説明

製袋充填包装機

【課題】横シールブロックの1サイクルの動作時間が変動しても、安定した品質の包装袋を製造する。
【解決手段】横シールブロックにより包装フィルムを挟持して熱シールするための横シール時間T1、T2があらかじめ設定してあり、フィルム並走区間において当該横シール時間の間だけ横シールブロックを閉じて包装フィルムの横シール動作を実行するように、ブロック開閉用モータを制御する。このとき、当該横シール時間に対する1サイクルの動作時間S1、S2の変動に対応して、横シールブロックは横シール中の移動距離が変動する。任意に調整した1サイクルの動作時間から横シール時間を差し引いた時間の間で、横シールブロックを開き、戻り区間を経て、次サイクルの横シール動作を開始させるように、ブロック開閉用モータ及びブロック移動用モータを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装フィルムの繰出し制御や横シールブロックの開閉・移動制御を改良した製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状をした包装フィルムの両側縁を重ね合わせ、当該重ね合わせ部分を縦シールして筒状の包装フィルムを形成するとともに、当該包装フィルムを下流側へ繰り出しながら一対の横シールブロック(エンドシール装置ともいう)で挟持して横シール(エンドシールともいう)し、密封された包装袋を形成する製袋充填包装機は、既に広く知られている。
【0003】
この種の製袋充填包装機の制御方法としては、従来、特許文献1に開示された方法が提案されている。同文献1の制御方法は、シール区間でのエンドシール(横シール)装置の下降速度を遅くし、一方、シール区間以外でのエンドシール装置の復帰時間を速めることで、エンドシール装置の1サイクルの動作時間を一定とし、且つシール距離(エンドシール装置がシール動作中に包装フィルムとともに移動する距離)も一定にした状態において、エンドシールの時間を相対的に長くする方法を採用している。
かかる従来技術は、1サイクルの動作時間を一定とし且つシール距離も一定とすることを前提にして、エンドシール時間を確保するための方法を提供している。
【0004】
さて、製袋充填包装機は、一連の製品製造ラインに組み込まれ、同機の上流側や下流側での製品の滞留や搬送間隔の変動等に応じて、エンドシールを実行する1サイクルの動作時間も変動させることが好ましい。
しかしながら、エンドシール時間は、1サイクルの動作時間の割付角度に対応するため、前提となる1サイクルの動作時間が変動した場合、それに伴いエンドシール時間も変動することになる。その結果、シール強度やシール品質がばらついて、包装袋の品質が不安定となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3902631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、横シールブロックの1サイクルの動作時間が変動しても、当該横シールブロックによる包装フィルムの横シール時間を一定にして、安定した品質の包装袋を製造できる製袋充填包装機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、帯状をした包装フィルムの両側縁を重ね合わせ、当該重ね合わせ部分を縦シールして筒状の包装フィルムを形成するとともに、当該包装フィルムを下流側へ繰り出しながら一対の横シールブロックで挟持して熱シールする機能を備えた製袋充填包装機において、
一対の横シールブロックは、包装フィルムを挟んで相互に開閉自在であって、且つ包装フィルムの繰出し方向に沿ったフィルム並走区間と当該フィルム並走区間の終端から始端へ復帰する戻り区間との間を移動自在であり、フィルム並走区間内で相互に閉じて包装フィルムを熱シールする構成となっており、
包装フィルムを下流側へ繰り出すフィルム繰出し用モータと、
横シールブロックを開閉するブロック開閉用モータと、
横シールブロックをフィルム並走区間と戻り区間との間で移動させるブロック移動用モータと、
これらフィルム繰出し用モータ、ブロック開閉用モータ及びブロック移動用モータを制御する制御部と、を含み、
