説明

製袋機のシール装置

【課題】製袋機の待機中にヒートシール部の上方に位置する容器中間材の部分等を構成する樹脂フィルムの変質や変形を防止する。
【解決手段】スパウト装着ユニット18のスパウト接合部32は、ユニット18が待機状態にあるときに、スパウト装着穴にスパウト110が挿入された容器中間材28とヒートシール部36との間に移動して、ヒートシール部側から立ち昇る熱気を遮蔽する熱遮蔽部材42と、ユニット18が待機状態にあるときに、上方支持部材34の下面と熱遮蔽部材42との間の空間70に熱遮蔽部材42へ向かう下降気流を生じさせる送風機62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋機のシール装置に係り、特に、シート状の樹脂フィルム包材を用いて複数のパウチ容器を製造する製袋機において容器中間材にフランジ付きスパウトをヒートシールする製袋機のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
袋状の容器等をシート状の樹脂フィルム包材から作り出すには、シート状の樹脂フィルム包材を適当な順序で折り曲げ、必要な箇所をヒートシール等により接合し、場合によっては適当な容器口部材等を取り付け、また適当な外形とするために角部を切断し、その後に個々の容器に切断することが行われる。これらの工程を順序よく行って袋状容器を製造する機械は、製袋機等と呼ばれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、スパウト付きパウチ容器の製造方法として、包材送出部から樹脂フィルム包材が送出されると、折目線形成部において複数の折目線が形成され、折畳部において、折目線に沿って、パウチの胴部に相当する部分(以下、胴部相当部分という)、トップガセット部に相当する部分(以下、トップガセット相当部分という)、ボトムガセット部に相当する部分(以下、ボトムガセット相当部分という)が形成されることが開示されている。そして、上記トップガセット相当部分にスパウトが装着され、その状態で上記胴部相当部分、トップガセット相当部分およびボトムガセット相当部分の各部分の周縁部をヒートシールしてから、各々個別のパウチ容器に分離切断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2008/096392A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記スパウト付きパウチ容器の製造において、トップガセット相当部分にスパウトを装着するとき、上記折畳部に至る前にトップガセット相当部分に予め形成されたスパウト装着穴にフランジ付きスパウトが挿入され、そして、加熱された筒状のヒートシール部材の端部をスパウト装着穴の周縁部を介してスパウトのフランジ部に圧接することにより、上記トップガセット部に相当する部分にスパウトがヒートシールされて装着される。
【0006】
このようにパウチ容器のトップガセット相当部分にスパウトを装着するスパウト装着ユニットにおいて、スパウトを上方から支持しつつヒートシール部材を下方から上昇移動させてスパウト装着穴の周縁部に当接させる構成のものがある。このような構成において、スパウト装着ユニットを含む製袋機が、例えばオペレータの昼休み時間等に製造が一時停止されて待機状態となると、所定温度に加熱されたままのヒートシール部材の上方に位置するパウチ容器の部分が、ヒートシール部材によって加温されて立ち昇る熱気にさらされた状態が続くことになる。そうすると、待機時間の継続時間にもよるが、ヒートシール部材の上方で停止しているトップガセット相当部分等を構成する樹脂フィルムが変質または変形し、製品として使えない無駄な部分になるという問題があった。
【0007】
上記のような問題に対処するため、製袋機が待機状態にあるとき、トップガセット相当部分等を構成する樹脂フィルムからヒートシール部材をより離れた下方位置まで退避移動させておくことが考えられているが、この場合には、ヒートシール部材の上下方向の移動ストロークが長くなって装置が大型化するという不具合が生じる。
【0008】
