、排出される。これらは通常の茶製品より価値が落ちるが、製品として出荷され、棒茶として飲用されたり、茶の加工品に利用されたりする。
【0004】
製茶が完了した茶製品は特許文献1に記載されているような製茶用計量袋詰機により、計量され、大海袋に袋詰される。出物の場合は、特許文献2に記載されているように、大海袋を開いて、地面に置き、選別装置または搬送装置により投入されていた。
【0005】
製茶工場の規模や処理量にもよるが、出物は少量ずつ継続的に排出され、1日に大海袋で10袋以上になることもある。つまり、1時間に1、2回、大海袋を交換する必要があり、作業者はたびたび出物の排出口へ行き、大海袋の中の出物の量をチェックし、ある程度の量になっていれば、大海袋を交換し、量が少なければ、しばらくたってから再び量をチェックするということを繰り返していた。更に、出物が排出される所は1ヶ所とは限らず、大海袋のチェックを忘れる場所もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−246301号公報
【特許文献2】特開2001−275567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
茶製品を袋詰するための装置は、特許文献1のように自動化されているが、出物を袋詰するための装置は、特許文献2のように自動化されていない。たびたび出物の量をチェックに行くこと、出物が継続的に排出されるときに重い大海袋を急いで交換しなければならないこと、処理量によっては短時間おきに交換しなければならないこと、大海袋の開口が閉じてしまって出物が大海袋の外へ落ちること、更には大海袋の交換が遅れると満杯になって出物があふれ出ること、満杯になった大海袋が倒れて大海袋の中身がこぼれ落ちてしまうこと、大海袋が満杯になり大海袋への搬送装置が詰まってしまうこと、など、従来のように大海袋を地面に置くだけでは、課題が山積みだった。
【0008】
出物は茶製品より安価であり、出物のための装置に経費はかけられない。しかし、上記のような作業者の精神的負担や肉体的負担を軽減するため、構造が簡単で、安価な装置を発明することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1手段は、複数の収容体の載置手段と、載置手段上で収容体を開放状態で保持する複数の保持手段と、載置手段の中心を回転軸として回転させる駆動手段と、より構成する製茶用収容体供給装置。本発明の第2手段は、上記第1手段において、載置手段を予め設定した角度を回転させるためのセンサを設ける。本発明の第3手段は、上記第1または2手段において、収容物の量を測定するセンサを設ける。本発明の第4手段は、上記第1、2または3手段において、収容物が予め設定した量になったとき、載置手段を回転する。本発明の第5手段は、上記第1、2、3または4手段において、収容物が設定値になったとき、警報を発する警報手段を設ける。本発明の第6手段は、上記第1、2、3、4または5手段において、載置手段が回転しているときには、収容体への投入を一時停止する。本発明の第7手段は、上記第1、2、3、4、5または6手段において、保持手段は、袋を開放状態で保持する袋保持具と、袋を袋保持具に固定するために袋保持具に備えた袋固定具と、より構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1手段により、複数の収容体を準備しておくことができるので、収容体の切り替えが容易となる。本発明の第2手段により、載置台が予め設定した角度に回転するため、次の収容体への切り替えが容易となる。本発明の第3手段により、実際に収容体をのぞかなくても、収容物の量をチェックすることができる。本発明の第4手段により、自動で次の収容体への切り替えが可能となり、たびたびチェックに行く必要がなくなる。本発明の第5手段により、遠隔地にいても、装置の状況を把握することができ、必要に応じて装置のところへ行くことができる。本発明の第6手段により、収容体を切り替えている最中に、収容物が収容体の外(載置台の上)へ落ちることがなくなり、清潔になり、掃除する必要がなくなる。本発明の第7手段により、シンプルな構成で大海袋などの袋を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の装置の実施例を示した平面図である。(実施例1)
【図2】図2は図1の正面図である。
【図3】図3は図1の載置手段を回転させた実施例の平面図である。
【図4】図4は図3の正面図である。
【図5】図5は袋固定具の詳細図である。
【図6】図6は図5の袋固定具の動きを示した説明図である。
【図7】図7は大海袋の数が異なる実施例を示した平面図である。(実施例2)
【図8】図8は大海袋の数が異なる実施例を示した平面図である。(実施例3)