制御部が(イ)乃至(ニ)の条件に従って制御動作を実行することを特徴とする。
【0008】
(イ)包装フィルムを下流側へ繰り出しながら、横シールブロックを閉じて包装フィルムの横シール動作を実行するように、フィルム繰出しモータ及びブロック開閉用モータを制御する。
(ロ)横シールブロックがフィルム並走区間の始端から終端に至りさらに戻り区間を経てフィルム並走区間の始端まで移動する1サイクルの動作時間を任意に変動させるように、ブロック移動用モータを制御する。
(ハ)横シールブロックにより包装フィルムを挟持して熱シールするための横シール時間があらかじめ設定してあり、フィルム並走区間において当該横シール時間の間だけ横シールブロックを閉じて包装フィルムの横シール動作を実行するように、ブロック開閉用モータを制御する。このとき、当該横シール時間に対する1サイクルの動作時間の変動に対応して、横シールブロックは横シール中の移動距離が変動する。
(ニ)任意に調整した1サイクルの動作時間から横シール時間を差し引いた時間の間で、横シールブロックを開き、戻り区間を経て、次サイクルの横シール動作を開始させるように、ブロック開閉用モータ及びブロック移動用モータを制御する。
【0009】
上述したように本発明によれば、横シール時間があらかじめ設定してあり、フィルム並走区間において当該横シール時間の間だけ横シールブロックを閉じて包装フィルムの横シール動作を実行するように、ブロック開閉用モータを制御するので、横シールブロックの1サイクルの動作時間が変動しても横シール時間は一定になり、よって安定した品質の包装袋を製造することができる。
なお、本発明は、横シール時間に対する1サイクルの動作時間の変動を、横シール中に横シールブロックが移動した距離の変動によって対応している。
【0010】
ここで、制御部は、横シールブロックが横シール動作を実行している間は、当該横シールブロックが戻り区間を移動しているときよりも、包装フィルムの繰出し速度及び横シールブロックの移動速度が遅くなるように、フィルム繰出し用モータ及びブロック開閉用モータを制御する構成とすることが好ましい。
【0011】
このように制御することで、横シール時間をいっそう長く確保でき、十分な強度で高品質の横シールを形成することができる。
【0012】
また、本発明は、横シールブロックと一緒に移動するとともに、包装フィルムを挟んで相互に開閉自在な一対のしごき部材を備えてもよい。このしごき部材は、ブロック開閉用モータの駆動によって横シールブロックよりも先に閉じる。
【0013】
このようなしごき部材を備える構成において、制御部は、しごき部材を閉じて包装フィルムを挟持するしごき動作の間、横シールブロックの移動速度が包装フィルムの繰出し速度よりも速くなるように、ブロック移動用モータを制御して横シールブロックの移動速度を増速する構成とすることができる。
【0014】
また、上述したしごき部材を備える構成において、制御部は、しごき部材を閉じて包装フィルムを挟持するしごき動作の間、横シールブロックの移動速度が包装フィルムの繰出し速度よりも速くなるように、フィルム繰出し用モータを制御して包装フィルムの繰出し速度を減速する構成としてもよい。
【0015】
このように制御することで、包装フィルムの繰出し速度としごき部材の移動速度との間に相対的な速度差が生じるので、しごき部材によって包装フィルムを円滑にしごくことが可能となる。なお、しごき動作は、包装袋内に充填された製品(被充填物)を横シール動作の実行前に包装袋内の下方へしごき落とす等の目的で行われる。
【0016】
さらに、上述したしごき部材を備える構成において、制御部は、しごき部材を閉じて包装フィルムを挟持するしごき動作の間、横シールブロックの移動速度が包装フィルムの繰出し速度よりも速くなるように、ブロック移動用モータを制御して横シールブロックの移動速度を増速するとともに、フィルム繰出し用モータを制御して包装フィルムの繰出し速度を減速する構成としてもよい。
【0017】