一方、製袋機が待機状態になったときヒートシール部材の温度を一旦低下させることが別の対処案として考えられる。しかし、この場合には稼動再開時にヒートシール部材が所定温度まで上昇するのに時間を要するため、それまでは製袋機を稼動させることができず、生産効率が低下することにつながる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、装置の大型化や生産効率の低下を来たすことなく、製袋機の待機中にもヒートシール部材の上方に位置するトップガセット相当部分等を構成する樹脂フィルムの変質等を防止することができる製袋機のシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る製袋機のシール装置は、シート状の樹脂フィルム包材を用いて複数のパウチ容器を製造する製袋機において容器中間材にフランジ付きスパウトをヒートシールする製袋機のシール装置であって、スパウト装着穴に前記スパウトが挿入された容器中間材の上方に配置され、前記スパウトのフランジ部に前記スパウト装着穴の周縁部をヒートシールする際に前記スパウトを下面で支持する上方支持部材と、前記上方支持部材の下方に配置されて前記上方支持部材に対して昇降移動可能に設けられ、ヒータにより加熱された状態で上昇移動したときに前記スパウトのフランジ部に前記スパウト装着穴の周縁部をヒートシールするヒートシール部と、前記シール装置が待機中にあるときに、前記スパウト装着穴にスパウトが挿入された容器中間材と前記ヒートシール部との間に移動して、前記ヒートシール部側から立ち昇る熱気を遮蔽する熱遮蔽部材と、前記シール装置が待機中にあるときに、前記上方支持部材の下面と前記遮蔽部材との間の空間に前記熱遮蔽部材へ向かう下降気流を生じさせる下降気流発生手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、シール装置が待機中にあるとき熱遮蔽部材によってヒートシール部側から立ち昇る熱気が遮断されるので、ヒートシール部の上方に停止している容器中間材が上記熱気にさらされることがなく、したがってシール装置における容器中間材の変質や変形を防止することができる。加えて、シール装置が待機中にあるとき上方支持部材の下面と遮蔽部材との間の空間に下降気流発生手段によって熱遮蔽部材へ向かう下降気流を生じさせるので、上述の容器中間材の変質等を防止する効果を一層効果的なものにできる。
【0012】
本発明に係る製袋機のシール装置において、前記下降気流発生手段は、連続搬送される前記容器中間材に沿って両側に設けられて前記空間を室として仕切る両側仕切壁と、前記室の上部に設けられて前記室内に送風する送風機とを含んで構成されてもよい。
【0013】
この構成によれば、両側仕切壁によって区画された室内に送風機によって空気を送り込むことにより、室内が陽圧になって両側仕切壁の下方隙間から空気が逃げることでシール装置の待機中に熱遮蔽部材の上面へ向かうダウンフロー、すなわち下降気流を効果的に生じさせることができる。
【0014】
また、本発明に係る製袋機のシール装置において、前記下降気流発生手段は、連続搬送される前記容器中間材に沿って両側に設けられて前記空間を室として仕切る両側仕切壁と、前記室の下方から前記室内に負圧を作用させることにより前記室の上部開口部から取り込まれた空気によって、シール装置の待機中に熱遮蔽部材の上面へ向かう下降気流を効果的に生じさせることができる。
【0015】
この構成によれば、両側仕切壁によって区画された室内に負圧発生手段によって下方から負圧を作用させて上記室の上部開口部から空気を取り込むことにより、シール装置の待機中に上記熱遮蔽部材の上面へ向かう下降気流を効果的に発生させることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る製袋機のシール装置において、前記熱遮蔽部材は、前記シール装置が待機中にあるとき、前記パウチ容器の胴部となる前記容器中間材の部分に対する前記ヒートシール部からの輻射熱を遮蔽することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、シール装置が待機中のとき、パウチ容器の胴部となる部分がヒートシール部からの輻射熱によって変質等するのを有効に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る製袋機のシール装置によれば、装置の大型化や生産効率の低下を来たすことなく、製袋機の待機中にヒートシール部の上方に位置する容器中間材の部分等を構成する樹脂フィルムの変質や変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態(以下、本実施形態という)のスパウト装着ユニットが適用される製袋機の概略構成を示す図である。
【図2】図1の製袋機によって製造されるパウチ容器の例を示す三面図である。
【図3】図2のパウチ容器の斜視図である。
【図4】本実施形態のスパウト装着ユニットを、前方仕切壁および送風機を除いた状態で示す正面図である。