【図9】図9は実施例の載置台と底板の関係を示した図である。
【図10】図10は収容体がダンボール箱の実施例を示した平面図である。(実施例4)
【図11】図11は図10の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の装置について図面を参照して説明する。収容体の載置手段は、円形の載置台2であり、この載置台2の下には底板4を設け、載置台2は底板4に取付けたベアリング23により支持されている(図9参照)。この底板4の中心に支柱5を設ける。底板4には、駆動手段であるモータ6を設け、モータ6の載置台駆動ローラ7が載置台2の側壁8と接し、支柱5を中心として載置台2を回転させる構造となっている。載置台2は底板4に取付けたベアリング23により支持されているので、底板4、支柱5は動かず、載置台2は回転する。載置台2の回転は時計回りや反時計回りをモータ6の回転で設定可能であるが、本実施例では時計回りとなっている。
【実施例1】
【0013】
実施例1は、収容体は大海袋1、5個の大海袋1を載置する装置の例であり、大海袋1を保持するための保持手段を設ける。保持手段は、保持腕9、保持腕9に固定した袋保持具10、袋保持具10に固定した袋固定具11とからなり、本実施例では5個の大海袋1を保持するため、5個の袋保持具10を備えている。袋保持具10は大海袋1を開放しておくため、大海袋1の内側に入る大きさとし、円形をしている。袋固定具11はこの袋保持具10の対向する所に2個1組で設けてあり、袋固定具支持板11を用いて袋保持具10に固定している(具体的には、図5、6のようなものである)。袋固定具11のハンドル12を動かすことにより、リンク部15が動き、アーム16が動いて、挟持板13と袋保持具10との間が開放し(図6)、挟持板13と袋保持具10の間に大海袋1を入れ、ハンドル12を動かすことにより、挟持板13と袋保持具10との間が閉じられ、袋1を保持して固定することができる。これらの保持手段は、載置台2の中心に設けた回転支柱3に固定して設ける。回転支柱は載置台3とともに回転し、支柱5は回転支柱3の中を通っている。基本的には、大海袋1が載置台2へ接地する高さに袋保持具10を設けるが、大海袋1の大きさによっては、大海袋1が載置台2へ接地しないことがある。
【0014】
底板4と載置台2の周囲に、回転角度を計測するためのセンサを設ける。本実施例ではリミットスイッチ17を用いており、底板4の周囲に1個のリミットスイッチ17を設け、載置台2の周囲に等間隔(72度)に5個のリミットスイッチ押し板18を設け、所定角度を回転したときにリミットスイッチ17をリミットスイッチ押し板18が押して、所定角度を回転したことを検知し、回転を停止させる。センサはリミットスイッチでなくても、非接触式のセンサや他の接触式センサでもよく、他の回転角度計測方式でも良い。
【0015】
投入する大海袋1上に大海袋1の中の量を調べるためのセンサを設ける。このセンサはセンサ支持具20により支柱5に固定してあり、載置台2が回転してもセンサは回転しない。このセンサは、茶葉が満杯になったときに知らせる満杯センサや茶葉が設定した高さになったときに知らせる距離センサなどがあるが、本実施例では満杯センサ19を使用する。
【0016】
上記の装置の動きを説明する。本実施例は収容物を茶葉とした例である。まず、茶葉が搬送装置22より排出される前に、大海袋1を袋保持具10に装着する。すべての袋保持具10に装着しなくてもいいが、長時間放置するためには、すべての袋保持具10に大海袋1を装着するとよい(本実施例の図面1、2、3、4では、大海袋1を装着している袋保持具10と、大海袋1を装着していない袋保持具10を見られるように、大海袋1を3個装着している)。製茶がおこなわれると、適宜、搬送装置22より茶葉21が排出され、大海袋1に茶葉21が投入される。大海袋1が茶葉21で満杯になると、満杯センサ19が感知し、モータ6を駆動させ、載置台2が回転(本実施例では時計回り)し、所定角度(本実施例の場合は72度)回転すると、リミットスイッチ押し板18がリミットスイッチ17を押し、所定角度を回転したことを感知するため、モータ6を停止させる。これにより、大海袋1が次の空の大海袋1に切り替わる。(図1、2が72度回転して、図3、4のようになる)
【0017】
載置台2が回転している間、大海袋1へ茶葉21を収容することができないため、載置台2が回転している間は、搬送装置22を停止させ、投入を一時停止状態とすることも制御により可能である。
【0018】
カウンターを設けて満杯になった大海袋1を数え、5個すべての大海袋1が満杯になる前に、警報音を鳴らしたり、警告灯を点灯または点滅させたりして、警報を出すことも可能である。また、大海袋1が満杯になり、載置台2を回転させるときに、警報を出すことも可能である。