このように制御することで、しごき動作に必要となる速度変化を、横シールブロックの移動速度と包装フィルムの繰出し速度のそれぞれに分担させているので、各々の速度変化を小さくしてモータへの負担軽減を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、横シールブロックの1サイクルの動作時間が変動しても、当該横シールブロックによる包装フィルムの横シール時間を一定して、安定した品質の包装袋を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る製袋充填包装機の全体構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】横シールブロックとしごき部材の概略構造と動作を模式的に示す図である。
【図3】1サイクルの動作時間と横シール時間との関係を示す図である。
【図4】ブロック移動用モータの駆動力による横シールブロックの移動動作について模式的に示す図である。
【図5】しごき動作に関する制御条件の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る製袋充填包装機の全体構造を模式的に示す斜視図である。
同図に示す製袋充填包装機は、帯状をした包装フィルムFの両側縁を重ね合わせ、当該重ね合わせ部分を一対の縦シールブロック1で縦シールして筒状の包装フィルムFを形成するとともに、当該包装フィルムFを下流側へ繰り出しながら一対の横シールブロック2で挟持して横シールすることで密封された包装袋FWを形成する。
【0021】
製袋充填包装機の概略構成は、包装フィルムFを供給するフィルムロール3と、包装フィルムFを搬送する複数の搬送ローラ4と、搬送ローラ4を経由して搬送されてきた包装フィルムFの幅方向にある両側縁部を重ね合わせて略円筒状の筒状包装フィルムFaに整形するフォーマ部5と、筒状包装フィルムFaの形状を保持して下流方向(図の下方向)に向けて案内する製袋チューブ6と、製袋チューブ6上で筒状包装フィルムFaを下流方向(図の下方向)へ繰り出す繰出しベルト7と、繰出しベルト7によって繰り出される筒状包装フィルムFaの重ね合わされた両側端部を挟んで縦シールする縦シールブロック1と、製袋チューブ6の内側の充填空間に製品(被充填物)を充填するためのホッパ8と、製袋チューブ6のさらに下流側(図の下方向)に繰り出されてきた筒状包装フィルムFaを幅方向に横シールする一対の横シールブロック2と、横シールブロック2と一緒に移動するとともに筒状包装フィルムFaを挟んで相互に開閉自在な一対のしごき部材9(図2参照)と、を備えている。
【0022】
ここで、繰出しベルト7は、フィルム繰出し用モータ10の駆動力をもって包装フィルムFを下流側へ繰り出す。また、一対の横シールブロック2は、ブロック開閉用モータ11の駆動力をもって相互に開閉する。さらに、一対の横シールブロック2は、ブロック移動用モータ12の駆動力をもって移動する。
これらフィルム繰出し用モータ10、ブロック開閉用モータ11及びブロック移動用モータ12は、コンピュータからなる制御部20によって制御されている。
【0023】
図2は、横シールブロック2としごき部材9の概略構造と動作を模式的に示す図である。
一対の横シールブロック2は、それぞれシール面を対向して配設してあり、ブロック開閉用モータ11(図1参照)の駆動力をもって、当該シール面が筒状包装フィルムFaを挟んで図2の左右方向に開閉する。シール面の中央部分には凹部2aがあり、この凹部2aの下側に位置するシール面2cが、図1に示すように横シールブロック2の下方に繰り出され、既に製品を充填済みの包装袋FWaの上端縁を横シールする。一方、凹部2aの上側に位置するシール面2bは、横シールブロック2の直上まで繰り出されてきた筒状包装フィルムFaによって次に形成される包装袋の下端縁に相当する部位を横シールする。
【0024】
また、各横シールブロック2は、ブロック移動用モータ12の駆動力(図1参照)をもって、筒状包装フィルムFaの繰出し方向に沿って下方に移動するとともに、その移動端から今度は折り返して上方向へ移動する。ここで、筒状包装フィルムFaの繰出し方向に沿った下方向への移動区間を「フィルム並走区間A」と称し、当該フィルム並走区間の終端から始端へ復帰するための上方向への移動区間を「戻り区間B」と称する。各横シールブロック2は、これらフィルム並走区間Aと戻り区間Bとの間を往復移動する。
そして、フィルム並走区間の途中に、横シールブロック2が閉じて筒状包装フィルムFaの横シール動作を実行する「横シール区間D」が含まれている。