【図5】図4のスパウト装着ユニットを矢印A方向から見た側面図であり、(a)はスパウト装着ユニットが稼動中で非シール状態にある様子を示し、(b)はスパウト装着ユニットが稼動中でシール状態にある様子を示す。
【図6】スパウト装着ユニットが待機中であって、熱遮蔽部材がヒートシール部の上方に引き出されている様子を示す図である。
【図7】図6の上部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である製袋機10の概略構成を示す。この製袋機10は、原反の感熱接着性シートである樹脂フィルム包材(以下、適宜に包材とだけいう)が巻きつけられているリールユニット12と、包材を送り出すときのバッファ機構であるアキュムレータユニット14と、包材を折り曲げる折り曲げ装置16と、折り曲げられた包材にスパウトを供給し取り付けるスパウト装着ユニット(シール装置)18と、スパウト付き包材のトップガセット相当部分、胴部相当部分およびボトムガセット相当部分を接合する接合ユニット20と、トップガセット部の切断を行う角部切断装置21と、トップガセット相当部分と胴部相当部分との境界およびボトムがセット相当部分と胴部相当部分との境界を接合するポイント接合部22と、個々のスパウト付きパウチ容器に分離する分離切断ユニット24を含んで構成される。
【0022】
なお、以下の図では、図示されている内容がいずれの方向から見たものであるかを示すため、互いに直交するX,Y,Zの各方向を示してある。ここで、X方向は、包材の搬送方向で、Z方向は製袋機10の上下方向、つまり設置床面に垂直な方向である。この設置床面はXY平面に平行な面である。Y方向は、図1の場合で、紙面の手前側から奥側に向かう方向である。
【0023】
スパウト装着ユニット18を説明する前に、図2,図3を参照して、製袋機10によって製造されるスパウト付きパウチ容器100について説明する。スパウト付きパウチ容器100は、容器本体であるパウチ102と、容器内容物の出入口であるスパウト110とを備えた袋状容器である。
【0024】
パウチ102は、1枚のシート状の包材を折り曲げ装置16によって複数回、複数個所折り曲げて、胴部104と、トップガセット部106と、胴部104の下部のボトムガセット部108とが形成される。ボトムガセット部108は、図2に示されるように、容器の膨らみを確保できるような折り畳み部である。これらの各部分は、接合ユニット20によって1つの袋状の容器となるように、周縁部がヒートシール等によって接合される。
【0025】
スパウト110は、円筒であるスパウト本体部112と、スパウト本体部112の下部に設けられるフランジ部114とから構成される。トップガセット部106に形成されたスパウト装着穴にスパウト本体部112が挿入された後、そのフランジ部114と、スパウト装着穴の周縁部とがヒートシールによって接合されて、スパウト110がパウチ102と一体に取り付けられる。なお、図2、図3では、ヒートシール等によって接合された部分を接合部120として点描で示されている。このようにトップガセット部106にスパウト110を装着するためのスパウト装着ユニット18について図4,図5を参照して次に詳細に説明する。
【0026】
図4は本実施形態のスパウト装着ユニット18を示す正面図である。図4において、連続した樹脂フィルム折曲体からなる容器中間材28が矢印X方向に間欠的に搬送される。また、図5は、図4のスパウト装着ユニット18を矢印A方向から見た側面図であり、(a)はスパウト装着ユニット18が稼動中で非シール状態にある様子を示し、(b)はスパウト装着ユニット18が稼動中でシール状態にある様子を示す。なお、図4では、上方支持部材34に固定される送風機と仕切壁の図示が省略されている。
【0027】
図4に示すように、スパウト装着ユニット18は、スパウト挿入部30とスパウト接合部32とを含む。スパウト挿入部30では、容器中間材28のトップガセット相当部分29に形成されたスパウト装着穴26に上方からスパウト110のスパウト本体部112が挿入される。これにより、フランジ部114がスパウト装着穴26の周縁部に係合した状態でスパウト110がトップガセット相当部分29に保持される。その後、容器中間材28が所定長さだけX方向に搬送されて、スパウト接合部32に移送される。
【0028】
スパウト接合部32は、上方支持部材34と、この上方支持部材34の下方に対向配置されたヒートシール部36とを備える。上方支持部材34は、スパウト装着ユニット本体部19に立設された図示しない支柱によって支持されている。上方支持部材34は、平坦な下面35を有しており、フランジ部114がヒートシール部36によってトップガセット相当部分29にヒートシールされるときに、スパウト110のフランジ部114をその下面35によって支持するためのものである。