【0019】
すべての大海袋1が満杯になる前に、作業者は満杯になった大海袋1を袋保持具10から取り外して載置台2から下ろし、次の大海袋1を袋保持具10に装着する。
【0020】
本発明の装置は、特許文献2のような選別装置から排出される茶葉(出物)を大海袋へ投入するときに設置したり、その他の選別装置から排出される茶葉(出物)を大海袋へ投入するときに設置したりしてもよい。また、選別装置以外の製茶機械から排出される茶葉(出物)を大海袋へ投入するときに設置してもよい。更には、計量はできないが、特許文献1のような茶製品の袋詰装置としても利用が可能である。茶製品を混合する製茶合組機のあとに設置することも可能である(距離センサや満杯センサ等で量を計測する)。
【実施例2】
【0021】
本実施例は、大海袋1を4個載置する装置の例(図7)である。基本的な構造は、上記実施例1と同様であり、袋保持具10が4個設けられている。リミットスイッチ押し板18は90度間隔で備えられており、載置台2が90度回転すると、回転が停止する。本実施例では、すべての袋保持具10に大海袋1を装着している。
【実施例3】
【0022】
本実施例は、大海袋1を6個載置する装置の例(図8)である。基本的な構造は、上記実施例1と同様であり、袋保持具10が6個設けられている。リミットスイッチ押し板18は60度間隔で備えられており、載置台2が60度回転すると、回転が停止する。その他、大海袋1を装着できる数はいくつでもよい。本実施例では、すべての袋保持具10に大海袋1を装着している。
【実施例4】
【0023】
本実施例は、収容体がダンボール箱31の例である。保持手段が前記実施例と異なり、載置台2上に設けたストッパー32となり、このストッパー32は載置台2が回転したときにダンボール箱31が動かないようになっている。ダンボール箱31に防湿性の袋34が内蔵されていて、袋が開放状態で保持できないときは、袋の縁を段ボール箱の縁へ固定具33を用いて保持すると良い。
【実施例5】
【0024】
収容体は大海袋1、ダンボール箱31以外の袋や箱でもよく、コンテナ箱を用いてもよく、収容物を廃棄する場合にはゴミ袋を用いてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 大海袋
2 載置台
3 回転支柱
4 底板
5 支柱
6 モータ
7 載置台駆動ローラ
8 側壁
9 保持腕
10 大海袋保持具
11 大海袋固定具
12 ハンドル
13 挟持板
14 大海袋固定具支持板
15 リンク部
16 アーム
17 リミットスイッチ
18 リミットスイッチ押し板
19 満杯センサ
20 センサ保持具
21 茶葉
22 搬送装置
23 ベアリング
24 ベアリング取付具
25 レール
31 ダンボール箱
32 ストッパー
33 固定具
34 袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容体の載置手段と、載置手段上で収容体を開放状態で保持する複数の保持手段と、載置手段の中心を回転軸として回転させる駆動手段と、より構成することを特徴とする製茶用収容体供給装置。
【請求項2】
載置手段を予め設定した角度を回転させるためのセンサを設けることを特徴とする請求項1記載の製茶用収容体供給装置。
【請求項3】
収容物の量を測定するセンサを設けることを特徴とする請求項1又は2記載の製茶用収容体供給装置。
【請求項4】
収容物が予め設定した量になったとき、載置手段を回転することを特徴とする請求項1、2又は3記載の製茶用収容体供給装置。
【請求項5】
収容物が設定値になったとき、警報を発する警報手段を設けることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の製茶用収容体供給装置。
【請求項6】
載置手段が回転しているときには、収容体への投入を一時停止することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の製茶用収容体供給装置。
【請求項7】
保持手段は、袋を開放状態で保持する袋保持具と、袋を袋保持具に固定するために袋保持具に備えた袋固定具と、より構成することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の製茶用収容体供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−173599(P2011−173599A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37267(P2010−37267)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】