【0025】
また、しごき部材9は、各横シールブロック2の下方にそれぞれ設けてある。これらのしごき部材9は、先端面9aが筒状包装フィルムFaを挟んで対向配置されており、ブロック開閉用モータ11(図1参照)の駆動力をもって、当該先端面9aが図2の左右方向に開閉する。すなわち、横シールブロック2としごき部材9は、ともにブロック開閉用モータ11の駆動力をもって一緒に開閉動作を行う。
ここで、しごき部材9の先端面9aは、開いた状態にあっては横シールブロック2のシール面2b、2cよりも筒状包装フィルムFaに近い側へ突き出している。よって、ブロック開閉用モータ11の駆動力をもって閉じ方向へ駆動したとき、横シールブロック2は開いたままで、しごき部材9が筒状包装フィルムFaを挟持する閉じ状態を形成する。
そして、筒状包装フィルムFaに対してしごき部材9によるしごき動作が行われる。このしごき動作が行われる区間を「しごき区間C」と称する。しごき区間Cは、フィルム並走区間Aの中で横シール区間Dの前段に置かれている。なお、しごき動作については後述する。
【0026】
ブロック開閉用モータ11は、しごき区間Cの間も横シールブロック2を閉じる方向へ駆動している。横シールブロック2としごき部材9の間には、ばね部材13を介在してあり、当該ばね部材13の圧縮をもって閉じ状態のしごき部材9が障害になることなく、横シールブロック2が更に閉じ方向へ移動できる。そして、横シールブロック2が筒状包装フィルムFaを挟持する閉じ状態を形成して、しごき区間Cから横シール区間Dに移行する。このとき、ブロック開閉用モータ11は駆動を一旦停止する。横シール区間Dにおいては、横シールブロック2としごき部材9が、筒状包装フィルムFaの繰出し速度に同期して同方向へ移動して、後述する一定の横シール時間を確保する。この横シール時間の間に筒状包装フィルムFaは、横シールされ、かつ横シールブロック2に内蔵されたカッター14によって、横シールブロック2の中央部(シール面2bとシール面2cの間)で筒状包装フィルムFaを切断する。
【0027】
その後、一定の横シール時間が過ぎた時点でブロック開閉用モータ11が作動して、横シールブロック2としごき部材9を開く。さらに、ブロック移動用モータ12がこれら横シールブロック2としごき部材9を上方向へと移動させて、動作原点となるフィルム並走区間の始端へこれら各部材を復帰させて、1サイクルの動作が終了する。
【0028】
次に、制御部20によるフィルム繰出しモータ、ブロック移動用モータ12及びブロック開閉用モータ11の制御動作について説明する。制御部20は、次の条件に従ってこれら各モータの制御動作を実行する。
第1に、制御部20は、筒状包装フィルムFaを下流側へ繰り出しながら、横シールブロック2を閉じて筒状包装フィルムFaの横シール動作を実行するように、フィルム繰出しモータ及びブロック開閉用モータ11を制御する。
本実施形態の製袋充填包装機は、図2に示したように、横シールブロック2が筒状包装フィルムFaの繰出し方向に沿った下方向へ移動できる構成となっている。そして、上記の第1の条件に従い、筒状包装フィルムFaを下流側へ繰り出しながら横シール動作を実行することで、稼働率の向上を図ることができる。なお、横シール動作中は、筒状包装フィルムFaの繰り出し速度に同期して横シールブロック2が同じ方向へ移動する。
【0029】
第2に、制御部20は、横シールブロック2がフィルム並走区間の始端から終端に至りさらに戻り区間を経てフィルム並走区間の始端まで移動する1サイクルの動作時間を任意に変動させるように、ブロック移動用モータ12を制御する。
一般に、製袋充填包装機は一連の製品製造ラインに組み込まれる。そして、横シールブロック2の1サイクルの動作時間を任意に変動させることで、同機の上流側や下流側での製品の滞留や搬送間隔の変動等に対応することができ、システム全体の円滑な運転を実現することが可能となる。
【0030】
第3に、制御部20は、横シールブロック2により筒状包装フィルムFaを挟持して熱シールするための横シール時間があらかじめ設定してあり、フィルム並走区間において当該横シール時間の間だけ横シールブロック2を閉じて筒状包装フィルムFaの横シール動作を実行するように、ブロック開閉用モータ11を制御する。