【0029】
ヒートシール部36は、円筒状をなすヒートシール部材38を有しており、図示しない内蔵ヒータによってヒートシールに適した温度まで加熱されるようになっている。本実施形態のスパウト接合部32には、3つのヒートシール部36がスパウト装着穴26の形成ピッチに相当する均等間隔でもってX方向に沿って配列されている。ただし、本発明ではヒートシール部の数は3つに限定されるものではなく、1つ又は2つであってもよいし、あるいは、4つ以上のヒートシール部が複数列で配置されてもよい。
【0030】
各ヒートシール部36は、架台40上に一体に設置されており、架台40と共に上方支持部材34に対して+Z方向または−Z方向に昇降移動可能に構成されている。なお、図4,図5において、架台40を昇降駆動するための機構の図示は省略されている。
【0031】
また、スパウト接合部32は、スパウト装着ユニット18を含む製袋機10が待機状態にあるとき、スパウト装着穴26にスパウト110が挿入された容器中間材28とヒートシール部36との間に移動して、ヒートシール部36側から立ち昇る熱気を遮蔽する熱遮蔽部材42をさらに備える。熱遮蔽部材42は、可撓性および耐熱性がある素材によって好適に構成することができる。また、熱遮蔽部材42は、3つのヒートシール部36の上方を覆うことができる程度のX方向の幅を有している。
【0032】
熱遮蔽部材42の一方の端部または下端部には、例えばコイルばね等の弾性部材44の上端部が連結されている。弾性部材44の下端部は、スパウト装着ユニット本体部19に固定された固定部材46に連結されている。一方、熱遮蔽部材42の他方の端部または上端部には、複数本(本実施形態では4本)の帯状または紐状の細幅部材48がつながれている。細幅部材48は、上記熱遮蔽部材42と同様に、可撓性および耐熱性がある素材によって好適に構成することができる。
【0033】
なお、上記弾性部材44には、コイルばねに代えて、捻りばね、板ばね、ゴム等の他の弾性部材が用いてもよい。
【0034】
ヒートシール部36の斜め上方には、2本のサポートバー50,52が設置されている。サポートバー50,52は、昇降移動するヒートシール部36と干渉しない程度の間隔で互いに平行にX方向に沿って配置されており、図示しない支持部材を介してスパウト装着ユニット本体部19に固定されている。
【0035】
一端部が熱遮蔽部材42に連結されている細幅部材48はそれぞれ、上記サポートバー50,52上に掛け渡されており、その他端部が駆動アクチュエータであるエアシリンダ54の駆動ロッド56に連結された駆動バー58にそれぞれつながれている。また、4本の細幅部材48のうち中間に位置する2本の細幅部材48は、昇降移動するヒートシール部36と干渉しない位置、すなわち、3つのヒートシール部36の間に形成される2つの隙間に相当する位置にそれぞれ配置されている。
【0036】
エアシリンダ54は、スパウト装着ユニット本体部19に固定して設けられ、圧縮空気供給管60が接続されている。この圧縮空気供給管60を介して圧縮空気が供給されると、駆動ロッド56が引き込まれて駆動バー58が水平状態を保ったまま下降移動することになる。
【0037】
図5(a)に示すように、上方支持部材34の一方の側面には、図示しないブラケットを介して送風機(下降気流発生手段)62が固定されている。また、送風機62には、前方仕切壁(両側仕切壁)64が取り付けられている。前方仕切壁64は、送風機62から垂下して、その下端側において外側(すなわち−Y方向)に屈曲するように形成されている。これにより、前方仕切壁64の下端部とサポートバー50との間に開口部66が形成されている。
【0038】
一方、上方支持部材34の下方を連続搬送される容器中間材28のトップガセット相当部分29を間に挟んで前方仕切壁64と対向する位置に、後方仕切壁(両側仕切壁)68が容器中間材28の長手方向すなわちX方向に沿って設置されている。後方仕切壁68は、連続搬送される容器中間材28の妨げとならないように、スパウト装着ユニット本体部19に立設される図示しない支持部材によって固定されている。また、後方仕切壁68の下端部とサポートバー52との間に開口部72が形成されている。
【0039】
このように容器中間材28のトップガセット相当部分29の両側に設置される前方および後方仕切壁64,68は、エアシリンダ54によって熱遮蔽部材42がヒートシール部36の上方に引き出されたときに、上方支持部材34の下面35と熱遮蔽部材42との間の空間からなる室70を区画形成している。この室70は、X方向の両端において開口するとともに、上記開口部66および72において下方に開口している。また、室70の上部に設けられた送風機62が駆動されると、室70内へ向けて斜め上方から送風し、これにより閉鎖位置に移動した熱遮蔽部材42の上面に向かう下降気流を生じさせることが可能になっている。また、室70のX方向の両端開口に図示しないシャッタを設け、室70の開口部を上記開口部66,68のみとすれば、室70内を送風機等によって陽圧にして熱遮蔽部材42へ向かうダウンフローをより効果的に生じさせることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、上方支持部材34の下面35と熱遮蔽部材42との間の空間を室70として仕切る仕切壁64,68を設けたが、これらの仕切壁を省略して送風機だけを設ける構成としてもよい。
【0041】
続いて、上記構成からなるスパウト装着ユニット18の動作について説明する。製袋機10がパウチ容器100の製造を行っている稼動中は、ヒートシール部36の筒状ヒートシール部材38はヒータによって所定温度に加熱されている。
【0042】
そして、スパウト挿入部30においてスパウト装着穴26にスパウト110が挿入された容器中間材28がスパウト接合部32に移送されて来て一旦停止すると、図5(b)に示すように、各ヒートシール部36が架台40と共に上昇移動する。すると、スパウト110のスパウト本体部112がヒートシール部材38内に収容された状態で、ヒートシール部材38の上端面がスパウト装着穴26の周縁部に当接または圧接する。
【0043】
このとき、スパウト110は上方支持部材34の下面35によって上方に移動できない状態に規制および支持されることになる。これにより、スパウト装着穴26の周縁部がフランジ部114上にヒートシールされ、スパウト110がトップガセット相当部分29に装着される。なお、ヒートシール部36が図5(b)に示す位置まで上昇移動するとき、細幅部材48がヒートシール部36間の隙間に入り込むので、ヒートシール部36と干渉することはない。
【0044】
上記のようにしてスパウト110をヒートシールした後、ヒートシール部36は、図5(a)に示す元の位置まで下降移動して、次のスパウト110のヒートシールに備える。
【0045】
これに対し、製袋機10のオペレータが昼休み休憩等のために、製袋機10の稼動を一時停止して待機状態とすることがある。このようにスパウト装着ユニット18を含む製袋機10が待機状態とされたとき、エアシリンダ54に圧縮空気が供給される。これにより、エアシリンダ54によって駆動ロッド56が引き込まれて、駆動バー58が所定距離だけ下降移動する。
【0046】
すると、駆動バー58につながれている細幅部材48を介して熱遮蔽部材42が弾性部材44の引張り力に抗して引き出され、図6および図7に示されるようにサポートバー50,52間に張り渡されてヒートシール部36の上方を覆う閉鎖位置に移動する。これにより、ヒートシール部36によって加温された熱気が上昇するのを熱遮蔽部材42で遮断するので、容器中間材28のトップガセット相当部分29が熱気にさらされることがなくなる。その結果、製袋機10の待機中に、スパウト装着ユニット18において、容器中間材28が熱気で変質や変形等するのを確実に防止することができる。
【0047】
また、製袋機10が待機状態になったとき、送風機62が駆動される。すると、室70内へ斜め上方から送風されて熱遮蔽部材42の上面に向かう下降気流が生じる。これにより、ヒートシール部36によって加温された熱気が熱遮蔽部材42を介して上昇するのをより確実に防止することができ、上述した容器中間材28の変質等を防止する効果をより一層効果的なものにできる。なお、送風機62によって送り込まれた空気は、図7中に矢印で示すように室70の下部にある開口部66,72から室70外に排出される。
【0048】
さらに、上記閉鎖位置に移動した熱遮蔽部材42は、容器中間材28の胴部相当部分28aに対するヒートシール部36からの輻射熱を遮蔽することができる。これにより、胴部相当部分28aがヒートシール部36からの輻射熱によって変質等するのを有効に防止することができる。
【0049】
オペレータの操作により製袋機10の待機状態が解除されて容器製造が再開されるとき、エアシリンダ54による熱遮蔽部材42の引張りが解除される。これにより、熱遮蔽部材42は、弾性部材44の復元力によって図5(a)に示す位置まで戻る。また、これと同時に送風機62の駆動が停止される。
【0050】
なお、本発明に係るシール装置は、上述したスパウト装着ユニット18のスパウト接合部32の構成に限定されるものではなく、種々の変更や改良が可能である。
【0051】