これにより、横シールブロック2の1サイクルの動作時間が変動しても横シール時間は一定になり、よって安定した品質の包装袋FWを製造することができる。
なお、本実施形態の製袋充填包装機は、横シール時間に対する1サイクルの動作時間の変動を、横シールブロック2は横シール中の移動距離の変動によって対応している。
【0031】
第4に、制御部20は、任意に調整した1サイクルの動作時間から横シール時間を差し引いた時間の間で、横シールブロック2を開き、戻り区間を経て、次サイクルの横シール動作を開始させるように、ブロック開閉用モータ11及びブロック移動用モータ12を制御する。
上述したように、本実施形態の製袋充填包装機は、横シール時間はあらかじめ一定に設定してあるため、横シールブロック2が1サイクル中に行う横シール動作以外の動作については、1サイクルの動作時間から横シール時間を差し引いた時間の間で実行せざるを得ない。上記第4の条件は、この点を明らかにしたものである。
【0032】
第5に、制御部20は、横シールブロック2が横シール動作を実行している間は、当該横シールブロック2が戻り区間を移動しているときよりも、筒状包装フィルムFaの繰出し速度及び横シールブロック2の移動速度が遅くなるように、フィルム繰出し用モータ10及びブロック開閉用モータ11を制御する。
これにより、横シール時間をいっそう長く確保でき、十分な強度で高品質の横シールを形成することができる。
【0033】
図3は、これらの制御条件に従って運転した際の1サイクルの動作時間と横シール時間との関係を示す図である。
同図(a)における1サイクルの動作時間S1は、同図(b)における1サイクルの動作時間S2よりも短くなっている(S1<S2)。しかし、横シール時間T1、T2は、いずれも同じ時間に設定されている(T1=T2)。
上述した第4の条件に示すとおり、横シール動作以外の動作、すなわち横シールブロック2を開き、戻り区間を経て、次サイクルの横シール動作を開始させるまでの動作は、それぞれ1サイクルの動作時間S1、S2から横シール時間T1、T2を差し引いた時間の間で実行される。
【0034】
図4は、ブロック移動用モータ12の駆動力による横シールブロック2の移動動作について模式的に示すである。
仮に、ブロック移動用モータ12の駆動力が同図に示すようなリンク機構を介して横シールブロック2に伝達されるとして、ブロック移動用モータ12が、図3(a)(b)に示したような1サイクルの動作時間S1,S2に合わせて回転すると、1サイクルの動作時間がS1のときの方が、S2のときよりも回転速度が速くなる。よって、図3(a)(b)に示した横シール時間T1、T2の間におけるブロック移動用モータ12の回転角度は、横シール時間T1に対する方がT2よりも大きくなる。このため、横シールブロック2の横シール中の移動距離は、1サイクルの動作時間S1で運転した際の横シール時間T1の間の移動距離L1の方が、1サイクルの動作時間S2で運転した際の横シール時間T2の間の移動距離L2よりも長くなる。なお、図4において、STは横シールブロック2のストローク全長を示している。
このように、本実施形態の製袋充填包装機においては、横シール時間に対する1サイクルの動作時間の変動を、横シールブロック2は横シール中の移動距離の変動によって対応している。
【0035】
次に、制御部20によるしごき部材9の動作制御について説明する。
既述したように、しごき動作は、包装袋FW内に充填された製品(被充填物)を横シール動作の実行前に包装袋FW内の下方へしごき落とす等の目的で行われる。
しごき部材9が筒状包装フィルムFaを挟持した状態で、包装フィルムFの繰出し速度としごき部材9の移動速度との間に相対的な速度差を生じさせることで、しごき部材9が筒状包装フィルムFaに対してすべりながら相対移動して、しごき動作が実現する。
具体的には、包装フィルムFの繰出し速度に対して、しごき部材9の移動速度を相対的に速くすることで、しごき動作が実現する。
【0036】
このような相対的な速度差を生じさせるため、制御部20は、しごき部材9を閉じて筒状包装フィルムFaを挟持するしごき動作の間、横シールブロック2の移動速度が筒状包装フィルムFaの繰出し速度よりも速くなるように、ブロック移動用モータ12を制御して横シールブロック2の移動速度を増速する。