例えば、上記においては送風機62で室70内に送風することによって下降気流を生じさせるものとしたが、これに代えて、例えば室70の下部開口部72に負圧作用手段を設けてもよい。具体的には、下部開口部72に空気吸引手段であるファンを設けるとともに上記送風機62の位置に上部開口部を形成し、室70内から空気を吸引することで室70に負圧を作用させ、これにより上部開口部から室70内に取り込まれた空気によって上記のような下降気流を生じさせてもよい。この場合、室70内に負圧を発生させるには、上述したように室70のX方向の両端開口にシャッタを設けることで効果がより大きくなる。
【0052】
また、上記においては製袋機10が待機状態になったときに、熱遮蔽部材42を閉鎖位置に移動させるアクチュエータにエアシリンダ54を用いたが、これに代えて、モータに連結されたプーリを回転駆動して細幅部材48を巻き取ることによって熱遮蔽部材42を移動させてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 製袋機、12 リールユニット、14 アキュムレータユニット、16 折り曲げ装置、18 スパウト装着ユニット(シール装置)、19 スパウト装着ユニット本体部、20 接合ユニット、21 角部切断装置、22 ポイント接合部、24 分離切断ユニット、26 スパウト装着穴、28 容器中間材、28a 胴部相当部分、29 トップガセット相当部分、30 スパウト挿入部、32 スパウト接合部、34 上方支持部材、35 下面、36 ヒートシール部、38 ヒートシール部材、40 架台、42 熱遮蔽部材、44 弾性部材、46 固定部材、48 細幅部材、50,52 サポートバー、54 エアシリンダ、56 駆動ロッド、58 駆動バー、60 圧縮空気供給管、62 送風機(下降気流発生手段)、64 前方仕切壁(両側仕切壁)、66,72 開口部、68 後方仕切壁(両側仕切壁)、70 室、100 パウチ容器、102 パウチ、104 胴部、106 トップガセット部、108 ボトムガセット部、110 スパウト、112 スパウト本体部、114 フランジ部、120 接合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の樹脂フィルム包材を用いて複数のパウチ容器を製造する製袋機において容器中間材にフランジ付きスパウトをヒートシールする製袋機のシール装置であって、
スパウト装着穴にスパウトが挿入された容器中間材の上方に配置され、前記スパウトのフランジ部に前記スパウト装着穴の周縁部をヒートシールする際に前記スパウトを下面で支持する上方支持部材と、
前記容器中間材を間にして前記上方支持部材と対向配置されて前記上方支持部材に対して昇降移動可能に設けられ、ヒータにより加熱された状態で上昇移動したときに前記スパウトのフランジ部に前記スパウト装着穴の周縁部をヒートシールするヒートシール部と、
前記シール装置が待機状態にあるときに、前記スパウト装着穴にスパウトが挿入された容器中間材と前記ヒートシール部との間に移動して、前記ヒートシール部側から立ち昇る熱気を遮蔽する熱遮蔽部材と、
前記シール装置が待機状態にあるときに、前記上方支持部材の下面と前記熱遮蔽部材との間の空間に前記熱遮蔽部材へ向かう下降気流を生じさせる下降気流発生手段と、
を備えることを特徴とする製袋機のシール装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製袋機のシール装置において、
前記下降気流発生手段は、連続搬送される前記容器中間材に沿って両側に設けられて前記空間を室として仕切る両側仕切壁と、前記室の上部に設けられて前記室内に送風する送風機とを含むことを特徴とする製袋機のシール装置。
【請求項3】
請求項1に記載の製袋機のシール装置において、
前記下降気流発生手段は、連続搬送される前記容器中間材に沿って両側に設けられて前記空間を室として仕切る両側仕切壁と、前記室の下方から前記室内に負圧を作用させることにより前記室の上部開口部から取り込まれた空気によって前記下降気流を生じさせる負圧作用手段とを含むことを特徴とする製袋機のシール装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の製袋機のシール装置において、
前記熱遮蔽部材は、前記シール装置が待機状態にあるとき、前記パウチ容器の胴部となる前記容器中間材の部分に対する前記ヒートシール部からの輻射熱を遮蔽することを特徴とする製袋機のシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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