また、制御部20は、しごき部材9を閉じて筒状包装フィルムFaを挟持するしごき動作の間、横シールブロック2の移動速度が筒状包装フィルムFaの繰出し速度よりも速くなるように、フィルム繰出し用モータ10を制御して筒状包装フィルムFaの繰出し速度を減速するようにしてもよい。
さらに、制御部20は、しごき部材9を閉じて筒状包装フィルムFaを挟持するしごき動作の間、横シールブロック2の移動速度が筒状包装フィルムFaの繰出し速度よりも速くなるように、ブロック移動用モータ12を制御して横シールブロック2の移動速度を増速するとともに、フィルム繰出し用モータ10を制御して筒状包装フィルムFaの繰出し速度を減速するようにしてもよい。
これらのうち、いずれか一つの内容をもって制御することで、包装フィルムFの繰出し速度に対して、しごき部材9の移動速度が相対的に速くなり、しごき動作を実現することができる。
【0037】
図5(a)は、しごき動作に関し、本発明者らの実験により得られた好適な制御条件の一例を示す図である。
製造する包装袋FWの長さをFL0からFL3まで任意に変更可能にし、一方、筒状包装フィルムFaに対するしごき部材9のすべり量(しごき量)はaに固定した。そして、横シールブロック2の移動速度と筒状包装フィルムFaの繰出し速度とに対する当該しごき量aの分担割合を袋長さに対応して調整した。
その結果、次のような配分がブロック移動用モータ12及びフィルム繰出しモータ10のいずれも負担が軽減され、好適な制御条件であった。
(1)包装袋FWの長さがFL0〜FL1までは、横シールブロック2の移動速度の増速によるしごき量bをもって、全体のしごき量aを確保する。
(2)包装袋FWの長さがFL1〜FL2までは、横シールブロック2の移動速度の増速によるしごき量bと、筒状包装フィルムFaの繰出し速度の減速によるしごき量cとを、それぞれ図5(a)に示すように調整して、全体のしごき量aを確保する。
(3)包装袋FWの長さがFL2〜FL3では、横シールブロック2の移動速度の増速によるしごき量bと、筒状包装フィルムFaの繰出し速度の減速によるしごき量cとを、それぞれ図5(a)に示すように固定して、全体のしごき量aを確保する。
【0038】
また、横シールブロック2の移動速度と筒状包装フィルムFaの繰出し速度とに対する当該しごき量aの分担割合を、図5(b)または(c)に示すような制御条件に基づき、袋長さに対応して調整することもできる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々変形又は応用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
F:包装フィルム、Fa:筒状包装フィルム、FW:包装袋
1:縦シールブロック、2:横シールブロック、2a:凹部、2b,2c:シール面、3:フィルムロール、4:搬送ローラ、5:フォーマ部、6:製袋チューブ、7:繰出しベルト、8:ホッパ、9:しごき部材、9a:先端面、10:フィルム繰出し用モータ、11:ブロック開閉用モータ、12:ブロック移動用モータ、13:ばね部材、14:カッター、20:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状をした包装フィルムの両側縁を重ね合わせ、当該重ね合わせ部分を縦シールして筒状の包装フィルムを形成するとともに、当該包装フィルムを下流側へ繰り出しながら一対の横シールブロックで挟持して熱シールする機能を備えた製袋充填包装機において、
前記一対の横シールブロックは、前記包装フィルムを挟んで相互に開閉自在であって、且つ前記包装フィルムの繰出し方向に沿ったフィルム並走区間と当該フィルム並走区間の終端から始端へ復帰する戻り区間との間を移動自在であり、前記フィルム並走区間内で相互に閉じて前記包装フィルムを熱シールする構成となっており、
前記包装フィルムを下流側へ繰り出すフィルム繰出し用モータと、
前記横シールブロックを開閉するブロック開閉用モータと、
前記横シールブロックをフィルム並走区間と戻り区間との間で移動させるブロック移動用モータと、
これらフィルム繰出し用モータ、ブロック開閉用モータ及びブロック移動用モータを制御する制御部と、を含み、
前記制御部が(イ)乃至(ニ)の条件に従って制御動作を実行することを特徴とした製袋充填包装機。
(イ)前記包装フィルムを下流側へ繰り出しながら、前記横シールブロックを閉じて包装フィルムの横シール動作を実行するように、前記フィルム繰出しモータ及びブロック開閉用モータを制御する。
(ロ)前記横シールブロックがフィルム並走区間の始端から終端に至りさらに戻り区間を経て前記フィルム並走区間の始端まで移動する1サイクルの動作時間を任意に変動させるように、前記ブロック移動用モータを制御する。
(ハ)前記横シールブロックにより包装フィルムを挟持して熱シールするための横シール時間があらかじめ設定してあり、前記フィルム並走区間において当該横シール時間の間だけ前記横シールブロックを閉じて包装フィルムの横シール動作を実行するように、前記ブロック開閉用モータを制御する。このとき、当該横シール時間に対する前記1サイクルの動作時間の変動に対応して、前記横シールブロックは横シール中の移動距離が変動する。
(ニ)前記任意に調整した1サイクルの動作時間から前記横シール時間を差し引いた時間の間で、前記横シールブロックを開き、前記戻り区間を経て、次サイクルの横シール動作を開始させるように、前記ブロック開閉用モータ及びブロック移動用モータを制御する。
【請求項2】
前記制御部は、前記横シールブロックが前記横シール動作を実行している間は、当該横シールブロックが前記戻り区間を移動しているときよりも、前記包装フィルムの繰出し速度及び前記横シールブロックの移動速度が遅くなるように、前記フィルム繰出し用モータ及びブロック開閉用モータを制御することを特徴とする請求項1の製袋充填包装機。
【請求項3】
前記横シールブロックと一緒に移動するとともに、前記包装フィルムを挟んで相互に開閉自在な一対のしごき部材を備え、
前記しごき部材は、前記ブロック開閉用モータの駆動によって前記横シールブロックよりも先に閉じる構成となっており、
前記制御部は、
前記しごき部材を閉じて包装フィルムを挟持するしごき動作の間、前記横シールブロックの移動速度が前記包装フィルムの繰出し速度よりも速くなるように、前記ブロック移動用モータを制御して前記横シールブロックの移動速度を増速することを特徴とする請求項1又は2の製袋充填包装機。
【請求項4】
前記横シールブロックと一緒に移動するとともに、前記包装フィルムを挟んで相互に開閉自在な一対のしごき部材を備え、
前記しごき部材は、前記ブロック開閉用モータの駆動によって前記横シールブロックよりも先に閉じる構成となっており、
前記制御部は、
前記しごき部材を閉じて包装フィルムを挟持するしごき動作の間、前記横シールブロックの移動速度が前記包装フィルムの繰出し速度よりも速くなるように、前記フィルム繰出し用モータを制御して前記包装フィルムの繰出し速度を減速することを特徴とする請求項1又は2の製袋充填包装機。
【請求項5】
前記横シールブロックと一緒に移動するとともに、前記包装フィルムを挟んで相互に開閉自在な一対のしごき部材を備え、
前記しごき部材は、前記ブロック開閉用モータの駆動によって前記横シールブロックよりも先に閉じる構成となっており、
前記制御部は、
前記しごき部材を閉じて包装フィルムを挟持するしごき動作の間、前記横シールブロックの移動速度が前記包装フィルムの繰出し速度よりも速くなるように、前記ブロック移動用モータを制御して前記横シールブロックの移動速度を増速するとともに、前記フィルム繰出し用モータを制御して前記包装フィルムの繰出し速度を減速することを特徴とする請求項1又は2の製袋充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43681(P2013−43681A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183734(P2011−183734)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名: FOOMA JAPAN 2011(国際食品工業展) 主催者名: 社団法人日本食品機械工業会 開催日: 平成23年6月7日から6月10日
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】